説明

眼科装置及び眼科装置の制御方法

【課題】 無散瞳眼に対して無散瞳モード(赤外観察)で撮影すべき時に、操作者の誤りにより、散瞳撮影モード(可視観察)に切換えてしまうことを抑制すること。
【解決手段】 可視光で被検眼を照明することによって生じる被検眼の瞳孔径の変化量を検出し、該検出された変化量が閾値以上である場合に被検眼の散瞳が不十分であることを通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科医院等において被検眼の撮影等に使用される眼科装置及び眼科装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼底画像の撮影方法としては、散瞳撮影と無散瞳撮影の2種類が知られている。
【0003】
散瞳撮影では、散瞳剤を使用して被検眼の観察時、及び撮影時共に可視光により被検眼の眼底を照明して眼底撮影を行う。無散瞳撮影では散瞳剤を使用することなく、被検眼の観察時は赤外光で被検眼を照明し、被検眼の撮影時には可視光で眼底を照明して眼底撮影を行う。
【0004】
従来では、散瞳撮影と無散瞳撮影とはそれぞれ別の機器で行われていたが、近年では散瞳撮影と、無散瞳撮影の双方の撮影が可能な機器が提案されている。
【0005】
特許文献1では、撮影する被検眼の眼底を照明する照明光源から被検眼眼底までの光路内に赤外光を透過し、かつ可視光を遮断する赤外フィルタを挿脱可能に配置している。更に、機器操作者が眼底カメラの散瞳・無散瞳切換えスイッチを切換えることによって赤外フィルタの挿脱を制御することにより、1台で被検眼に対して散瞳撮影と無散瞳撮影を行うことができる眼底カメラが開示されている。
【0006】
また、散瞳剤を使用して眼底を撮影する散瞳眼底撮影を行う場合に、撮影時の瞳孔の大きさを画像情報と共に保存したいという要望があり、この要望に対して有用な従来の技術として、瞳孔径の値を自動測定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−140672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の眼底カメラでは、散瞳撮影を行うか、無散瞳撮影を行うかは、眼底カメラの操作者が、眼底カメラが有する散瞳/無散瞳切換スイッチによって切換えるよう構成されている。
【0009】
散瞳撮影動作に移行すると、被検眼の観察時に可視光により眼底を照明するが、散瞳剤を使用していない場合に被検眼は縮瞳する。通常の眼底カメラは、撮影可能な瞳孔径の最小値があり、被検眼が縮瞳すると撮影可能な瞳孔径の最小値を下回り撮影ができない。
【0010】
このとき、眼底の撮影を行うためには、被検眼が撮影可能な瞳孔径の最小値を上回るまで、自然散瞳するのを待つ必要が生ずる。自然散瞳するまでの時間は、環境、個人差によっても異なるが、数分程度かかる場合もあり、その間は撮影ができないことにより撮影効率が低下する。
【0011】
本発明の目的の一つは、上述の問題点を解消し、無散瞳眼に対して無散瞳モード(赤外観察)で撮影すべき時に、操作者の誤りにより、散瞳撮影モード(可視観察)に切換えてしまうことを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するための本発明に係る眼科装置は、
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する検出手段と、
前記検出された変化量が閾値以上である場合に前記被検眼の散瞳が不十分であることを通知する手段と、を有する。
【0013】
また、本発明に係る眼科装置の制御方法は、
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する工程と、
前記検出された変化量が閾値以上である場合に前記被検眼の散瞳が不十分であることを通知する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る眼科装置及び眼科装置の制御方法によれば、無散瞳眼に対して無散瞳モード(赤外観察)で撮影すべき時に、操作者の誤りにより、散瞳撮影モード(可視観察)に切換えてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の眼科用撮像装置の構成図である。
【図2】実施例1の動作処理フローチャート図である。
【図3】パラメータの選択及び入力を行う動作処理フローチャート図である。
【図4】パラメータの選択及び入力を行う場合の画面の説明図である。
【図5】保存されるファイルフォーマットの説明図である。
【図6】実施例2の動作処理フローチャート図である。
【図7】実施例3の動作処理フローチャート図である。
【図8】実施例4の眼科用撮像装置の構成図である。
【図9】実施例4の動作処理フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は実施例1の眼科用撮像装置の構成図である。照明光学系の光路の光軸L1上には、ハロゲンランプ等の定常光を発する観察用光源1、コンデンサレンズ2、赤外光(赤外領域の光)を透過し可視光(可視領域の光)を遮断するフィルタ3、ストロボ等の撮影光を投影するための撮影光投影用光源4、レンズ5、ミラー6が配列されている。ミラー6の反射方向の光軸L2上には、リング状開口を有するリング絞り7、リレーレンズ8、中央部開口を有し、中央部開口に絞り9を配置した孔あきミラー10が順次に配列されている。
【0018】
波長領域切換手段として機能するフィルタ3は撮影が散瞳撮影か無散瞳撮影かによって配置が異なる。無散瞳撮影の場合には被検眼Eに対して不可視領域波長光赤外光を照射するために光軸L1上に配置され、散瞳撮影の場合には被検眼Eに対して可視領域波長光を照射するために、矢印で示すように光軸L1外に移動するようにされている。
【0019】
また、孔あきミラー10の反射方向の光軸L3上には、被検眼Eに対向して対物レンズ11が配置され、対物レンズ11と孔あきミラー10の間の光軸L3上には、前眼部観察光学系12が挿脱可能に配置されている。この前眼部観察光学系12には、レンズ13、視標部材14、中央部にイメージスプリットプリズムを有するプリズム15、レンズ16が配列され、視標部材14の近傍には、視標部材14を側方から照明する視標照明用光源17が配置されている。また、プリズム15は対物レンズ11及びレンズ13に関して、被検眼Eと対物レンズ11側の作動距離が適正になったときに、被検眼Eの前眼部Epとほぼ共役になる位置に配置されている。これらの前眼部観察光学系12を構成する部材は、一体となって光軸L3上に挿脱可能とされている。
【0020】
孔あきミラー10の後方にはフォーカスレンズ18、撮影レンズ19、跳ね上げミラー20、静止画像用撮像素子21が順次に配列されている。フォーカスレンズ18は光軸L3上の位置を移動することによりピントを調整し、跳ね上げミラー20は撮影光学系と観察光学系を切換えるようになっている。そして、跳ね上げミラー20の反射方向の光軸L4上には、赤外光を反射し可視光を透過するダイクロイックミラー22が配置されている。
【0021】
ダイクロイックミラー22の反射方向の光軸L5上には、フィールドレンズ23、レンズ24、観察画像用撮像素子25が順次に配列されている。
【0022】
ダイクロイックミラー22の透過方向の光軸L6上には、静止画像用撮像素子21と光学的に共役な位置に液晶表示パネルとバックライトなどから成る眼底観察用固視目標投影部26が配置されている。眼底観察用固視目標投影部26は、被検眼の視線を誘導するために被検眼Eの眼底部Erの所定領域に固視目標を投影する。更に、対物レンズ11の近傍には、被検眼Eに向けて複数の前眼部照明用光源27が配置されている。
【0023】
静止画像用撮像素子21の出力は画像処理部31及び制御部32を介してモニタ39に表示される。また、観察画像用撮像素子25の出力は、制御部32を介してモニタ39に表示される。また、制御部32は観察光源制御部33を介して観察用光源1を制御し、撮影光源制御部34を介して撮影光投影用光源4を制御する。更に、制御部32は前眼部観察用固視目標光源制御部35を介して前眼部観察光学系12の視標照明用光源17を制御し、眼底観察用固視目標光源制御部36を介して眼底観察用固視目標投影部26を制御し、前眼部照明用光源27を制御する。
【0024】
更に制御部32には、ワークメモリ37、画像メモリ38、モニタ39、キーボード40、観察部位選択スイッチ41、撮影スイッチ42が接続されている。制御部32はCPUなどのコントローラ及び眼科用撮像装置の動作を実行するためのプログラムを記憶したコンピュータが読出し可能なROMなどのメモリなどによって構成されている。なお、制御部32はハードウエアとして、観察光源制御部33、撮影光源制御部34、前眼部観察用固視目標光源制御部35、及び眼底観察用固視目標光源制御部36と一体的に構成されてもよい。
【0025】
図2は本実施例の眼科用撮像装置の制御部32が実行する動作処理フローチャート図である。
【0026】
〔ステップS100〕撮影準備処理が開始されると、制御部32はフィルタ3を光軸L1上に移動する制御を実行する。そして、観察部位選択スイッチ41による操作を検出すると、制御部32は前眼部観察光学系12を光軸L3上に挿入する制御を行う。この処理により、被検眼Eを観察するための赤外光が投射されると共に、前眼部観察光学系12を用いた撮影位置合わせが可能となる。
【0027】
〔ステップS101〕操作者による撮影位置合わせを行う。先ず、制御部32は前眼部照明用光源27の点灯を実行し、前眼部観察用固視目標光源制御部35を介して視標照明用光源17を予め設定された所定光量で点灯を実行する。視標照明用光源17によって投光される光束は、光軸L3を通り被検眼Eに到達する。視標照明用光源17は被検眼Eへの可視光投光手段として作用し、視標照明用光源17の光量調整により、被検眼Eに対して光量変化を伴う投光を行う。
【0028】
前眼部照明用光源27から発した光は、被検眼Eの前眼部Epを照明し、反射散乱した光束は、対物レンズ11、前眼部観察光学系12、撮影絞り11、フォーカスレンズ18、撮影レンズ19を介し、跳ね上げミラー20により光軸L4方向に反射される。反射された光は、ダイクロイックミラー22により光軸L5方向に反射された後に、フィールドレンズ23、レンズ18により観察画像用撮像素子25に結像する。そして、観察画像用撮像素子25で撮像した像は、制御部32によりモニタ39に表示処理が実行される。
【0029】
操作者はモニタ39に映出された被検眼Eの前眼部Epの像を観察しながら、図示しない操作桿などを操作して、被検眼Eと眼科用撮像装置との概略の位置合わせを行う。
【0030】
〔ステップS102〕制御部32はワークメモリ37の内容をクリアする。ワークメモリ37は被検眼Eの瞳孔径計測値、瞳孔径の変化量、散瞳剤の点眼の有無、又は被検眼Eの縮瞳の有無等の眼底カメラの処理によって取得された情報を一時的に保管するために使用されている。
【0031】
〔ステップS103〕制御部32は観察画像用撮像素子25で撮像した画像から瞳孔径を計測する。この瞳孔径計測は、観察画像用撮像素子25で撮像した画像を制御部32に送信すると共に、制御部32において上述の特許文献2に示す方法或いは瞳孔を円に近似し、瞳孔の面積から瞳孔径を得る方法などを用いて行う。
【0032】
〔ステップS104〕制御部32は計測した瞳孔径をワークメモリ37に保存する。
【0033】
〔ステップS105〕制御部32は前眼部観察用固視目標光源制御部35を介して視標照明用光源17の光量を予め設定された所定量だけ上昇させた後に、所定時間待機する。
【0034】
〔ステップS106〕所定時間経過後に、制御部32はステップS103と同様の手順で瞳孔径の計測を行う。その後、制御部32は、ステップS104においてワークメモリ37に記憶した光量上昇前の瞳孔径の計測値から、光量上昇後に計測した瞳孔径の計測値を減算して瞳孔径の変化量を検出する。
【0035】
〔ステップS107〕制御部32はステップS106で検出した瞳孔径の変化量が閾値未満であるかを判断する。そして閾値以上の場合に、制御部32は瞳孔径の変化量が多く無散瞳撮影中と判断して、フィルタ3を光軸L1中に挿入したままステップS111に進む。
【0036】
〔ステップS108〕制御部32はステップS107での比較により瞳孔径の変化量が閾値未満であった場合には、視標照明用光源17の光量が閾値未満のために変化量が少なかったのか否かを判断する。この判断で視標照明用光源17の光量が閾値未満であった場合には、制御部32はステップS105以下のステップを再度実行する(瞳孔径の変化量を再度検出する)。
【0037】
〔ステップS109〕ステップS108での比較により光量が閾値以上の場合には、制御部32は散瞳剤が点眼されている散瞳撮影中と判断し、このことを示す情報と、ステップS106で取得した瞳孔径の変化量をワークメモリ37に保存する。
【0038】
〔ステップS110〕制御部32はフィルタ3を光軸L1外に移動する制御を実行する。フィルタ3の移動によって被検眼Eを観察するための光束が可視光となり、被検眼Eをカラー画像で観察することが可能となる。
【0039】
〔ステップS111〕制御部32は前眼部観察用固視目標光源制御部35を介して、前眼部観察光学系12を光軸L3外に移動する制御を実行する。この移動により、静止画像用撮像素子21、観察画像用撮像素子25に結像する画像が、被検眼Eの前眼部Epから眼底部Erに切換わり、眼底画像の撮影が可能となる。
【0040】
〔ステップS112〕制御部32は眼底観察用固視目標光源制御部36を介して、眼底部Erに眼底観察用固視目標投影部26の像を投影する制御を行い、被検眼Eを固視させる。眼底部Erの観察は散瞳撮影中は可視光により、無散瞳撮影中はフィルタ3を用いた赤外光により行う。そして、制御部32は撮影スイッチ42の操作を検出すると、撮影光投影用光源4を瞬時的に点灯し、静止画像用撮像素子21によりカラー眼底画像の撮影を行う。
【0041】
〔ステップS113〕制御部32は撮影した画像とワークメモリ37の内容を図示しない外部記憶媒体にファイルとして保存する。
【0042】
〔ステップS114〕制御部32は必要な画像を全て撮影したかを判断し、未撮影の画像がある場合には、ステップS112以下のステップを再度実行する。なお、ステップS101の位置合わせ時の光量、ステップS105の所定量、及び待ち時間、ステップS107、S108で比較する閾値の各値については固定値を用いてもよい。また、複数の値の組み合わせから、パラメータを選択したり、或いは撮影前にキーボード40から入力してもよい。
【0043】
図3はパラメータを選択する動作処理フローチャート図であり、図4はパラメータの選択、及び入力時のモニタ39の表示内容の説明図である。
【0044】
〔ステップS200〕パラメータの設定を開始すると、制御部32はモニタ39上に現在の設定値を図4に示す型式で表示する処理を実行する。
【0045】
図4において、位置合わせ時の視標照明用光源17の初期光量A、視標照明用光源17の光量を上昇する場合の光源光量増加値B、光量上昇後の待ち時間C、瞳孔径変化量の閾値D、視標照明用光源17の光量閾値Fを表している。また、Fは各設定値をグループ化して管理するためのパラメータセット番号である。
【0046】
〔ステップS201〕操作者はキーボード40を用いてモニタ39に表示されているパラメータの選択、或いは入力を行う。パラメータの選択は図4のパラメータセット番号Fの数値を変更することで、図4のA〜Eに示す各設定値の組み合わせから成る複数のグループから選択する。選択したパラメータを変更、或いは入力する場合には、入力を行いたいパラメータに対してキーボード40から直接入力する。制御部32は入力されたパラメータの情報を取得する。
【0047】
〔ステップS202〕制御部32は入力パラメータの保存を行って設定処理を終了する。入力パラメータの保存は例えばキーボード40の特定のキーの入力の検出に応じて実行される。パラメータ設定処理を撮影準備処理前に実施することで、ステップS101の光量A、ステップS104の所定量Bと待ち時間C、ステップS108で比較する閾値D、ステップS109で比較する閾値Eの各パラメータを変更することができる。
【0048】
図5は外部記憶媒体に保存されるワークメモリ37の内容、及び画像情報のファイルフォーマットの説明図である。ワークメモリ37内のファイルGはヘッダ情報H、画像情報Iから構成され、ヘッダ情報Hの一部として、ワークメモリ37に保存された散瞳剤が点眼されていることを示す情報、瞳孔径の計測値、及び瞳孔径の変化量が保存される。
【0049】
制御部32はワークメモリ37に散瞳剤が点眼されていることを示す情報、瞳孔径の計測値、及び瞳孔径の変化量が保存されていない場合に、ヘッダ情報Hに散瞳剤が点眼されていないことを示す情報を保存し、瞳孔径の変化量を保存しない。なお、瞳孔径の変化量が閾値未満となる原因としては、散瞳剤の点眼のみが原因とは限らないため、散瞳剤が点眼されていることを示す情報を縮瞳の有無として記録することも可能である。
【0050】
このように、実施例1の眼科用撮像装置は、被検眼Eに対して視標照明用光源17により光量可変に可視光を投光する手段と、可視光の投光に伴う被検眼Eの瞳孔径の変化量を検出する手段を有している。更に、変化量に応じて被検眼Eの観察光波長を可視領域波長光、或いは不可視領域波長光である赤外光に変化させるため、無散瞳撮影において瞳孔Epへの観察用の可視光の照射を防止することが可能となる。また、被検眼に対して撮影方法の誤りによる可視領域波長の投光を防止することができるため、撮影効率を向上することができる。
【0051】
また、実施例1の眼科用撮像装置は、被検眼Eの瞳孔径を計測する手段を有する。計測した瞳孔径と散瞳剤が点眼されていることを示す情報は、撮影直前の付帯情報として撮影画像と共に保存され、計測値の手入力が不要となり、入力ミスの防止が可能となる。また、散瞳剤点眼の有無又は縮瞳の有無、瞳孔径等に関する値と撮影画像とを対応付けて記録する際に、誤った値を画像と共に記録することを防止することができる。
【実施例2】
【0052】
実施例1では、被検眼Eに散瞳剤が点眼されているか否かを自動的に判別して撮影方法を変更するように動作する。散瞳撮影にあるにも拘らず散瞳剤の点眼を忘れた場合でも、撮影装置は撮影可能となるため、操作者が散瞳剤の点眼を忘れたことを撮影後に気付く虞れがある。
【0053】
このため、実施例1に示した手順によって、被検眼Eの瞳孔径の変化量を検出すると共に、瞳孔径の変化量によって操作者に通知を行い、撮影動作を中止するように動作することも可能である。
【0054】
図6は図1に示す構成の眼科用撮像装置において、瞳孔径の変化量によって操作者に通知を行い、撮影動作を中止できるようにする実施例2の動作処理フローチャート図である。図6の処理は、眼科用撮像装置の制御部32が実行する。なお、ステップS300〜S314の処理はそれぞれステップS100〜S114の処理と同様である。
【0055】
〔ステップS300〕撮影準備処理が開始されると、制御部32はフィルタ3を光軸L1上に移動する制御を実行する。そして制御部32は、前眼部観察光学系12を光軸L3上に移動する制御を行う。これにより、被検眼Eを観察するための赤外光が投影されると共に、前眼部観察光学系12を用いた撮影位置合わせが可能となる。
【0056】
〔ステップS301〕制御部32は撮影位置合わせを行う。この撮影位置合わせは、図2のステップS101と同様の手順で行う。
【0057】
〔ステップS302〕制御部32はワークメモリ37の内容をクリアする。
【0058】
〔ステップS303〕制御部32は観察画像用撮像素子25で撮像した画像から瞳孔径を計測する。瞳孔径の計測は図2のステップS103と同様の手順で行う。
【0059】
〔ステップS304〕制御部32は計測した瞳孔径をワークメモリ37に保存する。
【0060】
〔ステップS305〕制御部32は前眼部観察用固視目標光源制御部35の制御を介して視標照明用光源17の光量を予め設定された所定量に上昇させた後に、所定時間待機する。
【0061】
〔ステップS306〕制御部32はステップS303と同様の手順で瞳孔径の計測を行う。その後、制御部32は、ステップS304でワークメモリ37に保存した瞳孔径の計測値から、ステップS306で計測した瞳孔径の計測値を減算して瞳孔径の変化量を検出する。
【0062】
〔ステップS307〕制御部32はステップS306で取得した瞳孔径の変化量が閾値未満であるかを比較する。そして閾値以上の場合に、ステップS315に進む。
【0063】
〔ステップS308〕制御部32はステップS307の比較で瞳孔径の変化量が閾値未満である場合には、視標照明用光源17の光量が閾値未満であるか否かを比較する。ステップS308の比較で視標照明用光源17の光量が閾値未満であった場合には、制御部32は、ステップS305以下のステップを再度実行する。
【0064】
〔ステップS309〕ステップS308の比較で閾値以上の場合には、制御部32は散瞳剤が点眼されていることを示す情報と、ステップS306で検出した瞳孔径の変化量をワークメモリ37に保存する。
【0065】
〔ステップS310〕制御部32はフィルタ3を光軸L1外に移動する制御を実行する。このフィルタ3の移動によって、被検眼Eを観察するための光源が可視光源となり、被検眼Eをカラー画像で観察することが可能となる。
【0066】
〔ステップS311〕制御部32は前眼部観察光学系12を光軸L3外に移動する制御を実行する。これにより、静止画像用撮像素子21、観察画像用撮像素子25に結像する画像が、被検眼Eの前眼部Epから眼底部Erに切換わる。
【0067】
〔ステップS312〕制御部32は撮影準備完了後に撮影光投影用光源4を用いて眼底画像撮影を行う。
【0068】
〔ステップS313〕制御部32は撮影した画像とワークメモリ37の内容を図示しない外部記憶媒体にファイルとして保存する。なお、保存されるファイルについては、実施例の図5に示すものと同様である。
【0069】
〔ステップS314〕制御部32は必要な画像を全て撮影したかを判断し、未撮影の画像がある場合にはステップS312以下のステップを再度実行する。
【0070】
〔ステップS315〕制御部32はステップS307で瞳孔径の変化量が閾値以上の場合に、瞳孔が散瞳していないことを通知する。この通知はモニタ39にメッセージを表示させる処理を実行することにより行う。
【0071】
〔ステップS316〕制御部32はステップS315の処理を行った後に、撮影動作を中止するか否かを操作者に選択させる処理を実行する。この処理はモニタ39にメッセージを表示させることによって行われる。そして、制御部32はキーボード40からY又はNのような特定のキーの入力を検出し、入力されたキーを制御部32で判断することによって、撮影動作の中止か継続かを判断する。撮影中止が選択された場合には撮影動作を中止し、撮影継続が選択された場合には、ステップS311に進む。
【0072】
このように本実施例によれば、眼科用撮像装置による撮影時に瞳孔径の変化を計測し、変化量によって操作者に瞳孔が散瞳していないことを通知して、撮影動作を中止できる。
従って、散瞳撮影で散瞳剤の点眼を忘れた場合でも、撮影前に操作者に警告することが可能となる。
【実施例3】
【0073】
上述の実施例1、2では、視標照明用光源17の光量を変化させることによって被検眼Eの瞳孔径の変化量を計測するように構成している。しかし、光量を変化させる光源として観察光投影手段である観察用光源1を用いれば、視標照明用光源17による光量変更制御処理を削除することも可能である。
【0074】
図7は図1に示す構成の眼科用撮像装置において、観察用光源1の光量変化によって撮影動作を切換える実施例3の動作処理フローチャート図である。図7の処理は、眼科用撮像装置の制御部32が実行する。なお、ステップS400〜S404、S411〜S414の処理はそれぞれステップS100〜S104、S111〜S114の処理と同様である。
【0075】
〔ステップS400〕撮影準備処理が開始されると、制御部32はフィルタ3を光軸L1上に移動する制御を実行する。そして、前眼部観察光学系12を光軸L3上に移動する制御を行う。この処理により、被検眼Eを観察するために赤外光が投影され、前眼部観察光学系12を用いた撮影位置合わせが可能となる。
【0076】
〔ステップS401〕撮影位置合わせを行う。この場合の視標照明用光源17の光量は光量制御を行わない固定値を用いる。撮影位置合わせは、図2のステップS101と同様の手順で行う。
【0077】
〔ステップS402〕制御部32はワークメモリ37の内容をクリアする。
【0078】
〔ステップS403〕制御部32は観察画像用撮像素子25で撮像した画像により瞳孔径を計測する。瞳孔径の計測は図2のステップS103と同様の手順で行う。
【0079】
〔ステップS404〕制御部32は計測した瞳孔径をワークメモリ37に保存する。
【0080】
〔ステップS405〕制御部32は観察用光源1の光量を所定値に上昇する。
【0081】
〔ステップS406〕制御部32はフィルタ3を光軸L1の外部に移動後に所定時間待機する。フィルタ3を光軸L1外に移動することで、被検眼Eに可視光が投影される。
【0082】
〔ステップS407〕制御部32はステップS403と同様の手順で瞳孔径の計測を行う。その後に、制御部32はステップS404においてワークメモリ37に保存した瞳孔径の計測値から、ステップS407で計測した瞳孔径の計測値を減算して瞳孔径の変化量を検出する。
【0083】
〔ステップS408〕制御部32は瞳孔径の変化量が閾値未満であるかを判断し、閾値以上の場合にはステップS416に進む。
【0084】
〔ステップS409〕制御部32は観察用光源1の光量が閾値未満であるかを判断する。
【0085】
〔ステップS410〕制御部32はステップS409の比較で閾値以上の場合に散瞳剤点眼を示す情報と、ステップS407で取得した瞳孔径の変化量をワークメモリ37に保存する。
【0086】
〔ステップS411〕制御部32は前眼部観察光学系12を光軸L3外に移動する制御を実行する。これによって、静止画像用撮像素子21、観察画像用撮像素子25に結像する画像が、被検眼Eの前眼部Epから眼底部Erに切換わる。
【0087】
〔ステップS412〕制御部32は撮影準備完了後に、眼底画像撮影を行う。
【0088】
〔ステップS413〕制御部32は撮影した画像とワークメモリ37の内容を、外部記憶媒体にファイルとして保存する。
【0089】
〔ステップS414〕制御部32は必要な画像を全て撮影したかを判断し、未撮影の画像がある場合にはステップS412以下のステップを再度実行する。
【0090】
〔ステップS415〕制御部32はステップS409の比較で観察用光源1の光量が閾値未満であった場合には、制御部32の制御で観察用光源1の光量を予め設定された所定量に上昇させた後に所定時間待機する。そして、ステップS407以下のステップを再度実行する。
【0091】
〔ステップS416〕ステップS408で瞳孔径の変化量が閾値以上の場合に、制御部32はフィルタ3を光軸L3上に移動する制御を実行する。フィルタ3を光軸L1上に移動させることで、被検眼Eに赤外光が投射され、ステップS411に進む。本実施例で値選択、及び入力を行う場合のモニタ39の表示内容は図4と同様である。
【0092】
以上説明した構成、動作によれば、光量を変化させる光源を観察用光源1とすることで、視標照明用光源17の光量制御のための処理が不要となり、構成を簡略化できる。
【実施例4】
【0093】
上述の実施例1〜3では、眼底撮影を行う前に瞳孔径の変化量を計測して動作を切換えるように構成しているが、眼底撮影を行う前に瞳孔径の変化量を計測する処理のために眼底撮影を実施する前に処理時間が必要となる。
【0094】
このため、眼底画像撮影前の瞳孔径と眼底画像撮影後の瞳孔径の変化を計測して、動作を切換えるように構成することも可能である。
【0095】
図8は眼底画像撮影前の瞳孔径と眼底画像撮影後の瞳孔径の変化を検出できるように光学系を追加した実施例4の眼科用撮像装置の構成図を示している。即ち、孔あきミラー10とフォーカスレンズ18の間の光軸L3上にはプリズム51が配置されている。プリズム51により分割された光軸L7上には、レンズ52、制御部32に接続された前眼部観察用撮像素子53が配置されている。
【0096】
前眼部観察用撮像素子53は対物レンズ11及びレンズ52に関して、被検眼Eと対物レンズ11側の作動距離が適正になったときに、被検眼Eの前眼部Epとほぼ共役関係になる位置に配置されている。
【0097】
図9は図8に示す構成の眼科用撮像装置において、瞳孔径の変化量によって眼底カメラの撮影方法を切換える動作処理フローチャート図である。図9の処理は眼科用撮像装置の制御部32が実行する。
【0098】
〔ステップS500〕撮影準備処理が開始されると、制御部32はフィルタ3を光軸L1上に移動する制御を実行する。そして、制御部32は前眼部観察光学系12を光軸L3上に移動する。これにより、被検眼Eを観察するために赤外光が投射され、前眼部観察光学系12を用いた撮影位置合わせが可能となる。
【0099】
〔ステップS501〕制御部32は撮影位置合わせを行う。撮影位置合わせは、図2のステップS101と同様の手順で行う。
【0100】
〔ステップS502〕制御部32はワークメモリ37の内容をクリアする。
【0101】
〔ステップS503〕制御部32は前眼部観察光学系12を光軸L3外に移動する制御を実行する。前眼部観察光学系12の移動により、被検眼Eの前眼部Epから眼底部Erに切換わる。本動作により、眼底画像の撮影が可能となると共に、前眼部観察用撮像素子53に被検眼Eの前眼部Epの画像が結像する。
【0102】
〔ステップS504〕制御部32は前眼部観察用撮像素子53で撮像した前眼部像から瞳孔径を計測する。瞳孔径の計測は図2のステップS103と同様の手順で行う。
【0103】
〔ステップS505〕制御部32は計測した瞳孔径をワークメモリ37に保存し、撮影準備完了となる。
【0104】
〔ステップS506〕制御部32は撮影準備完了後に眼底画像撮影を行う。
【0105】
〔ステップS507〕制御部32は撮影した画像とワークメモリ37の内容を図示しない外部記憶媒体にファイルとして保存する。
【0106】
〔ステップS508〕制御部32は必要な画像を全て撮影したかを判断し、未撮影の画像がない場合は撮影終了とする。
【0107】
〔ステップS509〕未撮影の画像がある場合には、制御部32はステップS504と同様の手順で瞳孔径の計測を行う。そして制御部32は、ステップS505でワークメモリ37に保存した瞳孔径の計測値から、ステップS509で計測した瞳孔径の計測値を減算して瞳孔径の変化量を検出する。
【0108】
〔ステップS510〕制御部32はステップS509で取得した瞳孔径の変化量が閾値未満であるかを判断する。
【0109】
〔ステップS511〕制御部32はステップS510の判断で瞳孔径の変化量が閾値以上であった場合に、瞳孔の散瞳が不十分であることを通知する。この通知は、不図示の表示制御部が、モニタ39にメッセージ(散瞳が不十分であることを示す表示形態)を表示させることにより行う。
【0110】
〔ステップS512〕制御部32は撮影動作を中止するか否かを操作者に選択させる処理を実行する。そして、制御部32はモニタ39にメッセージを表示する。同時に、キーボード40からY又はN等の特定のキーの入力を検出し、撮影中止の入力が検出された場合には、制御部32は撮影動作を中止し、撮影継続の入力が検出された場合には、ステップS509以下のステップを再度実行する。
【0111】
〔ステップS513〕制御部32はステップS510の比較の結果、瞳孔径の変化量が閾値未満の場合には、散瞳剤点眼がされていることを示す情報と、ステップS509で取得した瞳孔径の変化量をワークメモリ37に保存する。
【0112】
〔ステップS514〕制御部32はフィルタ3を光軸L3外に移動する制御を実行する。そして、ステップS509以下のステップを再度実行する。フィルタ3を光軸L1外に移動させることで、被検眼に可視光が投射され、被検眼Eの眼底部Erをカラー画像で観察可能になる。
【0113】
以上説明した構成、及び動作によれば、撮影光投影用光源4を用い、撮影の前後での瞳孔径の変化量を計測するよう構成することで眼底画像撮影前に瞳孔径の変化量を計測する処理が不要となり、眼底画像撮影が可能となるまでの時間の短縮が可能となる。
【0114】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する工程と、
前記検出された変化量が閾値以上である場合に前記被検眼の散瞳が不十分であることを通知する工程と、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
【請求項2】
前記通知する工程の後に、前記被検眼の撮影を中止するか継続するかを選択する工程と、
前記被検眼の撮影の継続が選択された場合に前記被検眼を無散瞳撮影する工程と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項3】
前記被検眼の撮影の継続が選択された場合に前記被検眼を照明するための可視光を投光する投光手段を照明光学系から外す工程を更に有し、
前記無散瞳撮影する工程は、前記外す工程の後に行われることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項4】
前記被検眼の撮影の継続が選択された場合に前記瞳孔径の変化量を再度検出する工程を更に有し、
前記無散瞳撮影する工程は、前記再度検出された変化量が閾値以上である場合に行われることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項5】
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する工程と、
前記検出された変化量が閾値以上である場合に前記被検眼を無散瞳撮影する工程と、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
【請求項6】
前記検出された変化量が閾値以上である場合に、前記被検眼を照明するための可視光を投光する投光手段を照明光学系の光路から外す工程を更に有し、
前記無散瞳撮影する工程は、前記外す工程の後に行われることを特徴とする請求項5に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項7】
前記検出された変化量が閾値以上である場合に、可視光を遮断し且つ赤外光を透過する手段を照明光学系の光路に挿入する工程と、
前記無散瞳撮影する工程は、前記挿入する工程の後に行われることを特徴とする請求項5に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項8】
前記無散瞳撮影して得た前記被検眼の画像と前記検出された変化量とを対応付けて記憶媒体に保存する工程を更に有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項9】
前記無散瞳撮影して得た前記被検眼の画像と前記被検眼の瞳孔径が変化する前後の少なくとも一つの瞳孔径とを対応付けて記憶媒体に保存する工程を更に有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項10】
前記検出された変化量が閾値未満である場合に前記被検眼を散瞳撮影する工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項11】
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する工程と、
前記検出された変化量が閾値未満である場合に前記被検眼を散瞳撮影する工程と、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
【請求項12】
前記検出された変化量が閾値未満である場合に、前記可視光の光量が閾値以上か否かを判断する工程を更に有し、
前記散瞳撮影する工程は、前記可視光の光量が閾値以上である場合に行われることを特徴とする請求項10または11に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項13】
前記検出された変化量が閾値未満である場合に、前記被検眼を照明するための可視光を投光する投光手段及び可視光を遮断し且つ赤外光を透過する手段を照明光学系の光路から外す工程を更に有し、
前記散瞳撮影する工程は、前記外す工程の後に行われることを特徴とする請求項10または11に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項14】
前記検出された変化量が閾値未満である場合に、前記被検眼を照明するための可視光の光量を上げるように変更し、該変更された光量の可視光で前記被検眼を照明してから所定時間経過後に前記瞳孔径の変化量を再度検出する工程を更に有し、
前記散瞳撮影する工程は、前記再度検出された変化量が閾値未満の場合に行われることを特徴とする請求項10または11に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項15】
前記散瞳撮影する工程は、前記検出された変化量が閾値未満である場合に、前記被検眼に照明する光の波長領域を赤外領域から可視領域に変更する工程を有し、前記被検眼が前記可視領域の光で観察された後に行われることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項16】
前記検出する工程において、前記被検眼の瞳孔径が変化する前後の瞳孔径に基づいて、前記変化量を検出することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項17】
前記検出する工程において、前記可視光の光量上昇前の瞳孔径から前記光量上昇後の瞳孔径を減算して前記変化量を検出することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法。
【請求項18】
可視光で被検眼を照明した状態で前記被検眼の瞳孔径を検出する工程と、
前記検出された瞳孔径に基づいて、前記被検眼の散瞳を示す表示形態を表示させる工程と、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
【請求項19】
可視光で被検眼を照明した状態で前記被検眼の瞳孔径を検出する工程と、
前記検出された瞳孔径に基づいて、前記被検眼を無散瞳撮影するか否かを決定する工程と、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項に記載の眼科装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する検出手段と、
前記検出された変化量が閾値以上である場合に前記被検眼の散瞳が不十分であることを通知する手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項22】
前記通知した後に、前記被検眼の撮影を中止するか継続するかを選択する選択手段と、
前記被検眼の撮影の継続が選択された場合に前記被検眼の無散瞳撮影を実行する制御手段と、
を更に有することを特徴とする請求項21に記載の眼科装置。
【請求項23】
前記被検眼を照明するための可視光を投光する投光手段を更に有し、
前記制御手段が、前記被検眼の撮影の継続が選択された場合に前記投光手段を照明光学系から外し、該外した後に前記無散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項22に記載の眼科装置。
【請求項24】
前記検出手段が、前記被検眼の撮影の継続が選択された場合に前記瞳孔径の変化量を再度検出し、
前記制御手段が、前記再度検出された変化量が閾値以上である場合に前記無散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項22に記載の眼科装置。
【請求項25】
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する検出手段と、
前記検出された変化量が閾値以上である場合に前記被検眼の無散瞳撮影を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項26】
前記被検眼を照明するための可視光を投光する投光手段を更に有し、
前記制御手段が、前記検出された変化量が閾値以上である場合に、前記投光手段を照明光学系の光路から外し、該外した後に前記無散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項25に記載の眼科装置。
【請求項27】
前記制御手段が、前記検出された変化量が閾値以上である場合に、可視光を遮断し且つ赤外光を透過する手段を照明光学系の光路に挿入し、該挿入した後に前記無散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項25に記載の眼科装置。
【請求項28】
前記無散瞳撮影して得た前記被検眼の画像と前記検出された変化量とを対応付けて記憶媒体に保存する保存手段を更に有することを特徴とする請求項22乃至27のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項29】
前記無散瞳撮影して得た前記被検眼の画像と前記被検眼の瞳孔径が変化する前後の少なくとも一つの瞳孔径とを対応付けて記憶媒体に保存する保存手段を更に有することを特徴とする請求項22乃至27のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項30】
前記制御手段が、前記検出された変化量が閾値未満である場合に前記被検眼の散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項21乃至29のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項31】
可視光で被検眼を照明することによって生じる前記被検眼の瞳孔径の変化量を検出する検出手段と、
前記検出された変化量が閾値未満である場合に前記被検眼の散瞳撮影を実行する制御手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項32】
前記検出された変化量が閾値未満である場合に、前記可視光の光量が閾値以上か否かを判断する判断手段を更に有し、
前記制御手段が、前記可視光の光量が閾値以上である場合に、前記散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項30または31に記載の眼科装置。
【請求項33】
前記制御手段が、前記検出された変化量が閾値未満である場合に、前記被検眼を照明するための可視光を投光する投光手段及び可視光を遮断し且つ赤外光を透過する手段を照明光学系の光路から外し、該外した後に前記散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項30または31に記載の眼科装置。
【請求項34】
前記検出手段が、前記検出された変化量が閾値未満である場合に、光量を上げた可視光で前記被検眼を照明してから所定時間経過後に前記瞳孔径の変化量を再度検出し、
前記制御手段が、前記再度検出された変化量が閾値未満の場合に前記散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項30または31に記載の眼科装置。
【請求項35】
前記制御手段が、前記検出された変化量が閾値未満である場合に、前記被検眼に照明する光の波長領域を赤外領域から可視領域に変更し、前記被検眼が前記可視領域の光で観察された後に前記散瞳撮影を実行することを特徴とする請求項30乃至34のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項36】
前記被検眼を照明するための可視光を投光する投光手段は、
前記被検眼の視線を誘導するための固視目標投影手段、
前記被検眼を観察するための観察光投影手段、
前記被検眼を撮影するための撮影光投影手段、
の少なくとも1つであることを特徴とする請求項21乃至35のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項37】
前記検出手段が、前記可視光の光量上昇前の瞳孔径と前記光量上昇後の瞳孔径とに基づいて、前記変化量を検出することを特徴とする請求項21乃至36のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項38】
前記検出手段が、前記可視光の光量上昇前の瞳孔径から前記光量上昇後の瞳孔径を減算して前記変化量を検出することを特徴とする請求項21乃至37のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項39】
可視光で被検眼を照明した状態で前記被検眼の瞳孔径を検出する検出手段と、
前記検出された瞳孔径に基づいて、前記被検眼の散瞳を示す表示形態を表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項40】
可視光で被検眼を照明した状態で前記被検眼の瞳孔径を検出する検出手段と、
前記検出された瞳孔径に基づいて、前記被検眼を無散瞳撮影するか否かを決定する決定手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107014(P2013−107014A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−51617(P2013−51617)
【出願日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【分割の表示】特願2008−96815(P2008−96815)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)