研磨パッド溝加工機及び研磨パッド溝加工方法
【課題】切刃に絡みついた切屑を確実に除去すると共に、切屑の回収効率を高めることが可能な研磨パッド溝加工機を提供する。
【解決手段】研磨パッド1の表面に作用させて研磨パッド1の表面に多条の溝を切削形成するための切刃20が設けられた切削装置2と、切刃20の切削方向後方側に位置し、切刃20の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置3と、切刃20の切削方向前方側に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部4と、を備えた研磨パッド溝加工機において、塵導入部4は、研磨パッド1の表面に対向する位置に設定可能な集塵口40aを有する集塵ボックス40と、集塵口に切屑を上方へ案内する整流板41と、を備えている。
【解決手段】研磨パッド1の表面に作用させて研磨パッド1の表面に多条の溝を切削形成するための切刃20が設けられた切削装置2と、切刃20の切削方向後方側に位置し、切刃20の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置3と、切刃20の切削方向前方側に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部4と、を備えた研磨パッド溝加工機において、塵導入部4は、研磨パッド1の表面に対向する位置に設定可能な集塵口40aを有する集塵ボックス40と、集塵口に切屑を上方へ案内する整流板41と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を切削形成するための切刃が設けられた切削装置と、前記切刃の切削方向後方側に位置し、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置と、前記切刃の周囲近傍に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部と、を備えた研磨パッド溝加工機及び研磨パッド溝加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、半導体ウエハの表面に導電性膜を形成して、フォトリソグラフィーやエッチング等により配線層を形成する工程や、その配線層の上に層間絶縁膜を形成する工程等が含まれるが、これらの工程によってウエハ表面に金属等の導電体や絶縁体からなる凹凸が生じてしまう。近年、半導体集積回路の高密度化を目的として配線の微細化や多層配線化が進んでおり、ウエハ表面の凹凸を平坦化する技術が重要となっている。ウエハ表面の凹凸を平坦化する方法としては、一般的にCMP(ケミカルメカニカルポリシング)法が採用されている。
【0003】
CMPを実施する上では、スラリーがウエハ表面に均一に供給され且つウエハ表面の一定箇所に滞留することがないように、また新たに供給されるスラリーに更新されるようにする必要がある。そのため、従来使用されている研磨パッドの研磨面には、多条の溝が形成されている。下記特許文献1には、このような溝を切削加工するための工具として、複数の切刃を整列突設して多刃ユニット化し、多条の溝を同時に切削形成できるように構成した溝加工用工具が開示されている。
【0004】
ところで、研磨パッドに多条の溝を切削形成するにあたっては、リボン状や糸状をなす細長い切屑が発生する場合があり、しかも研磨パッドの材質が高分子材料であるため切削による摩擦で帯電し易いことから、工具の刃先に切屑が絡み付き、加工精度を悪化させるという問題がある。特に、同心円状又は螺旋状に連続する溝の場合、切屑が長尺化し易いため上記の問題が顕著となる。
【0005】
そこで下記特許文献1では、エアブロー装置を設けて、切刃にエアーを吹き付けて切刃から切屑を除去させるようにしている。除去された切屑は、切削装置の切削方向後方側に配置された回収装置により吸引回収される。回収装置は、集塵口を有する集塵筐体部を備えており、集塵口を介して切屑が吸引及び回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−200767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
研磨パッドの溝加工を行う場合は、前述のように、リボン状や糸状をなす細長い切屑が発生することがあり、確実に切刃から除去するためには、エアブロー圧を高くすればよいが、あまり高くすると、集塵口で集塵することができず、回収装置よりも切削方向前方側へ(回収装置の外部へ)飛び出してしまう。そうすると、切屑の回収効率が低下し、また、切屑が周囲に飛散してしまい、不要なメンテナンス作業が増加する要因となる。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、切刃に絡みついた切屑を確実に除去すると共に、切屑の回収効率を高めることが可能な研磨パッド溝加工機及び研磨パッド溝加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る研磨パッド溝加工機は、
研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を切削形成するための切刃が設けられた切削装置と、前記切刃の切削方向後方側に位置し、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置と、前記切刃の周囲近傍に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部と、を備えた研磨パッド溝加工機において、
前記塵導入部は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に設定可能な集塵口を有する集塵筐体部と、
前記集塵口に位置する切屑を上方へ案内する整流手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成による研磨パッド溝加工機の作用・効果を説明する。この研磨パッド溝加工機は、切削装置の切刃の切削方向後方側に後方側エアブロー装置が設けられ、周囲近傍に塵導入部が設けられる。切削により発生した切屑は、後方側エアブロー装置によりエアーを吹き付けて除去した後、集塵筐体部の集塵口から吸引及び回収される。このとき、集塵口には整流手段が設けられており、この整流手段により切屑は上方へ案内されるように作用するので、切屑が塵導入部の前方や周囲へ飛び出すことを抑制し、回収効率を高めることができる。その結果、切刃に絡みついた切屑を確実に除去すると共に、切屑の回収効率を高めることが可能な研磨パッド溝加工機を提供することができる。
【0011】
本発明に係る前記整流手段は、前記集塵口の切削方向前方側に配置され、かつ、上方に行くほど、前記切削方向前方側に傾斜している整流板として配置されることが好ましい。
【0012】
この構成によると、切屑は整流板に沿って上方に案内される。この整流板は上方に行くほど、切削方向前方側に傾斜しているので、エアブロー装置からのエアーの流れ方向(後方から前方)に対応しており、その吹き付け力を利用して、切屑を整流板に沿って上昇させることができる。
【0013】
本発明において、前記集塵口の切削方向後方側に第2の整流手段が更に配置されることが好ましい。
【0014】
切削方向前方側のみならず切削方向後方側にも整流手段を設けることで、更に効率よく切屑を上方に案内することができ、回収効率を高めることができる。
【0015】
本発明に係る整流手段は、前記集塵口の開口面積を小さくする機能を有することが好ましい。開口面積を小さくすることで、吸引力を大きくしなくても吸引速度を高くすることができ、確実に切屑を吸引回収することができる。
【0016】
本発明において、前記集塵筐体部の前記切削方向前方側に、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける前方側エアブロー装置を備えたことが好ましい。
【0017】
前方側エアブロー装置を設けることで、回収装置の前方側の外側にエアーの壁を形成することができる。これにより、塵導入部の前方側に切屑が飛び出すことを防止し、塵導入部による回収効率を更に高めることができる。
【0018】
上記課題を解決するため本発明に係る研磨パッド溝加工方法は、
切刃を前記研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を形成する工程と、前記切刃の切削方向前方側の位置において、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける工程と、前記切刃の周囲近傍の位置において、切削により発生した切屑を吸引回収する工程と、を有する研磨パッド溝加工方法であって、
前記吸引回収する工程は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に集塵筐体部の集塵口を近接させ、かつ、整流手段により前記集塵口から切屑を上方へ案内する工程を有することを特徴とするものである。
【0019】
かかる構成による研磨パッド溝加工方法による作用・効果はすでに述べたとおりであり、集塵口には整流手段が設けられており、この整流手段により切屑は上方へ案内されるように作用するので、切屑が塵導入部の前方へ飛び出すことを抑制し、回収効率を高めることができる。
【0020】
本発明において、前記集塵筐体部の前記切削方向前方側において、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける工程を有することが好ましい。
【0021】
これにより、前述のように、塵導入部の前方側に切屑が飛び出すことを防止し、塵導入部による回収効率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る研磨パッド溝加工機の構成の一例を概略的に示す側面図
【図2】溝加工機が備える切削装置と前方側エアブロー装置の正面図
【図3】研磨パッドに溝加工を施す際の概略構成を示す平面図
【図4】研磨パッド溝加工機を研磨パッドから離した状態を示す図
【図5】塵導入部の構成を示す概念図
【図6】整流板の効果を説明する概念図
【図7】前方側エアブロー装置の効果を説明する概念図
【図8】研磨パッド溝加工機の動作を説明するフローチャート
【図9】実験結果を示す図
【図10】別実施形態その1に係る研磨パッド溝加工機を示す図
【図11】別実施形態その2に係る研磨パッド溝加工機を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<研磨パッド溝加工機の構成>
本発明に係る研磨パッド溝加工機の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る研磨パッド溝加工機の構成の一例を概略的に示す側面図である。図2は、その溝加工機が備える切削装置とエアブロー装置とを図1左方から見たときの正面図である。図3は、研磨パッドに溝加工を施す際の概略構成を示す平面図である。図4は、研磨パッド溝加工機を研磨パッドから離した状態を示す図である。
【0024】
この研磨パッド溝加工機100(以下、単に溝加工機と呼ぶ場合がある。)は、研磨パッド1の表面を切削するための切刃20を有する切削装置2と、切削装置2に隣接して配置された後方側エアブロー装置3と、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部4(前記回収装置に相当する。)と、塵導入部4に隣接して配置された前方側エアブロー装置5と、を備える。なお、図示はしないが、切刃20を清掃するためのブラシを有する清掃装置を備えていてもよい。
【0025】
図3に示すように、研磨パッド1は中心軸14回りに回転させられ、その表面は図1において左方から右方に向かって移動する。多条の溝は、研磨パッド1の回転を利用して図1の左方に向かって延設される。したがって、図1左方が切削方向前方側となり、図1右方が切削方向後方側となる。本実施形態では、切削装置2の切削方向後方側に後方側エアブロー装置3が配置され、切削方向前方側(切刃の周囲近傍に相当)に塵導入部4が配置されている。また、塵導入部4のさらに切削方向前方側に前方側エアブロー装置5が配置されている。
【0026】
切削装置2、エアブロー装置3、5、塵導入部4は、一体的にユニット化されており、移動機構10(図3参照)によって一緒に横移動可能に構成されている。この横移動は、研磨パッド1の径方向への移動であり、図1では紙面の垂直方向への移動である。また、図1、図4に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び塵導入部4は、移動機構10によって一緒に昇降可能に構成されている。制御装置12は、移動機構10によるこれらの動作も制御する。
【0027】
切削装置2は、図2に示すように、複数の切刃20が横方向に所定のピッチPで整列突設された多刃工具21を有する。多刃工具21は、切刃20と各切刃20間のピッチPを保持するためのスペーサーとを交互に積層して多刃ユニット化し、またはスペーサーと一体化した切刃20を積層して多刃ユニット化し、その多刃ユニットをホルダーに取り換え可能に固装することにより構成できる。この切刃20間のピッチPは、形成する溝ピッチに応じて設定される。
【0028】
各切刃20は、上述した切削装置2の昇降により、研磨パッド1の表面に対して近接した切削位置(図1参照)と、研磨パッド1の表面から離間した非切削位置(図4参照)との間で変位する。研磨パッド1に対する溝加工は、各切刃20が切削位置にあるときに行われる。なお、実際に切削加工が行われる状態では、切刃20の刃先が研磨パッド1の表面に侵入する位置にまで下降している。
【0029】
本発明では、切刃20の形状は特に制限されず、刃物角、前逃げ角及び横逃げ角は、被加工材料、溝形状及び刃物材質などの条件により適宜に変更することができる。また、切刃20の材質も特に制限されず、例えば、炭素鋼、合金鋼、高速度鋼、超硬合金、サーメット、ステライト、超高圧焼結体、セラミックなどが例示される。但し、研磨パッド1の表面への金属残留を防いでウエハ表面の金属汚染を抑制する観点から、切刃20の材質がダイヤモンド等の非金属であることが好ましい。
【0030】
後方側エアブロー装置3は、常温以下に保持されたエアー(破線の矢印で示す。)を噴出口30より噴出し、切刃20に吹き付けて冷却する機能を有する。かかるエアーの吹き付け流量は適宜に調整可能である。本実施形態では、噴出口30の各々が、切刃20に対向して開口するとともに、切刃20間のピッチPに対応したピッチで横方向に整列配置されている。また、必要に応じて、噴出口30の角度を変更することができる。
【0031】
図2に示すように、切削装置2の加工方向前方側となる前方側エアブロー装置3の噴出口30は、横方向における位相を切刃20と略同じにしつつ、切刃20の刃先の斜め上に設けられている。これにより、切刃20を冷却するに際して、付着した切屑を前方斜め上から押し下げるように作用するため、切屑が切刃20から分離し易くなる。
【0032】
不図示の集塵機により、塵導入部4を介して、負圧により切刃20から分離された切屑を吸引することで回収する。図5は、塵導入部4の集塵ボックス40(集塵筐体部に相当)の構成を示す概念図である。集塵ボックス40は、略立方体を呈しており、内部空間は切屑を所定の回収場所へ回収するための空間(あるいは通路)として機能する。
【0033】
集塵ボックス40の底面に集塵口40aが形成されており、この集塵口40aを介して切屑が回収される。集塵口40aは底面だけでなく、後方側の底部側面にも形成されている。底面の集塵口40aの長さはL1で示される。後方側の底部側面の集塵口40aの高さはL2で示される。このように形成することで、切刃20から分離された切屑をエアーの力でスムーズに回収することができる。
【0034】
また、図1にも示すように、集塵ボックス40の内部には整流手段として機能する前方側整流板41と、後方側整流板42(第2の整流手段に相当)が設けられている。前方側整流板41は、集塵ボックス40内に傾斜した状態で設置され、上方に行くほど前方側に傾斜した状態で設置される。この前方側整流板41は、集塵口40aを介して侵入してくる切屑を集塵口40aの近傍で滞留するのを防止し、スムーズに上方へ案内するものであり、切屑の回収効率を高めることを目的としている。また、後方側エアブロー装置3からのエアー吹き付け方向にも沿っており、エアーによりスムーズに切屑を上昇させることができる。
【0035】
後方側整流板42は前方側整流板41と同じ長さを有しており、集塵口40aの後方側であって、集塵ボックス40の内壁面に取り付けられる。後方側整流板42は垂直姿勢で設置され、集塵口40aにおいて切屑が引っかかるのを防止し、スムーズに切屑を回収することができる。また、前方側整流板41と後方側整流板42には、それぞれ、切屑の流れ方向に沿って溝41a,42aが形成されており、効率よく切屑を回収できるようにしている。溝41a,42aの大きさ、形状、方向は適宜設定することができる。
【0036】
前方側整流板41の下部には、支持部40bが集塵ボックス40と一体的に設けられており、前方側整流板41を安定した状態で保持する。これら整流板41,42がない場合と比較すれば、集塵口40aの面積は小さくなる。従って、不図示の集塵機のファンの吸引能力を高めなくても、集塵口40aにおける空気の流速を高くすることができ、効率よく切屑を回収することができる。
【0037】
図6は、整流板41,42の効果を説明する概念図である。整流板41,42がなければ、集塵口40aの面積も大きくなり、切屑が集塵ボックス40の前方側の内壁面に衝突して、スムーズに上昇できない(切屑をWで示す)。確実に上昇するには、ファンの吸引能力を高めればよいが、装置が大型化するという問題がある。そこで、上記のように整流板41,42を設けることで、スムーズに切屑を切刃20から分離させ、回収効率を高めることができる。また、ファンの吸引能力もあえて高くする必要はない。
【0038】
また、図1にも示すように、塵導入部4の前方側には、前方側エアブロー装置5が設けられており、垂直下方向に向けて研磨パッド1の表面にエアーを吹き付ける。これにより、塵導入部4の前方側にエアーの壁を形成する。
【0039】
図7は、前方側エアブロー装置5の効果を説明する概念図である。前方側エアブロー装置5を設けない場合、切屑が塵導入部4の前方側に飛散してしまう可能性がある(切屑をWで示す)。特に、切屑を切刃20に絡まず確実に前方側に押し出すためには、後方側エアブロー装置3のエアーをある程度強くしなければならないが、あまり強くすると、切屑が塵導入部4を介して回収される前に前方側に押し出されてしまうことがある。
【0040】
これは、塵導入部4と研磨パッド1の表面との間に隙間D(図7参照)が存在するためである。切屑の飛散を防止するためには、隙間Dをなくすことが考えられるが、現実的には、塵導入部4の底面とワークである研磨パッド1とが接触してしまうため、隙間Dは必要である。そこで、上記のように前方側エアブロー装置5を設けてエアーを研磨パッド1の表面に吹き付けることで、エアーの壁を形成し、切屑が前方に飛散することを抑制することができる。
【0041】
本実施形態では、塵導入部4の前方側にのみエアブロー装置5を設けているが、塵導入部4や切削装置2を取り囲むようにエアブロー装置を配置し、切屑の周囲への飛散を防止することができる。エアブロー装置5は、塵導入部4の前方側に設けることが最も効果的である。
【0042】
<研磨パッドについて>
本発明では、溝加工の対象となる研磨パッド1として、CMPの技術分野における公知の研磨パッドを限定なく使用することができる。以下、研磨パッド1について簡単に説明する。
【0043】
研磨パッド1は、研磨シート単独で、または研磨シートの裏面に不織布等よりなるクッションシートを貼り付けて構成される。研磨パッド1の研磨面となる表面は、研磨シートにより構成され、この研磨シートに多条の溝が形成されることになる。研磨シートの厚みは特に限定されるものではないが、一般的には1〜3mmである。
【0044】
研磨シートの形成材料は、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、エポキシ樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。研磨シートは、発泡体及び無発泡体の何れでもよく、被研磨材や研磨条件に応じて任意に選択可能であるが、スラリーの保持性やスクラッチ等の面から発泡体であることが好ましい。
【0045】
既述のように、研磨パッド1の表面には、スラリーを保持・更新するために多条の溝が形成される。溝形状としては特に制限されず、XY格子状溝や同心円状溝、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝などを連続的又は断続的に設けることができる。また、溝断面形状も特に制限されず、矩形状溝や半円形状溝、U字状溝、V字状溝などを設けることができる。
【0046】
<溝加工機の作用>
次に、上記の溝加工機を用いて研磨パッド1の表面に多条の溝を切削形成する方法について説明する。図3は、研磨パッドに溝加工を施す際の概略構成を示す平面図である。研磨パッド1は、駆動装置11によって回転駆動されるテーブル13に載置され、中心軸14回りのR方向に沿って回転する。上述した溝加工機は、その研磨パッド1の上方に配置されている。図1、4は、図3を左方向から見たときの側面図であり、テーブル13については図示を省略している。研磨パッド1の回転、つまり駆動装置11の作動は制御装置12によって制御される。
【0047】
研磨パッド1には、中心軸14近傍から外周縁近傍にかけて、可能な限りの広範囲で一様な溝を設けることが好ましい。本実施形態では、同心円状に連続して延びる多条の溝を切削形成する例を示す。かかる同心円状溝や螺旋状溝の場合、一度の切削加工で発生する切屑の量が多いために切屑が長尺化し易い傾向にあり、その切屑が切刃20に絡み付いて加工精度を悪化させるという問題が生じ易い。かかる傾向は、φ500mm以上、特に600mm以上、更にはφ700mm以上の口径が比較的大きい研磨パッドにおいて顕著である。
【0048】
同心円状に連続して延びる多条の溝を切削形成する場合、研磨パッド1の径方向内側から外側に向かって、又は径方向外側から内側に向かって、多刃工具21を順次移動させることになるが、かかる多刃工具21の移動方向は、同心で同一間隔の溝が適切に形成できるものであれば特に制限されない。本実施形態では、研磨パッド1の径方向内側から外側に向かって多刃工具21を移動させる例を示す。
【0049】
<溝加工の手順>
図8は、溝加工の手順を示すフローチャートである。まず、溝加工の対象となる研磨パッド1をテーブル17に載置するとともに、その上方にある溝加工機を所定の高さに配置する(S1)。この段階では、図4に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び塵導入部4が上昇していて、切刃20が非切削位置にある。以下、このような溝加工機の状態を待機状態と呼ぶ。多刃工具21の横方向位置(図2における左右方向位置)は、図3に示すような中心軸14の近傍となる。
【0050】
次に、テーブル13を回転駆動するとともに、溝加工機を所定の高さにまで下降し(S2)、回転する研磨パッド1の表面に切刃20を近接させて、その刃先を所定の深さで侵入させる。これにより、切刃20間のピッチPに対応した間隔で多条の溝を切削形成することができる(S3、前記切削工程に相当する。)。この段階では、図1に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び集塵機4が下降していて、切刃20が切削位置に変位している。図3は、切削を開始してから研磨パッド1が約3/4回転した状態を示している。
【0051】
切削により発生した切屑のうち短片状のものは塵導入部4で比較的容易に吸引回収されるが、リボン状や糸状をなす細長い切屑は、切刃20に絡み付いて吸引では容易に回収できない状態となる。研磨パッド1の表面を切削している間、切刃20には後方側エアブロー装置3によってエアーが吹き付けられる。樹脂材料からなる切屑は、温度上昇によって切刃20に粘着し易くなるが、かかるエアーの吹き付けにより切刃20を冷却することで切屑の粘度を低下させることができ、切刃20から容易に分離できる。また、前方側エアブロー装置5によりエアーの壁が形成されるので、切屑の飛散を防止し、回収効率を高めることができる。
【0052】
エアブロー装置3、5によるエアの吹き付けは、研磨パッド1の表面全域に対する溝加工が完了するまで常時行われるものでもよく、各工程に合わせた適宜のタイミングで行われるものでもよい。後者の場合、制御装置12により吹き付けタイミングを制御することが望ましい。
【0053】
切削を開始してから研磨パッド1が1回転以上し、多条の環状溝が形成されると、溝加工機を所定の高さにまで上昇し(S4)、切刃20を研磨パッド1の表面から離間して非切削位置に変位させ、待機状態とする(S5、前記離間工程に相当する。)。
【0054】
なお、清掃装置を有する場合には、続いて、切刃20が研磨パッド1の表面から離間している間に、清掃装置を駆動して、ブラシを切刃20に接触させて清掃して、絡み付いた細長い切屑を取り除く(S6、前記清掃工程に相当する。)。この段階では、図4に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び塵導入部4が上昇していて、切刃20が非切削位置にある。
【0055】
切刃20を清掃した後は、ブラシを待避位置に変位させ、研磨パッド1の表面全域への溝加工が完了しているのであればテーブル13の回転を停止して溝加工を終了し、完了していないのであれば溝加工機を横方向に移動し、上記S1以降の工程を繰り返して、形成した溝の外周側に新たな溝を切削形成する(S7、S8)。研磨パッド1の表面全域への溝加工を完了したか否かは、例えば溝加工機の横方向位置に基づいて判別できる。
【0056】
以上の方法によれば、切刃20から切屑を確実に除去でき、研磨パッド1に対する溝加工を安定して行うことができる。また、切屑の回収効率も高めることができる。なお、テーブル13の回転や、溝加工機の昇降及び横移動などは、制御装置12により制御される。そのための制御プログラムは制御装置12に予め入力・設定でき、上述した溝加工を自動的に(半自動又は全自動で)行うことができる。
【0057】
<実施例>
実際に本発明の効果を確認するための実験を行った。実施例1では、集塵ボックス40の内部に前方側整流板41のみを配置した。実施例2では、実施例1に加えて前方側エアブロー装置5を追加した。図9にその実験結果を示す。評価項目として、切刃20への切屑の付着状態(評価1)と、切屑の飛散状態(評価2)を行った。比較例として、整流板および前方側エアブロー装置を設けないもので実験した。
【0058】
図9(a)に示すように、実施例1は、評価1が○、評価2が△であり、実施例2は、評価1,2とも○であった。比較例は、評価1,2とも×であった。この結果からも、整流板や前方側エアブロー装置を設けることで、切屑の回収効率を高められることを確認した。
【0059】
<切削装置の別実施形態その1>
図10は、別実施形態に係る研磨パッド溝加工機を示す図であり、特に、切削装置2の別実施形態を示す。切刃20はローラーカッターとして構成されている。図示のローラーカッターが紙面の垂直方向に複数並べられており、これにより、多条の溝を同時に加工することができる。その他の構成は図1に示す実施形態と同じであるので、同じ機能をする部材には同じ図番を付して、説明を省略する。
【0060】
<切削装置の別実施形態その2>
図11は、ローラーカッターを用いる場合のさらに別の実施形態である。この実施形態では、塵導入部4の集塵ボックス40が切刃20を囲むように配置される(切刃の周囲近傍に配置)。後方側エアブロー装置3も一部、集塵ボックス40内に入り込んでいる。集塵ボックス40の上方に前方側整流板41と後方側整流板42が配置されて管40cの方へ切屑を導く。前方側整流板41と後方側整流板42には、図5で例示したような溝を形成することが好ましい。かかる構成によっても、切屑を効率よく回収することができる。
【0061】
<更に他の実施形態>
本実施形態においては、切削装置2の前方側、すなわち、切削装置2と塵導入部4の間にもエアブロー装置を設けてもよい。これにより、切刃20に絡みついた切屑を更に効率よく分離させることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 研磨パッド
2 切削装置
3 後方側エアブロー装置
4 塵導入部
5 前方側エアブロー装置
10 移動機構
11 駆動機構
12 制御装置
20 切刃
40 集塵ボックス
40a 集塵口
41 前方側整流板
42 後方側整流板
100 研磨パッド溝加工機
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を切削形成するための切刃が設けられた切削装置と、前記切刃の切削方向後方側に位置し、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置と、前記切刃の周囲近傍に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部と、を備えた研磨パッド溝加工機及び研磨パッド溝加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、半導体ウエハの表面に導電性膜を形成して、フォトリソグラフィーやエッチング等により配線層を形成する工程や、その配線層の上に層間絶縁膜を形成する工程等が含まれるが、これらの工程によってウエハ表面に金属等の導電体や絶縁体からなる凹凸が生じてしまう。近年、半導体集積回路の高密度化を目的として配線の微細化や多層配線化が進んでおり、ウエハ表面の凹凸を平坦化する技術が重要となっている。ウエハ表面の凹凸を平坦化する方法としては、一般的にCMP(ケミカルメカニカルポリシング)法が採用されている。
【0003】
CMPを実施する上では、スラリーがウエハ表面に均一に供給され且つウエハ表面の一定箇所に滞留することがないように、また新たに供給されるスラリーに更新されるようにする必要がある。そのため、従来使用されている研磨パッドの研磨面には、多条の溝が形成されている。下記特許文献1には、このような溝を切削加工するための工具として、複数の切刃を整列突設して多刃ユニット化し、多条の溝を同時に切削形成できるように構成した溝加工用工具が開示されている。
【0004】
ところで、研磨パッドに多条の溝を切削形成するにあたっては、リボン状や糸状をなす細長い切屑が発生する場合があり、しかも研磨パッドの材質が高分子材料であるため切削による摩擦で帯電し易いことから、工具の刃先に切屑が絡み付き、加工精度を悪化させるという問題がある。特に、同心円状又は螺旋状に連続する溝の場合、切屑が長尺化し易いため上記の問題が顕著となる。
【0005】
そこで下記特許文献1では、エアブロー装置を設けて、切刃にエアーを吹き付けて切刃から切屑を除去させるようにしている。除去された切屑は、切削装置の切削方向後方側に配置された回収装置により吸引回収される。回収装置は、集塵口を有する集塵筐体部を備えており、集塵口を介して切屑が吸引及び回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−200767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
研磨パッドの溝加工を行う場合は、前述のように、リボン状や糸状をなす細長い切屑が発生することがあり、確実に切刃から除去するためには、エアブロー圧を高くすればよいが、あまり高くすると、集塵口で集塵することができず、回収装置よりも切削方向前方側へ(回収装置の外部へ)飛び出してしまう。そうすると、切屑の回収効率が低下し、また、切屑が周囲に飛散してしまい、不要なメンテナンス作業が増加する要因となる。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、切刃に絡みついた切屑を確実に除去すると共に、切屑の回収効率を高めることが可能な研磨パッド溝加工機及び研磨パッド溝加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る研磨パッド溝加工機は、
研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を切削形成するための切刃が設けられた切削装置と、前記切刃の切削方向後方側に位置し、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置と、前記切刃の周囲近傍に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部と、を備えた研磨パッド溝加工機において、
前記塵導入部は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に設定可能な集塵口を有する集塵筐体部と、
前記集塵口に位置する切屑を上方へ案内する整流手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成による研磨パッド溝加工機の作用・効果を説明する。この研磨パッド溝加工機は、切削装置の切刃の切削方向後方側に後方側エアブロー装置が設けられ、周囲近傍に塵導入部が設けられる。切削により発生した切屑は、後方側エアブロー装置によりエアーを吹き付けて除去した後、集塵筐体部の集塵口から吸引及び回収される。このとき、集塵口には整流手段が設けられており、この整流手段により切屑は上方へ案内されるように作用するので、切屑が塵導入部の前方や周囲へ飛び出すことを抑制し、回収効率を高めることができる。その結果、切刃に絡みついた切屑を確実に除去すると共に、切屑の回収効率を高めることが可能な研磨パッド溝加工機を提供することができる。
【0011】
本発明に係る前記整流手段は、前記集塵口の切削方向前方側に配置され、かつ、上方に行くほど、前記切削方向前方側に傾斜している整流板として配置されることが好ましい。
【0012】
この構成によると、切屑は整流板に沿って上方に案内される。この整流板は上方に行くほど、切削方向前方側に傾斜しているので、エアブロー装置からのエアーの流れ方向(後方から前方)に対応しており、その吹き付け力を利用して、切屑を整流板に沿って上昇させることができる。
【0013】
本発明において、前記集塵口の切削方向後方側に第2の整流手段が更に配置されることが好ましい。
【0014】
切削方向前方側のみならず切削方向後方側にも整流手段を設けることで、更に効率よく切屑を上方に案内することができ、回収効率を高めることができる。
【0015】
本発明に係る整流手段は、前記集塵口の開口面積を小さくする機能を有することが好ましい。開口面積を小さくすることで、吸引力を大きくしなくても吸引速度を高くすることができ、確実に切屑を吸引回収することができる。
【0016】
本発明において、前記集塵筐体部の前記切削方向前方側に、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける前方側エアブロー装置を備えたことが好ましい。
【0017】
前方側エアブロー装置を設けることで、回収装置の前方側の外側にエアーの壁を形成することができる。これにより、塵導入部の前方側に切屑が飛び出すことを防止し、塵導入部による回収効率を更に高めることができる。
【0018】
上記課題を解決するため本発明に係る研磨パッド溝加工方法は、
切刃を前記研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を形成する工程と、前記切刃の切削方向前方側の位置において、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける工程と、前記切刃の周囲近傍の位置において、切削により発生した切屑を吸引回収する工程と、を有する研磨パッド溝加工方法であって、
前記吸引回収する工程は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に集塵筐体部の集塵口を近接させ、かつ、整流手段により前記集塵口から切屑を上方へ案内する工程を有することを特徴とするものである。
【0019】
かかる構成による研磨パッド溝加工方法による作用・効果はすでに述べたとおりであり、集塵口には整流手段が設けられており、この整流手段により切屑は上方へ案内されるように作用するので、切屑が塵導入部の前方へ飛び出すことを抑制し、回収効率を高めることができる。
【0020】
本発明において、前記集塵筐体部の前記切削方向前方側において、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける工程を有することが好ましい。
【0021】
これにより、前述のように、塵導入部の前方側に切屑が飛び出すことを防止し、塵導入部による回収効率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る研磨パッド溝加工機の構成の一例を概略的に示す側面図
【図2】溝加工機が備える切削装置と前方側エアブロー装置の正面図
【図3】研磨パッドに溝加工を施す際の概略構成を示す平面図
【図4】研磨パッド溝加工機を研磨パッドから離した状態を示す図
【図5】塵導入部の構成を示す概念図
【図6】整流板の効果を説明する概念図
【図7】前方側エアブロー装置の効果を説明する概念図
【図8】研磨パッド溝加工機の動作を説明するフローチャート
【図9】実験結果を示す図
【図10】別実施形態その1に係る研磨パッド溝加工機を示す図
【図11】別実施形態その2に係る研磨パッド溝加工機を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<研磨パッド溝加工機の構成>
本発明に係る研磨パッド溝加工機の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る研磨パッド溝加工機の構成の一例を概略的に示す側面図である。図2は、その溝加工機が備える切削装置とエアブロー装置とを図1左方から見たときの正面図である。図3は、研磨パッドに溝加工を施す際の概略構成を示す平面図である。図4は、研磨パッド溝加工機を研磨パッドから離した状態を示す図である。
【0024】
この研磨パッド溝加工機100(以下、単に溝加工機と呼ぶ場合がある。)は、研磨パッド1の表面を切削するための切刃20を有する切削装置2と、切削装置2に隣接して配置された後方側エアブロー装置3と、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部4(前記回収装置に相当する。)と、塵導入部4に隣接して配置された前方側エアブロー装置5と、を備える。なお、図示はしないが、切刃20を清掃するためのブラシを有する清掃装置を備えていてもよい。
【0025】
図3に示すように、研磨パッド1は中心軸14回りに回転させられ、その表面は図1において左方から右方に向かって移動する。多条の溝は、研磨パッド1の回転を利用して図1の左方に向かって延設される。したがって、図1左方が切削方向前方側となり、図1右方が切削方向後方側となる。本実施形態では、切削装置2の切削方向後方側に後方側エアブロー装置3が配置され、切削方向前方側(切刃の周囲近傍に相当)に塵導入部4が配置されている。また、塵導入部4のさらに切削方向前方側に前方側エアブロー装置5が配置されている。
【0026】
切削装置2、エアブロー装置3、5、塵導入部4は、一体的にユニット化されており、移動機構10(図3参照)によって一緒に横移動可能に構成されている。この横移動は、研磨パッド1の径方向への移動であり、図1では紙面の垂直方向への移動である。また、図1、図4に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び塵導入部4は、移動機構10によって一緒に昇降可能に構成されている。制御装置12は、移動機構10によるこれらの動作も制御する。
【0027】
切削装置2は、図2に示すように、複数の切刃20が横方向に所定のピッチPで整列突設された多刃工具21を有する。多刃工具21は、切刃20と各切刃20間のピッチPを保持するためのスペーサーとを交互に積層して多刃ユニット化し、またはスペーサーと一体化した切刃20を積層して多刃ユニット化し、その多刃ユニットをホルダーに取り換え可能に固装することにより構成できる。この切刃20間のピッチPは、形成する溝ピッチに応じて設定される。
【0028】
各切刃20は、上述した切削装置2の昇降により、研磨パッド1の表面に対して近接した切削位置(図1参照)と、研磨パッド1の表面から離間した非切削位置(図4参照)との間で変位する。研磨パッド1に対する溝加工は、各切刃20が切削位置にあるときに行われる。なお、実際に切削加工が行われる状態では、切刃20の刃先が研磨パッド1の表面に侵入する位置にまで下降している。
【0029】
本発明では、切刃20の形状は特に制限されず、刃物角、前逃げ角及び横逃げ角は、被加工材料、溝形状及び刃物材質などの条件により適宜に変更することができる。また、切刃20の材質も特に制限されず、例えば、炭素鋼、合金鋼、高速度鋼、超硬合金、サーメット、ステライト、超高圧焼結体、セラミックなどが例示される。但し、研磨パッド1の表面への金属残留を防いでウエハ表面の金属汚染を抑制する観点から、切刃20の材質がダイヤモンド等の非金属であることが好ましい。
【0030】
後方側エアブロー装置3は、常温以下に保持されたエアー(破線の矢印で示す。)を噴出口30より噴出し、切刃20に吹き付けて冷却する機能を有する。かかるエアーの吹き付け流量は適宜に調整可能である。本実施形態では、噴出口30の各々が、切刃20に対向して開口するとともに、切刃20間のピッチPに対応したピッチで横方向に整列配置されている。また、必要に応じて、噴出口30の角度を変更することができる。
【0031】
図2に示すように、切削装置2の加工方向前方側となる前方側エアブロー装置3の噴出口30は、横方向における位相を切刃20と略同じにしつつ、切刃20の刃先の斜め上に設けられている。これにより、切刃20を冷却するに際して、付着した切屑を前方斜め上から押し下げるように作用するため、切屑が切刃20から分離し易くなる。
【0032】
不図示の集塵機により、塵導入部4を介して、負圧により切刃20から分離された切屑を吸引することで回収する。図5は、塵導入部4の集塵ボックス40(集塵筐体部に相当)の構成を示す概念図である。集塵ボックス40は、略立方体を呈しており、内部空間は切屑を所定の回収場所へ回収するための空間(あるいは通路)として機能する。
【0033】
集塵ボックス40の底面に集塵口40aが形成されており、この集塵口40aを介して切屑が回収される。集塵口40aは底面だけでなく、後方側の底部側面にも形成されている。底面の集塵口40aの長さはL1で示される。後方側の底部側面の集塵口40aの高さはL2で示される。このように形成することで、切刃20から分離された切屑をエアーの力でスムーズに回収することができる。
【0034】
また、図1にも示すように、集塵ボックス40の内部には整流手段として機能する前方側整流板41と、後方側整流板42(第2の整流手段に相当)が設けられている。前方側整流板41は、集塵ボックス40内に傾斜した状態で設置され、上方に行くほど前方側に傾斜した状態で設置される。この前方側整流板41は、集塵口40aを介して侵入してくる切屑を集塵口40aの近傍で滞留するのを防止し、スムーズに上方へ案内するものであり、切屑の回収効率を高めることを目的としている。また、後方側エアブロー装置3からのエアー吹き付け方向にも沿っており、エアーによりスムーズに切屑を上昇させることができる。
【0035】
後方側整流板42は前方側整流板41と同じ長さを有しており、集塵口40aの後方側であって、集塵ボックス40の内壁面に取り付けられる。後方側整流板42は垂直姿勢で設置され、集塵口40aにおいて切屑が引っかかるのを防止し、スムーズに切屑を回収することができる。また、前方側整流板41と後方側整流板42には、それぞれ、切屑の流れ方向に沿って溝41a,42aが形成されており、効率よく切屑を回収できるようにしている。溝41a,42aの大きさ、形状、方向は適宜設定することができる。
【0036】
前方側整流板41の下部には、支持部40bが集塵ボックス40と一体的に設けられており、前方側整流板41を安定した状態で保持する。これら整流板41,42がない場合と比較すれば、集塵口40aの面積は小さくなる。従って、不図示の集塵機のファンの吸引能力を高めなくても、集塵口40aにおける空気の流速を高くすることができ、効率よく切屑を回収することができる。
【0037】
図6は、整流板41,42の効果を説明する概念図である。整流板41,42がなければ、集塵口40aの面積も大きくなり、切屑が集塵ボックス40の前方側の内壁面に衝突して、スムーズに上昇できない(切屑をWで示す)。確実に上昇するには、ファンの吸引能力を高めればよいが、装置が大型化するという問題がある。そこで、上記のように整流板41,42を設けることで、スムーズに切屑を切刃20から分離させ、回収効率を高めることができる。また、ファンの吸引能力もあえて高くする必要はない。
【0038】
また、図1にも示すように、塵導入部4の前方側には、前方側エアブロー装置5が設けられており、垂直下方向に向けて研磨パッド1の表面にエアーを吹き付ける。これにより、塵導入部4の前方側にエアーの壁を形成する。
【0039】
図7は、前方側エアブロー装置5の効果を説明する概念図である。前方側エアブロー装置5を設けない場合、切屑が塵導入部4の前方側に飛散してしまう可能性がある(切屑をWで示す)。特に、切屑を切刃20に絡まず確実に前方側に押し出すためには、後方側エアブロー装置3のエアーをある程度強くしなければならないが、あまり強くすると、切屑が塵導入部4を介して回収される前に前方側に押し出されてしまうことがある。
【0040】
これは、塵導入部4と研磨パッド1の表面との間に隙間D(図7参照)が存在するためである。切屑の飛散を防止するためには、隙間Dをなくすことが考えられるが、現実的には、塵導入部4の底面とワークである研磨パッド1とが接触してしまうため、隙間Dは必要である。そこで、上記のように前方側エアブロー装置5を設けてエアーを研磨パッド1の表面に吹き付けることで、エアーの壁を形成し、切屑が前方に飛散することを抑制することができる。
【0041】
本実施形態では、塵導入部4の前方側にのみエアブロー装置5を設けているが、塵導入部4や切削装置2を取り囲むようにエアブロー装置を配置し、切屑の周囲への飛散を防止することができる。エアブロー装置5は、塵導入部4の前方側に設けることが最も効果的である。
【0042】
<研磨パッドについて>
本発明では、溝加工の対象となる研磨パッド1として、CMPの技術分野における公知の研磨パッドを限定なく使用することができる。以下、研磨パッド1について簡単に説明する。
【0043】
研磨パッド1は、研磨シート単独で、または研磨シートの裏面に不織布等よりなるクッションシートを貼り付けて構成される。研磨パッド1の研磨面となる表面は、研磨シートにより構成され、この研磨シートに多条の溝が形成されることになる。研磨シートの厚みは特に限定されるものではないが、一般的には1〜3mmである。
【0044】
研磨シートの形成材料は、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、エポキシ樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。研磨シートは、発泡体及び無発泡体の何れでもよく、被研磨材や研磨条件に応じて任意に選択可能であるが、スラリーの保持性やスクラッチ等の面から発泡体であることが好ましい。
【0045】
既述のように、研磨パッド1の表面には、スラリーを保持・更新するために多条の溝が形成される。溝形状としては特に制限されず、XY格子状溝や同心円状溝、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝などを連続的又は断続的に設けることができる。また、溝断面形状も特に制限されず、矩形状溝や半円形状溝、U字状溝、V字状溝などを設けることができる。
【0046】
<溝加工機の作用>
次に、上記の溝加工機を用いて研磨パッド1の表面に多条の溝を切削形成する方法について説明する。図3は、研磨パッドに溝加工を施す際の概略構成を示す平面図である。研磨パッド1は、駆動装置11によって回転駆動されるテーブル13に載置され、中心軸14回りのR方向に沿って回転する。上述した溝加工機は、その研磨パッド1の上方に配置されている。図1、4は、図3を左方向から見たときの側面図であり、テーブル13については図示を省略している。研磨パッド1の回転、つまり駆動装置11の作動は制御装置12によって制御される。
【0047】
研磨パッド1には、中心軸14近傍から外周縁近傍にかけて、可能な限りの広範囲で一様な溝を設けることが好ましい。本実施形態では、同心円状に連続して延びる多条の溝を切削形成する例を示す。かかる同心円状溝や螺旋状溝の場合、一度の切削加工で発生する切屑の量が多いために切屑が長尺化し易い傾向にあり、その切屑が切刃20に絡み付いて加工精度を悪化させるという問題が生じ易い。かかる傾向は、φ500mm以上、特に600mm以上、更にはφ700mm以上の口径が比較的大きい研磨パッドにおいて顕著である。
【0048】
同心円状に連続して延びる多条の溝を切削形成する場合、研磨パッド1の径方向内側から外側に向かって、又は径方向外側から内側に向かって、多刃工具21を順次移動させることになるが、かかる多刃工具21の移動方向は、同心で同一間隔の溝が適切に形成できるものであれば特に制限されない。本実施形態では、研磨パッド1の径方向内側から外側に向かって多刃工具21を移動させる例を示す。
【0049】
<溝加工の手順>
図8は、溝加工の手順を示すフローチャートである。まず、溝加工の対象となる研磨パッド1をテーブル17に載置するとともに、その上方にある溝加工機を所定の高さに配置する(S1)。この段階では、図4に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び塵導入部4が上昇していて、切刃20が非切削位置にある。以下、このような溝加工機の状態を待機状態と呼ぶ。多刃工具21の横方向位置(図2における左右方向位置)は、図3に示すような中心軸14の近傍となる。
【0050】
次に、テーブル13を回転駆動するとともに、溝加工機を所定の高さにまで下降し(S2)、回転する研磨パッド1の表面に切刃20を近接させて、その刃先を所定の深さで侵入させる。これにより、切刃20間のピッチPに対応した間隔で多条の溝を切削形成することができる(S3、前記切削工程に相当する。)。この段階では、図1に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び集塵機4が下降していて、切刃20が切削位置に変位している。図3は、切削を開始してから研磨パッド1が約3/4回転した状態を示している。
【0051】
切削により発生した切屑のうち短片状のものは塵導入部4で比較的容易に吸引回収されるが、リボン状や糸状をなす細長い切屑は、切刃20に絡み付いて吸引では容易に回収できない状態となる。研磨パッド1の表面を切削している間、切刃20には後方側エアブロー装置3によってエアーが吹き付けられる。樹脂材料からなる切屑は、温度上昇によって切刃20に粘着し易くなるが、かかるエアーの吹き付けにより切刃20を冷却することで切屑の粘度を低下させることができ、切刃20から容易に分離できる。また、前方側エアブロー装置5によりエアーの壁が形成されるので、切屑の飛散を防止し、回収効率を高めることができる。
【0052】
エアブロー装置3、5によるエアの吹き付けは、研磨パッド1の表面全域に対する溝加工が完了するまで常時行われるものでもよく、各工程に合わせた適宜のタイミングで行われるものでもよい。後者の場合、制御装置12により吹き付けタイミングを制御することが望ましい。
【0053】
切削を開始してから研磨パッド1が1回転以上し、多条の環状溝が形成されると、溝加工機を所定の高さにまで上昇し(S4)、切刃20を研磨パッド1の表面から離間して非切削位置に変位させ、待機状態とする(S5、前記離間工程に相当する。)。
【0054】
なお、清掃装置を有する場合には、続いて、切刃20が研磨パッド1の表面から離間している間に、清掃装置を駆動して、ブラシを切刃20に接触させて清掃して、絡み付いた細長い切屑を取り除く(S6、前記清掃工程に相当する。)。この段階では、図4に示すように、切削装置2、エアブロー装置3、5及び塵導入部4が上昇していて、切刃20が非切削位置にある。
【0055】
切刃20を清掃した後は、ブラシを待避位置に変位させ、研磨パッド1の表面全域への溝加工が完了しているのであればテーブル13の回転を停止して溝加工を終了し、完了していないのであれば溝加工機を横方向に移動し、上記S1以降の工程を繰り返して、形成した溝の外周側に新たな溝を切削形成する(S7、S8)。研磨パッド1の表面全域への溝加工を完了したか否かは、例えば溝加工機の横方向位置に基づいて判別できる。
【0056】
以上の方法によれば、切刃20から切屑を確実に除去でき、研磨パッド1に対する溝加工を安定して行うことができる。また、切屑の回収効率も高めることができる。なお、テーブル13の回転や、溝加工機の昇降及び横移動などは、制御装置12により制御される。そのための制御プログラムは制御装置12に予め入力・設定でき、上述した溝加工を自動的に(半自動又は全自動で)行うことができる。
【0057】
<実施例>
実際に本発明の効果を確認するための実験を行った。実施例1では、集塵ボックス40の内部に前方側整流板41のみを配置した。実施例2では、実施例1に加えて前方側エアブロー装置5を追加した。図9にその実験結果を示す。評価項目として、切刃20への切屑の付着状態(評価1)と、切屑の飛散状態(評価2)を行った。比較例として、整流板および前方側エアブロー装置を設けないもので実験した。
【0058】
図9(a)に示すように、実施例1は、評価1が○、評価2が△であり、実施例2は、評価1,2とも○であった。比較例は、評価1,2とも×であった。この結果からも、整流板や前方側エアブロー装置を設けることで、切屑の回収効率を高められることを確認した。
【0059】
<切削装置の別実施形態その1>
図10は、別実施形態に係る研磨パッド溝加工機を示す図であり、特に、切削装置2の別実施形態を示す。切刃20はローラーカッターとして構成されている。図示のローラーカッターが紙面の垂直方向に複数並べられており、これにより、多条の溝を同時に加工することができる。その他の構成は図1に示す実施形態と同じであるので、同じ機能をする部材には同じ図番を付して、説明を省略する。
【0060】
<切削装置の別実施形態その2>
図11は、ローラーカッターを用いる場合のさらに別の実施形態である。この実施形態では、塵導入部4の集塵ボックス40が切刃20を囲むように配置される(切刃の周囲近傍に配置)。後方側エアブロー装置3も一部、集塵ボックス40内に入り込んでいる。集塵ボックス40の上方に前方側整流板41と後方側整流板42が配置されて管40cの方へ切屑を導く。前方側整流板41と後方側整流板42には、図5で例示したような溝を形成することが好ましい。かかる構成によっても、切屑を効率よく回収することができる。
【0061】
<更に他の実施形態>
本実施形態においては、切削装置2の前方側、すなわち、切削装置2と塵導入部4の間にもエアブロー装置を設けてもよい。これにより、切刃20に絡みついた切屑を更に効率よく分離させることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 研磨パッド
2 切削装置
3 後方側エアブロー装置
4 塵導入部
5 前方側エアブロー装置
10 移動機構
11 駆動機構
12 制御装置
20 切刃
40 集塵ボックス
40a 集塵口
41 前方側整流板
42 後方側整流板
100 研磨パッド溝加工機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を切削形成するための切刃が設けられた切削装置と、
前記切刃の切削方向後方側に位置し、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置と、
前記切刃の周囲近傍に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部と、を備えた研磨パッド溝加工機において、
前記塵導入部は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に設定可能な集塵口を有する集塵筐体部と、
前記集塵口に位置する切屑を上方へ案内する整流手段と、を備えていることを特徴とする研磨パッド溝加工機。
【請求項2】
前記整流手段は、前記集塵口の切削方向前方側に配置され、かつ、上方に行くほど、前記切削方向前方側に傾斜している整流板として配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項3】
前記集塵口の切削方向後方側に第2の整流手段が更に配置されることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項4】
前記整流手段は、前記集塵口の開口面積を小さくする機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項5】
前記集塵筐体部の前記切削方向前方側に、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける前方側エアブロー装置を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項6】
切刃を前記研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を形成する工程と、
前記切刃の切削方向後方側の位置において、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける工程と、
前記切刃の周囲近傍の位置において、切削により発生した切屑を吸引回収する工程と、を有する研磨パッド溝加工方法であって、
前記吸引回収する工程は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に集塵筐体部の集塵口を近接させ、かつ、整流手段により前記集塵口から切屑を上方へ案内する工程を有することを特徴とする研磨パッド溝加工方法。
【請求項7】
前記集塵筐体部の前記切削方向前方側において、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける工程を有することを特徴とする請求項6に記載の研磨パッド溝加工方法。
【請求項1】
研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を切削形成するための切刃が設けられた切削装置と、
前記切刃の切削方向後方側に位置し、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける後方側エアブロー装置と、
前記切刃の周囲近傍に位置し、切削により発生した切屑を吸引回収する塵導入部と、を備えた研磨パッド溝加工機において、
前記塵導入部は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に設定可能な集塵口を有する集塵筐体部と、
前記集塵口に位置する切屑を上方へ案内する整流手段と、を備えていることを特徴とする研磨パッド溝加工機。
【請求項2】
前記整流手段は、前記集塵口の切削方向前方側に配置され、かつ、上方に行くほど、前記切削方向前方側に傾斜している整流板として配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項3】
前記集塵口の切削方向後方側に第2の整流手段が更に配置されることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項4】
前記整流手段は、前記集塵口の開口面積を小さくする機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項5】
前記集塵筐体部の前記切削方向前方側に、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける前方側エアブロー装置を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッド溝加工機。
【請求項6】
切刃を前記研磨パッドの表面に作用させて研磨パッドの表面に多条の溝を形成する工程と、
前記切刃の切削方向後方側の位置において、前記切刃の方向に向けてエアーを吹き付ける工程と、
前記切刃の周囲近傍の位置において、切削により発生した切屑を吸引回収する工程と、を有する研磨パッド溝加工方法であって、
前記吸引回収する工程は、
前記研磨パッドの表面に対向する位置に集塵筐体部の集塵口を近接させ、かつ、整流手段により前記集塵口から切屑を上方へ案内する工程を有することを特徴とする研磨パッド溝加工方法。
【請求項7】
前記集塵筐体部の前記切削方向前方側において、前記研磨パッドの表面に上方からエアーを吹き付ける工程を有することを特徴とする請求項6に記載の研磨パッド溝加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−35103(P2013−35103A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173833(P2011−173833)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]