説明

眼科装置

【課題】右眼と左眼との両被検眼のうちのいずれを先に実行したか否かを認識させることを可能とした眼圧計を提供する。
【解決手段】本発明の眼圧計1は、右眼の眼圧の測定と左眼の眼圧の測定とを行うことが可能である。この眼圧計1は、右眼の測定が先に行われたのか左眼の測定が先に行われたのかを判断して判断情報を出力する判断部7a、眼圧の測定値を認識可能に表示する表示部10a、判断情報が入力されて判断部の判断結果によって両被検眼のうちの左眼の測定が先に行われたのか右眼の測定が先に行われたか否かを測定順序として示すマークArrを表示部10aに表示させる制御部7bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置としての眼圧計の改良に関し、更に詳しくは、患者の左眼の眼圧測定と右眼の眼圧測定とのいずれを先に行ったかを確認できる眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検眼の角膜に気流を吹き付けて被検眼の眼圧を測定する眼圧計が知られている。この種の眼圧計では、右眼と左眼との両眼の測定を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、両眼の眼圧測定においては、右眼と左眼との被検眼の測定を続けて行った場合には先に眼圧測定を行った方の眼圧の測定値が大きいという研究報告がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
更に、複数の測定結果の出力を診断し易いように表示するようにした眼科装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−246740号公報
【特許文献2】特開平6−7296号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Effect of Measurement Order Between Right and Left Eyes on Intraocular Pressure Measurement Melike Pekmezci, MD;Sidney T.Chang, MD+Bradley S.Wilson, MA; Mae O.Gordon, PhD;Anajali M.Bhorade, MD, MSCI Arch Opthalmol. 2011;129(3):276-281
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、両眼の眼圧測定において、測定値が両被検眼のうちのいずれの被検眼の測定を先に行ったかという被検眼の測定順序に依存するという傾向があるとすると、得られた眼圧の測定値の信憑性が懸念される。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑み、右眼と左眼との両被検眼のうちの先に測定を実行した被検眼の第1回目の眼圧の測定値が高く出る傾向にあるのではないかという点に注目して、右眼と左眼との両被検眼のうちのいずれを先に実行したか否かを認識させることを可能とした眼圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る眼圧計は、右眼の眼圧の測定と左眼の眼圧の測定とを行うことが可能な眼圧計であり、右眼の測定が先に行われたのか左眼の測定が先に行われたのかを判断して判断情報を出力する判断部と、眼圧の測定値を認識可能に表示する表示部と、判断情報が入力されて判断部の判断結果によって両被検眼のうちの左眼の測定が先に行われたのか右眼の測定が先に行われたか否かを測定順序として示すマークを表示部に表示させる制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、右眼と左眼との両被検眼のうちの先に測定を実行した被検眼の第1回目の眼圧の測定値が高く出る傾向にあるのではないかという点に注目して、右眼と左眼との両被検眼のうちのいずれを先に実行したか否かを検者に認識させることを可能にしたので、得られた眼圧の測定値の信頼性の向上に通じ、眼科診断の支援に通じる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明に係る眼圧計の外観構成を示す側面図である。
【図2】図2は図1に示すモニタ部の表示画面の概要図である。
【図3】図3は本発明に係る眼圧計の光学系を示す平面図である。
【図4】図4は図3に示す光学系の側面図である。
【図5】図5はプリンタ紙に印字された眼圧の測定値の一例を示す説明図である。
【図6】図6は図2に示すモニタ部の表示画面に表示された測定順序を示すマークの他の例を示す図である。
【図7】図7は図5に示すプリンタ紙への測定順序の表示の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
(眼圧計の構成)
図1は本発明に係る眼圧計の一例を示す側面図である。この図1において、符号1は眼科装置としての眼圧計を示す。この眼圧計1は、ベース部2、測定ヘッド3、顎受け部4、額当て5を有する。測定ヘッド3の内部には、後述する構成を有する光学系6が設けられている。ベース部2には、測定ヘッド3を駆動する公知の駆動機構・駆動回路8が設けられている。
【0013】
測定ヘッド3は、モニタ部10を有する。測定ヘッド3はそのモニタ部10を操作することにより上下左右前後方向に駆動される。このモニタ部10は、図2に示すように、測定値を認識可能に表示する表示部としての表示画面10aを有する。
【0014】
その表示画面10aは、ここでは、タッチパネル式の構成とされている。その表示画面10aには、オートマニュアル切り替えボタン表示領域10b、左眼測定開始ボタン表示領域10c、右眼測定開始ボタン表示領域10d、測定回数指示領域10eが設けられている。
【0015】
そのオートマニュアル切り替えボタン10b、左眼測定開始ボタン表示領域10c、右眼測定開始ボタン表示領域10d、測定回数指示領域10eの操作による出力信号は、画像処理回路としての機能も有する演算制御回路7に入力される。
【0016】
左眼測定開始ボタン表示領域10c、右眼測定開始ボタン表示領域10dは右眼から測定を先に行うのか又は左眼から先に測定を行うのかを選択する選択スイッチとしての機能を有する。その選択スイッチの操作情報は後述する判断部に入力される。
【0017】
光学系6は、図3に示すように、被検眼Eの前眼部を観察する前眼部観察光学系10’と、図4に示すように、XY方向のアライメント検出と角膜変形検出を行う指標光を被検眼Eの角膜Cにその正面から投影するXYアライメント指標投影光学系20と、被検眼Eに固視標を提示する固視標投影光学系30とを備える。
【0018】
この光学系6は、更に、図4に示す角膜Cに対する測定ヘッド3のXY方向の位置を検出するXYアライメント検出光学系40、角膜Cの変形量を検出する角膜変形検出光学系50、図3に示す角膜Cに斜め方向から指標光を投影するZアライメント指標投影光学系60、この指標光による角膜Cからの反射光を検出して測定ヘッド3の角膜Cに対するZ方向の位置を検出するZアライメント検出光学系70を備えている。
【0019】
前眼部観察光学系10’は、図3に示すように、前眼部を照明する前眼部照明光源11、気流吹き付けノズル12、前眼部窓ガラス13、チャンバー14A(図4参照)、チャンバー窓ガラス14、ハーフミラー15、対物レンズ16、ハーフミラー17、18及びCCDカメラ19を備える。
【0020】
前眼部照明光源11による照明光束は被検眼Eにより反射され、前眼部窓ガラス13、チャンバー窓ガラス14、ハーフミラー15を通過して対物レンズ16により集束され、ハーフミラー17、18を経由してCCDカメラ19に導かれ、このCCDカメラ19に前眼部像として結像される。
【0021】
XYアライメント指標投影光学系20は、図4に示すように、赤外光を出射するXYアライメント光源21、集光レンズ22、開口絞り23、ピンホール板24、ダイクロイックミラー25、投影レンズ26を有する。
【0022】
その赤外光は、集光レンズ22により集束され、開口絞り23を通過した後、ピンホール板24に導かれる。このピンホール板24に導かれた赤外光は、ダイクロイックミラー25により反射され、投影レンズ26を通過して平行光束とされる。
【0023】
この赤外光は、ハーフミラー15により反射され、チャンバー窓ガラス14、気流吹き付けノズル12の内部を通過して被検眼Eの角膜Cに導かれる。その角膜Cに導かれた赤外光は、この角膜Cの表面で反射される。
【0024】
この角膜Cからの反射光は、前眼部窓ガラス13、気流吹き付けノズル12の内部を通じて、チャンバー窓ガラス14A、ハーフミラー15、対物レンズ16、ハーフミラー17を経てハーフミラー18に導かれ、このハーフミラー18により分割されて、CCDカメラ19とセンサ41とに導かれる。
【0025】
モニタ部10の表示画面10aには、前眼部照明光源11による照明光束の被検眼Eにおける反射により前眼部像Efが表示されると共に、XYアライメント指標投影光学系20による赤外光の角膜Cにおける反射により輝点像PrがアライメントマークALと共に表示される。
【0026】
固視標光学系30は、図4に示すように可視光を発する固視標光源31、ピンホール板32を備えている。その固視標光源31からの可視光は、ピンホール板32を通過後、ダイクロイックミラー25を透過して投影レンズ26に導かれる。
【0027】
その可視光は、この投影レンズ26により平行光束とされて、ハーフミラー15により反射され、チャンバー窓ガラス14、気流吹き付けノズル12の内部を通して、被検眼Eの眼底に導かれる。被検者はこの固視標光源31を固視標として注視する。これにより、被検眼Eの視線が固定される。
【0028】
センサ41は、XYアライメント検出光学系40の一部を構成する。そのセンサ41には輝点像Prに対応する輝点像Pr’が結像される。そのセンサ41はPSD等から構成され、そのセンサ41の出力はXYアライメント検出回路42に入力される。このXYアライメント検出回路42の出力は演算制御回路7に入力される。
【0029】
角膜変形検出光学系50は、図4に示すように、ピンホール板51、センサ52を有する。センサ52はフォトダイオード等の光量検出が可能な受光センサにより構成される。
ハーフミラー17により反射された赤外光は、ピンホール板51を通過した後、センサ52に導かれる。このセンサ52の光量検出信号は図3に示す演算制御回路7に入力される。これにより、角膜Cの圧平が検出される。
【0030】
Zアライメント指標投影光学系60は、図3に示すように、赤外光を出射するZアライメント光源61、集光レンズ62、開口絞り63、ピンホール板64、投影レンズ65を備える。
【0031】
Zアライメント光源61から発せられた赤外光は、集光レンズ62による集光後、開口絞り63を通過してピンホール板64に導かれ、投影レンズ65により平行光束として角膜Cに導かれる。この平行光束は、角膜Cの表面で反射される。
【0032】
Zアライメント検出光学系70は、図3に示すように、結像レンズ71、センサ73を備えている。Zアライメント光源61からの赤外光は角膜Cの表面で反射されて、結像レンズ71により集束されてセンサ73に輝点像Q’を形成する。そのセンサ73は輝点像Q’の位置を検出可能な位置センサである。このセンサ73の出力はZアライメント検出回路74に入力される。このZアライメント検出回路74の出力は、演算制御回路7に入力される。
【0033】
チャンバー14A内には、図4に示すように、圧力センサ14Bが設けられている。圧力センサ14Bの出力も演算制御回路7に入力される。これらの光学系6の構成、角膜圧平検出による眼圧の測定値の演算による求め方は公知である。
【0034】
この非接触式の眼圧計では、演算制御回路7は、表示画面10a上のオートマニュアル切り替えボタン表示領域10bを操作すると、オート測定とマニュアル測定との切り換えを実行する。
【0035】
図2には、オート「AUTO」が選択されている状態が示されている。この実施例では、演算制御回路7は、左眼測定開始ボタン表示領域10cが操作されると左眼の眼圧測定を先に実行した後、右眼の眼圧測定を実行し、右眼測定開始ボタン表示領域10dが操作されると、右眼の眼圧測定を実行した後、左眼の眼圧測定を実行するようにプログラムされている。
【0036】
また、その演算制御回路7は、測定回数指示領域10eの操作により測定回数が指示されると、その指示された測定回数の測定を実行するようにプログラムされている。ここでは、その演算制御回路7は、測定回数指示領域10eの操作が為されない場合には、予め定められた所定回数の測定が実行されるように設定されている。ここでは、所定回数は3回である。
【0037】
その演算制御回路7は、図3、図4に示すように、左眼測定開始ボタン表示領域10cが操作されたか右眼測定開始ボタン表示領域10dが操作されたかを判断する判断部7aと制御部7bとを有する。この判断部7aは、右眼の測定が先に行われたのか左眼の測定が先に行われたのかを判断して判断情報を制御部7bに出力する。
【0038】
制御部7bはその判断情報が入力されて判断部10aの判断結果によって両被検眼のうちの左眼の測定が先に行われたのか右眼の測定が先に行われたか否かを測定順序として示すマークを表示部10aに表示させる機能を有する。
【0039】
(眼圧計の作用)
検者はモニタ部10の表示画面10aを見ながらアライメントマークAL内に輝点像Prが入るようにタッチパネル式の表示画面10aをタッチして測定ヘッド3をXYZ方向に移動させる。
被検眼Eの角膜Cに対するXYZ方向のアライメントが完了すると、すなわち、Zアライメント検出回路74からの出力信号とXYアライメント検出回路42からの出力信号が入力されると、演算制御回路7は自動的に図示を略すピストンを駆動し、気流吹き付けノズル12からエアーを角膜Cに向けて噴射させる。
【0040】
これにより、角膜Cが変形され、この角膜Cの変形が角膜変形検出光学系50により検出される。演算制御回路7は公知の演算を行い、これにより、眼圧測定値が得られる。その眼圧の測定値は、モニタ部10の表示画面10aに表示されると共に、必要に応じて、表示部としてのプリンター(図示を略す)によりプリンター紙Pr(図5参照)に印字される。
【0041】
判断部7aは、右眼の測定が先に行われたのか左眼の測定が先に行われたのかを判断して判断情報を制御部7bに出力する。ここでは、右眼測定開始ボタン表示領域10dが操作され、測定回数指示領域10eにより測定回数が左右眼共に4回と指定されているものとする。
【0042】
制御部7bは判断部7aの判断情報により図5に示すプリント紙Prに両被検眼のうちの左眼の測定が先に行われたのか右眼の測定が先に行われたか否かを測定順序として示すマークを表示させる。
【0043】
図5はその表示部としてのプリンタ紙Prに眼圧の測定値を表示させた場合を示している。この図5においては、眼圧の測定が右眼<R>、左眼<L>共に、4回実行され、各被検眼共にエラーがあった場合が示されている。
【0044】
その図5において、「ERR」はエラーを示し、「41、41、41」は右眼<R>の眼圧の測定値を示し、「40、41、41」は左眼<L>の眼圧の測定値を示し、「AVG」は3回の測定値の平均値を示している。矢印Arrは、眼圧の測定順序を示すマークである。検者は、この矢印Arrの向きによって、右眼<R>の眼圧の測定が先に実行され、左眼<L>の眼圧の測定が後から行われたことを認識できる。
【0045】
図2は、表示部としての表示画面10aに眼圧の測定値を表示させた場合を示し、この図2においては、眼圧の測定が右眼<R>、左眼<L>共に、3回実行された場合が示されている。この図2においては、先に測定が行われた被検眼Rの眼圧の測定値が白黒により表示されし、後から測定が行われた被検眼Lの眼圧の測定値が色付きで表示されている。
【0046】
図6は表示部としての表示画面10aに、図5と同様に矢印Arrを用いて測定順序を示すことにしたものである。
検者に対する測定順序の認識のさせ方はこれに限られるものではなく、左眼Lと右眼Rとの間に「・」のマークを設けることにより、マーク「・」がない場合には、右眼Rから左眼Lへの測定順序であり、マーク「・」がある場合には、左眼Lから右眼Rへの測定順序であるとして検者に認識させるようにしても良い。
【0047】
更に、先に測定した被検眼としての右眼(RIGHT)の眼圧の測定値を左側に表示し、後から測定した被検眼としての左眼(LEFT)の眼圧の測定値を右側に表示する構成としても良い。
【0048】
右眼の眼圧の測定値と左眼の眼圧の測定値との表示画面10a上での表示位置を入れ替えることにし、先に眼圧を測定した被検眼の眼圧の測定値を必ず左側に配置する構成とすれば、横書きの文章を左から右側に読むという人間の癖に合致させることができる。また、先に測定した被検眼、例えば、右眼の眼圧の測定値を色づけして表示するようにしても良い。
【0049】
(判断部7a、制御部7bのその他の構成例)
判断部7aは、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、右眼の測定回数と左眼の測定回数とが同数でかつ各測定回数が共に1回か否かを判断し、制御部7bは、第1回目の眼圧の測定値の大きさが第2回目の眼圧の測定値よりも大きいときに、マークとしての矢印Arrを表示画面10a又はプリンタ紙Prに表示させる構成としても良い。
【0050】
例えば、図7(a)は右眼の測定と左眼の測定とがそれぞれ1回のみで、右眼Rの眼圧の測定を先に行ったときの測定値が表示されたプリンタ紙Prを示している。この図7(a)には、測定順序を示す矢印Arrと共に眼圧測定値「18」、「17」が表示されている。
【0051】
第1回目の測定値と第2回目の測定値とを比較したとき、第1回目の測定値が高く出る傾向にあると考えられ、実際に、第1回目の測定値(右眼Rの測定値)が第2回目の測定値(左眼Lの測定値)よりも高いと判断されたので、被検眼としての右眼Rを先に測定し、後から左眼Lを測定したことを示すマークとしての矢印Arrを測定値と共に表示することにより、検者に注意喚起を促すことにしたものであり、これにより、診断の幅を広げることができる。
【0052】
判断部7aが、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、右眼の測定回数と左眼の測定回数とが同数でかつ各測定回数が共に複数回であるか否かを判断し、制御部7aが、第1回目の眼圧の測定値の大きさに対して第2回目の眼圧の測定値が大きいときに、マークとしての矢印Arrを表示部10aに表示させずに平均値を表示させるように制御する構成としてもよい。
【0053】
図7(b)は、右眼の測定回数と左眼の測定回数とが共に同数かつ複数回の場合で、第1回目の眼圧の測定値(左眼L)よりも第2回目の眼圧の測定値(左眼L)が高いときの測定結果が表示されたプリンタ紙Prが示されている。このプリンタ紙Prには、測定順序を示す矢印Arrが表示されておらず、平均値AVGが表示されている。
【0054】
第1回目の測定値が高いというのは単なる傾向であり、それにも拘わらず、必ず、測定順序を表示することにするのは、かえって診断の妨げになると考えられるからである。
すなわち、第1回目の眼圧の測定値よりも第2回目の眼圧の測定値が高くなるのは、測定値のばらつきと考えられ、いずれの被検眼の眼圧測定を先に行ったかという余計な観念を診断の際に想起させる必要性が乏しい。そこで、測定順序は表示せず、平均値AVRを表示することにしたものである。
【0055】
判断部7aが、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、右眼の測定回数と左眼の測定回数とが同数でかつ各測定回数が共に複数回であるか否かを判断し、制御部7bが、第1回目の眼圧の測定値の大きさが第2回目の眼圧の測定値よりも大きいときに、先に測定された被検眼の眼圧の測定値のうちから第1回目の測定値を除いて求められた測定値の平均値AVGと後から測定された被検眼の眼圧の測定値の平均値AVGとをマークとしての矢印Arrと共にプリンタ紙Prに表示させるように制御する構成としてもよい。
【0056】
図7(c)は右眼の測定回数と左眼の測定回数とが共に同数かつ複数回の場合で、第1回目の測定値と第2回目の測定値との間に差があり、かつ、第1回目の測定値が第2回目の測定値よりも大きいときの測定値が表示されたプリンタ紙Prが示されている。
このプリンタ紙Prには、測定順序を示す矢印Arrと共に、先に測定された被検眼の眼圧の測定値のうちの第1回目の測定値を除いて求められた測定値の平均値AVGと後から測定された被検眼の眼圧の測定値の平均値AVGとが示されている。
【0057】
第1回目の眼圧の測定値が第2回目の眼圧の測定値よりも高いので、先に測定された被検眼の眼圧(右眼R)の測定値が高い傾向にあることが生じたとして、その高い傾向にある第1回目の測定値を除いて平均値を表示することにより、検者が意識的に除外しなくても、第1回目の眼圧値の測定結果が高く出るという傾向を考慮に入れて表示することにしたものである。
【0058】
判断部7aが、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、右眼の測定回数と左眼の測定回数とが同数でかつ各測定回数が共に複数回であるか否かを判断し、制御部7bが、第1回目の眼圧の測定値の大きさと第2回目の眼圧の測定値との大きさが同じ場合には、表示部にマークをを表示させない構成とすることもできる。
【0059】
図7(d)は右眼の測定回数と左眼の測定回数とが共に同数かつ複数回の場合で、第1回目の測定値と第2回目の測定値との間に差がないときの測定結果が表示されたプリンタ紙Prが示されている。
【0060】
このプリンタ紙Prには、測定順序を示す矢印Arrは表示されておらず、先の被検眼の測定値の平均値AVGと後の被検眼の測定値の平均値AVGとが示されている。
第1回目の測定と第2回目の測定との間に差がないので、第1回目の眼圧値の測定結果が高く出るという余計な観念を検者に想起させる必要性が乏しいからである。
【符号の説明】
【0061】
1…眼圧計
7a…判断部
7b…制御部
10a…表示画面(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼の眼圧の測定と左眼の眼圧の測定とを行うことが可能な眼圧計であって、右眼の測定が先に行われたのか左眼の測定が先に行われたのかを判断して判断情報を出力する判断部と、前記眼圧の測定値を認識可能に表示する表示部と、前記判断情報が入力されて該判断部の判断情報によって両被検眼のうちの左眼の測定が先に行われたのか右眼の測定が先に行われたか否かを測定順序として示すマークを前記表示部に表示させる制御部とを有することを特徴とする眼圧計。
【請求項2】
前記判断部は、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、前記右眼と前記左眼の各測定回数が1回か否かを判断し、前記制御部は、第1回目の眼圧の測定値の大きさが第2回目の眼圧の測定値よりも大きいときに、前記マークを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の眼圧計。
【請求項3】
前記判断部は、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、前記右眼と前記左眼の各測定回数が複数回であるか否かを判断し、前記制御部は、第1回目の眼圧の測定値の大きさに対して第2回目の眼圧の測定値が大きいときに、前記マークを前記表示部に表示させずに平均値を表示させることを特徴とする請求項1に記載の眼圧計。
【請求項4】
前記判断部は、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、前記右眼と前記左眼の各測定回数が複数回であるか否かを判断し、前記制御部は、第1回目の眼圧の測定値の大きさが第2回目の眼圧の測定値よりも大きいときに、先に測定された被検眼の眼圧の測定値のうちから第1回目の測定値を除いて求められた測定値の平均値と後から測定された被検眼の眼圧の測定値の平均値とを前記マークと共に前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の眼圧計。
【請求項5】
前記判断部は、第1回目の眼圧の測定値と第2回目の眼圧の測定値とのいずれが大きいか否かを判断すると共に、前記右眼と前記左眼の各測定回数が複数回であるか否かを判断し、前記制御部は、第1回目の眼圧の測定値の大きさと第2回目の眼圧の測定値との大きさが同じ場合には、前記制御部は前記表示部に前記マークをを表示させないことを特徴とする請求項1に記載の眼圧計。
【請求項6】
前記判断部は、右眼から測定を先に行うのか又は左眼から先に測定を行うのかを選択する選択スイッチの操作情報が入力されることにより、右眼の測定が先に行われたのか左眼の測定が先に行われたのかを判断することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の眼圧計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−78496(P2013−78496A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220589(P2011−220589)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)