説明

相異なる蛍光色の二光子蛍光プローブを用いてナトリウム/カルシウム活性を同時にイメージ化する方法及び二光子蛍光プローブの製造方法

【課題】相異なる蛍光色の二光子蛍光プローブを用いてナトリウム/カルシウム活性を同時にイメージ化する方法及び二光子蛍光プローブの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による細胞膜近傍のカルシウムイオン二光子蛍光プローブは、カルシウム陽イオンと反応して強い二光子蛍光を表わし、カルシウムイオンとともに錯体を形成して細胞膜に選択的であり、容易にローディングされうる。また、60分以上の時間に亘って100〜200μm深さの生体細胞及び生体組織で選択的にカルシウムイオンを探知することができるので、生体細胞または組織でカルシウム陽イオンの分布をイメージングすることができる。また、相異なる蛍光色の二つの標識子を生体細胞または組織に同時に染色することによって、カルシウムとナトリウムとの活動性を相異なるチャンネルで映像化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相異なる蛍光色の二光子蛍光プローブを用いてナトリウム/カルシウム活性を同時にイメージ化する方法及び二光子蛍光プローブの製造方法に係り、具体的には、高い感度と選択性とで生体細胞膜イオンチャンネル近傍のカルシウムイオンの活動性をイメージングすることができる二光子蛍光プローブと、これを他の蛍光色の二光子ナトリウムプローブと同時に染色することによって、生体細胞または組織で起こるナトリウム/カルシウム陽イオンの交換及び活動性を二つのチャンネルで同時イメージングすることができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内カルシウムイオン分布の変化を測定することは、生理、病理的な現象研究で非常に重要である。細胞内カルシウムイオンの濃度は、原形質膜と各器官の膜とに存在するポンプあるいはチャネルを通じて細胞内の多様な状況に合わせて調節される。これにより、細胞膜近傍のカルシウムイオンの濃度は、細胞内平均値より遥かに高く存在し、生理的活性によって100μmol以上増加する。このような細胞膜近傍高濃度のカルシウムイオンは、ホルモンと神経伝達物質のエキソサイトーシス(exocytosis)、信号伝逹で2次伝達者(second messenger)などの過程で重要な役割を行うものと知られている。
【0003】
このようなカルシウムイオン濃度変化を調節する代表的な生体物質は、Na/Ca2+イオン交換体(NCX)である。NCXの機能は、細胞内にカルシウムイオン濃度が高くなれば、恒常性(homeostasis)を維持するために、カルシウムイオンは細胞外に出し、ナトリウムは細胞内に入るようにする。これをNa/Ca2+交換と言う。
【0004】
このような機能を理解するために、多様な単一光子蛍光プローブが開発されて来たが、個別的なイオンの活性を研究するのに止められており、相異なるイオンを同時に映像化させることによって、これらの相互作用を同時に映像化させた例は全くない。また、大部分の単一光子プローブの共通的な問題点は、それらの短い励起波長(<500nm)である。このような短い励起波長は、透過性が浅く(<100μm)、光漂白(photobleaching)及び細胞自己蛍光の問題があり組織イメージングに対する適用が制限される。
【0005】
このような問題は、励起のために低いエネルギーの2個の近赤外線光子を用いる二光子顕微鏡(TPM)によって理想的に解決できる。二光子顕微鏡を使えば、完全な組織が70μメーターよりさらに大きい組織切片の内部に延びることができる組織準備成形物から最小限の干渉を作りながら長期間にイメージを作りうる。しかし、生体組織の内部深さ(>100μm)に存在する細胞膜近傍のカルシウムと細胞内部のナトリウムイオン分布を同時にイメージで作ることができる相異なる蛍光色の二光子プローブは、現在まで開発されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする第1の課題は、小さな分子量を有しながら細胞膜に選択的に染色され、細胞膜近傍のカルシウムイオンに対する選択性と活動性とを映像化させるのに適した二光子蛍光プローブを提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする第2の課題は、前記二光子蛍光プローブを用いて生体細胞または組織で細胞膜近傍のカルシウムイオン分布を選択的にイメージングする方法を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする第3の課題は、前記二光子蛍光プローブと相異なる二光子蛍光色のナトリウムプローブとを用いて生体細胞または組織でNa/Ca2+交換を同時に映像化する方法を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする第4の課題は、前記細胞膜近傍のカルシウムイオン二光子蛍光プローブの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記化学式1で表される二光子蛍光プローブを提供する。
【0011】
【化1】



【0012】
前記化学式1で、Xは、O、SまたはNHである。
【0013】
また、本発明は、
1)6−ブロモ−N−メチル−2−ナフチルアミン(6−bromo−N−methyl−2−naphthylamine)、プロトンスポンジ(proton−sponge)、及びtert‐ブチルブロモアセタート(tert−butyl bromoacetate)の混合物を還流させて、下記化学式2で表される化合物Bを製造する段階と、
2)前記化合物B、ベンズオキサゾール(benzoxazole)、Pd(II)OAc、PPh、CuI、及びCsCOの混合物を撹拌して、下記化学式3で表される化合物Aを製造する段階と、
3)前記化合物A、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−hydroxybenzotriazole)及び下記化学式4で表される化合物Dを混合し、反応させる段階と、を含む前記化学式1で表される二光子蛍光プローブの製造方法を提供する。
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
前記化学式3で、Xは、O、SまたはNHである。
【0018】
また、本発明は、前記化学式1で表される二光子蛍光プローブを用いて生体細胞または組織のカルシウムイオン分布を選択的にイメージングする方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記化学式1で表される二光子蛍光プローブ及びナトリウムイオン感知用の二光子蛍光プローブを用いて生体細胞または組織でNa/Ca2+交換を同時にイメージングする方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による細胞膜近傍のカルシウムイオン二光子蛍光プローブは、カルシウム陽イオンと反応して強い二光子蛍光を表わす。細胞膜に選択的であり、容易にローディングされることができて、細胞膜近傍のカルシウムイオンとともに錯体を形成することができ、細胞内で解離定数(Kdi)が78±5μMで、この近傍のカルシウムイオンの活動性を感知することに適した。また、60分以上の時間に亘って100〜200μm深さの生体細胞及び生体組織で選択的にカルシウムイオンを探知することができるので、生体細胞または組織でカルシウム陽イオンの分布をイメージングすることができる。また、相異なる蛍光色の二つの標識子を生体細胞または組織に同時に染色することによって、カルシウムとナトリウムとの活動性を相異なるチャンネルで映像化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一具体例としてBCa1の単一光子蛍光スペクトル及びHO内のBCa1の濃度による蛍光強度を示す図である。
【図2】本発明の一具体例として1,4−ジオキサン、EtOH、DMF及びHO内のBCa1の標準吸収スペクトル及び標準放出スペクトルを示す図である。
【図3】HeLa細胞内のBCa1及びANa1の標準放出スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の一具体例として単一光子蛍光スペクトルを示す図である。
【図5】本発明の一具体例としてBCa1の単一光子吸収曲線、BCa1の単一光子及び二光子蛍光適正曲線、及びBCa1の単一光子及び二光子Hill曲線を示す図である。
【図6】本発明の一具体例として多様な陽イオンに対するBCa1の相対的な蛍光強度及びBCa1の単一光子蛍光強度に対するpHの影響を示す図である。
【図7】本発明の一具体例として二光子蛍光作動スペクトルを示す図である。
【図8】本発明の一具体例としてBCa1の単一光子蛍光スペクトル及びBCa1のHill曲線を示す図である。
【図9】本発明の一具体例としてLUVs内のBCa1の標準放出スペクトル及びHeLa細胞内のBCa1の標準放出スペクトルを示す図である。
【図10】(a)は、本発明の一具体例としてBCa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージを示す図であり、(b)は、それによる分析図表を示す図である。
【図11】本発明の一具体例としてBCa1でラベルされたHela細胞の電子写真及び蛍光強度を示す図である。
【図12】本発明の一具体例としてBCa1でラベルされたHela細胞のTPMイメージを示す図である。
【図13】本発明の一具体例としてBCa1及びANa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージ及び蛍光強度を示す図である。
【図14】本発明の一具体例としてBCa1及びANa1で着色されたモルモット海馬切片のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0023】
本発明による二光子蛍光プローブは、下記化学式1で表されることを特徴とする。
【0024】
[化1]


【0025】
前記化学式1で、Xは、O、SまたはNHであり、Oであることがより望ましい。
【0026】
本発明による前記化学式1で表される二光子蛍光プローブは、生体細胞または組織でカルシウムイオンの検出用として適用可能である。
【0027】
前記化学式1で表される二光子蛍光プローブは、2−(2'−モルホリノ−2'−オキソエトキシ)−N,N−ビス(ヒドロキシカルボニルメチル)アニリン(2−(2'−morpholino−2'−oxoethoxy)−N,Nbis(hydroxycarbonylmethyl)aniline、MOBHA)をカルシウム陽イオン受容体として含み、6−(ベンゾ[d]オキサゾール−2'−イル)−2−(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレン(6−(benzo[d]oxazol−2'−yl)−2−(N,N−dimethylamino)naphthalene)をリポーターとして含む。
【0028】
また、本発明による前記化学式1で表される二光子蛍光プローブの製造方法の一具体例は、1)6−ブロモ−N−メチル−2−ナフチルアミン(6−bromo−N−methyl−2−naphthylamine)、プロトンスポンジ(proton−sponge)、及びtert‐ブチルブロモアセタート(tert−butyl bromoacetate)の混合物を還流させて、下記化学式2で表される化合物Bを製造する段階、2)前記化合物B、ベンズオキサゾール(benzoxazole)、Pd(II)OAc、PPh、CuI、及びCsCOの混合物を撹拌して、下記化学式3で表される化合物Aを製造する段階、及び3)前記化合物A、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−hydroxybenzotriazole)及び下記化学式4で表される化合物Dを混合し、反応させる段階を含む。
【0029】
[化2]


【0030】
[化3]


【0031】
[化4]


【0032】
前記化学式3で、Xは、O、SまたはNHであり、Oであることがより望ましい。
【0033】
本発明による前記化学式1で表される二光子蛍光プローブの製造方法は、後述する実施例により具体的に表わした。
【0034】
また、本発明は、前記化学式1で表される二光子蛍光プローブを用いて生体細胞または組織のカルシウムイオン分布を選択的にイメージングする方法を提供する。より具体的に、前記生体細胞または組織で細胞膜近傍のカルシウムイオン分布を選択的にイメージングすることができる。
【0035】
本発明による前記化学式1で表される二光子蛍光プローブは、カルシウム陽イオンと応じて強い二光子蛍光を表わし、カルシウムイオンとともに錯体を形成して細胞膜に選択的であり、容易にローディングされうる。また、60分以上の時間に亘って100〜200μm深さの生体細胞及び生体組織で選択的にカルシウムイオンを探知することができるので、生体細胞または組織でカルシウム陽イオンの分布をイメージングすることができる。
【0036】
また、本発明は、前記化学式1で表される二光子蛍光プローブ及びナトリウムイオン感知用の二光子蛍光プローブを用いて生体細胞または組織でNa/Ca2+交換を同時にイメージングする方法を提供する。
【0037】
前記ナトリウムイオン感知用の二光子蛍光プローブは、下記ANa1で表されることができるが、これにのみ限定されるものではない。
【0038】
[ANa1]


【0039】
前記のように、本発明によれば、相異なる蛍光色の二つの標識子を生体細胞または組織に同時に染色することによって、カルシウムとナトリウムとの活動性を相異なるチャンネルで同時に映像化させることができる。
【0040】
以下、本発明の理解を助けるために、望ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであって、これにより、本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
二光子蛍光プローブ(BCa1)の製造
6−ブロモ−N−メチル−2−ナフチルアミン(6−Bromo−N−methyl−2−naphthylamine)及び2−(2'−モルホリノ−2'−オキソエトキシ)−4−ニトロ−N,N−ビス(ヒドロキシカルボニルメチル)アニリン(2−(2'−morpholino−2'−oxoethoxy)−4−nitro−N,N−bis(hydroxycarbonylmethyl)aniline、化合物C)を従来技術によって合成した。他の化合物の合成は、下記に表わした。
【0042】
[反1]


【0043】
前記反応式1で、(a)は、t−ブチルブロモアセタート(t−butyl bromoacetate)/プロトンスポンジ(proton−sponge)/MeCN、(b)は、ベンズオキサゾール(benzoxazole)/Pd(II)OAc/PPh/CuI/CsCO/DMF、及びCFCOH/CHCl、(c)は、DCC/HOBt/CHCl及びKOH/EtOH/ジオキサン(dioxane)の反応条件である。
【0044】
1)2−ブロモ−6−N−(tert−ブトキシカルボニル)メチル−N−メチルアミノナフタレン(2−Bromo−6−N−(tert−butoxycarbonyl)methyl−N−methylaminonaphthalene、化合物B)の製造
6−ブロモ−N−メチル−2−ナフチルアミン(6−bromo−N−methyl−2−naphthylamine、2.0g、8.5mmol)、プロトンスポンジ(proton−sponge、2.0g、9.4mmol)、及びtert‐ブチルブロモアセタート(tert−butyl bromoacetate、2.0g、1.5mL、10.2mmol)の混合物をMeCN内でN下で12時間還流させた。生成物を酢酸エチルで抽出し、塩水(brine)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮させた後、溶離液(eluent)としてヘキサン/酢酸エチル(5:1)を利用したシリカゲルカラムで精製した。
【0045】
収率:2.6g(87%);
mp:63℃;
IR(KBr):1,736cm−1
H NMR(400MHz、CDCl):δ7.79(d、1H、J=2Hz)、7.57(d、1H、J=9Hz)、7.48(d、1H、J=9Hz)、7.38(dd、1H、J=9、J=2Hz)、7.05(dd、1H、J=9、J=2Hz)、6.82(d、1H、J=2Hz)、4.04(s、2H)、3.14(s、3H)、1.40(s、9H);
13C NMR(100MHz、CDCl):δ=170.3、147.5、133.8、129.8、129.7、128.4、128.3、128.2、116.7、115.7、106.7、82.2、56.0、40.5、28.7ppm。
【0046】
Anal.Calcd for C1720BrNO:C、58.30;H、5.76;N、4.00.Found:C、58.43;H、5.65;N、4.06。
【0047】
2)化合物Aの製造
化合物B(1.0g、2.9mmol)、ベンズオキサゾール(benzoxazole、0.41g、3.4mmol)、Pd(II)OAc(0.033g、0.15mmol)、PPh(0.073g、0.29mmol)、CuI(0.11g、0.58mmol)、及びCsCO(1.1g、3.5mmol)の混合物をDMF内でN下で140℃で12時間撹拌した。反応混合物を濾過し、酢酸エチルで希釈し、塩水(brine)で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮させた。粗生成物を溶離液(eluent)としてヘキサン/酢酸エチル(3:1)を利用したシリカゲルカラムで精製した。
【0048】
収率:0.64g(57%);
mp:165℃;
IR(KBr):1,738cm−1
H NMR(400MHz、CDCl):δ8.56(d、1H、J=2Hz)、8.14(dd、1H、J=9、J=2Hz)、7.78(d、1H、J=9Hz)、7.73(m、1H)、7.69(d、1H、J=9Hz)、7.54(m、1H)、7.30(m、2H)、7.06(dd、1H、J=9、J=2Hz)、6.85(d、1H、J=2Hz)、4.05(s、2H)、3.15(s、3H)、1.41(s、9H);
13C NMR(100MHz、CDCl):δ=169.7、164.0、150.9、148.6、142.6、136.8、130.3、128.1、127.0、126.4、124.7、124.5、124.4、120.7、119.9、116.2、110.6、106.4、82.1、55.7、40.2、28.4ppm。
【0049】
Anal.Calcd for C2424:C、74.21;H、6.23;N、7.21.Found:C、74.33;H、6.35;N、7.11。
【0050】
CHCl(10mL)内の前記エステル(0.50g、1.3mmol)溶液にCFCOH(2mL)を追加し、混合物をN下で24時間撹拌した。溶媒を眞空下で除去した。生成物をヘキサンで洗浄し、濾過した。
【0051】
収率:0.29g(68%);
mp:188℃;
IR(KBr):2,900、1,718cm−1
H NMR(400MHz、CDCl/CDOD):δ8.57(d、1H、J=2Hz)、8.12(dd、1H、J=9、J=2Hz)、7.84(d、1H、J=9Hz)、7.75(d、1H、J=9Hz)、7.71(m、1H)、7.60(m、1H)、7.36(m、2H)、7.16(dd、1H、J=9、J=2Hz)、6.94(d、1H、J=2Hz)、4.22(s、2H)、3.22(s、3H);
13C NMR(100MHz、CDCl/CDOD):δ=173.1、164.3、150.9、148.8、142.1、137.0、130.6、128.4、127.3、126.4、125.2、124.9、124.6、120.3、119.6、116.4、110.8、106.3、54.6、40.1ppm。
【0052】
Anal.Calcd for C2016:C、72.28;H、4.85;N、8.43.Found:C、72.17;H、4.91;N、8.40。
【0053】
3)2−(2'−モルホリノ−2'−オキソエトキシ)−N,N−ビス(メトキシカルボニルメチル)−1,4−フェニレンジアミン(2−(2'−morpholino−2'−oxoethoxy)−N,N−bis(methoxycarbonylmethyl)−1,4−phenylenediamine、化合物D)の製造
化合物C(0.67g、1.6mmol)及びカーボン上のPd(0.033g、0.31mmol)を酢酸エチル(50mL)内で混合し、水素下で12時間振った。反応混合物をセライト(Celite)で濾過し、溶媒は眞空下で除去した。
【0054】
収率:0.58g(92%);
IR(KBr):1,740、1,642cm−1
H NMR(400MHz、CDCl):δ6.77(d、1H、J=8Hz)、6.26(d、1H、J=2Hz)、6.17(dd、1H、J=8、J=2Hz)、4.65(s、2H)、3.97(s、4H)、3.59(s、6H)、3.58−3.53(m、8H);
13C NMR(100MHz、CDCl):δ=171.6、166.6、151.6、143.3、130.6、122.6、108.6、103.0、68.4、66.8、54.0、51.6、45.8ppm。
【0055】
Anal.Calcd for C1825:C、54.68;H、6.37;N、10.63.Found:C、54.59;H、6.50;N、10.58。
【0056】
4)二光子蛍光プローブ(BCa1)の製造
化合物A(0.10g、0.30mmol)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1,3−dicyclohexyl carbodiimide、0.060g、0.30mmol)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−hydroxybenzotriazole、0.034g、0.25mmol)の混合物をCHCl内で1時間攪拌した。前記混合物にCHCl内の化合物D(0.10g、0.25mmol)を追加し、N下で12時間撹拌した。結果として得られた混合物を濾過し、濾過物を眞空下で濃縮させた。粗生成物を溶離液(eluent)としてCHCl/MeOH(20:1)を利用したカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製した。
【0057】
収率:0.12g(66%);
mp:80℃;
IR(KBr):1,743、1,626、1,516cm−1
H NMR(400MHz、CDCl):δ8.65(d、1H、J=2Hz)、8.27(s、1H)、8.23(dd、1H、J=9、J=2Hz)、7.88(d、1H、J=9Hz)、7.79(d、1H、J=9Hz)、7.76(m、1H)、7.59(m、1H)、7.38(d、1H、J=2Hz)、7.34(m、2H)、7.16(dd、1H、J=9、J=2Hz)、7.09(d、1H、J=2Hz)、6.87(m、2H)、4.74(s、2H)、4.13(s、4H)、4.10(s、2H)、3.66(s、6H)、3.50−3.61(m、8H)、3.22(s、3H);
13C NMR(100MHz、CDCl):δ=171.6、168.2、166.2、163.6、150.7、150.1、148.6、142.3、136.2、135.9、133.0、130.6、127.9、127.3、126.9、125.0、124.9、124.7、121.3、120.6、119.8、116.6、113.8、110.7、107.5、107.3、67.5、66.8、60.7、53.8、52.1、45.7、40.4ppm。
【0058】
Anal.Calcd for C3839:C、64.31;H、5.54;N、9.87.Found:C、64.71;H、5.60;N、9.79。
【0059】
MeOH/dioxane(1/1mL)内の前記中間体(0.10g、0.14mmol)溶液にKOH(1M、0.35mL、0.35mmol)を一定比率方式で追加し、反応混合物を15時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、結果混合物を蒸溜水(distilled water、20mL)に溶かし、エーテルで抽出した後、水溶液を収集した。HCl(1M、0.35mL、0.35mmol)をゆっくり追加し、AcOH2滴を追加した。沈殿物を収集し、蒸溜水で洗浄した。
【0060】
収率:57mg(60%);
mp:162℃;
IR(KBr):2,970、1,626、1,514cm−1
H NMR(400MHz、CDCl/CDOD):δ8.60(d、1H、J=2Hz)、8.16(dd、1H、J=9、J=2Hz)、7.88(d、1H、J=9Hz)、7.78(d、1H、J=9Hz)、7.73(m、1H)、7.60(m、1H)、7.37(d、1H、J=2Hz)、7.34(m、2H)、7.17(dd、1H、J=9、J=2Hz)、7.04(d、1H、J=2Hz)、6.93(m、2H)、4.76(s、2H)、4.14(s、2H)、4.03(s、4H)、3.51−3.59(m、8H)、3.24(s、3H);
13C NMR(100MHz、CDCl):δ=172.9、168.2、166.4、163.6、150.7、149.9、149.7、142.4、136.9、135.2、133.7、130.6、128.2、127.4、125.9、125.6、125.3、124.5、120.0、119.8、119.6、117.1、112.8、111.3、106.7、106.2、105.8、67.0、66.7、56.1、54.1、45.6ppm。
Anal.Calcd for C3635:C、63.43;H、5.18;N、10.27.Found:C、63.22;H、5.21;N、10.19。
【実施例2】
【0061】
1)水溶解度(Water solubility)特性結果
DMSOに染料を溶かしてストック溶液(1.0×10−2M)を製造した。溶液を(6.0×10−3〜6.0×10−5)Mで希釈させ、マイクロシリンジを用いてHO 3.0mLを含有するキュベット(cuvette)に追加した。あらゆる場合、HO内のDMSOの濃度は、0.2%に維持させた。染料濃度に対する蛍光強度のグラフは、低い濃度で線形であり、高い濃度では下側に曲がった形態であった(図1)。線形領域の最大濃度を溶解度として測定したところ、水に対するBCa1の溶解度は、約5.0μMであった。これは、細胞を着色するに十分である。
【0062】
前記BCa1の単一光子蛍光スペクトルを下記図1の(a)に表わし、HO内のBCa1の濃度による蛍光強度を下記図1の(b)に表わした。励起状態の波長は、360nmであった。
【0063】
2)分光学的特性結果
吸収スペクトルは、ヒューレットパッカード(Hewlett−Packard)8453ダイオードアレイ分光光度計から測定し、蛍光スペクトルは、1cm標準石英セルを有したAmico−Bowman series2発光分光計から測定した。蛍光量子収率は、従来に知られた方法を利用し、クマリン307(Φ=0.95 in MeOH)を用いて決定した。
【0064】
1,4−ジオキサン、EtOH、DMF及びHO内のBCa1の標準吸収スペクトルを下記図2の(a)に表わし、1,4−ジオキサン、EtOH、DMF及びHO内のBCa1の標準放出スペクトルを下記図2の(b)に表わした。
【0065】
図2の結果のように、BCa1の吸収及び放出スペクトルは、溶媒極性の増加によって漸進的な赤色移動を表わした。
【0066】
HeLa細胞内のBCa1及びANa1の標準放出スペクトルを下記図3に表わした。図3の結果のように、BCa1の放出バンドは、ANa1の放出バンドと区分されるようによく分離されていることが分かる。
【0067】
自由Ca2+(0〜2.5mM)の存在下で1μM BCa1(30mM MOPS、100mM KCl、pH7.2)の単一光子蛍光スペクトルを下記図4に表わした。図4の結果のように、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(3−(N−morpholino)propanesulfonic acid、MOPS)バッファ溶液(30mM、100mM KCl、pH 7.2)内のBCa1にCa2+を追加した時、蛍光強度は、金属イオンの濃度の関数として急増し、これは、金属イオンとの複合化による光−誘導電子輸送(photo−induced electron transfer、PeT)工程の封鎖に起因したものである。ほぼ同一の結果が、二光子工程でも観察された。
【0068】
ANa1及びBCa1に対する光物理学的実験結果を下記表1に表わした。
【0069】
【表1】

【0070】
λ(1)max:単一光子吸収及び放出スペクトル(nm)
Φ:蛍光光子効率(誤差範囲:±10%)
TP:バッファ内の二光子工程によって測定されたCa2+に対する解離定数(dissociation constant)
:細胞内の二光子工程によって測定されたCa2+に対する解離定数(dissociation constant)
FEF:蛍光向上因子((F−Fmin)/Fmin=FEF)、前記表1のFEF値で括弧内の数は、二光子工程に対するものである。
【0071】
λ(2)max:二光子励起スペクトル(nm)
δΦ:10−50cms/光子(GM)で二光子作動断面積(誤差範囲:±15%)
nd:二光子励起蛍光強度があまりにも弱くて正確に断面積が測定されない。
【0072】
λflmax:DPPC/CHL((1,2−dipalmitoyl−sn−glycero−3−phosphocholine/cholesterol)、浮遊混合物及びDOPC(1,2−dioleoylsn−glycero−3−phosphocholine)で構成されたLUVs内の測定値。
【0073】
また、バッファ及びLUVs内で測定されたKOP値は、それぞれ90±2μM及び81±4μMであった。
【0074】
自由Ca2+の存在下で1μM BCa1(30mM MOPS、100mM KCl、pH7.2)の複合体に対する単一光子吸収曲線を下記図5の(a)に表わし、単一光子及び二光子蛍光適正曲線を下記図5の(b)に表わし、単一光子及び二光子Hill曲線を下記図5の(c)に表わした。
【0075】
単一光子及び二光子工程に対するBCa1の解離定数(KOP及びKTP)は、図5の(b)の蛍光適正曲線から計算された。
【0076】
多様な陽イオンに対する1μM BCa1の相対的な蛍光強度を下記図6の(a)に表わし、BCa1の単一光子蛍光強度に対するpHの影響を下記図6の(b)に表わした。BCa1は、Mg2+、Zn2+及びMn2+に対して弱い反応を表わし、Fe2+、Cu2+及びCo2+に対して何らの反応を表わさなかった。したがって、このようなプローブは、他の生物学的関連陽イオンから最小限の干渉を受けながら、Ca2+を選択的に検出することがある。また、BCa1は、pHに対して影響を受けなかった。
【0077】
過量のCa2+を含有するMOPSバッファ内のBCa1の二光子動作スペクトルは、δΦ値として780nmで150GMを表わし、このような値は、Calcium−Green−Ca2+及びFura−2−Ca2+より3〜5倍向上したということが分かる(図7参照)。したがって、BCa1で着色されたセルのTPMイメージは、他の商業用プローブで着色されたものより明るいイメージを表わすことができるということが分かる。
【0078】
3)大きい単一膜リポソーム(Large unilamellar vesicles、LUVs)の製造
単一光子及び二光子スペクトルの測定のためのLUVsを押出法による多重膜リポソーム(multilamellar vesicles)の水和懸濁(hydratedsuspension)によって製造した。脂肪質(Lipids)をCHCl/MeOH(95/5vol%)に溶かし、N流れ及び眞空下で乾燥させた。結果フィルムを懸濁液が均質になるまで60℃で振りながら、MOPS buffer(30mM MOPS、100mM KCl、pH7.2)内で水和させた。混合物を3回凝固−解凍(freeze−thaw)サイクルを行った後、100nm気孔メンブレン(AvantiPolar Lipids)を通過させてLUVsを押出した。リポソームを着色するために、DMSO内にBCa1を追加し、30分間待った。リポソーム内のプローブの比率は、300:1であった。温度は、0.1℃の精度を有するデジタル温度計を用いて測定した。
【0079】
DOPC/スフィンゴミエリン(sphingomyelin)/コレステロール(cholesterol)(1:1:1、浮遊混合物)で構成されたLUVs内の自由Ca2+(0〜2.5mM)と1μM BCa1との複合体に対する単一光子蛍光スペクトルを下記図8の(a)に表わし、Hill曲線を下記図8の(b)に表わした。
【0080】
25±0.5℃でDPPC/CHL(黒曲線)、DOPC/スフィンゴミエリン(sphingomyelin)/CHL(1:1:1、浮遊混合物)(青色曲線)、及びDOPC(ピンク曲線)で構成されたLUVs内の自由Ca2+(2.5mM)を含むBCa1の標準放出スペクトルを下記図9の(a)に表わし、HeLa細胞内のBCa1の標準放出スペクトルを下記図9の(b)に表わした。浮遊混合物(raft mixture)によるスペクトルは、436及び467nmに集中された二つのガウス曲線(空色曲線)によく合った。また、細胞からのスペクトルは、430及び460nmに集中された二つのガウス曲線(緑色曲線)によく合った。
【0081】
4)二光子断面積の測定結果
二光子断面積(δ)は、フェムト秒単位(femto second、fs)蛍光測定法を用いて測定した。30mM MOPSバッファ(2.5mM CaCl、100mM KCl、pH7.2)にBCa1を5.0×10−6Mの濃度で溶かした後、蛍光強度が誘導された二光子は、740〜940nmでフルオレセイン(fluorescein、8.0×10−5M、pH=11)を用いて測定した。レファレンスとサンプルのTPEFスペクトル強度は、同一の励起波長で決定された。TPA断面は、下記数式1を用いて計算した。
【0082】
【数1】


前記数式1で、s及びrは、サンプル及びレファレンス分子を表わし、Sは、CCD検出器から収集された信号強度を表わし。Фは、蛍光量子収率を表わし、fは、実験機器の全体蛍光収集効率を表わし、cは、溶液内の分子密度を表わし、δは、レファレンス分子のTPA断面積を表わす。
【0083】
5)細胞培養(Cell Culture)
HeLa細胞は、熱非活性化された10%(v/v)のfetal bovine serum(FBS;Gibco)、100units/mLペニシリン(penicillin)及び100mg/mLストレプトマイシン(streptomycin)が補充されたDulbecco’s Modified Eagls’s Medium(DMEM;Gibco)内で培養された。細胞は、37℃でair/COの比率が95:5である加湿環境で成長された。イメージング4日前に細胞をトリプシン(trypsin)−EDTA溶液で分離し、50,000cells/mmの細胞をガラス底ディッシュ(MatTek)に平板培養した。細胞は、37℃で20分間、2μMのANa1で培養され、次いで、常温で0.5μMのBCa1を取りこませた。10分後に、細胞を還元されたカルシウム補正塩溶液(RCBSS;127mM NaCl、3.8mM KCl、1.2mM KHPO、0.8mM MgCl、5mMグルコース、及び10mM HEPESバッファ)で2回洗浄した後、イメージ化した。
【0084】
6)二光子蛍光顕微鏡イメージの測定
プローブでラベルされたHeLa細胞及び組織の二光子蛍光顕微鏡イメージは、共焦点及び多光子顕微鏡(spectral confocal and multiphoton microscopes、Leica TCS SP2)を用いて測定した。
【0085】
BCa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージ及びそれによる分析図表を下記図10に表わした。
【0086】
390〜450nmで収集されたBCa1(0.5μM)でラベルされたHeLa細胞の明るい領域イメージ(a)、TPMイメージ(b)、及び時間による相対的なTPEF強度(c)を下記図11に表わした。
【0087】
また、0.5μMのBCa1及び2μMのANa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージを図12に表わした。より具体的には、図12の(a)は、390〜450nmでの0.5μMのBCa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージであり、(b)は、500〜560nmでの0.5μMのBCa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージであり、(c)は、390〜450nmでの2μMのANa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージであり、(d)は、500〜560nmでの2μMのANa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージである。
【0088】
BCa1及びANa1でラベルされたHeLa細胞のTPMイメージ及び蛍光強度を下記図13に表わした。より具体的に、図13の(a)は、390〜450nmでBCa1でラベルされたTMPイメージを表わしたものであり、(b)は、500〜560nmでANa1でラベルされたTPMイメージを表わしたものであり、(c)は、前記(a)及び(b)を統合したものであり、(d)は、(c)のボックス部分を拡大したものであり、(e)は、(d)の1及び2で表示した部分の蛍光強度を表わしたものである。
前述のように、BCa1及びANa1の組合わせからNa/Ca2+変化をモニタリングすることができる。
【0089】
7)モルモットの海馬及び視床下部組織切片の製造及び着色
2週齢のモルモットの海馬から切片を準備した。振動ブレード切断機(vibrating−blade microtome)を用いて人工脳脊髄液(artificialcerebrospinal fluid、ACSF;138.6mM NaCl、3.5mM KCl、21mM NaHCO、0.6mM NaHPO、9.9mM D−glucose、1mM CaCl、及び3mM MgCl)内で冠状切片を400μmの厚さで切断した。切片を37℃で40分間に、95% O及び5% COを噴き出すACSF内で10mMのBCa1及び20mMのANa1で培養させた。次いで、切片をACSFで3回洗浄し、ガラス底ディッシュ(MatTek)に移動させ、これを電子顕微鏡で観察した。
【0090】
BCa1及びANa1で着色されたモルモット海馬切片のイメージを下記図14に表わした。より具体的に、図14の(a)及び(b)は、10×倍率による歯状回(dentate gyrus)のみならず、CA1−CA3領域の明るい領域及びTPMイメージを表わしたものであって、(b)は、390〜450nm(チャンネル1)及び500〜560nm(チャンネル2)で収集された25TPMイメージを表わしたものである。図14の(c)ないし(e)は、CA3領域のTPMイメージを表わしたものであって、(c)及び(d)は、それぞれ100×倍率で100〜200μmの深さでチャンネル1及びチャンネル2で収集されたTPMイメージを表わしたものであり、(e)は、それを併合したものである。
【0091】
前記のように、本発明による細胞膜近傍のカルシウムイオン二光子蛍光プローブは、カルシウム陽イオンと反応して強い二光子蛍光を表わし、カルシウムイオンとともに錯体を形成して細胞膜に選択的であり、容易に取り込まれるということが分かる。また、60分以上の時間に亘って100〜200μm深さの生体細胞及び生体組織で選択的にカルシウムイオンを探知することができるので、生体細胞または組織でカルシウム陽イオンの分布をイメージングすることができる。また、相異なる蛍光色の二つの標識子を生体細胞または組織に同時に染色することによって、カルシウムとナトリウムとの活動性を相異なるチャンネルで映像化させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、相異なる蛍光色の二光子蛍光プローブを用いてナトリウム/カルシウム活性を同時にイメージ化する方法及び二光子蛍光プローブの製造方法に関連する分野に適用されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されることを特徴とする二光子蛍光プローブ:
[化1]



前記化学式1で、Xは、O、SまたはNHである。
【請求項2】
前記二光子蛍光プローブは、カルシウムイオンと反応して錯体を形成することを特徴とする請求項1に記載の二光子蛍光プローブ。
【請求項3】
下記化学式1で表される化合物を含む生体細胞または組織のカルシウムイオン検出用の二光子蛍光プローブ:
[化1]



前記化学式1で、Xは、O、SまたはNHである。
【請求項4】
1)6−ブロモ−N−メチル−2−ナフチルアミン(6−bromo−N−methyl−2−naphthylamine)、プロトンスポンジ(proton−sponge)、及びtert‐ブチルブロモアセタート(tert−butyl bromoacetate)の混合物を還流させて、下記化学式2で表される化合物Bを製造する段階と、
2)前記化合物B、ベンズオキサゾール(benzoxazole)、Pd(II)OAc、PPh、CuI、及びCsCOの混合物を撹拌して、下記化学式3で表される化合物Aを製造する段階と、
3)前記化合物A、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1−hydroxybenzotriazole)及び下記化学式4で表される化合物Dを混合し、反応させる段階と、
を含む下記化学式1で表されることを特徴とする二光子蛍光プローブの製造方法:
[化1]



[化2]



[化3]



[化4]



前記化学式1及び化学式3で、Xは、O、SまたはNHである。
【請求項5】
下記化学式1で表される二光子蛍光プローブを用いて生体細胞または組織のカルシウムイオン分布を選択的にイメージングする方法:
[化1]



前記化学式1で、Xは、O、SまたはNHである。
【請求項6】
前記イメージングの深さは、100〜200μmであることを特徴とする請求項5に記載の生体細胞または組織のカルシウムイオン分布を選択的にイメージングする方法。
【請求項7】
下記化学式1で表される二光子蛍光プローブ及びナトリウムイオン感知用の二光子蛍光プローブを用いて生体細胞または組織でNa/Ca2+交換を同時にイメージングする方法:
[化1]



前記化学式1で、Xは、O、SまたはNHである。
【請求項8】
前記ナトリウムイオン感知用の二光子蛍光プローブは、下記ANa1で表されることを特徴とする請求項7に記載の生体細胞または組織でNa/Ca2+交換を同時にイメージングする方法:
[ANa1]




【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−37498(P2012−37498A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242600(P2010−242600)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第105回 韓国化学学会 予稿集 平成22年4月29日
【出願人】(509005937)アジュ ユニバーシティ インダストリー−アカデミック コーポレーション ファウンデーション (6)
【Fターム(参考)】