説明

研掃装置

【課題】研掃室が比較的広く、しかも、研掃による粉塵の発生が少なく、その上、短い間隔で設置可能な研掃装置を提供する。
【解決手段】搬入・搬出用開口2から被研掃物収納体7内に被研掃物を搬入したのち、駆動手段8を起動して被研掃物収納体7を180度正回転させて被研掃物を砥粒投射装置9側に移送し、続いて、砥粒投射装置9から所要時間、砥粒を投射して被研掃物を研掃する。こうして、被研掃物を研掃する間に、砥粒投射装置9から投射された砥粒を砥粒回収手段10によって回収したのち砥粒投射装置9に送り込むとともに、集塵手段12を起動してキャビネット3内の砥粒投射装置9側から粉塵を捕集する。そして、被研掃物の研掃の終了後、駆動手段8を再び起動して被研掃物収納体7を180度逆回転させて研掃済みの被研掃物を搬入・搬出用開口2側に移送したのち、被研掃物収納体7から研掃済みの被研掃物を搬出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研掃装置に係り、より詳しくは、酸化皮膜やバリを有する金属部品などの被研掃物に砥粒を投射して、この被研掃物から酸化皮膜等を除去する研掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被研掃物に付着した酸化皮膜やバリを除去する研掃装置の一つとして、次のように構成されたものがある。すなわち、被研掃物をキャビネット内に搬入し、ショット投射機で研掃し、キャビネットから搬出する操作を、より連続的に行うための研掃装置であって、ショット投射機により被研掃物を研掃するために設けられた研掃室、研掃の際にショット等が外部に飛散するのを防止するために設けられた1つ以上の緩衝室、被研掃物の搬入および搬出のために設けられる1つ以上の開放室などを天井壁、側壁、底板および実質的に中心より放射状に設けられる複数の仕切壁により構成され、形成されるべき各室に被研掃物の懸吊もしくは載置するための設置手段を設け、上記の天井壁、底板、仕切壁の少なくともいずれかと上記設置手段とが、上記中心を回転中心として回転できるように構成されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭60−23947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように構成された従来の研掃装置では、研掃室が狭く、しかも、研掃によって発生した粉塵の処理については考慮されていないため、作業者は粉塵の存在する環境下で作業を余儀なくされていた。
加えて、研掃装置では、一般に金属の砥粒を高速で被研掃物に叩き付ける処理を行うため、摩耗による欠陥部品が多発し、しかも、研掃室や砥粒投射装置に取り付けられた消耗部品の交換の必要なメンテナンス個所も多く、その上、メンテナンス作業の頻度も高いため、研掃装置の周りにはメンテナンス作業をするための広いスペースが必要である。
これに伴い、研掃装置を複数台設置した場合には、研掃装置同士の間隔が長くなり、複数台の研掃装置を掛け持つ作業者が作業のために移動する距離が必然的に長くなるという問題もあった。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、研掃室が比較的広く、しかも、研掃による粉塵の発生が少なく、その上、短い間隔で設置可能な研掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の研掃装置は、酸化皮膜やバリを有する金属部品などの被研掃物に砥粒を投射して、この被研掃物から酸化皮膜等を除去する研掃装置であって、箱状の機台と;機台上に設置され箱状を成し正面の側壁に被研掃物の搬入・搬出用開口を有し、開口と対向する側壁の約半分がこの側壁に対しほぼ45度傾斜したキャビネットと;キャビネット内の下部に水平面内で180度正逆回転可能にして配設され、円形の底板、底板の上面に等間隔をおき放射状に配置されて立設され横断面V字状の2個の仕切り部材、および、2個の仕切り部材の上端間に底板と対向して架設された円形の天井板によって構成された被研掃物収納体と;機台内に配設されて被研掃物収納体を180度正逆回転する駆動手段と;キャビネットにおける傾斜した側壁の外面に装着されて被研掃物収納体における搬入・搬出用開口と反対側の空間内に砥粒を投射する砥粒投射装置と;機台内およびキャビネットの背面側壁に装着されて砥粒投射装置から投射された砥粒を回収したのち砥粒投射装置に送り込む砥粒回収手段と;砥粒回収手段の背面側壁に装着されて砥粒投射装置側の被研掃物収納体内から特殊ダクトを介して粉塵を捕集する集塵手段と;を具備したことを特徴とする。
【0007】
このように構成されたものは、搬入・搬出用の開口から被研掃物収納体内に被研掃物を搬入したのち、駆動手段を起動して被研掃物収納体を180度正回転させて被研掃物を砥粒投射装置側に移送し、続いて、砥粒投射装置から所要時間、砥粒を投射して被研掃物を研掃する。こうして、被研掃物を研掃する間に、砥粒投射装置から投射された砥粒を砥粒回収手段によって回収したのち砥粒投射装置に送り込むとともに、集塵手段を起動してキャビネット内の砥粒投射装置側から粉塵を捕集する。そして、被研掃物の研掃の終了後、駆動手段を再び起動して被研掃物収納体を180度逆回転させて研掃済みの被研掃物を搬入・搬出用の開口側に移送したのち、被研掃物収納体から研掃済みの被研掃物を搬出して一サイクルを完了する。
【発明の効果】
【0008】
上記の説明から明らかなように本発明は、箱状の機台と;機台上に設置され箱状を成し正面の側壁に被研掃物の搬入・搬出用開口を有し、開口と対向する背面側壁の約半分がこの側壁に対しほぼ45度傾斜したキャビネットと;キャビネット内の下部に水平面内で180度正逆回転可能にして配設され、円形の底板、底板の上面に等間隔をおき放射状に配置されて立設され横断面V字状の2個の仕切り部材、および、2個の仕切り部材の上端間に底板と対向して架設された円形の天井板によって構成された被研掃物収納体と;機台内に配設されて被研掃物収納体を180度正逆回転する駆動手段と;キャビネットにおける傾斜した側壁の外面に装着されて被研掃物収納体における搬入・搬出用開口と反対側の空間内に砥粒を投射する砥粒投射装置と;機台内およびキャビネットの背面側壁に装着されて砥粒投射装置から投射された砥粒を回収したのち砥粒投射装置に送り込む砥粒回収手段と;砥粒回収手段の背面側壁に装着されて砥粒投射装置側の被研掃物収納体内から特殊ダクトを介して粉塵を捕集する集塵手段と;を具備したから、研掃室が比較的広くなるとともに研掃による粉塵の発生が少なくなり、しかも、付帯装置の装着をキャビネットの一つの側に集中させたため、複数の研掃装置を短い間隔で設置することができる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した研掃装置の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2の右側面図である。
【図4】本発明の主要部の平面図である。
【図5】本発明の主要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した研掃装置の一実施例について図1〜図5に基づき詳細に説明する。本研掃装置は、図1〜図3に示すように、箱状の機台1と;機台1上に設置され箱状を成し正面の側壁に被研掃物の搬入・搬出用開口2を有し、開口2と対向する背面側壁の約右半分がこの側壁に対しほぼ45度傾斜したキャビネット3と;キャビネット3内の下部に水平面内で180度正逆回転可能にして配設され、円形の底板4、底板4の上面に等間隔をおき放射状に配置されて立設され横断面V字状の2個の仕切り部材5・5、および、2個の仕切り部材5・5の上端間に底板4と対向して架設された円形の天井板6によって構成された被研掃物収納体7と;機台1内に配設されて被研掃物収納体7を180度正逆回転する駆動手段8と;キャビネット3における傾斜した側壁の外面に装着されて被研掃物収納体7における搬入・搬出用開口2と反対側の空間内に砥粒を投射する砥粒投射装置9と;機台1内およびキャビネット3の背面側壁に装着されて砥粒投射装置9から投射された砥粒を回収したのち砥粒投射装置9に送り込む砥粒回収手段10と;砥粒回収手段10の背面側壁に装着されて砥粒投射装置9側の被研掃物収納体7内から後述の特殊ダクト22を介して粉塵を捕集する集塵手段12と;で構成してある。
【0011】
そして、駆動手段8は、図2に示すように、機台1上に配設された軸受13を介して回転可能に設けられかつ上端が被研掃物収納体7の下面に固着された縦回転軸14と、機台1内の左側位置に配置された減速機付きモータ15と、縦回転軸14と減速機付きモータ15の出力軸を連結するタイミングベルト16と、で構成してある。
また、砥粒回収手段10は、キャビネット3の下面に装着されたスクリューコンベア17と、スクリューコンベア17の搬出口に立設されたバケットエレベータ18と、バケットエレベータ18の搬出口に装着され、破砕した砥粒・酸化皮膜・バリ等の異物と砥粒とを風力によって分離する風選式セパレータ19と、砥粒を風選式セパレータ19から砥粒投射装置9に誘導する誘導管20と、で構成してある。
【0012】
また、集塵手段12は、図5に示すように、バケットエレベータ18の背後壁面に装着された集塵機21と、キャビネット3内における砥粒投射装置9と対向する空間と集塵機21の排ガス供給口を連通接続する特殊ダクト22と、キャビネット3の天井上に設置されたブロアー23と、集塵機21の排ガス排出口とブロアー23の吸引口を連通接続するダクト24と、で構成してある。そして、集塵機21のキャビネット内にはカートリッジフィルタ27・27が取り付けてある。また、特殊ダクト22は、バケットエレベータ18の中腹位置およびバケットエレベータ18のベルト間を貫通する構造になっている。
【0013】
また、風選式セパレータ19は、図1および図2に示すように、キャビネット3内における砥粒投射装置9と対向する空間にダクト25を介して連通接続している。
また、キャビネット3内の2組の仕切り部材5・5の先端には、図1および図4に示すように、被研掃物収納体7に接触するようにしてゴム板製のシール部材26・26が装着されている。
【0014】
このように構成したものは、搬入・搬出用開口2から被研掃物収納体7内に被研掃物を搬入したのち、駆動手段8を起動して被研掃物収納体7を180度正回転させて被研掃物を砥粒投射装置9側に移送し、続いて、砥粒投射装置9から所要時間、砥粒を投射して被研掃物を研掃する。こうして、被研掃物を研掃する間に、砥粒投射装置9から投射された砥粒を砥粒回収手段10によって回収したのち砥粒投射装置9に送り込むとともに、集塵手段12を起動してキャビネット3内の砥粒投射装置9側から粉塵を捕集する。そして、被研掃物の研掃の終了後、駆動手段8を再び起動して被研掃物収納体7を180度逆回転させて研掃済みの被研掃物を搬入・搬出用開口2側に移送したのち、被研掃物収納体7から研掃済みの被研掃物を搬出して一サイクルを完了する。
【符号の説明】
【0015】
1 機台
2 搬入・搬出用開口2
3 キャビネット
4 底板
5 仕切り部材
6 天井板
7 被研掃物収納体
8 駆動手段
9 砥粒投射装置
10 砥粒回収手段
11 特殊ダクト
12 集塵手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化皮膜やバリを有する金属部品などの被研掃物に砥粒を投射して、この被研掃物から酸化皮膜等を除去する研掃装置であって、
箱状の機台と;
この機台上に設置され箱状を成し正面の側壁に被研掃物の搬入・搬出用開口を有し、開口と対向する背面側壁の約半分がこの側壁に対しほぼ45度傾斜したキャビネットと;
このキャビネット内の下部に水平面内で180度正逆回転可能にして配設され、底板、この底板の上面に等間隔をおき放射状に配置されて立設され横断面V字状の2個の仕切り部材、および、2個の仕切り部材の上端間に前記底板と対向して架設された天井板で構成された被研掃物収納体と;
前記機台内に配設されて前記被研掃物収納体を180度正逆回転する駆動手段と;
前記キャビネットにおける傾斜した側壁の外面に装着されて前記被研掃物収納体における搬入・搬出用の開口と反対側の空間内に砥粒を投射する砥粒投射装置と;
前記キャビネットの背面側壁に装着されて前記砥粒投射装置から投射された砥粒を回収したのち砥粒投射装置に送り込む砥粒回収手段と;
前記キャビネットにおける前記砥粒投射装置の装着側の側壁に装着され前記砥粒投射装置側の被研掃物収納体内から特殊ダクトを介して集塵する集塵手段と;
を具備したことを特徴とする研掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載の研掃装置において、
前記特殊ダクトは、前記砥粒回収手段のバケットエレベータの中腹位置およびバケットエレベータのベルト間を貫通する構造を成していることを特徴とする研掃装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−224726(P2011−224726A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97020(P2010−97020)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)