説明

着脱式花器

【課題】所望の容器に装着して貯水空間を形成することで、水補給の手間を軽減することができ、かつ、成形が容易になると共に、運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能となり、さらに、生花の寿命を縮めることのないこと。
【解決手段】有底の外装容器50に装着し、支持脚からなる離間距離形成部40を外装容器50の底部50aに配置させることによって、外装容器50と不織布からなる導水部10に接続する吸水保持部20を収容するホルダ部30との離間距離を設け、外装容器50にホルダ部30の底部30aを外装容器50の底部50aから所定距離離して保持することで、外装容器50の底面との間に水Wを貯留する所定容積の貯水部空間Sを画成し、貯水部空間S内の水Wを導水部10から吸水保持部20に吸収させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の容器に装着して貯水空間を形成することで、水補給の手間を軽減することができる着脱式花器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、花器にセットされた発泡性合成樹脂、即ち、内部に細かな孔を無数に形成した多孔質の柔らかい物質であり、水にひたすと孔内に水を吸い上げる合成樹脂を発泡成形して作られる発泡性合成樹脂等に生花をアレンジして活けるフラワーアレンジメントが人気を集めており、このように花器にセットされた発泡性合成樹脂等を利用してアレンジされた生花は、通常、インテリヤ装飾として室内に配置される。
ところで、これら生花の鮮度を長い間保ち、また、その装飾効果を維持するために、発泡性合成樹脂等への頻繁な水補給は欠かせないものである。しかし、通常、水補給を行うのは人間であることから、うっかり忘れることがあったり外泊等で不可能なことがあったりする。また、頻繁に水補給を行うことは面倒である。
【0003】
そこで、水補給の手間を軽減することが可能なものとして、特許文献1に水タンク(貯水空間)を設けた花器が開示されている。特許文献1に記載の花器は、その内部が仕切板で区切られて2段構成となっており、仕切り板の下段を水タンクとし、上段に生花が挿入される吸水フォームが載置されるようになっている。また、仕切り板には、吸水紙が貫通する貫通孔が設けられている。よって、特許文献1に記載の花器によれば、予め水タンク内に水を貯留しておけば、吸水フォームに一定期間外部から水を補給しなくても、毛細管現象によって水タンク内に収容された水が吸水紙を介して吸水フォームに吸収されるため、吸水フォームへの水補給の手間を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−22290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の花器は、その内部を2段構造とするために、仕切板を組み込まなければならないので、その成形が複雑である。また、水タンクを設ける分だけ花器が大型になるため、購入店からの持ち帰りが不便となったり、生花を生け贈り物として宅急便(登録商標)等で送る場合において包装が大型になり運送代が高くなったりする場合がある。さらに、生花と共に花器もインテリヤ装飾として鑑賞されるにも関わらず、特許文献1に記載の花器によれば、その装飾がメーカー側で設定されることになるため、自分好みの意匠性の花器でない場合もある。
【0006】
また、特許文献1の記載によれば、水タンクに水を補給するのに、吸水フォームと花器の側壁との隙間から水を流し込む必要があり、このとき、流し込まれた水は上記仕切板の貫通孔から水タンク内に流れ込むため、必然的に吸水フォームを介することになる。よって、生花の切口から流出し吸水フォームに保持されていた有機物や上記隙間に溜まった埃等が外部から流し込まれた水と共に水タンク内に流れ込む可能性があり、水タンク内で細菌が大繁殖する恐れがある。このため、特許文献1に記載の花器においては、常に吸水フォームに水タンク内の水が新鮮な状態で供給されるとは限らず、細菌が大繁殖して汚れた水が吸水フォームに吸収される恐れがあるので、却って、生花の寿命を縮めてしまう可能性がある。また、場合によっては水タンク内から異臭を放つ可能性もある。なお、生花が挿し込まれた吸水フォームを持ち上げ水タンク内に直接水を流し込むことには、せっかくアレンジした生花が崩れてしまうため、無理がある。
また、仕切り板に注水穴を設け、注水穴にパイプを挿し、パイプを介して水タンク内に直接水を流し込む方法も開示されているが、別途パイプを用意しなければならず面倒である。さらに、一度に多量の水を水タンクに追加するのに、吸水フォームと花器の側壁との隙間から水を流し込む場合であっては吸水フォームを介さなければならないことから時間がかかり、また、パイプを介して注水穴に水を流し込む場合であっても注水穴の大きさが限られることからやはり時間がかかる。故に、特許文献1に記載の花器においては、水タンクへの水の補給に手間がかかる。
【0007】
そこで、本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、所望の容器に装着して貯水空間を形成することで、水補給の手間を軽減することができ、かつ、成形が容易になると共に、運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能となり、さらに、生花の寿命を縮めることのない着脱式花器の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る着脱式花器は、有底の外装容器に挿脱自在な着脱式花器であって、前記外装容器に装着し、離間距離形成部によって前記外装容器と導水部に接続する吸水保持部を収容するホルダ部との離間距離を設け、前記ホルダ部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持することで、前記外装容器の底面との間に水を貯留する所定容積の貯水部空間を画成したものであり、前記貯水部空間内の水を前記導水部から前記吸水保持部に吸水させるものである。
【0009】
ここで、上記導水部は、外装容器に収容された水、即ち、貯水部空間内に貯留する水を吸水するものであり、主に毛細管現象によって吸水できるものであればよく、通常、不織布、紐、金属繊維等が用いられる。
また、上記吸水保持部は、前記導水部に接続され前記導水部の水を吸い上げて保水し、かつ、生花を保持するものであり、生花の位置決めを可能とするものであって吸水機能を有し、かつ、生花への給水を可能とするものであればよく、例えば、発泡性合成樹脂、ゲル状の高分子ポリマー等を使用することができる。そして、この吸水保持部は、固形状、粉末状、粒子状、ゲル状等何れの形態のものであってもよい。なお、上記吸水保持部は、前記導水部の水を吸水できれば何れの位置で前記導水部と接続していてもよい。換言すれば、上記導水部は、上記吸水保持部の内部に配設されていてもよいし、上記吸水保持部の周囲部に配設されていてもよい。また、上記導水部と上記吸水保持部とは、同じ素材で構成されていてもよく、一体的に形成されていてもよい。
ところで、上記生花とは、本発明では、茎や枝をつけたままの切花、葉物、果実、種子等を含むものである。
【0010】
上記ホルダ部は、前記吸水保持部を収容すると共に、前記外装容器に挿脱自在なものであり、前記吸水保持部を収容できる構造であればよく、容器状またはフレーム状であってもよいし、また、突起等の係合手段や機械的に挿着する手段を介して収容してもよい。
そして、上記離間距離形成部は、前記外装容器と前記ホルダ部との離間距離を設けるものであり、前記ホルダ部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持することができるものであればよく、例えば、前記外装容器の底部に配置され、前記ホルダ部と一体または前記外装容器と一体に形成されていてもよいし、別体として前記ホルダ部または前記外装容器に取付けたものであってもよい。特に、前記ホルダ部及び前記外装容器と別体とする場合には複数の高さのものを用意することができる。
【0011】
請求項2の発明に係る着脱式花器の前記離間距離形成部は、前記ホルダ部から外周方向に延出したフランジであり、前記フランジによって前記ホルダ部を前記外装容器の上端に配置することで、前記ホルダ部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持するものである。
【0012】
請求項3の発明に係る着脱式花器の前記離間距離形成部は、前記ホルダ部の下端から下方向に突設した支持脚であり、前記支持脚によって前記ホルダ部を前記外装容器の底部に立設させることで、前記ホルダ部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持するものである。
【0013】
請求項4の発明に係る着脱式花器の前記離間距離形成部は、前記外装容器の底面から上方向に突設した支持脚であり、前記支持脚によって前記ホルダ部を前記外装容器の底部から上に配置することで、前記ホルダ部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持するものである。
【0014】
請求項5の発明に係る着脱式花器の前記吸水保持部は、その上面が凸曲面形状となっているものであり、前記生花の立体的装飾を容易にさせるものである。
なお、上記吸水保持部の上面を凸曲面形状とする方法は特に問われるものではなく、例えば、切削加工や成形加工によって上記吸水保持部の上面を凸曲面形状とすることができる。
【0015】
請求項6の発明に係る着脱式花器の前記ホルダ部は、一部分に貫通孔を設けた底部と当該底部の周縁に立設される側壁部とで構成され、上部開口を有する容器からなるものであり、その形態を容器状に形成することで、固形状、粉末状、粒子状、ゲル状等の形態の前記吸水保持部を機械的係合等に限らず収容可能としたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明に係る着脱式花器によれば、外装容器に収容された水を吸水する導水部に接続し、生花を保持する吸水保持部がホルダ部に収容されており、このホルダ部を有底の外装容器に装着し、離間距離形成部によって前記外装容器と前記吸水保持部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持することで、前記外装容器との間に水を貯留する所定容積の貯水部空間を画成する。
したがって、予め所定容量の水を収容した外装容器に装着して貯水部空間内に水を貯留しておけば、吸水保持部の水が生花によって吸水されたり、蒸発したりした場合であっても、貯水部空間内の水が毛細管現象によって導水部から吸水保持部に吸収されるため、吸水保持部への水補給の手間を軽減することができる。
【0017】
また、有底の外装容器にホルダ部を装着して貯水部空間を確保するため、成形が容易となる。特に、外装容器にホルダ部が挿脱自在とされるものであるから、所望の外装容器に装着して貯水部空間を確保することができ、それゆえ、購入店からの持ち帰りや宅配便等の運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能になる。
加えて、貯水部空間内に水を補給する場合、外装容器からホルダ部を取り外すことで、吸水保持部を介することなく外装容器内に直接水を補給でき、貯水部空間内の水が常に新鮮な状態で導水部を介して吸水保持部に吸収されることになる。故に、生花の寿命を縮めることはない。また、短時間で多量の水を外装容器の貯水部空間に補給することができ、貯水部空間への水補給にも手間がかからない。
【0018】
このようにして、所望の容器に装着して貯水空間を形成することで、水補給の手間を軽減することができ、かつ、成形が容易になると共に、運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能となり、さらに、生花の寿命を縮めることのない着脱式花器となる。
【0019】
請求項2の発明に係る着脱式花器によれば、前記離間距離形成部は、前記ホルダ部から外周方向に突出したフランジであるから、請求項1に記載の効果に加えて、底が深い前記外装容器にも対応できる。また、前記ホルダ部から外周方向に突出したフランジが前記外装容器の主に側壁部に接触することで、前記吸水保持部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持することになるため、前記貯水部空間を略密閉状態とすることができ、前記貯水部空間内の水の蒸発を防止することが可能となる。
【0020】
請求項3の発明に係る着脱式花器によれば、前記離間距離形成部は、前記ホルダ部の下端から下方向に突設した支持脚であるから、請求項1に記載の効果に加えて、開口が大きめの前記外装容器にも対応できる。
【0021】
請求項4の発明に係る着脱式花器によれば、前記離間距離形成部は、前記外装容器の底面から上方向に突設した支持脚であるから、請求項1に記載の効果に加えて、ホルダ部の移動が容易となり、生け花を他の個所で行い、それを特定の場所で一体化できる。
【0022】
請求項5の発明に係る着脱式花器によれば、前記吸水保持部は、その上面が凸曲面形状となっているから、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の効果に加えて、生花の立体的装飾が容易にできる。
【0023】
請求項6の発明に係る着脱式花器によれば、前記ホルダ部は、一部分に貫通孔を有する底部と当該底部の周縁に立設される側壁部とで構成される容器からなり、組み付けに前記吸水保持部及び前記ホルダ部相互間の高い寸法精度を必要とせず、また、固形状、粉末状、粒子状、ゲル状等の形態の前記吸水保持部を機械的係合等に限らずに前記吸水保持部を収容することができる。故に、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の効果に加えて、前記吸水保持部の前記ホルダ部への組み付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る着脱式花器の要部構成を示す分解斜視図及び本発明の実施の形態1に係る着脱式花器が挿入される外装容器の全体斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る着脱式花器を外装容器に挿入した状態を示す全体斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る着脱式花器を外装容器に挿入した状態を示す断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態2に係る着脱式花器を説明するための説明図であり、(a)は本発明の実施の形態2に係る着脱式花器の吸水保持部をホルダ部に挿入した状態を示す断面図、(b)はホルダ部からはみ出た部分の吸水保持部の上部周囲部を容器の開口縁部に向かって押圧変形して接触させた状態を示す断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態3に係る着脱式花器の要部構成を示す分解斜視図及び本発明の実施の形態3に係る着脱式花器が挿入される外装容器の全体斜視図である。
【図6】図6(a)は本発明の実施の形態3に係る着脱式花器を開口が小さめの外装容器に挿入した状態を示す全体斜視図である。図6(b)は本発明の実施の形態3に係る着脱式花器を開口が大きめの外装容器に挿入した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0026】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係る着脱式花器1の構成について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0027】
図1乃至図3に示すように、本実施の形態1に係る着脱式花器1は、水Wを吸収する帯状の不織布からなる導水部10と、導水部10に接続され、導水部10の水を吸水して保水し、かつ、生花Fを保持する逆円錐台形状の発泡性合成樹脂からなる吸水保持部20と、吸水保持部20を収容する容器としての逆円錐台形状のホルダ部30から延設された支持脚からなる離間距離形成部40とを有しており、有底の外装容器50に挿脱自在とされるものである。
なお、図1及び図3において、吸水保持部20に挿入保持される生花Fは省略されている。
【0028】
導水部10は、毛細管現象によって外装容器50に収容された水Wを吸水するものであり、本実施の形態1においては、後述するホルダ部30の底部30aに形成された貫通孔30cに挿入されている。そして、その一端側がホルダ部30の外部に配設され、その他端側がホルダ部30の内部に配設されて吸水保持部20に接続している。具体的には、ホルダ部30の内部に配設された側の導水部10は、ホルダ部30の底部30a上面に沿って配置され、その上に吸水保持部20が載置され、その吸水保持部20に接続している。なお、本実施の形態1においては、ホルダ部30の外部に配設された側の導水部10の長さ、即ち、ホルダ部30の底部30aの下面から下方に垂下している導水部10の突出長さは、後述の支持脚からなる離間距離形成部40の長さ(高さ)以上となるように設定されており、後述するように、本実施の形態1の着脱式花器1が外装容器50に挿入されて離間距離形成部40が外装容器50の底部50a上面に配置した際、ホルダ部30の外部に配設された側の導水部10が外装容器50の底部50a上面に接触するようになっている。
【0029】
吸水保持部20は、生花Fを保持するもので、生花Fの位置決めを行うものであり、本実施の形態1においては、発泡性合成樹脂で構成されている。そして、本実施の形態1においては、この吸水保持部20は、ホルダ部30の内部に挿設されており、その下面にてホルダ部30の底部30a上面に配置された導水部10に接続し、導水部10の水を吸い上げて保水自在になっている。なお、吸水保持部20としては、例えば、オアシス社製の「オアシス(登録商標)」や、東洋クオリティワン社製の商品名「PAO−F」等を用いることができるが、これらのものを用いた場合には、通常、予め十分に水を含んだ状態でホルダ部30の内部に挿入される。
【0030】
本実施の形態1のホルダ部30は、底部30aと底部30aに一体に形成され底部30aの周縁から上方に拡径するように立設されたテーパ状の側壁部30bとから構成されていて開口30Aを有しており、この底部30a上面及び側壁部30bの内壁面によって囲まれる内部空間に吸水保持部20を収容する容器となっている。
ここで、本実施の形態1においては、吸水保持部20がホルダ部30の内壁面形状に沿うように形成されている。このため、図3に示すように、本実施の形態1においては、ホルダ部30の内壁面には吸水保持部20の周壁面が接触している。
また、ホルダ部30の底部30aの一部分には、貫通孔30cが形成されていて、上述の如く、導水部10が挿入されている。
そして、本実施の形態1においては、ホルダ部30の底部30aから4つの支持脚からなる離間距離形成部40が下方向に突設している。
【0031】
支持脚からなる離間距離形成部40は、本実施の形態1の着脱式花器1を外装容器50に挿入した際に、外装容器50の底部50aに配置することで、外装容器50とホルダ部30との離間距離を設け、ホルダ部30の底部30aを外装容器50の底部50aから所定距離離して保持するものである。そして、本実施の形態1の離間距離形成部40は、切削容易な材料、具体的には、合成樹脂材料で構成されている。また、本実施の形態1において、この離間距離形成部40は、その下面が外装容器50の底部50aに面して本実施の形態1の着脱式花器1を安定して立設できるように、4つの支持脚で構成されている。
なお、本実施の形態1においては、ホルダ部30も離間距離形成部40と同一の、しかも連続した合成樹脂材料で一体的に形成されている。
【0032】
次に、上記のように構成された本実施の形態1の着脱式花器1の使用状態ついて、主に、図2及び図3を用いて説明する。
図2及び図3に示すように、本実施の形態1の着脱式花器1は、別途使用者によって用意される有底の外装容器50の内部に挿入されて使用される。なお、この外装容器50としては、例えば、一般的に家庭に普及している飲料用のコップ、茶器等の容器や花器等が使用できる。
【0033】
ここで、上述の如く、本実施の形態1の着脱式花器1におけるホルダ部30の底部30aには、離間距離形成部40が下方向に突出形成されているため、図2及び図3に示すように、本実施の形態1の着脱式花器1を外装容器50に挿入すると、離間距離形成部40が外装容器50の底部50a上面に配置し、外装容器50内において、ホルダ部30の底部30aが外装容器50の底部50aから所定距離離れた位置に保持される。即ち、離間距離形成部40によってホルダ部30は外装容器50内で位置決めされる。
このため、本実施の形態1の着脱式花器1が外装容器50の内部に装着された状態において、着脱式花器1及び外装容器50の間には、水Wを貯留するための所定容積の貯水部空間Sが画成されている。
また、このとき、ホルダ部30の貫通孔30cに挿入されホルダ部30の外部に配設された導水部10の一端は、その長さが離間距離形成部40の長さ(高さ)以上に設定されているため、外装容器50の底部50aの上面に接触している。
【0034】
よって、図3に示すように、予め所定容量の水Wを入れた外装容器50に装着された着脱式花器1においては、外装容器50の底部50a上面に接触した導水部10の一端から毛細管現象によって貯水部空間S内の水Wが吸収される。また、導水部10の他端が、生花F(図示省略)が挿入保持されている吸水保持部20に接続されているため、導水部10に吸収された貯水部空間S内の水Wは、更に、吸水保持部20に吸吸される。
したがって、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、予め所定容量の水Wを入れた外装容器50に装着して貯水部空間S内に水Wを予め貯留しておくことで、生花F(図示省略)が挿入保持されている吸水保持部20の水が生花Fによって吸水されたり、蒸発したりした場合であっても、吸水保持部20に貯水部空間S内の水Wが導水部10を介して補給されるため、吸水保持部20への水補給の手間が軽減される。
【0035】
また、本実施の形態1の着脱式花器1は、外装容器50に装着することによって、吸水保持部20に補給するための水を所定容量貯留する貯水部空間Sを確保するものであり、ホルダ部30や外装容器50の内部に貯水部空間Sを形成するための仕切り板等を組込む必要もないため、その成形が容易である。
さらに、本実施の形態1の着脱式花器1は、有底の外装容器50に挿脱自在とされるものであるから、所望の外装容器50に装着して貯水部空間Sを確保することができ、それゆえ、購入店からの持ち帰りや宅配便等の運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能になる。
【0036】
また、本実施の形態1の支持脚からなる離間距離形成部40は、切削容易なプラスチック材料で構成されているため、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、外装容器50の高さに合わせて離間距離形成部40を所望の長さに切削することで、外装容器50内においてホルダ部30を任意の位置に保持することができ、底が浅めの外装容器50にも対応可能である。
【0037】
ここで、貯水部空間S内への水の補給は、着脱式花器1から外装容器50を取り外し、外装容器50内に水Wを入れることによって行われる。即ち、本実施の形態1においては、導水部10及び生花Fを挿入保持している吸水保持部20を介さずして貯水部空間S内に水が補給されることになる。よって、貯水部空間S内への水の補給の際に生花Fの切口から流出する有機物等が外装容器50内に流れ込み外装容器50内にて細菌が繁殖してしまうということはない。故に、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、水Wが常に新鮮な状態で導水部10を介して吸水保持部20に吸収されることになるため、吸水保持部20に挿入保持されている生花Fの寿命を縮めることはない。また、貯水部空間S内は清潔に維持されることになる。加えて、短時間で多量の水を外装容器50に入れることができ、水の補給にも手間がかからない。
また、本実施の形態1においては、発泡させた吸水保持部20が用いられているため、導水部10からの水を効率よく吸水しそれを保持でき、また、生花Fによって吸水されやすい。故に、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、吸水保持部20に挿入保持されている生花Fは常に十分な吸水ができることになるため鮮度を長い間保つことができる。
【0038】
ところで、本実施の形態1の着脱式花器1は、上述の如く、吸水保持部20の上部周壁部がホルダ部30の内壁面に接触しているため、吸水保持部20の周壁部側から吸水保持部20内の水が蒸発するのが防止される。また、本実施の形態1の着脱式花器1を外装容器50に装着した状態において、図3に示すように、ホルダ部30の側壁部30b(外壁部)が外装容器50の側壁部50bと接触している場合には、貯水部空間Sが略密閉状態となるため、貯水部空間S内の水Wの蒸発が防止される。故に、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、貯水部空間S内への水補給の手間を軽減することができる。
【0039】
なお、図2及び図3に示すように、本実施の形態1の着脱式花器1は、外装容器50に装着されて使用されるものであり、外装容器50を併設して使用するものでないため、設置スペースをとらない。また、本実施の形態1においては、着脱式花器1が外装容器50に装着され導水部10が貯水部空間S内の水を吸収する状態において、導水部10を外装容器50によって外部から見えなくすることもできるため、吸水保持部20に接続される導水部10によって全体の外観が損なわれるのを防止できる。
【0040】
このように、本実施の形態1の着脱式花器1は、有底の外装容器50に収容された水Wを吸収する導水部10と、導水部10に接続され、導水部10の水を吸い上げて保水ができ、かつ、生花Fを保持する吸水保持部20と、吸水保持部20を収容すると共に、外装容器50に挿脱自在なホルダ部30と、外装容器50とホルダ部30との離間距離を設ける支持脚からなる離間距離形成部40を具備するものである。
そして、外装容器50にホルダ部30を収容してホルダ部30の下端となる底部30aを外装容器50の底部50aから所定距離離して保持することで、外装容器50の底面との間に水Wを貯留する所定容積の貯水部空間Sを画成するものである。
【0041】
したがって、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、予め所定容量の水Wを収容した外装容器50に装着して貯水部空間Sに水Wを貯留しておけば、生花Fを保持する吸水保持部20の水が生花Fによって吸水されたり、蒸発したりした場合であっても、貯水部空間S内の水Wが毛管現象によって導水部10から吸水保持部20に吸吸されるため、吸水保持部20への水補給の手間を軽減することができる。
【0042】
また、外装容器50に装着して貯水部空間Sを確保するため、外装容器50等の内部に貯水部空間Sを形成するための仕切り板等を組込む必要がなく、成形が容易となる。さらに、有底の外装容器50に挿脱自在とされるものであるから、所望の外装容器50に装着して貯水部空間Sを確保することができ、それゆえ、購入店からの持ち帰りや宅配便等の運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能になる。
そして、貯水部空間S内に水Wを補給する場合は、ホルダ部30を外装容器50から取り外すことで、吸水保持部20を介することなく外装容器50内に直接水Wを補給でき、常に貯水部空間S内の水Wが新鮮な状態で導水部10を介して吸水保持部20に吸収されることになるため、生花Fの寿命を縮めることがない。また、短時間で多量の水を外装容器50(貯水部空間S)に補給することができるため、貯水部空間Sへの水補給にも手間がかからない。
【0043】
このようにして、所望の外装容器50に装着して貯水部空間Sを形成することで、水補給の手間を軽減することができ、かつ、成形が容易になると共に、運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能となり、さらに、生花Fの寿命を縮めることのない着脱式花器1となる。
【0044】
ここで、上述の如く、本実施の形態1の着脱式花器1は、外装容器50とホルダ部30との離間距離を設ける離間距離形成部40、即ち、外装容器50内におけるホルダ部30の位置決めを行う離間距離形成部40は、ホルダ部30の下端である底部30a下面から下方向に突設した支持脚であるから、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、外装容器50として開口が大きい容器にも対応できる。なお、支持脚からなる離間距離形成部40は、外装容器50の底部50aに配置可能、かつ、ホルダ部30を所定の高さに支持可能な形状であれば、図1乃至図3に示すような形状に限定されるものではない。
また、本実施の形態1の支持脚からなる離間距離形成部40は、切削容易な材料であるプラスチック材料で構成されるものであるから、外装容器50の高さに対応して任意の長さに切削でき、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、外装容器50内におけるホルダ部30の位置を任意とすることができる。よって、底が浅めの外装容器50にも対応可能である。
【0045】
ところで、本実施の形態1においては、外装容器50とホルダ部30との離間距離を設ける離間距離形成部をホルダ部30の下端から下方向に突設した支持脚からなる離間距離形成部40としたが、本発明を実施する場合には、例えば、外装容器50の底部50a上面(底面)から上方向に突設した支持脚からなる離間距離形成部とすることもできる。これによって、吸水保持部20への生花Fの挿入を他の箇所で行い、それを特定の場所で一体化できるため、ホルダ部30の移動、即ち、運搬が容易になる。
【0046】
さらに、上述の如く、本実施の形態1の着脱式花器1は、吸水保持部20を収容するホルダ部30は、一部分に貫通孔30cを有する底部30aと底部30aの周縁に立設される側壁部50bとで構成され、上部開口30Aを有する容器からなるため、組み付けに吸水保持部20及びホルダ部30相互間の高い寸法精度を必要とせず、また、機械的係合手段等を用いることなく吸水保持部20をホルダ部30に収容することができる。よって、本実施の形態1の着脱式花器1によれば、ホルダ部30への吸水保持部20の組み付けが容易である。
なお、上述した如く、別途使用者によって用意される外装容器50としては、一般的に家庭に普及している飲料用のコップ等の容器が用いられるが、これらは、通常持ちやすいように上方に拡径するテーパ状に形成されている。このため、このような外装容器50に対応できるよう、本実施の形態1のホルダ部30は、上方に拡径するテーパ状の逆円錐台形状に形成されている。しかし、本発明を実施する場合には、ホルダ部30の形状はこれに限定されるものではない。
【0047】
また、本実施の形態1の着脱式花器1は、吸水保持部20の上部周壁部がホルダ部30の内壁面に接触しているため、吸水保持部20の周壁部側からの水の蒸発を防止することができる。
なお、本発明を実施する場合には、吸水保持部20の形状は、上記逆円錐台形状に限定されるものではなく、例えば、直方体形状、立方体形状、球形状、円柱形状、角柱形状、四角錐台形状等とすることもでき、さらには、吸水保持部20の上面を凸曲面形状とすることもできる。これにより、生花Fの立体的装飾が容易となる。
【0048】
なお、本発明を実施する場合には、導水部10と吸水保持部20との接続箇所は上記形態に限定されるものではなく、例えば、導水部10が挿入される貫通孔30cをホルダ部30の側壁部30bに形成し、導水部10の一端をホルダ部30の外壁部側から垂下させ、他端をホルダ部30の内壁部側に配設させて吸水保持部20の周壁部に接続させることも可能である。
【0049】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る着脱式花器100について、図4を参照して説明する。本発明の実施の形態2において、実施の形態1との相違点は、図4(a)に示すように、吸収保持部として原形がホルダ部30の深さaより大きい高さbを有する略直方体形状の発泡の吸水保持部20’を用いた点にある。その他の構成は、実施の形態1と同じであるから、その説明を省略する。また、図4において、吸水保持部20’に挿入保持される生花Fは省略されている。
【0050】
本実施の形態2においては、一般的に吸水保持部として使用されるオアシス社製の「オアシス(登録商標)」等の発泡性合成樹脂が吸水状態において外部からの押圧力により多少の変形が可能になるという性質に着目し、また、略直方体形状または略四角錐台形状のものであれば、コスト的に廉価に入手できることに注目し、原形が略直方体形状の吸水保持部20’を用いて、ホルダ部30への装着状態においてその上面を凸曲面形状としたものである。
即ち、本実施の形態2の着脱式花器100は、図4(a)に示すように、原形がホルダ部30の深さaより大きい高さbを有する略直方体形状の吸水保持部20’を吸水状態で、ホルダ部30に挿入し、さらに、吸水保持部20’においてホルダ部30からはみ出た部分cの上部周囲部を、図4(b)に示すように、ホルダ部30の開口縁部30Bに向かって押圧変形して接触させ、ホルダ部30に装着させることで、吸水保持部20’の上面を凸曲面形状としたものである。
なお、原形が略直方体形状の吸水保持部20’の高さbは、原形状態でホルダ部30に挿入された際に、ホルダ部30からはみ出る部分cの長さがホルダ部30の開口縁部30Bと吸水保持部20’との距離dよりも大きくなるように考慮されて設定される。
【0051】
したがって、本実施の形態2の着脱式花器100は、吸水保持部20’の上面が凸曲面形状となっているため、吸水保持部20’に挿入保持される生花Fの立体的装飾を容易とし、また、少量の生花Fでボリューム感を出させることも可能である。しかも、コスト的に廉価に入手できる原形が略直方体形状の吸水保持部20’を利用してその上面を凸曲面形状としていることから、低コストで生花F(図示省略)の立体的装飾が容易となる。加えて、吸水保持部20’の上部がホルダ部30の開口縁部30Bに接触しているため、吸水保持部20’の周壁部側からの水の蒸発が防止される。
【0052】
このように、本実施の形態2の着脱式花器100は、導水部10に接続され導水部10の水を吸い上げて保水し、かつ、生花Fを保持する吸収保持部は、原形がホルダ部30の深さaより大きい高さbを有する略直方体形状に形成された発泡の吸水保持部20’からなり、この吸水保持部20’をホルダ部30に挿入し、さらに、ホルダ部30からはみ出た部分cの吸水保持部20’の上部周囲部をホルダ部30の開口縁部30Bに向かって押圧変形して接触させることで、その上面を凸曲面形状としたものである。
【0053】
よって、本実施の形態2の着脱式花器100によれば、低コストで、生花F(図示省略)の立体的装飾が容易にでき、かつ、吸水保持部20’の周壁部側からの水の蒸発を防止することができる。
なお、本発明を実施する場合には、吸水保持部20’として、コスト的に廉価に入手できる略四角錐台形状のものを用いることも可能である。
【0054】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る着脱式花器200について、図5及び図6を参照して説明する。本発明の実施の形態3において、実施の形態1との相違点は、導水部として複数の紐からなる導水部11を用い、この導水部11を吸水保持部20の半分の高さより上まで食い込ませた点と、離間距離形成部をホルダ部30の開口縁部30Bから外周方向に突設したフランジからなる離間距離形成部60とした点にあり、その他の構成は、実施の形態1と同じであるから、その説明を省略する。
【0055】
即ち、図5及び図6に示すように、本実施の形態3に係る着脱式花器200は、水Wを吸収する複数の紐からなる導水部11と、導水部11に接続され、導水部11の水を吸水して保水し、かつ、生花F(図示省略)を保持する逆円錐台形状の発泡性合成樹脂からなる吸水保持部20と、吸水保持部20を収容する容器としての逆円錐台形状のホルダ部30と、ホルダ部30の開口縁部30Bから延設された断面略逆U字状のフランジからなる離間距離形成部60とを有しており、有底の外装容器50に挿脱自在とされるものである。
なお、図5及び図6において、吸水保持部20に挿入保持される生花Fは省略されている。
【0056】
複数の導水部11は、毛細管現象によって外装容器50に収容された水Wを吸水するものであり、本実施の形態3においては、ホルダ部30の底部30aに形成された複数の貫通孔30c’に挿入されている。そして、その一端側がホルダ部30の外部に配設され、その他端側がホルダ部30の内部に配設されている吸水保持部20に接続している。具体的には、本実施の形態3の複数の導水部11は、吸水保持部20の半分の高さより上まで食い込ませることによって吸水保持部20に接続している。
【0057】
また、フランジからなる離間距離形成部60は、本実施の形態3の着脱式花器200を外装容器50に挿入した際に、外装容器50の側壁部50bに接触してホルダ部30を外装容器50の上端に配置することで、ホルダ部30の底部30aを外装容器50の底部50aから所定距離離して保持するものである。また、本実施の形態3のフランジからなる離間距離形成部60は、ホルダ部30の開口縁部30Bから外周方向に一体に折曲形成されものであり、外装容器50の側壁部50bへの接触状態が安定されるよう、ホルダ部30の開口縁部30Bの全周に亘って形成されている。
【0058】
そして、本実施の形態3の着脱式花器200も、図5及び図6に示すように、別途使用者によって用意される有底の外装容器50の内部に挿入されて使用されるものである。
ここで、本実施の形態3においては、着脱式花器200におけるホルダ部30の開口縁部30Bから断面略逆U字状のフランジからなる離間距離形成部60が外周方向に突設されているため、図6(a)に示すように、本実施の形態3の着脱式花器200を開口が小さめの外装容器50’に挿入すると、フランジからなる離間距離形成部60が外装容器50’の側壁部50b’の外壁面に接触し、また、図6(b)に示すように、開口が大きめの外装容器50”の場合には、外装容器50”の側壁部50b”に接触し、外装容器50内において、ホルダ部30の底部30aが外装容器50の底部50aから所定距離離れた位置に保持される。即ち、フランジからなる離間距離形成部60によってホルダ部30は外装容器50内で位置決めされる。
このため、本実施の形態3においても、着脱式花器200が外装容器50の内部に装着された状態において、着脱式花器200及び外装容器50の間には、水Wを貯留するための所定容積の貯水部空間Sが画成されている。
また、このとき、一端を吸水保持部20に食い込ませた導水部11の他端は、ホルダ部30の底部30a下面から下方向に垂下した状態にある。
【0059】
よって、図6に示すように、予め所定容量の水Wを入れた外装容器50に装着された着脱式花器200においても、ホルダ部30の底部30a下面から下方向に垂下している導水部11の一端から毛細管現象によって貯水部空間S内の水Wが吸収される。また、導水部11の他端が、生花F(図示省略)が挿入保持されている吸水保持部20内に配設されているため、導水部11に吸収された貯水部空間S内の水Wは、更に吸水保持部20に吸吸される。
【0060】
殊に、本実施の形態3の着脱式花器200によれば、吸水保持部20の半分の高さより上まで導水部11が食い込まれているから、吸水保持部20に挿入保持された生花F(図示省略)の位置に関わらず、生花Fに貯水部空間S内の水Wが新鮮な状態で吸収されることになり、一様に生花F(図示省略)の鮮度が保たれることになる。
【0061】
また、本実施の形態3の着脱式花器200は、ホルダ部30の開口縁部30Bから外周方向に延出したフランジからなる離間距離形成部60を外装容器50の側壁部50bに接触させることでホルダ部30の底部30aを外装容器50内の底部50aから所定距離離して保持するものであり、離間距離形成部60が外装容器50の側壁部50bに接触するため、貯水部空間Sが略密閉されることになる。よって、本実施の形態3の着脱式花器200によれば、貯水部空間S内の水Wの蒸発が防止される。
さらに、本実施の形態3の着脱式花器200においても、吸水保持部20の上部周壁部がホルダ部30の内壁面に接触しているため、吸水保持部20の周壁部側からの吸水保持部20内の水の蒸発が防止される。
故に、本実施の形態3の着脱式花器200によれば、貯水部空間Sへの水補給の手間が一段と軽減される。
【0062】
このように、本実施の形態3の着脱式花器200は、有底の外装容器50に収容された水Wを吸収する複数の紐からなる導水部11と、導水部11に接続され、導水部11の水を吸い上げて保水し、かつ、生花F(図示省略)を保持する発泡性合成樹脂からなる吸水保持部20と、吸水保持部20を収容すると共に、外装容器50に挿脱自在なホルダ部30と、外装容器50とホルダ部30との離間距離を設けるフランジからなる離間距離形成部60を具備するものである。
そして、外装容器50にホルダ部30を収容してホルダ部30の下端となる底部30aを外装容器50の底部50aから所定距離離して保持することで、外装容器50の底面との間に水Wを貯留する所定容積の貯水部空間Sを画成するものである。
【0063】
したがって、本実施の形態3の着脱式花器200によれば、予め所定容量の水Wを収容した外装容器50に装着して貯水部空間Sに水Wを貯留しておけば、生花F(図示省略)を保持する吸水保持部20の水が生花F(図示省略)によって吸水されたり、蒸発したりした場合であっても、貯水部空間S内の水Wが毛細管現象によって導水部11から吸水保持部20に吸吸されるため、吸水保持部20への水補給の手間を軽減することができる。
【0064】
また、ホルダ部30や外装容器50の内部に貯水部空間Sを形成するための仕切り板等を組込む必要がないため、成形が容易になる。さらに、有底の外装容器50に挿脱自在とされるものであるから、所望の外装容器50に装着して貯水部空間Sを確保することができ、それゆえ、購入店からの持ち帰りや宅配便等の運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能になる。
そして、貯水部空間S内に水Wを補給する場合は、ホルダ部30を外装容器50から取り外すことで、吸水保持部20を介することなく外装容器50内に直接水Wを補給できるため、常に貯水部空間S内の水Wが新鮮な状態で導水部11を介して吸水保持部20に吸水されことになるため、生花Fの寿命を縮めることがない。また、短時間で多量の水を外装容器50(貯水部空間S)に補給することができるため、貯水部空間Sへの水補給にも手間がかからない。
殊に、本実施の形態3の着脱式花器200によれば、吸水保持部20の半分の高さより上まで導水部11が食い込まれているから、吸水保持部20に挿入保持されている生花F(図示省略)の位置に関わらず生花F(図示省略)に貯水部空間S内の水を新鮮な状態で吸収させることができ、一様に生花F(図示省略)の鮮度を保つことが可能になる。
【0065】
このようにして、所望の外装容器50に装着して貯水部空間Sを形成することで、水補給の手間を軽減することができ、かつ、成形が容易になると共に、運搬の際の嵩張りを少なくすることも可能となり、さらに、生花F(図示省略)の寿命を縮めることのない着脱式花器200となる。
【0066】
ここで、本実施の形態3においては、外装容器50とホルダ部30との離間距離を設ける離間距離形成部60は、即ち、外装容器50内におけるホルダ部30の位置決めを行う離間距離形成部60は、ホルダ部30の開口縁部30Bから外周方向に突設したフランジであるから、本実施の形態3の着脱式花器200によれば、底が深めの外装容器50にも対応できる。
また、離間距離形成部60が外装容器50の側壁部50bに必ず接触することになるので、貯水部空間Sが略密閉となる。よって、貯水部空間S内の水Wの蒸発を防止することができる。さらに、本実施の形態3の着脱式花器200においても、吸水保持部20の上部周壁部がホルダ部30の内壁面に接触しているため、吸水保持部20の周壁部側から吸水保持部20内の水が蒸発するのを防止することができる。
故に、本実施の形態3の着脱式花器200によれば、貯水部空間Sへの水補給の手間を一段と軽減することができる。
なお、離間距離形成部60は、ホルダ部30を所定の高さに保持可能とさせる形状であれば、図5及び図6に示すような形状に限定されるものではなく、例えば、厚みのある円板形状等とすることもできる
【0067】
ところで、上記各実施の形態においては、固形状の吸水保持部20、20’を使用したが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、粉末状、粒子状、ジェル状等の様々な形態の吸水保持部を使用することもできる。特に、粉末状、粒子状のものを使用した場合には、吸水保持部の再利用を期待できる。
また、本発明を実施する場合には、離間距離形成部として支持脚からなる離間距離形成部40及びフランジからなる離間距離形成部60の両方を形成することできる。これにより、装着可能な外装容器の種類が広がり、外装容器の選択自由度が高くなる。
【符号の説明】
【0068】
1、100、200 着脱式花器
10 導水部(不織布)
11 導水部(紐)
20 20’ 吸水保持部
30 ホルダ部
30a 底部
30b 側壁部
30c 貫通孔
30A 開口
40 離間距離形成部(支持脚)
50 外装容器
60 離間距離形成部(フランジ)
F 生花
S 貯水部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の外装容器に収容された水を吸収する導水部と、
前記導水部に接続され、前記導水部の水を吸い上げて保水し、かつ、生花を保持する吸水保持部と、
前記吸水保持部を収容すると共に、前記外装容器に挿脱自在なホルダ部と、
前記外装容器と前記ホルダ部との離間距離を設ける離間距離形成部とを具備し、
前記外装容器に前記ホルダ部を収容して前記ホルダ部の下端を前記外装容器の底部から所定距離離して保持することで、前記外装容器の底面との間に水を貯留する所定容積の貯水部空間を画成したことを特徴とする着脱式花器。
【請求項2】
前記離間距離形成部は、前記ホルダ部から外周方向に延出したフランジとしたことを特徴とする請求項1に記載の着脱式花器。
【請求項3】
前記離間距離形成部は、前記ホルダ部の下端から下方向に突設した支持脚としたことを特徴とする請求項1に記載の着脱式花器。
【請求項4】
前記離間距離形成部は、前記外装容器の底面から上方向に突設した支持脚としたことを特徴とする請求項1に記載の着脱式花器。
【請求項5】
前記吸水保持部は、その上面が凸曲面形状となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の着脱式花器。
【請求項6】
前記ホルダ部は、その一部分に貫通孔を有する底部と当該底部の周縁に立設される側壁部とで構成され、上部開口を有する容器からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の着脱式花器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−172696(P2011−172696A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38238(P2010−38238)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(598016933)名北総合食品センター株式会社 (1)