説明

真空断熱材を使用した断熱容器および運搬方法

【課題】断熱性能が高く、冷蔵食品と常温保存食品を一緒に容器内に入れて、冷凍車で運搬する場合でも、両方の品質を維持することができる断熱容器を提供する。
【解決手段】壁面が熱貫流率0.1W/m2K以上、4.0W/m2K以下の真空断熱材31から構成され、かつ内蓋25が取り外し可能な断熱容器1内において、常温食品を内蓋25で包むことにより、冷蔵食品と常温保存食品の両方の品質を維持することができる。また、内蓋25が取り外し可能であるため、不要時は内蓋25を取り外し短時間に容易に組み立てや折り畳みを行うことができ、保管時の作業効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱材から構成された断熱容器に係り、その断熱容器を使用しての食品の運搬方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食品の普及に伴い、断熱を必要とする冷凍食品、冷蔵食品や常温で保存を要する常温保存食品が、多数存在する。また、それら食品を、例えば半日間、その温度帯で保存したり運搬したりするニーズも存在する。これらの食品を半日間保存する場合、庫内がそれぞれの温度帯の保冷庫に保存し、運搬する場合、コンテナ内がそれぞれの温度帯の配送車で運搬していた。
【0003】
しかし、この場合、庫内及びコンテナ内を一定の温度に電力により維持しなくてはならないため、電気代がかかると同時に保冷庫や配送車のリース料金が高い。
【0004】
また、これを解決する手段として、断熱容器に、発泡ポリスチレンや硬質発泡ウレタンフォームなどの簡易な断熱材を用い、チャックや面ファスナなどを用いて蓋の開閉を行うものが多用されている。
【0005】
しかし、このような断熱容器は、断熱材の初期熱伝導率が高く断熱性能に劣り、しかも、保管に嵩張る傾向がある。このため、断熱性能を向上させた折り畳み可能な断熱容器が開発された(特許文献1参照)。
【0006】
図9は、特許文献1に開示された断熱容器100を示す斜視図である。特許文献1に開示された断熱容器100は、柔軟性を有する外袋101および内袋103と、真空断熱パネル102で構成される。外袋101は、底面と4つの側面の計5面が略直方体に縫製され、側面から底面を経て対向する側面に渡ってベルト105が掛けられている。また、外袋101の上部一辺には蓋部104が縫製され、外袋101の底部と蓋部104の内部には、予め真空断熱パネルが設けられている。
【0007】
使用に際しては、外袋101の4つの側面に沿って4枚の断熱パネル102を挿入し、断熱パネル102の面ファスナ111を、外袋101の面ファスナ110に係合させる。更に、内袋103を断熱パネル102の装着された外袋101の内部に挿入し、内袋103の面ファスナ112を、断熱パネル102の面ファスナ111に係合させて組み立てられる。
【0008】
組み立てられた断熱容器100の内袋103の内部に、冷凍食品などを収納し、蓋部104を外袋101に被せて、蓋部104の面ファスナ106,108を外袋101の面ファスナ107,109に各々係合させて閉じられ保存が行われる。
【0009】
また、特許文献1に開示された断熱容器100は、不使用時に折り畳み可能である。則ち、不使用時は、組み立て時とは逆に、外袋101から内袋103および5枚の断熱パネル102を取り外し、外袋101の内部に取り外した断熱パネル102および折り畳んだ内袋103を収納する。そして、外袋101を折り畳みつつ蓋部104を底面に対向させて重ね合わせ、ベルト105の両端にベルト113をかけて折り畳まれる。
【特許文献1】特開2003―112786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成では、真空断熱材の断熱性能と被覆率が低く、断熱性能が充分でないため、冷蔵食品と常温保存食品を一緒に断熱容器に入れ、冷凍庫で保存、冷凍車で運搬する場合、常温保存食品の品質を充分に維持することができない。また、冷凍食品と冷蔵食品を一緒に断熱容器に入れ、常温車で運搬する場合、断熱性能が充分でないため、冷凍食品の品質を充分に維持することができない。
【0011】
更に、断熱容器から食品を取り出した後に、断熱容器を折り畳んで保管する際に、多大な手間を要し、保管時の作業効率が劣る。
【0012】
本発明は、断熱性能が高い断熱容器を提供することを第1の目的としている。
【0013】
また、本発明は、冷蔵食品と常温保存食品を一緒に容器内に入れて、約半日間、冷凍車で運搬するような場合でも、冷蔵食品と常温保存食品の両方の品質を維持することができ、また、同様に冷凍食品と冷蔵食品を一緒に容器内に入れて、約半日間、常温車で運搬するような場合でも、冷凍食品と冷蔵食品の両方の品質を維持することができる断熱容器を提供することを第2の目的としている。
【0014】
また、本発明の断熱容器は、短時間に容易に組み立てや折り畳みを行うことが可能で、保管時の作業効率を向上させることができる断熱容器を提供することを第3の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の断熱容器は、壁面を、熱貫流率0.1W/m2K以上、4.0W/m2K以下の真空断熱材から構成し、かつ内蓋を取り外し可能にしたものである。
【0016】
これによって、断熱容器内外の熱移動を減少させ、更に内蓋を必要な断熱性能に応じた断熱シートに変更し食品を覆い、断熱容器内部の食品への熱移動を減少させることが可能となる。更には、特定の食品のみ内蓋で包み、断熱容器内部の食品への熱移動を減少させることが可能となる。
【0017】
また、本発明の断熱容器は、4面の周壁部と底面部と開閉可能な蓋部とを有し、前記各部はいずれもシート材に平板状の真空断熱材を内包して形成され、使用時には、前記各部によって箱体を形成し、不使用時には、前記各部を重ね合わせて折り畳み可能としたものである。
【0018】
これによって、周壁部、底面部および蓋部は、いずれも、シート材に平板状の真空断熱材を内包して一体的に形成されているため、従来の断熱容器のように真空断熱材などの一部の部材を取り外すような手間を減少させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の断熱容器は、断熱性能を極めて高くすることができ、冷蔵食品と常温保存食品を同時に断熱容器に入れ、半日間冷凍庫で保存、冷凍車で運搬するような場合において、断熱性の内蓋を利用して、冷蔵食品と常温保存食品の両方の品質を維持することができる。また、同様に冷凍食品と冷蔵食品を同時に断熱容器に入れ、半日間常温車で運搬するような場合において、断熱性の内蓋を利用して、冷凍食品と冷蔵食品の両方の品質を維持することができる。
【0020】
また、本発明の断熱容器は、短時間に容易に組み立てや折り畳みを行うことが可能で、保管時の作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の請求項1に記載の断熱容器の発明は、壁面を、熱貫流率0.1W/m2K以上、4.0W/m2K以下の真空断熱材から構成し、かつ内蓋を取り外し可能とすることにより、断熱容器の断熱性能を極めて高くすることができると同時に、蓋部の断熱性能を必要に応じて変更させて食品を覆うことができるため、容器内の食品の品質を充分に維持することができる。
【0022】
請求項2に記載の断熱容器の発明は、請求項1に記載の発明における内蓋を、それぞれが独立した空間に配置される複数の芯材で構成された真空断熱材から構成したことにより、内蓋の断熱性能を極めて高くすることができると同時に、食品が角ばり内蓋の真空断熱材に孔を開け、一つの芯材部に孔を開けた場合においても、他の芯材部が真空に維持されているために、断熱性能の劣化を最小限に抑えることができる。
【0023】
請求項3に記載の断熱容器の発明は、請求項1または2に記載の発明における断熱容器を、保護容器に収納することにより、断熱容器に直接外力が加わることなく、断熱容器の破損を防止できる。更には、多段に積み重ねた場合でも、上部側の重量が下部側に直接加わることがないため断熱容器の破損を防止して小スペースで断熱容器を保管できる。
【0024】
請求項4に記載の断熱容器の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明における断熱容器が、4面の周壁部と底面部と開閉可能な蓋部とを有し、前記各部はいずれもシート材に平板状の真空断熱材を内包して形成され、使用時には、前記各部によって箱体を形成し、不使用時には、前記各部を重ね合わせて折り畳み可能であるものであるので、従来の断熱容器のように取り外すのが困難な周壁部の真空断熱材を、取り外すような手間を要することなく、短時間に容易に組み立てや折り畳みを行うことが可能となる。また、内蓋が不要な場合には、容易に内蓋を取り外し、折り畳むことができるため、折り畳み時の作業効率が上がる。
【0025】
請求項5に記載の断熱容器の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明における断熱容器が、互いに折曲可能に方形状に連接された4面の周壁部と、対向する2面の周壁部の上側縁に沿って折曲可能に連接された2面の蓋部と、前記蓋部の連接された2面の周壁部の下側縁に沿って折曲可能に連接された2面の底面部とを備え、前記周壁部、蓋部および底面部は、いずれもシート材に平板状の真空断熱材を内包して形成され、前記蓋部および底面部の連接された周壁部に隣接する2面の周壁部は、略中央部に高さ方向へ延びる折り畳み線に沿って真空断熱材が分割されて折曲可能とされ、使用時には、前記2面の蓋部および底面部を閉姿勢に回動し互いに係合させて箱体とされ、不使用時には、前記蓋部および底面部の係合を解除し、前記底面部を周壁部内方または周壁部外方へ折曲すると共に前記蓋部を底面部とは逆方向へ折曲し、前記折曲可能な周壁部を折り畳み線に沿って内方へ折曲しつつ隣接する周壁部同士を近接させて、前記蓋部、周壁部および底面部を重ね合わせて折り畳み可能としたものであり、断熱容器の4面の周壁部、蓋部、底面部の全てが、シート材に真空断熱材を内包しているため、高い断熱性能が発現される。
【0026】
更に、シート材に真空断熱材を内包して各面が形成されるので、各面の強度および剛性が高く、組み立てて箱体とした場合の強度、剛性が向上する。更には、折り畳む際に、折り曲げ可能な周壁部を折り畳み線に沿って内方へ折り曲げするので、折り曲げ可能な周壁部が隣接する周壁部からはみ出すことがなく、コンパクトに折り畳むことができ、回収や保管に便利である。また、折り畳みに際して断熱容器の部材の一部を取り外すこともないので、部材を紛失するようなおそれもない。
【0027】
請求項6に記載の断熱容器の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明における断熱容器が、前記一方の蓋部には、他方の蓋部へ係合する側縁に沿って、面ファスナを備えた可撓性を有する係合フラップが設けられると共に、他方の蓋部には、前記係合フラップに対応する部位に面ファスナが設けられ、前記2面の蓋部を閉姿勢に回動すると双方の蓋部の側縁同士が突き合わされ、前記一方の蓋部の係合フラップを他方の蓋部に当接させて面ファスナ同士を係合させるものであるので、断熱容器の2面の蓋部を閉姿勢に回動すると、双方の蓋部の側縁同士が突き合わされ、蓋部の厚さが増加しても蓋部同士の間に段差を生じることがなく、蓋部と折曲可能な周壁部の上側縁との間に隙間が生じない。
【0028】
更には、一方の蓋部の係合フラップを他方の蓋部に当接させて面ファスナ同士を係合させるので、双方の蓋部の側縁の突き合わせ部位が係合フラップで覆われる。これにより、蓋部の側縁の突き合わせ部位を係合フラップで遮蔽して内外の連通を遮蔽することができ、保冷性能が向上する。
【0029】
更には、係合フラップが可撓性を有するので、係合フラップの一部を掴んで面ファスナ同士の係合を容易に解除することができる。
【0030】
更には本発明の構成を断熱容器の底面部に適用することにより、底面部の厚さが増加しても、底面部同士を係合させたときに折曲可能な周壁部との間に隙間を生じることがない。また、一方の底面部の係合フラップを他方の底面部に当接させて面ファスナ同士を係合させるので、双方の底面部の側縁の突き合わせ部位が係合フラップで覆われ、遮蔽性を一層向上させることが可能である。
【0031】
請求項7に記載の断熱容器の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明における断熱容器が、前記折曲可能な2面の周壁部には、上側縁に沿って面ファスナを備えた可撓性を有する係合フラップが横方向よりも上方へ向けて付勢された状態で設けられると共に、前記面ファスナに対応させて前記2面の蓋部に面ファスナが設けられ、前記2面の蓋部を閉姿勢へ向けて回動すると、蓋部が前記係合フラップを押下しつつ当接して面ファスナ同士が係合するものであり、断熱容器の折曲可能な周壁部の上側縁に沿って係合フラップが設けられるので、蓋部を閉姿勢へ向けて回動すると、蓋部の内面によって係合フラップが内方へ倒れるように押し下げられる。そして、係合フラップと蓋部の面ファスナ同士が係合し、折曲可能な周壁部と蓋部との間が係合フラップによって遮蔽されることとなり、隙間の発生が防止されて保冷性能が向上する。
【0032】
更には、係合フラップが横方向よりも上方へ向けて付勢されている。従って、係合フラップの付勢力に抗して蓋部を閉姿勢へ向けて回動させるだけで、自ずと係合フラップと蓋部の面ファスナ同士を係合させることができる。
【0033】
更には、係合フラップを横方向よりも上方へ向けて付勢させる構成としては、例えば、係合フラップに復元力を有する素材(生地)を使用し、前記係合フラップを折曲可能な周壁部の上側縁のシート材に略上方へ向けて縫製するような構成を採ることができる。この構成によれば、長期間の使用によっても係合フラップが下方へ垂れ下がることがなく、蓋部を閉姿勢へ向けて回動させるだけで面ファスナ同士を確実に係合させることが可能となる。
【0034】
請求項8に記載の断熱容器の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明における断熱容器を、折り畳みに際して、前記底面部を周壁部内方へ折曲すると共に前記蓋部を周壁部外方へ折曲する構成とし、使用時において前記2面の底面部の外面全面を覆う可撓性を有する底面シートを、前記4面の周壁部の下側縁に沿って取り付けたことにより、底面シートによって底面部の外面全面が覆われ、底面部を閉姿勢としたときに、底面部同士や、折曲可能な周壁部と底面部との間に隙間が生じても、底面シートによって内外の連通が遮断され、保冷性能が損なわれない。
【0035】
更には、底面部を周壁部内方へ折曲して折り畳むので、折り畳みに際して底面シートが障害になることがなく、しかも、底面シートは可撓性を有するので、折り畳む際に周壁部の内方へ容易に収納可能である。
【0036】
本発明において、底面シートは、防水性を有する生地で製するのが良い。防水性を有する生地で底面シートを製することにより、収納された冷凍食品などに付着した氷が融けて水が内部に流動しても、底面シートによって断熱容器外部への流出を阻止することができる。
【0037】
請求項9に記載の運搬方法の発明は、冷蔵保存食品と常温保存食品とを一緒に請求項1から8のいずれか一項に記載の断熱容器に詰めて、前記常温保存食品を内蓋で包み冷凍車で運搬することにより、冷凍車内においても冷蔵食品と常温保存食品両方の品質を維持することが可能となり、冷凍食品の配送に便乗させて冷蔵食品や常温保存食品の配送を8時間以上行うことができる。これに伴い、配送に際しての余分な冷蔵車や常温車が不要となり、配送コストを低減させることが可能となる。
【0038】
また、同一配送先へ向けて冷凍食品と冷凍食品以外のいずれかの食品とを一台の配送車で配送可能となり、配送効率が著しく向上する。また、一台の配送車によって冷凍食品と冷凍食品以外のいずれかの食品とを纏めて配送できるので、冷凍食品だけを配送するための冷凍車が不要となり、配送に要する車両が削減されて、環境保護に貢献することができる。
【0039】
請求項10に記載の運搬方法の発明は、冷凍保存食品と冷蔵保存食品と蓄冷材とを一緒に請求項1から9のいずれか一項に記載の断熱容器に詰めて、前記冷凍保存食品と前記蓄冷材とを内蓋で包み常温車で運搬することにより、常温車内においても冷凍食品や冷蔵食品両方の品質を維持することが可能となり、常温保存食品の配送に便乗させて、冷凍食品や冷蔵食品の配送を8時間以上行うことができる。これに伴い、配送に際しての余分な冷凍車や冷蔵車が不要となり、配送コストを低減させることが可能となる。
【0040】
また、断熱容器に収納した冷凍食品の品質(温度)を維持しつつ配送可能な時間は、冷凍食品の収納割合や配送車の種類によって異なる。則ち、断熱容器に収納する冷凍食品の量、および、冷凍車または冷蔵車または常温車のいずれを使用するかによって、断熱容器に収納した冷凍食品の品質を保持しつつ配送可能な時間は異なる。
【0041】
従って、配送する車種毎に予め試験を行い、冷凍食品の収納割合に対して冷凍食品の品質を維持しつつ配送可能な時間を求めておくことにより、配送に要する時間に応じて配送車両を容易に選択することができ、冷凍食品の品質を損なうこともない。
【0042】
また、近時、冷凍車や冷蔵車のなかには、自動アイドリングストップを採用したものがある。また、ドライバーが自主的にアイドリングストップを励行する場合もある。自動アイドリングストップ車は、例えば、車両が停止しトランスミッションがニュートラル位置になると自動的にエンジンが停止し、発進に際してクラッチを踏むとエンジンが自動的にスタートする構造を備えた車両である。
【0043】
ところが、このようなアイドリングストップを採用した冷凍車や冷蔵車では、エンジンの停止に伴って冷凍装置の駆動が停止する。このため、冷凍庫や冷蔵庫内部の温度が変動し易く、断熱性能の低い断熱容器に収納して配送する場合は、冷凍車であるにも拘わらず、アイドリングストップを採用しているがために冷凍食品の品質を損なうおそれがある。
【0044】
しかし、本発明によれば、断熱容器に真空断熱材を用い、内蓋により更に食品を包むことができるため、断熱性能が著しく高い。これにより、従来、断熱容器に収納した冷凍食品を冷凍車で配送するところを、冷凍車以外の車両で配送することを可能にしている。従って、アイドリングストップに伴う冷凍庫内部の温度変動によっても断熱容器内部の温度変動への影響が少なく、冷凍食品に影響を与えることが防止される。
【0045】
ここで、冷凍車とは、断熱性能を持つ収納庫に専ら冷凍肉類やアイスクリームなどの冷凍食品の品質を維持しつつ搬送する車両で、収納庫内部温度を概ね−25℃〜−10℃の範囲で制御可能な冷凍装置を搭載した車両を指す。また、常温車とは、断熱性能を持たない通常の収納庫を備え、概ね15℃〜25℃の範囲で制御可能な装置を搭載した車両を指す。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または従来に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0047】
図1は、本発明の実施の形態1における断熱容器の斜視図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3は本実施の形態の断熱容器1の蓋部を閉じる状態を示す斜視図、図4は図3のC方向矢視図、図5は図3のE−E矢視断面図、図6は図1のB−B矢視断面図において底面部の係合を解除した状態を示す断面図、図7(a)〜(e)は本実施の形態の断熱容器1を折り畳む手順を示す斜視図である。また、図8(a)は本実施の形態の断熱容器1を保護容器に収納した状態を示す斜視図、同図(b),(c)は、不使用時に折り畳まれた断熱容器1を保護容器に収納する状態を示す斜視図である。
【0048】
本実施の形態の断熱容器(保冷容器)1は、図1の様に、4面の周壁部10,13,底面部21および蓋部16で形成される箱形の容器である。
【0049】
これら周壁部10,13、底面部21および蓋部16の各部は、シート材の内部に熱貫流率が0.1W/m2K以上、4.0W/m2K以下の真空断熱材31を内包し、断熱性能が極めて高い。
【0050】
また、真空断熱材の熱貫流率を0.1W/m2Kより小さくするには、吸着剤を併用しなくてはならないため、コストが上昇する。逆に、熱貫流率を4.0W/m2Kより大きくすると、冷凍車で運搬中、冷蔵食品の品質を維持することができなかった。以上より真空断熱材の熱貫流率は0.1W/m2K以上、4.0W/m2K以下とした。
【0051】
また、断熱容器1は、幅600mm、奥行き500mm、高さ300mmであり、内容積は略70リットルである。
【0052】
また、断熱容器1は、周壁部10,13、底面部21および蓋部16が互いに折曲可能に連接されており、後述するように、これらの各部を折り重ねて折り畳み可能な構造とされている。
【0053】
上記した実施の形態に用いる断熱容器1は、使用時には箱体とされ、不使用時に折り畳むことのできる折り畳み可能な断熱容器1で、場合によっては、内蓋25を取り外し折り畳むことができる。
【0054】
断熱容器1は、図1の様に、互いに折曲可能に方形状に連接された4面の周壁部10,13と、対向する2面の周壁部10の上側縁11に沿って折曲可能に連接された2面の蓋部16と、蓋部16の連接された2面の周壁部10の下側縁12に沿って折曲可能に連接された2面の底面部21とを備えて形成される。
【0055】
蓋部16は、対向する蓋部16側へ向かう長さ、則ち、周壁部10の上側縁11から蓋部16の側縁17までの長さLが、周壁部13の幅Dの略半分であり、2面の蓋部16は同一形状を有する。また、2面の底面部21も蓋部16と同一形状を有する。また、蓋部16の長さLは、周壁部10の高さHよりも短い構成としている。
【0056】
具体的には、本実施の形態の断熱容器1は、図3の様に、幅Wが600mm、奥行きDが500mm、高さHが300mmのサイズであり、蓋部16の長さLは略200mmであって高さHよりも短い構成としている。また、断熱容器1の内容積は略70リットルである。
【0057】
周壁部10、蓋部16および底面部21は、図2の様に、いずれもシート材30に平板状の真空断熱材31を内包して形成される。
【0058】
真空断熱材31は、図2の様に、繊維材または樹脂発泡材または粒状体の素材のうち少なくともいずれか1種類の素材で成る芯材32を、ガスバリア性を有する外被材33で包み、その内部を減圧して真空封入して形成される断熱材である。
【0059】
本実施の形態では、外被材33として、ガスバリア層の内外に熱溶着層および保護層を積層して形成されるラミネートフィルムを使用した。則ち、外被材33は、アルミニウムなどの金属箔や、金属または無酸化物の蒸着されたフィルムをガスバリア層とし、ガスバリア層の内面側に、無延伸ポリプロピレン等のフィルムを熱溶着層として積層すると共に、ガスバリア層の外面側に、ナイロンやポリエチレンテレフタレートなどのフィルムを保護層として積層したラミネートフィルムである。
【0060】
また、芯材32は、繊維材をバインダーを用いて加熱成形したものを使用した。
【0061】
本実施の形態では、このような構成の真空断熱材31であって、その熱伝導率(初期熱伝導率)が0.0050W/mK、その厚さが10mmのものを用いている。これにより、周壁部10、蓋部16および底面部21における高い断熱性能を確保すると共に、各部の薄型化を図っている。
【0062】
シート材30は、ポリエステル生地の裏面に合成樹脂コートを施したものを縫製により成形加工したもので、耐水性、防水性および柔軟性を兼ね備えている。
【0063】
周壁部10、蓋部16および底面部21のうち、断熱容器1の使用時または不使用時に外部側に位置する面には、図2の様に、厚さ4mmのシート材30aを用い、他の面には厚さ2mmのシート材30bを用いている。
【0064】
則ち、断熱容器1の周壁部10、蓋部16および底面部21の各部は、耐水性、防水性および柔軟性を備えた袋状に縫製されたシート材30の内部に真空断熱材31を内包した構造である。これらの、周壁部10、蓋部16および底面部21は、互いのシート材30の側縁同士が縫製によって接続されて、折曲可能にされている。
【0065】
また、図1の様に、蓋部16および底面部21の連接された周壁部10,10に隣接する2面の周壁部1313は、略中央部に高さ方向へ延びる折り畳み線23に沿って真空断熱材が分割され、前記折り畳み線23に沿って周壁部13が折曲可能とされている。
【0066】
則ち、周壁部13は、袋状に縫製されたシート材30の内部に二つの真空断熱材31を収納し、折り畳み線23に沿ってシート材30を縫製して形成され、折り畳み線23に沿って折曲可能とされている。
【0067】
図1、図3の様に、一方の蓋部16には、側縁17に沿って、面ファスナ18aを備えた可撓性を有する係合フラップ18が設けられ、他方の蓋部16には、一方の蓋部16の係合フラップ18に対応させて面ファスナ20が設けられている。係合フラップ18も、上記したシート材30b(厚さ2mm、図2参照)を用いており、シート材30bに面ファスナ18aを縫製して形成されている。
【0068】
また、図1、図3の様に、折曲可能な2面の周壁部13には、上側縁14に沿って、面ファスナ24aを備えた可撓性を有する係合フラップ24が略上方へ向けて付勢された状態で縫製によって取り付けられている。係合フラップ24も、上記したシート材30b(厚さ2mm、図2参照)を用いており、シート材30bに面ファスナ24aを縫製して形成されている。
【0069】
また、係合フラップ24の面ファスナ24aに対応させて、2面の蓋部16の内面には面ファスナ19が設けられている。
【0070】
底面部21は蓋部16と同一の基本構造を有する。則ち、図1、図6の様に、一方の底面部21には、側縁29に沿って、面ファスナ22aを備えた可撓性を有する係合フラップ22が設けられている。また、他方の底面部21には、一方の底面部21の係合フラップ22に対応させて面ファスナ28が設けられている。この係合フラップ22も、上記したシート材30b(厚さ2mm、図2参照)を用いており、シート材30bに面ファスナ22aを縫製して形成されている。
【0071】
また、図1、図6の様に、底面部21の外面側には、外面全面を覆う可撓性を有する底面シート27が設けられている。則ち、底面シート27は、2面の底面部21の外形と略等しい長方形のシートであり、その5つの辺部を周壁部10,13の下側縁12,15に沿って縫製して取り付けられている。本実施の形態では、底面シート27にも、上記したシート材30b(厚さ2mm、図2参照)を用いている。
【0072】
断熱容器1の内部には、内蓋25が設けられている。内蓋25は、可撓性を有する方形状のシート材であり、図1、図5の様に、蓋部16が連接される周壁部10の上側縁11に沿ってその一辺が面ファスナによって取り付けられていて、取り外し可能である。内蓋25は、蓋部16による遮蔽性を補助するための遮蔽材である。
【0073】
本実施の形態では、内蓋25は、図1の様に、断熱容器1の幅Wと略等しい幅を有し、その長さは、図5の様に、対向する周壁部10までの長さDと周壁部10の高さHの和以上とされている。内蓋25をこのサイズに設定することにより、食品S1〜S41〜S5が収納されて隙間が生じる場合でも、S1〜S5の全てを内蓋25で覆いつくすことができ、遮蔽効果が増大する。
【0074】
更に内蓋25は、取り外し可能とすることにより、断熱性能が不足している場合は必要な断熱性能を持つ断熱シートに変更可能であり、また、特定の食品のみ品質を維持することができない場合には、その食品を内蓋25で包み、その食品の品質を維持することもできる。
【0075】
また、折り畳み時に、作業効率が要求されている場合には、内蓋25を取り外すことにより作業効率を上昇させることもできる。また、断熱容器1の内部には、場合によっては蓄冷剤を収納する蓄冷剤収納部26を設けている。蓄冷剤収納部26は、図1、図5の様に、メッシュ状のネット材を用いて形成した袋体であり、図5の様に、内部に蓄冷剤34を収納可能である。これにより、冷凍食品や冷蔵食品を保存する場合は、蓄冷剤34および食品S1〜S4を内蓋25で容易に覆うことができ、食品S1〜S4の断熱性能および遮蔽性の向上を図っている。
【0076】
次に、本実施の形態の断熱容器1の使用時に際しての組み立て手順を説明する。
【0077】
まず、図6の様に、底面部21を閉姿勢(水平方向)へ回動させて、図5の様に、側縁29同士を突き合わせる。そして、一方の底面部21に設けた係合フラップ22を他方の底面部21に押圧して、係合フラップ22の面ファスナ22aと他方の底面部21の面ファスナ28を互いに係合させる。
【0078】
底面部21をこのように係合すると、図5の様に、双方の底面部21によって略平面が形成され、前記底面21の下方には全面を覆うように底面シート27が位置する。従って、底面部21と周壁部13との間に僅かな隙間が生じた場合でも、底面シート27によって内外の連通が遮断され、断熱性能が損なわれることがない。
【0079】
また、本実施の形態では、底面シート27に耐水性および防水性を有するシート材30bを用いており、内部に滞留する水が容器外部に流出することを防止している。
【0080】
収納しようとする食品S1〜S4を全て収納すると、蓋部16を閉姿勢(略水平方向)へ回動させる。図5の様に、蓋部16を内方へ向けて回動すると、周壁部13に略上方へ向けて設けられた係合フラップ24が、蓋部16の回動によって押圧されて内方へ倒れ、係合フラップ24の面ファスナ24aと蓋部16の面ファスナ19が互いに係合する。そして、蓋部16,16の双方を閉姿勢に移動すると、係合フラップ24の面ファスナ24aの全面が蓋部16の面ファスナ19と係合し、蓋部16と周壁部13との間が係合フラップ24によって遮蔽される。
【0081】
また、蓋部16を閉姿勢に移動すると、図5の様に、蓋部16の側縁17同士が互いに突き合わされる。そして、最後に、一方の蓋部16に設けた係合フラップ18を他方の蓋部16に押圧して、面ファスナ18a,20を互いに係合させる。これにより、蓋部16の側縁17同士の突き合わせ部位が係合フラップ18で覆われる。
【0082】
則ち、本実施の形態の断熱容器1は、底面部21および蓋部16を閉姿勢に回動して係合フラップ18で係合するだけで、図7(a)の様に、真空断熱材31を内包した周壁部10,13、底面部21および蓋部16で囲まれた箱体が形成される。
【0083】
そして、形成された箱体は、図5の様に、底面部21の側縁29同士の突き合わせ部位が係合フラップ22で覆われると共に、底面部21の外面が底面シート27で覆われる。更に、図5の様に、蓋部16の突き合わせ部位は係合フラップ18で覆われると共に、蓋部16と周壁部13との間が係合フラップ24によって遮蔽される。
【0084】
このように、本実施の形態の断熱容器1は、底面部21および蓋部16を閉姿勢に移動させて組み立てるだけで、内外の連通が完全に遮断され、しかも全面が真空断熱材で囲まれた極めて断熱性能の高い箱体を形成することができる。
【0085】
次に、不使用時に際しての断熱容器1の折り畳み手順を説明する。
【0086】
断熱容器1の折り畳みは、例えば、配送を終えて断熱容器1が空になった時や、配送元に戻って断熱容器1を収納保管する際に行われる。
【0087】
折り畳みに際しては、まず、図7(a)の様に、箱体とされている断熱容器1の蓋部16の係合フラップ18を掴んで引き上げる。そして、図7(b)の様に、係合フラップ18の面ファスナ18aと蓋部16の面ファスナ20の係合、および、係合フラップ24の面ファスナ24aと蓋部16の面ファスナ19の係合を解除しつつ蓋部16を開姿勢へ回動する。
【0088】
次いで、図6、図7(c)の様に、内蓋25を蓄冷剤収納部26側へ寄せ、底面部21の係合フラップ22を掴んで引き上げて、係合フラップ22の面ファスナ22aと底面部21の面ファスナ28の係合を解除する。そして、図7(d)の様に、底面部21を周壁部10の内面に折り重ねると共に、蓋部16を周壁部10の外面に折り重ねる。
【0089】
続いて、図7(d)の様に、周壁部13を折り畳み線23に沿って内方に折曲しつつ、周壁部10同士を近接させる。これにより、図7(e)の様に、外側から順に蓋部16、周壁部10、底面部21および折曲された周壁部13の4面が対象に重ね合わせられ、全8面が重なった状態で折り畳みが完了する。
【0090】
このように、本実施の形態の断熱容器1は、従来のように断熱パネルなどの部材の着脱を行うことなく、短時間に極めて容易にコンパクトに折り畳むことができる。
【0091】
断熱容器1を折り畳むと、図7(e)の様に、蓋部16、周壁部10、底面部21および周壁部13の合計8面が折り重ねられた状態となる。
【0092】
また、上記したように、本実施の形態では、周壁部10,13の高さH(300mm)に対して、蓋部16および底面部21の長さL(200mm)が短い。これにより、断熱容器1を折り畳むと、周壁部10を最大外寸として前記8面が重ね合わせられた形状となる。
【0093】
また、図1の断熱容器1は、使用時または不使用時に外部側に位置する全ての面に対して、図2で示した厚手のシート材30aを使用している。則ち、周壁部10、周壁部13および底面部21の外面側と、蓋部16の内面および外面側の各々の面に、図2で示した厚手のシート材30aを採用している。
【0094】
より具体的には、蓋部16は、真空断熱材31の厚さ(10mm)と、それを内包するシート材30aの厚さ(4mm+4mm)の和である厚さ18mmである。周壁部10,13は、真空断熱材31の厚さ(10mm)と、それを内包するシート材30a,30bの厚さ(4mm+2mm)の和である厚さ16mmである。また、底面部21は、真空断熱材31の厚さ(10mm)と、それを内包するシート材30a,30bの厚さ(4mm+2mm)の和である厚さ16mmである。従って、仮に面ファスナ25aを下に折りながら、8面を折り畳んで重ね合わせると、その厚さの合計は略132mmとなる。
【0095】
則ち、本実施の形態の断熱容器1を折り畳むと、周壁部10の外寸(W600mm×H300mm)を最大外寸とし、厚さを略132mmに縮小することができ、使用時の箱体に比べて極めてコンパクトにすることができる。これにより、使用後の回収や保管を容易に行うことができる。
【0096】
また、配送先に食品S1〜S4を収納した断熱容器1をそのまま引き渡す場合であっても、配送先では、断熱容器1の使用後はコンパクトに折り畳んで保管することができ、空の断熱容器1が無駄なスペースを占有することがない。特に、本実施の形態の断熱容器1は、組み立てや折り畳みを短時間に極めて容易に行うことができ、折り畳みが面倒なために使用が終了した断熱容器1を箱体のまま放置されて無駄なスペースを占有することが解消される。
【0097】
また、断熱容器1をコンパクトに折り畳むことができるので、折り畳んだ複数の断熱容器1を汎用のロールパレットなどに収納して容易に移動させることも可能である。
【0098】
また、上記したように、使用時または不使用時に外部側に位置する全ての面に対して、厚手のシート材30aを使用している。
【0099】
従って、使用に際して箱体が形成されたときは、各面に内包される真空断熱材31が厚手のシート材30aによって外力から保護される。また、不使用時に折り畳むと、蓋部16の内面が厚手のシート材30aによって外力から保護されることとなる。これにより、使用時および不使用時の双方において、真空断熱材31を外力から保護することができ、真空断熱材31の破損を防止して耐久性を向上することが可能となる。
【0100】
ここで、本実施の形態の断熱容器1は、上記したように、所定の強度および剛性を備えた真空断熱材31を内包した蓋部16、周壁部10,13および底面部21で形成されるので、断熱容器1を単独で使用する場合でも、ある程度の強度および剛性を得ることができる。しかし、断熱容器1を、更に強度および剛性の高い保護容器に収納してセットで使用することにより、断熱容器1の耐久性を著しく向上させることができる。
【0101】
例えば、図8(a)の様に、断熱容器1をすっぽり収納可能な保護容器2を用意し、配送に際して箱体とされた断熱容器1を収納してセットで使用する構成を採ることができる。
【0102】
図8(a)に示す保護容器2は、合成樹脂材を成形加工して作製されたもので、上方が開放された箱形状を有し、極めて軽量である。保護容器2は、上部および下部の外面を全周に渡って突出させてフランジ部2a,2bを形成している。従って、フランジ部2aを手掛かりとして保護容器2を容易に持ち運び可能である。また、断熱容器1を保護容器2に収納したまま、係合フラップ18を掴んで蓋部16を開閉することができる。
【0103】
また、保護容器2のフランジ部2bを別の保護容器2のフランジ部2aに重ね合わせて係合可能な構造とされており、保護容器2を多段に積み重ねることができる。従って、配送車などに、断熱容器1を収納した保護容器2を多数積み込む場合でも、多段に積み上げることによって積み込みスペースを有効に利用でき、しかも、断熱容器1に直接過大な荷重が加わることがなく損傷を受けることがない。
【0104】
このように、断熱容器1を軽量化された保護容器2とセットで使用することにより、断熱容器1の耐久性を著しく向上させることが可能となる。
【0105】
更に、図7(e)に示したように、断熱容器1は、周壁部10を最大外寸として8面が重ね合わせられた形状に折り畳み可能である。従って、図8(b),(c)の様に、一つの保護容器2に、折り畳んだ複数の断熱容器1を収納することができる。
【0106】
これにより、複数の断熱容器1を纏めて保護容器2に収納して容易に持ち運ぶことができ、配送に際しての準備作業や回収作業を効率良く行うことができる。また、複数の断熱容器1を保護容器2に整理して保管でき、保管スペースも削減できる。
【0107】
尚、図8で示した保護容器2は、箱形に形成されたものとして述べたが、保護容器2を折り畳み可能な構造とすることにより、準備や回収時における保護容器2の持ち運びが容易となり、保管スペースも削減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明にかかる断熱容器は断熱容器の断熱性能を極めて高くすることができ、冷凍食品、冷蔵食品、常温保存食品全般の保存が同時に可能となりため、多面的な用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱容器の斜視図
【図2】図1のA−A矢視断面図
【図3】本実施の形態の断熱容器の蓋部を閉じる状態を示す斜視図
【図4】図3のC方向部分矢視図
【図5】図3のE−E矢視断面図
【図6】図1のB−B矢視断面図において底面部の係合を解除した状態を示す断面図
【図7】(a)〜(e)は本実施の形態の断熱容器を折り畳む手順を示す斜視図
【図8】(a)は本実施の形態の断熱容器を保護容器に収納した状態を示す斜視図、(b),(c)は、不使用時に折り畳まれた断熱容器を保護容器に収納する状態を示す斜視図
【図9】従来の断熱容器を示す斜視図
【符号の説明】
【0110】
1 折り畳み式断熱容器
2 保護容器
10,13 周壁部
11,15 上側縁
12 下側縁
16 蓋部
17 側縁
18 係合フラップ
18a 面ファスナ
19 面ファスナ
20 面ファスナ
21 底面部
23 折り畳み線
24 係合フラップ
24a 面ファスナ
25 内蓋
27 底面シート
30 シート材
31 真空断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面が、熱貫流率0.1W/m2K以上、4.0W/m2K以下の真空断熱材から構成され、かつ内蓋が取り外し可能な断熱容器。
【請求項2】
内蓋は、それぞれが独立した空間に配置される複数の芯材で構成された真空断熱材から構成されることを特徴とする請求項1に記載の断熱容器。
【請求項3】
断熱容器は、保護容器に収納されるものである請求項1または2に記載の断熱容器。
【請求項4】
断熱容器は、4面の周壁部と底面部と開閉可能な蓋部とを有し、前記各部はいずれもシート材に平板状の真空断熱材を内包して形成され、使用時には、前記各部によって箱体を形成し、不使用時には、前記各部を重ね合わせて折り畳み可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項5】
断熱容器は、互いに折曲可能に方形状に連接された4面の周壁部と、対向する2面の周壁部の上側縁に沿って折曲可能に連接された2面の蓋部と、前記蓋部の連接された2面の周壁部の下側縁に沿って折曲可能に連接された2面の底面部とを備え、前記周壁部、蓋部および底面部は、いずれもシート材に平板状の真空断熱材を内包して形成され、前記蓋部および底面部の連接された周壁部に隣接する2面の周壁部は、略中央部に高さ方向へ延びる折り畳み線に沿って真空断熱材が分割されて折曲可能とされ、使用時には、前記2面の蓋部および底面部を閉姿勢に回動し互いに係合させて箱体とされ、不使用時には、前記蓋部および底面部の係合を解除し、前記底面部を周壁部内方または周壁部外方へ折曲すると共に前記蓋部を底面部とは逆方向へ折曲し、前記折曲可能な周壁部を折り畳み線に沿って内方へ折曲しつつ隣接する周壁部同士を近接させて、前記蓋部、周壁部および底面部を重ね合わせて折り畳み可能とした請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項6】
断熱容器は、前記一方の蓋部には、他方の蓋部へ係合する側縁に沿って、面ファスナを備えた可撓性を有する係合フラップが設けられると共に、他方の蓋部には、前記係合フラップに対応する部位に面ファスナが設けられ、前記2面の蓋部を閉姿勢に回動すると双方の蓋部の側縁同士が突き合わされ、前記一方の蓋部の係合フラップを他方の蓋部に当接させて面ファスナ同士を係合させる請求項1から5のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項7】
断熱容器は、前記折曲可能な2面の周壁部には、上側縁に沿って面ファスナを備えた可撓性を有する係合フラップが横方向よりも上方へ向けて付勢された状態で設けられると共に、前記面ファスナに対応させて前記2面の蓋部に面ファスナが設けられ、前記2面の蓋部を閉姿勢へ向けて回動すると、蓋部が前記係合フラップを押下しつつ当接して面ファスナ同士が係合する請求項1から6のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項8】
断熱容器は、折り畳みに際して、前記底面部を周壁部内方へ折曲すると共に前記蓋部を周壁部外方へ折曲する構成とされ、使用時において前記2面の底面部の外面全面を覆う可撓性を有する底面シートを、前記4面の周壁部の下側縁に沿って取り付けた請求項1から7のいずれか一項に記載の断熱容器。
【請求項9】
冷蔵保存食品と常温保存食品とを一緒に請求項1から8のいずれか一項に記載の断熱容器に詰めて、前記常温保存食品を内蓋で包み冷凍車で運搬する運搬方法。
【請求項10】
冷凍保存食品と冷蔵保存食品と蓄冷材とを一緒に請求項1から9のいずれか一項に記載の断熱容器に詰めて、前記冷凍保存食品と前記蓄冷材とを内蓋で包み常温車で運搬する運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−76624(P2006−76624A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263676(P2004−263676)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】