説明

真空断熱パネル用芯材及びこれを製造する方法

【課題】真空断熱パネルの長期耐久性を向上できるようにする発明に関する。
【解決手段】本発明は、真空断熱パネル用芯材及びこれを製造する方法に関するもので、(a)無機バインダー溶液を製造する段階と、(b)グラスウールを前記無機バインダー溶液に浸漬させる段階と、(c)前記グラスウールをチャンバーの上部にローディングする段階と、(d)前記チャンバー内に真空を形成し、前記グラスウールに残留する前記無機バインダー溶液を前記チャンバーの内部に排出する段階と、(e)前記グラスウールを乾燥し、真空断熱パネル製造のための芯材の形態に成形する段階とを含む真空断熱パネル用芯材の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱パネル用芯材及びこれを製造する方法に関するもので、真空断熱パネルを構成する芯材をグラスウールを用いた無機バインダー溶液浸漬法で製造し、外被材及びゲッターの素材及び層間構成を再構成することによって、長期耐久性及び熱伝導率の低い真空断熱パネルを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
真空断熱パネルは、ガスバリア性に優れた複合プラスチックラミネートフィルムからなる封止体に芯材として連続気泡硬質プラスチック発泡体や無機物などを収納して内部を減圧した後、周縁のガスバリア性フィルム同士の積層部分をヒートシールすることによって製造される。(特許文献1を参照)
【0003】
一般に、真空断熱パネルは、外装封止体を通過して空気や水分が透過したり、又は内部で二酸化炭素や有機ガスが発生するので、時間の経過と共に真空度が少しずつ低下し、その結果、熱伝導率が大きくなり、高度の断熱性を維持できないという問題を有する。
【0004】
このような基本的な問題を解決するために、従来技術に係る真空断熱パネルは、芯材素材として、主に湿式工程で製造したガラスボード、及び有機バインダーにガラス繊維を混合した材料を使用した。
【0005】
次に、外被材の場合、表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する一般の真空包装用材料を主に適用している。
【0006】
このとき、真空断熱パネル加工時、折り曲げ部分で金属バリア層であるAlホイルのクラックによって断熱パッドの性能を劣化させるという問題がある。
【0007】
その次に、ゲッターは、水分のみを吸収する素材又はガス及び水分を同時に吸収できる素材を適用しており、素材自体の吸収性能と適用量を通して真空断熱パネル内部の真空度を維持する役割をする。
【0008】
以上説明したように、既存に芯材として有機バインダーにガラス繊維を混合した材料を使用した真空断熱パネルは、長期耐久性能0.010Kcal/mhr℃を基準にすると、8年以下の寿命を有するようになり、10年以上の寿命を要求する建築分野のみならず、家電分野に適用するときに信頼性に問題が生じる。
【0009】
また、湿式製造方式によると、製造時の廃水発生及び乾燥時の過大な費用発生をもたらし、有機バインダー方式の芯材の長期耐久性能が低下するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−55088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、芯材を無機バインダー溶液に浸漬されたグラスウールを乾燥成形して製造し、真空チャンバーを用いて大量生産が容易な加工特性を示すとともに、優れた断熱特性を有する芯材を提供し、ビニル系樹脂がコーティングされた外被材を使用してガスバリア性及び遮断性を向上できるようにし、石灰粉末のゲッター材を使用して吸湿性を極大化できるようにする真空断熱パネル製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記のような全ての因子を最適化することによって、少なくとも10年以上の長期耐久性能を有することができる真空断熱パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る真空断熱パネル用芯材の製造方法は、(a)無機バインダー溶液を製造する段階と、(b)グラスウールを前記無機バインダー溶液に浸漬させる段階と、(c)前記グラスウールをチャンバーの上部にローディングする段階と、(d)前記チャンバー内に真空を形成し、前記グラスウールに残留する前記無機バインダー溶液を前記チャンバーの内部に排出する段階と、(e)前記グラスウールを乾燥し、真空断熱パネル製造のための芯材の形態に成形する段階とを含むことを特徴とする。
【0014】
ここで、前記無機バインダーは、セメント、硫酸カルシウム、石膏、泥、粘土、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミナ、ケイ酸カルシウム及びシリカから選択された一つ以上であることを特徴とし、前記無機バインダー溶液は、前記無機バインダー0.5〜4重量%及び残量の水で製造されることを特徴とする。
【0015】
このとき、前記(d)段階及び前記(e)段階は同時に行うことができ、前記(e)段階の乾燥は300〜450℃の温度で5〜15分間行うことを特徴とする。
【0016】
次に、前記(d)段階で、前記グラスウールは前記真空によって圧下され、その圧下率は70〜80%であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る真空断熱パネル用芯材は、上述した方法で製造され、無機バインダーによってグラスウールの組織が結合されていることを特徴とする。
【0018】
ここで、前記芯材は、平板型ボード又は曲げのためのジョイントを有するグルーブ型ボード形態を有することを特徴とし、前記芯材の厚さは25〜30mmであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る真空断熱パネルは、上述した方法で製造された芯材と、前記芯材を真空包装し、表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する外被材と、前記芯材と前記外被材との間に配置され、前記芯材に付着又は挿入されるゲッターとを含むことを特徴とする。
【0020】
ここで、前記芯材は2〜3枚積層された形態で使用することができ、前記外被材の表面保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロンフィルムの積層構造であることを特徴とする。
【0021】
このとき、前記ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上部にはビニル系樹脂がコーティングされたことを特徴とし、前記ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂から選択された一つ以上であることを特徴とする。
【0022】
次に、前記外被材の金属バリア層はAlホイルであることを特徴とし、前記外被材の接着層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)から選択された一つ以上のプラスチックフィルムであることを特徴とし、前記外被材の前記表面保護層、金属バリア層及び接着層は、それぞれポリウレタン(PU)系樹脂によって接着されたことを特徴とする。
【0023】
その次に、前記ゲッターとしては、純度95%以上の生石灰(CaO)粉末がパウチに包装されていることを特徴とし、前記パウチは、クレープ紙及びポリプロピレン(PP)含浸不織布で形成されたことを特徴とし、前記ゲッターは25%以上の水分吸収率を有することを特徴とし、前記真空包装時に使用される真空度は0.1〜10Paであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る真空断熱パネル用芯材の製造方法は、初期熱伝導率に優れたグラスウールを用いて芯材を製造し、無機バインダー溶液を用いた浸漬法を用いることによって、真空断熱パネル加工時に表面に凹凸が発生することを防止し、長期耐久性能を向上できるという効果を提供する。
【0025】
また、熱圧着方式を使用せずに、比較的低温と言える300〜450℃で加工可能であるので、工程条件の負担が少なく、真空で回収した無機バインダー溶液を再活用できるので、工程費用も節減できるという効果を提供する。
【0026】
また、本発明に係る真空断熱パネルは、外被材の表面保護層の上部にビニル系樹脂をコーティングすることによって、Alホイルによる欠陥を防止し、ガスバリア性及び遮断性を向上できるという効果を提供する。
【0027】
また、本発明に係る真空断熱パネル製造方法は、高純度の生石灰粉末をゲッター材に使用することによって、少量でも水分25%以上の吸収率を確保できるようにし、真空断熱パネル内部の真空度維持を最適化できるという効果を提供する。
【0028】
また、上述した芯材及びその他の材料の特性によって、本発明に係る真空断熱パネルの長期耐久性能を少なくとも10年以上増加できるという効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る真空断熱パネル用芯材及びその製造方法を示した断面図である。
【図2】本発明に係る真空断熱パネル用芯材及びその製造方法を示した断面図である。
【図3】本発明に係る真空断熱パネル用芯材及びその製造方法を示した断面図である。
【図4】本発明に係る真空断熱パネルに含まれるゲッターを示した平面図である。
【図5】本発明に係る真空断熱パネル及びその製造方法を示した断面図である。
【図6】本発明に係る真空断熱パネル及びその製造方法を示した断面図である。
【図7】本発明の一実施例と比較例に係る真空断熱パネルの長期耐久性を比較評価したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、長期耐久性に優れた真空断熱パネルを製作するために、芯材のみならず、外被材とゲッターを最適化することを特徴とする。
【0031】
以下では、本発明に係る真空断熱パネル用芯材及びこれを製造する方法についてより詳細に説明する。
【0032】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に説明している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現される。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0033】
本発明に係る真空断熱パネル用芯材の製造方法は、まず、グラスウールを無機バインダーが混合された溶液に浸漬させた後、無機バインダー溶液を吸収したグラスウールを取り出し、残留した無機バインダー溶液を除去しながら乾燥する過程を行う。
【0034】
次に、表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する外被材を形成する。
【0035】
その次に、生石灰(CaO)粉末をパウチに包装して製造したゲッターを形成する。
【0036】
その次に、前記芯材の上部に前記ゲッターを付着させたり、前記芯材の表面に前記ゲッターを挿入し、前記外被材を用いて封止体を形成した後、封止体に芯材を入れて真空状態で密封させ、真空断熱パネルを完成する。
【0037】
以下では、まず、本発明に係る芯材を製造する方法及びその具体的な構造について説明する。
【0038】
図1〜図3は、本発明に係る真空断熱パネル用芯材及びその製造方法を示した断面図である。
【0039】
図1を参照すると、形成しようとする芯材の形態を概略的に有するグラスウール100を用意する。グラスウール100の一例としてガラス綿を挙げることができるので、80〜120mmの厚さを有するガラス綿素材を使用することが望ましい。
【0040】
このとき、真空断熱パネルの形状にしたがって四角形、円形などにガラス綿素材を裁断して使用することができる。
【0041】
次に、図2を参照すると、無機バインダーを溶液に混合して製造した無機バインダー溶液120を水槽110に入れ、無機バインダー溶液120内に前記グラスウール100を浸漬させる。このとき、浸漬方法は、図示したように、グラスウール100の厚さの半分ずつ浸漬させる方式で両面を全て浸漬させることもでき、一度に全体のグラスウール100を全て浸漬させることもできる。
【0042】
ここで、無機バインダー溶液120に含まれる無機バインダーとしては、セメント、硫酸カルシウム、石膏、泥、粘土、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミナ、ケイ酸カルシウム及びシリカから選択された一つ以上の物質を使用することができる。これらは、主に水に混合されて強力な接着剤として作用するようになるが、本発明では、このような接着性無機バインダー溶液を製造し、グラスウール100が芯材として適切なボード形態になるように成形する。このとき、無機バインダーが水に混合される比率としては0.5〜4重量%が適している。無機バインダーの含量が0.5重量%未満になる場合、接着性が低下し、真空断熱パネルの形成に適した芯材を製作することができなかった。そして、無機バインダーが水に混合される比率が4重量%を超える場合、熱伝導率が急激に増加し、真空断熱パネルのための芯材として不適切な熱性能を示した。
【0043】
以上の結果は、下記の実施例を通した表2を参照して詳細に説明することにし、次には、無機バインダー溶媒120に浸漬されたグラスウール100を芯材形態に成形する方法について説明する。
【0044】
図3を参照すると、無機バインダー溶媒が全面に均一に吸収された形態のグラスウール100を、真空ポンプ230を含むチャンバー250の上板210上にローディングする。このとき、チャンバー250の上板210は複数の真空吸入口220を有し、その下部には真空空間200が確保されるようにする。
【0045】
したがって、真空ポンプ230によって真空空間200内の圧力が低下すると、グラスウール100に吸収されていた無機バインダー溶液120が真空空間200内に排出されるようになる。
【0046】
この過程で、グラスウール100が自然に圧着されながら芯材150の形態に硬化される。このとき、グラスウール100内に残留する無機バインダー溶液120を完全に除去するために、300〜450℃の温度で5〜15分間乾燥工程を行う。
【0047】
乾燥温度が300℃未満であるか、乾燥時間が5分未満である場合、完全に無機バインダー溶液120を除去することが難しかった。その一方、乾燥温度が450℃を超え、乾燥時間が15分を超える場合、完全な乾燥が行われた後、追加的な作業が行われることに過ぎないので、不必要なエネルギーを浪費するという結果をもたらした。
【0048】
このような乾燥方式は、既存の熱圧着方式に比べて加熱温度が低いので、エネルギーを節約することができ、圧着に必要な力も節約できるので、芯材150の製造工程をより効率的に行うことができる。
【0049】
ここで、グラスウール100が芯材150の形態に成形される過程を見ると、平板型ボードの場合、単純な真空吸入工程のみでも70〜80%の圧下率を具現することができた。
【0050】
このとき、平板型ボードの平面形態を多様化したり、圧下率をより向上させるために、追加的な成形枠を形成することができる。特に、グルーブ型ボードである場合、中間に曲げのためのジョイントを形成しなければならないので、成形枠の内部に仕切り形態の圧着部を形成し、芯材の中間に溝が形成されるようにする。
【0051】
以上のように芯材を完成すると、次に、芯材を覆う封止体になる外被材を形成する。以下では、その具体的な形状及び製造方法を説明する。
【0052】
まず、外被材には、接着層の上部に形成される金属バリア層及び表面保護層が順次形成される。このとき、接着層は、封止体の内部に形成される層と定義し、表面保護層は、最外郭に露出する層と定義することができる。
【0053】
また、接着層は、ヒートシーリングによって互いに熱融着される層であって、真空状態を維持させる機能を行う。したがって、接着層は、熱融着が容易な高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)から選択された一つ以上の熱可塑性プラスチックフィルムで形成し、十分なシーリング特性を提供するために1〜100μmの厚さで形成することが望ましい。
【0054】
次に、接着層の上部にガス遮断及び芯材保護のためのバリア層として、6〜7μmの厚さの金属薄膜を形成する。このとき、一般的にAlホイル金属バリア層が最も多く使用されており、Alホイルより優れた特性を有する薄膜が明らかにされていない状態であるので、本発明でもAlホイルを用いる。このとき、Alは金属素材であるので、折り曲げたときにクラックが発生するという問題があり得るが、これを防止するために、金属バリア層の上部に表面保護層を形成する。
【0055】
本発明に係る外被材の表面保護層は、10〜14μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)及び20〜30μmの厚さのナイロンフィルムの積層構造で形成することが望ましい。
【0056】
この場合、金属バリア層で発生するクラックの程度が深刻な場合、ポリエチレンテレフタレート/ナイロンフィルムにも損傷が加えられるが、本発明では、これを防止するために、ポリエチレンテレフタレート層の上部にビニル系樹脂層をコーティングして使用する。
【0057】
その次に、本発明に係る外被材の表面保護層は、最外郭フィルムになるポリエチレンテレフタレート層及びビニル系樹脂層の積層構造を見ることができる。ここで、ビニル系樹脂層には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂から選択された一つ以上からなるビニル系樹脂を使用することが望ましい。
【0058】
併せて、外被材の気密特性をより向上させるために、前記表面保護層、金属バリア層及び接着層は、それぞれポリウレタン(PU)系樹脂を用いて接着させることが望ましい。
【0059】
このように外被材を形成することによって、本発明に係る真空断熱パッドは最上の気密性と長期耐久性能を有するようになる。
【0060】
このとき、外部の温度変化によって外被材の内部でガス及び水分が発生し得るが、これを防止するためにゲッターを使用しており、以下では、本発明に係るゲッターについて説明する。
【0061】
図4は、本発明に係る真空断熱パネルに含まれるゲッターを示した平面図である。
【0062】
図4を参照すると、パウチ310に置かれた生石灰(CaO)300を見ることができる。本発明では、純度95%以上の生石灰粉末を使用し、パウチ310もクレープ紙及びポリプロピレン(PP)含浸不織布で形成し、25%以上の水分吸収性能を確保できるようにする。このとき、全体の断熱パッドの厚さを考慮して、ゲッターの厚さは2mm以内にすることが望ましい。
【0063】
上述したように、本発明に係る芯材、外被材及びゲッターの形成を完了すると、これらを組み合わせて真空断熱パッドを製造する。
【0064】
外被材を封止体に製造した後、封止体内に芯材を入れて真空状態で密封する方法を使用するが、このとき、芯材の表面にゲッターを付着させたり、芯材にゲッターの一部を埋め込んで使用することが望ましく、その具体的な形態は下記の図5及び図6に示した。
【0065】
併せて、封止体内部の真空度は0.1〜10Paにすることが望ましい。真空度が0.1Pa未満であると生産効率が低下し、真空度が10Paを超えると初期熱性能及び長期耐久性が低下するおそれがある。
【0066】
図5及び図6は、本発明に係る真空断熱パネル及びその製造方法を示した断面図である。
【0067】
図5は、芯材400の表面にゲッター410を付着させた状態で外被材420を用いて密封した真空断熱パネルを示したもので、図6は、芯材500の内部にゲッター510を挿入した状態で外被材520を用いて密封した真空断熱パネルを示したものである。
【0068】
このように製造された真空断熱パネルは、いずれも優れた長期耐久性能を発揮した。以下では、その具体的な実施例を説明する。
【0069】
実施例1
【0070】
まず、図3で説明したグラスウールタイプの芯材を25×300×400mm(厚さ×幅×長さ)の大きさに製造した後、真空断熱パネル用に使用した。
【0071】
ここで、グラスウールを浸漬させる無機バインダー溶液では、無機バインダーとしてシリカを使用し、シリカを水によく混合させるためにゾル形態に製造した。次に、シリカゾル4重量%及び残量の水が混合されたシリカゾル水溶液を製造した。
【0072】
次に、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm、ナイロンフィルム25μm、Alホイル6μm、及び線形低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム50μmの構造で形成された外装封止体を形成した。
【0073】
その次に、純度95%の生石灰(CaO)25gをパウチに入れて製造した2個のゲッターを、図6のように芯材の表面に挿入した。
【0074】
その次に、芯材を封止体に挿入した後、10Paの真空度状態で密封し、本発明に係る真空断熱パネルを製造した。
【0075】
実施例2
【0076】
前記実施例1と全ての条件が同一な真空断熱パネルを製造し、シリカゾル2重量%及び残量の水が混合されたシリカゾル水溶液を用いた。
【0077】
実施例3
【0078】
前記実施例1と全ての条件が同一な真空断熱パネルを製造し、シリカゾル1重量%及び残量の水が混合されたシリカゾル水溶液を用いた。
【0079】
実施例4
【0080】
前記実施例1と全ての条件が同一な真空断熱パネルを製造し、シリカゾル0.5重量%及び残量の水が混合されたシリカゾル水溶液を用いた。
【0081】
比較例1
【0082】
グラスウールを500℃で成形する熱圧着法を用いて25×300×400mm(厚さ×幅×長さ)の芯材を製造した後、真空断熱パネル用に使用した。
【0083】
そして、外被材及びゲッターなどは、前記実施例1の条件と同一に使用し、密封方法も同一に進行して真空断熱パネルを製造した。
【0084】
比較例2
【0085】
グラスウールを成形する有機バインダーを用いた湿式法で25×300×400mm(厚さ×幅×長さ)の芯材を製造した後、真空断熱パネル用に使用した。
【0086】
そして、外被材及びゲッターなどは、前記実施例1の条件と同一に使用し、密封方法も同一に進行して真空断熱パネルを製造した。
【0087】
比較例3
【0088】
前記実施例1と全ての条件が同一な真空断熱パネルを製造し、シリカゾル4.1重量%及び残量の水が混合されたシリカゾル水溶液を用いた。
【0089】
比較例4
【0090】
前記実施例1と全ての条件が同一な真空断熱パネルを製造し、シリカゾル0.4重量%及び残量の水が混合されたシリカゾル水溶液を用いた。
【0091】
[性能試験及び評価]
【0092】
前記実施例1、2及び比較例1、2に係る真空断熱パネルを70℃で14時間エージング(Aging)処理した後、85℃の恒温チャンバーにそれぞれ入れて10日間維持しながら、全体加熱を実施していないものと熱伝導率を比較しながら実施した。このとき、熱伝導率の測定には、HC―074・300(エコー精機株式会社製造)熱伝導測定器を使用した。次に、加速ファクターを適用して0〜10年の熱伝導率を予測し、その結果は下記の表1及び図7に示す通りである。
【0093】
併せて、前記実施例1〜4及び比較例1、2の熱伝導率を要約し、下記の表2のように整理した。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
図7は、本発明の一実施例と比較例に係る真空断熱パネルの長期耐久性を比較評価したグラフである。
【0097】
前記表1及び図7を参照すると、比較例1、2の熱伝導率の増加量は時間の経過とともに急激に上昇する一方、本発明に係る実施例1、2の熱伝導率の増加量は緩やかに変化することが分かる。
【0098】
また、10年後の熱伝導率を見ると、本発明に係る実施例1の場合は0.006Kcal/mhr℃以下であり、依然として優れた真空断熱性能を維持する一方、比較例1の場合は0.01Kcal/mhr℃であり、一般のポリウレタンフォーム(PU Foam)の半分水準まで上昇し、真空断熱特性が著しく低下したことが分かる。併せて、前記グラフの変化量は線形的な増加量を示すので、実施例2及び比較例2も、実施例1及び比較例1と類似した水準に変化することを容易に予測することができる。
【0099】
したがって、上述した本発明の真空断熱パネルは、断熱性能を極大化できる構造を提供すると同時に、長期耐久性能を少なくとも10年以上に増加できるという効果を提供する。
【0100】
併せて、前記表2を参照すると、無機バインダーが溶液に混合される比率としては0.5〜4重量%が適切であることが分かる。無機バインダーの含量が0.5重量%未満になると接着性が低下し、真空断熱パネルの形成に適した芯材を製作することができなかった。
【0101】
そして、無機バインダーが水に混合される比率が4重量%を超えると、熱伝導率が急激に増加し、真空断熱パネルのための芯材として不適切な熱性能を示した。
【0102】
以上、添付の図面を参照して本発明の各実施例を説明したが、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須特徴を変更せずとも他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。したがって、以上説明した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)無機バインダー溶液を製造する段階;
(b)グラスウールを前記無機バインダー溶液に浸漬させる段階;
(c)前記グラスウールをチャンバーの上部にローディングする段階;
(d)前記チャンバー内に真空を形成し、前記グラスウールに残留する前記無機バインダー溶液を前記チャンバーの内部に排出する段階;及び
(e)前記グラスウールを乾燥し、真空断熱パネル製造のための芯材形態に成形する段階;を含むことを特徴とする真空断熱パネル用芯材の製造方法。
【請求項2】
前記無機バインダーは、セメント、硫酸カルシウム、石膏、泥、粘土、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミナ、ケイ酸カルシウム及びシリカから選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネル用芯材の製造方法。
【請求項3】
前記無機バインダー溶液は、前記無機バインダー0.5〜4重量%及び残量の水で製造されることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネル用芯材の製造方法。
【請求項4】
前記(d)段階及び前記(e)段階は同時に行うことを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネル用芯材の製造方法。
【請求項5】
前記(e)段階の乾燥は、300〜450℃の温度で5〜15分間行うことを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネル用芯材の製造方法。
【請求項6】
前記(d)段階で、前記グラスウールは前記真空によって圧下されることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネル用芯材の製造方法。
【請求項7】
前記グラスウールの圧下率は70〜80%であることを特徴とする、請求項6に記載の真空断熱パネル用芯材の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のうちいずれか一つの項に記載した方法で製造され、無機バインダーによってグラスウールの組織が結合されていることを特徴とする真空断熱パネル用芯材。
【請求項9】
前記芯材は、平板型ボード又は曲げのためのジョイントを有するグルーブ型ボード形態を有することを特徴とする、請求項8に記載の真空断熱パネル用芯材。
【請求項10】
前記芯材の厚さは25〜30mmであることを特徴とする、請求項8に記載の真空断熱パネル用芯材。
【請求項11】
請求項1〜請求項7のうちいずれか一つの項に記載した方法で製造された芯材;
前記芯材を真空包装し、表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する外被材;及び
前記芯材と前記外被材との間に配置され、前記芯材に付着又は挿入されるゲッター;を含むことを特徴とする真空断熱パネル。
【請求項12】
前記芯材は、2〜3枚が積層された形態で使用されることを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。
【請求項13】
前記外被材の表面保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロンフィルムの積層構造であることを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。
【請求項14】
前記ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上部にはビニル系樹脂がコーティングされたことを特徴とする、請求項13に記載の真空断熱パネル。
【請求項15】
前記ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項14に記載の真空断熱パネル。
【請求項16】
前記外被材の金属バリア層はAlホイルであることを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。
【請求項17】
前記外被材の接着層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)から選択された一つ以上のプラスチックフィルムであることを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。
【請求項18】
前記外被材の前記表面保護層、金属バリア層及び接着層は、それぞれポリウレタン(PU)系樹脂によって接着されたことを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。
【請求項19】
前記ゲッターとしては、純度95%以上の生石灰(CaO)がパウチに包装されていることを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。
【請求項20】
前記パウチは、クレープ紙及びポリプロピレン(PP)含浸不織布で形成されたことを特徴とする、請求項19に記載の真空断熱パネル。
【請求項21】
前記ゲッターは25%以上の水分吸収率を有することを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。
【請求項22】
前記真空包装時に使用される真空度は0.1〜10Paであることを特徴とする、請求項11に記載の真空断熱パネル。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−512396(P2013−512396A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541035(P2012−541035)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001365
【国際公開番号】WO2011/111939
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】One IFC Building,10 Gukjegeumyung−ro,Yeongdeungpo−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】