眼科装置
【課題】検査や測定の効率を向上させることのできる眼科装置を提供する。
【解決手段】被検眼の検査または測定を行う検眼部を有する装置本体と、被検者の顎を載せる顎受部4と、この顎受部4に載せられた被検者の額を当てる額受部50とを備え、前記装置本体は、この顎受部4および額受部50てによって固定された被検者の顔に対して左右、上下、前後に移動可能な眼科装置において、額受部50の左右方向に対する中心位置を提示するセンターラインL1,L2を設けた。
【解決手段】被検眼の検査または測定を行う検眼部を有する装置本体と、被検者の顎を載せる顎受部4と、この顎受部4に載せられた被検者の額を当てる額受部50とを備え、前記装置本体は、この顎受部4および額受部50てによって固定された被検者の顔に対して左右、上下、前後に移動可能な眼科装置において、額受部50の左右方向に対する中心位置を提示するセンターラインL1,L2を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検者の顎を受ける顎受け台と被検者の額を受ける額受けとを備えた眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動的にアライメントを行い、この後に被検眼の眼屈折力を測定する眼科装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる眼科装置は、眼屈折力を測定する測定光学系と、被検眼に対する測定光学系のアライメントを検出するアライメント検出手段などとを測定部に設けている。
【0004】
また、この眼科装置は、被検者の顎を載せる顎台が設けられており、この顎台に対して測定部が左右、上下、前後に移動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3676055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような眼科装置にあっては、被検者が顔を顎台に載せた際、被検者の顔が顎台に正しく載っているかどうか、つまり被検者の額が額受けに対して正しい位置に置かれているかどうかを確認する手段がなかった。
【0007】
このため、例えば右眼を測定する場合、測定部を右側に移動させたとき、右眼がモニタ画面の中央部から大きく外れた位置に表示されたりし、再度、被検者の顔を顎台に載せ直してもらうことなる。このため、検査や測定の効率が低下してしまう問題があった。
【0008】
この発明の目的は、検査や測定の効率を向上させることのできる眼科装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、被検眼の検査または測定を行う検眼部を有する装置本体と、被検者の顎を載せる顎受け台と、この顎受け台に載せられた被検者の額を当てる額受部とを備え、前記装置本体は、この顎受け台および額受部てによって固定された被検者の顔に対して左右、上下、前後に移動可能な眼科装置において、
前記額受部の左右方向に対する中心位置を提示する提示手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、検査や測定の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る眼科装置の外観図を示した側面図である。
【図2】(A)は眼科装置の額受部を示した正面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は背面図であり、(D)は図(C)の斜視図である。
【図3】第2実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図4】第2実施例の他の例を示した説明図である。
【図5】第3実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図6】第3実施例の他の例を示した説明図である。
【図7】第4実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図8】第4実施例の他の例を示した説明図である。
【図9】第5実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図10】額に投影されたスポット光を示した説明図である。
【図11】額と額受部50の前面5Aとの間の隙間から散乱光が出射される状態を示した説明図である。
【図12】図11の散乱光の状態を背面から見た場合の説明図である。
【図13】第5実施例の他の例を示した説明図である。
【図14】図13の散乱光の状態を背面から見た場合の説明図である。
【図15】第6実施例を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明に係る眼科装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
[第1実施例]
図1において、1は眼科装置である。この眼科装置1は、基台Kの上に設けられたベース部2と、検眼ヘッド3と、顎受部(顎受け台)4とから概略構成されている。その顎受部4にはこれと一体に額受部50が設けられている。
【0014】
被検者は、顎受部4に顎を置き、額受部50に額を当てた状態で検査を受ける。
【0015】
検眼ヘッド3の内部には、破線で示すように検眼部6が設けられており、この検眼部6は公知の観察・撮影用の観察光学系や屈折力などを測定する測定光学系が設けられている。この検眼部6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能であり、眼底の検査なども行なえるようになっている。
【0016】
検眼ヘッド3は、検眼ヘッド3の頂部9に設けられたモニタ部10を操作することにより、被検眼に対して上下左右前後方向に駆動される。すなわち、検眼ヘッド3は顎受部4および額受部50により固定された被検者の顔に対して上下左右前後方向に移動可能となっている。
【0017】
モニタ部10には、測定や検査の際に被検者の前眼部が表示されるようになっている。
【0018】
基台Kの前面には、図2(A)〜(D)に示すように正面視が略Y字形を呈した支持部20が取り付けられており、この支持部20の上部には左右に分かれた枝部21,21が形成され、この枝部21,21間に横架された横架部22が形成されている。この横架部22の中央部に円筒部23が形成され、この円筒部23に顎受部4が設けられている。
【0019】
枝部21,21の先端部には、顎受部4を囲んだフレーム24が一体形成されている。
【0020】
フレーム24は、枝部21,21の先端部から上方に延びた支柱部24A,24Aと、この支柱部24A,24A間を連結した連結部24Bとを有している。この連結部24Bに額当て5が設けられており、この額当て5と連結部24Bとで額受部50が構成されている。
【0021】
額受部50の前面5Aと背面5B、すなわち額当て5の前面5Aと連結部24Bの後面(背面)5Bには、額受部50の左右方向に対する中心位置を提示するセンターマークであるセンターライン(提示手段)L1,L2が記されている。このセンターラインL1,L2は例えば印刷あるいはシールなどを貼って記したものである。
【0022】
額受部50の背面5BにセンターラインL2が記してあることにより、被検者が顎受部4に顎を載せて額受部50に額を当てた際、被検者の顔すなわち額が額受部50に正しく当てられているかどうかをそのセンターラインL2と被検者の顔をみることにより確認することができ、正しく載っていなければ直ちに載せ直すことができる。このため測定の効率を向上させることができる。
【0023】
また、被検者も額受部50の前面5Aに記されているセンターラインL1が額(顔)の中心位置にくるように、顎受部4に顎を載せて額を額受部50に当てることができるので、顔を間違った位置や方向に向けて顎受部4に載せてしまうことを防止することができ、このため測定の効率を向上させることができる。
【0024】
この第1実施例では、額受部50の前面5Aと背面5BにセンターラインL1,L2を記しているがどちらか一方であってもよい。また、必ずしもラインであるある必要はなく三角や四角や丸などのセンターマークやその他のセンターマークであってもよい。
[第2実施例]
図3は第2実施例の提示手段2Lを示したものであり、この提示手段2Lは上下方向に延びた2つのセンターラインを形成するライン部2L1,2L2を有し、ライン部2L1,2L2の上部が連結部2Rで連結されている。ライン部2L1,2L2は所定の厚さを有し、立体的になっている。この提示手段2Lは例えば樹脂でクリップ状に形成したもので、ライン部2L1,2L2によって額受部50を挟み込んで額受部50に取り付けられている。
【0025】
額受部50の前面5Aには上下方向に延びた溝5mが形成され、この溝5mにライン部2L1が入っており、ライン部2L1の表面2L1aが額受部50の前面5Aから少し突出しており、被検者の額を額受部50の前面5Aに当てたとき、ライン部2L1に額が当たってそのライン部2L1の位置が分かり、被検者が自ら額の中心位置とライン部2L1とが一致するように顔を顎受部4に載せられるようになっている。
【0026】
また、ライン部2L2は額受部50の背面5Bから所定の厚さだけ突出しているので、検者はライン部2L2の位置を検眼ヘッド3の側方からも確認することができる。
【0027】
この第2実施例では、2つのライン部2L1,2L2を設けているがどちらか一方のライン部であってもよい。
[他の例]
図4は第2実施例の他の例を示したものであり、ライン部2L2の上部にさらに上方に延びたライン部2L3を設けたものであり、額受部50の中心位置がどこから見ても分かるようにしたものである。
[第3実施例]
図5は第3実施例の提示手段3Lを示したものである。この提示手段3Lは、透明な樹脂の導光部材3DとLEDなどの光源30とを備えている。
【0028】
導光部材3Dは、センターラインを形成するライン部3D1,3D2と、ライン部3D1,3D2を連結した連結部3Rと、連結部3Rに形成された導光部3D3とを有している。
【0029】
額受部50の上部には穴5Hが形成され、この穴5Hの底部には光源30が配置され、穴5Hの上部には導光部3D3が挿入されている。
【0030】
光源30から発光された光は導光部3D3から入射して導光部材3Dのライン部3D1,3D2の表面で乱反射し、ライン部3D1,3D2や連結部3Rの表面が発光した状態となる。このライン部3D1,3D2と連結部3Rの発光により、額受部50の中心位置を検者および被検者が認識することができる。
【0031】
この第3実施例では、2つのライン部3D1,3D2を設けているがどちらか一方のライン部であってもよい。また、連結部3Rを発光させなくてもよい。
[他の例]
図6は、第3実施例の他の例を示したものであり、ライン部3D2の上部に上方に延びたライン部3D4を設け、このライン部3D4の表面で乱反射させて発光状態にさせるようにしたものである。
[第4実施例]
図7は、第4実施例の提示手段4Lを示したものである。この提示手段4Lは、導光部材3Dと、光源30と、スイッチS1とを備えている。スイッチS1は額受部50に設けられるとともにスイッチS1の接触子Saを額受部50の前面5Aから前方へ突出させたものである。
【0032】
スイッチS1の接触子Saが被検者の額に当たって押されると光源30を消灯させるようにしたものである。この消灯により、光源30の光が測定の邪魔にならないようにしたものである。
【0033】
第4実施例では、スイッチS1を額受部50に設けているが、顎受部4に設け、顎受部4に顎が載せられたら消灯するようにしてもよい。
【0034】
第4実施例では、被検者の額が額受部50近傍に近づいたら、光源30を消灯させるが、逆に点灯させるようにしてもよい。この場合、点灯してから一定時間経過したら、額が正しい位置に額受部50に当てられたと判断して消灯させる。
[他の例]
図8は、第4実施例の他の例を示したもので、導光部材3Dにライン部3D4を設けたものであり、検者が額受部50の中心位置がより一層分かるようにしたものである。
[第5実施例]
図9は、第5実施例の提示手段である投影光学系40を示したものである。この投影光学系40は、センターマークを被検者の額に投影するものであり、額受部50の中心(左右方向に対する中心位置)に設けた穴60に設けられている。
【0035】
投影光学系40は、発光ダイオードなどの光源41と、この光源41から発光された光を平行光束にするコリメートレンズ42などから構成されている。
【0036】
光源41から発光されて光束は、コリメートレンズ42によって平行光束なって、図10に示すように被検者の額Ehにセンターマークである円形のスポット光Hとなって投影される。
【0037】
検者は、被検者の額Ehが額当て5に当てられる前に、被検者の額Ehに投影されたスポット光Hを見ることにより、その額Ehの中心位置が額受部50の中心位置にくるように被検者の顔が顎受部4に載ったか否かを判断することができる。正しく載っていなければ直ちに載せ直すことができる。このため測定の効率を向上させることができる。
【0038】
被検者は、穴60を額受部50のセンターマークとして中心を判断することができるので、速やかに正しい位置へ顎受部4に顎を載せるとともに額Ehを額当て5に当てることができる。
【0039】
この第5実施例では、円形のスポット光Hを被検者の額Ehに投影するが、必ずしも、円形である必要はなく、例えば星の形状やその他の別の形状であってもよい。
【0040】
また、被検者の額Ehが額当て5に当てられると、図11に示すように、額Ehが額受部50に設けた穴60を塞いでしまうことがないので、額Ehと額受部50の前面5Aとの間の隙間から額Ehで反射した反射光が散乱光F1となって図11および図12に示すように上方や斜め上方へ散乱していく。この散乱光F1の出射位置Fpが額受部50の中心位置を示すことになるので、被検者の額Ehが額当て5に当てられた後も、額Ehの中心位置が額受部50の中心位置となるように被検者の顔が顎受部4に載ったか否かを判断することができ、正しく載っていなければ直ちに載せ直すことができることになる。
【0041】
この第5実施例も、第4実施例や第4実施例の他の例と同様にスイッチS1を額受部50や顎受部4に設け、スイッチS1の接触子Saが被検者の額に当たって押されたときや顎が載せられたときに光源41を消灯あるいは点灯させるようにしてもよい。
[他の例]
図13は第5実施例の他の例を示したものであり、この他の例は、額受部50に穴61から上方に延びるとともに穴60に連通した穴61を形成し、この穴61から光源41の光の一部が散乱光F2として常に漏れるようにしたものである。
【0042】
この他の例によれば、穴60が額Ehによって塞がれても、図14に示すように、穴61から散乱光F2が出射されるので、額Ehの中心位置が額受部50の中心位置となるように被検者の顔が顎受部4に載ったか否かを確実に判断することができる。
[第6実施例]
図15は第6実施例を示したものであり、この第6実施例では、額受部50の上部の左側(図15において)の角部に切欠51を設け、この切欠51に孔52を設け、この孔52に投影光学系40を設けたものである。
【0043】
この第6実施例は、スポット光で前方を照明する他に切欠51により斜め上方も照明するようにしたものである。この斜め上方への照明はレンズ42の外周近傍を通る光やレンズ42の周辺から漏れる光によって行われる。
【0044】
この第6実施例によれば、第5実施例と同様な効果を得ることができる。
【0045】
この第6実施例も、第4実施例や第4実施例の他の例と同様にスイッチS1を額受部50や顎受部4に設け、スイッチS1の接触子Saが被検者の額に当たって押されたときや顎が載せられたときに光源41を消灯あるいは点灯させるようにしてもよい。
【0046】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0047】
3 検眼ヘッド(装置本体)
4 顎受部(顎受け台)
5 額当て
6 検眼部
40 投影光学系(提示手段)
50 額受部
L1 センターライン(センターマーク:提示手段)
L2 センターライン(センターマーク:提示手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検者の顎を受ける顎受け台と被検者の額を受ける額受けとを備えた眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動的にアライメントを行い、この後に被検眼の眼屈折力を測定する眼科装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる眼科装置は、眼屈折力を測定する測定光学系と、被検眼に対する測定光学系のアライメントを検出するアライメント検出手段などとを測定部に設けている。
【0004】
また、この眼科装置は、被検者の顎を載せる顎台が設けられており、この顎台に対して測定部が左右、上下、前後に移動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3676055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような眼科装置にあっては、被検者が顔を顎台に載せた際、被検者の顔が顎台に正しく載っているかどうか、つまり被検者の額が額受けに対して正しい位置に置かれているかどうかを確認する手段がなかった。
【0007】
このため、例えば右眼を測定する場合、測定部を右側に移動させたとき、右眼がモニタ画面の中央部から大きく外れた位置に表示されたりし、再度、被検者の顔を顎台に載せ直してもらうことなる。このため、検査や測定の効率が低下してしまう問題があった。
【0008】
この発明の目的は、検査や測定の効率を向上させることのできる眼科装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、被検眼の検査または測定を行う検眼部を有する装置本体と、被検者の顎を載せる顎受け台と、この顎受け台に載せられた被検者の額を当てる額受部とを備え、前記装置本体は、この顎受け台および額受部てによって固定された被検者の顔に対して左右、上下、前後に移動可能な眼科装置において、
前記額受部の左右方向に対する中心位置を提示する提示手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、検査や測定の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係る眼科装置の外観図を示した側面図である。
【図2】(A)は眼科装置の額受部を示した正面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は背面図であり、(D)は図(C)の斜視図である。
【図3】第2実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図4】第2実施例の他の例を示した説明図である。
【図5】第3実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図6】第3実施例の他の例を示した説明図である。
【図7】第4実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図8】第4実施例の他の例を示した説明図である。
【図9】第5実施例の額受部の構成を示した断面図である。
【図10】額に投影されたスポット光を示した説明図である。
【図11】額と額受部50の前面5Aとの間の隙間から散乱光が出射される状態を示した説明図である。
【図12】図11の散乱光の状態を背面から見た場合の説明図である。
【図13】第5実施例の他の例を示した説明図である。
【図14】図13の散乱光の状態を背面から見た場合の説明図である。
【図15】第6実施例を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明に係る眼科装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
[第1実施例]
図1において、1は眼科装置である。この眼科装置1は、基台Kの上に設けられたベース部2と、検眼ヘッド3と、顎受部(顎受け台)4とから概略構成されている。その顎受部4にはこれと一体に額受部50が設けられている。
【0014】
被検者は、顎受部4に顎を置き、額受部50に額を当てた状態で検査を受ける。
【0015】
検眼ヘッド3の内部には、破線で示すように検眼部6が設けられており、この検眼部6は公知の観察・撮影用の観察光学系や屈折力などを測定する測定光学系が設けられている。この検眼部6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能であり、眼底の検査なども行なえるようになっている。
【0016】
検眼ヘッド3は、検眼ヘッド3の頂部9に設けられたモニタ部10を操作することにより、被検眼に対して上下左右前後方向に駆動される。すなわち、検眼ヘッド3は顎受部4および額受部50により固定された被検者の顔に対して上下左右前後方向に移動可能となっている。
【0017】
モニタ部10には、測定や検査の際に被検者の前眼部が表示されるようになっている。
【0018】
基台Kの前面には、図2(A)〜(D)に示すように正面視が略Y字形を呈した支持部20が取り付けられており、この支持部20の上部には左右に分かれた枝部21,21が形成され、この枝部21,21間に横架された横架部22が形成されている。この横架部22の中央部に円筒部23が形成され、この円筒部23に顎受部4が設けられている。
【0019】
枝部21,21の先端部には、顎受部4を囲んだフレーム24が一体形成されている。
【0020】
フレーム24は、枝部21,21の先端部から上方に延びた支柱部24A,24Aと、この支柱部24A,24A間を連結した連結部24Bとを有している。この連結部24Bに額当て5が設けられており、この額当て5と連結部24Bとで額受部50が構成されている。
【0021】
額受部50の前面5Aと背面5B、すなわち額当て5の前面5Aと連結部24Bの後面(背面)5Bには、額受部50の左右方向に対する中心位置を提示するセンターマークであるセンターライン(提示手段)L1,L2が記されている。このセンターラインL1,L2は例えば印刷あるいはシールなどを貼って記したものである。
【0022】
額受部50の背面5BにセンターラインL2が記してあることにより、被検者が顎受部4に顎を載せて額受部50に額を当てた際、被検者の顔すなわち額が額受部50に正しく当てられているかどうかをそのセンターラインL2と被検者の顔をみることにより確認することができ、正しく載っていなければ直ちに載せ直すことができる。このため測定の効率を向上させることができる。
【0023】
また、被検者も額受部50の前面5Aに記されているセンターラインL1が額(顔)の中心位置にくるように、顎受部4に顎を載せて額を額受部50に当てることができるので、顔を間違った位置や方向に向けて顎受部4に載せてしまうことを防止することができ、このため測定の効率を向上させることができる。
【0024】
この第1実施例では、額受部50の前面5Aと背面5BにセンターラインL1,L2を記しているがどちらか一方であってもよい。また、必ずしもラインであるある必要はなく三角や四角や丸などのセンターマークやその他のセンターマークであってもよい。
[第2実施例]
図3は第2実施例の提示手段2Lを示したものであり、この提示手段2Lは上下方向に延びた2つのセンターラインを形成するライン部2L1,2L2を有し、ライン部2L1,2L2の上部が連結部2Rで連結されている。ライン部2L1,2L2は所定の厚さを有し、立体的になっている。この提示手段2Lは例えば樹脂でクリップ状に形成したもので、ライン部2L1,2L2によって額受部50を挟み込んで額受部50に取り付けられている。
【0025】
額受部50の前面5Aには上下方向に延びた溝5mが形成され、この溝5mにライン部2L1が入っており、ライン部2L1の表面2L1aが額受部50の前面5Aから少し突出しており、被検者の額を額受部50の前面5Aに当てたとき、ライン部2L1に額が当たってそのライン部2L1の位置が分かり、被検者が自ら額の中心位置とライン部2L1とが一致するように顔を顎受部4に載せられるようになっている。
【0026】
また、ライン部2L2は額受部50の背面5Bから所定の厚さだけ突出しているので、検者はライン部2L2の位置を検眼ヘッド3の側方からも確認することができる。
【0027】
この第2実施例では、2つのライン部2L1,2L2を設けているがどちらか一方のライン部であってもよい。
[他の例]
図4は第2実施例の他の例を示したものであり、ライン部2L2の上部にさらに上方に延びたライン部2L3を設けたものであり、額受部50の中心位置がどこから見ても分かるようにしたものである。
[第3実施例]
図5は第3実施例の提示手段3Lを示したものである。この提示手段3Lは、透明な樹脂の導光部材3DとLEDなどの光源30とを備えている。
【0028】
導光部材3Dは、センターラインを形成するライン部3D1,3D2と、ライン部3D1,3D2を連結した連結部3Rと、連結部3Rに形成された導光部3D3とを有している。
【0029】
額受部50の上部には穴5Hが形成され、この穴5Hの底部には光源30が配置され、穴5Hの上部には導光部3D3が挿入されている。
【0030】
光源30から発光された光は導光部3D3から入射して導光部材3Dのライン部3D1,3D2の表面で乱反射し、ライン部3D1,3D2や連結部3Rの表面が発光した状態となる。このライン部3D1,3D2と連結部3Rの発光により、額受部50の中心位置を検者および被検者が認識することができる。
【0031】
この第3実施例では、2つのライン部3D1,3D2を設けているがどちらか一方のライン部であってもよい。また、連結部3Rを発光させなくてもよい。
[他の例]
図6は、第3実施例の他の例を示したものであり、ライン部3D2の上部に上方に延びたライン部3D4を設け、このライン部3D4の表面で乱反射させて発光状態にさせるようにしたものである。
[第4実施例]
図7は、第4実施例の提示手段4Lを示したものである。この提示手段4Lは、導光部材3Dと、光源30と、スイッチS1とを備えている。スイッチS1は額受部50に設けられるとともにスイッチS1の接触子Saを額受部50の前面5Aから前方へ突出させたものである。
【0032】
スイッチS1の接触子Saが被検者の額に当たって押されると光源30を消灯させるようにしたものである。この消灯により、光源30の光が測定の邪魔にならないようにしたものである。
【0033】
第4実施例では、スイッチS1を額受部50に設けているが、顎受部4に設け、顎受部4に顎が載せられたら消灯するようにしてもよい。
【0034】
第4実施例では、被検者の額が額受部50近傍に近づいたら、光源30を消灯させるが、逆に点灯させるようにしてもよい。この場合、点灯してから一定時間経過したら、額が正しい位置に額受部50に当てられたと判断して消灯させる。
[他の例]
図8は、第4実施例の他の例を示したもので、導光部材3Dにライン部3D4を設けたものであり、検者が額受部50の中心位置がより一層分かるようにしたものである。
[第5実施例]
図9は、第5実施例の提示手段である投影光学系40を示したものである。この投影光学系40は、センターマークを被検者の額に投影するものであり、額受部50の中心(左右方向に対する中心位置)に設けた穴60に設けられている。
【0035】
投影光学系40は、発光ダイオードなどの光源41と、この光源41から発光された光を平行光束にするコリメートレンズ42などから構成されている。
【0036】
光源41から発光されて光束は、コリメートレンズ42によって平行光束なって、図10に示すように被検者の額Ehにセンターマークである円形のスポット光Hとなって投影される。
【0037】
検者は、被検者の額Ehが額当て5に当てられる前に、被検者の額Ehに投影されたスポット光Hを見ることにより、その額Ehの中心位置が額受部50の中心位置にくるように被検者の顔が顎受部4に載ったか否かを判断することができる。正しく載っていなければ直ちに載せ直すことができる。このため測定の効率を向上させることができる。
【0038】
被検者は、穴60を額受部50のセンターマークとして中心を判断することができるので、速やかに正しい位置へ顎受部4に顎を載せるとともに額Ehを額当て5に当てることができる。
【0039】
この第5実施例では、円形のスポット光Hを被検者の額Ehに投影するが、必ずしも、円形である必要はなく、例えば星の形状やその他の別の形状であってもよい。
【0040】
また、被検者の額Ehが額当て5に当てられると、図11に示すように、額Ehが額受部50に設けた穴60を塞いでしまうことがないので、額Ehと額受部50の前面5Aとの間の隙間から額Ehで反射した反射光が散乱光F1となって図11および図12に示すように上方や斜め上方へ散乱していく。この散乱光F1の出射位置Fpが額受部50の中心位置を示すことになるので、被検者の額Ehが額当て5に当てられた後も、額Ehの中心位置が額受部50の中心位置となるように被検者の顔が顎受部4に載ったか否かを判断することができ、正しく載っていなければ直ちに載せ直すことができることになる。
【0041】
この第5実施例も、第4実施例や第4実施例の他の例と同様にスイッチS1を額受部50や顎受部4に設け、スイッチS1の接触子Saが被検者の額に当たって押されたときや顎が載せられたときに光源41を消灯あるいは点灯させるようにしてもよい。
[他の例]
図13は第5実施例の他の例を示したものであり、この他の例は、額受部50に穴61から上方に延びるとともに穴60に連通した穴61を形成し、この穴61から光源41の光の一部が散乱光F2として常に漏れるようにしたものである。
【0042】
この他の例によれば、穴60が額Ehによって塞がれても、図14に示すように、穴61から散乱光F2が出射されるので、額Ehの中心位置が額受部50の中心位置となるように被検者の顔が顎受部4に載ったか否かを確実に判断することができる。
[第6実施例]
図15は第6実施例を示したものであり、この第6実施例では、額受部50の上部の左側(図15において)の角部に切欠51を設け、この切欠51に孔52を設け、この孔52に投影光学系40を設けたものである。
【0043】
この第6実施例は、スポット光で前方を照明する他に切欠51により斜め上方も照明するようにしたものである。この斜め上方への照明はレンズ42の外周近傍を通る光やレンズ42の周辺から漏れる光によって行われる。
【0044】
この第6実施例によれば、第5実施例と同様な効果を得ることができる。
【0045】
この第6実施例も、第4実施例や第4実施例の他の例と同様にスイッチS1を額受部50や顎受部4に設け、スイッチS1の接触子Saが被検者の額に当たって押されたときや顎が載せられたときに光源41を消灯あるいは点灯させるようにしてもよい。
【0046】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0047】
3 検眼ヘッド(装置本体)
4 顎受部(顎受け台)
5 額当て
6 検眼部
40 投影光学系(提示手段)
50 額受部
L1 センターライン(センターマーク:提示手段)
L2 センターライン(センターマーク:提示手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の検査または測定を行う検眼部を有する装置本体と、被検者の顎を載せる顎受け台と、この顎受け台に載せられた被検者の額を当てる額受部とを備え、前記装置本体は、この顎受け台および額受部てによって固定された被検者の顔に対して左右、上下、前後に移動可能な眼科装置において、
前記額受部の左右方向に対する中心位置を提示する提示手段を設けたことを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記提示手段は、額受部の背面または前面に記されたセンターマークであることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記センターマークに厚みがあることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記センターマークが発光することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、前記センターマークの発光が停止されることを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、前記センターマークが発光することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記提示手段は、前記額受部の左右間の中心位置を示すセンターマークを被検者の額に投影する投影光学系であることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記投影光学系は、前記額受部に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記投影光学系の光源は、前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、消灯することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の眼科装置。
【請求項10】
前記投影光学系の光源は、前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、点灯することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の眼科装置。
【請求項11】
被検者が前記額受部に額を当てているとき、前記投影光学系の光が少なくとも上方へ光りが漏れることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1つに記載の眼科装置。
【請求項1】
被検眼の検査または測定を行う検眼部を有する装置本体と、被検者の顎を載せる顎受け台と、この顎受け台に載せられた被検者の額を当てる額受部とを備え、前記装置本体は、この顎受け台および額受部てによって固定された被検者の顔に対して左右、上下、前後に移動可能な眼科装置において、
前記額受部の左右方向に対する中心位置を提示する提示手段を設けたことを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記提示手段は、額受部の背面または前面に記されたセンターマークであることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記センターマークに厚みがあることを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記センターマークが発光することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、前記センターマークの発光が停止されることを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、前記センターマークが発光することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記提示手段は、前記額受部の左右間の中心位置を示すセンターマークを被検者の額に投影する投影光学系であることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記投影光学系は、前記額受部に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記投影光学系の光源は、前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、消灯することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の眼科装置。
【請求項10】
前記投影光学系の光源は、前記顎受けに被検者の顎が載せられたとき、または被検者の額が前記額受部に近づいたとき、点灯することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の眼科装置。
【請求項11】
被検者が前記額受部に額を当てているとき、前記投影光学系の光が少なくとも上方へ光りが漏れることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1つに記載の眼科装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−152282(P2012−152282A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12061(P2011−12061)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
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