説明

眼科近接照射療法のための放射性放射線源

本発明の放射性放射線源は近接照射療法、特に黄班変性症、好ましくは年令関連黄班変性症(AMD)の処置におけるような接眼または眼科近接照射療法に適している。本発明の放射線源は、好ましくは放射線発射エレメントの縦軸と閉じ込め手段の縦軸とが整列するように配置された、細長い閉じ込め手段(2)内の細長い放射線発射エレメント(1)を有する近接照射療法のための放射線源を含む。前記閉じ込め手段は遮蔽セクション(3)と放射線遷移セクション(4)を含む。前記遮蔽セクション(4)は、遮蔽セクションの方向に発射された放射線を実質的に減衰するように前記放射線発射エレメントを少なくとも部分的にカバーする。好ましくは遮蔽セクションは該エレメントを約30〜90%、好ましくは40〜70%、もっと好ましくは50〜60%カバーする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接照射療法のための放射性放射線源、特に外科操作、特に眼科操作において放射線の局在化デリバリーのための放射線源に関する。
【背景技術】
【0002】
眼病および特に黄斑変性症に対する現在の治療アプローチは、ある程度班の傷ついた部分の放射線処置を含み得る。もっと詳しくは、局在化病巣、特に腫瘍および黄班変性症の処置のための技術状態の近接照射療法は、放射性のシールされた放射線源を採用する。用語“シールされた”とは、デバイスへ組込まれたラジオアイソトープがデバイスと一体であり、そして使用環境においてデバイスのホスト材料からずれたり離れることができないことを意味する。典型的なシールされた放射線源は、ラジオアイソトープの浸出または放出を防止するように設計された、非透過性の生体適合性カプセル材料、例えばチタン内にカプセル化された放射線源を含んでいる。放射線源は、典型的には長さ約4.5mmであり、そして約0.8mmの直径を有し、中空デリバリー針を使って病巣内またはそのまわりの処置部位に個々にインプラントされる。これらの放射線源は、それらの全周にわたって均質な同軸放射性パターンを提供し、まわりの健全な組織の望ましくない照射を招来するという不利益を蒙る。
【0003】
他のアプローチにおける眼内腫瘍の処置においては、放射性材料を取入れる眼表面が放射線源として使用され、眼表面の凹面側において眼内腫瘍へ放射線量を提供するように眼球へ直接縫合される。これらの表面は典型的には2枚の銀シート内にカプセル化されたRu−106の薄いシートからなり、凸面側のシートは約0.1mmの厚みであり、凹面側のシートの厚みは約0.7mmの厚みである。従ってこれらの放射線源は健康組織の部分的遮蔽を提供する。より大きなシート厚みは追加の放射線遮蔽を提供するが、しかし表面の厚みを増し、これは患者への不快さを増大させる。
【0004】
加えて、米国特許第6030333号は、あらかじめ定めた放射線の線量をあらかじめ定めたパターンで送達するためのインプラント可能な放射線療法デバイスもしくは放射線源を開示する。このデバイスは、生体適合性鋳型と、そして好ましくはイオンインプラント法によって鋳型の少なくとも一部に直接取入れられた一以上の放射線源を含む。発射される放射線パターンおよび線量はデバイスまたは担体中への放射線発射材料のインプラントのパターンによって専ら決定される。これらのデバイスは、放射性材料がデバイス全体へ取戻し不能に結合し、そのためその最終使用後デバイス全体をデポジットする必要があるという点で不利である。
【0005】
他のアプローチが非永久処理のために使用されている。例えば米国特許第6443881号は接眼または眼科近接照射療法に使用のための方法および装置を開示する。装置はハンドルと、ハンドルへ連結されたアプリケーターを含み、そして放射線源を収容するのに適応している。典型的には凹面形状のアプリケーターは放射線遮蔽位置と、放射線が病区域へ到達するのを許容する位置との間を可動である。シールドは、処置部位近くへ挿入および配置の間放射線を遮蔽するようにアプリケーターを受入れる。処置すべき網膜以外の組織へ向う方向に放射線の発射を防止するためのある種の遮蔽をさらに備えることができる。処置位置においては、放射線は適用部位に対向する開いた区域を通って外側へ指向される。
【0006】
匹敵するデバイスが米国特許第6285735号に開示されている。この文献は組織のあらかじめ定めた体積を処置するため身体のあらかじめ区切られた輪郭を横断してX線の線量を適用するためのアプリケーターシステムを開示する。アダプターは、隣接組織の体積があらかじめ定めた放射線量で処置されるのを許容するために組織キャビティと係合しそして所望の形状に一致させるための実質上平坦なまたは凸面の処置表面を含んでいるアプリケーターエンドキャップを含んでいる。アプリケーターは穴あき放射線ビームを形成するための実質上円錐形空胴区域を有するシャンクを含むことができる。シャンクは表面への放射線適用を容易化し、そして該表面上に均一に発射される放射線を変調するために適切な形のエンドキャップをさらに含むことができる。このエンドキャップは好ましくは生体適合性アクリル材料でつくられ、そしてエポキシ樹脂でシャンクへ固着される。このエンドキャップは処置すべき組織と直接に接触し、この文献に規定された放射線源またはプローブと接触しない。これと対照的にエンドキャップはアプリケーターデバイスの一部を形成し、放射線源自体ではない。
【0007】
公開された米国特許出願No.US2002/015902は外科操作、特に眼科操作においてベータ線の局在化デリバリのための外科デバイスを開示し、このデバイスは先端にベータ療法発射材料を有するカニューレを含んでいる。デバイスはカニューレの先端においてベータ線治療発射材料を遮蔽するためのシールドをさらに含むことができる。カニューレの先端のこのシールドはステンレス鋼のような金属の薄い壁か、またはポリマー、プラスチックもしくは同様な材料の薄い壁でよい。このシールドは処置のためのベータ線療法発射材料を露出するように後退自在である。当分野において相当な努力にもかかわらず、処置の所望部位をもっと小さい源で均一に照射する時にまわりの組織を効果的に遮蔽する可能性は存在しない。
【発明の開示】
【0008】
これらおよび他の目的および先行技術の欠点は、以下の近接照射療法のための放射性放射線源によって解決および克服することができる。近接照射療法のための該放射性放射線源は、細長い閉じこめ手段(2)内に細長い放射線発射エレメント(1)を有し、放射線発射エレメントの縦軸と閉じ込め手段の縦軸とは整列にあり、前記閉じ込め手段は遮蔽セクション(3)と放射線遷移セクション(4)を含み、
−前記遮蔽セクション(3)は前記遮蔽セクションの方向に発射される放射線を実質上減衰するように前記放射線発射エレメントを少なくとも部分的にカバーし、
−前記放射線遷移セクション(4)は閉じ込め手段の縦軸に実質上沿って延び、そして遮蔽材料(5)を含み、
−前記遮蔽材料(5)は前記放射線発射エレメントから発射された放射線を、放射線源からあらかじめ選定した距離にある平面において、細長い閉じ込め手段の縦軸より実質的に大きい長さと、そして好ましくは閉じ込め手段の直径より実質上大きい直径を有する標的区域(6)の上に実質上均一な放射線線量が受取られるように減衰するのに適合している。
【0009】
遮蔽材料(5)はその厚み、密度および/または組成を変えることによって放射線の減衰に適合させることができる。一般に前記遮蔽材料はその遮蔽性を変えることによって適合させることができる。
【0010】
他の好ましい具体例は従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の放射性放射線源は、近接照射療法および特に黄斑変性症、好ましくは年令関連黄斑変性症(AMD)の処置のような眼近接照射療法に適している。本発明の放射性放射線源は、好ましくは放射線発射エレメントの縦軸と閉じ込め手段の縦軸とが整列にあるように、細長い閉じ込め手段(2)内の細長い放射線発射エレメント(1)を有する近接照射のための放射線源を備えている。前記閉じ込め手段は遮蔽セクション(3)と放射線遷移セクション(4)を備えている。前記遮蔽セクション(3)は、前記遮蔽セクションの方向に発射されたどのような放射線をも実質的に減衰するように前記放射線発射エレメントを少なくとも部分的にカバーしている。好ましくは遮蔽セクションは該エレメントの約30〜90%、好ましくは40〜70%、もっと好ましくは50〜60%をカバーする。
【0012】
前記放射線遷移セクション(4)は、閉じ込め手段の縦軸に実質的に沿って延び、そして遮蔽材料(5)を含んでいる。該遮蔽材料(5)は、放射線源からあらかじめ選定された距離にある平面において、細長い閉じ込め手段の縦軸より実質的に大きい長さと、そして好ましくは閉じ込め手段の直径より実質的に大きい直径を有する標的区域(6)の上に、実質上均一な放射線線量(30%より少ない、好ましくは20%より少ない、もっと好ましくは10%より少ない偏差)を受けるように、前記放射線発射エレメントから発射された放射線を減衰するのに適合している。この文脈において使用される術語「実質上」とは、意図した寸法において一般に少なくとも50%の拡大、好ましくは100%ないし200%の拡大を意味する。
【0013】
ここで使用される術語「細長い」とは、他の二つの軸よりも実質上大きい一つの軸を有する放射線発射エレメントのどのような形状をも意味する。好ましくは細長い放射線発射エレメントのアスペクト比(直径に対する縦軸の比)は≧2:1であり、もっと好ましくは5:1ないし25:1であり、もっと好ましくは8:1ないし17:1、特に10:1である。一般に放射線発射エレメントは、その断面がカテーテルまたは他の送達デバイス内のその運動を防止しない限り、どのような断面をも持つことができる。好ましくは、断面は円形、楕円形、または多面形であり、円形断面が好ましい。非円形断面の場合、上のアスペクト比は縦軸に直角な平面において最大の直径を用いて決定される。
【0014】
放射線発射エレメントは、その形が細長でそしてその意図する目的を妨害しない限り一般にどのような適当な形をも採用し得る。典型的にはそれは単一の中実もしくは中空体であろうが、しかし該エレメントの細長い形状を形成するように閉じ込め手段内に直列に配列されたいくつかの個々のエレメントからなることができる。好ましくはこのエレメントは単一体であり、それ自体が中空もしくは中実であり得る。もっと好ましくは放射線発射エレメントは、任意にコイルもしくはチューブの形に巻かれた円筒形ワイヤである。代ってもしいくつかのエレメントから構成されるならば、それらは直列に配置された球もしくは楕円球でも良い。
【0015】
細長い放射線発射エレメントは閉じ込め手段内にシール封入される。この閉じ込め手段(2)は細長い形を有し、その縦軸は典型的には放射線発射エレメントの縦軸と整列にあり、そして好ましくは平行に配置される。ここでいう「平行に配置」とは互いに向ってそれぞれの縦軸の僅かな傾き、例えば20°まで、好ましくは10°までの傾きを排除しない。これは長さが実質上同一方向である距離である。好ましくは閉じ込め手段はその寸法が放射線発射エレメントの外径寸法と一致し、そのため後者は閉じ込め手段内にぴったりフィットする。
【0016】
閉じ込め手段またはカバースリーブの外側寸法は、適用可能な場合、典型的には放射線発射エレメントの寸法を規定するであろう。放射線発射エレメント自体は一般に当業者が選ばれた処置部位に適していると考えるどのような長さをも持つことができる。典型的にはそれは≦1〜25mm、好ましくは1〜15mm、もっと好ましくは2〜10mm、最も好ましくは2〜5mmの長さを持つであろう。同様に、放射線源は典型的には0.1〜2.0mm、好ましくは0.6〜1.2mm、最も好ましくは0.8〜1.2mmの直径を持つであろう。
【0017】
放射線発射エレメント(1)は、典型的には0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.8mmの範囲の適合し得る外径を持つ。もっと好ましくは、放射線発射エレメントは0.1〜0.5mm、最も好ましくは0.3〜0.4mmの範囲内の外径を有する。閉じ込め手段(2)の内径はその中にエレメント(1)を収容するように適切に選ばれる。本発明の放射線源の上で述べた寸法は典型的にはその閉じ込め手段に関する。しかしながら本発明の放射線源は放射線源を所望の処置部位へ進めるのに適切な長さを持ったカテーテルまたはアプリケーターへ取り付けてもよい。同様に、放射線源は慣用のアフターローディング技術を使用してアプリケーターまたはカテーテルを用いて所定位置に配置することができる。好ましい具体例においては、閉じ込め手段は、公開されたアメリカ特許出願No.2002/0115902に開示されているように、その先端においてカテーテル/アプリケーターの一体部分を形成し、そして放射線発射エレメントはその中に固着される。
【0018】
代替具体例においては、遮蔽セクションおよび遷移セクションは、場合によりカバースリーブと共に、アプリケーター先端へそれと一体に形成されることができる。カプセル内にシール封入された放射線発射エレメントを含んでいる慣用のシードをアプリケーターの先端へアフターローディングによってその後動かし、本発明の最終放射線源を形成しても良い。
【0019】
閉じ込め手段は、細長い放射線発射エレメントに加えて、使用時放射線源の前進をモニターすることを許容する放射線不透過性マーカーを含んでいる。そのような放射線不透過性マーカーは中空コイル形または中空円筒形放射線発射エレメントの中心コア内に設けることができ、および/または放射線発射エレメントの片側もしくは両側に別体として設けるか、または例えば前記放射線発射エレメントを形成するいくつかの球の間に散圧させてもよい。放射線発射エレメントを含む閉じ込め手段内に放射線不透過性マーカーを含める他の具体例も当業者には良く知られている。これらも本発明によって包含される。
【0020】
閉じ込め手段は、遮蔽セクション(3)と、放射線遷移セクション(4)とからなる。これら二つのセクションは合体して閉じ込め手段またはそのセクションを形成することができ、あるいは第1の層またはカプセル(2a)の内側または外側に別体のセクションとして設けることができ、該層またはカプセルが閉じ込め機能を提供するように放射線発射エレメントをシールして封入する。一例として、第1のカプセル(2a)は端部プラグを有する中空円筒の形に形成することができ、該カプセルが放射線発射エレメントをシールして封入する。
【0021】
カプセル(2a)のまわりに、しかし好ましくはカプセル(2a)内に、遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクションよりなるおよび/または形成する第2のシリンダーを設けることができ、放射線遷移セクションは例えば第2のシリンダーをその片側において壁厚を変えることによって提供される。第1のカプセル内にこれらのセクションを設けることは、挿入および取出しの間傷を発生し得る放射線源外側の鋭利な縁を防止できるという利益を有する。代ってカバースリーブを以下に論ずるように設けることができる。
【0022】
他の具体例においては、遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクション(4)は閉じ込め手段の一体部品である。再び放射線遷移セクション(4)は例えばあらかじめ決められたセクションにおいて閉じ込め手段の壁厚を変えること、特に減らすことによって設けることができる。
【0023】
遮蔽セクション(3)は放射線発射エレメントを少なくとも部分的にカバーし、遮蔽セクションの方向に発射される放射線を実質的に減衰する。ここで使用される術語「実質的に減衰」とは、遮蔽方向への放射線を、処置すべき部位の周囲の組織の損傷を防止し、そして医療従事者の望まない曝露を防止するように望ましい低いレベルへ減衰させることを意味する。特に、減衰は好ましくは前記方向へ発射される放射線を90%以上、好ましくは99%以上、最も好ましくは100%減らすように達成される。
【0024】
放射線遷移セクション(4)は閉じ込め手段(2)の第2の部分を形成する。このセクションは閉じ込め手段との縦軸に実質的に沿って延びる。ここで使用される術語「実質的に沿って」とは、放射線遷移セクションが閉じ込め手段の縦軸の上に整列し、好ましくは閉じ込め手段の縦軸の上に中心が整列し、そしてその長さが閉じ込め手段内に含まれる放射線発射エレメントの縦軸の長さの長い部分に少なくとも相当し、そして好ましくは閉じ込め手段自体の縦軸の長さに少なくとも相当することを意味する。典型的には、放射線遷移セクションはそれ自身閉じ込め手段の縦軸の50%以上、もっと好ましくは60〜100%、最も好ましくは75〜95%の上をそれに沿って延びるであろう。
【0025】
放射線遷移セクション(4)は、照射すべき標的区域に対向したまたは対向させようとする本発明の放射線源(その閉じ込め手段)の横または面に配置される。
【0026】
放射線遷移セクション(4)は遮蔽材料(5)を含む。この遮蔽材料(5)は、放射線源からあらかじめ選定した距離にある平面において、閉じ込め手段の直径より実質的に大きい直径と、細長い閉じ込め手段の縦軸より実質的に大きい長さを持っている標的区域(6)の上に実質上均一な放射線線量が受けられるような態様で、放射線発射エレメントから発射された放射線を減衰するように適合している。
【0027】
遮蔽材料(5)の適合化はその遮蔽性の適合化によって起こる。これはその厚み、密度および/または組成を変えることによって達成し得る。好ましい具体例においては、遮蔽材料(5)はその厚みを変えることによって適合化される。この具体例においては適合化は特に標的区域(6)へより近い区域の放射線遷移セクション(4)部分において標的区域から遠い部分よりも大きい厚みを遮蔽材料が提供することによって達成することができる。
【0028】
近接照射療法に適する発射された放射線は空気、体液または組織中にそのままにして置くだけで効果的に遮蔽されることを考慮すれば、(i)閉じ込め手段、(ii)流体または空気、および(iii)組織を通る放射線ビームのどんな走行距離もあらかじめ選定した標的区域において受取られる放射線線量を効果的に減らすであろう。標的区域の平面に対して直角な方向に発射される放射線(すなわち標的区域に最も近い放射線源の部分)は最短距離を走行し、それ故最小の減衰を経験するであろう。直角方向に対して傾いた方向に発射された放射線はもっと長く走行し、それ故もっと高程度の減衰を経験するであろう。減衰の程度は走行距離、従って傾き角度と、さらに放射線が通過する媒体に依存する。
【0029】
放射線源自体の寸法より大きい標的区域において均一な放射線線量を達成することを許容するためには、傾いた方向に発射された放射線も使用する必要がある。しかしながらこれらは標的区域においてより少ない放射線線量を送達し易い。本発明は、発射された放射および特に直角方向に発射された放射線をこの差に対抗し、最終的にあらかじめ選定された標的区域において均一な放射線線量が得られるように変調(適切な減衰によって)する遮蔽材料を提供する。これによって非常に小さい放射線源がより大きい標的区域を効果的にかつ均一に照射するために使用できる。
【0030】
特に好ましい具体的においては、遮蔽セクション(3)は放射線発射エレメント(1)をその少なくとも片側においてその縦軸の全長の上をカバーすることができる。従って放射線源のこの側ヘの放射線の実質的の発射を防止することができる。その時放射線遷移セクション(4)は好ましくは遮蔽セクション(3)の反対側の放射線発射エレメントの側に配置される。
【0031】
好ましい具体例においては、遮蔽材料(5)は、有利には標的区域に最も近い部分において放射線発射エレメントの縦軸の上にそれに沿ってより高い遮蔽能力(例えばより大きい厚みにおいて)を中心に提供することができる。この中心部分のほかに、より小さい遮蔽能力の(例えばより小さい厚みの)遮蔽材料が備えられる。これは中心部分の全長またはその部分長さを通じて可能である。好ましくはより小さい厚みの遮蔽材料が中心部の両側においてその全長の上に、または放射線発射エレメントの中心部分へ向ってより高い遮蔽能力(例えばより大きい厚み)の区域を残して、放射線発射エレメントの端部へ向って設けられる。
【0032】
最も好ましい具体例においては、遮蔽材料(5)は、標的区域(6)から遠い放射線遷移セクション(4)の部分においてくぼみ、特にくぼんだ窓(遮蔽材料なし)を含むことができる。この場合遮蔽材料(5)は再び放射線発射エレメントの縦軸の上にそれに沿って中心に設けられ、その片側または両側に1または2以上のくぼみが設けられる。好ましくは2以上(2〜10、好ましくは4〜8)のくぼみの配置は遮蔽材料(5)中心軸に対して対称的である。
【0033】
遮蔽材料(5)は、その密度および/または組成を変えることによってその遮蔽効果を変えることにより適合化させることもできる。この場合、高い遮蔽効果を有する材料を標的区域(6)に近い放射線遷移セクション(4)の部分に使用することができ、他方標的区域(6)から遠い放射線遷移セクション(4)の部分にはより低い遮蔽効果を持つ材料を使用することができる。遮蔽材料の組成は、例えば鉄ボンバードメントもしくはスパッタリング等によって遮蔽材料全体を通じて変えることができる。
【0034】
もっと詳しくは、金属遮蔽材料の場合、その組成は、組成中の所望の変化を得るように重い金属材料での鉄ボンバードメントによって変えることができる。例えば放射線遷移セクション(4)のもっと透過性のセクションを鉄ボンバードメントの間にマスクし、そしてすべての他の部分はそれらの減衰係数を所望程度へ増加させるようにより重い材料でボンバードメントすることができる。
【0035】
好ましい具体例においては、放射線遷移セクション(4)の遮蔽材料(5)は、放射線遷移セクションと(4)を通って発射される放射線が実質的に均一な放射線線量を提供するように実質上平坦な円形の標的区域に入射するように適合化されている。
【0036】
図1に示した具体例においては、遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクション(4)は閉じ込め手段(2)の一体部分を形成している。
【0037】
代って図2に示すように、閉じ込め手段(2)は、放射線発射エレメント(1)をシール封入する第1の層またはカプセル(2a)を含むことができ、さらに第1の層またはカプセル(2a)から別々にその外側(図示せず)または図2に示したように内側に設けられた遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクション(4)を含んでいる。好ましくは遮蔽セクションおよび放射線遷移セクションは図2に示されているように層もしくはカプセル(2a)の内側に設けられる。この場合例えば、閉じ込め手段(2)は円筒形の第1のカプセル(2a)よりなり、このカプセルは放射線発射エレメント(1)をシール封入するためのエンドキャップを備えている。その時遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクション(4)は第2のシリンダーの形に提供されることができる。放射線遷移セクション(4)は、第2のシリンダーの壁厚をその半円周において適切に適合化することにより、または上で記載したような適切な態様において鉄ボンバードメントによりその組成を変えることによって第2のシリンダー上に設けられる。第2のシリンダーは任意の適切な方法、例えば溶接または接着剤の使用によって第1のカプセルへ固着される。
【0038】
本発明の発射エレメントは医療目的に対して適していることが知られた適切な放射活性放射性発射核種を含むことができる。好ましい具体例においては、放射性発射エレメントはβ−線発射エレメントである。好ましい核種は少なくとも500keVのβ−線の最大粒子エネルギーを有し、好ましくはもし可能であればγ−線のための光子エネルギーを持たないものから選ばれる。代って20keVないし200keV、もっと好ましくは20keVないし100keVの光子エネルギーを有するX線もしくはソフトγ−線核種を使用することができる。これら放射性物質は、それらの短い減衰距離のため生物学的材料および組織に最も望ましく使用されるソフトエミッターである。これらエネルギーのβ源電子は典型的にはヒト組織中へたった1ないし10mm貫通するだけである。それらはプラスチック材料でも容易に遮蔽される。従って処理すべき部位を囲む隣接組織への損傷を最小化することができる。
【0039】
好ましい具体例においては、放射線発射エレメントはY−90,Sr−90/Y−90,Tm−170,P−32,Cl−36,Ce−144,Pr−144,Tb−160,Ta−182,Tl−204,Sn−123,Re−188,Ir−192およびSe−75よりなる群から選ばれた核種を含む。最も好ましくは、放射線発射エレメントは核種Y−90,Tl−204,P−32またはTm−170の一つを含む。核種は非放射性支持体上に支持されることができ、または金属、プラスチックまたはセラミックマトリックスに含めることができる。これら材料の混合物も使用し得る。好ましい具体例は核種がマトリックス中に埋め込まれ、最も好ましい金属マトリックスが使用される。これらにおいて核種は元素形すなわち合金を形成するように埋め込まれるか、または酸化物、ハロゲン化物、炭化物もしくは窒化物等のような化合物の形で埋め込まれる。対応する適当な放射線発射エレメントは、例えば参照としてここに取入れるヨーロッパ特許出願EP1084733Aに開示されている。
【0040】
遮蔽セクション(3)は金属、セラミックまたはプラスチック材料、好ましくは金属材料、最も好ましくは高原子番号金属から選ばれた金属材料を含み、そして好ましくはそれらからなる。好ましくはこれらの金属はPt,Pd,Au,Ag,Ir,Pb,Wおよびそれらの合金、化合物、およびそれらのコンポジットおよび混合物よりなる群から選ばれる。特にこれらの炭化物、窒化物および複合材料を使用することができる。
【0041】
閉じ込め手段(2,2a)は金属、セラミックまたはプラスチックを含み、そして好ましくはそれらからなる。金属材料の場合、これらは好ましくはAl,Ag,Au,Pb,Cd,Ce,Cr,Co,Cu,Fe(特にステンレス鋼)、Hg,Hf,Bi,In,Mg,Mn,Mo,Nb,Ni,Pd,Pt,Pr,Re,Rh,Sn,Si,Ta,Ti,Tb,Th,V,W,Y,Yb,Zn,Zrおよびそれらの合金、化合物、コンポジットおよび混合物よりなる群から選ばれる。これら材料の炭化物および窒化物を使用することができる。好ましいのはTiおよびその合金のような生体適合性材料である。遮蔽セクションが閉じ込め手段の一体部分を形成する場合、両者は好ましくは同じ材料から製作される。この場合上で挙げた高原子番号金属が典型的に使用される。
【0042】
閉じ込め手段は好ましくはチューブ状もしくはシリンダー形に提供される。放射線発射エレメントのシール封入のため、このチューブ状またはシリンダー状形状はその両端にエンドキャップもしくはエンドプラグを備えることができる。同様に本発明に従った放射線発射エレメント(1)は、好ましくは閉じ込め手段の内径に密にフィットするような直径を有するチューブまたはシリンダー形に提供し得る。しかしながら放射線発射エレメントは、一以上の球形エレメント(1a)からなることができ、これらは典型的には閉じ込め手段の内径にマッチする直径の球であるが、小さい球も同様に使用することができる。
【0043】
本発明の放射線源は閉じ込め手段のまわりに設けられたカバースリーブをさらに備えることができる。該カバースリーブは必ずしも閉じ込め手段をシール封入する必要はないが、シール封入が好ましい。例として、カバースリーブは閉じ込め手段のまわりに設けられた(第3の)シリンダーの形で提供し得る。
【0044】
カバースリーブは適切な耐放射線性、非腐食性、生体適合性材料で製作される。好ましくはそれは上で挙げた閉じ込め手段のための金属材料からなり、Ti,Ni,Fe(ステンレス鋼)およびそれらの合金が特に好ましい。
【0045】
閉じ込め手段のまわりにカバースリーブを設置することは、(1)必ずしも生体適合性でない高Z材料が体内へ浸出するのを防止することができ、(2)閉じ込め手段の縁が挿入および取出し時にまわりの組織を損傷するのを防止するようにカバーされ、そして(3)放射線源を再使用のため容易に清浄化および滅菌できるという利益を提供する。
【0046】
閉じ込め手段と同様に、カバースリーブもアプリケーター先端へ取付けるかまたはその一部を形成することができる。例えばその中空円筒形延長部として閉じ込め手段を収容し、エンドプラグによってその中シールされる。エンドプラグは好ましくはレーザー溶接によって取付けられる。
【0047】
本発明の放射線源の閉じ込め手段に放射線遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクション(4)を設けることにより、本発明の放射線源は、軸方向に均一な放射線パターン(すなわちその周縁のまわりの均一な放射線パターン)を示す先行技術放射線源と異なって、意図的に不均一な放射線パターンを許容する。もっと詳しくは、発射された放射線は放射線源の少なくとも一方の側において遮蔽される。従って処置すべき部位に対向しそしてそれを囲む健康な組織の不当な照射は、発射される放射線が適切に指向されるので防止することができる。このことは黄班変性症の場合の黄班の照射のような眼科応用において特に重要である。これらの場合には放射線源は黄班と網膜の間に配置することを要し、網膜の照射は高度に望ましくない。
【0048】
本発明の放射線源は、平行して網膜を照射することなく黄班の含まれるスポットの精密な照射を許容する。さらに放射線遷移セクション(4)の適切な適合化により、本発明の放射線源は処置すべき黄班部分の実質上均一な照射を許容する。加えて、この処置すべき部分は放射線源自体の直径および長さよりも実質上大きくすることができる。そのためより小さい放射線源をより大きい黄班のパッチを処置するために使用できる。これは勿論処置/手術の間に患者に発生するリスクを減らす。
【実施例】
【0049】
本発明は限定を意図しない以下の実施例によって例証される。
【0050】
実施例1
放射線源は、金属マトリックス、この場合はアルミニウムマトリックス中に分散されたイットリウム90の酸化物よりなるワイヤーを準備することによって製作された。ワイヤーは第1の金属シリンダーに挿入され、閉じ込め手段としてエンドプラグによってシールされた。第1の金属シリンダーはステンレス鋼製であり、エンドプラグも同じ材料製であった。シールされた第1の金属シリンダーはPt/Ir合金製の第2のシリンダーに挿入された。第2のシリンダーはシールされた第1のシリンダーをしっかり保持するための密接に一致する寸法で第1のシリンダーのまわりに設けられた。
【0051】
閉じ込め手段のまわりでそのシリンダー軸と整列した第2のシリンダーの第1の半周壁は遮蔽セクションを形成する。閉じ込め手段のまわりでそのシリンダー軸と整列した第2の半周壁は、第2のシリンダーの長さに沿ってPt/Ir合金の厚みを変えることによって放射線遷移セクションを形成する。
【0052】
第2のシリンダーの縦軸に沿った中心クロスブリッジに沿って8個のくぼみ(7)が規則的パターンに設けられる。これらのくぼみは窓、すなわち下の第1のシリンダーへのアクセスを許容する開口を形成する。
【0053】
この実施例の放射線源は、第2のシリンダーを収容しそれを保持するように第2のシリンダーのまわりに設けられた端部をプラグした薄壁の第3のシリンダーの形のカバースリーブをさらに含んでいる。カバースリーブはTiまたはTi合金製である。これは放射線源をシールし、そして第2のシリンダーの縁のカバーを提供する。すべてのシリンダーは互いに固着され、および/またはレーザー溶接によってシールされる。
【0054】
この放射源の発射放射線フィールドが放射線源表面から約1〜2mmの距離において約4〜6mm直径の標的区域においてテストされた。フィールドは中心から外縁までの30%線量変動の限界内で均一であった。これと比較して、本発明による遷移セクションを持たない放射線源は中心から外縁まで50%より大きい偏差を示した。
【0055】
実施例2
実施例1と同様に、同じ材料から製作された閉じ込め手段および第2のシリンダー内の放射線発射エレメントが製作された。しかしながらこの場合は第2のシリンダーは図3a〜cに示した形状および構造を有していた。
【0056】
詳しくは、図3aは傾斜した先端部分(9)を有する中空円筒体の斜視図を示し、先端部分の最外縁(10)は面取りされている。4個のくぼみ(7)は拡大した断面(11)を有する中央バー(8)によって分離されている。放射線遮蔽セクション(3)は傾斜端の根本縁と整列してチューブの反対側に設けられる。放射線遷移セクション(4)は全体のチューブの傾斜端の先端/最外縁に整列してその側にある。
【0057】
図3bは図3aの底面図である。この場合、縦方向バー(8a)はシリンダー全体の縦軸と整列し、そして面取り縁(10)の中央部分とも整列にあることが明瞭である。くぼみ(7)は第1のカプセル(2a)の円筒壁部分を切欠くことによって形成した窓として設けられ、チューブ状/シリンダー状閉じ込め手段内にシールされた放射線発射エレメントを収容すべきチューブ状内部体積へのアクセスを許容する。窓(7)は、好ましくは特にバー(8)によって囲まれそしてそれによって形成される部分において丸くされたコーナーが備えられる。
【0058】
図3cは図3bの線A−Aに沿った断面図である。図3cはシリンダー材料製の傾斜先端(9)および面取り縁(10)を示している。底側にある窓(7)はシリンダーの内側からクロスバー(8b)によって分離されていることが示されている。窓(7)は同様に丸味を帯びたコーナーを備え、そしてここではシリンダー(2a)の下側半周壁にわたって延びている。シリンダーの根本端はカテーテルへ取り付けのため開いている。端部分(12)はコンスタントな外径であるがテーパーしている。
【0059】
図4および5は遮蔽セクション(3)および遷移セクション(4)それぞれの上でこの放射線源で得られた線量率を示している。
【0060】
図4は、処置部位に相当する、放射線源の中心のまわりの約1mmのための11Gy/minの高レベル放射線プラトーを示している。図5は、放射線源の両側へ向ってもっと小さい線量(〜1.2Gy/min)の二つのピークを示し、それらは両方とも全部の遮蔽が起こる中心へ向って、そして両側へ向って急激に低下する。
【0061】
上に述べたように好ましい具体例に関して記載したが、この説明は当業者が特許請求の範囲に規定した本発明のいくつかの変形の可能性をその範囲を逸脱することなく認識するのを制限するものと考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1a−b】本発明の放射性放射線源の例示的具体例を示す。図1aは縦方向断面を示し、図1bは図1aの線A−Aに沿った断面を示す。この図1の具体例においては、放射線発射エレメント(1)はワイヤーの形で提供される。閉じ込め手段(2)は厚い遮蔽セクション(3)と、そして円筒形閉じ込め手段(2)の第2の周壁上の放射線遷移セクション(4)を一体に含む。遮蔽セクション(3)はその厚みを変えることによって適合化される遮蔽材料(5)を含む。特に材料(5)の厚みは標的区域(6)へ最も近い閉じ込め手段(2)の区域において最大であるが、もっと横にそして末端に位置する部分においてはそれはより小さい厚みを有する。
【図2a−c】本発明の放射線源の代替具体例を示す。再び図2aは縦方向断面を示し、図2bは図2aの線A−Aに沿った断面を示す。図2cは閉じ込め手段の第1のカプセル(2a)を剥ぎ取った後の底面図である。詳しくはこの場合、閉じ込め手段(2)はエンドプラグを有する第1のシールされた金属シリンダーの形の第1のカプセル(2a)を含む。第2の金属シリンダーは第1のシリンダー内に設けられる。第1のシリンダー内の第2のシリンダーの第1また上方半周壁は遮蔽セクション(3)を形成し、そして第2の半周壁は放射線遷移セクション(4)を形成する。放射線遷移セクション(4)の遮蔽材料(5)は第2のシリンダーの壁厚を変えることによって適合化される。この具体例においては、図2cに見られるように、8個のくぼみ(7)がクロスブリッジ(8)を形成する中心バーに対して平行に設けられる。各側の4個のくぼみは再び第2のシリンダーの周辺方向に延びるバー(8)によって互いに分離される。バー(8)は第1の金属シリンダー(2a)とその中の放射線発射エレメント(1)の両方の中心軸と整列している。典型的にはバー(8)は、標的区域に対して直角方向に放射線発射エレメント(1)から発射された放射線がくぼみ(7)を通る僅かに傾いた方向に発射された放射線と比較してもっと強く減衰されるように、標的区域(6)に直接対向して配置される。これによって均一な放射線を得ることができる。
【図3a−c】本発明の放射線源の遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクション(4)のための実用的具体例を示す。
【図4】図3の放射線源の放射線遷移側(4)における線量率プロフィルを提供する。
【図5】図3の放射線源の網膜側または遮蔽セクション(3)における線量率プロフィルを提供する。
【図1a】

【図1b】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図3a】

【図3b】

【図3c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い放射線発射エレメント(1)が細長い閉じ込め手段(2)内に、細長い放射線発射エレメントの縦軸と細長い閉じ込め手段の縦軸とが整列して収容されている近接照射治療のための放射性放射線源であって;
前記閉じ込め手段は遮蔽セクション(3)と放射線遷移セクション(4)とを含み;
前記遮蔽セクション(3)は前記放射線発射エレメントを前記遮蔽セクションの方向に発射された放射性を実質的に減衰するように少なくとも部分的にカバーし;
前記放射線遷移セクション(4)は前記閉じ込め手段の縦軸に実質的に沿って延び、かつ遮蔽材料(5)を含み;
前記遮蔽材料(5)は、放射線源からあらかじめ選定された距離にある平面において、細長い閉じ込め手段の縦軸より実質上大きい長さを有し、そして好ましくは該閉じ込め手段の直径より大きい直径を有する標的区域(6)の上に実質上均一な放射線線量が受取られるように、前記放射線発射エレメントから発射された放射線を減衰するように適合化されている;
ことを特徴とする放射線源。
【請求項2】
前記遮蔽セクション(3)および前記放射線遷移セクション(4)は閉じ込め手段(2)の一体部分を形成している請求項1の放射線源。
【請求項3】
前記閉じ込め手段(2)は、放射線発射エレメント(1)をシール封入する第1の層もしくはカプセル(2a)を含み、そしてさらに第1の層もしくはカプセル(2a)から分離してその外側または内側に設けられた遮蔽セクション(3)と放射線遷移セクション(4)を含んでいる、請求項1の放射線源。
【請求項4】
前記遮蔽材料(5)はその厚み、密度および/または組成を変えることによって適合化されている、請求項1の放射線源。
【請求項5】
前記遮蔽材料(5)は標的区域(6)へより近い放射線遷移セクション(4)の部分においてより大きい厚みを提供されている、請求項4の放射線源。
【請求項6】
前記遮蔽セクション(3)は放射線発射エレメント(1)を少なくともその片側においてその縦軸の全長にわたってカバーしている、請求項5の放射線源。
【請求項7】
前記放射線遮蔽材料(5)は放射線発射エレメントの前記遮蔽セクション(3)の反対側に配置されている、請求項6の放射線源。
【請求項8】
前記遮蔽材料(5)は、標的区域に直接対向させることを意図した放射線源の部分で放射線発射エレメントの縦軸の中心の上にそしてそれに沿って好ましくはより大きい厚みにおいてより大きい遮蔽能力が備えられている、請求項5または6の放射線源、
【請求項9】
前記遮蔽材料(5)は標的区域(6)から遠い放射線遷移セクション(4)の部分においてくぼみ(7)、特にくぼんだ窓を備えている、請求項8の放射線源。
【請求項10】
前記遮蔽材料(5)はその密度および/または組成を変えることによってその遮蔽効果を変えることにより、適合化されている、請求項1ないし3のいずれかの放射線源。
【請求項11】
標的区域(6)へより近い放射線遷移セクション(4)の部分により高い遮蔽効果を有する遮蔽材料が使用され、そして標的区域(6)からより遠い放射線遷移セクション(4)の部分により低い遮蔽効果を有する遮蔽材料が使用される、請求項10の放射線源。
【請求項12】
前記放射線源は閉じ込め手段を封入するカバースリーブをさらに含んでいる、請求項1ないし10のいずれかの放射線源。
【請求項13】
放射線発射エレメントはチューブ形またはシリンダー形に提供されるか、または一以上の球形エレメントを含んでいる、請求項1ないし12のいずれかの放射線源。
【請求項14】
前記放射線発射エレメントはβ−線発射エレメントであり、好ましくは少なくとも500keVの最大β線粒子エネルギーを持っている核種を含んでいる、請求項1ないし3のいずれかの放射線源。
【請求項15】
前記放射線発射エレメントは、Y−90,Sr−90/Y−90,Tm−170,P−32,Cl−36,Ce−144/Pr−144,Tb−160,Ta−182,Tl−204,Sn−123,Re−188,Ir−192およびSe−75よりなる群から選ばれた核種を含んでいる、請求項1ないし13のいずれかの放射線源。
【請求項16】
前記放射線発射エレメントは、金属、プラスチックまたはセラミックマトリックス中の、または担体上に支持されたSr−90/Y−90またはY−90を含んでいる、請求項14の放射線源。
【請求項17】
前記遮蔽セクション(3)は高Z金属から選ばれた、好ましくはPt,Pd,Au,Ag,Ir,Pb,Wおよびそれらの合金、化合物、それらのコンポジットおよび混合物よりなる群から選ばれた金属材料を含んでいる、請求項1ないし16のいずれかの放射線源。
【請求項18】
前記閉じ込め手段(2,2a)は、好ましくはAl,Ag,Au,Pb,Cd,Ce,Cr,Co,Cu,Fe,Hg,Hf,Bi,In,Mg,Mn,Mo,Nb,Ni,Pd,Pt,Pr,Re,Rh,Sn,Si,Ta,Ti,Tb,Th,V,W,Y,Yb,Zn,Zrおよびそれらの合金、化合物、コンポジットおよび混合物よりなる群から選ばれた金属またはプラスチック材料を含んでいる、請求項1ないし17のいずれかの放射線源。
【請求項19】
β−線発射エレメント(1)は金属マトリックス中にSr−90/Y−90またはY−90の酸化物または塩を含んでいるワイヤーであり;前記閉じ込め手段(2)はステンレス鋼、TiまたはTiを含む合金製の第1のシールされたシリンダー(2a)と、前記第1のシリンダーのまわりに設けられたPt/Ir合金製の第2のシリンダーを含み;第1のシリンダーのまわりの第2のシリンダーの第1の半周壁が前記遮蔽セクションを形成し;そして第1のシリンダーのまわりの第2のシリンダーの第2の半周壁が第1の半周壁において第2のシリンダーの壁厚を変えることによって放射線遷移セクション(4)を形成し;前記放射線源の他の部品を封入するステンレス鋼、TiまたはTi合金製の第3のシールされたシリンダーの形のカバースリーブが備えられている、請求項1の放射線源。
【請求項20】
β−線発射エレメント(1)は放射線発射エレメントを封入するステンレス鋼、TiまたはTi合金製の第1のシールされた形のシリンダーの形の閉じ込め手段内にシールされた金属マトリックス中のSr−90/Y−90またはY−90の酸化物または塩を含み;前記放射線源は前記第1のシリンダーのまわりに設けられたPt/Ir合金製の第2のシリンダーを含み;第1のシリンダーのまわりの第2のシリンダーの第1の半周壁が前記遮蔽セクション(3)を形成し、そして第1のシリンダーのまわりの第2のシリンダーの第2の半周壁が放射線遷移セクション(4)を形成し;遮蔽材料(5)は第2の半周壁において第2のシリンダーの壁厚を変えることによって提供されている、請求項1の放射線源。
【請求項21】
請求項1ないし20の放射線源を製作する方法であって;
細長い放射線発射エレメント(1)が細長い閉じ込め手段(2)内に、細長い放射線発射エレメントの縦軸と細長い閉じ込め手段の縦軸とが整列して収容されている近接照射療法のための放射性放射線源を提供するステップと、遮蔽セクション(3)および放射線遷移セクション(4)を提供するステップを含み;
前記遮蔽セクション(3)は前記放射線発射エレメントを前記遮蔽セクションの方向に発射された放射線を実質的に減衰するように少なくとも部分的にカバーし;
前記放射線遷移セクション(4)は閉じ込め手段の縦軸に実質的に沿って延び、かつ遮蔽材料(5)を含み、放射線源からあらかじめ選定した距離にある平面において、細長い閉じ込め手段の縦軸より実質上大きい長さを有し、そして好ましくは該閉じ込め手段の直径より大きい直径を有する標的区域(6)の上に実施上均一な放射線線量が受取られるように、前記放射線発射エレメントから発射された放射線を減衰するように減衰材料を適合化することによって放射線遷移セクション(4)を提供する、前記方法。
【請求項22】
前記遮蔽材料(5)を適合化するステップはその厚み、密度および/または組成を変えることによる、請求項21の方法。
【請求項23】
遮蔽材料(5)は、標的区域に直接対向させることを意図した放射線源の部分で放射線発射エレメントの縦軸の中心の上にそしてそれに沿って好ましくはより大きい厚みにおいてより大きい遮蔽能力が備えられる、請求項21または22の方法。
【請求項24】
前記遮蔽材料(5)は標的区域(6)から遠い放射線遷移セクション(4)の部分においてくぼみ(7)、特にくぼんだ窓を含んでいる請求項21ないし23のいずれかの方法。

【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−509668(P2007−509668A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537240(P2006−537240)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012415
【国際公開番号】WO2005/049139
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(506152405)ネオビスタ、インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】