説明

石炭ガス化スラグの加熱発泡特性と最適焼成温度の予測方法並びにそのプログラム

【課題】石炭ガス化スラグを実際に作製することなく、加熱発泡特性や最適焼成温度を予測する。
【解決手段】石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて熱力学平衡計算を行い、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測して、結晶析出特性から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測するようにした。また、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学平衡計算を複数の焼成温度に対して行い、複数の焼成温度での石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測して、結晶析出特性から石炭ガス化スラグを発泡させる為に最適な焼成温度を予測するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化スラグの加熱発泡特性と最適焼成温度の予測方法並びにそのプログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性の良否や発泡に最適な焼成温度を予測する方法並びにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化複合発電は、高効率且つ環境性に優れた発電システムとして早期実用化が期待されている。この石炭ガス化複合発電の中核設備である石炭ガス化炉からは、燃料石炭中の灰分のほぼ全量がガラス状の石炭ガス化スラグとして排出され、その量は、250MW級の発電所においては約2万トン/年と大量である。
【0003】
この大量に排出される石炭ガス化スラグを資源として有効利用するための技術が各種提案されている。例えば、石炭ガス化スラグを焼成して発泡させ、人工軽量骨材として用いることが提案されている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0004】
ところで、石炭ガス化炉に供される石炭種によっては、排出される石炭ガス化スラグがほとんど加熱発泡特性を示さない場合がある。そこで従来は、各種石炭から石炭ガス化スラグを実際に作製し、この試料を焼成処理した後に絶乾密度を測定して、その測定結果から良好な加熱発泡特性を示す石炭ガス化スラグの元素組成の傾向を決定していた(例えば、特許文献1を参照)。発泡に最適な焼成温度についても、従来は、各種石炭から石炭ガス化スラグを複数準備し、これらの試料を各種温度で焼成処理した後に絶乾密度を測定して、その測定結果に基づいて決定していた。
【0005】
また、石炭ガス化複合発電には、瀝青炭が用いられることが多いため、発泡に最適な石炭ガス化スラグの元素組成の検討は、瀝青炭灰の主成分であるSiOとAlに重点をおいて行われていた(例えば、特許文献1並びに非特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2004−269302
【非特許文献1】電力中央研究所報告 U02059
【非特許文献2】電力中央研究所報告 W03040
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、石炭ガス化処理を行って石炭ガス化スラグを実際に作製し、その加熱発泡特性等を検討する場合、石炭ガス化処理を行うための高圧ガス化炉の運転に多大な経費が必要となるだけでなく、石炭ガス化スラグを焼成処理して絶乾密度を測定する為に多くの手間や時間が必要となる。様々な石炭種から実際に石炭ガス化スラグを作製して加熱発泡特性等を検討する場合、必要となる経費や手間、時間はさらに多大なものとなる。したがって、石炭ガス化スラグの作製を実際に行うことなく、加熱発泡特性や最適焼成温度を予測する手法の確立が望まれる。
【0007】
また、高品位炭と呼ばれる瀝青炭だけでなく、低品位炭と呼ばれる石炭種の石炭ガス化複合発電への適用が望まれつつある。かかる状況下においては、瀝青炭灰の主成分であるSiOとAlに関する加熱発泡特性や最適焼成温度の検討だけでなく、SiOとAlの含有率が低い低品位炭の加熱発泡特性や最適焼成温度を簡易に予測するための手法が望まれる。
【0008】
そこで、本発明は、石炭ガス化スラグを実際に作製することなく、加熱発泡特性や最適焼成温度を予測する方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため、本願発明者等が鋭意検討を行った結果、焼成後に良好な発泡性を示す石炭ガス化スラグには共通の傾向があることを見出した。即ち、焼成後の石炭ガス化スラグをX線回折(以下、XRDと呼ぶ)分析により結晶構造解析を行った場合、焼成後に良好な発泡性を示す石炭ガス化スラグのXRDスペクトルにおいては、図1に示すブロードな非晶質ピークがベースラインとして維持される傾向があることを見出した。そこで、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測できれば石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測することが可能であることを知見し、本願発明に至った。
【0010】
かかる知見に基づく請求項1に記載の石炭ガス化スラグの加熱発泡特性予測方法は、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測する方法であって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて熱力学平衡計算を行い、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測して、結晶析出特性から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測するようにしている。
【0011】
また、かかる知見に基づく請求項3に記載の石炭ガス化スラグの加熱発泡特性予測プログラムは、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測するプログラムであって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とを記憶させて石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学平衡計算を実行し、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測する処理と、結晶析出特性から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測する処理とをコンピュータに実行させるものである。
【0012】
焼成後に良好な発泡性を示す石炭ガス化スラグ中には、非晶質成分が維持されている。したがって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件に基づいて熱力学平衡計算を行い、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測することにより、石炭ガス化スラグ中の成分が結晶質に支配されていないと予測される場合には、加熱発泡特性が良好であると予測することができる。
【0013】
ここで、本発明における熱力学平衡計算とは、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいてギブズ自由エネルギーが最小化される平衡組成を最適化手法により算出する手法である。
【0014】
熱力学平衡計算を行うことにより、焼成後の石炭ガス化スラグに含まれる結晶の種類・量を評価することができる。
【0015】
ここで、本発明における石炭ガス化スラグの焼成条件とは、石炭ガス化スラグの焼成温度と焼成時のガス組成とを意味している。
【0016】
次に、請求項2に記載の石炭ガス化スラグの最適焼成温度予測方法は、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグを発泡させる為の最適焼成温度を予測する方法であって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学平衡計算を複数の焼成温度に対して行い、複数の焼成温度での石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測して、結晶析出特性から石炭ガス化スラグを発泡させる為に最適な焼成温度を予測するようにしている。
【0017】
また、請求項4に記載の石炭ガス化スラグの最適焼成温度予測プログラムは、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグを発泡させる為の最適焼成温度を予測するプログラムであって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件と記憶させて石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学的平衡計算を複数の焼成温度に対して実行し、複数の焼成温度での石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測する処理と、結晶析出特性から石炭ガス化スラグを発泡させる為に最適な焼成温度を予測する処理とをコンピュータに実行させるものである。
【0018】
焼成後に良好な発泡性を示す石炭ガス化スラグ中には、非晶質成分が維持されている。したがって、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学平衡計算を複数の焼成温度に対して行い、複数の焼成温度における石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測することにより、石炭ガス化スラグ中の成分が結晶質に支配されていないと予測される焼成温度範囲を決定して、その範囲内の最も高い焼成温度を最適焼成温度と予測することができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、石炭ガス化スラグを実際に作製することなく、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡特性を予測することができるので、石炭ガス化処理を行うための高圧ガス化炉の運転経費や、石炭ガス化スラグを焼成処理して絶乾密度を測定する為の手間や時間を省くことができる。また、高品位炭と呼ばれる瀝青炭だけでなく、低品位炭と呼ばれる新しい石炭種の石炭ガス化複合発電への適用に際し、これらの加熱発泡特性を簡易に予測することが可能になる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、石炭ガス化スラグを実際に作製することなく、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件から発泡に適した焼成温度を予測することができるので、石炭ガス化処理を行うための高圧ガス化炉の運転経費や、石炭ガス化スラグを焼成処理して絶乾密度を測定する為の手間や時間を省くことができる。また、高品位炭と呼ばれる瀝青炭だけでなく、低品位炭と呼ばれる新しい石炭種の石炭ガス化複合発電への適用に際し、これらの発泡に適した焼成温度を簡易に予測することが可能になる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件を入力するだけで、石炭ガス化スラグの焼成後の発泡特性を予測することが可能となる。したがって、石炭ガス化処理を行うための高圧ガス化炉の運転経費や、石炭ガス化スラグを焼成処理して絶乾密度を測定する為の手間や時間を省いて、様々な石炭種から得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測することが可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件を入力するだけで、石炭ガス化スラグの発泡に適した焼成温度を予測することが可能となる。したがって、石炭ガス化処理を行うための高圧ガス化炉の運転経費や、石炭ガス化スラグを焼成処理して絶乾密度を測定する為の手間や時間を省いて、様々な石炭種から得られる石炭ガス化スラグの発泡に適した焼成温度を予測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
本発明の石炭ガス化スラグの加熱発泡特性予測方法は、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測する方法であって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて熱力学平衡計算を行い、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測して、結晶析出特性から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測するようにしている。
【0025】
本願発明者等は、焼成後に良好な発泡性を示す石炭ガス化スラグには共通の傾向があること、即ち、焼成後の石炭ガス化スラグをXRD分析することにより得られるXRDスペクトルにおいて、焼成後に良好な発泡性を示す石炭ガス化スラグは、図1に示すように、20°〜38°付近に観測されるブロードな非晶質ピークがベースラインに維持される傾向があることを知見した。
【0026】
したがって、焼成後の石炭ガス化スラグをXRD分析して得られたXRDスペクトルにおいて、非晶質ピークがベースラインに維持されている場合には、石炭ガス化スラグの加熱発泡特性が良好であると評価することができる。つまり、焼成後の石炭ガス化スラグの結晶性を評価することでその発泡性の良否を評価することができる。結晶性の評価はXRD分析に限定されず、例えば石炭ガス化スラグの破面や光沢を外観観察することでも簡易に評価ができる。したがって、実際に作製した石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を簡易に評価することを目的とした場合には、焼成後の石炭ガス化スラグの結晶性をXRD分析や外観観察して評価することで当該目的を達成することができ、加熱発泡特性の評価方法として非常に有効な手段となる。また、XRDスペクトルにおいて非晶質ピークが維持される焼成温度範囲であれば、焼成後の石炭ガス化スラグは発泡性が良好であると判断できるので、その焼成温度範囲内で最も高温の焼成温度を最適焼成温度と決定することも可能である。
【0027】
ここで、焼成後の石炭ガス化スラグの結晶性の評価は、熱力学平衡計算により行うことができる。つまり、実際に石炭ガス化スラグを作製することなく、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて熱力学平衡計算を行うことにより、結晶析出特性を予測することで、焼成後の石炭ガス化スラグの結晶性の評価を行うことができる。
【0028】
石炭の灰分の元素組成は、石炭購入時のスペックとして容易に入手できるが、不明な場合には、JIS−M8815に準じて分析した灰組成に基づき決定することができる。
【0029】
ここで、本発明における熱力学平衡計算とは、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいてギブズ自由エネルギーが最小化される平衡組成を最適化手法により算出する手法である。
【0030】
尚、石炭ガス化スラグの焼成条件とは、石炭ガス化スラグの焼成温度と焼成時のガス組成とを意味している。
【0031】
熱力学平衡計算を行うことにより、焼成後の石炭ガス化スラグに含まれる結晶の種類・量を評価することができる。
【0032】
熱力学平衡計算は、FactSage(GTT Technologies GmbH社)、Malt2(科学技術社)、Thermocalc(Thermotech社)、HSC Chemistry(Outokumpu Research社)等の市販のソフトウェアを使用して行うことができる。尚、石炭ガス化スラグの結晶種や結晶含有量(結晶含有率)を計算できるのであればこれらのソフトウェアを用いた計算方法に限定されるものではない。尚、熱力学平衡計算を行うことで、溶融液相の化学組成・量等も評価することも可能である。
【0033】
熱力学平衡計算により結晶析出特性を予測し、焼成後の石炭ガス化スラグに非晶質成分がほとんど維持されておらず結晶質に支配されていると判断される場合には、加熱発泡特性は不良と予測することができる。逆に、石炭ガス化スラグ中に非晶質成分が維持されていると判断される場合には、加熱発泡特性が良好と予測することができる。
【0034】
また、複数の焼成温度に対して熱力学平衡計算を行って結晶析出特性を予測し、焼成後の石炭ガス化スラグ中に非晶質成分が維持されていると判断される焼成温度範囲を決定し、その範囲内における最高温度を最適焼成温度と予測することもできる。
【0035】
ここで、加熱発泡特性の良否を、石炭ガス化スラグに含まれる結晶量(結晶含有率)から判断する手法について図2に基づいて具体的に説明する。図2の横軸は焼成温度、縦軸は熱力学平衡計算により各種焼成温度に対して求めた結晶含有率である。また、破線は結晶含有率閾値αを示している。閾値αは実験的に求めることができる。閾値αの求め方を例を挙げて説明すると以下のようになる。即ち、各種石炭について、これらの石炭の灰の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて各種焼成温度に対して熱力学平衡計算を行って焼成後の石炭ガス化スラグの結晶含有率を求める。次に各種石炭からそれぞれ得られた石炭ガス化スラグを、熱力学平衡計算と同条件の焼成温度で焼成し、焼成後の石炭ガス化スラグの絶乾密度を測定する。そして、それぞれの石炭種について、熱力学平衡計算により得られた結晶含有率と、実測した絶乾密度とを比較し、所望の絶乾密度以下、例えばコンクリート用軽骨材料として用いる場合に好適な絶乾密度である1.6g/m以下となる焼成温度範囲を決定する。この焼成温度範囲内で最も高温の焼成温度における結晶含有率が、その石炭種において非晶質成分が維持されて加熱発泡特性の良好性が維持される結晶含有率の閾値である。この閾値を各種石炭に対して決定し、これらの平均値をとることで、閾値αが決定される。
【0036】
閾値αは、焼成後の石炭ガス化スラグの加熱発泡特性が良否を判断する基準となる。即ち、熱力学平衡計算による焼成後の石炭ガス化スラグの結晶含有率が閾値α以下の場合には加熱発泡特性が良好であると判断できる。さらに、最適焼成温度を決定するための基準とすることもできる。例えば、同一炭種から得られる石炭ガス化スラグについて、各種焼成温度で熱力学平衡計算を行って、各種焼成温度に対して結晶含有率をプロットし、当該プロットデータをフィッティングして得られた直線(曲線)と閾値αとの交点における焼成温度を、加熱発泡特性が良好となる程度に非晶質成分が維持されつつ、発泡が十分に進行する温度であると決定できる。尚、フィッティングには最小二乗法等の公知の手法を用いることができる。
【0037】
図2に基づいてさらに具体的に説明する。図2における炭種cと炭種dから得られる石炭ガス化スラグは焼成温度を1100℃とした場合にも結晶含有率は閾値αよりも小さい。したがって、炭種cと炭種dから得られる石炭ガス化スラグは1100℃においても加熱発泡特性が良好であると判断される。炭種bから得られる石炭ガス化スラグについては、焼成温度がT℃を超えると、その結晶含有率が閾値αを超え、良好な加熱発泡特性が得られなくなる。したがって、良好な加熱発泡特性を得るためにはT℃以下、最も好ましくはT℃で焼成するのがよいと判断される。
【0038】
石炭ガス化スラグを焼成する際の温度は、良好な加熱発泡特性を維持できるのであれば、できるだけ低温で行うことが好ましい。図2に示す炭種cと炭種dは1100℃程度でも焼成できるが、焼成温度が1000℃を超えると石炭ガス化スラグがロータリーキルン内で融着を起こす虞がある。また、キルンによっては1000℃を超える温度で焼成できない場合があり、燃料費や製造コストを低減する観点からも、1000℃以下で焼成することが好ましい。
【0039】
また、900℃以下の焼成温度でも加熱発泡特性が良好な石炭種も存在するが、一般的な石炭種においては、焼成温度を900℃以下とすると石炭ガス化スラグの加熱発泡特性が良好とならない場合があるので、900℃を超える温度で焼成することが好ましい。例えば、図2における炭種aは900℃未満で閾値αを超える為、石炭ガス化スラグを十分に発泡させる温度で焼成できず、加熱発泡特性は不良と判断される。
【0040】
つまり、熱力学平衡計算は、広範囲な焼成温度に対して実行できるが、石炭ガス化スラグを十分に発泡させる為に必要な焼成温度と、キルンを用いた場合の上記問題点とを考慮すると、900℃超〜1000℃の焼成温度範囲で熱力学平衡計算を実行することが好ましい。
【0041】
以上、本発明の加熱発泡特性予測方法によれば、石炭ガス化スラグを確実に発泡させることのできる焼成温度域の予測や、特殊なロータリーキルンを用いることなく、一般的なロータリーキルンで確実に発泡できる焼成温度域の予測を行うことができる。
【0042】
次に、本発明のプログラムについて、図3〜図5に基づいて説明する。
【0043】
本発明の加熱発泡予測プログラムは、例えば、加熱発泡特性予測装置1により実行される。図3に加熱発泡特性予測装置1の構成の一例を示す。加熱発泡特性予測装置1は、ディスプレイ等の出力装置2と、キーボード、マウス等の入力装置3と、演算処理を行う中央処理演算装置(CPU)4と、計算中のデータ、パラメータ等が記憶される主記憶装置(RAM)5と、計算結果等が記録される補助記憶装置としてのハードディスク6と、外部との通信を行う通信インタフェース7等とを備えている。尚、主記憶装置5及び補助記憶装置6を総称して、単に記憶装置ともいう。上記のハードウェア資源は例えばバス8を通じて電気的に接続されている。
【0044】
また、本発明の加熱発泡特性予測プログラムは、補助記憶装置6に記録されており、当該プログラムがCPU4に読み込まれ実行されることによって、コンピュータが加熱発泡特性予測装置1として機能する。その実行の際に必要なデータは、RAM5にロードされる。尚、上述のハードウェア構成は一例であってこれに限られるものではない。
【0045】
図4に示す本発明の石炭ガス化スラグの加熱発泡特性予測プログラムは、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測するプログラムであって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とを記憶させて石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学平衡計算を実行し、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測する処理と、結晶析出特性から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測する処理とをコンピュータに実行させるものである。具体的には、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とを入力するステップ(S1)と、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて熱力学的平衡計算を実行して石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測するステップ(S2)と、結晶析出特性から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測するステップ(S3)とを少なくとも含んでいる。
【0046】
プログラムの実行にあたっては、石炭ガス化炉に供される石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグを焼成する際の焼成条件とを取得し、これを初期データとして入力する(S1)。この初期データは補助記憶装置6等に記憶される。
【0047】
石炭ガス化スラグを焼成する際の焼成条件とは、石炭ガス化スラグの焼成温度と焼成時のガス組成である。
【0048】
次に、初期データに基づいて熱力学平衡計算を実行して、石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測する処理(S2)をコンピュータに実行させる。熱力学平衡計算は、上述した方法と同様の方法で行う。
【0049】
次に、結晶析出特性から石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測する処理(S3)をコンピュータに実行させる。石炭ガス化スラグ中の成分が結晶質に支配されていないと予測される場合には、加熱発泡特性が良好であると予測することができる。加熱発泡特性が良好か否かの判断は上述した閾値αを記憶装置に予め記憶させておき、この閾値αを基準として行う。つまり、S2で熱力学平衡計算から得られた結晶析出特性である結晶含有率が、閾値αを超える場合(S3;Yes)には加熱発泡特性が不良と判断され(S5)、閾値α以下の場合(S3;No)には加熱発泡特性が良好と判断され(S4)、この判断結果が出力装置2に出力される。
【0050】
ここで、図3に示す加熱発泡特性予測装置1は石炭ガス化スラグを発泡させるための最適焼成温度予測装置として用いることもできる。
【0051】
最適焼成温度予測プログラムは、例えば最適焼成温度予測装置により実行される。尚、最適焼成温度予測装置の構成は、上述の加熱発泡特性予測装置1と同様であり説明を省略する。
【0052】
また、本発明の最適焼成温度予測プログラムは、補助記憶装置6に記録されており、当該プログラムがCPU4に読み込まれ実行されることによって、コンピュータが最高焼成温度予測装置1として機能する。その実行の際に必要なデータは、RAM5にロードされる。尚、上述のハードウェア構成は一例であってこれに限られるものではない。
【0053】
図5に示す最適焼成温度予測プログラムは、石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグを発泡させる為の最適焼成温度を予測するプログラムであって、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件と記憶させて石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学的平衡計算を複数の焼成温度に対して実行し、複数の焼成温度での石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測する処理と、結晶析出特性から石炭ガス化スラグを発泡させる為に最適な焼成温度を予測する処理とをコンピュータに実行させるものである。具体的には、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とを入力するステップ(S11)と、石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて熱力学的平衡計算を複数の焼成温度に対して実行して石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測するステップ(S12)と、焼成温度に対する結晶含有率を表す関数Fを決定するステップ(S13)と、関数Fから閾値αにおける焼成温度を計算処理するステップ(S14)と、計算処理結果を最適焼成温度として出力するステップ(S15)とを少なくとも含んでいる。S13〜S15が結晶析出特性から石炭ガス化スラグを発泡させる為に最適な焼成温度を予測する処理である。
【0054】
プログラムの実行にあたっては、石炭ガス化炉に供される石炭の灰分の元素組成と石炭ガス化スラグを焼成する際の焼成条件とを取得し、これを初期データとして入力する(S11)。この初期データは補助記憶装置6等に記憶される。
【0055】
石炭ガス化スラグを焼成する際の焼成条件とは、石炭ガス化スラグの焼成温度と焼成時のガス組成とである。尚、最適焼成温度予測プログラムを実行させる場合には、初期データとして焼成温度を複数入力しておく。
【0056】
ここで、最適焼成温度予測プログラムにおいて、熱力学平衡計算は、広範囲な焼成温度に対して実行できるが、上述したように、一般的な石炭種においては、焼成温度を900℃以下とすると石炭ガス化スラグの加熱発泡特性が不良となる虞があり、また、実際に石炭ガス化スラグをロータリーキルンにより焼成する場合を考えると焼成温度を1000℃以下とすることが好ましいので、初期データとして入力する焼成温度は、900℃超〜1000℃の範囲で選択するのが好ましい。
【0057】
次に、初期データに基づいて熱力学平衡計算を実行し、複数の焼成温度に対する石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測する処理(S12)をコンピュータに実行させる。熱力学平衡計算は、上述した方法と同様の方法で行う。
【0058】
次に、結晶析出特性から石炭ガス化スラグを発泡させるための最適焼成温度を予測する処理(S13〜S15)をコンピュータに実行させる。具体的には、焼成後の石炭ガス化スラグ中に非晶質成分が十分に維持されていて加熱発泡特性が良好であると判断される焼成温度範囲を決定し、その範囲内における最高温度を最適焼成温度と予測する。加熱発泡特性が良好か否かの判断は上述した閾値αを記憶装置に予め記憶させておき、この閾値αを基準として行う。つまり、複数の焼成温度に対する結晶含有率データから焼成温度に対する結晶含有率を表す関数Fが決定され(S13)、当該関数Fから閾値αにおける焼成温度が計算されて(S14)、その温度が最適焼成温度として出力装置2に出力される(S15)。尚、関数Fは、複数の焼成温度に対する結晶含有率データから最小二乗法などの公知の手法によりフィッティングして得ることが可能である。
【0059】
以上、本発明により、石炭ガス化スラグの加熱発泡特性と最適焼成温度とを、実際に石炭ガス化スラグを作製することなく予測することができる。そして、この予測結果から、石炭ガス化スラグの発泡性が良好となる石炭種を選択して石炭ガス化複合発電に供することができるのは勿論のこと、発泡性が良くない石炭種であっても、発泡性が良好となる石炭灰の元素組成に近づくように添加剤等を添加して石炭ガス化炉に供することで、最終生成物である石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を良好なものとすることができる。したがって、本発明は、あらゆる種類の石炭の石炭ガス化複合発電への適用適用可能性を高めて、その早期実用化に大きく貢献するものである。
【0060】
尚、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【実施例】
【0061】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
(1)試料作製
国内火力発電所で一般的に使用されている瀝青炭であるA炭、B炭、C炭及びD炭を、石炭ガス化炉(電力中央研究所)で処理し、A炭スラグ、B炭スラグ、C炭スラグ及びD炭スラグを得た。これらの石炭灰分の組成を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
A炭スラグ、B炭スラグ、C炭スラグ及びD炭スラグの焼成には、正確な温度設定が可能なマッフル炉を用い、大気雰囲気下において、700℃〜1100℃で加熱した。
【0065】
以上、A炭スラグ、B炭スラグ、C炭スラグ及びD炭スラグから、以下に示す試料A−1から試料D−7を得た。
試料A−1:未焼成A炭スラグ
試料A−2:1000℃焼成A炭スラグ
試料B−1:700℃焼成B炭スラグ
試料B−2:800℃焼成B炭スラグ
試料B−3:900℃焼成B炭スラグ
試料B−4:1000℃焼成B炭スラグ
試料B−5:1100℃焼成B炭スラグ
試料C−1:700℃焼成C炭スラグ
試料C−2:800℃焼成C炭スラグ
試料C−3:900℃焼成C炭スラグ
試料C−4:1000℃焼成C炭スラグ
試料C−5:1100℃焼成C炭スラグ
試料D−1:未焼成D炭スラグ
試料D−2:800℃焼成D炭スラグ
試料D−3:900℃焼成D炭スラグ
試料D−4:950℃焼成D炭スラグ
試料D−5:1000℃焼成D炭スラグ
試料D−6:1050℃焼成D炭スラグ
試料D−7:1100℃焼成D炭スラグ
【0066】
(2)加熱発泡性評価
試料A−1から試料D−7の絶乾密度を測定し、加熱発泡特性の良否を判断した。加熱発泡特性の良否は、コンクリート用軽骨材料として用いる場合に好適と判断される絶乾密度(1.6g/cm以下)を基準とした。即ち、スラグの絶乾密度が1.6g/cm以下の場合には、加熱発泡特性を「良」と判断し、1.6g/cmを超えた場合には、加熱発泡特性を「不良」と判断した。
【0067】
(3)XRD測定
試料A−1から試料D−7のXRD測定には、日本電子製JDX−8030を用いた。測定条件は、管電圧を40kV、管電流を30A、ステップ角度を0.04°、計数時間を10秒、測定角度を5〜70°、発散スリットを2°、受光スリットを0.04mm、散乱スリットを2°とした。尚、XRD測定装置や測定条件は本実施例で示されたものには限定されず、一般的に用いられているXRD測定装置や測定条件により、適宜実施可能である。
【0068】
(4)XRD測定結果と加熱発泡性評価結果
(4−1)A炭スラグ
試料A−1と試料A−2をXRD測定した結果を図6に示す。試料A−1では、20°〜38°にブロードな非晶質ピークが観測された。この非晶質ピークは、試料A−2においても維持されていた。また、試料A−2の加熱発泡性は「良」と判断された。
【0069】
(4−2)B炭スラグ
試料B−1から試料B−5をXRD測定した結果を図7に示す。試料B−4及び試料B−5では、シャープな結晶質ピークが観測されたものの、全試料において、20°〜38°に観測されるブロードな非晶質ピークは維持されていた。また、試料B−4及び試料B−5の加熱発泡性は「良」と判断された。尚、試料B−1、試料B−2及び試料B−3については、焼成温度が低かったため、加熱発泡性は「不良」と判断された。
【0070】
(4−3)C炭スラグ
試料C−1から試料C−5をXRD測定した結果を図8に示す。試料C−4及び試料C−5では、シャープな結晶質ピークが観測されたものの、全試料において、20°〜38°に観測されるブロードな非晶質ピークは維持されていた。また、試料C−4及び試料C−5の加熱発泡性は「良」と判断された。尚、試料C−1、試料C−2及び試料C−3については、焼成温度が低かったため、加熱発泡性は「不良」と判断された。
【0071】
(4−4)D炭スラグ
試料D−1から試料D−7をXRD測定した結果を図9に示す。試料D−1、試料D−2及び試料D−3では、20°〜38°にブロードな非晶質ピークが観測されたが、試料D−4、試料D−5、試料D−6及び試料D−7では、このブロードな非晶質ピークが観測されず、シャープな結晶質ピークのみが観測され、加熱発泡性は「不良」と判断された。尚、試料D−2及び試料D−3については、焼成温度が低かったため、加熱発泡性は「不良」と判断された。
【0072】
以上の結果から、XRDにより測定されるスラグの非晶質ピークと加熱発泡特性には相関があることが示された。即ち、900℃を超える温度で加熱をした際にもスラグの非晶質ピークが維持されていれば、加熱発泡特性は良好、即ち、コンクリート用軽骨材料として用いる場合に好適と判断される絶乾密度である1.6g/cm以下となることが明らかとなった。
【0073】
したがって、焼成後の石炭ガス化スラグ成分にXRD測定で検出可能な量の非晶質成分が存在していれば、加熱発泡特性は良好であると判断できることから、焼成後の石炭ガス化スラグ中に非晶質成分が存在しているか否かを評価することで、加熱発泡特性を簡易に判断することが可能である。例えば、スラグの破面や光沢を外観観察することで、非晶質成分の存在を確認し、加熱発泡特性を見極めることも可能である。また、焼成後の石炭ガス化スラグの結晶析出特性は既知の熱力学平衡計算により、石炭灰の元素組成と石炭ガス化スラグの焼成条件に基づいて求めることができ、この計算結果から加熱発泡特性を予測することができる。
【0074】
また、各種焼成温度で焼成した石炭ガス化スラグをXRD測定して、XRD測定で検出可能な量の非晶質成分が存在しうる焼成温度の範囲を決定し、その範囲内における最高温度を最適焼成温度と決定することができる。したがって、複数の焼成温度に対して熱力学平衡計算を行って結晶析出特性を予測し、焼成後の石炭ガス化スラグ中に非晶質成分が十分に維持されていると判断される焼成温度範囲を決定し、その範囲内における最高温度を最適焼成温度と予測することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】石炭ガス化スラグの非晶質ピークを示す図である。
【図2】閾値αを基準として加熱発泡特性予測と最適焼成温度予測を行う方法を示す模式図である。
【図3】加熱発泡特性予測装置のハードウェア構成図の一例である。
【図4】本発明の加熱発泡予測プログラムのフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の最適焼成温度予測プログラムのフローチャートを示す図である。
【図6】A炭から作製したスラグのXRD分析結果を示す図である。
【図7】B炭から作製したスラグのXRD分析結果を示す図である。
【図8】C炭から作製したスラグのXRD分析結果を示す図である。
【図9】D炭から作製したスラグのXRD分析結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測する方法であって、前記石炭の灰分の元素組成と前記石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づいて熱力学平衡計算を行い、前記石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測して、前記結晶析出特性から前記石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測することを特徴とする石炭ガス化スラグの加熱発泡特性予測方法。
【請求項2】
石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグを発泡させる為の最適焼成温度を予測する方法であって、前記石炭の灰分の元素組成と前記石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学平衡計算を複数の焼成温度に対して行い、前記複数の焼成温度での前記石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測して、前記結晶析出特性から前記石炭ガス化スラグを発泡させる為に最適な焼成温度を予測することを特徴とする石炭ガス化スラグの最適焼成温度予測方法。
【請求項3】
石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグの加熱発泡特性を予測するプログラムであって、前記石炭の灰分の元素組成と前記石炭ガス化スラグの焼成条件とを記憶させて前記石炭の灰分の元素組成と前記石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学平衡計算を実行し、前記石炭ガス化スラグの焼成後の結晶析出特性を予測する処理と、前記結晶析出特性から前記石炭ガス化スラグの焼成後の発泡状態を予測する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする石炭ガス化スラグの加熱発泡特性予測プログラム。
【請求項4】
石炭を石炭ガス化処理して得られる石炭ガス化スラグを発泡させる為の最適焼成温度を予測するプログラムであって、前記石炭の灰分の元素組成と前記石炭ガス化スラグの焼成条件と記憶させて前記石炭の灰分の元素組成と前記石炭ガス化スラグの焼成条件とに基づく熱力学的平衡計算を複数の焼成温度に対して実行し、前記複数の焼成温度での前記石炭ガス化スラグの結晶析出特性を予測する処理と、前記結晶析出特性から前記石炭ガス化スラグを発泡させる為に最適な焼成温度を予測する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする石炭ガス化スラグの最適焼成温度予測プログラム。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate