眼科装置
【課題】光環境に応じた態様で情報を表示することが可能な眼科装置を提供する。
【解決手段】眼科装置1は、装置周囲の光環境を表す環境情報中の明るさ情報を参照して、装置周囲の明るさが閾値以下であるか否か判定する。明るさが閾値以下であると判定されたときに、眼科装置1は、医療情報32bに含まれる複数の情報を分類情報32aに基づいて第1群と第2群に分類する。そして、眼科装置1は、第1群に分類された情報の画素の階調情報を反転させて表示部41に表示するとともに、第2群に分類された情報をそのまま表示部41に表示する。
【解決手段】眼科装置1は、装置周囲の光環境を表す環境情報中の明るさ情報を参照して、装置周囲の明るさが閾値以下であるか否か判定する。明るさが閾値以下であると判定されたときに、眼科装置1は、医療情報32bに含まれる複数の情報を分類情報32aに基づいて第1群と第2群に分類する。そして、眼科装置1は、第1群に分類された情報の画素の階調情報を反転させて表示部41に表示するとともに、第2群に分類された情報をそのまま表示部41に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科分野で使用される眼科装置に関する。特に、この発明は、医療情報を表示する機能を備えた眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科分野では様々な装置が使用されている。眼科装置には表示機能を有するものが多々ある。たとえば、眼底カメラや細隙灯顕微鏡(スリットランプ)等の撮影装置は、撮影画像等の医療情報を表示する機能を備えている(たとえば特許文献1、2、3参照)。
【0003】
特許文献1、3に記載の装置は、装置本体(撮影用の光学系を格納する筐体)にディスプレイが搭載されている。また、特許文献2に記載の装置では、装置本体とは別にディスプレイが設けられている。一般に、後者のディスプレイの画面サイズは、前者のディスプレイの画面サイズよりも大きい。
【0004】
また、眼科分野では、撮影画像や電子カルテ等の医療情報を表示する表示装置も用いられる(たとえば特許文献4参照)。
【0005】
ところで、眼科分野では、暗室で医療行為を行うことがある。たとえば、被検眼を縮瞳させたくない場合には、暗室内に設置された眼底カメラを用いて撮影を行う(たとえば特許文献1参照)。また、暗室内で医療行為を行う際に、過去の検査結果や患者情報等を表示させて参照することがある。なお、外光をほぼ遮断した暗室だけでなく、様々な光環境下で医療行為を行うこともある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−28134号公報
【特許文献2】特開2006−280703号公報
【特許文献3】特開2001−37726号公報
【特許文献4】特開2005−144086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、様々な光環境下で医療行為が実施されるにも拘わらず、従来の眼科装置では、光環境に応じて表示態様を変更することができなかった。そのため、たとえば暗室で医療行為を行う際に、ディスプレイから発せられる光が環境に影響を与え(つまり室内の明るさが増し)、医療行為を行いにくくなることがあった。その具体例として、ディスプレイからの光により被検眼が縮瞳し、眼底撮影を好適に行えない場合があった。
【0008】
特に、大きな画面サイズのディスプレイを使用する場合、発せられる光量も大きいことから、医療行為に悪影響を与えるおそれが高まる。
【0009】
また、複数の情報を参照しつつ医療行為を行う場合に、全ての情報を好適に視認できないことがある。たとえば、暗室において画像と文字列情報を参照する場合に、画像の明るさにより文字列情報が視認しにくくなることがある。
【0010】
なお、眼科装置のディスプレイは、一般的なディスプレイと同様に輝度調整機能を有している。しかし、医療行為を行う際に手作業で輝度調整を行うことは煩雑であり、作業効率を低下させるおそれがある。特に、表示されるオブジェクト(画像、文字列情報等)の明るさに応じて輝度調整を行いたい場合も想定されるが、従来の眼科装置でそれを行うには大きな手間が掛かる。
【0011】
また、手作業での輝度調整によれば画面全体の輝度を一括で変更することしかできなかったので、複数の情報を参照する上記のケースに対処することはできない。
【0012】
また、従来では、表示内容を確認するときにのみディスプレイの電源を投入するなどの工夫もなされていたが、医療行為の作業効率を低下させるという問題がある。また、この手法では、複数の情報を参照する上記のケースの問題を解決することはできない。
【0013】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、医療行為を行う場所の光環境に応じた態様で情報を表示することが可能な眼科装置を提供することを目的とする。
【0014】
更に、この発明は、光環境だけでなく表示内容にも応じた態様で情報を表示することが可能な眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、医療情報を表示する表示手段を備える眼科装置であって、装置周囲の光環境を表す光環境情報を入力する入力手段と、前記光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更し、前記画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の眼科装置であって、前記光環境情報は、装置周囲の明るさを表す明るさ情報を含み、前記制御手段は、前記明るさ情報に示す明るさが所定閾値以下であるか否か判定する判定手段を含み、前記所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の画素値を変更し、該画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の眼科装置であって、前記医療情報の画素の画素値は、所定の階調範囲内の値により表される階調情報を含み、前記制御手段は、前記判定手段により所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の階調情報を前記階調範囲において反転し、前記階調情報が反転された医療情報を前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の階調値を反転し、前記階調値が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の眼科装置であって、前記分類情報は、文字列情報及び/又はグラフ情報を前記第1群に分類する、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の眼科装置であって、前記分類情報は、被検眼を撮影した画像を前記第2群に分類する、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の眼科装置であって、前記分類情報は、被検眼を撮影したモノクロ画像を前記第1群に分類し、被検眼を撮影したカラー画像を前記第2群に分類する、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項10に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の眼科装置であって、前記分類手段は、前記複数の情報のそれぞれを形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調情報を有する画素の個数を前記統計値として求め、前記画素の個数が所定数以上である情報を前記第1群に分類し、前記所定数未満である情報を前記第2群に分類する、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項13に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の画素値を変更する、ことを特徴とする。
【0029】
また、請求項15に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の階調情報を反転する、ことを特徴とする。
【0030】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の画素値を変更する、ことを特徴とする。
【0031】
また、請求項17に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の階調値を反転する、ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項18に記載の発明は、請求項1に記載の眼科装置であって、前記入力手段は、前記光環境情報を入力するための操作手段を含む、ことを特徴とする。
【0033】
また、請求項19に記載の発明は、請求項1に記載の眼科装置であって、前記入力手段は、装置周囲の光環境を検出して前記光環境情報を生成する検出手段を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
この発明に係る眼科装置によれば、医療情報を表示する表示手段を備え、装置周囲の光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更し、この画素値が変更された医療情報を表示することができる。
【0035】
特に、この発明に係る眼科装置は、装置周囲の明るさが所定閾値以下である場合に、医療情報の少なくとも一部の画素の階調情報を反転させて、この医療情報を表示するようになっている。
【0036】
このような眼科装置によれば、医療行為を行う場所の光環境に応じた態様で情報を表示することが可能である。
【0037】
更に、この発明に係る眼科装置によれば、情報の種別に応じて医療情報に含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類し、第1群に分類された情報の画素値を変更し、画素値が変更された第1群の情報と、第2群に分類された情報とを表示することができる。それにより、光環境だけでなく表示内容にも応じた態様で情報を表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
この発明に係る眼科装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下、第1〜第5の実施形態を説明する。なお、これら五つの実施形態のうちの任意の二つ以上の構成を適宜に組み合わせることも可能である。
【0039】
〈第1の実施形態〉
第1の実施形態に係る眼科装置は、医療情報を表示する機能を備えた眼科装置であって、装置周囲の光環境に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更して表示するものである。
【0040】
ここで、医療情報とは、医療分野、特に眼科分野において参照される各種の情報を意味する。医療情報の例としては、患者情報、検査情報、撮影画像などがある。
【0041】
患者情報は、患者に関する情報であり、患者ID、患者氏名、年齢、性別等を表す文字列情報を含んでいる。
【0042】
検査情報は、眼科検査に関する情報であり、検査結果や検査条件等を表す文字列情報やグラフ情報を含んでいる。検査情報に含まれる文字列情報の例としては、他覚式検眼や自覚式検眼の検査結果、更には眼底画像を撮影したときの撮影条件(撮影画角等)がある。グラフ情報の例としては、視野検査の検査結果、ヘス(Hess)スクリーンテストの検査結果などがある。なお、グラフ情報は、二つ以上の座標軸に定義された量の相関関係を表すグラフだけでなく、所定形状の図形情報など、撮影画像以外の画像情報を含んでいてもよい。
【0043】
撮影画像は、被検眼を撮影して得られた画像を表す。撮影画像の例としては、被検眼の眼底画像、前眼部像、超音波画像、角膜内皮細胞の拡大画像などがある。これらの画像は眼科撮影装置により撮影される。眼科撮影装置としては、眼底カメラ、スリットランプ、超音波診断装置、スペキュラーマイクロスコープ(角膜内皮細胞を撮影する)、光コヒーレンストモグラフィ(optical coherence tomography:OCT)装置などがある。
【0044】
また、装置周囲の光環境とは、当該眼科装置の設置場所における照明光(人工光)や自然光の状態を意味する。この実施形態では、光環境として「明るさ」を適用する場合について特に詳しく説明する。なお、この実施形態における明るさは、ルクス(lx)、カンデラ(cd)、輝度(cd/m^2)、ワット(W)、ルーメン(lm)などの任意の単位により表されるものであってよい。また、光環境には、明るさの他にも、光の色(光のスペクトル分布)などの他の特性が含まれていてもよい。
【0045】
また、医療情報を形成する画素とは、医療情報を表示させるときの画素(ピクセル)を意味する。また、画素値としては、情報をモノクロで表示させるためのグレースケールの輝度値や、カラーで表示させるためのRGB値などがある。輝度値やRGB値は、256階調や65536階調など、所定の階調範囲内の値で表される階調情報の例である。なお、画素値には、階調情報以外にも、透明度情報(アルファ値等)が含まれる場合もある。
【0046】
[構成]
この実施形態に係る眼科装置の構成を説明する。この実施形態に係る眼科装置の構成例を図1に示す。眼科装置1は、眼科分野で使用される任意の装置である。眼科装置1は、たとえば、眼科撮影装置、眼科検査装置、診療用コンピュータなどにより構成される。
【0047】
眼科撮影装置の例は前述した。眼科検査装置は、眼科分野の検査で使用される装置である。眼科分野の検査の例としては、他覚式検眼、自覚式検眼、視野検査、眼位・眼球運動検査、両眼視機能検査、光覚検査、色覚検査、眼鏡検査、コンタクトレンズ検査、眼圧検査、前眼部検査、涙液検査、涙道検査、結膜検査、角膜検査、眼房・隅角検査、瞳孔検査、眼軸長検査、放射線検査、電気生理検査などがある。これらの検査においては、専用の検査装置や、検査結果を入力するためのコンピュータなどの眼科装置が適宜に用いられる。なお、図1では、眼科撮影装置に特有の構成部分や、眼科検査装置に特有の構成部分については、図示を省略している。
【0048】
診療用コンピュータとしては、電子カルテを閲覧したり記入したりするためのコンピュータや、撮影画像を閲覧するためのコンピュータなどがある。
【0049】
眼科装置1には、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス(user interface:UI)4が設けられている。以下、これら各部2〜4について説明する。
【0050】
〔光環境入力部〕
光環境入力部2は、眼科装置1の周囲の光環境を表す光環境情報を制御部3に入力する。光環境入力部2は、この発明の「入力手段」の例である。
【0051】
光環境入力部2は、たとえば操作デバイスを含んで構成される。この操作デバイスは、後述の操作部42と一体に構成されていてもよいし、操作部52とは別に設けられていてもよい。
【0052】
操作デバイスから光環境情報を入力する場合、たとえばユーザインターフェイス5の表示デバイスに、所定の入力画面を表示させる。この入力画面には、たとえば、光環境の選択肢が提示される。この選択肢は、たとえば、「通常」、「暗室」等の項目を含む。「通常」は、暗室以外の光環境を表す。オペレータは、操作デバイスを操作することにより、所望の選択肢を選択する。この選択操作は、たとえば、所望の選択肢をクリックしてチェックマークを入力することにより行う。
【0053】
光環境情報を手入力するための手法は、これに限定されるものではない。たとえば、眼科装置1の周囲の光環境情報(たとえば電灯の明るさ(ワット、カンデラ等))を、操作デバイスを用いて入力するようにしてもよい。
【0054】
このような操作デバイスは、この発明の「操作手段」の例である。この操作デバイスは、たとえば、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、コントロールパネル、ペンタブレット、タッチパネルディスプレイ等の任意のデバイスにより構成することができる。
【0055】
また、光環境入力部2は、眼科装置1の周囲の光環境を検出する光検出器を含んで構成されてもよい。この光検出器は、たとえばフォトダイオードを用いた電子回路を含んで構成され、装置周囲の明るさを検出する。
【0056】
なお、光検出器の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、光導電素子、フォトトランジスタ、光電管、光電子倍増管など、量子効果(光電効果)を用いた任意の検出デバイスを用いて光検出器を構成することができる。また、熱電対や焦電素子のような熱的検出を適用して光検出器を構成することもできる。
【0057】
このような光検出器は、この発明の「検出手段」の例である。この光検出器は、周囲の明るさを検出する代わりに(又は、周囲の明るさを検出するとともに)、周囲の光の色を検出するように構成されてもよい。この場合、光検出器は、光のスペクトル分布を検出可能な分光器(スペクトロメータ)などを含んで構成される。
【0058】
〔制御部〕
制御部3は、光環境入力部2から光環境情報の入力を受け、この光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更する。更に、制御部3は、画素値が変更された医療情報を後述の表示部41に表示させる。制御部3は、この発明の「制御手段」の例である。
【0059】
このような処理を実行するために、制御部3は、主制御部31、記憶部32及び情報処理部33を含んで構成される。
【0060】
(主制御部)
主制御部31は、眼科装置1の各部を制御する。特に、主制御部31は、記憶部32に記憶された情報を読み出す処理と、記憶部32に情報を記憶させる処理を行う。また、主制御部31は、表示部41に情報を表示させる処理を行う。主制御部31の動作の詳細については後述する。
【0061】
(記憶部)
記憶部32は、各種の情報を記憶する。特に、記憶部32は、分類情報32aと医療情報32bを記憶する。
【0062】
分類情報32aは、医療情報に含まれる様々な情報(前述)の種別を二つの群(第1群、第2群)に分類した情報である。医療情報に含まれる各情報には、情報の種別を表す識別情報(種別情報)が付与されている。分類情報32aは、様々な情報の種別情報を第1群又は第2群に分類した情報(たとえばテーブル情報)である。
【0063】
第1群に属する情報は、画素値の変更処理の対象になる情報である。第1群に属する情報の例としては、文字列情報やグラフ情報がある。文字列情報やグラフ情報は、たとえ画素値が変更されたとしても、変更前と同様の内容を把握することが可能な情報である。なお、グラフ情報には、たとえば座標軸の数値などの文字列情報が含まれる場合がある。
【0064】
一例として、文字列情報を形成する画素の階調情報が反転されたとしても、たとえば白地に黒で描写された文字列情報が黒地に白で描写されるように変更されるに過ぎず、その内容を把握することができる。グラフ情報についても同様に、グラフ(又は図形等)の表示色や表示輝度と、背景色や背景輝度とが変更されるに過ぎず、その内容を把握することができる。なお、第1群に属する情報は、文字列情報やグラフ情報には限定されず、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのない任意の情報であってよい。
【0065】
第2群に属する情報は、画素値の変更処理の対象にならない情報である。第2群に属する情報の例としては撮影画像がある。撮影画像は、画素値の変更に伴い、把握される内容が異なるおそれのある情報である。たとえば、撮影画像の画素値を変更すると、元の画像では明瞭に描写されていた病変部等が不明瞭に描写されるおそれがある。また、撮影画像は、常時同様の態様で表示されるのが一般的である。よって、画素値が変更されると、検者は慣れない態様で表示された画像を観察しなければならない。たとえば、眼底のOCT画像は、黒地の輝度画像として表示されるのが一般的であるので、もし輝度値を反転させると浮腫等の病変部を見落とすおそれがある。なお、第2群に属する情報は、撮影画像には限定されず、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのある任意の情報であってよい。
【0066】
また、撮影画像であっても、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのないものであれば、第1群に分類することが可能である。逆に、文字列情報やグラフ情報であっても、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのあるものであれば、第2群に分類することが可能である。
【0067】
なお、分類情報32aによる分類は、上記のものに限定されるものではない。たとえば、情報を形成する画素の明るさに基づいて分類した分類情報32aを用いることができる。その具体例を説明する。白などの薄い色を表す画素、つまり明るく表示される画素を多数含む情報を第1群に分類する。一方、第1群に属さない情報を第2群に分類する。
【0068】
なお、第1群に属するための条件である「多数」は、デフォルト設定されていてもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよい。この「多数」は、たとえば、情報を形成する全ての画素に対する、輝度値(明るさ)が所定値以上である画素の個数の比率として定義される。分類情報32aは、たとえば、この比率が(通常で)80%以上となる情報を第1群に分類し、それ以外の情報を第2群に分類する。
【0069】
この分類において第1群に属する情報の具体例としては、白地に表示される文字列情報やグラフ情報などがある。このような情報を表示させると、ディスプレイ表面から比較的強い光が発せられるので、たとえば暗室の光環境が劣化するなどの影響がある。一方、第2群に属する情報の具体例としては、OCT画像や蛍光眼底画像のように、黒地に表示される撮影画像がある。
【0070】
分類情報32aが定義する分類は、デフォルトで設定されていてもよいし、オペレータが手作業で設定可能であってもよい。分類情報32aを記憶する記憶部32は、この発明の「記憶手段」の例である。
【0071】
医療情報32bは、外部装置から入力されて記憶部32に記憶される。外部装置は、撮影装置や検査装置であってもよいし、電子カルテシステムや画像サーバ等の情報管理システムであってもよい。
【0072】
医療情報32bには、複数の情報が含まれていてもよい。たとえば、医療情報32bは、撮影画像、文字列情報及びグラフ情報の全てを含んでいてもよい。また、医療情報32bは、複数の撮影画像(又は、複数の文字列情報若しくは複数のグラフ情報)を含んでいてもよい。
【0073】
(情報処理部)
情報処理部33は、光環境入力部2から光環境情報の入力を受けて医療情報32bを処理する。なお、この実施形態の光環境情報には、前述のように、装置周囲の明るさを表す情報(明るさ情報)が含まれているものとする。情報処理部33は、この明るさ情報に基づいて、表示部41に表示される医療情報32bの画素値を変更する処理を行う。情報処理部33には、光環境判定部34、情報分類部35及び画素値変更部36が設けられている。以下、これらの各部34〜36について説明する。
【0074】
(光環境判定部)
光環境判定部34は、装置周囲の明るさに関する閾値を保持している。この閾値は、たとえば記憶部32に予め記憶されている。主制御部31は、この閾値を記憶部32から読み出して光環境判定部34に送る。
【0075】
この閾値は、デフォルト設定されたものであってもよいし、オペレータが適宜に設定したものであってもよい。この閾値の単位は、光環境入力部2から入力される明るさ情報に示す明るさの単位と一致されている。
【0076】
光環境判定部34は、光環境入力部2から光環境情報を受けると、この光環境情報中の明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか否か判定する。この判定処理は、上記のように同一の単位で表される二つの値の大小を比較することにより容易に実行できる。
【0077】
なお、この判定処理は、明るさの数値の比較処理に限定されるものではない。たとえば、光環境入力部2において、前述した選択肢「通常」又は「暗室」の選択がなされた場合、光環境判定部34は、その選択結果が「通常」である場合には「装置周囲の明るさは閾値を超える」と判定し、選択結果が「暗室」である場合には「装置周囲の明るさは閾値以下である」と判定する。
【0078】
光環境判定部34は、装置周囲の明るさの判定結果を情報分類部35に送る。光環境判定部34は、この発明の「判定手段」の例である。
【0079】
(情報分類部)
情報分類部35は、医療情報32bに複数の情報が含まれている場合(複数の情報が含まれる医療情報32bを表示させる場合)であり、かつ、光環境判定部34により装置周囲の明るさが閾値以下であると判定された場合に動作する。情報分類部35は、分類情報32aに基づいて、医療情報32bに含まれる各情報を第1群又は第2群に分類する。
【0080】
この分類処理について、より詳しく説明する。分類情報32aは、前述のように、医療情報に含まれる各種情報の種別情報(識別情報)を第1群及び第2群に分類した情報である。また、医療情報32bに含まれる各情報には種別情報が付与されている。
【0081】
この種別情報は、医療情報32bを生成した装置(たとえば撮影装置)や、医療情報32bが経由した装置(たとえば画像サーバ)や、眼科装置1によって付与される。眼科装置1により種別情報を付与する場合、主制御部31が自動的に種別情報を付与するように構成してもよいし、オペレータが手作業で種別情報を付与するように構成してもよい。前者の場合、主制御部31は、たとえば、医療情報32b内の各情報の種別を判別し(たとえば拡張子やデータ形態を参照して判別する)、その種別に対応する種別情報を付与する。後者の場合、たとえば、医療情報32bに含まれる情報を事前に表示させ、オペレータが各情報の内容を確認して種別を指定することにより種別情報を付与する。
【0082】
情報分類部35は、医療情報32bに含まれる各情報について、その種別情報が第1群及び第2群のどちらに分類されているか特定する。情報分類部35は、その特定結果を画素値変更部36に送る。情報分類部35は、この発明の「分類手段」の例である。
【0083】
(画素値変更部)
画素値変更部36は、情報分類部35による分類結果を受けて、医療情報32bに含まれる各情報の画素値を変更する。このとき、医療情報32bに含まれる各情報は、主制御部31によって表示用のフォーマットに変換されているものとする。なお、画素値変更部36は、光環境判定部34により装置周囲の明るさが閾値以下であると判定された場合にのみ動作する。
【0084】
画素値変更部36が実行する処理の例を説明する。画素値変更部36は、装置周囲の明るさが閾値以下であると判定された場合において、医療情報32bに含まれる複数の情報のうち第1群に分類された情報の画素値を変更する。
【0085】
特に、画素値変更部36は、第1群に分類された情報(変更対象情報)の画素値中の階調情報を反転させる。この反転処理は、たとえば次のようにして実行される。変更対象情報の階調情報は、前述のように、所定の階調範囲内の値により定義されている。階調範囲を0〜Kとし、或る画素の階調情報の値をkとすると、画素値変更部36は、この階調情報の値kをK−kに変換する。具体例として階調範囲が0〜255である場合、階調値0、100、255は、それぞれ255、155、0に変換される。
【0086】
なお、画素値変更部36が実行する処理は、このような反転処理に限定されるものではない。たとえば、変更対象情報がより暗く表示されるように、各画素の画素値を一様に減少させることができる。
【0087】
〔ユーザインターフェイス〕
ユーザインターフェイス4には、表示部41と操作部42が設けられている。表示部41は、医療情報などの各種情報を表示する。操作部42は、眼科装置1を操作するため、更には各種情報を入力を行うためにオペレータにより操作される。
【0088】
[ハードウェア構成]
以上のような機能を奏する眼科装置1のハードウェア構成について説明する。図2は、眼科装置1のハードウェア構成の一例を表している。
【0089】
眼科装置1は、撮影装置、検査装置、電子カルテシステム、画像サーバ等の外部装置200と通信回線Nを介して接続されている。通信回線Nは、LAN(Local Area Network)などにより構成されている。
【0090】
外部装置200から医療情報を取得する処理の例を説明する。まず、オペレータは、医療情報の閲覧や編集の要求を眼科装置1に入力する。この要求は、たとえば、患者ID等の患者識別情報を入力又は選択し、所定のソフトキー(医療情報の検索を指示するソフトキー)をクリックすることにより行う。眼科装置1は、入力された要求を外部装置200に送信する。外部装置200は、この要求に基づいて医療情報を検索し、その検索結果を眼科装置1に送信する。それにより、眼科装置1は、オペレータが要求した医療情報を取得する。
【0091】
眼科装置1のハードウェア構成の例を説明する。眼科装置1は、図2に示すように、CPU等のマイクロプロセッサ101、主記憶装置として機能するRAM102、外部記憶装置として機能するROM103、同じく外部記憶装置として機能するハードディスクドライブ(HDD)104を備える。更に、眼科装置1は、ディスプレイ105、キーボード106、マウス107及び通信インターフェイス(I/F)108を備える。これら各部101〜108は、バス109を介して接続されている。
【0092】
なお、眼科装置1は、プリンタやドライブ装置等の周辺機器を備えていてもよい。ドライブ装置を具備する場合、眼科装置1は、記録媒体(メディア)に記録された医療情報を受け付けることが可能である。
【0093】
マイクロプロセッサ101は、ハードディスクドライブ104に格納されたプログラム104aをRAM102上に展開することにより、この実施形態に特有の動作を眼科装置1に実行させる。
【0094】
また、マイクロプロセッサ101は、眼科装置1の各部の制御や各種の演算処理を実行する。主制御部31及び情報処理部33は、それぞれマイクロプロセッサ101を含んで構成される。また、記憶部32は、ハードディスクドライブ104を含んで構成される。
【0095】
ディスプレイ105は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなど、任意の表示デバイスを含んで構成される。表示部41は、ディスプレイ105を含んで構成される。また、操作部42は、キーボード106やマウス107を含んで構成される。なお、操作部42は、これら以外の任意の操作デバイスを含んでいてもよい。
【0096】
この実施形態のユーザインターフェイス4では、表示部41と操作部42が個別に設けられているが、これらを一体化したユーザインターフェイスを形成することも可能である。このように表示機能と操作機能とを一体化したユーザインターフェイスとしては、ペンタブレットやタッチパネルなどがある。
【0097】
通信インターフェイス108は、マイクロプロセッサ101の制御に基づいて、通信回線Nを介したデータ通信を行う。通信インターフェイス108は、通信回線Nに準拠したLANカード等のネットワークアダプタを含んで構成される。主制御部31は、通信インターフェイス108を含んで構成される。
【0098】
[動作態様]
眼科装置1の動作態様について説明する。図3に示すフローチャートは、眼科装置1の動作態様の一例を表す。ここで、医療情報32bは、既に外部装置200から取得されて記憶部32に記憶されているものとする。
【0099】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S1)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0100】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S2)。
【0101】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S2:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま(つまり、画素値の変更を伴うことなく)表示部41に表示させる(S6)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0102】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S2:Yes)、情報分類部35は、分類情報32aを参照して、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類する(S3)。
【0103】
続いて、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S4)。
【0104】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報(画素値が変更されていない情報)を、表示部41に表示させる(S5)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0105】
〔具体例〕
上記動作態様の具体例として、医療情報32bにグラフ情報と撮影画像が含まれている場合を説明する。ここで、分類情報32aにおいて、グラフ情報は第1群に分類され、撮影画像は第2群に分類されている。上記動作態様によれば、グラフ情報は階調情報(輝度値等)が反転されて表示され、撮影画像はそのまま表示される。
【0106】
図5は、医療情報32bをそのまま表示させた場合の態様を表している。この医療情報32bには、視野検査の検査結果を示すグラフ情報H1、H2と、眼底のカラー画像Gが含まれている。この医療情報32bをそのまま暗室内で表示させると、明るい画素を多数含むグラフ情報H1、H2(特に白地の部分)の表示領域から発せられる光により暗室の環境が劣化するおそれがある。
【0107】
図6は、上記動作態様により医療情報32bを表示させたときの態様を表している。上記動作形態によれば、グラフ情報H1′、H2′と、眼底のカラー画像Gが表示される。グラフ情報H1′、H2′は、それぞれ、グラフ情報H1、H2における階調情報(白と黒)を反転して得られる情報である。また、カラー画像Gは、図5の場合と同じ表示態様で表示される。それにより、グラフ情報H1、H2が暗室の光環境に与える悪影響を抑制することができる。
【0108】
[作用・効果]
以上のような眼科装置1の作用及び効果を説明する。
【0109】
眼科装置1は、装置周囲の光環境を表す光環境情報に基づいて、医療情報32bを形成する画素の画素値を変更し、この画素値が変更された医療情報を表示するように作用する。
【0110】
特に、眼科装置1は、光環境情報中の明るさ情報を参照して装置周囲の明るさが閾値以下であるか否か判定し、明るさが閾値以下であると判定されたときに、医療情報32bの少なくとも一部の画素の画素値を変更して表示するようになっている。
【0111】
このとき、眼科装置1は、情報分類部35により第1群に分類された情報についてのみ画素値を変更する。このとき、眼科装置1は、画素値の変更処理として、階調情報を反転させるようになっている。
【0112】
それにより、文字列情報やグラフ情報のように、画素値の変更により内容を誤って把握するおそれの無い(少ない)情報や、明るく表示される画素の比率が高い情報(白地で表示される情報など)の画素値が変更される。一方、撮影画像のように、画素値の変更により内容の把握ミスが生じ易い情報や、明るく表示される画素の比率が低い情報(黒地で表示される情報など)については、画素値が変更されずにそのまま表示される。
【0113】
このような眼科装置1によれば、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示できる。たとえば、暗室で医療行為を行う場合において、情報の表示面(表示部41のスクリーン)から発せられる光が低減され、暗室の光環境の劣化(つまり明るくなる)を抑制することが可能である。
【0114】
更に、眼科装置1によれば、内容の把握ミスのおそれが無い情報についてのみ選択的に画素値を変更できるので、医療行為を行う場所の光環境を維持しつつ、内容に応じた態様で情報を表示することが可能である。
【0115】
[変形例]
眼科装置1の変形例を説明する。
【0116】
上記実施形態では、画素値の変更処理として階調情報の反転処理を実行しているが、これ以外の手法で画素値を変更することが可能である。たとえば、前述のように各画素の画素値(輝度値等)を一様に減少させて、より暗く情報を表示させることにより、上記実施形態と同様の作用、効果を得ることが可能である。
【0117】
上記実施形態では、光環境の入力(光環境入力部2)と、光環境の判定(光環境判定部34)とによって、画素値の変更処理の実行の有無を切り替えている。眼科装置1の周囲の光環境がその都度変化する場合には、この切り替えをその都度行うことが望ましい。
【0118】
一方、眼科装置1の周囲の光環境が不変である場合には、光環境の入力及び判定は、たとえば装置の設置時などに一度行えば十分である。なお、その後に設置場所を変更する際に、新たな光環境を入力することは可能である。
【0119】
上記実施形態の分類情報32aでは、撮影画像を第2群(画素値の変更対象でない)に分類しているが、撮影種別等に応じて第1群に属する画像と第2群に属する画像とに分けることが可能である。
【0120】
たとえば、カラー画像については、表示色が意味する内容を損なわないように第2群に分類することが望ましい。一方、モノクロ画像、特に階調範囲の狭い画像については、画素値を変更しても内容の把握ミスのおそれが大きくないものがある(たとえば角膜内皮細胞の撮影画像や超音波画像など)。このようなモノクロ画像については、第1群に分類して画素値の変更処理の対象としてもよい。
【0121】
上記の実施形態では、医療情報に含まれる様々な情報を第1群と第2群とに分類しているが、これらに分類されない情報が属する群を別途設けてもよい。たとえば、自動的な分類処理から除外される情報が属する群(第3群)を設けることができる。第3群には、たとえば、同じ種別であるにも拘わらず、各情報毎に内容が大きく異なり、それにより表示時の明るさが大きく異なるような情報が含まれる。医療情報32bのうち第3群に分類された情報については、たとえば所定の画面に表示させて、画素値の変更処理の対象とするか否かをオペレータに選択させる。
【0122】
また、分類情報32aによって分類できない種別の情報があった場合についても、同様の画面を表示させて、画素値の変更処理の有無をオペレータに選択させることが可能である。
【0123】
上記の実施形態では、装置周囲の光環境として明るさに着目したが、他の光環境に応じて医療情報の表示態様を変更することが可能である。たとえば、装置が設置されている部屋の照明が発する光の色に注目して表示態様を変更することができる。
【0124】
具体例として、照明の色調と同様の表示情報が見えにくくなることを防止するために、医療情報32bに含まれる各情報について、その情報を形成する各画素の色(RGB値)と、照明光の色(光環境入力部2から入力される)とを比較し、それらの差が所定値以下となる画素の個数を求める。そして、この画素数が所定数以上となる情報の画素値を照明光の色と大きく異なる色に変更して表示する。それにより、照明光の色調と同様の色調を多く含んだ情報が見やすくなる。
【0125】
〈第2の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、第1の実施形態のような分類情報を参照せずに、表示態様の医療情報の画素値に基づいて、画素値の変更処理の有無を決定するものである。
【0126】
この実施形態に係る眼科装置の構成例を図6に示す。この眼科装置10は、第1の実施形態の眼科装置1とほぼ同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については同じ符号で表すことにする。
【0127】
眼科装置10は、第1の実施形態と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。第1の実施形態との主たる相違は、記憶部32に分類情報が記憶されていない点と、情報分類部35に統計値演算部37が設けられている点である。
【0128】
統計値演算部37は、医療情報32に含まれる各情報について、その画素値の統計値を演算する。この統計値とは、当該情報を形成する複数の画素の画素値に対して統計的な処理を施すことにより得られる値を意味する。
【0129】
画素値に階調情報が含まれる場合における統計値の例を説明する。N個の画素P1〜PNにより形成される情報について考える。まず、統計値演算部37は、各画素の階調情報(階調値)を取得し、階調値毎の画素の個数を表すヒストグラムを作成する。このヒストグラムは、階調範囲を複数の部分範囲に分割し、各部分範囲毎の画素の個数をカウントすることにより作成できる。なお、各部分範囲には、一つ以上の階調値が含まれる。
【0130】
次に、統計値演算部37は、このヒストグラムを参照して、階調値が所定値以上である画素の個数を求める。この所定値は、予め設定されている。この所定値は、デフォルトで設定されたものであってもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよい。このようにして得られた画素の個数を上記統計値として用いる。
【0131】
なお、統計値演算部37が実行する処理は、これに限定されるものではない。たとえば、各画素について、その階調値が所定値以上であるか判定し、所定値以上と判定された階調値の個数をカウントすることにより、同様の統計値を求めることができる。
【0132】
情報分類部35は、医療情報32bに含まれる各情報について、統計値演算部37により求められた画素の個数が所定数以上であるか判定する。この所定数は、予め設定されている。この所定数は、デフォルトで設定されたものであってもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよい。
【0133】
この処理において、情報分類部35は、統計値演算部37により求められた画素の個数と、所定数との大小を比較する。この比較処理は、字義通りに画素の個数を比較するものであってもよいし、全体の画素数に対する比率を比較するものであってもよい。
【0134】
前者の比較処理を行う場合、上記所定数は、たとえば、画素数の閾値を表す情報とされる。この場合、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた画素の個数と当該閾値とを比較する。
【0135】
また、上記所定数が、全体の画素数に対する比率として定義されている場合、情報分類部35は、たとえば、当該情報の全画素数に当該比率を乗算して画素数の閾値を求め、この閾値と、統計値演算部37により得られた画素の個数とを比較する。
【0136】
一方、後者の比較処理(比率の比較)を行う場合、上記所定数は、たとえば、全画素数に対する比率を表す情報とされる。この場合、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた画素の個数を当該情報の全画素数で除算して、当該情報における比率を求める。更に、情報分類部35は、当該情報における比率と、上記所定数としての比率とを比較する。
【0137】
なお、上記所定数が画素数の閾値として定義されている場合には、当該閾値を当該情報の全画素数で除算して閾値となる比率を求めて、当該情報における比率と比較すればよい。
【0138】
情報分類部35は、以上のような要領で、医療情報32bに含まれる各情報について判定を行う。そして、情報分類部35は、統計値演算部37により求められた画素の個数が所定数以上であると判定された情報を第1群に分類し、所定数未満であると判定された情報を第2群に分類する。
【0139】
このような分類によれば、第1群に分類される情報は、階調値の大きな画素、つまり明るく表示される画素を、所定数(又は、所定の比率)以上含む情報となる。また、第2群に分類される情報は、階調値の大きな画素の個数が所定数より少ない情報(又は、所定の比率より低い情報)となる。
【0140】
眼科装置10の動作態様を説明する。図7は、眼科装置10の動作態様の例を表している。
【0141】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S11)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0142】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S12)。
【0143】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S12:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま表示部41に表示させる(S17)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0144】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S12:Yes)、統計値演算部37は、医療情報32bに含まれる各情報について、所定値以上の階調値を有する画素の個数を表す統計値を求める(S13)。
【0145】
続いて、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた各情報の統計値に基づいて、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類する(S14)。
【0146】
次に、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S15)。
【0147】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報を、表示部41に表示させる(S16)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0148】
以上のような眼科装置10の作用及び効果を説明する。
【0149】
眼科装置10は、医療情報32bに含まれる各情報について、その画素値(特に階調情報)の統計値を演算し、この統計値の大小に基づいて医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群とに分類する。更に、眼科装置10は、第1群に分類された情報の画素値を変更して表示するとともに、第2群に分類された情報を表示する。
【0150】
特に、眼科装置10は、医療情報32bに含まれる各情報について、それを形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調情報(階調値)を有する画素の個数を統計値として求める。そして、眼科装置10は、統計値に示す個数が所定数以上である情報を第1群に分類し、所定数未満である情報を第2群に分類するようになっている。
【0151】
このような眼科装置10によれば、文字列情報やグラフ情報のように、明るく表示される画素を多数含む情報(明るく表示される画素の比率が高い情報)については、その階調値を反転させて表示し、他方、明るく表示される画素が少ない情報(明るく表示される画素の比率が低い情報)については、階調値を変更せずにそのまま表示することができる。
【0152】
それにより、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。たとえば、暗室で医療行為を行う場合において、情報の表示面(表示部41のスクリーン)から発せられる光が低減され、暗室の光環境の劣化を抑制することができる。
【0153】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【0154】
〈第3の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、第2の実施形態と同様の統計値を用いて医療情報に含まれる情報を分類し、各情報に対する画素値の変更処理の有無を決定するものである。
【0155】
この実施形態に係る眼科装置は、第2の実施形態の眼科装置10と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。更に、情報分類部35には、第2の実施形態と同様の統計値演算部37が設けられている。この実施形態と第2の実施形態との主たる相違は、情報分類部35が実行する処理にある。
【0156】
統計値演算部37は、医療情報32bに含まれる各情報について、その画素値の統計値を演算する。特に、統計値演算部37は、各情報について、その階調情報の統計値を演算する。
【0157】
情報分類部35は、複数の統計値を比較して、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群とに分類する。この処理の具体例を説明する。各情報の統計値は、たとえば、その情報を形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調値を有する画素の個数(又は、当該情報の全画素数に対する比率)である。
【0158】
情報分類部35は、たとえば、複数の情報の統計値のうち、他の統計値と比較して極端に大きな値があるか否か判断する。この処理は、たとえば情報の個数が少ない場合には、単なる大小の比較により行うことができる。また、情報の個数が多い場合には、標準偏差や分散を求めたり、最小二乗法等の手法を用いたりすることにより、極端に大きな統計値の有無を判断できる。
【0159】
なお、「極端に大きな」とは、たとえば、予め設定された値よりも大きいことを意味する。この値は、デフォルトで設定されたものであってもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよいし、統計値の集合(母集団)から適宜な方法で導出したものであってもよい。最後の手法の例として、標準偏差2σを上記値として用いることができる。
【0160】
情報分類部35は、このようにして特定された極端に大きな統計値を有する情報を第1群に分類し、その他の情報を第2群に分類する。
【0161】
この実施形態に係る眼科装置の動作態様を説明する。図8は、眼科装置の動作態様の例を表している。
【0162】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S21)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0163】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S22)。
【0164】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S22:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま表示部41に表示させる(S27)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0165】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S22:Yes)、統計値演算部37は、医療情報32bに含まれる各情報について、所定値以上の階調値を有する画素の個数を表す統計値を求める(S23)。
【0166】
続いて、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた複数の情報の統計値を比較して、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類する(S24)。
【0167】
次に、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S25)。
【0168】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報を、表示部41に表示させる(S26)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0169】
この実施形態に係る眼科装置の作用及び効果を説明する。
【0170】
この実施形態に係る眼科装置は、医療情報32bに含まれる各情報について、その画素値(特に階調情報)の統計値を演算し、これら複数の統計値を比較することにより医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群とに分類する。この処理では、特に、統計値が極端に大きな統計値に対応する情報を第1群に分類する。更に、この眼科装置は、第1群に分類された情報の画素値を変更して表示するとともに、第2群に分類された情報を表示する。
【0171】
このような眼科装置によれば、文字列情報やグラフ情報のように、明るく表示される画素を多数含む情報(明るく表示される画素の比率が高い情報)については、その階調値を反転させて表示し、他方、明るく表示される画素が少ない情報(明るく表示される画素の比率が低い情報)については、階調値を変更せずにそのまま表示することができる。
【0172】
それにより、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。
【0173】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【0174】
〈第4の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、医療情報の表示サイズに応じて画素値の変更処理の有無を決定するものである。ここで、表示サイズとは、表示手段のスクリーンに実際に表示されるサイズや、医療情報を形成する画素数など、表示対象の医療情報のサイズ(大きさ)を表す任意のパラメータである。
【0175】
この実施形態に係る眼科装置の構成例を図9に示す。この眼科装置20は、第1の実施形態の眼科装置1とほぼ同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については同じ符号で表すことにする。
【0176】
眼科装置20は、第1の実施形態と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。第1の実施形態との主たる相違は、情報分類部35に表示サイズ判定部38が設けられている点である。
【0177】
表示サイズ判定部38は、まず、医療情報32bの画像データ(表示用のデータ)に基づいて、医療情報の表示サイズを特定する。それにより、たとえば医療情報32bの画像データの画素数が特定される。
【0178】
更に、表示サイズ判定部38は、特定された表示サイズが所定サイズ(サイズ閾値)以上であるか判定する。このサイズ閾値は、デフォルト設定されたものでもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものでもよい。
【0179】
なお、医療情報32bに複数の情報が含まれている場合、表示サイズ判定部38は、これらの情報のそれぞれの表示サイズを特定し、更に、各情報の表示サイズをサイズ閾値と比較する。
【0180】
このとき、情報の種別に応じて異なるサイズ閾値を設けることが可能である。たとえば、文字列情報やグラフ情報など、明るく表示される画素を多数含む情報については、比較的小さなサイズ閾値が設定され、逆に、撮影画像など明るく表示される画素が少ない情報については、比較的大きなサイズ閾値が設定される。
【0181】
眼科装置20の動作態様を説明する。図10は、眼科装置20の動作態様の例を表している。
【0182】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S31)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0183】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S32)。
【0184】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S32:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま表示部41に表示させる(S38)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0185】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S32:Yes)、表示サイズ判定部38は、医療情報32bに含まれる各情報の表示サイズを特定する(S33)。更に、表示サイズ判定部38は、各情報の表示サイズがサイズ閾値以上であるか判定する(S34)。
【0186】
情報分類部35は、サイズ閾値以上の表示サイズを有する情報を第1群に分類し、サイズ閾値未満の表示サイズを有する情報を第2群に分類する(S35)。
【0187】
次に、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S36)。
【0188】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報を、表示部41に表示させる(S37)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0189】
眼科装置20の作用及び効果を説明する。
【0190】
眼科装置20は、医療情報32bに含まれる各情報の表示サイズを特定し、表示サイズが閾値以上の情報を第1群に分類し、それ以外の情報を第2群に分類する。更に、眼科装置20は、第1群に分類された情報の画素値を変更して表示するとともに、第2群に分類された情報を表示する。
【0191】
このような眼科装置20によれば、表示サイズの大きな情報、つまり装置周囲の光環境への影響が大きい情報の画素値を変更して表示することができる。特に、文字列情報やグラフ情報のように、明るく表示される画素を多数含む情報(明るく表示される画素の比率が高い情報)のサイズ閾値を比較的小さな値に設定することにより、これらの情報による光環境への悪影響を低減させることができ、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。
【0192】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【0193】
〈第5の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、複数の表示装置を備えており、医療情報を表示させる表示装置に応じて画素値の変更処理の有無を決定するものである。
【0194】
なお、眼科分野においては、複数の表示装置を用いて診療や検査を行うことがある。たとえば、一の表示装置に表示された撮影画像を観察しつつ、他の表示装置に表示された電子カルテに所見を記入するなどの利用法がある。
【0195】
この実施形態に係る眼科装置の構成例を図11に示す。眼科装置30は、第1の実施形態の眼科装置1とほぼ同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については同じ符号で表すことにする。
【0196】
眼科装置30は、第1の実施形態と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。第1の実施形態との主たる相違は、複数の表示装置(第1表示部41A、第2表示部41B)が設けられている点と、主制御部31に表示選択部31aが設けられている点である。なお、この実施形態に係る眼科装置に設けられる表示装置の個数は任意である。
【0197】
第1表示部41Aと第2表示部41Bは、それぞれ異なるスクリーンを有している。ここで、第1表示部41Aの画面サイズ(スクリーンサイズ)は、第2表示部41Bの画面サイズよりも大きいとする。たとえば、第1表示部41Aの画面サイズは21インチであり、第2表示部41Bの画面サイズは14インチである。また、特に第2表示部41Bは、ペンタブレットのように小型の表示装置であってもよい。
【0198】
同じ医療情報を同じ条件(画面サイズに対する表示サイズの比率)で表示させるときでも、大きな画面サイズの表示装置に表示させた場合には、装置周囲の光環境への影響が大きくなる。この実施形態は、このような状況に対処するものである。
【0199】
表示選択部31aは、医療情報32bを表示させる表示装置を選択し、この表示装置に医療情報32bを表示させる。医療情報32bを表示させる表示装置は、たとえば、オペレータが操作部42を操作して選択される。表示選択部31aは、操作部42からの操作信号に基づいて、選択された表示装置を制御して医療情報32bを表示させる。
【0200】
このようにオペレータの指示に応じて表示装置を選択する代わりに、表示選択部31aは、自動的に表示装置を選択するように構成されていてもよい。たとえば、医療情報32bの種別に応じて表示装置を自動的に選択することができる。
【0201】
具体例として、撮影画像のように微細な情報については、大きな画面サイズの第1表示部41Aを選択し、文字列情報やグラフ情報のように一目で内容を把握可能な情報については、小さな画面サイズの第2表示部41Bを選択するように構成できる。この処理は、たとえば、情報の種別と表示装置とを関連付けるテーブル情報(記憶部32に予め記憶される)などを参照して実行できる。
【0202】
表示選択部31aは、医療情報32bに複数の情報が含まれている場合、各情報について表示装置の選択を行う。
【0203】
情報分類部35は、表示選択部31aから表示装置の選択結果を受けて、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群に分類する。このとき、情報分類部35は、第1表示部41Aに表示される情報を第1群に分類し、第2表示部41Bに表示される情報を第2群に分類する。
【0204】
眼科装置30の動作態様について説明する。図12に示すフローチャートは、眼科装置30の動作態様の一例を表す。
【0205】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S41)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0206】
表示選択部31aは、医療情報32bに含まれる各情報を表示させる表示装置を選択する(S42)。
【0207】
次に、光環境判定部34は、光環境情報の明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S43)。
【0208】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S43:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま(つまり、画素値の変更を伴うことなく)第1表示部41A及び第2表示部41Bに表示させる(S47)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0209】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S43:Yes)、情報分類部35は、表示選択部31aから選択結果を受けて、第1表示部41Aに表示される情報を第1群に分類し、第2表示部41Bに表示される情報を第2群に分類する(S44)。
【0210】
続いて、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S45)。
【0211】
主制御部31は、階調情報が反転された第1群の各情報を第1表示部41Aに表示させるとともに、第2群に分類された各情報(画素値が変更されていない情報)を第2表示部41Bに表示させる(S46)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0212】
このような眼科装置30によれば、複数の表示装置のうち、画面サイズの大きな表示装置に表示される情報の画素値を変更(反転)させて表示することができるので、大きな表示装置から発せられる光を低減させることが可能である。それにより、暗室等の光環境への悪影響を低減させることができ、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。
【0213】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】この発明に係る眼科装置の実施形態のハードウェア構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図3】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図4】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様を説明するための、医療情報の表示態様の一例を表す概略図である。
【図5】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様を説明するための、医療情報の表示態様の一例を表す概略図である。
【図6】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図7】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図8】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図9】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図10】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図11】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図12】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0215】
1、10、20、30 眼科装置
2 光環境入力部
3 制御部
31 主制御部
31a 表示選択部
32 記憶部
32a 分類情報
32b 医療情報
33 情報処理部
34 光環境判定部
35 情報分類部
36 画素値変更部
37 統計値演算部
38 表示サイズ判定部
4 ユーザインターフェイス
41、41A、41B 表示部
42 操作部
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科分野で使用される眼科装置に関する。特に、この発明は、医療情報を表示する機能を備えた眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科分野では様々な装置が使用されている。眼科装置には表示機能を有するものが多々ある。たとえば、眼底カメラや細隙灯顕微鏡(スリットランプ)等の撮影装置は、撮影画像等の医療情報を表示する機能を備えている(たとえば特許文献1、2、3参照)。
【0003】
特許文献1、3に記載の装置は、装置本体(撮影用の光学系を格納する筐体)にディスプレイが搭載されている。また、特許文献2に記載の装置では、装置本体とは別にディスプレイが設けられている。一般に、後者のディスプレイの画面サイズは、前者のディスプレイの画面サイズよりも大きい。
【0004】
また、眼科分野では、撮影画像や電子カルテ等の医療情報を表示する表示装置も用いられる(たとえば特許文献4参照)。
【0005】
ところで、眼科分野では、暗室で医療行為を行うことがある。たとえば、被検眼を縮瞳させたくない場合には、暗室内に設置された眼底カメラを用いて撮影を行う(たとえば特許文献1参照)。また、暗室内で医療行為を行う際に、過去の検査結果や患者情報等を表示させて参照することがある。なお、外光をほぼ遮断した暗室だけでなく、様々な光環境下で医療行為を行うこともある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−28134号公報
【特許文献2】特開2006−280703号公報
【特許文献3】特開2001−37726号公報
【特許文献4】特開2005−144086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、様々な光環境下で医療行為が実施されるにも拘わらず、従来の眼科装置では、光環境に応じて表示態様を変更することができなかった。そのため、たとえば暗室で医療行為を行う際に、ディスプレイから発せられる光が環境に影響を与え(つまり室内の明るさが増し)、医療行為を行いにくくなることがあった。その具体例として、ディスプレイからの光により被検眼が縮瞳し、眼底撮影を好適に行えない場合があった。
【0008】
特に、大きな画面サイズのディスプレイを使用する場合、発せられる光量も大きいことから、医療行為に悪影響を与えるおそれが高まる。
【0009】
また、複数の情報を参照しつつ医療行為を行う場合に、全ての情報を好適に視認できないことがある。たとえば、暗室において画像と文字列情報を参照する場合に、画像の明るさにより文字列情報が視認しにくくなることがある。
【0010】
なお、眼科装置のディスプレイは、一般的なディスプレイと同様に輝度調整機能を有している。しかし、医療行為を行う際に手作業で輝度調整を行うことは煩雑であり、作業効率を低下させるおそれがある。特に、表示されるオブジェクト(画像、文字列情報等)の明るさに応じて輝度調整を行いたい場合も想定されるが、従来の眼科装置でそれを行うには大きな手間が掛かる。
【0011】
また、手作業での輝度調整によれば画面全体の輝度を一括で変更することしかできなかったので、複数の情報を参照する上記のケースに対処することはできない。
【0012】
また、従来では、表示内容を確認するときにのみディスプレイの電源を投入するなどの工夫もなされていたが、医療行為の作業効率を低下させるという問題がある。また、この手法では、複数の情報を参照する上記のケースの問題を解決することはできない。
【0013】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、医療行為を行う場所の光環境に応じた態様で情報を表示することが可能な眼科装置を提供することを目的とする。
【0014】
更に、この発明は、光環境だけでなく表示内容にも応じた態様で情報を表示することが可能な眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、医療情報を表示する表示手段を備える眼科装置であって、装置周囲の光環境を表す光環境情報を入力する入力手段と、前記光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更し、前記画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の眼科装置であって、前記光環境情報は、装置周囲の明るさを表す明るさ情報を含み、前記制御手段は、前記明るさ情報に示す明るさが所定閾値以下であるか否か判定する判定手段を含み、前記所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の画素値を変更し、該画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の眼科装置であって、前記医療情報の画素の画素値は、所定の階調範囲内の値により表される階調情報を含み、前記制御手段は、前記判定手段により所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の階調情報を前記階調範囲において反転し、前記階調情報が反転された医療情報を前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の階調値を反転し、前記階調値が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の眼科装置であって、前記分類情報は、文字列情報及び/又はグラフ情報を前記第1群に分類する、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の眼科装置であって、前記分類情報は、被検眼を撮影した画像を前記第2群に分類する、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の眼科装置であって、前記分類情報は、被検眼を撮影したモノクロ画像を前記第1群に分類し、被検眼を撮影したカラー画像を前記第2群に分類する、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項10に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の眼科装置であって、前記分類手段は、前記複数の情報のそれぞれを形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調情報を有する画素の個数を前記統計値として求め、前記画素の個数が所定数以上である情報を前記第1群に分類し、前記所定数未満である情報を前記第2群に分類する、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項13に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記医療情報は、複数の情報を含み、前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の画素値を変更する、ことを特徴とする。
【0029】
また、請求項15に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の階調情報を反転する、ことを特徴とする。
【0030】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の眼科装置であって、前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の画素値を変更する、ことを特徴とする。
【0031】
また、請求項17に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の階調値を反転する、ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項18に記載の発明は、請求項1に記載の眼科装置であって、前記入力手段は、前記光環境情報を入力するための操作手段を含む、ことを特徴とする。
【0033】
また、請求項19に記載の発明は、請求項1に記載の眼科装置であって、前記入力手段は、装置周囲の光環境を検出して前記光環境情報を生成する検出手段を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
この発明に係る眼科装置によれば、医療情報を表示する表示手段を備え、装置周囲の光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更し、この画素値が変更された医療情報を表示することができる。
【0035】
特に、この発明に係る眼科装置は、装置周囲の明るさが所定閾値以下である場合に、医療情報の少なくとも一部の画素の階調情報を反転させて、この医療情報を表示するようになっている。
【0036】
このような眼科装置によれば、医療行為を行う場所の光環境に応じた態様で情報を表示することが可能である。
【0037】
更に、この発明に係る眼科装置によれば、情報の種別に応じて医療情報に含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類し、第1群に分類された情報の画素値を変更し、画素値が変更された第1群の情報と、第2群に分類された情報とを表示することができる。それにより、光環境だけでなく表示内容にも応じた態様で情報を表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
この発明に係る眼科装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下、第1〜第5の実施形態を説明する。なお、これら五つの実施形態のうちの任意の二つ以上の構成を適宜に組み合わせることも可能である。
【0039】
〈第1の実施形態〉
第1の実施形態に係る眼科装置は、医療情報を表示する機能を備えた眼科装置であって、装置周囲の光環境に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更して表示するものである。
【0040】
ここで、医療情報とは、医療分野、特に眼科分野において参照される各種の情報を意味する。医療情報の例としては、患者情報、検査情報、撮影画像などがある。
【0041】
患者情報は、患者に関する情報であり、患者ID、患者氏名、年齢、性別等を表す文字列情報を含んでいる。
【0042】
検査情報は、眼科検査に関する情報であり、検査結果や検査条件等を表す文字列情報やグラフ情報を含んでいる。検査情報に含まれる文字列情報の例としては、他覚式検眼や自覚式検眼の検査結果、更には眼底画像を撮影したときの撮影条件(撮影画角等)がある。グラフ情報の例としては、視野検査の検査結果、ヘス(Hess)スクリーンテストの検査結果などがある。なお、グラフ情報は、二つ以上の座標軸に定義された量の相関関係を表すグラフだけでなく、所定形状の図形情報など、撮影画像以外の画像情報を含んでいてもよい。
【0043】
撮影画像は、被検眼を撮影して得られた画像を表す。撮影画像の例としては、被検眼の眼底画像、前眼部像、超音波画像、角膜内皮細胞の拡大画像などがある。これらの画像は眼科撮影装置により撮影される。眼科撮影装置としては、眼底カメラ、スリットランプ、超音波診断装置、スペキュラーマイクロスコープ(角膜内皮細胞を撮影する)、光コヒーレンストモグラフィ(optical coherence tomography:OCT)装置などがある。
【0044】
また、装置周囲の光環境とは、当該眼科装置の設置場所における照明光(人工光)や自然光の状態を意味する。この実施形態では、光環境として「明るさ」を適用する場合について特に詳しく説明する。なお、この実施形態における明るさは、ルクス(lx)、カンデラ(cd)、輝度(cd/m^2)、ワット(W)、ルーメン(lm)などの任意の単位により表されるものであってよい。また、光環境には、明るさの他にも、光の色(光のスペクトル分布)などの他の特性が含まれていてもよい。
【0045】
また、医療情報を形成する画素とは、医療情報を表示させるときの画素(ピクセル)を意味する。また、画素値としては、情報をモノクロで表示させるためのグレースケールの輝度値や、カラーで表示させるためのRGB値などがある。輝度値やRGB値は、256階調や65536階調など、所定の階調範囲内の値で表される階調情報の例である。なお、画素値には、階調情報以外にも、透明度情報(アルファ値等)が含まれる場合もある。
【0046】
[構成]
この実施形態に係る眼科装置の構成を説明する。この実施形態に係る眼科装置の構成例を図1に示す。眼科装置1は、眼科分野で使用される任意の装置である。眼科装置1は、たとえば、眼科撮影装置、眼科検査装置、診療用コンピュータなどにより構成される。
【0047】
眼科撮影装置の例は前述した。眼科検査装置は、眼科分野の検査で使用される装置である。眼科分野の検査の例としては、他覚式検眼、自覚式検眼、視野検査、眼位・眼球運動検査、両眼視機能検査、光覚検査、色覚検査、眼鏡検査、コンタクトレンズ検査、眼圧検査、前眼部検査、涙液検査、涙道検査、結膜検査、角膜検査、眼房・隅角検査、瞳孔検査、眼軸長検査、放射線検査、電気生理検査などがある。これらの検査においては、専用の検査装置や、検査結果を入力するためのコンピュータなどの眼科装置が適宜に用いられる。なお、図1では、眼科撮影装置に特有の構成部分や、眼科検査装置に特有の構成部分については、図示を省略している。
【0048】
診療用コンピュータとしては、電子カルテを閲覧したり記入したりするためのコンピュータや、撮影画像を閲覧するためのコンピュータなどがある。
【0049】
眼科装置1には、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス(user interface:UI)4が設けられている。以下、これら各部2〜4について説明する。
【0050】
〔光環境入力部〕
光環境入力部2は、眼科装置1の周囲の光環境を表す光環境情報を制御部3に入力する。光環境入力部2は、この発明の「入力手段」の例である。
【0051】
光環境入力部2は、たとえば操作デバイスを含んで構成される。この操作デバイスは、後述の操作部42と一体に構成されていてもよいし、操作部52とは別に設けられていてもよい。
【0052】
操作デバイスから光環境情報を入力する場合、たとえばユーザインターフェイス5の表示デバイスに、所定の入力画面を表示させる。この入力画面には、たとえば、光環境の選択肢が提示される。この選択肢は、たとえば、「通常」、「暗室」等の項目を含む。「通常」は、暗室以外の光環境を表す。オペレータは、操作デバイスを操作することにより、所望の選択肢を選択する。この選択操作は、たとえば、所望の選択肢をクリックしてチェックマークを入力することにより行う。
【0053】
光環境情報を手入力するための手法は、これに限定されるものではない。たとえば、眼科装置1の周囲の光環境情報(たとえば電灯の明るさ(ワット、カンデラ等))を、操作デバイスを用いて入力するようにしてもよい。
【0054】
このような操作デバイスは、この発明の「操作手段」の例である。この操作デバイスは、たとえば、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、コントロールパネル、ペンタブレット、タッチパネルディスプレイ等の任意のデバイスにより構成することができる。
【0055】
また、光環境入力部2は、眼科装置1の周囲の光環境を検出する光検出器を含んで構成されてもよい。この光検出器は、たとえばフォトダイオードを用いた電子回路を含んで構成され、装置周囲の明るさを検出する。
【0056】
なお、光検出器の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、光導電素子、フォトトランジスタ、光電管、光電子倍増管など、量子効果(光電効果)を用いた任意の検出デバイスを用いて光検出器を構成することができる。また、熱電対や焦電素子のような熱的検出を適用して光検出器を構成することもできる。
【0057】
このような光検出器は、この発明の「検出手段」の例である。この光検出器は、周囲の明るさを検出する代わりに(又は、周囲の明るさを検出するとともに)、周囲の光の色を検出するように構成されてもよい。この場合、光検出器は、光のスペクトル分布を検出可能な分光器(スペクトロメータ)などを含んで構成される。
【0058】
〔制御部〕
制御部3は、光環境入力部2から光環境情報の入力を受け、この光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更する。更に、制御部3は、画素値が変更された医療情報を後述の表示部41に表示させる。制御部3は、この発明の「制御手段」の例である。
【0059】
このような処理を実行するために、制御部3は、主制御部31、記憶部32及び情報処理部33を含んで構成される。
【0060】
(主制御部)
主制御部31は、眼科装置1の各部を制御する。特に、主制御部31は、記憶部32に記憶された情報を読み出す処理と、記憶部32に情報を記憶させる処理を行う。また、主制御部31は、表示部41に情報を表示させる処理を行う。主制御部31の動作の詳細については後述する。
【0061】
(記憶部)
記憶部32は、各種の情報を記憶する。特に、記憶部32は、分類情報32aと医療情報32bを記憶する。
【0062】
分類情報32aは、医療情報に含まれる様々な情報(前述)の種別を二つの群(第1群、第2群)に分類した情報である。医療情報に含まれる各情報には、情報の種別を表す識別情報(種別情報)が付与されている。分類情報32aは、様々な情報の種別情報を第1群又は第2群に分類した情報(たとえばテーブル情報)である。
【0063】
第1群に属する情報は、画素値の変更処理の対象になる情報である。第1群に属する情報の例としては、文字列情報やグラフ情報がある。文字列情報やグラフ情報は、たとえ画素値が変更されたとしても、変更前と同様の内容を把握することが可能な情報である。なお、グラフ情報には、たとえば座標軸の数値などの文字列情報が含まれる場合がある。
【0064】
一例として、文字列情報を形成する画素の階調情報が反転されたとしても、たとえば白地に黒で描写された文字列情報が黒地に白で描写されるように変更されるに過ぎず、その内容を把握することができる。グラフ情報についても同様に、グラフ(又は図形等)の表示色や表示輝度と、背景色や背景輝度とが変更されるに過ぎず、その内容を把握することができる。なお、第1群に属する情報は、文字列情報やグラフ情報には限定されず、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのない任意の情報であってよい。
【0065】
第2群に属する情報は、画素値の変更処理の対象にならない情報である。第2群に属する情報の例としては撮影画像がある。撮影画像は、画素値の変更に伴い、把握される内容が異なるおそれのある情報である。たとえば、撮影画像の画素値を変更すると、元の画像では明瞭に描写されていた病変部等が不明瞭に描写されるおそれがある。また、撮影画像は、常時同様の態様で表示されるのが一般的である。よって、画素値が変更されると、検者は慣れない態様で表示された画像を観察しなければならない。たとえば、眼底のOCT画像は、黒地の輝度画像として表示されるのが一般的であるので、もし輝度値を反転させると浮腫等の病変部を見落とすおそれがある。なお、第2群に属する情報は、撮影画像には限定されず、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのある任意の情報であってよい。
【0066】
また、撮影画像であっても、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのないものであれば、第1群に分類することが可能である。逆に、文字列情報やグラフ情報であっても、画素値の変更の前後で把握される内容が変わるおそれのあるものであれば、第2群に分類することが可能である。
【0067】
なお、分類情報32aによる分類は、上記のものに限定されるものではない。たとえば、情報を形成する画素の明るさに基づいて分類した分類情報32aを用いることができる。その具体例を説明する。白などの薄い色を表す画素、つまり明るく表示される画素を多数含む情報を第1群に分類する。一方、第1群に属さない情報を第2群に分類する。
【0068】
なお、第1群に属するための条件である「多数」は、デフォルト設定されていてもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよい。この「多数」は、たとえば、情報を形成する全ての画素に対する、輝度値(明るさ)が所定値以上である画素の個数の比率として定義される。分類情報32aは、たとえば、この比率が(通常で)80%以上となる情報を第1群に分類し、それ以外の情報を第2群に分類する。
【0069】
この分類において第1群に属する情報の具体例としては、白地に表示される文字列情報やグラフ情報などがある。このような情報を表示させると、ディスプレイ表面から比較的強い光が発せられるので、たとえば暗室の光環境が劣化するなどの影響がある。一方、第2群に属する情報の具体例としては、OCT画像や蛍光眼底画像のように、黒地に表示される撮影画像がある。
【0070】
分類情報32aが定義する分類は、デフォルトで設定されていてもよいし、オペレータが手作業で設定可能であってもよい。分類情報32aを記憶する記憶部32は、この発明の「記憶手段」の例である。
【0071】
医療情報32bは、外部装置から入力されて記憶部32に記憶される。外部装置は、撮影装置や検査装置であってもよいし、電子カルテシステムや画像サーバ等の情報管理システムであってもよい。
【0072】
医療情報32bには、複数の情報が含まれていてもよい。たとえば、医療情報32bは、撮影画像、文字列情報及びグラフ情報の全てを含んでいてもよい。また、医療情報32bは、複数の撮影画像(又は、複数の文字列情報若しくは複数のグラフ情報)を含んでいてもよい。
【0073】
(情報処理部)
情報処理部33は、光環境入力部2から光環境情報の入力を受けて医療情報32bを処理する。なお、この実施形態の光環境情報には、前述のように、装置周囲の明るさを表す情報(明るさ情報)が含まれているものとする。情報処理部33は、この明るさ情報に基づいて、表示部41に表示される医療情報32bの画素値を変更する処理を行う。情報処理部33には、光環境判定部34、情報分類部35及び画素値変更部36が設けられている。以下、これらの各部34〜36について説明する。
【0074】
(光環境判定部)
光環境判定部34は、装置周囲の明るさに関する閾値を保持している。この閾値は、たとえば記憶部32に予め記憶されている。主制御部31は、この閾値を記憶部32から読み出して光環境判定部34に送る。
【0075】
この閾値は、デフォルト設定されたものであってもよいし、オペレータが適宜に設定したものであってもよい。この閾値の単位は、光環境入力部2から入力される明るさ情報に示す明るさの単位と一致されている。
【0076】
光環境判定部34は、光環境入力部2から光環境情報を受けると、この光環境情報中の明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか否か判定する。この判定処理は、上記のように同一の単位で表される二つの値の大小を比較することにより容易に実行できる。
【0077】
なお、この判定処理は、明るさの数値の比較処理に限定されるものではない。たとえば、光環境入力部2において、前述した選択肢「通常」又は「暗室」の選択がなされた場合、光環境判定部34は、その選択結果が「通常」である場合には「装置周囲の明るさは閾値を超える」と判定し、選択結果が「暗室」である場合には「装置周囲の明るさは閾値以下である」と判定する。
【0078】
光環境判定部34は、装置周囲の明るさの判定結果を情報分類部35に送る。光環境判定部34は、この発明の「判定手段」の例である。
【0079】
(情報分類部)
情報分類部35は、医療情報32bに複数の情報が含まれている場合(複数の情報が含まれる医療情報32bを表示させる場合)であり、かつ、光環境判定部34により装置周囲の明るさが閾値以下であると判定された場合に動作する。情報分類部35は、分類情報32aに基づいて、医療情報32bに含まれる各情報を第1群又は第2群に分類する。
【0080】
この分類処理について、より詳しく説明する。分類情報32aは、前述のように、医療情報に含まれる各種情報の種別情報(識別情報)を第1群及び第2群に分類した情報である。また、医療情報32bに含まれる各情報には種別情報が付与されている。
【0081】
この種別情報は、医療情報32bを生成した装置(たとえば撮影装置)や、医療情報32bが経由した装置(たとえば画像サーバ)や、眼科装置1によって付与される。眼科装置1により種別情報を付与する場合、主制御部31が自動的に種別情報を付与するように構成してもよいし、オペレータが手作業で種別情報を付与するように構成してもよい。前者の場合、主制御部31は、たとえば、医療情報32b内の各情報の種別を判別し(たとえば拡張子やデータ形態を参照して判別する)、その種別に対応する種別情報を付与する。後者の場合、たとえば、医療情報32bに含まれる情報を事前に表示させ、オペレータが各情報の内容を確認して種別を指定することにより種別情報を付与する。
【0082】
情報分類部35は、医療情報32bに含まれる各情報について、その種別情報が第1群及び第2群のどちらに分類されているか特定する。情報分類部35は、その特定結果を画素値変更部36に送る。情報分類部35は、この発明の「分類手段」の例である。
【0083】
(画素値変更部)
画素値変更部36は、情報分類部35による分類結果を受けて、医療情報32bに含まれる各情報の画素値を変更する。このとき、医療情報32bに含まれる各情報は、主制御部31によって表示用のフォーマットに変換されているものとする。なお、画素値変更部36は、光環境判定部34により装置周囲の明るさが閾値以下であると判定された場合にのみ動作する。
【0084】
画素値変更部36が実行する処理の例を説明する。画素値変更部36は、装置周囲の明るさが閾値以下であると判定された場合において、医療情報32bに含まれる複数の情報のうち第1群に分類された情報の画素値を変更する。
【0085】
特に、画素値変更部36は、第1群に分類された情報(変更対象情報)の画素値中の階調情報を反転させる。この反転処理は、たとえば次のようにして実行される。変更対象情報の階調情報は、前述のように、所定の階調範囲内の値により定義されている。階調範囲を0〜Kとし、或る画素の階調情報の値をkとすると、画素値変更部36は、この階調情報の値kをK−kに変換する。具体例として階調範囲が0〜255である場合、階調値0、100、255は、それぞれ255、155、0に変換される。
【0086】
なお、画素値変更部36が実行する処理は、このような反転処理に限定されるものではない。たとえば、変更対象情報がより暗く表示されるように、各画素の画素値を一様に減少させることができる。
【0087】
〔ユーザインターフェイス〕
ユーザインターフェイス4には、表示部41と操作部42が設けられている。表示部41は、医療情報などの各種情報を表示する。操作部42は、眼科装置1を操作するため、更には各種情報を入力を行うためにオペレータにより操作される。
【0088】
[ハードウェア構成]
以上のような機能を奏する眼科装置1のハードウェア構成について説明する。図2は、眼科装置1のハードウェア構成の一例を表している。
【0089】
眼科装置1は、撮影装置、検査装置、電子カルテシステム、画像サーバ等の外部装置200と通信回線Nを介して接続されている。通信回線Nは、LAN(Local Area Network)などにより構成されている。
【0090】
外部装置200から医療情報を取得する処理の例を説明する。まず、オペレータは、医療情報の閲覧や編集の要求を眼科装置1に入力する。この要求は、たとえば、患者ID等の患者識別情報を入力又は選択し、所定のソフトキー(医療情報の検索を指示するソフトキー)をクリックすることにより行う。眼科装置1は、入力された要求を外部装置200に送信する。外部装置200は、この要求に基づいて医療情報を検索し、その検索結果を眼科装置1に送信する。それにより、眼科装置1は、オペレータが要求した医療情報を取得する。
【0091】
眼科装置1のハードウェア構成の例を説明する。眼科装置1は、図2に示すように、CPU等のマイクロプロセッサ101、主記憶装置として機能するRAM102、外部記憶装置として機能するROM103、同じく外部記憶装置として機能するハードディスクドライブ(HDD)104を備える。更に、眼科装置1は、ディスプレイ105、キーボード106、マウス107及び通信インターフェイス(I/F)108を備える。これら各部101〜108は、バス109を介して接続されている。
【0092】
なお、眼科装置1は、プリンタやドライブ装置等の周辺機器を備えていてもよい。ドライブ装置を具備する場合、眼科装置1は、記録媒体(メディア)に記録された医療情報を受け付けることが可能である。
【0093】
マイクロプロセッサ101は、ハードディスクドライブ104に格納されたプログラム104aをRAM102上に展開することにより、この実施形態に特有の動作を眼科装置1に実行させる。
【0094】
また、マイクロプロセッサ101は、眼科装置1の各部の制御や各種の演算処理を実行する。主制御部31及び情報処理部33は、それぞれマイクロプロセッサ101を含んで構成される。また、記憶部32は、ハードディスクドライブ104を含んで構成される。
【0095】
ディスプレイ105は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなど、任意の表示デバイスを含んで構成される。表示部41は、ディスプレイ105を含んで構成される。また、操作部42は、キーボード106やマウス107を含んで構成される。なお、操作部42は、これら以外の任意の操作デバイスを含んでいてもよい。
【0096】
この実施形態のユーザインターフェイス4では、表示部41と操作部42が個別に設けられているが、これらを一体化したユーザインターフェイスを形成することも可能である。このように表示機能と操作機能とを一体化したユーザインターフェイスとしては、ペンタブレットやタッチパネルなどがある。
【0097】
通信インターフェイス108は、マイクロプロセッサ101の制御に基づいて、通信回線Nを介したデータ通信を行う。通信インターフェイス108は、通信回線Nに準拠したLANカード等のネットワークアダプタを含んで構成される。主制御部31は、通信インターフェイス108を含んで構成される。
【0098】
[動作態様]
眼科装置1の動作態様について説明する。図3に示すフローチャートは、眼科装置1の動作態様の一例を表す。ここで、医療情報32bは、既に外部装置200から取得されて記憶部32に記憶されているものとする。
【0099】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S1)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0100】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S2)。
【0101】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S2:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま(つまり、画素値の変更を伴うことなく)表示部41に表示させる(S6)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0102】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S2:Yes)、情報分類部35は、分類情報32aを参照して、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類する(S3)。
【0103】
続いて、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S4)。
【0104】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報(画素値が変更されていない情報)を、表示部41に表示させる(S5)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0105】
〔具体例〕
上記動作態様の具体例として、医療情報32bにグラフ情報と撮影画像が含まれている場合を説明する。ここで、分類情報32aにおいて、グラフ情報は第1群に分類され、撮影画像は第2群に分類されている。上記動作態様によれば、グラフ情報は階調情報(輝度値等)が反転されて表示され、撮影画像はそのまま表示される。
【0106】
図5は、医療情報32bをそのまま表示させた場合の態様を表している。この医療情報32bには、視野検査の検査結果を示すグラフ情報H1、H2と、眼底のカラー画像Gが含まれている。この医療情報32bをそのまま暗室内で表示させると、明るい画素を多数含むグラフ情報H1、H2(特に白地の部分)の表示領域から発せられる光により暗室の環境が劣化するおそれがある。
【0107】
図6は、上記動作態様により医療情報32bを表示させたときの態様を表している。上記動作形態によれば、グラフ情報H1′、H2′と、眼底のカラー画像Gが表示される。グラフ情報H1′、H2′は、それぞれ、グラフ情報H1、H2における階調情報(白と黒)を反転して得られる情報である。また、カラー画像Gは、図5の場合と同じ表示態様で表示される。それにより、グラフ情報H1、H2が暗室の光環境に与える悪影響を抑制することができる。
【0108】
[作用・効果]
以上のような眼科装置1の作用及び効果を説明する。
【0109】
眼科装置1は、装置周囲の光環境を表す光環境情報に基づいて、医療情報32bを形成する画素の画素値を変更し、この画素値が変更された医療情報を表示するように作用する。
【0110】
特に、眼科装置1は、光環境情報中の明るさ情報を参照して装置周囲の明るさが閾値以下であるか否か判定し、明るさが閾値以下であると判定されたときに、医療情報32bの少なくとも一部の画素の画素値を変更して表示するようになっている。
【0111】
このとき、眼科装置1は、情報分類部35により第1群に分類された情報についてのみ画素値を変更する。このとき、眼科装置1は、画素値の変更処理として、階調情報を反転させるようになっている。
【0112】
それにより、文字列情報やグラフ情報のように、画素値の変更により内容を誤って把握するおそれの無い(少ない)情報や、明るく表示される画素の比率が高い情報(白地で表示される情報など)の画素値が変更される。一方、撮影画像のように、画素値の変更により内容の把握ミスが生じ易い情報や、明るく表示される画素の比率が低い情報(黒地で表示される情報など)については、画素値が変更されずにそのまま表示される。
【0113】
このような眼科装置1によれば、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示できる。たとえば、暗室で医療行為を行う場合において、情報の表示面(表示部41のスクリーン)から発せられる光が低減され、暗室の光環境の劣化(つまり明るくなる)を抑制することが可能である。
【0114】
更に、眼科装置1によれば、内容の把握ミスのおそれが無い情報についてのみ選択的に画素値を変更できるので、医療行為を行う場所の光環境を維持しつつ、内容に応じた態様で情報を表示することが可能である。
【0115】
[変形例]
眼科装置1の変形例を説明する。
【0116】
上記実施形態では、画素値の変更処理として階調情報の反転処理を実行しているが、これ以外の手法で画素値を変更することが可能である。たとえば、前述のように各画素の画素値(輝度値等)を一様に減少させて、より暗く情報を表示させることにより、上記実施形態と同様の作用、効果を得ることが可能である。
【0117】
上記実施形態では、光環境の入力(光環境入力部2)と、光環境の判定(光環境判定部34)とによって、画素値の変更処理の実行の有無を切り替えている。眼科装置1の周囲の光環境がその都度変化する場合には、この切り替えをその都度行うことが望ましい。
【0118】
一方、眼科装置1の周囲の光環境が不変である場合には、光環境の入力及び判定は、たとえば装置の設置時などに一度行えば十分である。なお、その後に設置場所を変更する際に、新たな光環境を入力することは可能である。
【0119】
上記実施形態の分類情報32aでは、撮影画像を第2群(画素値の変更対象でない)に分類しているが、撮影種別等に応じて第1群に属する画像と第2群に属する画像とに分けることが可能である。
【0120】
たとえば、カラー画像については、表示色が意味する内容を損なわないように第2群に分類することが望ましい。一方、モノクロ画像、特に階調範囲の狭い画像については、画素値を変更しても内容の把握ミスのおそれが大きくないものがある(たとえば角膜内皮細胞の撮影画像や超音波画像など)。このようなモノクロ画像については、第1群に分類して画素値の変更処理の対象としてもよい。
【0121】
上記の実施形態では、医療情報に含まれる様々な情報を第1群と第2群とに分類しているが、これらに分類されない情報が属する群を別途設けてもよい。たとえば、自動的な分類処理から除外される情報が属する群(第3群)を設けることができる。第3群には、たとえば、同じ種別であるにも拘わらず、各情報毎に内容が大きく異なり、それにより表示時の明るさが大きく異なるような情報が含まれる。医療情報32bのうち第3群に分類された情報については、たとえば所定の画面に表示させて、画素値の変更処理の対象とするか否かをオペレータに選択させる。
【0122】
また、分類情報32aによって分類できない種別の情報があった場合についても、同様の画面を表示させて、画素値の変更処理の有無をオペレータに選択させることが可能である。
【0123】
上記の実施形態では、装置周囲の光環境として明るさに着目したが、他の光環境に応じて医療情報の表示態様を変更することが可能である。たとえば、装置が設置されている部屋の照明が発する光の色に注目して表示態様を変更することができる。
【0124】
具体例として、照明の色調と同様の表示情報が見えにくくなることを防止するために、医療情報32bに含まれる各情報について、その情報を形成する各画素の色(RGB値)と、照明光の色(光環境入力部2から入力される)とを比較し、それらの差が所定値以下となる画素の個数を求める。そして、この画素数が所定数以上となる情報の画素値を照明光の色と大きく異なる色に変更して表示する。それにより、照明光の色調と同様の色調を多く含んだ情報が見やすくなる。
【0125】
〈第2の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、第1の実施形態のような分類情報を参照せずに、表示態様の医療情報の画素値に基づいて、画素値の変更処理の有無を決定するものである。
【0126】
この実施形態に係る眼科装置の構成例を図6に示す。この眼科装置10は、第1の実施形態の眼科装置1とほぼ同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については同じ符号で表すことにする。
【0127】
眼科装置10は、第1の実施形態と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。第1の実施形態との主たる相違は、記憶部32に分類情報が記憶されていない点と、情報分類部35に統計値演算部37が設けられている点である。
【0128】
統計値演算部37は、医療情報32に含まれる各情報について、その画素値の統計値を演算する。この統計値とは、当該情報を形成する複数の画素の画素値に対して統計的な処理を施すことにより得られる値を意味する。
【0129】
画素値に階調情報が含まれる場合における統計値の例を説明する。N個の画素P1〜PNにより形成される情報について考える。まず、統計値演算部37は、各画素の階調情報(階調値)を取得し、階調値毎の画素の個数を表すヒストグラムを作成する。このヒストグラムは、階調範囲を複数の部分範囲に分割し、各部分範囲毎の画素の個数をカウントすることにより作成できる。なお、各部分範囲には、一つ以上の階調値が含まれる。
【0130】
次に、統計値演算部37は、このヒストグラムを参照して、階調値が所定値以上である画素の個数を求める。この所定値は、予め設定されている。この所定値は、デフォルトで設定されたものであってもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよい。このようにして得られた画素の個数を上記統計値として用いる。
【0131】
なお、統計値演算部37が実行する処理は、これに限定されるものではない。たとえば、各画素について、その階調値が所定値以上であるか判定し、所定値以上と判定された階調値の個数をカウントすることにより、同様の統計値を求めることができる。
【0132】
情報分類部35は、医療情報32bに含まれる各情報について、統計値演算部37により求められた画素の個数が所定数以上であるか判定する。この所定数は、予め設定されている。この所定数は、デフォルトで設定されたものであってもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよい。
【0133】
この処理において、情報分類部35は、統計値演算部37により求められた画素の個数と、所定数との大小を比較する。この比較処理は、字義通りに画素の個数を比較するものであってもよいし、全体の画素数に対する比率を比較するものであってもよい。
【0134】
前者の比較処理を行う場合、上記所定数は、たとえば、画素数の閾値を表す情報とされる。この場合、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた画素の個数と当該閾値とを比較する。
【0135】
また、上記所定数が、全体の画素数に対する比率として定義されている場合、情報分類部35は、たとえば、当該情報の全画素数に当該比率を乗算して画素数の閾値を求め、この閾値と、統計値演算部37により得られた画素の個数とを比較する。
【0136】
一方、後者の比較処理(比率の比較)を行う場合、上記所定数は、たとえば、全画素数に対する比率を表す情報とされる。この場合、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた画素の個数を当該情報の全画素数で除算して、当該情報における比率を求める。更に、情報分類部35は、当該情報における比率と、上記所定数としての比率とを比較する。
【0137】
なお、上記所定数が画素数の閾値として定義されている場合には、当該閾値を当該情報の全画素数で除算して閾値となる比率を求めて、当該情報における比率と比較すればよい。
【0138】
情報分類部35は、以上のような要領で、医療情報32bに含まれる各情報について判定を行う。そして、情報分類部35は、統計値演算部37により求められた画素の個数が所定数以上であると判定された情報を第1群に分類し、所定数未満であると判定された情報を第2群に分類する。
【0139】
このような分類によれば、第1群に分類される情報は、階調値の大きな画素、つまり明るく表示される画素を、所定数(又は、所定の比率)以上含む情報となる。また、第2群に分類される情報は、階調値の大きな画素の個数が所定数より少ない情報(又は、所定の比率より低い情報)となる。
【0140】
眼科装置10の動作態様を説明する。図7は、眼科装置10の動作態様の例を表している。
【0141】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S11)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0142】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S12)。
【0143】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S12:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま表示部41に表示させる(S17)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0144】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S12:Yes)、統計値演算部37は、医療情報32bに含まれる各情報について、所定値以上の階調値を有する画素の個数を表す統計値を求める(S13)。
【0145】
続いて、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた各情報の統計値に基づいて、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類する(S14)。
【0146】
次に、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S15)。
【0147】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報を、表示部41に表示させる(S16)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0148】
以上のような眼科装置10の作用及び効果を説明する。
【0149】
眼科装置10は、医療情報32bに含まれる各情報について、その画素値(特に階調情報)の統計値を演算し、この統計値の大小に基づいて医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群とに分類する。更に、眼科装置10は、第1群に分類された情報の画素値を変更して表示するとともに、第2群に分類された情報を表示する。
【0150】
特に、眼科装置10は、医療情報32bに含まれる各情報について、それを形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調情報(階調値)を有する画素の個数を統計値として求める。そして、眼科装置10は、統計値に示す個数が所定数以上である情報を第1群に分類し、所定数未満である情報を第2群に分類するようになっている。
【0151】
このような眼科装置10によれば、文字列情報やグラフ情報のように、明るく表示される画素を多数含む情報(明るく表示される画素の比率が高い情報)については、その階調値を反転させて表示し、他方、明るく表示される画素が少ない情報(明るく表示される画素の比率が低い情報)については、階調値を変更せずにそのまま表示することができる。
【0152】
それにより、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。たとえば、暗室で医療行為を行う場合において、情報の表示面(表示部41のスクリーン)から発せられる光が低減され、暗室の光環境の劣化を抑制することができる。
【0153】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【0154】
〈第3の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、第2の実施形態と同様の統計値を用いて医療情報に含まれる情報を分類し、各情報に対する画素値の変更処理の有無を決定するものである。
【0155】
この実施形態に係る眼科装置は、第2の実施形態の眼科装置10と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。更に、情報分類部35には、第2の実施形態と同様の統計値演算部37が設けられている。この実施形態と第2の実施形態との主たる相違は、情報分類部35が実行する処理にある。
【0156】
統計値演算部37は、医療情報32bに含まれる各情報について、その画素値の統計値を演算する。特に、統計値演算部37は、各情報について、その階調情報の統計値を演算する。
【0157】
情報分類部35は、複数の統計値を比較して、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群とに分類する。この処理の具体例を説明する。各情報の統計値は、たとえば、その情報を形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調値を有する画素の個数(又は、当該情報の全画素数に対する比率)である。
【0158】
情報分類部35は、たとえば、複数の情報の統計値のうち、他の統計値と比較して極端に大きな値があるか否か判断する。この処理は、たとえば情報の個数が少ない場合には、単なる大小の比較により行うことができる。また、情報の個数が多い場合には、標準偏差や分散を求めたり、最小二乗法等の手法を用いたりすることにより、極端に大きな統計値の有無を判断できる。
【0159】
なお、「極端に大きな」とは、たとえば、予め設定された値よりも大きいことを意味する。この値は、デフォルトで設定されたものであってもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものであってもよいし、統計値の集合(母集団)から適宜な方法で導出したものであってもよい。最後の手法の例として、標準偏差2σを上記値として用いることができる。
【0160】
情報分類部35は、このようにして特定された極端に大きな統計値を有する情報を第1群に分類し、その他の情報を第2群に分類する。
【0161】
この実施形態に係る眼科装置の動作態様を説明する。図8は、眼科装置の動作態様の例を表している。
【0162】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S21)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0163】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S22)。
【0164】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S22:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま表示部41に表示させる(S27)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0165】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S22:Yes)、統計値演算部37は、医療情報32bに含まれる各情報について、所定値以上の階調値を有する画素の個数を表す統計値を求める(S23)。
【0166】
続いて、情報分類部35は、統計値演算部37により得られた複数の情報の統計値を比較して、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群及び第2群に分類する(S24)。
【0167】
次に、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S25)。
【0168】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報を、表示部41に表示させる(S26)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0169】
この実施形態に係る眼科装置の作用及び効果を説明する。
【0170】
この実施形態に係る眼科装置は、医療情報32bに含まれる各情報について、その画素値(特に階調情報)の統計値を演算し、これら複数の統計値を比較することにより医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群とに分類する。この処理では、特に、統計値が極端に大きな統計値に対応する情報を第1群に分類する。更に、この眼科装置は、第1群に分類された情報の画素値を変更して表示するとともに、第2群に分類された情報を表示する。
【0171】
このような眼科装置によれば、文字列情報やグラフ情報のように、明るく表示される画素を多数含む情報(明るく表示される画素の比率が高い情報)については、その階調値を反転させて表示し、他方、明るく表示される画素が少ない情報(明るく表示される画素の比率が低い情報)については、階調値を変更せずにそのまま表示することができる。
【0172】
それにより、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。
【0173】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【0174】
〈第4の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、医療情報の表示サイズに応じて画素値の変更処理の有無を決定するものである。ここで、表示サイズとは、表示手段のスクリーンに実際に表示されるサイズや、医療情報を形成する画素数など、表示対象の医療情報のサイズ(大きさ)を表す任意のパラメータである。
【0175】
この実施形態に係る眼科装置の構成例を図9に示す。この眼科装置20は、第1の実施形態の眼科装置1とほぼ同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については同じ符号で表すことにする。
【0176】
眼科装置20は、第1の実施形態と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。第1の実施形態との主たる相違は、情報分類部35に表示サイズ判定部38が設けられている点である。
【0177】
表示サイズ判定部38は、まず、医療情報32bの画像データ(表示用のデータ)に基づいて、医療情報の表示サイズを特定する。それにより、たとえば医療情報32bの画像データの画素数が特定される。
【0178】
更に、表示サイズ判定部38は、特定された表示サイズが所定サイズ(サイズ閾値)以上であるか判定する。このサイズ閾値は、デフォルト設定されたものでもよいし、オペレータが手作業で適宜に設定したものでもよい。
【0179】
なお、医療情報32bに複数の情報が含まれている場合、表示サイズ判定部38は、これらの情報のそれぞれの表示サイズを特定し、更に、各情報の表示サイズをサイズ閾値と比較する。
【0180】
このとき、情報の種別に応じて異なるサイズ閾値を設けることが可能である。たとえば、文字列情報やグラフ情報など、明るく表示される画素を多数含む情報については、比較的小さなサイズ閾値が設定され、逆に、撮影画像など明るく表示される画素が少ない情報については、比較的大きなサイズ閾値が設定される。
【0181】
眼科装置20の動作態様を説明する。図10は、眼科装置20の動作態様の例を表している。
【0182】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S31)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0183】
次に、光環境判定部34は、この明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S32)。
【0184】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S32:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま表示部41に表示させる(S38)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0185】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S32:Yes)、表示サイズ判定部38は、医療情報32bに含まれる各情報の表示サイズを特定する(S33)。更に、表示サイズ判定部38は、各情報の表示サイズがサイズ閾値以上であるか判定する(S34)。
【0186】
情報分類部35は、サイズ閾値以上の表示サイズを有する情報を第1群に分類し、サイズ閾値未満の表示サイズを有する情報を第2群に分類する(S35)。
【0187】
次に、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S36)。
【0188】
主制御部31は、階調情報が反転された各情報と、第2群に分類された各情報を、表示部41に表示させる(S37)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0189】
眼科装置20の作用及び効果を説明する。
【0190】
眼科装置20は、医療情報32bに含まれる各情報の表示サイズを特定し、表示サイズが閾値以上の情報を第1群に分類し、それ以外の情報を第2群に分類する。更に、眼科装置20は、第1群に分類された情報の画素値を変更して表示するとともに、第2群に分類された情報を表示する。
【0191】
このような眼科装置20によれば、表示サイズの大きな情報、つまり装置周囲の光環境への影響が大きい情報の画素値を変更して表示することができる。特に、文字列情報やグラフ情報のように、明るく表示される画素を多数含む情報(明るく表示される画素の比率が高い情報)のサイズ閾値を比較的小さな値に設定することにより、これらの情報による光環境への悪影響を低減させることができ、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。
【0192】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【0193】
〈第5の実施形態〉
この実施形態に係る眼科装置は、複数の表示装置を備えており、医療情報を表示させる表示装置に応じて画素値の変更処理の有無を決定するものである。
【0194】
なお、眼科分野においては、複数の表示装置を用いて診療や検査を行うことがある。たとえば、一の表示装置に表示された撮影画像を観察しつつ、他の表示装置に表示された電子カルテに所見を記入するなどの利用法がある。
【0195】
この実施形態に係る眼科装置の構成例を図11に示す。眼科装置30は、第1の実施形態の眼科装置1とほぼ同様の構成を有する。第1の実施形態と同様の構成部分については同じ符号で表すことにする。
【0196】
眼科装置30は、第1の実施形態と同様に、光環境入力部2、制御部3及びユーザインターフェイス4を有する。第1の実施形態との主たる相違は、複数の表示装置(第1表示部41A、第2表示部41B)が設けられている点と、主制御部31に表示選択部31aが設けられている点である。なお、この実施形態に係る眼科装置に設けられる表示装置の個数は任意である。
【0197】
第1表示部41Aと第2表示部41Bは、それぞれ異なるスクリーンを有している。ここで、第1表示部41Aの画面サイズ(スクリーンサイズ)は、第2表示部41Bの画面サイズよりも大きいとする。たとえば、第1表示部41Aの画面サイズは21インチであり、第2表示部41Bの画面サイズは14インチである。また、特に第2表示部41Bは、ペンタブレットのように小型の表示装置であってもよい。
【0198】
同じ医療情報を同じ条件(画面サイズに対する表示サイズの比率)で表示させるときでも、大きな画面サイズの表示装置に表示させた場合には、装置周囲の光環境への影響が大きくなる。この実施形態は、このような状況に対処するものである。
【0199】
表示選択部31aは、医療情報32bを表示させる表示装置を選択し、この表示装置に医療情報32bを表示させる。医療情報32bを表示させる表示装置は、たとえば、オペレータが操作部42を操作して選択される。表示選択部31aは、操作部42からの操作信号に基づいて、選択された表示装置を制御して医療情報32bを表示させる。
【0200】
このようにオペレータの指示に応じて表示装置を選択する代わりに、表示選択部31aは、自動的に表示装置を選択するように構成されていてもよい。たとえば、医療情報32bの種別に応じて表示装置を自動的に選択することができる。
【0201】
具体例として、撮影画像のように微細な情報については、大きな画面サイズの第1表示部41Aを選択し、文字列情報やグラフ情報のように一目で内容を把握可能な情報については、小さな画面サイズの第2表示部41Bを選択するように構成できる。この処理は、たとえば、情報の種別と表示装置とを関連付けるテーブル情報(記憶部32に予め記憶される)などを参照して実行できる。
【0202】
表示選択部31aは、医療情報32bに複数の情報が含まれている場合、各情報について表示装置の選択を行う。
【0203】
情報分類部35は、表示選択部31aから表示装置の選択結果を受けて、医療情報32bに含まれる複数の情報を第1群と第2群に分類する。このとき、情報分類部35は、第1表示部41Aに表示される情報を第1群に分類し、第2表示部41Bに表示される情報を第2群に分類する。
【0204】
眼科装置30の動作態様について説明する。図12に示すフローチャートは、眼科装置30の動作態様の一例を表す。
【0205】
まず、光環境入力部2から光環境情報が入力される(S41)。この光環境情報には、明るさ情報が含まれているものとする。
【0206】
表示選択部31aは、医療情報32bに含まれる各情報を表示させる表示装置を選択する(S42)。
【0207】
次に、光環境判定部34は、光環境情報の明るさ情報に示す明るさが閾値以下であるか判定する(S43)。
【0208】
明るさが閾値を超えると判定された場合(S43:No)、主制御部31は、医療情報32bをそのまま(つまり、画素値の変更を伴うことなく)第1表示部41A及び第2表示部41Bに表示させる(S47)。この場合の処理はこれで終了となる。
【0209】
一方、明るさが閾値以下であると判定された場合(S43:Yes)、情報分類部35は、表示選択部31aから選択結果を受けて、第1表示部41Aに表示される情報を第1群に分類し、第2表示部41Bに表示される情報を第2群に分類する(S44)。
【0210】
続いて、画素値変更部36は、第1群に分類された各情報について、その階調情報を反転させる(S45)。
【0211】
主制御部31は、階調情報が反転された第1群の各情報を第1表示部41Aに表示させるとともに、第2群に分類された各情報(画素値が変更されていない情報)を第2表示部41Bに表示させる(S46)。以上で、この場合の処理は終了となる。
【0212】
このような眼科装置30によれば、複数の表示装置のうち、画面サイズの大きな表示装置に表示される情報の画素値を変更(反転)させて表示することができるので、大きな表示装置から発せられる光を低減させることが可能である。それにより、暗室等の光環境への悪影響を低減させることができ、医療行為を行う場所の光環境(特に明るさ)に応じた態様で情報を表示することが可能になる。
【0213】
なお、第1の実施形態及びその変形例において説明した任意の構成を、この実施形態に係る眼科装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】この発明に係る眼科装置の実施形態のハードウェア構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図3】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図4】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様を説明するための、医療情報の表示態様の一例を表す概略図である。
【図5】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様を説明するための、医療情報の表示態様の一例を表す概略図である。
【図6】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図7】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図8】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図9】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図10】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図11】この発明に係る眼科装置の実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図12】この発明に係る眼科装置の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0215】
1、10、20、30 眼科装置
2 光環境入力部
3 制御部
31 主制御部
31a 表示選択部
32 記憶部
32a 分類情報
32b 医療情報
33 情報処理部
34 光環境判定部
35 情報分類部
36 画素値変更部
37 統計値演算部
38 表示サイズ判定部
4 ユーザインターフェイス
41、41A、41B 表示部
42 操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療情報を表示する表示手段を備える眼科装置であって、
装置周囲の光環境を表す光環境情報を入力する入力手段と、
前記光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更し、前記画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記光環境情報は、装置周囲の明るさを表す明るさ情報を含み、
前記制御手段は、前記明るさ情報に示す明るさが所定閾値以下であるか否か判定する判定手段を含み、前記所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の画素値を変更し、該画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記医療情報の画素の画素値は、所定の階調範囲内の値により表される階調情報を含み、
前記制御手段は、前記判定手段により所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の階調情報を前記階調範囲において反転し、前記階調情報が反転された医療情報を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の階調値を反転し、前記階調値が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記分類情報は、文字列情報及び/又はグラフ情報を前記第1群に分類する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記分類情報は、被検眼を撮影した画像を前記第2群に分類する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記分類情報は、被検眼を撮影したモノクロ画像を前記第1群に分類し、被検眼を撮影したカラー画像を前記第2群に分類する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項10】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項11】
前記分類手段は、前記複数の情報のそれぞれを形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調情報を有する画素の個数を前記統計値として求め、前記画素の個数が所定数以上である情報を前記第1群に分類し、前記所定数未満である情報を前記第2群に分類する、
ことを特徴とする請求項10に記載の眼科装置。
【請求項12】
医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項13】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項14】
前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の画素値を変更する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項15】
前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の階調情報を反転する、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項16】
前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、
前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の画素値を変更する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項17】
前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、
前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の階調値を反転する、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項18】
前記入力手段は、前記光環境情報を入力するための操作手段を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項19】
前記入力手段は、装置周囲の光環境を検出して前記光環境情報を生成する検出手段を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項1】
医療情報を表示する表示手段を備える眼科装置であって、
装置周囲の光環境を表す光環境情報を入力する入力手段と、
前記光環境情報に基づいて医療情報を形成する画素の画素値を変更し、前記画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記光環境情報は、装置周囲の明るさを表す明るさ情報を含み、
前記制御手段は、前記明るさ情報に示す明るさが所定閾値以下であるか否か判定する判定手段を含み、前記所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の画素値を変更し、該画素値が変更された医療情報を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記医療情報の画素の画素値は、所定の階調範囲内の値により表される階調情報を含み、
前記制御手段は、前記判定手段により所定閾値以下であると判定されたときに、前記医療情報の少なくとも一部の画素の階調情報を前記階調範囲において反転し、前記階調情報が反転された医療情報を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、医療情報に含まれる情報の種別を第1群と第2群とに分類した分類情報を予め記憶する記憶手段と、前記分類情報に基づいて前記複数の情報を分類する分類手段とを含み、前記第1群に分類された情報の階調値を反転し、前記階調値が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記分類情報は、文字列情報及び/又はグラフ情報を前記第1群に分類する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記分類情報は、被検眼を撮影した画像を前記第2群に分類する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記分類情報は、被検眼を撮影したモノクロ画像を前記第1群に分類し、被検眼を撮影したカラー画像を前記第2群に分類する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項10】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記統計値の大小に基づいて前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項11】
前記分類手段は、前記複数の情報のそれぞれを形成する複数の画素のうち、所定値以上の階調情報を有する画素の個数を前記統計値として求め、前記画素の個数が所定数以上である情報を前記第1群に分類し、前記所定数未満である情報を前記第2群に分類する、
ことを特徴とする請求項10に記載の眼科装置。
【請求項12】
医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その画素値の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の画素値を変更し、該画素値が変更された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項13】
前記医療情報は、複数の情報を含み、
前記制御手段は、前記複数の情報のそれぞれについて、その階調情報の統計値を演算し、前記演算された前記複数の統計値を比較して前記複数の情報を第1群と第2群とに分類する分類手段を含み、前記第1群に分類された情報の階調情報を反転し、該階調情報が反転された前記第1群の情報と、前記第2群に分類された情報とを前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項14】
前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の画素値を変更する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項15】
前記制御手段は、医療情報を前記表示手段に表示させるときに、該医療情報の表示サイズが所定サイズ以上である場合にのみ該医療情報の階調情報を反転する、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項16】
前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、
前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の画素値を変更する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項17】
前記表示手段は、画面サイズの異なる複数の表示装置を含み、
前記制御手段は、画面サイズが所定サイズ以上の表示装置に医療情報を表示させるときにのみ、該医療情報の階調値を反転する、
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
【請求項18】
前記入力手段は、前記光環境情報を入力するための操作手段を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項19】
前記入力手段は、装置周囲の光環境を検出して前記光環境情報を生成する検出手段を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−78088(P2009−78088A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251185(P2007−251185)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
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