説明

硬化性樹脂組成物、土木建築材及び土木建築物

【課題】 膜厚の薄い塗膜でも、表面乾燥性及び上塗り適合性に優れる硬化性樹脂組成物を提供するものである。
【解決手段】 分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(A)とエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、前記樹脂(A)が、分子中にヨウ素価180以上のカルボン酸に由来する特定の構造単位及び環状脂肪族二塩基酸に由来する特定の構造単位を有することを特徴とする硬化性樹脂組成物、土木建築材及び土木建築物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜厚の薄い塗膜でも、表面乾燥性、上塗り適合性に優れる硬化性樹脂組成物に関し、特にこれを用いた土木建築材及び土木建築物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から被覆材料として使用されている代表的な樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などがある。しかしながら、これらの樹脂は、硬化速度が遅く、長い施工時間が必要である。
また上記の被覆材料以外に、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、メタクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が知られており、これらはラジカル重合により硬化するため、硬化速度が速く、施工時間を短くすることが可能である。
しかし、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂等のラジカル重合性樹脂は、嫌気性であり、自然環境下での硬化であると、表面硬化性及び薄膜での硬化性に問題があった。
この問題に対し、パラフィンワックスを添加し、かつ空気乾燥性樹脂を用いることが提案されてきている(例えば参考文献1参照)。
【0003】
しかしながら、パラフィンワックスを添加すると、塗膜表面において空気を遮断する作用を有するため、空気乾燥性の向上に寄与する反面、硬化後も塗膜表面に存在し、塗膜の二次接着性及び外観などに影響を与えることがある。また、塗布した被覆材料が硬化する前にパラフィンワックスが流れ、パラフィンワックス浮きムラが発生した場合や、硬化性樹脂組成物の配合物中にパラフィンワックス吸収する成分がある場合や、温度が高くパラフィンワックスが浮き上がらない場合では、硬化性に課題を残していた。
【0004】
この課題に対し、パラフィンワックスを使用せずに、表面硬化が得られる空気乾燥性樹脂が提案されている(例えば特許文献2〜6参照)。
しかし、被覆材料の吸込みが激しい基材や骨材の頭等、被覆材料が極薄になる場合は、表面が乾燥しないか、表面の乾燥時間が大幅に遅くなる問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平11−209628号公報
【特許文献2】特許第3269483号明細書
【特許文献3】特許第3047425号明細書
【特許文献4】特許第3278001号明細書
【特許文献5】特開2004−10771号公報
【特許文献6】特開2004−143393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、膜厚の薄い塗膜でも、表面乾燥性及び上塗り適合性に優れる硬化性樹脂組成物、特にこれを用いた土木建築材及び土木建築物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有し、ヨウ素価180以上のカルボン酸に由来する構造単位及び環状脂肪族不飽和ニ塩基酸に由来する構造単位を含む樹脂をラジカル重合の樹脂成分として用いると、前記課題を解決することができることを発見するに及んで、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(A)とエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、前記樹脂(A)が、分子中にヨウ素価180以上のカルボン酸に由来する一般式[1]で表される構造単位及び一般式[2]で表される構造単位を有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供するものである。
R・COO− [1]
(式[1]中、Rはエチレン性不飽和二重結合を有し、炭素原子数が1〜5のアルキル基を表す。)
【0008】
【化1】

(式中、R1及びR4が炭素原子数1〜5のアルキル基、又はR1若しくはR4のいずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基でもう一方が水素原子であり、R2及びR3は水素原子を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化速度が速く、施工時間を短くすることが可能であるとともに、表面乾燥性及び上塗り適合性に優れ、さらに、膜厚の薄い条件でも表面乾燥し、特に下地条件が千差万別である土木建築分野の被覆材料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明を詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有し、多価アルコールとヨウ素価が180以上の油脂とのエステル交換反応により得られるカルボン酸に由来する構造単位[1]及び一般式[2]で表される構造単位を有する樹脂(A)を含有してなるものである。
R・COO− [1]
【0011】
【化2】

式[1]中、Rはエチレン性不飽和二重結合を有し、炭素原子数が2〜21のアルキル基を表すものである。このうち、炭素原子数が2〜18のアルキル基が好ましい。
【0012】
構造単位[1]としては、多価アルコールとヨウ素価が180以上の油脂とのエステル交換反応により得られるアルコールに由来するもの、ヨウ素価が180以上のカルボン酸と多価アルコールの縮合反応によって得られるアルコール等が挙げられるが、脱水の必要が無い点で、多価アルコールとヨウ素価が180以上のカルボン酸とのエステル交換反応により得られるアルコールに由来するものが好ましい。
【0013】
かかる多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。このうちでも、油脂との相溶性、硬化物性等からトリメチロールプロパンが好ましい。
【0014】
ヨウ素価が180以上のカルボン酸としては、例えば、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
これらカルボン酸は、ヨウ素価180程度の亜麻仁油、イワシ油、キリ油等からエステル交換および、それらを組成するカルボン酸を単離してもよい。
エステル交換反応により得られるアルコールは、油脂及び多価アルコールにエステル化触媒を添加し160℃で反応することにより得られる。
縮合反応により得られるアルコールは、カルボン酸及び多価アルコールにエステル触媒を添加し200℃で反応することにより得られる。
【0015】
前記式[2]中、R1及びR4が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、又はR1若しくはR4のいずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基でもう一方が水素原子であり、R2及びR3は水素原子を表すものである。
構造単位[2]としては、環状脂肪族不飽和二塩基酸の残基が挙げられ、具体的には、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライド又はその誘導体、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。また、飽和二塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン2酸,2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、またこれらのジアルキルエステルの残基が挙げられる。
これらの環状脂肪族不飽和二塩基酸の残基のうち、表面乾燥性の点で、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライド又はその誘導体の残基が好ましい。
【0016】
本発明に使用する樹脂(A)は、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有し、多価アルコールとヨウ素価が180以上のカルボン酸とのエステル交換反応により得られるカルボン酸に由来する構造単位[1]及び一般式[2]で表される構造単位を有するものである。
かかる樹脂(A)は、例えばヨウ素価が180以上のカルボン酸と多価アルコールとのエステル交換によって得られる水酸基を2個以上有するアルコールに、環状脂肪族不飽和ニ塩基酸を反応させ、末端にカルボキシル基を有する不飽和ポリエステルを作製し、このポリエステルに、カルボキシル基と反応性の官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
【0017】
ヨウ素価が180以上のカルボン酸及び多価アルコールは前記の記載のとおりである。
また、前記環状脂肪族不飽和二塩基酸は、前記に記載のとおりである。これらの環状脂肪族不飽和二塩基酸は、空乾性を阻害しない範囲で、単独でも2種類以上組み合わせて使用することができる。これらのうち、表面乾燥性の点で、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライド又はその誘導体が好ましく、これを50モル%以上使用することが特に好ましい。
【0018】
前記カルボキシル基と反応性の官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートがある。
【0019】
また本発明の硬化性樹脂組成物は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)を含有するものである。
かかるエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)[以下重合性不飽和単量体(B)という]としては、例えばメタクリル酸メチル(以下MMAという)、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸2−ハイドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ハイドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸β−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
【0020】
また上記した重合性不飽和単量体(B)以外に、低臭性の目的で、アルキル基の炭素原子数が1〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、フェニル基を有する重合性単量体を単独又は2種以上を併用して用いることができる。例えばフェニル基を有する分子量180以上のアクリロイル基を有するアクリル系単量体が好ましく用いられ、例えばフェノールエチレンオキサイド(EO)変性アクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、アクリロイルオキシエチルフタレート、フェノールEO変性メタクリレート、ノニルフェニルカルビトールメタクリレート、ノニルフェノールEO変性メタクリレート、フェノキシプロピルメタクリレート、フェノールPO変性メタクリレート、ノニルフェノキシプロピルメタクリレート、ノニルフェノールPO変性メタクリレート、メタクリロイルオキシエチルフタレート等がより好ましく用いられる。
【0021】
さらには、重合性不飽和単量体(B)以外に、本発明のラジカル硬化性樹脂組成物の硬化物の表面乾燥性を向上させるため、本発明の効果を損なわない範囲で各種の化合物を用いることができる。かかる化合物としては、例えばジシクロペンタジエン、ジシクロデカンまたはトリアジンの如き各種誘導体類、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルメタアクリレートまたはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌルアクリレート等が挙げられる。
【0022】
また本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、重合禁止剤、硬化促進剤、ラジカル硬化剤、金属石鹸、ワックス等を使用することができる。
【0023】
かかる重合禁止剤としては、例えばトリハイドロベンゼン、トルハイドロキノン、14−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル等のピペリジン誘導体等を挙げることができ、これらを単独又は2種以上の組み合わせて使用することができる。重合禁止剤は、本発明の硬化性樹脂組成物に、10〜1000ppm添加することが好ましい。
【0024】
かかる硬化促進剤としては、例えばバナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類が挙げられる。
【0025】
ラジカル硬化剤としては、熱硬化剤や光硬化剤が挙げられる。熱硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的にはメチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等公知公用のものが挙げられる。熱硬化剤の添加量は、好ましくは樹脂組成物の合計量100重量部に対して、0.5〜5重量部である。
【0026】
またかかる光硬化剤としては、例としてベンゾインアルキルエーテルのようなベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエートなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系等が挙げられる。光硬化剤の添加量は、好ましくは本発明に用いられる樹脂の合計量100重量部に対して、0.1〜3重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、25℃における粘度が7ポイズ以下であることが好ましい。粘度が7ポイズ以下であれば、土木建築用として用いる場合現場作業性に優れる。
【0027】
かかる金属石鹸として、一般的に硬化促進剤、ドライヤーとして用いられるものであれば特に限定されるものではない。溶解性および硬化性の点から、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等が好ましい。
【0028】
かかるワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスやステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸等が挙げられるが、好ましくはパラフィンワックスが用いられる。
【0029】
また本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにアミンを含むことができる。
アミンとしては、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4-(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、ジメチルピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4-(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0030】
本発明の土木建築材は、前記硬化性樹脂組成物と骨材とを混合してなるものである。かかる骨材としては、例えば砂利、砕石、セラミック骨材、硅砂、川砂、寒水石、大理石屑等が挙げられる。土木建築材としては、その他充填剤、チキソ剤、チキソ助剤、紫外線吸収剤、顔料、減粘剤等の粘度調節剤、低収縮化剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤等の各種添加剤を含むことができる。
【0031】
かかる充填剤としては、例えば水硬性ケイ酸塩材料、炭酸カルシウム粉、クレー、アルミナ粉、硅石粉、タルク、硫酸バリウム、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらのうち、硬化時の半透明性を考慮すると、好ましくは水酸化アルミニウム、ガラス粉および炭酸カルシウムである。
【0032】
かかるチキソ剤としては、例えばシリカ粉末、アスベスト、スメクタイト硫酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。必要に応じて前記の2種以上を併用しても良い。チキソ剤の市販品としては、レオロシールQSシリーズ((株)トクヤマ製)、アエロジルシリーズ(日本アエロジル(株)社製)BENATHIXシリーズ(ウィルバーエリス社製、CABOSILシリーズ(CABOT社製、HDKシリーズ(WACKER社製)、FRANKLIN FIBER(USG社製)等が使用できる。
【0033】
かかる顔料としては、たとえばチタンホワイト、カーボンブラック等無機顔料類やフタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等有機顔料類があり、色相に応じて、種々の着色剤を用いることができる。
【0034】
本発明の土木建築材は、薄膜での乾燥性の優れることから、スプレー工法やローラー工法により、アスファルトやコンクリート下地に直接塗布することができる。具体的には、プライマー用、カラー舗装用、また、硬化性に優れる為、モルタル、レジンコンクリートに用いることもできる。
かかる土木建築材を下地に塗布し硬化させた本発明の土木建築物は、耐久性に優れるものである。
【実施例】
【0035】
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、文中に「部」「%」とあるのは、重量部、重量%を示すものである。
【0036】
(参考例1)
亜麻仁油291部、トリメチロールプロパン89部を温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込み、4時間エステル交換させ、2価アルコールを生成させた。
その後、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライドを332部仕込み、エステル化触媒としてジブチルチンオキサイドを0.05%添加し、200℃で5時間反応させた。
その後、100℃まで冷却し、エポキシ開環反応触媒として2−メチルイミダゾールを0.3%、次いでグリシジルメタクリレートを277部投入し、5時間反応させ、式〔1〕及び式〔2〕で表される構造単位を有する空気乾燥性ソリッド1を得た。
【0037】
(参考例2)
亜麻仁油291部、トリメチロールプロパン89部を温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込み、4時間エステル交換させ、2価アルコールを生成させた。
その後、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライドを664部及びジエチレングリコール212部を仕込み、エステル化触媒としてジブチルチンオキサイドを0.05%添加し、200℃で5時間反応させた。
その後、100℃まで冷却し、エポキシ開環反応触媒として2−メチルイミダゾールを0.3%、次いでグリシジルメタクリレート346部投入し、5時間反応させ、式〔1〕及び式〔2〕で表される構造単位を有する空気乾燥性ソリッド2を得た。
【0038】
(参考例3)
亜麻仁油291部、トリメチロールプロパン89部を温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込み、4時間エステル交換させ、2価アルコールを生成させた。
その後、無水フタル酸を296部仕込み、エステル化触媒としてジブチルチンオキサイドを0.05%添加し、200℃で5時間反応させた。
その後、100℃まで冷却し、エポキシ開環反応触媒として2−メチルイミダゾールを0.3%、次いでグリシジルメタクリレートを277部投入し、5時間反応させ、式〔1〕で表される構造単位は有するものの式〔2〕で表される構造単位を有さない空気乾燥性ソリッド3を得た。
【0039】
(参考例4)
亜麻仁油291部、トリメチロールプロパン89部を温度計、攪拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込み、4時間エステル交換させ、2価アルコールを生成させた。
その後、メチルテトラヒドロ無水フタル酸を332部仕込み、エステル化触媒としてジブチルチンオキサイドを0.05%添加し、200℃で5時間反応させた。
その後、100℃まで冷却し、エポキシ開環反応触媒として2−メチルイミダゾールを0.3%、次いでグリシジルメタクリレートを277部投入し、5時間反応させ、式〔1〕で表される構造単位は有するものの一般式〔2〕で表される構造単位を有さない空気乾燥性ソリッド4を得た。
【0040】
(参考例5)
ジエチレングリコール232部、シス−3−メチル−4−シクロヘキセン−シス−1,2−ジカルボキシリックアンハイドライド242部、フマル酸254部、トリメチロールプロパン48部、エチレングリコールモノアリルエーテル222部を温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた四口フラスコに仕込み、公知の条件で加熱脱水縮合脱水させて、空気乾燥性ソリッド5を得た。
【0041】
(実施例1〜4及び比較例1〜4)
上記参考例で得られたソリッドを、メタクリル酸メチル又はメタクリル酸2−エチルヘキシルの任意量で希釈し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0042】
[表面乾燥性の評価]
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた硬化性樹脂組成物100部に、8%オクチル酸コバルトを1部を添加攪拌した後、メチルエチルケトンパーオキサイドを1部を配合した物を0.07mm及び0.15mm厚みのアプリケーターにて、繊維強化セメント板上に塗布し、その塗膜表面乾燥状態を観察した。
表面乾燥状態は5段階で評価した。塗膜表面が100%乾燥し、最初に指触乾燥した箇所と最後に指触乾燥した時間差が10分以内のものを「5」、塗膜表面が100%乾燥し、最初に指触乾燥した箇所と最後に指触乾燥した時間差が10分以上のものを「4」、塗膜表面に一部乾燥しない部分が発生したものを「3」、塗膜表面の大部分が乾燥しないものを「2」、塗膜表面が全く乾燥しないものを「1」とした。
【0043】
[上塗り適合性の評価]
実施例1〜4及び比較例1〜6の硬化性樹脂組成物100部に、8%オクチル酸コバルトを1部を添加攪拌した後、メチルエチルケトンパーオキサイドを1部を配合した物を、150g/m(膜厚0.15mm相当)繊維強化セメント板に塗布乾燥させた後、ディオバー NS−800(大日本インキ化学工業株式会社製)を塗布し、JIS K 5600−3−4に準じ、主に、ハジキ有無について観察を行った。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(A)とエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(B)とを含有してなる樹脂組成物であって、前記樹脂(A)が、分子中にヨウ素価180以上のカルボン酸に由来する一般式[1]で表される構造単位及び一般式[2]で表される構造単位を有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
R・COO− [1]
(式中、Rはエチレン性不飽和二重結合を有し、炭素原子数が2〜21のアルキル基を表す。)
【化1】

(式中、R1及びR4が炭素原子数1〜5のアルキル基、又はR1若しくはR4のいずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基でもう一方が水素原子であり、R2及びR3は水素原子を表す。)
【請求項2】
前記樹脂(A)の数平均分子量が、550〜10,000である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ヨウ素価180以上のカルボン酸が、多価アルコールとヨウ素価が180以上の乾性油とのエステル交換反応により得られる、分子中に水酸基を2個以上有するカルボン酸である請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ヨウ素価が180以上の乾性油が、亜麻仁油である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記多価アルコールが、トリメチロールプロパンである請求項4記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物と骨材とを混合してなる土木建築材。
【請求項7】
請求項5に記載の土木建築材を用いた土木建築物。


【公開番号】特開2006−257198(P2006−257198A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74847(P2005−74847)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】