説明

眼視野および補助視野を提供するようになされている眼鏡レンズ

眼鏡レンズ(10)は、眼視野および補助視野をその眼鏡レンズの装着者に提供するようになされており、眼視野および補助視野はそれぞれの期間鮮明である。この目的のために、透明能動素子(3)が眼鏡レンズの後面(BF)と光伝導要素(2)の前記出口面(EF)との間に配置され、光伝導要素(2)は眼鏡レンズ内に埋め込まれて補助視野に対応する補助光(SL)を出すものとなっている。
透明能動素子は、2つの屈折力の値の間で切り替わり、この2つの屈折力の値は、眼視野および補助視野をそれぞれ鮮明にするために異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼視野および補助視野の両方を眼鏡レンズの装着者に提供するようになされている眼鏡レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
このような眼鏡レンズは、たとえば国際特許出願2008/003903より既に公知である。
眼視野(ophthalmic vision)は、装着者の環境で存在する実際の対象物についての、装着者の普通の、または自然な視野である。眼視野は、たとえば、屈折異常矯正眼鏡またはサングラス(solar eyeglasses)を用いて改善することができる。しかし、このような眼鏡は、イメージの情報内容を変えることはない。
補助視野(supplementary vision)は、補助情報または追加情報を装着者に提供しようとするものである。この補助情報は装着者が見るように表示されるデータであってもよい。たとえば、操縦データをパイロット・ヘルメットのバイザーに表示し、これらのデータが眼視野のイメージに重ねられて現れることであってもよい。補助視野の他の例は、装着者に、装着者がいる環境の部分の修正イメージを提供することである。このような修正イメージは、赤外線イメージを可視光イメージに変換したものの拡大画像であってもよい。
【0003】
図1を参照すると、少なくとも眼視野と補助視野を装着者に提供するようになされている眼鏡レンズ10は、
− 装着者の目20から、それぞれ離れる方および向かう方に向けることが意図されている前面FFおよび後面BFと、
− 前面FFと後面BFとの間に備えられた光屈折透明材料(light−refracting transparent material)1と、
− 光伝導要素(light−conducting element)2であって、光屈折透明材料1内に配置されており、眼鏡レンズ10の前面FFおよび後面BFの間で補助光SLを、この光伝導要素2の出口面EFを介して、装着者の目20へ向けて出力するようになされている光伝導要素2とを備えることであってもよい。
【0004】
光伝導素子2の出口面EFは眼20の方へ向けられており、補助光SLは、眼20に、眼の瞳孔Pを通って入り、網膜Rに達する。参照番号30は光源ユニットを示しており、この光源ユニットは、補助光SLを、この補助光が出口面EFを通って出力された後に、補助イメージに対応するように生成している。このような光源ユニット30の詳細はよく知られているので、ここでそれを繰り返す必要はない。この光源ユニット30は、補助光SLを光伝導素子2に、光源ユニット30と光伝導素子2との間の適当な光学的結合(optical connexion)を介して導入する。
眼視野は前面FFから後面BFまで眼鏡レンズ10を通り、さらに瞳孔Pを通って眼20に入って網膜Rに到達する光OLによって形成されたイメージに対応している。眼視野のイメージは、それゆえ自然イメージと呼ばれている。
補助視野は、装着者が見る補助光SLによって形成される補助イメージに対応している。
さらに光伝導素子2は眼視野の光OLに対して透明である。したがって、眼鏡レンズ10は、自然イメージおよび補助イメージの両方を装着者に、同時に、あるいは、二者択一的にでさえ提供することができる。
【0005】
前面FFおよび後面BFは、それぞれに曲率があるので、各々屈折力を生じる。眼視野に有効な光OLは眼鏡レンズ10の前面FFおよび後面BFの両方を横断するので、この眼鏡レンズの眼視野に対する屈折力は、2つの面のそれぞれの屈折力の代数和である。しかし、補助光SLは光伝導素子2より2つの眼鏡レンズにおける前面FFと後面BFとの間から出力されるので、装着者の目20の方へ伝搬するときには後面BFのみを横断する。したがって、この後面BFの屈折力のみが補助視野に対して有効となる。したがって、眼鏡レンズ10は眼視野と補助視野との間で異なる有効屈折力を生じる。結果として、自然イメージと補助イメージとは装着者に対して同時に鮮明に現れないようになっている。
【0006】
2つのイメージが装着者の網膜R上で同時に鮮明となる1つの可能性は、光源ユニット30に焦点調節ユニットを設けることである。このような焦点調節ユニットは、眼20が自然イメージを見つめるために焦点を合わせているのと同時に、補助イメージを網膜R上に形成するように調整することができる。この場合には、両方のイメージが鮮明に現れるが、このような焦点調節ユニットは高価であり、また、装着者が操作する必要がある。
【0007】
WO2008/003903によると、別の可能性は、前面FFの曲率を、この面で生じる屈折力を眼の順応しきい値(accommodation threshold)以下に保つように限定することである。この場合には、眼視野の光OLは、眼鏡レンズ10の前面FFによってはあまり変わらず、眼視野および補助視野の両方の光線は眼鏡レンズ10によって同程度の影響を受ける。しかし、順応しきい値は装着者しだいでさまざまである。その上、眼鏡レンズの前面の曲率を制限すると、斜め注視方向(oblique gaze directions)に光学的ひずみが発生する。
【0008】
第3の可能性は、装着者の網膜R上に焦点を合わせた補助イメージに対して、適切な屈折力を生じるように眼鏡レンズ10の後面BFを設計することである。この場合には、後面BFを通して網膜R上に自然イメージの焦点を合わせるように前面FFを調整することができる。しかし、この方法によれば、装着者の屈折異常が分かったら、眼鏡レンズ10の後面BFおよび前面FFを調整しなければならない。したがって、半仕上げ眼鏡レンズ製品における一方の面を最終的なものにした半仕上げ眼鏡を利用することはできない。その上、前面FFおよび後面BFの曲率は自然イメージに対して大きな光学的ひずみを発生させることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の第1の目的は、眼視野と補助視野との両方があり、自然イメージと補助イメージとが、それぞれの期間の間、装着者の網膜に鮮明に焦点が合うようにした眼鏡レンズを提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、大きなひずみを少なくとも自然イメージに対して発生させないような眼鏡レンズを提供することである。
【0011】
本発明の第3の目的は、半仕上げ眼鏡レンズ製品段階を利用して生産することができる眼鏡レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、少なくとも眼視野および補助視野を装着者に、上記に列挙した特徴とともに提供するようになされていて、さらに透明能動素子(transparent active device)を備える眼鏡レンズを提案する。この素子は、光伝導要素の出口面と、少なくとも眼鏡レンズの後面の一部との間に配置されている。また、この透明能動素子に供給される制御信号に応じて可変屈折力を生じるように構成されている。この場合、可変屈折力の第1および第2の値は互いに異なっており、透明能動素子の第1および第2の状態にそれぞれ対応している。
透明能動素子の第1および第2の状態は、補助視野および眼視野のそれぞれの専用となっている。したがって、第1の状態にある透明能動素子は補助光に対して有効であり、可変屈折力の第1の値は補助イメージを装着者に対して鮮明に現わすのに適している。さらに、光伝導要素は、眼視野の光に対して透明である。この場合、透明能動素子は、第2の状態では光伝導要素の出口面を通った眼視野の光に対して有効であり、可変屈折力の第2の値は自然イメージを装着者に対して鮮明に現わすのに適している。
したがって、自然イメージおよび補助イメージは、透明能動素子がそれぞれ第2および第1の状態にある期間の間、装着者の網膜に焦点が合うようになっている。
補助視野に対して適切な屈折力を透明能動素子が与えるので、眼鏡レンズの前面を、そして随意に後面も、眼視野に対して最適にすることができる。この場合には、自然イメージにいかなる大きな光学的ひずみもないよう、この面またはこれらの面を設計することができる。その上、眼鏡レンズの前面および後面は、装着者の屈折異常を適切に矯正するのに利用してもよく、これは、眼視野にとって有効である。このような場合、透明能動素子は眼鏡レンズの後面と協働して、光伝導要素が直接出力した補助イメージの位置に応じて、補助視野に関して装着者の屈折異常を矯正する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、透明能動素子は、光伝導要素の出口面と上記眼鏡レンズの後面との間に位置する、光屈折透明材料の後側部分内に、完全に埋め込まれていることであってもよい。
このような場合、眼鏡レンズの前面と関係なく、装着者の網膜に補助イメージの焦点を合わせるので、この眼鏡レンズは半仕上げ眼鏡レンズの中間段階を利用して製造することができる。このような半仕上げ眼鏡レンズは、最終的な前面を有し、かつ、光伝導要素および透明能動素子がともに埋め込まれている光屈折透明材料の部分を備えていることであってもよい。この場合、半仕上げ眼鏡レンズは、基本値とも呼ばれる、さまざまな前面平均曲率値がある集まりを形成することであってもよい。これはとりわけ費用効果がよい。なぜならば、半仕上げ眼鏡レンズは大規模な工場で大量生産することができ、各半仕上げ眼鏡レンズの後面は、ユーザーの処方箋にしたがって大規模工場の外部にある製造所で成形できるからである。したがって、本発明は、眼視野および補助視野がある完成した眼鏡レンズを、普通の眼鏡レンズについて既に実施されている製造方法を利用して製造することを可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明以前に知られていた眼鏡レンズの斜視図。
【図2】本発明による眼鏡レンズを示し、(a)は斜視図を、(b)は断面図を示す。
【図3】本発明の一実施形態で使用してもよい透明能動素子を示し、(a)は正面図を、(b)は断面図を示す。
【図4】本発明の代替実施形態で使用してもよい他の透明能動素子の断面図。
【図5】本発明の代替実施形態で使用してもよい他の透明能動素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の図に表した要素は、明確にするために、実際の寸法に関係した大きさになっていないし、実際の寸法の比率にもなっていない。さらに、さまざまな図面に示した同一の参照記号は、同様な要素、または、同様な機能を有する要素を示す。
【0016】
従来技術に関連する図1については、既に説明した。
図2aおよび2bによれば、本発明による眼鏡レンズ10は、図1の眼鏡レンズと同じ要素、すなわち、眼鏡レンズの前面FFと後面BFとで範囲が限定されている光屈折透明材料1と、補助光SL用の出口面EFがある光伝導要素2とを備えている。光伝導要素2は、好ましくは、光屈折透明材料1の内部に完全に埋め込まれていて、その結果、光屈折透明材料1の後部部分1rが光伝導要素2の出口面EFと眼鏡レンズ10の後面BFの間に位置している。光屈折透明材料1は光伝導要素2と前面FFの間に連続的に広がっている。
光屈折透明材料1は眼科医学で一般的に使用されているどのような材料であってもよい。
光伝導要素2は既に知られており、かつ、このような要素に焦点を合わせた文献に記載されているどのような仕組みからなるものであってもよい。
光源ユニット30は本発明の主題である眼鏡レンズ10に付属しない。光源ユニット30は補助光SLを生成し、光伝導要素2に入力する。
【0017】
本発明の眼鏡レンズ10は透明能動素子3をさらに備えており、透明能動素子3は、光伝導要素2の出口面EFと眼鏡レンズの後面BFとの間に配置されている。光屈折透明材料1に後部部分1rがあれば、透明能動素子3は、好ましくはこの後部部分に入っている。必須ではないが好ましくは、透明能動素子3は後部部分1r内に完全に埋め込まれている。
透明能動素子3は、光伝導要素2の出口面EFの投影範囲と少なくとも等しい範囲にわたって、後面BFと平行に広がっている。好ましくは、透明能動素子3および出口面EFのそれぞれの範囲は、眼視野の光線に沿って、眼鏡レンズ10の後面BFに投影すると、互いに一致する。
主に、透明能動素子3は制御可能なレンズのように動作し、互いに異なる2つの値の間で変えることができる屈折力を生じさせる。透明能動素子3の可変屈折力についてのこれらの値の1つは、ゼロであってもよい。
本発明の簡単な実施形態では、透明能動素子3は液晶を用いたものであってもよい。
【0018】
第1および第2の実施形態では、透明能動素子が2つの面の間に入れられた液晶部を備え、これらの面の少なくとも1つにフレネル・パターンが設けられていることであってもよい。透明能動素子は、さらに、2つの電極部を備え、電極部は、この電極部に印加された電圧Vの変化によって、液晶の配向を変えるように用意されている。図3aおよび3bは、このような第1の実施形態で、フレネル・パターンが、液晶部の範囲を限定している面の一方にのみ設けられているものを示す。このような素子の構造は、特に、文献WO2009/045533に記載されている。図4は、フレネル・パターンが2つある第2の実施形態を示し、2つのフレネル・パターンは、米国特許出願2007/216851号に記載のように、液晶部の範囲を限定する2つの面にそれぞれ設けられている。これらの図では、以下の参照番号が、以下に列挙する要素を示す。
30:液晶部
3ff、3bf:液晶部30の範囲を制限する前面および後面
31a、31b:フレネル・パターン
32、33:電極部
34:可変電圧Vを生成する電源部
38、39:間に液晶部30が入っているプレート
プレート38、39のおかげで、透明能動素子3は、はじめに別個に製造することができ、その後眼鏡レンズ10を成型する際に、光伝導要素2とともに、光屈折材料1の中に埋め込むことができる。
これらの素子の実際の動作はよく知られているので、本明細書で再び繰り返す必要はない。特に、各々の素子3の面3ffおよび3bfの少なくとも1つは、電圧Vがゼロであるか、切り替えしきい値以下であるときに、液晶部30を配向させるような構造にすることであってもよい。
【0019】
図5に示した第3の実施形態では、透明能動素子3は、眼鏡レンズ10内の光伝導要素2の出口面EFに平行に並置した一連のセルCを備えていることであってもよい。セルCは、各々が出口面EFに垂直に延びている壁部40の網目により相互に隔てられている。各セルCには液晶部35が入っている。透明能動素子3は、さらに、少なくとも電極部36および37を備えている。電極部36および37は、少なくとも1つの電圧の適当な変化がこれらの電極部に加えられたときに、各セルCにおいて液晶部35の配向が変わるように用意されている。セルCのそれぞれの液晶部35は、透明能動素子3が可変屈折力を生じるのに適している。実際には、このような透明能動素子は、可変レンズとして動作するように設計された空間光位相変調器(spatial light−phase modulator)である。素子3の詳細な動作によるが、電極部36および37は、印加した電圧が素子の広さにわたって変化するように、各々を複数の電極部に置き換えてもよい。
【0020】
補助光SLに対する眼鏡レンズ10の総合的な屈折力は、透明能動素子3の屈折力と、後面BFの屈折力との合計である。同時に、眼視野の光OLに対する総合的な屈折力は、透明能動素子3の屈折力と、前面FFおよび後面BFの両方の屈折力との合計である。
通常、透明能動素子3は2つの状態の間で切り替わる。すなわち、第1の状態は、ユーザーが、補助光SLが形成する補助イメージを注視するときに選択されることが意図されており、第2の状態は、ユーザーが、眼視野の光OLが形成する自然イメージを注視するときに選択されることが意図されている。図3a、3bおよび4を実現するため、各状態が液晶部30の異なる配向に対応している。図5を実現するため、2つの状態の各々が同時に生成される、すべての液晶部35のそれぞれの配向の組によって定められる。どの場合にも、透明能動素子3の屈折力は、第1の状態における第1の値から、第2の状態における第2の値まで変化する。
【0021】
好ましくは、透明能動素子3の可変屈折力についての第1の値から第2の値を引いた差は、眼鏡レンズ10の前面FFの屈折力よりも大きいことであってもよい。このことは、ユーザーは、補助イメージを、たとえこのイメージがユーザーの目のすぐ近くに置かれたとしても、また、たとえユーザーが遠視(hypermetropic)とも言う遠視目(long−sighted)であったとしても、鮮明に見られることを保証する。屈折力の値を計算し比較するため、普通は符号付きの値が考慮される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、さらに、第2の状態が透明能動素子3のデフォルト状態であってもよい。このようなデフォルト状態は、たとえば透明能動素子3の電源が切られていたり、動作の不具合を示していたりするときに効果的である。これは、たとえばユーザーが運転をしていて、限られた時間だけ補助視野を使うときはエネルギーを節約するという場合に、安全上の道理にかなうものである。
【0023】
眼科医学の当業者には、本発明が、ユーザーがどのような屈折異常、特に近視や遠視を持っていたとしても、使用できることが分かるであろう。さらに言えば、このような屈折異常は、眼視野について眼鏡レンズ10の前面FFおよび/または後面BFを適切な形状にすることで矯正できるであろうが、透明能動素子3は、眼鏡レンズ後面BFの屈折力に加えて、補助視野に対する屈折異常を矯正するのにも用いられる。
【0024】
最後に、透明能動素子3は眼鏡レンズ10の後面BFに隣接させることもできる。この場合、透明能動素子3自体がこの後面BFの一部を、少なくとも光伝導要素2の出口面EFの背後で構成する。透明能動素子3はまた、眼鏡レンズ10の後面BFに接着することであってもよい。このような場合、透明能動素子3は、後面BFの初期の形状と同じになるように、弾力があるということであってもよい。光伝導要素2の出口面EFが眼鏡レンズ10の初期の後面の一部を直接形成する場合には、透明能動素子3を光伝導要素2に直接、出口面EFの上に接着してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも眼視野および補助視野を装着者に提供するようになされている眼鏡レンズ(10)であって、
− 前記装着者の目(20)から、それぞれ離れる方および向かう方へ向けられるように意図されている前面(FF)および後面(BF)と、
− 前記前面(FF)および前記後面(BF)の間に備えられた光屈折透明材料(1)と、
− 前記光屈折透明材料(1)内に配置された光伝導要素(2)であって、前記眼鏡レンズの前記前面(FF)および前記後面(BF)の間で補助光(SL)を、前記光伝導要素の出口面(EF)を介して、前記装着者の目(20)へ向けて出力するようになされている光伝導要素と、を備え、
前記眼視野は、前記眼鏡レンズ(10)が、前記眼鏡レンズの前記前面(FF)から前記後面(BF)へと通した光(OL)によって形成される自然イメージに対応しており、前記補助視野は、前記装着者が見る、前記補助光(SL)によって形成される補助イメージに対応しており、
前記光伝導要素(2)は、さらに、前記眼視野の前記光(OL)に対して透明である、眼鏡レンズ(10)において、
− 前記光伝導要素(2)の前記出口面(EF)と、少なくとも前記眼鏡レンズ(10)の前記後面(BF)の一部との間に配置された透明能動素子(3)であって、前記透明能動素子に供給される制御信号に応じて可変屈折力を生じるようになされており、互いに異なる前記透明能動素子の第1および第2の状態にそれぞれ対応している、前記可変屈折力についての第1および第2の値を有する透明能動素子、をさらに備え、
前記第1の状態にある前記透明能動素子(3)は、前記補助光(SL)に対して有効であり、前記可変屈折力の前記第1の値は、前記補助イメージを前記装着者に対して鮮明に現わすのに適しており、
前記第2の状態にある前記透明能動素子(3)は、前記光伝導要素(2)の前記出口面(EF)を通った前記眼視野の前記光(OL)に対して有効であり、前記可変屈折力の前記第2の値は、前記自然イメージを前記装着者に対して鮮明に現わすのに適していることを特徴とする眼鏡レンズ。
【請求項2】
前記透明能動素子(3)は、前記光伝導要素(2)の前記出口面(EF)と前記眼鏡レンズの前記後面(BF)の間に位置する前記光屈折透明材料(1)の後側部分内に完全に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ。
【請求項3】
前記透明能動素子(3)は、液晶を用いていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
【請求項4】
前記透明能動素子(3)は、少なくとも一方にフレネル・パターン(31a、31b)が設けられている2つの面(3ff、3bf)の間に入れられた液晶部(30)を備え、かつ、2つの電極部(32、33)であって、前記液晶部の配向を、前記電極部に印加された電圧(V)の変化によって変更するように用意された2つの電極部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡レンズ。
【請求項5】
前記透明能動素子(3)は、前記光伝導要素(2)の前記出口面(EF)に平行に並置されており、各々が前記出口面に垂直に延びている壁部(40)の網目によって互いに隔てられているセル(C)の配列を備え、各セルには液晶部(35)が入っており、前記透明能動素子は、印加した少なくとも1つの電圧(V)の変化によって、各セル内の前記液晶部の配向を変えるように用意された少なくとも2つの電極部(36、37)をさらに備え、前記セルのそれぞれの前記液晶部は、前記透明能動素子が前記可変屈折力を生じさせるのに適していることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡レンズ。
【請求項6】
前記透明能動素子(3)の前記可変屈折力における前記第1の値と前記第2の値の差は、前記眼鏡レンズ(10)の前記前面(FF)の前記屈折力に等しくないことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
【請求項7】
前記透明能動素子(3)の前記可変屈折力における前記第1の値から前記第2の値を引いた差は、符号付きの値では、前記眼鏡レンズ(10)の前記前面(FF)の前記屈折力よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
【請求項8】
前記第2の状態は、前記透明能動素子(3)のデフォルト状態であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
【請求項9】
前記透明能動素子(3)と、前記光伝導要素(2)の出口面(EF)のそれぞれの範囲は、前記眼視野の光線に沿って、前記眼鏡レンズ(10)の前記後面(BF)に投影したときに、互いに一致することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の眼鏡レンズ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515971(P2013−515971A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545218(P2012−545218)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069512
【国際公開番号】WO2011/076604
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(507229319)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック) (37)
【Fターム(参考)】