看護シミュレータ
【課題】本発明は、看護動作のトレーニングに対して実際の看護に近い臨場感を継続して与えることができる看護シミュレータを提供することを目的とするものである。
【解決手段】看護シミュレータは、処置を行うための模擬人体機構を備えるとともに処置動作を検知して評価する処置評価部20と、看護者の看護動作を認識して評価する看護評価部10と、人体の構成要素に対応する可動機構を備えるとともに当該可動機構を人体の所作に対応して駆動する動作部50と、感情変動データを生成する感情生成部40と、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて表現動作データを生成するとともに当該表現動作データを前記感情変動データに基づいて変動させて前記動作部を制御する動作生成部30とを備えている。
【解決手段】看護シミュレータは、処置を行うための模擬人体機構を備えるとともに処置動作を検知して評価する処置評価部20と、看護者の看護動作を認識して評価する看護評価部10と、人体の構成要素に対応する可動機構を備えるとともに当該可動機構を人体の所作に対応して駆動する動作部50と、感情変動データを生成する感情生成部40と、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて表現動作データを生成するとともに当該表現動作データを前記感情変動データに基づいて変動させて前記動作部を制御する動作生成部30とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、看護実習等において看護技量を高めるために使用する看護シミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
看護学校等で学生が看護実習を行う場合、学生や患者を相手に実習を行うことは非常に危険性が伴うため、人体を対象とした実習の機会をなかなか持てないのが現状である。一方、社会的には高齢化社会が進み、医療技術の進歩と相俟って高度な看護技術が要求されるようになってきている。
【0003】
看護は、患者に対して常時観察を行って、患者の肉体的及び心理的な状態を正確に把握する必要があり、患者の動作や表情から患者の状態を読み取ってそれに対する迅速適確な看護が行わなければならない。そのためには患者に対して応対する実践的なトレーニングを積み重ねることが望ましいが、上述したように現状では実現が困難な状況にある。
【0004】
こうした実践的なトレーニングを補うために、種々のトレーニング装置が提案されている。例えば、特許文献1では、オシメ交換、哺乳といった幼児が世話を要求するような動作を行なう幼児シミュレータを使用して育児の訓練を行う点が記載されている。また、特許文献2では、着用可能に形成されたウェットスーツタイプの装着具本体に面接触型圧力センサを設け、訓練者が模擬聴診器を使用して行う聴診動作を認識して訓練を行なうようにした点が記載されている。また、特許文献3では、人工透析を行う際に動脈チューブ及び静脈チューブの注射針を正しく針刺するための訓練に使用する透析用穿刺シミュレータが記載されている。
【0005】
本発明者は、こうした看護実習等で使用される患者ロボットを用いて、実習者の看護技量を評価するために、看護者の看護動作を撮影してその撮影画像から患者ロボットに対する看護者の顔姿勢を計測し、その計測結果に基づいて看護技量を評価する手法を開発している。例えば、非特許文献1では、患者ロボットの目の部分に取り付けたCCDカメラにより看護者を撮影し、撮影画像から看護者が患者の様子を伺いながら看護動作を行なっているか評価する点が記載されている。また、非特許文献2では、患者ロボットにCCDカメラと各種センサを取り付けて看護者の看護動作における動きや力を計測して評価し、看護動作に応じて患者ロボットの表情を変えたり、手足を動かすようにした点が記載されている。また、非特許文献3では、患者ロボットに取り付けた2つのカメラで撮影した画像を用いて人間の顔の3次元位置や姿勢を計測するようにした点が記載されている。
【特許文献1】特開2004−151738号公報
【特許文献2】特開2005−227534号公報
【特許文献3】特開2002−325839号公報
【非特許文献1】磯部 有里 外3名、「看護技量評価のための看護者の顔姿勢計測」、第34回学生員卒業研究発表講演会講演論文集、日本機械学会、2005年3月8日、p.15−16
【非特許文献2】前 泰志 外3名、「看護・医療技量の向上とその評価のための実習用患者ロボット」、第23回日本ロボット学会学術講演会講演論文集、日本ロボット学会、2005年9月15日
【非特許文献3】見浪 護 外3名、「患者ロボットのための顔への3次元ビジュアルサーボ」、第24回日本ロボット学会学術講演会講演論文集、日本ロボット学会、2006年9月14日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献では、針刺等の技術はトレーニングすることができるものの、看護技量を十分に高めることはできない。すなわち、上述したように、看護は患者に対する観察力を必要とするが、特許文献に記載されたシミュレータではこうした観察力を高めるには不十分である。上述の非特許文献では、こうした患者に対する観察力を評価することができ、また看護動作に対応して患者ロボットが反射動作等を行なうことでより実際の看護に近い状態を実現することができる。
【0007】
しかしながら、こうした患者ロボットを用いたトレーニングでも一通りの動作を習得すると、そうした動作がパターン化されてしまい、トレーニングを続行するにつれて実際の看護のような臨場感が失われ、患者ロボットを観察しようとする意識が薄れて観察力を十分高めることが難しくなる。
【0008】
そこで、本発明は、看護動作のトレーニングに対して実際の看護に近い臨場感を継続して与えることができる看護シミュレータを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る看護シミュレータは、処置を行うための模擬人体機構を備えるとともに処置動作を検知して評価する処置評価部と、看護者の看護動作を認識して評価する看護評価部と、人体の構成要素に対応する可動機構を備えるとともに当該可動機構を人体の所作に対応して駆動する動作部と、感情変動データを生成する感情生成部と、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて表現動作データを生成するとともに当該表現動作データを前記感情変動データに基づいて変動させて前記動作部を制御する動作生成部とを備えていることを特徴とする。さらに、前記処置評価部は、模擬腕部に模擬血管を有する模擬人体機構を備えており、模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサからの検知信号に基づいて評価を行うことを特徴とする。さらに、前記看護評価部は、看護者の看護動作を撮影する撮影部を備えており、撮影された画像から認識された看護者の顔部に基づいて評価を行うことを特徴とする。さらに、前記感情生成部は、カオス軌道に基づいて感情変動データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記のような構成を備えることで、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて生成された表現動作データを感情変動データに基づいて変動させて動作部を制御するようにしたので、動作部で表現される動作がパターン化されることがなくなり、人間がその時々の感情や状況に応じて表現動作が変化するように動作部を制御することが可能となる。
【0011】
すなわち、看護者が同じように処置を繰り返したとしてもそれに対応する表現動作はその時々の感情変動データにより変化するため、看護者は常時その表現動作を観察しながらそれに合せて看護動作を変えて行く必要があり、実際の看護に近い臨場感を持ってトレーニングが行われるようになる。したがって、トレーニング動作がパターン化されてしまうことがなく、表現動作に対する観察が常時行われるようになって看護技量の向上が期待できる。
【0012】
また、処置評価部が模擬腕部に模擬血管を有する模擬人体機構を備え、模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサからの検知信号に基づいて評価を行うようにすれば、模擬血管に対して適正に注射針が刺されているか正確に検知して注射針の針刺動作の処置評価を行うことができるようになる。
【0013】
また、看護評価部が看護者の看護動作を撮影する撮影部を備え、撮影された画像から認識された看護者の顔部に基づいて評価を行うようにすれば、看護者が患者に対してどの程度観察しているかを客観的に評価することができるようになる。
【0014】
また、感情生成部がカオス軌道に基づいて感情変動データを生成するようにすれば、同じ感情変動データが生成されることがなくなり、表現動作データがパターン化されることなくその変化が予測できなくなって、実際の看護に近い状況を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態に関するブロック構成図であり、図2は、本実施形態に関する概略構成図である。看護シミュレータは、看護評価部10、処置評価部20、動作生成部30、感情生成部40及び動作部50からなり、人体の上半身を模した人形ロボットの外観を備えている。
【0017】
看護評価部10は、看護者の看護動作を撮影する1対のカメラ11及び12を備えており、カメラ11及び12で撮影した画像に基づいて看護者がどの程度患者に対して観察しているか評価するようになっている。カメラ11及び12は、人形ロボットの顔部の目の部分に組込まれており、看護を受ける患者の視点から看護者の看護動作を撮影することができる。撮影された看護者の画像は、非特許文献1から3に記載されているように、顔モデルを用いて看護者の顔を検出し、顔モデルの目及び眉の位置に看護者の目及び眉があるか分析することで、顔が正面を向いているか−すなわち、患者の様子を観察しているかを評価することができる。例えば、図3に示すように、下を向いている場合(図3(a))には眉がなくなり、横を向いている場合(図3(b))には片目がなくなり、正面を向いている場合(図3(c))には両目及び両眉が見えるようになる。
【0018】
正面顔の検出は、HSV表色系において人間の肌色を定義して行えばよい。HSV表色系では、S(色彩)及びV(輝度)の値に関わらずH(色相)の値だけで肌色の認識が可能となる。また、顔の形状を円で近似した円形モデルを用い、注射動作時にはカメラと看護者との間の距離はほぼ一定であることから円形モデルの大きさを固定して用いる。このように肌色と円形を用いて正面顔モデルを定義し、Model-based Matching法により正面顔の検出を行う。なお、探索アルゴリズムとしてGA(遺伝的アルゴリズム)を用いるとよい。
【0019】
腕部に対する注射を行う場合には注射箇所を上方から見るようになって、図3(a)に示すように顔が下を向くことが多くなるが、こうした顔部の画像認識により患者の様子を伺いながら注射動作を行なっているか否かを評価することができる。例えば、図4は、どの程度顔が正面を向いていたかを示すグラフであり、横軸に時間をとり、所定のタイミングで顔の画像認識を行い、正面を向いていた場合には1にプロットし、正面を向いていなかった場合には0にプロットしている。技量が高い場合(図4(a))には技量が低い場合(図4(b))に比べて正面を向いている頻度が多くなることがわかる。このように、看護者の看護動作を撮影して撮影画像から顔部を認識することで看護技量を客観的に評価することができる。
【0020】
処置評価部20は、人体の腕部を模した模擬人体機構22を備えており、模擬人体機構22内に組込まれた模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサ21からの検知信号に基づいて処置動作を評価するようになっている。
【0021】
図5は、模擬人体機構22の概略構成図である。模擬人体機構22内には、パイプ状の模擬血管23が組込まれており、模擬血管23は両端がポンプ24と接続されて循環流路を形成している。そして、注射針を刺す処置箇所には、検知センサ21が埋設されており、検知センサ21内を模擬血管23が通過するように設定されている。
【0022】
検知センサ21は、ゴム製で注射針が刺し込まれて引き抜いた後に刺し穴が直ちに塞がるようになっている。また、表皮から模擬血管23までの間の所定の深さ毎に複数の圧力センサが内蔵されており、模擬血管23の裏側にも同様な圧力センサが内蔵されている。したがって、表皮から正確に模擬血管23に注射針が差し込まれると、各圧力センサから検知信号が順次出力されて適正な針刺動作が行なわれたことを評価することができる。一方、適正な箇所に注射針が刺し込まれていない場合や模擬血管23まで注射針が届いていないと一部の圧力センサからの出力信号が得られず、模擬血管23を突き刺して貫通してしまうと、模擬血管23の裏側の圧力センサからの検知信号が出力されるようになり、不適正な処置動作を正確に検知して評価することができる。また、皮膚表面に近い部分に埋設された圧力センサは、看護者が注射した部分に対して、さする、といった患者をいたわる動作を行ったか否かについても検知して評価の対象とする。
【0023】
動作部50は、人形ロボットの顔部の表情や上半身の所作を表現するための可動機構を備えている。人形ロボットの顔部には、目の部分を覆う瞼を上下動させる可動機構13及び14が配設されており、目の上部には眉を回転して往復動させる可動機構15が配設されている。また、目の下部には、頬の部分を上下動させる可動機構16及び17、顎の部分を回転して上下動させる可動機構18がそれぞれ配設されている。こうした可動機構を適宜組み合せて駆動することで、例えば、図6に示すように、普段の表情を表現したり(図6(a))、痛みを堪える表情を表現したり(図6(b))、様々な喜怒哀楽の表情を表現することができる。
【0024】
また、上半身の体内には、頭部を前後左右に動かすための首関節機構101や上半身をよじらせるための回動機構102といった可動機構が組込まれており、駆動モータ100により駆動されるようになっている。肩部には、腕部を前後に移動させるための肩関節機構104が組込まれており、駆動モータ103により駆動されるようになっており、上腕部内にはアクチュエータ105が組込まれて肘関節を折畳んだり伸ばしたりすることができるようになっている。こうした可動機構を適宜組み合せて駆動することで、顔をそむける、体をよじる、腕を引くといった痛みに伴う動作を表現することができる。さらに、注射針を刺した場合のピクッとした痛覚反射動作も表現することができる。
【0025】
動作生成部30は、看護評価部10及び処置評価部20からの評価結果に基づいて表現動作データを生成する。例えば、看護評価部10からの評価結果を示す出力信号をX(t)とし、処置評価部20からの評価結果を示す出力信号をY(t)として、図7に示すようなX−Y座標平面にプロットする。X−Y座標平面は、予め「にこやか領域」、「不満領域」、「逃避領域」、「忍耐領域」及び「中立領域」に分けて設定しておく。
【0026】
「にこやか領域」では、看護評価X(t)が良好で処置評価Y(t)も快適である場合で、表現動作データをにこやかな表情にして動作もおとなしくなるように生成される。「不満領域」では、看護評価X(t)が良好であるが処置評価Y(t)が痛みを伴う場合で、表現動作データを無表情にして動作はニュートラルな状態になるように生成される。「逃避領域」では、看護評価X(t)が悪化し処置評価Y(t)も痛みを伴う場合で、表現動作データを怒りの表情で身をよじり腕を引いて注射を避けるように生成される。「忍耐領域」では、看護評価X(t)が悪化して処置評価Y(t)は快適である場合で、表現動作データを我慢する表情でうつむいて耐える状態になるように生成する。中立領域では、表現動作データは初期設定の状態になるように設定される。
【0027】
以上のように、看護評価X(t)及び処置評価Y(t)の組合せによって種々の表現動作が行なわれ、看護者に対して実際の患者の反応に近い表現動作が行なわれるようになる。
【0028】
感情生成部40は、カオス軌道に基づいて感情変動データを生成する。カオス軌道としては、例えば、レスラーモデルと称される非線形微分方程式のx−y−z空間内の解軌道を用いるとよい。図8には、レスラーモデルの3解軌道を示しており、図9には、そのx−y平面軌道、図10には、そのy−z平面軌道、図11には、そのz−x平面軌道を示している。こうしたカオス軌道は、ある周期に収束することなく、常に新しい時間軌道を生成し続けることができるので、カオス軌道データを用いることでパターン化しない感情変動を表現動作に与えることができる。
【0029】
この例では、表現動作データに加える感情変動データとして、図9に示すx−y平面軌道のデータを用いる。図12は、時間軸を横軸にとり、x(t)及びy(t)の変動の推移を別々にグラフ化したものである。例えば、看護評価X(t)にx(t)を加え、処置評価Y(t)にy(t)を加えることで、それぞれの評価結果にパターン化されない変動を与えることができる。なお、図10及び図11の平面軌道のデータを用いても同様の変動を与えることができる。
【0030】
図13は、評価結果に変動を加えた場合の表現動作データの変化を示す説明図である。図13(a)では、y(t)の変動により処置評価が痛みを伴う方向に表現動作データが変化した場合であり、「にこやか領域」にプロットされていたA点が表現動作データの変化により「不満領域」のA’点に移行するようになる。このように「にこやか領域」に設定されていた場合に一時的に「不満領域」に移行するようになって、複雑な表現動作が行なわれるようになる。すなわち、「にこやか領域」の境界領域に近い評価結果の場合には、表現動作が感情変動データにより移ろいやすくなって看護者が表現動作を予測しにくくなり、実際の患者に対応するような臨場感を持たせることができる。
【0031】
図13(b)では、y(t)の変動により処置評価が快適な方向に表現動作データが変化した場合であり、「逃避領域」にプロットされたB点が表現動作データの変化により「忍耐領域」に一時的に移行する場合であり、感情変動データによって我慢する表現動作に変化することを示している。
【0032】
図13(c)では、x(t)の変動により看護評価が悪化する方向に表現動作データが変化した場合であり、「中立領域」にプロットされたC点において看護評価部の評価結果以外で感情的に看護者の対応が悪いと感じた場合である。実際の患者への応対では、看護者と患者との間の相性といった様々な要素が感情に対する影響を与えており、こうした影響を感情変動データによって表現動作に変化を与えることが可能となる。図13(d)では、看護評価が良好な方向に変化する場合を示しており、中立領域にプロットされたD点が看護評価部の評価結果とは別に看護者の応対が良いと感じている場合である。
【0033】
以上のように、感情生成部40において生成された感情変動データを用いて、動作生成部30において評価結果に基づく表現動作データを変化させれば、実際の患者の応対に近表現動作が行なわれるようになり、看護のトレーニングに常時臨場感を持たせることができる。
【0034】
また、感情生成部40で生成される感情変動データにオフセット値を与えることで、表現動作データを常に特定の方向にシフトさせることができ、生成する感情に特定の性格付けをすることも可能となる。すなわち、看護評価を悪化する方向にシフトさせるようにオフセット値を設定しておけば、ネガティブな性格付けを与えることができる。
【0035】
また、こうした看護評価結果、処置評価結果及び表現動作データの変動の時間的推移の履歴を記録しておき、全体を通した推移から看護技量を客観的に総合評価することもできる。
【0036】
また、感情変動データを人為的に変動させて突発的なトラブルが発生した場合の対応をトレーニングするように設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る実施形態に関するブロック構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態に関する概略構成図である。
【図3】看護評価部において正面顔を検出する場合の説明図である。
【図4】看護者が正面を向いた状態を検出した結果を示すグラフである。
【図5】模擬人体機構に関する概略構成図である。
【図6】顔部の表情を示す表現動作に関する説明図である。
【図7】評価結果をプロットしたX−Y座標系を示す座標面図である。
【図8】レスラーモデルの3解軌道を示すグラフである。
【図9】図8の平面軌道を示すグラフである。
【図10】図8の平面軌道を示すグラフである。
【図11】図8の平面軌道を示すグラフである。
【図12】図8のx及びyの時間推移を示すグラフである。
【図13】評価結果に変動を加えた場合の表現動作データの変化を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 看護評価部
20 処置評価部
30 動作生成部
40 感情生成部
50 動作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、看護実習等において看護技量を高めるために使用する看護シミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
看護学校等で学生が看護実習を行う場合、学生や患者を相手に実習を行うことは非常に危険性が伴うため、人体を対象とした実習の機会をなかなか持てないのが現状である。一方、社会的には高齢化社会が進み、医療技術の進歩と相俟って高度な看護技術が要求されるようになってきている。
【0003】
看護は、患者に対して常時観察を行って、患者の肉体的及び心理的な状態を正確に把握する必要があり、患者の動作や表情から患者の状態を読み取ってそれに対する迅速適確な看護が行わなければならない。そのためには患者に対して応対する実践的なトレーニングを積み重ねることが望ましいが、上述したように現状では実現が困難な状況にある。
【0004】
こうした実践的なトレーニングを補うために、種々のトレーニング装置が提案されている。例えば、特許文献1では、オシメ交換、哺乳といった幼児が世話を要求するような動作を行なう幼児シミュレータを使用して育児の訓練を行う点が記載されている。また、特許文献2では、着用可能に形成されたウェットスーツタイプの装着具本体に面接触型圧力センサを設け、訓練者が模擬聴診器を使用して行う聴診動作を認識して訓練を行なうようにした点が記載されている。また、特許文献3では、人工透析を行う際に動脈チューブ及び静脈チューブの注射針を正しく針刺するための訓練に使用する透析用穿刺シミュレータが記載されている。
【0005】
本発明者は、こうした看護実習等で使用される患者ロボットを用いて、実習者の看護技量を評価するために、看護者の看護動作を撮影してその撮影画像から患者ロボットに対する看護者の顔姿勢を計測し、その計測結果に基づいて看護技量を評価する手法を開発している。例えば、非特許文献1では、患者ロボットの目の部分に取り付けたCCDカメラにより看護者を撮影し、撮影画像から看護者が患者の様子を伺いながら看護動作を行なっているか評価する点が記載されている。また、非特許文献2では、患者ロボットにCCDカメラと各種センサを取り付けて看護者の看護動作における動きや力を計測して評価し、看護動作に応じて患者ロボットの表情を変えたり、手足を動かすようにした点が記載されている。また、非特許文献3では、患者ロボットに取り付けた2つのカメラで撮影した画像を用いて人間の顔の3次元位置や姿勢を計測するようにした点が記載されている。
【特許文献1】特開2004−151738号公報
【特許文献2】特開2005−227534号公報
【特許文献3】特開2002−325839号公報
【非特許文献1】磯部 有里 外3名、「看護技量評価のための看護者の顔姿勢計測」、第34回学生員卒業研究発表講演会講演論文集、日本機械学会、2005年3月8日、p.15−16
【非特許文献2】前 泰志 外3名、「看護・医療技量の向上とその評価のための実習用患者ロボット」、第23回日本ロボット学会学術講演会講演論文集、日本ロボット学会、2005年9月15日
【非特許文献3】見浪 護 外3名、「患者ロボットのための顔への3次元ビジュアルサーボ」、第24回日本ロボット学会学術講演会講演論文集、日本ロボット学会、2006年9月14日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献では、針刺等の技術はトレーニングすることができるものの、看護技量を十分に高めることはできない。すなわち、上述したように、看護は患者に対する観察力を必要とするが、特許文献に記載されたシミュレータではこうした観察力を高めるには不十分である。上述の非特許文献では、こうした患者に対する観察力を評価することができ、また看護動作に対応して患者ロボットが反射動作等を行なうことでより実際の看護に近い状態を実現することができる。
【0007】
しかしながら、こうした患者ロボットを用いたトレーニングでも一通りの動作を習得すると、そうした動作がパターン化されてしまい、トレーニングを続行するにつれて実際の看護のような臨場感が失われ、患者ロボットを観察しようとする意識が薄れて観察力を十分高めることが難しくなる。
【0008】
そこで、本発明は、看護動作のトレーニングに対して実際の看護に近い臨場感を継続して与えることができる看護シミュレータを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る看護シミュレータは、処置を行うための模擬人体機構を備えるとともに処置動作を検知して評価する処置評価部と、看護者の看護動作を認識して評価する看護評価部と、人体の構成要素に対応する可動機構を備えるとともに当該可動機構を人体の所作に対応して駆動する動作部と、感情変動データを生成する感情生成部と、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて表現動作データを生成するとともに当該表現動作データを前記感情変動データに基づいて変動させて前記動作部を制御する動作生成部とを備えていることを特徴とする。さらに、前記処置評価部は、模擬腕部に模擬血管を有する模擬人体機構を備えており、模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサからの検知信号に基づいて評価を行うことを特徴とする。さらに、前記看護評価部は、看護者の看護動作を撮影する撮影部を備えており、撮影された画像から認識された看護者の顔部に基づいて評価を行うことを特徴とする。さらに、前記感情生成部は、カオス軌道に基づいて感情変動データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記のような構成を備えることで、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて生成された表現動作データを感情変動データに基づいて変動させて動作部を制御するようにしたので、動作部で表現される動作がパターン化されることがなくなり、人間がその時々の感情や状況に応じて表現動作が変化するように動作部を制御することが可能となる。
【0011】
すなわち、看護者が同じように処置を繰り返したとしてもそれに対応する表現動作はその時々の感情変動データにより変化するため、看護者は常時その表現動作を観察しながらそれに合せて看護動作を変えて行く必要があり、実際の看護に近い臨場感を持ってトレーニングが行われるようになる。したがって、トレーニング動作がパターン化されてしまうことがなく、表現動作に対する観察が常時行われるようになって看護技量の向上が期待できる。
【0012】
また、処置評価部が模擬腕部に模擬血管を有する模擬人体機構を備え、模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサからの検知信号に基づいて評価を行うようにすれば、模擬血管に対して適正に注射針が刺されているか正確に検知して注射針の針刺動作の処置評価を行うことができるようになる。
【0013】
また、看護評価部が看護者の看護動作を撮影する撮影部を備え、撮影された画像から認識された看護者の顔部に基づいて評価を行うようにすれば、看護者が患者に対してどの程度観察しているかを客観的に評価することができるようになる。
【0014】
また、感情生成部がカオス軌道に基づいて感情変動データを生成するようにすれば、同じ感情変動データが生成されることがなくなり、表現動作データがパターン化されることなくその変化が予測できなくなって、実際の看護に近い状況を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態に関するブロック構成図であり、図2は、本実施形態に関する概略構成図である。看護シミュレータは、看護評価部10、処置評価部20、動作生成部30、感情生成部40及び動作部50からなり、人体の上半身を模した人形ロボットの外観を備えている。
【0017】
看護評価部10は、看護者の看護動作を撮影する1対のカメラ11及び12を備えており、カメラ11及び12で撮影した画像に基づいて看護者がどの程度患者に対して観察しているか評価するようになっている。カメラ11及び12は、人形ロボットの顔部の目の部分に組込まれており、看護を受ける患者の視点から看護者の看護動作を撮影することができる。撮影された看護者の画像は、非特許文献1から3に記載されているように、顔モデルを用いて看護者の顔を検出し、顔モデルの目及び眉の位置に看護者の目及び眉があるか分析することで、顔が正面を向いているか−すなわち、患者の様子を観察しているかを評価することができる。例えば、図3に示すように、下を向いている場合(図3(a))には眉がなくなり、横を向いている場合(図3(b))には片目がなくなり、正面を向いている場合(図3(c))には両目及び両眉が見えるようになる。
【0018】
正面顔の検出は、HSV表色系において人間の肌色を定義して行えばよい。HSV表色系では、S(色彩)及びV(輝度)の値に関わらずH(色相)の値だけで肌色の認識が可能となる。また、顔の形状を円で近似した円形モデルを用い、注射動作時にはカメラと看護者との間の距離はほぼ一定であることから円形モデルの大きさを固定して用いる。このように肌色と円形を用いて正面顔モデルを定義し、Model-based Matching法により正面顔の検出を行う。なお、探索アルゴリズムとしてGA(遺伝的アルゴリズム)を用いるとよい。
【0019】
腕部に対する注射を行う場合には注射箇所を上方から見るようになって、図3(a)に示すように顔が下を向くことが多くなるが、こうした顔部の画像認識により患者の様子を伺いながら注射動作を行なっているか否かを評価することができる。例えば、図4は、どの程度顔が正面を向いていたかを示すグラフであり、横軸に時間をとり、所定のタイミングで顔の画像認識を行い、正面を向いていた場合には1にプロットし、正面を向いていなかった場合には0にプロットしている。技量が高い場合(図4(a))には技量が低い場合(図4(b))に比べて正面を向いている頻度が多くなることがわかる。このように、看護者の看護動作を撮影して撮影画像から顔部を認識することで看護技量を客観的に評価することができる。
【0020】
処置評価部20は、人体の腕部を模した模擬人体機構22を備えており、模擬人体機構22内に組込まれた模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサ21からの検知信号に基づいて処置動作を評価するようになっている。
【0021】
図5は、模擬人体機構22の概略構成図である。模擬人体機構22内には、パイプ状の模擬血管23が組込まれており、模擬血管23は両端がポンプ24と接続されて循環流路を形成している。そして、注射針を刺す処置箇所には、検知センサ21が埋設されており、検知センサ21内を模擬血管23が通過するように設定されている。
【0022】
検知センサ21は、ゴム製で注射針が刺し込まれて引き抜いた後に刺し穴が直ちに塞がるようになっている。また、表皮から模擬血管23までの間の所定の深さ毎に複数の圧力センサが内蔵されており、模擬血管23の裏側にも同様な圧力センサが内蔵されている。したがって、表皮から正確に模擬血管23に注射針が差し込まれると、各圧力センサから検知信号が順次出力されて適正な針刺動作が行なわれたことを評価することができる。一方、適正な箇所に注射針が刺し込まれていない場合や模擬血管23まで注射針が届いていないと一部の圧力センサからの出力信号が得られず、模擬血管23を突き刺して貫通してしまうと、模擬血管23の裏側の圧力センサからの検知信号が出力されるようになり、不適正な処置動作を正確に検知して評価することができる。また、皮膚表面に近い部分に埋設された圧力センサは、看護者が注射した部分に対して、さする、といった患者をいたわる動作を行ったか否かについても検知して評価の対象とする。
【0023】
動作部50は、人形ロボットの顔部の表情や上半身の所作を表現するための可動機構を備えている。人形ロボットの顔部には、目の部分を覆う瞼を上下動させる可動機構13及び14が配設されており、目の上部には眉を回転して往復動させる可動機構15が配設されている。また、目の下部には、頬の部分を上下動させる可動機構16及び17、顎の部分を回転して上下動させる可動機構18がそれぞれ配設されている。こうした可動機構を適宜組み合せて駆動することで、例えば、図6に示すように、普段の表情を表現したり(図6(a))、痛みを堪える表情を表現したり(図6(b))、様々な喜怒哀楽の表情を表現することができる。
【0024】
また、上半身の体内には、頭部を前後左右に動かすための首関節機構101や上半身をよじらせるための回動機構102といった可動機構が組込まれており、駆動モータ100により駆動されるようになっている。肩部には、腕部を前後に移動させるための肩関節機構104が組込まれており、駆動モータ103により駆動されるようになっており、上腕部内にはアクチュエータ105が組込まれて肘関節を折畳んだり伸ばしたりすることができるようになっている。こうした可動機構を適宜組み合せて駆動することで、顔をそむける、体をよじる、腕を引くといった痛みに伴う動作を表現することができる。さらに、注射針を刺した場合のピクッとした痛覚反射動作も表現することができる。
【0025】
動作生成部30は、看護評価部10及び処置評価部20からの評価結果に基づいて表現動作データを生成する。例えば、看護評価部10からの評価結果を示す出力信号をX(t)とし、処置評価部20からの評価結果を示す出力信号をY(t)として、図7に示すようなX−Y座標平面にプロットする。X−Y座標平面は、予め「にこやか領域」、「不満領域」、「逃避領域」、「忍耐領域」及び「中立領域」に分けて設定しておく。
【0026】
「にこやか領域」では、看護評価X(t)が良好で処置評価Y(t)も快適である場合で、表現動作データをにこやかな表情にして動作もおとなしくなるように生成される。「不満領域」では、看護評価X(t)が良好であるが処置評価Y(t)が痛みを伴う場合で、表現動作データを無表情にして動作はニュートラルな状態になるように生成される。「逃避領域」では、看護評価X(t)が悪化し処置評価Y(t)も痛みを伴う場合で、表現動作データを怒りの表情で身をよじり腕を引いて注射を避けるように生成される。「忍耐領域」では、看護評価X(t)が悪化して処置評価Y(t)は快適である場合で、表現動作データを我慢する表情でうつむいて耐える状態になるように生成する。中立領域では、表現動作データは初期設定の状態になるように設定される。
【0027】
以上のように、看護評価X(t)及び処置評価Y(t)の組合せによって種々の表現動作が行なわれ、看護者に対して実際の患者の反応に近い表現動作が行なわれるようになる。
【0028】
感情生成部40は、カオス軌道に基づいて感情変動データを生成する。カオス軌道としては、例えば、レスラーモデルと称される非線形微分方程式のx−y−z空間内の解軌道を用いるとよい。図8には、レスラーモデルの3解軌道を示しており、図9には、そのx−y平面軌道、図10には、そのy−z平面軌道、図11には、そのz−x平面軌道を示している。こうしたカオス軌道は、ある周期に収束することなく、常に新しい時間軌道を生成し続けることができるので、カオス軌道データを用いることでパターン化しない感情変動を表現動作に与えることができる。
【0029】
この例では、表現動作データに加える感情変動データとして、図9に示すx−y平面軌道のデータを用いる。図12は、時間軸を横軸にとり、x(t)及びy(t)の変動の推移を別々にグラフ化したものである。例えば、看護評価X(t)にx(t)を加え、処置評価Y(t)にy(t)を加えることで、それぞれの評価結果にパターン化されない変動を与えることができる。なお、図10及び図11の平面軌道のデータを用いても同様の変動を与えることができる。
【0030】
図13は、評価結果に変動を加えた場合の表現動作データの変化を示す説明図である。図13(a)では、y(t)の変動により処置評価が痛みを伴う方向に表現動作データが変化した場合であり、「にこやか領域」にプロットされていたA点が表現動作データの変化により「不満領域」のA’点に移行するようになる。このように「にこやか領域」に設定されていた場合に一時的に「不満領域」に移行するようになって、複雑な表現動作が行なわれるようになる。すなわち、「にこやか領域」の境界領域に近い評価結果の場合には、表現動作が感情変動データにより移ろいやすくなって看護者が表現動作を予測しにくくなり、実際の患者に対応するような臨場感を持たせることができる。
【0031】
図13(b)では、y(t)の変動により処置評価が快適な方向に表現動作データが変化した場合であり、「逃避領域」にプロットされたB点が表現動作データの変化により「忍耐領域」に一時的に移行する場合であり、感情変動データによって我慢する表現動作に変化することを示している。
【0032】
図13(c)では、x(t)の変動により看護評価が悪化する方向に表現動作データが変化した場合であり、「中立領域」にプロットされたC点において看護評価部の評価結果以外で感情的に看護者の対応が悪いと感じた場合である。実際の患者への応対では、看護者と患者との間の相性といった様々な要素が感情に対する影響を与えており、こうした影響を感情変動データによって表現動作に変化を与えることが可能となる。図13(d)では、看護評価が良好な方向に変化する場合を示しており、中立領域にプロットされたD点が看護評価部の評価結果とは別に看護者の応対が良いと感じている場合である。
【0033】
以上のように、感情生成部40において生成された感情変動データを用いて、動作生成部30において評価結果に基づく表現動作データを変化させれば、実際の患者の応対に近表現動作が行なわれるようになり、看護のトレーニングに常時臨場感を持たせることができる。
【0034】
また、感情生成部40で生成される感情変動データにオフセット値を与えることで、表現動作データを常に特定の方向にシフトさせることができ、生成する感情に特定の性格付けをすることも可能となる。すなわち、看護評価を悪化する方向にシフトさせるようにオフセット値を設定しておけば、ネガティブな性格付けを与えることができる。
【0035】
また、こうした看護評価結果、処置評価結果及び表現動作データの変動の時間的推移の履歴を記録しておき、全体を通した推移から看護技量を客観的に総合評価することもできる。
【0036】
また、感情変動データを人為的に変動させて突発的なトラブルが発生した場合の対応をトレーニングするように設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る実施形態に関するブロック構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態に関する概略構成図である。
【図3】看護評価部において正面顔を検出する場合の説明図である。
【図4】看護者が正面を向いた状態を検出した結果を示すグラフである。
【図5】模擬人体機構に関する概略構成図である。
【図6】顔部の表情を示す表現動作に関する説明図である。
【図7】評価結果をプロットしたX−Y座標系を示す座標面図である。
【図8】レスラーモデルの3解軌道を示すグラフである。
【図9】図8の平面軌道を示すグラフである。
【図10】図8の平面軌道を示すグラフである。
【図11】図8の平面軌道を示すグラフである。
【図12】図8のx及びyの時間推移を示すグラフである。
【図13】評価結果に変動を加えた場合の表現動作データの変化を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 看護評価部
20 処置評価部
30 動作生成部
40 感情生成部
50 動作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を行うための模擬人体機構を備えるとともに処置動作を検知して評価する処置評価部と、看護者の看護動作を認識して評価する看護評価部と、人体の構成要素に対応する可動機構を備えるとともに当該可動機構を人体の所作に対応して駆動する動作部と、感情変動データを生成する感情生成部と、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて表現動作データを生成するとともに当該表現動作データを前記感情変動データに基づいて変動させて前記動作部を制御する動作生成部とを備えていることを特徴とする看護シミュレータ。
【請求項2】
前記処置評価部は、模擬腕部に模擬血管を有する模擬人体機構を備えており、模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサからの検知信号に基づいて評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の看護シミュレータ。
【請求項3】
前記看護評価部は、看護者の看護動作を撮影する撮影部を備えており、撮影された画像から認識された看護者の顔部に基づいて評価を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の看護シミュレータ。
【請求項4】
前記感情生成部は、カオス軌道に基づいて感情変動データを生成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の看護シミュレータ。
【請求項1】
処置を行うための模擬人体機構を備えるとともに処置動作を検知して評価する処置評価部と、看護者の看護動作を認識して評価する看護評価部と、人体の構成要素に対応する可動機構を備えるとともに当該可動機構を人体の所作に対応して駆動する動作部と、感情変動データを生成する感情生成部と、処置評価部及び看護評価部からの評価結果に基づいて表現動作データを生成するとともに当該表現動作データを前記感情変動データに基づいて変動させて前記動作部を制御する動作生成部とを備えていることを特徴とする看護シミュレータ。
【請求項2】
前記処置評価部は、模擬腕部に模擬血管を有する模擬人体機構を備えており、模擬血管に対する注射針の針刺深さを検知する検知センサからの検知信号に基づいて評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の看護シミュレータ。
【請求項3】
前記看護評価部は、看護者の看護動作を撮影する撮影部を備えており、撮影された画像から認識された看護者の顔部に基づいて評価を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の看護シミュレータ。
【請求項4】
前記感情生成部は、カオス軌道に基づいて感情変動データを生成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の看護シミュレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−242331(P2008−242331A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86176(P2007−86176)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【Fターム(参考)】
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