説明

硬化性ポリマーコンクリート混合物

1)カップリング添加剤として、a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物、及び/又はb)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、少なくとも3つの繰り返し単位と、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基又は末端アミノ基と、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合とを有する少なくとも1つのオリゴマー化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物と、2)結合剤として、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリマー及び/又は(メタ)アクリル樹脂、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、少なくとも1つのラジカル開始剤、及び場合により少なくとも1つの架橋剤を含む、ラジカル重合により硬化し得る系と、3)骨材として、ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%の、無機の、好ましくは多粒子状の、充填剤と、4)場合により慣用の助剤とを含む硬化性ポリマー混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1)カップリング添加剤として、a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物、及び/又はb)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、少なくとも3つの構造単位と、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基又は末端アミノ基と、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合とを有する少なくとも1つのオリゴマー化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物と、2)結合剤として、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリマー及び/又は(メタ)アクリル樹脂と、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのラジカル開始剤と、場合により少なくとも1つの架橋剤とを含み、ラジカル重合により硬化し得る系と、3)骨材(aggregates)として、ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、更に好ましくは少なくとも60重量%の、無機の、好ましくは多粒子状(multiparticulate)の充填剤と、4)場合により慣用の助剤(auxiliaries)とを含む硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の組成の硬化性ポリマー混合物には、例えばポリマーコンクリートの製造などの多様な用途がある。
【0003】
ポリマーコンクリートは、通常のコンクリートとは異なって、骨材として知られている岩石粒子を結び付ける結合剤として、ポリマーを有する。骨材は、最も多様な岩石粒度を有し得、通常、最微小から粗大へと多岐にわたる粒度で使用される。種々の粒度の混合に応じて、95重量%までの充填度を可能にする。骨材がその中に分散しているポリマーマトリックスを硬化させて、ポリマーコンクリートを製造するために、ポリマー結合剤として、エチレン性不飽和ポリマーを使用するのが好ましい。
【0004】
適切な弾性率に加え、例えば曲げ強度、引張強度、圧縮強度及び衝撃強さなどの優れた機械的性質を有することは、ポリマーコンクリートの品質にとり重要であり、これは、ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックスで結合される骨材との間の、非常に効果的な相互作用、即ち接着、によってのみ得られる。この相互作用が更に効果的になればなるほど、ポリマーコンクリートの品質は一層高くなる。このことは、特に、高い充填度を有する他の硬化性ポリマー混合物にも当てはまる。更に、まだ硬化していないポリマーコンクリート混合物が迅速に広がることは、極めて重要である。即ち、特にポリマー混合物の著しく低い粘度により達成できる優れたスランプを有することは、極めて重要である。しかしながら、優れたスランプにもかかわらず、硬化すべきポリマー混合物の迅速な硬化も可能であらねばならない。
【0005】
多数の利用分野に関して、公知のポリマーコンクリート混合物は、前記の好ましい加工特性を有さず、即ち、これから得られるポリマーコンクリートは、前記機械的性質において、満足な値を常に示すものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、本発明の目的は、低粘度のために改良された加工、即ち高められたスランプを保証する硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物を提供することであり、これから製造された硬化ポリマー組成物、好ましくはポリマーコンクリートは、従来公知の製品に比べて改良された機械的性質を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明による硬化性ポリマー混合物、好ましくは本発明硬化性ポリマーコンクリート混合物を提供することにより達成され、これは、
1)カップリング添加剤として、
a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、唯一の末端基として(as the only end groups)、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物、及び/又は
b)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、少なくとも3つの繰り返し構造単位と、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基又は末端アミノ基と、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合とを有する少なくとも1つのオリゴマー化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物と、
2)結合剤として、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリマー及び/又は(メタ)アクリル樹脂と、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのラジカル開始剤と、場合により少なくとも1つの架橋剤とを含み、ラジカル重合により硬化し得る系と、
3)骨材として、前記ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも60重量%、特に95重量%までの、無機の、好ましくは多粒子状の充填剤と、
4)場合により慣用の助剤と
を含む。
【0008】
低い収縮特性を有する歯牙充填用処方物中のモノマーとして、少なくとも1つの加水分解性シラン基及び末端エチレン性不飽和二重結合を有する付加生成物が、技術水準から既に公知である(Macromolecules 2001,34,5778−5785)。
【0009】
更に、US特許4650889号の開示中に、末端基として不飽和二重結合を有するアルコキシシランを、不飽和ポリエステル系に使用し、それで含浸させたガラス繊維マットの柔軟性を改良することが特記されている。
【0010】
本発明ポリマー混合物、特にポリマーコンクリート混合物の改良された加工性も、これから得られる生成物、例えばポリマーコンクリート、の顕著な機械的性質のいずれも、技術水準を知ることで示唆されないし、或いは期待され得なかった。
【0011】
カップリング添加剤1)として、少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する付加生成物を、本発明の硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物に使用するのが好ましい。
【0012】
好ましくはオリゴマーのカップリング添加剤、更に好ましくはポリマーのカップリング添加剤として、
a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、唯一の末端基として(as only terminal groups)、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した、少なくとも1つのオリゴマーの、好ましくはポリマーの付加生成物、及び/又は
b)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基又は末端アミノ基と、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合とを有する、少なくとも1つのオリゴマー化合物、好ましくはポリマー化合物に付加した、少なくとも1つのオリゴマーの、好ましくはポリマーの付加生成物
を使用する。
【0013】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する化合物として、好ましくは、一般式:
【化1】

(式中、
Aは、エポキシド基、グリシジルオキシ基、イソシアネート基、−SH基又は−N(H)−X基を表し、その際、Xは水素、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、又は炭素原子数4〜6のシクロアルキル基を表し、これらXのそれぞれは、第一級又は第二級アミノ基で置換でき、又は、Aは、mが整数2の場合に結合を表し、
は、炭素原子数1〜12のアルキレン基、炭素原子数4〜6のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜10のアリーレン基を表し、
は、炭素原子数1〜3のアルキル基、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基を表し、その際、Rは、水素又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、炭素原子数1〜3のアルキル基、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基を表し、その際、Rは、水素又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基を表し、その際、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
mは、整数1又は2を表す)
の化合物を使用することができる。
【0014】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するアミノシランとして、好ましくは、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、1−アミノ−2−(ジメチルエトキシシリル)プロパン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルジメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−3−[アミノ(ポリプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、t−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、(3−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、N−シクロヘキシルアミノメチルメチルジエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン及びこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を使用することができる。
【0015】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するチオシランとして、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を使用することができる。
【0016】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するイソシアネートシランとして、3−イソシアネートプロピルジメチルクロロシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)メチルジメトキシシラン及びこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を使用することができる。
【0017】
更に、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するエポキシシラン化合物として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルメチルジメトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルメチルジエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルジメチルエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン及びこれらの混合物を含む群から選択される少なくとも1つの化合物を使用することができる。
【0018】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するアミノシラン及び/又はチオシランのための反応成分として、唯一の末端基として末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくともオリゴマー化合物が好ましく、その場合、これらの末端二重結合は、アクリレート、メタクリレート及び/又はアリル基から誘導され得る。末端エチレン性不飽和二重結合を有するこれらの化合物は、好ましくはポリマー化合物であり、更に好ましくはポリエーテル、ポリエステル、ポリエステルポリエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミドを含む群から選択され、その場合、相応する末端基を有するポリカーボネートも、本発明により、ポリエステルと定義される。
【0019】
繰り返し構造単位:
−[−O−W−]−
(式中、Wは、炭素原子数1〜15、好ましくは炭素原子数2〜8、更に好ましくは炭素原子数2〜4の脂肪族基、芳香族環又は脂環式環又は芳香族−脂肪族基である)
を有する化合物が、ポリエーテルとして好適である。エーテル基は、鎖位置の環(chain-positioned ring)の一部であってもよい。
【0020】
好ましいポリエーテルには、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシド−コポリエーテル、その主鎖にビスフェノールA−単位を場合により含むポリ(テトラヒドロフラン)、前記ポリエーテル単位のコポリエーテル又は前記ポリエーテルのうち少なくとも2種の混合物がある。特に好まれるポリエーテルは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドからのポリエーテルである。ポリエーテルは、好ましくは、分子量100〜10000g/mol、更に好ましくは150〜7500g/mol、最も好ましくは200〜3000g/molを有する。
【0021】
好適なポリエステルは、好ましくは飽和ポリエステル、即ちエチレン性不飽和ではないポリエステル、例えばラクトン、例えばε−カプロラクトン及び/又はδ−バレロラクトン、のポリエステル、並びにα、ω−ヒドキシカルボン酸の縮合又はジカルボン酸とジオールの縮合により得られるポリエステルである。ジカルボン酸、その酸ハロゲン化物、酸無水物又はエステルを、酸成分として使用でき、その場合、以下のジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4,4’−オキシ二安息香酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸及びトリシクロデカンジカルボン酸が特に好適である。
【0022】
飽和ジカルボン酸との反応に好適なジオールは、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール及びネオペンチルグリコールである。
【0023】
特に好ましいポリエステルは、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、カプロラクトン/バレロラクトンコポリエステル、ポリラクチド、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートである。
【0024】
繰り返し構造単位:
−[−W−O−C(=O)−O]−
を有するポリカーボネートも、本発明によりポリエステルとして理解される。この構造単位において、Wは、炭素原子数2〜15、好ましくは炭素原子数2〜12、更に好ましくは炭素原子数2〜8の脂肪族基、又は芳香族基もしくは脂環式基又は芳香族−脂肪族基であり、好ましくはビスフェノールA基又はこれから誘導される基である。カーボネート基は、鎖位置の環(chain-positioned ring)の一部であってもよい。
【0025】
炭酸及び他の酸の混合ポリエステル(ポリエステル−ポリカーボネート)も好適である。好ましいポリカーボネートには、ビスフェノールAを基礎とするポリカーボネート、ビスフェノールFを基礎とするポリカーボネート、ビスフェノールA及びビスフェノールTMCを基礎とするポリカーボネート並びに1,6−ヘキサンジオールを基礎とするポリカーボネートがある。本発明により、用語ポリエステルは、ポリカーボネート又はコポリエステルカーボネートも含む。
【0026】
好ましいポリエステルは、分子量150〜15000g/mol、更に好ましくは200〜7500g/mol、最も好ましくは250〜3000g/molを有するポリエステルである。末端基が変性され、繰り返し構造単位:
−C(=O)−NH−
を有するポリアミドも、本発明のカップリング添加剤を製造するのに使用することができる。ポリアミド用モノマーには、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナトラクタム(oenatholactam)、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸又はこれらの混合物がある。ポリアミドが、ジアミンとジカルボン酸との重縮合により製造される場合、ジアミンとして、好ましくは、以下のもの:テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、パラ−アミノアニリン又はメタ−キシレンジアミンを使用でき、かつジカルボン酸として、好ましくは、以下のもの:アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸及びナフタレンジカルボン酸を使用できる。
【0027】
ジカルボン酸又はジアミンの他に、例えばトリメリト酸及びピロメリト酸などの、官能基を3つ以上有する多官能化合物を、5mol%までの量で使用することも可能である。
【0028】
好ましいポリアミドは、分子量150〜15000g/mol、更に好ましくは200〜7500g/mol、最も好ましくは250〜3000g/molを有するものである。
【0029】
特に好ましいポリアミドは、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン10、ナイロン2、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6/66、ナイロン6/12及びナイロン6/6Tから誘導される。
【0030】
前記繰り返し構造単位を有するポリエステルアミドも使用することができる。
【0031】
前記ポリマーは、直線、分枝又は星状構造であってよい。好適な多官能出発化合物を使用することにより分枝又は星状ポリマーを得ることができる。
【0032】
特に好ましいオリゴマー化合物又はポリマー化合物には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドのエーテル並びに(ポリ)ε−カプロラクトンエステル及びアジピン酸とジオールから誘導されるエステルがある。
【0033】
前記変性末端基を有する前記オリゴマー化合物又はポリマー化合物は、好ましくは多分散性であり、即ちこれらは、均一な鎖長を有さない。これらは、また、前記シラン化合物との反応に多分散の形で使用される。
【0034】
前記オリゴマー化合物又はポリマー化合物は、他の末端官能基の他に少なくとも1つの末端二重結合を有するか又は少なくとも2つの末端二重結合のみを有し、これらは、アクリル酸又はメタクリル酸から、好ましくはアクリル酸から誘導されるのが好ましい。この(これらの)エチレン性不飽和末端二重結合は、前記オリゴマー又はポリマーと、アクリル酸、メタクリル酸もしくはこれらの誘導体とをそれぞれ反応させるか、又は(メタ)アクリル酸から誘導された好適な開始剤化合物、例えばヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルを使用することにより得ることができ、重合後に、オリゴマー化合物又はポリマー化合物の末端基として組み込まれて存在する。
【0035】
アミノシラン又はチオシランとの反応に使用されるオリゴマー化合物又はポリマー化合物は、好ましくは、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有し、これらの二重結合の5〜95mol%、好ましくは10〜90mol%、更に好ましくは20〜80mol%が、アミノシラン又はチオシランとの反応の間に反応する。
【0036】
カップリング添加剤1)b)の製造のために、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合及び好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基又はアミノ基を有する前記オリゴマー化合物又はポリマー化合物を、少なくとも1つの加水分解性シラン基を有するイソシアネートシラン又はエポキシシランと反応させる。
【0037】
50mol%より多い、好ましくは75mol%より多い、更に好ましくは95mol%より多いヒドロキシル−又はアミノ−末端基又は相当する誘導体が、各シランのイソシアネート基及び/又はエポキシ基と反応するのは好ましい。
【0038】
観察され得る関連反応条件は、当業者に公知である。
【0039】
本発明による硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物は、ポリマー混合物成分1)〜4)の総重量に対して、好ましくは、5重量%未満、更に好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満で、少なくとも1つの前記カップリング添加剤1)a)及び/又は1)b)を含有する。
【0040】
ラジカル重合により硬化でき、かつ本発明硬化性ポリマー混合物中の結合剤成分2)として使用される系として、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリマー及び/又は(メタ)アクリル樹脂を含む系を、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、少なくとも1つのラジカル開始剤及び場合によっては少なくとも1つの架橋剤成分と共に使用する。
【0041】
エチレン性不飽和合成樹脂成分として、好ましくは、エチレン性不飽和合成樹脂、最も好ましくは、エチレン性不飽和ジカルボン酸とジオールとを、場合により飽和カルボン酸又は(ジ)シクロペンタジエンと一緒に反応させて得られるエチレン性不飽和ポリエステル樹脂が、使用される。このことは、例えば、E.Brandauによる“Duroplastwerkstoffe”,VCH Verlagsgesellschaft,Weinheim 1993、J.H.Aurer,A.Kasperによる“Unsaturated Polyester Resins”,Verlag Moderne Industrie,Landsberg/Lech 2003、及びまたG.Kannebley et al.による“AVK−TV Handbuch”,volumesIとII,フランクフルト2004に記載されている。
【0042】
不飽和ポリエステルの製造に使用される特に好ましいエチレン性不飽和ジカルボン酸又はその誘導体は、マレイン酸及びフマル酸並びに無水マレイン酸である。しかしながら、更に二官能性飽和カルボン酸、例えばアジピン酸、テトラヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、HET酸(ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸)及びグルタル酸、並びにこれらのカルボン酸の無水物又は無水マレイン酸とシクロペンタジエンからのディールス−アルダー付加物(Diels−Alder adducts)、を使用することも可能である。更に、アクリル酸及びメタクリル酸も、不飽和ポリエステル樹脂の製造に使用できる。重縮合のために、二官能性アルコール、例えばプロピレン−、ジプロピレン−、エチレン−、ジエチレン−及び/又はネオペンチルグリコール、並びに1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、アルコキシル化ビスフェノールA及び2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールも使用できる。
【0043】
分岐した重縮合生成物を得るために、ジカルボン酸及びジオールの他に、更に高い官能性のカルボン酸とアルコールも使用できる。
【0044】
ラジカル重縮合により硬化できる系のための、他の又は代わりの合成樹脂として、(メタ)アクリル樹脂、例えばポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート/(メタ)アクリルアミドからのコポリマー、が使用でき、場合により以下の公知の架橋剤の少なくとも1つ、好ましくはジ−、トリ−及び更に高い官能性の(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、の少なくとも1つを、好ましくは、結合剤成分2)の総重量に対して7.5重量%まで、好ましくは5重量%までの量で、一緒に使用することができる。
【0045】
結合剤成分2)は、また、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、好ましくは、場合により置換されたスチレン、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド又はこれらの混合物を、好ましくは、結合剤成分2)の総重量に対して55重量%まで、更に好ましくは45重量%までの量で含有する。
【0046】
更に、本発明による硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物は、ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは60重量%、特に95重量%までの量の分散性の無機充填剤を、骨材として含む。この充填剤成分3)は、充填剤が、マトリックス物質中に分散でき、即ち、多粒子からなるように配置され得、マトリックス物質に不溶であることを特徴とする。
【0047】
可能な充填剤が、E.Brandauによる“Duroplastwerkstoffe”,VCH Verlagsgesellschaft,Weinheim 1993並びにR.Burnsによる“Polyester Molding Compounds”,Marcel Dekker Inc.,New York 1982、またJ.H.Aurer,A.Kasperによる“Unsaturated Polyester Resins”,Verlag Moderne Industrie,Landsberg/Lech 2003中に列挙される。
【0048】
好ましくは、分散性無機充填剤として、無機ケイ素含有化合物、好ましくは石英、クリストバライト、焼成シリカ、沈降シリカ、珪灰石、カオリン、雲母、滑石を、好ましくは岩石粒子として全ての粒度範囲で、即ち最微小の粒度から粗大岩石粒度に至るまでで使用でき、切断繊維の形の珪素含有化合物並びに他のマグネシウム、カルシウム、バリウムの酸素含有無機化合物、例えば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、特に、大理石粒子として、石こう、水酸化マグネシウム及び/又は無機アルミニウム化合物、好ましくは水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(例えばコランダム)及び水酸化酸化アルミニウム、を使用することができる。珪素含有化合物を使用するのがより好ましい。特に好ましい形の充填剤は、粒状又は粉末状の充填剤である。粒度範囲は、直径として測定されて、好ましくは、1μm〜5cm、更に好ましくは10μm〜2cm、最も好ましくは100μm〜2cmである。
【0049】
結合剤成分2)の重合のために、通常少なくとも1つのラジカル開始剤を使用する。有機過酸化物及びアゾ化合物、好ましくは有機過酸化物が、ラジカル開始剤として好適である。ラジカル開始剤は、硬化温度に応じて選択されるのが好ましい。好ましくは、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ジベンゾイル、過酸化ラウリル、過酸化ジクミル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが、ラジカル開始剤として使用される。更に好適なラジカル開始剤は、基本的には当業者に公知である。更に、これらは、特に、例えば、“Organische Peroxide fuer die UP−Harz−Verarbeitung:Produktuebersicht”(Akzo Nobelによる),“Luperox Organic Peroxides−Curing of unsaturated polyester resins”(elf−atochemによる)及び“Haerter,Beschleuniger und andere Hilfsstoffe fuer die Verarbeitung von UP−Harzen”(Pergan GmbHによる)等のパンフレットのような当該技術水準に開示されている。
【0050】
硬化条件に応じて、慣用の促進剤を場合により併用して、比較的低い温度ですら、即ち、熱を外部から供給せずに、結合剤成分2)のラジカル重合及び硬化を可能にすることができる。慣用の促進剤は、アミノ基含有化合物、好ましくは第三アミン、例えばトリエチルアミン、トリジメチルアミノフェニルフェノール、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチル−p−トルイジン、コバルト化合物、例えばエチルヘキサン酸コバルト、オクタン酸バナジウム及び/又は他の金属炭酸塩である。慣用の促進剤は、パンフレット、“Haerter,Beschleuniger und andere Hilfsstoffe fuer die Verarbeitung von UP−Harzen”(Pergan GmbH)にも記述される。アミン−及び金属化合物の組合せも促進剤系として使用することができる。
【0051】
ラジカル開始剤及び場合により存在する促進剤系のそれぞれに使用される量は、当業者には公知である。
【0052】
更に、本発明による硬化性ポリマー混合物は、必要ならば、成分4)として、加工添加剤、例えば離型剤と消泡剤、阻害剤、安定剤、例えば抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤及び防炎剤、変性剤、例えば湿潤剤、可塑剤、増粘剤、チキソトロープ剤、耐衝撃性強化剤、及び発泡剤及び/又は表面変性剤、例えば帯電防止剤、顔料、湿潤及び分散剤、を含有することができる。最終使用目的に応じて、相当する添加剤が、公知の方法で選択される。
【0053】
本発明による硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物は、公知の方法で、慣用の混合ユニットにより、前記成分を混合することで製造され、ポリマー混合物が加工され、硬化される直前に、カップリング添加剤1)を添加するのが好ましい。
【0054】
本発明により使用され、かつ前記されるカップリング添加剤成分1)の使用の結果として、かつ前記結合剤系2)の使用の結果として、硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物を提供することが可能であり、これは、その改良されたスランプのために、良好に取り扱うことができ、卓越した機械的性質を有するプラスチック製品、好ましくはポリマーコンクリートをそこから製造できる。
【0055】
したがって、本発明のもう1つの対象は、好ましくは、本発明硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物の製造のために、本発明により、ポリマー混合物成分1)から4)までの総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも60重量%の分散性の無機充填剤を、添加剤3)として含み、場合により慣用の助剤4)を含有し、かつ前記のラジカル重合により硬化可能な系2)を基礎とする、硬化性重合可能混合物中に、カップリング添加剤として、少なくとも1つの加水分解性シラン基及び少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する前記付加生成物1)a)及び/又は1)b)を使用することでもある。
【0056】
成分1)〜4)に関する本出願中の重量%の記載は、これらの成分1)〜4)の総量が常に100重量%になるように解釈されるべきである。
【0057】
こうして得られたこれらのポリマー混合物は、J.H.Aurer,A.Kasperによる “Unsaturated Polyester Resins”,Verlag Moderne Industrie,Landsberg/Lech 2003、及びG.Kannebley et al.による“AVK−TV Handbuch”,volumesIとII,フランクフルト2004に記載されるように、自体公知の方法で、エチレン性不飽和化合物の重合により、かつ場合により架橋剤を使用して硬化させることができる。これにより、該当する記述が、本出願の開示の1部となっている。
【0058】
本発明のポリマー混合物の硬化プロセスは、使用ポリマー系の性質、硬化時間、温度及び硬化すべき全系の質量により決定される。硬化は、出発温度として室温で実施でき、熱エネルギーは供給しない。前記促進剤を、この反応実施の際に使用する。発熱反応は、温度の上昇をもたらす。このプロセスの間、硬化の経過は、ポリマーコンクリートのような、生じるポリマー最終生成物中の残分モノマー含量の測定により突き止めることができる。例えば、食料品に接触する場合のような特定の用途では、可能な残分モノマー含分を最小にまで減じることが適切である。この目的のために、後硬化プロセスを実施するのが好ましく、その場合、存在し得るモノマーをさらに重合させるために、硬化ポリマー混合物を、高温で数時間保持する。代表的な後硬化条件は、6〜24時間の期間にわたる60〜100℃の温度である。
【0059】
あるいは、ポリマー系を、外部からのエネルギー供給により、開始温度25℃以上で、例えば100〜160℃の温度で、硬化させることもできる。エネルギーは、外部から種々の手段で導入することができ、特に、圧力の適用によっても導入することができる。
【0060】
そのため、本発明のもう1つの対象は、本発明の硬化性ポリマー混合物から得られる硬化ポリマー混合物、好ましくは本発明の硬化性ポリマーコンクリート混合物から得られる硬化ポリマーコンクリートでもある。
【0061】
本発明によるポリマーコンクリート混合物から、好ましい成形品、例えばパイプ、樋、マンホール、接続部品、セグメント化された建築部材、ボード、タイル、床、床仕上げ材、ライニング、壁、天井、人口大理石、フレーム、多種多様なタンク(例えば、給水用及び排水用)、装飾品、流し台、洗面器、浴槽及び桶を製造することができる。本発明によるポリマーコンクリート混合物は、建物内部並びに野外の品、また庭園の品を製造するのに使用できる。成形物は、例えば、居住空間に、事務所に、店舗建造物に、衛生施設に、台所に、美容院に、医療施設に、病院に、空港に、実験室に、ケータリング又は農業に使用することができる。
【実施例】
【0062】
以下の反応成分を実施例に使用する。
【表1】

【0063】
I.カップリング添加剤の製造
カップリン添加剤は、場合により有機溶媒中で製造することができる。以下の記載において、略語GPCは、ゲル浸透クロマトグラフィーを表し、NMRは、核磁気共鳴分光法を表し、Mは、数平均分子量を表し、PDIは、多分散性を表す(即ち、重量平均分子量と数平均分子量との商:M/M)。
【0064】
カップリング添加剤1:
ジアクリレートC(GPC:M=1100、PDI=1.08)60.00g(NMR分光法による分子量に基づいて76.9mmol)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン10.23g(46.2mmol)を、10分以内で滴加し、その際、温度は26℃を超えない。混合物を6時間撹拌する。生成物:M=1300、PDI=1.28、シラン基1mol当たり2.2molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0065】
カップリング添加剤2:
ジアクリレートC(GPC:M=1100、PDI=1.08)60.00g(NMR分光法による分子量に基づいて76.9mmol)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン5.12g(23.1mmol)を、8分以内で滴加し、その際、温度は24℃を超えない。混合物を6時間撹拌する。生成物:M=1100、PDI=1.19、シラン基1mol当たり5.4molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0066】
カップリング添加剤3:
ジアクリレートC(GPC:M=1100、PDI=1.08)20.00g(NMR分光法による分子量に基づいて25.6mmol)を、磁気撹拌機コア(magnetic stirrer core)を備えた密閉可能なねじ蓋付きジャーに装入する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン3.41g(15.4mmol)を、一度に全部添加する。混合物を、密閉容器中で6時間撹拌する。生成物:M=1300、PDI=1.28、シラン基1mol当たり2.2molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0067】
カップリング添加剤4:
ジアクリレートD(GPC:M=670、PDI=1.09)10.00g(NMR分光法による分子量に基づいて19.1mmol)を、磁気撹拌機コアを備えた密閉可能なねじ蓋付きジャーに装入する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン2.54g(11.5mmol)を、一度に全部添加する。混合物を、密閉容器中で6時間撹拌する。生成物:M=1900、PDI=3.51、シラン基1mol当たり1.6molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0068】
カップリング添加剤5:
ジアクリレートA(GPC:M=400、PDI=1.12)60.00g(NMR分光法による分子量に基づいて185.2mmol)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン24.60g(111.1mmol)を、10分以内で滴加し、その際、温度は28℃を超えない。混合物を8時間撹拌する。生成物:M=930、PDI=1.90、シラン基1mol当たり2.1molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0069】
カップリング添加剤6:
ジアクリレートB(GPC:M=710、PDI=1.10)60.00g(NMR分光法による分子量に基づいて114.8mmol)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン15.23g(68.8mmol)を、10分以内で滴加し、その際、温度は26℃を超えない。混合物を7時間撹拌する。生成物:M=1300、PDI=1.81、シラン基1mol当たり2.1molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0070】
カップリング添加剤7:
ジアクリレートA(GPC:M=400、PDI=1.12)20.00g(NMR分光法による分子量に基づいて123.5mmol)を、磁気撹拌機コアを備えた密閉可能なねじ蓋付きジャーに装入する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン4.10g(18.5mmol)を、一度に全部添加する。混合物を、密閉容器中で6時間撹拌する。生成物:M=640、PDI=1.85、シラン基1mol当たり5.6molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0071】
カップリング添加剤8:
ジアクリレートB(GPC:M=710、PDI=1.10)20.00g(NMR分光法による分子量に基づいて38.3mmol)を、磁気撹拌機コアを備えた密閉可能なねじ蓋付きジャーに装入する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン2.54g(11.5mmol)を、一度に全部添加する。混合物を、密閉容器中で6時間撹拌する。生成物:M=980、PDI=1.75、シラン基1mol当たり5.6molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0072】
カップリング添加剤9:
ジアクリレートE(GPC:M=700、PDI=1.09)20.00g(NMR分光法による分子量に基づいて30.9mmol)を、磁気撹拌機コアを備えた密閉可能なねじ蓋付きジャーに装入する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン4.10g(18.5mmol)を、一度に全部添加する。混合物を、密閉容器中で6時間撹拌する。生成物:M=1100、PDI=1.60、シラン基1mol当たり4.1molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0073】
カップリング添加剤10:
ジアクリレートE(GPC:M=700、PDI=1.09)20.00g(NMR分光法による分子量に基づいて61.7mmol)を、磁気撹拌機コアを備えた密閉可能なねじ蓋付きジャーに装入する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン2.05g(9.3mmol)を、一度に全部添加する。混合物を、密閉容器中で6時間撹拌する。生成物:M=890、PDI=1.51、シラン基1mol当たり10.9molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0074】
カップリング添加剤11:
ジアクリレートD(GPC:M=670、PDI=1.09)60.00g(NMR分光法による分子量に基づいて114.7mmol)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン12.34g(68.8mmol)を、10分以内で滴加し、その際、温度は27℃を超えない。混合物を6時間撹拌する。生成物:M=1200、PDI=2.55、シラン基1mol当たり1.8molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0075】
カップリング添加剤12:
ジアクリレートD(M=670、PDI=1.09)60.00g(NMR分光法による分子量に基づいて114.7mmol)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン6.17g(34.4mmol)を、一度に全部添加し、その際、温度は25℃を超えない。混合物を8時間撹拌する。生成物:M=1100、PDI=2.32、シラン基1mol当たり5.2molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0076】
カップリング添加剤13:
ジアクリレートD(M=670、PDI=1.09)60.00g(NMR分光法による分子量に基づいて114.7mmol)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン13.30g(68.8mmol)を、12分以内で滴加し、その際、温度は25℃を超えない。混合物を6時間撹拌する。生成物:M=900、PDI=1.59、シラン基1mol当たり2.4molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0077】
カップリング添加剤14:
ジアクリレートA(M=400、PDI=1.12)20.00g(NMR分光法による分子量に基づいて61.7mmol)及びDowanol PMA(1−メトキシ−2−プロピルアセテート)112.80gを、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。3−アミノプロピルトリエトキシシラン8.20g(37.0mmol)を、10分以内で添加し、その際、温度は27℃を超えない。混合物を20時間撹拌する。生成物:M=430、PDI=1.14、シラン基1mol当たり2.2molのアクリレート基(H−NMR分光法により測定)。
【0078】
カップリング添加剤15:
モノアクリレートF50.00g(メーカー情報に基づいて192.5mmol)及びジラウリン酸ジブチル錫溶液0.78g(キシレン中1%、0.01mmolDBTL)を、還流冷却機、ガス注入口、温度センサー、滴下漏斗及びKPG撹拌機を備えた丸底フラスコに装入する。反応を、窒素流下で実施する。反応混合物を80℃まで加熱する。3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン27.90g(135.9mmol)を、5分以内で滴加し、その際、温度は98℃まで上昇する。温度を冷却により、再び80℃まで下げる。混合物を80℃で更に2.5時間撹拌する。生成物:イソシアネート基は、完全に反応し、末端ヒドロキシル基は、もはや検出できない(13C−NMR分光法により測定)。シラン基に対するアクリレート二重結合の比は、1.05:1である(H−NMR分光法により測定;理論では1:1)。
【0079】
II.カップリング添加剤の使用
以後記載の「部」は、常に重量部である。
【0080】
UP樹脂系に基づくテストサンプルの製造
まず最初に、不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)を、表1に記載の他の成分と予混合する。
【表2】

Palatal P−04−01(製造元:DSM Composite Resins)は、マレイン酸単位を含有する、スチレン中65%の不飽和標準オルトフタル酸樹脂である。Co−促進剤Accelerator NL−49Pは、脂肪族エステル中1%のコバルトであるエチルヘキサン酸コバルト(II)からなる(製造元:Akzo Nobel Polymer Chemicals)。
【0081】
成分は、別々に計量し、混合する。そうして得られた混合物Aは、表2に記載の成分を各量で用いて更に加工する。
【表3】

Butanox M50は、ジメチルフタレート63%及びMEK/水4%中の、メチルエチルケトンペルオキシド33%である(製造元:Akzo Nobel Polymer Chemicals)。
石英粉末Millisil W3及びクォーツサンド(充填剤)F32は、Quarzwerke社製である。
【0082】
(A)曲げ強度の測定
(表1と2による量)
実施例1:
混合物Aを装入し、過酸化物及びカップリング添加剤1(充填剤の量に対して0.1重量%)と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された曲げ強度は、53.2N/mmである。
【0083】
比較例1(カップリング添加剤無し)
混合物Aを装入し、過酸化物と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された曲げ強度は、39.9N/mmである。
【0084】
実施例2:
混合物Aを装入し、過酸化物及びカップリング添加剤6(充填剤の量に対して0.1重量%)と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された曲げ強度は、52.5N/mmである。
【0085】
比較例2(低分子量のカップリング添加剤)
混合物Aを装入し、過酸化物及び3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(充填剤の量に対して0.1重量%)と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するテストサンプルをプレートから切り出す。測定された曲げ強度は、43.1N/mmである。
【0086】
実施例3:
混合物Aを装入し、過酸化物及びカップリング添加剤9(充填剤の量に対して0.1重量%)と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された曲げ強度は、49.6N/mmである。
【0087】
(B)弾性率の測定
(表1と2による量)
実施例4:
混合物Aを装入し、過酸化物及びカップリング添加剤14(20%溶液を、充填剤の量に対して0.1重量%)と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するテストサンプルをプレートから切り出す。測定された弾性率は、8.3kN/mmである。
【0088】
比較例3(カップリング添加剤無し)
混合物Aを装入し、過酸化物と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された弾性率は、5.8kN/mmである。
【0089】
比較例4(低分子量のカップリング添加剤)
混合物Aを装入し、過酸化物及び3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(充填剤の量に対して0.1重量%)と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO178に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された弾性率は、6.2kN/mmである。
【0090】
(C)衝撃強度の測定
(表1と2による量)
実施例5:
混合物Aを装入し、過酸化物及びカップリング添加剤14(20%溶液を、充填剤の量に対して0.1重量%)と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO179に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された衝撃強度は、1.957mJ/mmである。
【0091】
比較例5(カップリング添加剤無し)
混合物Aを装入し、過酸化物と混合する。次いで充填剤を添加し、同様に混合する。この充填剤/樹脂混合物を、平面金型に注入する。硬化を室温で1時間行って、プレートを製造する。次いでプレートを60℃で24時間保管する。完全な硬化後に、試験規格DIN EN ISO179に準拠するサンプルをプレートから切り出す。測定された衝撃強度は、1.574mJ/mmである。
【0092】
(D)粘度の測定
実施例6:
表2とは異なり、混合物A(表1参照)100部を装入し、カップリング添加剤14(20%溶液0.5部)と混合する。次いで、180部の石英粉末Millisil W8(Quarzwerke製造)を添加し、同様に混合する。混合物の粘度を、Brookfield RV粘度計(Brookfield GmbH,Lorch製造)を使用して、23℃で測定した(スピンドル6;5rpm)。41.2Pas。
【0093】
比較例6(カップリング添加剤無し)
混合物A(表1参照)100部を装入する。次いで、180部の石英粉末Millisil W8(Quarzwerke製造)を添加し、同様に混合する。混合物の粘度を、Brookfield RV粘度計(Brookfield GmbH,Lorch製造)を使用して、23℃で測定する(スピンドル6;5rpm)。48.2Pas。
【0094】
比較例7:(低分子量のカップリング添加剤)
混合物A(表1参照)100部を装入し、カップリング添加剤として3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.5部と混合する。次いで、180部の石英粉末Millisil W8(Quarzwerke製造)を添加し、同様に混合する。混合物の粘度を、Brookfield RV粘度計(Brookfield GmbH,Lorch製造)を使用して、23℃で測定する(スピンドル6;5rpm)。48.6Pas。
【0095】
実施例7:
表2とは異なり、混合物A(表1参照)100部を装入し、カップリング添加剤14(20%溶液1.0部)と混合する。次いで、180部の石英粉末Millisil W8(Quarzwerke製造)を添加し、同様に混合する。混合物の粘度を、Brookfield RV粘度計(Brookfield GmbH,Lorch製造)を使用して、23℃で測定する(スピンドル6;5rpm)。30.8Pas。
【0096】
比較例8:(低分子量のカップリング添加剤)
混合物A(表1参照)100部を装入し、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.0部と混合する。次いで、180部の石英粉末Millisil W8(Quarzwerke製造)を添加し、同様に混合する。混合物の粘度を、Brookfield RV粘度計(Brookfield GmbH,Lorch製造)を使用して、23℃で測定する(スピンドル6;5rpm)。46.8Pas。
【0097】
(E)スランプの測定
スランプテストをDIN1048、Part1に準じて実施した。スランプテスト実施には、水平かつ堅固に保管されるべき70cm×70cm寸法のスランプテーブル、型及び木製薄板が必要である。使用される型は、直径10cm、高さ5.5cmで、底及び蓋のない円筒形のものである。
【0098】
机の上面及び型の内面を湿った布で奇麗に拭かねばならない。机の中心に位置させた型の中にコンクリートを、こてで、2つのほぼ等しい厚さの層に塗り込め、各層は、木製薄板で圧縮せずに水平にならすか又は平坦になるよう取り除く。その際に、試験官は、型の両側のフットボード上に立つ。その後、机上面の露出面を清掃し、型を垂直に引き上げる。その後、15秒以内に15回、止まるまで、ハンドルを使用して机上面を持ち上げ、自然に落とすが、力を入れてぶつけない。全テストは90秒以内に遂行すべきである。スランプしたコンクリートの相互に垂直な直径a及びaを机の角と平行に測定し、平均値を出す。
【0099】
実施例8:
表2とは異なり、混合物A(表1参照)12部、カップリング添加剤14の溶液0.12部、石英粉末Millisil W3(Quarzwerke製造)10部、粒度0〜3mmの砂利28部、粒度1〜10mmの砂利50部、及びラジカル開始剤Butanox M50(Akzo Nobel Polymer Chemicals製造)0.24部からなる混合物に前記記述によるスランプテストを施す。測定されたスランプは、19.9cmである。
【0100】
比較例9(カップリング添加剤無し)
混合物A(表1参照)12部、石英粉末Millisil W3(Quarzwerke製造)10部、粒度0〜3mmの砂利28部、粒度1〜10mmの砂利50部、及びラジカル開始剤Butanox M50(Akzo Nobel Polymer Chemicals製造)0.24部からなる混合物に前記記述によるスランプテストを施す。測定されたスランプは、16.4cmである。
【0101】
比較例10(低分子量のカップリング添加剤)
混合物A(表1参照)12部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.12部、石英粉末Millisil W3(Quarzwerke製造)10部、粒度0〜3mmの砂利28部、粒度1〜10mmの砂利50部、及びラジカル開始剤Butanox M50(Akzo Nobel Polymer Chemicals製造)0.24部からなる混合物に前記記述によるスランプテストを施す。測定されたスランプは、16.7cmである。
【0102】
実施例9:
表2とは異なり、混合物A(表1参照)12部、カップリング添加剤14の溶液0.24部、石英粉末Millisil W3(Quarzwerke製造)10部、粒度0〜3mmの砂利28部、粒度1〜10mmの砂利50部、及びラジカル開始剤Butanox M50(Akzo Nobel Polymer Chemicals製造)0.24部からなる混合物に前記記述によるスランプテストを施す。測定されたスランプは、20.3cmである。
【0103】
比較例11(低分子量のカップリング添加剤)
混合物A(表1参照)12部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.24部、石英粉末Millisil W3(Quarzwerke製造)10部、粒度0〜3mmの砂利28部、粒度1〜10mmの砂利50部、及びラジカル開始剤Butanox M50(Akzo Nobel Polymer Chemicals製造)0.24部からなる混合物に前記記述によるスランプテストを施す。測定されたスランプは、16.8cmである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ポリマー混合物であって、
1)カップリング添加剤として、
a)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのアミノシラン及び/又はチオシランが、唯一の末端基として、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つの化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物、及び/又は
b)少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する少なくとも1つのイソシアネートシラン及び/又はエポキシシランが、少なくとも3つの構造単位と、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基又は末端アミノ基と、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合とを有する少なくとも1つのオリゴマー化合物に付加した、少なくとも1つの少なくともオリゴマーの付加生成物と、
2)結合剤系として、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリマー及び/又は(メタ)アクリル樹脂と、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーと、少なくとも1つのラジカル開始剤と、場合により少なくとも1つの架橋剤とを含み、ラジカル重合により硬化し得る系と、
3)骨材として、前記ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%の、無機の、好ましくは多粒子状の充填剤と、
4)場合により慣用の助剤と
を含む硬化性ポリマー混合物。
【請求項2】
成分1)として、前記カップリング添加剤を、前記ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して5重量%未満、好ましくは1重量%未満含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項3】
前記カップリング添加剤1)が、ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して0.5重量%未満の量で存在することを特徴とする請求項2に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項4】
前記付加生成物1)a)の製造のために使用され、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する前記化合物が、末端(メタ)アクリレート基及び/又はアリル基を有する化合物であり、そのうちの少なくとも1つの末端二重結合が、アクリレート基又はメタクリレート基、好ましくはアクリレート基であり、
かつ
前記付加生成物1)b)の製造のために使用され、少なくとも1つの末端二重結合を有する前記オリゴマー化合物が、少なくとも1つの末端アクリレート基、メタクリレート基又はアリル基、好ましくはアクリレート基を有し、かつ少なくとも1つの末端アミノ基又は末端ヒドロキシル基を有する化合物である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項5】
前記付加生成物a)の製造に、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する前記化合物として、少なくとも1つのオリゴマー化合物、好ましくは少なくとも1つのポリマー化合物が使用されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項6】
前記付加生成物b)の製造に、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基又は少なくとも1つの末端アミノ基と、少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合とを有するポリマー化合物が使用されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項7】
少なくとも1つ又は少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、ポリエーテル、飽和ポリエステル、ポリアミド、飽和ポリエステルアミド及び/又は飽和ポリエステルポリエーテルを使用したことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項8】
前記ポリエーテル、ポリエステル、又はポリエステルポリエーテルが、少なくとも2つの末端エチレン性不飽和二重結合又は少なくとも1つの末端エチレン性不飽和二重結合及び少なくとも1つの末端ヒドロキシル基又はアミノ基を有することを特徴とする請求項7に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項9】
前記ポリエーテルが、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、これらの混合物、これらのコポリマー及びブロックコポリマーを含む群から選択される少なくとも1つのポリエーテルであり、前記ポリエステルが、ジオール及び飽和ジカルボン酸からのポリエステル並びにラクトン、好ましくはε−カプロラクトン又はδ−バレロラクトン、からのポリエステルを含む群から選択される少なくとも1つのポリエステルであることを特徴とする請求項7又は8に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項10】
少なくとも1つの加水分解性シラン基を有する化合物として、一般式:
【化1】

(式中、
Aは、エポキシド基、グリシジルオキシ基、イソシアネート基、−SH基又は−N(H)−X基を表し、Xは水素、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、又は炭素原子数4〜6のシクロアルキル基を表し、これらXのそれぞれは、第一級又は第二級アミノ基で置換されてもよく、又は、Aは、mが整数2の場合に結合を表し、
は、炭素原子数1〜12のアルキレン基、炭素原子数4〜6のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6〜10のアリーレン基を表し、
は、炭素原子数1〜3のアルキル基、ハロゲン、−O−C(=O)−R基又は−OR基を表し、その際、Rは、水素又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、炭素原子数1〜3のアルキル基、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基を表し、その際、Rは、水素又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
は、−O−C(=O)−R基、ハロゲン又は−OR基を表し、その際、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
mは、整数1又は2を表す)
の化合物を使用したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項11】
加水分解性シラン基を有する化合物として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、3−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び/又は3−メルカプトプロピルトリエトキシシランを使用したことを特徴とする請求項10に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項12】
前記結合剤成分2)が、前記ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して80重量%未満、好ましくは60重量%未満の量で存在することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項13】
前記結合剤成分2)が、前記ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して40重量%未満の量で存在することを特徴とする請求項12に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項14】
前記結合剤成分2)が、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリエステル及び少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの系、及び/又はポリアクリル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリレートと(メタ)アクリルアミドのコポリマーを含む群から選択される(メタ)アクリレート樹脂及び少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーの系に基づくものであり、各系は、場合により、少なくとも1つのラジカル開始剤及び場合により少なくとも1つの架橋剤を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項15】
場合により置換されたスチレン、アルキル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリルアミドが、エチレン性不飽和モノマーとして存在することを特徴とする請求項14に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項16】
前記結合剤成分2)の総重量に対して、55重量%まで、好ましくは45重量%までのエチレン性不飽和モノマーが存在することを特徴とする請求項14又は15に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項17】
前記充填剤成分3)が、前記ポリマー混合物の成分1)から4)の総重量に対して少なくとも60重量%の量で存在することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項18】
好ましくは岩石粒子又は切断繊維の形状を有する無機ケイ素含有化合物化合物、及び/又はアルミニウム及び/又はマグネシウムの無機酸素化合物、好ましくは酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウム、が無機充填剤として存在することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項19】
前記助剤4)として、重合触媒、促進剤、ウオータートラップ化合物、阻害剤、顔料、湿潤及び分散剤、離型剤、消泡剤、安定剤、抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤、防炎剤、湿潤剤、可塑剤、増粘剤、チキソトロープ剤、耐衝撃性強化剤、表面変性剤、帯電防止剤及び/又は発泡剤が存在することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1に記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項20】
前記ポリマー混合物が、硬化性ポリマーコンクリート混合物であることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の硬化性ポリマー混合物。
【請求項21】
請求項19に記載の硬化性ポリマー混合物、好ましくは請求項20に記載のポリマーコンクリート混合物の製造における、カップリング添加剤として請求項1〜11のいずれかに記載の少なくとも1つの付加生成物1)a)及び/又は1)b)の使用であって、結合剤として請求項12〜16のいずれかに記載のラジカル重合により硬化し得る系に基づき、骨材として多粒子状の分散性無機充填剤を上記ポリマー混合物の成分1)から4)までの総重量に対して少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも40重量%、更に好ましくは少なくとも60重量%含み、場合により慣用の助剤も含む、カップリング添加剤の使用。
【請求項22】
請求項1〜11のいずれかに記載の少なくとも1つのカップリング添加剤が、請求項12〜16のいずれかに記載のラジカル重合可能な系、骨材として請求項18に記載の多粒子状分散性無機充填剤、及び場合により請求項19に記載の慣用の助剤と混合されることを特徴とする、硬化性ポリマー混合物、好ましくは硬化性ポリマーコンクリート混合物の製造方法。
【請求項23】
請求項22に記載のポリマー混合物から成形品を製造する方法であって、前記ポリマー混合物が、重合下及び場合により成形下に硬化することを特徴とする製造方法。
【請求項24】
請求項22に記載のポリマーコンクリート混合物から成形品を製造する方法であって、前記ポリマーコンクリート混合物が、重合下及び場合により成形下に硬化することを特徴とする製造方法。
【請求項25】
請求項23又は24により得られる硬化ポリマー混合物、好ましくは硬化ポリマーコンクリート混合物。

【公表番号】特表2010−519392(P2010−519392A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551132(P2009−551132)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001534
【国際公開番号】WO2008/104378
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】