説明

砲弾位置演算装置

【課題】 従来の技術は、砲弾の翼を駆動することで着弾位置のバラツキを少なくする技術の開示はあるが、着弾位置を確認する方法を有していないという問題点があった。本発明は、着弾した位置を正確に求める事を目的とする。
【解決手段】 本発明に係わる砲弾位置演算装置は、自己位置を送信する砲弾からの砲弾位置情報を受信する受信部と、 前記受信部からの最後の砲弾位置情報を砲弾着弾位置として出力する着弾点出力部と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、砲弾の着弾位置を演算する砲弾位置演算装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
砲弾に抵抗翼と開翼駆動機構を設けて着弾位置のバラツキの少なくする技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−65500号公報(第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の技術は、砲弾の翼を駆動することで着弾位置のバラツキを少なくする技術の開示はあるが、着弾位置を確認する方法を有していないという問題点があった。
【0005】
本発明は、着弾した位置を正確に求める事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる砲弾位置演算装置は、自己位置を送信する砲弾からの砲弾位置情報を受信する受信部と、 前記受信部からの最後の砲弾位置情報を砲弾着弾位置として出力する着弾点出力部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、着弾位置を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1から図6は、本発明の実施の形態1を示す図である。図1は砲弾を発射してから着弾するまでの概念図を示した図であり、図2は砲弾1のブロック図であり、図3は砲弾位置演算装置5のブロック図である。
【0009】
以下、図1から図3について説明する。砲弾1は、火砲2から発射される。砲弾1は、GPS受信器10及び、送信器11を備える。また、必要に応じて、ID記憶部12を備えてもよい。GPS受信器10は、準天頂衛星3またはGPS衛星4等から測位のための信号を受信し、砲弾1の自己位置を測位する。GPS受信器10は、準天頂衛星3またはGPS衛星4以外の測位用の情報を受信し、自己位置を測位してもかまわない。
【0010】
また、GPS受信器10は、DGPS(Differential GPS)情報を受信し、高精度に砲弾1の自己位置を測位してもかまわない。なお、DGPSとは、位置の分かっている基準局が発信する電波を利用して、GPSの計測結果の誤差を修正して精度を高めるものであり、基準局でGPSによる測量を行い、実際の位置とGPSで算出された位置のずれを送信するものである。
【0011】
ここで、図4を用いて準天頂衛星に関して説明する。準天頂衛星は、赤道面から約45度の傾斜角になるように地球の自転に合わせて1日に1周回している。赤道面からの傾斜角は、設計により任意に設定してよい。また、一例として昇交点赤経(赤道面との交点)において120度ずつ離れるように3機が配置されている。
【0012】
図4は地表面上に投影される準天頂衛星軌道の軌跡401を示す。図4に示すように、地上を固定して考えた場合に、準天頂衛星は赤道上を交点とする「8の字」または「涙的型」を描くように周回している。
【0013】
3機の準天頂衛星は、軌道面を異にするが8時間ごとに交代(会合)することにより、切れ目なく日本上空に位置している。また、地域を日本で考えた場合、仰角が70度以上の準天頂衛星が常に存在することになる。切れ目なく日本上空に位置しているため、仰角が70度以上の準天頂衛星が常に存在し、受信者が地上で準天頂衛星から電波を受ける際、ビルの谷間、森林の樹木間でも電波を遮られることが少ない。
【0014】
ID記憶部12には、各砲弾の固有のIDが記憶されている。IDは、複数の砲弾が存在しているときに、それぞれの砲弾を識別できるような符号であれば良い。
【0015】
送信器11は、GPS受信器10により測位された砲弾1の自己位置及び、必要に応じてID記憶部12に記憶されているIDを準天頂衛星3に向けて送信する。もちろん、砲弾1と砲弾位置演算装置5とが情報を送受信できれば、準天頂衛星3に限ることはない。また、砲弾1は、火砲2から発射される場合、方向を安定させるため進行方向と垂直方向に回転させる場合があるが、送信器11は回転しても準天頂衛星3と通信ができるようにアンテナを配置すればよい。
【0016】
砲弾位置演算装置5は、受信部20、着弾点出力部21を備えている。場合により表示部22を備えていても良い。砲弾位置演算装置5の受信部20は、準天頂衛星3を経由して砲弾1の位置情報を受信する。つまり、受信部20は、自己位置を送信する砲弾1からの砲弾位置情報を受信する。
【0017】
着弾点出力部21には、受信部20により時々刻々と受信される砲弾1の位置情報が入力される。
【0018】
砲弾1が目標30に到達し着弾すると、GPS受信器10、送信器11のいずれかが破損する。GPS受信器10または、送信器11が破損した場合、準天頂衛星3に対して、自己の位置情報を送信することができなくなる。つまり砲弾1からの位置情報が途絶える。
【0019】
着弾点出力部21では、砲弾1からの信号を最後に受信した位置を、砲弾1の着弾点として出力する。詳細を図5で説明する。図5は、一例として2次元的な砲弾1の位置を示す図である。図5において、X軸はX方向のポジションを示し、Y軸はY方向のポジションを示す。ここで、X方向、Y方向とは、それぞれ南北方向、東西方向としてもよいし、別な座標系でも良い。
【0020】
また、図中の「×」は、砲弾1から送信される砲弾1の位置情報を示す。A点が砲弾1からの信号を最後に受信した砲弾1の位置である。つまり、この場合、着弾点出力部21は、A点を着弾点として出力する。この様に、着弾点出力部21は、受信部20からの砲弾位置情報が途絶える直前の砲弾着弾位置を出力する。
【0021】
着弾点出力部21が更に高度な処理ができる場合は、次に砲弾1から送信されると思われる砲弾推定位置Bを演算してもよい。砲弾推定位置Bの演算方法は、砲弾1からの位置情報の受信レートをtとし、X方向の移動速度をVx、Y方向の移動速度をVy、A点の座標を(Xa、Ya)とすると、砲弾推定位置B(Xb、Yb)は、(Xb、Yb)=(Xa、Ya)+t(Vx、Vy)により演算できる。つまり、砲弾1の着弾点は、A(Xa、Ya)とB(Xb、Yb)の間と推定し、着弾点出力部21は、AからBの間が着弾点として出力しても良い。
【0022】
更に、着弾点出力部21は、高度方向を考慮して着弾点を推定しても良い。着弾点出力部は、地図を持っていて、点(X0、Y0)における高度Z0を読み出せるものとする。例えば、砲弾1の座標Aを(Xa、Ya、Za)とした場合、Za≠Z0の時は、着弾していない。砲弾1のZ方向の速度をVzとし、Z0が一定と見なせる場合、座標Aから着弾するまでの時間t1はt1=(Za−Z0)/Vzとして求められる。ここで、算出された着弾するまでの時間t1を用いて、着弾転出力部21から出力される着弾点C(Xc、Yc、Zc)は(Xc、Yc、Zc)=(Xa、Ya、Za)+t1(Vx、Vy、Vz)として求めても良い。
【0023】
もちろん、Z0を一定と見なさずに、飛行に合わせて変化させても良い。
【0024】
また、仮に、砲弾1の高度Z1と、その地点の高度Z0とがZ1≠Z0にも係わらず、砲弾1の位置情報が受信できなくなった場合は、何らかの原因で砲弾1が破壊されたと推定してもよい。つまり、対空砲などにより砲弾1が撃墜されたと判断しても良い。
【0025】
以上の様に本発明によれば、砲弾1からの位置情報を受信することにより、砲弾1の着弾点を推定することができる。
【0026】
表示部22は、受信部20で受信された砲弾1の時々刻々変化する砲弾からの砲弾位置情報及び、砲弾着弾位置を表示する。表示の例を図6に示す。図6において表示部22には、砲弾軌跡23が表示される。
【0027】
この様に本発明によれば、砲弾1の軌跡を表示することができる。
【0028】
更に、砲弾1のID記憶部12に記憶されている砲弾固有のIDが位置情報と共に、送信された場合について述べる。図6では、単一の砲弾の軌跡のみを示しているが、IDにより、各砲弾を識別することで、複数の砲弾の軌跡を同時に表示部22により表示することが可能となる。
【0029】
以上のように、自己位置を送信する砲弾からの砲弾位置情報を受信する受信部20と、受信部20からの最後の砲弾位置情報を砲弾着弾位置として出力する着弾点出力部21と、を備える砲弾位置演算装置5により、砲弾1の着弾点を推測できる。
【0030】
時々刻々変化する砲弾1からの砲弾位置情報及び、砲弾着弾位置を表示する表示部22と、を備える砲弾位置演算装置5により、着弾点の軌跡を表示することができる。
【0031】
砲弾1からの砲弾位置情報が準天頂衛星3経由で送信されるため、森林の樹木等に電波を遮られる事がない。
【0032】
以上のように、本発明によれば、着弾位置を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】砲弾を発射してから着弾するまでの概念図である。
【図2】砲弾のブロック図である。
【図3】砲弾位置演算装置のブロック図である。
【図4】準天頂衛星軌道の軌跡を示す図である。
【図5】砲弾1の位置を示す図である。
【図6】表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 砲弾、2 火砲、3 準天頂衛星、4 GPS衛星、5 砲弾位置演算装置、10 GPS受信器、11 送信器、12 ID記憶部、20受信部、21 着弾点出力部、22 表示部、23 砲弾軌跡、30 目標、401 準天頂衛星軌道の軌跡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己位置を送信する砲弾からの砲弾位置情報を受信する受信部と、
前記受信部からの最後の砲弾位置情報を砲弾着弾位置として出力する着弾点出力部と、
を備える砲弾位置演算装置。
【請求項2】
時々刻々変化する砲弾からの砲弾位置情報及び、前記砲弾着弾位置を表示する表示部と、を備える請求項1に記載の砲弾位置演算装置。
【請求項3】
前記砲弾からの砲弾位置情報が準天頂衛星経由で送信される請求項1または請求項2に記載の砲弾位置演算装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−10209(P2006−10209A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187799(P2004−187799)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】