説明

知的財産管理装置

【課題】 「明細書」の内容と関連付けされた状態で「図面」の内容を表示する知的財産管理装置を提供する。
【解決手段】 知的財産管理装置は、少なくとも「明細書」と「図面」を含む特許書類または実用新案書類における「明細書」と「図面」に関する情報を入力するために使用される入力部を備える。「図面」に記載された符号に対応し、「明細書」に記載された符号名称を特定する制御部を備える。「図面」を表示し、その上に制御部によって特定された符号名称を表示する表示部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許出願などに対する知的財産管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、特許情報の閲覧を支援する知的財産管理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−171328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、当該特許情報に含まれる「明細書」の内容と「図面」の内容に関連付けがされていない。
【0005】
したがって本発明の目的は、「明細書」の内容と関連付けされた状態で「図面」の内容を表示する知的財産管理装置または知的財産管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る知的財産管理装置は、少なくとも「明細書」と「図面」を含む特許書類または実用新案書類における「明細書」と「図面」に関する情報を入力するために使用される入力部と、「図面」に記載された符号に対応し、「明細書」に記載された符号名称を特定する制御部と、「図面」を表示し、その上に制御部によって特定された符号名称を表示する表示部とを備える。
【0007】
通常、特許書類などの「図面」では符号だけが記載されて符号名称が記載されていないことが多いが、「図面」の上に、符号に対応する符号名称を表示させ、「明細書」の内容と関連付けされた状態で「図面」の内容を表示することが可能になる。これにより、使用者は、「明細書」の符号名称に対応する「図面」上の記載を簡単に視認することが可能になる。
【0008】
好ましくは、制御部によって特定された符号名称の表示は、対応する符号を含めた状態で行われる。
【0009】
「図面」内の符号が記載された位置から離れた所に符号名称が表示される可能性もあることを考慮したものである。
【0010】
また、好ましくは、制御部は、「図面」に記載された符号を抽出する第1抽出工程と、「明細書」に記載された符号とかかる符号に隣接する符号名称とを抽出する第2抽出工程と、「図面」の符号と「明細書」の符号名称とを関連付けする関連付け工程とを実行して、「図面」に記載された符号に対応し、「明細書」に記載された符号名称を特定する。
【0011】
また、好ましくは、制御部によって特定された符号名称は、表示位置や表示内容が、入力部を使って変更可能な状態で、「図面」の上に表示される。
【0012】
使用者によって好ましくない出力結果も考えられるが、修正により使用者にとって好ましい状態で、「図面」と「明細書」を関連づけた表示が可能になる。
【0013】
また、好ましくは、表示部に表示された「図面」における符号に対して、入力部を使って第1操作が行われた時に、第1操作で指定された符号に対応して制御部によって特定された符号名称が表示された状態で、「図面」が表示される。
【0014】
さらに好ましくは、表示部に表示された「図面」における符号に対して、若しくは、第1操作で指定された符号に対応して制御部によって特定された符号名称に対して、入力部を使って第2操作が行われた時に、第2操作で指定された符号や符号名称が強調された状態で、「明細書」が表示される。
【0015】
また、好ましくは、表示部に表示された「明細書」における符号若しくは符号名称に対して、入力部を使って第3操作が行われた時に、第3操作で指定された符号若しくは第3操作で指定された符号名称に対応する符号が強調表示され、且つ第3操作で指定された符号名称若しくは第3操作で指定された符号に対応する符号名称が表示された状態で、「図面」が表示される。
【0016】
所定の操作(第1操作〜第3操作)により重畳表示や強調表示などで関連する符号などを目立つ状態で表示することが可能になる。「図面」上の総ての符号名称を表示した場合には、符号と符号名称の対応関係が分かりにくい状態が起こり得るが、所定の操作(第1操作〜第3操作)に関連した符号などだけを目立つように表示することにより、知りたい情報だけを表示させることが可能になる。
【0017】
本発明に係る知的財産管理プログラムは、少なくとも「明細書」と「図面」を含む特許書類または実用新案書類から、「図面」に記載された符号を抽出する第1抽出工程と、特許書類または実用新案書類から、「明細書」に記載された符号とかかる符号に隣接する符号名称とを抽出する第2抽出工程と、「図面」の符号と「明細書」の符号名称とを関連付けする関連付け工程とを実行して、「図面」の上に関連付けに基づいて特定された符号名称を表示する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、「明細書」の内容と関連付けされた状態で「図面」の内容を表示する知的財産管理装置または知的財産管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における知的財産管理システムの構成図である。
【図2】「明細書」の前半部分の内容を含む第1画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図3】「明細書」の後半部分の内容を含む第1画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図4】「図面」の内容を含む第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図5】確認画面表示工程における第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図6】確認画面表示工程における第3画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図7】図5の状態から、入力部を使って、符号名称の位置が調整された後の第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図8】図7の状態から、入力部を使って、符号名称の一部が修正された後の第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図9】図8の状態から、入力部を使って、符号や符号名称の一部の表示設定が変更された後の第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図10】リンク形成工程の後に第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図11】図10の状態から、入力部を使って第1操作が行われて、符号名称が表示された状態の第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図12】図11の状態から、入力部を使って第2操作が行われて、符号と符号名称が強調された状態の第1画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図13】リンク形成工程の後に第1画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図14】図13の状態から、入力部を使って第3操作が行われて、符号が強調され、符号名称が表示された状態の第2画面が表示された状態の表示部を示す図である。
【図15】確認画面表示工程における第2画面であって、空欄の符号名称も表示されたものが表示された状態の表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態における知的財産管理システムは、入力部1、制御部2、記録部3、表示部4、プリンタ5、及び通信部6を備える(図1参照)。
【0021】
入力部1は、キーボードやマウスなどの情報を入力する装置である。制御部2は、CPUなどの演算装置である。記録部3には、入力部1を使った所定の操作に基づいて、制御部2が、電子データ化された特許書類または実用新案書類について、区分け工程(項目ごとに区分け)、第1抽出工程(「図面」から符号を抽出)、第2抽出工程(「明細書」から符号と符号名称の組み合わせを抽出)、関連付け工程(「図面」の符号と「明細書」の符号名称とを関連付け)、確認画面表示工程(関連付け後の符号と符号名称の確認や修正可能な画面表示)、リンク形成工程(リンク可能な符号などを設定)などを実行する知的財産管理プログラムがインストールされている。本実施形態における特許書類または実用新案書類は、過去に作成した特許出願または実用新案登録出願の出願書類、特許公開公報や特許公報などの公報書類であって、少なくとも「明細書」と「図面」を含むものをいう。
【0022】
表示部4は、「明細書」の内容(第1画面P1)、「図面」の内容(第2画面P2)、「図面」の符号と「明細書」の符号名称との関連付け情報の一覧表(第3画面P3)を表示する。プリンタ5は、第1画面P1などを印字するもので、複数の符号名称が重畳表示された図7のような第2画面P2も印字可能であるし、第1操作によって指定された1つの符号名称が重畳表示された図11のような第2画面P2も印字可能である。通信部6は、ネットワークを介して通信する装置である。
【0023】
なお、知的財産管理プログラムなどがインストールされる記録部3は、通信部6やネットワークを介して、制御部2と通信可能なサーバ(アプリケーションサービスプロバイダ)に設けられる形態であってもよい。
【0024】
制御部2は、使用者による入力部1を介した指示に基づいて、記録部3にインストールされた知的財産管理プログラムを起動し、表示部4に所定の表示画面(第1画面P1〜第3画面P3)を表示させる。図2〜図15は、表示部4に表示される所定の表示画面(第1画面P1〜第3画面P3)である。なお、第1画面P1〜第3画面P3の周囲には、ファイルの上書き保存などの所定のコマンド入力のための操作領域が設けられる(不図示)。
【0025】
使用者が、入力部1を使って、所定の操作を行うことにより、制御部2が、特許書類または実用新案書類の電子データを読み込み、「図面」に記載された符号と、「明細書」に記載された符号に隣接する当該符号の名称との関連付けを行い、「図面」に記載された符号に対応し「明細書」に記載された符号名称を特定する。また、制御部2は、関連付けされた情報に基づいて、第1画面P1〜第3画面P3を表示部4に表示させる。
【0026】
図2、図3、図13は、表示部4に、「明細書」を含む第1画面P1が表示された状態を示し、図4、図5、図7〜図11、図15は、表示部4に、「図面」を含む第2画面P2が表示された状態を示し、図6は、表示部4に、符号と符号名称の関連付け情報の一覧表を含む第3画面P3を示し、図12は、表示部4に、非アクティブで第2画面P2が表示され、その上に、アクティブで第1画面P1が表示された状態を示し、図14は、表示部4に、非アクティブで第1画面P1が表示され、その上に、アクティブで第2画面P2が表示された状態を示す。
【0027】
具体的に、本実施形態における知的財産管理プログラムの動作内容を説明する。
【0028】
入力部1を使って、所定の操作が行われると、制御部2は、記録部3に記録されたhtml形式の特許書類または実用新案書類ファイル(電子データ化された特許書類または実用新案書類)を読み取り、「明細書」、「発明を実施するための形態」、「符号の説明」、「図面」などの墨付き括弧の内側の文字列を抽出し各項目の内容が記載された領域を区分けし(区分け工程)、「図面」領域に記載された図を読み取って符号を抽出し(第1抽出工程)、「明細書」領域に記載された文字を読み取って符号と当該符号に隣接する符号名称を抽出し(第2抽出工程)、「図面」に記載された符号と、「明細書」に記載された符号に隣接する当該符号の名称との関連付けを行う(関連付け工程)。
【0029】
第1抽出工程では、「図面」に記載された符号が抽出され、当該符号の位置(「図面」上の特定の位置を原点として横方向の相対位置(x座標)や縦方向の相対位置(y座標))が特定される。
【0030】
第2抽出工程では、「明細書」に記載された符号が抽出され、当該符号に隣接した文字列が符号名称として抽出される。「符号の説明」では、符号の後方に隣接した文字列を符号名称として抽出し、「符号の説明」以外の領域では、符号の前方に隣接した文字列を符号名称として抽出する。
【0031】
なお、「符号の説明」以外の領域では、符号名称と符号名称と関係が無い文字とを正しく判別出来ない可能性もあり、「符号の説明」に記載された符号と符号名称の関係を優先して、第2抽出工程を行うのが望ましい。
【0032】
関連付け工程では、第1抽出工程で抽出された「図面」の符号と、第2抽出工程で抽出された「明細書」の符号と符号名称とに基づいて、「図面」の符号に対応する符号名称が特定される。例えば、「図面」の符号として「10」を第1抽出工程で抽出した場合には、第2抽出工程で「明細書」から抽出した符号「10」に隣接する符号名称「前面部」が「図面」の符号に対応する符号名称になる。
【0033】
第1抽出工程における「図面」の符号抽出において、本来記載されている符号を間違えて認識し、本来記載されている符号と異なる符号が抽出された場合は、間違った符号が抽出結果として用いられる。例えば、「図面」の符号として「23」と認識すべきところを間違えて「28」と認識した場合には、第1抽出工程において、「図面」から符号「28」が抽出される。第2抽出工程において、符号「28」に隣接する符号名称が「明細書」から抽出された場合には、関連付け工程において、その符号名称が、符号「28」に対応する符号名称になる。本実施形態では、第2抽出工程において、「明細書」から符号「28」に隣接する符号名称が抽出されていないため、符号「28」に対応する符号名称は存在しないことになる。
【0034】
また、第1抽出工程における「図面」の符号抽出において、本来記載されている符号は正しく認識されて抽出が行われた場合であっても、第2抽出工程において、「明細書」からその符号に隣接した符号名称が抽出されていない場合には、かかる符号に対応する符号名称は存在しないことになる。本実施形態では、「図面」の符号として「61」が抽出されたが、「明細書」から符号「61」に隣接する符号名称が抽出されていないため、符号「61」に対応する符号名称は存在しないことになる。
【0035】
関連付け工程で得られた「図面」に記載された符号と「明細書」に記載された符号名称との関連付け情報は、記録部3に記録され、後述するように内容が変更された場合には、変更後の内容に更新される。
【0036】
関連付け工程の後、確認画面表示工程で、第2画面P2の「図面」上に符号に対応する符号名称を表示したり(図5参照)、第3画面P3で一覧表示したり(図6参照)して、関連付け情報が使用者に視認可能な状態にされる。関連付けされた符号、符号名称、符号名称の表示位置、符号名称の表示色、符号の強調表示色などの設定は、第2画面P2の「図面」上や、第3画面P3の一覧表示上で、入力部1を使って変更可能な状態にされる。第1抽出工程、第2抽出工程、関連付け工程において、使用者によって好ましくない出力結果も考えられるが、修正により使用者にとって好ましい状態で、「図面」と「明細書」を関連づけた表示が可能になる。
【0037】
「図面」上の符号に対応する符号名称の重畳表示位置(「図面」上の特定の位置を原点として横方向の相対位置(x座標)や縦方向の相対位置(y座標))は、所定の条件を満たすように決定される。所定の条件としては、例えば、符号の周囲の一定距離内に配置する、「図面」内の色がついた領域と重複しない領域に配置するなどが考えられる。「図面」内の色が付いた領域と重複しないように符号名称の重畳位置を決定すれば、図形、符号、図形と符号とを結ぶ線と重なって符号名称が表示されるのを防ぐことが出来る。
【0038】
但し、符号が多い場合には、他の符号名称の重畳表示位置が重なる可能性があるし、「図面」に記載された図形などの上に重畳表示することが避けられないこともある。このため、関連付け工程の後に、制御部2は、図5のような「図面」上の確認画面、若しくは、図6のような一覧表上の確認画面を表示部4に表示させ、使用者にとって満足出来るように符号名称が重畳表示されているかが分かるようにし、修正可能な状態にする。
【0039】
「図面」に重畳表示する符号名称は、元々「図面」内に対応する符号が記載されているため、符号名称だけを表示させる形態でもよいが、本実施形態の図面で示す「10:前面部」のように、対応する符号も含めた状態で表示するのが望ましい。符号名称を重畳表示する位置は使用者が見やすいように変更され得るため、「図面」内の符号が記載された位置から離れた所に符号名称が重畳表示される可能性もあることを考慮したものである(図7〜図9の符号「51」に対応する符号名称「第1忍び返し」など参照)。
【0040】
使用者は、図5のような「図面」上の確認画面や、図6のような一覧表上の確認画面を見て、符号名称の内容や表示位置などを確認し、必要に応じて、表示内容や表示位置を、入力部1を使って修正する。
【0041】
図7は、図5の状態から、符号名称の重畳表示位置を使用者の好みに合わせて修正した状態を示す。図8は、図7の状態から、符号や符号名称の内容を修正した状態を示す。具体的には、符号「28」を「23」に修正し対応する符号名称を空欄から「背面落とし戸枠」に修正し、符号「61」に対応する符号名称は空欄から「明細書」の記載が無いことを示す「明細書記載無し」と修正している。図9は、図8の状態から、一部の符号(具体的には符号「54」)について、強調表示する際の色設定を変え、一部の符号名称(具体的には符号「54」に対応する符号名称「第4忍び返し」)を重畳表示する際の色設定を変えた状態を示す。ただし、本件出願の「図面」では色を変えて表示することが出来ないため、符号「54」の強調表示の色を変えたことを枠で表現し、符号名称「第4忍び返し」の表示の色を変えたことを斜線網掛けで表現している。
【0042】
なお、符号などの修正は、「図面」ごとに独立して行う形態でも良いし、複数の「図面」で同じ符号が表示されている場合には、一つの符号の内容の修正をある「図面」上で行うことにより、他の「図面」にもその修正内容が反映される形態であってもよい。符号名称の表示位置の設定については、「図面」ごとに独立して行われる形態の方が望ましいが、符号を強調表示する際の色設定や、符号名称の重畳表示の色設定は、複数の「図面」で同じ設定にされる形態の方が望ましい。
【0043】
また、第1抽出工程などで抽出されなかった符号や符号名称を追加して表示出来るように、符号や符号名称が空白のものを幾つか第2画面P2の「図面」に重畳表示させておき、上述の修正過程において、使用者によって所望の符号や符号名称を記入し適当な位置に配置される形態であってもよい(図15参照)。
【0044】
通常、特許書類などの「図面」では符号だけが記載されて符号名称が記載されていないことが多いが、本実施形態では、図8のように、「図面」の上に、符号に対応する符号名称を重畳表示させ、「明細書」の内容と関連付けされた状態で「図面」の内容を表示することが可能になる。これにより、使用者は、「明細書」の符号名称に対応する「図面」上の記載を簡単に視認することが可能になる。
【0045】
また、制御部2は、「図面」の符号と、「明細書」の符号と符号名称との間でリンクを形成し(リンク形成工程)、かかるリンクが可能であることを示した状態で、第1画面P1や第2画面P2を表示部4に表示させる(図10、図13参照)。
【0046】
本実施形態では、「図面」の符号や、「明細書」の符号と隣接する符号名称に下線を付けて、リンクが可能であることを示す。本実施形態におけるリンクとは、「図面」内のリンクが形成された符号について所定の操作(第1操作、第2操作)が行われると、当該符号を強調表示させ、且つ対応する符号名称をツールチップなどで重畳表示させる動作を実行させたり、「明細書」の当該符号を含む箇所を表示させる動作を実行させたり、また、「明細書」内のリンクが形成された符号や符号名称について所定の操作(第3操作)が行われると、「図面」の当該符号を含む箇所を強調表示させ、且つ対応する符号名称をツールチップなどで重畳表示させる動作を実行させたりする機能が可能な「図面」と「明細書」の間の関連付けをいう。
【0047】
具体的には、表示部4に表示された「図面」における符号に対して、入力部1を使ってカーソルを近づける第1操作が行われた時に、第1操作で指定された符号に対応して制御部2によって特定された符号名称が表示された状態で、「図面」が表示される。例えば、図10の状態で、第2画面P2上の「図2」における符号「10」に対して、カーソルを近づける第1操作が行われると、制御部2は、第2画面P2上の「図面」における符号「10」を強調表示させ、当該符号に対応する符号名称「前面部」をツールチップで重畳表示させる(図11参照)。
【0048】
また、表示部4に表示された「図面」における符号に対して、若しくは、第1操作で指定された符号に対応して制御部2によって特定された符号名称に対して、入力部1を使ってクリック操作などの第2操作が行われた時に、第2操作で指定された符号や符号名称が強調された状態で、「明細書」が表示される。例えば、図11の状態で、クリック操作など、第2画面P2上にツールチップで重畳表示された符号名称「前面部」に対して第2操作が行われると(若しくは、図10の状態で、「図2」における符号「10」に対して第2操作が行われると)、制御部2は、第1画面P1の表示をアクティブにし、当該符号「10」や符号名称「前面部」を第1画面P1の明細書上で強調表示させる(図12参照)。
【0049】
また、表示部4に表示された「明細書」における符号若しくは符号名称に対して、入力部1を使ってクリック操作などの第3操作が行われた時に、第3操作で指定された符号若しくは第3操作で指定された符号名称に対応する符号が強調表示され、且つ第3操作で指定された符号名称若しくは第3操作で指定された符号に対応する符号名称が表示された状態で、「図面」が表示される。例えば、図13の状態で、クリック操作など、第1画面P1上の「明細書」における符号名称「上面部」や符号「50」に対して第3操作が行われると、制御部2は、第2画面P2の表示をアクティブにし、符号「50」を第2画面P2の図面上で強調表示し、符号名称「上面部」をツールチップで重畳表示させる(図14参照)。
【0050】
また、さらに「明細書」に記載された図面番号(例えば、“図1参照”と記載された領域の“図1”)を、「図面」との間でリンクを形成し、「明細書」に記載された図面番号に対して、第3操作が行われると、制御部2は、第2画面P2の表示をアクティブにし、第3操作に対応する図面番号の図形を含む領域を表示させる形態であってもよい。
【0051】
重畳表示される符号名称の位置、色、符号の強調表示の色は、図5のような図面上の確認画面や、図6のような一覧表上の確認画面を見ながら、入力部1を使って設定(修正)されたものが使用される。
【0052】
所定の操作(第1操作〜第3操作)を行う前は、通常の「明細書」や「図面」にリンクを示す表示が加えられただけの状態で、「明細書」や「図面」を閲覧することが可能である(図10、図13参照)。そして、所定の操作(第1操作〜第3操作)により重畳表示や強調表示などで関連する符号などを目立つ状態で表示することが可能になる(図11、図12、図14参照)。「図面」上の総ての符号名称を重畳表示した場合には、(特に、符号が多い場合)符号と符号名称の対応関係が分かりにくい状態が起こり得るが、所定の操作(第1操作〜第3操作)に関連した符号などだけを目立つように表示することにより、知りたい情報だけを表示させることが可能になる。
【0053】
なお、特許書類または実用新案書類の電子データは、記録部3に記録されたものに限らず、ネットワークを介して、特許電子図書館(IPDL:Industrial Property Digital Library)などの出願書類に関するデータベースにアクセスし、ダウンロードしたものを利用してもよい。
【0054】
また、特許書類または実用新案書類の電子データのファイル形式はhtml形式に限るものではない。また、特許書類または実用新案書類の電子データの読み取りに変えて、プリントアウトされた特許書類または実用新案書類をスキャナで読み取って電子データ化し、光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)機能で、読み取った内容から文字情報を取得した上で、区分け工程などを行う形態であってもよい。
【0055】
また、区分け工程を行わずに、「明細書」や「図面」の内容を個別に読み込ませる形態であってもよい。また、「明細書」や「図面」の一部だけを読み込ませて第1抽出工程などを行う形態であってもよい。例えば、図面に表示された図形をサムネール表示させ、第1抽出工程を行う図形を選択する形態が考えられる。
【0056】
また、「明細書」を表示する第1画面P1の表示は、「符号の説明」などの項目ごとにタブ等で切り替えて表示する形態であってもよいし、本実施形態のように総ての内容をスクロール表示する形態であってもよい。同様に、「図面」を表示する第2画面P2の表示は、図面番号ごとにタブ等で切り替えて表示する形態であってもよいし、本実施形態のように総ての図をスクロール表示する形態であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 入力部
2 制御部
3 記録部
4 表示部
5 プリンタ
6 通信部
P1〜P3 第1〜第3画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも「明細書」と「図面」を含む特許書類または実用新案書類における前記「明細書」と前記「図面」に関する情報を入力するために使用される入力部と、
前記「図面」に記載された符号に対応し、前記「明細書」に記載された符号名称を特定する制御部と、
前記「図面」を表示し、その上に前記制御部によって特定された符号名称を表示する表示部とを備えることを特徴とする知的財産管理装置。
【請求項2】
前記制御部によって特定された符号名称の表示は、対応する符号を含めた状態で行われることを特徴とする請求項1に記載の知的財産管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記「図面」に記載された符号を抽出する第1抽出工程と、前記「明細書」に記載された符号とかかる符号に隣接する符号名称とを抽出する第2抽出工程と、前記「図面」の符号と前記「明細書」の符号名称とを関連付けする関連付け工程とを実行して、前記「図面」に記載された符号に対応し、前記「明細書」に記載された符号名称を特定することを特徴とする請求項1に記載の知的財産管理装置。
【請求項4】
前記制御部によって特定された符号名称は、表示位置や表示内容が、前記入力部を使って変更可能な状態で、前記「図面」の上に表示されることを特徴とする請求項1に記載の知的財産管理装置。
【請求項5】
前記表示部に表示された前記「図面」における符号に対して、前記入力部を使って第1操作が行われた時に、前記第1操作で指定された符号に対応して前記制御部によって特定された符号名称が表示された状態で、前記「図面」が表示されることを特徴とする請求項1に記載の知的財産管理装置。
【請求項6】
前記表示部に表示された前記「図面」における符号に対して、若しくは、前記第1操作で指定された符号に対応して前記制御部によって特定された符号名称に対して、前記入力部を使って第2操作が行われた時に、前記第2操作で指定された符号や符号名称が強調された状態で、前記「明細書」が表示されることを特徴とする請求項5に記載の知的財産管理装置。
【請求項7】
前記表示部に表示された前記「明細書」における符号若しくは符号名称に対して、前記入力部を使って第3操作が行われた時に、前記第3操作で指定された符号若しくは前記第3操作で指定された符号名称に対応する符号が強調表示され、且つ前記第3操作で指定された符号名称若しくは前記第3操作で指定された符号に対応する符号名称が表示された状態で、前記「図面」が表示されることを特徴とする請求項1に記載の知的財産管理装置。
【請求項8】
少なくとも「明細書」と「図面」を含む特許書類または実用新案書類から、「図面」に記載された符号を抽出する第1抽出工程と、
前記特許書類または前記実用新案書類から、「明細書」に記載された符号とかかる符号に隣接する符号名称とを抽出する第2抽出工程と、
前記「図面」の符号と前記「明細書」の符号名称とを関連付けする関連付け工程とを実行して、前記「図面」の上に前記関連付けに基づいて特定された符号名称を表示することを特徴とする知的財産管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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