説明

睡眠姿勢教育用頭部模型

【課題】 本考案は、枕の販売者及び購入者に睡眠姿勢の良否を指摘したり指導する場合に用いる睡眠姿勢教育用頭部模型を提供するものである。
【解決手段】 睡眠姿勢教育用頭部模型10は人間の頭部の形を型どった板状の頭部モデル12と頚椎の形を型どった頚椎部14と胸椎の形を型どった胸椎部16とから構成されている。頭部モデル12の裏面側には基板20が配設され、頭部モデル12の表面側には顎部を除いた頭部を型どった上回動板22と顎部を型どった下回動板24が配設されている。基板20の前記下回動板24に対応する部分は口腔表示部30とされている。口腔表示部30には口蓋34が突設され、口蓋34の後部には口蓋垂36が回動可能に取り付けられている。また、口蓋34の下方には舌部40が配設されている。前記頭部モデル12の後部下部には前記頚椎部14と胸椎部16が配設されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、主として枕の販売者や購入者に睡眠姿勢の良否等を説明する場合等に用いる睡眠姿勢教育用頭部模型に関する。
【0002】
【従来の技術】
睡眠時に枕を使用する目的は出来るだけ自然体(自然に立った状態で横になった状態)に近い姿勢をとることにある。具体的には枕を使用した場合の重要な点は頭部のポジションと顔面の仰角,自分に合った頚椎カーブの支持,胸椎に負担を掛けない枕の高さ等である。
しかし、枕を購入する場合、購入者の多くは単なる枕の形状や手触り等で枕を選択、購入している。また、枕の販売者の多くも前記条件を無視して新製品を購入者に勧めたりしている。
しかし、使用する枕が使用者に合っていないと肩凝り、首の痛み、腰痛、眠りの悪さ等の不具合があると共に合っていない枕を使用し続けると体型まで損ねるおそれがある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記不具合を解消すべく考案されたものであり、枕の販売者及び購入者に睡眠姿勢の良否を指摘したり指導する場合に用いる睡眠姿勢教育用頭部模型を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の考案は、人間の頭部を型どった基板と、この基板の表面側に配設されると共に顎部を除いた人間の頭部を型どった回動可能な上回動部と、前記基板の表面側に配設されると共に顎部を型どった回動可能な下回動部と、この下回動部に対応する前記基板に人間の口腔が表された口腔表示部と、この口腔表示部に形成された口蓋と、この口蓋の後部に回動可能に取り付けられた口蓋垂と、前記口腔表示部に前後方向移動可能に取り付けられた舌部と、前記基板に取り付けられた頚椎部及び胸椎部と、を有してなることを特徴としている。
請求項2記載の考案は、人間の頭部を型どった基板と、この基板の表面側に配設されると共に顎部を除いた人間の頭部を型どった回動可能な上回動部と、前記基板の表面側に配設されると共に顎部を型どった回動可能な下回動部と、この下回動部に対応する前記基板に人間の口腔が表された口腔表示部と、この口腔表示部に形成された口蓋と、この口蓋の後部に回動可能に取り付けられた口蓋垂と、前記口腔表示部に前後方向移動可能に取り付けられた舌部と、前記基板に取り付けられた頚椎部及び胸椎部と、前記基板の裏面に取り付けられたマグネットと、を有してなることを特徴としている。
【0005】
【考案の実施の形態】
図1乃至図5には本考案に係る睡眠姿勢教育用頭部模型の一実施例が示されている。
図1に示すように、睡眠姿勢教育用頭部模型10は人間の頭部の形を型どった板状の頭部モデル12と頚椎の形を型どった頚椎部14と胸椎の形を型どった胸椎部16とから構成されている。
図2及び図3に示すように、前記頭部モデル12の裏面側には人間の頭部を型どった板状の基板20が配設され、頭部モデル12の表面側には顎部を除いた頭部を型どった上回動板22と顎部を型どった下回動板24が配設されている。これら上回動板22と下回動板24は薄い板材で形成されている。
図3に示すように、前記上回動板22はピン26で、下回動板24はピン28で共に前記基板20に回動可能に取り付けられている。
前記基板20の前記下回動板24に対応する部分は人間の口腔が表わされた口腔表示部30とされている。この口腔表示部30が形成されている基板20の部分は上回動板22に対応する基板20の部分よりも厚みが薄く形成されている。
前記口腔表示部30には口蓋34が突設され、口蓋34の後部には口蓋垂36がピン38により回動可能に取り付けられている。また、口蓋34の下方には舌部40が配設されている。この舌部40の中央には長孔42が貫通形成され、長孔42にはピン44が挿入されて前記基板20に立設されている。このため、前記舌部40は前後方向(図3矢印A方向)に移動可能で、舌部40の舌根部40Aの気管方向への落ち込み等を知ることができる。
図1に示すように、頭部モデル12の後部下部には前記頚椎部14と胸椎部16が配設されている。前記頚椎部14は7個の頚椎片14Aから形成され、胸椎部16は5個の胸椎片16Aから形成されている。また、前記頚椎片14Aと胸椎片16Aとの間には椎間板片43が2個づつ介在されている。
図4に示すように、前記頚椎片14Aと胸椎片16Aと椎間板片43は2本の可撓性を有する線材で形成された連結線44で連結されている。このため、前記頚椎部14及び胸椎部16を自由に曲げることができる。
図5に示すように、前記頚椎部14の一番上方に位置する頚椎片14Aの上部には差込部46が形成され前記頭部モデル12に形成された差込溝47に嵌入できるようになっている。
前記基板20の裏面や頚椎片14A,胸椎片16Aの裏面にはマグネット48が固着され、睡眠姿勢教育用頭部模型10を図示しないボード等に取り付けられるようになっている。
なお、この実施例では頚椎部14と胸椎部16を一見して見分けられるようにするため、頚椎部14を構成する頚椎片14Aと胸椎部16を胸椎片16Aを色分けして区別している。
【0006】
次に、実施例の睡眠姿勢教育用頭部模型10の作用を説明する。
睡眠姿勢教育用頭部模型10を使用する場合はマグネット48を使用して睡眠姿勢教育用頭部模型10を図示しないボードに取り付けて、睡眠姿勢教育用頭部模型10を見易いようにセットする。
次に、枕の購入者から現在どのような寝姿をしているか等を聞き出し、その状態を睡眠姿勢教育用頭部模型10を使って再現し、悪い点を指摘する。例えば、枕の購入者の頚椎部や胸椎部の曲がりを教えたい場合は連結線44を曲げて頚椎部14、胸椎部16を使用して、悪い状態を再現して視覚的に悪い点を指摘する。
しかも、連結線44を自由に曲げることができるので、高さの高い枕による胸椎湾曲の助長、女性に多い頚椎下部後湾の原因等もこの睡眠姿勢教育用頭部模型10を使うことで分かり易く明瞭に説明できる。
また、良い睡眠姿勢を説明する場合は自然体での頚椎カーブの深さを測り、それを睡眠姿勢教育用頭部模型10を使って目の前に示し、なぜこの高さの枕を使わなければならないかを説明する。
また、鼾と枕の関係を説明する場合は、鼾の原因は色々あり一概に枕が原因とはいえないが、現在使用している枕の形状や寝姿勢等を聞き、開口鼾、上咽頭圧迫による鼾の理由を口蓋垂36を回動させたり、舌片40を前後方向に移動させたりして説明する。このため、上咽頭部が塞がってしまう「睡眠時無呼吸症候群」の説明も分かり易く行うことができる。
従って、睡眠姿勢教育用頭部模型10を使用すれば上記以外の枕が適正でないことを原因とする種々の弊害を説明を行うことができる。
なお、睡眠姿勢教育用頭部模型10は前記差込部46を差込溝47から引き抜けば頭部モデル12と頚椎部14,胸椎部16とを分離でき、睡眠姿勢教育用頭部模型10をコンパクトにできるので、持ち運びや保管に便利である。
【0007】
なお、実施例では主に枕購入者に対する枕と睡眠姿勢との関係について説明したが、枕販売者の教育として睡眠姿勢教育用頭部模型10を用いてもよいことは勿論である。
【0008】
【考案の効果】
以上説明したように睡眠姿勢教育用頭部模型は、口蓋垂を回動させたり舌部を前後方向に移動させたり、あるいは頚椎部や胸椎部を曲げたりすることが自由にできるので、枕と睡眠姿勢の関係を視覚的に明瞭に説明できるので、枕の販売者や購入者等に枕と睡眠姿勢の関係を分かりやすく教育することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】睡眠姿勢教育用頭部模型の正面図である。
【図2】上回動部を回動させた睡眠姿勢教育用頭部模型の正面図である。
【図3】上回動部と下回動部を回動させた睡眠姿勢教育用頭部模型の正面図である。
【図4】頚椎部の一部拡大図である。
【図5】睡眠姿勢教育用頭部模型の背面図である。
【符号の説明】
10・・・睡眠姿勢教育用頭部模型
12・・・頭部モデル
14・・・頚椎部
16・・・胸椎部
20・・・基板
22・・・上回動部
24・・・下回動部
30・・・口腔表示部
34・・・口蓋
36・・・口蓋垂
40・・・舌部
48・・・マグネット

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 人間の頭部を型どった基板と、この基板の表面側に配設されると共に顎部を除いた人間の頭部を型どった回動可能な上回動部と、前記基板の表面側に配設されると共に顎部を型どった回動可能な下回動部と、この下回動部に対応する前記基板に人間の口腔が表された口腔表示部と、この口腔表示部に形成された口蓋と、この口蓋の後部に回動可能に取り付けられた口蓋垂と、前記口腔表示部に前後方向移動可能に取り付けられた舌部と、前記基板に取り付けられた頚椎部及び胸椎部と、を有してなることを特徴とする睡眠姿勢教育用頭部模型。
【請求項2】 人間の頭部を型どった基板と、この基板の表面側に配設されると共に顎部を除いた人間の頭部を型どった回動可能な上回動部と、前記基板の表面側に配設されると共に顎部を型どった回動可能な下回動部と、この下回動部に対応する前記基板に人間の口腔が表された口腔表示部と、この口腔表示部に形成された口蓋と、この口蓋の後部に回動可能に取り付けられた口蓋垂と、前記口腔表示部に前後方向移動可能に取り付けられた舌部と、前記基板に取り付けられた頚椎部及び胸椎部と、前記基板の裏面に取り付けられたマグネットと、を有してなることを特徴とする睡眠姿勢教育用頭部模型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3034706号
【登録日】平成8年(1996)12月4日
【発行日】平成9年(1997)3月7日
【考案の名称】睡眠姿勢教育用頭部模型
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−8839
【出願日】平成8年(1996)8月13日
【出願人】(596010980)