説明

眼鏡の固定部材と回動部材との着脱自在な回動連結構造

【課題】眼鏡の連結構造に於いて、ネジやピンの使用を省き、ワンタッチで着脱可能に、固定部材と回動部材を連結する事。
【解決手段】固定部材(フロントフレーム又は主眼鏡)の部分的に延長され屈曲された箇所(11)には、第一磁着面(30)と第二磁着面(31)の二箇所の磁着面と貫通開口部(16)が設けられ、そして、少なくとも前部が磁性体よりなる回動部材(テンプル又は副眼鏡)は屈曲された先端部(21)とそれに続く該先端部よりやや幅広の本体部を有し、前記先端部又はその先端部に設けられた磁石(32)は、前記固定部材の貫通開口部より挿入され前記固定部材延長部のどちらか一方の磁着面に磁着され、もう一方の磁着面に対し回動部材を回動磁着させるようにされ、開拡状態と折り畳み状態が保持される様にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡の固定部材と回動部材との間のネジ無し、軸無しで、且つ、着脱自在な回動連結構造に関する。特に、フロントフレームとテンプル、主眼鏡フレームと副眼鏡フレームとの磁力を利用した回動連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼鏡に於いて、固定部材と回動部材との連結に於いては、細かいネジ又はピンによりヒンジ結合された構造が用いられてきた。例えば、一般的な技術文献として特開昭60−169823号が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−169823号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記細かいネジやピン等を用いて、それに比して大きく長いテンプルを回動可能に連結すると、どうしてもネジ部分に応力が集中しネジやピンが折れたり曲がったりし重大な事故も発生していた。又、ネジ山を受ける軸受け部分を長く取れないのでどうしても緩む事は避けられなかった。そして、製造に於いても、細かいネジを用いて作業する事は無駄が多く、熟練の技術が必要であった。又、一般ユーザーにとってもネジの緩みを締め直したり、ネジの交換などは到底無理な話で、その様な状態でのテンプルの交換など出来様も無かった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の本発明に於いては、第一に、眼鏡の固定部材と回動部材とのネジ又は軸無し回動連結構造であって、固定部材の部分的に延長され屈曲された箇所には、第一磁着面と第二磁着面の二箇所の磁着面と貫通開口部が設けられ、そして、少なくとも前部が磁性体よりなる回動部材は屈曲された先端部とそれに続く該先端部よりやや幅広の本体部を有し、前記磁性体先端部又は磁石を設けられた先端部は、前記固定部材の貫通開口部より挿入され前記固定部材延長部のどちらか一方の磁着面に磁着され、もう一方の磁着面に対し回動部材を回動磁着させるようにされ、開拡状態と折り畳み状態が保持される様にした眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な回動連結構造の提供を図った。
【0006】
更に、上記固定部材を、フロントフレームとし、回動部材をテンプル又は副眼鏡フレームとし、何れもネジやピンを用いる事無く着脱可能に連結を図った。
【発明の効果】
【0007】
眼鏡に於いての、製造・組み立てが簡単に行える事になり、コストの削減、納期の短縮が可能となった。又、ユーザー装用時の故障が少なくなり、テンプルや副眼鏡フレームの交換もユーザーが簡単に行える事となりファッション的なデザインの幅が大きく増えた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
眼鏡の固定部材と回動部材とのネジ又は軸無し回動連結構造であって、固定部材の部分的に延長され屈曲された箇所には、第一磁着面と第二磁着面の二箇所の磁着面と貫通開口部が設けられ、そして、少なくとも前部が磁性体よりなる回動部材は屈曲された先端部とそれに続く該先端部よりやや幅広の本体部を有し、前記先端部は、前記固定部材の貫通開口部より挿入され前記固定部材延長部のどちらか一方の磁着面に磁着され、もう一方の磁着面に対し回動部材を回動磁着させるようにされ、開拡状態と折り畳み状態が保持される様にされた事を特徴とする、眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な回動連結構造。以下図によって詳しく実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の実施例の要部分解斜視図であり、固定部材10(この場合はフロントフレームのヨロイ部)は、延長屈曲された形状に形成され、屈曲された先端部11には表側に第一磁着面30とその裏側には第二磁着面31が設けられる。この場合、第一磁着面と第二磁着面は同じ磁石の裏表でも、別々の磁石であっても良い。そうして、前記屈曲された部分15には、貫通開口部16が設けられている。そして、この図の場合、磁性体よりなる回動部材20(この場合はテンプル)の先端部21は前記固定部材屈曲部の貫通開口部16に、ほぼ挿入出来るように合わされた高さに形成され曲げられ、そして、回動部材20の先端部21の付け根の本体部22は、ストッパーとして先端部21より高い幅を有する様に形成される。そして、回動部材先端部21裏面には磁石32が配置されている。
【0010】
そして、図2の要部平面図の様に、固定部材貫通開口部16から回動部材先端部21を嵌め込む様に回動部材を挿入する。その結果固定部材側の第一磁着面30と回動部材側磁石32が吸着仕合、回動部材20が開いた状態で保持される。これが眼鏡を掛ける時の状態である。そして、次に眼鏡を外して回動部材を折り畳む場合は、固定部材側の第二磁着面31に回動部材側20の内側の対応する部分23が吸着される様に磁力により回動固定され折り畳んだ状態が保持される。
【0011】
そして又、図3の様に回動部材20aが非磁性体である場合、回動部材の先端部21a部分に固定部材側第一磁着面30aと31aに対応し吸着する回動側第一磁着面32aと第二磁着面33を有する様にされる。又、この磁着面、すなわち磁石の配置は、回動部材の本体部33aと固定部材側34であっても良い。その他、例えば、図4の様に、回動部材20bの先端部21bが少し屈曲されたような形状でも良く、この様な例も本発明の応用例に含まれる事は言うまでもない。
【0012】
図5は本発明の組立てられた全体平面図であり、テンプル(回動部材)20cを開いた状態に於いても、折り畳んだ状態に於いてもテンプルが安定して保持され、折り畳み動作や開拡動作も、ネジやピンが無くても磁力によりスムーズに行える。又、組立てる際も、フロントフレーム(固定部材)10cの貫通開口部にテンプル先端部を差し込むだけでよいので誰でも簡単に行える。テンプルをオシャレにデザインして交換をするにも、ユーザーが簡単に行える事となった。又、図6の側面図の様に継手付近25も従来の眼鏡と外観・見栄えは変わらずデザイン性も高い。
【0013】
次に図7は、上記固定部材が主眼鏡フレーム40の場合であり、回動部材が副眼鏡フレーム50であり、固定部材上に延長・屈曲された箇所を形成し、屈曲された先端部60には、第一磁着面37及び第二磁着面38が設けられ、屈曲延長前面側には貫通開口部16aが設けられる。前記第一磁着面37及び第二磁着面38は、この場所に限らず延長屈曲部部分の他の場所であっても良い。そして、回動部材(副眼鏡フレーム)の上方の先端部52には磁石が表裏面に渡って設けられ、その基端部は前記回動部材上に固定されている。そして、回動部材(副眼鏡フレーム)50を使用しない時は、回動部材50を指等で掴んで上方へ廻せば、固定部材側の第一磁着面37から第二磁着面38に、回動部材側磁石39が磁力で引かれながら回動し、密着する。そうなる事により、回動部材(副眼鏡フレーム)が約90度の角度で跳ね上げられ、その状態が保持される。その状態から、回動部材(副眼鏡フレーム)を使用する時は、指等で下げれば済む。又、回動部材(副眼鏡フレーム)が不必要な時は、回動部材(副眼鏡フレーム)を指で少し斜め前に出し下に引けば簡単に外れる事となる。しかし、自然の状態では、磁力と、部材間の摩擦により簡単には外れない。そして、嵌める時は、固定部材の貫通開口部16aに差し込むだけで、カッチと位置決めが出来、貫通開口部16aと回動部材の先端部の寸法を合わせてあるのでズレ無いし、外れ難い。
【0014】
又、図8は、上記固定部材が主眼鏡で、回動部材が副眼鏡の場合の変化例であり、その他にもデザイン的な変化例は本発明の範疇である。
【0015】
図9は眼鏡の正面図であり、回動部材(副眼鏡フレーム)を取り付ける固定部材側(主眼鏡フレーム)の位置であり、ブリッジ部部分55、左右フレーム上部部分57が好ましい。又は、ヨロイ部分でも構わない。
【0016】
図10は、本発明の眼鏡の全体平面図であり、本発明の連結構造を使用し、テンプル20と副眼鏡フレーム50、50aとの両方を連結した場合であり、この様な色々な変化を楽しむ事が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0017】
色んな組合せの眼鏡スタイルを、ユーザー自身で、楽しめるようになり、処方眼鏡はもとよりサングラスに於いてもその使用法は大いに広がる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例の要部分解斜視図
【図2】本発明の実施例の要部平面図
【図3】本発明の実施例の要部平面図
【図4】本発明の実施例の要部平面図
【図5】本発明の実施例の全体平面図
【図6】本発明の実施例の全体側面図
【図7】本発明の他の実施例の要部断面側面図
【図8】本発明の他の実施例の要部断面側面図
【図9】本発明の実施例の説明用正面図
【図10】本発明の実施使用例の全体平面図
【符号の説明】
【0019】
10 固定部材(フロントフレーム)
11 固定部材屈曲先端部
16 固定部材貫通開口部
20 回動部材(テンプル)
21 回動部材先端部
30 磁着面(磁石)
40 固定部材(主眼鏡)
50 回動部材(副眼鏡)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡の固定部材と回動部材とのネジ又は軸無し回動連結構造であって、固定部材の部分的に延長され屈曲された箇所には、第一磁着面と第二磁着面の二箇所の磁着面と貫通開口部が設けられ、そして、少なくとも前部が磁性体よりなる回動部材は屈曲された先端部とそれに続く該先端部よりやや幅広の本体部を有し、前記磁性体先端部又は磁石が設けられた先端部は、前記固定部材の貫通開口部より挿入され前記固定部材延長部のどちらか一方の磁着面に磁着され、もう一方の磁着面に対し回動部材を回動磁着させるようにされ、開拡状態と折り畳み状態が保持される様にされた事を特徴とする、眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な回動連結構造。
【請求項2】
前記眼鏡の固定部材の延長部が眼鏡フロントフレームの左右両端部のヨロイ部であり、回動部材がテンプルの先端部である事を特徴とする、請求項1記載の眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な連結構造。
【請求項3】
前記眼鏡の固定部材が、主眼鏡フレームのブリッジ部分であり、回動部材が前記主眼鏡フレームの前面にあって跳ね上げ可能とされる副眼鏡のブリッジ部分である事を特徴とする、請求項1記載の眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な連結構造。
【請求項4】
前記眼鏡の固定部材が、主眼鏡フレームのフロントフレーム上部であり、回動部材が前記主眼鏡フレームの前面にあって跳ね上げ可能にされる副眼鏡のフロントフレーム上部である事を特徴とする、請求項1記載の眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な連結構造。
【請求項5】
前記第一磁着面と第二磁着面が同じ一枚の磁石の表裏である事を特徴とする、請求項1記載の眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な回動連結構造。
【請求項6】
前記第一磁着面と第二磁着面が別々の磁石である事を特徴とする、請求項1記載の眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な回動連結構造。
【請求項7】
前記テンプル又は副眼鏡フレームが非磁性体で、固定部材延長部第一及び第二磁着面に対応する回動部材先端部と又は/及び本体部とに磁性体又は磁石が設けられた事を特徴とする、請求項1から4項の何れか1項に記載の眼鏡の固定部材と回動部材の着脱自在な回動連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−223269(P2009−223269A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102898(P2008−102898)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(599140253)株式会社ユーロビジョン (5)
【Fターム(参考)】