説明

相関付けられた光子数及びエネルギー測定値を用いるスペクトルコンピュータ断層撮影

コンピュータ断層撮影システムは複数の放射線感知検出器素子(100)を含んでおり、該複数の検出器素子は様々な検出器素子(100)が受けたx線光子を表す時間変化する信号を生成する。光子カウンタ(24)が、様々な検出器素子(100)が受けた光子をカウントする。イベントドリブンエネルギー決定部(26)が、受けた光子の総エネルギーを測定する。平均エネルギー計算部(46)が、複数の読み取り期間中に様々な検出器素子(100)が受けた光子の平均エネルギーを計算する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はスペクトルコンピュータ断層撮影(CT)の分野に関する。本出願はまた、検出された放射線のエネルギーに関する情報を取得することが望ましい、x線及びその他の放射線の検出に関する。本出願は、特に医用撮像に適用され、非破壊での検査及び分析、セキュリティ用途、及びエネルギー弁別能力が有用となるその他の用途にも適用される。
【背景技術】
【0002】
従来のCTシステムは、検査対象のx線減衰を表す画像データを提供してきたが、そのようなシステムは、特に、異なる物質が同様の放射線減衰を有する場合において、対象物の物質組成に関する情報を提供する能力が限られていた。しかしながら、CTシステムの物質分離能力を向上させることは数多くの用途で有用である。例えば、医療用途において、様々な組織型を区別することや、組織を造影剤から区別すること等が望ましいことがある。他の一例として、サンプルの組成に関する情報により、セキュリティ用途における検査作業を簡略化することができる。
【0003】
物質組成情報を取得する一手法は、例えば光子計数検出器を用いることにより、検出された放射線のエネルギーを測定するものである。典型的な光子計数検出器は、例えばオルトケイ酸ルテチウム(LuSiOすなわちLSO)、ゲルマン酸ビスマス(BGO)及びヨウ化ナトリウム(NaI)等に基づくシンチレータベースの検出器と、例えばフォトダイオード又は光電子増倍管(PMT)等の光検出器とを含んでいる。さらに、例えば臭化ランタン(LaBr)、LuI3、GdSiO(GSO)、LuAlO(LuAP)及びYAlO(YAP)等、その他のシンチレータ材料も知られている。テルル化カドミウム亜鉛(CZT)ベースの検出器は、直接変換光子計数検出器の一例である。
【0004】
しかしながら、残念なことに、光子計数技術は、CT及びその他のx線用途で典型的に遭遇する計数率及び入力ダイナミックレンジで使用することには特に適したものではない。この問題を解決する1つの技術が非特許文献1に記載されている。非特許文献1は、CZT検出器とともに使用するための計数・積分画素(counting and integrating pixel;CIX)を開示している。読み取り期間中に検出器画素が受けた光子を光子カウンタが計数する。同時に、読み取り期間全体での総信号電流を積分器が積分する。この論文によれば、そこに記載の技術は、利用可能なダイナミックレンジを、計数技術及び積分技術を個々に採用したときの限界を超えるまで広げ、光子計数レジームと積分レジームの動作範囲が重なり合う領域で平均光子エネルギーに関するスペクトル情報を生成する。
【0005】
とはいうものの、改善の余地が残されている。より具体的には、CT及びその他のx線検出システムにおいてスペクトル情報を取得する改善された技術を提供することが依然として望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kraft等、「Counting and Integrating Readout for Direct Conversion X-ray Imaging Concept,Realization and First Prototype Measurement」、2005年、IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の態様は、これらの問題及びその他の問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に従って、装置は、受けたx線光子に応答して振幅変化する信号を生成するx線検出器、読み取り期間中に検出器が受けたx線光子を計数する光子カウンタ、及び読み取り期間中に検出器が受けたx線光子に応答した検出器信号の振幅変化の総量を表す出力を生成する光子エネルギー決定部を含む。
【0009】
他の一態様に従って、方法は、x線コンピュータ断層撮影装置のx線検出器素子が受けたx線光子を検出する検出段階、検出された光子を計数する計数段階、及び検出された光子のエネルギーを測定する測定段階を含む。測定段階は光子の検出に応答して実行される。当該方法はまた、読み取り期間の間、前記の検出段階、計数段階及び測定段階を繰り返す反復段階、及び読み取り期間中に検出器素子が受けた光子の数及び総エネルギーを表す出力を生成する生成段階を含む。
【0010】
他の一態様に従って、x線コンピュータ断層撮影装置は、検査領域内の検査対象を支持する対象支持体、検査領域の周りの複数の位置からx線を生成するx線源、受けたx線光子に応答して時間変化する検出器信号を生成するx線感知検出器素子、読み取り期間中に検出器素子が受けたx線光子を計数する光子カウンタ、及び計数されたx線光子の総エネルギーを測定する光子エネルギー決定部を含む。光子エネルギー決定部は、読み取り期間の複数の小期間の各々中で検出器信号の変化を測定する。
【0011】
以下の詳細な説明を読み、理解することにより、本発明の更なる態様が当業者に認識される。
【0012】
本発明は、様々な構成要素及びそれらの配置、並びに様々な段階及びそれらの編成の形態を取り得る。図面は、好適実施形態を例示するためだけのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】CTシステムを示す図である。
【図2】検出器チャネルの機能ブロック図である。
【図3】検出器信号を示す図である。
【図4】エネルギー弁別装置のブロック図である。
【図5】エネルギーの符号化スキームを示す図である。
【図6】撮像方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照するに、CTスキャナ10は、検査領域14の周りを回転する回転式ガントリー18を含んでいる。ガントリー18は、例えばx線管などのx線源12を支持している。ガントリー18はまた、検査領域14の反対側で或る範囲の弧を定めるx線感知検出器20を支持している。x線源12によって生成されたx線は、検査領域14を横切り、検出器20によって検出される。従って、スキャナ10は、検査領域14内に配置された対象物を通る複数の投影又は光線に沿った放射線減衰を表す投影データを生成する。
【0015】
スキャナ10及び検出器20の構成に応じて、x線源12は、検出器20の受信可能範囲とほぼ同一の広がりを有する概して扇状、楔状又は円錐状の放射線ビームを生成する。また、検出器20が360°の弧にまたがり、x線源12が検査領域の周りを回転するときに静止したままにされる、いわゆる第4世代スキャナ構成も実現され得る。フラットパネル検出器、単一スライス検出器、又はその他の検出器構成も意図される。
【0016】
検出器20は、CZT、光検知装置に結合されたシンチレータ、又はその他の光子計数検出器として実装される複数の検出器素子すなわち画素100、・・・、100を含んでいる。様々な検出器素子100、・・・、100により生成された信号は、複数の光子カウンタ24、・・・、24及びイベントドリブンエネルギー決定部26、・・・、26によって受信される。様々な光子カウンタ241−Nは、対応する検出器素子1001−Nが受けた光子の数を表し且つ1つ以上の計数基準を満たす出力nmeas1−Nを生成し、イベントドリブンエネルギー決定部26は、計数された光子の測定エネルギーを表す出力Emeas1−Nを生成する。出力nmeas1−N及びEmeas1−Nは、検査領域14の周りの様々な投影角に対応する複数の読み取り期間の各々に対して生成される。更に後述するように、エネルギー測定は、それぞれの検出器素子100による光子検出に同期化されたイベントドリブン処理として見ることができる。より具体的には、エネルギー測定値は、或る所与の読み取り期間中に検出された光子の上昇信号正味振幅の和を表す。
【0017】
平均エネルギー計算部46が様々な計数データnmeas1−N及びEmeas1−Nを用いて、様々な検出器チャネル及び読み取り期間に関する平均エネルギーEmeans1−Nを計算し、データは、好適な1つ以上のメモリに格納され、あるいはその他の方法で再構成部22に提供される。カウント補正部44が、様々な読み取り期間中にチャネルによって生成された測定計数データnmeas1−Nにパイルアップ補正又はその他の所望の補正を適用し、補正されたカウントncorr1−Nを生成する。
【0018】
再構成部22が投影データを再構成し、患者の内部生体構造を表す体積データを生成する。また、検査対象の物質組成に関する情報を提供するために、エネルギー情報が(再構成の前に、再構成の後に、あるいはそれらの双方において)用いられる。なお、光子数データ及び総エネルギーデータは、後処理操作で用いられる2つの異なる画像セットから抽出された情報を用いて、平均エネルギーデータを参照することなく別々に再構成され得る。そのような例においては、平均エネルギー計算部46は省略されてもよい。
【0019】
例えばカウチ等の対象支持体16が、検査領域14内の患者又はその他の対象物を支持する。支持体16は好ましくは、ヘリカル、アクシャル、円形、直線、又はその他の所望のスキャン軌道を実現するよう、スキャンと協調して移動可能である。
【0020】
汎用コンピュータが操作者コンソール44としての役割を果たす。コンソール44は、例えばモニタ又はディスプレー等のヒトが読み取り可能な出力装置と、例えばキーボード及び/又はマウス等の入力装置とを含んでいる。コンソールに常駐のソフトウェアにより、操作者が、所望のスキャンプロトコルを構築し、スキャンの開始及び停止を行い、体積画像データの閲覧及びその他の操作を行い、その他の方法でスキャナ10とやり取りすることによって、スキャナ10の動作を制御することが可能にされる。
【0021】
図2は、典型的な検出器チャネルを更に詳細に示している。認識されるように、検出器素子100は、該検出器素子100が受けたx線光子に応答して振幅が時間とともに変化する時変信号S(t)を生成する。例えば前置増幅器及び信号整形器やフィルタ等の信号調整器202が、例えば所望の信号レベルを提供し且つ/或いはノイズの影響を抑制するため、検出器信号を調整する。第1の時間遅延素子204が、検出器信号を第1の遅延時間Δtだけ遅延させ、時間遅延検出器信号S(t−Δt)を生成する。光子検出器206が、この時間遅延検出器信号を受信し、例えば検出された光子を表す信号S(t−Δt)の起伏部を検出することにより、検出器素子100が受けた、カウントされるための或る一定の条件を満たす様々な光子Pを検出する。ノイズによる誤ったカウントを低減するために検出閾値が用いられてもよい。光子検出器206はまた、光子Pの検出に応答してトリガー信号を生成する。カウンタ208が光子Pを計数し、或る読み取り期間中に検出された光子の数を表す出力nmeasを生成する。
【0022】
例えば遅延減算器などの検出器信号変化決定部が、同様に検出器信号S(t)を受信し、第2の期間Δtにおける検出器信号の変化の大きさを表す出力信号:
ΔS=S(t)−S(t−Δt) (1)
を生成する。光子検出器206により生成されたトリガー信号に応答して、例えばサンプル・ホールドユニット等の信号標本化部212が遅延減算部210の出力をサンプリングし、様々な光子Pに対応するサンプリングされた信号ΔSを生成する。加算部214が、サンプリングされた信号を加算し、この読み取り期間中に検出された光子Pのエネルギーを表す出力Emeas
【0023】
【数1】


を生成する。ただし、nはこの読み取り期間中に検出された光子の数である。
【0024】
各読み取り期間後、次の読み取りのため、カウンタ208及び加算部214の光子カウントnmeas及びエネルギーEmeasはリセットされる。
【0025】
ここで図1を再び参照するに、カウント補正部44は、各チャネルの様々な測定カウント値nmeasにパイルアップ補正を適用し、対応する補正済みカウント値ncorrを生成する。この補正は、補正伝達関数、ルックアップテーブル、又はその他の既知の技術を用いて実現され得る。平均エネルギー計算部46は、各チャネルの測定されたカウントnmeas及びエネルギーEmeasを用いて、様々な読み取り期間中に様々な検出器素子100が受けた光子の、対応する平均エネルギー値:
mean=k・Emeas/nmeas (3)
を生成する。ただし、kは所与のシステムの動作特性に基づいて実験的に得ることが可能な校正係数である。
【0026】
次に、図3を参照して動作を更に説明する。図3は、光子P1、P2及びP3に応答して生成された典型的な検出器信号302を示している。検出器信号302の厳密な特性は検出器素子100及び関連電子回路の関数であるが、1つの光子により生成される信号は、典型的に、比較的ゆっくりとした減衰が後に続く、信号振幅が比較的急峻に上昇する期間によって特徴付けられる。従って、遅延時間Δt及びΔtは、検出器素子100及び関連電子回路の特性に基づいて選定される。より具体的には、第2の遅延時間Δtは、検出器信号変化決定部210が信号差ΔSを計算するための期間を決定する。図示のように、第2の遅延時間Δtは、検出器素子100による1つの光子の受光に応答した信号302の上昇信号部分の期間(すなわち、信号302の振幅が上昇する期間)を近似するように選定される。現実の光子計数検出器及び/又はシンチレータ材料では、遅延時間Δtは約2nsから20nsの範囲内である。
【0027】
第1の遅延時間Δtは、信号差ΔSが上昇信号部分の期間中にサンプリングされるように標本化部212の動作を光子Pの検出に同期させるために使用される。故に、様々な信号差ΔSは、検出された光子Pの上昇信号正味振幅に一致する。当然ながら、この一致の平均精度は入力光子の計数率によって影響を受ける。
【0028】
この技術の1つの利点は、光子カウント及び総エネルギーの測定値がパイルアップ及びノイズの閾値設定によって同様に影響される傾向を有することである。従って、平均エネルギーの計算は比較的広いダイナミックレンジにわたって正確である。また、どちらの測定値も、第1の読み取り期間中に受け取られた光子による残留信号が後続の読み取り期間における信号レベルに寄与することを生じさせ得る比較的長い検出器遅延時間成分(‘残光’効果と呼ばれることもある)に対して感度が低い。結果として、ここで説明した技術は、特に、読み取り期間全体で検出器信号を積分する技術と比較したとき、これらの残留信号による影響を比較的受けにくい。
【0029】
図4及び5は、1つの取り得るハードウェア実装のブロック図及びエネルギー符号化スキームを示している。当然ながら、この構成は単なる一例であり、その他の構成も可能である。ここで与えられる様々なパラメータの値は、典型的なシステムで遭遇し得る期間及びレートの大きさの程度を例示するためのものである。
【0030】
図示のように、第1の時間遅延素子204は約3nsの遅延Δtを提供し、光子検出器206は、10nsの強制的なデッドタイムを有する上昇信号検出器として実装される。検出器信号エネルギー変化決定部210は、約4nsの遅延Δtを提供する遅延素子402と減算器404とを用いて実装される。
【0031】
図4はまた、様々なサンプルΔSを加算するのに好適な技術を示している。図示のように、このシステムは、電圧−時間変換器402、時間−クロックサイクル変換器404、第1のクロック406、前置スケーラ408、第2のカウンタ410、及び第2のクロック412を含んでいる。電圧−時間変換器402は、サンプル信号ΔSを、サンプル信号ΔSの振幅に比例する時間長を有するパルスに変換する。時間−クロックサイクル変換器404は、第1のクロックと協働し、電圧−時間変換器402によって生成されたパルスの長さに比例する数のパルスを生成する。例えば、第1のクロック406は1GHzクロックとして実装されてもよく、電圧−時間変換器402は、サンプリングされた信号ΔSiに予期される最大振幅に応答して生成されるパルス長がクロック406の8サイクル分に相当するように構成され得る。
【0032】
第2のカウンタ410は、第2のクロック412と協働し、時間−クロックサイクル変換器404によって生成されたパルスを計数する。前置スケーラ408は、時間−クロックサイクル変換器404と第2のカウンタ410の入力との間に配置され、周波数分周器として機能することにより、比較的低速のカウンタ410を使用することを可能にする。前置スケーラ408が3ビット(すなわち、1/8)前置スケーラとして実装される場合、第2のクロック412の好適速度は100MHz程度となり、第1のカウンタ208及び第2のカウンタ410は16ビット同期カウンタとして実装されることが可能となる。代替的に、クロック412を必要とせずに、非同期カウンタが用いられてもよい。
【0033】
図5は、光子エネルギーと符号化スキームとの間の関係を詳細に示している。この例においては、約5keVから120keVまでのエネルギー範囲が、各々が幅ΔEを有する8個のエネルギー範囲すなわちエネルギー瓶E1−E8に符号化されている。なお、電圧−時間変換器402によって生成されるパルス幅は、エネルギー瓶E1が1クロックサイクルとして符号化され、エネルギー瓶E2が2クロックサイクルとして符号化され、等々となるように構築されるべきである。
【0034】
第2のカウンタ410によって生成されるカウント値は、所望のエネルギー単位(ユニット)に対応するように容易にスケール変更することが可能である。一技術によれば、第2のカウンタ410の出力は前置スケーラ408の分周率によって操作される。前置スケーラ408内に残存するカウントを読み出すことが可能な一例においては、残存カウントが乗算の結果に加算される。残存カウントを読み出すことが不可能な一例においては、残存カウントは、前置スケーラ408の分周率の1/2に相当するカウント数を乗算の結果に加算することによって近似されてもよい。そして、その結果に、既知のエネルギー瓶の幅ΔE、及び上昇信号正味振幅の和を所望単位の総光子エネルギーに変換する既知の事前校正された係数が掛け合わされる。
【0035】
変形も意図される。説明した光子計数・エネルギー測定技術に特有の1つの利点は、その相対的な単純さであるが、その他の技術も用いられ得る。例えば、全体的なエネルギー測定の精度は統計的な因子の関数であるが、全体的なエネルギー測定の精度は、上昇信号正味振幅の測定精度にも影響される。例えば、サンプリングが信号上昇の開始及び/又は信号ピークに一層接近するように第1及び第2の遅延時間Δt及びΔtを計数率及び/又は信号レベルの関数として動的に調整することにより、エネルギー測定の精度は向上され得る。更なる他の一例として、エネルギー測定は、その他の測定スキームを用いて実行されてもよく、また、より高い或いは低い分解能で実行されてもよい。
【0036】
次に、図6を参照して動作を説明する。
【0037】
段階602にて、スキャンが開始される。
【0038】
段階604にて、検査領域14を横切った放射線が検出される。
【0039】
段階606にて、所与の読み取り期間中に検出された光子が係数され、段階608にて、検出された光子のエネルギーが測定される。エネルギーは、読み取り期間内の、各々がx線の検出に対応する複数の別々の小期間のそれぞれで検出器信号を測定することによって測定されてもよい。上述のように、例えば、エネルギーは、様々な検出光子に応答した検出器信号の変化を測定することによって測定されてもよい。
【0040】
段階610にて、検出放射線の平均エネルギーが計算される。
【0041】
段階612にて、補正された光子カウント値が生成される。
【0042】
段階614にて、投影データが既知の技術を用いて再構成され、検査対象の放射線減衰及び物質組成を表す体積データが生成される。なお、物質組成情報は、代替的に、あるいは追加的に、再構成後の処理にて生成されてもよい。
【0043】
段階616にて、体積画像データ及び/又は物質組成情報が、例えば操作者コンソール44に付随するディスプレー上に表示されたヒトが読み取り可能な画像によって等、ヒトが知覚可能な形態で提示される。
【0044】
以上の段階群は単一の検出器素子100及び単一の読み取り期間の視点から説明されたが、当然に認識されるように、データは様々な検出器素子に対して且つ複数の読み取り期間にわたって収集される。
【0045】
好適な実施形態を参照しながら本発明を説明した。以上の詳細な説明を読み、理解した者は改良及び改変に想到し得る。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその均等範囲に入る限りにおいて、そのような全ての改良及び改変を含むとして解釈されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
x線検出器であり、当該検出器が受けたx線光子に応答して振幅変化する信号を生成するx線検出器;
読み取り期間中に前記検出器が受けたx線光子を計数する光子カウンタ;
前記読み取り期間中に前記検出器が受けたx線光子に応答した検出器信号の振幅変化の総量を表す出力を生成する光子エネルギー決定部;
を有する装置。
【請求項2】
前記検出器信号の振幅は、受けた光子に応答して増大し、前記出力は、前記読み取り期間中に前記検出器が受けたx線光子に応答した前記検出器信号の振幅上昇の総量を表す、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
受けた光子を表す前記検出器信号の変化を検出する光子検出器を含み、前記光子エネルギー決定部は、前記光子検出器からの信号に応答した前記検出器信号の振幅変化を測定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光子エネルギー決定部は、前記読み取り期間中に前記検出器が受けた複数の光子の各々に関して、前記検出器信号の上昇信号正味振幅を測定する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記振幅変化は約2ns−20nsの間の或る期間にわたって測定される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光子エネルギー決定部は、前記検出器信号の変化を測定する検出器信号変化決定部と、測定された変化を足し合わせる加算器とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記検出器信号変化決定部は、センサ信号を遅延させる遅延部と、前記センサ信号と遅延されたセンサ信号との間の差を計算する計算部とを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
測定された前記変化をサンプリングし且つ保持するサンプル・ホールド部、を含む請求項6に記載の装置。
【請求項9】
計数された光子数及び前記出力を用いて、前記読み取り期間中に受けたx線光子のエネルギーを表す値を計算するエネルギー計算部、を含む請求項1に記載の装置。
【請求項10】
計算された前記値は平均エネルギーである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
検査領域内の検査対象を支持する対象支持体;
前記検査領域の周りの複数の角度位置からx放射線を生成するx線源;
複数の、x線検出器、光子カウンタ、及び光子エネルギー決定部;
を含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
x線コンピュータ断層撮影装置のx線検出器素子が受けたx線光子を検出する検出段階;
検出された光子を計数する計数段階;
前記検出された光子のエネルギーを測定する測定段階であり、光子の検出に応答して実行される測定段階;
読み取り期間の間、前記の検出段階、計数段階及び測定段階を繰り返す反復段階;
前記読み取り期間中に前記検出器素子が受けた光子の数及び総エネルギーを表す出力を生成する生成段階;
を有する方法。
【請求項13】
前記測定段階は、前記x線検出器素子により生成された信号の振幅増加と時間的に同期して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定段階は、前記検出器素子により生成された信号の振幅変化を測定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記変化は前記検出器素子の信号の上昇信号正味振幅である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記出力は平均エネルギーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記x線コンピュータ断層撮影装置の複数の検出器素子及び読み取り期間の各々に対して、前記の検出段階、計数段階、測定段階、反復段階及び生成段階を繰り返すこと、を含む請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記検出段階は、前記x線検出器素子により生成された、受けたx線光子を表す信号を特定することを含み、前記測定段階は前記信号の特定に応答して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記x線検出器素子は検出器素子信号を生成し、前記測定段階は:
前記検出器素子信号を遅延させる段階;
遅延された検出器素子信号と前記検出器素子信号との間の差を決定する段階;
前記信号差をサンプリングする段階;
複数のサンプリングされた信号差を足し合わせる段階;
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記検出器素子信号は、前記検出器素子が光子を受けたことに応答して生成される上昇信号部を含み、前記遅延させる段階は、前記上昇信号部に対応する期間だけ前記検出器素子信号を遅延させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検出器素子はCZTを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記読み取り期間中に検出された光子の前記測定されたエネルギーの和を生成する段階を含み、前記反復段階は該生成する段階を繰り返すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
検査領域内の検査対象を支持する対象支持体;
前記検査領域の周りの複数の位置からx線を生成するx線源;
x線感知検出器素子であり、当該検出器素子が受けたx線光子に応答して時間変化する検出器信号を生成するx線感知検出器素子;
読み取り期間中に前記検出器素子が受けたx線光子を計数する光子カウンタ;
計数されたx線光子の総エネルギーを測定する光子エネルギー決定部であり、前記読み取り期間の複数の小期間の各々中で前記検出器信号の変化を測定する光子エネルギー決定部;
を有するx線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項24】
検出器信号を用いて、前記検出器素子が受けた光子を特定する光子検出器を更に含み、前記小期間は前記光子検出器によるx線光子の検出に時間的に同期される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記検出器素子は受けたx線光子に応答して上昇信号部を生成し、前記小期間は前記上昇信号部に相当する、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記光子カウンタ及び前記光子エネルギー決定部に動作的に接続され、前記読み取り期間中に前記検出器素子が受けた光子の平均エネルギーを計算する平均エネルギー計算部、を含む請求項23に記載の装置。
【請求項27】
計数された光子数にパイルアップ補正を適用するカウント補正部、を含む請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記測定された変化を足し合わせる加算器、を含む請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記検出器素子はシンチレータを含む、請求項23に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−511169(P2010−511169A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538811(P2009−538811)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054610
【国際公開番号】WO2008/065564
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】