説明

砕石の微粉除去装置

【課題】 乾式処理で砕石の微粉を十分に除去可能とし、廃水処理を不要に(又は低減)する。
【解決手段】 振動篩1の篩面2上に、砕石の通過可能な隙間を篩面2との間に形成し且つ砕石が隙間を通過するとき振動により衝突する当板3を設ける。微粉を含有する砕石が篩面2に供給されると、砕石は篩面2と当板3との間に形成された隙間を通って製品排出口9から排出される。砕石は隙間を通過するとき振動により当板3と篩面2とに繰り返し衝突する。この衝突で砕石には繰り返し衝撃が与えられるので、付着した微粉は砕石から剥離され、篩面2から落下し篩下ホッパー8に捕集される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動篩を使用して砕石に付着している微粉を分離除去する砕石の微粉除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
砕石には破砕する過程や搬送する過程で生じた微粉が混入・付着している。製品として出荷される砕石は、用途に応じて所定の粒度範囲に分級されるが、この砕石製品中に含有される微粉の量は、需要者の要求仕様、例えばJISの規定値以下にする必要がある。
従来、このような微粉の除去は、スパイラル分級機等を用いた湿式処理により行われていた。
【0003】
スパイラル分級機は、傾斜した細長い槽内に螺旋状の羽根を備えており、この螺旋状の羽根を回転させて槽内に投入された砕石を水中で攪拌することにより、砕石から微粉を分離する。分離した微粉は水と共に排出し、微粉が除去された砕石は羽根で掻き上げて製品として取り出す(特許文献1参照)。
しかし、このような湿式処理では、微粉を含む廃水の処理が困難で、廃水処理に多大な設備を要しコストがかかる。製品の乾燥も必要になる。
【0004】
よって、乾式処理で微粉末を除去することが望ましいが、砕石は外形が川砂利のように円滑でなく、多数の凹凸を有しており、凹部に固く付着している微粉末は、例えばエアーブローのような手段では、十分に除去することはできない。
【特許文献1】実開昭55−46539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、砕石の微粉除去における上記問題を解決するものであって、乾式処理で微粉を十分に除去することができ、廃水処理を不要に(又は低減)する砕石の微粉除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の砕石の微粉除去装置では、振動篩の篩面上に、砕石の通過可能な隙間を篩面との間に形成し且つ砕石が隙間を通過するとき振動により衝突する当板を設けることにより上記課題を解決している。
微粉を含む砕石が振動篩の篩面に供給されると、砕石は篩面と当板との間に形成された隙間を通って製品排出口から排出される。砕石は隙間を通過するとき振動により当板と篩面とに繰り返し衝突する。この衝突で砕石には繰り返し衝撃が与えられるので、付着した微粉は砕石から剥離され、篩面から落下し篩下ホッパーに捕集される。
【0007】
当板が複床の振動篩の各篩面上に設けられていると、各篩面で微粉の分離が繰り返し行われるので、より完全な微粉の除去が可能となる。
当板が振動篩と独立に固定されていると、当板に対する篩面の振動による移動距離が大きく、より大きな衝撃を砕石に与えることができるので、微粉の分離能力が向上する。
当板が振動篩と一体に固定されていると、篩面と当板とは共に振動するので、振動篩の停止時に振幅が増大しても、当板と干渉を生じるおそれがない。
砕石からの微粉の分離を促進するエアー噴射手段を設けると、衝撃により砕石から剥離された微粉が再度混入するのを防止して、除去効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の砕石の微粉除去装置は、乾式処理で微粉を十分に除去することができ、廃水処理を不要に(又は低減)してコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の実施の一形態を示す砕石の微粉除去装置の構成図である。
この砕石の微粉除去装置では、振動篩1の篩面2上に当板3が設けられている。
振動篩1は、二床式で左右の側板4の内側に上下二段に床枠5が固設され、この床枠5に微粉を抜くための開口を有する打抜き板が取り付けられて篩面2を形成している。ここで、上段の打抜き板の開口は、砕石の一部が通過できるように下段の打抜き板の開口より大きく設定されている。例えば、5−20mmの砕石の微粉除去を行う場合には、上段の開口を13mm、下段の開口は5mmに設定する。
【0010】
上段の篩面2の後方にはフィードボックス6、フィードボックスの上方には原料投入口7が設けられており、下段の篩面2の前方には製品排出口9が設けられている。また、下段の篩面2の下方には篩下ホッパー8が配置されている。
振動篩1は上部に加振機構10を備えており、上面を覆うように防塵フード11が取り付けられている。防塵フード11には集塵機(図示略)に接続される集塵管12が設けられ、振動篩1の前面の空気吸入口13から入る空気と共にダストを吸引する。
【0011】
振動篩1は、側板4の外側に設けられた支持脚(図示略)によって支持され、スプリングを介して架台上に設置される。
当板3は、砕石に衝撃を与えるための鉄板であって、下面が砕石の通過可能な隙間を篩面2との間に形成するように、支持管14に支持されている。隙間の大きさは、処理する砕石のサイズに応じて設定される。
【0012】
当板3は振動篩1と一体に固定されていると、篩面2と当板3とは共に振動するので、振動篩1の停止時に振幅が増大しても、当板3と干渉を生じるおそれがない。当板3を振動篩1と一体に固定する場合には、支持管14は側板4に固定し、可撓性のホースを介して圧気配管と接続する。
当板3が振動篩1と独立に固定されていると、当板3に対する篩面2の振動による移動距離が大きく、より大きな衝撃を砕石に与えることができるので、付着している微粉の分離する能力が大きくなる。当板3を振動篩1と独立に固定する場合には、図2に示すように側板4に貫通口20を設け、支持管14を外方へ延出して架台側に固定し、圧気配管と接続する。
【0013】
支持管14には、後方へ向けてエアーを噴射するエアーノズル15が設けられており、エアーノズル15には支持管14から圧縮空気が供給される。
エアーノズル15に対向する振動篩1の後面には、微粉排出管17で集塵機に接続される微粉排出口16が設けられている。
微粉を含有する砕石が原料投入口7から投入され、フィードボックス6から 上段の篩面2に供給されると、砕石の一部は混入している微粉と共に開口を通過して落下する。
【0014】
篩面2上に残った砕石は、図3に示すように篩面2と当板3との間に形成された隙間を通って前進し、製品排出口9から排出される。砕石は隙間を通過するとき振動により当板3と篩面2とに繰り返し衝突する。この衝突で砕石には繰り返し衝撃が与えられるので、付着していた微粉は砕石から剥離され、開口を通過して落下する。
上段の篩面2の開口を通過した砕石と微粉は下段の篩面2に向かって落下するが、砕石に付着していない混入微粉は、エアーノズル15から噴射される高速の気流によって落下の途中で分離され、微粉排出口16から微粉排出管17へ排出される。なお、途中で分離できなかった混入微粉は、下段の篩面2で分離され開口を通過して落下し篩下ホッパー8に捕集される。
【0015】
篩面2上に残った砕石は篩面2と当板3との間に形成された隙間を通って前進し、製品排出口9から排出される。砕石は隙間を通過するとき振動により当板3と篩面2とに繰り返し衝突する。この衝突で砕石には繰り返し衝撃が与えられるので、付着した微粉は砕石から剥離され、開口を通過して落下し篩下ホッパー8に捕集される。
この砕石の微粉除去装置は、乾式処理で微粉を十分に除去することができるので、廃水処理は不要であり、コストが低減される。
なお、振動篩には一床式のものを使用することもできるが、一床式の振動篩を用いた場合より、複床の振動篩の各篩面上に当板を設けた場合の方が、各篩面で微粉の分離が繰り返し行われるので、より完全な微粉の除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態を示す砕石の微粉除去装置の構成図である。
【図2】当板を振動篩と独立に固定する場合の貫通口を示す側面図である。
【図3】当板と篩面の間の砕石の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1 振動篩
2 篩面
3 当板
4 側板
5 床枠
6 フィードボックス
7 原料投入口
8 篩下ホッパー
9 製品排出口
10 加振機構
11 防塵フード
12 集塵管
13 空気吸入口
14 支持管
15 エアーノズル
16 微粉排出口
17 微粉排出管
20 貫通口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動篩の篩面上に、砕石の通過可能な隙間を篩面との間に形成し且つ砕石が隙間を通過するとき振動により衝突する当板を設けたことを特徴とする砕石の微粉除去装置。
【請求項2】
当板が複床の振動篩の各篩面上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の砕石の微粉除去装置。
【請求項3】
当板が振動篩と独立に固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の砕石の微粉除去装置。
【請求項4】
当板が振動篩と一体に固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の砕石の微粉除去装置。
【請求項5】
砕石からの微粉の分離を促進するエアー噴射手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の砕石の微粉除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−122852(P2006−122852A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317292(P2004−317292)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】