説明

睡眠誘導装置

【課題】地球大地と電離層の間に継続的に存在している周波数7.8Hz(より厳密には7.83Hz)のいわゆるシューマン波は、人間の耳には聞こえないものの、人間の脳波に影響を与えることが知られている。本発明の目的は、前記シューマン波を使って、使用者を快適な睡眠へと誘導することが可能な睡眠誘導装置を提供することにある。
【解決手段】例えば100Hz前後の可聴周波数のパルス音を、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で発生させるようにした睡眠誘導装置1を提供する。この睡眠誘導装置1により発せられる定周期のパルス音、すなわちシューマン波のサイクルで刻まれる定周期の単調なパルス音を実際に聴きながら就寝すると、寝付きが良くなる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者を睡眠に誘導するための睡眠誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横臥(おうが:横に寝ること。)した身体を覆い得る中空かまぼこ型のカバー体と、シューマン波発生器とを備えた遠赤外線サウナ風呂が特許文献1に記載されている。この公知発明は、ドイツの物理学者W.O.シューマンが発見した地球大地と電離層の間に継続的に存在している7.8Hz(より厳密には7.83Hz)の共振周波数を利用するもので、横臥している使用者に人工的なシューマン波を当ててリラックス効果を発揮させようとするものである。
【0003】
【特許文献1】特開2005−312755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シューマン波は、7.8Hzの周波数であり、人間の耳には聞こえないが、シューマン波が人間の脳波に影響を与えることは知られている。
一方、単調なリズムを繰り返し聞いていると、眠気を催すことがあることも知られている。
【0005】
本発明者は、単調なリズムとシューマン波とを組み合わせることで、快適な睡眠への誘導が可能になるのではないかと考え、必要な実験を行い、その効果を確認した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、その目的は、使用者を快適な睡眠へと誘導することが可能な睡眠誘導装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
可聴周波数のパルス音を、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で発生させるようにした睡眠誘導装置を提供する。
【0008】
また、請求項2に記載したように、装置本体からリード線を引き出し、そのリード線の端部にスピーカを接続してしてなる請求項1記載の睡眠誘導装置を提供する。
【0009】
また、請求項3に記載したように、枕に組み込んだ請求項1又は2記載の睡眠誘導装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の睡眠誘導装置により発せられる定周期のパルス音、すなわちシューマン波のサイクルで刻まれる定周期の単調なパルス音を実際に聴きながら就寝すると、寝付きが良くなる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図1は睡眠誘導装置の斜視図、図2は他の形態を示す睡眠誘導装置の斜視図、図3は使用状態を示す要部の側面図、図4は目覚まし時計と一体にした睡眠誘導装置の斜視図、図5は他の形態を示す目覚まし時計と一体にした睡眠誘導装置の斜視図、図6は睡眠実験の結果を示すグラフである。
【0012】
睡眠誘導装置1は、図1に示したように、手のひらサイズの箱形である装置本体2と、その装置本体2に内蔵したスピーカ3と、そのスピーカ3の音量を調節する音量調節手段4と、図示しないパルス発生回路と、から概ね構成される。
【0013】
前記パルス発生回路は、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で、つまり1/7.83秒に1回の割合で可聴周波数(例えば100Hz前後)のパルス音を前記スピーカ3から発するように制御する。
【0014】
なお、睡眠誘導装置1の装置本体2には、外部出力用のジャック5が側面に設けられており、そのジャック5に、図2に示したように、装置本体2より薄い小型のスピーカ6がリード線7を介して接続できるようになっている。
【0015】
次に、本発明の睡眠誘導装置1の使用方法について説明する。
まず、睡眠誘導装置1を図示しないスイッチによりONにする。そうするとスピーカ3からシューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期でパルス音が聞こえるため、音量調節手段4を使って好みの音量に設定する。
そして、睡眠誘導装置1を、例えば図3のように枕8の下に敷いて音が聞こえるようにセットするか、或は頭周辺の床やベッド上に置いてパルス音を聴きながら眠りにつく。
【0016】
[睡眠実験]
本発明の睡眠誘導装置1の効果を確認するため、年齢、性別、寝付きの良し悪しがばらばらである30人を選んで睡眠実験を行った。この睡眠実験は、治験者が本発明の睡眠誘導装置1を三夜使用し、治験者が感じた寝付き具合の良否を各回毎に評価する、というものである。
なお、比較のため、パルス音の周波数を、比較例1=4.50Hz、比較例2=6.00Hzに設定して同じ治験者による同じ実験を三夜ずつ行った。
今回の実験結果をまとめたものが表1であり、それをグラフ化したものが図6である。
【0017】
【表1】

【0018】
図6のグラフによれば、本発明の睡眠誘導装置1を使用して効果があったと回答した治験者の割合は、比較例1,2の装置を使用して効果があったと回答した治験者の割合に比べて明らかに多い。この結果から本発明の睡眠誘導装置1には、人の寝付きを良くする効果があるものと推定できる。
【0019】
なお、実施形態の睡眠誘導装置1は、就寝中ずっとパルス音を発しており、起床後に使用者自身が止める設定になっている。もちろんタイマー回路を設けて、所定時間経過後(例えば1時間或は2時間経過後)に自動停止させるようにしてもよいし、或は使用者が自動停止までの時間を入力できるようにしてもよい。
【0020】
また、前記のように睡眠誘導装置1を枕8の下に直接セットして使用する場合の他、図2に示したようにリード線7を有するスピーカ6を装置本体2のジャック5に接続し、そのスピーカ6を枕8の下にセットするようにしてもよい。このスピーカ6は装置本体2に比べて薄いため、枕8の下にセットした状態で首筋に触れるおそれがなく、その分使用感に優れるメリットがある。なお、リード線7で引き出すスピーカ6のみを使用し、装置本体2にはスピーカ3を設けないようにしてもよい。
【0021】
図4,図5は他の実施形態を示す睡眠誘導装置1であって、目覚まし時計9と一体にしたものである。なお、図4,図5中、図1,図2と同一符号の部分は、それらと同一又は同機能の部品であるため説明を省略する。
【0022】
睡眠誘導装置1を目覚まし時計9と一体にすることにより、例えば、目覚まし時計9で起床時間をセットしたとき、目覚まし時計9のセット完了と同時にパルス音をスタートさせ、さらにセットした起床時間の所定時間前(例えば1時間前或は2時間前)にパルス音を自動的に停止させるようにするなど、使用者の就寝・起床のタイミングに合わせたきめ細かな設定が可能になる。
【0023】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では睡眠誘導装置1を目覚まし時計9と一体にする例を示したが、それ以外にも図3想像線のように睡眠誘導装置1を枕8に着脱自在に内蔵したり、或はベッドや敷き布団10に着脱自在に内蔵してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】睡眠誘導装置の斜視図である。
【図2】他の形態を示す睡眠誘導装置の斜視図である。
【図3】使用状態を示す要部の側面図である。
【図4】時計と一体にした睡眠誘導装置の斜視図である。
【図5】他の形態を示す時計と一体にした睡眠誘導装置の斜視図である。
【図6】睡眠実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0025】
1 …睡眠誘導装置
2 …装置本体
6 …スピーカ
7 …リード線
8 …枕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可聴周波数のパルス音を、シューマン波の1サイクル毎に1回ずつ定周期で発生させるようにしたことを特徴とする睡眠誘導装置。
【請求項2】
装置本体からリード線を引き出し、そのリード線の端部にスピーカを接続してなることを特徴とする請求項1記載の睡眠誘導装置。
【請求項3】
枕に組み込んだことを特徴とする請求項1又は2記載の睡眠誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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