着磁物位置検出ユニット、及びこれを用いた着磁物位置検出装置
【課題】非磁性材製の障害物によって視認不能とされる着磁物の位置を、障害物越しに簡単かつ正確に検出する着磁物位置検出ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の着磁物位置検出ユニット10は、非磁性材製の障害物60によって隠された部位にある着磁物63の位置を、前記障害物60越しに検出するための着磁物位置検出ユニット10であって、一端側に前記着磁物63と磁気的に引き合う磁石21を備えた磁石ホルダ20と、この磁石ホルダ20をその重心位置を支点25として揺動可能に支持する支持フレーム11と、前記磁石ホルダ20の前記磁石21とは反対側の端部に設けられた変位表示部22と前記支持フレーム11側に設けられた指標部42との相対的な位置関係によって前記磁石ホルダ20の前記支点25を中心とした揺動姿勢を表示する姿勢表示部40とを備えてなることを特徴とする。
【解決手段】本発明の着磁物位置検出ユニット10は、非磁性材製の障害物60によって隠された部位にある着磁物63の位置を、前記障害物60越しに検出するための着磁物位置検出ユニット10であって、一端側に前記着磁物63と磁気的に引き合う磁石21を備えた磁石ホルダ20と、この磁石ホルダ20をその重心位置を支点25として揺動可能に支持する支持フレーム11と、前記磁石ホルダ20の前記磁石21とは反対側の端部に設けられた変位表示部22と前記支持フレーム11側に設けられた指標部42との相対的な位置関係によって前記磁石ホルダ20の前記支点25を中心とした揺動姿勢を表示する姿勢表示部40とを備えてなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着磁物位置検出ユニット、及びこれにより検出した位置を対象物上において示す着磁物位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば大型飛行機の主翼は、翼幅方向に延びる複数本のスパーに、これと直交する方向のリブが組み合わされ、そのリブの上下に複数枚のスキン(外板)が取り付けられる。スキンをリブに固定する工程では、リブとスキンとを所定位置に配置した後、スキンのうちリブに設けられた孔と同軸上の部位を特定する。この同軸上の部位は、一般にスキン及びリブの断面方向から目視等によって特定される。そして、特定した部位に孔を開け、スキン及びリブに設けた孔にボルト等を挿通して両者を固定するのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、主翼のスキン材料として、軽量かつ高耐久性のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)が選択されるようになり、片翼の上下のスキンをそれぞれ一枚板で成形することが可能となっている。このような大型のスキンの場合には、リブを配する部位に人が近づくことができない場合があり、スキンに孔を開ける部位をリブ及びスキンの断面方向から目視にて特定することが困難となり、スキンへの孔開け位置の特定に苦慮するという事情がある。かかる事情に対処すべく、例えば下記特許文献1のように大型・高精度の工作機械を使用するシステムも考えられている。
【特許文献1】特表2000−506816公報
【0004】
しかしながら、上述のシステムでは極めて大規模になってしまうため、スキンが障害となることで視認することができないリブの孔の位置を簡便な方法で検出することが要望されている。その解決手段として、一組の磁石を用いる探査方法が考えられる。すなわち、一の磁石をリブの孔に配し、この磁石と磁性的に引き合う磁石をスキン側で揺動可能に吊り下げることにより、吊り下げられた磁石が指向する側にリブの孔が存するというものである。しかしながら、このような手段では、リブの孔の大まかな位置を特定することはできるものの、通常、飛行機の主翼の組立て工程で要求される0.5mm程度の精度で検出することはできず、検出精度の向上が必要であった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、非磁性材製の障害物によって視認不能とされる着磁物の位置を、障害物越しに簡単かつ正確に検出する着磁物位置検出ユニットを提供することを目的とする。また、そのような着磁物位置検出ユニットにより検出された位置を、障害物上に示すことが可能な着磁物位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の着磁物位置検出ユニットは、非磁性材製の障害物によって隠された部位にある着磁物の位置を、前記障害物越しに検出するための着磁物位置検出ユニットであって、一端側に前記着磁物と磁気的に引き合う磁石を備えた磁石ホルダと、この磁石ホルダをその重心位置を支点として揺動可能に支持する支持フレームと、前記磁石ホルダの前記磁石とは反対側の端部に設けられた変位表示部と前記支持フレーム側に設けられた指標部との相対的な位置関係によって前記磁石ホルダの前記支点を中心とした揺動姿勢を表示する姿勢表示部とを備えてなることを特徴とする。
【0007】
このような構成の着磁物位置検出ユニットを障害物上に配すると、磁石ホルダの一端側に備わる磁石と着磁物とが障害物越しに引き合うため、磁石ホルダの当該端部は着磁物の方向に指向する動きを生じる。そのため、当該着磁物位置検出ユニットを障害物上を移動させて磁石ホルダに設けられた磁石と着磁物との間の距離を異ならせると、揺動可能に支持されている磁石ホルダがその支点を中心にして揺動することでその姿勢が変化することとなる。この磁石ホルダの姿勢変化は、磁石ホルダの磁石とは反対側の端部に設けられた変位表示部と支持フレーム側の指標部とからなる姿勢表示部により認識することができる。そこで、姿勢表示部を見ながら着磁物位置検出ユニットを動かして、磁石と着磁物との間の距離が最小となる磁石ホルダの揺動姿勢をとらせると、そのときの磁石から障害物に延ばした垂線上に着磁物が配されていることになる。
【0008】
さらに、磁石ホルダはその重心を支点として揺動可能に支持されているため、例えば障害物が傾斜面をなす場合にも、重力の影響を解消することができ、障害物によって隠された部位にある着磁物の位置を正確かつ容易に検出することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る着磁物位置検出ユニットにおいて、前記磁石ホルダは、当該磁石ホルダをX軸を中心に揺動可能に支持する第1軸受部と、当該第1軸受部を前記X軸と直交するY軸を中心に揺動可能に支持する第2軸受部とにより支持されているものとすることができる。
【0010】
このような構成によれば、第1軸受部と第2軸受部とにおける磁石ホルダの揺動可能方向の組合せにより、当該磁石ホルダは両軸受部により支持されている点を中心として、あらゆる方向に傾斜した姿勢をとることが可能となる。これにより、当該着磁物位置検出ユニットに対して着磁物がいかなる方向に配されている場合にも、磁石ホルダの端部に備わる磁石は当該磁石ホルダの揺動姿勢の変化を伴って、着磁物の方向を指向することが可能となる。
【0011】
また、前記支持フレームには前記変位表示部に対応してマスク板が設けられ、前記変位表示部は前記磁石ホルダに設けられた点模様であり、前記指標部は前記マスク板に形成され前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記点模様を覗き見ることが可能な透視孔であり、前記姿勢表示部には前記マスク板の前記透視孔部分を拡大するレンズが設けられているものとすることができる。
【0012】
この場合、マスク板に設けた透視孔を見ながら当該着磁物位置検出ユニットを障害物上で移動させて、透視孔から磁石ホルダに形成された点模様が確認されたら、その位置で当該着磁物位置検出ユニットを止める。すると、そのときの磁石から障害物に延ばした垂線上に着磁物が配されていることとなる。さらに、支持フレームに設けられたレンズにより透視孔が拡大して表示されるため、透視孔と点模様とが正確に一致したことを確認することができ、着磁物の配された位置を正確に検出することが可能となる。
【0013】
また、前記変位表示部はさらに前記点模様を中心とする環状模様を含み、前記マスク板には、その中心で交わる直交軸上に互いに独立した4つの方向指示透視孔が形成され、前記各方向支持透視孔は、前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記環状模様に沿った周上に配されているものとすることができる。
【0014】
このような構成によれば、磁石と着磁物との相対的な位置関係により、マスク板のそれぞれの方向指示透視孔から確認される環状模様の態様が異なることとなる。例えば、当該着磁物位置検出ユニットを障害物上に配したときに、磁石と着磁物とが最短距離となっていない場合には、マスク板の方向指示透視孔のうち1ないし2個の方向指示透視孔からは環状模様が確認され、残りの方向指示透視孔からは環状模様が確認されない場合がある。この場合、着磁物位置検出ユニットを、環状模様が確認された方向指示透視孔の配置されている方向へ移動させれば、磁石と着磁物との距離が近づいていくこととなり、それぞれの方向指示透視孔から確認される環状模様の態様が変化していく。そして、すべての方向指示透視孔から確認される環状模様の態様が同一となった位置、又はすべての方向指示透視孔において環状模様が確認されなくなった位置で、当該着磁物位置検出ユニットを止めると、そのときの磁石から障害物に延ばした垂線上に着磁物が配されていることとなる。
【0015】
次に、上記課題を解決するために、本発明の着磁物位置検出装置は、着磁物位置検出ユニットにより検出した前記着磁物の位置を前記障害物上に示す着磁物位置検出装置であって、前記着磁物位置検出ユニットと、当該着磁物位置検出ユニットが脱着可能に取り付けられる取付孔を有する本体と、を備え、前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合には、前記取付孔を通じて前記障害物の表面が露出することを特徴とする。
【0016】
上記構成の着磁物位置検出装置によれば、まず着磁物位置検出ユニットを取り付けた状態で障害物上を動かして着磁物の位置を検出した後、着磁物位置検出ユニットを本体から取り外すことにより、本体の取付孔を通じて障害物の表面が露出することとなる。ここで、例えば着磁物位置検出ユニットにおいて、磁石と着磁物との間の距離が最小となるときの当該磁石の位置を、本体の取付孔の中心となるようにすることができる。すると、着磁物位置検出ユニットを本体から取り外した後、取付孔を通じて露出する障害物の表面において、その中心から延びる垂線上に着磁物が配されていることを指し示していることとなる。このように、障害物越しに着磁物の位置を示す指標を形成することができ、この指標により当該着磁物の位置に対して所望の処理を行うことが可能となる。
【0017】
また、前記本体には、当該本体のうち前記障害物と相対する側に配置された吸盤と、前記吸盤内の空気を吸引するための吸引機構とからなる固定手段が設けられているものとすることができる。
【0018】
この場合、着磁物の位置を検出した後、本体に備わる固定手段により当該着磁物位置検出装置を障害物上に固定することにより、例えば人が把持している場合に比して、当該本体と障害物との間の位置ずれが生じ難く、着磁物の検出位置を正確に示すことが可能となる。さらに、当該固定手段を吸盤構造という簡便な構成とすることにより、当該着磁物位置検出装置を大掛かりな装置とする必要がなく、取扱い性に優れたものとすることが可能となる。
【0019】
また、前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合に、当該着磁物位置検出ユニットと交換取り付け可能なポンチ治具を有し、当該ポンチ治具は、前記着磁物の検出位置を転写ないし加工するユニットを備えるものとすることができる。
【0020】
このような構成によれば、着磁物位置検出ユニットを取り付けた状態で着磁物の位置を検出した後、当該着磁物位置検出ユニットを取り外してポンチ治具と交換することができる。これにより、検出位置のずれを生じることなく、障害物上に示された検出位置を当該障害物上に転写したり、当該障害物上に例えば孔開け等の加工をしたりすることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、非磁性材製の障害物によって視認不能とされる着磁物の位置を、障害物越しに簡単かつ正確に検出することが可能となる。さらに、検出した位置を障害物上に示すことで、当該位置に対して所望の処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
まず本実施形態に係る着磁物位置検出ユニットの構造について、図1ないし図6を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すX軸垂直断面図、図2は着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すY軸垂直断面図、図3は着磁物位置検出ユニットに備わる磁石ホルダを支持する支持部の正面図、図4は磁石ホルダの一端部に備わる変位表示部の正面図、図5は着磁物位置検出ユニットに備わる姿勢表示部に取り付けられたマスク板の正面図、図6は変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図である。
【0023】
着磁物位置検出ユニット10は、図1及び図2に示すように、アルミ製の有底筒状をなす筐体(支持フレーム)11と、筐体11の内部に配される磁石ホルダ20と、磁石ホルダ20を揺動可能に支持する支持部30と、筐体11の上部に配され磁石ホルダの姿勢を表示する姿勢表示部40とから構成されている。
【0024】
磁石ホルダ20は、全体としてアルミ製の棒状体であり、一方の端部には磁石21が嵌め込まれ、当該磁石21は一方の端面が露出する態様とされている。また、磁石ホルダ20のうち、磁石21が嵌め込まれた側とは反対側の端部には、当該磁石ホルダ20より大径とされ上に凸をなす球面板状の変位表示部22が取り付けられている。
【0025】
変位表示部22は、図3に示すように、その中心に点模様23が形成され、さらにその周囲には当該点模様23を中心とした幅広の環状模様24が形成されている。本実施形態では、これら点模様23及び環状模様24は橙蛍光色を呈しており、明度が高く視認し易いものとされている。
【0026】
かかる磁石ホルダ20は、筐体11の円形断面の中心において、磁石21が嵌め込まれた側を下方にした状態で、その重心位置を支持部30により支持されており、当該重心位置を支点25として揺動可能とされている(図1参照)。
【0027】
支持部30は、図4に示すように、第1軸受部31と、当該第1軸受部31をさらに外側から支持する第2軸受部32とからなる。第1軸受部31には、磁石ホルダ20をX軸方向に貫通する棒状の第1軸部33が設けられている。第1軸部33の両端部は尖形形状をなし、磁石ホルダ20の側面から突出している。磁石ホルダ20において第1軸部33が設けられた部位の周囲には、わずかな空隙を開けて中間リング34が設けられている。この中間リング34のうち、第1軸部33の両端部と対向する部位には第1軸受ネジ35a,35bが取り付けられており、第1軸部33の両端部と第1軸受ネジ35a、35bの端面とは点接触した状態とされている。この第1軸受部31により、磁石ホルダ20はX軸を中心に揺動可能とされている。
【0028】
一方、第1軸受部31の中間リング34には、上記した第1軸部33と直交するY軸上に2本の第2軸部36a,36bが設けられている。各第2軸部36a,36bのうち、中間リング34の外側に位置する端部は尖形形状をなし、中間リング34の側面から突出している。この中間リング34の周囲には、わずかな空隙を開けて筐体11の内壁から延出した外周リング37が設けられている。この外周リング37のうち、第2軸部36a,36bの端部と対抗する部位には第2軸受ネジ38a,38bが取り付けられており、中間リング34から突出した第2軸部36a,36bの一端部と第2軸受ネジ38a,38bの端面とは点接触した状態とされている。上記した第2軸部36a,36b、第2軸受ネジ38a,38b、及び外周リング37により第2軸受部32が構成され、当該第2軸受部32により、磁石ホルダ20はY軸を中心に揺動可能とされている。
【0029】
これら第1軸受部31及び第2軸受部32における磁石ホルダ20の揺動可能な方向の組合せにより、当該磁石ホルダ20は両軸受部31,32により支持されている点を中心として、あらゆる方向に傾斜した姿勢をとることが可能となっている。
【0030】
磁石ホルダ20の上端部に設けられた変位表示部22と対向するようにして、上に凸の球面板状をなす遮光性のマスク板41が取り付けられている(図1参照)。マスク板41には、図5に示すように、その中心に円形形状の透視孔(指標部)42が穿設されている。この透視孔42は、磁石ホルダ20の変位表示部22に形成された点模様23の径と同一の寸法とされている。また、マスク板41の上方には、凸レンズ44が取り付けられており、凸レンズ44の上方から覗いた場合には、透視孔42が拡大表示されることとなる。
【0031】
磁石ホルダ20の揺動姿勢は、この固定された透視孔42と、揺動姿勢に伴って位置変化する変位表示部22との相対的な位置関係により姿勢表示部40として確認することができる。本実施形態では、透視孔42と変位表示部22の点模様23との位置関係は、磁石ホルダ20が後述する被検出用磁石63と磁石21とが最短距離となる揺動姿勢をとったときには、図6に示すように、当該透視孔42から点模様23を覗き見ることが可能なものとされている。
【0032】
さらに、マスク板41には、透視孔42を中心とした円周上に4つの三角孔(方向指示透視孔)43が設けられている。より具体的には、図5に示すように、マスク板41の表面に沿って、当該マスク板41の中心で交わる直交軸上に、それぞれX1方向にX1三角孔43a、X2方向にX2三角孔43b、Y1方向にY1三角孔43c、Y2方向にY2三角孔43dが配されており、それぞれ一頂点が外側に指向している。この4つの三角孔43のそれぞれの最外部を結んだ仮想円の直径D2は、磁石ホルダ20の変位表示部22に形成された環状模様24の内周円の直径D1(図3参照)と同一かそれよりも僅かに小さい寸法とされている。そして、磁石ホルダ20が後述する被検出用磁石63と磁石21とが最短距離となる揺動姿勢をとったときには、図6に示すように、環状模様24が三角孔43の外側に位置することとなり、当該三角孔43から環状模様24を確認することができない構成とされている。
【0033】
次に、上記した着磁物位置検出ユニット10を備える着磁物位置検出装置50について、図7及び図8を用いて説明する。
図7は本実施形態に係る着磁物位置検出装置の概略構成を示す断面図、図8は着磁物位置検出装置から着磁物位置検出ユニットを取り外した状態を示す断面図である。
【0034】
着磁物位置検出装置50は、図7に示すように、着磁物位置検出ユニット10と、これが嵌め込まれる本体51とから構成されている。本体51は、底面側が開口した略箱状をなし、その上面のほぼ中央には底面へ貫通する取付孔52が穿設されている。着磁物位置検出ユニット10は、磁石21が取り付けられた側を本体51の底面側に向けた状態で取付孔52に挿着されている。すなわち、当該着磁物位置検出装置50は、その底面側に着磁物位置検出ユニット10の底面が露出した構成とされている。なお、着磁物位置検出ユニット10は、図8に示すように、本体51の取付孔52から上方に取り外し可能な構成とされている。この場合、本体51をその上面側から見ると、取付孔52を通じて、当該着磁物位置検出装置50が載置された対象物の表面が視認可能(露出した状態)となる。
【0035】
さらに、本体51のうち取付孔52を挟む形で、当該本体51を対象物に固定するための固定機構53が2つ設けられている(図7参照)。固定機構53には、本体51の底面側の開口を通じて露出し、本体51を対象物に吸着固定する吸盤54が備わっている。吸盤54の上面には吸盤支持シャフト55が取り付けられ、当該吸盤支持シャフト55は本体51の上面に設けられたシャフト挿通孔56を通じて本体51の上面側に突出している。吸盤支持シャフト55の上端部には円盤状の本体固定用ボタン57が取り付けられ、本体固定用ボタン57と本体51の上面との間には、当該吸盤支持シャフト55の昇降を弾性変形を伴って許容するスプリング58が間在している。
【0036】
また、吸盤支持シャフト55の内部には、吸盤54の上面から当該吸盤支持シャフト55の側面まで貫通する吸引路59aが設けられている。当該吸引路59aは、吸盤支持シャフト55の側面に取り付けられた吸引口(吸引機構)59に繋がっている。
【0037】
続いて、本実施形態に係る着磁物位置検出装置50の使用方法を図9ないし図15を用いて説明する。本実施形態では特に、大型飛行機の主翼の組立工程のうちスキン(外板)とリブとを固定する工程で、当該着磁物位置検出装置50を使用する方法を例示する。
図9はリブに設けられたボルト孔の位置を検出可能とすべく被検出用磁石を取り付けた状態を示す断面図、図10はスキン上で被検出用磁石の位置を探査中の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図、図11は図10の着磁物位置検出装置のY軸垂直断面図、図12は図10の着磁物位置検出装置の姿勢表示部における変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図、図13はスキン上で被検出用磁石の位置検出を完了した状態の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図、図14は図13の着磁物位置検出装置のY軸断面図、図15は着磁物位置検出装置に孔開けポンチが取り付けられた状態を示す断面図である。
【0038】
非磁性材たるCFRP製のスキン60の長手方向所定位置には、図9に示すように、当該スキン60と対向配置されたスキン(図示せず)とを連結固定するリブ61が配されている。リブ61は、スキン60と接触する板面61aと、当該板面61aから垂直に延びる支柱部61bとからなる。板面61aの所定部位には、ボルト等を挿通するための固定孔62が穿設されている。固定孔62の下方(スキン60とは反対側)には、被検出用磁石(着磁物)63が嵌め込まれたフランジ64が取り付けられている。被検出用磁石63は、着磁物位置検出ユニット10に備わる磁石21と磁気的に引き合うものとされており、固定孔62の直下、すなわち固定孔62の軸線の延長線上に配されている。
【0039】
本実施形態に係る着磁物位置検出装置50は、上記した被検出用磁石63の配された位置を検出することで、その直上の固定孔62の位置を特定するものである。まず、着磁物位置検出装置50において、吸盤54を本体51の最下端部(着磁物位置検出ユニット10の最下端部)よりもやや持ち上げた状態とした上で、吸引口59に例えば真空ポンプ(図示せず)を接続して吸引動作を行う。この場合、着磁物位置検出装置50をスキン60に載置しても、吸盤54はスキン60とは接触しない状態とされているため、当該着磁物位置検出装置50はその位置に固定されることなく、自由に移動させることができる。
【0040】
当該着磁物位置検出装置50を、図10及び図11に示すように、スキン60の上面において、おおよそリブ61の固定孔62(被検出用磁石63)と重畳する位置に配する。すると、着磁物位置検出装置50に取り付けられた着磁物位置検出ユニット10において、磁石ホルダ20の先端に取り付けられた磁石21がスキン60及びリブ61の板面61a越しに被検出用磁石63と磁気的に引き合う。ここで、磁石ホルダ20は支点25を中心として揺動可能に支持されているため、当該磁石ホルダ20の磁石21を備える側の端部は被検出用磁石63の方向に指向する揺動姿勢をとることとなる。
【0041】
このときの磁石ホルダ20の揺動姿勢を、着磁物位置検出ユニット10の上端側の姿勢表示部40において確認すると、図12に示すような態様となっている。すなわち、図10において着磁物位置検出装置50が被検出用磁石63に対してX1方向に位置ずれしていることにより、変位表示部22がマスク板41に対して相対的にX1方向に位置ずれする。これにより、変位表示部22の環状模様24の一部が、マスク板41のX2三角孔43bにより確認されることとなる。一方、図11において着磁物位置検出装置50が被検出用磁石63に対してY1方向に位置ずれしていることにより、変位表示部22がマスク板41に対して相対的にY1方向に位置ずれする。これにより、変位表示部22の環状模様24の一部が、マスク板41のY2三角孔43dにより確認されることとなる。
【0042】
そこで、環状模様24が確認されたX2三角孔43b及びY2三角孔43dの配置されている方向へ着磁物位置検出装置50を移動させていく。すると、磁石21と被検出用磁石63との間の距離が小さくなることで磁石ホルダ20が直立に近い揺動姿勢をとるように変化し、X2三角孔43b及びY2三角孔43dから視認される環状模様24の割合が徐々に減少していく。
【0043】
そして、全ての三角孔43a,43b,43c,43dから環状模様24が視認されなくなり、かつ、変位表示部22の点模様23がマスク板41の透視孔42から視認される状態となったとき(図6に示す状態)、その位置で着磁物位置検出装置50の移動を停止する。すると、当該着磁物位置検出装置50と、被検出用磁石63との相対的な位置関係は、図13及び図14に示す状態となっている。すなわち、着磁物位置検出ユニット10に備わる磁石ホルダ20は、磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となる揺動姿勢をとっており、この磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が存するという位置関係になっている。このようにして、被検出用磁石63の配された位置、すなわちリブ61に設けられた固定孔62の位置を、スキン60越しに検出することができるのである。
【0044】
上記のようにして被検出用磁石63の位置検出を完了したら、その位置で着磁物位置検出装置50の本体固定用ボタン57を吸盤支持シャフト55の軸線方向に押し込む。すると、吸盤支持シャフト55が下降し、これに伴い吸盤54もスキン60の表面に接触するまで下降することとなる。吸盤54内は常に吸引口59から吸引されているため、当該吸盤54とスキン60との間で吸着力が生じ、本体51はスキン60上に固定されることとなる。これにより、被検出用磁石63の位置検出後、当該被検出用磁石63と、着磁物位置検出装置50との位置ずれを抑止することができるのである。
【0045】
続いて、スキン60にボルトを挿通するための孔を開ける作業に移行する。まず、本体51の取付孔52から着磁物位置検出ユニット10を取り外し、その取付孔52に、図15に示すように、孔開けポンチ70を取り付ける。この孔開けポンチ70の外径は着磁物位置検出ユニット10の外径と同一とされており、さらに、当該孔開けポンチ70の中心には孔開けユニット71が取り付けられている。この孔開けユニット71を上方から押圧することにより、スキン60のうちリブ61の固定孔62と重畳する位置に、所望の孔を開けることができる。
【0046】
最後に、吸引口59に接続された真空ポンプの吸引を停止する。すると、吸盤54とスキン60との間の吸着力が解消され、スプリング58の弾性回復力により本体固定用ボタン57が押し上げられることで、吸盤54が上方へ引き上げられる。これにより本体51をスキン60から取り外すことができ、その後スキン60とリブ61とをボルトで固定することが可能となる。
【0047】
以上、本実施形態に係る着磁物位置検出ユニット10、及びこれを備える着磁物位置検出装置50は、以下のような作用効果を奏する。
本実施形態に係る着磁物位置検出ユニット10は、一端側に被検出用磁石63と磁気的に引き合う磁石21を備えた磁石ホルダ20と、この磁石ホルダ20をその重心位置を支点25として揺動可能に支持する筐体11と、磁石ホルダ20の磁石21とは反対側の端部に設けられた変位表示部22と筐体11側の指標部42との相対的な位置関係によって磁石ホルダ20の揺動姿勢を表示する姿勢表示部40を備えている。
【0048】
このような構成の着磁物位置検出ユニット10を、スキン60のうち被検出用磁石63とは反対側の面に配すると、磁石ホルダ20の一端側に備わる磁石21と被検出用磁石63とがスキン60越しに引き合うため、磁石ホルダ20の当該端部は被検出用磁石63に指向する動きを生じる。そのため、当該着磁物位置検出ユニット10をスキン60上を移動させて磁石ホルダ20に設けられた磁石21と被検出用磁石63との間の距離を異ならせると、揺動可能に支持されている磁石ホルダ20がその支点25を中心にして揺動することでその姿勢が変化することとなる。この磁石ホルダ20の姿勢変化は、磁石ホルダ20の磁石21とは反対側の端部に設けられた変位表示部22と筐体11側の指標部42とからなる姿勢表示部40により認識することができる。そこで、姿勢表示部40を見ながら着磁物位置検出ユニット10を動かして、磁石21と被検出用磁石63との間の距離が最小となる磁石ホルダ20の揺動姿勢をとらせると、そのときの磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が配されていることになる。
【0049】
さらに、磁石ホルダ20はその重心を支点25として揺動可能に支持されているため、例えばスキン60が傾斜面をなす場合にも、重力の影響を解消することができる。このように、本発明の着磁物位置検出ユニット10によれば、非磁性材製のスキン60の形状を気にすることなく、当該スキン60によって隠された部位にある被検出用磁石63の位置を、簡単かつ正確に検出することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、磁石ホルダ20は、当該磁石ホルダ20をX軸を中心に揺動可能に支持する第1軸受部31と、当該第1軸受部31を前記X軸と直交するY軸を中心に揺動可能に支持する第2軸受部32とにより支持されている。
【0051】
上記構成によれば、第1軸受部31と第2軸受部32とにおける磁石ホルダ20の揺動可能方向の組合せにより、当該磁石ホルダ20は両軸受部31,32により支持されている点を中心として、あらゆる方向に傾斜した姿勢をとることが可能となる。これにより、当該着磁物位置検出ユニット10に対して被検出用磁石63がいかなる方向に配されている場合にも、磁石ホルダ20の端部に備わる磁石21は当該磁石ホルダ20の揺動姿勢の変化を伴って、被検出用磁石63の方向を指向することができ、当該被検出用磁石63の配されている位置を検出することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、筐体11上部には変位表示部22に対応して遮光性のマスク板41が設けられ、磁石ホルダ20の変位表示部22には点模様23が形成され、マスク板41には磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となるときの磁石ホルダ20の揺動姿勢において点模様23を覗き見ることが可能な透視孔42が形成され、姿勢表示部40にはマスク板41の透視孔42を拡大するレンズ44が設けられている。
【0053】
この場合、マスク板41に設けた透視孔42を覗きながら当該着磁物位置検出ユニット10をスキン60上で移動させて、透視孔42から磁石ホルダ20に形成された点模様23が確認されたら、その位置で当該着磁物位置検出ユニット10を止める。すると、そのときの磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が配されていることとなる。さらに、透視孔42がレンズ44により拡大して表示されるため、透視孔42と点模様23とが正確に一致したことを確認することができ、被検出用磁石63の配された位置を正確に検出することが可能となる。
【0054】
特に、本実施形態では、変位表示部22として点模様23を中心とする環状模様24がさらに形成され、マスク板41には、その中心で交わる直交軸上に互いに独立した4つの三角孔43a,43b,43c,43dが形成され、これら三角孔43a,43b,43c,43dの最外部は、磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となる揺動姿勢を磁石ホルダ20がとったときに環状模様24の内周と重畳するものとされている。
【0055】
このような構成によれば、各三角孔43a,43b,43c,43dから確認される環状模様24の態様により、磁石21と被検出用磁石63との相対的な位置関係が示され、着磁物位置検出ユニット10を移動させるべき方向が示されることとなる。磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となっていない場合には、マスク板41の各三角孔43a,43b,43c,43dのうち1ないし2個の三角孔からは環状模様24が確認され、残りの三角孔からは環状模様24が確認されない。この場合、着磁物位置検出ユニット10を、環状模様24が確認された三角孔の配置されている方向へ移動させれば、磁石21と被検出用磁石63との距離が近づいていくこととなり、三角孔から確認される環状模様24の態様が変化していく。そして、すべての三角孔43a,43b,43c,43dから環状模様24が確認されなくなった位置で、当該着磁物位置検出ユニット10を止めると、そのときの磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が配されていることとなる。
【0056】
また、本実施形態に係る着磁物位置検出装置50は、上記した着磁物位置検出ユニット10と、当該着磁物位置検出ユニット10が脱着可能に取り付けられる取付孔52を有する本体51と、を備え、着磁物位置検出ユニット10を取り外した場合には、取付孔52を通じてスキン60の表面が露出するものとされている。
【0057】
上記構成の着磁物位置検出装置50によれば、まず着磁物位置検出ユニット10を取り付けた状態でスキン60上を動かして被検出用磁石63の位置を検出した後、着磁物位置検出ユニット10を本体から取り外すことにより、本体51の取付孔52を通じてスキン60の表面が露出することとなる。ここで、特に本実施形態では、着磁物位置検出ユニット10において、磁石21と被検出用磁石63との間の距離が最小となるときの当該磁石21の位置を、本体51の取付孔52の中心となるようにしている。そのため、着磁物位置検出ユニット10を本体51から取り外した後、取付孔52を通じて露出するスキン60の表面において、その中心から延びる垂線上に被検出用磁石63が配されていることを指し示していることとなる。このように、スキン60越しに被検出用磁石63の位置を示す指標を形成することができ、この指標により当該被検出用磁石63の位置に対して所望の処理を行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、本体51には、当該本体51のうちスキン60と相対する側に配置された吸盤54と、吸盤54内の空気を吸引するための吸引口59とからなる固定機構53が設けられている。
【0059】
この場合、被検出用磁石63の位置を検出した後、本体51に備わる固定機構53により当該着磁物位置検出装置50をスキン60上に固定することにより、例えば人が把持している場合に比して、当該本体51とスキン60との間の位置ずれが生じ難く、被検出用磁石63の検出位置を正確に示すことが可能となる。さらに、当該固定機構53を吸盤54構造という簡便な構成とすることにより、当該着磁物位置検出装置50を大掛かりな装置とする必要がなく、取扱い性に優れたものとすることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態では、着磁物位置検出ユニット10を取り外した場合に、当該着磁物位置検出ユニット10と交換取り付け可能な孔開けポンチ70を有している。
【0061】
このような構成によれば、着磁物位置検出ユニット10を取り付けた状態で被検出用磁石63の位置を検出した後、当該着磁物位置検出ユニット10を取り外して孔開けポンチ70と交換することができる。これにより、検出位置のずれを生じることなく、スキン60上に示された検出位置に孔開け加工をすることが可能となる。
【0062】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記した実施形態では、着磁物位置検出ユニット10により被検出用磁石63の位置を検出した後、着磁物位置検出装置50を固定機構53により固定して検出位置の指標としたが、例えば以下のような手段も本発明に含まれる。着磁物位置検出ユニット10の上端部に光学部材を取り付けておき、被検出用磁石63の位置を検出した後、その一帯を別途用意したレーザーによりスキャンする。そして、光学部材により反射されたレーザーを検出することで、光学部材の配されている位置を座標として記録し、ホストコンピューターにそのデータを送る。この作業を繰り返して、被検出用磁石63の位置を座標データとして蓄積した後、例えば孔開け加工等を行う手段を用いても良い。
【0064】
(2)上記した実施形態では、着磁物位置検出ユニット10により被検出用磁石63の位置を検出した後、当該着磁物位置検出ユニット10を孔開けポンチ70に交換してスキン60に孔開け加工を行うものとしたが、例えばスタンプ等により検出位置をスキン60上に転写する手段を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すX軸垂直断面図
【図2】着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すY軸垂直断面図
【図3】着磁物位置検出ユニットに備わる磁石ホルダを支持する支持部の正面図
【図4】磁石ホルダの一端部に備わる変位表示部の正面図
【図5】着磁物位置検出ユニットに備わる姿勢表示部に取り付けられたマスク板の正面図
【図6】変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図
【図7】本発明の一実施形態に係る着磁物位置検出装置の概略構成を示す断面図
【図8】着磁物位置検出装置から着磁物位置検出ユニットを取り外した状態を示す断面図
【図9】リブに設けられたボルト孔の位置を検出可能とすべく被検出用磁石を取り付けた状態を示す断面図
【図10】スキン上で被検出用磁石の位置を探査中の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図
【図11】図10の着磁物位置検出装置のY軸垂直断面図
【図12】図10の着磁物位置検出装置の姿勢表示部における変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図
【図13】スキン上で被検出用磁石の位置検出を完了した状態の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図
【図14】図13の着磁物位置検出装置のY軸垂直断面図
【図15】着磁物位置検出装置に孔開けポンチが取り付けられた状態を示す断面図
【符号の説明】
【0066】
10…着磁物位置検出ユニット、11…筐体(支持フレーム)、20…磁石ホルダ、21…磁石、22…変位表示部、23…点模様、24…環状模様、25…支点、31…第1軸受部、32…第2軸受部、40…姿勢表示部、41…マスク板、42…透視孔(指標部)、43a,43b,43c,43d…三角孔(方向指示透視孔)、44…レンズ、50…着磁物位置検出装置、51…本体、52…取付孔、53…固定機構(固定手段)、54…吸盤、59…吸引口(吸引機構)、60…スキン(障害物)、63…被検出用磁石(着磁物)、70…孔開けポンチ(ポンチ治具)
【技術分野】
【0001】
本発明は、着磁物位置検出ユニット、及びこれにより検出した位置を対象物上において示す着磁物位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば大型飛行機の主翼は、翼幅方向に延びる複数本のスパーに、これと直交する方向のリブが組み合わされ、そのリブの上下に複数枚のスキン(外板)が取り付けられる。スキンをリブに固定する工程では、リブとスキンとを所定位置に配置した後、スキンのうちリブに設けられた孔と同軸上の部位を特定する。この同軸上の部位は、一般にスキン及びリブの断面方向から目視等によって特定される。そして、特定した部位に孔を開け、スキン及びリブに設けた孔にボルト等を挿通して両者を固定するのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、主翼のスキン材料として、軽量かつ高耐久性のCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)が選択されるようになり、片翼の上下のスキンをそれぞれ一枚板で成形することが可能となっている。このような大型のスキンの場合には、リブを配する部位に人が近づくことができない場合があり、スキンに孔を開ける部位をリブ及びスキンの断面方向から目視にて特定することが困難となり、スキンへの孔開け位置の特定に苦慮するという事情がある。かかる事情に対処すべく、例えば下記特許文献1のように大型・高精度の工作機械を使用するシステムも考えられている。
【特許文献1】特表2000−506816公報
【0004】
しかしながら、上述のシステムでは極めて大規模になってしまうため、スキンが障害となることで視認することができないリブの孔の位置を簡便な方法で検出することが要望されている。その解決手段として、一組の磁石を用いる探査方法が考えられる。すなわち、一の磁石をリブの孔に配し、この磁石と磁性的に引き合う磁石をスキン側で揺動可能に吊り下げることにより、吊り下げられた磁石が指向する側にリブの孔が存するというものである。しかしながら、このような手段では、リブの孔の大まかな位置を特定することはできるものの、通常、飛行機の主翼の組立て工程で要求される0.5mm程度の精度で検出することはできず、検出精度の向上が必要であった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、非磁性材製の障害物によって視認不能とされる着磁物の位置を、障害物越しに簡単かつ正確に検出する着磁物位置検出ユニットを提供することを目的とする。また、そのような着磁物位置検出ユニットにより検出された位置を、障害物上に示すことが可能な着磁物位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の着磁物位置検出ユニットは、非磁性材製の障害物によって隠された部位にある着磁物の位置を、前記障害物越しに検出するための着磁物位置検出ユニットであって、一端側に前記着磁物と磁気的に引き合う磁石を備えた磁石ホルダと、この磁石ホルダをその重心位置を支点として揺動可能に支持する支持フレームと、前記磁石ホルダの前記磁石とは反対側の端部に設けられた変位表示部と前記支持フレーム側に設けられた指標部との相対的な位置関係によって前記磁石ホルダの前記支点を中心とした揺動姿勢を表示する姿勢表示部とを備えてなることを特徴とする。
【0007】
このような構成の着磁物位置検出ユニットを障害物上に配すると、磁石ホルダの一端側に備わる磁石と着磁物とが障害物越しに引き合うため、磁石ホルダの当該端部は着磁物の方向に指向する動きを生じる。そのため、当該着磁物位置検出ユニットを障害物上を移動させて磁石ホルダに設けられた磁石と着磁物との間の距離を異ならせると、揺動可能に支持されている磁石ホルダがその支点を中心にして揺動することでその姿勢が変化することとなる。この磁石ホルダの姿勢変化は、磁石ホルダの磁石とは反対側の端部に設けられた変位表示部と支持フレーム側の指標部とからなる姿勢表示部により認識することができる。そこで、姿勢表示部を見ながら着磁物位置検出ユニットを動かして、磁石と着磁物との間の距離が最小となる磁石ホルダの揺動姿勢をとらせると、そのときの磁石から障害物に延ばした垂線上に着磁物が配されていることになる。
【0008】
さらに、磁石ホルダはその重心を支点として揺動可能に支持されているため、例えば障害物が傾斜面をなす場合にも、重力の影響を解消することができ、障害物によって隠された部位にある着磁物の位置を正確かつ容易に検出することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る着磁物位置検出ユニットにおいて、前記磁石ホルダは、当該磁石ホルダをX軸を中心に揺動可能に支持する第1軸受部と、当該第1軸受部を前記X軸と直交するY軸を中心に揺動可能に支持する第2軸受部とにより支持されているものとすることができる。
【0010】
このような構成によれば、第1軸受部と第2軸受部とにおける磁石ホルダの揺動可能方向の組合せにより、当該磁石ホルダは両軸受部により支持されている点を中心として、あらゆる方向に傾斜した姿勢をとることが可能となる。これにより、当該着磁物位置検出ユニットに対して着磁物がいかなる方向に配されている場合にも、磁石ホルダの端部に備わる磁石は当該磁石ホルダの揺動姿勢の変化を伴って、着磁物の方向を指向することが可能となる。
【0011】
また、前記支持フレームには前記変位表示部に対応してマスク板が設けられ、前記変位表示部は前記磁石ホルダに設けられた点模様であり、前記指標部は前記マスク板に形成され前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記点模様を覗き見ることが可能な透視孔であり、前記姿勢表示部には前記マスク板の前記透視孔部分を拡大するレンズが設けられているものとすることができる。
【0012】
この場合、マスク板に設けた透視孔を見ながら当該着磁物位置検出ユニットを障害物上で移動させて、透視孔から磁石ホルダに形成された点模様が確認されたら、その位置で当該着磁物位置検出ユニットを止める。すると、そのときの磁石から障害物に延ばした垂線上に着磁物が配されていることとなる。さらに、支持フレームに設けられたレンズにより透視孔が拡大して表示されるため、透視孔と点模様とが正確に一致したことを確認することができ、着磁物の配された位置を正確に検出することが可能となる。
【0013】
また、前記変位表示部はさらに前記点模様を中心とする環状模様を含み、前記マスク板には、その中心で交わる直交軸上に互いに独立した4つの方向指示透視孔が形成され、前記各方向支持透視孔は、前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記環状模様に沿った周上に配されているものとすることができる。
【0014】
このような構成によれば、磁石と着磁物との相対的な位置関係により、マスク板のそれぞれの方向指示透視孔から確認される環状模様の態様が異なることとなる。例えば、当該着磁物位置検出ユニットを障害物上に配したときに、磁石と着磁物とが最短距離となっていない場合には、マスク板の方向指示透視孔のうち1ないし2個の方向指示透視孔からは環状模様が確認され、残りの方向指示透視孔からは環状模様が確認されない場合がある。この場合、着磁物位置検出ユニットを、環状模様が確認された方向指示透視孔の配置されている方向へ移動させれば、磁石と着磁物との距離が近づいていくこととなり、それぞれの方向指示透視孔から確認される環状模様の態様が変化していく。そして、すべての方向指示透視孔から確認される環状模様の態様が同一となった位置、又はすべての方向指示透視孔において環状模様が確認されなくなった位置で、当該着磁物位置検出ユニットを止めると、そのときの磁石から障害物に延ばした垂線上に着磁物が配されていることとなる。
【0015】
次に、上記課題を解決するために、本発明の着磁物位置検出装置は、着磁物位置検出ユニットにより検出した前記着磁物の位置を前記障害物上に示す着磁物位置検出装置であって、前記着磁物位置検出ユニットと、当該着磁物位置検出ユニットが脱着可能に取り付けられる取付孔を有する本体と、を備え、前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合には、前記取付孔を通じて前記障害物の表面が露出することを特徴とする。
【0016】
上記構成の着磁物位置検出装置によれば、まず着磁物位置検出ユニットを取り付けた状態で障害物上を動かして着磁物の位置を検出した後、着磁物位置検出ユニットを本体から取り外すことにより、本体の取付孔を通じて障害物の表面が露出することとなる。ここで、例えば着磁物位置検出ユニットにおいて、磁石と着磁物との間の距離が最小となるときの当該磁石の位置を、本体の取付孔の中心となるようにすることができる。すると、着磁物位置検出ユニットを本体から取り外した後、取付孔を通じて露出する障害物の表面において、その中心から延びる垂線上に着磁物が配されていることを指し示していることとなる。このように、障害物越しに着磁物の位置を示す指標を形成することができ、この指標により当該着磁物の位置に対して所望の処理を行うことが可能となる。
【0017】
また、前記本体には、当該本体のうち前記障害物と相対する側に配置された吸盤と、前記吸盤内の空気を吸引するための吸引機構とからなる固定手段が設けられているものとすることができる。
【0018】
この場合、着磁物の位置を検出した後、本体に備わる固定手段により当該着磁物位置検出装置を障害物上に固定することにより、例えば人が把持している場合に比して、当該本体と障害物との間の位置ずれが生じ難く、着磁物の検出位置を正確に示すことが可能となる。さらに、当該固定手段を吸盤構造という簡便な構成とすることにより、当該着磁物位置検出装置を大掛かりな装置とする必要がなく、取扱い性に優れたものとすることが可能となる。
【0019】
また、前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合に、当該着磁物位置検出ユニットと交換取り付け可能なポンチ治具を有し、当該ポンチ治具は、前記着磁物の検出位置を転写ないし加工するユニットを備えるものとすることができる。
【0020】
このような構成によれば、着磁物位置検出ユニットを取り付けた状態で着磁物の位置を検出した後、当該着磁物位置検出ユニットを取り外してポンチ治具と交換することができる。これにより、検出位置のずれを生じることなく、障害物上に示された検出位置を当該障害物上に転写したり、当該障害物上に例えば孔開け等の加工をしたりすることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、非磁性材製の障害物によって視認不能とされる着磁物の位置を、障害物越しに簡単かつ正確に検出することが可能となる。さらに、検出した位置を障害物上に示すことで、当該位置に対して所望の処理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
まず本実施形態に係る着磁物位置検出ユニットの構造について、図1ないし図6を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すX軸垂直断面図、図2は着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すY軸垂直断面図、図3は着磁物位置検出ユニットに備わる磁石ホルダを支持する支持部の正面図、図4は磁石ホルダの一端部に備わる変位表示部の正面図、図5は着磁物位置検出ユニットに備わる姿勢表示部に取り付けられたマスク板の正面図、図6は変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図である。
【0023】
着磁物位置検出ユニット10は、図1及び図2に示すように、アルミ製の有底筒状をなす筐体(支持フレーム)11と、筐体11の内部に配される磁石ホルダ20と、磁石ホルダ20を揺動可能に支持する支持部30と、筐体11の上部に配され磁石ホルダの姿勢を表示する姿勢表示部40とから構成されている。
【0024】
磁石ホルダ20は、全体としてアルミ製の棒状体であり、一方の端部には磁石21が嵌め込まれ、当該磁石21は一方の端面が露出する態様とされている。また、磁石ホルダ20のうち、磁石21が嵌め込まれた側とは反対側の端部には、当該磁石ホルダ20より大径とされ上に凸をなす球面板状の変位表示部22が取り付けられている。
【0025】
変位表示部22は、図3に示すように、その中心に点模様23が形成され、さらにその周囲には当該点模様23を中心とした幅広の環状模様24が形成されている。本実施形態では、これら点模様23及び環状模様24は橙蛍光色を呈しており、明度が高く視認し易いものとされている。
【0026】
かかる磁石ホルダ20は、筐体11の円形断面の中心において、磁石21が嵌め込まれた側を下方にした状態で、その重心位置を支持部30により支持されており、当該重心位置を支点25として揺動可能とされている(図1参照)。
【0027】
支持部30は、図4に示すように、第1軸受部31と、当該第1軸受部31をさらに外側から支持する第2軸受部32とからなる。第1軸受部31には、磁石ホルダ20をX軸方向に貫通する棒状の第1軸部33が設けられている。第1軸部33の両端部は尖形形状をなし、磁石ホルダ20の側面から突出している。磁石ホルダ20において第1軸部33が設けられた部位の周囲には、わずかな空隙を開けて中間リング34が設けられている。この中間リング34のうち、第1軸部33の両端部と対向する部位には第1軸受ネジ35a,35bが取り付けられており、第1軸部33の両端部と第1軸受ネジ35a、35bの端面とは点接触した状態とされている。この第1軸受部31により、磁石ホルダ20はX軸を中心に揺動可能とされている。
【0028】
一方、第1軸受部31の中間リング34には、上記した第1軸部33と直交するY軸上に2本の第2軸部36a,36bが設けられている。各第2軸部36a,36bのうち、中間リング34の外側に位置する端部は尖形形状をなし、中間リング34の側面から突出している。この中間リング34の周囲には、わずかな空隙を開けて筐体11の内壁から延出した外周リング37が設けられている。この外周リング37のうち、第2軸部36a,36bの端部と対抗する部位には第2軸受ネジ38a,38bが取り付けられており、中間リング34から突出した第2軸部36a,36bの一端部と第2軸受ネジ38a,38bの端面とは点接触した状態とされている。上記した第2軸部36a,36b、第2軸受ネジ38a,38b、及び外周リング37により第2軸受部32が構成され、当該第2軸受部32により、磁石ホルダ20はY軸を中心に揺動可能とされている。
【0029】
これら第1軸受部31及び第2軸受部32における磁石ホルダ20の揺動可能な方向の組合せにより、当該磁石ホルダ20は両軸受部31,32により支持されている点を中心として、あらゆる方向に傾斜した姿勢をとることが可能となっている。
【0030】
磁石ホルダ20の上端部に設けられた変位表示部22と対向するようにして、上に凸の球面板状をなす遮光性のマスク板41が取り付けられている(図1参照)。マスク板41には、図5に示すように、その中心に円形形状の透視孔(指標部)42が穿設されている。この透視孔42は、磁石ホルダ20の変位表示部22に形成された点模様23の径と同一の寸法とされている。また、マスク板41の上方には、凸レンズ44が取り付けられており、凸レンズ44の上方から覗いた場合には、透視孔42が拡大表示されることとなる。
【0031】
磁石ホルダ20の揺動姿勢は、この固定された透視孔42と、揺動姿勢に伴って位置変化する変位表示部22との相対的な位置関係により姿勢表示部40として確認することができる。本実施形態では、透視孔42と変位表示部22の点模様23との位置関係は、磁石ホルダ20が後述する被検出用磁石63と磁石21とが最短距離となる揺動姿勢をとったときには、図6に示すように、当該透視孔42から点模様23を覗き見ることが可能なものとされている。
【0032】
さらに、マスク板41には、透視孔42を中心とした円周上に4つの三角孔(方向指示透視孔)43が設けられている。より具体的には、図5に示すように、マスク板41の表面に沿って、当該マスク板41の中心で交わる直交軸上に、それぞれX1方向にX1三角孔43a、X2方向にX2三角孔43b、Y1方向にY1三角孔43c、Y2方向にY2三角孔43dが配されており、それぞれ一頂点が外側に指向している。この4つの三角孔43のそれぞれの最外部を結んだ仮想円の直径D2は、磁石ホルダ20の変位表示部22に形成された環状模様24の内周円の直径D1(図3参照)と同一かそれよりも僅かに小さい寸法とされている。そして、磁石ホルダ20が後述する被検出用磁石63と磁石21とが最短距離となる揺動姿勢をとったときには、図6に示すように、環状模様24が三角孔43の外側に位置することとなり、当該三角孔43から環状模様24を確認することができない構成とされている。
【0033】
次に、上記した着磁物位置検出ユニット10を備える着磁物位置検出装置50について、図7及び図8を用いて説明する。
図7は本実施形態に係る着磁物位置検出装置の概略構成を示す断面図、図8は着磁物位置検出装置から着磁物位置検出ユニットを取り外した状態を示す断面図である。
【0034】
着磁物位置検出装置50は、図7に示すように、着磁物位置検出ユニット10と、これが嵌め込まれる本体51とから構成されている。本体51は、底面側が開口した略箱状をなし、その上面のほぼ中央には底面へ貫通する取付孔52が穿設されている。着磁物位置検出ユニット10は、磁石21が取り付けられた側を本体51の底面側に向けた状態で取付孔52に挿着されている。すなわち、当該着磁物位置検出装置50は、その底面側に着磁物位置検出ユニット10の底面が露出した構成とされている。なお、着磁物位置検出ユニット10は、図8に示すように、本体51の取付孔52から上方に取り外し可能な構成とされている。この場合、本体51をその上面側から見ると、取付孔52を通じて、当該着磁物位置検出装置50が載置された対象物の表面が視認可能(露出した状態)となる。
【0035】
さらに、本体51のうち取付孔52を挟む形で、当該本体51を対象物に固定するための固定機構53が2つ設けられている(図7参照)。固定機構53には、本体51の底面側の開口を通じて露出し、本体51を対象物に吸着固定する吸盤54が備わっている。吸盤54の上面には吸盤支持シャフト55が取り付けられ、当該吸盤支持シャフト55は本体51の上面に設けられたシャフト挿通孔56を通じて本体51の上面側に突出している。吸盤支持シャフト55の上端部には円盤状の本体固定用ボタン57が取り付けられ、本体固定用ボタン57と本体51の上面との間には、当該吸盤支持シャフト55の昇降を弾性変形を伴って許容するスプリング58が間在している。
【0036】
また、吸盤支持シャフト55の内部には、吸盤54の上面から当該吸盤支持シャフト55の側面まで貫通する吸引路59aが設けられている。当該吸引路59aは、吸盤支持シャフト55の側面に取り付けられた吸引口(吸引機構)59に繋がっている。
【0037】
続いて、本実施形態に係る着磁物位置検出装置50の使用方法を図9ないし図15を用いて説明する。本実施形態では特に、大型飛行機の主翼の組立工程のうちスキン(外板)とリブとを固定する工程で、当該着磁物位置検出装置50を使用する方法を例示する。
図9はリブに設けられたボルト孔の位置を検出可能とすべく被検出用磁石を取り付けた状態を示す断面図、図10はスキン上で被検出用磁石の位置を探査中の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図、図11は図10の着磁物位置検出装置のY軸垂直断面図、図12は図10の着磁物位置検出装置の姿勢表示部における変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図、図13はスキン上で被検出用磁石の位置検出を完了した状態の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図、図14は図13の着磁物位置検出装置のY軸断面図、図15は着磁物位置検出装置に孔開けポンチが取り付けられた状態を示す断面図である。
【0038】
非磁性材たるCFRP製のスキン60の長手方向所定位置には、図9に示すように、当該スキン60と対向配置されたスキン(図示せず)とを連結固定するリブ61が配されている。リブ61は、スキン60と接触する板面61aと、当該板面61aから垂直に延びる支柱部61bとからなる。板面61aの所定部位には、ボルト等を挿通するための固定孔62が穿設されている。固定孔62の下方(スキン60とは反対側)には、被検出用磁石(着磁物)63が嵌め込まれたフランジ64が取り付けられている。被検出用磁石63は、着磁物位置検出ユニット10に備わる磁石21と磁気的に引き合うものとされており、固定孔62の直下、すなわち固定孔62の軸線の延長線上に配されている。
【0039】
本実施形態に係る着磁物位置検出装置50は、上記した被検出用磁石63の配された位置を検出することで、その直上の固定孔62の位置を特定するものである。まず、着磁物位置検出装置50において、吸盤54を本体51の最下端部(着磁物位置検出ユニット10の最下端部)よりもやや持ち上げた状態とした上で、吸引口59に例えば真空ポンプ(図示せず)を接続して吸引動作を行う。この場合、着磁物位置検出装置50をスキン60に載置しても、吸盤54はスキン60とは接触しない状態とされているため、当該着磁物位置検出装置50はその位置に固定されることなく、自由に移動させることができる。
【0040】
当該着磁物位置検出装置50を、図10及び図11に示すように、スキン60の上面において、おおよそリブ61の固定孔62(被検出用磁石63)と重畳する位置に配する。すると、着磁物位置検出装置50に取り付けられた着磁物位置検出ユニット10において、磁石ホルダ20の先端に取り付けられた磁石21がスキン60及びリブ61の板面61a越しに被検出用磁石63と磁気的に引き合う。ここで、磁石ホルダ20は支点25を中心として揺動可能に支持されているため、当該磁石ホルダ20の磁石21を備える側の端部は被検出用磁石63の方向に指向する揺動姿勢をとることとなる。
【0041】
このときの磁石ホルダ20の揺動姿勢を、着磁物位置検出ユニット10の上端側の姿勢表示部40において確認すると、図12に示すような態様となっている。すなわち、図10において着磁物位置検出装置50が被検出用磁石63に対してX1方向に位置ずれしていることにより、変位表示部22がマスク板41に対して相対的にX1方向に位置ずれする。これにより、変位表示部22の環状模様24の一部が、マスク板41のX2三角孔43bにより確認されることとなる。一方、図11において着磁物位置検出装置50が被検出用磁石63に対してY1方向に位置ずれしていることにより、変位表示部22がマスク板41に対して相対的にY1方向に位置ずれする。これにより、変位表示部22の環状模様24の一部が、マスク板41のY2三角孔43dにより確認されることとなる。
【0042】
そこで、環状模様24が確認されたX2三角孔43b及びY2三角孔43dの配置されている方向へ着磁物位置検出装置50を移動させていく。すると、磁石21と被検出用磁石63との間の距離が小さくなることで磁石ホルダ20が直立に近い揺動姿勢をとるように変化し、X2三角孔43b及びY2三角孔43dから視認される環状模様24の割合が徐々に減少していく。
【0043】
そして、全ての三角孔43a,43b,43c,43dから環状模様24が視認されなくなり、かつ、変位表示部22の点模様23がマスク板41の透視孔42から視認される状態となったとき(図6に示す状態)、その位置で着磁物位置検出装置50の移動を停止する。すると、当該着磁物位置検出装置50と、被検出用磁石63との相対的な位置関係は、図13及び図14に示す状態となっている。すなわち、着磁物位置検出ユニット10に備わる磁石ホルダ20は、磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となる揺動姿勢をとっており、この磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が存するという位置関係になっている。このようにして、被検出用磁石63の配された位置、すなわちリブ61に設けられた固定孔62の位置を、スキン60越しに検出することができるのである。
【0044】
上記のようにして被検出用磁石63の位置検出を完了したら、その位置で着磁物位置検出装置50の本体固定用ボタン57を吸盤支持シャフト55の軸線方向に押し込む。すると、吸盤支持シャフト55が下降し、これに伴い吸盤54もスキン60の表面に接触するまで下降することとなる。吸盤54内は常に吸引口59から吸引されているため、当該吸盤54とスキン60との間で吸着力が生じ、本体51はスキン60上に固定されることとなる。これにより、被検出用磁石63の位置検出後、当該被検出用磁石63と、着磁物位置検出装置50との位置ずれを抑止することができるのである。
【0045】
続いて、スキン60にボルトを挿通するための孔を開ける作業に移行する。まず、本体51の取付孔52から着磁物位置検出ユニット10を取り外し、その取付孔52に、図15に示すように、孔開けポンチ70を取り付ける。この孔開けポンチ70の外径は着磁物位置検出ユニット10の外径と同一とされており、さらに、当該孔開けポンチ70の中心には孔開けユニット71が取り付けられている。この孔開けユニット71を上方から押圧することにより、スキン60のうちリブ61の固定孔62と重畳する位置に、所望の孔を開けることができる。
【0046】
最後に、吸引口59に接続された真空ポンプの吸引を停止する。すると、吸盤54とスキン60との間の吸着力が解消され、スプリング58の弾性回復力により本体固定用ボタン57が押し上げられることで、吸盤54が上方へ引き上げられる。これにより本体51をスキン60から取り外すことができ、その後スキン60とリブ61とをボルトで固定することが可能となる。
【0047】
以上、本実施形態に係る着磁物位置検出ユニット10、及びこれを備える着磁物位置検出装置50は、以下のような作用効果を奏する。
本実施形態に係る着磁物位置検出ユニット10は、一端側に被検出用磁石63と磁気的に引き合う磁石21を備えた磁石ホルダ20と、この磁石ホルダ20をその重心位置を支点25として揺動可能に支持する筐体11と、磁石ホルダ20の磁石21とは反対側の端部に設けられた変位表示部22と筐体11側の指標部42との相対的な位置関係によって磁石ホルダ20の揺動姿勢を表示する姿勢表示部40を備えている。
【0048】
このような構成の着磁物位置検出ユニット10を、スキン60のうち被検出用磁石63とは反対側の面に配すると、磁石ホルダ20の一端側に備わる磁石21と被検出用磁石63とがスキン60越しに引き合うため、磁石ホルダ20の当該端部は被検出用磁石63に指向する動きを生じる。そのため、当該着磁物位置検出ユニット10をスキン60上を移動させて磁石ホルダ20に設けられた磁石21と被検出用磁石63との間の距離を異ならせると、揺動可能に支持されている磁石ホルダ20がその支点25を中心にして揺動することでその姿勢が変化することとなる。この磁石ホルダ20の姿勢変化は、磁石ホルダ20の磁石21とは反対側の端部に設けられた変位表示部22と筐体11側の指標部42とからなる姿勢表示部40により認識することができる。そこで、姿勢表示部40を見ながら着磁物位置検出ユニット10を動かして、磁石21と被検出用磁石63との間の距離が最小となる磁石ホルダ20の揺動姿勢をとらせると、そのときの磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が配されていることになる。
【0049】
さらに、磁石ホルダ20はその重心を支点25として揺動可能に支持されているため、例えばスキン60が傾斜面をなす場合にも、重力の影響を解消することができる。このように、本発明の着磁物位置検出ユニット10によれば、非磁性材製のスキン60の形状を気にすることなく、当該スキン60によって隠された部位にある被検出用磁石63の位置を、簡単かつ正確に検出することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、磁石ホルダ20は、当該磁石ホルダ20をX軸を中心に揺動可能に支持する第1軸受部31と、当該第1軸受部31を前記X軸と直交するY軸を中心に揺動可能に支持する第2軸受部32とにより支持されている。
【0051】
上記構成によれば、第1軸受部31と第2軸受部32とにおける磁石ホルダ20の揺動可能方向の組合せにより、当該磁石ホルダ20は両軸受部31,32により支持されている点を中心として、あらゆる方向に傾斜した姿勢をとることが可能となる。これにより、当該着磁物位置検出ユニット10に対して被検出用磁石63がいかなる方向に配されている場合にも、磁石ホルダ20の端部に備わる磁石21は当該磁石ホルダ20の揺動姿勢の変化を伴って、被検出用磁石63の方向を指向することができ、当該被検出用磁石63の配されている位置を検出することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、筐体11上部には変位表示部22に対応して遮光性のマスク板41が設けられ、磁石ホルダ20の変位表示部22には点模様23が形成され、マスク板41には磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となるときの磁石ホルダ20の揺動姿勢において点模様23を覗き見ることが可能な透視孔42が形成され、姿勢表示部40にはマスク板41の透視孔42を拡大するレンズ44が設けられている。
【0053】
この場合、マスク板41に設けた透視孔42を覗きながら当該着磁物位置検出ユニット10をスキン60上で移動させて、透視孔42から磁石ホルダ20に形成された点模様23が確認されたら、その位置で当該着磁物位置検出ユニット10を止める。すると、そのときの磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が配されていることとなる。さらに、透視孔42がレンズ44により拡大して表示されるため、透視孔42と点模様23とが正確に一致したことを確認することができ、被検出用磁石63の配された位置を正確に検出することが可能となる。
【0054】
特に、本実施形態では、変位表示部22として点模様23を中心とする環状模様24がさらに形成され、マスク板41には、その中心で交わる直交軸上に互いに独立した4つの三角孔43a,43b,43c,43dが形成され、これら三角孔43a,43b,43c,43dの最外部は、磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となる揺動姿勢を磁石ホルダ20がとったときに環状模様24の内周と重畳するものとされている。
【0055】
このような構成によれば、各三角孔43a,43b,43c,43dから確認される環状模様24の態様により、磁石21と被検出用磁石63との相対的な位置関係が示され、着磁物位置検出ユニット10を移動させるべき方向が示されることとなる。磁石21と被検出用磁石63とが最短距離となっていない場合には、マスク板41の各三角孔43a,43b,43c,43dのうち1ないし2個の三角孔からは環状模様24が確認され、残りの三角孔からは環状模様24が確認されない。この場合、着磁物位置検出ユニット10を、環状模様24が確認された三角孔の配置されている方向へ移動させれば、磁石21と被検出用磁石63との距離が近づいていくこととなり、三角孔から確認される環状模様24の態様が変化していく。そして、すべての三角孔43a,43b,43c,43dから環状模様24が確認されなくなった位置で、当該着磁物位置検出ユニット10を止めると、そのときの磁石21からスキン60に延ばした垂線上に被検出用磁石63が配されていることとなる。
【0056】
また、本実施形態に係る着磁物位置検出装置50は、上記した着磁物位置検出ユニット10と、当該着磁物位置検出ユニット10が脱着可能に取り付けられる取付孔52を有する本体51と、を備え、着磁物位置検出ユニット10を取り外した場合には、取付孔52を通じてスキン60の表面が露出するものとされている。
【0057】
上記構成の着磁物位置検出装置50によれば、まず着磁物位置検出ユニット10を取り付けた状態でスキン60上を動かして被検出用磁石63の位置を検出した後、着磁物位置検出ユニット10を本体から取り外すことにより、本体51の取付孔52を通じてスキン60の表面が露出することとなる。ここで、特に本実施形態では、着磁物位置検出ユニット10において、磁石21と被検出用磁石63との間の距離が最小となるときの当該磁石21の位置を、本体51の取付孔52の中心となるようにしている。そのため、着磁物位置検出ユニット10を本体51から取り外した後、取付孔52を通じて露出するスキン60の表面において、その中心から延びる垂線上に被検出用磁石63が配されていることを指し示していることとなる。このように、スキン60越しに被検出用磁石63の位置を示す指標を形成することができ、この指標により当該被検出用磁石63の位置に対して所望の処理を行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、本体51には、当該本体51のうちスキン60と相対する側に配置された吸盤54と、吸盤54内の空気を吸引するための吸引口59とからなる固定機構53が設けられている。
【0059】
この場合、被検出用磁石63の位置を検出した後、本体51に備わる固定機構53により当該着磁物位置検出装置50をスキン60上に固定することにより、例えば人が把持している場合に比して、当該本体51とスキン60との間の位置ずれが生じ難く、被検出用磁石63の検出位置を正確に示すことが可能となる。さらに、当該固定機構53を吸盤54構造という簡便な構成とすることにより、当該着磁物位置検出装置50を大掛かりな装置とする必要がなく、取扱い性に優れたものとすることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態では、着磁物位置検出ユニット10を取り外した場合に、当該着磁物位置検出ユニット10と交換取り付け可能な孔開けポンチ70を有している。
【0061】
このような構成によれば、着磁物位置検出ユニット10を取り付けた状態で被検出用磁石63の位置を検出した後、当該着磁物位置検出ユニット10を取り外して孔開けポンチ70と交換することができる。これにより、検出位置のずれを生じることなく、スキン60上に示された検出位置に孔開け加工をすることが可能となる。
【0062】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記した実施形態では、着磁物位置検出ユニット10により被検出用磁石63の位置を検出した後、着磁物位置検出装置50を固定機構53により固定して検出位置の指標としたが、例えば以下のような手段も本発明に含まれる。着磁物位置検出ユニット10の上端部に光学部材を取り付けておき、被検出用磁石63の位置を検出した後、その一帯を別途用意したレーザーによりスキャンする。そして、光学部材により反射されたレーザーを検出することで、光学部材の配されている位置を座標として記録し、ホストコンピューターにそのデータを送る。この作業を繰り返して、被検出用磁石63の位置を座標データとして蓄積した後、例えば孔開け加工等を行う手段を用いても良い。
【0064】
(2)上記した実施形態では、着磁物位置検出ユニット10により被検出用磁石63の位置を検出した後、当該着磁物位置検出ユニット10を孔開けポンチ70に交換してスキン60に孔開け加工を行うものとしたが、例えばスタンプ等により検出位置をスキン60上に転写する手段を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すX軸垂直断面図
【図2】着磁物位置検出ユニットの概略構成を示すY軸垂直断面図
【図3】着磁物位置検出ユニットに備わる磁石ホルダを支持する支持部の正面図
【図4】磁石ホルダの一端部に備わる変位表示部の正面図
【図5】着磁物位置検出ユニットに備わる姿勢表示部に取り付けられたマスク板の正面図
【図6】変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図
【図7】本発明の一実施形態に係る着磁物位置検出装置の概略構成を示す断面図
【図8】着磁物位置検出装置から着磁物位置検出ユニットを取り外した状態を示す断面図
【図9】リブに設けられたボルト孔の位置を検出可能とすべく被検出用磁石を取り付けた状態を示す断面図
【図10】スキン上で被検出用磁石の位置を探査中の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図
【図11】図10の着磁物位置検出装置のY軸垂直断面図
【図12】図10の着磁物位置検出装置の姿勢表示部における変位表示部とマスク板との相対的な位置関係を説明する模式図
【図13】スキン上で被検出用磁石の位置検出を完了した状態の着磁物位置検出装置を示すX軸垂直断面図
【図14】図13の着磁物位置検出装置のY軸垂直断面図
【図15】着磁物位置検出装置に孔開けポンチが取り付けられた状態を示す断面図
【符号の説明】
【0066】
10…着磁物位置検出ユニット、11…筐体(支持フレーム)、20…磁石ホルダ、21…磁石、22…変位表示部、23…点模様、24…環状模様、25…支点、31…第1軸受部、32…第2軸受部、40…姿勢表示部、41…マスク板、42…透視孔(指標部)、43a,43b,43c,43d…三角孔(方向指示透視孔)、44…レンズ、50…着磁物位置検出装置、51…本体、52…取付孔、53…固定機構(固定手段)、54…吸盤、59…吸引口(吸引機構)、60…スキン(障害物)、63…被検出用磁石(着磁物)、70…孔開けポンチ(ポンチ治具)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性材製の障害物によって隠された部位にある着磁物の位置を、前記障害物越しに検出するための着磁物位置検出ユニットであって、
一端側に前記着磁物と磁気的に引き合う磁石を備えた磁石ホルダと、
この磁石ホルダをその重心位置を支点として揺動可能に支持する支持フレームと、
前記磁石ホルダの前記磁石とは反対側の端部に設けられた変位表示部と前記支持フレーム側に設けられた指標部との相対的な位置関係によって前記磁石ホルダの前記支点を中心とした揺動姿勢を表示する姿勢表示部とを備えてなる着磁物位置検出ユニット。
【請求項2】
前記磁石ホルダは、当該磁石ホルダをX軸を中心に揺動可能に支持する第1軸受部と、当該第1軸受部を前記X軸と直交するY軸を中心に揺動可能に支持する第2軸受部とにより支持されていることを特徴とする請求項1に記載の着磁物位置検出ユニット。
【請求項3】
前記支持フレームには前記変位表示部に対応してマスク板が設けられ、前記変位表示部は前記磁石ホルダに設けられた点模様であり、前記指標部は前記マスク板に形成され前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記点模様を覗き見ることが可能な透視孔であり、前記姿勢表示部には前記マスク板の透視孔部分を拡大するレンズが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の着磁物位置検出ユニット。
【請求項4】
前記変位表示部はさらに前記点模様を中心とする環状模様を含み、前記マスク板には、その中心で交わる直交軸上に互いに独立した4つの方向指示透視孔が形成され、
前記各方向支持透視孔は、前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記環状模様に沿った周上に配されていることを特徴とする請求項3に記載の着磁物位置検出ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の着磁物位置検出ユニットにより検出した前記着磁物の位置を前記障害物上に示す着磁物位置検出装置であって、
前記着磁物位置検出ユニットと、当該着磁物位置検出ユニットが脱着可能に取り付けられる取付孔を有する本体と、を備え、
前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合には、前記取付孔を通じて前記障害物の表面が露出することを特徴とする着磁物位置検出装置。
【請求項6】
前記本体には、当該本体のうち前記障害物と相対する側に配置された吸盤と、前記吸盤内の空気を吸引するための吸引機構とからなる固定手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の着磁物位置検出装置。
【請求項7】
前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合に、当該着磁物位置検出ユニットと交換取り付け可能なポンチ治具を有し、当該ポンチ治具は、前記着磁物の検出位置を転写ないし加工するユニットを備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の着磁物位置検出装置。
【請求項1】
非磁性材製の障害物によって隠された部位にある着磁物の位置を、前記障害物越しに検出するための着磁物位置検出ユニットであって、
一端側に前記着磁物と磁気的に引き合う磁石を備えた磁石ホルダと、
この磁石ホルダをその重心位置を支点として揺動可能に支持する支持フレームと、
前記磁石ホルダの前記磁石とは反対側の端部に設けられた変位表示部と前記支持フレーム側に設けられた指標部との相対的な位置関係によって前記磁石ホルダの前記支点を中心とした揺動姿勢を表示する姿勢表示部とを備えてなる着磁物位置検出ユニット。
【請求項2】
前記磁石ホルダは、当該磁石ホルダをX軸を中心に揺動可能に支持する第1軸受部と、当該第1軸受部を前記X軸と直交するY軸を中心に揺動可能に支持する第2軸受部とにより支持されていることを特徴とする請求項1に記載の着磁物位置検出ユニット。
【請求項3】
前記支持フレームには前記変位表示部に対応してマスク板が設けられ、前記変位表示部は前記磁石ホルダに設けられた点模様であり、前記指標部は前記マスク板に形成され前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記点模様を覗き見ることが可能な透視孔であり、前記姿勢表示部には前記マスク板の透視孔部分を拡大するレンズが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の着磁物位置検出ユニット。
【請求項4】
前記変位表示部はさらに前記点模様を中心とする環状模様を含み、前記マスク板には、その中心で交わる直交軸上に互いに独立した4つの方向指示透視孔が形成され、
前記各方向支持透視孔は、前記磁石と前記着磁物とが最短距離となるときの前記磁石ホルダの揺動姿勢において前記環状模様に沿った周上に配されていることを特徴とする請求項3に記載の着磁物位置検出ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の着磁物位置検出ユニットにより検出した前記着磁物の位置を前記障害物上に示す着磁物位置検出装置であって、
前記着磁物位置検出ユニットと、当該着磁物位置検出ユニットが脱着可能に取り付けられる取付孔を有する本体と、を備え、
前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合には、前記取付孔を通じて前記障害物の表面が露出することを特徴とする着磁物位置検出装置。
【請求項6】
前記本体には、当該本体のうち前記障害物と相対する側に配置された吸盤と、前記吸盤内の空気を吸引するための吸引機構とからなる固定手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の着磁物位置検出装置。
【請求項7】
前記着磁物位置検出ユニットを取り外した場合に、当該着磁物位置検出ユニットと交換取り付け可能なポンチ治具を有し、当該ポンチ治具は、前記着磁物の検出位置を転写ないし加工するユニットを備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の着磁物位置検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−174906(P2009−174906A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11506(P2008−11506)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(394015338)日本電子技術株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(394015338)日本電子技術株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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