説明

着用式マッサージ機

【課題】着用式マッサージ機において、首や肩だけでなく腰や臀部の患部に対してもマッサージを可能とし、また施療部の位置を患部に合わせて任意に調整できるようにする。
【解決手段】本発明の着用式マッサージ機1は、使用者Uの背部を覆うように上下方向へ延びる後覆い体4と、後覆い体4の上部側から使用者Uの肩を跨いで使用者Uの腹部まで上下方向へ延びる前覆い体3とを有し、後覆い体4の上部には第1施療部10が設けられると共に、後覆い体4の下部には第2施療部11が設けられ、前覆い体10には、使用者Uの頭部が差し込み可能であって上下方向に沿って長孔状に形成されている貫通孔5を有することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着用して、その肩や腰などの患部をマッサージする着用式マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、着用式マッサージ機には、特許文献1に示すように、使用者が首や肩にかけられるように逆Vの字状に形成されたものであって、上端側に首や肩などの患部をマッサージする施療部(振動発生器)を備え、2又状に分かれた下端側に使用者が手首をかける取手を備えたものが知られている。この特許文献1には、図11に使用者が取手に手首をかけて着用式マッサージ機を下方に引っ張っている使用態様が記載されており、施療部を首や肩の患部に強く押し付けて確実にマッサージできることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0887704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に施療対象となる身体の部位の中でも、腰や臀部は首や肩と並んで特に重要であり、マッサージ機には腰や臀部を施療する機能が求められる。ところが、特許文献1の着用式マッサージ機では、図11に示されるような使用態様で用いた場合に、施療部を首や肩の患部に当ててマッサージすることはできるが、腰や臀部をそのままマッサージすることはできない。
【0005】
また、使用者の性別や体格によっては患部の位置が大きく変化する場合があり、このような場合は施療部の位置を患部に合わせて調整する必要がある。ところが、特許文献1の着用式マッサージ機では、施療部の位置が首や肩に合わせて予め決められているため、施療部の位置合わせができず、体格が合わない使用者にとっては利便性が著しく低下するという問題もあった。
【0006】
例えば、着用式マッサージ機を首や肩から外して施療部の位置を腰や臀部に合わせたり、マッサージして欲しい部分に位置合わせしたりする使用態様も考えられるが、このような使用態様では「立ち姿勢のままマッサージできる」という着用式マッサージ機の利点が損なわれてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、首や肩だけでなく腰や臀部の患部に対してもマッサージが可能であり、施療部の位置を患部に合わせて任意に調整することができる着用式マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明にかかる着用式マッサージ機は、使用者の背部を覆うように上下方向へ延びる後覆い体と、前記後覆い体の上部側から使用者の肩を跨いで使用者の腹部まで上下方向へ延びる前覆い体とを有し、前記後覆い体の上部には第1施療部が設けられると共に、後覆い体の下部には第2施療部が設けられ、前記前覆い体には、使用者の頭部が差し込み可能であって上下方向に沿って長孔状に形成されている貫通孔を有することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記第1施療部は、使用者の肩に対応した位置に設けられて使用者の肩をマッサージ可能とされており、前記第2施療部は、使用者の腰に対応した位置に設けられて使用者の腰をマッサージ可能とされているとよい。
このように、後覆い体の上部に第1施療部を設けると共に下部に第2施療部を設けておけば、第1施療部で首や肩の患部をマッサージするのに合わせて第2施療部で腰や臀部の患部をマッサージすることができる。また、前覆い体に頭部を貫通可能な貫通孔を上下方向に沿って長く形成しておけば、頭部を貫通させたまま前覆い体を自由に上下にずらすことができ、肩を跨いで前覆い体に連結された後覆い体の第1施療部や第2施療部の位置を上下方向に調整することも可能となる。
【0009】
また、前記前覆い体の下端側には、使用者の腹部を温熱する発熱体が設けられているとよい。
このような発熱体を前覆い体の下端側に設けることにより患部のマッサージに合わせて使用者の腹部を暖めることが可能となり、使用者の血行を良くすることも可能となる。
なお、前記前覆い体の下端側には、前記使用者が把持可能な把手部が設けられているとよい。
【0010】
使用者が把持可能な把手部を設ければ、施療部の位置合わせの際に前覆い体を掴みやすくなり、着用式マッサージ機の利便性をさらに高めることも可能となる。
前記後覆い体の下端側には、長尺の引張体が設けられているとよい。
後覆い体の下端側に長尺の引張体を設ければ、この引張体を掴んで前方に引きつけることで、第1施療部や第2施療部を患部に強く押し付けることが可能となり、より確実なマッサージ効果を得ることも可能となる。
【0011】
前記第1施療部及び第2施療部は、電磁式の打撃力発生手段を左右一対備えているとよい。
この構成により、軽量でありながら快適な打撃マッサージを患部に加えることが可能となる。
好ましくは、前記打撃力発生手段は、中央が中空部となっている励磁コイルと、前記励磁コイルの中空部に出入可能となっている駆動棒と、前記励磁コイルの中空部から突出状態にある駆動棒を中空部内に押し戻すスプリングと、を有しているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る着用式マッサージ機によれば、首や肩だけでなく腰や臀部の患部に対してもマッサージが可能であり、施療部の位置を患部に合わせて任意に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の着用式マッサージ機の斜視図である。
【図2】正面から見た場合の着用式マッサージ機の使用態様を示す図である。
【図3】背面から見た場合の着用式マッサージ機の使用態様を示す図である。
【図4】前覆い体を上方に引っ張り上げた状態における、着用式マッサージ機の使用態様を示す図(正面図)である。
【図5】前覆い体を上方に引っ張り上げた状態における、着用式マッサージ機の使用態様を示す図(背面図)である。
【図6】斜め前方から見た場合の着用式マッサージ機の別の使用態様を示す図である。
【図7】打撃力発生手段を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の着用式マッサージ機1を図面に基づき説明する。
本発明の着用式マッサージ機1は、使用者Uが肩にかけて着用することができるハンディタイプ(携行式)のマッサージ機である。この着用式マッサージ機1(以降では、単にマッサージ機1という)は、椅子型のマッサージ機のように大きな設置スペースを必要とせず、例えば立ったり寝たりしたままマッサージすることができるため、椅子型のマッサージ機より手軽に利用できる利点を備えている。
【0015】
マッサージ機1は、長手方向の中央部2を境に折り返し状に曲げられるようになっていて、この長手方向の中央部2を使用者Uの肩にかけるようにして装着される。
図1は、装着時のように長手方向の中央部2を境に折り返し状に曲げられたマッサージ機1をその斜め前側から見た図である。図1に示すように、マッサージ機1は、折り返し状に曲げられた中央部2を境として、使用者Uの前面(腹側)を覆う前覆い体3と後面(背側)を覆う後覆い体4とを有している。
【0016】
以降の説明では、図2〜図5に示す方向を用いてマッサージ機1を説明する。これらの方向は、説明の便宜上付したものである。
図1及び図2に示すように、前覆い体3は、上下方向に長く形成されていて、使用者Uの肩から腹部にかけての領域に接触しつつこれらの領域を覆うことができるようになっている。前覆い体3は、合成繊維(合成皮革)などで形成されており、その内部には発泡ポリウレタンなどの弾力性のあるクッション材(図示略)が配備されている。前覆い体3の中央には貫通孔5が形成されており、また前覆い体3の下側にはコントローラ6、発熱体7及び把手部8が設けられている。
【0017】
貫通孔5は、前覆い体3の中央に形成されていて、前覆い体3を使用者Uから見て前後方向に貫通している。貫通孔5の左右方向に沿った開口幅は使用者Uの頭部の幅より十分に広く形成されていて、使用者Uがその頭部を貫通孔5に支障なく挿し込むことができるようになっている。また、貫通孔5は左右方向に比べて上下方向に長い長孔状に開口していて、この貫通孔5に頭部を挿し込んだまま前覆い体3を上下に動かすことができるようになっている。
【0018】
コントローラ6は、マッサージのON/OFF、マッサージを行う身体の部位、マッサージの強弱、発熱体7のON/OFF、マッサージのリズムなどを制御する制御部を内蔵している。コントローラ6の前面には、希望とするマッサージ内容に合わせて自由に操作できる操作ボタン9(スイッチ)が並んで設けられており、操作ボタン9から入力された操作信号を制御部に送ることができるようになっている。コントローラ6は、操作ボタン9を前覆い体3の前面に露出するようにして前覆い体3の内部に収容されている。
【0019】
発熱体7は、前覆い体3の下側に内蔵されており、前覆い体3の後側(コントローラ6の後側)に設けられて使用者Uの腹部を温熱するヒータを備えている。なお、このヒータには電熱線を用いることができ、また発熱体7には温風などを発生するものを用いても良い。
把手部8は、使用者Uが掴みやすいように帯状に形成されており、上下方向に沿って前覆い体3の前面に設けられている。本実施形態では、把手部8は、左側と右側とにそれぞれ1つずつ配備されており、前覆い体3の下側に配備されている。
【0020】
図3に示すように、後覆い体4は、前覆い体3と同様に上下方向に長く形成されていて、使用者Uの肩から腰部にかけての領域に接触しつつこれらの領域を覆うことができるようになっている。後覆い体4は、上部に設けられる第1施療部10と、下部に設けられる第2施療部11と、これらの第1施療部10と第2施療部11とを上下に連結する連結部12とを有している。
【0021】
第1施療部10は、前覆い体3と同様に合成繊維(合成皮革)などで形成されており、その内部にはクッション材が配備されている。第1施療部10の内部には、使用者Uの患部をマッサージする打撃力発生手段13が左右一対配備されている。図3の例では、この第1施療部10は使用者Uの肩に位置していて、内部に設けられた打撃力発生手段13で使用者Uの肩や首を主にマッサージできるようになっている。
【0022】
第2施療部11は、第1施療部10と同様に合成繊維(合成皮革)などで形成されており、その内部にはクッション材が配備されている。第2施療部11の内部にも、第1施療部10と同様に使用者Uの患部をマッサージする打撃力発生手段13が左右一対配備されている。図3の例では、この第1施療部10は使用者Uの腰に位置していて、内部に設けられた打撃力発生手段13で使用者Uの腰や背中を主にマッサージできるようになっている。
【0023】
なお、第2施療部11にはこの第2施療部11の左右の外縁から外側に向かって伸びる長尺の引張体14が左右で一対設けられている。これらの引張体14、14は、その先端を使用者Uが掴んで使用者Uから見て前方に引くことで第1施療部10や第2施療部11を患部に強く押し付けることができ、患部をより確実にマッサージすることを可能としている。
【0024】
打撃力発生手段13は、銅線などの導線を巻き回した励磁コイル(ソレノイド)を有する打撃部本体15と、励磁コイルの内部に挿し込まれた駆動棒16と、駆動棒16が挿し込まれた打撃部本体15の周囲を包囲する弾性体のケース(図示略)とを備えている。この駆動棒16は、磁性体である棒状の鉄心と非磁性体の合成樹脂製の棒とを軸方向に連結させたような構成となっている。また、弾性体のケースは、挿し込まれた駆動棒16ごと打撃部本体15の周囲を隙間なく包囲しており、打撃部本体15に対する駆動棒16の挿し込み位置を位置決めしている。
【0025】
この駆動棒16は、電流を流していない状態では、弾性体のケースにより位置決めされた位置にある。
電流をある方向に流すと励磁コイルに電磁力が生起し、生起した電磁力により駆動棒16が弾性体のケースに位置決めされた位置から励磁コイルから飛び出す方向に動く。励磁コイルから飛び出た駆動棒16は弾性体のケースにより押し返されるが、励磁コイルに電流を流している間は押し返し力に抗って駆動棒16は飛び出た状態のままとなる。励磁コイルの電流を止めると、駆動棒16に働く力は押し返し力だけとなり、駆動棒16が励磁コイル内に退く方向に動く。つまり、打撃力発生手段13では励磁コイル流す電流をパルス電流や交流とすることで、弾性体のケースから加わる押し返し力に抗して駆動棒16を打撃部本体15に対して自在に出退させることができ、合計で4つの打撃力発生手段13により患部に打撃マッサージを加えることが可能になる。
【0026】
打撃力発生手段13には上述したコントローラ6からの信号が入力されており、入力された信号に基づいて励磁コイル流す電流(パルス電流や交流)の周波数や電圧(電流)を変化させることができるようになっている。例えば、励磁コイルに流すパルス電流の周波数を変化させることで、駆動棒16の出退時間や間隔を自在に変更することができ、患部に対するマッサージの速度やリズムを自在に変更することが可能となる。また、パルス電流の電圧や電流を変化させることで、駆動棒16が飛び出る力も自在に変更することができ、患部に対するマッサージの強度も自在に変更することが可能となる。
【0027】
このような打撃力発生手段13は、一般に励磁コイルに銅などの導線が用いられているため重量が大きく、また打撃力の発生に伴って熱を持ちやすいことも問題となる。しかし、本発明では、打撃力発生手段13の数を4つに増やし、さらに4つの打撃力発生手段13を交互に(バラバラに)動作させるようにしている。その結果、本発明の打撃力発生手段13では、1つの打撃力発生手段13の動作時間が短くて済み、発熱量の小さくなる。それゆえ、導線を細くすることも可能となり、従来の電磁式の打撃力発生手段に比べて軽量でありながら発熱量の少ない打撃マッサージを患部に加えることが可能となっている。
【0028】
連結部12は、第1施療部10や第2施療部11とは異なり内部にクッション材を備えておらず、自在に折り曲げられるようになっている。このように連結部12を折り曲げ自在とすることで、第1施療部10と第2施療部11との間隔を上下方向に任意に調整することが可能となる。
なお、本実施形態の着用式マッサージ機1に好適な打撃力発生手段13としては、図7(a)〜図7(d)に示すものが挙げられる。
【0029】
図7(a)の打撃力発生手段13は、中央が中空部20となっている励磁コイル21(導線が巻回状態となっているソレノイド)と、この励磁コイル21の中空部20に同軸状に挿入され且つ中空部20から出入可能となっている駆動棒16(ピストン)とを有している。また、励磁コイル21の前面には、駆動棒16の先端部に接するように設けられたスプリング22(帯状のスプリング乃至はゴムベルト)が取り付けられている。
【0030】
図7(a)の打撃力発生手段13では、この打撃力発生手段13の励磁コイル21に電流を流すと、図7(b)に示す如く、励磁コイル21に生起した電磁力により駆動棒16が中空部20に収まった位置から、前面に配備された帯スプリング22を引き伸ばすような形で、励磁コイル21から飛び出す方向に動く。励磁コイル21から飛び出た駆動棒16は帯スプリング22の弾性力により押し返されるが、励磁コイル21に電流を流している間は押し返し力に抗って駆動棒16は飛び出た状態のままとなる。
【0031】
その後、励磁コイル21の電流を止めると、駆動棒16に働く力は帯スプリング22による押し返し力だけとなり、駆動棒16が励磁コイル21の中空部20内に戻る方向に動く。つまり、電流が励磁コイル21に供給されるとき、駆動棒16の一部は励磁コイル21の中空部20から突出し、電流が遮断された際には、駆動棒16は帯スプリング22の弾性力により、励磁コイル21の中央にある中空部20に戻る。その繰り返しにより、駆動棒16が出退の繰り返し運動を行い、患部に打撃マッサージ(叩きマッサージ)を加えることが可能になる。
【0032】
上記の如く、打撃力発生手段13は、駆動棒16の突出は励磁コイル21の電磁力で行われ、駆動棒16の退行は励磁コイル21の前面に配備された帯スプリング22(帯状のゴムベルト)によるため、打撃力発生手段13は無重力下でも問題なく作動する。また、立位姿勢にある使用者の腰などに当たるように、垂直に配備(駆動棒16の軸心が水平方向を向くように配備)されても確実に動作することとなる。
【0033】
また、駆動棒16の先端部は、着用式マッサージ機1の内面と表面接触せず、打撃力発生手段13の構成部品の1つである帯スプリング22と接触するため、永年使用に伴って、着用式マッサージ機1の内面が擦れたり摩耗したりする不具合を避けることができる。帯ベルト22が擦れたり摩耗したりしても、当該帯スプリング22を交換するだけで対応が可能である。また、駆動棒16の先端部による患部への強力な打撃力を、帯スプリング22は緩和することができ、穏やかな叩きマッサージ施術を患部へ与えることができるようになる。
【0034】
図7(c)は、図7(a)に備えられた帯スプリング22を、励磁コイル21の背後に配備した変形例である。
詳しくは、励磁コイル21の背面で且つその縁端部から後方に向けて突設部23が形成されていて、この突設部23間に帯スプリング22が架け渡されている。この帯スプリング22の略中央部と駆動棒16の後端部とはネジ止めされることで一体となっている。
【0035】
図7(d)は、図7(a)に備えられた帯スプリング22を、励磁コイル21の背後であって、駆動棒16の後端部を取り囲むように設けられた巻きバネ24に置き換えた例である。
詳しくは、駆動棒16の後端部に、駆動棒16の径より大径となっている鍔部25が形成されており、この鍔部25と励磁コイル21の背面との間には、駆動棒16を螺旋状に巻き囲むようにつる巻きバネ24が配設されている。
【0036】
図7(c)、図7(d)のいずれであっても、励磁コイル21に対して電流が遮断された際には、駆動棒16は帯スプリング22の弾性力(後方に配備された帯スプリング22やつる巻きバネ24が元の状態に戻ろうとする力)により、励磁コイル21の中空部20内に戻る。電磁力による駆動棒16の突出、帯スプリング22の弾性力による駆動棒16の退行という繰り返しにより、駆動棒16が患部に打撃マッサージ(叩きマッサージ)を加えることが可能になる。
【0037】
なお、図7(c)、図7(d)の場合、電流が流れていないときには、駆動棒16の先端部が励磁コイル21の前面より突出しない(引っ込んだ)状態とすることが望ましい。こうすることで、着用式マッサージ機1の内面と表面接触せず、着用式マッサージ機1の内面が擦れたり摩耗したりする不具合を避けることができる。
なお、上記した打撃力発生手段13は、本実施形態の着用式マッサージ機1のみならず、様々な着用式マッサージ機のマッサージ機構として採用可能である。
【0038】
次に、上述の構成を備えた着用式マッサージ機1の使用態様(使用方法)を説明する。
図2及び図3に示すように、着用式マッサージ機1を着用してマッサージを行う際は、使用者Uがその頭部を前覆い体3の中央に形成された貫通孔5に挿入する。そして、長手方向の中央部2を境に着用式マッサージ機1が折り返し状に曲げ、この曲げられた部分を使用者Uの肩にかけるようにすれば、着用式マッサージ機1の装着が可能となる。
【0039】
この着用式マッサージ機1は、上下方向に沿って長孔状に形成された貫通孔5に対して使用者Uの頭部が上下方向のどの位置にあるかで、マッサージする位置や温熱する位置を変更できるようになっている。
図2や図3に示す例では、使用者Uの頭部が貫通孔5の上端側に位置していて、貫通孔5の上端の縁が使用者Uの首の後側に引っ掛かるようになっており、前覆い体3は最も下側に移動して発熱体7により使用者Uの下腹部を温熱できるようになっている。また、後覆い体4は最も上側に移動していて、図2や図3に示す例では第1施療部10が使用者Uの肩をマッサージすると共に第2施療部11が使用者Uの腰をマッサージする構成になっている。
【0040】
図2や図3に示す例において、例えば使用者Uの体格が標準より大きい(小さい)場合などのように第1施療部10や第2施療部11の位置がマッサージして欲しい位置からずれている場合は、着用式マッサージ機1自体を上下に動かせて第1施療部10や第2施療部11の位置をマッサージして欲しい位置に合わせる。
第1施療部10や第2施療部11を位置合わせする際は、把手部8を掴んで前覆い体3を上方に移動させ、頭部を貫通させたまま前覆い体3を上方にずらす。上述したように貫通孔5は上下方向に沿って長孔状に形成されているため、頭部を貫通させたままでも前覆い体3の位置合わせは可能となる。このようにして前覆い体3を上方にずらすと、着用式マッサージ機1は図4や図5に示すような位置に変化する。
【0041】
図4や図5に示す例では、使用者Uの頭部は貫通孔5の上端と下端との中途側に位置しており、前覆い体3の下端が図2の例より上方に位置している。そして、前覆い体3の発熱体7が使用者Uの上腹部(みぞおち付近)を温熱している。一方、後覆い体4は図3の例より下方に位置していて、図4や図5に示す例では第1施療部10が使用者Uの背中(肩甲骨の下側)をマッサージすると共に第2施療部11が使用者Uの臀部をマッサージする構成になっている。
【0042】
上述のように、後覆い体4に第1施療部10と第2施療部11とを上下方向に距離をあけて設けておけば、第1施療部10で首や肩の患部をマッサージするのに合わせて第2施療部11で腰や臀部の患部をマッサージすることができる。その結果、例えばわざわざ着用式マッサージ機1をずらして首や肩に合わせられていた施療部の位置を腰や臀部に変更するといった面倒な操作が不要となり、着用式マッサージ機1の利便性を高めることが可能となる。
【0043】
また、前覆い体3に頭部を貫通可能な貫通孔5を上下方向に沿って長く形成しておけば、頭部を貫通させたまま前覆い体3を自由に上下にずらすことができ、肩を跨いで前覆い体3に連結された後覆い体4の第1施療部10や第2施療部11の位置を上下方向に調整することも可能となる。それ故、標準的な体格を備えていない使用者Uがマッサージを行う場合にも、第1施療部10や第2施療部11の位置を容易に変更することができ、また上下方向の広い範囲の患部に対して施療することも可能となり、着用式マッサージ機1の利便性をさらに高めることが可能となる。
【0044】
また、前覆い体3の下端側に使用者Uの腹部を温熱する発熱体7を設けておけば、患部のマッサージに合わせて腹部を暖めることが可能となり、使用者Uの血行をさらに良くすることも可能となる。
なお、前覆い体3の下端側に使用者Uが把持可能な把手部8を設けておけば前覆い体3を掴みやすくなり、第1施療部10や第2施療部11の位置合わせも容易になる。また、後覆い体4の下端側に長尺の引張体14が設けられておけば、この引張体14を掴んで前方に引きつけることで、第1施療部10や第2施療部11を患部(肩や腰)に強く押し付けることが可能となり、より確実なマッサージ効果を得ることも可能となる。
【0045】
例えば、図6に示すように、引張体14を掴んで前方に引きつけると共に、引張体14の先端を把手部8をくぐらして左右に引っ張るようにすれば、第1施療部10や第2施療部11を患部に強く押し付けたままに維持することも可能となり、より確実なマッサージ効果を継続して得ることも可能となる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
【0046】
例えば、前覆い体3の下端側に留め金(バックル)を設けておくか、左右の引張体14のいずれか一方の先端に金具を設けると共に他方の先端に留め金を設けておき、金具をこの留め金に留めるようにすれば、第1施療部10や第2施療部11を患部に強く押し付けたままに維持することがさらに容易になる。
【符号の説明】
【0047】
1 着用式マッサージ機
2 中央部
3 前覆い体
4 後覆い体
5 貫通孔
6 コントローラ
7 発熱体
8 把手部
9 操作ボタン
10 第1施療部
11 第2施療部
12 連結部
13 打撃力発生手段
14 引張体
15 打撃部本体
16 駆動棒
20 中空部
21 励磁コイル
22 スプリング
23 突設部
24 巻きバネ
25 鍔部
U 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の背部を覆うように上下方向へ延びる後覆い体と、前記後覆い体の上部側から使用者の肩を跨いで使用者の腹部まで上下方向へ延びる前覆い体とを有し、
前記後覆い体の上部には第1施療部が設けられると共に、後覆い体の下部には第2施療部が設けられ、
前記前覆い体には、使用者の頭部が差し込み可能であって上下方向に沿って長孔状に形成されている貫通孔を有することを特徴とする着用式マッサージ機。
【請求項2】
前記第1施療部は、使用者の肩に対応した位置に設けられて使用者の肩をマッサージ可能とされており、
前記第2施療部は、使用者の腰に対応した位置に設けられて使用者の腰をマッサージ可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の着用式マッサージ機。
【請求項3】
前記前覆い体の下端側には、使用者の腹部を温熱する発熱体が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の着用式マッサージ機。
【請求項4】
前記前覆い体の下端側には、前記使用者が把持可能な把手部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の着用式マッサージ機。
【請求項5】
前記後覆い体の下端側には、長尺の引張体が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の着用式マッサージ機。
【請求項6】
前記第1施療部及び第2施療部は、電磁式の打撃力発生手段を左右一対備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の着用式マッサージ。
【請求項7】
前記打撃力発生手段は、中央が中空部となっている励磁コイルと、前記励磁コイルの中空部に出入可能となっている駆動棒と、前記励磁コイルの中空部から突出状態にある駆動棒を中空部内に押し戻すスプリングと、を有していることを特徴とする請求項6に記載の着用式マッサージ。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1】
image rotate