説明

砂漠緑化装置

【課題】砂漠地帯などの植物の生育していない土地において、育成可能な植物と養分を与え緑化可能な砂漠緑化装置を提供する。
【解決手段】本発明の砂漠緑化装置は、乾燥した雑草を積み重ねて構成された雑草床2と、砂漠面6とを備える砂漠緑化装置において、雑草の生育地域にて移動可能なように雑草を乾燥させて円筒状の雑草ロール1を備えたことと、砂漠面6に沿って敷き詰められた雑草床2と、雑草床2と雑草床2の境界の重力方向に沿った方向に配置する雑草床2と、一番下に位置した雑草床2と砂漠面の間に配置された藺ゴザ4と、一番上に位置する雑草床2を覆うような雑草飛散防止ネット3と、雑草飛散防止ネット3と砂漠面6との間が固定されるよう重力方向に沿って配置される杭5とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂漠地帯などの植物の生育していない土地において、育成可能な植物と養分を与え緑化可能な砂漠緑化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、砂漠地帯を緑化するには、牧草や潅木などを基盤の目のように地中に埋めることで砂の移動を抑える草方格を用い、植生の元となる種を撒くことで、安定し固定された砂の下において、種が水分を含んだ地中へと潜り、やがて生育していくという方法が知られている。また、海水の淡水化や上空の水分を採取し、水分を砂漠に与え部分的に緑化していくことで砂漠地帯に雲を発生させ、砂漠全体の緑化を行うという方法も知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、砂漠地帯の砂の移動を抑え、砂の地下にある水を利用し、砂自体の養分により砂漠自身を緑化させるという方法や、砂漠にそのまま水分を与え緑化を行うという方法は、緑化に成功している地域もあるが、砂漠化した土地の潜在的な育成能力に影響されやすく、地下に十分な水分が無い場合や、砂自体に初期の緑化をする育成能力が無い場合砂漠の緑化を達成することが難しい。本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、植生の種、養分、保水性の持った土の元となるものを砂漠の上に敷き詰め、水分を定期的に与えることで、敷き詰めたものが腐り、土となることで、どのような条件の砂漠地帯においても、緑化の土台となる土壌を築くことが可能となる砂漠緑化装置を提供する。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0004】
本発明の砂漠緑化装置は、雑草を乾燥させ大地に対して平行な平面に敷き円筒状に巻き上げた雑草ロールを備えたので、雑草の育成能力が高い肥沃な大地から、砂漠地帯へ雑草を移送することが可能となる。
【0005】
さらに、乾燥した雑草を大地に対して平行な平面に敷き詰めて構成される雑草床と、複数の層に積み上げた雑草床の最上部を全面覆うよう配置された雑草飛散防止ネットと、雑草飛散防止ネットと雑草床と砂漠面とを重力方向に沿って貫き固定することが可能な杭とを備えたので、砂漠面の上に、種や養分のある雑草床が配置され、杭と雑草飛散防止ネットにより固定され、水分を定期的に与えることで、雑草が発芽及び育成し、やがて腐敗し肥沃な土壌が形成される。
【0006】
また、複数の層に積み上げられた雑草床の最下層と砂漠面との間の全面を覆うように設けられた藺ゴザにより構成された層を備えたので、より水分が雑草床の層と藺ゴザの間に保水され、より早く雑草の生育と腐敗により、肥沃な土壌を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1乃至図4は本発明の最良の形態による砂漠緑化装置を示し、図1は重力方向に沿って切断した砂漠緑化装置の全体断面図を示し、図2は砂漠緑化装置の全体平面図を示し、図3は雑草ロールの断面図を示し、図4は雑草ロールの平面図を示す。
【0008】
本発明の砂漠緑化装置は、砂漠面6の上に、複数の層に積み重なるように配置された雑草床2と、複数の層の最上部に配置された雑草床2を覆うよう設けられた格子状の雑草飛散防止ネット3と、雑草飛散防止ネット3と複数の層の雑草床2と砂漠面6とを固定するよう重力方向に沿って貫くよう設けられた杭5とを備える。
【0009】
雑草床2は、図3に示すように雑草の育成する地域で刈り取られた雑草を集め乾燥させ移送可能なように円筒状に巻いた雑草ロール1を砂漠面6へ移送し開き敷くよう構成される。雑草ロール1は、砂漠面6に平行な平面にロール状の雑草の束を平面状に開き雑草床2として設けられ、雑草床2と雑草床2の間に隙間の無いよう格子状に敷き詰められる。そして、複数の雑草床2で敷き詰められた平面の上には、複数の雑草床2で構成された別の平面が覆いかぶさるよう設けられる。上に配置される平面の雑草床2は、下に配置される雑草床2と雑草床2の境界を跨ぐように配置される。複数の雑草床2が敷き詰められ構成された平面は、さらに複数の雑草床2により構成された平面を重ね、全体で2層以上の平面が積み重なるよう構成される。
【0010】
図2に示すように、杭5は、格子状に敷き詰められた雑草床2により構成された平面の端に離間を保って複数個所に設けられる。
【0011】
格子状に敷き詰められた雑草床2により構成された平面の最下部に位置する平面と砂漠面6との間の全面には、藺ゴザ4を設ける。藺ゴザ4は、杭5により砂漠面6に固定されるよう構成される。
【0012】
次に動作を説明する。まず、砂漠緑化装置の全面に水を与える。与えられた水は、砂漠緑化装置の、複数層に積み重ねられた雑草床2及び藺ゴザ4に吸収される。砂漠緑化装置には、定期的に水が与えられる。太陽光線による栄養と水分が与えられることで、雑草床2に含まれる雑草などの種が発芽し、雑草床2の中で育成をはじめる。
【0013】
同時に、与えられた水分は複数の層に積まれた雑草床2及び藺ゴザ4により保水される。太陽熱と雑草床2及び藺ゴザ4の保水により、時間の経過とともに雑草床2は、腐食をはじめる。雑草床2の腐食が継続することでさらに腐食が進み、やがて土となる。
【0014】
雑草床2の中に含まれる雑草などの種が生育した後、生育した雑草は刈られるか又は枯れることで、雑草床2の土と一体化される。
【0015】
雑草の生育と土の増加が繰り返されることで、砂漠面6に肥沃な土壌が構成されていく。そして、十分に肥沃な土壌が構成されると、その他の植物の育成が可能となる。
【0016】
最良の形態によると、乾燥させた雑草を平面に敷き詰め円筒状に構成したので、雑草の育成可能な地域から、砂漠地帯などの雑草の生育していない地域へ、乾燥させた雑草を移送可能となった。
【0017】
複数の雑草床2を平面状に敷き詰め、複数の層に構成し、最上部に位置する雑草床2により構成された平面の上には、全面を覆うように雑草飛散防止ネット3が設けられ、雑草飛散防止ネット3と、雑草床2の平面と、藺ゴザ4に対して、重力方向に沿って杭5が貫くよう設けられたので、雑草飛散防止ネット3と雑草床2と藺ゴザ4との風による離散防止が可能となった。
【0018】
藺ゴザ4が、砂漠面6と最下部に位置する雑草床2との間に設けられたので、砂漠緑化装置に与えられた水が、雑草床2及び藺ゴザ4に吸収され、砂漠面6への水の流出を防止可能となった。また、雑草床2が乾燥をはじめると藺ゴザ4に含まれる水が上昇し、雑草床2に吸収され、雑草床2の保水維持が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
【0020】
上記では、雑草ロール1及び雑草床2は、乾燥した雑草により構成されたが、葉や枝などから構成される腐葉土により構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】砂漠緑化装置の全体断面図(最良の形態)。
【図2】砂漠緑化装置の全体平面図(最良の形態)。
【図3】雑草ロールの断面図(最良の形態)。
【図4】雑草ロールの平面図(最良の形態)。
【符号の説明】
【0022】
1 雑草ロール、2 雑草床、3 雑草飛散防止ネット、4 藺ゴザ、5 杭、6 砂漠面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑草を乾燥させ大地に対して平行な平面に敷き円筒状に巻き上げた雑草ロールを備えた砂漠緑化装置。
【請求項2】
乾燥した雑草を大地に対して平行な平面に敷き詰めて構成される雑草床と、複数の層に積み上げた雑草床の最上部を全面覆うよう配置された雑草飛散防止ネットと、雑草飛散防止ネットと雑草床と砂漠面とを重力方向に沿って貫き固定することが可能な杭とを備えた砂漠緑化装置。
【請求項3】
複数の層に積み上げられた雑草床の最下層と砂漠面との間の全面を覆うように設けられた藺ゴザにより構成された層を備えた請求項2に記載の砂漠緑化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−11837(P2010−11837A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201239(P2008−201239)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(595130252)
【出願人】(508186048)
【出願人】(508186107)
【出願人】(508097294)
【Fターム(参考)】