説明

眼科装置

【課題】 複数の測定機能を持つ眼科装置において、モード切り換えのために測定ユニットが上下動しても、モニタの位置の変動を抑制し、前眼部の観察を好適に行う。
【解決手段】 第1測定部と第2測定部とを有し,第1及び第2測定部が上下に配置された測定ユニットと、前記測定ユニットを上下動させる上下駆動手段と、測定ユニットに設けられ被検眼の前眼部を撮像する前眼部撮像手段と、測定ユニットの検者側に取り付けられ,前記前眼部撮像手段によって撮影された被検眼前眼部像を表示する表示モニタと、第1測定部を使用する第1測定モードにおけるモニタの表示位置に対して,第2測定部を使用する第2測定モードにおけるモニタの表示位置を略同じ位置とするために、上下駆動手段による測定モードの切り換え時の前記測定ユニットの上下駆動に対応してモニタを移動させモニタの位置を補正する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の眼特性を測定する眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の眼圧を測定する眼圧測定部と被検眼の眼屈折力を測定する眼屈折力測定部を上下に積層配置し、高さ方向に異なる測定光軸を備えた測定ユニットを備え、上下駆動部の駆動により測定ユニットを上下方向に移動させることにより一方の測定光軸を被検眼に合わせて測定を行う複合型の眼科装置が開示されている(特許文献1参照)。そして、特許文献1の装置には、被検眼と装置とのアライメントに利用される前眼部観察用表示モニタが搭載されている。
【0003】
また、近年の表示モニタの薄型化に伴い、測定ユニットの検者側筐体部に表示面の向きを変更可能とする前眼部観察用表示モニタを取り付けたものが知られている(特許文献2参照)。この場合、検者は、首を曲げることなく楽な姿勢で表示モニタを観察することが可能である。
【特許文献1】特開平1−265937号公報
【特許文献2】特開2006−55439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の測定部が上下に積層配置された測定ユニットの検者側筐体部に表示モニタを取り付ける場合、測定モード切換のために(例えば、眼屈折力測定モードから眼圧測定モードへの移行)に測定ユニットが上下に駆動するとそれに伴う表示モニタの位置が変ってしまう。そのため、測定モード移行後において、検者にとって、モニタを見ながらの被検眼観察がしづらいといった問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑み、複数の測定機能が用意された測定ユニットを有する複合型の眼科装置において、測定モード切り換えのために測定ユニットが上下動しても、表示モニタの表示位置の変動を抑制し、被検眼前眼部の観察を好適に行うことができる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 被検眼の第1の眼特性を測定するための測定光学系を持つ第1測定部と,被検眼の第2の眼特性を測定するための測定光学系を持つ第2測定部とを有し,被検眼に対する前記第1測定部の測定光軸と第2測定部の測定光軸とが異なる高さとなるように前記第1及び第2測定部が配置された測定ユニットと、
前記第1及び第2測定部の測定光軸を被検眼に対して各々位置合わせして被検眼を測定するために前記測定ユニットを上下動させる上下駆動手段と、
前記測定ユニットに設けられ被検眼の前眼部を撮像する前眼部撮像手段と、
前記測定ユニットの検者側に取り付けられ,前記前眼部撮像手段によって撮影された被検眼前眼部像を表示する表示モニタと、
第1測定部を使用する第1測定モードにおける前記表示モニタの表示位置に対して,第2測定部を使用する第2測定モードにおける前記表示モニタの表示位置を略同じ位置とするために、前記上下駆動手段による測定モードの切り換え時の前記測定ユニットの上下駆動に対応して前記表示モニタを移動させ前記表示モニタの位置を補正するモニタ位置補正手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼科装置において、
前記モニタ位置補正手段は、前記測定ユニットに対して前記表示モニタを電動で移動させるための駆動部と、
前記測定ユニットに対する前記表示モニタの位置を検出するモニタ位置検出手段と、
前記モニタ位置検出手段からの検出信号に基づいて前記表示モニタが所定の位置に移動されるように前記駆動部を駆動制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(3) (2)の眼科装置において、前記測定ユニットに対して前記表示モニタの位置を調整するために検者によって操作されるモニタ位置調整用スイッチと、前記モニタ位置調整用スイッチからの操作信号に基づいて移動された前記表示モニタの位置情報をモニタ位置検出手段からの検出信号に基づいて記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記記憶手段によって記憶された前記表示モニタの位置情報に基づいて前記駆動部を駆動制御することを特徴とする。
(4) (1)の眼科装置において、前記モニタ位置補正手段は、前記表示モニタを移動させ前記測定ユニットに対する表示モニタの角度もしくは高さを調整する調整機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の測定機能が用意された測定ユニットを有する複合型の眼科装置において、測定モード切り換えのために測定ユニットが上下動しても、表示モニタの表示位置の変動を抑制し、被検眼前眼部の観察を好適に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、眼圧、眼屈折力及び角膜形状を測定する眼科装置を例として説明する。図1は、本実施形態に係る眼科装置の外観構成図である。図1(a)は、眼屈折力、角膜形状測定時の状態を表すものであり、図1(b)は、眼圧測定時の状態を表すものである。
【0010】
眼科装置は、基台1と、基台1に取り付けられた顔支持ユニット2と、基台1上に移動可能に設けられた移動台3と、移動台3に移動可能に設けられた測定ユニット4を備える。測定ユニット4は、被検眼Eの眼屈折力及び角膜形状の眼特性(第1の眼特性)を測定するための眼屈折力・角膜形状測定部4a(以下、レフ・ケラト測定部と記す)と、レフ・ケラト測定部4aの上に位置するように積層配置され、非接触で被検眼Eの眼圧(第2の眼特性)を測定するための眼圧測定部4bとを持つ。このとき、測定ユニット4には、被検眼に対するレフ・ケラト測定部4aの測定光軸Laと眼圧測定部4bの測定光軸Lbとが異なる高さとなるようにレフ・ケラト測定部4aと眼圧測定部4bが配置され、測定光軸Laと測定光軸Lbを被検眼に対して各々位置合わせして被検眼を測定することにより第1及び第2の眼特性を測定することが可能である。
【0011】
測定ユニット4は、移動台3に設けられたY駆動部6(上下動ユニット)により、被検眼に対して上下方向(図1に示すY方向)に移動される。また、Y駆動部6は、レフ・ケラト測定部4aや眼圧測定部4bの測定光軸を被検眼と略同じ高さになるように測定ユニット4を被検眼に対して上下方向に移動させるために用いられる。
【0012】
また、測定ユニット4は、Y駆動部6の上に設けられたXZ駆動部7により、被検眼Eに対して左右方向(X方向)、前後(作動距離)方向(Z方向)に移動される。これにより、測定ユニット4は、3次元方向に移動可能となる。
【0013】
また、眼圧測定部4bは、駆動部8の駆動によりレフ・ケラト測定部4aに対してZ方向に移動可能に配置されており、眼圧測定モードの際には眼圧測定部4bを被検眼Eに近づく方向に移動させ、レフ・ケラト測定モードの際には眼圧測定部4bを被検眼Eから遠ざかる方向に移動させるために用いられる。
【0014】
移動台3は、ジョイスティック5の操作により、基台1上をX方向及びZ方向に移動される。また、検者が回転ノブ5aを回転操作することにより、測定ユニット4はY駆動部6のY駆動によりY方向に移動される。ジョイスティック5の頂部には、測定開始スイッチ5bが設けられている。
【0015】
40は被検眼の観察画像や測定結果等を表示する表示モニタであり、100は測定ユニット4に対する表示モニタ40の上下方向における位置(高さ)を調整するための表示モニタ移動機構である。ここで、表示モニタ40は、モニタ移動機構100を介して測定ユニット4の筐体の検者側側面に取り付けられているとともに、図示無き回転軸によって俯仰角を変更することができるようになっている。
【0016】
より具体的には、移動機構100には、測定ユニット4に固定される上下方向駆動用のモータ101、モータ101の回転軸に連結されると共に上下方向に延びるネジ軸102、ネジ軸102の先端部に連結されると共に測定ユニット4に固定される固定部103、が設けられている。また、表示モニタ40には、表示画面を有する表示部41(例えば、液晶ディスプレイ)、ネジ軸102の雄ねじ部と螺合される雌ねじ部が形成され表示部41に連結される連結部42、が設けられている。ここで、モータ101が回転駆動されると、ネジ軸102が回転され、連結部42を介して表示部41を含む表示モニタ40が測定ユニット4に対して上下に移動される。この場合、モータ101は、測定ユニット4に対して表示モニタ40を電動で移動させるための駆動部として用いられる。
【0017】
なお、移動機構100には、測定ユニット4に対する表示モニタ40の上下位置を検出するための上下位置検出部104(図2参照)が設けられている。上下位置検出部104としては、例えば、モニタ40の上下位置が所定位置(例えば、測定開始時の初期位置や下限位置など)にあるかを検知するフォトセンサ105、106をネジ軸102付近に設けると共に、連結部42の一部に遮光版107を設けておく。この場合、フォトセンサ105の配置位置はレフ・ケラト測定モードにおけるモニタ40の上下位置、フォトセンサ106の配置位置は眼圧測定モードにおけるモニタ40の上下位置に対応するように配置されており、これらのフォトセンサが遮光板107を検知するときの検知信号に基づいて各測定モードにおけるモニタ40の上下位置の調整が可能である。
【0018】
なお、上記構成に限るものではなく、モータ101として回転数の検出が可能なエンコーダ付モータなどを用い、フォトセンサによって遮光板が検知される所定位置を表示モニタ40の上下位置を求める際の基準とし、所定位置からのモータ102の回転数を計測することにより、表示モニタ40の上下方向の位置を求めるようにしてもよい。
図2は、レフ・ケラト測定部4aと眼圧測定部4bの光学系及び制御系の構成について説明するための図である。まず、レフ・ケラト測定部4aの光学系について説明する。10は被検眼Eの眼屈折力を測定するための眼屈折力測定光学系であり、被検眼眼底に測定指標を投影する投影光学系と、その反射光を受光する受光光学系とからなる。
【0019】
測定光学系10に用いられる測定光束を透過するダイクロイックミラー29は、固視標呈示光学系30からの固視標光束を眼Eに導き、被検眼Eの前眼部からの反射光を観察光学系50に導く。なお、固視標呈示光学系30の光路には、固視光源31から順に、固視標32、投光レンズ33、全反射ミラー34、対物レンズ36、ダイクロイックミラー29が配置されており、これらは被検眼に固視標32を呈示する役割を有する。この場合、光源31及び固視標板32が、光軸方向に移動されることにより、被検眼Eの雲霧が行われる。
【0020】
眼Eの前眼部の前方には、眼Eの角膜Ecにリング指標を投影するための近赤外光を発するリング指標投影光学系45が設けられている。なお、リング投影光学系45は、被検眼の角膜形状測定用のリング状指標を投影する投影光学系として用いられる他、眼Eの前眼部を照明する前眼部照明としても用いられる。
【0021】
被検眼の前眼部を撮影するための光学系としての観察光学系50は、固視標呈示光学系30の対物レンズ36及びダイクロイックミラー29が共用され、可視光透過・赤外光反射のダイクロイックミラー35と、ダイクロイックミラー35の反射方向に配置された,撮像レンズ51及び二次元撮像素子52とを備える。撮像素子52からの出力は、制御部20に入力される。これにより、被検眼Eの前眼部像は、ダイクロイックミラー29、対物レンズ36、ダイクロイックミラー35、撮像レンズ51を介して、二次元撮像素子52により撮像され、モニタ40上に表示される。
【0022】
次に、眼圧測定部4bの空気(流体)吹付機構を図2に基づいて説明する。空気(流体)吹付機構は、シリンダ61、ピストン62を持ち、図示なきロータリソレノイドの駆動力によってシリンダ61内をピストン62が圧縮方向に移動されることによりノズル63を介して被検眼Eの角膜Ecに向けて噴射される。66はシリンダ61内の圧力を検出する圧力センサである。圧力センサ66からの検出信号は、制御部20に入力され、眼圧値の算出に利用される。
【0023】
70は前眼部照明用の赤外光源であり、ノズル63の軸線と一致する光軸Lbを中心に4個配置されている。64は透明なガラス板であり、ノズル6を保持するとともに、観察光やアライメント光を透過させる。65はノズル6の背面に設けられた透明なガラス板であり、空気圧縮室の後壁を構成するとともに、観察光やアライメント光を透過させる。ガラス板65の背後には、対物レンズ72、二次元受光素子75を持ち被検眼の前眼部を撮像する前眼部観察光学系76が設けられている。この場合、光源70による被検眼Eの前眼部像は、ガラス板65、対物レンズ72を介して、二次元受光素子75により撮像され、制御部20へ入力されたのちに表示モニタ40上に表示される。
【0024】
なお、ガラス板65の背後に形成される光路には、前述の前眼部観察光学系76の他、ハーフミラー等を介してアライメント指標投影光学系、固視灯投影光学系等が配置されるが、本発明とは関連が少ないため、説明は省略する。なお、眼圧測定部4bを使用する場合(眼圧測定時)は、レフ・ケラト測定部4aの最前面に対して眼圧測定4bに設けられたノズル63が被検眼E側にせり出した状態にて使用される。
【0025】
90は角膜圧平検出用の赤外LEDであり、LED90を出射した光はコリメ−タレンズ91により平行光束とされて被検眼の角膜に投光される。角膜で反射した光は受光レンズ92、ピンホ−ル板95を通過して光検出器96に受光される。角膜圧平検出用の光学系は、被検眼が所定の圧平状態のときに光検出器76の受光量が最大となるように配置されている。ここで、光検出器96からの検出信号は、制御部20へと入力され、眼圧値の算出に用いられる。
【0026】
なお、図2においては、説明の便宜上、これら角膜変形検出光学系を上下に配置しているように図示したが、本来は被検眼に対して左右方向に配置されているものである。
【0027】
次に、制御系の構成について説明する。装置全体の制御や測定値の算出等を行う制御部20は、レフ・ケラト測定部4aや眼圧測定部4bに備わる各部材の他、表示モニタ40、Y駆動部6、XZ駆動部7、駆動部8、測定結果等を記憶するメモリ21、回転ノブ5a、測定開始スイッチ5b、モータ101、フォトセンサ105、フォトセンサ106、及び測定モード選択スイッチ24a等の各種スイッチ群が配置されたスイッチ部24などが接続されている。300は移動台3が所定の後方位置まで移動したことを検知する図示無き検知部(例えば、マイクロスイッチ)であり、測定モードの切換時に用いられる(詳しくは、特開2004−313758号公報参照)。
【0028】
以上のような構成を備える眼科装置において、その動作について説明する。本実施形態では、レフ・ケラト測定を行った後、眼圧を測定する場合について説明する。
【0029】
この場合、眼光学特性測定モードとしてレフ・ケラト測定が初めに行われるが、制御部20は、Y駆動部6を駆動させることによりレフ・ケラト測定部4aの測定光軸Laと被検眼Eがほぼ同じ高さになるようにしておく(ラフで構わない)。この場合、制御部20は、顔支持ユニット2に形成される図示なきアイレベル確認ラインと測定光軸Laが略同じ高さになるように測定ユニット4の高さ位置を調整する。また、制御部20は、駆動部8を駆動させることにより、ノズル63を測定ユニット4の筐体内に退避させておく。これにより、レフ・ケラト測定が可能な装置形態となる(図1(a)参照)。また、表示モニタ40を上下方向に回動させて俯仰角を変更し、見やすいように調節しておく。
【0030】
また、制御部20は、モータ101を駆動させ、表示モニタ40の画面中央部と測定光軸Laの高さがほぼ同じ高さになるようにしておく。より具体的には、制御部20は、予めレフ・ケラト測定モード用に位置調整されたフォトセンサ105によって遮光板107が検出されると、モータ101の駆動を停止させる。この場合、初期位置をメモリ21に予め記憶させておき、記憶されたモニタ40の上下位置情報に基づいて高さ調整を行うようにしてもよい。
【0031】
以下の説明では、レフ・ケラト測定において、初めに右眼の測定を行い、右眼の測定が完了後、左眼の測定に移行する。まず、被検眼Eの右眼ERに対するレフ・ケラト測定部4aのX,Y及びZ方向のアライメントを行う。ここで、検者はモニタ40を観察しながらジョイスティック5及び回転ノブ5aを操作し、ラフなアライメントを行う。すると、二次元撮像素子52に撮像された被検眼像F1がモニタ40に表示されるようになり、やがて、リング指標投影光学系45によるリング指標Rが撮像される状態となる。(図2参照)。なお、LTは、手動アライメント時におけるアライメント基準となるレチクルである。
【0032】
ここで、レチクルLTとリング指標Rが同心円上となるようにアライメント調整され、検者から測定開始スイッチ5bが押され、測定が開始される。
【0033】
ここで、制御部20は、測定開始信号の入力に基づき撮像素子52にて撮像されたリング指標像Rの形状に基づいて眼Eの角膜形状を測定する。次に、制御部20は、測定光学系10を用いて被検眼の眼屈折力を測定する。この場合、前述の固視標投影光学系30によって被検眼Eに対して雲霧がかけられる。
【0034】
右眼の測定が完了すると、表示モニタ40の画面上にFINISHの文字が表示されるので、検者は、これに基づいて左眼の測定に移行する。検者は、ジョイスティック4の操作により基台1に対して移動台3を右方向に移動させ、右眼と同様に、左眼の角膜形状及び眼屈折力の測定を行う。そして、制御部20は、所定の測定終了条件が満たされると、左眼の測定を完了とする。
【0035】
測定完了信号が発せられると、制御部20は、移動台3を後方へ移動する旨のメッセージをモニタ40に表示する。この表示に従って検者がジョイスティック5を操作して移動台3を後方に移動させると、移動台3が所定の後方位置まで移動したことを検知する検知部300の検知信号により、レフ・ケラト測定モードから眼圧測定モードへの切り換えが許可され、制御部20によってモード切換信号が発せられる。
【0036】
ここで、眼圧測定モードへの切換信号が発せられると、制御部20は、レフ・ケラト測定終了後の測定ユニット4の高さ位置に対して測定光軸Laと測定光軸Lbの光軸間距離分測定ユニット4を下方向に移動させるようにY駆動部6を駆動させる。
【0037】
また、制御部20は、レフ・ケラト測定モードにおける表示モニタ40の表示位置に対して,眼圧測定モードにおける表示モニタ40の表示位置を略同じ位置とするために、Y駆動部6による測定モードの切り換え時の測定ユニット4の上下駆動に対応して表示モニタ40を移動させ表示モニタ40の位置を補正する。
【0038】
より具体的には、制御部20は、モータ101を駆動させてモニタ40を上方向に移動させていき、予め眼圧測定モード用に位置調整されたフォトセンサ106によって遮光板107が検出されると、モータ101の駆動を停止させる。すなわち、制御部20は、上下位置検出部104からの検出信号に基づいて表示モニタ40が所定の位置に移動されるようにモータ101を駆動制御する。これにより、表示モニタ40の画面中央部(レチクルLT付近)と測定光軸Lbの高さがほぼ同じ高さになるようにモニタ40の上下位置が調整される。また、眼圧測定モードへの切換信号が入力されると、制御部20は、前述の測定モード切り換えに基づくY駆動部6の駆動制御時において、切り換え後の測定モードに用いる測定部(第2測定部4b)にて得られる撮影画像を前眼部観察像として表示モニタ40に表示する。
【0039】
また、制御部20は、駆動部8を駆動させることにより眼圧測定部4bを被検眼Eへ近づく方向に移動させていき、ノズル63の先端をレフ・ケラト測定部4aの筐体前面より被検者側に位置させる(せり出す)。
【0040】
以下に、眼圧測定モードへ移行した後(眼圧測定可能な装置形態に移行した後)の動作について説明する。
【0041】
ここで、検者は、モニタ40を観察しながらジョイスティック5を操作し、被検眼Eの左眼ELに対する眼圧測定部4bのX、Y、Z方向のアライメントを行う。そして、アライメントが完了されると、検者は測定開始スイッチ5bを押してトリガ信号を入力し、図示なきロータリソレノイドを駆動させる。ロータリソレノイドの駆動によりピストン62が移動されると、シリンダ61内の空気が圧縮され、圧縮空気がノズル63から角膜Ecに向けて吹き付けられる。角膜Ecは、圧縮空気の吹き付けにより徐々に変形し、扁平状態に達したときに光検出器96に最大光量が入射される。制御部20は、圧力センサ66からの出力信号と光検出器96からの出力信号とに基づき眼圧値を求める。そして、測定結果を表示モニタ40に表示する。ここで、所定の測定終了条件が満たされると、左眼の測定を完了とする。左眼の測定が完了したら、検者は、右眼の測定に移行し、同様に測定を行う。
【0042】
以上のようにすれば、測定モードに切り換えによって測定ユニット4が上下方向に移動されても、表示モニタ40の高さを一定に保つことができるので、検者は、測定モードに関係なく同じ姿勢で被検眼前眼部の観察を行うことが可能となる。また、本実施形態では、表示モニタ40の画面中央部(レチクルLT付近)と,眼特性の測定に用いられる測定光軸(光軸Laまたは光軸Lb)との高さが同じになるように表示モニタ40の位置が調整されることにより、検者は、測定モードに関係なく、被検眼の高さを容易に認識できる。
【0043】
なお、上記説明において、制御部20は、測定モード切換時の測定ユニット4の上下動に対応してモータ101を駆動させ表示モニタ40の位置を補正したが、モード切換後の被検眼に対するアライメント調整時における測定ユニット4の上下動の際にはモニタ40の位置補正を行わないものとした。これにより、被検眼に対するアライメントの際に測定ユニット4に対してモニタ40が過度に移動されることがないし、測定光軸とモニタとの位置関係も維持されるため、被検眼観察がしやすい。
【0044】
また、上記説明においては、レフ・ケラト測定モードから眼圧測定モードに移行するときの表示モニタ40の上下動について説明したが、反対に、眼圧測定モードからレフ・ケラト測定モードに移行する場合、制御部20は、測定モードの切換に応じて、モータ101を駆動させモニタ40を下方向に移動させ、表示モニタ40の画面中央部と測定光軸Laの高さがほぼ同じ高さになるようにしておく。
【0045】
また、上記構成において、測定ユニット4に対してモニタ40の上下位置を調整するために検者によって操作されるモニタ位置調整用スイッチをスイッチ部24に設け、検者が任意にモニタ40の位置調整を行うことができるようにしてもよい。この場合、例えば、制御部20は、位置調整用スイッチからの操作信号に基づいてモータ101を駆動させる。そして、測定モード切換信号が発せられると、制御部20は、測定光軸Laと測定光軸Lbとの上下方向の光軸間距離分モニタ40を上下動させる。なお、上記の場合、位置調整用スイッチからの操作信号に基づいて移動された表示モニタ40の位置情報を上下位置検出部104からの検出信号に基づいて測定モードに対応させてメモリ21に記憶させておき、電源投入後の初期設定において、メモリ21に予め記憶されたモニタ40の位置情報に基づいて表示モニタ40の上下位置へ表示モニタ40を移動させるようにしてもよい。なお、初期設定時の測定モードと、表示モニタ40の上下位置を記憶させたときの測定モードが異なる場合、記憶された上下位置に対して所定量(例えば、光軸間距離分)移動させるような補正がなされる。
【0046】
なお、以上の説明においては、測定ユニット4に対して表示モニタ40を上下方向に移動させるような構成としたが、これに限るものではなく、測定モードの切換の際の測定ユニット4の上下動に伴う表示モニタ40の位置変化を補正するべく測定ユニット4に対して表示モニタの位置を調整するための移動機構であればよい。例えば、図3及び図4に示すように、測定ユニット4に対する表示モニタ40の角度を調整するための回転移動機構200を設けるようにしてもよい。なお、図3において、図1と同じ番号を付したものについては、特段の説明が無い限り、同様の構成を有するものとする。
【0047】
より具体的には、回転移動機構200には、図4に示すように、測定ユニット4に固定される固定部201a及び201b、固定部201aに固定され水平方向に延びる回転軸を有する回転駆動用のモータ202、固定部201bに形成された穴に挿通されモータ202の回転軸と同軸上に配置される回動軸203、が設けられている。また、表示モニタ40には、表示部41、モータ202の回転軸に連結されると共に表示部41に連結される連結部43、回動軸203に連結されると共に表示部41に連結される連結部44、が設けられている。ここで、モータ202が回転駆動されると、モータ202の回転軸に連結される連結部43が回転軸を中心に回転されるため、表示部41を含む表示モニタ40が測定ユニット4に対して回転移動される。この場合、モード切換に対応して表示モニタ40を所定の角度位置に移動できるように、測定ユニット4に対する表示モニタ40の角度位置を検出する位置検出部を設けておく。
【0048】
なお、上記のような電動式の構成に限るものではなく、図5に示すように、機械式構成によるものであってもよい。210は斜め方向にカム溝210aが形成されたカム溝アームであり、移動台3に固定されている。211はモニタ40に連結される連結部であり、カム溝210aに対して移動可能に配置されるローラ211aを持つ。212は測定ユニット4と表示モニタ40の上端とを回転可能に連結する回転連結部であり、水平方向に延びる回転軸212aを持つ。この場合、測定ユニット4が上方向に移動されると、カム溝210aに対してローラ210が斜め上方に移動され、モニタ40が矢印B方向に回転移動される。また、測定ユニット4が下方向に移動されると、カム溝210aに対してローラ210が斜め下方に移動され、モニタ40が矢印A方向に回転移動される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係る眼科装置の外観構成図である。
【図2】レフ・ケラト測定部と眼圧測定部の光学系及び制御系の構成について説明するための図である。
【図3】測定ユニットに対する表示モニタの角度を調整するための回転移動機構について説明する側方概略図である。
【図4】測定ユニットに対する表示モニタの角度を調整するための回転移動機構について説明する上方概略図である。
【図5】機械的に表示モニタの位置を調整する構成について説明する側方概略図である。
【符号の説明】
【0050】
4 測定ユニット
4a レフ・ケラト測定部
4b 眼圧測定部
6 Y駆動部
20 制御部
21 メモリ
40 表示モニタ
41 表示部
50 レフ・ケラト測定部に設けられた前眼部観察光学系
76 眼圧測定部に設けられた前眼部観察光学系
100 表示モニタ移動機構
101 モータ
104 上下位置検出部
200 回転移動機構
202 モータ
La レフ・ケラト測定部の測定光軸
Lb 眼圧測定部の測定光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の第1の眼特性を測定するための測定光学系を持つ第1測定部と,被検眼の第2の眼特性を測定するための測定光学系を持つ第2測定部とを有し,被検眼に対する前記第1測定部の測定光軸と第2測定部の測定光軸とが異なる高さとなるように前記第1及び第2測定部が配置された測定ユニットと、
前記第1及び第2測定部の測定光軸を被検眼に対して各々位置合わせして被検眼を測定するために前記測定ユニットを上下動させる上下駆動手段と、
前記測定ユニットに設けられ被検眼の前眼部を撮像する前眼部撮像手段と、
前記測定ユニットの検者側に取り付けられ,前記前眼部撮像手段によって撮影された被検眼前眼部像を表示する表示モニタと、
第1測定部を使用する第1測定モードにおける前記表示モニタの表示位置に対して,第2測定部を使用する第2測定モードにおける前記表示モニタの表示位置を略同じ位置とするために、前記上下駆動手段による測定モードの切り換え時の前記測定ユニットの上下駆動に対応して前記表示モニタを移動させ前記表示モニタの位置を補正するモニタ位置補正手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置において、
前記モニタ位置補正手段は、前記測定ユニットに対して前記表示モニタを電動で移動させるための駆動部と、
前記測定ユニットに対する前記表示モニタの位置を検出するモニタ位置検出手段と、
前記モニタ位置検出手段からの検出信号に基づいて前記表示モニタが所定の位置に移動されるように前記駆動部を駆動制御する制御手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項2の眼科装置において、前記測定ユニットに対して前記表示モニタの位置を調整するために検者によって操作されるモニタ位置調整用スイッチと、
前記モニタ位置調整用スイッチからの操作信号に基づいて移動された前記表示モニタの位置情報をモニタ位置検出手段からの検出信号に基づいて記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段によって記憶された前記表示モニタの位置情報に基づいて前記駆動部を駆動制御することを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項1の眼科装置において、前記モニタ位置補正手段は、前記表示モニタを移動させ前記測定ユニットに対する表示モニタの角度もしくは高さを調整する調整機構を備えることを特徴とする眼科装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−272259(P2008−272259A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120084(P2007−120084)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)