説明

眼底撮影装置

【課題】ハードウェア構成を変更することなく、光源とイメージセンサとを同期させて撮影を行うことが可能な眼底撮影装置を提供する。
【解決手段】眼底撮影装置1は、撮影光源15を有する照明光学系10と、イメージセンサ37と、光学フィルタと、制御部130とを有する。撮影光源15はフラッシュ光を出力し、照明光学系10はこのフラッシュ光を眼底Efに照射する。イメージセンサ37は、このフラッシュ光の眼底反射光を検出して画像信号を生成する。光学フィルタは、撮影光源15とイメージセンサ37との間の光路に対して挿脱可能とされている。制御部130は、光路に対する光学フィルタの挿入タイミングに基づいて、撮影光源15によるフラッシュ光の出力タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検眼の眼底を撮影する眼底撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の状態を把握するために眼底を撮影する技術が知られている(たとえば特許文献1、2を参照)。眼底の静止画像を撮影する場合には、キセノンランプ等のストロボ光源と、CCD等のイメージセンサとを同期制御する。
【0003】
この同期制御には次のような手法がある。第1の手法は、ストロボ光源とイメージセンサとにそれぞれトリガ信号を入力するものである。第2の手法は、画像ボードや中継基板を用いてこれらを同期させるものである。第3の手法は、イメージセンサにトリガ信号を入力してから所定時間経過後にストロボ光源を発光させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−172156号公報
【特許文献2】特開2002−28136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イメージセンサにはトリガ信号を入力できないものがある。たとえばアナログ方式(NTSC、PAL等)のビデオカメラは、所定の時間間隔で受光及び画像信号の出力を反復する。この場合、上記の第2の手法が用いられる。
【0006】
しかし、第2の手法においては、専用の中継基板を追加するなどハードウェア構成を変更する必要があり、コストの増大や構成の複雑化などの問題を引き起こす。
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ハードウェア構成を変更することなく、光源とイメージセンサとを同期させて撮影を行うことが可能な眼底撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、フラッシュ光を出力する光源を含み、前記フラッシュ光を被検眼の眼底に照射する照明光学系と、前記フラッシュ光の眼底反射光を検出して画像信号を生成する第1のイメージセンサと、前記光源と前記第1のイメージセンサとの間の光路に対して挿脱可能な光学フィルタと、前記光路に対する前記光学フィルタの挿入タイミングに基づいて前記光源による前記フラッシュ光の出力タイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする眼底撮影装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の眼底撮影装置であって、前記光路に対して前記光学フィルタを挿脱する駆動手段を備え、前記制御手段は、前記駆動手段により前記光学フィルタの挿入が開始されたことに対応して計時を開始するタイマを含み、前記タイマにより所定時間が計時されたタイミングを前記挿入タイミングとすることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の眼底撮影装置であって、前記制御手段は、前記光学フィルタが前記光路に配置されていることを検知するセンサを含み、前記センサにより前記光学フィルタが挿入されたと検知されたタイミングを前記挿入タイミングとすることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の眼底撮影装置であって、前記照明光学系は、定常光を出力する定常光源を含み、前記定常光を前記眼底に照射し、前記定常光の眼底反射光を所定の時間間隔で受光して画像信号を生成する第2のイメージセンサを備え、前記制御手段は、前記第2のイメージセンサにより生成された画像信号に基づく動画像を解析して前記挿入タイミングを特定する解析手段を含むことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の眼底撮影装置であって、前記光学フィルタはバンドパスフィルタであり、前記解析手段は、前記動画像の明るさを監視し、その明るさが低下したタイミングを前記挿入タイミングとして特定することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記制御手段は、前記挿入タイミングに基づいて前記光源に前記フラッシュ光の出力を開始させ、前記フラッシュ光を複数回出力させることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の眼底撮影装置であって、前記制御手段は、前記フラッシュ光の出力の開始後、前記光学フィルタが前記光路から退避されるまでの間に前記フラッシュ光を複数回出力させることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の眼底撮影装置であって、前記制御手段は、あらかじめ決められた回数だけ前記フラッシュ光を出力させることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の眼底撮影装置であって、前記制御手段は、前記フラッシュ光の出力の開始からあらかじめ決められた時間だけ前記フラッシュ光の出力を反復させることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記複数回出力されたフラッシュ光の眼底反射光を検出した前記第1のイメージセンサからの複数の画像信号に基づく複数の画像を解析していずれかの画像を選択する選択手段を備えることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の眼底撮影装置であって、前記選択手段は、前記複数の画像のそれぞれの明るさを求め、明るさが最大の画像を選択することを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記第1のイメージセンサは、前記画像信号としてアナログ信号を出力するビデオカメラであることを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記制御手段は、前記光源による前記フラッシュ光の出力タイミングと、前記第1のイメージセンサによる検出タイミングとを同期させることを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記被検眼のまばたきの発生を検知する検知手段を備え、前記制御手段は、前記挿入タイミングの後、前記検知手段によりまばたきの発生が検知されていないときに前記光源にフラッシュ光を出力させることを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の眼底撮影装置であって、前記照明光学系は、定常光を出力する定常光源を含み、前記定常光を前記眼底に照射し、前記第1のイメージセンサは、前記定常光の眼底反射光を所定の時間間隔で受光して画像信号を生成することにより前記眼底の動画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、光路に対する光学フィルタの挿入タイミングに基づいて光源によるフラッシュ光の出力タイミングを制御するように構成されているので、ハードウェアを特別に追加することなく、光源の動作とイメージセンサの動作とを同期させることができる。すなわち、この発明によれば、ハードウェア構成を変更することなく、光源とイメージセンサとを同期させて撮影を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係る眼底撮影装置の実施形態における光学系の構成の一例を表す概略図である。
【図2】この発明に係る眼底撮影装置の実施形態における制御系の構成の一例を表す概略図である。
【図3】この発明に係る眼底撮影装置の実施形態におけるNTSC信号とFI信号との同期関係を表す概略図である。
【図4】この発明に係る眼底撮影装置の実施形態における動作の一例を表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係る眼底撮影装置の実施形態の一例を説明する。なお、この実施形態では眼底カメラについて説明するが、たとえばスリットランプ(細隙灯顕微鏡装置)や眼科手術用顕微鏡のように他の形態の装置であってもよい。
【0012】
[構成]
この実施形態に係る眼底撮影装置の全体構成を図1及び図2に示す。図1は眼底撮影装置1の光学系の構成例を示す。図2は眼底撮影装置の制御系の構成例を示す。
【0013】
眼底撮影装置1には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を形成するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて撮影された眼底Efの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られる眼底Efの静止画像である。この静止画像としては、カラー画像、フルオレセイン蛍光画像、インドシアニングリーン蛍光画像、自発蛍光画像などがある。また、眼底撮影装置1は、被検眼Eの前眼部を撮影することも可能である。
【0014】
眼底撮影装置1には、従来の眼底カメラと同様に、被検者の顔が動かないように支えるための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底撮影装置1には、従来の眼底カメラと同様に照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(イメージセンサ37、43)に導く。
【0015】
(光学系)
照明光学系10の観察光源11は、定常光を出力する定常光源である。観察光源11は、たとえばハロゲンランプやLED(Light Emitting Diode)により構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、対物レンズ22を経由して眼底Efを照明する。なお、光学フィルタ部23については後述する。
【0016】
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ダイクロイックミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー35により反射され、集光レンズ36によりイメージセンサ37の受光面に結像される。イメージセンサ37は、所定の時間間隔で眼底反射光を検出し、電気信号(画像信号)を生成して出力する。
【0017】
ダイクロイックミラー33は、イメージセンサ37を通る光路と、LCD(Liquid Crystal Display)38を通る光路とを合成するものである。ダイクロイックミラー33は、これら光路から退避できるように構成されていてもよい。その場合、観察照明光はダイクロイックミラー33を経由することなくイメージセンサ37に導かれる。また、光学フィルタ部34については後述する。
【0018】
撮影光源15は、フラッシュ光(ストロボ光、瞬間光などとも呼ばれる)を出力する。撮影光源15は、たとえばキセノンランプやLEDにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。この撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光と同様の経路を通ってダイクロイックミラー32に導かれる。
【0019】
眼底反射光が赤外光の場合、眼底反射光はダイクロイックミラー32により反射され、観察照明光と同様の経路を通ってイメージセンサ37により検出される。他方、眼底反射光が可視光の場合、眼底反射光はダイクロイックミラー32を透過し、ミラー40により反射され、集光レンズ42によりイメージセンサ43により検出される。なお、光学フィルタ部41については後述する。
【0020】
光学フィルタ部23、34、41について説明する。各光学フィルタ部23、34、41には、各種用途の光学フィルタが設けられている。光学フィルタとしては、蛍光撮影用のもの、レッドフリー撮影用のものなどがある。蛍光撮影用の光学フィルタとしては、自発蛍光撮影(FAF)用のもの、フルオレセイン蛍光撮影(FA)用のもの、インドシアニングリーン撮影(ICG)用のものなどがある。なお、光学フィルタはこれらに限定されるものではなく、眼科分野での各種撮影手法に用いられる光学フィルタであればよい。
【0021】
具体例として蛍光撮影用のフィルタについて説明する。光学フィルタ部23には、FAF用エキサイタフィルタ、FA用エキサイタフィルタ、ICG用エキサイタフィルタが設けられている。これらエキサイタフィルタは、それぞれ、照明光学系10の光路に対して挿脱可能とされている。光学フィルタ部34には、FAF用バリアフィルタが設けられている。このバリアフィルタは、ダイクロイックミラー32とイメージセンサ37とを結ぶ光路に対して挿脱可能とされている。光学フィルタ部41には、FA用バリアフィルタとICG用バリアフィルタとが設けられている。これらバリアフィルタは、それぞれ、ダイクロイックミラー32とイメージセンサ43とを結ぶ光路に対して挿脱可能とされている。
【0022】
LCD38は、固視標や視力測定用視標などの各種視標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための視標であり、眼底Efの観察時や撮影時などに使用される。なお、LCD38に代えて、LEDを含んで構成される内部固視標を設けてもよい。
【0023】
更に、眼底撮影装置1には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(xy方向のアライメント)を行うための視標(アライメント視標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための視標(スプリット視標)を生成する。
【0024】
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
【0025】
アライメント光の角膜反射光は、観察照明光の眼底反射光と同様の光路を経由してイメージセンサ37の受光面に投影される。イメージセンサ37による受光像(アライメント視標像)は、観察画像とともに表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。アライメント視標像の位置を解析して光学系を移動させることにより自動的にアライメントを行うようにしてもよい。
【0026】
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット視標板63により二つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、対物レンズ22により眼底Efに結像される。
【0027】
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってイメージセンサ37により検出される。イメージセンサ37による受光像(スプリット視標像)は、観察画像とともに表示される。眼底撮影装置1は、従来と同様に、スプリット視標像の位置を解析して合焦レンズ31等を移動させることによりピント合わせを行う。また、スプリット視標像を視認しつつ手動でピント合わせを行うようにしてもよい。
【0028】
符号70は、被検眼Eのまばたきの発生を検知するための受光素子である。この受光素子はたとえばフォトディテクタである。このまばたき検知処理は、たとえば従来と同様に被検眼Eによる観察照明光の反射光の強度に基づいて行われる。受光素子70は、被検眼Eからの反射光の強度を監視する。これは、被検眼Eがまばたきをすると、まばたきをしていない状態よりも強度が高まることを利用した技術である。
【0029】
この実施形態では2台の撮像装置を用いているが、この発明に係る眼底撮影装置は少なくとも1台の撮像装置を有するものであればよい。また、この眼底撮影装置(眼底カメラ)は、散瞳タイプ又は無散瞳タイプのいずれであってもよい。
【0030】
(制御系)
眼底撮影装置1の制御系について説明する。この制御系の構成例を図2に示す。図2には、FAF撮影時の制御に関する構成が示されている。
【0031】
観察用のイメージセンサ37は、アナログの画像信号(映像信号)を出力するビデオカメラであるとする。イメージセンサ37は、光電変換機能を有する撮像素子である。イメージセンサ37は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成される。
【0032】
フィルタ駆動部23Aは、光学フィルタ部23の光学フィルタ(特にFAF用エキサイタフィルタ)を光路に対して挿脱する。フィルタ駆動部23Aは、たとえば複数の光学フィルタが装着されたターレット板と、それを回転させるパルスモータ等のアクチュエータとを含んで構成される。フィルタ駆動部34Aは、光学フィルタ部34の光学フィルタ(特にFAF用バリアフィルタ)を光路に対して挿脱する。フィルタ駆動部34Aは、たとえばソレノイド等のアクチュエータを含んで構成される。
【0033】
眼底撮影装置1の制御系は、制御基板100、画像ボード200及びボードPC300を含んで構成される。モニタ400は、たとえばLCD等の表示デバイスである。
【0034】
(制御基板100)
制御基板100は、イメージセンサ37から出力された画像信号を受信し、この画像信号に対して各種信号処理を施す。更に、制御基板100は、眼底撮影装置1の各部を制御する。特に、制御基板100は、観察光源11、撮影光源15、合焦レンズ31、フィルタ駆動部23A、34A、ダイクロイックミラー33、撮影用のイメージセンサ43、LED51、LED61、反射棒67などを制御する。また、制御基板100には、受光素子70から電気信号が入力される。制御基板100には、分岐部110、FI信号生成部120及び制御部130が設けられている。上記制御は制御部130により実行される。
【0035】
分岐部110は、イメージセンサ37から出力された画像信号を、FI信号生成部120と画像ボード200にそれぞれ送信する。この画像信号はNTSC方式のアナログ信号であるとする。以下、このアナログ信号をNTSC信号と呼ぶことがある。
【0036】
FI信号生成部120は、分岐部110から入力された画像信号に基づいてFI信号を生成する。FI信号とはフィールドインデックス(Field Index)信号である。NTSC方式では、一枚のフレームは二枚のフィールド(奇数フィールドと偶数フィールド)により構成される。FI信号は、NTSC信号における各フィールドのタイミングを表す信号である。NTSC信号とFI信号との同期関係の例を図3に示す。FI信号生成部120は、生成されたFI信号を制御部130に送信する。FI信号生成部120は、たとえばフィールドインデックス回路により構成される(たとえば特開平05−191670号公報、特開2002−335420号公報などを参照)。
【0037】
制御部130は、FI信号生成部120から入力されたFI信号等に基づいて撮影光源15を制御する。この制御の詳細については後述する。また、制御部130は、光学フィルタ(ここではFAF用バリアフィルタ)が光路に完全に挿入されたタイミングで、ボードPC300に通知信号を送信する。このタイミングは「挿入タイミング」に相当する。また、制御部130には計時機能を有するタイマが設けられている(図示せず)。
【0038】
画像ボード200は、分岐部110から入力されたNTSC信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、このデジタル信号をボードPC300に送信する。画像ボード200はA/D変換回路を含んで構成される。
【0039】
ボードPC300は、挿入タイミングの通知信号を受けて、画像ボード200からのデジタル信号に基づくフレームを順次に画像メモリ310に記憶させる。また、ボードPC300は、画像メモリ310に記憶された各フレームに基づく静止画像や、これらフレーム群に基づく動画像を、モニタ400に表示させる。
【0040】
ボードPC300の画像選択部320は、画像メモリ310に記憶されている画像(フレーム)を解析し、それらのうちのいずれかを選択する。具体例として、画像選択部320は、画像メモリ310に記憶されている各画像の明るさを求め、明るさが最大の画像を選択する。明るさは、画像の画素値(輝度値)に基づいて求めることができる。このとき、各画像の全ての画素の輝度値を考慮すると処理が長引くおそれがあるため、各画像の所定部分(たとえば中心領域など)のみを解析するようにしてもよい。また、画像において輝度値が大きい部分(たとえば最大輝度値の画素や所定閾値以上の画素)に基づいて当該画像の明るさを求めることができる。明るさは、これらには限定されず、画像が(全体として又は部分的に)どの程度の明るさも持っているか評価するための指標であればよい。
【0041】
また、眼底の特定部位(たとえば視神経乳頭、血管、黄斑部等)に相当する画像領域を各画像から抽出し、その画像領域の明るさに基づいて当該画像の明るさを評価するようにしてもよい。また、画像を選択するための評価指標は明るさには限定されず、画質を評価するための任意の指標(たとえば先鋭度等)を評価指標として用いることが可能である。
【0042】
なお、画像メモリ310に記憶されている画像は、フラッシュ光を用いて取得されたものには限定されず、定常光を用いて取得されて画像が含まれていてもよい。
【0043】
操作部500は、操作指示や情報入力に用いられ、モニタ400とともにユーザインターフェイスを構成する。操作部500は、撮影トリガボタンや各種スイッチ等のハードウェアを含んで構成される。また、モニタ400等がタッチパネルディスプレイである場合、操作部500は、このタッチパネルディスプレイとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部500に対する操作内容は、電気信号として制御基板100に入力される。
【0044】
[動作]
眼底撮影装置1の動作を説明する。ここでは、FAF撮影における動作の一例を説明する。この実施形態では、撮影光源15と観察用のイメージセンサ37とを用いてFAF撮影を行う。なお、他の撮影態様においても同様の処理を実行できる。
【0045】
まず、従来と同様に、アライメント視標を用いて被検眼Eに対する光学系のアライメントを行うとともに、スプリット視標を用いて眼底Efに対するフォーカス調整を行う。このとき、光学フィルタ部23におけるFAF用エキサイタフィルタは、赤外光を透過する特性を持っているので、光路に挿入されていてもよい。
【0046】
以下、観察光源11は定常光を出力し続け、イメージセンサ37はその眼底反射光を所定の時間間隔で検出し続けているものとする。すなわち、眼底撮影装置1は、所定のフレームレートの眼底Efの赤外動画像(観察画像)を取得し続けているものとする。
【0047】
ここで、図4に示すタイミングチャートを参照する。アライメント及びフォーカス調整の終了後、検者は所望のタイミングで撮影トリガボタン(操作部500)を押下して撮影開始を指示する(時間T1)。
【0048】
撮影トリガボタンからの電気信号を受けた制御部130は、図示しない駆動機構を制御してダイクロイックミラー33を光路から退避させるとともに、フィルタ駆動部34Aを制御してFAF用バリアフィルタの光路への挿入を開始させる(時間T2)。更に、制御部130は、撮影トリガボタンからの電気信号を受けたことに対応して、前述のタイマによる計時を開始する(時間T2)。
【0049】
タイマがあらかじめ決められた時間(所定時間)を計時すると、制御部130は、フィルタ挿入通知信号をボードPC300に送信する(時間T3)。このフィルタ挿入通知信号は、FAF用バリアフィルタが光路に完全に挿入されたことを示す信号である。上記の所定時間は、FAF用バリアフィルタの挿入開始から完全に挿入されるまでの時間以上に設定される。この所定時間は、たとえば、FAF用バリアフィルタの挿入動作を時間を計りつつ実際に行うことによって取得できる。フィルタ駆動部34Aがソレノイドである場合、この所定時間(ΔT23=T3−T2)は、たとえば100ms程度に設定される。
【0050】
ところで、イメージセンサ37からの画像信号は、分岐部110と画像ボード200を経由してボードPC300に入力されている。フィルタ挿入通知信号を受けたボードPC300は、画像ボード200から順次に入力される画像信号に基づくフレームをそれぞれ画像メモリ310に記憶させる。
【0051】
また、FI信号生成部120は、分岐部110から入力される各画像信号に基づいてFI信号を生成し、順次、制御部130に送信する。
【0052】
制御部130には、FI信号に加え、受光素子70からの電気信号が入力される。制御部130は、この電気信号に基づいて被検眼Eのまばたきの発生を監視する。更に、撮影光源15がキセノンランプである場合などにおいて、制御部130は充電回路の充電状態を監視する。制御部130は、FI信号が入力され、まばたきが発生しておらず、かつ充電が完了しているタイミングで、撮影光源15にフラッシュ光を出力させる(時間T4)。
【0053】
挿入タイミング(時間T3)からフラッシュ発光までの時間(ΔT34)は、たとえば30〜60ms程度である。よって、FAF用バリアフィルタの挿入開始(時間T2)からフラッシュ発光までの時間(ΔT24)は、たとえば130〜160ms程度である。
【0054】
フラッシュ発光の終了後、制御部130はFAF用バリアフィルタの光路からの退避を開始する(時間T5)。FAF用バリアフィルタの退避が完了したら、制御部130はフィルタ挿入通知信号の送信を終了する(時間T6)。これを受けて、ボードPC300は、画像メモリ310へのフレームの記憶を終了する。
【0055】
なお、挿入開始タイミング(時間T3)から、又はフラッシュ発光の開始(時間T4)から、フィルタ挿入通知信号の送信終了(時間T6)までの間に、フラッシュ光を複数回出力させることも可能である。
【0056】
以上のような処理を行うことにより、画像メモリ310には、フィルタ挿入通知信号が通知されている間に取得された複数のフレームが記憶される。画像選択部320は、画像メモリ310に記憶されているフレームを解析し、これらのうちのいずれかを選択する。
【0057】
図4に示す例においては、時間T3から時間T6の間にフレームF1〜F4が生成されて画像メモリ310に記憶されている。画像選択部320は、各フレームF1〜F4を解析してその明るさを表す指標を求め、この指標に基づいてフレームF1〜F4のうちの1つを選択する。フレームF1、F2、F4は、それぞれフラッシュ光ではなく定常光を用いて取得された画像である。また、FAF用バリアフィルタが挿入された状態で撮影されているので、フレームF1、F2、F4は暗い画像となる。一方、フレームF3は、フラッシュ光で撮影された画像であり、かつ自発蛍光に相当する波長成分を含んでいるので、フレームF1、F2、F4よりも明るい画像となる。したがって、画像選択部320はフレームF3を選択することとなる。なお、解析対象となるフレームの数(つまり当該期間に取得されるフレームの数)は任意であり、実際はたとえば7、8枚程度が解析対象とされる。
【0058】
画像選択部320により選択されたフレームは、FAF撮影画像として診断に用いられる。なお、2枚以上のフレームを選択してもよい。また、選択されたフレームをモニタ400に表示させ、検者がその適否を確認するようにしてもよい。表示されたフレームが適当でない場合、画像の選択処理を再度行うようにしてもよい。それでも適当な画像が得られない場合には、再度撮影を行うことができる。
【0059】
[作用・効果]
眼底撮影装置1の作用及び効果を説明する。
【0060】
眼底撮影装置1は、撮影光源15を有する照明光学系10と、イメージセンサ37と、FAF用の光学フィルタ(特にバリアフィルタ)と、制御部130とを有する。撮影光源15はフラッシュ光を出力し、照明光学系10はこのフラッシュ光を眼底Efに照射する。イメージセンサ37は、このフラッシュ光の眼底反射光を検出して画像信号を生成する。イメージセンサ37は「第1のイメージセンサ」に相当する。FAF用バリアフィルタは、撮影光源15とイメージセンサ37との間の光路に対して挿脱可能とされている。制御部130は、光路に対するFAF用バリアフィルタの挿入タイミングに基づいて、撮影光源15によるフラッシュ光の出力タイミングを制御する。なお、制御部130は制御基板100に設けられている。
【0061】
このような眼底撮影装置1によれば、FAF用バリアフィルタの挿入タイミングに基づいて、撮影光源15によるフラッシュ光の出力タイミングを制御して撮影を行うことが可能である。そして、この制御は既存の制御基板100によって行うことができる。したがって、この実施形態によれば、中継基板等のハードウェアを特別に追加することなく、光源の動作とイメージセンサの動作とを同期させることができる。すなわち、この実施形態によれば、ハードウェア構成を変更することなく、光源とイメージセンサとを同期させて撮影を行うことができる。
【0062】
また、眼底撮影装置1は、光路に対してFAF用バリアフィルタを挿脱するフィルタ駆動部34A(駆動手段)を有する。制御部130は、FAF用バリアフィルタの挿入が開始された(時刻T3)ことに対応して計時を開始するタイマを含む。更に、制御部130は、タイマにより所定時間(ΔT23)が計時されたタイミングを挿入タイミングとして、フラッシュ光の出力を制御する。このような構成によれば、フラッシュ光を適当なタイミングで出力することが可能である。また、FAF用バリアフィルタが光路に配置されていることを検知するセンサ等のハードウェアを追加する必要がない。
【0063】
また、制御部130は、FAF用バリアフィルタの挿入タイミングに基づいて、撮影光源15にフラッシュ光の出力を開始させ、フラッシュ光を複数回出力させる。それにより、フラッシュ光を用いた撮影画像が複数枚得られる。したがって、フラッシュ光の出力タイミングとイメージセンサ37による検出タイミングとが一致した画像が得られる可能性が高まる。
【0064】
更に、制御部130は、フラッシュ光の出力の開始後、FAF用バリアフィルタが光路から退避されるまでの間に、フラッシュ光を複数回出力させる。この構成によれば、フラッシュ光の出力タイミングとイメージセンサ37による検出タイミングとが一致した画像を容易かつ確実に選択することが可能となる。すなわち、選択されるべき画像は高画質のもの、特に充分な明るさを有するものである必要がある。また、フラッシュ光と定常光とでは強度に大きな差がある(フラッシュ光の方が明るい)。更に、定常光には自発蛍光の励起波長が含まれていないか、又は含まれているとしてもその強度は非常に低い。よって、定常光の眼底反射光はそのほとんどがFAF用バリアフィルタにより遮られる。他方、フラッシュ光によれば、通常のFAF撮影と同様の自発蛍光画像が得られる。したがって、これらの画像のうちから好適な自発蛍光画像を選択する処理を容易かつ確実に行うことが可能となる。なお、FAF用バリアフィルタの挿入及び退避のタイミングは、フィルタ挿入通知信号によって制御される。
【0065】
また、眼底撮影装置1は、複数回出力されたフラッシュ光の眼底反射光を検出したイメージセンサ37からの複数の画像信号に基づく複数の画像(つまり画像メモリ310に記憶されたフレーム)を解析し、これらのうちのいずれかの画像を選択する画像選択部320(選択手段)を有する。それにより、目的の画像を自動的に選択することが可能となる。なお、画像選択部320を設けない場合には、上記複数の画像をモニタ400に表示させ、検者が所望の画像を選択するように構成することが可能である。
【0066】
更に、画像選択部320は、上記複数の画像のそれぞれの明るさを求め、明るさが最大の画像を選択するように構成される。それにより、適当な明るさの画像を自動で選択することが可能である。なお、明るさが最大の画像を選択する処理は、たとえば蛍光撮影のように一般的に暗い画像を取得する場合に特に有効と言える。
【0067】
また、イメージセンサ37は、画像信号としてアナログ信号を出力するビデオカメラであってよい。このようなビデオカメラは、所定の時間間隔で受光及び画像信号の出力を反復するものであり、受光等のタイミングを制御するトリガ信号を入力できないものもある。本実施形態によれば、このようなビデオカメラであっても、フラッシュ光の出力タイミングとイメージセンサ37による検出タイミングとが一致した画像を取得することが可能である。また、トリガ信号で制御可能なビデオカメラであっても、トリガ信号を用いることなく同様の画像を取得することが可能である。
【0068】
また、眼底撮影装置1は、被検眼Eのまばたきの発生を検知する受光素子70(検知手段)を有する。制御部130は、FAF用バリアフィルタの挿入タイミングの後、受光素子70によりまばたきの発生が検知されていないときに、撮影光源15にフラッシュ光を出力させる。それにより、まばたきにより不適当な画像が得られる可能性を排除することができる。つまり、フラッシュ光を用いた撮影画像を確実に取得することが可能となる。
【0069】
また、照明光学系10は、定常光を出力する観察光源11(定常光源)を含み、この定常光を眼底Efに照射する。イメージセンサ37は、定常光の眼底反射光を所定の時間間隔で受光して画像信号を生成することにより眼底の動画像(観察画像)を生成する。すなわち、イメージセンサ37は、FAF撮影画像の取得と観察画像の取得とに兼用される。それにより、光学系の構成を簡略化することができる。
【0070】
[変形例]
この発明に係る眼底撮影装置は以上に説明したものに限定されるものではない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形を施すことが可能である。以下、上記実施形態の眼底撮影装置の変形例を説明する。なお、上記実施形態と同様の構成部分についての説明は割愛することがある。上記実施形態と同様の構成部分を同じ符号で示すことにする。
【0071】
(第1変形例)
光学フィルタの挿入タイミングは、上記実施形態のそれには限定されない。その一例として、光学フィルタが光路に配置されていることを検知するセンサを設け、その検知タイミングを光学フィルタの挿入タイミングとすることができる。このセンサは、たとえばポテンショメータである。このセンサは、光学フィルタが光路に配置されたことを検知して電気信号を制御部130に入力する。制御部130は、このセンサからの電気信号を受けたタイミングを光学フィルタの挿入タイミングとして上記実施形態と同様の制御を行う。
【0072】
このような変形例によれば、光学フィルタが光路に配置されていることを確実に検知することができる。なお、この変形例では、制御手段は制御部130とセンサとを含む。
【0073】
(第2変形例)
光学フィルタの挿入タイミングの他の例を説明する。照明光学系10には、定常光を出力する観察光源11(定常光源)が設けられている。照明光学系10は、この定常光をEf眼底に照射する。
【0074】
また、この変形例には、定常光の眼底反射光を所定の時間間隔で受光して画像信号を生成する第2のイメージセンサが設けられる。なお、第2のイメージセンサは、第1のイメージセンサと同じものであってもよいし、別のものであってもよい。ここでは、これらは同じイメージセンサ37であるとして説明する。
【0075】
この変形例の眼底撮影装置は、イメージセンサ37により生成された画像信号に基づく動画像を解析して挿入タイミングを特定する解析手段を有する。この解析手段は、たとえば制御基板100やボードPC300に設けられる。この解析手段は制御手段の一部である。
【0076】
解析手段が実行する処理の例を説明する。光学フィルタはバンドパスフィルタであるとする。なお、上記実施形態に記載された光学フィルタは全てバンドパスフィルタである。また、解析手段は、動画像の明るさを監視する。明るさを監視するとは、動画像の各フレームの明るさを順次に求めることをいう。フレームの明るさの求め方については上記実施形態と同様である。
【0077】
解析手段は、フレームの明るさが低下したタイミングを光学フィルタの挿入タイミングとして特定する。光学フィルタはバンドパスフィルタであるから、これを透過することにより光の強度が低下する。つまり画像の明るさが低下する。解析手段は、この現象を利用して、画像の明るさの低下タイミングを光学フィルタの挿入タイミングとするものである。
【0078】
フレームの明るさの低下は任意の手法で検出される。たとえば、一のフレームの明るさがその直前のフレームの明るさよりも所定値以上低下したことを検出するように構成することができる。他の手法として、一のフレームの明るさが所定閾値以下になったことを検出するように構成することもできる。
【0079】
なお、フレームの明るさ以外にも、上記実施形態に記載されているような任意の画質評価指標を適用して同様の処理を行うようにしてもよい。
【0080】
このような変形例によれば、第1変形例のようなハードウェア(センサ)を追加せずに光学フィルタの挿入タイミングを特定することが可能である。
【0081】
(第3変形例)
上記実施形態では、フラッシュ光の出力の開始後、光学フィルタが光路から退避されるまでの間にフラッシュ光を複数回出力させるようになっている。しかし、フラッシュ光を複数回出力させる構成はこれには限定されない。
【0082】
たとえば、光学フィルタの挿入タイミングに基づいて、あらかじめ決められた回数だけフラッシュ光を出力させるように構成できる。この回数は、画像選択処理の確実性や処理時間を鑑みて任意に設定される。
【0083】
この構成を適用する場合、フラッシュ光を所定回数出力させた後に光学フィルタを光路から退避させることが望ましい。この制御は、制御部130により実行される。画像選択処理等については上記実施形態と同様にして行うことができる。
【0084】
このような変形例によれば、フラッシュ光を用いた撮影画像を所望の枚数取得することが可能である。また、画像選択処理を好適に行うことが可能である。
【0085】
(第4変形例)
フラッシュ光を複数回出力させる構成の他の例を説明する。フラッシュ光の出力の開始からあらかじめ決められた時間だけフラッシュ光の出力を反復させるように構成することが可能である。この時間は、画像選択処理の確実性や処理時間を鑑みて任意に設定される。この制御は制御部130により実行される。制御部130は、フラッシュ光の出力の開始タイミングで計時を開始するタイマを有する。タイマによる計時時間が所定時間に達するまで、制御部130は撮影光源15にフラッシュ光を繰り返し出力させる。計時時間が所定時間に達したら、フラッシュ光の出力は停止される。
【0086】
このような変形例によれば、フラッシュ光を用いた撮影画像を所望の時間に応じた枚数取得することが可能である。また、画像選択処理を好適に行うことが可能である。
【0087】
(第5変形例)
上記実施形態では、アナログ方式のビデオカメラを用いる場合について特に詳しく説明した。しかし、トリガ信号の入力が可能なイメージセンサ、特にデジタル方式のカメラに対してこの発明を適用することも可能である。
【0088】
イメージセンサ37は、外部から入力される制御信号に基づいて動作可能であるとする。この場合、制御部130は、撮影光源15によるフラッシュ光の出力タイミングと、イメージセンサ37による検出タイミングとを同期させることにより、眼底撮影を実行させる。
【0089】
このような変形例によれば、トリガ信号の入力が可能なイメージセンサを用いることを条件として、光源とイメージセンサとを同期制御することができる。したがって、上記実施形態のように複数のフレームを取得したり、それらのうちから好適な画像を選択したりする必要がなくなる。
【0090】
(第6変形例)
制御部130がフィルタ挿入通知信号をボードPC300に送信するタイミングと、ボードPC300がフィルタ挿入通知信号を受けてフレームの記憶を開始するタイミングとの間にタイムラグが発生することがある。したがって、制御部130は、フィルタ挿入通知信号の送信後、所定のフレーム枚数に対応する時間だけフラッシュ光を出力させないようにすることができる。つまり、制御部130は、フィルタ挿入通知信号の送信後、所定のフレーム枚数に対応する時間を計時し、その時間の経過後にフラッシュ光の出力を開始させることができる。なお、このフレーム枚数は基板間における情報の伝送時間(伝送速度等)を考慮して任意に設定される。このフレーム枚数はたとえば1枚である。
【符号の説明】
【0091】
1 眼底撮影装置
10 照明光学系
11 観察光源
15 撮影光源
23 光学フィルタ部
23A フィルタ駆動部
30 撮影光学系
34 光学フィルタ部
34A フィルタ駆動部
37 イメージセンサ
70 受光素子
100 制御基板
110 分岐部
120 FI信号生成部
130 制御部
200 画像ボード
300 ボードPC
310 画像メモリ
320 画像選択部
400 モニタ
500 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュ光を出力する光源を含み、前記フラッシュ光を被検眼の眼底に照射する照明光学系と、
前記フラッシュ光の眼底反射光を検出して画像信号を生成する第1のイメージセンサと、
前記光源と前記第1のイメージセンサとの間の光路に対して挿脱可能な光学フィルタと、
前記光路に対する前記光学フィルタの挿入タイミングに基づいて前記光源による前記フラッシュ光の出力タイミングを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする眼底撮影装置。
【請求項2】
前記光路に対して前記光学フィルタを挿脱する駆動手段を備え、
前記制御手段は、前記駆動手段により前記光学フィルタの挿入が開始されたことに対応して計時を開始するタイマを含み、前記タイマにより所定時間が計時されたタイミングを前記挿入タイミングとすることを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記光学フィルタが前記光路に配置されていることを検知するセンサを含み、前記センサにより前記光学フィルタが挿入されたと検知されたタイミングを前記挿入タイミングとすることを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影装置。
【請求項4】
前記照明光学系は、定常光を出力する定常光源を含み、前記定常光を前記眼底に照射し、
前記定常光の眼底反射光を所定の時間間隔で受光して画像信号を生成する第2のイメージセンサを備え、
前記制御手段は、前記第2のイメージセンサにより生成された画像信号に基づく動画像を解析して前記挿入タイミングを特定する解析手段を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼底撮影装置。
【請求項5】
前記光学フィルタはバンドパスフィルタであり、
前記解析手段は、前記動画像の明るさを監視し、その明るさが低下したタイミングを前記挿入タイミングとして特定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の眼底撮影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記挿入タイミングに基づいて前記光源に前記フラッシュ光の出力を開始させ、前記フラッシュ光を複数回出力させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記フラッシュ光の出力の開始後、前記光学フィルタが前記光路から退避されるまでの間に前記フラッシュ光を複数回出力させることを特徴とする請求項6に記載の眼底撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、あらかじめ決められた回数だけ前記フラッシュ光を出力させることを特徴とする請求項6に記載の眼底撮影装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記フラッシュ光の出力の開始からあらかじめ決められた時間だけ前記フラッシュ光の出力を反復させることを特徴とする請求項6に記載の眼底撮影装置。
【請求項10】
前記複数回出力されたフラッシュ光の眼底反射光を検出した前記第1のイメージセンサからの複数の画像信号に基づく複数の画像を解析していずれかの画像を選択する選択手段を備えることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
【請求項11】
前記選択手段は、前記複数の画像のそれぞれの明るさを求め、明るさが最大の画像を選択することを特徴とする請求項10に記載の眼底撮影装置。
【請求項12】
前記第1のイメージセンサは、前記画像信号としてアナログ信号を出力するビデオカメラであることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記光源による前記フラッシュ光の出力タイミングと、前記第1のイメージセンサによる検出タイミングとを同期させることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
【請求項14】
前記被検眼のまばたきの発生を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記挿入タイミングの後、前記検知手段によりまばたきの発生が検知されていないときに前記光源にフラッシュ光を出力させる、
ことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。
【請求項15】
前記照明光学系は、定常光を出力する定常光源を含み、前記定常光を前記眼底に照射し、
前記第1のイメージセンサは、前記定常光の眼底反射光を所定の時間間隔で受光して画像信号を生成することにより前記眼底の動画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の眼底撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−217567(P2012−217567A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85252(P2011−85252)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)