説明

眼科撮影装置

【課題】 被検者眼の前眼部や眼底等における局所的な部位を撮影する場合に、診断や確認等に必要な撮影画像を過不足なく取得することができ、取得した撮影画像同士の関連性を把握することができる眼科撮影装置を提供する。
【解決手段】 眼科撮影装置は、固視標を用いて固視させた状態にある被検者眼に対して照明光を照射するための第1光源と、第1光源で照明された被検者眼を撮影して被検者眼の第1の撮影画像を得るための第1撮影ユニットと、第1撮影ユニットで撮影される部位を移動させる偏向手段と、被検者眼に対する第1撮影画像の位置情報を、第1撮影画像と対応付けて記憶させる記憶部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者眼の観察及び撮影を行う眼科撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者眼に対して2次元的にレーザ光を走査し、その反射光を受光して、患者眼の眼底を細胞レベルの高倍率で撮影することができる眼科撮影装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、被検者眼の眼底画像を撮影するための撮影ユニットと、撮影ユニットで撮影された眼底画像よりも高倍率な眼底画像を得るための高倍率撮影ユニットとを備え、高倍率撮影ユニットには被検者眼の収差を取り除くための波面補償部を設ける。これにより、高倍率撮影ユニットで撮影された高倍率の眼底画像から収差が好適に取り除かれて、細胞レベルでの眼底観察が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010‐259543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような装置によって撮影される高倍率の撮影画像は眼底の局所的な部位を撮影しているため、診断や検査等に必要な情報を得ようとする場合には眼底をある程度の広い範囲で複数回撮影を行う必要がある。また、高倍率の撮影画像ではなくても被検者眼の局所的な部位を撮影する場合、全体を把握するために所定の範囲で複数回撮影を行う場合もある。しかしながら、診断や検査等に必要とされる領域を撮影したとしても、得られた複数の撮影画像同士が関連性を持った状態で把握されなければならない。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、被検者眼の前眼部や眼底等における局所的な部位を撮影する眼科撮影装置において、診断や確認等に必要な撮影画像を過不足なく取得することができ、取得した撮影画像同士の関連性を把握することのできる眼科撮影装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 固視標を用いて固視させた状態にある被検者眼に対して照明光を照射するための第1光源を有し,該第1光源で照明された被検者眼を撮影して該被検者眼の第1の撮影画像を得るための第1撮影ユニットと、該第1撮影ユニットで撮影される部位を移動させる偏向手段を備え、前記被検者眼に対する前記第1撮影画像の位置情報を前記第1撮影画像と対応付けて記憶させる記憶部と、を有することを特徴とする。
(2) (1)に記載の眼科撮影装置は、被検者眼に対して照明光を照射するための第2光源を有し、該第2光源で照明された被検者眼を第1撮影ユニットによる撮影画角よりも広い範囲で撮影する第2撮影ユニットと、該第2撮影ユニットにて得られた第2撮影画像が表示される表示部と、を有することを特徴とする。
(3) (2)の眼科撮影装置は、前記記憶部に記憶された前記位置情報を用いて、前記第2撮影画像又は該第2撮影画像と同程度の画角で撮影された前記被検者眼の撮影画像上に前記第1撮影画像の縮小画像又は該第1撮影画像の撮影位置を示すマークを画像処理により合成して前記表示部に表示させる表示制御部を備えることを特徴とする。
(4) (3)の眼科撮影装置において、前記第1撮影ユニットは前記第2撮影画像よりも高倍率な撮影画像を得るための撮影ユニットであることを特徴とする。
(5) (3)または(4)に記載の眼科撮影装置において、さらに前記表示制御部は前記第1撮影ユニットにより得られた複数の前記第1撮影画像同士を画像処理により繋ぎ合わせて一枚の画像として前記表示部に表示させるために前記位置情報を用いることを特徴とする。
(6) (5)の眼科撮影装置において、前記第1撮影ユニットは、前記第1光源と,該第1光源からの照明光を前記眼底にて走査するための走査部とを有する照明光学系と、前記第1光源または該第1光源とは別の光源で照明された前記眼底からの反射光の少なくとも一部を受光して前記被検者眼の波面収差を検出する波面センサと,該波面センサの検出結果に基づき波面収差を補償する波面補償素子とを有する波面補償部と、該波面補償部により波面補償された状態で前記照明光学系により照明された前記眼底からの反射光を受光することにより前記第1撮影画像を得るための撮影光学系と、を備えることを特徴とする。
(7) (2)乃至(6)に記載の眼科撮影装置は、前記表示部に表示された前記第2撮影画像に対してさらに狭い領域の撮影部位の範囲を設定する設定部と、該設定部により設定された前記撮影部位の範囲に対して前記第1撮影画像が得られるように前記第1撮影ユニット及び前記偏向手段を制御するための制御手段と、を有することを特徴とする。
(8) (7)に記載の眼科撮影装置において、前記設定部により設定された前記撮影部位の範囲は前記第1撮影画像の撮影画角よりも広い範囲とされ、さらに前記眼科撮影装置は、前記第1撮影ユニットによる第1撮影画像を得るための撮影位置を前記撮影部位の範囲において順次変えながら連続的に撮影するための撮影位置変更手段を有することを特徴とする。
(9) (2)乃至(8)に記載の眼科撮影装置は、別途設定された装置の基準光軸に関して第2撮影画角よりも広い撮影部位に対して第2の撮影画像を取得することを特徴とする。
(10) (2)乃至(9)の眼科撮影装置は、さらに、前記第2撮影ユニットによる撮影で得られる前記眼底の所定部位の経時的な位置ずれを検出することで移動位置情報を得るための位置検出部をもつことを特徴とする。
(11) (10)の眼科撮影装置は、前記第1光源及び前記第2光源からの照明光の少なくとも一つを所定の角度で偏向させるための偏向部と、前記位置検出部で得られた前記移動位置情報に基づき眼底の位置ずれを補正するように前記偏向部の駆動制御を行う駆動制御部とを、備えることを特徴とする。
(12) (2)乃至(11)に記載の眼科撮影装置において、前記位置情報は、前記第2撮影画像に対する前記第1撮影画像の位置情報,前記固視標の位置情報,及び前記被検者眼に対する装置の撮影位置情報のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。
(13) (1)乃至請求項(12)に記載の眼科撮影装置において、前記第1撮影ユニットにより得られた複数の撮影画像を積算処理,平均化処理,及び選択処理の少なくとも一つの処理を行うことにより前記第1撮影画像を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被検者眼の前眼部や眼底等における局所的な部位を撮影する場合に、診断や確認等に必要な撮影画像を過不足なく取得することができ、取得した撮影画像同士の関連性を把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。なお、ここでは、被検者眼に対して2次元的にレーザ光を走査し、その反射光を受光することで、患者眼を細胞レベルの高倍率で撮影することができる眼科撮影装置を例に挙げて説明する。なお、本実施形態で示す高倍率の撮影画像とは、角膜、網膜等の生体組織、微小血管等を細胞レベルで確認できる程度の倍率で撮影された画像を指す。また、広画角の撮影画像とは、一般的な眼底カメラ等により得られる眼底正面像、前眼部画像など所定部位の大まかな全体像が確認、観察できる程度の倍率で撮影された画像を指す。
【0010】
図1は、本実施形態の眼科撮影装置の光学系を示した模式図である。本実施形態の眼科撮影装置は、大別して、被検者眼Eの眼底を高倍率(高分解能)で撮影するための第1撮影ユニット(高倍率撮影ユニット)100、第1撮影ユニット100で得られる高倍率の眼底画像(以下、第1撮影画像と記す)の撮影位置を指定するための眼底の観察画像(以下、第2撮影画像と記す)を得るための第2撮影ユニット200、被検者眼Eの固視微動等による位置ずれの経時変化を検出し、移動位置情報を得るトラッキング用ユニット(位置ずれ補正光学系)300、を備える。また、第1撮影ユニット100は、被検者眼の低次収差及び高次収差を取り除くための波面補償部を備える。なお、第2撮影ユニット200の画角は、第1撮影画像の眼底上での位置を把握できるようにするために比較的眼底を広範囲で観察できる画角(広画角)とされるのに対して、第1撮影ユニット100の画角は、第2撮影ユニット200の画角に対して狭く(狭画角)されている。
【0011】
第1撮影ユニット100は、被検者眼Eの眼底に照明光(照明光束)を2次元的に照明する第1照明光学系と、眼底からの反射光(反射光束)を受光して第1撮影画像を得るための第1撮影光学系と、被検者眼Eの波面収差を検出し、被検者眼Eの波面収差を補償するための波面補償部と、を備える。例えば、第1撮影ユニット100は、共焦点光学系を用いた走査型レーザ検眼鏡の構成とされる。
【0012】
第1照明光学系は、近赤外光の照明光を出射する光源1(第1光源)、レンズ2、ハーフミラー等からなるビームスプリッタ3、偏光板4、レンズ5、ビームスプリッタ71、レンズ6、波面補償デバイス72、レンズ7、ビームスプリッタ75、レンズ8、光源1から照射された照明光(スポット光)を眼底上で走査するための走査部20、トラッキング用ユニット300の検出結果に基づき走査部20による照明光の走査範囲を補正するための偏向部400、レンズ9、2枚のプリズムからなる視度補正部10、レンズ11、第2撮影ユニット200等の光路を第1照明光学系と略同軸にするビームスプリッタ90とから構成されている。
【0013】
光源1にはSLD(Super Luminescent Diode)光源等が用いられる。これ以外にも、光源1には、収束性の高い特性を持つスポット光を出射するものが使用されればよく、半導体レーザ等が使用できる。走査部20は、高倍率の撮影画像を取得するために、照明光を眼底上で垂直方向(Y方向)に走査させるレゾナントミラー(レゾナントスキャナ)と、レゾナントスキャナによる眼底上の走査位置を決定するために、眼底に対して水平方向(X方向)に偏向される偏向部材となるガルバノミラー(ガルバノスキャナ)とから構成されており、各ミラーは、被検者眼の瞳共役位置に置かれている。なお、レゾナントミラーが水平方向(X方向)に駆動される場合は、ガルバノミラーは垂直方向(Y方向)に偏向されれば良い。これ以外にも、ガルバノミラーがXY方向に偏向されることで眼底の走査位置が決定されても良い。
【0014】
偏向部400は、2枚のガルバノミラーで構成されており、走査部20を経た照明光を水平方向及び垂直方向に対して所定量だけさらに偏向させることにより、トラッキング用ユニット300で検出された位置補正情報(後述する)に基づき、走査部20による走査範囲を補正する。偏向部400は、走査部20と同様に瞳共役位置に置かれる。なお、上記では走査部20の2枚のガルバノミラーによってスポット光の走査が行われているが、偏向部400によって走査位置の決定と走査範囲の補正の両方が行われても良い。
【0015】
また、高倍率の撮影画像を取得する構成は上記に限られるものではなく、眼底の所定領域(第2撮影画像の撮影領域よりも狭い撮影領域)で高倍率の撮影画像を取得可能な構成であれば良い。例えば、光源1として眼底上の水平又は垂直方向に伸びるライン状の光束を照射するラインレーザを使用し、走査部20に光束に対して直交方向に駆動されるガルバノミラーを設ける。これにより、光源1からの光束に直交する方向での1次元の走査が行われることで、高倍率の撮影画像が取得されるようにしても良い。
【0016】
光源1から出射された照明光は、レンズ2により平行光とされた後、ビームスプリッタ3を介し、例えば、偏光板4でS偏光成分のみの光束とされる。偏光板4を経た照明光は、レンズ5により一旦集光し、ビームスプリッタ71を介してレンズ6により平行光束とされ、波面補償デバイス72に入射する。波面補償デバイス72にて反射した照明光は、レンズ7、レンズ8によりリレーされ、走査部20に向かう。
【0017】
走査部20を経た照明光は、偏向部400を経て、レンズ9で集光され、視度補正部10、レンズ11、ビームスプリッタ90を経て被検者眼Eの眼底に集光し、走査部20によって眼底上を2次元的に走査する。なお、視度補正部10の一方のプリズムが図示の矢印方向に移動されることで、光路長が変更されて、視度補正がされる。また、ダイクロイックミラー等からなるビームスプリッタ90は、後述する第2撮影ユニット200及びトラッキング用ユニット300からの光束を反射させ、光源1及び後述する光源76からの光束を透過させる。なお、光源1及び光源76の出射端と被検者眼Eとは共役とされる。以上のようにして、照明光を眼底に2次元的に照射する第1照明光学系が形成されている。なお、ここでは、光源1と光源76とが分けられているが、共通の1つの光源に統一された構成にすることもできる。
【0018】
次に、第1撮影光学系の構成を説明する。第1撮影光学系は、第1照明光学系のビームスプリッタ90からビームスプリッタ3までの光路を共有し、さらにレンズ51、眼底と共役な位置に置かれるピンホール板52、集光レンズ53、受光素子54を備える。なお、受光素子54にはAPD(アバランシェフォトダイオード)等が用いられる。
【0019】
光源1からの照明光で照明された眼底からの反射光は、前述の第1照明光学系を逆に辿り、偏光板4でS偏光の光だけ透過された後、ビームスプリッタ3で一部の光束が反射される。反射光は、レンズ51を介してピンホール板52のピンホールに焦点を結ぶ。ピンホールで焦点を結んだ反射光は、レンズ53を経て受光素子54で受光される。なお、照明光の一部は角膜上で反射されるが、ピンホール板52により大部分が除去されて、角膜反射の画像への悪影響が低減される。以上のように、第1撮影光学系が形成され、第1撮影光学系による撮影画像が第1撮影画像となる。
【0020】
なお、第1撮影ユニット100で取得される眼底画像(眼底像)の画角が所定の角度となるように走査部20のミラーの振れ角(揺動角度)が決定される。例えば、眼底の所定の範囲を高倍率で観察・撮影する(ここでは、細胞レベルでの観察等をする)場合、第1撮影画像の撮影範囲は、300〜1500μm角程度とされる。
【0021】
次に、波面補償部(補償光学系)の構成を説明する。波面補償部は、波面センサ73、偏光板74、光源76、レンズ77、偏光板78、レンズ79を備え、ビームスプリッタ71からビームスプリッタ90までの光学部材を第1照明光学系と共用する。波面センサ73は、多数のマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを透過した光束を受光させるための2次元受光素子からなる。また、収差検出用の光源(第2光源)76は、光源1と異なる赤外域の光を発する光源とされ、例えば、レーザダイオード等が使用される。光源76から出射されたレーザ光は、レンズ77で平行光束とされ、偏光板78で光源1からの照明光と直交する偏光方向(P偏光)とされ、ビームスプリッタ75で第1照明光学系の光路に導かれる。なお、レンズ7、8の間に眼底共役位置があり、光源76の出射端はこの眼底共役位置と共役な関係とされる。なお、ここでは、ビームスプリッタ75はハーフミラーとする。
【0022】
ビームスプリッタ75で反射されたレーザ光は、第1照明光学系の光路を経て被検者眼Eの眼底に集光される。このとき、角膜からの反射光は偏光方向が保たれて、P偏光となる。一方、眼底からの反射光は散乱光となるので、反射光の一部の偏光状態が反転してS偏光となる。角膜及び眼底から反射された光は、第1照射光学系の各光学部材を経て波面補償デバイス72で反射され、ビームスプリッタ71により第1照明光学系の光路から外れ、レンズ79、S偏光成分のみを通す偏光板74を経て波面センサ73へと導かれる。偏光板74は、眼底へと照射される第2光源の光が持つ偏光方向(P偏光の光)を遮断し(つまり、角膜及び眼底等からのP偏光の光の反射光を遮断し)、P偏光の光に直交する偏光成分(S偏光の光)を透過し、波面センサ73へと導光する。なお、ビームスプリッタ71は、光源1の波長の光を透過し、収差検出用の光源76の波長光を反射する特性とされる。これにより、波面センサ73では、照射したレーザ光の眼底での散乱光のうちS偏光成分を持つ光を検出する。このようにして、角膜や光学素子で反射される光が波面センサ73で検出されることが抑制される。また、走査部20、波面補償デバイス72の反射面、波面センサ73のマイクロレンズアレイは、被検者眼の瞳と略共役とされる。また、波面センサ73の受光面は被検者眼Eの眼底と略共役とされる。なお、波面センサ73には、ハルトマンシャック検出器や光強度の変化を検出する波面曲率センサ等が用いられるが、これ以外にも、低次収差及び波面収差等の高次収差が検出できる素子が使用されれば良い。
【0023】
また、波面補償デバイス72は、例えば、液晶空間位相変調器とし、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等が用いられる。なお、波面補償デバイス72は、光源1からの照明光(S偏光の光)、照明光の眼底での反射光(S偏光の光)、波面収差検出用光の反射光(S偏光成分)等の所定の直線偏光(S偏光)に対して収差を補償することが可能な向きに配置される。これにより、波面補償デバイス72は、入射する光のS偏光成分を変調できる。
【0024】
このような波面補償部(補償光学系)によって、波面センサ73で検出された光源76の眼底反射光の波面収差に基づいて、波面補償デバイス72が制御され、光源76の反射光のS偏光成分と共に、光源1から出射される照明光とその反射光の波面収差が取り除かれる。これにより、波面収差が取り除かれた(波面補償された)高倍率の第1撮影画像が得られるようになる。ここでは、光源76からの光束と光源1の光束とは眼底上で略一致されるようになっており、第1撮影ユニット100の照明光と、ピンホール板52の位置での眼底像の収差が取り除かれている。なお、第1撮影ユニット100で取得された眼底画像は、第1撮影画像として記憶部に記憶される。
【0025】
次に、第2撮影ユニット200の構成を説明する。第2撮影ユニットは、第1撮影ユニットの画角よりも広画角の眼底画像(第2撮影画像)を取得するために用いられる。これにより得られた第2撮影画像は、狭画角の第1撮影画像を得るための位置指定、及び位置確認用の画像として用いられる。なお、第2撮影ユニット200は、被検者眼Eの眼底画像を観察用として広い画角(例えば20度〜60度程度)でリアルタイムに取得できればよく、既存の眼底カメラの観察・撮影光学系、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)の光学系、及び制御系が用いられる。なお、以下では説明の簡便のために光学系等をブロック図で示している。
【0026】
第2撮影ユニット200は、眼底を2次元的に照明する第2照明光学系230と、眼底画像を撮影する第2撮影光学系250と、被検者眼を固視させるための固視標呈示部260とを備える。なお、第2照明光学系230は、眼底を照明する照明光を出射する第2光源210、照明光束を眼底において2次元的に走査するための走査部220等を有する。また、第2撮影光学系250は,第2照明光学系230にて照明された眼底からの反射光を受光する受光素子251を備える。また、本実施形態の固視標呈示部260は、固視標の呈示手段として周知の液晶ディスプレイを有し、液晶ディスプレイを構成する複数の画素のオンとオフとが切換えられることによって、被検者眼への固視標の呈示位置が切換えられるようになっている。この場合、固視標の呈示位置の切換には、後述するコントロール部82等が使用される。これ以外にも、固視標呈示部260としては被検者眼の視線を滑らかに誘導させることができる周知の構成のものが使用される。
【0027】
第2撮影ユニット200の光軸は、走査部220と被検者眼の間に配置されたビームスプリッタ90により、第1撮影ユニット100の光軸と略同軸とされ、ビームスプリッタ90の角度は、第2撮影ユニット200に入射する角膜反射を低減するように定められる。また、ビームスプリッタ90は、光源1及び光源76の波長の光を透過し、第2光源210及び後述するトラッキング用ユニット300の光源の波長の光を反射する特性とされる。また、ビームスプリッタ90と第2撮影ユニット200との間の光路には、第2撮影ユニット200の光軸と後述するトラッキング用ユニット300の光軸とを同軸にするためのビームスプリッタ91、及び偏向部400と同機能を有する偏向部410が配置されている。
【0028】
第2光源210には、赤外域のレーザ光を出射するレーザダイオード等が使用される。走査部220は、前述と同様にX方向、Y方向にレーザ光を偏向(反射)するミラーを備える。ここでは、第2撮影ユニット200で得られる眼底画像の画角が第1撮影ユニット100の画角よりも大きくなるように走査部220のミラーの振れ角が定められる。なお、本実施形態では、第2撮影ユニット200は、黄斑部や乳頭部等の眼底の特徴部を取得できる程度に広範囲の画角(例えば、20〜60度程度)が撮影可能な構成とされる。
【0029】
第2光源210から出射されたレーザ光は、第2照明光学系230を経て、第2撮影ユニット200から出射され、ビームスプリッタ91、偏向部410を通過し、ビームスプリッタ90で反射して、被検者眼Eの眼底に集光する。そして、被検者眼Eの眼底に集光されたレーザ光は、走査部220の駆動により眼底上の広い範囲で2次元的に走査される。眼底からの反射光は第2撮影光学系250の受光素子251に受光され、これにより、広画角の眼底画像(第2撮影画像)が得られる。
【0030】
なお、本実施形態では第2照明光学系230の走査部220を用いて眼底を2次元的に走査して照明するものとしているが、これに限るものではなく、ライン状に形成されるスリット光をラインと直交する方向に走査する構成としてもよいし、ホールミラー等を用いた既存の眼底カメラの照明光学系を用いることもできる。このようにして、第2撮影ユニット200が形成される。第2撮影ユニット200で撮影された眼底画像は、第2撮影画像として記憶部に記憶される。
【0031】
次に、トラッキング用ユニット300の構成を説明する。通常、眼は固視微動により絶えず微動している。このような微動は眼底を広範囲で観察するときに比べて、視細胞レベル等の高倍率での観察・撮影を行うときには、その影響は大きくなる。そこで、トラッキング用ユニット300により、固視微動等による眼の揺れを検出して、第1撮影画像の位置ずれを抑制するための位置補正情報を得る。トラッキング用ユニット300は、赤外域の照明光を出射する光源310を備え、光源310から眼底に照射される照明光をレゾナントミラーの駆動で環状に走査することで、リング形状のトラッキング指標(ここでは、乳頭と同程度の径に形成される)を眼底上に形成し、トラッキング指標の反射光を受光素子にて受光する構成となっている。なお、光源310にはSLD光源などが使用される。また、照明光による環状の走査は、レゾナントミラーの高速駆動によって、1秒間に100〜2000回程度行われる。トラッキング用ユニット300から出射された照明光は、ビームスプリッタ91で第2撮影ユニット200の光軸と略同軸とされた後、偏向部410を介してビームスプリッタ90により第1撮影ユニット100の光軸と略同軸とされる。なお、ビームスプリッタ91は、光源310の波長の光を反射し、光源210の光の波長を透過する特性を持つ。
【0032】
次に、眼科撮影装置の制御系を説明する。図2は、本実施形態の眼科撮影装置の制御系を示したブロック図である。制御部80は装置全体の駆動制御を行う。制御部80には、光源1、視度補正部10、走査部20、受光素子54、波面補償デバイス72、波面センサ73、光源76、光源210、走査部220、受光素子251、トラッキング用ユニット300、偏向部400、偏向部410が接続される。また、記憶部81、マウス,タッチパネル等からなるコントロール部82、画像処理部83、モニタ85、等が接続されている。
【0033】
画像処理部83は受光素子54、251での受光信号に基づきモニタ85に画角の異なる眼底画像(第1撮影画像及び第2撮影画像)を表示させる制御を行う。また、画像処理部83は、観察画像となる第2撮影画像上で第1撮影画像の撮影位置に対応する位置にマークを610(図3(b)参照)を表示させる。なお、表示されるマーク610は、その内側領域が第1撮影画像の撮影範囲とされる形状で形成されている。本実施形態では撮影領域を示す所定の大きさを有した矩形状をマーク610の形状として表示している。更に、画像処理部83は、眼底上の異なる位置で撮影された複数の第1撮影画像同士を張り合わせる画像処理を行い、広画角のパノラマ画像を構築する役目を果たす。
【0034】
記憶部81には種々の設定情報が予め記憶されている。例えば、本実施形態では撮影条件として、第1撮影画像を個々に撮影して表示する通常モードと、連続して撮影された複数の第1撮影画像を張り合わせて同時に確認できるようにした(高倍率の眼底画像を繋ぎ合わせて一枚の広い範囲の撮影画像として確認できる)パノラマモード(手動パノラマモード、自動パノラマモード)とが選択可能に用意されている。また、記憶部81には、撮影された第1撮影画像と第2撮影画像(静止画)が記憶される。なお、第1撮影画像は撮影位置情報と関連付けて記憶される。このように、第1撮影画像が撮影位置情報と共に保存されることで、モニタ85上での複数の第1撮影画像の表示位置が好適に特定される。又は、モニタ85に表示された第2撮影画像上における第1撮影画像の撮影位置に第1撮影画像が好適に張り合わせられるようになる等、複数の第1撮影画像同士の関連付けが好適に行われるようになる。なお、撮影位置情報についての詳細な説明は後述する。
【0035】
モニタ85には、所定のフレームレート(例えば、10〜100Hz程度)で更新される眼底画像(観察画像としての第2撮影画像)の動画が表示される。また、モニタ85には、観察画像とは別に記憶部81に記憶された第2撮影画像及び第1撮影画像の静止画が表示される。なお、モニタ85の表示画面の表示例については後述する。
コントロール部82は、モニタ85に表示される観察画像としての第2撮影画像上に形成されるマーク610の表示位置を移動させることで、第1撮影ユニット100で撮影される眼底の局所的な撮影位置(領域)を設定する撮影位置設定手段として用いられる他、眼科撮影装置で撮影を行うための各種条件設定を行う入力手段として用いられる。
【0036】
以上のような構成を備える眼科撮影装置の動作を説明する。ここでは、眼底の広い範囲を表示する観察画像である第2撮影画像の撮影を行うと共に、第2眼底撮影上の異なる局所領域(撮影箇所)を撮影して、眼底の局所部位を表示する狭い画角の撮影画像(細胞レベルの高倍率で撮影された眼底画像)である複数の第1撮影画像を得る。そして、画像処理で複数の第1撮影画像を張り合わせることで、高倍率の眼底画像を広画角で確認出来るようにするパノラマモード(手動パノラマモード)を説明する。
【0037】
図3は本実施形態のモニタ85の表示画面の例である。モニタ85には2つの表示欄85aと85bが設けられており、左側の表示欄85aには、観察画像である第2撮影画像520及び第1撮影画像の撮影位置を示すマーク610が表示される。一方、右側の表示欄85bには、予め記憶部81に記憶された第2撮影画像520a(静止画)が表示されると共に、第2撮影画像520a上に第1撮影画像610aがサムネイル等の縮小画像として重畳(スーパーインポーズ)されて表示されるようになっている。なお、第2撮影画像520a上には、これ以外にも、第1撮影画像の撮影位置を示すマークが画像処理にて合成表示されても良い。
【0038】
第2撮影画像520a上に重畳される第1撮影画像610aの表示位置は、上述した撮影位置情報に基づき決定される。なお、本実施形態では、パノラマモードで右側の表示欄85bに表示される第2撮影画像520aは、最初に撮影された静止画が継続して表示されるものとしているが、これに限るものではなく、静止画が撮影される度に順次更新されてもよい。又は、受光素子251で受光される第2撮影画像の観察画像(動画)が表示されるようにしても良い。この場合、制御部80は後述する撮影位置情報に基づき、第2撮影画像(動画)に対する第1撮影画像の位置を演算で求めるようにする。
【0039】
また、表示欄85bには、第2撮影画像520aと同程度の画角で撮影された眼底画像が表示されれば良い。なお、同程度の画角とは、第1撮影画像の張り合わせ位置を特定できる程度に広い画角であり、視神経乳頭などの眼底の特徴部位が含まれる程度に広い画角であることを示す。つまり、表示欄85bには、赤外光束による撮影画像の他、可視光によるカラー撮影画像、蛍光(FA)撮影で得られた蛍光撮影画像等の各種眼底画像を表示することができる。なお、これらの撮影画像は別装置で撮影されたものであっても良い。
【0040】
まず、固視標呈示光学系260の固視標を点灯させて被検眼Eを固視させた状態で、検者はジョイスティック等の操作部(図示を省略する)を操作して、装置と眼Eとのアライメントを行う。このとき、コントロール部82の操作によって視度補正部10が駆動されて、被検眼Eの視度補正が行われる。アライメントでは、図3(a)に示すように、第2撮影ユニット200による第2撮影画像520の動画がモニタ85の表示欄85aに表示されており、検者はモニタ85の観察画面枠に表示される観察画像(第2撮影画像520)を見ながら、アライメントを完了させる。アライメント完了後、検者はコントロール部82を用いてトラッキング用ユニット300を動作させる指令信号の入力を行う。制御部80は、この指令信号を受けてトラッキング用ユニット300からレーザ光を出射させ、被検眼Eの眼底上にトラッキング指標を形成させる(図示は省略する)。また、画像処理部83は、眼底のトラッキング指標の形成位置に対応する第2撮影画像520上(観察画面枠内)の位置にトラッキング指標と同形状のレチクル600を表示させる。検者は第2撮影画像520上に形成されたレチクル600を見ながら、装置や固視灯を適宜動かし、観察画面枠に写っている被検眼Eの乳頭がレチクル600に重なるように位置調整を行う。
【0041】
観察画面枠に表示されているレチクル600と第2撮影画像520の乳頭とが重なった状態で、検者はコントロール部82を用いてトラッキング開始の指令信号を制御部80に送る。制御部80はトラッキング開始の指令信号を受けて、トラッキング用ユニット300、偏向部400,410を駆動させて被検眼Eのトラッキングを開始する。
【0042】
トラッキング用ユニット300では、トラッキング開始時に得られた受光結果を基準情報として制御部80に送り、その後、1走査毎(走査によるリング形成毎)に得られる受光結果(受光情報)を逐次、制御部80に送信する。制御部80は基準情報に対してその後に得られた受光情報を比較し、基準情報と同じ受光情報が得られるように、言い換えればトラッキング指標全体を乳頭に重ねるための移動位置情報を演算により求める。制御部80は求めた移動位置情報に基づいて偏向部410を駆動させる。また、偏向部400も制御部80により偏向部410と同期して駆動される。
【0043】
このようなトラッキングを行うことにより、被検眼Eが微動してもその動きが相殺されるように偏向部400,410の駆動が行われるため、モニタ85に表示される眼底画像の動きは抑制されることとなる。なお、位置検出部300による被検者眼の固視微動による位置ずれの検出結果に基づき、画像処理部83の表示制御で、第1撮影画像の撮影位置を定めるマーク610の表示位置が若干補正されても良い。
【0044】
次に、検者は表示欄85aに表示された第2撮影画像520と、マーク610で指定された眼底上で第1撮影画像の撮影を行う。検者は、設定部としてのコントロール部82の操作で、表示欄85aに表示されたマーク610を第2撮影画像520上で移動させて、第1撮影画像上の撮影したい位置(撮影部位の範囲)に合わせる。なお、マーク610は、例えば、マウスでマーク610をドラッグして移動させる他、タッチパネルの操作でマーク610の位置を直接指定しても良い。
【0045】
そして、コントロール部82の操作で撮影信号を入力させる。制御部80は撮影信号に基づき、マーク610で指定された眼底上の走査範囲での撮影が行われるように、走査部20の駆動制御をする。つまり、レゾナントスキャナの駆動により眼底上に照射された照明光は、ガルバノミラーの駆動によってその照射位置が移動されていく。これにより、走査範囲であるマーク610に対応する範囲での走査が行われる。また、制御部80は、波面補償部の駆動制御により、波面センサ73で得られる光学的な分布(受光信号)の測定結果に基づいて補償光学系を動的に制御することで、被検者眼の波面収差の補正を行う。そして、制御部80は、走査部20の動作と連動させて受光素子54にて第1撮影画像の静止画を取得すると共に、取得された第1撮影画像と撮影位置情報(マーク610の位置情報)とを関連付けて記憶部81に記憶させる。また、制御部80は、受光素子251を駆動させて第2撮影画像の静止画を得て、記憶部81に記憶させる処理を行う。
一方、画像処理部83は、記憶部81に記憶された第2撮影画像520aの表示制御を行うと共に、表示された第2撮影画像520a上に、高倍率の撮影画像である第1撮影画像610aを張り合わせる処理を行う。
【0046】
次に、観察画像である第2撮影画像520を用いて撮影された静止画の第2撮影画像520aと、高倍率の撮影画像である第1撮影画像610aとを撮影位置情報に基づき張り合わせる。ここで、貼り合わせの処理について説明する。
表示欄85aに表示されるマーク610は、第2撮影画像520上において第1撮影画像610aを得るための撮影領域を示している。制御部80は第1撮影画像の撮影のタイミングで第2撮影画像520の特徴部分に対するマーク610の座標位置を撮影位置情報として取得し、この撮影位置情報を第1撮影画像610aに対応付けて記憶部81に記憶させている。例えば、第2撮影画像520の特徴部分としては、視神経乳頭部や血管等が用いられる。又は、第2撮影画像520と共にレチクル610(レチクルの中心座標)を記憶部81に記憶させ、この情報を撮影位置情報使用しても良い。これ以外にも広画角の眼底画像に関連する様々な情報を撮影位置情報に用いることができる。
【0047】
画像処理部83は記憶部81に記憶された第1撮影画像610aと撮影位置情報とを呼び出し、この撮影位置情報に基づいて先に取得した第2撮影画像520a上における貼り付け位置を決定する。この時、第2撮影画像との相関関係を求めることにより、貼り付け位置が調節されるようにしても良い。また、画像処理部83は取得された第1撮影画像610aを用いた画像処理によってサムネイルを形成し、決定した貼り付け位置に第1撮影画像610a(サムネイル)を画像処理により合成して表示欄85bに表示させる。また、画像処理部83は表示欄85aに表示されている第2撮影画像520上に撮影済みを示すための撮影済マーク610bを画像処理で合成して表示させる。撮影済みマーク610bはマーク610と同形状であるが、マーク610と区別できるマークで表される。例えば、マーク610に対して色や輪郭の線種等が異なる形状で表される。または、サムネイル画像が表示されるようにしても良い。
【0048】
次に、第1撮影画像による撮影済領域を広げるためにコントロール部82を用いて撮影済マーク610bに隣り合うようにマーク610を移動させ、前述同様の撮影を行い第1撮影画像610aを得る。得られた2番目の第1撮影画像610aもまた撮影位置情報とともに記憶部81に記憶され、画像処理部83による画像処理により表示欄85bの第2撮影画像520a上に合成表示される。
以上のような処理が繰り返し行われることで、画像処理部83は、撮影された複数の第1撮影画像(高倍率の眼底画像)の張り合わせを、第1撮影画像の撮影毎に行い、表示欄85b上に広画角のパノラマ画像を構築していく。
【0049】
なお、画像処理部83は、隣合う2枚の第1撮影画像が重なる位置では、その共通部分を後から撮影された第1撮影画像のデータで上書きする。又は、眼底画像の張り合わせ部分の平均化を行うようにする。なお、平均化を行うと、撮影時に生じるノイズの影響が抑えられて、画質が向上することが期待される。
【0050】
また、眼底の同一箇所で複数枚の第1撮影画像が撮影されるようにしても良い。この場合、最新の第1撮影画像に書き換えられて表示されるようにすることで、記憶部85の容量が効率よく使われるようになる。または、取得された複数枚の第1撮影画像の情報が積算処理(加算処理)で順次加えられる演算が行われることで、撮影画像の画質を上げるようにしても良い。又は、複数枚の眼底画像の情報を平均化する平均化処理が行われても良い。更には、複数枚の第1撮影画像のうち、隣合う第1撮影画像との相関関係が高いものが選択される選択処理が行われても良い。このように各種演算が行なわれることで撮影された第1撮影画像が好適に張り合わせられるようになる。
【0051】
更には、本実施形態のように被検者眼の微動を追従するためのトラッキング用ユニット300が設けられている場合には、被検者眼の固視が安定していないときに撮影された第1撮影画像をパノラマの合成には使わないようにしても良い。このようにすると、より精度良くパノラマ画像が構築されるようになる。
【0052】
また、上記では、検者がマーク610の位置をコントロール部82の操作で個別に設定することで、眼底上での第1撮影画像の撮影位置を変更しているが(手動パノラマモード)、これに限られるものではない。例えば、眼底(第2撮影画像)上で第1撮影画像を撮影するための撮影部位の範囲(例えば、病変部に対応する範囲)を、コントロール部82の操作で予め選択しておき、選択された範囲内で、第1撮影画像が自動的に連続撮影されるようにしても良い(自動パノラマモード)。このようにすると、より簡単に広画角の第1撮影画像を得ることができるようになる。
【0053】
ここで、図7に第1撮影画像の連続撮影を行う場合の処理ステップのフローチャートを示す。まず、ステップS701で、設定部としてのコントロール部82の操作で、第1撮影画像の撮影部位の範囲が選択される。なお、撮影部位の範囲は第1撮影画像の画角よりも広く設定されるとする。次に、ステップS702で、制御部80は、撮影部位の範囲内で指定されたマーク610の位置で撮影を行う。なお、ここでは、撮影位置は制御部80により自動的に設定されるとする。次に、ステップS703で、制御部80は撮影画像を記憶するかを判定する。例えば、制御部80は、隣合う撮影画像の共通部分に所定の相関関係を求めて、所定の相関関係があると判定されると、図示を略す処理ステップで撮影画像が記憶部81に記憶して、ステップS704に移る。なお、ステップS703で、撮影部位の範囲で1枚目の撮影であると判定された場合もステップS704に移る。一方、ステップS703で、撮影画像同士に所定の相関関係が認められない場合には、ステップS702に戻り、同一箇所での撮影が繰り返し行われる。ステップS704では、制御部80は、次の撮影位置にマーク610で指定される撮影位置を移動させる。そして、ステップS705で、制御部80により撮影完了の有無が判定される。例えば、マーク610で指定される撮影位置が撮影部位の範囲からはずれると撮影完了と判断されて撮影動作は終了する。一方、マーク610で指定される撮影位置が撮影部位の範囲内にあり、撮影が完了していないと判断されると、ステップS702に戻り、ステップS702からS705の撮影動作が繰り返し行われる。
【0054】
また、自動パノラマモードでも、同一箇所の撮影が複数回(例えば、10回)行われても良い。そして、撮影完了後(又は、同一箇所での撮影完了後)に、同一の撮影箇所で取得された複数の第1撮影画像のうち、パノラマ画像の構築に利用される画像が制御部80により選択される又は演算により構築されるようにしても良い。例えば、選択処理によって隣合う画像との相関関係が最も高いものが選択されても良い。また、前述と同様に、複数枚の撮影画像の演算処理が行われることでパノラマ画像が構築されるようにしてもよい。
【0055】
なお、表示欄85bに合成表示された第1撮影画像610a(サムネイル)が、コントロール部82の操作で選択されると、図3(c)に示すように、表示欄85b上に本来の大きさの眼底画像が表示されるようにしても良い。この場合、拡大表示された状態の第1撮影画像が再度選択されると、図3(b)に示すように、第1撮影画像の撮影履歴を示す表示状態に戻るようにする。また、本来の大きさの第1撮影画像610aが表示部85に表示されているときは、選択されたサムネイル(縮小された第1撮影画像)の眼底撮影位置が判るように、表示欄85a(観察画面)上に表示される眼底画像上、或いは予め撮影された静止画上に位置確認用の確認マークを形成させることもできる。このような確認マークは、選択された第1撮影画像610aに対応する撮影位置情報に基づいて画像処理部83によって形成される。
【0056】
また、撮影されたパノラマ画像全体を確認したい場合には、検者はコントロール部82の操作で、モニタ85の表示をパノラマ表示画面に切換える。ここで、図4にパノラマ表示画面の例を示す。ここでは、複数の第1撮影画像610aを貼り合わせて構成されたパノラマ画像が表示される表示欄85cと、表示欄85cのパノラマ画像の表示位置を第2撮影画像520a上のマーク611の位置で特定するための表示欄85dとが設けられている。また、表示欄85cの上下方向及び左右方向にはパノラマ画像の表示位置を切換えるためのスクロールバー86a、86bが用意されている。これにより、検者によるコントロール部82の操作でスクロールバー86a、86bがスライドされると、画像処理部83は、表示欄85cに表示されるパノラマ画像の表示位置を切換える処理を行うと共に、第2撮影画像520a上のマーク611の位置をパノラマ画像の表示位置に合わせて移動させる。これにより、検者は表示欄85dの第2撮影画像520a(眼底像)上のマーク611の位置を確認しながら、眼底像の所期の位置でのパノラマ画像の確認を行えるようになる。
なお、ここでは表示欄85cのスクロールバー86a、86bを用いてパノラマ画像の表示位置を変更しているが、表示欄85dのマーク611(又は、レチクル)を、コントロール部82の操作(例えば、ドラッグ操作)で、第2撮影画像520a上で移動させることで、パノラマ画像の表示位置が切換えられるようにしても良い。
【0057】
以上のように、撮影位置情報を利用することで、画角の小さい高倍率の撮影画像(第1撮影画像)が広画角の眼底画像(第2撮影画像)上で、より正確な位置に張り合わせられるようになり、高倍率の撮影画像によるパノラマ画像が好適に構築されるようになる。また、広画角の眼底画像の動画上に高倍率の眼底画像の撮影位置を示すマークが表示されることで、眼底上での第1撮影画像の撮影位置を確認しながら、パノラマ撮影に必要となる部位の撮影が容易に行われるようになる。更には、広画角の眼底画像上に高倍率の眼底画像の撮影履歴が表示されることで、検者による高倍率の眼底画像の取り忘れ等が防止されるようになる。
【0058】
また、上記では、撮影時にモニタ85の同一画面上に観察画像と記憶部81に記憶された撮影画像の両方が表示される場合が示されている。これ以外にも、モニタ85には観察画像と撮影画像とが別々(個別)に表示されるようにしても良い。図5にモニタ85の表示画面の変用パターンを示す。例えば、図5に示されるように、初期状態でモニタ85全体に観察画像として、第2撮影画像520の動画及びマーク610を表示させる。そして、上述したように第2撮影画像520上でマーク610で示される第1撮影画像610aの撮影位置を移動させて、第2撮影画像520a及び第1撮影画像610aの静止画の撮影が繰り返し行われるようにする。この時、上述したように画像処理部83は、第2撮影画像520上で、第1撮影画像610aの撮影の完了した位置に撮影済みマーク610bを表示させるようにする。これにより、検者が第1撮影画像の撮影完了位置を視覚的に確認出来るようにする。一方、画像処理部83は、モニタ85に観察画像(第2撮影画像520)が表示されている状態で、記憶部81に記憶された第1撮影画像610aの張り合わせの処理を行う。そして、パノラマ画像に必要となる第1撮影画像610aの撮影が完了したら、検者はコントロール部82の操作でモニタ85の表示を撮影画像(第2撮影画像520a及び第1撮影画像610a)の表示画面に切換えるようにする。このようにすると、モニタ85全体に観察画像と撮影画像とがより見易く表示される。
【0059】
なお、上記の構成では、マーク610で指定された眼底位置を撮影位置情報に用いて、第1撮影画像610a(狭画角の眼底画像)の張り合わせを行っているが、これに限られるものではない。例えば、モニタ85の座標位置とトラッキングで取得される移動位置情報とを組合せたものを撮影位置情報に用いても良い。なお、移動位置情報は、上述のトラッキング用検出ユニット300での検出結果にて取得される他、第1撮影ユニット100の走査部20の情報(図示を略す駆動機構の情報、角度情報など)に基づき求められる。更には、移動位置情報を取得するための専用の検出器が設けられるようにしても良い。以上のようにすることで、例えば、モニタ85の中心位置に原点が設定された状態で、制御部80は原点を基準としたマーク61の表示位置(中心位置)の座標を求めると共に、トラッキングで取得される上述のような移動位置情報を取得して、撮影された第1撮影画像に対する撮影位置情報として記憶部81に記憶させるようにする。
【0060】
これ以外にも、固視標光学系260の固視標の呈示位置情報を、第1撮影画像610aによるパノラマ画像を構築する際の撮影位置情報に利用することができる。この場合には、第1撮影画像610aと共に、固視標の呈示位置の情報が記憶部81に記憶されるようにする。そして、検者は固視標の呈示位置を随時変えることで、光軸に対する被検者眼の視線方向を変えるようにする。これにより、眼底での撮影位置を変えて複数の第1撮影画像610aが撮影されるようになる。一方、画像処理部83は、固視標の呈示位置に基づき、第2撮影画像520上での第1撮影画像の張り合わせ位置を、上述のような相関関係を演算で求めることで決定し、パノラマ画像を構築していく。
【0061】
なお、この場合には、固視標光学系260から被検者眼に照射される固視標は、被検者眼が視認可能な程度に細く形成されることが好ましい。また、表示部85aの第2撮影画像520上に固視標の呈示位置に対応するマークを表示させるようにする。このようにすると、検者はマークで示された固視標の呈示位置を滑らかに移動させることで、被検者眼の視線をより細かいステップで誘導させる。これにより、第1撮影画像によるパノラマ画像が滑らかに連続して構築することが出来るようになる。
また、固視標を撮影位置情報として用いる場合には、被検者眼が正しく固視標を視認していることが前提となるが、例えば、第2撮影画像520から確認される中心窩の位置から、被検者眼の固視が正常化かどうかを判断することができる。
【0062】
また、撮影位置情報として、上述したような第2撮影画像520の特徴部分に対するマーク610の座標位置の情報と、固視標の呈示位置の情報とを組合せても良い。この場合には、検者は特定の固視標の呈示位置においてマーク610で指定される眼底の撮影位置を変更することで、複数の第1撮影画像610aを取得する。この場合、第1撮影画像は固視標の呈示位置の情報とマーク610の座標位置情報と共に記憶されるようにする。そして、同様に固視標の呈示位置を変えて複数の第1撮影画像610aを撮影する操作を繰り返し行う。以上のようにすると、より広画角のパノラマ画像を構築する際にも、複数の撮影位置情報を利用して、第1撮影画像の張り合わせ位置をより正確に特定することができるようになる。
なお、固視標の呈示位置を変更して被検者眼の周辺撮影を行う場合に、第1撮影画像610aの撮影を行う場合には、撮影像の歪みが発生しやすくなる。このような場合には、第1撮影画像610aの歪みが補正されるような画像処理が行われるようにする。
【0063】
更には、眼科撮影装置(本体)が、被検者眼に対して傾斜可能な(チルトスイング可能な)構成とされる場合には、装置全体を被検者眼の基準光軸に関して傾斜させてパノラマ撮影を行うことで、上述した第2撮影ユニット200の撮影画角よりも広い範囲で第2撮影画像が得られる。この場合にも、その傾斜角度情報を撮影位置情報に利用して、複数の第2撮影画像の張り合わせ位置が決定されるようにしても良い。
【0064】
図6にこの場合の眼科撮影装置の外観概略図を示す。この場合には、撮影部503の内部に上述の光学系及び制御系が組み込まれており、撮影部503は駆動部506によって被検者眼Eの瞳位置(回旋中心)を基準(軸)として水平方向と垂直方向の2軸方向で傾斜されるようになっている。なお、駆動部506には、駆動部の駆動量を検知して、撮影部503の傾斜角度を求めるための角度検知器506aが接続されており、駆動部506と角度検知器506aとはそれぞれ制御部80に接続されているとする。
【0065】
以上のような構成により、検者はコントロール部82の操作で駆動部を駆動させることで、被検者眼Eに対する撮影部503の傾斜角度を調整する(又は、眼底上での撮影範囲が予め設定された状態で、駆動部506の駆動による撮影部の傾斜角度が自動的に調整されるようにしても良い)。これにより、眼底上での第2撮影画像の撮影位置が変えられる。一方、制御部は角度検知器506aにより検知された駆動部503の駆動量を撮影位置情報として、第2撮影画像と共に記憶部81に記憶させる。このようにすると、撮影部3の傾斜角度に基づき、眼底上での第2撮影画像の撮影位置が特定されて、パノラマ画像が構築され広画角の第2撮影画像が好適に得られるようになる。
【0066】
なお、この場合にも第1撮影画像のパノラマ画像が構築されても良い。例えば、駆動部506の駆動により眼底と撮影部503との大まかな位置合わせが行われた状態で、マーク610による撮影位置の詳細な位置合わせが繰り返し行われるようにする。これにより、複数の第1撮影画像を取得する。そして、画像処理部83による画像処理が行われることで、高倍率の眼底画像による広画角のパノラマ画像がより広範囲で精度良く構築されるようになる。
更には、走査部20にその走査角度を検出するための検出部を設け、検出部の検出結果を撮影位置情報に用いるようにしても良い。これ以外にも、眼底上での第2撮影画像又は第1撮影画像610aの撮影位置を特定するための様々な情報を、撮影位置情報に用いることができる。
【0067】
なお、本発明は、被検者眼の眼底像を撮影するための光学系と、被検者眼の眼底像を視細胞が確認出来るような高倍率で撮影することができる光学系とを備える眼底撮影装置に適用できる。例えば、被検者眼の角膜を角膜内皮細胞を確認できるような高倍率の撮影を行うための光学系を備える角膜内皮用顕微鏡において、本発明の構成を適用することで、画像の特徴部分が得がたい高倍率の画像の張り合わせを精度良く行う事で、より正確なパノラマ画像が構築されるようになる。同様に、被検者眼の前眼部撮影において、高倍率の撮影画像として角膜内皮細胞の撮影を行う場合にも、本発明の構成が適用されることで、角膜内皮細胞のパノラマ画像が精度良く構築されて、前眼部の観察が好適に行われるようになる。
【0068】
また、広画角の撮影画像を用いずに、高倍率の撮影画像が張り合わせられるようにしても良い。例えば、上述したように、隣合う第1撮影画像の相関関係を求めていくことによって、その張り合わせ位置が決定されるようにしても良い。なお、張り合わせ位置の決定には、上述したような位置補正情報が考慮されることが好ましい。
【0069】
更に、上記では第1撮影画像と共に位置補正情報が記憶される例が示されているが、第1撮影画像と位置補正情報(例えば、走査部20の位置情報)とが個別に記憶され、パノラマ画像を構築する際に各情報の対応関係が求められることで、第1撮影画像の張り合わせ位置が決定されるようにしても良い。
【0070】
また、上記では被検者眼の眼底を視細胞レベルの高倍率で撮影する際に、パノラマ画像を構築する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、眼底の蛍光撮影が行われる散瞳型の眼底撮影装置において、広画角の撮影画像(眼底画像)が撮影されると共に、高倍率の撮影画像の撮影が行われる場合に、上述したようなパノラマ画像が構築されることで、蛍光撮影での細胞レベルの高倍率の撮影画像を好適に得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】眼科撮影装置の光学系の説明図である。
【図2】眼科撮影装置の制御系を示したブロック図である。
【図3】モニタの表示画面の例である。
【図4】モニタに表示されるパノラマ画像の例である。
【図5】モニタの表示画面の変用パターンである。
【図6】眼科撮影装置の外観概略図である。
【図7】第1撮影画像の連続撮影の処理ステップのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1、76、210、310 光源
20 走査部
54、251 受光素子
72 波面補償デバイス
73 波面センサ
80 制御部
81 記憶部
82 コントロール部
83 画像処理部
85 表示部
100 第1撮影ユニット
200 第2撮影ユニット
260 固視標呈示部
400、410 偏向部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固視標を用いて固視させた状態にある被検者眼に対して照明光を照射するための第1光源を有し,該第1光源で照明された被検者眼を撮影して該被検者眼の第1の撮影画像を得るための第1撮影ユニットと、該第1撮影ユニットで撮影される部位を移動させる偏向手段を備え、前記被検者眼に対する前記第1撮影画像の位置情報を前記第1撮影画像と対応付けて記憶させる記憶部と、を有することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科撮影装置は、被検者眼に対して照明光を照射するための第2光源を有し、該第2光源で照明された被検者眼を第1撮影ユニットによる撮影画角よりも広い範囲で撮影する第2撮影ユニットと、該第2撮影ユニットにて得られた第2撮影画像が表示される表示部と、を有することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項3】
請求項2の眼科撮影装置は、前記記憶部に記憶された前記位置情報を用いて、前記第2撮影画像又は該第2撮影画像と同程度の画角で撮影された前記被検者眼の撮影画像上に前記第1撮影画像の縮小画像又は該第1撮影画像の撮影位置を示すマークを画像処理により合成して前記表示部に表示させる表示制御部を備えることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項4】
請求項3の眼科撮影装置において、前記第1撮影ユニットは前記第2撮影画像よりも高倍率な撮影画像を得るための撮影ユニットであることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の眼科撮影装置において、さらに前記表示制御部は前記第1撮影ユニットにより得られた複数の前記第1撮影画像同士を画像処理により繋ぎ合わせて一枚の画像として前記表示部に表示させるために前記位置情報を用いることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項6】
請求項5の眼科撮影装置において、
前記第1撮影ユニットは、
前記第1光源と,該第1光源からの照明光を前記眼底にて走査するための走査部とを有する照明光学系と、
前記第1光源または該第1光源とは別の光源で照明された前記眼底からの反射光の少なくとも一部を受光して前記被検者眼の波面収差を検出する波面センサと,該波面センサの検出結果に基づき波面収差を補償する波面補償素子とを有する波面補償部と、
該波面補償部により波面補償された状態で前記照明光学系により照明された前記眼底からの反射光を受光することにより前記第1撮影画像を得るための撮影光学系と、
を備えることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6に記載の眼科撮影装置は、前記表示部に表示された前記第2撮影画像に対してさらに狭い領域の撮影部位の範囲を設定する設定部と、該設定部により設定された前記撮影部位の範囲に対して前記第1撮影画像が得られるように前記第1撮影ユニット及び前記偏向手段を制御するための制御手段と、を有することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項8】
請求項7に記載の眼科撮影装置において、前記設定部により設定された前記撮影部位の範囲は前記第1撮影画像の撮影画角よりも広い範囲とされ、さらに前記眼科撮影装置は、前記第1撮影ユニットによる第1撮影画像を得るための撮影位置を前記撮影部位の範囲において順次変えながら連続的に撮影するための撮影位置変更手段を有することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項9】
請求項2乃至請求項8に記載の眼科撮影装置は、別途設定された装置の基準光軸に関して第2撮影画角よりも広い撮影部位に対して第2の撮影画像を取得することを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項10】
請求項2乃至請求項9の眼科撮影装置は、さらに、前記第2撮影ユニットによる撮影で得られる前記眼底の所定部位の経時的な位置ずれを検出することで移動位置情報を得るための位置検出部をもつことを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項11】
請求項10の眼科撮影装置は、前記第1光源及び前記第2光源からの照明光の少なくとも一つを所定の角度で偏向させるための偏向部と、前記位置検出部で得られた前記移動位置情報に基づき眼底の位置ずれを補正するように前記偏向部の駆動制御を行う駆動制御部とを、備えることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項12】
請求項2乃至請求項11に記載の眼科撮影装置において、前記位置情報は、前記第2撮影画像に対する前記第1撮影画像の位置情報,前記固視標の位置情報,及び前記被検者眼に対する装置の撮影位置情報のうちの少なくとも一つであることを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12に記載の眼科撮影装置において、前記第1撮影ユニットにより得られた複数の撮影画像を積算処理,平均化処理,及び選択処理の少なくとも一つの処理を行うことにより前記第1撮影画像を得ることを特徴とする眼科撮影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−213513(P2012−213513A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80751(P2011−80751)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)