説明

石炭灰混入熱可塑性樹脂材料、および石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法

【課題】PETボトル等に使用される易加水分解性熱可塑性樹脂と、石炭火力発電所から発生した石炭灰と、水分非透過性膜材料との混合物から得られる、低温で金型成形可能な石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を提供する。
【解決手段】石炭灰1の表面を水分非透過性膜材料2で被覆して被覆石炭灰3を得た後、易加水分解性熱可塑性樹脂4と混合して石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を得るタンブラー6と、得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を加熱・混練して石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を得る押出機7と、得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を、冷却水9a中を移行させることにより冷却する冷却水槽9と、冷却された石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を所定のペレット長に順次切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物、石炭灰混入熱可塑性樹脂材料、石炭灰混入熱可塑性樹脂材料からなる成形品、および石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PET樹脂に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂等の易加水分解性熱可塑性樹脂は、軽くて強度が高く、耐水性、耐薬品性に優れるため、多用途に用いられている樹脂である。特に最近は、容器包装リサイクル法により、PETボトル等のリサイクルが進んでいるが、PETボトル等に使用されるPET樹脂の使用量は、今後も増加すると考えられ、さらにリサイクルの重要性が増すと考えられている。
【0003】
しかし、PET樹脂のリサイクル製品としては、繊維製品やバンド状押出し加工品が大半を占めており、射出成形品としてリサイクルされているのは、ガラス繊維等の無機充填材を配合し成形して得られる雑貨等にすぎない。従って、射出成形品への利用拡大が求められている。
【0004】
一方、石炭火力発電所においては大量の石炭灰が発生する。従来からの石炭灰のリサイクル先としてはセメントの製造、アスファルト道路の舗装等への利用が挙げられる。しかしながら、上記以外のリサイクル先、好ましくは加工品としてのリサイクルが求められていた。
【0005】
そこで、石炭灰とPETボトル等の廃棄プラスチックのリサイクルについて研究がなされ、石炭灰を原料とする焼結粒子に、廃棄プラスチックを原料とするコーティング材を被覆して加圧成形された廃材を利用した吸音パネルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−30740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、PET樹脂等の易加水分解性熱可塑性樹脂は、加熱溶融時に含有する水分で加水分解して分子量が低下する性質があり、得られたリサイクル樹脂材料からなる成形品の機械強度が悪化する傾向がある。特に石炭灰は吸湿性の高い無機質の充填材であるため、石炭灰と易加水分解性熱可塑性樹脂とから射出成形の原料となるペレットを製造する場合、石炭灰を十分に乾燥させていても短時間に吸湿してしまい、石炭灰に含まれる水分による易加水分解性熱可塑性樹脂の加水分解を避けることは困難であった。そのため、成形品の利用用途が限られたものとなってしまっていた。
【0008】
また、特開2003−292595号公報で開示されているように、石炭灰の主要成分であるシリカ、アルミナは、熱可塑性ポリエステル樹脂等の易加水分解性熱可塑性樹脂との反応活性が高く、ペレット製造工程で石炭灰と熱可塑性ポリエステル樹脂とが直接接触すると熱可塑性ポリエステル樹脂の分解反応が進行することが知られていた。さらに、吸湿した石炭灰は、凝集しやすく作業性が悪かった。そこで、これら上記の問題を解決する技術が求められていた。
【0009】
また、現在PET樹脂等の易加水分解性熱可塑性樹脂を用いた成形品の射出成形は、ガラス繊維等の無機充填材を配合して成形が行なわれているが、このようにして得られる成形品の機械強度を十分なものとするためには、易加水分解性熱可塑性樹脂の結晶化度を高くすることが必須である。この射出成形時において結晶化を促進させるためには、易加水分解性熱可塑性樹脂の結晶化温度域である120〜130℃の高温に金型温度を設定する必要があり、これに伴い除冷時間を長く取る必要があった。そのため、成形品の製造サイクルが長くなり、成形品の生産性が悪かった。従って、成形条件についても改善が求められていた。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑み、少なくともPETボトル等に使用される易加水分解性熱可塑性樹脂と、石炭火力発電所から発生した石炭灰と、水分非透過性膜材料との混合物から得られる、低温金型で成形可能な石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を提供することを課題とする。また、この石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を低温金型で成形し、機械強度等において問題のない成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、易加水分解性熱可塑性樹脂に石炭灰を混合して射出成形用原料を製造する際、水分非透過性膜材料により石炭灰の表面に水分非透過膜を形成することにより、上記課題を解決することができることを知るに至った。
【0012】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、易加水分解性熱可塑性樹脂と、水分非透過性膜材料で被覆した石炭灰とを含むことを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物にある。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記易加水分解性熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物にある。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記水分非透過性膜材料が、流動パラフィン、固形パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物にある。
【0015】
第4の発明は、易加水分解性熱可塑性樹脂と、水分非透過性膜材料で被覆した石炭灰とを加熱・混練してなることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料にある。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、上記易加水分解性熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料にある。
【0017】
第6の発明は、第4または第5の発明において、上記水分非透過性膜材料が、流動パラフィン、固形パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料にある。
【0018】
第7の発明は、第4〜6のいずれか一つの発明において、加熱・混練物の成形体が、ペレット状に形成されていることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料にある。
【0019】
第8の発明は、第4〜7のいずれか一つの発明における石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を120℃未満の金型温度で射出成形して得られることを特徴とする成形品にある。
【0020】
第9の発明は、易加水分解性熱可塑性樹脂と水分非透過性膜材料と石炭灰とから得られる石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法であって、上記水分非透過性膜材料と上記石炭灰とを混合しつつ、上記石炭灰の表面を上記水分非透過性膜材料で被覆して被覆石炭灰を得る被覆工程と、上記被覆工程で得られた被覆石炭灰と前記易加水分解性熱可塑性樹脂とを混合して石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、上記混合工程で得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物を加熱・混練して石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を得る加熱・混練工程とを有することを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法にある。
【0021】
第10の発明は、第9の発明において、上記易加水分解性熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法にある。
【0022】
第11の発明は、第9または第10の発明において、上記水分非透過性膜材料が、流動パラフィン、固形パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法にある。
【0023】
第12の発明は、第9〜11のいずれか一つの発明において、上記易加水分解性熱可塑性樹脂と上記石炭灰との混合比が、7:3〜3:7であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法にある。
【0024】
第13の発明は、第9〜12のいずれか一つの発明において、上記被覆工程で用いられる水分非透過性膜材料の添加量が、上記易加水分解性熱可塑性樹脂と上記石炭灰との混合物の重量に対して0.05〜5.0重量%であることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法にある。
【発明の効果】
【0025】
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物は、石炭灰を水分非透過性膜材料で被覆しているため、石炭灰の吸湿速度が低下している。従って、後に行われる石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造のための加熱・混練に供するまで保存可能である。また、本組成物における石炭灰の分散性も良好である。
【0026】
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料は、120℃未満の金型温度で成形可能である。さらに、結晶化速度も速い。従って、冷却時間を短くすることができ、成形品の製造サイクルを短縮化することができる。
【0027】
本発明の成形品は、機械強度、メルトフローレートが従来品と遜色なく、用途範囲が広い。
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法は、120℃未満の金型温度で成形可能な石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0029】
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物は、易加水分解性熱可塑性樹脂と、水分非透過性膜材料で被覆した石炭灰とを含む。
【0030】
本発明に用いられる易加水分解性熱可塑性樹脂としては、加水分解しやすい熱可塑性樹脂であればいかなる熱可塑樹脂も使用することができる。具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。上記ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。上記ポリアミド樹脂としては、例えばナイロン−6((NH(CH25CO)n)、ナイロン−66((NH(CH26NHCO(CH24CO)n)、ナイロン−610((NH(CH26NHCO(CH28CO)n)、ナイロン−612((NH(CH26NHCO(CH210CO)n)、ナイロン−11((NH(CH210)CO)n)、ナイロン−12((NH(CH211CO)n)等が挙げられる。これらの中でも好ましくはPETである。リサイクルの必要性が高く、入手し易いためである。これらは単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。本発明の効果を妨げない限りにおいて、共重合体となっているものや他の樹脂と組み合わせて用いてもよい。
【0031】
これらの易加水分解性熱可塑性樹脂は、乾燥しておくのが好ましい。乾燥後の水分率は、成形品の用途等によって適宜調製することができるが、水分率0〜100ppmの範囲が好ましく、0〜50ppmの範囲がより好ましい。
【0032】
上記易加水分解性熱可塑性樹脂は、主に回収PETボトル、繊維、フィルム等およびオフグレード品に使用されている樹脂から回収され、ペレット状にしたものを使用することができる。
【0033】
ここで、本発明で用いられる石炭灰は、特に限定されないが、主に石炭火力発電所から排出されるものが好ましい。性状としては、好ましくは新JIS規格でJISI〜IV種灰、より好ましくはJISI種灰、II種灰である。比表面積が大きいためである。石炭灰の主要成分は、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)であり、形状はほぼ球形である。
【0034】
上記石炭灰は、水分非透過性膜材料で被覆する前に乾燥しておくのが好ましい。乾燥後の水分率は目的とする成形品の用途等によって適宜調製することができるが、水分率0〜200ppmの範囲が好ましい。
【0035】
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物における上記易加水分解性熱可塑性樹脂と、上記石炭灰との混合比は、成形品の用途等によって適宜調整することができるが、好ましくは7:3〜3:7の範囲である。
【0036】
ここで、本発明では、上記石炭灰は、水分非透過性膜材料で被覆されるようにしている。これは、水分非透過性膜材料で被覆することにより石炭灰の吸湿率を低くすることができるからである。本発明で用いられる水分非透過性膜材料としては、水分を透過せず、石炭灰を被覆することができれば特に限定されないが、具体的には、例えば親油性材料等が挙げられる。上記親油性材料としては、例えば流動パラフィン、固形パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ワックス等が挙げられる。中でも流動パラフィン、高級脂肪酸が好ましい。高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。高級脂肪酸は、所定量の有機溶媒に溶解して使用する。有機溶媒は、高級脂肪酸を溶解させることができれば特に限定されず、例えばヘキサン等が挙げられる。水分非透過性膜材料は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。
【0037】
上記水分非透過性膜材料の添加量は、石炭灰の表面を水分非透過性膜として覆うことが可能な量であれば特に限定はされないが、好ましくは上記易加水分解性熱可塑性樹脂と石炭灰との混合物の重量に対して0.05〜5.0重量%、より好ましくは、0.05〜1.0重量%である。0.05重量%未満だと被覆の効果が認められにくく、一方、5.0重量%を超えると添加に見合った効果が認められにくいからである。添加量を石炭灰表面に形成される水分非透過性膜としての膜厚で表すと7〜682nmの膜厚となる添加量が好ましい。
【0038】
上記水分非透過性膜材料として流動パラフィンを用いる場合、40℃での粘度が4.30〜110mm2/sのものが好ましい。また、平均分子量が、250〜535のものが好ましい。
【0039】
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料は、少なくとも上記易加水分解性熱可塑性樹脂と、上記水分非透過性膜材料で被覆した石炭灰とを加熱・混練してなる。以下、図1に基づいて石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法について説明する。
【0040】
図1は、本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法を実現する製造設備の具体的構成例を示す図である。本製造設備は、上記石炭灰1の表面を水分非透過性膜材料2で被覆して被覆石炭灰3を得た後、易加水分解性熱可塑性樹脂4と混合して石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を得るタンブラー6と、得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を加熱・混練して石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を得る押出機7と、得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を、冷却水9a中を移行させることにより冷却する冷却水槽9と、冷却された石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を所定のペレット長に順次切断するカッター11とからなる構成である。
【0041】
まず、タンブラー6に石炭灰1と水分非透過性膜材料2とを入れ、タンブラー6を用いて混合する(被覆工程)。この過程において、水分非透過性膜材料2により石炭灰1が被覆され、被覆石炭灰3となる。次いで、タンブラー6に易加水分解性熱可塑性樹脂4を加え、被覆石炭灰3と混合して石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を得る(混合工程)。すなわち、被覆石炭灰3と易加水分解性熱可塑性樹脂4との組成物が、石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を構成する。
【0042】
なお、石炭灰1と水分非透過性膜材料2と易加水分解性熱可塑性樹脂4との添加および混合の順番に特に制限はなく、石炭灰1、水分非透過性膜材料2、および易加水分解性熱可塑性樹脂4を同時にタンブラー6に入れ、混合しつつ、石炭灰1の表面を水分非透過性膜材料2で被覆して石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を得てもよい。また、石炭灰1と易加水分解性熱可塑性樹脂4とをタンブラー6を用いて予め混合し、そこへ水分非透過性膜材料2を加えて石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を得てもよい。好ましくは、上述したように、タンブラー6に石炭灰1と水分非透過性膜材料2とを加え、予め混合して被覆石炭灰3を得た後、易加水分解性熱可塑性樹脂4と混合して、石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を得る方法である。
【0043】
石炭灰1の表面を水分非透過性膜材料2で被覆することにより、石炭灰1の吸湿を防ぎながら易加水分解性熱可塑性樹脂4と混合することができる。また、被覆石炭灰3は凝集しにくいため、均一な状態になるよう易加水分解性熱可塑性樹脂4と混合することができる。
【0044】
次に、得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物5を押出機7の投入口7aに投入し、260〜300℃程度の温度条件で加熱・混練させる(加熱・混練工程)。加熱・混練時間は、通常は1〜2分程度でよいが、易加水分解性熱可塑性樹脂4の種類によっては、石炭灰1と十分に結合させるべく2分以上に設定してもよい。なお、加熱・混練時間は、押出機7のスクリュエレメントの仕様設定やスクリュ回転数の設定により適宜調整することができる。
【0045】
次いで、加熱・混練により得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を押出機7の出口7bから連続的に吐出させる。押出機7としては、例えば、二軸押出し機等が挙げられる。押出機7から吐出された石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8は、通常円柱状の形態(ストランド)となっている。
【0046】
次いで、この石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を冷却水槽9の冷却水9a中に移行させることにより冷却させる。冷却水槽9は、押出機7の先端のストランドダイ(図示せず)より吐出された石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を水面下に引き込んで引き回すためのガイドロール10を複数備える。また、図示省略した供給流路より冷却水(例えば水道水)9aが連続的に供給され、図示省略したオーバーフロー部より内部の冷却水9aが連続的に排出されることで、内部の冷却水9aの平均温度が略一定に保持される構成となっている。この冷却水槽9中の冷却水9aの水質は、特に汚染されていなければよく、例えば一般的な水道水や工業用水を使用することができる。また水温は、常温(例えば、15℃程度)でよい。
【0047】
次いで、必要に応じてカッター11を用いて石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を切断することにより、石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8のペレット12を得る。カッター11は石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を挟み付けつつ回転する送りロール13にて石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を引き取りつつ、ロータリー式のカッター11にて所定のペレット長に石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8を順次切断するものである。
【0048】
なお、切断後の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8は、前述のペレット12としてペレット排出口14より排出される。このカッター11では、送りロール13の速度とカッター11の回転数との兼ね合いでペレット長を制御できる。
【0049】
得られたペレット12は、計量器15により計量されて原料袋16に袋詰めされる。そして、この袋が縫合されてペレットの袋詰め品17となる。その後、目的に合わせて成形され成形品となる。
【0050】
ここで、図2は、タンブラー6内および押出機7内での石炭灰1および易加水分解性熱可塑性樹脂4の状態を表した概念図である。石炭灰1は、タンブラー6内で水分非透過性膜材料2によって被覆され、石炭灰1の表面に水分非透過性膜が形成される。被覆された石炭灰(被覆石炭灰3)は、易加水分解性熱可塑性樹脂4と水分非透過性膜を介して接触する。石炭灰とPET樹脂とが直接接触すると分解反応が進行することが知られているが、本発明では直接接触することがないため、加水分解の加速的進行が抑制されて易加水分解性熱可塑性樹脂4の加水分解が適当に行なわれる。そして、易加水分解性熱可塑性樹脂4と石炭灰1とが結合して石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8となる。なお、水分非透過性膜材料2は、石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8中に均一に分散して存在している。
【0051】
図3は、石炭灰1と易加水分解性熱可塑性樹脂4との結合を表す模式図である。図3に示すように、本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8は、易加水分解性熱可塑性樹脂4の加水分解が適宜行なわれ、易加水分解性熱可塑性樹脂4の末端(カルボン酸)部分と石炭灰1の水酸基とが化学結合して得られる。この結合により補強効果が発生するため、石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8の高強度化が可能となる。
【0052】
このようにして得られる本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料8は、上述したように機械的強度の優れた成形品を得ることが可能な樹脂材料であるため、リサイクルPET樹脂等の有効活用が可能となると考えられる。
【0053】
また、従来では十分な結晶化度を有する成形品を得るためには、金型温度を120〜130℃に設定する必要があったが、本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料は、石炭灰が核形成材となって結晶化を促進するため、金型温度を120℃未満、好ましくは25〜110℃の範囲、さらに好ましくは60〜80℃の範囲に設定して射出成形しても従来品と同等な結晶化度を有する成形品を得ることができる。
【0054】
ここで、図4は、PET単味と本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料のDSCサーモグラムを示す図である。以下、図4を用いて成形における金型温度を従来の金型温度(120〜130℃)より低温に設定して射出成形しても従来品と同等な結晶化度を有する成形品を得ることができることを説明する。
【0055】
図4に示されるDSCサーモグラムは、PET単味と石炭灰混入熱可塑性樹脂材料とを差動走査熱量計「DSC‐7」(商品名:パーキンエルマー社製)を用いて300℃まで加熱し、完全に溶融させた後、40℃/minの冷却速度で冷却していったときの発熱ピーク、結晶化開始温度および結晶化終了温度を示している。このDSCサーモグラムから、PET単味は151.9℃(結晶化開始温度179.3℃、結晶化終了温度94.4℃)で結晶化し、一方、石炭灰混合PETは203.9℃(結晶化開始温度209.8℃、結晶化終了温度136.6℃)で結晶化することがわかる。つまり、PET単味と比較して石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の方が、過冷却度が小さくても結晶化する。また、ピーク形状から石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の方が結晶化速度も速いと言える。
【0056】
ここで、非結晶性樹脂(例えばポリスチレン)や結晶化速度の遅い樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート:PET)を射出成形する場合は、金型から成型品を取り出すために樹脂を固化させる必要があり、ガラス転移温度(Tg)以下に冷却する必要がある。しかし、PETおよびガラス繊維入りPETなどは、単にTg以下に冷却するのみではなく、強度アップのために結晶化度を高くする必要がある。従って、金型温度をTg以上の結晶化温度域で一定時間保持する必要がある。すなわち、結晶性樹脂の結晶化度は、結晶化速度と時間の積で決まるため、金型内の冷却過程で結晶化温度域を通過する時間が問題となる。一般に金型は熱伝導率の高い金属が使用され、金型温度も一定温度に設定されているため、成型品の表面は急速に冷却されて結晶化温度域を通過する時間は短い。
【0057】
上述したようにPET単味は、結晶化速度が遅いため、金型温度をPETのTg、すなわち約60〜80℃の低温に設定すると結晶化温度域を通過する時間が短時間となって結晶が十分成長しないうちに固化してしまう。そのため、現在、金型温度を120℃以上の高温に加温して結晶化温度域内を通過する時間を延ばすことにより、十分結晶化させる方法で成形している。
【0058】
一方、本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂は、図4に示すように、結晶化開始温度209.8℃、結晶化終了温度136.6℃と結晶化温度域が狭く、最大結晶化速度温度が203.9℃である。また、結晶化速度が速い。そのため、結晶化温度域を通過する時間はPET単味に比べて短時間でよく、金型温度を120℃以上の高温に加温して結晶化温度域内を通過する時間を延ばして結晶化温度域に保持する必要はない。従って、金型温度を120℃未満、好ましくは25〜110℃、さらに好ましくは60〜80℃の温度範囲に設定することが可能となる。
【0059】
また、一般に、金型から成型品の取り出しは、成型品の形状(寸法)が固定されてから行うのが望ましい。しかしながら、PET単味の場合、上述したように金型温度を120℃以上の高温に設定する必要があるため、これに伴い成型品の形状(寸法)が固定されるまで除冷時間を長く取る必要があった。そのため、成形品の製造サイクルが長くなり、成形品の生産性が悪かった。
【0060】
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂の場合、上述したように結晶化のために金型温度を結晶化温度域の高温に保持する必要がなく、金型温度を120℃未満、好ましくは25〜110℃の範囲、さらに好ましくはTg温度である60〜80℃の温度範囲にして成形可能であるため、成形品の生産性がよい。
【0061】
本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂を用いた成形品の製造は、金型温度を低温に設定することも可能である。しかしながら、金型温度を25℃未満に設定すると石炭灰混入熱可塑性樹脂の溶融温度と金型温度との温度差が大きくなるため成形サイクル時間が長くなってしまい、生産性の観点からは好ましくない。一方、本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂は過冷却度が小さくても結晶化するため、金型温度を120℃以上の高温に設定することも可能であるが、金型を加熱して高温にする必要があるため経済性の観点から望ましくない。
【0062】
本発明の成形品は、高い寸法安定性、高比重という特性を有する。また、石炭灰とPET樹脂等のリサイクルにより製造されるものであるため、環境に優しい。本発明の成形品の用途としては、様々なものが挙げられるが、具体的には、例えば、OAフロア、マンホール蓋、仮設敷板、園芸用ポット、荷役用パレット等への利用が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0063】
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0064】
(1)石炭灰の吸湿率変化試験
〔実施例1〜3〕
流動パラフィンとして「モレスコホワイトP−260」(商品名:松村石油研究所製)を用いて、石炭灰(JISII種灰)の表面を被覆し、熱天秤装置を用いて105℃で75分加熱乾燥した。その後、30℃飽和水蒸気条件下に上記被覆した石炭灰をおき、吸湿速度を測定した。流動パラフィンは、石炭灰60重量%と、PET樹脂40重量%とで混合物としたときの混合物全体量に対して、0.1重量%(実施例1)、1.0重量%(実施例2)、5.0重量%(実施例3)となる量を石炭灰に添加し、石炭灰を被覆した。
【0065】
その結果を図5に示す。図5に示すように流動パラフィンの添加量が、0.1、1.0、5.0重量%になるに従って、耐吸湿性の向上が認められた。
【0066】
〔実施例4〜6〕
水分非透過性膜材料としてステアリン酸を用いて実施例1〜3と同様にして試験を行なった。ステアリン酸は、石炭灰60重量%と、PET樹脂40重量%とで混合物としたときの混合物全体量に対して、0.1重量%(実施例4)、1.0重量%(実施例5)、5.0重量%(実施例6)となる量を、所定量のヘキサンに溶解して石炭灰に添加し、石炭灰を被覆した。
【0067】
その結果を図6に示す。図6に示すように流動パラフィンの添加量が、0.1、1.0、5.0重量%になるに従って、耐吸湿性の向上が認められた。
【0068】
〔比較例1〕
石炭灰(JISII種灰)の表面を水分非透過性膜材料で被覆しないで熱天秤装置を用いて105℃で75分加熱乾燥した。その後、30℃飽和水蒸気条件下に上記石炭灰をおき、石炭灰の吸湿速度を測定した。その結果を図5および図6に示す。図5および6に示すように時間経過とともに吸湿率が高くなることが認められた。
【0069】
〔参考例1および2〕
参考例として、熱天秤装置を用いてPET樹脂を150℃で8時間加熱乾燥後、30℃で相対湿度60%の条件下においた時のPET樹脂の吸湿率変化(参考例1)および30℃で相対湿度80%の条件下においた時のPET樹脂の吸湿率変化(参考例2)を図5および6に示す。図5および6に示すこの参考例からわかるように、PET樹脂の吸湿速度は石炭灰の吸湿速度に比べると低い値である。従って、PET樹脂を水分非透過性膜材料で被覆して吸湿を防止するよりも、石炭灰を被覆する方が顕著な効果が認められることとなる。
【0070】
(2)成形品物性試験
〔実施例7〜11〕
(i)石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物の調整
石炭灰としてJISII種灰と、流動パラフィンとして「モレスコホワイトP−260」(商品名:松村石油研究所製)とをタンブラーにて、下記「表1」に示す配合量で混合し、被覆石炭灰を得た。次に、易加水分解性熱可塑性樹脂としてPET樹脂「ダイヤナイトPA500」(商品名:三菱レイヨン社製)を下記「表1」に示す配合量で混合し、石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、石炭灰及びPET樹脂は、予め150℃の乾燥機で4時間乾燥したものを使用した。
【0071】
【表1】

【0072】
(ii)石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造
上記(i)にて得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物を二軸押出し機「S1.5型」(商品名:栗本鉄工所製)に投入して、下記「表2」に示す条件で加熱・混練を行ない、石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を得た。なお、対照例1は、PET樹脂のみを用いて熱可塑製樹脂材料を製造した条件である。
【0073】
【表2】

【0074】
ここで、各組成物に用いられたPET樹脂、石炭灰、および両者の混合物の水分率は下記「表3」に示すとおりであった。
【0075】
【表3】

【0076】
上記加熱・混練により得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を70℃の金型温度で射出成形を行ない、ダンベル状成形品(テストピース;JIS1号試験片)を得た。得られた成形品の引張り強度、メルトフローレート(MFR)を測定した。引張り強度試験は、JIS K7113に準拠して行なった。この引張り強度試験のチャック間距離は、110mm、引張り速度は、5mm/minとした。MFRは、「メルトインデックサーL242」(商品名:タカラ製)を用いて、230℃および2.16kgf荷重の条件で測定した。
【0077】
その結果を「表4」に示す。下記「表4」に示すように石炭灰を混合させても引張り強度、およびMFRの値は成形品として問題とならない値であることが認められた。一般にPET樹脂等の易加水分解性熱可塑性樹脂に添加物を添加し製造した熱可塑性樹脂材料からなる成形品は、PET樹脂のみからなる成形品(対照例1)と比べて引張り強度、およびMFRの値は低くなるが、易加水分解性熱可塑性樹脂の加水分解を抑えることにより成形品として使用可能な強度を有することとなる。
【0078】
【表4】

【0079】
〔実施例12〕
上記実施例7で用いた石炭灰に流動パラフィンを添加して石炭灰を被覆した。流動パラフィンは、石炭灰60重量%、PET樹脂40重量%とで混合したときの混合物全体量に対して、0.1重量%となる量を、石炭灰に添加し、石炭灰を被覆した。
【0080】
得られた被覆石炭灰に上記実施例7で用いたPET樹脂を下記「表5」に示す配合量で混合し石炭灰混入樹脂組成物を得た。この石炭灰混入樹脂組成物を表5に示す条件で加熱・混練することにより石炭灰混入樹脂材料を得た。この石炭灰混入樹脂材料を120℃の金型温度で射出成形を行ない、ダンベル状成形品(テストピース;JIS1号試験片)を得た。得られた成形品の引張り強度を実施例7〜11と同様にして測定した。
【0081】
【表5】

【0082】
その結果、引張り強度は34.2Mpaであった。この結果より、従来からの金型温度120℃でも問題なく成形品が得られることが認められ、金型温度を70℃としても金型温度120℃で射出成形したときと同等の引張り強度を有する成形品が得られるということが判明した。
【0083】
〔比較例2〕
回収されたPETボトルから通常行なわれる方法でPET樹脂を調製し、下記「表6」に示す配合比で石炭灰(JISII種灰)と混合し、石炭灰混入樹脂組成物を得た。この石炭灰混入樹脂組成物を加熱・混練することにより石炭灰混入樹脂材料を得た。次いで、この石炭灰混入樹脂材料を70℃の金型温度で射出成形を行ない、ダンベル状成形品(テストピース;JIS1号試験片)を得た。得られた成形品の引張り強度およびMFRを上記実施例7〜11と同様にして測定した。
【0084】
【表6】

【0085】
その結果、引張り強度は、23MPaと低かった。また、MFRは、303g/10minと高く、加水分解が進んでおり、実用において問題があると考えられた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明は、PETボトル等に使用されるPET樹脂および石炭火力発電所で発生する石炭灰から石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を製造することができるため、回収PET樹脂および石炭灰の成形品としての有効なリサイクルを図るのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法を実現する製造設備の具体的構成例を示す図である。
【図2】タンブラー6内および押出機7での石炭灰1および易加水分解性熱可塑性樹脂4の状態を表した概念図である。
【図3】石炭灰1と易加水分解性熱可塑性樹脂4との結合を表す模式図である。
【図4】PET単味と本発明の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料のDSCサーモグラムを示す図である。
【図5】流動パラフィン添加量と石炭灰の吸湿率変化を示す図である。
【図6】ステアリン酸添加量と石炭灰の吸湿率変化を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1 石炭灰
2 水分非透過性膜材料
3 被覆石炭灰
4 易加水分解性熱可塑性樹脂
5 石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物
6 タンブラー
7 押出機
7a 投入口
7b 出口
8 石炭灰混入熱可塑性樹脂材料
9 冷却水槽
9a 冷却水
10 ガイドロール
11 カッター
12 ペレット
13 送りロール
14 ペレット排出口
15 計量器
16 原料袋
17 ペレットの袋詰め品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
易加水分解性熱可塑性樹脂と、水分非透過性膜材料で被覆した石炭灰とを含むことを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記易加水分解性熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記水分非透過性膜材料が、流動パラフィン、固形パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
易加水分解性熱可塑性樹脂と、水分非透過性膜材料で被覆した石炭灰とを加熱・混練してなることを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料。
【請求項5】
前記易加水分解性熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項4に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料。
【請求項6】
前記水分非透過性膜材料が、流動パラフィン、固形パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4または5に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料。
【請求項7】
加熱・混練物の成形体が、ペレット状に形成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を120℃未満の金型温度で射出成形して得られることを特徴とする成形品。
【請求項9】
易加水分解性熱可塑性樹脂と水分非透過性膜材料と石炭灰とから得られる石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法であって、
前記水分非透過性膜材料と前記石炭灰とを混合しつつ、前記石炭灰の表面を前記水分非透過性膜材料で被覆して被覆石炭灰を得る被覆工程と、
前記被覆工程で得られた被覆石炭灰と前記易加水分解性熱可塑性樹脂とを混合して石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物を得る混合工程と、
前記混合工程で得られた石炭灰混入熱可塑性樹脂組成物を加熱・混練して石炭灰混入熱可塑性樹脂材料を得る加熱・混練工程と、
を有することを特徴とする石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法。
【請求項10】
前記易加水分解性熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項9に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法。
【請求項11】
前記水分非透過性膜材料が、流動パラフィン、固形パラフィン、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項9または10に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法。
【請求項12】
前記易加水分解性熱可塑性樹脂と前記石炭灰との混合比が、7:3〜3:7であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法。
【請求項13】
前記被覆工程で用いられる水分非透過性膜材料の添加量が、前記易加水分解性熱可塑性樹脂と前記石炭灰との混合物の重量に対して0.05〜5.0重量%であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の石炭灰混入熱可塑性樹脂材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−193591(P2006−193591A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5579(P2005−5579)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】