着座センサ、及び、それを用いた座席装置
【課題】 着座センサによる違和感を防止しつつ、着座する人の荷重を適切に検出することができる着座センサ、及び、それを用いた座席装置を提供する。
【解決手段】 着座センサ1は、シートパン92と、シートパン92上に配置されるクッションパッド93との間に配される着座センサであって、第1感圧スイッチ40A、第2感圧スイッチ40D、及び、第3感圧スイッチ40Bを備え、第3感圧スイッチ40Bは、第1感圧スイッチ40Aと第2感圧スイッチ40Dとを通る直線と重ならないように配置され、第1感圧スイッチ40A、第2感圧スイッチ40B、及び、第3感圧スイッチ40Cは、電気的に直列に接続されていることを特徴とする。
【解決手段】 着座センサ1は、シートパン92と、シートパン92上に配置されるクッションパッド93との間に配される着座センサであって、第1感圧スイッチ40A、第2感圧スイッチ40D、及び、第3感圧スイッチ40Bを備え、第3感圧スイッチ40Bは、第1感圧スイッチ40Aと第2感圧スイッチ40Dとを通る直線と重ならないように配置され、第1感圧スイッチ40A、第2感圧スイッチ40B、及び、第3感圧スイッチ40Cは、電気的に直列に接続されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座センサ、及び、それを用いた座席装置に関し、特に着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両における安全システムの一つとして、人の乗車時にシートベルトの着用を検知し、シートベルトが着用されていない場合に警告を発するアラームシステムが実用化されている。このアラームシステムは、人の着座と、シートベルトの着用とを検知して、人の着座時にシートベルトが着用されていない場合に警告を発する。この人の着座の検知には、座席内の着座部分に配置されて、人の着座による荷重を検知する着座センサが用いられる場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、このような着座センサを備えた座席装置が記載されている。この特許文献1に記載の座席装置の着座センサは、複数のオン・オフタイプの感圧スイッチを有しており、これら複数の感圧スイッチでOR回路が構成されている。そして、この座席装置においては、座席の表皮とクッションパッドとの間に着座センサが配置されて、それぞれの感圧スイッチに圧力がかかると、感圧スイッチがオン状態となり、人の着座を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−315199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。図1において、色の濃い部分程、クッションパッドが高い荷重を受けている状態を示す。人が着座している状態において、人とクッションパッドとの間には、表皮のみが介在するため、図1に示すように、クッションパッド上においては、人の臀部が位置する部分に最も大きな荷重が加わる。そして、上記特許文献1に記載の着座センサは、感圧スイッチが、クッションパッド上における人の臀部が位置する部分に配置されることにより、人の着座を検出することができる。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の座席装置においては、上述のように着座センサが表皮とクッションパッドとの間に配置されるため、座席に着座する人が、表皮を介してクッションパッドによる感触と異なる感触を着座センサから受け、座席の着座部分に違和感を覚える場合がある。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の着座センサは、複数の感圧スイッチによりOR回路が形成されているため、感圧スイッチのどれか1つがオンすれば人の着座として検出をする。このため、座席上に置かれる荷物により、一部の感圧スイッチがオンとなる場合においても、人の着座として誤検出をしてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる着座センサ、及び、それを用いた座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の様な着座センサによる違和感を防止する方法について鋭意検討を行った。その結果、着座センサによる違和感を防止するには、座席のクッションパッドの下に配置されてクッションパッドを支えているシートパン上に着座センサを配置して、着座センサが、シートパンとクッションパッドとにより挟まれる構成にすれば良いという結論に至った。このように着座センサが配置された座席においては、着座する人と着座センサとの間にクッションパッドが介在するため、着座時における着座センサによる違和感を防止することができる。
【0010】
そこで、本発明者は、上記特許文献1に記載の着座センサをシートパン上に配置することを検討した。しかし、座席上に荷物が配置されると、上記特許文献1に記載の座席装置の様に、荷物の配置を人の着座として誤検出をしてしまうという問題があることが分かった。そこで、本発明者は、更に鋭意検討を重ねて、本発明をするに至った。
【0011】
本発明の着座センサは、シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドとの間に配される着座センサであって、少なくとも第1感圧スイッチ、第2感圧スイッチ、及び、第3感圧スイッチを備え、前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチと、前記第2感圧スイッチとを通る直線と重ならないように配置され、前記第1感圧スイッチ、前記第2感圧スイッチ、及び、前記第3感圧スイッチは、電気的に直列に接続されていることを特徴とするものである。
【0012】
このような着座センサは、シートパン上に配置されるため、着座センサによる違和感を防止することができる。ところで、本発明者の知見によれば、感圧スイッチがオンするような人の体重ほどの重量を有する荷物は、箱体に収納されていることが多い。そして、このような重量のある箱状の荷物を座席装置上に置く場合においては、通常、荷物が座席装置の形状に応じて傾くため、クッションパッドは、箱の稜線部分から最も荷重を受ける。このため、箱状の荷物の荷重によりシートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、直線状に広がる傾向がある。従って、このような着座センサによれば、第1〜第3感圧スイッチが、1つの直線状に並ぶように配置されていないため、このような重量のある荷物が座席装置に置かれる場合においても、第1〜第3感圧スイッチの全てがオンになることを抑制することができる。そして、全ての感圧スイッチが電気的に直列に接続されているため、一部の感圧スイッチがオンになる場合においても、荷物の配置を人の着座として、誤検出することを抑制することができる。また、このような着座センサが配置された座席装置に人が着座する場合においては、シートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、シートパン上に広く分散し、それぞれの感圧スイッチが、人の荷重による押圧力でオンとなり、人の着座を適切に検出することができる。
【0013】
また、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線を基準とした、左側及び右側のそれぞれに配置されることが好ましい。
【0014】
座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心に着座し、人の左右の骨盤は、この中心を通る中心線の左側及び右側においてクッションパッドを押圧する。一方、荷物は、クッションパッドの幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、このような座席装置によれば、この中心線の左側及び右側に配置された第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチにより、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することをより抑制することができる。
【0015】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの幅方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0016】
座席に着座する人は、通常、座席の前方を向いて着座する。この時、人の左右の骨盤は、クッションパッドの幅方向に並んで、クッションパッドを押圧する。従って、このような座席装置によれば、上記の中心線を基準とした左側及び右側に配置される感圧スイッチの少なくとも一組が、クッションパッドの幅方向に沿って並んでいるため、人の着座をより適切に検出することができる。
【0017】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記中心線を基準として互いに対称な位置に配置されていることが好ましい。
【0018】
座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心において、座席の前方を向いて着座するため、人の左右の骨盤は、上記の中心線を基準として、左右対称な位置に並んで、クッションパッドを押圧する。従って、このような座席装置によれば、人の着座を更に適切に検出することができる。
【0019】
さらに、上記座席装置において、前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチよりも前記中心線側に配置されていることが好ましい。
【0020】
上述のように、座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心に着座する。従って、上記の中心線の左側及び右側に配置される第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチよりも、クッションパッドの中心側に第3感圧スイッチを配置することにより、人の着座をより検出し易くすることができる。
【0021】
また、上記着座センサにおいて、それぞれの前記感圧スイッチは、可撓性を有する一対の樹脂製の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートの間に介在し、開口が形成されたシート状のスペーサと、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極と、を有し、前記一対の電極の少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇することが好ましい。
【0022】
可撓性を有するような樹脂は、通常、温度の上昇と共に屈曲強度が弱くなるため、座席装置が置かれる環境の温度が上昇すると、弱い押圧力で一対の電極が接触し易くなる。一方、対向する電極の少なくとも一方は、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する。従って、このような着座センサによれば、温度の上昇と共に電極が接触し易くなるが、接触した電極に電流が流れづらくなる。このように電極同士の接触のしやすさと、電極に流れる電流の流れづらさとが相殺し合って、温度が変化する場合においても、感圧スイッチがオンとなる押圧力が変化することを抑制することができる。特に自動車の車内は、温度の変化が大きいため、このような着座センサは、自動車用途に有用である。
【0023】
また、本発明の座席装置は、シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される上記のいずれかの着座センサと、を備えることを特徴とするものである。
【0024】
このような座席装置によれば、人が着座する際に、着座センサによる違和感を防止することができ、更に、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる。
【0025】
また、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線を基準とした、左側及び右側のそれぞれに配置されることが好ましい。
【0026】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの幅方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0027】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記中心線を基準として互いに対称な位置に配置されていることが好ましい。
【0028】
さらに、上記座席装置において、前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチよりも前記中心線側に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる着座センサ、及び、それを用いた座席装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
【図3】図1に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図4】図1に示す第2電極シートを示す平面図である。
【図5】スペーサを示す平面図である。
【図6】図1のV−V線における断面の様子を示す図である。
【図7】図1に示す着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。
【図9】シートパンを上方から見た概念図である。
【図10】座席装置に人が正規着座した状態で、シートパンが、表皮及びクッションパッドを介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。
【図11】座席装置内に着座センサが配置された状態で、感圧スイッチがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
【図13】図12に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図14】図12に示す第2電極シートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す平面図である。図2に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と、第1電極シート10に重ねられる第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20とで挟まれるスペーサと、第1電極シート10及び第2電極シート20のスペーサとは反対側にそれぞれ配置されるクッション部材とを主な構成要素として備える。
【0033】
図3は、図2に示す第1電極シート10を示す平面図である。図3に示すように、第1電極シート10は、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に形成される第1電極14A〜14Dと、第1絶縁シート11の表面に形成される端子42A、42Bとを主な構成要素として備える。
【0034】
第1絶縁シート11は、帯状の底部部位11Aと、底部部位11Aの長手方向と垂直な方向に延在し、互いに合同な一組の帯状の側部部位11B、11Cと、底部部位11Aの長手方向と平行な方向に延在する帯状の上部部位11Dと、底部部位11Aの長手方向と平行な方向に延在する一組の帯状のアーム部位11E、11Fと、底部部位11Aの長手方向と垂直な方向に延在し、側部部位11B、11Cよりも短い帯状のテール部位11Gとから成る。底部部位11Aの一端には、一方の側部部位11Bの一端が接続されており、底部部位11Aの他端には、他方の側部部位11Cの一端が接続されている。更に、側部部位11Bの他端は、上部部位11Dの一端と連結されており、側部部位11Cの他端は、上部部位11Dの他端と連結されている。こうして、底部部位11A、及び、それぞれの側部部位11B、11C、及び、上部部位11Dにより略四角形の形状とされて、底部部位11A、側部部位11B、11C、上部部位11Dにより、略四角形の開口が形成されている。また、一方の側部部位11Bの途中には、一方のアーム部位11Eの一端が開口の外側で連結されており、アーム部位11Eの他端は、開口の外側において自由端とされている。さらに、他方の側部部位11Cの途中には、他方のアーム部位11Fの一端が開口の外側で連結されており、アーム部位11Fの他端は、開口の外側において自由端とされている。また、テール部位11Gの一端は、底部部位11Aの長手方向の中間部分における開口の内側に連結しており、テール部位11Gの他端には、何も接続されておらず、この他端は開口内において自由端とされている。このような構成により、第1絶縁シート11は、テール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線を基準として、対称な形状とされている。
【0035】
第1絶縁シート11上の第1電極14A〜14Dは、それぞれ略円形の形状をしている。そして、第1電極14Aは、一方のアーム部位11Eの自由端側の端縁から所定の間隔をあけて、アーム部位11E上に設けられており、第1電極14Dは、他方のアーム部位11Fの自由端側の端縁から所定の間隔をあけて、アーム部位11F上に設けられている。また、第1電極14Bは、一方の側部部位11Bと、上部部位11Dの一端とが連結している場所において、側部部位11B上に設けられている。さらに、第1電極14Cは、他方の側部部位11Cと、上部部位11Dの他端とが連結している場所において、側部部位11B上に設けられている。こうして、第1電極14Aと、第1電極14Dとは、テール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線を基準として、互いに対称とされ、第1電極14Bと、第1電極14Cとは、テール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線を基準として、互いに対称とされている。そして、第1電極14B、及び、第1電極14Cは、第1電極14A、及び、第1電極14Dよりもテール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線側に配置されている。そのため、第1電極14A〜14Dは、第1電極14A〜14Dを結ぶ線により、略台形が描かれるように配置され、第1電極14B及び第1電極14Cは、第1電極14A及び第1電極14Dを通る直線と重ならないように配置されている。
【0036】
また、それぞれのアーム部位11E、11Fに設けられている第1電極14A、14Dは互いに同じ直径とされ、側部部位11B、11Cと、上部部位11Dとが連結しているそれぞれの場所に設けられている第1電極14B、14Cは、互いに同じ直径とされている。そして、第1電極14A、14Dの直径と、第1電極14B、14Cの直径とは、互いに異なっており、第1電極14A、14Dは、第1電極14B、14Cよりも、大きな直径とされている。
【0037】
また、端子42A、42Bは、略四角形の形状をなし、端子42A、42Bは、テール部位11Gの表面における自由端側の端縁から所定の間隔をあけた位置に、テール部位11Gの長手方向に垂直な方向に沿って並設されている。
【0038】
さらに、第1電極14A及び端子42Aは、第1配線16Aにより互いに電気的に接続されている。この第1配線16Aは、アーム部位11Eの長手方向に延在して、一端が第1電極14Aに接続されると共に、アーム部位11Eと側部部位11Bとの連結点において垂直に折れ曲がり、側部部位11Bの長手方向に更に延在する。そして、第1配線16Aは、側部部位11Bと底部部位11Aとの連結点において、再び垂直に折れ曲がり、底部部位11Aの長手方向に更に延在し、底部部位11Aとテール部位11Gとの連結点において再び垂直に折れ曲がり、テール部位11Gの長手方向に更に延在して、他端が端子42Aに接続されている。また、第1電極14D及び端子42Bは、第1配線16Bにより互いに電気的に接続されている。この第1配線16Bは、アーム部位11Fの長手方向に延在して、一端が第1電極14Dに接続されると共に、アーム部位11Fと側部部位11Cとの連結点において垂直に折れ曲がり、側部部位11Cの長手方向に更に延在する。そして、第1配線16Bは、側部部位11Cと底部部位11Aとの連結点において、再び垂直に折れ曲がり、底部部位11Aの長手方向に更に延在し、底部部位11Aとテール部位11Gとの連結点において再び垂直に折れ曲がり、テール部位11Gの長手方向に更に延在して、他端が端子42Bに接続されている。さらに、第1電極14B及び第1電極14Cは、第1配線16Cにより互いに電気的に接続されている。この第1配線16Cは、上部部位11Dの長手方向に延在して、一端が第1電極14Bに接続され、他端が第1電極14Cに接続されている。
【0039】
こうして、図3に示すように第1電極シート10においては、上述のように第1電極14Bと第1電極14Cとが、互いに電気的に接続され、そして、第1電極14B、14Cと、第1電極14Aと、第1電極14Dとが、互いに絶縁されている。
【0040】
図4は、図2に示す第2電極シートを示す平面図である。図4に示すように、第2電極シート20は、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Dを主な構成要素として有する。
【0041】
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11における底部部位11Aと形状及び大きさが同じである底部部位21Aと、第1絶縁シート11における一組の側部部位11B、11Cと形状及び大きさが同じである一組の側部部位21B、21Cと、第1絶縁シート11における上部部位11Dと形状及び大きさが同じである上部部位21Dと、第1絶縁シート11における一組のアーム部位11E、11Fと形状及び大きさが同じである一組のアーム部位21E、21Fと、第1絶縁シート11のテール部位11Gと幅が同じで、長さが短い形状とされるテール部位21Gとから構成される。そして、底部部位21A、及び、側部部位21B、21C、及び、上部部位21D、及び、アーム部位21E、21Fは、第1電極シート10と第2電極シート20を重ね合わせたときに、第1絶縁シート11における底部部位11A、及び、側部部位11B、11C、及び、上部部位11D、及び、アーム部位11E、11Fと完全に重なるようにそれぞれ連結されている。また、第2絶縁シート21のテール部位21Gは、第1電極シート10と第2電極シート20を重ね合わせたときに、第1電極シートのテール部位11Gと重なって、第1電極シート10の端子42A、42Bが露出するように、底部部位21Aと連結されている。なお、本実施形態においては、第2絶縁シート21と第1絶縁シート11とは、同じ可撓性を有し、同じ力が加えられる場合に、同じように撓むように構成されている。
【0042】
また、第2電極24A〜24Dは、第1電極14A〜14Dと同じ形状、大きさとされている。さらに、第2電極24A〜24Dは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Dと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0043】
また、第2電極24A及び第2電極24Bは、第2配線26Aにより互いに電気的に接続されている。この第2配線26Aは、アーム部位21Eの長手方向に延在して、一端が第2電極24Aに接続されると共に、アーム部位21Eと一方の側部部位21Bとの連結点において垂直に折れ曲がり、更に側部部位21Bの長手方向に延在して、他端が第2電極24Bに接続されている。また、第2電極24D及び第2電極24Cは、第2配線26Bにより互いに電気的に接続されている。この第2配線26Bは、アーム部位21Fの長手方向に延在して、一端が第2電極24Dに接続されると共に、アーム部位21Fと他方の側部部位21Cとの連結点において垂直に折れ曲がり、更に側部部位21Cの長手方向に延在して、他端が第2電極24Cに接続されている。
【0044】
こうして、図4に示すように第2電極シート20においては、上述のように第2電極24Aと第2電極24Bとが、互いに電気的に接続されると共に、第2電極24Dと第2電極24Cとが、互いに電気的に接続され、そして、第2電極24A、24Bと、第2電極24D、24Cとが、互いに絶縁されている。
【0045】
図5は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に挟まれるスペーサを示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シートからなる。そして、図5に示すように、スペーサ30は、外形が第2電極シート20と一致している。
【0046】
また、スペーサ30には、周縁が略円形の形状とされている開口34A〜34Dが形成されている。開口34A、34Dは、第1電極14A、14Dよりも直径が僅かに小さく形成され、開口34B、34Cは、第1電極14B、14Cよりも直径が僅かに小さく形成されている。上述のように第1電極14A、14Dは、第1電極14B、14Cよりも大きな直径とされているため、開口34A、34Dの直径と、開口34B、34Cの直径とは、互いに異なっており、開口34A、34Dは、開口34B、34Cよりも、大きな直径とされている。さらに、開口34A〜34Dは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿って見る場合に、第1電極14A〜14Dのそれぞれの外周の内側にそれぞれの開口34A〜34Dが収まるような位置に形成されている。
【0047】
また、スペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Dをスペーサ30の外部と空間的に接続するスリット36A〜36Dが形成されている。具体的には、それぞれのスリット36A〜36Dは、一端がスペーサ30の外部と接続されている。そして、スリット36Aの他端は、開口34Aと接続され、スリット36Bの他端は、開口34Bと接続され、スリット36Cの他端は、開口34Cと接続され、スリット36Dの他端は、開口34Dと接続されている。
【0048】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
【0049】
図6は、図2に示すV−V線に沿った断面の様子を示す図である。図2、図6に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
【0050】
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、一体化された状態で、着座センサ1に対して垂直な方向から見る場合に、図2に示すように第1電極シート10の第1電極14A、及び、第2電極シート20の第2電極24Aは、互いに重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Aは、第2電極24Aの外形内に収まっている。そして、第1電極14Aと第2電極24Aとは、図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Aが形成されたシート状のスペーサ30と、開口34Aを介して互いに対向する一対の電極14A、24Aとを有する感圧スイッチ40Aが構成されている。同様に他の第1電極14B〜14Dと、他の第2電極24B〜24Dとが、それぞれスペーサ30の開口34B〜34Dにおいて所定の間隔をあけて対向し、図2に示すように感圧スイッチ40B〜40Dが構成されている。なお、以下の説明において、感圧スイッチ40Aを第1感圧スイッチと呼び、感圧スイッチ40Dと第2感圧スイッチと呼び、感圧スイッチ40Bを第3感圧スイッチと呼び、感圧スイッチ40Cを第4感圧スイッチと呼ぶ場合がある。
【0051】
そして、上述のように、第1電極シート10においては、第1電極14A〜14Dは、第1電極14A〜14Dを結ぶ線により、略台形が描かれ、第1電極14B及び第1電極14Cは、第1電極14A及び第1電極14Dを通る直線と重ならないように配置されている。従って、着座センサ1においては、感圧スイッチ40A〜40Dは、感圧スイッチ40A〜40Dを結ぶ線により、略台形が描かれ、感圧スイッチ40B及び感圧スイッチ40Cは、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40Dを通る直線と重ならないように配置されている。別言すれば、感圧スイッチ40A〜40Dは、直線状に並ばないように配置されており、第3感圧スイッチ40B及び第4感圧スイッチ40Cは、第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dを通る直線と重ならないように配置されている。
【0052】
なお、上述のように開口34B、34Cの直径は、開口34A、34Dの直径よりも小さく形成されているため、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが同じ大きさ力で押圧されても、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも第1絶縁シート11、第2絶縁シート21が撓みにくくされている。
【0053】
また、図2、図6に示すように、第2絶縁シート21のスペーサ30側とは反対側には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材52が設けられている。クッション部材52は、第2絶縁シート21上において、一方の端部側が感圧スイッチ40Aを覆うように配置されている。そして、クッション部材52は、第2絶縁シート21のアーム部位21Eの長手方向に沿って延在して、第2絶縁シート21のアーム部位21Eと一方の側部部位21Bとが連結している場所において、垂直に折れ曲がり、側部部位21Bの長手方向に沿って延在する。さらに、クッション部材52は、第2絶縁シート21の側部部位21Bと上部部位21Dとが連結される場所において、感圧スイッチ40Bを覆うと共に、垂直に折れ曲がり、上部部位21Dの長手方向に沿って延在する。そして、クッション部材52は、第2絶縁シート21の上部部位21Dと他方の側部部位21Cとが連結される場所において、感圧スイッチ40Cを覆うと共に、垂直に折れ曲がり、側部部位21Cの長手方向に沿って延在する。そして、クッション部材52は、第2絶縁シート21の側部部位21Cとアーム部位21Fとが連結している場所において、垂直に折れ曲がり、アーム部位21Fの長手方向に沿って延在して、クッション部材52の他方の端部側において、感圧スイッチ40Dを覆っている。こうしてクッション部材52は、感圧スイッチ40A〜40Dを覆っている。
【0054】
また、図6に示すように、第1絶縁シート11のスペーサ30側とは反対側には、クッション部材51が設けられている。クッション部材51は、クッション部材52と同じ形状であり、第1絶縁シート11に垂直な方向から見る場合に、クッション部材52と外形が重なっている。従って、クッション部材51は、第1絶縁シート11のスペーサ30側と反対側において、感圧スイッチ40A〜40Dを覆っている。
【0055】
なお、本実施形態においては、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は、同じ材質で、同じ弾性力を有しており、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
【0056】
図7は、図2に示す着座センサ1の回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成されるそれぞれの感圧スイッチ40A〜40D、及び、それぞれの端子42A、42Bは、図7に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16C、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A、26Bにより互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Dが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。そして、端子42A、感圧スイッチ40A、感圧スイッチ40B、感圧スイッチ40C、感圧スイッチ40D、端子42Bは、この順に電気的に直列接続されている。
【0057】
図8は、本発明の実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、図8の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、図8の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。図8の(A)及び(B)に示すように、座席装置9は、シートパン92と、シートパン92の上に配置されるクッションパッド93と、背もたれ96と、シートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている着座センサ1と、を主な構成として備えており、座席装置9は、例えば、車両用の座席装置とされる。
【0058】
シートパン92は、合成の高い金属板が折曲げ加工されて構成されており、図8の(A)に示すように、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lを基準として、線対称の形状をしている。また、シートパン92には、略中央に略四角形の孔94Aが形成されており、さらに、孔94Aよりも後方に略四角形の孔94Bが形成されている。図8の(B)に示すように、この孔94Aは、座席装置9に人が正規着座した状態におけるヒップポイントHPよりも前方に形成されており、孔94Bは、ヒップポイントHPよりも僅かに後方に形成されている。
【0059】
なお、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれに接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、図8の(B)に示すように、人が着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
【0060】
そして、このシートパン92により、クッションパッド93が支えられている。クッションパッド93は、クッション性を有する発泡ウレタンから構成されている。従って、クッションパッド93は、弾性力を有し、押圧力が加わると潰れるように変形する。また、クッションパッド93は、図示しない布製の表皮に覆われている。
【0061】
背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段によりシートパン92と接続されている。
【0062】
着座センサ1は、図8の(B)に示すように、座席装置9におけるシートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている。また、着座センサ1がこのように配置された状態において、第2絶縁シート21がクッションパッド93側に配置されて、クッション部材52がクッションパッド93と第2絶縁シート21とにより挟まれ、さらに、第1絶縁シート11がシートパン92側に配置されて、クッション部材51がシートパン92と第1絶縁シート11とにより挟まれている。さらに、着座センサ1は、図8の(A)に示すように、着座センサ1の開口内にシートパン92の孔94Aが位置するように配置されている。そして、感圧スイッチ40A、40Dは、中心線Lを基準とした左側及び右側において、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されて、中心線Lに対して、互いに対称な位置とされており、孔94Aを挟んでいる。また、感圧スイッチ40B、40Cは、孔94Aの前方における中心線Lを基準とした左側及び右側において、幅方向に沿って配置されて、中心線Lに対して、互いに対称な位置とされている。上述のように孔94Aは、ヒップポイントHPよりも前方に形成されているため、着座センサ1は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが、シートパン92上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方となるように配置されている。
【0063】
そして、端子42A、42Bは、孔94Aからシートパン92の下方に導出されて、外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続される。
【0064】
図9は、シートパン92を上方から見た概念図である。図9におけるMGは、最大荷重領域を示し、座席装置に合わせて予め測定される領域である。この最大荷重領域MGは、ヒップポイントHPよりも前方の領域とされ、本実施形態において、最大荷重領域MGは、孔94Aに横方向に隣接する領域とされる。なお、最大荷重領域とは、シートパン92がクッションパッド93から最も押圧力を受けていない場所における押圧力を0として、シートパン92がクッションパッド93から最も大きな押圧力を受けている場所における押圧力を100とする場合に、90以上の押圧力をうける領域をいう。この最大荷重領域MGがヒップポイントHPよりも前方とされる理由は、次のように考えられる。すなわち、人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。こうして、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも強くなる。そして、人が正規着座する際、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座する。従って、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、中心線Lの付近が、大きな力で押圧される傾向がある。そのため、ヒップポイントHPよりも前方で、クッションパッド93の幅方向の中心に形成されている孔94Aと隣接する領域が他の孔と隣接する領域よりも大きな力で押圧される。また、上述のように背中にかかる力が人の臀部を前方に押すため、このシートパンが受ける力は、前方に広がり、さらに上述のように人が座席装置9に正規着座する際、人はクッションパッド93の幅方向の略中心において、左右対称に着座し、人の骨盤は、中心線Lを基準に左右方向に対称に配置されるため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称に幅方向にも広がる。なお、図9においては、シートパン92の最大荷重領域MGをクッションパッド93の幅方向に延在する帯状の領域をBGとして示している。
【0065】
そして、上述のように、着座センサ1の感圧スイッチ40A、40Dは、孔94Aを挟んでシートパン92の幅方向に配置され、感圧スイッチ40B、40Cは、孔94Aの前方に配置されており、感圧スイッチ40A、40Dは、帯状の領域BGと重なる場所に配置され、感圧スイッチ40B、40Cは、帯状の領域BGよりも前方に配置されている。従って、感圧スイッチ40A〜40Dは、帯状の領域BGから前方に配置されている。このとき、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Dとの距離は、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Cとの距離よりも長いため、帯状の領域BGに近い感圧スイッチが、中心線Lから遠い位置に配置されている。
【0066】
次に、座席装置9における着座センサ1の動作について説明する。
【0067】
図10は、図1と同じように、座席装置9に人が正規着座した状態で、座席装置9のシートパン92が、表皮及びクッションパッド93を介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。図10に示すように、シートパン92に形成された孔94Aと隣接する領域92aが、クッションパッド93から最も高い押圧力を受けており、更に領域92aの外側の領域92bが、次に高い押圧力を受けており、そして、領域92bの外側の領域92cが次に高い押圧力を受けている。座席装置9においては、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散しており、上述のように、94Aの周りが最も高く、孔94Aの前方及び幅方向に広がっている。また、ヒップポイントHPよりも後方に形成されている孔94Bの周辺においては、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、孔94Aの周辺と比べて弱い。
【0068】
図10に示すように、シートパン92は、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、中心線Lの付近が、大きな力で押圧されている。そして、直径の小さな開口34B、34Cを有する感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも中心線Lの近くに配置されており、感圧スイッチ40B、40Cが配置されている場所は領域92a内とされている。また、中心線から離れた場所に配置されている感圧スイッチ40A、40Dが配置されている場所は、領域92b内とされている。このため、感圧スイッチ40B、40Cには、直径の大きな開口34A、34Dを有する感圧スイッチ40A、40Dよりも大きな力で押圧されている。
【0069】
図11は、座席装置9内に着座センサ1が配置された状態で、感圧スイッチ40Aがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。なお、図11においては、理解の容易のため、シートパン92及びクッションパッド93は、一部分のみを示している。
【0070】
座席装置9に人が着座すると、図11に示すように、着座センサ1の両面に対して垂直な方向から、シートパン92及びクッションパッド93によって、矢印で示すように適切に押圧される。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51は、シートパン92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Aに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Aを介して対向する絶縁シート11、21に設けられた電極14A、24Aが接触する。こうして、感圧スイッチ40Aがオンとなる。
【0071】
そして、中心線Lを基準として、感圧スイッチ40Aと対称な位置に配置されている感圧スイッチ40Dも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。また、上述のように、人が座席装置9に正規着座すると、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散しており、図10に示すように、帯状の領域BGよりも先方においても、シートパン92は、クッションパッド93から押圧されている。従って、感圧スイッチ40B、40Cも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。このとき、上述のように感圧スイッチ40B、40Cにおけるスペーサ30の開口34B、34Cは、感圧スイッチ40A、40Bにおけるスペーサ30の開口34A、34Dよりも小さいため、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも、大きな力で押圧されなければオンしない。しかし、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも中心線Lに近く配置されている。従って、人が座席装置9に着座したときに、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dと共に適切にオンとなる。
【0072】
そして、上述のように、感圧スイッチ40A〜40Dは、電気的に直列に接続されているため、感圧スイッチ40A〜40Dの全てがオンになる場合に、端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。
【0073】
なお、本実施形態の着座センサ1においては、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14A〜14Dと電極24A〜24Dとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40A〜40Dをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
【0074】
また、シートパン92及びクッションパッド93からは略同じ押圧力が着座センサ1に加えられる。従って、シートパン92からクッション部材51に加えられる押圧力と、クッションパッド93からクッション部材52に加えられる押圧力とは略同じである。そして、本実施形態においては、上述のようにクッション部材51、52は、同じ弾性力を有するため、同じ押圧力が加えられると、クッション部材51、52が、絶縁シート11、21を同じ弾性力で押圧する。従って、絶縁シート11、21は、同じように撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dにおける一対の電極14A〜14D、24A〜24Dは、開口34A〜34D内において、スペーサ30の厚さ方向における、略中心付近において接触する。このため、一方の絶縁シートの撓み量が大きくなるということが抑制されており、着座の検出感度が向上されている。
【0075】
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、各開口34A〜34D内の空気は、スリット36A〜36Dを介して外部に排出される。従って、各感圧スイッチ40A〜40Dがオンになるとき、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、各感圧スイッチ40A〜40Dの一対の電極が接触し易くされている。
なお、人の重量ほどない荷物が、座席装置9の着座部分に配置されても、シートパン92の孔94Aの周囲に僅かに押圧力がかかるだけである。従って、このような荷物が置かれる場合においても、感圧スイッチ40A〜40Dは、同時にオンされない。また、仮に荷物がクッションパッド93の端によって配置され、感圧スイッチ40A、40Dの一方がオンする場合においても、人の体重ほどの重量を有する荷物が座席に置かれることは稀であるため、通常、感圧スイッチ40A、40Dと感圧スイッチ40B、40Cとが同時にオンしない。そして、上述のように感圧スイッチ40A〜40Dは、直列に接続されているため、荷物の配置を人の着座として誤検出することが防止できる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態の着座センサ1をシートパン上に配置することにより、着座センサによる違和感を防止することができる。また、本発明者の知見によれば、感圧スイッチ40A〜40Dがオンするような人の体重ほどの重量を有する荷物は、箱体に収納されていることが多い。そして、このような重量のある箱状の荷物を座席上に置く場合においては、通常、荷物が座席装置9の形状に応じて傾くため、クッションパッド93は、箱の稜線部分から最も荷重を受ける。このため、箱状の荷物の荷重によりシートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、直線状に広がる傾向がある。しかし、本実施形態の着座センサによれば、第3感圧スイッチ40B及び第4感圧スイッチ40Cは、第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dを通る直線と重ならないように配置され、感圧スイッチ40A〜40Dは、1つの直線状に並ぶように配置されておらず、シートパン92上に分散して配置されている。このため、着座センサ1がシートパン92上に配置された座席装置9によれば、このような重量のある荷物が座席装置9に置かれる場合においても、全ての感圧スイッチ40A〜40Dがオンになることを抑制することができる。そして、全ての感圧スイッチ40A〜40Dが、電気的に直列に接続されているため、一部の感圧スイッチがオンになる場合においても、荷物の配置を人の着座として、誤検出することを抑制することができる。また、着座センサ1が配置された座席装置9に人が着座する場合においては、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、図10を用いて説明したようにシートパン92上に広く分散し、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが、人の荷重による押圧力でオンとなり、人の着座を適切に検出することができる。
【0077】
また、上述のように背もたれ96を備える座席装置9に人が正規着座して、クッションパッド93に荷重がかかるとき、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも比較的強い。従って、本実施形態の座席装置9によれば、感圧スイッチ40A〜40Dが、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置されているため、人の着座を適切に検出することができる。
【0078】
また、座席装置9に着座する人は、通常、座席装置9の前方を向いてクッションパッド93の幅方向の中心に着座し、人の左右の骨盤は、中心線Lの左側及び右側においてクッションパッド93を押圧する。一方、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、座席装置9のように、第1感圧スイッチ40Aと第2感圧スイッチ40Dが、クッションパッド93の中心線Lを基準とした、左側及び右側のそれぞれに配置されることで、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することをより抑制することができる。
【0079】
さらに、人が上記のように着座する場合、人の左右の骨盤は、クッションパッド93の幅方向に沿って並んで、クッションパッド93を押圧する。従って、座席装置9においては、中心線Lを基準とした左側と右側に配置される第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dが、クッションパッド93の幅方向に沿って並んでいるため、人の着座をより適切に検出することができる。
【0080】
またさらに、第1感圧スイッチ40Aと第2感圧スイッチ40D及び第3感圧スイッチ40Bと第4感圧スイッチ40Cとは、中心線Lを基準として互いに対称な位置に配置されている。従って、人の着座を更に適切に検出することができる。
【0081】
また、第3感圧スイッチ40B及び第4感圧スイッチ40Cは、左右対称に配置される第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dよりも、クッションパッド93の中心側に配置されるため、人の着座をより検出し易くすることができる。
【0082】
また、上記実施形態においては、感圧スイッチ40B,40Cにおける開口34B、34Cの直径が、感圧スイッチ40A,40Dにおける開口34A、34Dの直径よりも小さく形成されている。つまり少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにされている。上述のように、人が座席装置9に着座する場合において、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92の場所により異なるが、着座センサ1をこのように構成することにより、シートパン92上において、クッションパッド93から比較的小さな押圧力がかかる場所に開口の直径が大きな感圧スイッチを配置して、比較的大きな押圧力がかかる場所に開口の直径が小さな感圧スイッチを配置することができる。このように着座センサを配置することにより、クッションパッド93上に人が着座して、スペーサ30に形成された開口の直径が互いに異なるそれぞれの感圧スイッチに対して、異なる押圧力がかかる場合に、それぞれの感圧スイッチにおける絶縁シート11、21が適切に撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが適切にオンすることができる。このため、人の着座を適切に検出することができる。
【0083】
また、人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心に着座するため、クッションパッド93がシートパン92を押圧する大きさは、中心線Lを基準として略対称となる。そして、本実施形態においては、開口の直径が互いに等しい少なくとも2つの感圧スイッチ40A、40D、或いは、感圧スイッチ40B、40Cが、中心線Lを基準とした左側及び右側に少なくとも1つずつ配置されている。従って、本実施形態の着座センサ1によれば、人の着座をより適切に検出して、クッションパッド93の幅方向に中心に配置されない荷物を人の着座として荷物を誤検出することを抑制することができる。そして、上記実施形態においては、中心線Lの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチ40A、40D、或いは、感圧スイッチ40B、40Cの少なくとも一組が、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されており、更に上記実施形態においては、中心線Lの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチ40A、40D、或いは、感圧スイッチ40B、40Cの少なくとも一組が、中心線Lを基準として互いに対称な位置に配置されている。従って本実施形態の着座センサ1によれば、人の着座を更に適切に検出し、荷物を人の着座として誤検出することを更に抑制できる。
【0084】
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
【0085】
第1電極シート10の絶縁シート11、及び、第2電極シート20の絶縁シート21、及び、スペーサ30は、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成される。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
【0086】
また、スペーサ30の両面に塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
【0087】
また、第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24D、及び、第1配線16A〜16C、及び、第2配線26A、26B、及び、端子42A、42Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、或いは、これらの積層体等が挙げられる。
【0088】
特に、第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24Dの少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇する材料から構成されることが好ましい。第1絶縁シート11、第2絶縁シート21のような可撓性を有する樹脂は、通常、温度の上昇と共に撓み易くなり、座席装置9が置かれる環境の温度が上昇すると、弱い押圧力で第1電極14A〜14Dと第2電極24A〜24Dとが接触し易くなる。この場合において、上述のように、第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24Dの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する電極であれば、温度の上昇と共に第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓み易くなり、第1電極14A〜14Dと第2電極24A〜24Dとが接触し易くなるが、接触した電極に電流が流れづらくなる。従って、電極同士の接触のしやすさと、電極に流れる電流の流れづらさとが相殺し合って、座席装置9の環境温度が変化する場合においても、感圧スイッチ40A〜40Dがオンとなる押圧力が変化することを抑制することができる。特に、座席装置9が自動車に搭載される場合においては、車内の温度の変化が大きい。そして、一般にシートパン92は金属性であるため、着座センサ1に熱が伝達し易い。従って、上述のように第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24Dの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する材料から構成されれば、車内が温度変化する場合においても、適切に人の着座を検知することができる。従って、このような座席装置9は、特に自動車用途に有用である。このような電極としては、銀ペースト上にカーボンペーストが塗布された2層の電極を挙げることができる。
【0089】
また、クッション部材51、52は、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51、52の材料としては、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等を挙げることができる。このような樹脂としては、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂をあげることができ、このような樹脂であれば、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が自動車等の環境温度の変化が大きい場所に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
【0090】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12〜図14を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。図12は、本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【0091】
図12に示すように、本実施形態における着座センサ2は、感圧スイッチ40A〜40Dの第1電極14A〜14Dが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。
【0092】
図13は、図12に示す第1電極シートを示す平面図である。図13に示すように、第1電極14A〜14Dを構成する櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
【0093】
そして、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。そして、第1電極14Aにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Dに接続される。この第1配線16Dは、第1絶縁シート11上において、一端が、上記の様に第1電極14Aにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体に接続され、アーム部位11Eの長手方向に延在すると共に、アーム部位11Eと一方の側部部位11Bとの連結点において垂直に折れ曲がり、更に側部部位11Bの長手方向に延在して、他端が第1電極14Bにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続されている。また、第1電極14Bにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Cの一端に接続され、第1配線16Cの他端は、第1電極14Cにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続されている。第1電極14Cにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Eの一端に接続されている。この第1配線16Eは、第1絶縁シート11上において、上記の様に一端が第1電極14Cにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体に接続されて、他方の側部部位11Cの長手方向に延在すると共に、側部部位11Cとアーム部位11Fとの連結点において垂直に折れ曲がり、更にアーム部位11Fの長手方向に延在して、他端が第1電極14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続されている。そして、第1電極14Dにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Bの一端に接続される。
【0094】
図14は、図12に示す第2電極シートを示す平面図である。図14に示すように、本実施形態の第2電極シート20は、第2配線26A、26Bが設けられていない点において、第1実施形態の第2電極シート20と異なる。
【0095】
そして、図12に示すように、図13に示す第1電極シート10と第2電極シート20とが、第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねられて一体化されている。
【0096】
本実施形態の着座センサ2は、第1実施形態の着座センサ1と同様に座席装置に配置され、座席装置に人が着座することにより、クッションパッドとシートパンにより感圧スイッチ40A〜40Dが押圧されると、第2電極24A〜24Dが、第1電極14A〜14Dにおけるそれぞれの平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Dにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Dを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Dがオンとなる。このように感圧スイッチ40A〜40Dがオンとなることにより、着座センサ2により人の着座が検出される。
【0097】
以上、本発明について、第1、第2実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
例えば、上記実施形態において、着座センサ1の感圧スイッチの数を4つとしたが、本発明はこれに限らず、感圧スイッチの数を3つでもよく、5つ以上でも良い。例えば、第4感圧スイッチ40Cは、必須ではない。
【0099】
また、各感圧スイッチ40A〜40Dにおける、第1電極14A、14Dと第2電極24A、24D、及び、第1電極14B、14Cと第2電極24B、24Cとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとしたが、本発明はこれに限らず、押圧力を検知できる範囲で、大きさや形状等が第1電極14A、14Dと第2電極24A、24D、及び、第1電極14B、14Cと第2電極24B、24Cとで異なっていても良い。或いは、第1電極14A〜14D及び第2電極24A〜24Dの全てが同じ形状、大きさであっても良い。
【0100】
また、上記実施形態において、感圧スイッチ40A、40Dの開口34A、34Dと、感圧スイッチ40B、40Cの開口34B、34Cの直径を互いに異なるものとしたが、感圧スイッチ40A〜40Dの全てを同じ構成としても良い。
【0101】
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Dに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を検知することができる。
【0102】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
【0103】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Dを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Dを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とが、互いに同じ可撓性を有し、同じ力が加わると同じように撓むとしたが、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とは、互いに異なる可撓性を有していても良い。
【0105】
また、上記実施形態において、感圧スイッチ40A、40Bと、感圧スイッチ40C、40Dとが、線Lを基準として、線対称となるように配置されているとしたが、感圧スイッチ40A、40Bの少なくとも1つと、感圧スイッチ40C〜40Dの少なくとも1つとが線Lを基準として、線対称となる位置に配置されても良い。さらには、感圧スイッチが、線Lを基準として、一方側のみに配置されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によれば、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる着座センサ、及び、それを用いた座席装置が提供される。
【符号の説明】
【0107】
1、2・・・着座センサ
9・・・座席装置
10・・・第1電極シート
11・・・第1絶縁シート
14A〜14D・・・第1電極
16A〜16E・・・第1配線
20・・・第2電極シート
21・・・第2絶縁シート
24A〜24D・・・第2電極
26A、26B・・・第2配線
30・・・スペーサ
34A〜34D・・・開口
36A〜36D・・・スリット
40A・・・感圧スイッチ(第1感圧スイッチ)
40B・・・感圧スイッチ(第3感圧スイッチ)
40C・・・感圧スイッチ(第4感圧スイッチ)
40D・・・感圧スイッチ(第2感圧スイッチ)
42A、42B・・・端子
51、52・・・クッション部材
92・・・シートパン
93・・・クッションパッド
94A、94B・・・孔
96・・・背もたれ
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座センサ、及び、それを用いた座席装置に関し、特に着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両における安全システムの一つとして、人の乗車時にシートベルトの着用を検知し、シートベルトが着用されていない場合に警告を発するアラームシステムが実用化されている。このアラームシステムは、人の着座と、シートベルトの着用とを検知して、人の着座時にシートベルトが着用されていない場合に警告を発する。この人の着座の検知には、座席内の着座部分に配置されて、人の着座による荷重を検知する着座センサが用いられる場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、このような着座センサを備えた座席装置が記載されている。この特許文献1に記載の座席装置の着座センサは、複数のオン・オフタイプの感圧スイッチを有しており、これら複数の感圧スイッチでOR回路が構成されている。そして、この座席装置においては、座席の表皮とクッションパッドとの間に着座センサが配置されて、それぞれの感圧スイッチに圧力がかかると、感圧スイッチがオン状態となり、人の着座を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−315199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。図1において、色の濃い部分程、クッションパッドが高い荷重を受けている状態を示す。人が着座している状態において、人とクッションパッドとの間には、表皮のみが介在するため、図1に示すように、クッションパッド上においては、人の臀部が位置する部分に最も大きな荷重が加わる。そして、上記特許文献1に記載の着座センサは、感圧スイッチが、クッションパッド上における人の臀部が位置する部分に配置されることにより、人の着座を検出することができる。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の座席装置においては、上述のように着座センサが表皮とクッションパッドとの間に配置されるため、座席に着座する人が、表皮を介してクッションパッドによる感触と異なる感触を着座センサから受け、座席の着座部分に違和感を覚える場合がある。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の着座センサは、複数の感圧スイッチによりOR回路が形成されているため、感圧スイッチのどれか1つがオンすれば人の着座として検出をする。このため、座席上に置かれる荷物により、一部の感圧スイッチがオンとなる場合においても、人の着座として誤検出をしてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる着座センサ、及び、それを用いた座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の様な着座センサによる違和感を防止する方法について鋭意検討を行った。その結果、着座センサによる違和感を防止するには、座席のクッションパッドの下に配置されてクッションパッドを支えているシートパン上に着座センサを配置して、着座センサが、シートパンとクッションパッドとにより挟まれる構成にすれば良いという結論に至った。このように着座センサが配置された座席においては、着座する人と着座センサとの間にクッションパッドが介在するため、着座時における着座センサによる違和感を防止することができる。
【0010】
そこで、本発明者は、上記特許文献1に記載の着座センサをシートパン上に配置することを検討した。しかし、座席上に荷物が配置されると、上記特許文献1に記載の座席装置の様に、荷物の配置を人の着座として誤検出をしてしまうという問題があることが分かった。そこで、本発明者は、更に鋭意検討を重ねて、本発明をするに至った。
【0011】
本発明の着座センサは、シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドとの間に配される着座センサであって、少なくとも第1感圧スイッチ、第2感圧スイッチ、及び、第3感圧スイッチを備え、前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチと、前記第2感圧スイッチとを通る直線と重ならないように配置され、前記第1感圧スイッチ、前記第2感圧スイッチ、及び、前記第3感圧スイッチは、電気的に直列に接続されていることを特徴とするものである。
【0012】
このような着座センサは、シートパン上に配置されるため、着座センサによる違和感を防止することができる。ところで、本発明者の知見によれば、感圧スイッチがオンするような人の体重ほどの重量を有する荷物は、箱体に収納されていることが多い。そして、このような重量のある箱状の荷物を座席装置上に置く場合においては、通常、荷物が座席装置の形状に応じて傾くため、クッションパッドは、箱の稜線部分から最も荷重を受ける。このため、箱状の荷物の荷重によりシートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、直線状に広がる傾向がある。従って、このような着座センサによれば、第1〜第3感圧スイッチが、1つの直線状に並ぶように配置されていないため、このような重量のある荷物が座席装置に置かれる場合においても、第1〜第3感圧スイッチの全てがオンになることを抑制することができる。そして、全ての感圧スイッチが電気的に直列に接続されているため、一部の感圧スイッチがオンになる場合においても、荷物の配置を人の着座として、誤検出することを抑制することができる。また、このような着座センサが配置された座席装置に人が着座する場合においては、シートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、シートパン上に広く分散し、それぞれの感圧スイッチが、人の荷重による押圧力でオンとなり、人の着座を適切に検出することができる。
【0013】
また、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線を基準とした、左側及び右側のそれぞれに配置されることが好ましい。
【0014】
座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心に着座し、人の左右の骨盤は、この中心を通る中心線の左側及び右側においてクッションパッドを押圧する。一方、荷物は、クッションパッドの幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、このような座席装置によれば、この中心線の左側及び右側に配置された第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチにより、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することをより抑制することができる。
【0015】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの幅方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0016】
座席に着座する人は、通常、座席の前方を向いて着座する。この時、人の左右の骨盤は、クッションパッドの幅方向に並んで、クッションパッドを押圧する。従って、このような座席装置によれば、上記の中心線を基準とした左側及び右側に配置される感圧スイッチの少なくとも一組が、クッションパッドの幅方向に沿って並んでいるため、人の着座をより適切に検出することができる。
【0017】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記中心線を基準として互いに対称な位置に配置されていることが好ましい。
【0018】
座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心において、座席の前方を向いて着座するため、人の左右の骨盤は、上記の中心線を基準として、左右対称な位置に並んで、クッションパッドを押圧する。従って、このような座席装置によれば、人の着座を更に適切に検出することができる。
【0019】
さらに、上記座席装置において、前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチよりも前記中心線側に配置されていることが好ましい。
【0020】
上述のように、座席に着座する人は、通常、クッションパッドの幅方向の中心に着座する。従って、上記の中心線の左側及び右側に配置される第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチよりも、クッションパッドの中心側に第3感圧スイッチを配置することにより、人の着座をより検出し易くすることができる。
【0021】
また、上記着座センサにおいて、それぞれの前記感圧スイッチは、可撓性を有する一対の樹脂製の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートの間に介在し、開口が形成されたシート状のスペーサと、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極と、を有し、前記一対の電極の少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇することが好ましい。
【0022】
可撓性を有するような樹脂は、通常、温度の上昇と共に屈曲強度が弱くなるため、座席装置が置かれる環境の温度が上昇すると、弱い押圧力で一対の電極が接触し易くなる。一方、対向する電極の少なくとも一方は、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する。従って、このような着座センサによれば、温度の上昇と共に電極が接触し易くなるが、接触した電極に電流が流れづらくなる。このように電極同士の接触のしやすさと、電極に流れる電流の流れづらさとが相殺し合って、温度が変化する場合においても、感圧スイッチがオンとなる押圧力が変化することを抑制することができる。特に自動車の車内は、温度の変化が大きいため、このような着座センサは、自動車用途に有用である。
【0023】
また、本発明の座席装置は、シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される上記のいずれかの着座センサと、を備えることを特徴とするものである。
【0024】
このような座席装置によれば、人が着座する際に、着座センサによる違和感を防止することができ、更に、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる。
【0025】
また、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線を基準とした、左側及び右側のそれぞれに配置されることが好ましい。
【0026】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの幅方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0027】
さらに、上記座席装置において、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記中心線を基準として互いに対称な位置に配置されていることが好ましい。
【0028】
さらに、上記座席装置において、前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチよりも前記中心線側に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる着座センサ、及び、それを用いた座席装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】座席に人が正規着座した状態で、座席のクッションパッドが、表皮を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
【図3】図1に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図4】図1に示す第2電極シートを示す平面図である。
【図5】スペーサを示す平面図である。
【図6】図1のV−V線における断面の様子を示す図である。
【図7】図1に示す着座センサの回路構成を等価回路で示す回路図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。
【図9】シートパンを上方から見た概念図である。
【図10】座席装置に人が正規着座した状態で、シートパンが、表皮及びクッションパッドを介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。
【図11】座席装置内に着座センサが配置された状態で、感圧スイッチがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
【図13】図12に示す第1電極シートを示す平面図である。
【図14】図12に示す第2電極シートを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す平面図である。図2に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と、第1電極シート10に重ねられる第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20とで挟まれるスペーサと、第1電極シート10及び第2電極シート20のスペーサとは反対側にそれぞれ配置されるクッション部材とを主な構成要素として備える。
【0033】
図3は、図2に示す第1電極シート10を示す平面図である。図3に示すように、第1電極シート10は、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に形成される第1電極14A〜14Dと、第1絶縁シート11の表面に形成される端子42A、42Bとを主な構成要素として備える。
【0034】
第1絶縁シート11は、帯状の底部部位11Aと、底部部位11Aの長手方向と垂直な方向に延在し、互いに合同な一組の帯状の側部部位11B、11Cと、底部部位11Aの長手方向と平行な方向に延在する帯状の上部部位11Dと、底部部位11Aの長手方向と平行な方向に延在する一組の帯状のアーム部位11E、11Fと、底部部位11Aの長手方向と垂直な方向に延在し、側部部位11B、11Cよりも短い帯状のテール部位11Gとから成る。底部部位11Aの一端には、一方の側部部位11Bの一端が接続されており、底部部位11Aの他端には、他方の側部部位11Cの一端が接続されている。更に、側部部位11Bの他端は、上部部位11Dの一端と連結されており、側部部位11Cの他端は、上部部位11Dの他端と連結されている。こうして、底部部位11A、及び、それぞれの側部部位11B、11C、及び、上部部位11Dにより略四角形の形状とされて、底部部位11A、側部部位11B、11C、上部部位11Dにより、略四角形の開口が形成されている。また、一方の側部部位11Bの途中には、一方のアーム部位11Eの一端が開口の外側で連結されており、アーム部位11Eの他端は、開口の外側において自由端とされている。さらに、他方の側部部位11Cの途中には、他方のアーム部位11Fの一端が開口の外側で連結されており、アーム部位11Fの他端は、開口の外側において自由端とされている。また、テール部位11Gの一端は、底部部位11Aの長手方向の中間部分における開口の内側に連結しており、テール部位11Gの他端には、何も接続されておらず、この他端は開口内において自由端とされている。このような構成により、第1絶縁シート11は、テール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線を基準として、対称な形状とされている。
【0035】
第1絶縁シート11上の第1電極14A〜14Dは、それぞれ略円形の形状をしている。そして、第1電極14Aは、一方のアーム部位11Eの自由端側の端縁から所定の間隔をあけて、アーム部位11E上に設けられており、第1電極14Dは、他方のアーム部位11Fの自由端側の端縁から所定の間隔をあけて、アーム部位11F上に設けられている。また、第1電極14Bは、一方の側部部位11Bと、上部部位11Dの一端とが連結している場所において、側部部位11B上に設けられている。さらに、第1電極14Cは、他方の側部部位11Cと、上部部位11Dの他端とが連結している場所において、側部部位11B上に設けられている。こうして、第1電極14Aと、第1電極14Dとは、テール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線を基準として、互いに対称とされ、第1電極14Bと、第1電極14Cとは、テール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線を基準として、互いに対称とされている。そして、第1電極14B、及び、第1電極14Cは、第1電極14A、及び、第1電極14Dよりもテール部位11Gの中心を通り、テール部位11Gの長手方向に沿った線側に配置されている。そのため、第1電極14A〜14Dは、第1電極14A〜14Dを結ぶ線により、略台形が描かれるように配置され、第1電極14B及び第1電極14Cは、第1電極14A及び第1電極14Dを通る直線と重ならないように配置されている。
【0036】
また、それぞれのアーム部位11E、11Fに設けられている第1電極14A、14Dは互いに同じ直径とされ、側部部位11B、11Cと、上部部位11Dとが連結しているそれぞれの場所に設けられている第1電極14B、14Cは、互いに同じ直径とされている。そして、第1電極14A、14Dの直径と、第1電極14B、14Cの直径とは、互いに異なっており、第1電極14A、14Dは、第1電極14B、14Cよりも、大きな直径とされている。
【0037】
また、端子42A、42Bは、略四角形の形状をなし、端子42A、42Bは、テール部位11Gの表面における自由端側の端縁から所定の間隔をあけた位置に、テール部位11Gの長手方向に垂直な方向に沿って並設されている。
【0038】
さらに、第1電極14A及び端子42Aは、第1配線16Aにより互いに電気的に接続されている。この第1配線16Aは、アーム部位11Eの長手方向に延在して、一端が第1電極14Aに接続されると共に、アーム部位11Eと側部部位11Bとの連結点において垂直に折れ曲がり、側部部位11Bの長手方向に更に延在する。そして、第1配線16Aは、側部部位11Bと底部部位11Aとの連結点において、再び垂直に折れ曲がり、底部部位11Aの長手方向に更に延在し、底部部位11Aとテール部位11Gとの連結点において再び垂直に折れ曲がり、テール部位11Gの長手方向に更に延在して、他端が端子42Aに接続されている。また、第1電極14D及び端子42Bは、第1配線16Bにより互いに電気的に接続されている。この第1配線16Bは、アーム部位11Fの長手方向に延在して、一端が第1電極14Dに接続されると共に、アーム部位11Fと側部部位11Cとの連結点において垂直に折れ曲がり、側部部位11Cの長手方向に更に延在する。そして、第1配線16Bは、側部部位11Cと底部部位11Aとの連結点において、再び垂直に折れ曲がり、底部部位11Aの長手方向に更に延在し、底部部位11Aとテール部位11Gとの連結点において再び垂直に折れ曲がり、テール部位11Gの長手方向に更に延在して、他端が端子42Bに接続されている。さらに、第1電極14B及び第1電極14Cは、第1配線16Cにより互いに電気的に接続されている。この第1配線16Cは、上部部位11Dの長手方向に延在して、一端が第1電極14Bに接続され、他端が第1電極14Cに接続されている。
【0039】
こうして、図3に示すように第1電極シート10においては、上述のように第1電極14Bと第1電極14Cとが、互いに電気的に接続され、そして、第1電極14B、14Cと、第1電極14Aと、第1電極14Dとが、互いに絶縁されている。
【0040】
図4は、図2に示す第2電極シートを示す平面図である。図4に示すように、第2電極シート20は、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Dを主な構成要素として有する。
【0041】
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11における底部部位11Aと形状及び大きさが同じである底部部位21Aと、第1絶縁シート11における一組の側部部位11B、11Cと形状及び大きさが同じである一組の側部部位21B、21Cと、第1絶縁シート11における上部部位11Dと形状及び大きさが同じである上部部位21Dと、第1絶縁シート11における一組のアーム部位11E、11Fと形状及び大きさが同じである一組のアーム部位21E、21Fと、第1絶縁シート11のテール部位11Gと幅が同じで、長さが短い形状とされるテール部位21Gとから構成される。そして、底部部位21A、及び、側部部位21B、21C、及び、上部部位21D、及び、アーム部位21E、21Fは、第1電極シート10と第2電極シート20を重ね合わせたときに、第1絶縁シート11における底部部位11A、及び、側部部位11B、11C、及び、上部部位11D、及び、アーム部位11E、11Fと完全に重なるようにそれぞれ連結されている。また、第2絶縁シート21のテール部位21Gは、第1電極シート10と第2電極シート20を重ね合わせたときに、第1電極シートのテール部位11Gと重なって、第1電極シート10の端子42A、42Bが露出するように、底部部位21Aと連結されている。なお、本実施形態においては、第2絶縁シート21と第1絶縁シート11とは、同じ可撓性を有し、同じ力が加えられる場合に、同じように撓むように構成されている。
【0042】
また、第2電極24A〜24Dは、第1電極14A〜14Dと同じ形状、大きさとされている。さらに、第2電極24A〜24Dは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Dと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0043】
また、第2電極24A及び第2電極24Bは、第2配線26Aにより互いに電気的に接続されている。この第2配線26Aは、アーム部位21Eの長手方向に延在して、一端が第2電極24Aに接続されると共に、アーム部位21Eと一方の側部部位21Bとの連結点において垂直に折れ曲がり、更に側部部位21Bの長手方向に延在して、他端が第2電極24Bに接続されている。また、第2電極24D及び第2電極24Cは、第2配線26Bにより互いに電気的に接続されている。この第2配線26Bは、アーム部位21Fの長手方向に延在して、一端が第2電極24Dに接続されると共に、アーム部位21Fと他方の側部部位21Cとの連結点において垂直に折れ曲がり、更に側部部位21Cの長手方向に延在して、他端が第2電極24Cに接続されている。
【0044】
こうして、図4に示すように第2電極シート20においては、上述のように第2電極24Aと第2電極24Bとが、互いに電気的に接続されると共に、第2電極24Dと第2電極24Cとが、互いに電気的に接続され、そして、第2電極24A、24Bと、第2電極24D、24Cとが、互いに絶縁されている。
【0045】
図5は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に挟まれるスペーサを示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シートからなる。そして、図5に示すように、スペーサ30は、外形が第2電極シート20と一致している。
【0046】
また、スペーサ30には、周縁が略円形の形状とされている開口34A〜34Dが形成されている。開口34A、34Dは、第1電極14A、14Dよりも直径が僅かに小さく形成され、開口34B、34Cは、第1電極14B、14Cよりも直径が僅かに小さく形成されている。上述のように第1電極14A、14Dは、第1電極14B、14Cよりも大きな直径とされているため、開口34A、34Dの直径と、開口34B、34Cの直径とは、互いに異なっており、開口34A、34Dは、開口34B、34Cよりも、大きな直径とされている。さらに、開口34A〜34Dは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿って見る場合に、第1電極14A〜14Dのそれぞれの外周の内側にそれぞれの開口34A〜34Dが収まるような位置に形成されている。
【0047】
また、スペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Dをスペーサ30の外部と空間的に接続するスリット36A〜36Dが形成されている。具体的には、それぞれのスリット36A〜36Dは、一端がスペーサ30の外部と接続されている。そして、スリット36Aの他端は、開口34Aと接続され、スリット36Bの他端は、開口34Bと接続され、スリット36Cの他端は、開口34Cと接続され、スリット36Dの他端は、開口34Dと接続されている。
【0048】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
【0049】
図6は、図2に示すV−V線に沿った断面の様子を示す図である。図2、図6に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
【0050】
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、一体化された状態で、着座センサ1に対して垂直な方向から見る場合に、図2に示すように第1電極シート10の第1電極14A、及び、第2電極シート20の第2電極24Aは、互いに重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Aは、第2電極24Aの外形内に収まっている。そして、第1電極14Aと第2電極24Aとは、図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Aが形成されたシート状のスペーサ30と、開口34Aを介して互いに対向する一対の電極14A、24Aとを有する感圧スイッチ40Aが構成されている。同様に他の第1電極14B〜14Dと、他の第2電極24B〜24Dとが、それぞれスペーサ30の開口34B〜34Dにおいて所定の間隔をあけて対向し、図2に示すように感圧スイッチ40B〜40Dが構成されている。なお、以下の説明において、感圧スイッチ40Aを第1感圧スイッチと呼び、感圧スイッチ40Dと第2感圧スイッチと呼び、感圧スイッチ40Bを第3感圧スイッチと呼び、感圧スイッチ40Cを第4感圧スイッチと呼ぶ場合がある。
【0051】
そして、上述のように、第1電極シート10においては、第1電極14A〜14Dは、第1電極14A〜14Dを結ぶ線により、略台形が描かれ、第1電極14B及び第1電極14Cは、第1電極14A及び第1電極14Dを通る直線と重ならないように配置されている。従って、着座センサ1においては、感圧スイッチ40A〜40Dは、感圧スイッチ40A〜40Dを結ぶ線により、略台形が描かれ、感圧スイッチ40B及び感圧スイッチ40Cは、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40Dを通る直線と重ならないように配置されている。別言すれば、感圧スイッチ40A〜40Dは、直線状に並ばないように配置されており、第3感圧スイッチ40B及び第4感圧スイッチ40Cは、第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dを通る直線と重ならないように配置されている。
【0052】
なお、上述のように開口34B、34Cの直径は、開口34A、34Dの直径よりも小さく形成されているため、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが同じ大きさ力で押圧されても、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも第1絶縁シート11、第2絶縁シート21が撓みにくくされている。
【0053】
また、図2、図6に示すように、第2絶縁シート21のスペーサ30側とは反対側には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材52が設けられている。クッション部材52は、第2絶縁シート21上において、一方の端部側が感圧スイッチ40Aを覆うように配置されている。そして、クッション部材52は、第2絶縁シート21のアーム部位21Eの長手方向に沿って延在して、第2絶縁シート21のアーム部位21Eと一方の側部部位21Bとが連結している場所において、垂直に折れ曲がり、側部部位21Bの長手方向に沿って延在する。さらに、クッション部材52は、第2絶縁シート21の側部部位21Bと上部部位21Dとが連結される場所において、感圧スイッチ40Bを覆うと共に、垂直に折れ曲がり、上部部位21Dの長手方向に沿って延在する。そして、クッション部材52は、第2絶縁シート21の上部部位21Dと他方の側部部位21Cとが連結される場所において、感圧スイッチ40Cを覆うと共に、垂直に折れ曲がり、側部部位21Cの長手方向に沿って延在する。そして、クッション部材52は、第2絶縁シート21の側部部位21Cとアーム部位21Fとが連結している場所において、垂直に折れ曲がり、アーム部位21Fの長手方向に沿って延在して、クッション部材52の他方の端部側において、感圧スイッチ40Dを覆っている。こうしてクッション部材52は、感圧スイッチ40A〜40Dを覆っている。
【0054】
また、図6に示すように、第1絶縁シート11のスペーサ30側とは反対側には、クッション部材51が設けられている。クッション部材51は、クッション部材52と同じ形状であり、第1絶縁シート11に垂直な方向から見る場合に、クッション部材52と外形が重なっている。従って、クッション部材51は、第1絶縁シート11のスペーサ30側と反対側において、感圧スイッチ40A〜40Dを覆っている。
【0055】
なお、本実施形態においては、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は、同じ材質で、同じ弾性力を有しており、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
【0056】
図7は、図2に示す着座センサ1の回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成されるそれぞれの感圧スイッチ40A〜40D、及び、それぞれの端子42A、42Bは、図7に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16C、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A、26Bにより互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Dが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。そして、端子42A、感圧スイッチ40A、感圧スイッチ40B、感圧スイッチ40C、感圧スイッチ40D、端子42Bは、この順に電気的に直列接続されている。
【0057】
図8は、本発明の実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、図8の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、図8の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。図8の(A)及び(B)に示すように、座席装置9は、シートパン92と、シートパン92の上に配置されるクッションパッド93と、背もたれ96と、シートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている着座センサ1と、を主な構成として備えており、座席装置9は、例えば、車両用の座席装置とされる。
【0058】
シートパン92は、合成の高い金属板が折曲げ加工されて構成されており、図8の(A)に示すように、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lを基準として、線対称の形状をしている。また、シートパン92には、略中央に略四角形の孔94Aが形成されており、さらに、孔94Aよりも後方に略四角形の孔94Bが形成されている。図8の(B)に示すように、この孔94Aは、座席装置9に人が正規着座した状態におけるヒップポイントHPよりも前方に形成されており、孔94Bは、ヒップポイントHPよりも僅かに後方に形成されている。
【0059】
なお、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれに接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、図8の(B)に示すように、人が着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
【0060】
そして、このシートパン92により、クッションパッド93が支えられている。クッションパッド93は、クッション性を有する発泡ウレタンから構成されている。従って、クッションパッド93は、弾性力を有し、押圧力が加わると潰れるように変形する。また、クッションパッド93は、図示しない布製の表皮に覆われている。
【0061】
背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段によりシートパン92と接続されている。
【0062】
着座センサ1は、図8の(B)に示すように、座席装置9におけるシートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている。また、着座センサ1がこのように配置された状態において、第2絶縁シート21がクッションパッド93側に配置されて、クッション部材52がクッションパッド93と第2絶縁シート21とにより挟まれ、さらに、第1絶縁シート11がシートパン92側に配置されて、クッション部材51がシートパン92と第1絶縁シート11とにより挟まれている。さらに、着座センサ1は、図8の(A)に示すように、着座センサ1の開口内にシートパン92の孔94Aが位置するように配置されている。そして、感圧スイッチ40A、40Dは、中心線Lを基準とした左側及び右側において、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されて、中心線Lに対して、互いに対称な位置とされており、孔94Aを挟んでいる。また、感圧スイッチ40B、40Cは、孔94Aの前方における中心線Lを基準とした左側及び右側において、幅方向に沿って配置されて、中心線Lに対して、互いに対称な位置とされている。上述のように孔94Aは、ヒップポイントHPよりも前方に形成されているため、着座センサ1は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが、シートパン92上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方となるように配置されている。
【0063】
そして、端子42A、42Bは、孔94Aからシートパン92の下方に導出されて、外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続される。
【0064】
図9は、シートパン92を上方から見た概念図である。図9におけるMGは、最大荷重領域を示し、座席装置に合わせて予め測定される領域である。この最大荷重領域MGは、ヒップポイントHPよりも前方の領域とされ、本実施形態において、最大荷重領域MGは、孔94Aに横方向に隣接する領域とされる。なお、最大荷重領域とは、シートパン92がクッションパッド93から最も押圧力を受けていない場所における押圧力を0として、シートパン92がクッションパッド93から最も大きな押圧力を受けている場所における押圧力を100とする場合に、90以上の押圧力をうける領域をいう。この最大荷重領域MGがヒップポイントHPよりも前方とされる理由は、次のように考えられる。すなわち、人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。こうして、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも強くなる。そして、人が正規着座する際、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座する。従って、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、中心線Lの付近が、大きな力で押圧される傾向がある。そのため、ヒップポイントHPよりも前方で、クッションパッド93の幅方向の中心に形成されている孔94Aと隣接する領域が他の孔と隣接する領域よりも大きな力で押圧される。また、上述のように背中にかかる力が人の臀部を前方に押すため、このシートパンが受ける力は、前方に広がり、さらに上述のように人が座席装置9に正規着座する際、人はクッションパッド93の幅方向の略中心において、左右対称に着座し、人の骨盤は、中心線Lを基準に左右方向に対称に配置されるため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称に幅方向にも広がる。なお、図9においては、シートパン92の最大荷重領域MGをクッションパッド93の幅方向に延在する帯状の領域をBGとして示している。
【0065】
そして、上述のように、着座センサ1の感圧スイッチ40A、40Dは、孔94Aを挟んでシートパン92の幅方向に配置され、感圧スイッチ40B、40Cは、孔94Aの前方に配置されており、感圧スイッチ40A、40Dは、帯状の領域BGと重なる場所に配置され、感圧スイッチ40B、40Cは、帯状の領域BGよりも前方に配置されている。従って、感圧スイッチ40A〜40Dは、帯状の領域BGから前方に配置されている。このとき、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Dとの距離は、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Cとの距離よりも長いため、帯状の領域BGに近い感圧スイッチが、中心線Lから遠い位置に配置されている。
【0066】
次に、座席装置9における着座センサ1の動作について説明する。
【0067】
図10は、図1と同じように、座席装置9に人が正規着座した状態で、座席装置9のシートパン92が、表皮及びクッションパッド93を介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。図10に示すように、シートパン92に形成された孔94Aと隣接する領域92aが、クッションパッド93から最も高い押圧力を受けており、更に領域92aの外側の領域92bが、次に高い押圧力を受けており、そして、領域92bの外側の領域92cが次に高い押圧力を受けている。座席装置9においては、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散しており、上述のように、94Aの周りが最も高く、孔94Aの前方及び幅方向に広がっている。また、ヒップポイントHPよりも後方に形成されている孔94Bの周辺においては、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、孔94Aの周辺と比べて弱い。
【0068】
図10に示すように、シートパン92は、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、中心線Lの付近が、大きな力で押圧されている。そして、直径の小さな開口34B、34Cを有する感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも中心線Lの近くに配置されており、感圧スイッチ40B、40Cが配置されている場所は領域92a内とされている。また、中心線から離れた場所に配置されている感圧スイッチ40A、40Dが配置されている場所は、領域92b内とされている。このため、感圧スイッチ40B、40Cには、直径の大きな開口34A、34Dを有する感圧スイッチ40A、40Dよりも大きな力で押圧されている。
【0069】
図11は、座席装置9内に着座センサ1が配置された状態で、感圧スイッチ40Aがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。なお、図11においては、理解の容易のため、シートパン92及びクッションパッド93は、一部分のみを示している。
【0070】
座席装置9に人が着座すると、図11に示すように、着座センサ1の両面に対して垂直な方向から、シートパン92及びクッションパッド93によって、矢印で示すように適切に押圧される。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51は、シートパン92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Aに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Aを介して対向する絶縁シート11、21に設けられた電極14A、24Aが接触する。こうして、感圧スイッチ40Aがオンとなる。
【0071】
そして、中心線Lを基準として、感圧スイッチ40Aと対称な位置に配置されている感圧スイッチ40Dも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。また、上述のように、人が座席装置9に正規着座すると、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散しており、図10に示すように、帯状の領域BGよりも先方においても、シートパン92は、クッションパッド93から押圧されている。従って、感圧スイッチ40B、40Cも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。このとき、上述のように感圧スイッチ40B、40Cにおけるスペーサ30の開口34B、34Cは、感圧スイッチ40A、40Bにおけるスペーサ30の開口34A、34Dよりも小さいため、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも、大きな力で押圧されなければオンしない。しかし、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dよりも中心線Lに近く配置されている。従って、人が座席装置9に着座したときに、感圧スイッチ40B、40Cは、感圧スイッチ40A、40Dと共に適切にオンとなる。
【0072】
そして、上述のように、感圧スイッチ40A〜40Dは、電気的に直列に接続されているため、感圧スイッチ40A〜40Dの全てがオンになる場合に、端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。
【0073】
なお、本実施形態の着座センサ1においては、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14A〜14Dと電極24A〜24Dとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40A〜40Dをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
【0074】
また、シートパン92及びクッションパッド93からは略同じ押圧力が着座センサ1に加えられる。従って、シートパン92からクッション部材51に加えられる押圧力と、クッションパッド93からクッション部材52に加えられる押圧力とは略同じである。そして、本実施形態においては、上述のようにクッション部材51、52は、同じ弾性力を有するため、同じ押圧力が加えられると、クッション部材51、52が、絶縁シート11、21を同じ弾性力で押圧する。従って、絶縁シート11、21は、同じように撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dにおける一対の電極14A〜14D、24A〜24Dは、開口34A〜34D内において、スペーサ30の厚さ方向における、略中心付近において接触する。このため、一方の絶縁シートの撓み量が大きくなるということが抑制されており、着座の検出感度が向上されている。
【0075】
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、各開口34A〜34D内の空気は、スリット36A〜36Dを介して外部に排出される。従って、各感圧スイッチ40A〜40Dがオンになるとき、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、各感圧スイッチ40A〜40Dの一対の電極が接触し易くされている。
なお、人の重量ほどない荷物が、座席装置9の着座部分に配置されても、シートパン92の孔94Aの周囲に僅かに押圧力がかかるだけである。従って、このような荷物が置かれる場合においても、感圧スイッチ40A〜40Dは、同時にオンされない。また、仮に荷物がクッションパッド93の端によって配置され、感圧スイッチ40A、40Dの一方がオンする場合においても、人の体重ほどの重量を有する荷物が座席に置かれることは稀であるため、通常、感圧スイッチ40A、40Dと感圧スイッチ40B、40Cとが同時にオンしない。そして、上述のように感圧スイッチ40A〜40Dは、直列に接続されているため、荷物の配置を人の着座として誤検出することが防止できる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態の着座センサ1をシートパン上に配置することにより、着座センサによる違和感を防止することができる。また、本発明者の知見によれば、感圧スイッチ40A〜40Dがオンするような人の体重ほどの重量を有する荷物は、箱体に収納されていることが多い。そして、このような重量のある箱状の荷物を座席上に置く場合においては、通常、荷物が座席装置9の形状に応じて傾くため、クッションパッド93は、箱の稜線部分から最も荷重を受ける。このため、箱状の荷物の荷重によりシートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、直線状に広がる傾向がある。しかし、本実施形態の着座センサによれば、第3感圧スイッチ40B及び第4感圧スイッチ40Cは、第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dを通る直線と重ならないように配置され、感圧スイッチ40A〜40Dは、1つの直線状に並ぶように配置されておらず、シートパン92上に分散して配置されている。このため、着座センサ1がシートパン92上に配置された座席装置9によれば、このような重量のある荷物が座席装置9に置かれる場合においても、全ての感圧スイッチ40A〜40Dがオンになることを抑制することができる。そして、全ての感圧スイッチ40A〜40Dが、電気的に直列に接続されているため、一部の感圧スイッチがオンになる場合においても、荷物の配置を人の着座として、誤検出することを抑制することができる。また、着座センサ1が配置された座席装置9に人が着座する場合においては、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、図10を用いて説明したようにシートパン92上に広く分散し、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが、人の荷重による押圧力でオンとなり、人の着座を適切に検出することができる。
【0077】
また、上述のように背もたれ96を備える座席装置9に人が正規着座して、クッションパッド93に荷重がかかるとき、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも比較的強い。従って、本実施形態の座席装置9によれば、感圧スイッチ40A〜40Dが、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置されているため、人の着座を適切に検出することができる。
【0078】
また、座席装置9に着座する人は、通常、座席装置9の前方を向いてクッションパッド93の幅方向の中心に着座し、人の左右の骨盤は、中心線Lの左側及び右側においてクッションパッド93を押圧する。一方、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、座席装置9のように、第1感圧スイッチ40Aと第2感圧スイッチ40Dが、クッションパッド93の中心線Lを基準とした、左側及び右側のそれぞれに配置されることで、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することをより抑制することができる。
【0079】
さらに、人が上記のように着座する場合、人の左右の骨盤は、クッションパッド93の幅方向に沿って並んで、クッションパッド93を押圧する。従って、座席装置9においては、中心線Lを基準とした左側と右側に配置される第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dが、クッションパッド93の幅方向に沿って並んでいるため、人の着座をより適切に検出することができる。
【0080】
またさらに、第1感圧スイッチ40Aと第2感圧スイッチ40D及び第3感圧スイッチ40Bと第4感圧スイッチ40Cとは、中心線Lを基準として互いに対称な位置に配置されている。従って、人の着座を更に適切に検出することができる。
【0081】
また、第3感圧スイッチ40B及び第4感圧スイッチ40Cは、左右対称に配置される第1感圧スイッチ40A及び第2感圧スイッチ40Dよりも、クッションパッド93の中心側に配置されるため、人の着座をより検出し易くすることができる。
【0082】
また、上記実施形態においては、感圧スイッチ40B,40Cにおける開口34B、34Cの直径が、感圧スイッチ40A,40Dにおける開口34A、34Dの直径よりも小さく形成されている。つまり少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにされている。上述のように、人が座席装置9に着座する場合において、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92の場所により異なるが、着座センサ1をこのように構成することにより、シートパン92上において、クッションパッド93から比較的小さな押圧力がかかる場所に開口の直径が大きな感圧スイッチを配置して、比較的大きな押圧力がかかる場所に開口の直径が小さな感圧スイッチを配置することができる。このように着座センサを配置することにより、クッションパッド93上に人が着座して、スペーサ30に形成された開口の直径が互いに異なるそれぞれの感圧スイッチに対して、異なる押圧力がかかる場合に、それぞれの感圧スイッチにおける絶縁シート11、21が適切に撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが適切にオンすることができる。このため、人の着座を適切に検出することができる。
【0083】
また、人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心に着座するため、クッションパッド93がシートパン92を押圧する大きさは、中心線Lを基準として略対称となる。そして、本実施形態においては、開口の直径が互いに等しい少なくとも2つの感圧スイッチ40A、40D、或いは、感圧スイッチ40B、40Cが、中心線Lを基準とした左側及び右側に少なくとも1つずつ配置されている。従って、本実施形態の着座センサ1によれば、人の着座をより適切に検出して、クッションパッド93の幅方向に中心に配置されない荷物を人の着座として荷物を誤検出することを抑制することができる。そして、上記実施形態においては、中心線Lの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチ40A、40D、或いは、感圧スイッチ40B、40Cの少なくとも一組が、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されており、更に上記実施形態においては、中心線Lの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチ40A、40D、或いは、感圧スイッチ40B、40Cの少なくとも一組が、中心線Lを基準として互いに対称な位置に配置されている。従って本実施形態の着座センサ1によれば、人の着座を更に適切に検出し、荷物を人の着座として誤検出することを更に抑制できる。
【0084】
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
【0085】
第1電極シート10の絶縁シート11、及び、第2電極シート20の絶縁シート21、及び、スペーサ30は、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成される。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
【0086】
また、スペーサ30の両面に塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
【0087】
また、第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24D、及び、第1配線16A〜16C、及び、第2配線26A、26B、及び、端子42A、42Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、或いは、これらの積層体等が挙げられる。
【0088】
特に、第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24Dの少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇する材料から構成されることが好ましい。第1絶縁シート11、第2絶縁シート21のような可撓性を有する樹脂は、通常、温度の上昇と共に撓み易くなり、座席装置9が置かれる環境の温度が上昇すると、弱い押圧力で第1電極14A〜14Dと第2電極24A〜24Dとが接触し易くなる。この場合において、上述のように、第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24Dの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する電極であれば、温度の上昇と共に第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓み易くなり、第1電極14A〜14Dと第2電極24A〜24Dとが接触し易くなるが、接触した電極に電流が流れづらくなる。従って、電極同士の接触のしやすさと、電極に流れる電流の流れづらさとが相殺し合って、座席装置9の環境温度が変化する場合においても、感圧スイッチ40A〜40Dがオンとなる押圧力が変化することを抑制することができる。特に、座席装置9が自動車に搭載される場合においては、車内の温度の変化が大きい。そして、一般にシートパン92は金属性であるため、着座センサ1に熱が伝達し易い。従って、上述のように第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24Dの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する材料から構成されれば、車内が温度変化する場合においても、適切に人の着座を検知することができる。従って、このような座席装置9は、特に自動車用途に有用である。このような電極としては、銀ペースト上にカーボンペーストが塗布された2層の電極を挙げることができる。
【0089】
また、クッション部材51、52は、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51、52の材料としては、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等を挙げることができる。このような樹脂としては、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂をあげることができ、このような樹脂であれば、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が自動車等の環境温度の変化が大きい場所に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
【0090】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12〜図14を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。図12は、本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【0091】
図12に示すように、本実施形態における着座センサ2は、感圧スイッチ40A〜40Dの第1電極14A〜14Dが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。
【0092】
図13は、図12に示す第1電極シートを示す平面図である。図13に示すように、第1電極14A〜14Dを構成する櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
【0093】
そして、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。そして、第1電極14Aにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Dに接続される。この第1配線16Dは、第1絶縁シート11上において、一端が、上記の様に第1電極14Aにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体に接続され、アーム部位11Eの長手方向に延在すると共に、アーム部位11Eと一方の側部部位11Bとの連結点において垂直に折れ曲がり、更に側部部位11Bの長手方向に延在して、他端が第1電極14Bにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続されている。また、第1電極14Bにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Cの一端に接続され、第1配線16Cの他端は、第1電極14Cにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続されている。第1電極14Cにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Eの一端に接続されている。この第1配線16Eは、第1絶縁シート11上において、上記の様に一端が第1電極14Cにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体に接続されて、他方の側部部位11Cの長手方向に延在すると共に、側部部位11Cとアーム部位11Fとの連結点において垂直に折れ曲がり、更にアーム部位11Fの長手方向に延在して、他端が第1電極14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続されている。そして、第1電極14Dにおける他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Bの一端に接続される。
【0094】
図14は、図12に示す第2電極シートを示す平面図である。図14に示すように、本実施形態の第2電極シート20は、第2配線26A、26Bが設けられていない点において、第1実施形態の第2電極シート20と異なる。
【0095】
そして、図12に示すように、図13に示す第1電極シート10と第2電極シート20とが、第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねられて一体化されている。
【0096】
本実施形態の着座センサ2は、第1実施形態の着座センサ1と同様に座席装置に配置され、座席装置に人が着座することにより、クッションパッドとシートパンにより感圧スイッチ40A〜40Dが押圧されると、第2電極24A〜24Dが、第1電極14A〜14Dにおけるそれぞれの平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Dにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Dを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Dがオンとなる。このように感圧スイッチ40A〜40Dがオンとなることにより、着座センサ2により人の着座が検出される。
【0097】
以上、本発明について、第1、第2実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
例えば、上記実施形態において、着座センサ1の感圧スイッチの数を4つとしたが、本発明はこれに限らず、感圧スイッチの数を3つでもよく、5つ以上でも良い。例えば、第4感圧スイッチ40Cは、必須ではない。
【0099】
また、各感圧スイッチ40A〜40Dにおける、第1電極14A、14Dと第2電極24A、24D、及び、第1電極14B、14Cと第2電極24B、24Cとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとしたが、本発明はこれに限らず、押圧力を検知できる範囲で、大きさや形状等が第1電極14A、14Dと第2電極24A、24D、及び、第1電極14B、14Cと第2電極24B、24Cとで異なっていても良い。或いは、第1電極14A〜14D及び第2電極24A〜24Dの全てが同じ形状、大きさであっても良い。
【0100】
また、上記実施形態において、感圧スイッチ40A、40Dの開口34A、34Dと、感圧スイッチ40B、40Cの開口34B、34Cの直径を互いに異なるものとしたが、感圧スイッチ40A〜40Dの全てを同じ構成としても良い。
【0101】
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Dに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を検知することができる。
【0102】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
【0103】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Dを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Dを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とが、互いに同じ可撓性を有し、同じ力が加わると同じように撓むとしたが、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とは、互いに異なる可撓性を有していても良い。
【0105】
また、上記実施形態において、感圧スイッチ40A、40Bと、感圧スイッチ40C、40Dとが、線Lを基準として、線対称となるように配置されているとしたが、感圧スイッチ40A、40Bの少なくとも1つと、感圧スイッチ40C〜40Dの少なくとも1つとが線Lを基準として、線対称となる位置に配置されても良い。さらには、感圧スイッチが、線Lを基準として、一方側のみに配置されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によれば、着座センサによる違和感を防止しつつ、人の着座を適切に検出し、荷物の配置を人の着座として誤検出することを抑制することができる着座センサ、及び、それを用いた座席装置が提供される。
【符号の説明】
【0107】
1、2・・・着座センサ
9・・・座席装置
10・・・第1電極シート
11・・・第1絶縁シート
14A〜14D・・・第1電極
16A〜16E・・・第1配線
20・・・第2電極シート
21・・・第2絶縁シート
24A〜24D・・・第2電極
26A、26B・・・第2配線
30・・・スペーサ
34A〜34D・・・開口
36A〜36D・・・スリット
40A・・・感圧スイッチ(第1感圧スイッチ)
40B・・・感圧スイッチ(第3感圧スイッチ)
40C・・・感圧スイッチ(第4感圧スイッチ)
40D・・・感圧スイッチ(第2感圧スイッチ)
42A、42B・・・端子
51、52・・・クッション部材
92・・・シートパン
93・・・クッションパッド
94A、94B・・・孔
96・・・背もたれ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドとの間に配置される着座センサであって、
少なくとも第1感圧スイッチ、第2感圧スイッチ、及び、第3感圧スイッチを備え、
前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチと、前記第2感圧スイッチとを通る直線と重ならないように配置され、
前記第1感圧スイッチ、前記第2感圧スイッチ、及び、前記第3感圧スイッチは、電気的に直列に接続されている
ことを特徴とする着座センサ。
【請求項2】
前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線を基準とした、左側及び右側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の着座センサ。
【請求項3】
前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの幅方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項2に記載の着座センサ。
【請求項4】
前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記中心線を基準として互いに対称な位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の着座センサ。
【請求項5】
前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチよりも前記中心線側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着座センサ。
【請求項6】
それぞれの前記感圧スイッチは、可撓性を有する樹脂製の一対の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートの間に介在し、開口が形成されたシート状のスペーサと、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極と、を有し、
前記一対の電極の少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の着座センサ。
【請求項7】
シートパンと、
前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、
前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される請求項1〜6のいずれか1項に記載の着座センサと、
を備える
ことを特徴とする座席装置。
【請求項1】
シートパンと、前記シートパン上に配置されるクッションパッドとの間に配置される着座センサであって、
少なくとも第1感圧スイッチ、第2感圧スイッチ、及び、第3感圧スイッチを備え、
前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチと、前記第2感圧スイッチとを通る直線と重ならないように配置され、
前記第1感圧スイッチ、前記第2感圧スイッチ、及び、前記第3感圧スイッチは、電気的に直列に接続されている
ことを特徴とする着座センサ。
【請求項2】
前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線を基準とした、左側及び右側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の着座センサ。
【請求項3】
前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記クッションパッドの幅方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項2に記載の着座センサ。
【請求項4】
前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは、前記中心線を基準として互いに対称な位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の着座センサ。
【請求項5】
前記第3感圧スイッチは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチよりも前記中心線側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着座センサ。
【請求項6】
それぞれの前記感圧スイッチは、可撓性を有する樹脂製の一対の絶縁シートと、前記一対の絶縁シートの間に介在し、開口が形成されたシート状のスペーサと、前記一対の絶縁シートのそれぞれの表面上に設けられると共に、前記開口を介して互いに対向する一対の電極と、を有し、
前記一対の電極の少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の着座センサ。
【請求項7】
シートパンと、
前記シートパン上に配置されるクッションパッドと、
前記シートパンと前記クッションパッドとの間に配置される請求項1〜6のいずれか1項に記載の着座センサと、
を備える
ことを特徴とする座席装置。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【公開番号】特開2012−86805(P2012−86805A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237632(P2010−237632)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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