説明

着座構造体およびその使用方法

【課題】 広い傾動可能範囲に亘って使用者にバランスのとれた座り心地を提供するリクライニング式着座構造体を提供する。
【解決手段】 中心背骨部材、上部背もたれ構造体、および背もたれ支持構造体を具備した着座構造体。上部背もたれ構造体は背骨部材から上方外側に延在する一対のアームを備え、第1水平軸を中心に背骨部材に枢着される。背もたれ支持構造体は第2水平軸を中心に背骨部材に枢着され、かつ第3水平軸を中心にアームそれぞれの端部に枢着される。背もたれ支持構造体には、パッド構造体結合用の複数のレバーを設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年1月29日に出願された米国仮特許出願第60/898,421号の利益を主張し、その開示内容はすべて参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、包括的には、着座構造体に関し、特に、一意の運動学、身体支持座部および背もたれ、ならびに調整可能座部深さを有する椅子と、限定されない1つまたは複数の座部および背もたれを含む椅子を使用しかつ/または調整する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
一般にオフィスで使用されるタイプの椅子は、通常、座部および背もたれを単体として傾動させることができるか、または背もたれを座部に対して傾動させることができるように構成されている。しかしながら、通常、座部および背もたれは、個々に調整可能ではなく、傾動中に個々に関節動作しない。したがって、こうした椅子は、時に、使用者が自身の特定のサイズ、体形および所望の姿勢、あるいはそのいずれか1つに適合するように、容易に調整しまたはカスタマイズすることができない可能性がある。
【0004】
たとえば、座部は通常、そのさまざまな身体支持部間にいかなる関節部分もなしに、比較的剛性かまたは固定部品として形成される。したがって、使用者は、椅子を後方に傾動させる場合、後方に傾動している時であっても、座部で前方に摺動する傾向があり得る。同時に、正面の前縁から後縁まで測定される座部の深さのいかなる調整も、通常、剛性の単体座部全体を前後方向に移動させることによって行われ、座部の後方に見苦しい間隙が形成されることになる可能性があり、かつその位置に挟み込み点が形成される可能性もある。さらに、こうした椅子は、座部および使用者の荷重を支持すると同時に、座部が背もたれに対して移動することができるようにする構造を提供しなければならない。さらに、こうした椅子は、例えば、座部および支持部材、あるいはそのどちらか一方がリンク機構組立体に組み込まれる時、通常、座部が上を移動するのを可能にする、余分の支持部材を採用しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第10/738,641号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/796,406号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/433,891号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0183350A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常の傾動椅子では、椅子が無負荷の直立位置にある時、座部に対する背もたれの静止角度位置は通常固定されており、それは、特に広範囲の使用者には適していない可能性がある。さらに、背もたれは、この場合もまた、背もたれのさまざまな部分の間にいかなる関節部分もなく、比較的剛性なまたは固定の部品として、通常形成されている。したがって、背もたれにより、使用者は全可動域で動くことができず、たとえば使用者が背中を伸ばすかまたは凹形状に弓なりになることができない。
【0007】
傾動椅子は、通常、座部および背もたれを上方に付勢するため、かつ使用者の後方への傾動を平衡させるために、圧縮ばねおよび引張ばね、あるいはそのどちらか一方、トーションスプリングおよびトーションバー、あるいはそのどちらか一方、または板ばねを採用する。ばねに対する負荷を調整するために使用される機構、またはばねの負荷能力は、通常複雑であり、かつ/または所望の設定を得るために、つまみまたは他の把持可能部材の複数の過大な回転が必要である。さらに、椅子には、使用者が着座するかまたは背もたれに荷重をかける前に、ばねの戻り力の設定を確定するための、使用者へのいかなる印もない。
【0008】
さらに、こうした傾動椅子は、多くの場合、椅子の傾動範囲全体を通してバランスのとれた座り心地を提供しない。特に、椅子、特にばねの回復力またはトルクは、傾動範囲全体を通して使用者が加える力またはトルクに一致しない。加えられる力と回復力とは、特に傾斜位置ではバランスがとれ得るが、こうしたバランスは、通常、傾動/リクライニング範囲全体を通して発生するものではない。さらに、こうしたバランスは、通常、体重および体のサイズが異なる種々の使用者に対して達成することはできない。したがって、使用者は、椅子を特定の位置で保持するためにエネルギーを用いかつ/または外力を加えなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特許請求の範囲によって定義され、この節においてはいずれも、それら特許請求の範囲を限定するものとして読まれるべきではない。そうではなく、概略的な導入として簡単に述べると、連接された座部および背もたれと、調整可能な座部深さと、さまざまな制御機構と、リンク機構組立体とを有する傾動可能な椅子と、さまざまな態様の使用方法とに関するさまざまな好ましい実施形態が記載されている。
【0010】
たとえば限定されないが、一態様では、好ましい実施形態は、前部および後部を備えた座部を有する着座構造体に関する。座部は、少なくとも直立傾斜位置とリクライニング傾斜位置との間で傾動可能である。後部は、座部が直立傾斜位置とリクライニング傾斜位置との間で傾動する際に、前部に対して自動的に枢動可能である。
【0011】
一実施形態では、座部には背もたれが結合されており、それは、少なくとも直立傾斜位置とリクライニング傾斜位置との間で傾動可能である。背もたれは、下部および上部を有する。上部は下部に対し、中立位置と伸長位置との間で枢動可能であり、上部は、背もたれの傾斜位置とは無関係に、下部に対して枢動可能である。好ましい実施形態では、下部の後方傾動または傾斜位置が制限される時、上部は下部に対して枢動可能である。
【0012】
別の態様では、着座構造体は、ベース部品と、第1水平枢軸においてベース部品に枢支連結された第1リンク部材と、第1枢軸から隔置された第2水平枢軸において第1リンクに枢支連結された第2リンクとを有する。第2リンクの一部が、長手方向に延在する。第3リンクが、長手方向に第2枢軸から隔置された第3水平枢軸において、第2リンクに枢支連結され、第1枢軸から隔置された第4水平枢軸においてベース部品に枢支連結される。第3リンクもまた、長手方向に延在する部分を有する。
【0013】
座部は、第2リンクの長手方向に延在する部分に結合された前方腿支持領域と、第3リンクの長手方向に延在する部分に結合された後方臀部支持領域とを有する。後方臀部支持領域は、長手方向において腿支持領域から後方に隔置されている。第3リンクは、直立位置とリクライニング位置との間で、第3枢軸を中心に、第2リンクに対して第1方向において枢動可能である。第3リンクがリクライニング位置にある時、座部の後方領域の上面が、前方領域の上面に対して180度を越える角度を形成する。
【0014】
好ましい実施形態では、背もたれが、座部の後方領域および第3リンクの一方または両方に非枢動結合された下部を有している。一実施形態では、背もたれは、背もたれ支持部材に結合された上部を有し、背もたれ支持部材は、一実施形態では第4枢軸と一致する第5水平枢軸を中心にベース部品に枢支連結されている。
【0015】
さらに別の態様では、着座構造体は、ベース部品と背もたれ支持部材とを有し、背もたれ支持部材は、第1水平枢軸を中心にベース部品に枢支連結された下部支持部材と、第1枢軸から隔置された第2水平枢軸を中心に下部支持部材に枢支連結された上部支持部材とを有する。少なくとも1つの背もたれ部品が、上部支持部材に結合されている。調整機構が、下部支持部材と上部支持部材との間に結合されている。調整機構は、少なくとも第1位置と第2位置との間で動作可能である。調整機構が少なくとも第1位置と第2位置との間で動作可能である際、上部支持部材は、少なくとも第1支持位置と第2支持位置との間で水平軸を中心に下部支持部材に対して枢動可能である。
【0016】
別の態様では、着座構造体は、ベース部品と、ベース部品に枢支結合された身体支持部材とを有する。ばねは、身体支持部材を直立位置に向かって付勢する。力調整部材は、ばねに係合し、少なくとも第1力印加位置と第2力印加位置との間で移動可能である。アクチュエータは、力調整部材に結合され、第1調整位置と第2調整位置との間でベース部品に対して並進移動可能な把持可能部材を有している。把持可能部材が第1調整位置と第2調整位置との間で移動する際、力調整部材は、第1力印加位置と第2力印加位置との間で移動する。
【0017】
一実施形態では、ばねは板ばねとして構成され、力調整部材は支点部材として構成される。支点部材は、長手方向軸に沿って少なくとも第1支点位置と第2支点位置との間で前後方向に移動可能であり、アクチュエータおよび特に把持可能部材は、それとともに前後方向に移動可能である。
【0018】
さらに別の態様では、着座構造体は、支持面を有するベース部品と、反対の第1長手方向および第2長手方向に移動可能な支点部材とを有する。支点は、ベース部品の支持面によって回転可能に支持された第1ローラと、第1ローラに接触する第2ローラとを有している。第1ローラは、支点部材が第1長手方向および第2長手方向にそれぞれ移動する際に、第1回転方向および第2回転方向に回転可能であり、第2ローラは、支点部材が第2長手方向および第1長手方向にそれぞれ移動する際、第1回転方向および第2回転方向に回転可能である。本質的に、第1ローラおよび第2ローラは、支点が長手方向に移動する際、反対方向に回転する。一実施形態では、少なくとも1つの板ばねが、第2ローラによって支持されている。
【0019】
さらに別の態様では、着座構造体は、板ばねと、板ばねによって付勢される身体支持構造体とを有する。板ばねおよび身体支持構造体のうちの一方が、凸状カム面を備えたカムを有し、板ばねおよび身体支持構造体のうちの他方が、凹状カム面を備えたカムフォロワを有する。動作時、カムフォロワは、カムに係合し、その際、カム面が互いに接触する。
【0020】
さらに別の態様では、着座構造体は、支持構造体と、支持構造体によって移動可能に支持されたキャリアとを有する。キャリアは、反対の第1長手方向および第2長手方向において座部支持構造体に対して移動可能である。可撓性身体支持部材は、座部支持構造体に固定結合された第1部と、キャリアに結合された第2部と、第1部と第2部との間に配置された第3湾曲部とを有する。第3部は、キャリアが第1方向および第2方向にそれぞれ座部支持構造体に対して移動する際、支持構造体に向かってかつ支持構造体から離れる方向に移動可能である。好ましい一実施形態では、カバー部材が、身体支持部材の外面にわたって配置され、身体支持部材の第3部を覆う。
【発明の効果】
【0021】
さまざまな態様および実施形態は、椅子と、背もたれ、座部および傾斜制御部を有する着座構造とを含む、他の傾動椅子および着座構造に対して著しい利点を提供する。たとえば、好ましい一実施形態では、使用者が椅子を後方に傾動させる際、座部の後部は前部に対して自動的に後方に枢動し、後部および前部は開いて互いに対して180°を上回る角度を形成する。このように、後部は、使用者の坐骨結節または臀部領域に対する支持を提供し、使用者が座部の前部で前方に滑らないようにする。坐骨結節または臀部支持領域を腿支持領域から分離することにより、使用者が後方に傾動する際、座部支持面全体を傾けるかまたは枢動させる必要がない。その結果、股関節部の落下(hip drop)(使用者の股関節がリクライニング中に落下する量)が低減し、それにより、座部面と傾斜制御部との間のパッケージ空間がより密になり、傾斜部に蓄積されるエネルギー(使用者を後方上に持ち上げるために必要である)が低減し、所与の角度移動でのトルクが低下する。
【0022】
さらに、直立中立位置での背もたれの静止角度を、使用者が、自身の特定の身体サイズおよび体形に対する椅子の適合性をカスタマイズすることができるように、座部に対して容易にかつ迅速に調整することができる。さらに、一実施形態では、たとえば使用者が自身の背中を弓なりにするかまたは腕および肩を後方に伸ばす時、背もたれの上部を、背もたれの下部に対して独立して枢動させることができ、同時に使用者の背中を弓形位置で支持することができる。使用者の付勢力が軽減すると、上部は中立位置に自動的に戻る。
【0023】
付勢機構もまた利点を提供する。たとえば限定されないが、ばねの戻り力を調整するアクチュエータおよび特に把持可能部は、ベース部品に対して並進可能である。アクチュエータの把持可能部または他の任意の可視部の位置を見ることにより、使用者に、着座しかつ/または背もたれに力を加える前に戻り力の設定に関する目印が提供される。
【0024】
さらに、板ばねおよび調整可能支点を用いて座部構造体に戻り付勢力を加える場合、ベース部品においてばねを支持するために用いられる第1ローラおよび第2ローラにより、ベース部品およびばねに対するローラの容易な比較的摩擦のない移動が可能になる。したがって、板ばねに負荷がかかっている場合であっても、支点の位置を容易に調整することができる。
【0025】
ばねおよび身体支持構造体に形成されたカム面もまた利点を提供する。特に、カム面は、着座構造体の通常の傾動範囲全体を通してすべてのタイプのさまざまな使用者に対しバランスのとれた座り心地を提供する。本質的に、これは、たとえば限定されないが、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される、2003年12月17日に出願された「傾動椅子およびその使用方法(Tilt Chair and Methods for the Use Thereof)」と題する米国特許出願第10/738,641号に開示されているような調整されたトルク出力を提供する。カム面は、2003年12月17日に出願された米国特許出願第10/738,641号に開示されているようなばねリンクを不要にする。
【0026】
調整可能な座部の実施形態もまた利点を提供する。たとえば、座部の深さを、座部全体を移動させる必要なく、または言い換えれば、座部の後部を同じ位置で維持しながら、調整することができる。こうした構成により、追加の支持部材が不要になる。さらに、調整機構を、使用者が容易に把持して座部の深さを調整するように操作することができる。さらに、座部の湾曲前部が、使用者が椅子に着座するかまたは椅子から起立する時に、使用者の脚に対し一時的な支持を提供する。同時に、湾曲部は比較的可撓性であり、それにより、使用者の腿に沿った圧力点がなくなる。
【0027】
当然ながら、本明細書に開示されているさまざまな態様を個々にまたは組合せて用いることができ、さまざまな組合せがさらなる利点を提供する、ということが理解されるべきである。本発明は、さらなる目的および利点とともに、添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】椅子の一実施形態の斜視図である。
【図2】直立位置にある椅子の略側面図である。
【図3A】図2に示す椅子のリンク機構組立体の略側面図である。
【図3B】中間リクライニング位置にある図2に示す椅子のリンク機構組立体の略側面図である。
【図3C】完全リクライニング位置にあり上部背もたれ支持部材が中立位置にある場合の、図2に示す椅子のリンク機構組立体の略側面図である。
【図3D】完全リクライニング位置にあり上部背もたれ支持部材が伸長位置にある場合の、図2に示す椅子のリンク機構組立体の略側面図である。
【図4A】中立位置にある背もたれ支持部材の拡大部分側面図である。
【図4B】伸長位置にある背もたれ支持部材の拡大部分側面図である。
【図5】傾斜制御機構の組立分解斜視図である。
【図6】リンク機構組立体のさまざまな部品の組立分解斜視図である。
【図7】調整可能な座部深さ機構を有する座部支持体の底面組立分解斜視図である。
【図8】図7に示す座部支持体および座部深さ機構の平面組立分解斜視図である。
【図9】支点組立体の組立分解斜視図である。
【図10】傾斜制御機構の斜視図である。
【図11】背もたれ支持部材および板ばねの切取斜視図である。
【図12】座部および傾斜制御機構の正面部分斜視図である。
【図13】座部部材の斜視図である。
【図14】座部の平面部分斜視図である。
【図15】座部の底面部分斜視図である。
【図16】座部の側面切取図である。
【図17】シートカバーの平面斜視図である。
【図17A】座部フレームに係合するシートカバーの断面図である。
【図18】直立位置にある座部、傾斜制御機構および背もたれ支持部材の側面切取図
【図19】リクライニング位置にある座部、傾斜制御機構および背もたれ支持部材の、背もたれ支持部材が中立位置にある、側面切取図である。
【図20】リクライニング位置における座部、傾斜制御機構および背もたれ支持部材の、背もたれ支持部材が伸長位置にある、側面切取図である。
【図21】前方位置にある背もたれ支持部材の部分側面切取図である。
【図22】中間基準位置にある背もたれ支持部材の部分側面切取図である。
【図23】後方位置にある背もたれ支持部材の部分側面切取図である。
【図24】背もたれ支持部材の正面斜視図である。
【図25】背もたれ支持部材の背面斜視図である。
【図26】背もたれ支持部材の上部の下部の部分斜視図である。
【図27】背もたれ角度調整器の組立分解図である。
【図28】背もたれ支持部材ブラケットの側面図である。
【図29】下部楔部材の斜視図である。
【図30】図29に示す下部楔部品の側面図である。
【図31】上部楔部品の斜視図である。
【図32】楔アクチュエータの第1部の斜視図である。
【図33】楔アクチュエータの第2部の側面図である。
【図34】背もたれ懸架構造体の正面斜視図である。
【図35】パッド構造体の正面図である。
【図35A】パッド間のコネクタの拡大図である。
【図36】背もたれ懸架構造体の拡大部分斜視図である。
【図37】カバーキャリア部材の正面図である。
【図38】図37に示すキャリア部材の側面図である。
【図39】椅子の側面図である。
【図40】アクチュエータ組立体の断面図である。
【図41】細部41に沿って取り出された図40に示すアクチュエータ組立体の端部の拡大図である。
【図42】傾斜制御機構の別の実施形態の組立分解斜視図である。
【図43】背もたれ支持部材および板ばねの切取斜視図である。
【図44】図42に示す傾斜制御機構の部分組立分解斜視図である。
【図45】背もたれ角度調整機構の別の実施形態の組立分解斜視図である。
【図46】背もたれ支持部材の別の実施形態の正面斜視図である。
【図47】ファブリックカバーなしの椅子の正面斜視図である。
【図48】後方中立直立位置にあるファブリックカバーなしの椅子の側面図である。
【図49】基準中立直立位置にあるファブリックカバーなしの椅子の側面図である。
【図50】前方中立直立位置にあるファブリックカバーなしの椅子の側面図である。
【図51】上部が伸長位置にある、基準直立位置にあるファブリックカバーなしの椅子の側面図である。
【図52】基準中立中間リクライニング位置にあるファブリックカバーなしの椅子の側面図である。
【図53】基準中立完全リクライニング位置にあるファブリックカバーなしの椅子の側面図である。
【図54】上部が伸長位置にある、基準完全リクライニング位置にあるファブリックカバーなしの椅子の側面図である。
【図55A】ファブリック取付組立体の部分断面図である。
【図55B】ファブリック取付組立体の部分断面図である。
【図56】座部の部分斜視図である。
【図57】座部組立体の一部の部分組立分解斜視図である。
【図58】座部の部分斜視図である。
【図59】図58に示す座部の組立分解図である。
【図60】リンク機構組立体のさまざまな部品の組立分解図である。
【図61】椅子の斜視図である。
【図62】パッド構造体または外部カバーなしの椅子の斜視図である。
【図63】図62に示す椅子の背面図である。
【図64】パッド構造体を備えた図62に示す椅子の正面図である。
【図65】可撓性身体支持部材および懸架ピクセル化(pixilated)座部構造体の荷重支持層の組立分解斜視図である。
【図66】支点組立体の底面正面斜視図である。
【図67】背もたれフレームの背面斜視図である。
【図68】パッド構造体の代替実施形態の一部である。
【図69】パッド構造体の代替実施形態の一部である。
【図70】パッド構造体の代替実施形態の一部である。
【図71】パッド構造体と背もたれフレームとの連結の一実施形態の拡大断面図である。
【図72】パッド構造体と背もたれフレームとの連結の代替実施形態の拡大断面図である。
【図73】パッド構造体と背もたれフレームとの連結の代替実施形態の拡大断面図である。
【図74】パッド構造体と背もたれフレームとの連結の代替実施形態の拡大断面図である。
【図75】パッド構造体と背もたれフレームとの連結の代替実施形態の拡大断面図である。
【図76】パッド構造体と背もたれフレームとの連結の代替実施形態の拡大断面図である。
【図77】前方の傾斜が前方傾斜位置に示されている椅子の代替実施形態の側面図である。
【図78】椅子が中立位置にある、図77に示す椅子の側面図である。
【図79】座部用のファブリック取付組立体の組立分解図である。
【図80】背もたれ用のファブリック取付組立体の組立分解図である。
【図81】カバーおよびハンドル組立体の側面図である。
【図82】図81に示すカバーおよびハンドル組立体の反対側の側面図である。
【図83】図81に示すハンドルの斜視図である。
【図84】図81に示すカバーの斜視図である。
【図85】さまざまな座部深さ部品の部分斜視図である。
【図86】図85に示す組立体の断面図である。
【図87】上部背もたれ組立体の部分斜視図である。
【図88】線88−88に沿って取り出された図87に示す背もたれの断面図である。
【図89】上部背もたれ組立体の一実施形態の側面図である。
【図90】椅子の一実施形態の側面図である。
【図91】図90に示す椅子の背面図である。
【図92】背もたれ組立体の一部の部分切取図である。
【図93】線92に沿って取り出された図92の拡大部分である。
【図94】図92の切取図に対して実質的に垂直な方向に沿って取り出された、図92および図93に示すコネクタ組立体の断面図である。
【図95】パッド構造体の代替実施形態である。
【図96】背もたれ構造体の一実施形態の背面斜視図である。
【図97】図96に示しかつ線97に沿って取り出された背もたれ構造体の拡大図である。
【図98】スナップ嵌合回転装置を有するリンクの部分斜視図である。
【図99】フレーム部材に固定された図98に示すリンクの断面図である。
【図100】椅子に取り付けられたカバーの側面図である。
【図101】図100の線101−101に沿って取り出されたカバーおよびフレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
概略
本明細書で使用する「長手方向」および「横方向」という用語は、それぞれ、椅子の前部から後部の方向50および側部から側部の方向52を示すように意図されている。同様に、本明細書で使用する「前部(前方)」、「側部(側方)」、「後部(後方)」、「前方に」、「後方に」、「上方に」および「下方に」という用語は、椅子に着座している使用者の視点から見た場合に通常理解されるような、椅子のさまざまな方向および部分を示すように意図されている。「取り付けられた」、「連結された」、「結合された」、「によって支持されている」およびそれらの変形は、2つ以上の部材または部品が、たとえば別の部品または部材によって、直接にか間接的にかに関わらず、接合され、係合されまたは当接されていることを指し、さらに、2つ以上の部材または介在する部材を、一体的に形成することにより、またはたとえば限定されないが、機械的締結具、接着剤、溶接、圧入、折曲げ(bent−over)タブ部材等を含む、さまざまな締結装置によって、接合することができることが理解されるべきである。「複数」という用語は、2つ以上を意味する。
【0030】
リンク機構組立体
図面を参照すると、図1〜図6、図18〜図20、図42、図48〜図54および図58〜図60は、傾斜制御ハウジング2、座部4、背もたれ支持部材8および背もたれ6を有する椅子の好ましい実施形態を示している。「ハウジング」という用語は、全体として、別の部材を支持する任意の支持部材を指し、限定されないが、筐体を提供する構造を含む。座部4および背もたれの下方部分12は、リンク機構組立体10によって支持されており、リンク機構組立体10は、傾斜制御ハウジング2に枢支連結されている。傾斜制御ハウジング2は、リンク機構組立体のベース部品を形成している。傾斜制御ハウジングは、たとえば溶接によって接合されている上部ブラケット14および下部ブラケット16によって形成されている。
【0031】
リンク機構組立体10は、第1リンク18、518を有し、それは、第1端が、傾斜制御ハウジングすなわちベース部品の前部から前方に延在しているラグ対20に、第1水平枢軸22において枢支連結されている。第1リンク18、518すなわち前方リンクを、30%〜33%GFナイロン等、金属またはプラスチックを含む任意の好適な材料から形成することができる。第1リンクは、上方に延在し、第2端が、下方に延在するU字型支持体または脚28、528に形成された第2水平枢軸26において、第2リンクを形成する前部座部フレーム24、524に枢支連結されている。第1リンクは1つだけ設けられ、支持体28、528の中間に固定されていることが好ましい。図47および図59に示すように、支持体528の直立部分は、2つの平面において湾曲し、枢軸26から上方にかつ後方に延在している。別法として、第1リンクの対を、座部の両側に沿って設けることができる。枢軸32を、第1リンク18、518および第2リンク24、524の一方または他方あるいは両方に一体的に形成することができる。別法として、別個に形成された軸を用いて第1リンクおよび第2リンクを固定することができる。一実施形態では、軸32は第1リンクに形成され、第1リンクと第2リンクとの間に固定されたブシュ30に沿って載っている複数の円形リブを有している。軸32の両端は第2リンク内にはめ込まれ、その間、円形リブが荷重を支持している。第2リンクに、軸、ブシュおよびリブを受け入れるソケットまたは凹部36が形成されている。座部フレームの前方に面する部分の上にカバー部材38が配置されかつ連結され、見た目が美しい外観を提供する。座部フレームは、ガラス充填ナイロンからなることが好ましいが、金属、プラスチック、複合材およびそれらの組合せを含む種々の材料から作製することができることが理解されるべきである。
【0032】
図98および図99に示す別の実施形態では、前方リンク1018は、その両側から横方向外側に延在する一対の軸またはポスト1020を有している。ポストの上には一対のブシュ1026が軸方向に配置されており、それは、受け部材1030を画定する拡大端部を備えた、内側に延在する弾性アーム1028を有している。座部フレーム1040は、枢支部材および取り付けられたブシュを回転可能に受け入れるような形状である横方向に延在する凹部1042を有している。フレーム1040は、一対の隔置された半径方向に延在する受け部材1032を有している。受け部材1032は、その対向する外壁1046が、リンクとフレームとが係合した時に弾性アームの外側止め部1030と実質的に整列するように配置されている。それにより、リンクとフレームとの間の相対的な軸方向移動が防止され、ポストとソケットとの間の係合によりリンクとフレームとの間の相対的な半径方向移動が防止され、それによって、リンクがフレームに回転可能に固定される。凹部の端部は、ブシュ1020を回転可能に受け入れるような形状であるソケット1024として形成される。凹部1042の全長、またはその各側の各ソケット1024の個々の深さは、リンクの全長(一方のポスト端部から他方のポスト端部まで)より大きいか、または軸およびハブの個々の長さより大きく、リンクの縁とリンクの各側のフレームの口との間に間隙1022が形成されている。
【0033】
動作時、組立工は、ブシュ1020/軸1026の一端(たとえば左側)を対応するソケット1024内まで摺動させ、その側の間隙1022が除去されるようにし、かつ反対側のブシュ1020/軸1026が、他方の側(たとえば右側)の凹部の口を空け、枢軸1034に沿って整列するようにする。この初期挿入段階において、反対側の受け部材1030(たとえば右側)は、フレームに対応する受け部材1032(たとえば右側)によって半径方向外側に付勢される。そして、使用者は、リンク1018を軸方向に軸1034に沿って反対側端部に向かって、付勢された受け部材1030(右側)がフレームの受け部材1032を越えて摺動し適所にはめ込まれるまで移動させ、それによりリンクをフレームに回転可能に固定する。図示するように、リンクをいずれかの側から取り付けることも可能であり、したがって、リンクは左利き用でも右利き用でもない。しかしながら、機構を、リンクに単一の受け部材があり、フレームに単一の受け部材があるように構成することができ、フレームの対向する細長いソケットが最初にリンク軸を受け入れる、ということが理解されるべきである。この装置を用いていかなる2つの部品をも回転可能に固定することができ、この装置は、図示し説明するような椅子用のフレームおよびリンクに限定されない、ということが理解されるべきである。また、弾性アームおよび/またはブシュを、リンク部品と一体的に形成することができる、ということも理解されるべきである。さらに、アームおよび受け部を用いて、任意の2つの部品を回転不可能な係合で固定することができ、その場合、たとえば、ソケットまたは端部ポストの構成あるいは他の非回転部材は、こうした回転を防止するように構成される。装置は、回転軸に沿ってピンを挿入するための開口またはアクセスを提供する必要なしに、互いに対して軸方向にかつ半径方向に回転不可能な2つの構成要素を提供する。
【0034】
図6〜図8および図57〜図60を参照すると、前部座部フレーム24、524すなわち第2リンクは、横方向に隔置されかつ間に開口42を形成する、一対の実質的に水平なアーム40、540を有している。アーム40は、椅子の前部から後部まで長手方向50後方に延在している。各アームは、フレームの前部まで開放するガイド44、544またはトラックを有するように構成されている。各アームは、実質的に水平なフランジ46、546と垂直に向けられたフランジ48、548とを画定するL字型断面を有していることが好ましい。複数の指54、554が、垂直フランジの上部から上方に延在し、図17に示す、フレームにはめ込まれるキャリア部材によって、ファブリック56を固定する(anchor)ように適合されている。たとえば、指を、キャリアまたは他のカバー部品と係合するために、その端部にあごまたは受け部材があるように構成することができる。他の実施形態では、座部フレームは、キャリア部材に形成された雄部を受け入れる雌受け口があるように形成される。ファブリックおよびキャリアを形成し、かつそれらを支持構造に固定するさまざまな好適な実施形態は、2004年3月8日に出願された「ファブリック取付装置(Fabric Attachment Device)」と題する米国特許出願第10/796,406号に開示されており、その開示内容はすべて参照により本明細書に援用される。図59および図60に示す実施形態では、フランジ548は直線状ではなく、わずかな凹状の輪郭を有し、第2リンク524の後部の方に水平フランジ546に向かって下方にテーパ状となるかまたは傾斜している。
【0035】
代替実施形態では、キャリア部材が省略されている。代りに、ファブリックに、クリスマスツリーファスナまたはスナップ嵌合ファスナ等、フレームの開口とスナップ嵌合で係合する複数の締結具部品が設けられている。ファブリックを、他の機械的締結具で、接着により、またはそれらのさまざまな組合せによって固定することも可能である。たとえば、図79に示すように、フレーム部材221は、カバー、たとえばファブリックまたは織物材料の縁部225に、ホチキスの針、接着剤、縫合等またはそれらの組合せによって取り付けられる。そして、クリスマスツリーファスナ223がフレーム部材221を通して座部フレームに固定され、カバーが内側フレームの周囲に被着され、ファスナ223の頭部を覆う。
【0036】
図80を参照すると、フレーム部材321はこの場合もまた、接着、ホチキス留め、縫合等またはそれらの組合せによってカバーの縁部に固定されている。フレームはU字型ソケットを有し、そこに、保持クリップ327、たとえばティンナーマン(tinnerman)クリップが挿入される。クリップ327は、背もたれフレーム302の前方に面するフランジ部に解放可能に係合し、ファブリックがフレーム部材321の縁の周囲に、その後パッド構造の正面を横切って被着される。
【0037】
図6〜図8および図57〜図60を参照すると、複数の係合/支持アーム58、558が、各水平フランジ46、546の内側縁から上方に延在している。支持プラットフォームは、各々、拡大頭部60、560を有するように構成されている。係合/支持プラットフォームは、座部の一部を画定する懸架された身体支持部材に接合されている。特に、座部の前方腿支持領域62が、前部座部フレームのアームに結合されている。
【0038】
たとえば、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される、2003年12月17日に出願され、米国特許出願公開第2004/0183350A1号として公開された「傾動椅子およびその使用方法(Tilt Chair and Methods for the Use Thereof)」と題する米国特許出願第10/738,641号に示すように、たとえば、開口にわたって膜を配置し、各アームの支持プラットフォームまたは指と係合させることができる。代替の一実施形態では、たとえば限定されないが、開示内容がすべて参照により本明細書に援用される、2006年5月12日に出願された「懸架ピクセル化着座構造(SUSPENDED PIXELATED SEATING STRUCTURE)」と題する米国特許出願第11/433,891号に示されているように、懸架された身体支持部材は、懸架ピクセル化座部構造体として構成される。特に、図12〜図17に示すように、懸架ピクセル化座部構造体は、複数の開口を有するフレーム部品64を有し、開口内には支持アームが配置され、その拡大頭部がスナップ嵌合によりフレームと係合している。懸架ピクセル化座部構造体は、たとえばフレームに接合された、複数の主支持レールを有するマクロコンプライアンス層66と、マクロコンプライアンス層に接合された、たとえば複数のばね要素を有するマイクロコンプライアンス層68と、ばねに連結された複数のピクセルを含む荷重支持層79とをさらに有している。
【0039】
図56および図59に示す一実施形態では、マクロコンプライアンス層66はフレームに直接連結されている。特に、マクロ層の各ストリップ67はT字型頭部69を有し、それは、2つの隣接する支持アーム558間の開口に配置されている。拡大頭部560が、T字型頭部の上に延在し、ストリップをフレームに保持する。頭部69にはまた開口が貫通しており、それが、隣接するアーム558間に配置されたポスト71のうちの1つを受け入れる。
【0040】
再び図6〜図8および図57〜図60を参照すると、第3リンクを形成する後部座部フレーム72、572が、長手方向50前方に延在する一対のアーム74、574を有している。アームは、横方向52に隔置されており、前方座部フレームのアーム40、540と実質的に整列しており、アーム40、540、74、574の自由端は実質的に当接している。アーム74、574は、前部座部フレームのアームと同様に構成されており、水平フランジ76、576および垂直フランジ78、578と、上方に延在する指80、580および上方に延在する係合/支持部材82、582と、上述した懸架身体支持部材を支持するように構成されたポスト71とを有している。特に、座部の後部臀部支持領域84が後部座部フレームのアームに結合されており、臀部支持領域84は、腿支持領域62から長手方向後方に隔置されている。図59および図60に示す実施形態では、フランジ578は直線状ではなく、わずかな凹状の輪郭を有し、第3リンク524の前部の方へ水平フランジ576に向かって下方にテーパ状になるかまたは傾斜している。フランジ548および578は組合せて、側方から見るとV字型開口を形成している。開口は、後部座部フレーム572が前部座部フレーム524に対して枢動する際に、ファブリックのキャリア部材または他の部品に過度な張力がかからなようにするのに役立つ。
【0041】
一対の板ばね86、586が、前部座部フレームのアーム40、540および後部座部フレームのアーム74、574の自由端間の間隙に架橋するかまたはまたがっており、たとえば接着剤および/または締結具587により、アームの各々の水平フランジ46、546、76、576に固定されている。複数のポスト589が、さらに、マクロコンプライアンス層66を支持する。板ばね86は、仮想水平枢軸88において前部座部フレームおよび後部座部フレームすなわち第2リンクおよび第3リンクを枢支連結する。代替実施形態では、第2リンクおよび第3リンクを、たとえば枢支部材により硬い枢軸において枢支連結することができる。枢軸を、コンプライアントな接合部として画定することができ、それにより2つの部品を互いに対して枢動させることができ、軸(実際または仮想)の位置は、2つの部品の間の枢動範囲にわたって変化または移動することができる、ということが理解されるべきである。
【0042】
後部座部フレームは、フレームの各側に沿って配置された下方に延在する一対の支持部材90、590を有している。一対の肘掛92が支持部材に連結され、かつそこから上方に延在している。後部座部フレームを、2つの部分から作製することができ、その各々は、異なる材料、たとえばガラス充填ナイロンおよびアルミニウムであり得る。
【0043】
後部座部フレーム72、572すなわち第3リンクはまた、第4水平枢軸96において、傾斜制御ハウジング2すなわちベース部品に枢支連結されている、一対の前方に延在するラグ94、594も有している。このように、ベース部品2すなわち傾斜制御ハウジング、前部枢支リンク18、518、ならびに前部座部フレーム24、524および後部座部フレーム72、572は、4節リンク機構の4つのリンクを画定する。
【0044】
動作時、図3A〜図3Dおよび図48〜図54に最もよく示すように、使用者は椅子、特に座部で、直立位置(図3Aおよび図48〜図51)から中間リクライニング位置(図3Bおよび図52)を通して完全リクライニング位置(図3Cおよび図53)まで後方に傾動する。使用者が後方に傾動すると、第1リンク18、518は、第1回転方向(左側から見ると右回り)に軸22を中心に、ベース部品すなわち傾斜制御ハウジングに対して枢動可能である。同時に、第3リンク72、572すなわち後部座部フレームは、枢軸88を中心に第2リンク24、524すなわち前部座部フレームに対して第1回転方向に枢動し、それにより、使用者が後方に傾斜するに従い、座部の前部領域62の上面96と座部の後部領域84の上面98との間の角度が広がり、座部がリクライニング位置、好ましくは直立位置の後方の任意のリクライニング位置にある時、180°を越える角度を形成する。実際には、初期直立位置において、前部領域の上面および後部領域の上面はわずかな冠部を形成し、角度は180°を上回り、望ましくは約183°である。一実施形態では、後部座部領域84は、座部が直立位置から完全リクライニング位置まで移動する際、地面に対して後方に18°枢動するが、前部座部領域62は地面に対して3°しか枢動せず、それにより後部領域が前部領域より15°さらに枢動し、180°を越える角度を形成する。さまざまな実施形態において、完全リクライニング位置における前部領域の上面と後部領域の上面との間の角度は、約185°と200°との間で変化することが可能であり、好ましくは約195°である。このように、座部の後部領域84は、使用者の坐骨結節または臀部領域のための支持を提供し、使用者が椅子で後方に傾動する際に座部から前方に滑らないようにする。同時に、座部の前部領域62は、椅子の傾斜範囲全体を通して実質的に同じ向き(3°枢動)で維持される。後部の坐骨支持領域を前部の腿支持領域から分離することにより、使用者が後方に傾斜する際に、座部支持面の全体を傾けるかまたは枢動させる必要はない。その結果、股関節部の落下が低減され、それにより、座部面と傾斜制御部との間のパッケージ空間がより密になり、傾斜部に蓄積されるエネルギーが低減し、所与の角度移動でのトルクが低下する。
【0045】
好ましくは、第1リンク18、518と傾斜制御ハウジング2との間に形成される第1枢軸20は、第3リンク72、572と傾斜制御ハウジング2との間に形成される第4枢軸96の前方に配置され、第4枢軸96は、一実施形態(図2〜図3C)において前部座部フレームと後部座部フレームとの間に形成される第3枢軸88の前方に配置され、それにより、第3リンク72および連結された背もたれ支持部材100は、第2リンクより大きい割合および角度で後方に傾斜する。別の実施形態では、第4枢軸96および第3枢軸88は実質的に垂直に整列する(図48〜図54)。枢軸88は、枢軸96と整列するかまたは、そこから後方に配置され、使用者に対する圧迫感または腿中央部が持ち上がる感覚が防止される。
【0046】
図77および図78を参照すると、椅子の代替実施形態は、座部および背もたれの前方傾斜を可能にするリンク機構を備えるように構成されている。特に、第1リンク421は、第1端部が枢軸26において第2リンク524に枢支連結され、第2端部が軸423において傾斜ハウジングに枢支連結されるように位置を変えている。使用者が前方に傾斜すると、第1リンク423は、第1回転方向(左側から見ると左回り)に軸423を中心に、ベース部品すなわち傾斜制御ハウジングに対して枢動可能である。同時に、第2リンク524は、第3リンク572に対して枢動し、それにより、使用者が前方に傾斜する際に座部の前部領域62の上面96と座部の後部領域84の上面98との間の角度が広がり、座部が前方傾斜位置にある時180°を越える角度を形成する。実際には、一実施形態では、上面96と上面98との間の角度は、前方傾斜位置、直立傾斜位置またはリクライニング傾斜位置のいずれにあっても、180°を越える角度で常に維持され、後部上面と前部上面との間の角度は、使用者がリクライニングするかまたは前方に傾斜する際にさらに広がる。
【0047】
追加のベース部品
好ましくは空気式でありかつ図1〜図3Dおよび図48〜図54に示す調整可能支柱102が、ハウジング2の後部の開口104に取り付けられている。側方作動レバー(図示せず)を有する柱102の上部は、ハウジング内に延在している。レバーにはケーブル106が接続されており、それを、レバーを作動させるようにガイド内で移動させることができる。ケーブルの反対側の端部は、図5および図9に示すように、支点組立体に枢支連結されたレバーアーム108のアーム部114によって係合される。レバーは、アクチュエータチューブに連結された把持可能ハンドル290の端部から延在する押しボタン110によって作動される。動作時、使用者は、ボタン110を押し、ボタン110は、アーム112に係合し垂直軸288を中心にレバーアーム108を回転させるロッドを、横方向に移動させる。レバー108が回転すると、アーム部114は支柱レバーを作動させるようにケーブル106を移動させ、それにより、支柱102は、そこに収納されたガススプリングに応答して伸長することができ、または使用者が座部に加えている重量に応じて縮小することができる。1つの好適な支柱は、SHSとも呼ばれるサムホンサ社(Samhongsa Co.Ltd)から販売されている。
【0048】
図40および図41に示す代替実施形態では、アクチュエータは、押しボタンではなくジョイスティック600として構成されている。ジョイスティックは、アームまたはポスト部602と、ばね保持具610に形成された環状支持体608に係合する円周方向肩部606を有する基部604とを有している。ジョイスティック600は、肩部によって画定される平面612、すなわちジョイスティックのアームの長手方向軸614に対して実質的に垂直な平面内にある任意の軸を中心に枢動可能である。ジョイスティックは、図40に示す直立位置から作動位置まで移動可能であり、ばね616がジョイスティックアクチュエータを直立位置に向かって付勢する。
【0049】
ばね保持具610は、ばね616と係合する端壁620を有する内部キャビティ618を有している。ケーブル622は、ジョイスティックの基部に連結された拡大端部624を、好ましくは細いスロート628と裁頭円錐形状通路630とを有するキャビティ626に配置することによって有している。拡大ばね係合部632が、ケーブルの長さに沿って端部624から隔置されている。動作時、使用者は、ジョイスティックのアーム602の端部を把持するかまたは押し、それによりアーム602は肩部606とばね保持具の環状支持体608との間の接合部によって画定される軸を中心に枢動する。ばね616は、ばね保持具の端壁620とケーブルの拡大部632との間で圧縮され、使用者が解放すると、ジョイスティックを直立位置すなわち中心位置に戻るように付勢する。使用者がジョイスティック600を枢動させると、ケーブル622はケーブルガイド634に対して第1位置から第2位置まで移動し、支柱レバーを作動させ、それにより支柱が伸長するかまたは縮小することができる。ジョイスティック600を、支柱を作動するように円周方向肩部に沿った任意の点を中心に任意の方向に枢動させることができる。ジョイスティックを用いて他の部品を作動させ、枢動/回転運動を線形作動に変換するか、またはケーブルの遠位端において再び回転/枢動作用に戻すことができる、ということが理解されるべきである。把持可能ハウジング690は、ばね保持具およびジョイスティックを包囲しかつ支持している。ベゼル636が、ハウジングの端部に固定されており、使用者が操作するためにアーム602が外側に延在するように、軸に沿って開放している。
【0050】
図1を参照すると、基部116、好ましくはキャスタを備えた5つのアーム基部が、従来の方法で支柱102の底部に取り付けられているが、当業者は、他の支柱および基部を用いて、高さ固定支柱とたとえばすべり玉を備えるように構成された基部を含む非回転基部とを含む、ハウジングを支持することができる、ということを理解するであろう。
【0051】
椅子について概略的に説明したが、以下、肘掛、座部、背もたれおよび傾斜制御組立体のさまざまな特徴を、それらのさまざまな制御部とともに、より詳細に説明する。
【0052】
調整可能な座部深さ
図7〜図8、図12〜図17および図56〜図69を参照すると、座部の前部領域62の長さ(前後長手方向測定値)を、座部の深さ全体(前部から後部の長さ)を変更するように調整することができる。座部深さ組立体は、前縁122、722を備えた横方向に延在する支持体120、720を有する剛性なキャリッジ部材118、718を有している。一実施形態では、前縁は、図7〜図8および図12〜図17に示すように、複数の段124を有するように構成されている。図56〜図59の実施形態では、前縁は直線状であり、または略凸状に湾曲して前方に延在している。第1実施形態では、キャリッジの横方向中心線に沿って形成された前縁の中心段部126は前方に延在し、複数の段128(両側で2つ示す)が、中心段126に対して連続的に後方に配置されている。横方向外縁において、1つまたは複数の段130が、最後方段に対して前方に連続的に前進している。キャリッジには、座部の両側から横方向外側にかつ/または上方に延在する、タブとして示す一対の把持可能ハンドル132が設けられている。キャリッジ118は、前部座部フレームのアームの各々に形成されたガイド/トラック44と摺動可能に係合する、一対の後方に延在する摺動部材134をさらに有している。キャリッジ118は、長手方向50(前後)に前部座部フレーム24に対して並進移動可能である。「並進する」、「並進可能な」およびその変形といった用語は、経路(直線状または非直線状(たとえば湾曲または曲線状))に沿って1つの地点から幾分かの距離隔置された別の地点まで移動または変位することを意味する。別の部品に対して並進させる部品を、同じ部品に対して回転させることも可能であり、その場合、並進および回転は同時に、連続して、かつ/または同時にかつ連続して発生する、ということが理解されるべきである。一実施形態では、ブシュ136が、ガイド44の座部フレームに、摺動部材と係合するように固定されている。
【0053】
図57〜図59の実施形態では、キャリッジ部材718は、一対の対向する円形端フランジを有しており、各々には開口が配置されている。端フランジの前方部分から垂直フランジが内側に延在し、トラックまたは摺動部材734に固定されている。摺動部材は、第1リンクすなわち座部フレーム524に固定されているガイド/トラック744に対して、摺動可能または並進可能である。一対の端部カバー745の各々が、キャリッジ部材の端フランジの開口と係合する可撓性係合部材を有している。カバーには開口が設けられ、その開口に、使用者が、キャリッジ部材を把持し移動させるために指を挿入することができる。ファブリックキャリア747が、カバーに形成されたハブ部749の周囲に被着され、それに対して移動可能である。キャリア部材は、カバー745の軸受部761の周囲にさらに被着される一対のテザー751を有している。軸受部は、垂直軸を中心に曲線を有するように湾曲し方向付けられていることが好ましい。このように、キャリアを、水平軸を中心に、その後軸受部によって形成された垂直軸を中心に、回転させることができる。このように異なる平面に方向付けられた平面を越えてまたは異なる軸の周囲で摺動することができることは、テザーの使用者によって容易にされる。テザー751の端部には、複数の拡大部または止め具763が形成されている。テザーは、座部フレームの前部の切欠き765(図60)内に挿入され、止め具のうちの1つは、フレームの水平フランジの上面に係合し、引き抜けを防止するために切欠きより大きい。テザーを座部のサイズに応じて異なる初期長さで設定することができるように、複数の止め具が設けられている。
【0054】
可撓性身体支持部材138は、座部に摺動可能/並進可能に連結された上方第1部140、たとえば、懸架身体支持部材70を有し、身体支持部材は、たとえば、開口143に受け入れられるタブ141等の複数の締結具を備えている。図47、図58、図59および図65に示すように、可撓性部材は、外側の横方向に延在するフランジ139を備えた後方に延在するストリップ141を有し、フランジ139は、横方向に隔置された上部プラットフォーム165および横方向に隔置された下部プラットフォーム163によって形成された開口に受け入れられる。下部プラットフォーム163は基床167に連結されており、垂直フランジ169が、上部プラットフォームを支持するように基床から上方に延在している。フランジ139は、隣接する上部プラットフォーム165の外側に延在する部分の下に受け入れられ、ストリップ141の主本体部は下部プラットフォーム163によって支持される。このように、ストリップ141は垂直に支持されるが、支持層70に対して並進または摺動することも可能である。
【0055】
可撓性部材は、キャリッジに連結された第2部142をさらに有し、第3湾曲部144(ブルノーズ)が、第1部と第2部との間に配置され、可撓性部材の前縁を形成している。可撓性部材は、複数の長手方向に延在するストリップ162をストリップ141と同様に画定する、複数の横方向に隔置され長手方向に延在するスロット160を有するように構成されている。可撓性部材を、ポリプロピレンまたはクレイトン(KRATON)が混合されたポリプロピレン等、さまざまなプラスチック材料から作製することができる。可撓性部材を、スロットが形成された、単一の一体形成部材として、または複数の独立した別個のストリップとして構成することができる。ストリップの幅および数は、キャリッジの前縁122に形成された段124の幅および数に対応することが好ましい。キャリッジ118は、可撓性部材の後方にまたは下に配置され、前縁122は可撓性部材の内面に隣接して配置され、一実施形態では、それに係合し、または別法として可撓性部材および特にストリップ162の底面に隣接し係合する。代替実施形態では、可撓性部材の第3部における前縁は、概して前方凸形状で湾曲しており、ストリップ162の長さは、それらが内側に移動するに従って徐々にかつ個々に長くなる。座部の前縁は、ファブリック等のカバーをストリップの上にさらに配置することができるということを理解して、ストリップ162の最前方部すなわち第3部によって画定される。ストリップの最前方部がキャリッジの前縁をたどる一実施形態では、座部の前縁は非線形であるかまたは凸状である。
【0056】
図17に最もよく示すカバー部材56は、後部領域84および前部領域62を含む、座部の全体にわたって配置される。ファブリックおよびキャリア部材として構成されることが好ましいカバー部材は、可撓性部材138の周囲に被着され、可撓性部材の第3湾曲部144を覆う。ファブリックは、横方向に延在する部材165を含むキャリア部材にすべての側部で固定されている。カバーは、一対の横方向に隔置されたテザーとして図16および図17に示す、第1折返し部146をさらに有している。上に開示したように、キャリア部材が第1折返し部を画定することができる。代替実施形態では、第1折返し部は、カバーの全幅を横切って延在するファブリックの一部によって画定される。第1折返し部の自由縁152すなわちテザーの自由端(ファブリックによって形成されるかキャリア部材によって形成されるかに関わらず)は、たとえばロッド154によって前部座部フレームに、または上述したような切欠き765に固定される。第1折返し部は、駆動部材158の上面156に沿って、またはカバー745の内側に位置している。一実施形態では、駆動部材158は、可撓性部材138の後方に延在するアーム部によって形成されている。別の実施形態では、駆動部材を、キャリッジ部材によって形成することができる。
【0057】
図57に示すように、駆動部材は、軸受部761を含むカバー745によって形成されている。駆動部材の湾曲軸受部761は、カバー部材(またはキャリア部材)に折返し縁148を形成し、第2折返し部150が駆動部材および第1折返し部の下にあるか、または第1折返し部の外側にある。折返し縁を画定するカバーの実際の材料ならびに第1折返し部および第2折返し部の長さは、キャリッジ部材118および連結された可撓性部材138が座部フレームに対して移動する際に、第1折返し部と第2折返し部との間で変化しシフトすることが理解されるべきである。したがって、折返し縁148ならびに第1折返し部146および第2折返し部150は、常に縁および折返し部を形成する材料によって画定される。この実施形態では、テザー、すなわち第1折返し部を形成するカバーの部分は、非弾性であることが好ましい。
【0058】
動作時、使用者は、キャリッジ部材118たとえばハンドル132か、カバー745か、または可撓性支持部材あるいはブルノーズ等の座部の前部を把持し、キャリッジ部材を、座部の対応する深さを画定する所望の長手方向位置まで移動させる。複数の調整位置を提供するように、キャリッジおよび座部フレームの一方に、さまざまな戻り止めまたは他の係止/掛止機能を形成することができ、または無限の数の調整位置を提供するように、調整を単に摩擦によって止めることができる。
【0059】
キャリッジ118が前方に移動すると、たとえば、可撓性部材138の第3部144および前縁もまた前方に移動し、カバーの第1折返し部146の長さが短くなる。同時に、可撓性部材の上部140およびその上に位置するカバーの対応する部分が長くなり、それはより深い座部全体深さに対応する。逆に、使用者がキャリッジ118を後方に移動させると、駆動部材158が折返し縁148を後方に移動させ、それにより可撓性部材の第3部144および前縁が後方に移動するに従って第1折返し部146の長さが増大し、対応する座部深さが低減する。
【0060】
代替実施形態では、カバーまたはファブリックの後縁は、単に座部フレーム、傾斜ハウジングまたは他の構造に、伸長可能または引張り可能なテザー、たとえば弾性テザーによって固定される。たとえば、図17のテザーを、弾性部材として形成することができる。この実施形態では、カバーは第1折返し部を有していない。代りに、弾性テザーが、キャリッジが前方にかつ後方にそれぞれ移動する際に、単に伸長するかまたは後退する。このように、テザーは、身体支持部材に対してカバーを保持し、座部深さが長くなると、カバーが身体支持部材の正面の湾曲部分を越えて摺動することができるようにし、座部深さが短くなると、ファブリックを座部の下に引き戻す。
【0061】
可撓性ストリップ162は、キャリッジの段付き前縁122とともに、使用者の腿に対しさまざまな懸架力を提供する。特に、段128が最も後方に形成される領域では、可撓性部材の対応するストリップ162は、使用者の重量に応じてより大きい偏向が可能である。これら段128およびストリップは、概して、使用者の長手方向に延在する腿と整列する。逆に、可撓性部材138は、段126において横方向中心線に沿って、かつ段130において最外横方向位置において、それら段126、130がより大きい前方の広がりを有するため、より堅固に支持される。
【0062】
カバー56を、後部座部フレームおよび前部座部フレームに、かつ可撓性部材に、図6および図7に示すキャリア部材164によって固定することができ、キャリア部材164は、たとえば限定されないが、座部フレームに形成された指54、80と係合する。
【0063】
図81〜図84を参照すると、代替実施形態では、カバー800は、後方側壁部802、上部フランジ804および下部フランジ806を有している。上部フランジ804は、たとえば接着によるかまたは締結具等により、懸架身体支持部材70に結合され、下部フランジは座部フレーム524、572に結合される。カバーの前方部808は、底部および前部を有する湾曲壁を形成する湾曲把持可能部810と、横方向に形成された溝812とを有している。ハンドル814が、溝に受け入れられるような形状の湾曲把持可能部816と、後方に延在するシャフトまたはポスト818とを有している。ハンドルは、キャリッジ718に固定される、横方向内側に延在するフランジ820をさらに有している。ポスト818は、カバー800にかつそれによって形成された溝を通して後方に延在し、図81および図82に示すようにカバーの剛性を向上させるように、カバーの開口を通って延在する。カバーの中間部822は、拡張またはベローズ構造を有し、それにより、前方部808が、カバーの固定後方部802に対して長手方向前後に移動することができる。拡張構造は、連結リブ826によって連結された複数の垂直リブ824を有し、それにより垂直リブが、リブ824が互いに近接する最小座部深さ位置から、リブが互いから隔置される最大座部深さ位置まで移動することができる。伸張接合部を含むカバー800は、さまざまな挟み点が形成され得る座部の内側に使用者が接触するのを制限するのに役立つ。さらに、カバー800は一意の美的外観および閉鎖を提供しながら、依然として、たとえば座部の深さを調整する場合に、座部の前方部の相対移動または並進を可能にする。図100および図101に示すように、カバー1800は、座部表面と下部フレーム部材との間の座部の側面を閉鎖する後方カバー部1804と、キャリッジに固定される前方カバー部1808とを有しており、前方カバー部は、座部の深さが調整される際に後部カバー部に対して摺動する。前部または後部のいずれも、相対摺動移動中に他方の外側に配置することができる。
【0064】
図85および図86を参照すると、座部深さ機構の代替実施形態では、カバー部材826、たとえばファブリック部材は、横方向に延在するワイヤ828を有し、それはファブリックの縁部に、たとえばワイヤをファブリックに縫合するか熱融着させることによるか、またはファブリックループ内にワイヤを配置することにより固定されている。一対の横方向に隔置されたクリップ830が、ワイヤに固定され、それによりファブリックに固定されている。当然ながら、クリップを、ワイヤなしにファブリックに直接固定することができるが、ワイヤは移動の際にファブリックに安定性を提供する、ということが理解されるべきである。一対のテザーまたはひも832が、クリップのそれぞれ1つに取り付けられた第1端を有している。テザーまたはひもを、たとえば接着または縫合によりカバーに直接固定することができ、またはたとえばカバーの拡張部としてカバーと一体形成することができる、ということが理解されるべきである。このように、テザーまたはひもは、カバーまたはファブリックの一部として構成される。ひもまたはテザーは、ガイド部材836に形成された開口834を通して後方に延在している。テザーまたはひも832は、ひもの折返し部838において開口を通してガイド部材に対して摺動可能に移動し、この場合もまたカバーの一部を形成する。各ひもの反対側の端部は、座部フレーム524に、たとえばひものループをフレームのフック840に固定することによって結合されている。ばね842が、ばねガイドに形成されたポスト844の周囲の溝に配置され、溝846は、後方に延在するタブ848かまたは可撓性部材138またはその下部142の突起にさらに配置されている。ひも832の2つの端部をフレームおよび可撓性部材に連結することにより、ガイド部材836を可撓性部材138に向かってばね842の付勢力に抗して付勢することによって、ばねに予め負荷がかけられる。このように、ひも834およびばね842は、可撓性部材が最小座部深さ位置と最大座部深さ位置との間を前後に移動し、テザーがガイドに対して移動/摺動する際に、カバー826を、可撓性部材138の周囲に緊張状態で維持する。
【0065】
傾斜機構
図5、図10、図21〜図23および図42〜図45に示すように、かつ上述したように、ハウジング2は、下部ハウジング部材16および上部ハウジング部材14を有している。座部支持ブラケット166が、一対の前方に延在するピボットアーム168および後部支持プラットフォーム170を有している。支持ブラケット166は、後部座部フレーム72に連結され、特に、プラットフォーム170に締結されており、それにより、支持ブラケット166は第3リンクの一部を形成する。ピボットアーム168は、第4枢軸96において傾斜制御ハウジングに枢支連結されている。各ピボットアームには、湾曲した、または弓形のスロット171が形成されており、スロットはほぼ垂直方向を向いている。
【0066】
背もたれ支持ブラケット172もまた、第4枢軸96において傾斜制御ハウジングに枢支連結されている一対の前方に延在するピボットアーム174を有している。このピボットアームもまた、各々、座部ブラケットのスロット171と整列する弓形スロット176(またはトラック)を有している。前方止め部材178(またはガイド)がそれらスロット内に延在しており、傾斜制御ハウジングに固定されている。ブラケット166、172は、第4枢軸96を中心に枢動し、その際、止め部材178が、スロット171、176の底部に係合して、図10に示すような直立基準位置における座部および背もたれの前方枢動または傾動を制限する。
【0067】
一対の傾斜制限体180、780が、枢支部材により枢軸を中心に座部ブラケットに枢支固定されている。傾斜制限体は、座部ブラケットから延在する片持ばね184によって選択的に係合される複数の割出し戻り止め182を有している。割出し戻り止めを、別法として傾斜制限体の側面に沿って配置することができる。傾斜制限体は、その前縁に沿って、傾斜制御ハウジングの縁188と選択的に係合する複数の段186が形成されている。このように、座部ブラケット166および連結された背もたれ支持ブラケット172の後方傾動は、傾斜制限体180の傾斜制御ハウジング2に対する枢動位置によって制限される。傾斜制限体180の枢動位置は、アクチュエータ190によって制御され、アクチュエータ190は、クロスチューブとして構成され、座部ブラケットに回転可能に連結されている。アクチュエータ190は、スロット192を備えた一対のラグを有し、ラグは、傾斜制限体180の対応するスロット191に連結されている。アクチュエータ190は、回転すると、傾斜制限体180を、枢軸196を中心に所望の位置まで枢動させ、割出し機構(戻り止め180およびばね184)が、傾斜制限体のさまざまな利用可能な位置に対応する。
【0068】
図39および図42に示す別の実施形態では、アクチュエータ790はより後方に配置されており、それにより、使用者の腕が弛緩して垂直に、すなわち使用者に対して「手が下がった(handfall)」位置に、落とすまたは下げることができると、アクチュエータのレバーまたは把持可能部731が、使用者の手の位置に隣接して配置される。図39に示すように、把持可能部は、座部の後部より後方に、または別法として座部深さの後部10%に配置されることが好ましい。略Y字型のリンク791がアクチュエータに連結されている。リンクの端部またはラグ793は、アクチュエータから径方向に延在するレバー部795に回転可能に連結され、アーム797は、端部から外側に分岐し、傾斜制限体780に回転可能に連結される対向する端部を有している。座部ブラケット166には、レバー部795およびリンクのラグ793に対応するプラットフォーム170の後部に、一対のスロットとして構成された開口799が設けられている。動作時、使用者は、把持可能部731を用いてアクチュエータ790を回転させ、それによってリンク791が枢動し、それにより傾斜制限体780が所望の位置まで回転する。
【0069】
図5、図9および図42〜図44に最もよく示すように、支点組立体200が、傾斜制御ハウジング一対の板ばね202の下に移動可能に取り付けられている。板ばねは、ガラス繊維およびエポキシマトリクス等の複合材料からなることが好ましいが、鋼等の他の弾性材料も有効であることが理解されるべきである。複合材料は、繊維複合材、積層複合材または微粒子複合材であり得る。好適な複合材ばねは、GP68−UD一方向繊維強化バーストック(Unidirectional Fiber Reinforced Bar Stock)という仕様名で、コロラド州モントローズ(Montrose, Colorado)のゴードン・プラスチックス社(Gordon Plastics,Inc.)から市販されており、商品名パワー・タフ(POWER−TUFF)で販売されている。繊維ガラス/エポキシマトリクスバーは、一方向であって、ガラス含有率が約68%であり積層密度が約1.8822g/cm(約0.068lbs./in.)であることが好ましい。バーは、曲げ強さが約9,492kg/cm(約135,000psi)であり、曲げ弾性率が約351,600kg/cm(約5,000,000psi)であり、終局歪みが約2.4%であることが好ましい。複合材料バーの使用は、クリープに関連する問題を除去するのに役立つことができる。別の好適なばねは、一方向ガラス繊維70±2重量%、30%ビニル・エステル高性能樹脂である。ばねの形状、サイズ(幅、厚さ、長さ)および材料を、さまざまなばね特性を提供するように変更することができる。さらに、一意の傾斜バランスおよび座り心地のオプションを提供するように、ばねを、さまざまな湾曲形状に圧縮成形することができる。一実施形態では、各ばねは、およそ23.5センチメートル(約9.25インチ)長さ、およそ4.699センチメートル(約1.85インチ)幅および0.5715センチメートル(約0.225インチ)厚さである。
【0070】
動作時、板ばね202の一端204は、背もたれ支持ブラケットに固定された横方向に延在するロッド218を介して、背もたれ支持ブラケット172に対して直接付勢し、背もたれ支持ブラケットを介して座部支持ブラケット166に対して上方向に間接的に付勢し、それにより、椅子に着座している使用者を支持する。ばねの反対側端部206はクロス部材208と係合し、クロス部材208は、開口212と、ばね202に形成された開口216に配置される一対のロケータタブ210とを備えるように構成されている。クロス部材は、ハウジングの前部を横切って横方向に配置されており、ばねの中間部は支点部材214によって支持されている。このように、ばね202は、支持された端部の中間に負荷が加えられる単純に支持された梁として作用する。背もたれ支持体に加えられる力を調整するために、使用者は、支点組立体200を、ハウジング内で直線状の長手方向に移動させる。ばねは、背もたれ支持体によって座部支持体に付勢し、代替実施形態では、ばねは、背もたれ支持体および座部支持体に対し、それら部材に枢支連結された枢支部材による等、共通の要素によって付勢することができ、または座部支持体および背もたれ支持体に対し直接付勢することができる、ということが理解されるべきである。これら実施形態のいずれにおいても、ばねは座部支持体および背もたれ支持体の各々に対し、個々にかつ組合せて付勢していることが理解されるべきである。
【0071】
支点部材214を含む支点組立体200がハウジング2内で後方に移動する際、支点部材214における支持点と支持部材218の支持点との間の距離が低減し、ばねの後端204によって加えられる力が対応して増大する。逆に、梁長さまたは支点部材214と支持部材218との間の間隔を増大させることにより、座部支持ブラケット166および背もたれ支持ブラケット172に加えられる抵抗力の大きさを低減するように、支点部材214を、ハウジング2内で前方に移動させることができる。板ばね202は、各端部において単に支持されるのみであるため、ばねの端部に曲げモーメントがもたらされず、むしろ、ハウジング2、枢軸ロッド218または両方に締め付けられる。締め付けられると、ばねの特性および締付の量が、負荷および関連する応力に影響を与える可能性がある。さらに、単に支持されるばねを提供することにより、公差を緩和することができ、梁長さが変化する際にばねの曲率を変動させることができる。
【0072】
板ばね202は、ハウジング2内に横に並べて配置され、好ましくは平棒として形成されるため、ハウジングを見た目よく低コストでより小型にすることができる。さらに、ばねの抵抗力を、支点組立体200をハウジング2内で摺動可能に移動させることにより、容易にかつ簡単に調整することができる。抵抗力は、ばねに圧縮応力を与えることによるのではなく梁長さによって確定されるため、調整に、通常トーションスプリングおよびトーションバーならびに圧縮ばねに関連するような、徐々に大きくなる作動力は不要である。
【0073】
図5および図11を参照すると、ばねの端部204は、凹状カム面222を有するカム220を備えるように構成されている。図11は、2つの異なる付勢位置にあるばねを示している。カム面は、ばねの上面に形成されている。カムを、ばねの一部として一体的に形成することができ、または別個に構成して、たとえば限定されないが、リベットまたは他の機械的締結具、接着剤等またはそれらの任意の組合せによってばねに連結することができる。背もたれ支持ブラケット172および特にロッド218は、凸状カム面226を有するカムフォロワ224を備えるように構成されている。図42および図43に示す代替実施形態では、別個のカムフォロワは省略されており、ロッド218自体がカムフォロワ(またはドライバ)として機能し、カム面227を有している。使用者が後方に傾斜すると、カムフォロワ(またはドライバ)224、218はカム220に沿って乗り、2つのカム面222、226、227は互いに接触し、それによりカムフォロワがカム面222に沿って後方に摺動し、平坦なばね面に比較してばねに対しより大きい偏向が駆動される。これには、ばねによって加えられるばね力を増大させるという効果があり、そのばね力は、リクライニング角度が増大する際に増大するトルクに対応する。このように、ばね、支点およびカムは組合せて、使用者に対しバランスのとれた座り心地を提供する。
【0074】
特に、バランスのとれた座り心地は、すべての使用者に対して達成される。通常、バランスの悪さが最大であるのは、軽い使用者の場合は完全リクライニング位置であり、重い使用者の場合は前方位置である。使用者は、任意の特定のリクライニング角度でバランスのとれた座り心地を達成するように、必ず最初に支点部材を調整する必要があるが、それ以降、座り心地は、支点をそれ以上調整することなく、画定された傾斜範囲全体を通して実質的にバランスがとられる、ということが理解されるべきである。したがって、椅子は、使用者が、椅子を使用したいリクライニングの角度に応じて付勢力を再調整する必要をなくす、一意のバランスのとれた座り心地を提供する。
【0075】
一実施形態では、加えられるトルクおよび回復するトルクは、単に、ある間隔にわたって加えられている負荷であることが理解されるべきである。したがって、バランスのとれた座り心地を、使用者が所定位置において身体支持部材に加えている印加力に関連して考えることも可能である。ばねおよび傾斜機構のさまざまな態様、またはその代替実施形態は、たとえば限定されないが、米国特許出願公開第2004/0183350A1号に開示されており、それは参照により本明細書に援用される。
【0076】
図5、図9、図18〜図20、図40、図41および図44を参照すると、力調整部材とも呼ぶ支点組立体200および支点は、ベースハウジング228、中間ハウジング230、830および上部ハウジング232、832を有している。ベースハウジング228は、頂部および底部の両方が開放している一対の横方向に隔置されたキャビティ234を有するように構成されている。ベースハウジングはまた、中心に配置された凹部236、ならびに一対の長手方向に隔置された開口242の少なくとも一部を形成する前壁238および後壁240と、長手方向に向けられたギア凹部244および横方向に向けられたギア凹部246の各々とを有している。一対の横方向に延在するローラ248、250が各キャビティ内に配置されている。各キャビティ234内の下部ローラ250は床252またはハウジングの支持面と接触しており、各対の上部ローラ248は、キャビティを画定するベース部材の側部254の表面の上に延在し、それにより、ローラの湾曲面が対応するばね202の底面と接触する。
【0077】
ベースハウジング内の長手方向に向けられたギア凹部244に配置された従動ベベルギア256は、たとえばハウジングに面しハウジングに形成された開口内にはめ込まれるボタンを有するフランジにより、傾斜ハウジングの前部に回転不可能に固定された長手方向に延在する親ねじ258とねじ係合されている。親ねじ258は、長手方向に延在する開口242内に延在している。ベベルギアとベースハウジング228の後壁240の後面との間に、スラストワッシャ260および軸受262が配置されており、それによりベベルギアを、親ねじの周囲で容易に回転させることができる。ベースハウジングの底部は、傾斜ハウジングの底部に形成されたトラック266において摺動する、図66において2つのポストとして示すフォロワ264またはガイドを有するように構成されている。
【0078】
横方向に向けられた駆動ベベルギア268が、従動ベベルギア256と係合して噛み合う。駆動ベベルギア268は、さらに、ベベルギアの反対側に配置されたアイドラギア270と一体的に構成されるかまたは別の方法でそれに連結されている。中間ハウジング230、830は、中間ハウジング230、830とベースハウジング228との間にベベルギア256、268を閉じ込めるかまたは収容し、さらに、ハウジング部品間の親ねじ258を包囲する一対の長手方向に隔置された開口270を有している。
【0079】
中間ハウジング内のアイドラギア270の上方に形成されたギア凹部274に、駆動ピニオンギア272が配置されている。駆動ギア272は、アイドラギア270と係合して噛み合う。中間ハウジング230は、アクチュエータシャフト278を支持する横方向に延在する開口276、または半開口を有するように構成されている。シャフト281の端部および駆動ギアは、噛み合うD字型端部/開口280を有するように構成され、それにより、シャフトの回転によって駆動ギアが回転する。シャフトおよび駆動ギアは、中間ハウジング230と上部ハウジング232との間に配置され、上部ハウジング232もまた、ギア凹部282および横方向に延在するシャフト開口284を有するように構成されている。上述したように、図5および図9の実施形態では、レバーアーム108が、上部ハウジングと中間ハウジングとの間に枢支固定されており、垂直軸288を中心に枢動可能である。アーム112の端部は、駆動ギア内に延在するアクチュエータシャフトの軸と整列する。中間ハウジングは、ケーブルハウジング止め具286を有するように構成されており、それによりケーブルをレバーの反対側の端部に固定することができる。
【0080】
別法として、図40、図41および図44の実施形態では、ケーブルは、ジョイスティックの枢動作用によって並進し、それによりレバーアームが不要になる。図44に示すように、保持クリップ281が、シャフト278に形成された円周方向溝に回転可能に係合し、クリップは、シャフトが支点組立体に対して横方向に移動しないように、スナップ嵌合により中間ハウジングに係合している。
【0081】
動作時、使用者は、横方向に延在する軸294を中心にアクチュエータ278(把持可能部材290を有するように構成される)を回転させ、それにより駆動ギア272が回転する。駆動ギアはアイドラギア270を回転させ、それによりベベルギア268が、軸288に対して平行な横方向に延在する軸292を中心に回転する。ベベルギア268は、ベベルギア256を長手方向に延在する軸294を中心に回転させ、ベベルギア256は、親ねじ258とねじ係合し、支点組立体200全体を第1または第2の反対の長手(前後)方向52に、無限数の所定の力印加位置のうちの1つまで移動させる。たとえば、力調整部材(支点組立体)を第1力印加位置と第2力印加位置との間で移動させるように、アクチュエータを、第1調整位置と第2調整位置との間で移動させることができる。アクチュエータ278、290および支点214は、無限数の調整位置および力印加位置それぞれに無限に調整可能である、ということが理解されるべきである。
【0082】
アクチュエータ278、290が回転し、支点組立体200が第1長手方向および第2長手方向のうちの一方において移動する際、アクチュエータは同時に、支点組立体と傾斜ハウジングに対して並進移動可能である。このように、操作者には、単に傾斜ハウジング2に対するアクチュエータ278、290の位置を見ることにより、ばね202によって加えられている相対付勢力に関する目印が提供される。一実施形態では、操作者が力印加部材の所定設定を確認するのにさらに役立つように、ハウジングに、スケールまたは他の指標となる印(たとえば、「重い」、「中間」または「軽」という文字または色(軽い場合の緑から重い場合の赤まで)が提供されている。ハウジングの周囲にカバーを配置することができ、カバーに、シャフト278が移動する長手方向に延在するスロットを設けることができる。別法として、図61に開示するように、カバーをシャフトの下に配置することができ、支点組立体の上部ハウジングは、カバーに形成された長手方向開口を通して上方に延在する。
【0083】
付勢機構を、ねじりコイルばね、引張/圧縮ばね等の他のばねとともに使用することも可能であることが理解されるべきである。たとえば、トーションスプリングのアームに対して、または圧縮/引張ばねの力に抗して作用するアクチュエータを、ハウジングに対して移動させることにより、使用者に対し、使用者が着座する前(または着座している間)に力印加部材の設定の視覚的インジケータを提供することができる。
【0084】
背もたれ
図1〜図4B、図18〜図38、図42および図45〜図54を参照すると、背もたれ支持部材は、上述した背もたれ支持ブラケットとして構成され、枢軸96においてベース傾斜ハウジングに枢支連結された下部支持部材172と、枢軸96から後方に隔置された水平枢軸296を中心に下部支持部材に枢支連結された上部支持部材294とを有している。下部支持部材172と上部支持部材294との間に、調整機構298が結合されている。一実施形態ではフレーム302として示す少なくとも1つの背もたれ部品300が、上部支持部材294の、背もたれ部品の胸部領域に隣接して連結されている。フレーム302の下部304は、座部フレーム72の後縁に沿って固定連結されている。上部支持部材が軸296を中心に枢動する際、背もたれの上部は、その下部に対して可撓性である。代替実施形態では、フレームの上部は、下部に枢支連結されている。図2〜図4Bの実施形態では、下部背もたれ支持体303が座部フレームの後部に連結され、かつそこから上方に延在し、背もたれフレームまたは背もたれの下部に、たとえば腰部領域に固定されている。上部支持部材294を、背もたれ300およびフレーム302とともに、輸送のために組立式構成で支持部材172から容易に取り外しまたは切り離すことができる。
【0085】
調整機構298は、たとえば限定されないが、第1位置および第2位置を含む複数の位置の間で動作可能であり、無限に調整可能である。上部支持部材294は、調整機構が動作する際に、対応する複数の静止支持位置間で、水平軸296を中心に下部支持部材172に対して枢動可能である。さまざまな実施形態において、上部支持部材(および背もたれの上部身体支持面)は、下部支持部材(および背もたれの下部身体支持面)に対して、最前方位置から最後方位置まで約10度枢動可能である。他の実施形態では、上部部材は、最前方位置と最後方位置との間で、約1度〜約15度の間、より望ましくは約5度〜約15度の間、好ましくは約10度調整可能である。
【0086】
上部支持部材は、背骨部材306と、背骨部材の底部に配置されかつ固定されたブラケット308とを有している。一実施形態では、タブ310が背骨と係合して、ブラケットが背骨に対して回転しないようにする。ブラケットを背骨と一体的に、または別個の部材として形成することができる。ブラケットは、枢軸296を画定する開口を備えた一対の前方に延在するフランジ312を有している。フランジは、一対のピボットピン314により背もたれ支持ブラケット172に枢支連結されている。
【0087】
下部ハウジング部品316は、背もたれ支持ブラケット172の支持プラットフォーム317に固定されている。ハウジング部品316は、下部楔面318を有するように構成されている。カバー部材320が下部ハウジング部品に固定されており、カバーおよび下部ハウジングは、ブラケット308に形成されたスロット319内を移動する回転可能アクチュエータシャフト326用の通路322を画定する。下部ハウジングには、アクメシャフト324が回転可能に取り付けられている。アクチュエータシャフト326およびアクメシャフト326の嵌合端328は、D字型断面を有するように構成されており、可動カラー330が、アクチュエータをシャフトに固定するために端部の上に配置されている。カラー330を横方向52に並進させることにより、シャフトの端部を解放しまたは係止することができる。
【0088】
図45に示す代替実施形態では、下部ハウジング部品916は、受け部を有する弾性可撓性タブ部材918を有している。ハウジング部品を支持ブラケットに、1つまたは複数のタブまたはフックにより、たとえばスナップ嵌合によって固定することができる。シャフト324が下部ハウジング部品の開口に挿入されると、受け部材がシャフトに形成された円周方向溝920またはアンダーカットに係合するまで、タブ部材918は、上方向に屈曲する。シャフトの端部922は、六角形断面等の鍵型断面を有するように形成され、アクメシャフト926のソケット924によって形成される嵌合断面と係合する。アクメシャフトは、ハウジング部品916の開口に挿入され、シャフトの頭部928は、下部ハウジング部品の端壁と係合する。トーションスプリング930が、下部ハウジング部品のプラットフォームに形成された開口938と係合する第1下降端932を有している。一対のタブ940が、ばねの細長いシャフト部と回転可能に係合し、ばねの撓曲端部934が、上部支持部材から前方に延在するフランジ942の上面と係合するように後方に延在する。ばねに対し、受け部材935と係合させることにより、組立前に予め負荷をかけることができる。
【0089】
上部楔部材332がシャフト324の上に配置され、シャフト324とねじ係合するアクメ板として構成される駆動部材338と係合するスロットまたはソケット336を有している。駆動部材338を、上部楔部材と一体的にまたは別個の部品として形成することができるが、いずれの実施形態においても楔部材の一部としてみなされる。上部楔部材316および下部楔部材332は対向する楔面318および334を有するように構成され、それらは互いに沿って摺動し、楔部材を強制的に分離し、特に、上部楔部材が下部楔に対して横方向52に並進する際、上部楔部材を下部楔部材に対して強制的に上昇させる。代替実施形態では、上部楔は上部支持部材に固定され、下部楔部材は横方向に並進移動可能である、ということが理解されるべきである。上部楔部材332は、上面340を有し、それは、ブラケット308の内面にもたれかかり、楔部材が強制的に引き離される際、上部支持部材294を、軸296を中心に下部支持部材172に対して回転させる。図18に示すように、上部支持部材、特にブラケット308に形成された止め具344と、背もたれ支持ブラケットから上方に延在する止め部材346との間に、圧縮ばね342が配置されている。ばね342は、上部支持部材を、背もたれ支持ブラケットまたは下部支持部材から離れる方向に(図18に示すように右回りに)付勢する。本質的に、ばね342は、ブラケット308を、楔部材の上面340に対して付勢する。
【0090】
動作時、使用者は、アクチュエータ326、特にその把持可能部348を、第1回転方向または第2回転方向に回転させ、それによってシャフト326が回転し、それにより、駆動部材338および関連する上部楔部材332が横方向に移動する。図21〜図23(および図50、図49および図48)に示すように、上部背もたれ支持体294は、下部背もたれ支持体172に対して、前方、中立、直立位置、基準、中立、直立位置、および後方、中立、直立位置にそれぞれ配置される。特に、背もたれ支持体294と座部フレームまたはブラケット168の底部との間の間隙は、背もたれ支持体が所望の直立位置(前方、基準または後方)まで後方に枢動する際に広がり、座部の身体に面する面98と背もたれの身体に面する面340との間の角度は調整可能である。楔面318、334が互いを越えて摺動すると、上部背もたれ支持体294は、下部背もたれ部材172に対して所望の設定まで枢動する。好ましくは、把持可能部材348を有するように構成されたアクチュエータ326が、座部の側部に隣接して横方向外側に、またはその後方に、特に座部の後方側部に隣接するかまたはその後方に延在し、それにより、椅子に着座する使用者が容易に操作可能である。このように、ブラケットの初期直立設定を、背中および背骨の姿勢/曲率が異なる種々の使用者に対応するように調整することができる。背もたれのこの初期角度の調整は、座部に対する背もたれの運動学的/動的移動のいずれからも独立しており、静的適合調整である。したがって、前方、基準または後方調整は、たとえば直立位置から中間傾斜位置を通って完全傾斜位置まで、椅子の傾斜範囲全体を通して保持される。
【0091】
さらに、背もたれには、図3D、図15および図54に示すように、背もたれの上部354が背もたれの下部304に対して、中立位置と伸長位置との間で枢動または屈曲することができるようにする機構が設けられている。上部が下部に対して枢動することができることは、背もたれの傾斜位置とは無関係である。上部354は、下部の傾斜が制限または制約される時、たとえば下部304に固定して取り付けられている座部フレーム72またはブラケット166の枢動が制限される時、下部に対して枢動可能である。場合によっては、座部フレームまたはブラケットが制約されない場合でさえも、たとえば使用者の位置または重量が座部のバランスをとり、座部がばねの力の付勢に抗して後方に枢動しない場合に、上部は伸長位置まで枢動可能であるかまたは屈曲することができる。
【0092】
上述したように、座部ブラケット166の後方傾動は、傾斜制御ハウジング2に対する傾斜制限体180または止め部材178の位置によって制限される。たとえば、図18および図19に示すように、座部は直立位置からリクライニング位置まで後方に傾動し、傾斜制限体180、またはスロット170の上部の止め部材178の係合により、座部がそれ以上リクライニングしない。この際、使用者は、背もたれの上部354および上部背もたれ支持体294を、背もたれフレーム302および座部ブラケット166の下部に対して後方に移動または枢動させるように、自身の背中を後方に弓なりにするか、または後方に伸ばすことができる。使用者が上部354に付勢すると、下部背もたれ支持体172が、図5および図20に示すように下部背もたれ支持部172に作用するばね202の力に抗して、座部ブラケット166との係合から離れるように枢動する。このように、単一付勢組立体(一対の板ばね)が、いすの通常使用中は、座部および背もたれに付勢し、椅子の伸長使用中は、ブラケット172および支持体294により背もたれの上部のみに付勢し、座部は、傾斜制限体180または止め部材178によって支持される。さまざまな実施形態において、上部を下部に対して、または上部を座部ブラケットに対して、約2°〜約10°の間、望ましくは約6°枢動させることができる。
【0093】
本質的に、背もたれには、3つのレベルの動きの調整/範囲がある。すなわち、(1)傾斜範囲−直立から中間リクライニングを通って完全リクライニングまで(傾斜制限体によってさまざまな位置で止めることができる)、(2)背もたれ角度調整−前方から基準まで後方まで(傾斜範囲とは無関係)、および(3)胸部調整−中立対伸長(傾斜範囲および背もたれ角度調整とは無関係)である。背もたれは、傾斜範囲が約4°〜22°、より望ましくは約18°であることが好ましい。背もたれは、傾斜範囲および背もたれ角度調整全体を通して無限に調整可能であり、各々に対して列挙した3つの位置に限定されないことが理解されるべきである。たとえば、傾斜範囲は、無限数の中間リクライニング位置を含むが、傾斜制限体の段によって画定されるように、限られた数のこうした位置に着座構造を止めることができる。同様に、背もたれ角度は、最前方位置と最後方位置との間の無限数の基準位置を含む。最後に、使用者は、胸部領域を、特に、座部が止め具または傾斜制限体によって抑制される時、中立位置から伸長位置まで連続した位置の範囲を通して移動させることができる。
【0094】
図24〜図26、図34、図37、図46および図48を参照すると、上述したように、上部支持部材294は、背もたれの中心線に沿って上方に延在する背骨306を有している。背骨から横方向外側にかつ上方に一対のアーム356が延在している。アームから、キャリア部材または他のカバーと係合する複数の歯またはタブ357が延在している。背骨は、アルミニウム、鋼、繊維ガラス、複合材、プラスチック、または他の何らかの剛性であるが弾性の材料からなることが好ましい。背骨を、キャプロン(Capron)8233G−33%ガラス充填ナイロン(Glass Filled Nylon)6等のさまざまな材料から作製することができる。
【0095】
アームの端部358は、水平枢軸360を中心にフレーム部材302の上部角364に枢支固定される。フレーム302を、たとえば限定されないが、ナイロン材料、またはナイロン、エラストマ材料を含む、さまざまなプラスチック、金属または複合材料から作製することができる。背骨の上方胸部領域362は、フレームの第1クロス部材366に、たとえばねじまたは他の機械的締結具によって確実に固定されており、第1クロス部材はフレームの上端クロス部材368から長手方向に隔置されている。図34、図39および図46〜図48に示すように、胸部領域362は、コネクタ部材365によってクロス部材366に固定される4つのラグまたはフランジ363を備えるように構成されている。図62および図67に示すような一実施形態では、一対のフランジが、クロス部材366から後方に延在している。フランジは、断面が略U字型またはV字型に形成されている。コネクタ365を、背骨294およびフレーム302の一方または両方と一体的にまたは別個に形成することができる。同様に、胸部領域を、クロス部材366またはフレーム302の他の部品に直接固定することができる。第1クロス部材と、底部304、または上述したように座部フレームに確実に固定されているクロス部材との間に、第2クロス部材370および第3クロス部材372が、さらに長手方向に(垂直に)隔置されている。第1クロス部材366と第2クロス部材370と、かつ第3クロス部材372と底部クロス部材374とは、各々、中心に位置するコネクタ部材376、378によって連結されている。同様に、第2クロス部材370と第3クロス部材272とは、背もたれフレームの中心線から横向きに隔置された、一対の横方向に隔置されたコネクタ部材380によって連結されている。
【0096】
複数のホイッフル(whiffle)構造、または中間支点を中心に回転可能なレバーが、フレームに結合されており、または図96に示すように、側部フレーム部材または側部フレーム部材まで延在するクロス部材の部分なしに、フレームの一部として一体的に形成されている。たとえば、長手方向第1レバー列382が、胸部領域の第1クロス部材から(垂直に)延在しており、第1クロス部材366は、レバーが、第1クロス部材によって画定される軸を中心に正反対の第1方向および第2方向に回転する際、幾分かのねじれ抵抗を提供する。第2レバー列384が、第1レバー列の各々の各端部から横方向に延在しており、第1レバー列は、各々、第2レバー列の各々が正反対の第1方向および第2方向に回転する際にねじれ抵抗を提供する。第3レバー列386が、第2レバー列384の各端部から横方向に延在しており、この場合もまた、第2レバー列は、第3レバー列の各々が回転する際にねじれ抵抗を提供する。最後に、第4レバー列388が第3レバー列の各々の各端部から横方向に延在しており、同じねじれ関係を有している。第4レバー列の各々の各端部390はノードとして構成されており、取付位置が個々のパッドに連結されるように構成されている。図35に示すように、複数のパッドが、単一パッド構造を形成するように連結されている。
【0097】
図34を参照すると、第1レバー列394が中心連結部材380から横方向に延在しており、第1レバー列の各々の外側脚は内側脚より長い。第2レバー列396が第1レバー列の各々の各端部に固定されており、第3レバー列398が外側第2レバー列396の端部にのみ固定されている。内側第2レバー列および第3レバー列は、各々、レバーの端部にノード390を有するように構成されている。
【0098】
最後に、第1レバー列400が、底部クロス部材304から長手方向上方に延在する一対の比較的剛性なアーム402から横方向に延在しており、第1レバー列の各々の外側脚は内側脚より長い。第2レバー列404が第1レバー列の各々の各端部に固定されており、第3レバー列406が外側第2レバー列の端部にのみ固定されている。内側第2列および第3レバー列は、各々、レバーの端部にノード390を有するように構成されている。
【0099】
当然ながら、可変数の列を有するさまざまなレバーの構成を用いて、使用者の背中を支持することができる、ということが理解されるべきである。図34に示す好ましい実施形態は、さまざまな利点を提供する。
【0100】
たとえば、図87〜図91、図96および図97に示す代替の一実施形態では、クロス部材および側部フレーム部材の部分が省略されている。この実施形態では、アーム900は別個の枝構造として形成されており、枢軸906を中心にシャフトまたは軸904により背骨902に枢支結合されている。一対のブシュ908、910が、背骨および枝構造の各々においてシャフトを支持している。シャフト904の端部は、キャップ部材912に捕捉されており、キャップ部材912は、たとえば一対のねじによりレバーフレーム950構造に結合されている。当然ながら、シャフト904は、3つの部材(背骨902、枝900またはレバーフレーム構造950)のいずれに結合されることも可能であり、その他のものに対して回転可能であり得る、ということが理解されるべきである。さらに、シャフトを、3つの部材のいずれかに形成されるラグに固定することができ、またはシャフトを3つの部材のうちの1つに一体的に形成することができる。いずれの場合も、レバーフレーム構造950および枝構造900は、枢軸906を中心に背骨902に対して枢動することができる。図96および図97に示すように、枝アームの端部914は、外側レバー982の間にかつその上方に延在する端部から横方向外側に延在するクロス部材952に、枢支固定されている。ピン916またはねじが、アームの端部914をクロス部材952に固定するためにスナップ嵌合されており、アームはクロス部材に枢支されている。別法として、図89に示すように、アーム926の端部を、レバーアーム982の端部に枢支固定されたクロス部材928を備えるように構成することができる。図89に示す一実施形態では、背骨はスロット920を有し、それは、枝構造から前方に延在し枢軸906を中心にシャフト904と枢支係合するラグ部材922を受け入れる。カバー930は、枝構造の上に配置されると、後部フード部材を形成する。背もたれおよびフードの上方胸部は、枢軸を中心に回転することができ、それにより、使用者が椅子で後方に傾動すると、使用者の身体の部分に適合する。
【0101】
クロス部材366、370、372、連結部材378、380、376、382およびレバー384、386、388、394、396、398、400、402、404、406、982は、U字型断面を有するように構成されることが好ましい。第2クロス部材370の中心部分は、さらに、複数のリブ408を備えるように構成され、それらは、クロス部材370のねじれ剛性を増大させ、その横方向に延在する軸を中心とするねじりに対する抵抗力を向上させる。このように、第3クロス部材370と上部クロス部材368との間に画定される背もたれの上部領域は、第3クロス部材を中心に回転またはねじれる傾向にあり、第3クロス部材は第2クロス部材370よりねじれ剛性が弱い。同時に、中心連結部材378はまた、その2つの端部に沿って仮想ヒンジも提供し、そこでそれはクロス部材372およびクロス部材374に結合される。部材402は相対的に剛性であり、それにより、背もたれの下部領域が相対的剛性に維持される。したがって、使用者が、背もたれの上部354を回転させ背もたれ支持体294を枢動させることにより、自身の背中を伸ばす時、上部は、第3クロス部材を中心に撓曲または回転する傾向がある。同時に、個々のレバーの各々は、使用者の移動に応じてねじれるかまたは回転し、使用者の背中に対しバランスのとれた支持を提供することができる。使用者が上部354を回転させると、下部304は、たとえばレバー406において屈曲も回転もせず、それにより使用者の背中下方および仙骨部に対して堅固な支持が提供される。同時に、腰部領域が、下部クロス部材374と上部クロス部材366との間の間隔に比例して撓曲または回転し、それにより、使用者の背中の腰部領域に中間支持が提供される。
【0102】
図35および図35Aを参照すると、パッド構造体416は、レバー構造体の端部に形成されたノード390の数に対応する複数のパッド392により一体的に形成されている。個々のパッドの間にスロット列が形成されることにより、各パッドが対応するレバーノードと無関係に屈曲することができ、一方でパッドとノードとの幾分かの接続性が維持される。一実施形態では、各パッドは、その各側部に沿って、一対の細長いスロットまたはスリット418および3つのスリットの隔置されたセットのうちの2つの対420、422により、別のパッドから分離されている。細長いスリットの対は、各セットにおいて3つのスリット間に配置されている。各長手方向かつ横方向に延在するセットの中間スリット422は、パッド間の接合部全体を横切って延在し、3つのスリットの隣接するセットの中間スリットの部分を形成する。さらに、横方向に延在するセットの外側スリット420は、パッド間の接合部の全体を横切って延在し、3つのスリットの隣接するセットの外側スリットの部分を形成する。スリットは、数字8の構造に類似するコネクタ426を形成し、「8」の頂部および底部がパッドに連結されている。
【0103】
パッド構造体のおよそ中間点、すなわち第2クロス部材370の上の部分において、パッド構造体は、背もたれを横切って横方向に延在する6つのパッドから、背もたれを横切って横方向に延在する8つのパッドに遷移し、クロス部材の上方の4つの中心に位置するパッドは、下方の2つの中心に位置するパッドに遷移する。この遷移領域において、下方の外側第3スリット430はより短く、上方の横方向に延在するスリットは2つのスリット432に分割され、第3中間スリット434は下方パッド構造体まで延在していない。各パッドに、さらなる装飾的な開口を形成することができる。たとえば図68〜図70および図95に示すように、代替パッド構造体を示す。図68において、S字型ストリップ661が隣接するパッドを連結している。
【0104】
各パッドの後側にソケット438が設けられている。図46に最もよく示すように、各パッドとレバーの対応するノード390との間にゴムグロメット440が配置されている。一実施形態では、パッド構造体は2ショット成形プロセスによって形成されており、パッドが形成され、パッドの上にリベットが成形されている。逆に、レバーアームを2ショット成形プロセスから作製することができる。他の実施形態では、パッドおよびフレームを、2ショットまたは3ショットプロセスによって作製することができる。
【0105】
たとえば、3ショットプロセスにおいて、図71を参照すると、成形されたレバーの背面にかつノード390の開口393を通して、コンプライアント材料395が成形されている(ただし接着されていない)。そして、パッド構造体が成形されて弾性材料395に接着される。動作時、パッド392は、弾性材料によりノード390に対して屈曲する。
【0106】
図72を参照すると、2ショットプロセスは、弾性/コンプライアント材料395にソケット397を形成することを含む。パッドの背面に形成されたポスト399が、スナップ嵌合によりソケットと係合する。
【0107】
図73を参照すると、別の2ショットプロセスは、コンプライアント材料を通してパッド392の前側まで延在する細長いポスト381を形成することを含む。ポストの端部383は、たとえば熱かしめにより、パッドを弾性材料に固定させるように変形されており、それはまた、パッドの開口と嵌合する外側ポストも形成している。
【0108】
図74を参照すると、弾性/コンプライアント材料を用いる代りに、パッド構造体に、レバーノードのポスト381に対するパッドの回転または枢動を可能にする形状が設けられている。特に、パッドの貫通開口385は、前側の方が広いように、テーパ加工されるかまたは裁頭円錐形状で提供され、それによりパッドはポストに対して回転することができる。ポストの端部383は、この場合もまた、パッドをポストに固定するように変形されている。パッドに、変形頭部を受け入れかつ同一平面を形成するように、凹部が形成されている。
【0109】
図75を参照すると、ポスト371が、パッド392から後方に延在している。ポストを、コンプライアントな弾性材料から形成することができる。ポストは、レバーノード392に形成されたソケット373を通って延在し、ソケットは、ポストのソケットに対する回転または枢動を可能にする、テーパ状または裁頭円錐形状を有している。ポスト371の端部を、パッド構造体をフレーム302に固定するように、たとえば加熱により変形させることができる。
【0110】
図76を参照すると、パッド構造体には、外側球状支持面363と、テーパ状または裁頭円錐形状の貫通開口365とを有する支持小塊(nodule)が設けられている。レバーまたはノード392には、ポスト361と円周方向または環状支持リム367とが設けられており、リム367は、小塊の外面363に対して摺動するテーパ状または角の丸い肩部を有している。外面363および貫通孔365の形状により、レバーに対するパッドの回転または枢動が可能になる。ポスト361の端部は、パッドをフレーム302に固定するように変形されている。
【0111】
図1および図37〜図38を参照すると、ファブリック層等の外側カバー442が、パッド構造体の身体側面にわたって配置されている。カバーの周縁にキャリア部材444が固定されており、それは、カバーを背もたれに固定するように、フレームのリブ付き周縁446および背もたれ支持体のアーム357と係合する。図55Aおよび図55Bに示す代替実施形態では、主ウェブ部材447を有するカバーが、たとえば、縫目を身体に面する面から離れる方向に内側に向けた縫合により、弾性ウェブ部品449に固定されている。そして、ウェブ部品449は、背もたれまたは座部のいずれかに関わらず、フレームの周縁と係合する縁部451を有している。
【0112】
図91〜図94を参照すると、そこでは、ホイッフル構造がいかなる側方フレーム部材も有しておらず、代りにファブリックが、パッド構造体990およびレバーフレーム950に固定されている。特に、最外パッド構造体の縁部992は、パッド構造の残りの部分から一段下がっている。取付ストリップ996がファブリックまたは外側カバー930に固定されており、ファブリックまたは外側カバー930は、ストリップの周囲に被着され、ストリップとパッド構造体との間に配置された縁部を有している。ファブリックを、たとえば接着、縫合、スナップまたは他の機械的締結具、あるいはそれらの組合せによって、ストリップにさらに固定することができる。レバーまたはノード390の端部は、開口または溝を有している。開口994の一部には、その側部に沿って傾斜部1002が形成されており、傾斜は、溝の中心に向かって連続的に横切っている。凹部または空隙1004が、溝の傾斜から他方の側に配置されている。肩部の受け部1006が、溝の底部の周囲に形成されている。締結具1008またはピンが、ファブリックストリップ996の開口に形成されたテーパ状口1110と嵌合するテーパ状頭部1114と、レバーノードに形成された開口の上方の実質的に円柱状部分に配置されている一対の拡大環状部1112とを有している。ピンはさらに底頭部1116部分または受け部を有しており、それは、レバーの受け部1006とスナップ嵌合係合により係合する。取付中、底頭部1116は、傾斜1002に沿って、その反対側に形成された凹部1004内に付勢される際に、締結具のシャフトの撓曲により受け部を越えるまで摺動し、その後、頭部は受け部と係合するようにはね返る。このように、ファブリックストリップ996およびファブリックは、見た目がよくかつ可撓性の縁を提供する一方で、ホイッフル構造体に固定される。パッド構造体990は、ノードの端部またはポスト部を受け入れる形状の開口994を有している。ノードは、端部またはポスト部の周囲に配置された受け部1122を有する環状肩部1120を有し、受け部1122は、パッド構造体の底面または背面と係合する。ピン1008は、取り付けられると、パッド構造体990およびカバー930をファブリックストリップ996とホイッフル構造体950との間に差し込む。パッド構造体の開口994を、図94および図95に示すように、パッド構造体990とホイッフル構造体950との間の相対移動を可能にするように、少なくとも一方向(たとえば垂直)に延長するかまたは溝にすることができる。さらに、図95に示すように、パッドを画定するスリット1124は、たとえばファブリックストリップが取り付けられているパッド構造体の縁部に幾分かの追加の剛性を提供するように、パッド構造体全体の縁までその側部および頂部に沿って延在していない。さらに、スリットは、第1の2つの行の少なくとも中心の4つのパッド間のパッド構造体の底部に沿って横方向に、または中心列の4つのパッドの間に長手方向に達しておらず、それにより、その下方仙骨領域にさらなる剛性が提供される。
【0113】
本発明を、好ましい実施形態に関連して説明したが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形態および詳細を変更することができる、ということを理解するであろう。したがって、前述の詳細な説明は限定するものではなく例示的なものとしてみなされ、すべての等価物を含む添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するように意図されている、ということが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心背骨部材と、
該中心背骨部材から上方にかつ外側に延在する一対のアームを備え、第1水平軸を中心に前記中心背骨部材に枢支連結された上部背もたれ構造体と、
第2水平軸を中心に前記中心背骨部材に枢支連結され、かつ第3水平軸を中心に前記アームそれぞれの端部に枢支連結された背もたれ支持構造体と
を具備する、着座構造体。
【請求項2】
前記第1水平軸および第2水平軸が同軸である、請求項1に記載の着座構造体。
【請求項3】
前記背もたれ支持構造体が複数のレバーを具備する、請求項1に記載の着座構造体。
【請求項4】
前記複数のレバーが、複数の長手方向に延在するレバーと、前記長手方向に延在する少なくともいくつかのレバーの反対側の各端部に固定されて横方向に延在する一対のレバーとを具備する、請求項3に記載の着座構造体。
【請求項5】
前記レバーに結合されたパッド構造体をさらに具備する、請求項3に記載の着座構造体。
【請求項6】
前記複数のレバーが複数の連結ノードを確定し、前記パッド構造体が前記複数の連結ノードに対応する複数のパッドを具備する、請求項5に記載の着座構造体。
【請求項7】
前記パッドの隣接するひとつずつが複数のスリットによって分離されている、請求項6に記載の着座構造体。
【請求項8】
前記スリットが前記パッドの隣接するひとつずつを連結するコネクタを形成している、請求項7に記載の着座構造体。
【請求項9】
前記背もたれ支持構造体が、前記第3水平軸近傍で前記アームそれぞれの端部に結合されて横方向に隔置された一対のラグの間に延在するクロス部材を具備する、請求項1に記載の着座構造体。
【請求項10】
中心背骨部材と、
該中心背骨部材から上方にかつ外側に延在する一対のアームと、
複数のレバーを備え、水平軸を中心に前記アームそれぞれの端部に枢支連結された背もたれ支持構造体と、
前記各レバーに連結されたパッド構造体と
を具備する、着座構造体。
【請求項11】
前記複数のレバーが、複数の長手方向に延在するレバーと、前記長手方向に延在する少なくともいくつかのレバーの反対側の各端部に固定されて横方向に延在する一対のレバーとを具備する、請求項10に記載の着座構造体。
【請求項12】
前記複数のレバーが複数の連結ノードを確定し、前記パッド構造体が前記複数の連結ノードに対応する複数のパッドを具備する、請求項10に記載の着座構造体。
【請求項13】
前記パッドの隣接するひとつずつが複数のスリットによって分離されている、請求項12に記載の着座構造体。
【請求項14】
前記スリットが前記パッドの隣接するひとつずつを連結するコネクタを形成している、請求項13に記載の着座構造体。
【請求項15】
前記背もたれ支持構造体が、前記第3水平軸近傍で前記アームそれぞれの端部に結合されて横方向に隔置された一対のラグの間に延在するクロス部材を具備する、請求項10に記載の着座構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図17A】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図35A】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55A】
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【図55B】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【公開番号】特開2012−115711(P2012−115711A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−67528(P2012−67528)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2009−548378(P2009−548378)の分割
【原出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(504018415)ハーマン、ミラー、インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】