説明

真偽判別可能な印刷物及びその作製方法

【課題】真偽判別可能な印刷物及びその作製方法を提供する。
【解決手段】真偽判別可能な印刷物は、基材の表面に、第1の画像が印刷され、この第1の画像上に第2の画像が印刷された真偽判別可能な印刷物であって、前記第1の画像は、少なくとも一部に、色彩色差計で測定するとL*a*b*表色系でL*が90以上である領域を有し、前記第2の画像は、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有する半透明性インキにより、盛り上がりを有するように印刷された線画を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術的背景】
【0001】
本発明は、真偽判別可能な印刷物及びその作製方法に関する。
【0002】
銀行券、株券、有価証券、通行券、カード等の偽造、変造を防止する必要性のある貴重印刷物において、印刷物を傾けて観察した場合に潜像画像が視認されるか否かで真偽判別を行うものが用いられている。このような印刷物には、例えば凹版印刷物の画線構成を利用したもの、凹凸基材と印刷画線とを利用したもの、インキの光学的特性の変化を利用したもの等がある。
【0003】
凹版印刷物の画線構成を利用して潜像画像を出現させるものには、例えば特公昭56−19273号公報に開示されたように、凹版印刷された万線に潜像画像となる画線部を高い画線で構成し、非画線部を画線部より低い画線で構成したものがある。これにより、印刷物の角度を変えて観察すると、非画線部よりも早い段階で画線部において、万線間隔が画線の高さにより閉ざされて、潜像画像が発現する。
【0004】
しかしこの手法では、万線方向から観察したのでは潜像画像が発現せず、万線に対して直角方向からでしか発現しないという問題があった。また、画線部と非画線部との高さの差でしか潜像画像が発現しないため、潜像画像が見える角度が限定され、容易に潜像画像を確認することはできなかった。
【0005】
特公昭56−19273号公報には、画線の幅は均一であるが向きが異なることにより潜像画像を発現させる印刷物が開示されている。しかし、この印刷物では、目視により容易に潜像画像が形成される場所を特定することができてしまうという問題があった。また、潜像を出現させるには、観察角度を深く(印刷物を水平状態から大きく傾ける)しなければならなかった。浅い観察角度で潜像を出現させるには、インキの盛りを高くする必要があるが、印刷物を生産する上でこれは困難であった。
【0006】
インキの光学的特性の変化を利用して潜像画像を出現させる印刷物には、例えば特開平11−11069号公報に開示されたように、裏面に鱗片状顔料を含むインクを用いてパターンをグラビア印刷若しくはシルクスクリーン印刷により形成するものがあった。これによると、鱗片状顔料の分布の偏りにより、見る角度によってパターンの太さが変化して見える。また、パターンの色も変化して見える。更に、パターン内に文字等を付与することができ、観察角度を変えることによって文字が見え隠れする。基材表面のJIS Z8729で規定される明度(L* )は、0〜80、望ましくは0〜45の範囲内である。また、鱗片型顔料のインクに対する重量%が、1〜50重量%、望ましくは5〜30重量%であれば、パターンの消失効果を顕著なものとすることができる。
【0007】
しかし、この手法では、顔料の分布密度を変化させることによりパターンを出現させているため、印刷物濃度及び印刷物膜厚が不均一になり通常時にも視認されやすくなり、容易に潜像画像が形成される場所が第三者に特定されてしまうという問題があった。
【0008】
また、出現させようとするパターンが単純なベタ画像であり、画線で構成されていないため、色の変化が出現と消失という単調な一つのパターンしか発生しなかった。
【0009】
特表平11−501590には、光学的変化構造を有するデータキャリアにエンボスにより凹凸をつけ、偽造防止効果を持たせた光学的変換要素を有するデータキャリアが開示されている。
【0010】
しかし、この手法では表面に印刷を行った後にエンボスを施す、またはエンボスを施した後に印刷を行うため、印刷とエンボスの2行程が必要であり、またエンボス位置と印刷位置との間でずれが生じるといった問題が生じるおそれもあった。
【0011】
さらに、効果を持たせたい面の裏側にもエンボスの跡が残るため、裏面のデザインに悪影響を及ぼす問題もあった。また、印刷物に何らかの圧が加わると、エンボスが失われると同時に視認効果も失われるという問題もあった。
【0012】
また従来の印刷物には、凹凸基材と印刷画線とを利用し、潜像画像を出現させるものがあった。例えば、本出願人による特許第2615401号公報には、図柄を表す各種万線模様又はレリーフ模様、あるいは双方の模様がエンボスによって形成され凹凸形状を有する素材に、素材の色や無色透明以外の色のインキにより、一定間隔を有する各種万線画線、網点画線、双方の画線のいずれかを、前述の凹凸形状の図柄以外の部分に対して平行又は傾斜を持たせて印刷した印刷物が開示されている。
【0013】
この印刷物によれば、正面から観察すると、一定間隔の直線で構成された各種万線画線、網点画線、又は双方の画線のいずれかが確認される。斜めの方向から観察すると、凹凸形状と、一定間隔を有する印刷画線との間に生じる位置関係により、凹凸形状により形成された図柄が容易に確認される。逆の斜めの方向から観察すると、図柄の明暗が反転して確認される。
【0014】
しかしこの印刷物は、表面に印刷を行った後にエンボスを施す、あるいはエンボスを施した後に印刷を行うため、やはり印刷とエンボスの2行程が必要であった。
【0015】
また、実開平05−76765号公報に開示されたように、基材シートの表面にパール顔料を含有する偏光インキ層を全面ベタで印刷し、その上から直線又は曲線の集合体からなる抽象柄や文字柄を色インキで印刷したものもある。表側からの入射光が偏光インキ層中のパール顔料により一定方向に規則的に反射させられて光沢を生じるとともに、色インキで印刷された抽象柄や文字柄が浮き上がって見える状態となる。
【0016】
しかしこのような印刷物は、線画を通常のインキを用いて印刷しているため、複製させるおそれがあり潜像効果としても不十分であった。
【0017】
特開平11−11069号公報に開示された印刷物は、パターンに含まれる背景部と文字部との顔料の分布密度、インキの盛りを異ならせることによってパターンを出現させている。この手法では、印刷物濃度及び印刷物膜厚が不均一になり、潜像画像を形成する場所が第三者に確認できてしまうという問題があった。また、通常の鱗片状顔料を配合したインキで盛りのある画線を印刷した場合、顔料が沈降して鱗片状顔料の効果を損なうおそれもあり、潜像の消失、出現が顕著に発生しない場合があった。また、基材の明度を限定しなければならないという問題もあった。
【0018】
またこれらの従来技術では、観察角度又は観察方向によって潜像画像がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化することがなく、偽造防止効果として不十分であった。
【発明の概要】
【0019】
本発明は上記事情に鑑み、インキの盛りを必要以上に高くする必要がなく、またエンボス等の加工を不要とすることにより工程数の増加を防止すると共に印刷面の裏面への影響をなくし、加圧により視認効果が消失する等の問題を解消することが可能な真偽判別可能な印刷物及びその作製方法を提案することを目的とする。
【0020】
本発明の真偽判別可能な印刷物は、基材の表面に、第1の画像が印刷され、この第1の画像上に第2の画像が印刷された真偽判別可能な印刷物であって、前記第1の画像は、少なくとも一部に、色彩色差計で測定するとL*a*b*表色系でL*が90以上である領域を有し、前記第2の画像は、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有する半透明性インキにより、盛り上がりを有するように印刷された線画を有することを特徴とする。
【0021】
ここで、正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、肉眼により前記第1の画像の方が前記第2の画像より明瞭に視認され、前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第1の画像が徐々に肉眼で視認されにくくなり、その後、再度視認されるようになることが望ましい。
【0022】
前記第2の画像に用いられるインキが、鱗片状顔料、金属粉顔料、ガラスフレーク、又はコレステリック液晶顔料の少なくともいずれか一つを含むことが望ましい。
【0023】
前記第2の画像が、背景画像部と少なくとも一つのメッセージ画像部とを含み、前記線画は、前記背景画像部に含まれる第1の線画と、前記メッセージ画像部に含まれ、前記第1の線画と配列方向が異なる第2の線画とを含み、正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、前記第2の画像に含まれる前記背景画像部と前記メッセージ画像部とを肉眼で殆ど識別することができず、前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第2の画像における前記メッセージ画像が肉眼によりネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化して視認され、且つ、前記第1の画像が肉眼により徐々に視認し難くなり、その後、再度視認されることが望ましい。
【0024】
前記第1の線画及び前記第2の線画が、それぞれ万線パターン又は/及びドットパターンを含むこともできる。
【0025】
前記第1の線画及び前記第2の線画は、それぞれ画線幅が30μmから1000μmの範囲にあることが望ましい。
【0026】
前記第1の線画及び前記第2の線画のそれぞれの盛り上がりの高さが、10μmから150μmの範囲にあることが望ましい。
【0027】
前記第1の線画及び前記第2の線画の印刷に用いられるインキが、UV硬化型インキ、電子線硬化型インキ又は溶剤型インキであってもよい。
【0028】
前記インキには、前記顔料の平面配向性を向上させるため、撥水性及び撥油性を持たせる表面処理が施されていることが望ましい。
【0029】
本発明による、基材の表面に第1の画像が印刷され、この第1の画像上に第2の画像が印刷された真偽判別可能な印刷物を作製する方法は、前記第1の画像を、少なくとも一部に、色彩色差計で測定するとL*a*b*表色系でL*が90以上である領域を有するように印刷し、前記第2の画像に含まれる線画を、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有する半透明性インキにより、盛り上がりを有するように印刷することを特徴とする。
【0030】
正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、肉眼により前記第1の画像の方が前記第2の画像より明瞭に視認され、前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第1の画像が徐々に肉眼で視認されにくくなり、その後、再度視認されるように、前記第1の画像及び前記第2の画像を印刷することが望ましい。
【0031】
前記第2の画像を、鱗片状顔料、金属粉顔料、ガラスフレーク、又はコレステリック液晶顔料の少なくともいずれか一つを含むインキを用いて印刷してもよい。
【0032】
前記第2の画像は、背景画像部と少なくとも一つのメッセージ画像部とを含み、前記線画は、前記背景画像部に含まれる第1の線画と、前記メッセージ画像部に含まれ、前記第1の線画と配列方向が異なる第2の線画とを含み、正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、前記第2の画像に含まれる前記背景画像部と前記メッセージ画像部とを肉眼で殆ど識別することができず、前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第2の画像における前記メッセージ画像が肉眼によりネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化して視認され、且つ、前記第1の画像が肉眼により徐々に視認し難くなり、その後、再度視認されるように、前記第1の画像及び前記第2の画像を印刷してもよい。
【0033】
前記第1の線画及び前記第2の線画を、それぞれ万線パターン又は/及びドットパターンを含むように印刷してもよい。
【0034】
前記第1の線画及び前記第2の線画を、それぞれ画線幅が30μmから1000μmの範囲にあるように印刷することもできる。
【0035】
前記第1の線画及び前記第2の線画を、それぞれの盛り上がりの高さが、10μmから150μmの範囲にあるように印刷してもよい。
【0036】
前記第1の線画及び前記第2の線画の印刷を、UV硬化型インキ、電子線硬化型インキ又は溶剤型インキを用いて印刷してもよい。
【0037】
前記インキには、前記顔料の平面配向性を向上させるため、撥水性及び撥油性を持たせる表面処理が施されていてもよい。
【発明の好適な実施の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態による真偽判別可能な印刷物及びその作製方法について、図面を参照して説明する。
【0039】
図1に、背景画像部を構成し盛り上がりが設けられた線画2と、メッセージ画像部を構成し盛り上がりが設けられた線画3とを、基材1上に鏡面光沢のあるインキを用いて印刷した印刷物を拡大して示す。図2に、図1におけるX−X’線に沿う縦断面を拡大して示す。図2に示されたように、線画1及び線画2は、それぞれ盛り上がりを有している。
【0040】
この印刷物を、印刷物に対して垂直方向から、より正確には正反射光量と拡散光量とを加算した全体の光量が線画1と線画2とで略等しい方向から印刷物を観察した場合には、線画1で構成された背景画像部と線画2で構成されたメッセージ画像部とは共に細い線画で印刷され光の反射の影響をうけにくいため、ベタに近い印刷領域として視認される。この結果、背景画像部とメッセージ画像部とにおけるそれぞれの線画の配列方向の違いに起因する潜像画像の顕像化は発生しない。
【0041】
ここで、全体の光量が線画1と線画2とで略等しい方向からこの印刷物を観察したときに、ベタな印刷物のように視認されるためには、線画1及び線画2のそれぞれの画線幅は、例えば30から1000ミクロンの範囲にあることが好ましく、更に60から200ミクロンの範囲が好ましい。
【0042】
この印刷物を斜めから観察した場合、より正確には正反射光量と拡散光量とを加算した全体の光量が線画1と線画2とで異なる方向から印刷物を観察した場合には、メッセージ画像が出現する。観察角度によっては、メッセージ画像の明暗及び色彩の少なくとも一つ以上が連続的に変化し、メッセージ画像がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化しつつ出現する。
【0043】
背景画像部の線画2及びメッセージ画像部の線画3を、万線パターン又は/及び曲万線パターンを用いて構成すると、印刷物を傾けて観察したときに背景画像部とメッセージ画像部との間で反射光の光量が大きく相違することになる。これにより両者の間で明度差が大きくなり、よりメッセージ画像部における潜像画像の視認性が向上する。
【0044】
ここで、線画2、3において、画線と非画線とは等間隔にすることが好ましい。また、背景画像部の線画2の配列方向とメッセージ画像部の線画3の配列方向との角度は、30度から150度の範囲であることが好ましい。更に、背景画像部の線画2の配列方向の角度を0度とした場合、メッセージ画像部の線画3の配列方向の角度は略90度が好ましい。
【0045】
また、基本画像に3つのメッセージ画像部を入れた場合、背景画像部の線画2の配列方向を0度としたときメッセージ画像部の線画3の配列方向の角度は例えば45、90、135度にそれぞれ設定してもよい。
【0046】
あるいはまた、背景画像部の線画2及びメッセージ画像の線画3において、各画線の画線幅を段階的及び/又は連続的に変化させることにより、印刷物を傾けたとき任意の階調を有する潜像画像が表現される。これにより偽造防止効果をより高めることができる。
【0047】
上述したように、線画2及び線画3は盛り上がりを有する必要がある。線画2及び線画3のインキの盛りが、例えば10ミクロンから150ミクロンの範囲であることが望ましい。インキの盛りが10ミクロン未満であると、印刷物を傾けて観察したとしてもメッセージ画像部が明瞭に出現しにくくなる。逆に線画2及び線画3の盛り上がりが150ミクロンを超えると、潜像画像の出現は可能であるとしても作製上困難となる。
【0048】
背景画像部の線画2及びメッセージ画像部の線画3をそれぞれ形成するためのインキは、鏡面光沢を有するものであればよく、色の種類には限定されず透明なものでもよい。ここで、鏡面光沢を有するインキとは、通常の書籍の印刷等で用いられているインキよりも光反射性が高いものをいう。
【0049】
例えば、図3に鏡面光沢を有するインキを使用した印刷物を拡大して示す。この印刷物に例えばAの方向から光を照射すると、盛り上がりを有する線画4の側面aからの光の反射量と比較し、線画4の側面b及び線画5の側面cからの光の反射量が観察角度によって変化するため、明度差が生じて潜像が確認できるようになる。
【0050】
更に、盛り上がりのある線画を作製するには、UV硬化型インキ、又は電子線硬化型インキ、あるいは紫外線硬化及び酸化重合機能を併せ持つインキ(特許2113880号参照)、あるいはまた2液混合型インキ等を使用することができる。しかし、UV硬化型インキ、又は電子線硬化型インキを用いることが好ましい。UV硬化型インキを用いた場合には、印刷中あるいは印刷後に紫外線照射装置等からの活性エネルギ線を用いてインキを硬化させる必要がある。
【0051】
UV硬化型インキ又は電子線硬化型インキに、パール顔料等の鱗片状顔料、金属粉顔料、ガラスフレーク又はコレステリック液晶顔料を含有させると、より光の反射の影響が強くなり、また顔料独自の視認効果が得られるので、浅い角度であってもメッセージ画像を出現させることができる。
【0052】
一般的なオフセット印刷物において用いられ、パール顔料等の鱗片状顔料を使用したインキの盛りの少ないパール印刷物の光学的色変化の模式図を図4に示す。ここでは、画像を見る位置を固定し、光源の位置を変えるものとする。光源をXの高さに設置したときの色彩が、光源をYの高さに移動すると変化する。更に、光源をZの高さに移動すると、光源をXの高さに設置したときの色彩に戻るという特性を有している。
【0053】
このような、パール顔料等の鱗片状顔料を使用し、インキの盛りの少ない画線を組み合わせた画像を有する印刷物を図5Aに、図5AのX−X’線に沿う縦断面の拡大図を図5Bに示す。上述したように、この印刷物に対し視点を固定し光源の位置を変えて光を照射すると、線画6及び線画7は同じタイミングで色彩の変化が発生する。
【0054】
ここでパール顔料として、例えば虹彩色パール顔料、2色性パール顔料、あるいは他の鱗片状顔料を用いてもよい。このように、いずれもパール顔料を用いてもよいが、より鱗片状顔料の配向性(リーフィング効果)を向上させるためには、盛り上がっている線画の表面で顔料が配向するような処理を施すことが望ましい。具体的には、例えば特開2001−106937号公報に記載されたような撥水、撥油性処理等の表面処理を行う。これにより、図6に示されるように、印刷物の表面で顔料100を配向させることができる。
【0055】
ところで、上述したように盛り上がりのある線画は速硬化性を有する必要がある。そこで、例えばUV硬化型インキ、電子線硬化型インキ、紫外線硬化及び酸化重合機能を併せ持つインキ、あるいは2液混合型インキに上記表面処理(撥水、撥油性処理)を行った顔料を配合させたインキ等を用いて印刷し、印刷後に紫外線照射装置等の活性エネルギ線を照射する。これにより、盛り上がりのある線画を形成しても顔料が沈降せず、図6に示すように画線の表面に顔料を配向させることができる。
【0056】
撥水、撥油性処理を施さない場合は、鱗片状顔料が配向する前にインキが硬化する。このため、パール効果が発生しないか、あるいはパール効果が発生したとしても撥水、撥油性処理を施した顔料と比較して視認効果が劣る場合が多い。
【0057】
ここで、パール顔料の粒子径の大きさは、例えば1〜150μmのものを用い、好ましくは5〜50μmで、平均粒径が10〜25μm程度であることが好ましい。
【0058】
撥水及び撥油性処理を施した鱗片状顔料を用いて、図3に示された線画5を印刷する。図7に、このようにして得られた線画8に、A方向から光を照射してBの方向から見た場合の拡大図を示す。視点を固定し、光源の高さを変えると、線画8において、線画のインキの盛りが少ないものと同様のタイミングで色彩の変化が発生する。
【0059】
同様に、撥水及び撥油性処理を施した鱗片状顔料を用いて、図3に示された線画4を印刷する。図8に、得られた線画9に、A方向から光を当ててBの方向から見たときの拡大図を示す。線画9は、画線のインキの盛りが厚いため立体状になっており、先ず側面aで色彩の変化が発生することにより潜像画像の確認ができる。光を当てる角度を変えると、続いて側面bで色彩の変化が発生する。ちなみに、このタイミングで図7に示された線画8においても同時に色彩の変化が発生する。このため、メッセージ画像と背景画像との間で区別がつかなくなる。さらに光を当てる角度を変えると、図8における側面cで色彩の変化が発生し、再び潜像画像を確認することができる。つまり、図8に示された線画9では色彩の変化が連続的に繰り返し発生するため、1回しか色彩の変化が発生しない図7に示された線画8との間で、色彩の変化のタイミングがずれたり一致したりする。これにより、画像の消失及び発現が顕著になる。また、色彩の変化が連続的に繰り返し発生することで、色彩の変化が発生する角度を広くする効果も得られる。
【0060】
上記第1の実施の形態において用いる印刷手法としては、インキの盛りを付与できる方式であれば限定されない。例えば、スクリーン印刷技法等を用いてもよい。また、印刷機の調整に関し特別な調整は不要であり、通常行われている一般的な設定により印刷することができる。
【0061】
また、上記第1の実施の形態における基材としては、紙葉類、プラスチックフィルム、金属、布等、材料に限定されることなく幅広く用いることができる。
【0062】
以下、上記第1の実施の形態に従って具外的に作製した幾つかの実施例について、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図9に、実施例1及び2における基本画像Pを拡大して示す。この基本画像Pは、ピッチ幅200ミクロン、画線幅100ミクロンの線画で構成され、背景画像部10と、潜像を施したメッセージ画像11とに区分けされる。背景画像部10の線画の配列方向の角度を0度とした場合、メッセージ画像11の線画の配列方向の角度は90度である。
【0064】
基本画像Pを印刷するためのスクリーン版面を作製し、下記の配合割合でインキを作製した。

スクリーン印刷用インキの組成
顔料 10重量部
(SiO2 シリカ粉)
ウレタンアクリレート 50重量部
(日本化薬社製UX−4101)
モノマー 30重量部
(日本化薬社製PEG−400DA)
開始剤 9重量部
(チバスペシャルティーケミカルズ社製イルガキュア819)
禁止剤 0.5重量部
(東京化成工業社製メチルヒドロキノン)
消泡剤 0.5重量部
(東レ・ダウコーニングシリコン社製SC5540)
【0065】
得られたスクリーン版面、スクリーンインキを用い、スクリーン印刷機で印刷を行い、紫外線照射装置で硬化させて実施例1の印刷物を得た。
【0066】
図10に、実施例1による印刷物を、真上から(より正確には正反射光量と拡散光量とを加算した全体の光量がメッセージ画像における線画と背景画像における線画とで略等しい方向から)観察した様子を示す。図10に示すように、この印刷物を真上から観察すると、基本画像Pは全体的に一様なベタに近い印刷領域として視認され、メッセージ画像11を肉眼で視認することは殆どできない。
【0067】
図11に、実施例1による印刷物を浅い角度から(より正確には、正反射光量と拡散光量とを加算した全体の光量がメッセージ画像における線画と背景画像における線画とで異なる方向から)観察した様子を示す。背景画像部10とメッセージ画像11との間に明度差が生じ、メッセージ画像11がポジ画像として視認され、メッセージ画像を視認することができた。この場合は、背景画像部10の方がメッセージ画像部11より全体の光量が小さい。
【0068】
図12に、実施例1による印刷物をさらに深い角度から(より正確には、正反射光量と拡散光量とを加算した全体の光量がメッセージ画像における線画と背景画像における線画とで異なる方向から)観察したときの様子を示す。背景画像部10とメッセージ画像11との間に明度差が生じ、メッセージ画像11がこの場合はネガ画像として視認され、メッセージ画像を視認することができた。この場合は、背景画像部10の方がメッセージ画像部11より全体の光量が大きい。
【0069】
このように、印刷物を浅い角度から徐々に深い角度に変化させていくと背景画像部10が徐々にネガ画像からポジ画像、あるいはポジ画像からネガ画像に変化し、メッセージ画像11が背景画像10とは逆にポジ画像からネガ画像、あるいはネガ画像からポジ画像に変化してメッセージ画像11を視認することができた。
【0070】
(実施例2)
上記実施例1と同様の手法であるが、インキが上記実施例1とは異なる下記の割合で配合したものを用いて、実施例2による印刷物を作製した。

スクリーン印刷用インキの組成
鱗片状顔料 20重量部
(メルク・ジャパン社製高配向性パール顔料)
ウレタンアクリレート 40重量部
(日本化薬社製UX−4101)
モノマー 30重量部
(日本化薬社製PEG−400DA)
開始剤 9重量部
(チバスペシャルティーケミカルズ社製イルガキュア819)
禁止剤 0.5重量部
(東京化成工業社製メチルヒドロキノン)
消泡剤 0.5重量部
(東レ・ダウコーニングシリコン社製SC5540)
【0071】
実施例2による印刷物を真上から観察すると、実施例1による印刷物と同様に全体的に一様なベタに近い印刷領域として視認され、メッセージ画像11を肉眼で視認することはできなかった。しかし、斜めから観察すると、背景画像部10とメッセージ画像11とに色彩の変化が生じ、更に実施例1の印刷物より明度差が大きく生じ、より明瞭にメッセージ画像を視認することができた。
【0072】
次に、インキの盛りの良否を判断するため幾つかの参考例による印刷物を作製し、得られた印刷物を傾けて観察したときのメッセージ画像部の視認性のテストを行った。評価方法としては、はっきりとメッセージ画像がネガ画像からポジ画像に変化したことがものが解るものを○、はっきりとではないがメッセージ画像が変化していることが識別できるものを△、ほとんど識別できないもの又はまったく識別できないものを×、というように三段階で評価した。評価結果を図13に示す。
【0073】
(参考例1)
実施例1と同様の手法であって、インキとして下記の割合で配合したインキを用いて参考例1による印刷物(溶剤乾燥型)を作製した。

スクリーン印刷用インキの組成
鱗片状顔料 20重量部 実施例2と同様の顔料
(メルク・ジャパン社製高配向性パール顔料)
溶剤型ワニス 79.5重量部
(セイコーアドバンス社製SG720)
消泡剤 0.5重量部
(東レ・ダウコーニングシリコン社製SC5540)
【0074】
参考例1の印刷物を斜めから観察した場合、メッセージ画像を視認することができなかった。
【0075】
(参考例2)
実施例1と同様のインキを用い、オフセット印刷方式で印刷を行い、参考例2の印刷物を得た。参考例2の印刷物を斜めから観察したとき、メッセージ画像を視認することはできなかった。
【0076】
以上説明したように、上記実施の形態、実施例の真偽判別可能な印刷物及びその作製方法によれば、真上から観察した場合にメッセージ画像が確認されず、斜めから観察した場合に浅い観察角度においてメッセージ画像が顕在化され、更に深い観察角度においてメッセージ画像はネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化しすることにより、高価な真偽判別装置を用いなくとも、一般人により容易に真偽判別を行うことができる。
【0077】
また、インキの盛りを必要以上に高くする必要がなく、エンボス等の加工を施すことがないため印刷面の裏面へ影響を与えず、加圧による視認効果の消失等の問題が発生せず、さらに印刷とエンボスの2行程を必要としないため作業効率を向上させることができる。
【0078】
更に、パール顔料等を含むインキを使用して盛りのある印刷物を作製することで、光学的効果を損なうことなく、観察角度により、背景画像部の色彩及び/又は明度の変化とメッセージ画像部の色彩及び/又は明度の変化のタイミングがずれて、見る角度によってはメッセージ画像がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化する度合いが顕著となり、より高い偽造防止効果を得ることができる。
【0079】
本発明の第2の実施の形態による印刷物について、図面を参照して説明する。同第2の実施の形態による印刷物は、後述するように基材上に印刷された第1の画像と、この第1の画像上に印刷された第2の画像とを備える。
【0080】
第2の画像に用いる鏡面光沢を有するインキ、又は平面配向性を有する顔料を含有したインキについて述べる。鏡面光沢のあるインキは、上述したように通常の書籍等の印刷に用いられているインキよりも光反射性が高いインキ、つまり反射光量の強いインキである。よって、反射光量の強いインキであれば材料や配合等について限定されるものではないが、本実施の形態では半透明性インキ、あるいは着色顔料を含有した半透明性インキが好ましい。
【0081】
また、後述する下地の第1の画像の色相と同色又はほぼ同色の着色顔料を含有した半透明インキを用いることによって、第1の画像の潜像の消失という効果が向上する。しかし、このような着色顔料を含有しない透明性インキを用いてもよい。
【0082】
図14に、鏡面光沢のあるインキを使用して盛りを有するように印刷された画線1及び2を拡大して示す。この印刷物に、図中A方向から光を照射し、B方向から観察する場合を考える。
【0083】
画線1の側面aからの光の反射量に対し、画線1の側面b及び画線2の側面cからの光の反射量が観察角度によって変化する。これにより、画線1と画線2の明度差に相違が生じる。従って、背景画像部の線画の配列方向とメッセージ画像部の線画の配列方向とを画線1と画線2のように異ならせた構成で作製した印刷物を傾けて観察すると、背景画像部とメッセージ画像部とに明度差が生じたり、印刷物の傾きによっては明度差が反転することにより、メッセージ画像部が識別できるようになる。
【0084】
図15Aに、平面配向性を有しない顔料を含有したインキで印刷したインキの被膜中における顔料分布状態を拡大して示し、図15Bに平面配向性を有する顔料を含有したインキで印刷したインキの被膜中における顔料分布状態を拡大して示す。
【0085】
平面配向性を有しない顔料3を含有したインキで印刷した場合は、図15Aに示されるようにインキ皮膜中の全体に顔料3がランダムに配向している。これに対し、平面配向性を有する顔料4を含有したインキで印刷した場合は、図15Bに示されたようにインキ皮膜中の表面に沿うように配向している。
【0086】
顔料に、例えば特開2001−106937号公報に記載されたような、撥水、撥油性処理を行うことで、このような平面配向性(リーフィング効果)が得られる。顔料に撥水、撥油性を持たせると、顔料がインキ皮膜中の下部に沈降しにくくなり、インキ皮膜中の上面に沿うように配向する。
【0087】
一方、撥水、撥油性処理を行っていない顔料は平面配向性を有することがなく、顔料が配向する前にインキが乾燥し被膜内全体にランダムに配向することになる。
【0088】
本実施の形態における平面配向性を有する顔料は、パール顔料、鱗片状顔料、金属粉顔料、ガラスフレーク又はコレステリック液晶顔料のいずれかを用いることが好ましい。このような光学的変化顔料を用いることによって、光をより反射しやすくなり、顔料独自の効果が得られ、第2の画像の背景画像部とメッセージ画像部との間により明度差が大きく生じる。これにより、より明瞭にメッセージ画像が出現し、印刷物を傾ける角度が浅くともメッセージ画像が出現する。これにより、複写機、画像入力装置等を用いた複写を防止する効果が得られる。
【0089】
パール顔料等の鱗片状顔料を使用し、一般的なオフセット印刷物に代表されるインキの盛りの少ないパール印刷物における光学的色変化を模式図として図16に示す。
【0090】
基材5にパール顔料を含有したインキを用いて印刷した画像6に対し、見る位置を固定し、光源の高さをX、Y、Zと変えるものとする。Xの高さから光を照射した時の色が、光源の高さをYに変えるとその色彩が変化する。更に、Zの高さに光源を移動させると、色彩がXの高さから光を照射したときの色彩に戻る。ただし、パール顔料等の光学的に変化する顔料は、屈折率、形状、厚さ、大きさ、インキ皮膜中の顔料分布等により、干渉光が異なることとなる。
【0091】
ここでパール顔料は、虹彩色パール顔料、2色性パール顔料、あるいは他の鱗片状顔料を用いてもよい。また、パール顔料の粒子径の大きさは、1〜150μm、好ましくは5〜50μmであって、平均粒径が10〜15μm程度が好ましい。
【0092】
図17Aに、平面配向するように撥水、撥油性処理を施した鱗片状顔料を含有したインキを用いて、画線7、画線8を印刷した印刷物を示す。図17AのP−P’線に沿う縦断面図である図17Bに示すように、画線7及び画線8のインキ皮膜中の上面に鱗片状顔料9が配向性(リーフィング効果)を呈している。
【0093】
平面配向するように撥水、撥油性処理を施した鱗片状顔料を含有したインキで第2の画像を印刷することによりってメッセージ画像をより明瞭に出現させることが可能となる。
【0094】
上記第1の実施の形態において述べたように、盛り上がりのある画線は速硬化性を有する必要がある。このため、UV硬化型インキ、電子線硬化型インキ、紫外線硬化及び酸化重合機能を併せ持つインキ、又は2液混合型インキに上記表面処理(撥水、撥油性処理)を行った顔料を含有させたインキ等を用いて印刷し、印刷後に紫外線照射装置等の活性エネルギー線を照射する必要がある。
【0095】
これにより、盛り上がりのある画線を形成した場合にも顔料が沈降せず、図17Bに示されるように画線7、画線8のインキ皮膜の上面に鱗片状顔料9が配向性(リーフィング効果)を呈し、視認効果を奏することができる。
【0096】
撥水、撥油性処理を施していない場合は、鱗片状顔料が配向する前にインキが硬化するために、パール効果が発生しないか、あるいはパール効果が発生したとしても撥水、撥油性処理を施した顔料と比較して視認効果が劣る。
【0097】
撥水、撥油性処理を施した鱗片状顔料を含有したインキで印刷した画線7に対し、A方向から光を当てBの方向から観察した状態を拡大して図18に示す。視点を固定し、光源の高さを変えていくと、画線7においては図16を用いて説明した場合と同様のタイミングで視点X、Y、Zの間で色彩の変化が発生する。
【0098】
図17に示された画線8を、撥水、撥油性処理を施した鱗片状顔料を用いて印刷し、図19に示されたようにA方向から光を当てBの方向から観察した場合は以下のようである。
【0099】
画線8はインキの盛りが厚いため立体状であり、A方向から光を当てB方向から観察すると、領域a、b及びcのそれぞれにおける鱗片状顔料が反射する光の波長が異なる。これにより、領域a、b及びcにおいてそれぞれの色彩が異なって観察される。
【0100】
A方向から光を当てB方向から観察した場合、画線8に対して垂直方向に配置された画線7は、画線8の領域bと同様な色彩を示し、画線8の領域a及びcは画線7と異なる色彩を示す。光の角度を変化させると、画線7は画線8の領域a又はcと同様な色彩を示す状況が発生し、画線8の領域bは画線7の色彩と異なって観察される状況が発生する。
【0101】
図20Aに、本実施の形態による印刷物における第1の画像10を示す。第1の画像10は、画像内の一部又は全面を低濃度の領域を設けて印刷する必要がある。デザイン上、第1の画像10内の一部に高濃度の領域を設けてもよい。印刷方式は特に限定されることはないが、オフセット印刷方式が好ましい。
【0102】
第1の画像10を印刷する低濃度の領域が、色彩色差計で、L*a*b*表色系でL*が90以上である必要があり、95以上であることが望ましい。この値が90未満であると、印刷物を真上の方向から連続的に傾けて観察した場合に、第1の画像10が消失する効果が得られなくなる。
【0103】
図20Bに、第2の画像11を示す。第2の画像11は、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有した半透明性インキによって、インキの盛りのある線画により構成する必要がある。よって、光学的変化顔料を含有した半透明性インキ、着色顔料を含有した半透明性インキ、あるいは半透明性インキを用いることが好ましい。しかし、透明性インキを用いても視認効果を奏することができる。更に好ましくは、第1の画像10の色相と同色又はほぼ同色の半透明インキを用いることによって、潜像の出現、消失という視認効果が向上する。印刷方式は特に限定されることはないが、凹版印刷方式又はスクリーン印刷方式が好ましい。
【0104】
図20Cに、第2の画像11の他の例を示す。この第2の画像11は、背景画像部12と少なくとも一つ以上のメッセージ画像部13とを備え、背景画像部12とメッセージ画像部13との間で、線画の配列方向の角度が異なっている。また、線画の各画線にはインキの盛りが形成されている。
【0105】
図21に、この印刷物のより詳細な構成を示す。基材14に、図20Aに示された第1の画像10を印刷し、この第1の画像10上に図20Cに示された第2の画像11を重ねて印刷する。あるいは、図20Cに示された第2の画像11の替わりに、図20Bに示された第2の画像11を重ね刷りをしてもよい。
【0106】
第2の画像11を、平面配向性を有する光学的変化顔料を含有した半透明性インキを用いて印刷した場合において、図21に示された印刷物のP−P’線に沿う縦断面と、その部分的に拡大したものを図22に示す。基材14に第1の画像10が設けられており、この第1の画像10上に背景画像に相当する第2の画像11が設けられている。この第2の画像11は、盛り上がりのある線画12と、メッセージ画像部13に含まれる盛り上がりのある線画13とを備えている。
【0107】
背景画像部12である盛り上がりのある線画12と、メッセージ画像部13である盛り上がりのある線画13におけるそれぞれの画線に含まれる、平面配向性を有し光学的に変化する顔料15は、インキ皮膜中の上面沿って揃うように配向される。
【0108】
図21、図22に示された印刷物を真上から観察したときの状態を図23に示す。第2の画像11における背景画像部12とメッセージ画像部13とを肉眼で区別することができず、第1の画像10のみを確認することができる。線画で構成された第2の画像11は、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有した半透明性インキで印刷している。このため、入射光が第2の画像11のインキ皮膜中に透過して透過光となる光と、入射光が第2の画像11のインキ皮膜上で正反射、乱反射する光とに別れる。入射光が第2の画像11のインキ皮膜中に透過した透過光は、第1の画像10の反射光となり、肉眼で第1の画像10のみが確認される。
【0109】
また、第2の画像11における背景画像部12とメッセージ画像部13との間で、線画の配列方向が異なっている。これらの線画は、肉眼で視認し難い微細な線画であること、さらに、背景画像部12のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量と、メッセージ画像部13のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量とが略等しいことで、線画の配列方向は異なっているが背景画像部12とメッセージ画像部13とは肉眼で識別しにくい状態にすることができる。
【0110】
背景画像部12の線画及びメッセージ画像部13における線画のそれぞれの画線幅は、30μmから1000μmの範囲であることが好ましい。更に、60μmから200μmの範囲にあることがより好ましい。
【0111】
このように微細な線画とすることによって、入射光がインキ皮膜上でより乱反射し、背景画像部12とメッセージ画像部13とを区分けして確認することが困難となる。この結果、図23に示されたように、第1の画像10上に印刷した第2の画像11が半透明インキで印刷されているため、第1の画像10のみが透けて確認されることになる。
【0112】
図24A〜図24Dに、図22に示された印刷物を、X方向から連続的に傾けて観察した状態を示す。
【0113】
図24Aに、図9の印刷物を浅い角度で傾けた状態を示す。
【0114】
図20Cに示された第2の画像11における背景画像部12とメッセージ画像部13との間で、線画の配列方向が異なっている。このため、入射光は、縦方向に配列された背景画像部12では、インキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量によって正反射光量の光が強いため明るく確認される。
【0115】
一方、横方向に配列されたメッセージ画像部13では、背景画像部12よりインキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量が強く、正反射光量の光が弱いため、暗く確認される。
【0116】
この結果、メッセージ画像部13がポジ画像として確認され、第2の画像11における背景画像部12とメッセージ画像部13は、図23に示されたような真上から観察した場合より、正反射光量の光が強いため、第1の画像10の有色成分が視覚的に視認しにくくなり、第1の画像10が消失したように視認される。
【0117】
図24Bに、図9に示された印刷物を、図24Aに示された位置から更に傾けた状態を示す。上述したように、第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13との間でそれぞれの線画の配列方向が異なっている。しかし、肉眼で視認し難い微細な線画であることと、縦方向に配列された背景画像部12のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量と、横方向に配列されたメッセージ画像部13のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量とがほぼ同じになり、線画の配列方向が異なる背景画像部12とメッセージ画像部13とを肉眼で区分しにくい状態とさせている。
【0118】
また、図23に示された真上から観察する場合より、背景画像部12とメッセージ画像部13において透過光量より正反射光量の光が強いため、第1の画像10の有色成分が視覚的に視認しにくくなる。このため、第1の画像10が消失したように視認され、一見何も印刷されていないベタ画像17のように視認される。この場合、弱い光源では、第2の画像11の正反射光量が弱くなるため、第1の画像10は肉眼で視認できる。
【0119】
図22に示された印刷物を、図24Bに示された位置から更に傾けた状態を図24Cに示す。図20Cに示された第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13とはそれぞれの線画の配列方向が異なっている。このため、横方向に配列されたメッセージ画像部13では、インキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量より正反射光量の光が強く明るく確認される。
【0120】
一方、縦方向に配列された背景画像部12では、メッセージ画像部13よりインキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量が強く正反射光量の光が弱いため、暗く確認される。よって、メッセージ画像部13がネガ画像として確認される。第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13は、図23で示された真上から観察した場合より正反射光量の光が強い。このため、第1の画像10の有色成分が視覚的に視認しにくくなり、第1の画像10が消失したように視認される。
【0121】
図24Dに、図22の印刷物を図24Cより更に傾けた場合を示す。図20Cに示された第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13との線画の配列方向が異なっている。しかし、肉眼で視認し難い微細な線画であることと、縦方向に配列された背景画像部12のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量と、横方向に配列されたメッセージ画像部13のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量とがほぼ等しく、線画の配列方向が異なる背景画像部12とメッセージ画像部13とを肉眼で区分しにくい状態とさせている。
【0122】
また、図23に示された真上から観察した場合より、背景画像部12とメッセージ画像部13の透過光量が強いため、第1の画像10の反射光となり、肉眼で第1の画像10が確認される。よって、図23で示した真上から観察した場合と同じ状態に視認される。
【0123】
図25A、図25B、図25C、図25Dは、図21、図22の印刷物をY方向から連続的に傾けて観察した様子を示す。
【0124】
図25Aに、図21、図22に示された印刷物を浅い角度で傾けた場合を示す。
【0125】
図20Cに示した第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13との線画の配列方向が異なっている。このため、入射光は、縦方向に配列されたメッセージ画像部13ではインキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量より正反射光量の光が強く明るく確認される。
【0126】
一方、横方向に配列された背景画像部12は、メッセージ画像部13よりインキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量が強く正反射光量の光が弱いため、暗く確認される。
【0127】
よって、メッセージ画像部13がネガ画像として確認され、第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13は、図23で示した真上から観察した場合より正反射光量の光が強く、第1の画像10の有色成分が視覚的に視認しにくくなるため、第1の画像10が消失したように視認される。
【0128】
図25Bに、図22の印刷物を図25Aに示された状態より更に傾けた場合を示す。
【0129】
図20Cに示された第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13との線画の配列方向が異なっている。しかし、肉眼で視認し難い微細な線画であることと、横方向に配列された背景画像部12のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量と、縦方向に配列されたメッセージ画像部13のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量とがほぼ同じになり、線画の配列方向が異なる背景画像部12とメッセージ画像部13とを肉眼で区分しにくい状態とさせている。
【0130】
また、図23に示された真上から観察した場合より、背景画像部12とメッセージ画像部13の透過光量より正反射光量の光が強い。このため、第1の画像10の有色成分が視覚的に視認しにくくなるため、第1の画像10が消失したように視認される。
【0131】
よって、一見何も印刷されていないベタ画像17のように確認される。この場合、弱い光源の場合は、第2の画像11の正反射光量が弱くなるため、第1の画像10は肉眼で視認できる。
【0132】
図25Cは、図22の印刷物を図25Bに示された状態から更に傾けた場合を示す。図20Cに示された第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13との線画の配列方向が異なっているため、横方向に配列された背景画像部12ではインキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量より正反射光量の光が強く明るく確認される。
【0133】
一方、縦方向に配列されたメッセージ画像部13では背景画像部12よりインキ皮膜上での透過光量及び乱反射光量が強く、正反射光量の光が弱いため暗く確認される。よって、メッセージ画像部13がポジ画像として確認される。図20Aに示された第1の画像10は、第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13が図23で示した真上から観察した場合より正反射光量の光が強いため、第1の画像10の有色成分が視覚的に視認しにくくなり、第1の画像10が消失したように視認される。
【0134】
図25Dは、図22の印刷物を図25Cに示された状態から更に傾けた場合を示す。図20Cで示した第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13との線画の配列方向が異なっている。しかし、肉眼で視認し難い微細な線画であることと、縦方向に配列されたメッセージ画像部13のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量と、横方向に配列された背景画像部12のインキ皮膜上での透過光量、乱反射光量、正反射光量とがほぼ同じになり線画の配列方向が異なる背景画像部12とメッセージ画像部13とを肉眼で区分しにくい状態とさせている。
【0135】
また、図23で示した真上から観察した場合より、背景画像部12とメッセージ画像部13の透過光量が強いため、第1の画像10の反射光となり、肉眼で第1の画像10が確認される。よって、図23で示した真上から観察した場合と同じ状態に視認される。
【0136】
つまり、図21、図22の印刷物を真上から連続的に傾けて観察した場合に、第2の画像11のメッセージ画像はネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像にスイッチして確認でき、且つ、第1の画像10は徐々に肉眼で確認し難くなり、再度、出現することとなる。
【0137】
第1の画像10の出現・消失が起こるタイミングは、光源の光量、第1の画像10の色彩の明度によって変わってくる。
【0138】
また、第2の画像11のネガ画像・ポジ画像の出現のタイミングは、光源の光量、線画のピッチ等によって変わってくる。
【0139】
本実施例の印刷物を、真上から連続的に傾けて観察した場合に、第2の画像11に設けたメッセージ画像部13を明瞭に出現させるには、背景画像部12の線画及びメッセージ画像部13の線画が、万線パターン及びドットパターンの少なくとも一つ以上で構成することで、背景画像部12とメッセージ画像部13との反射光の光量の違いにより明暗差がはっきりし、よりメッセージ画像部13の潜像画像部の視認性が向上する。
【0140】
万線パターンの形状は、直万線パターン、曲万線パターン、同心円パターン等で形成することができ特に限定されるものではない。
【0141】
万線パターン及びドットパターンの画線と非画線部は、等間隔にすることが好ましい。
【0142】
背景画像部12の線画とメッセージ画像部13の線画の異なる配列方向の角度は、30度程度から150度程度の範囲であることが好ましい。
【0143】
好ましくは、背景画像部12の線画の配列方向の角度を0度とした場合、メッセージ画像部13の線画の異なる配列方向の角度は90度程度が好ましい。
【0144】
例えば、第2の画像11に3つメッセージ画像部13を入れた場合、背景画像部12を0度とした場合、メッセージ画像部13の配列方向の角度は45、90又は135度程度に設定してもよい。
【0145】
本実施例の背景画像部12の線画及びメッセージ画像の線画において、各画線の画線幅を段階的及び/又は連続的に変化させ、印刷物を傾けると任意の階調を有する潜像画像が出現することにより、偽造防止効果を高めることができる。
【0146】
本実施例の印刷物を真上から連続的に傾けて観察した場合に、第2の画像11に設けたメッセージ画像部13を明瞭に出現させるには、本実施例の線画は盛り上がりを有する必要がある。背景画像部12及びメッセージ画像部13の各線画のインキの盛りは10μmから150μmの範囲であることが望ましい。インキの盛りが10μm未満であると、この印刷物を真上から連続的に傾けて観察した場合に、メッセージ画像部13が明瞭に出現しにくくなり、150μmを超えると作製上困難となる。
【0147】
本実施例の印刷に使用される印刷手段は特に限定されるものではないが、第1の画像10はオフセット印刷技法が好ましい。第2の画像11は、凹版印刷技法、スクリーン印刷技法を用いることが好ましい。また、印刷機の調整においては特別な調整は不要であり、一般的な設定で印刷することが可能である。
【0148】
また基材には、紙葉類、プラスチックフィルム、金属、布等を用いることができる。
【0149】
以下、実施例を用いて第2の実施の形態を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0150】
(実施例3)
文字PのデザインでPS版を作製し、図26に示されるような第1の画像10を緑系インキを用いてオフセット印刷方式で印刷し、第1の画像10の印刷物を得た。色彩色差計で、L*a*b*表色系でL*が93.35であった。
【0151】
次に、図26に示されるような第2の画像11の画線設計をコンピュータを用いて行った。背景画像部12の線画の配列方向の角度を0度としたときに、メッセージ画像部13の線画を90度とし、背景画像部12及びメッセージ画像部13の線画をピッチ幅200μm、画線幅100μmとした。
【0152】
設計した第2の画像11の画線に基づいて、スクリーン版面を作製し、下記の配合割合でインキを作製した。

スクリーン印刷用インキの組成
顔料 10重量部
(SiO2 シリカ粉)
ウレタンアクリレート 50重量部
(日本化薬社製UX−4101)
モノマー 30重量部
(日本化薬社製PEG−400DA)
開始剤 9重量部
(チバスペシャルティーケミカルズ社製イルガキュア819)
禁止剤 0.5重量部
(東京化成工業社製メチルヒドロキノン)
消泡剤 0.5重量部
(東レ・ダウコーニングシリコン社製SC5540)
【0153】
得られたスクリーン版面、スクリーンインキを用い、スクリーン印刷機で第1の画像10の印刷物の上に第1の画像11を重ね刷りし、紫外線照射装置で硬化させ、図27に示されるような実施例3の印刷物16を得た。
【0154】
図28に、実施例3の印刷物16を真上から観察した状態を示す。この図28に示すように、この印刷物16を真上から観察すると、第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13は肉眼で識別することができない。第1の画像10上に印刷した第2の画像11は半透明インキで印刷されているため第1の画像10がのみが透けて確認できた。
【0155】
図29A、図29B、図29C、図29Dに、作製した印刷物をX方向から連続的に傾けて観察した状態を示す。
【0156】
図29Aに、この印刷物を30度程度傾けた場合を示す。この印刷物を30度程度傾けた場合、第1の画像10の文字「P」が消失し、第2の画像11のメッセージ画像部13の文字「100」がポジ画像として確認された。
【0157】
図29Bに、この印刷物を45度程度傾けた場合を示す。この印刷物を45度程度傾けた場合、一見、何も印刷されていないベタ画像17のように確認された。
【0158】
図29Cに、この印刷物を60度程度傾けた場合を示す。
【0159】
この印刷物を60度程度傾けた場合、第1の画像10の文字「P」が再び消失し、第2の画像11のメッセージ画像部13の文字「100」がネガ画像として確認された。
【0160】
図29Dは、この印刷物を75度程度傾けた場合を示す。この印刷物を75度程度傾けた場合、第1の画像10の文字「P」が再び出現し、第2の画像11のメッセージ画像部13の文字「100」は消失した。よって、図28に示された真上から観察した場合と同じ状態になった。Y方向において30度程度傾けた場合、メッセージ画像部13の文字「P」がネガ画像として確認され、60度程度傾けた場合にポジ画像として確認された。観察角度による画像の見え方は、光源によって変わるため本発明は上記実施例の観察角度に限定されるものではない。
【0161】
(実施例4)
実施例3と同様の方法で下記の配合割合で作製したインキを用いて第2の画像11を印刷し、実施例4による印刷物を得た。

スクリーン印刷用インキの組成
鱗片状顔料 20重量部
(メルク・ジャパン社製 平面配向性パール顔料)
ウレタンアクリレート 40重量部
(日本化薬社製UX−4101)
モノマー 30重量部
(日本化薬社製PEG−400DA)
開始剤 9重量部
(チバスペシャルティーケミカルズ社製イルガキュア819)
禁止剤 0.5重量部
(東京化成工業社製メチルヒドロキノン)
消泡剤 0.5重量部
(東レ・ダウコーニングシリコン社製SC5540)
【0162】
実施例4の印刷物は、X方向又はY方向から連続的に傾けて観察した場合に実施例3の印刷物より、明瞭にメッセージ画像部13が確認された。
【0163】
(参考例3)
実施例3と同様の方法で下記の配合割合で作製したインキを用い、参考例3の印刷物を得た。(溶剤乾燥型)

スクリーン印刷用インキの組成
鱗片状顔料 20重量部 実施例4と同様の顔料
(メルク・ジャパン社製 平面配向性パール顔料)
溶剤型ワニス 79.5重量部
(セイコーアドバンス社製SG720)
消泡剤 0.5重量部
(東レ・ダウコーニングシリコン社製SC5540)
【0164】
参考例3の印刷物を斜めから観察した場合、メッセージ画像部13を確認することができなかった。
【0165】
次に、第1の画像10の良好な明度と、第2の画像11の良好なインキの盛りを判断するするために第2の画像11は実施例4と同様なインキを用いてインキの盛りをそれぞれ変えて作製し、第1の画像10は明度をそれぞれ変えてサンプルを作製し、得られた印刷物を傾けて観察した場合のメッセージ画像部13の視認性のテスト及び第1の画像10の消失性のテストを行った。
【0166】
評価方法については、はっきりとメッセージ画像がネガ画像からポジ画像に変化しているものが解るものを○、はっきりとではないがメッセージ画像が変化していることが確認できるものを△、メッセージ画像がほとんど確認できないもの又はまったく確認できないものを×、という三段階で評価した。評価結果を図30〜図34に示す。また、第1の画像10が消失するものを○、第1の画像10がはっきりとではないが消失するものを△、第1の画像10が消失しないものを×、という三段階で評価した。評価結果を図35〜図39に示す。
【0167】
この評価結果から明らかなように、第2の画像11のインキの盛りは10μm以上であることが望ましいことがわかる。
【0168】
また、第1の画像10を印刷物は明度が90以上であることが好ましいことがわかる。よって、第1の画像10は明度が90以上で、且つ、第2の画像11のインキの盛りは10μm以上であることが望ましいことがわかる。
【0169】
本実施例による印刷物を真上から観察した場合に、第2の画像11の背景画像部12とメッセージ画像部13とが区別できないような好ましい線画のピッチを得るために、それぞれ画線ピッチを変えてサンプルを作製し、得られた印刷物を真上から観察して視認性のテストを行った。
【0170】
評価方法については、背景画像部12とメッセージ画像部13とが区別できないものを○、背景画像部12とメッセージ画像部13とが区別できる恐れがあるものを△、背景画像部12とメッセージ画像部13とが区別できるものを×、という三段階で評価した。また、印刷物を傾けて観察した場合のメッセージ画像部13の視認性のテストを行った。評価方法については、はっきりとメッセージ画像がネガ画像からポジ画像に変化しているものが解るものを○、はっきりとではないがメッセージ画像が変化していることが確認できるものを△、ほとんど確認できないもの又はまったく確認できないものを×、という三段階で評価した。評価結果を、図40に示す。
【0171】
背景画像部12の線画及びメッセージ画像部13の線画のそれぞれの画線幅が30μmから1000μmの範囲であることが好ましいことがわかった。
【0172】
本発明は上記実施の形態、上記実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、様々に変形することが可能である。
【0173】
上記第2の実施の形態、実施例3、4によれば、発明の印刷物を真上から観察した場合に、線画で構成された第2の画像の背景画像部とメッセージ画像部を肉眼で確認することができないため第1の画像のみが確認でき、印刷物を真上から連続的に傾けて観察した場合に、第2の画像のメッセージ画像はネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像にスイッチして確認でき、且つ、第1の画像は徐々に肉眼で確認し難くなり、再度、出現するため、高価な真偽判別装置を用いなくとも、誰でもその場で容易に真偽判別することができる。
【0174】
更に、第2の画像を構成する線画のピッチ、画線の高さ、顔料等を特定することによって、印刷物を真上から連続的に傾けて観察した場合に、第2の画像の潜像はネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に連続的により明確にスイッチして確認でき、視覚的効果に優れ、容易に真偽判別することができる。
【0175】
また、インキの盛りを必要以上に高くする必要がなく、また、エンボス等の加工を施すことがないため印刷面の裏面への影響、加圧による効果の消失等の問題が発生することがなく、印刷とエンボスの2行程を必要としないため、作業効率を図ることができる。
【0176】
更にパール顔料等の光学的変化顔料を含有したインキを使用して第2の画像を作製した印刷物は、印刷物を真上から連続的に傾けて観察した場合に、光学的効果を損なうことのなく、メッセージ画像部がネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化する度合いが顕著となり偽造防止効果が向上する。また、光学的変化顔料特有の複写防止効果に優れ、画線自体にインキの盛りを有するため指感性を有した印刷物となる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の第1の実施の形態による印刷物の線画構成を拡大して示す平面図。
【図2】図1におけるX−X’線に沿う縦断面を拡大して示す断面図。
【図3】同第1の実施の形態による印刷物において、鏡面光沢のあるインキを使用したときの画線を拡大して示す平面図。
【図4】パール顔料等の鱗片状顔料を含み一般に用いられているインキを用いて盛りの少ない印刷を行ったパール印刷物における光学的色変化を模式的に示した説明図。
【図5A】パール顔料等の鱗片状顔料を使用し、インキの盛りの少ない画線を組み合わせて得られた印刷物を拡大して示す平面図。
【図5B】図5AにおけるX−X’線に沿う縦断面を拡大して示す断面図。
【図6】上記第1の実施の形態において、表面処理を施した鱗片状顔料の分布を拡大して示す断面図。
【図7】図3に示された線画5を、撥水処理を施した鱗片状顔料を使用して印刷した印刷物に、A方向から光を当てBの方向から観察する状態を拡大して示す説明図。
【図8】図3に示された線画4を、撥水処理を施した鱗片状顔料を使用して印刷した印刷物に、A方向から光を当てBの方向から観察する状態を拡大して示す説明図。
【図9】上記第1の実施の形態による印刷物の基本構成を拡大して示す平面図。
【図10】同印刷物を真上から見た様子を拡大して示す平面図。
【図11】上記第1の実施の形態による印刷物を浅い角度で斜めから観察した様子を拡大して示す平面図。
【図12】上記第1の実施の形態による印刷物を深い角度で斜めから観察した様子を拡大して示す平面図。
【図13】インキの盛りがもたらす画線の厚みとメッセージ画像の視認性との関係をテストした結果を示す説明図。
【図14】本発明の第2の実施の形態による印刷物における画線構成を拡大して示す平面図。
【図15A】平面配向性を有しない顔料を含有したインキの皮膜中の顔料分布状態を拡大して示す断面図。
【図15B】平面配向性を有する顔料を含有したインキのインキの皮膜中の顔料分布状態を拡大して示す断面図。
【図16】インキの盛りの少ないパール印刷物の光学的色変化を模式的に示すための説明図。
【図17A】平面配向するように撥水、撥油性処理を施した鱗片状顔料を含有するインキで画線7、画線8を印刷した印刷物の平面図。
【図17B】図17AにおけるP−P’線に沿う縦断面を示す断面図。
【図18】図17Aに示された画線7を、撥水、撥油性処理を施した鱗片状顔料を使用して印刷し、A方向から光を当てBの方向から観察した状態を拡大して示す平面図。
【図19】図17Aに示された画線8を、撥水、撥油性処理を施した鱗片状顔料を使用して印刷し、A方向から光を当てBの方向から観察した状態を拡大して示す断面図。
【図20A】上記第2の実施の形態による印刷物を角度を変えて観察したときの第1の画像、第2の画像の視認性を示した説明図。
【図20B】上記第2の実施の形態による印刷物を角度を変えて観察したときの第1の画像、第2の画像の視認性を示した説明図。
【図20C】上記第2の実施の形態による印刷物を角度を変えて観察したときの第1の画像、第2の画像の視認性を示した説明図。
【図21】上記第2の実施の形態による印刷物の構成の一例を示す平面図。
【図22】上記第2の実施の形態による印刷物における第2の画像を平面配向性を有する光学的変化顔料を含有する半透明性インキを用いて印刷した場合の図21におけるP−P’線に沿う断面を拡大して示す断面図。
【図23】同印刷物を真上から見たときの第1、第2の画像の視認性を示す平面図。
【図24A】同印刷物をX方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図24B】同印刷物をX方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図24C】同印刷物をX方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図24D】同印刷物をX方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図25A】同印刷物をY方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図25B】同印刷物をY方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図25C】同印刷物をY方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図25D】同印刷物をY方向において角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図26】第1の画像が印刷された印刷物を示す平面図。
【図27】上記第2の実施の形態による印刷物の構成の一例を示す平面図。
【図28】同印刷物を真上から観察したときの第1、第2の画像の視認性を示す平面図。
【図29A】同印刷物を角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図29B】同印刷物を角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図29C】同印刷物を角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図29D】同印刷物を角度を変えて見たときの第1、第2の画像の視認性を示す説明図。
【図30】第2の画像における画線のインキ(シアン系)の盛りを変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図31】第2の画像における画線のインキ(イエロー系)の盛りを変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図32】第2の画像における画線のインキ(マゼンタ系)の盛りを変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図33】第2の画像における画線のインキ(グリーン系)の盛りを変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図34】第2の画像における画線のインキ(ブラック系)の盛りを変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図35】第1の画像の明度(シアン系)を変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図36】第1の画像の明度(イエロー系)を変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図37】第1の画像の明度(マゼンタ系)を変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図38】第1の画像の明度(グリーン系)を変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図39】第1の画像の明度(ブラック系)を変えてメッセージ画像の視認性をテストした結果を示す説明図。
【図40】画線ピッチを変えて第2の画像における背景画像部とメッセージ画像部との視認性をテストした結果を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に、第1の画像が印刷され、この第1の画像上に第2の画像が印刷された真偽判別可能な印刷物であって、
前記第1の画像は、少なくとも一部に、色彩色差計で測定するとL*a*b*表色系でL*が90以上である領域を有し、
前記第2の画像は、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有する半透明性インキにより、盛り上がりを有するように印刷された線画を有することを特徴とする真偽判別可能な印刷物。
【請求項2】
正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、肉眼により前記第1の画像の方が前記第2の画像より明瞭に視認され、
前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第1の画像が徐々に肉眼で視認されにくくなり、その後、再度視認されるようになることを特徴とする請求項1記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項3】
前記第2の画像に用いられるインキが、鱗片状顔料、金属粉顔料、ガラスフレーク、又はコレステリック液晶顔料の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項4】
前記第2の画像は、背景画像部と少なくとも一つのメッセージ画像部とを含み、
前記線画は、前記背景画像部に含まれる第1の線画と、前記メッセージ画像部に含まれ、前記第1の線画と配列方向が異なる第2の線画とを含み、
正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、前記第2の画像に含まれる前記背景画像部と前記メッセージ画像部とを肉眼で殆ど識別することができず、
前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第2の画像における前記メッセージ画像が肉眼によりネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化して視認され、且つ、前記第1の画像が肉眼により徐々に視認し難くなり、その後、再度視認されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項5】
前記第1の線画及び前記第2の線画が、それぞれ万線パターン又は/及びドットパターンを含むことを特徴とする請求項4記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項6】
前記第1の線画及び前記第2の線画は、それぞれ画線幅が30μmから1000μmの範囲にあることを特徴とする請求項4又は5記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項7】
前記第1の線画及び前記第2の線画のそれぞれの盛り上がりの高さが、10μmから150μmの範囲にあることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項8】
前記第1の線画及び前記第2の線画の印刷に用いられるインキが、UV硬化型インキ、電子線硬化型インキ又は溶剤型インキであることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項9】
前記インキには、前記顔料の平面配向性を向上させるため、撥水性及び撥油性を持たせる表面処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物。
【請求項10】
基材の表面に、第1の画像が印刷され、この第1の画像上に第2の画像が印刷された真偽判別可能な印刷物を作製する方法であって、
前記第1の画像を、少なくとも一部に、色彩色差計で測定するとL*a*b*表色系でL*が90以上である領域を有するように印刷し、
前記第2の画像に含まれる線画を、鏡面光沢を有する半透明性インキ又は平面配向性を有する顔料を含有する半透明性インキにより、盛り上がりを有するように印刷することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項11】
正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、肉眼により前記第1の画像の方が前記第2の画像より明瞭に視認され、
前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第1の画像が徐々に肉眼で視認されにくくなり、その後、再度視認されるように、前記第1の画像及び前記第2の画像を印刷することを特徴とする請求項10記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項12】
前記第2の画像を、鱗片状顔料、金属粉顔料、ガラスフレーク、又はコレステリック液晶顔料の少なくともいずれか一つを含むインキを用いて印刷することを特徴とする請求項10又は11記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項13】
前記第2の画像は、背景画像部と少なくとも一つのメッセージ画像部とを含み、
前記線画は、前記背景画像部に含まれる第1の線画と、前記メッセージ画像部に含まれ、前記第1の線画と配列方向が異なる第2の線画とを含み、
正反射光量と拡散光量とが加算された全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から前記印刷物を観察すると、前記第2の画像に含まれる前記背景画像部と前記メッセージ画像部とを肉眼で殆ど識別することができず、
前記全体の光量が、前記第1の画像と前記第2の画像との間で略等しい方向から異なる方向へ徐々に前記印刷物の角度を変えて観察すると、前記第2の画像における前記メッセージ画像が肉眼によりネガ画像からポジ画像又はポジ画像からネガ画像に変化して視認され、且つ、前記第1の画像が肉眼により徐々に視認し難くなり、その後、再度視認されるように、前記第1の画像及び前記第2の画像を印刷することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項14】
前記第1の線画及び前記第2の線画を、それぞれ万線パターン又は/及びドットパターンを含むように印刷することを特徴とする請求項13記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項15】
前記第1の線画及び前記第2の線画を、それぞれ画線幅が30μmから1000μmの範囲にあるように印刷することを特徴とする請求項13又は14記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項16】
前記第1の線画及び前記第2の線画を、それぞれの盛り上がりの高さが、10μmから150μmの範囲にあるように印刷することを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項17】
前記第1の線画及び前記第2の線画の印刷を、UV硬化型インキ、電子線硬化型インキ又は溶剤型インキを用いて印刷することを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
【請求項18】
前記インキには、前記顔料の平面配向性を向上させるため、撥水性及び撥油性を持たせる表面処理が施されていることを特徴とする請求項10乃至17のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図24D】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図29D】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2008−120078(P2008−120078A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279102(P2007−279102)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【分割の表示】特願2003−518842(P2003−518842)の分割
【原出願日】平成14年7月29日(2002.7.29)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】