矩形領域を照射するLED照明モジュール
【課題】矩形領域を照度一様に照射する照明モジュールを提供する。
【解決手段】レンズの形状が2つの非球面曲面とこれらの交線にフィレットを付した形状であり、前記2つの非球面曲面は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義されるものであって、前記LEDの中心を通りLEDの発光面に直交する面を対称面とし、前記対称面に直交し前記LEDの中心を通る面を第一の定義面とし、前記共有する長軸を含み前記第一の定義面と直交する面を第二の定義面とし、前記短軸のうち2本は前記第一の定義面に含まれ、他の2本は前記第二の定義面に含まれるものとする
【解決手段】レンズの形状が2つの非球面曲面とこれらの交線にフィレットを付した形状であり、前記2つの非球面曲面は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義されるものであって、前記LEDの中心を通りLEDの発光面に直交する面を対称面とし、前記対称面に直交し前記LEDの中心を通る面を第一の定義面とし、前記共有する長軸を含み前記第一の定義面と直交する面を第二の定義面とし、前記短軸のうち2本は前記第一の定義面に含まれ、他の2本は前記第二の定義面に含まれるものとする
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。詳しくは、発光ダイオード(LED)を含む発光素子と、当該発光素子に接触し当該発光素子から発せられた光を受光するよう配置されたレンズとを有する照明モジュール、及び当該照明モジュールに用いられるレンズの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路や公園といった屋外の照明の発光装置としては、白熱灯や蛍光灯、水銀灯などが使用されていた。これらの発光装置は相対的に消費電力が大きく、また寿命が相対的に短いため電球交換などランニングコストが嵩む。そのため最近では、光源にLEDを使用することが提案されている。
【0003】
LEDを用いた街路灯の場合、形状は種々考えられるが、例えば特許文献1に開示されているように、複数のLED光学ユニットを集積することでLED照明灯具を構成するものが多数存在する。特許文献1においては、個々のLED光学ユニットは各々に異なる配光特性を有するLED光学モジュールが積載され、結果として異なる配光特性を有するLED光学ユニットがLED照明灯具上に複数配置される。その配置組合せにより、照射エリアをむらなく照射することを特徴とする照明灯具が開示されている。
【0004】
しかし、上記開示文献において、個々のLED光学モジュールが受け持つ照射領域内の照度一様性については開示が無い。そのため、LED照明灯具によって照射される領域内には照度に細かなムラが多数生じることになる。
【0005】
また、個々のLED光学モジュールが受け持つ照射領域が円形である場合、相互に重なり合う、或いは照射が及ばない領域が生じることで、照度にバラツキが出る。これを回避するためには矩形領域を照射するLED光学モジュールを採用することが有効と考えられる。しかしこの点について、例えば特許文献2ないし特許文献4にあるように種々の形状のレンズが開示されているものの、矩形領域を均一に照射するLED光学モジュールを構成するレンズについては開示が無かった。
【0006】
とりわけ、道路照明においては照度の均一性が厳に求められるが、照明灯具の道路幅方向における設置位置、高さ、角度はロケーションによりまちまちであり、これらの設置条件に適した形状のレンズを設計するため、設計自由度の高いレンズを提供することについて希求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−108674
【特許文献2】特開2004−87179
【特許文献3】特開2008−305923
【特許文献4】特開2003−209288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、照射領域の照度を均一に照射する照明灯具を構成するための、矩形領域を照射するLED照明モジュールを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため請求項1に記載のLED照明モジュールは、
略平面形状を有するチップ型又はCOB(チップオンボード)タイプのLEDと、前記LEDの発光面側を覆うように配置されたレンズとを含むLED照明モジュールであって、前記レンズの形状は、2つの非球面曲面とこれらの交線にフィレットを付した形状であり、前記2つの非球面曲面は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義されるものであって、前記LEDの中心を通りLEDの発光面に直交する面を対称面とし、前記対称面に直交し前記LEDの中心を通る面を第一の定義面とし、前記共有する長軸を含み前記第一の定義面と直交する面を第二の定義面とし、前記短軸のうち2本は前記第一の定義面に含まれ、他の2本は前記第二の定義面に含まれることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載のLED照明モジュールは、前記LEDの発光面周縁部にリフレクタが更に配置されており、前記リフレクタはLED側が細く、レンズ側が太い回転対称形である
ことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載のLED照明モジュールは、前記レンズの入射面の側面に固定用フランジを有していることを特徴としている。なおこれらのLED照明モジュールにおけるレンズの材質には、ガラスを採用することもできる(請求項4)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のLED照明モジュールによれば、レンズの表面形状を非球面自由曲面としたため配光制御に優れており、矩形領域を高効率で照度一様に照らすことができる。またレンズ形状を非対称形状にしたため、矩形領域の正面中心から傾いた位置に設置しても照度の一様性を実現することができる。また耐熱性、耐抗性が相対的に優れたガラス材質を用いることができるため、屋外照明用モジュールとしても適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図である。
【図2】同じくLED照明モジュール1(レンズ11)の別の角度からの斜視図である。
【図3】同じくLED照明モジュール1(レンズ11)の別の角度からの斜視図である。
【図4】LED照明モジュール1の正面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】図4におけるB−B線断面図である。
【図7】(a)LED照明モジュール1の正面図である。(b)(a)におけるC−C線断面図である。
【図8】(a)LED照明モジュール1の側面図である。 (b)(a)におけるD−D線断面図である。
【図9】非球面曲面を定義する楕円の模式図である。
【図10】長軸に直交する平面における4つの楕円との交点を通るスプライン曲線の模式図である。
【図11】フィレットの曲面の定義方法を説明する模式図である。
【図12】本発明の第二の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図、正面図、平面図及び側面図である。
【図13】本発明の第三の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図、正面図、平面図及び側面図である。
【図14】本発明の第四の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図、正面図、平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、全図を通じ同一部分には同一の符号を付すこととする。
【0015】
図1は、本発明の第一の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図である。LED照明モジュールは、レンズ11、LEDチップ12、リフレクタ13から構成されている。図2に示すように、レンズ11の底面側つまりLEDチップ12を配置する側には、底面113の略中央部付近にLEDチップ12を内包するための空洞が設けられており、受光面111及び内側面112が存在する。リフレクタ13は内側面112の内側に沿うように配置され、その中央部にLEDチップ12が配置される。
【0016】
リフレクタ13は円錐台の側面形状からなり、LEDチップ12の発光面側の半径が短く、レンズ13側の半径が長く構成されている。リフレクタ13はLEDチップ12の発光面から側方方向に発せられる光をレンズ11方向に反射する。これにより照明モジュールとしての発光効率が向上する。
【0017】
LEDチップ12(図示しない)はLED素子を基盤電極であるプリント基板上に載せ、このLED素子ともう一つの基板電極をボンディングワイヤーにて接続し、これを透明のエポキシ樹脂にて封止してなる。
【0018】
次にレンズ11の発光面側の形状について説明する。図3はレンズ11を発光面からみた斜視図である。レンズ11の発光面は、二つの凸曲面部114と、これに挟まれたフィレット部115とからなる。図4はLED発光モジュール(レンズ11)を発光面側から図示した正面図であり、図5はそのA−A線における断面図、図6はそのB−B線における断面図である。図5に示されているように、凸曲面部114は非球面曲面にて構成されており、これとフィレット部115とは段差を生じない連続曲面となっている。
【0019】
図6に示すように、フィレット部115は凸曲面部114に比して基底部から頂部にいたるまで絞りがかかった形状となっている。これは図4からも明らかなように、LEDチップ12は発光面からの正面視においてレンズ11の略中央、つまりフィレット部115の直下に位置することから、発光面の直上部分にあたるフィレット部115の長手方向においては凹形状とすることで光を長手方向に拡散させ、照射領域の照度一様性を実現するためである。一方短手方向においては凸レンズ形状となっており、所定の矩形領域内に集光させる形状となっている。
【0020】
次に図7から図10を用いて、非球面曲面である凸曲面部114の形状の規定方法について説明する。図7(a)はLED照明モジュール1(レンズ11)の発光面からの正面図である。レンズ11は図中に示した対称面SAを境にして左右対称に構成されている。図7(b)は図7(a)におけるC−C線での断面図に、凸曲面部114を規定する仮想半楕円を重ねて表示したものである。凸曲面部114は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義される。共通長軸LAは、LEDチップ12の中心を通り対象面SAと垂直な面(本C−C断面)上に規定する。また4つの半楕円のうち二つ(半楕円EL1、半楕円EL2)はこの面上に配置される。
【0021】
図8(a)はLED照明モジュール1(レンズ11)の側面図である。またD−D線は上記したように規定した共通長軸を含み上記C−C断面と垂直な面を表している。図8(b)は図8(a)のD−D断面図である。非球面曲面を規定する残り2つの半楕円(EL3、EL4)は、この断面上に配置される。すなわち共通長軸LAを前述の半楕円(EL1、EL2)と共有し、これらと垂直な面であるD−D断面上において、所定の短軸長さを定義されることにより決定される。
【0022】
次にこれら4つの半楕円から凸曲面部114の非球面形状を定義する過程について説明する。図9は、C−C断面上において上記のように定義された各半楕円(EL1、EL2)を正面視した模式図である。二つの半楕円は同一平面上に現れ、長軸を共有することから、二つの半楕円の短軸長さが近似する場合、図示するように略楕円形状として認識される。ただし短軸長さは当該LED照明モジュールを配置する条件により適宜変更されるパラメータである。
【0023】
長軸に直交する平面SCを仮想し、これと各半楕円(本図の場合、EL1、EL2)との交点(IP1、IP2)を確定する。同様に、図示しないが、D−D断面上において定義された各半楕円(EL3、EL4)についても、これと共通長軸に直交する平面SCとの交点(IP3、IP4)を確定する。
【0024】
図10は、共通長軸LAに直交する平面SCに現れる4つの交点(IP1、IP2、IP3、IP4)を結ぶスプライン曲線を模式的に示したものである。これが非球面曲面の発光側表面を定義する曲線となり、共通長軸LAに直交する平面SCを共通長軸LAに並行に連続的に設定することにより描かれる軌跡の集合により凸曲面部114が規定される。
【0025】
次に図11を用いてフィレット部115の曲面定義の説明を行う。図11は、図7(a)のC−C面において表れる端面の一部を示した図である。フィレット部115の表面形状は、パラメータとして任意設定可能な半径rを有する円が凸曲面部114の端面として表れる曲線と正接する2点間の弧によって規定される。この半径rが大きければフィレット部の幅は長くなり、小さければ短くなる。同様な演算をC−C端面と平行な端面において順次行うことにより、フィレット部115の発光面側曲面形状が規定される。
【0026】
なお上記における仮想楕円の頂点の位置、長軸の長さ、傾き、短軸の長さ、フィレット半径rは、設計パラメータとして所望の値を設定することが可能である。これらのパラメータを順次変動させることにより、照度分布が一様に近づくように最適化させる。これらを変数としてとることにより、形状を変化できる範囲が大きい一方、パラメータが多すぎずソフトウェアにおける演算において最適化しやすいというメリットがある。
【0027】
またレンズ11の形状としても、滑らかな曲面で構成され光線の向きが不連続に変化するエッジが生じないため照度一様性に寄与するという利点がある。とりわけレンズ11の発光側曲面として非球面曲面を採用することができるため、曲率半径を適宜設計することができ、所望の配光制御を行うことができる。
【0028】
本発明にかかるLED発光モジュール1が適用される典型的な場面としては街灯照明が挙げられるが、街灯照明においては所望する照射領域と照明との配置が一様ではなく、また往々にして照射領域の中心からずれ、傾いた位置に取り付ける場合がある。こうした場合にも、上記のように短軸をパラメータとして設計可能としていることにより、矩形照射領域の短辺方向にレンズ形状を非対称に設計することができ、適用性が高まるという利点がある。
【0029】
なおレンズ11の形状として、例えば図12のようにフランジ部を設けてもよい。また図13のようにLEDチップ12のハウジング部を設けず底面113が平面形状となっており、これにLEDチップ12を接触するように配置してもよい。更には受光面111も非球面自由曲面とすることにより光の拡散収束をコントロールするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 LED照明モジュール
11 レンズ
12 LEDチップ
13 リフレクタ
111 受光面
112 内側面
113 底面
114 凸曲面部
115 フィレット部
SA 対称面
LA 共通長軸
EL1、EL2、EL3、EL4 半楕円
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。詳しくは、発光ダイオード(LED)を含む発光素子と、当該発光素子に接触し当該発光素子から発せられた光を受光するよう配置されたレンズとを有する照明モジュール、及び当該照明モジュールに用いられるレンズの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路や公園といった屋外の照明の発光装置としては、白熱灯や蛍光灯、水銀灯などが使用されていた。これらの発光装置は相対的に消費電力が大きく、また寿命が相対的に短いため電球交換などランニングコストが嵩む。そのため最近では、光源にLEDを使用することが提案されている。
【0003】
LEDを用いた街路灯の場合、形状は種々考えられるが、例えば特許文献1に開示されているように、複数のLED光学ユニットを集積することでLED照明灯具を構成するものが多数存在する。特許文献1においては、個々のLED光学ユニットは各々に異なる配光特性を有するLED光学モジュールが積載され、結果として異なる配光特性を有するLED光学ユニットがLED照明灯具上に複数配置される。その配置組合せにより、照射エリアをむらなく照射することを特徴とする照明灯具が開示されている。
【0004】
しかし、上記開示文献において、個々のLED光学モジュールが受け持つ照射領域内の照度一様性については開示が無い。そのため、LED照明灯具によって照射される領域内には照度に細かなムラが多数生じることになる。
【0005】
また、個々のLED光学モジュールが受け持つ照射領域が円形である場合、相互に重なり合う、或いは照射が及ばない領域が生じることで、照度にバラツキが出る。これを回避するためには矩形領域を照射するLED光学モジュールを採用することが有効と考えられる。しかしこの点について、例えば特許文献2ないし特許文献4にあるように種々の形状のレンズが開示されているものの、矩形領域を均一に照射するLED光学モジュールを構成するレンズについては開示が無かった。
【0006】
とりわけ、道路照明においては照度の均一性が厳に求められるが、照明灯具の道路幅方向における設置位置、高さ、角度はロケーションによりまちまちであり、これらの設置条件に適した形状のレンズを設計するため、設計自由度の高いレンズを提供することについて希求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−108674
【特許文献2】特開2004−87179
【特許文献3】特開2008−305923
【特許文献4】特開2003−209288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、照射領域の照度を均一に照射する照明灯具を構成するための、矩形領域を照射するLED照明モジュールを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため請求項1に記載のLED照明モジュールは、
略平面形状を有するチップ型又はCOB(チップオンボード)タイプのLEDと、前記LEDの発光面側を覆うように配置されたレンズとを含むLED照明モジュールであって、前記レンズの形状は、2つの非球面曲面とこれらの交線にフィレットを付した形状であり、前記2つの非球面曲面は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義されるものであって、前記LEDの中心を通りLEDの発光面に直交する面を対称面とし、前記対称面に直交し前記LEDの中心を通る面を第一の定義面とし、前記共有する長軸を含み前記第一の定義面と直交する面を第二の定義面とし、前記短軸のうち2本は前記第一の定義面に含まれ、他の2本は前記第二の定義面に含まれることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載のLED照明モジュールは、前記LEDの発光面周縁部にリフレクタが更に配置されており、前記リフレクタはLED側が細く、レンズ側が太い回転対称形である
ことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載のLED照明モジュールは、前記レンズの入射面の側面に固定用フランジを有していることを特徴としている。なおこれらのLED照明モジュールにおけるレンズの材質には、ガラスを採用することもできる(請求項4)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のLED照明モジュールによれば、レンズの表面形状を非球面自由曲面としたため配光制御に優れており、矩形領域を高効率で照度一様に照らすことができる。またレンズ形状を非対称形状にしたため、矩形領域の正面中心から傾いた位置に設置しても照度の一様性を実現することができる。また耐熱性、耐抗性が相対的に優れたガラス材質を用いることができるため、屋外照明用モジュールとしても適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図である。
【図2】同じくLED照明モジュール1(レンズ11)の別の角度からの斜視図である。
【図3】同じくLED照明モジュール1(レンズ11)の別の角度からの斜視図である。
【図4】LED照明モジュール1の正面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】図4におけるB−B線断面図である。
【図7】(a)LED照明モジュール1の正面図である。(b)(a)におけるC−C線断面図である。
【図8】(a)LED照明モジュール1の側面図である。 (b)(a)におけるD−D線断面図である。
【図9】非球面曲面を定義する楕円の模式図である。
【図10】長軸に直交する平面における4つの楕円との交点を通るスプライン曲線の模式図である。
【図11】フィレットの曲面の定義方法を説明する模式図である。
【図12】本発明の第二の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図、正面図、平面図及び側面図である。
【図13】本発明の第三の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図、正面図、平面図及び側面図である。
【図14】本発明の第四の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図、正面図、平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、全図を通じ同一部分には同一の符号を付すこととする。
【0015】
図1は、本発明の第一の実施例にかかるLED照明モジュール1の斜視図である。LED照明モジュールは、レンズ11、LEDチップ12、リフレクタ13から構成されている。図2に示すように、レンズ11の底面側つまりLEDチップ12を配置する側には、底面113の略中央部付近にLEDチップ12を内包するための空洞が設けられており、受光面111及び内側面112が存在する。リフレクタ13は内側面112の内側に沿うように配置され、その中央部にLEDチップ12が配置される。
【0016】
リフレクタ13は円錐台の側面形状からなり、LEDチップ12の発光面側の半径が短く、レンズ13側の半径が長く構成されている。リフレクタ13はLEDチップ12の発光面から側方方向に発せられる光をレンズ11方向に反射する。これにより照明モジュールとしての発光効率が向上する。
【0017】
LEDチップ12(図示しない)はLED素子を基盤電極であるプリント基板上に載せ、このLED素子ともう一つの基板電極をボンディングワイヤーにて接続し、これを透明のエポキシ樹脂にて封止してなる。
【0018】
次にレンズ11の発光面側の形状について説明する。図3はレンズ11を発光面からみた斜視図である。レンズ11の発光面は、二つの凸曲面部114と、これに挟まれたフィレット部115とからなる。図4はLED発光モジュール(レンズ11)を発光面側から図示した正面図であり、図5はそのA−A線における断面図、図6はそのB−B線における断面図である。図5に示されているように、凸曲面部114は非球面曲面にて構成されており、これとフィレット部115とは段差を生じない連続曲面となっている。
【0019】
図6に示すように、フィレット部115は凸曲面部114に比して基底部から頂部にいたるまで絞りがかかった形状となっている。これは図4からも明らかなように、LEDチップ12は発光面からの正面視においてレンズ11の略中央、つまりフィレット部115の直下に位置することから、発光面の直上部分にあたるフィレット部115の長手方向においては凹形状とすることで光を長手方向に拡散させ、照射領域の照度一様性を実現するためである。一方短手方向においては凸レンズ形状となっており、所定の矩形領域内に集光させる形状となっている。
【0020】
次に図7から図10を用いて、非球面曲面である凸曲面部114の形状の規定方法について説明する。図7(a)はLED照明モジュール1(レンズ11)の発光面からの正面図である。レンズ11は図中に示した対称面SAを境にして左右対称に構成されている。図7(b)は図7(a)におけるC−C線での断面図に、凸曲面部114を規定する仮想半楕円を重ねて表示したものである。凸曲面部114は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義される。共通長軸LAは、LEDチップ12の中心を通り対象面SAと垂直な面(本C−C断面)上に規定する。また4つの半楕円のうち二つ(半楕円EL1、半楕円EL2)はこの面上に配置される。
【0021】
図8(a)はLED照明モジュール1(レンズ11)の側面図である。またD−D線は上記したように規定した共通長軸を含み上記C−C断面と垂直な面を表している。図8(b)は図8(a)のD−D断面図である。非球面曲面を規定する残り2つの半楕円(EL3、EL4)は、この断面上に配置される。すなわち共通長軸LAを前述の半楕円(EL1、EL2)と共有し、これらと垂直な面であるD−D断面上において、所定の短軸長さを定義されることにより決定される。
【0022】
次にこれら4つの半楕円から凸曲面部114の非球面形状を定義する過程について説明する。図9は、C−C断面上において上記のように定義された各半楕円(EL1、EL2)を正面視した模式図である。二つの半楕円は同一平面上に現れ、長軸を共有することから、二つの半楕円の短軸長さが近似する場合、図示するように略楕円形状として認識される。ただし短軸長さは当該LED照明モジュールを配置する条件により適宜変更されるパラメータである。
【0023】
長軸に直交する平面SCを仮想し、これと各半楕円(本図の場合、EL1、EL2)との交点(IP1、IP2)を確定する。同様に、図示しないが、D−D断面上において定義された各半楕円(EL3、EL4)についても、これと共通長軸に直交する平面SCとの交点(IP3、IP4)を確定する。
【0024】
図10は、共通長軸LAに直交する平面SCに現れる4つの交点(IP1、IP2、IP3、IP4)を結ぶスプライン曲線を模式的に示したものである。これが非球面曲面の発光側表面を定義する曲線となり、共通長軸LAに直交する平面SCを共通長軸LAに並行に連続的に設定することにより描かれる軌跡の集合により凸曲面部114が規定される。
【0025】
次に図11を用いてフィレット部115の曲面定義の説明を行う。図11は、図7(a)のC−C面において表れる端面の一部を示した図である。フィレット部115の表面形状は、パラメータとして任意設定可能な半径rを有する円が凸曲面部114の端面として表れる曲線と正接する2点間の弧によって規定される。この半径rが大きければフィレット部の幅は長くなり、小さければ短くなる。同様な演算をC−C端面と平行な端面において順次行うことにより、フィレット部115の発光面側曲面形状が規定される。
【0026】
なお上記における仮想楕円の頂点の位置、長軸の長さ、傾き、短軸の長さ、フィレット半径rは、設計パラメータとして所望の値を設定することが可能である。これらのパラメータを順次変動させることにより、照度分布が一様に近づくように最適化させる。これらを変数としてとることにより、形状を変化できる範囲が大きい一方、パラメータが多すぎずソフトウェアにおける演算において最適化しやすいというメリットがある。
【0027】
またレンズ11の形状としても、滑らかな曲面で構成され光線の向きが不連続に変化するエッジが生じないため照度一様性に寄与するという利点がある。とりわけレンズ11の発光側曲面として非球面曲面を採用することができるため、曲率半径を適宜設計することができ、所望の配光制御を行うことができる。
【0028】
本発明にかかるLED発光モジュール1が適用される典型的な場面としては街灯照明が挙げられるが、街灯照明においては所望する照射領域と照明との配置が一様ではなく、また往々にして照射領域の中心からずれ、傾いた位置に取り付ける場合がある。こうした場合にも、上記のように短軸をパラメータとして設計可能としていることにより、矩形照射領域の短辺方向にレンズ形状を非対称に設計することができ、適用性が高まるという利点がある。
【0029】
なおレンズ11の形状として、例えば図12のようにフランジ部を設けてもよい。また図13のようにLEDチップ12のハウジング部を設けず底面113が平面形状となっており、これにLEDチップ12を接触するように配置してもよい。更には受光面111も非球面自由曲面とすることにより光の拡散収束をコントロールするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 LED照明モジュール
11 レンズ
12 LEDチップ
13 リフレクタ
111 受光面
112 内側面
113 底面
114 凸曲面部
115 フィレット部
SA 対称面
LA 共通長軸
EL1、EL2、EL3、EL4 半楕円
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平面形状を有するチップ型又はCOB(チップオンボード)タイプのLEDと、
前記LEDの発光面側を覆うように配置されたレンズと
を含むLED照明モジュールであって、
前記レンズの形状は、2つの非球面曲面とこれらの交線にフィレットを付した形状であり、
前記2つの非球面曲面は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義されるものであって、
前記LEDの中心を通りLEDの発光面に直交する面を対称面とし、
前記対称面に直交し前記LEDの中心を通る面を第一の定義面とし、
前記共有する長軸を含み前記第一の定義面と直交する面を第二の定義面とし、
前記短軸のうち2本は前記第一の定義面に含まれ、他の2本は前記第二の定義面に含まれる
ことを特徴とするLED照明モジュール。
【請求項2】
前記LEDの発光面周縁部にリフレクタが更に配置されており、
前記リフレクタはLED側が細く、レンズ側が太い回転対称形である
ことを特徴とする、請求項1に記載のLED照明モジュール。
【請求項3】
前記レンズの入射面の側面に固定用フランジを有していることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載のLED照明モジュール。
【請求項4】
前記レンズはガラス材質であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のLED照明モジュール。
【請求項1】
略平面形状を有するチップ型又はCOB(チップオンボード)タイプのLEDと、
前記LEDの発光面側を覆うように配置されたレンズと
を含むLED照明モジュールであって、
前記レンズの形状は、2つの非球面曲面とこれらの交線にフィレットを付した形状であり、
前記2つの非球面曲面は、長軸を共有し短軸はそれぞれ異なる4つの半楕円をその断面として有する形状として定義されるものであって、
前記LEDの中心を通りLEDの発光面に直交する面を対称面とし、
前記対称面に直交し前記LEDの中心を通る面を第一の定義面とし、
前記共有する長軸を含み前記第一の定義面と直交する面を第二の定義面とし、
前記短軸のうち2本は前記第一の定義面に含まれ、他の2本は前記第二の定義面に含まれる
ことを特徴とするLED照明モジュール。
【請求項2】
前記LEDの発光面周縁部にリフレクタが更に配置されており、
前記リフレクタはLED側が細く、レンズ側が太い回転対称形である
ことを特徴とする、請求項1に記載のLED照明モジュール。
【請求項3】
前記レンズの入射面の側面に固定用フランジを有していることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載のLED照明モジュール。
【請求項4】
前記レンズはガラス材質であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のLED照明モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−40315(P2011−40315A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188068(P2009−188068)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(502457249)サイバネットシステム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(502457249)サイバネットシステム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]