説明

破砕装置と除去式芯材及び補強土工法と芯材除去方法

【課題】芯材を除去できる破砕装置と除去式芯材及び補強土工法と芯材除去方法を提供する。
【解決手段】硬化材2により地山3に埋設・固定される芯材6と芯材6に挿通される引張材5と引張材5の先端に設けられ、基体と基体の側面に設けられている刃を有する破砕装置7とを有し、引張材5の引き抜き時に硬化材2等と共に芯材6を破砕させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
山留め工事等の建設工事における地盤支持及び法面保護の後に芯材を除去することを目的とした破砕装置と除去式芯材及び補強土工法と芯材除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
除去式芯材として、アンボンドタイプの芯材と、芯材の先端に位置する末拡がり楔部と、緊張材と緊張材溝に隣接し撤去後に空洞孔をつくるアンボンドタイプの空洞材と、先端を楔部の緊張材溝に嵌合した緊張材とにより構成する、除去式アンカーがあった。楔部は芯材に対して対称位置の周囲に軸心と平行の切欠を有すると共に、切欠に面した側面に楔部の上面では緊張材の径より大きく下面に行くにしたがって小さくなる軸方向の緊張材溝を有した(特許文献1参照)
【0003】
アンカーの除去の方法は、2本の空洞材3を引き抜き形成される空洞孔4に、芯材1を引き抜きながら芯材1に設けられている楔部11の緊張材溝13を通して、全長に亘り緊張材2を押出した後に、緊張材2を引き抜く方法であった。
【0004】
また、アンカー工法による山留め工事は、山留壁工、掘削工、腹起し設置工、アンカー工等と工種が多いので、工程面、経済性において不良である。また、機械やプラント設備が大型であるので、急斜地や山間部において施工するのに困難であり、振動や騒音が大きい。
【0005】
また、アンカー工法には、除去式アンカー工法があるが、アンカー長が長いので除去する鋼線が長くなり、施工性が不良である。
【0006】
一方、補強土工法による山留め工事は、掘削工と地山補強土工と構成する工種が少ないので工程面、経済性が良好である。また、芯材長は一般的に3〜8m程度であるので、小型の削孔機による人間の手作業で削孔が可能である。
【0007】
このように補強土工法は山留め工として優れているが、鉄筋等の芯材がセメントミルク等の硬化材により地山と全面付着しているため容易に除去することができない。芯材の除去方法として削孔機により被せ堀を行い、地盤との付着を切る方法があるが、切土面と躯体との作業スペースが小さい場合には削孔機を搬入することすら困難である。また、芯材を切断しながら除去するので、施工性が悪く作業に時間が掛かる。このような理由から、芯材の除去を行うのは非現実的である。
【0008】
したがって、従来官民境界を越えて民地の地盤中に挿入された芯材を除去する必要がある場合は、厳しい条件下で、除去式アンカー工法により山留め工を行わなければならないが、結局物理的制約でアンカー工法による施行を行えず、地権者への了解を得て補強材を残置せざるをえない場合が多かった。
【0009】
【特許文献1】特公平3−77891号公報(請求項1、第1図〜第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の発明は、部材数が多く、またアンカーを作成するのに手間が掛ったので、材料費が高く作業時間も長かった。
【0011】
また、従来の工事において、山留め工事のすぐ背面はマンション等の民家が多く建ち並ぶ民地である場合が多いので、この民地範囲から芯材を除去するために、除去式アンカー工法か、補強土工法の後に被せ堀りをし鉄筋等の芯材を引き抜く方法が適用されていた。アンカー工法は設備の大きさ等の施工性や経済性、騒音・振動等の環境面から施工できる条件は非常に厳しく、実際に施工可能な場所は限定されるので、この工法が適用される機会は限られていた。また、補強土工法に併用される芯材の除去方法は、工程面や施工性の条件から実用的ではなかったので、この工法が適用される機会もほとんどなかった。したがって、芯材を除去する実用的な方法は実質存在しなかった。
【0012】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは芯材を除去することができる破砕装置と除去式芯材及び補強土工法と芯材除去方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明の破砕装置は、硬化材により地山に埋設・固定される芯材に挿通される引張材の先端に設けられ、基体とその側面に設けられている刃とを有し、引張材の引き抜き時に硬化材等と共に芯材を破砕させる。このように、芯材と硬化材を破砕させることで、芯材と硬化材の縁が切れるので、芯材を除去することができる。
【0014】
この刃より先端側に拡径部が設けられている場合もある(請求項2)。したがって、刃が破砕する箇所を拡径部が遅れて再度破砕することになるので、確実に芯材と硬化材を破砕することができる。
【0015】
この基体は引張材の先端に一体化している場合もある(請求項3)。
【0016】
刃は鈎状の場合もある(請求項4)。この場合、刃を製作するための材料の使用量を削減することができるので、刃の製作費の抑制を図ることができる。
【0017】
請求項5に係る発明の除去式芯材は、硬化材により地山に埋設・固定される芯材と芯材に挿通される引張材と引張材の先端に設けられ、基体とこの側面に設けられている刃を有する破砕装置を有しており、引張材の引き抜き時に硬化材等と共に芯材は破砕装置により破砕される。このように、芯材と硬化材を破砕させることで、芯材と硬化材の縁が切れるので、芯材を除去することができる。
【0018】
芯材は繊維強化プラスチック製の場合もある(請求項6)。繊維の方向と芯材の軸方向が平行であれば、刃が直接接する芯材と芯材に隣接する硬化材は容易に破砕することができるので、使用する設備は小規模で足り、設備費用の低減と施工性の向上を図ることができる。
【0019】
刃より先端側に拡径部が設けられている場合もある(請求項7)。したがって、刃が破砕する箇所を拡径部が遅れて再度破砕することになるので、確実に芯材と硬化材を破砕することができる。
【0020】
刃は鈎状である場合もある(請求項8)。この場合、刃を製作するための材料の使用量を削減することができるので、刃の製作費の抑制を図ることができる。
【0021】
芯材の内面と、引張材の外面の間に潤滑剤が充填されている場合もある(請求項9)。この場合、地山と芯材の内部は完全に遮断され、芯材の内部に水や硬化材が浸入することを防ぐことができるので、引張材の防腐が可能である。また、潤滑剤は引張材を引っ張る際に、芯材と引張材の摩擦を緩和するので、引張荷重及び引張材の損傷を軽減することができる。
【0022】
破砕装置は、縁切り部材により被覆されている場合もある(請求項10)。この場合、破砕装置は地山と容易に縁切りすることができるので、引張荷重及び破砕装置の損傷を軽減することができる。
【0023】
請求項11に係る発明の補強土構造体は、地山中に充填され、地山と付着されている硬化材と、硬化材により地山に埋設・固定され、引張材が挿通される芯材とを有し、地山を補強しており、引張材の先端には、基体と該基体の側面に設けられている刃を有する破砕装置が備えられている。この破砕装置は引張材の引き抜き時に硬化材等と共に芯材を破砕させる。したがって、芯材と硬化材を破砕させることで、芯材と硬化材の縁が切れるので、芯材を除去することができる。
【0024】
請求項12に係る発明の補強土工法は、硬化材により地山に埋設・固定され、引張材が挿通された芯材と、引張材の先端に設けられ、基体と該基体の側面に設けられている刃を有する破砕装置を有する除去式芯材を用いて、地山を削孔する削孔工程と削孔工程により形成された孔で、硬化材と除去式芯材を一体化する一体化工程とを有する。この破砕装置は引張材の引き抜き時に硬化材等と共に芯材を破砕させる。したがって、芯材と硬化材を破砕させることで、芯材と硬化材の縁が切れるので、芯材を除去することができる。
【0025】
刃より先端側に拡径部が設けられている破砕装置を用いる場合がある(請求項13)。したがって、刃が破砕する箇所を拡径部が遅れて再度破砕することになるので、確実に芯材と硬化材を破砕することができる。
【0026】
請求項14に係る発明の芯材除去方法は、硬化材により地山に埋設・固定される芯材に引張材が挿通され、引張材の先端には、基体と該基体の側面に設けられる刃を有する破砕装置が設けられており、引張材を引っ張ることにより破砕装置が芯材を硬化材と共に破砕する破砕工程と、芯材を引き抜く引抜工程を有する。この破砕装置は引張材の引き抜き時に硬化材等と共に芯材を破砕させる。したがって、芯材と硬化材を破砕させることで、芯材と硬化材の縁が切れるので、芯材を除去することができる。
【0027】
破砕工程は刃より先端側に拡径部が設けられている破砕装置により、芯材を硬化材と共に破砕する場合がある(請求項15)。したがって、刃が破砕する箇所を拡径部が遅れて再度破砕することになるので、確実に芯材と硬化材を破砕し、芯材を容易に除去することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記の通り構成されているので、芯材を除去することができる破砕装置と除去式芯材及び補強土工法と芯材除去方法を提案することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、本願発明に記載の頭部側とは除去式芯材の軸方向地表側を示し、先端側とは除去式芯材の軸方向地中側を示すものとする。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、 補強土工法において、図示しない機械により地山を削孔し形成される孔に、硬化材2が充填され、除去式芯材1が挿入される状況を示した図である。
【0031】
除去式芯材1は、図2に示す通り、地山に定着するセメントミルク等の硬化材2に付着される芯材6と、芯材6に挿通される引張材5と、引張材5の先端に設けられた破砕装置7で構成されている。
【0032】
図3は芯材6を示しており、例えば繊維強化プラスチック製の円筒状で、外面には硬化材2と強固に付着されるように、芯材6の外面に例えば螺旋状溝8が軸方向に並設されている。図1に示すように、地表面には、モルタル4が吹き付けられており、芯材6はモルタル4を貫通し、モルタル4から突出している。
【0033】
図2に示すように、引張材5はPC鋼より線等のワイヤーであり、先端側先端に破砕装置7が設けられている。また、引張材5は芯材6より長く、頭部側端部は芯材6の頭部側端面から突出している。また、引張材5の外面と芯材6の内面の間にグリス等の潤滑剤が充填されている。
【0034】
図4は破砕装置7を示しており、基体10と基体10の頭部側端部に備えられた刃11と基体10の先端側端部に備えられた拡径部12で構成されている。基体10は例えば円筒形で、引張材5と同一径の図示しない貫通孔が形成されている。貫通孔に引張材5が挿通され溶着されて一体化している。また、基体10の頭部側端部外面には、例えば円周方向に等間隔で軸方向にスリット14が設けられており、刃11が嵌合できるようになっている。
【0035】
刃11は刃先が芯材6を向くようにスリット14に嵌合され溶着されている。ここで、刃11が設けられている部分の破砕装置7の軸方向垂直断面外径は、先端側へ向かって、大きくなるように刃11が成形されていることが望ましい。そして、破砕装置7の最小軸方向垂直断面外径D1は芯材6の内径D3より小さく、破砕装置7の最大軸方向垂直断面外径D2は芯材6の内径D3より大きくなるように、刃11の形状は成形されている。
【0036】
除去式芯材1は、破砕装置7が先端側に設けられた引張材5の頭部側を、芯材6の先端側から挿通する方法か、芯材6に挿通された引張材5の先端側に破砕装置7を設ける方法で作成される。除去式芯材1が作成されると、刃11の頭部側端部は芯材6内部に挿入されて、刃11の外周面である曲面13が芯材6の先端側の内端面と接合する。
【0037】
また、基体10や刃11をビニルテープや布等若しくはウレタン等或いはグリス等の縁切り部材で被覆させるのが望ましい。このように基体10や刃11を養生すると、硬化材2が付着し難くなるので、最初に引張材5を引っ張る荷重が大きくなったり、刃11が折れたりするのを防止することができる。
【0038】
拡径部12は、刃11より先端側で基体10に接続されており、例えば基体10の先端側端部に溶着されている。図4に示すように拡径部12は例えば楔形で、先端側に向かって軸方向垂直断面が広くなるように成形され、拡径部12の破砕装置7の最大軸方向垂直断面外径D4は芯材6の芯材6の内径D3より大きく成形されている。また、拡径部12も基体10や刃11と同様に養生されている。
【0039】
破砕装置7は鋼製や金属製であることが望ましいが、これに限られたものではなく、強固であれば望ましい。
【0040】
上述するように、除去式芯材1を構成する部品数少なく、除去式芯材1の構造も簡易であるので、除去式芯材1の制作費用を抑止することができる。
【0041】
次に、施工方法について説明する。図6〜8は、切土工と撤去工による構造物構築工を示すものである。本願発明の補強土工法は、切土工を構成する山留工と、構造物16構築後に行われる撤去工を構成する、除去式芯材1を除去する芯材除去工に適用される。作業フローを図11に示す。
【0042】
最初に、切土工について説明する。最初に、図示しない掘削機等により地山3を目標深度まで掘削する。次に、図示しない削孔機等により目標位置を削孔し、形成された孔に硬化材2を充填し、予め作成している除去式芯材1を硬化材2が硬化する前に硬化材2で充填された孔に、破砕装置7が先端側に位置するように挿入し、除去式芯材1挿入箇所の地表面にモルタル4を吹き付ける。硬化材2が硬化すると、地山3と硬化材2と除去式芯材1は固着され一体化し補強土構造体9を形成する。この目標位置の削孔〜補強土構造体9の形成までの作業を部分山留工とする。
【0043】
以降、この掘削段階において、所定位置で、上記の部分山留工を繰り返すと、この掘削段階の山留工が完了する。さらに、目標深度までこの掘削工と山留工を繰り返し、最後に床付け掘削工を行い切土工を完了する。それから構造物16を構築する構造物構築工と、図7のようになる。
【0044】
次に、撤去工について説明する。最初に、構造物16と地山3側面の間を目標高さまで埋め戻しする。次に除去式芯材1を除去すると、除去式芯材1が除去されて形成される空洞に孔埋材を充填する。この除去式芯材1の除去〜孔埋材の充填までの作業を部分芯材除去工とする。
【0045】
以降、この埋め戻し段階において、所定位置で、上記の部分芯材除去工を繰り返すと、この埋め戻し段階の芯材除去工が完了する。さらに、目標深度までこの埋戻し工と芯材除去工を繰り返し、最後に締固め埋戻し工を行い撤去工を完了すると、図8のようになる。
【0046】
したがって、地山3に芯材6を残置しないため、環境負荷の低減を行うことができる。また、孔埋材は硬化材2と同一か否かは問わない。ただし、孔埋材に地山3の強度以上の材料を用いることにより、民地側に支承物を残置させずに地盤沈下や壁面変位等の影響を防止し、工事前と同等の状態に復旧することが可能である。
【0047】
除去式芯材1の除去方法について、図9、10を参照して詳細に説明する。センターホールジャッキ等の引張装置で引張材5を引っ張ると、破砕装置7は軸方向地表面側に引っ張られると共に、先端側端面から刃11によって、芯材6は引き裂かれ硬化材2は破砕され、芯材6と硬化材2の縁が切れる。さらに引張材5を引っ張り、拡径部12が芯材6内に挿通されると、拡径部12は、芯材6を内部から押し広げることで、より確実に芯材6を引き裂くと共に、硬化材2を破砕する。
【0048】
破砕装置7が芯材6の頭部側から出てくると、芯材6は完全に引き裂かれ、硬化材2と縁が切れた状態となる。したがって、芯材6も引張材5と同様にセンターホールジャッキ等の引張装置で引っ張ると容易に除去できる。ここで、引張材5を引っ張る荷重と、芯材6を引っ張る荷重はいずれも2tf未満で大きな差は無く、同一のセンターホールジャッキを同一の状態で使用することができるので、設備数及び作業数の低減を図ることができる。
【0049】
引張材5を引き上げる時に、構造物16と地山3の側面との距離が短いとき、すなわち作業スペースが狭い時においても、金車等を使用して、ウィンチ等の巻上装置により鉛直方向に引張材5を引っ張ることも可能であるので、一回で引っ張り切ることができる。また、芯材6が繊維強化プラスチック等の繊維系であれば、破砕装置7で芯材6を引き裂くために軸方向に小さい力で容易に引っ張ることができるので、規格の小さい設備、狭いスペースで作業できるという利点を有する。
【0050】
所定の掘削段階における山留工の作業手順について、各目標位置において部分山留工を行い、それを順次繰り返し行うことで、その掘削段階における地山3に補強土構造体9を形成させることができる。その他の方法として、各掘削段階における全目標位置に対して削孔のみを行い、その後に硬化材2の充填と除去式芯材1の挿入を行い、硬化材2を硬化させ、除去式芯材1と硬化材2と地山3を一体化させる方法がある。また、この全目標位置を複数ブロックに分け、ブロック毎に最初に削孔のみを行い、その後に硬化材2の充填、除去式芯材1の挿入を行い、ブロック毎に順次繰り返す方法もある。
【0051】
また、所定の埋戻し段階における芯材除去工の作業手順についても、山留工と同様に、所定の埋め戻し段階において、各目標位置において部分芯材除去工を行い、それを順次繰り返す方法、各埋戻し段階における全目標位置に対して先に除去式芯材1の除去のみを行い、その後に形成される空洞に孔埋材を充填させる方法、全目標位置を複数ブロックに分け、ブロック毎に最初に除去式芯材1を除去して、形成される空洞に孔埋材を充填させ、ブロック毎に順次繰り返す方法がある。
【0052】
(その他の実施の形態)
実施の形態1として切土工・撤去工による構造物構築工の状況を例示したが、これに限るものではなく、仮設の立坑工や地下構造物構築工等にも適用できる。
【0053】
また、破砕装置7に設けられている刃11によって芯材6を引き裂かせるが、他の実施の形態として、図5に示すように、鈎状の刃15であってもよい。このようにすると、刃に使用する材料の量を削減できるので、コストの削減が可能である。また、刃の枚数を4枚としたが、これに限るものではなく、複数枚の場合は、円周方向に等間隔で配設されると効率よく芯材を引き裂くことができる。引張材5を引っ張る荷重は地盤条件に起因するので、芯材6と硬化材2と地山3の固着力の大きさに合わせて、刃の本数を適宜に調整することができる。
【0054】
芯材6の繊維強化プラスチックは、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチックまたはアラミド繊維強化プラスチックのいずれのものでもよい。また芯材6は、繊維強化プラスチックの内側に塩ビなどのパイプを有するものでもよい。芯材6に繊維強化プラスチック系の材料を使用することで、芯材6は破砕装置7に軸方向に引き裂かれるのみで破壊されて破片が発生することは少ないので、地山3に廃棄物を残存させることなく除去することができ、環境負荷の低減を実現できる。
【0055】
また、芯材6は螺旋状溝8が形成されたが、環状の溝や格子状の溝を形成させてもよい。
【0056】
基体10は円筒形であったが、筒形でなく多角柱形や球形でその頭部側に引張材5と接続され一体化していてもよい。
【0057】
また、拡径部12は1つしか設けられていないが、これに限るものではなく、軸方向に複数並設してもよい。
【0058】
また、実施の形態1では除去式芯材1の除去方法について、破砕装置7を完全に引っ張り出してから芯材6を引く抜く方法であったが、破砕装置7の引っ張りを芯材6の地表面側端部から1m程度の箇所まで行った状態で、芯材6を引っ張り除去してもよい。これにより、芯材6の地表面側端部は破砕されていないので、芯材6を引っ張る際に容易に掴むことができる。このような状態においても、芯材6と硬化材2との固着力は小さいので、引張材5を引っ張る装置をそのまま使用でき、交換する必要はない。
【0059】
また、刃11の外面は曲面13としたが、直線でもよい。
【0060】
また、除去式芯材1は、全ての芯材に適用する必要はなく、除去が必要となる箇所や深度のみに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】地山に挿入され、硬化材と共に地山に一体化された除去式芯材を表す。
【図2】除去式芯材の正面図を表す。
【図3】芯材の正面図、平面図を表す。
【図4】破砕装置の正面図、上側からの平面図、下側からの平面図を表す。
【図5】刃が鈎状の破砕装置の正面図、上側からの平面図、下側からの平面図を表す。
【図6】補強土構造体形成完了状況図を表す。
【図7】構造物構築完了状況図を表す。
【図8】撤去完了状況図を表す。
【図9】除去式芯材6の除去状況図(前半)を表す。
【図10】除去式芯材6の除去状況図(後半)を表す。
【図11】作業フロー
【符号の説明】
【0062】
1………除去式芯材
2………硬化材
3………地山
4………モルタル
5………引張材
6………芯材
7………破砕装置
8………螺旋状溝
9………補強土構造体
10……基体
11……刃
12……拡径部
13……曲面
14……スリット
15……鈎状の刃
16……構造物
D1……刃11における破砕装置7の最小軸方向垂直断面外径
D2……刃11における破砕装置7の最大軸方向垂直断面外径
D3……芯材6の内径
D4……拡径部12における破砕装置7の最大軸方向垂直断面外径
L………官民境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化材により地山に埋設・固定される芯材に挿通される引張材の先端に設けられ、
基体と
該基体の側面に設けられている刃と
を有し、前記引張材の引き抜き時に前記硬化材等と共に前記芯材を破砕させることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記刃より先端側に拡径部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の破砕装置。
【請求項3】
前記基体が前記引張材の先端に一体化していることを特徴とする請求項1又は2に記載の破砕装置。
【請求項4】
前記刃は鈎状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項5】
硬化材により地山に埋設・固定される芯材と
前記芯材に挿通される引張材と
前記引張材の先端に設けられ、基体と該基体の側面に設けられている刃を有する破砕装置と
を有し、前記引張材の引き抜き時に前記硬化材等と共に前記芯材を破砕させることを特徴とする除去式芯材。
【請求項6】
前記芯材は繊維強化プラスチック製であることを特徴とする請求項5に記載の除去式芯材。
【請求項7】
前記刃より先端側に拡径部が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の除去式芯材。
【請求項8】
前記刃は鈎状であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の除去式芯材。
【請求項9】
前記芯材の内面と、前記引張材の外面の間に潤滑剤が充填されていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の除去式芯材。
【請求項10】
前記破砕装置は、縁切り部材により被覆されていることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の除去式芯材。
【請求項11】
地山を補強する補強土構造体であって、
前記地山中に充填され、前記地山と付着されている硬化材と
前記硬化材により前記地山に埋設・固定され、引張材が挿通される芯材と
を有し、
前記引張材の先端には、基体と該基体の側面に設けられている刃を有する破砕装置が備えられていることを特徴とする補強土構造体。
【請求項12】
硬化材により地山に埋設・固定され、引張材が挿通された芯材と、前記引張材の先端に設けられ、基体と該基体の側面に設けられている刃を有する破砕装置を有する除去式芯材を用いる補強土工法であって、
前記地山を削孔する削孔工程と
前記削孔工程により形成された孔で、前記硬化材と前記除去式芯材を一体化する一体化工程と
を有することを特徴とする補強土工法。
【請求項13】
前記刃より先端側に拡径部が設けられている前記破砕装置を用いることを特徴とする請求項12に記載の補強土工法。
【請求項14】
硬化材により地山に埋設・固定される芯材に引張材が挿通され、
前記引張材の先端には、基体と該基体の側面に設けられる刃を有する破砕装置が設けられており、
前記引張材を引っ張ることにより前記破砕装置が前記芯材を前記硬化材と共に破砕する破砕工程と、前記芯材を引き抜く引抜工程を有することを特徴とする芯材除去方法。
【請求項15】
前記破砕工程は前記刃より先端側に拡径部が設けられている前記破砕装置により、前記芯材を前記硬化材と共に破砕することを特徴とする請求項14に記載の芯材除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−57158(P2008−57158A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233548(P2006−233548)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(391019740)三信建設工業株式会社 (59)
【Fターム(参考)】