説明

硫酸アンモニウム造粒粒子

本発明は、硫酸アンモニウム造粒粒子を調製する方法であって、硫酸アンモニウム結晶を準備するステップと、中間のサイズを有する結晶を含む画分を小さいサイズを有する結晶および大きいサイズを有する結晶から単離し、それによって小さいサイズを有する結晶と大きいサイズを有する結晶とからなる残留結晶を得るステップと、残留結晶の少なくとも一部分、すなわち中間のサイズを有する結晶を含む画分が単離された後の結晶の少なくとも一部分をダイを通して造粒し、それによって硫酸アンモニウム造粒粒子を形成するステップとを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、硫酸アンモニウム造粒粒子を調製する方法に関する。本発明はさらに、硫酸アンモニウム造粒粒子にも関する。
【0002】
硫酸アンモニウムは、例えば農業、園芸または林業で使用するための有用な肥料である。硫酸アンモニウムの造粒顆粒を調製する方法が、独国特許出願公開第4126806号(A1)に記載されている。この方法は、造粒剤として2−シアノグアニジン(ジシアンジアミド)、カプロラクタムオリゴマー、またはそれらの混合物の使用、および造粒粒子(顆粒)の150〜175℃における熱処理を必要とする。実施例によれば、造粒剤を含む顆粒では、最高15.9Nの顆粒静的破砕強度に到達することができ、造粒を行っていない硫酸アンモニウム顆粒は、最高6.4N(または熱処理後に8.3)の破砕強度を有することができる。破砕強度を測定する方法は記載されていない。
【0003】
独国特許出願公開第4126807号(A1)には、硫酸アンモニウム顆粒の破砕強度を改善する方法であって、含水率1.3%以下の硫酸アンモニウムを尿素−ホルムアルデヒド前縮合体と混合し、加圧する方法が記載されている。実施例によれば、単一顆粒破砕強度23.5Nおよび耐アブレシブ摩耗性92.4%に到達することができる(前縮合体を含むことなく加圧された硫酸アンモニウムの9.5N、76%とそれぞれ比較)。これらのパラメータを決定する方法の条件が詳細に記載されている。
【0004】
英国特許第1011463号は、アスファルトなどの炭化水素(混合物)または疎水性ポリマーなどの撥水性バインダー材で結合された固形肥料粒子を含むペレットに関する。ペレットは、押出で調製することができる。調製は、典型的にはバインダーをその融点を超えて加熱する必要がする。
【0005】
欧州特許出願公開第1884506号(A2)には、ほとんど乾燥した硫酸アンモニウム結晶のフラットダイ式造粒機での造粒が記載されている。前記プロセスにおいて、結晶を、まず吸水性を有する微細固形塗料で乱流混合によって完全コーティングする必要がある。続いて、正確な量の水をコーティングされた結晶に噴霧する必要があり、ペレットのサイズを制御することなく造粒が行われる。次いで、得られた生成物を乾燥し、適当なサイズに切断し、分粒し、不合格としてはねられた生成物はリサイクルされる。
【0006】
本発明の目的は、硫酸アンモニウム造粒粒子を調製する新規方法を提供することである。
【0007】
特に、本発明の目的は、液体からの結晶化で得られた硫酸アンモニウム結晶から、肥料としての使用に適した硫酸アンモニウム造粒粒子を提供することであり、得られたすべてまたは実質的にすべてのサイズの結晶を使用して、使用者に高く評価される特性を有する肥料を提供することができる。
【0008】
別の目的は、硫酸アンモニウム結晶より均一な粒径分布および/または良好な流れ特性を有する硫酸アンモニウム造粒粒子を提供することである。
【0009】
さらに、別の目的は、機械力(例えば、摩擦)を加えること、追加のコーティングステップなどによって造形を容易に施すことができる硫酸アンモニウム造粒粒子を提供することである。
【0010】
別の目的は、商業的に魅力のある所望の生成物の全収率が高い(良好な特性を有する結晶画分と造粒粒子の画分を別々に準備する)硫酸アンモニウム結晶化プロセスによって、硫酸アンモニウム造粒粒子を作製する方法であって、硫酸アンモニウム結晶化プロセスで得られた結晶性材料を、非常に高い変換率、さらには最高100%の変換率で、特に貯蔵、輸送、流動性、およびブレンディング特性について商業的に魅力のある生成物にすることを可能にする方法を提供することである。
【0011】
さらに、目的は、申し分ない粒子破砕強度を有する新規な硫酸アンモニウム造粒粒子を提供することである。
【0012】
本発明に従って満たすことができる1つまたは複数の他の目的は、以下の説明の結果である。
【0013】
今回、硫酸アンモニウム結晶から、特定の方式で適切な結晶を選択することによって、例えば肥料として使用するのに申し分ない特性を有する硫酸アンモニウム粒子を調製することがダイを通して造粒することによって可能であることがわかった。
【0014】
したがって、本発明は、硫酸アンモニウム造粒粒子を調製する方法であって、
硫酸アンモニウム結晶を準備するステップと、
これらの結晶から、中間のサイズを有する結晶を含む画分を、小さいサイズを有する結晶および大きいサイズを有する結晶から単離し、それによって小さいサイズを有する結晶と大きいサイズを有する結晶とからなる残留結晶を得るステップと、
残留結晶の少なくとも一部分、すなわち中間のサイズを有する結晶を含む画分が単離された後の結晶の少なくとも一部分をダイに通して造粒し、それによって、硫酸アンモニウム造粒粒子を生成するステップと
を含む方法に関する。
【0015】
「中間のサイズを有する結晶を含む画分」という用語は、「中間カット」または「中間カット画分」と呼ばれることもある。当業者に明確であるように、「小さい」、「中間」および「高い」という用語は、互いに関連して使用され、必ずしも特定の絶対サイズに限定されるものではない。小さいサイズ、中間のサイズおよび大きいサイズの画分が一緒になって、全生成物が形成されており、それから中間のサイズの画分が単離される。
【0016】
本発明はさらに、本発明の方法で得ることができる硫酸アンモニウム造粒粒子にも関する。
【0017】
本明細書では、硫酸アンモニウム結晶という用語は、溶液から結晶化することで形成されたすべての硫酸アンモニウム粒子に使用される。
【0018】
本明細書では、硫酸アンモニウム造粒粒子という用語は、少なくとも実質的に硫酸アンモニウムからなる(造粒)粒子に使用される。通常、硫酸アンモニウム粒子は、全重量に対して90〜100重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96.5重量%、特に98重量%以上、さらに特に99.0重量%以上、はるかにさらに特に99.5重量%以上の硫酸アンモニウムを含む。さらに、以下の成分のうち1種または複数が存在してもよい:水、追加の栄養素(例えば、1種または複数の微量元素)、例えば使用される硫酸アンモニウム結晶から造粒粒子に調製されるまでの処理添加剤(例えば、バインダー)、着色剤、流動性向上剤など。追加の成分についてさらに詳細は以下に記載される。
【0019】
好適には、造粒は、ダイに通して行われる。原理的には、ダイは少なくとも1つの孔を備えるが、通常は複数のダイ孔が設けられている。ダイの孔面積は、造粒対象の結晶と接触しているダイの全面積の約20〜30%であることが好ましい。ダイ孔の長さは、一般に0.2×直径から5×直径までの範囲で選択される。好ましくは、ダイ孔の長さは、2×直径から3.5×直径までの孔の範囲で選択される。当業者は、共通一般知識および何らかのルーチンの試験と場合によっては組み合わせて、本開示に基づいて処理量、使用される添加剤などに応じてさらに改善された条件を評価することができる。
【0020】
押出物ではよくあることであるが、造粒粒子は、特に少なくとも実質的に円柱の形状を有することができる。円柱状という用語は、本明細書では広義で使用され、したがって円柱状横断面を有する円柱、楕円状横断面を有する円柱、および多角形横断面を有する円柱を包含することに留意されたい。あるいは、本発明において、円柱形状の粒子の断面積のサイズは、粒子の縦軸に沿って変わることがある。
【0021】
本発明はさらに、少なくとも90重量%の硫酸アンモニウムを含む硫酸アンモニウム造粒粒子であって、その粒子は、IFDC S−115試験(下記を参照のこと)で決定することができる破砕強度を有し、平均して2.5kg/ペレットを超え、またはさらには2.75kg/ペレットを超え、特にさらには3.0kg/ペレットを超える造粒粒子にも関する。上限値はクリティカルではないが、最高3.5kg/ペレット、もしくはさらには最高4.0、またはそれを超えることができる。破砕強度は、例えば硫酸アンモニウム結晶の破砕強度(約40Nである)と同じ高さ、またはそれより高い可能性がある。特に、破砕強度は、最高50Nでさえあり得る。本発明の追加の利点は、造粒装置およびフィード条件(例えば、フィードの湿度;加える圧力;ダイの圧力低下など)などのプロセスパラメータを調整するだけで、破砕強度および/またはサイズや形状など他の特性について市場の要件に従った硫酸アンモニウム造粒粒子を容易に提供できることである。通常、本発明に従って提供される硫酸アンモニウム造粒粒子は、平均して40N以上の破砕強度を有するものである。
【0022】
本明細書では、破砕強度は、「肥料の物理的特性の決定マニュアル」、第2版、W.ラトランド作成、国際肥料開発センター発行、1993年2月、米国アラバマ州マッスルショールズ(“Manual for Determining Physical Properties of Fertilizer”, 2nd Edition, prepared by W. Rutland, issued by the International Fertilizer Development Center, Muscle Shoals, Alabama (USA), February 1993)の51〜52頁に記載されているIFDC S−115に基づく方法で測定することができる値である。以降、このマニュアルを「IFDC」と呼ぶものとする。押出物ではよくあることであるが、少なくとも実質的に円柱形状の粒子など、細長い粒子の場合、特に破砕強度は、縦方向と直角をなす方向(円柱軸など、母線と直角をなす)で測定されるものである。
【0023】
有利なことには、本発明の方法において、中間のサイズの結晶のサイズを、これらの粒子を含む単離された中間の画分が、別のサイズ変更処理を何ら行うことなく肥料として使用されるのに望ましいサイズ範囲を有するように選択することができる。
【0024】
原理的には、造粒粒子を生成するためのフィードを作製するのに使用されるサイズクラスとは関わりなく、硫酸アンモニウム造粒粒子のサイズは、粒子に適切なダイまたは型を選択することによって任意の範囲で選択することができる。通常、インフィード中の結晶の最大粒径はクリティカルではない。実施形態において、少なくとも80体積%、特に少なくとも90体積%、さらに特に少なくとも95体積%の中間の画分は、ふるい分析で決定することができる0.05から4mmの範囲内、好ましくは0.05から2mmの範囲内(より小さい結晶の硫酸アンモニウム市場で非常に好ましい範囲である)、または2mmから4mmの範囲内(この範囲は、顆粒状硫酸アンモニウム生成物に好ましい)で選択されるサイズ範囲を有する硫酸アンモニウム結晶で形成される。次いで、(肥料としての)結晶の使用者によってあまり適切でない、または少なくともあまり評価されないと考えられる残留結晶を、本発明に従って完全または部分造粒して、特に肥料として使用するための硫酸アンモニウム造粒粒子を得ることができる。したがって、本発明は、(粒径分布に所期の効果または副作用として影響を及ぼす可能性がある)結晶化条件を選択する際に高い自由度を実現し、さらに結晶のすべてまたは実質的にすべてを使用して、特定の直径を有する最終生成物を提供することができる。粒径および特に高い粒径均一度は、例えば造粒粒子が特に肥料として使用されるとき、造粒粒子の分布のしやすさに影響を及ぼす可能性があるので、最終使用者によって重要な要因と考えられることに留意されたい。
【0025】
本発明の造粒粒子は、(肥料として使用される)通常の硫酸アンモニウム結晶に比べて高いサイズ均一性(均一性指標で定義される、下記を参照のこと)および/または大きい平均サイズを特にもたらすことができる。さらに、本発明の造粒粒子は、より滑らかであり得る。さらに、これらは、改善された破砕強度および改善された耐アブレシブ摩耗性の群から選択されるものなど、1つまたは複数の他の改善された特性を有することがある。さらに、硫酸アンモニウム造粒粒子を、同じサイズ範囲の結晶性硫酸アンモニウム粒子または他の何らかの肥料粒子と容易に混合できることは有利である。
【0026】
驚くべきことに、本発明に従って、バインダー(アスファルト、疎水性ポリマーなど)を含有する必要も、少なくとも多量のバインダーを含有する必要もなしに、申し分ないまたはさらには改善された製品特性を有する粒子を調製することが可能である。少なくとも、先行技術による方法で使用される相当数のバインダーは、1つまたは複数の理由のため望ましくない可能性があることに留意されたい。例えば、このようなものは、硫酸アンモニウムが肥料として使用される植物、またはその植物から調製することができる飼料または食物の消費者に有害であり得る。いくつかのバインダーは、環境上の観点から不利益となるおそれがある(例えば、ポリオレフィンなどの疎水性合成高分子またはアスファルトは、生分解性が悪い)。さらに、バインダーもしくはその前駆体は、毒性(ホルムアルデヒドなど)があり、または有害(2−シアノグアニジンなど)であり得る。本発明のプロセスの別の利点は、なんら不溶性物質を含まない硫酸アンモニウムペレットを得ることができることである。
【0027】
特に、ダイを通して造粒することによって、(合成)有機バインダーを必要とすることもなしに申し分ないまたはさらには改善された製品特性を有する造粒粒子を調製することが可能であることがわかった。
【0028】
本発明に従って改善することができる1つまたは複数の特性は、特に吸収・浸透(IFDC S−100)、臨界相対湿度(IFDC S−101)、流動性(IFDC S−102)、ブレンドにおける化学的相溶性(IFDC S−106)、凝結性(IFDC−106)、ブレンドにおける物理的相溶性(IFDC S−109)、安息角(IFDC S−110)、ゆるみかさ密度(IFDC−111)、タッピングかさ密度(IFDC S−112)、見かけ密度(IFDC S−113)、固形分の真密度(IFDC S−114)、破砕強度(IFDC S−115)、耐アブレシブ摩耗性(回転ドラム試験、IFDC S−116)、水中崩壊率(IFDC S−124)、および多孔性(IFDC S−125)からなる群から選択することができる。
【0029】
本発明は、先行技術の方法の一部では必要とされているように、結晶を積極的に加熱し、それから造粒粒子を、溶融させる必要があるバインダーと混合できるようにさせる必要も、粒子中で(バインダーを)硬化もしくは溶融するために粒子を高温(例えば、150℃以上)に加熱する必要もなく、造粒を充分に行うことができるという点でさらに有利である。もちろん、望むなら、方法は、水を除去するのに熱処理、例えば追加の乾燥ステップを含むことができる。しかし、一般に、本発明による方法は、造粒を生じさせるためにフィードを加熱装置にかけることもなく、または造粒粒子を100℃を超える温度にかけることもなく、一般に実施してもよい。
【0030】
本明細書では、「または」という用語は、別段の指定のない限り「および/または」を意味する。
【0031】
本明細書では、「1つ(a)」または「1つ(an)」という用語は、別段の指定のない限り「少なくとも1つ」を意味する。
【0032】
単数の名詞(例えば、化合物、添加剤など)を記載するとき、その複数を包含することになっている。したがって、特定の名詞、例えば「化合物」を記載するとき、これは、別段の指定のない限りその名詞の「少なくとも1つ」、例えば「少なくとも1つの化合物」を意味する。
【0033】
造粒粒子を調製するのに使用される結晶は、当技術分野において公知の方式に基づいて、特に硫酸アンモニウムを含む液体から結晶化することによって準備することができる。このような液体は、特にカプロラクタムを調製するプロセスに由来してもよい。結晶の単離は、それ自体公知の方式で、例えば結晶を例えば遠心によって液体から分離させることによって行うことができ、その後場合によっては結晶を乾燥し、最後に結晶を大きさに従ってふるいにかけ、またはその他の方法で分別する。
【0034】
以上に示すように、中間のサイズの粒子を含む単離された画分は、別のサイズ変更処理を行うことなく、肥料として使用することができる。
【0035】
望むなら、中間のサイズを有する結晶を含む画分は、造粒粒子の直径とほぼ同じであるサイズを有する結晶を含むものである。
【0036】
典型的には、残留結晶は、小さいサイズを有する結晶を含む画分と大きいサイズを有する結晶を含む画分とに分別されるが、原理的にはこれは必要なことではない。
【0037】
残留結晶の少なくとも一部分は、硫酸アンモニウム造粒粒子の調製に使用される。造粒粒子の所期のサイズを超えるサイズを有する結晶が使用される場合、これらの結晶を造粒が行われる装置にフィードする前に、例えば中砕または粉砕によるサイズリダクション前処理にかけることができる。少なくとも、いくつかの実施形態において、このような大きな結晶を造粒が行われる装置に直接フィードし、造粒が行われる装置において、例えばスクリュー押出機の1本または複数のスクリューの力、ローラ圧縮機、例えばKollergang(パングラインダ)のロール、またはギヤ型造粒機、例えば縦型ペレットミルのギヤによって結晶を破砕することが可能である。
【0038】
結晶は、結晶同士の接着を増強するコーティングなどのコーティングを結晶に施す必要なしに、造粒が行われる装置にフィードすることができる。欧州特許出願公開第1884506号(A2)においてさえ、硫酸アンモニウム結晶を、固形添加剤と混合することでコーティングすることによって完全に包囲することが必要とされていることに留意すべきである。
【0039】
特に、高い破砕強度および/または高い耐アブレシブ摩耗性の場合、広い粒径分布を有する結晶フィードを造粒が行われる装置にフィードし、または造粒ステップの前に、装置中でこのような粒径分布を生成することが有利であると考えられる。この分布は、単峰性(重量平均粒径と数平均粒径の比が高い)、または多峰性(すなわち、少なくとも二峰性)とすることができる。
【0040】
原理的には、(使用される結晶中に存在する可能性がある残留水分以外に)なんら別のバインダーまたは他の添加剤を使用しない場合でさえ、造粒粒子を調製できることは、本発明の利点である。
【0041】
しかし、実際には、1種もしくは複数の添加剤、例えば物理的特性に影響を及ぼす添加剤、硫酸アンモニウムの放出プロファイルに影響を及ぼす添加剤、微量元素(例えば、Cu、Zn、Mn、Mo)、または着色料を含むことが有利であり得る。一般に、使用されるにしても、このような添加剤は、硫酸アンモニウムに比べて少ない量で含まれる。通常、添加剤の全量は、造粒対象のフィードの全重量に対して20重量%以下、フィードの全重量に対して好ましくは10重量%以下、特に4重量%以下、さらに特に2.0重量%以下、または1.0重量%以下、または0.5重量%以下である。
【0042】
特定の実施形態において、造粒が行われる装置のフィード(および造粒粒子)は、バインダーを全重量に対して通常10重量%以下の濃度、特に5重量%以下の濃度、好ましくは2重量%以下の濃度、特に1.0重量%以下の濃度、さらに特に0.5重量%以下の濃度で含む。バインダーが存在する場合、バインダーの濃度は、通常少なくとも0.01重量%、特に少なくとも0.1重量%、または少なくとも0.3重量%である。
【0043】
特に、適切なバインダーは、GRAS多糖類、GRAS粘土の群からなど、食品用途で一般に安全と認められる(GRAS)バインダーの中から選択することができる。適切な多糖類の例としては、特にデンプン、セルロース、およびそれらのGRAS誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースが挙げられる)。適切な粘土の例としては、特にカオリン、ベントナイト粘土、アタパルジャイト粘土、およびフラー土が挙げられる。また、リグノスルホネートを使用してもよい。
【0044】
造粒装置の内部における(特にダイの内部、または成形装置の型における)フィードの流れ挙動を改変するために、少量の液体または固体の流れ調整剤、特に水を、硫酸アンモニウム結晶に添加することができる。流れ調整剤が使用される場合、添加される流れ調整剤の濃度は、全重量に対して一般に10重量%以下、特に6重量%以下、さらに特に5重量%以下である。液体が使用される場合、添加される液体の濃度は、全重量に対して通常少なくとも0.1重量%、特に少なくとも1重量%、さらに特に少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、または少なくとも4重量%である。望むなら、液体を、造粒後に造粒粒子から除去することができる。これは、それ自体公知の方式で、例えば造粒粒子を例えば80℃までの温度に穏やかに加熱することによって行うことができる。望むなら、より高い温度を使用してもよいが、これは、一般に必要なことではない。したがって、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%以下、または0.1重量%以下の液体(水分)含有量を有する造粒粒子を得ることができる。
【0045】
ダイを通して造粒することは、任意のタイプの造粒装置を使用して行うことができ、(硫酸アンモニウム結晶を含む)フィードをダイに通してプレスすることを含む方法で、造粒粒子が形成される。スクリュー押出機、Kollergang押出機(パングラインダ)、およびギヤ型造粒機の群から選択される押出機が特に適している。適切な造粒方法の別の例は、ローラ型造粒装置を使用する造粒である。
【0046】
スクリュー押出機の使用は、添加されるバインダーおよび/または添加される水が存在しない場合にも、高い破砕強度および/または高い耐アブレシブ摩耗性を有する硫酸アンモニウム造粒粒子を提供するのに特に有利であると考えられる。
【0047】
Kollergangの使用は、申し分ない破砕強度および申し分ない耐アブレシブ摩耗性を有する硫酸アンモニウム粒子を比較的高い処理量で提供するのに特に有利である。
【0048】
技術水準において、硫酸アンモニウム粒子を調製する様々な他の方法が記載されているが、これらはどれも、本発明によるダイを通して造粒する技法とみなされることはないと留意されるべきである。このような文献の例は、米国特許第4183738号(A)(例えばパン造粒による造粒技法)、米国特許第4305748号(A)(微細化硫酸アンモニウムの噴霧乾燥造粒)、国際公開第9954030号(高量のバインダーを用いた湿式造粒)、米国特許第5078779(A)(反応性バインダーを用いた湿式造粒)などである。
【0049】
さらに、キーゼライト、非常に不安定な硫酸マグネシウム一水和物をダイおよびそれに適したすべてのタイプの機器を通して造粒することが、A.Hocheの論文(Technische Universitat Bergakademie Freiberg、独国;2007年09月13日)で研究されていることにも留意すべきである。硫酸アンモニウムそれ自体をダイを通して造粒することの手がかりは記載されていない。この論文において、硫酸アンモニウムは、独国特許第2748152号に開示されている硫酸アンモニウムを造粒補助剤として使用する文脈で記載されているだけである。
【0050】
本発明によれば、造粒は、ダイを積極的に加熱または冷却することなく実施することができるが、原理的にはこれは可能である。例えば、造粒装置のフィードは、ほぼ周囲温度(例えば、15〜25℃)で押出機に添加することができる。造粒装置を冷却する場合を除けば、摩擦のため、造粒によって一般に温度が上昇する。したがって、造粒装置から出てくる粒子の温度は、フィードの温度より高い傾向がある。本発明の方法は、通常、造粒装置から出てくる粒子顆粒の温度が100℃未満、特に約90℃以下の温度、さらに特に約80℃以下の温度である(当業者が決めることができる)条件下で実施することができる。ダイから出てくる粒子の温度は、例えば少なくとも50℃、特に少なくとも65℃とすることができる。温度が70℃を超える方法で、よい結果がもたらされた。
【0051】
造粒粒子を、さらなる処理、特に仕上げ処理、例えば粒子のエッジを取って丸くする処理にかけてもよい。仕上げは、一般に押出物を処理するのにそれ自体公知の方式で行うことができる。
【0052】
望むなら、造粒粒子に、コーティング、例えば保護コーティング、または硫酸アンモニウムの放出パターンを変更するコーティングを施してもよい。しかし、本発明によれば、特にコーティングしていない硫酸アンモニウム造粒粒子を肥料として使用できることが有利である。
【0053】
硫酸アンモニウム(上記で特定)に加えて、粒子は、1種または複数の他の材料(これも上記で特定)を含んでもよい。
【0054】
好ましい実施形態において、場合によっては乾燥させた硫酸アンモニウム造粒粒子は、全重量に対して0〜2.0重量%のバインダー、特に無機バインダー、0〜0.5重量%の水、および少なくとも98重量%の硫酸アンモニウムを含む。特に好ましい実施形態において、硫酸アンモニウム含有量は、少なくとも99重量%であり、バインダー、特に無機バインダーの含有量は1.0重量%以下であり、含水率は約0.2重量%以下である。特定の実施形態において、硫酸アンモニウム含有量は99.9〜100重量%であり、残量は水および/または不純物である。
【0055】
広範囲にわたって明確に画定された寸法(標準偏差が小さい場合のみ)を有する、例えば約0.3mmから約10mmの範囲の数平均直径を有する粒子を画定できることは、本発明の利点である。
【0056】
サイズガイドナンバー(SGN)は、通常50から10000の範囲である。
【0057】
肥料産業の技術者に公知の標準測定法および算出法に従って決定することができる指標である均一性指標(UI)は、好ましくは40から75、より好ましくは45から65、最も好ましくは50から60の範囲であるべきである。UIが低すぎるまたは高すぎる場合、造粒生成物を他の肥料製品と組み合わせて適切に使用することはできず、耕地での分配が正確でなくなるおそれがある。
【0058】
特に、少なくとも1つの寸法(典型的には、円柱形状粒子の平均直径)のサイズが0.3〜10mmの範囲である造粒粒子を調製することができる。本発明によれば、通常0.2×直径から15×直径までの範囲、好ましくは0.5×直径から5×直径の範囲、最も好ましくは粒子の平均直径とほぼ同じ寸法で容易に調整可能な長さの円柱形状粒子を得ることができる。
【0059】
特定の実施形態において、本発明による硫酸アンモニウム造粒粒子は、S−116(本出願の他の部分を参照のこと)で決定することができる耐アブレシブ摩耗性が少なくとも0.75%、特に少なくとも0.80%、さらに特に少なくとも0.84%である。上限はクリティカルではない。実際には、0.95%まで、またはさらには0.98%まで、または最大1.0%までとすることができる。次に、下記の実施例で本発明を説明する。
【0060】
[実施例1]
硫酸アンモニウム晶析装置により、硫酸アンモニウム結晶を得た。結晶性材料を、結晶形(2から3mmの範囲の平均粒径)としてそれ自体市販することができる約50重量%の中間カット画分が得られるようにふるいにかけた。小さすぎる粒子および大きすぎる粒子を合わせて、造粒ステップに使用した。
【0061】
これらの硫酸アンモニウム結晶を、ハンマーミルを使用するサイズリダクション処理にかけて、平均サイズ約150μmにした(97%の粒子が#100タイラー(tyler)メッシュスクリーンを通過した)。次いで、これらの硫酸アンモニウム粒子を、シグマ型ブレードを有するバッチ式ニーダーのKDHJ−20モデル中で1重量%のカオリン(Suprex(商標);Kentucky−Tennessee Clay Company、米国サウスカロライナ州ラングリー)とブレンドし、次いで6重量%の水と混合した。
【0062】
この湿った混合物を、サークルフィーダのCS−300モデルシステム(アマンダス・カール(Amandus Kahl GmbH)、独国ラインベーク)を用いて周囲条件下、320kg/時間の安定した速度でカール(Kahl)ペレットプレスの33−390モデル(縦型ペレットミル)にフィードした。このプレス機は、直径390mmのダイ(圧縮比3:1(プレスウェイ9.0mm/直径3.0mm)、主軸、ローラー2本、およびダイの下にペレットをブレーキングする装置を備えたものである。機器の運転は水圧8.0×106Paおよび軸速度80rpmで行われ、モーターは38ampの電流を引き出した。滞留時間は36秒であった。ダイから出てくる粒子の温度は73℃であった。
【0063】
続いて、生成された硫酸アンモニウム造粒粒子を、含水率が1.0重量%未満になるまで、バッチ方式でタンブル乾燥機で乾燥した。この乾燥ステップで、ペレットの滑らかで均一な外観が実現した。IFDC(国際肥料開発センター、アラバマ州マッスルショールズ)の標準試験方法に従って、ペレットの特性を決定した。特に、IFDC試験のS−101(臨界相対湿度)、S−102(流動性)、S−115(破砕強度)、およびS−116(回転ドラム耐アブレシブ摩耗性)を行った。結果は、その一部を表Iにまとめたが、得られた硫酸アンモニウム造粒粒子のこれらの特性は、硫酸アンモニウム結晶の場合より明らかに良好であったことを示している。
【0064】
【表1】

【0065】
301と決定されたSGN(サイズガイドナンバー)において、硫酸アンモニウム造粒粒子の均一性指標は53に決定された。
【0066】
硫酸アンモニウム造粒粒子の貯蔵、輸送、および他の特性はすべて、硫酸アンモニウム結晶の特性に少なくとも匹敵する。
【0067】
[実施例2]
硫酸アンモニウム晶析装置により得られた結晶性硫酸アンモニウム材料を、それ自体市販することができる1.5mmの平均結晶直径を有する約40重量%の中間カット画分が得られるようにふるいにかけた点以外は、実施例1を繰り返した。この場合も、小さすぎる粒子および大きすぎる粒子を合わせて、造粒ステップに使用した。
【0068】
結果は、実施例1で実現された結果とほとんど同一であった。
【0069】
[実施例3]
実施例1と同様にして、硫酸アンモニウム晶析装置により得られた結晶性硫酸アンモニウム材料を、それ自体市販することができる2〜3mmの平均結晶直径を有する約50重量%の中間カット画分が得られるようにふるいにかけた。100重量%の小さすぎる画分と20重量%の大きすぎる粒子を合わせて、造粒ステップに使用し、この場合は、結晶材料をさらに事前調整することなく、カリフォルニアペレットミル(California Pellet Mill)中、安定したフィード速度約2kg/時間で行った。したがって、粉砕を行わず、バインダーも添加しなかった。
【0070】
結晶性材料の破砕強度より約20%高い破砕強度を有する均一な硫酸アンモニウム造粒粒子を得ることができた。造粒材料をさらに乾燥する必要はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸アンモニウム造粒粒子を調製する方法であって、
硫酸アンモニウム結晶を準備するステップと、
これらの結晶から、中間のサイズを有する結晶を含む画分を、小さいサイズを有する結晶および大きいサイズを有する結晶から単離し、それによって小さいサイズを有する結晶と大きいサイズを有する結晶とからなる残留結晶を得るステップと、
前記残留結晶の少なくとも一部分、すなわち前記中間のサイズを有する結晶を含む前記画分が単離された後の前記結晶の少なくとも一部分をダイを通して造粒し、それによって硫酸アンモニウム造粒粒子を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記中間のサイズを有する結晶を含む画分が、前記造粒粒子の直径とほぼ同じであるサイズを有する結晶を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記残留結晶が、小さいサイズを有する結晶を含む画分と大きいサイズを有する結晶を含む画分とに分別される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記画分の両方のそれぞれの少なくとも一部分が、前記硫酸アンモニウム造粒粒子の調製に使用され、大きいサイズを有する結晶を含む前記画分からの少なくとも前記一部分を、造粒する前に結晶サイズリダクション処理にかける、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
造粒する前に、前記硫酸アンモニウム結晶が、バインダーおよび水からなる群から選択される少なくとも1種の成分と一緒に造粒される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
水の濃度が全重量に対して2〜10重量%であり、バインダーの濃度が全重量に対して0.01〜10重量%であり、硫酸アンモニウムの濃度が全重量に対して80〜98重量%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記得られた造粒粒子を乾燥にかけて、含水率を1.0重量%未満、特に0.2重量%以下にする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
場合によっては水を除去した後、前記造粒粒子が、少なくとも95重量%の硫酸アンモニウム、特に少なくとも96.5重量%のアンモニウム、さらに特に少なくとも98重量%の硫酸アンモニウム、または少なくとも99重量%の硫酸アンモニウムを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記造粒が、スクリュー押出機、ローラ型造粒機、またはギヤ型造粒機で行われる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記造粒粒子を仕上げ処理にかける、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
硫酸アンモニウム造粒粒子であって、少なくとも90重量%の硫酸アンモニウムを含み、前記粒子は、IFDC S−115試験で決定することができる破砕強度が平均して2.5kg/ペレットを超える粒子。
【請求項12】
少なくとも98重量%の硫酸アンモニウム、特に少なくとも99重量%の硫酸アンモニウムを含む、請求項11に記載の硫酸アンモニウム造粒粒子。

【公表番号】特表2011−529431(P2011−529431A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520432(P2011−520432)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059408
【国際公開番号】WO2010/012635
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】