説明

硬化性組成物、それから製造される硬化製品及びその使用

【課題】歯科用印象化合物としての使用に適しており、非常に良好な濡れ挙動と非常に良好な生物分解性によって特徴付けられる新規の硬化性組成物を提供する。
【解決手段】付加反応によって架橋する有機ポリシロキサン、縮合反応によって架橋する有機ポリシロキサン、アルコキシシリル基を有し縮合反応によって架橋するポリエーテル、アジリジノ基を有し付加反応によって架橋するポリエーテル、アルケニル基を有し付加反応によって架橋するポリエーテル、エチレン性不飽和カルボン酸のエステル基を有しラジカル重合反応によって架橋するポリエーテル、及び、開環メタセシス反応によって架橋するポリエーテル、シリコーン又はゴムの群から選択される硬化性ポリマーを含み、さらに少なくとも1種の非イオン性及び/又はイオン性のフッ素化界面活性剤を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
新規の硬化性組成物について説明する。特に、それは歯科用印象化合物としての使用に適しており、非常に良好な濡れ挙動と非常に良好な生物分解性によって特徴付けられる。
【背景技術】
【0002】
歯科用印象化合物は、それ自体は公知であり、長年にわたって使用されている。これらの化合物は、良好な品質保持期間を有するのと同時に、迅速に硬化する性質などの様々な特性や、細部にわたる優れた精度を有する必要がある。一般的に使用される2種の組成物の混合物は、使用直前に混合され、その後、直ちに加工されなければならない。細部にわたる精度を可能な限り優れたものとするためには、片方の歯及び/又は歯肉と、もう片方に形成される印象材との間にある唾液又は血液などの液体の量を可能な限り少量とすることが重要であり、この液体が形成された印象材中に吸収されることを最小限にする必要がある。
【0003】
通常、歯科用印象化合物は、ポリ有機シロキサンなどの疎水性材料を含んでいる。印象化合物と歯又は歯肉との間の液体層を最小にするために、歯科用印象化合物中に界面活性剤を使用するという提案が既にされている。これらは水の膜を分散させて、その結果、液体膜の形成を困難にする。
【0004】
特許文献1では、歯科用印象材として使用できる、硬化性シリコーンプレポリマーと界面活性剤とを含む硬化性シリコーン組成物が記載されている。好ましくは、使用される界面活性剤は、1つ以上のシロキサン基又はペルフルオロアルキル基を含むエトキシ化非イオン性界面活性剤である。その界面活性剤は、水の液滴を加えた3分後、硬化した組成物にその量で使用され、特に好ましくは、その組成物は10°未満の接触角を有する。しかしながら、既に3分後に硬化する印象材において、これらの接触角特性は、実際の需要に対応できてない。さらに、この特許文献1の実施例では両性又はイオン性のフッ素化界面活性剤について言及しており、非イオン性のフッ素化界面活性剤の場合には、SONR基によってペルフルオロアルキル基がポリエーテル基に結合している。SONR基はプラチナ触媒上で多くの金属キレート錯体を生成し、その結果、その後の反応を阻害することから、付加反応によって架橋するプラチナ触媒シリコーンでの使用には、これらのSONR基は適当でない。その上、特許文献1では、不活性ポリエーテルポリマーの添加であるのか、ビニル、アルキル又はSiH基などを有する活性ポリエーテルポリマーの添加であるのかが開示されていない。
【0005】
特許文献2では、付加反応によって架橋し、少なくとも2つの脂肪族飽和炭化水素基、少なくとも1つのアルキル基を有するポリエーテル、有機水素シロキサン、可溶性のプラチナ触媒、無機充填剤、並びに非イオン性界面活性剤及び/又はポリエーテル修飾シリコーンオイルを含むシリコーン印象化合物が記載されている。
【0006】
特許文献3では、歯科用シリコーン印象材が記載されており、それにはSiH基を有するシリコーン重合体、Siアルキレン基を有するシリコーン重合体、触媒及び無機充填剤に加えて、1つ以上のジメチコンをベースとした(ポリ)アルキレンオキシド置換基を有し、1つのフッ素化アルキル置換基を有するポリシロキサン−ポリエステル重合体が含まれる。この開示によると、73°未満の接触角は硬化した固体試料上でWilhelmi法によって測定される。ここで使用されるフッ素化ポリシロキサン−ポリエステルは、それぞれの鎖末端にフッ素化炭化水素を有する高分子重合体である。その接触角は、小さい傾向にある。フッ素化ポリシロキサン−ポリエステルは、高分子量のポリマーと両鎖末端上のフッ化炭素基という高分子構造のため、親水性頭部と親水性尾部を有する従来の低分子界面活性剤ではない。
【0007】
特許文献4では、ポリビニルシロキサンと界面活性剤を含む歯科用印象材が記載されており、その界面活性剤は硬化15分後に組成物に浸潤性を与え、印象材は約15秒後に約10°未満の水との表面接触角を有する。特に、これらの接触角は、PEG−8メチコン界面活性剤を使用することによって達成される。
【0008】
特許文献5では、0.001wt%と1.0wt%の間の濃度で、3000g/molを超える分子量の(ポリ)アルキレンオキシド及び/又はその誘導体を有するシリコーンをベースにした付加反応によって架橋する印象材が記載されている。使用されるポリエーテルは、印象材の安定性を改善するであろう。同時に、その接触角は80°を超えるとみられる。この文献では、ポリエーテルのみが加えられたときには得られる接触角が良くないので、その結果、良好な親水性の性質が達成できないことを示す。
【0009】
特許文献6では、歯科用印象化合物の親水性化のためのポリエーテルカルボシランの使用を開示している。印象材の硬化30分後に接触角/表面角測定を実施すると、その接触角は少なくとも42°である。
【0010】
特許文献7では、親水性シリコーンオイル、フッ化炭化水素、酸化エチレン/酸化プロピレンのブロックコポリマー、脂肪族アルコール誘導体、アルキルフェノール誘導体、脂肪族アミン、アミンオキシド、脂肪酸グリコール及びグリセロール誘導体、脂肪酸並びに脂肪酸モノエステルから成る群のうち1つ以上の親水性物質を含むポリエーテル印象材が記載されている。印象材の硬化30分後に接触角の測定を実施すると、その接触角は18°と65°の間である。
【0011】
特許文献8では、付加反応によって架橋し、くし状ポリエーテル基を有する重合可能なシリコーンポリエーテルを含む印象物質組成が記載されている。この重合されたシリコーンポリエーテルとノニルフェニルエトキシレート界面活性剤の組合せは実施例で記載されていた。
【0012】
特許文献9では、付加反応によって架橋し、シリコーンポリエーテルを含むシリコーン印象材を開示している。
【0013】
特許文献10では、付加反応によって架橋するポリエーテル印象組成物について開示しており、そのポリエーテルは末端にビニルジメチルシロキシ基又はアルキル基を持つ。SiOC結合によってポリエーテルに結合している不飽和基は、加水分解されやすく、保存安定性がない。そうでなければ、そのポリエーテルは、Pt触媒ヒドロシリル化によってビニルジメチルシロキサンと結合する。従来の精製方法では高活性触媒を分離できない。ポリマーとPt触媒が高分子量であるため、高真空蒸留によるポリマー精製も不可能である。このような方法で合成され、残存プラチナが混じったポリエーテルポリマーは保存に安定ではなく、したがって、歯科用印象化合物組成物には適当ではない。このような理由で、今日まで、これらの製品は商業化されなかった。
【0014】
特許文献11では、シリコーン界面活性剤を含み、付加反応によって架橋するシリコーン組成物が記載されている。水滴を加えた3分後に硬化サンプル体の接触角を測定する。記載された接触角は60°と65°の間である。
【0015】
特許文献12では、付加反応で架橋し、2〜5のケイ素原子を有する親水性不飽和ポリシロキサン−ポリエーテルコポリマーと、少なくとも1つの不飽和脂肪族官能基及び少なくとも1つのポリエーテル官能基を含む有機ポリシロキサン組成物が記載されている。
【0016】
特許文献13では、付加反応によって架橋し、メチルフェニルポリシロキサンと非イオン性界面活性剤を組み合わせて形成されるシリコーン印象材が記載されている。その非イオン性界面活性剤は親水基に加えて親油基を有し、その親油基はアルキル基又はフッ化炭素基とすることができる。フルオロ界面活性剤とシリコーン界面活性剤の混合物の使用は開示されていない。得られた接触角は28°と60°の間である。
【0017】
フッ素化界面活性剤とシリコーン界面活性剤の組み合わせは特許文献14(特許文献15に対応)により公知である。この文献には、そのような界面活性剤の混合物を含む水性顔料インクジェット式プリンター用インクが記載されている。
【0018】
最終的に、特許文献16では、界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせを含む硬化可能な歯科用印象材が記載されている。これらの印象材は、口腔粘膜の型を作ることを目的とするもので、これらは非常に低い圧力で流動するが、圧力が加わらない時には流動しない。この印象材は口腔粘膜の炎症をほとんど引き起こさない。シリコーン界面活性剤とフッ素化界面活性剤の混合物の使用は開示されていない。
【0019】
特許文献17では、ポリシロキサンをベースとした親水性歯科用印象材が記載されている。それは、付加反応によって架橋し、不飽和基を有するポリエーテルに加えて非イオン性界面活性剤又はポリエーテル修飾シリコーンオイルを含む。この文献では、シリコーン界面活性剤とフッ素化界面活性剤の組み合わせについては記載していない。
【0020】
特許文献18では、さまざまな界面活性剤を含むことのできる親水化ポリエーテルを開示している。他の界面活性剤に加えて、親水性シリコーンオイル又はフッ化炭化水素化合物が使用できる物質の種類として開示されている。アジリジノ基でキャップされたポリエーテル及び非イオン性フッ素化界面活性剤(Fluorad FC430)を含む硬化性組成物が実施例に記載されている。3Mの製品安全データシート30版(2002年8月)によると、この化合物はペルフルオロクチルスルホン酸基を含む。特許文献18は、シリコーン界面活性剤と(ポリ)アルキレンオキシド基、炭水化物基又は脂肪族ポリヒドロキシ基を有するフッ素化界面活性剤の混合物を含む硬化性組成物については開示していない。
【0021】
特許文献19では、歯科用印象材としての親水性シリコーンの使用について記述している。この文献は、特に、可溶化シロキサン又はペルフルオロアルキル基を有するエトキシ化非イオン性界面活性剤の湿潤剤の使用について開示している。この文献では、シリコーン界面活性剤及び(ポリ)アルキレンオキシド基、炭水化物基又は脂肪族ポリヒドロキシ基を有するフッ素化界面活性剤の混合物を含む硬化性組成物については全く述べられていない。
【0022】
特許文献20では、水によって化合物の親水性を改善する浸潤剤の存在によって特徴付けられ、3分後には50°未満の接触角となる、ポリオルガノシロキサンをベースとした歯科用印象化合物が記載されている。例えば、エトキシノニルフェノール又はPEG−8メチコンが、浸潤剤として提案されている。
【0023】
引用された特許文献では、接触角の測定は実用的な要件に基づいていない、すなわち、接触角は硬化したサンプル体上で測定されている。しかしながら、実用的な要件に従うと、まず第一に、硬化した印象材の接触角特性は関係なく、それに反して、硬化していない塑性状態のものの接触角特性が重要である。その上、その接触角は3分後のものだけが関係するのではなく、むしろ印象材を使用してすぐに、すなわち、可塑性印象材と歯の物質及び/又は口腔粘膜との最初の接触後0〜10秒の間のものが関係する。これは、最初、すなわち0〜10秒の間に、その印象材は湿った唾液で濡れた歯の物質と口腔粘膜の湿潤を引き起こし、その処理時間の間、すなわち硬化していない状態で、歯科用印象材を使用する際に、その上で流動しなくてはならないという事実によって説明される。接触角の特性について、その後にそのうちに起こることは、どれも、細部にまで正確である歯科用印象材には関係がない。
【0024】
実際の状態において、湿気の多い歯の上の印象材の流れが重要とされる、2つの成分類を混合した後の段階、いわゆる処理時間では、印象材がまだ柔軟に変形可能で、湿気の多い歯、唾液、及び血液に接触するときに、上で説明した先行技術文献で開示された材料は10°以下の良好な接触角を有さない。材料の表面で水滴の拡散は見られない。これらの文献に記載された接触角は、模型を作るために液体石膏スラリーを用いて、口腔外で硬化印象材を成型する時にのみ関係するものであり、重要な意味をもつ口腔内での印象材の使用とは関係がない。その上、これらの文献のどれもが、相乗的な界面活性剤混合物の使用や、ポリエーテルと該混合物との組み合わせについて述べていない。
【0025】
非特許文献1による、非常に最新の科学的研究では、濡れ挙動に関する歯科用印象材の要件について述べている。これは、初期の親水性と平衡時の親水性の研究を行うことを伴った。これらの研究がもたらした実際的な要件は、処理時間の塑性段階の間、常に印象材は低い初期の親水性を有するべきであり、また同様に低い平衡時の親水性を常に有するべきであるということである。
【0026】
実際の状態において、患者の口腔内で印象材を適用して流動させることは、印象技術や印象が行われる歯の数に依存して、時間内の様々なポイントで行われるであろう。例えば、ただ一つの歯冠印象の場合は、適用して流動させるために必要なのは比較的短い間(例えば40秒)であるが、印象が形成される4又は5本の歯の為に、より広い範囲に注入する場合は、適用と流動は2分後にしか完了しない。
【0027】
Ruppらの研究によると、今日使用されている印象材、特にシリコーン印象材は、処理時間の増加と共に疎水性の方向に著しく推移し、そのことは前述の実際的な要件や印象材の実際的な要求に逆らうものである。
【0028】
さらに、そこで測定された初期の親水性接触角もまた、ポリエーテル及びシリコーン印象材のどちらにおいても改良を必要とするものである。
【0029】
濡れ挙動が大いに改良された歯科用印象化合物は、特許文献20により公知である。この文献は、選択されたシリコーン界面活性剤と選択されたフッ素化界面活性剤の相乗的な組み合わせを含む様々な架橋系を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第4657959号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1290998号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0847745号明細書
【特許文献4】国際公開第04/058196号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第1165016号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0729341号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0613926号明細書
【特許文献8】国際公開第00/48553号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開第0231420号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第4010281号明細書
【特許文献11】米国特許第5064891号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第0885932号明細書
【特許文献13】米国特許第5907002号明細書
【特許文献14】独国特許出願公開第69917384号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第0974626号明細書
【特許文献16】独国特許出願公開第19922929号明細書
【特許文献17】米国特許第6861457号明細書
【特許文献18】独国特許出願公開第4306997号明細書
【特許文献19】欧州特許出願公開第0244478号明細書
【特許文献20】国際公開第05/016289号パンフレット
【特許文献11】国際公開第07/080071号パンフレット
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】Deutsche Zahnarztliche Zeitschrift [German Dental Journal], 60 (2005) 10, pages 587-592
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
この先行技術に基づいた本発明の目的は、硬化性組成物の提供であり、その硬化性組成物は、好ましくは、実際の状態において、湿気の多い歯及び/又は歯肉組織上で、非常に良好な流動が得られるように、また、細部にわたり非常に正確で、その一方では高い生物分解性の印象の開発が導けるように、(始めと終わりの両方の)処理時間の間、常に小さい初期接触角度と平衡時の小さい接触角(親水性)をもたらす歯科印象化合物として適したものである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
驚いたことに、この目的は、選択された架橋系において、シリコン含有基を有する非イオン性界面活性剤と組み合わせて、選択されたフッ素化界面活性剤を用いることで、達成されることが判明した。
【0034】
本発明は、付加反応によって架橋する有機ポリシロキサン、縮合反応によって架橋する有機ポリシロキサン、アルコキシシリル基を有し縮合反応によって架橋するポリエーテル、アジリジノ基を有し付加反応によって架橋するポリエーテル、アルケニル基を有し付加反応によって架橋するポリエーテル、エチレン性不飽和カルボン酸のエステル基を有しラジカル重合反応によって架橋するポリエーテル、及び、開環メタセシス反応によって架橋するポリエーテル、シリコーン又はゴムの群から選択される硬化性ポリマーを含み、さらに以下の群から選択される少なくとも1種の非イオン性及び/又はイオン性のフッ素化界面活性剤を含む組成物に関する。
(a)少なくとも1つの部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキレンオキシド又はポリアルキレンオキシド単位を含むフッ素化界面活性剤、
(b)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を有するフッ素化界面活性剤、
(c)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルコキシアルキレン基を有するフッ素化界面活性剤、
(d)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化アルキル基を有し、フッ素化基としては、ω−モノ−、ジ‐もしくはトリフルオロメチル基、又は、ω−モノ−、ジ‐、トリ‐、テトラ−もしくはペンタフルオロエチル基のみが存在するフッ素化界面活性剤、
(e)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化アルコキシアルキレン基を有し、フッ素化基としては、ω−モノ−、ジ‐もしくはトリフルオロメトキシ基、又は、ω−モノ−、ジ‐、トリ‐、テトラ−もしくはペンタフルオロエトキシ基のみが存在するフッ素化界面活性剤、
(f)イオン性基に加えて、7未満の炭素原子を有する部分フッ素化ω−(N,N−ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルアミノ)アルキレン基、又は、7未満の炭素原子を有する部分フッ素化ω−(N,N−ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルアミノ)アルキレンオキシアルキレン基を有し、フッ素化基としては、ω−(N,N−ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルアミノ)基のみが存在するフッ素化界面活性剤、
(g)イオン性基に加えて、10未満の炭素原子を有する部分フッ素化ω−(モノ−、もしくは、ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルフェノキシ)アルキレン基を有し、フッ素化基としては、ω−(モノ−、もしくは、ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルフェノキシ)基のみが存在するフッ素化界面活性剤、及び、
(h)(ポリ)アルキレングリコール主鎖に加えて、側鎖として5未満の炭素原子を有する複数の部分フッ素化又は全フッ素化アルコキシ基を有し、また、少なくとも1つの、シリコン含有基を有する6000g/mol未満の分子量の非イオン性界面活性剤を含むフッ素化界面活性剤。
【発明の効果】
【0035】
好ましい組成物は、混合開始40秒後、好ましくは0分を超えて3分までの間の処理時間の間のあらゆる時点で、初期の水滴接触角が10°未満(人工気象室内にて大気湿度50%で測定)と小さく、好ましくは水滴の寿命は10秒である。
【0036】
好ましい組成物の混合開始40秒後の水滴接触角の動的経過は、好ましくは以下の値と推測される。水滴滴下0.25秒後の水滴接触角は75°未満、好ましくは40°未満;水滴滴下0.5秒後の水滴接触角は55°未満、好ましくは30°未満;水滴滴下1秒後の水滴接触角は35°未満、好ましくは25°未満;水滴滴下2秒後の水滴接触角は20°未満;そして、水滴滴下3秒後の水滴接触角は10°未満である。
【0037】
硬化していない本発明の組成物上で水滴は広がり、通常、遅くとも3秒後の短時間で、10°未満の非常に小さい接触角の液滴を形成するか、又は完全に広がって水膜を形成するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の組成物は、シリコン含有基を有する非イオン性界面活性剤の組み合わせで使用される、選択された非イオン性及び/又はイオン性フッ素化界面活性剤の存在によって特徴付けられる。
【0039】
これらの組み合わせは、特に良好な濡れ挙動で特徴付けられる。
【0040】
本発明に従って使用されるフッ素化界面活性剤は、上で定義された(a)から(h)の群に属する。
【0041】
(a)群のフッ素化界面活性剤は、少なくとも1つの部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキレンオキシド単位、又は、部分フッ素化もしくは全フッ素化(ポリ)アルキレンオキシド単位(以下、部分フッ素化又は全フッ素化(ポリ)アルキレンオキシド単位という)を含む。
【0042】
部分フッ素化又は全フッ素化(ポリ)アルキレンオキシド単位は、好ましくは、架橋基によって、親水性 (ポリ)アルキレンオキシド単位と結合している。
【0043】
フッ素化界面活性剤は架橋系の機能として選択される。付加反応によって架橋する有機ポリシロキサン、又は、アルケニル基を含み、付加反応によって架橋するポリエーテルにおいて、硫黄、窒素及び/又はりん原子を有するフッ素化界面活性剤は、硬化反応中に好ましくない方法で干渉する。従って、これらの系からは、硫黄、窒素及び/又はりん原子を有するフッ素化界面活性剤を排除することが好ましい。
【0044】
また、窒素、硫黄及び/又はりん原子、及び/又は、これらの原子を有する基を含むフッ素化界面活性剤は、他の硬化系と共に使用できる。例として、アミノ基、スルホン酸エステル基、燐酸エステル基又はホスホン酸エステル基又はカルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、燐酸アミド基又はホスホン酸アミド基がある。これらの基及び/又は原子、例えばアミノ基やカルボン酸アミド基をいくつか有するフッ素化界面活性剤もまたフッ素化界面活性剤として使用できる。
【0045】
酸素原子又はカルボン酸エステル基と結合した少なくとも1つの(ポリ)アルキレンオキシド単位及び少なくとも1つの部分フッ素化又は全フッ素化(ポリ)アルキレンオキシド単位を有する(a)群の非イオン性フッ素化界面活性剤は好ましい。
【0046】
本明細書の範囲では、部分フッ素化又は全フッ素化(ポリ)アルキレンオキシド単位は、少なくとも1つの部分フッ素化又は全フッ素化アルキレンオキシド単位、好ましくは複数の部分フッ素化又は全フッ素化アルキレンオキシド単位を含む基であって、部分フッ素化アルキレン又は全フッ素化アルキレン基が、基の中では異なった数の炭素原子を有することができるものと理解される。これらの異なった部分フッ素化アルキレン又は全フッ素化アルキレン基は、基の中で、又は、反復構造単位のブロック形態の中で不規則に存在することができる。
【0047】
本明細書の範囲では、(ポリ)アルキレンオキシド単位は、少なくとも1つのアルキレンオキシド単位、好ましくは複数のアルキレンオキシド単位を含む基であって、アルキレン基が、基の中では異なった数の炭素原子を有することができるものと理解される。これらの異なったアルキレン基は、基の中で、又は、反復構造単位のブロック形態の中で不規則に存在することができる。
【0048】
本発明で使用できる好ましい(a)群のフッ素化界面活性剤は、一般式Iaのブロックを含むブロック共重合体である。
【0049】
【化1】

【0050】
式中、Rは2〜12の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルキレン基であって、ポリエーテル基の部分フッ素化又は全フッ素化アルキレン基の炭素原子の数は、与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
は2〜12、好ましくは2〜6の炭素原子を有するアルキレン基を示し、アルキレン基の炭素原子の数は、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
A’は、共有結合又は2価の架橋基であって、C−C及び/又はC−O結合によって[O−R]と[O−R]のブロックを結合し;
aは1〜200、好ましくは1〜50、特に1〜20の整数であり;そして、
dは1〜200、好ましくは1〜50、特に1〜10の整数である。
【0051】
本発明で使用できる特に好ましい(a)群のフッ素化界面活性剤は、一般式Ibの化合物を含む。
【0052】
【化2】

【0053】
式中、
は水素、1〜6の炭素原子を有する部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキル基又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは、水素、1〜4の炭素原子を有するアルキル基又は1〜4の炭素原子を有する部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキル基であり;
は、上記定義と同義であり;
とR’は、互いに独立して、2〜12、好ましくは2〜6の炭素原子を有するアルキレン基を示し、ポリエーテル基の中のアルキレン基の炭素原子の数は与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
AとA’は、互いに独立して、共有結合又は2価の架橋基であって、C−C及び/又はC−O結合を介して[O−R]、[O−R]と[R’−O]のブロックを結合し;
aは1〜200、好ましくは2〜50の整数を示し;
bは0〜100、好ましくは2〜50の整数を示し;
cは0〜100、好ましくは2〜50の整数を示し;そして、
Bは水素、アルキル、部分フッ素化アルキル又は全フッ素化アルキル基を示す。
【0054】
一般式Ibの化合物は、欧州特許第0864643号(EP,B)により公知である。
【0055】
一般式Ia及びIbの非イオン性フッ素化界面活性剤は、以下のものが本発明における使用に特に好ましい、すなわちこれらの式中、
は、一般式−Cm1n1o1−の基、又は、一般式−CH−C(CH)R1a−CH−であって、ポリエーテル基に含まれる符号m1,n1及びo1は、与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
m1は2〜4の整数であり;
n1は1〜8の整数であり;
o1は0〜7の整数であり;
n1とo1の合計は、2m1の値に相当し;
1aは1〜4の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基であり;
は一般式−Cp12p1−の基であって、ポリエーテル基に含まれる符号p1は、与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
R’は一般式−Cp12p1−の基であって、符号p1は、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
p1は2〜4の整数であり;
q1は2〜4の整数であり;
Aは、架橋基が[O−R]と[R’−O]のブロックを結合するC−O及び/又はC−Cを形成することを条件に、酸素原子、カルボン酸エステル、−O−CH−CF−から成る群より選択される2価の架橋基であって;
A’は共有結合を示し;
aは2〜50の整数であり;
bは0〜25の整数であり;
cは1〜25の整数であり;
dは1〜25の整数であり;そして、
Bは水素、アルキル、部分フッ素化アルキル又は全フッ素化アルキルを示す。
【0056】
(a)群のフッ素化界面活性剤は、一般式Ic又はIdのものが特に好ましい。
【0057】
【化3】

【0058】
【化4】

【0059】
式中、
AとA’は、互いに独立して、共有結合又は2価の架橋基を示し、C−C及び/又はC−O結合を介して[O−R]、[O−R]と[O−R’]のブロックを結合し;
BとB’は、互いに独立して、水素、1〜6の炭素原子を有する部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキル基又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基を示し;
は一般式−C−の基を示し、符号m,n及びoは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
R’は一般式−Cm’n’o’−の基であって、符号m,n及びoは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
m及びm’は、互いに独立して2〜12の整数であり;
n及びn’は、互いに独立して1〜24の整数であり;
o及びo’は、互いに独立して0〜23の整数であり;
nとoの合計は、2mの値に相当し;
は一般式−C2p−の基であって、符号pは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
R’は一般式−C2q−の基であって、符号qは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
pは2〜12、好ましくは2〜4の整数であり;
qは2〜12、好ましくは2〜4の整数であり;
aは1〜100、好ましくは2〜50の整数であり;
dは1〜100、好ましくは2〜50の整数であり;そして、
eは1〜100、好ましくは2〜50の整数である。
【0060】
一般式Icの化合物は、米国特許第7,230,140号(US,B2)により公知である。
【0061】
一般式Ia,Ib,Ic及びIdの化合物中の基又はAもしくはA’は、好ましくは、共有結合、又は、酸素原子、カルボン酸基、−O−CH−CF−から成る群より選ばれた2価の架橋基である。それぞれの架橋基の選択においては、それらが対応するブロックと共にC−C及び/又はC−O結合を形成することに留意すべきである。
【0062】
特に大変好ましいのは、一般式Icaの(a)群の非イオン性フッ素化界面活性剤である。
【0063】
【化5】

【0064】
式中、naは1〜20の整数であり;
paとqaの合計が、少なくとも1であるという条件下で、
paは0〜12の整数であり、そして、
qaは0〜20の整数である。
【0065】
このタイプの非イオン性界面活性剤は、Fluorolink(登録商標)D10−H(Solvay Solexis社)の商品名で市販されている。
【0066】
また、一般式Iaaの(a)群の非イオン性フッ素化界面活性剤も好ましい。
【0067】
【化6】

【0068】
式中、RF基は、構造Iaでの説明と一致し、また符号na,pa及びqaは構造Icaでの説明と一致する。
【0069】
通常、(b)群のフッ素化界面活性剤は一般式Ieの化合物である。
【0070】
【化7】

【0071】
式中、R100は5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基であり、そして、
IGはイオン性基である。
【0072】
好ましいIG基の例には、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、りん酸、ホスホン酸もしくはアンモニウム基又はこれらの基から誘導された塩が含まれる。カルボン酸、スルホン酸、硫酸、りん酸、ホスホン酸基の塩の例には、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、及び特にアルカリ塩が含まれる。アンモニウム基の塩の例には、ハロゲン化物又は水酸化物が含まれる。
【0073】
100の例には、部分フッ素化メチル又はペルフルオロメチル、部分フッ素化エチル又はペルフルオロエチル、部分フッ素化プロピル又はペルフルオロプロピル及び部分フッ素化ブチル又はペルフルオロブチルが含まれる。これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。部分フッ素化プロピル又はペルフルオロプロピル又はペルフルオロブチル基が好ましい。
【0074】
通常、(c)群のフッ素化界面活性剤は一般式Ifの化合物である。
【0075】
【化8】

【0076】
式中、R101は、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ化アルコキシアルキレン基であり、そして、
IGはイオン性基、好ましくは、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、りん酸、ホスホン酸もしくはアンモニウム基又はこれらの基の1つから誘導された塩である。
【0077】
101の例には、部分フッ素化メトキシメチレン又はペルフルオロメトキシメチレン、部分フッ素化メトキシエチレン又はペルフルオロメトキシエチレン、部分フッ素化メトキシプロピレン又はペルフルオロメトキシプロピレン、部分フッ素化エトキシメチレン又はペルフルオロエトキシメチレン、部分フッ素化エトキシエチレン又はペルフルオロエトキシエチレン、部分フッ素化プロポキシメチレン又はペルフルオロプロポキシメチレンが含まれる。これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0078】
通常、(d)群のフッ素化界面活性剤は一般式Igの化合物である。
【0079】
【化9】

【0080】
式中、R102は部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基であり;
103が少なくとも3の炭素原子を有するアルキレン基であって、R102とR103の炭素の合計が少なくとも5であり;
IGはイオン性基、好ましくは、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、りん酸、ホスホン酸もしくはアンモニウム基又はこれらの基の1つから誘導された塩である。
【0081】
102基の例には、モノ−、ジ−もしくはトリフルオロメチル又はモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはペンタフルオロエチルが含まれる。これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0082】
103基の例には、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン又はデシレンが含まれる。また、これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0083】
通常、(e)群のフッ素化界面活性剤は一般式Ihの化合物である。
【0084】
【化10】

【0085】
式中、R104は部分フッ素化メトキシ、ペルフルオロメトキシ又はエトキシ基であり;
103は上記と同義であり、R104とR103の炭素の合計が少なくとも5であり;
IGはイオン性基、好ましくは、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、りん酸、ホスホン酸もしくはアンモニウム基又はこれらの基の1つから誘導された塩である。
【0086】
104基の例には、モノ−、ジ−もしくはトリフルオロメトキシ又はモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはペンタフルオロエトキシが含まれる。これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0087】
103基の例は上に示す。
【0088】
通常、(f)群のフッ素化界面活性剤は一般式Iiの化合物である。
【0089】
【化11】

【0090】
式中、R105及びR106は、互いに独立して、部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基を示し;
103は上記と同義であり、R105,R106及びR103の炭素の合計が少なくとも7であり;
IGはイオン性基、好ましくは、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、りん酸、ホスホン酸もしくはアンモニウム基又はこれらの基の1つから誘導された塩である。
【0091】
105及びR106基の例には、モノ−、ジ−もしくはトリフルオロメチル又はモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはペンタフルオロエチルが含まれる。これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0092】
103基の例は上に説明する。
【0093】
通常、(g)群のフッ素化界面活性剤は一般式Ijの化合物である。
【0094】
【化12】

【0095】
式中、R107及びR108は、互いに独立して、水素、部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基を示し、これらの基の少なくとも1つは、部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基であり;
103は上記と同義であり、R107,R108,R103及びフェニル基の炭素の合計が少なくとも10であり;そして、
IGはイオン性基、好ましくは、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、りん酸、ホスホン酸もしくはアンモニウム基又はこれらの基の1つから誘導された塩である。
【0096】
107及びR108基の例には、モノ−、ジ−もしくはトリフルオロメチル又はモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはペンタフルオロエチルが含まれる。これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0097】
103基の例は上に説明する。
【0098】
通常、(h)群のフッ素化界面活性剤は、一般式Ik及び/又はIlの構造単位を有する化合物である。
【0099】
【化13】

【0100】
【化14】

【0101】
式中、R109は3価の脂肪族炭化水素基であり;
110及びR111は、互いに独立して、1〜4の炭素原子を有する部分フッ素化アルキル又はペルフルオロアルキル基を示し;
112は4価の脂肪族炭化水素基であり;そして、
nは少なくとも1、好ましくは1〜20の整数である。
【0102】
109基の例は、トリメチロールプロパンからの誘導基である。
【0103】
112基の例は、ペンタエリスリトールからの誘導基である。
【0104】
110及びR111基の例には、モノ−、ジ−もしくはトリフルオロメチル、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−もしくはペンタフルオロエチル、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−もしくはヘプタフルオロプロピル、又は、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−もしくはノナフルオロブチルが含まれる。これらの基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
【0105】
一般式Ik及び/又はIIの構造単位に加えて、(h)群のフッ素化界面活性剤は、好ましくは、一般式Imの構造単位を含む。
【0106】
【化15】

【0107】
式中、R113は少なくとも2の炭素原子を有するアルキレン基を示し、oは少なくとも1、好ましくは2〜50の整数である。
【0108】
本発明に従って使用される特に好ましいフッ素化界面活性剤は、非常に良好な生物分解性を有し、歯科用印象化合物用のISO 10993−1に準拠した要件を満たす評価結果を有しているか、又は全く有さない。
【0109】
好適な実施形態では、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤は、他のイオン性、及び/又は、非イオン性、及び/又は、両性のフッ素化界面活性剤と組み合わせて使用される。
【0110】
追加の非イオン性界面活性剤と(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤との組み合わせが、特に好ましく本発明で使用される。
【0111】
特に好ましく本発明で使用される非イオン性界面活性剤は、脂肪族アルコールエトキシレート、特に一般式R114−O−(CH−CH−O)n10−R115(式中、R114はアルキル、特にC10−C18アルキルを示し、R115は水素又は炭素原子が最大4つのアルキルを示し、n10は1〜30の整数である)の化合物、又は、
アルキルフェニルエトキシレート、特に一般式R116−C−O−(CH−CH−O)n11−R117(式中、R116はアルキル、特にC−C12アルキルを示し、R117は水素又は炭素原子が最大4つのアルキルを示し、n11は1〜30の整数である)の化合物、又は、
ポリソルベート、特に一般式Inの化合物、又は、
アルキルポリグルコサイド、特に一般式Ioの化合物を含む。
【0112】
【化16】

【0113】
式中、u、v、及びwは互いに独立して、2〜20の整数である。
【0114】
【化17】

【0115】
式中、R118は長鎖アルキル、特にC−C16アルキルであり、sは1〜10の整数である。
【0116】
追加のアニオン性界面活性剤と(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤との組み合わせもまた、特に好ましく本発明で使用される。
【0117】
特に好ましく本発明で使用されるアニオン性界面活性剤は、アルキルもしくはアルケニルカルボン酸又はそれらの塩、特に一般式(R119−COOt+(式中、R119は長鎖アルキル又は長鎖アルケニル、特にC−C18アルキル又はC−C18アルケニルを示し、Mは水素又はt価の金属イオンであり、tは1、2又は3である)の化合物、又は、
アルキルベンゼンスルホン酸、特に一般式(R120−C−SOt+(式中、R120はアルキル、特にC−C18アルキルを示し、Mは水素又はt価の金属イオンであり、tは1、2又は3である)の化合物、又は、
アルキルスルホン酸、特に一般式(R121−SOt+(式中、R121はアルキル、特にC−C18アルキルを示し、Mは水素又はt価の金属イオンであり、tは1、2又は3である)の化合物、又は、
脂肪族アルコールスルホン酸塩、特に一般式(R121−OSOt+(式中、R121はアルキル、特にC−C18アルキルを示し、Mは水素又はt価の金属イオンであり、tは1、2又は3である)の化合物、又は、
ジアルキルスルホ琥珀酸、特に一般式(R122−O−CO−CH−CH(SO)−CO−O−R123t+(式中、R122及びR123は、互いに独立して、アルキル、特にC−C18アルキルを示し、Mは水素又はt価の金属イオンであり、tは1、2又は3である)の化合物を含む。
【0118】
追加のカチオン性界面活性剤と(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤との組み合わせもまた、特に好ましく本発明で使用される。
【0119】
特に好ましく本発明で使用されるカチオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム化合物、特に一般式(R124125126127N)Ant−(式中、R124,R125,R126及びR127は、互いに独立して、水素、アルキル又はアリールを示し、これらのうち少なくとも1つは長鎖アルキル、特にC−C18アルキルであり、Anはt価の陰イオン、好ましくはハロゲン化物アニオンであり、tは1、2又は3である)の化合物、又は、
第4級アンモニウムエステル化合物、特に一般式(R128129N(R130−COOR131Ant−(式中、R128及びR129は、互いに独立して、水素、アルキル又はアリールを示し、これらのうち少なくとも1つは長鎖アルキル、特にC−C18アルキルであり、R130はアルキレン基、特に2〜4の炭素原子を有するアルキレン基であり、R131はアルキル又はアリール、好ましくはC−Cアルキルを示し、Anはt価の陰イオン、好ましくはハロゲン化物アニオンであり、tは1、2又は3である)の化合物を含む。
【0120】
追加の両性界面活性剤と(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤との組み合わせもまた、特に好ましく本発明で使用される。
【0121】
特に好ましく本発明で使用される両性の界面活性剤は、ベタイン、特に一般式(R132CO−NH−R133−N134135−R136−COO)(式中、R132,R134及びR135は、互いに独立して、アルキル又はアリール、特にC−Cアルキルを示し、R133及びR136はアルキレンであって、これらのうちの1つは任意にヒドロキシル基で置換されており、特にC−Cアルキレンである)の化合物、又は、
スルタイン、特に一般式(R137CO−NH−R138−N139140−R141−SO)(式中、R137,R139及びR140は、互いに独立して、アルキル又はアリール、特にC−Cアルキルを示し、R138及びR141はアルキレンであって、これらのうちの1つは任意にヒドロキシル基で置換されており、特にC−Cアルキレンである)の化合物を含む。
【0122】
本発明で使用されるシリコン含有界面活性剤は、好ましくは、少なくとも1つの(ポリ)アルキレンオキシド基を含み、分子量が6000g/mol未満、好ましくは4000g/mol未満、特に350g/mol〜2000g/molである。
【0123】
本発明で使用されるシリコン含有界面活性剤は、少なくとも1つの(ポリ)アルキレンオキシド基に加えて、オルガノシロキサン基又は有機シラン基を含む少なくとも1つの基を有する。有機基は、任意に部分フッ素化又は全フッ素化された炭化水素基である。
【0124】
そのようなオルガノシロキサン界面活性剤又は有機カルボシラン界面活性剤は、それ自体が公知である。
【0125】
シリコン含有界面活性剤としては、一般式IIもしくはIIIのオルガノシロキサン界面活性剤、又は、一般式IV,VもしくはVIの有機カルボシラン界面活性剤が好ましい。
【0126】
【化18】

【0127】
【化19】

【0128】
【化20】

【0129】
【化21】

【0130】
【化22】

【0131】
式中、R,R,R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシを示し、これらは任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくはアルキル又はアルケニル、特にC−Cアルキルを示し;
a、b、c及びwは、互いに独立して、0〜100、好ましくは0〜75、特に好ましくは0〜35、そして最も好ましくは0〜15の整数であり;
vは、1〜100、好ましくは1〜15、そして最も好ましくは1〜6の整数であり;
a、b及びcの合計は、1〜300、好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜10、そして最も好ましくは1〜3であり;
vとwの合計は、1〜200、好ましくは2〜90であり;
uは、0又は1であり;
dは、1〜10、好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜3の整数であり;
Jは、水素又はフッ素、好ましくは水素であり;
eは0又は1であり;
fとhは、互いに独立して2〜6の整数であり;
gとiは、互いに独立して、0〜30、好ましくは0〜15の整数であって、gとiの合計は、1〜60、好ましくは2〜30、特に好ましくは2〜15であり;
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくは水素又はメチルであり;
12,R13,R14,R15,R16及びR17は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくはアルキル又はアルケニル、特にC−Cアルキルを示し;
kとqは、互いに独立して0又は1であり;
A1は炭素又はケイ素であり;
A2、A3及びA4は、互いに独立してC2d基(J及びdは、上記定義と同義である)であり;
j、p及びlは、互いに独立して0又は1であり;
A5は2価の架橋基、特に−O−,−CO−O−又は−CO−であり;
18は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくは水素又はメチルであり;
20,R21,R22及びR23は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくはアルキル又はアルケニル、特にC−Cアルキルを示し;
BGは2価の架橋基であり;そして、
19及びR24は、互いに独立して水素、アルキル、アルケニル又はアリールであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくは水素又はメチルであり;
,R及びRの群、及び/又は、R,R及びRの群、及び/又は、R,R及びR10の群、及び/又は、R15,R16及びR17の群、及び/又は、R20及びR21の群、及び/又は、R22及びR23の群、及び/又は、R20,R21及びR22の群は、1つのみを水素とすることができるという規定を有し;
fとhは、与えられた定義の範囲内で、1つの分子内で異なる値でもよい。
【0132】
異なった符号のfとhは、異なる炭素数のアルキレンオキシド単位が存在できること、また不規則な分布で、又はブロックの形態で存在できることを意味する。
【0133】
一般式IIIaのオルガノシロキサン界面活性剤が、特に好ましく使用される。
【0134】
【化23】

【0135】
式中、R,R,R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシ、好ましくは水素、アルキル、アルキルオキシ又はアルケニルを示し;
vは、1〜100の整数であり;
wは、0〜100の整数であり;
dは、1〜10の整数であり;
eは、0又は1であり;
fとhは、互いに独立して、2〜6の整数を示し;
gとiは、互いに独立して0〜30の整数を示し、gとiの合計が1〜60であり;そして、
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールである。
【0136】
他の特に好ましいオルガノシロキサン界面活性剤は、一般式IIIb又はIIIcの化合物である。
【0137】
【化24】

【0138】
【化25】

【0139】
式中、R,R,R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、好ましくは水素、メチル、特にブチロキシ、メトキシ、ビニル又はアリルを示し;
vは、1〜100の整数であり;
d、e、f、g、h及びiは、上記の定義と同義であり;
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールである。
【0140】
特に大変好ましいオルガノシロキサン界面活性剤は、一般式IIIdの化合物である。
【0141】
【化26】

【0142】
式中、R,R,R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール又はアルキルアリールオキシ、好ましくはメチルを示し;
は、C−Cアルキル、好ましくはメチル、エチル又はフェニルを示し;そして、
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリール、好ましくは水素又はメチルである。
【0143】
他の、特に大変好ましいオルガノシロキサン界面活性剤は、一般式IIIeの化合物である。
【0144】
【化27】

【0145】
式中、R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール又はアルキルアリールオキシ、好ましくはメチルを示し;
は、C−Cアルキル、好ましくはメチル、エチル又はフェニルであり;そして、
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリール、好ましくは水素又はメチルである。
【0146】
他の、特に大変好ましいオルガノシロキサン界面活性剤は、一般式IIIfの化合物である。
【0147】
【化28】

【0148】
式中、R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル又はアルキルアリール、好ましくはメチルを示し;
は、C−Cアルキル、好ましくはメチル、エチル又はフェニルであり;そして、
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリール、好ましくは水素又はメチルである。
【0149】
最も好ましいのは、一般式IIIgのオルガノシロキサン界面活性剤である。
【0150】
【化29】

【0151】
式中、R,R,R及びRは、互いに独立して、アルキル及び/又はアルケニル、好ましくはメチルを示し;
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリール、好ましくは水素又はメチルである。
【0152】
特に大変好ましいシリコン含有界面活性剤は、一般式VII、VIII、IX及びXの化合物である。
【0153】
【化30】

【0154】
【化31】

【0155】
【化32】

【0156】
【化33】

【0157】
式中、R25は水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、好ましくは水素又はメチルである。
【0158】
これらの好ましいシリコーン界面活性剤又はカルボシラン界面活性剤は、例えば、Masil SF19(Lubrizol社)や、Silwet L77(GE−Bayer Silicones社)の商品名で市販されている。
【0159】
一般式Ivaのカルボシラン界面活性剤は、本発明での使用に特に好ましい。
【0160】
【化34】

【0161】
式中、R11,R12,R13,R14,R15,R16及びR17は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル又はアルキルアリールを示し;
kとqの合計は、1又は2であり;
A5は−O−,−CO−,−CO−O−,−S−,−NR19−,−CO−NR19−,−SO−又は−SO−NR19−基であり;
19は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールであり;
は、C−Cアルキル、好ましくはメチル、エチル又はフェニルであり;
18は水素、アルキル、アルケニル又はアリールである。
【0162】
一般式Vaのカルボシラン界面活性剤もまた、本発明で特に好ましく使用される。
【0163】
【化35】

【0164】
式中、R20,R21,R22及びR23は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシ、好ましくは水素、アルキル、アルキルオキシ又はアルケニルを示し;
dは、1〜10の整数であり;
eは、0又は1であり;
gとiは、互いに独立して0〜30の整数であって、gとiの合計は1〜60であり;
BG1は、式−O−、アルキレン、ポリオキシアルキレン、フェニレン、シクロアルキレン、ビシクロアルカジエンジイル及び−C−K−C−の群から選択される架橋基であり;
Kは、直接のC−C結合、−O−、−SO−、アルキレン又はハロアルキレンであり;そして、
19とR24は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル又はアリールを示す。
【0165】
BG1が、式−O−,C−C10、アルキレン、−(O−CH−CHR2−60−、−(CH1−10−(O−CH−CHR2−60−(CH1−10−、フェニレン、シクロヘキシレン、シクロペンチレン、ノルボネン‐ジイル、ビス‐シクロペンタジエニル‐ジイル、−C−O−C−,−C−SO−C−、−C−C(CH−C−及び−C−C(CF−C−から成る群から選択された架橋基である一般式Vaの化合物が、特に大変好ましい。
【0166】
一般式VIaのカルボシラン界面活性剤もまた、本発明での使用に特に好ましい。
【0167】
【化36】

【0168】
式中、R20,R21及びR22は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシ、好ましくは水素、アルキル、アルキルオキシ又はアルケニルを示し;
dは、1〜10の整数であり;
eは、0又は1であり;
gとiは、互いに独立して0〜30の整数であって、gとiの合計は1〜60であり;そして、
19及びR24は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル又はアリールを示す。
【0169】
一般式IVbのフルオロカルボシラン界面活性剤は、本発明での使用に特に好ましい。
【0170】
【化37】

【0171】
式中、R11,R12,R13,R14,R15,R16及びR17は、互いに独立して、水素、フルオロ、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アルキルアリール、フルオロアルキル、フルオロアルキルオキシ、フルオロアルケニル、フルオロアルケニルオキシ、フルオロアルキニル、フルオロアルキニルオキシ、フルオロアリール、フルオロアリールオキシ、フルオロアラルキル又はフルオロアルキルアリール、好ましくは水素、フルオロ、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アルケニル及びフルオロアルケニルを示し、少なくともこれらの基の1つがフッ素を含み、該フッ素含有基は、部分フッ素化されていても、全フッ素化されていてもよく;
dは1〜10の整数であり;
j、p、及びlは、0又は1であり;
kとqの合計は、1又は2であり;
A5は、−O−,−CO−O−,−S−,−NR19−,−CO−NR19−,−SO−又は−SO−NR19−基であり;
19は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールであり;
はC−Cアルキル、好ましくはメチル、エチル又はフェニルであり;
18は水素、アルキル、アルケニル又はアリールである。
【0172】
一般式IVcのフルオロシリコーン界面活性剤は、本発明での使用に特に大変好ましい。
【0173】
【化38】

【0174】
式中、R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール又はアルキルアリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアルキルオキシ、フルオロアルケニル、フルオロアルケニルオキシ、フルオロアルキニル、フルオロアルキニルオキシ、フルオロアリール、フルオロアリールオキシ、フルオロアラルキル、フルオロアラルキルオキシ、フルオロアルキルアリール又はフルオロアルキルアリールオキシ、好ましくはメチル、トリフルオロメチル、C−Cアルコキシ、C−Cフルオロアルコキシ、特にメトキシ又はトリフルオロメチル及び/又はビニル及び/又はアリルを示し、少なくともこれらの基の1つがフッ素を含み、該フッ素含有基は、部分フッ素化されていても、全フッ素化されていてもよく;
は、C−Cアルキル、好ましくはメチル、エチル又はフェニルを示し;
11は水素、アルキル、アルケニル又はアリール、好ましくは水素又はメチルを示す。
【0175】
一般式Vcのフルオロカルボシラン界面活性剤もまた、本発明での使用に特に好ましい。
【0176】
【化39】

【0177】
式中、R20,R21,R22及びR23は、互いに独立して、水素、フルオロ、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール、及び/又は、アルキルアリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアルキルオキシ、フルオロアルケニル、フルオロアルケニルオキシ、フルオロアルキニル、フルオロアルキニルオキシ、フルオロアリール、フルオロアリールオキシ、フルオロアラルキル、フルオロアラルキルオキシ、フルオロアルキルアリール、及び/又は、フルオロアルキルアリールオキシ、好ましくは水素、フルオロ、アルキル、フルオロアルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキルオキシ、アルケニル又はフルオロアルケニルを示し、少なくともこれらの基の1つがフッ素を含み、該フッ素含有基は、部分フッ素化されていても、全フッ素化されていてもよく;
dは1〜10の整数であり;
eは、0又は1あり;
gとiは、互いに独立して0〜30の整数を示し、gとiの合計が1〜60であり;
BGは、式−O−、アルキレン、ポリオキシアルキレン、フェニレン、シクロアルキレン、ビシクロアルカジエンジイル、及び−C−K−C−の群から選択される架橋基であって;
Kは、直接のC−C結合、−O−、−SO−、アルキレン又はハロアルキレンであり;そして、
19とR24は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル又はアリールを示す。
【0178】
BGが、式−O−,C−C10、アルキレン、−(O−CH−CHR2−60−、−(CH1−10−(O−CH−CHR2−60−(CH1−10−、フェニレン、シクロヘキシレン、シクロペンチレン、ノルボネン‐ジイル、ビス‐シクロペンタジエニル‐ジイル、−C−O−C−,−C−SO−C−、−C−C(CH−C−及び−C−C(CF−C−から成る群から選択された架橋基である一般式Vcの化合物が、特に大変好ましい。
【0179】
また、一般式VIbのフルオロカルボシラン界面活性剤は特に好ましい。
【0180】
【化40】

【0181】
式中、R20,R21及びR22は、互いに独立して、水素、フルオロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、及び/又は、アルキルアリール、フルオロアルキル、フルオロアルケニル、フルオロアルキニル、フルオロアリール、フルオロアラルキル、及び/又は、フルオロアルキルアリール、好ましくは水素、フルオロ、アルキル、フルオロアルキル、アルケニル又はフルオロアルケニルを示し、少なくともこれらの基の1つがフッ素を含み、該フッ素含有基は、部分フッ素化されていても、全フッ素化されていてもよく;
dは1〜10の整数であり;
eは、0又は1あり;
gとiは、互いに独立して0〜30の整数を示し、gとiの合計が1〜60であり;
19とR24は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル又はアリールを示す。
【0182】
一般式II〜Xの非イオン性シリコーン界面活性剤又は非イオン性カルボシラン界面活性剤は、単独で、又は、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、特に一般式Ia〜IIのものと組み合わせて、又はこれらのフッ素化界面活性剤の2種以上の混合物と一緒に使用される。
【0183】
本発明の組成物では、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤の量は、通常、組成物を基準として、0.001〜5.0wt%、好ましくは、0.01〜5.0wt%である。
【0184】
(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤と共に、他の非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び/又は、両性のフッ素化界面活性剤を本発明の組成物で使用する場合は、本発明の組成物におけるそれらの量もまた、通常、組成物を基準として、0.001〜5.0wt%、好ましくは、0.01〜5.0wt%である。
【0185】
本発明の組成物におけるシリコン含有非イオン性界面活性剤の量は、通常、組成物を基準として、0.0〜5.0wt%、好ましくは0.05〜5.0wt%、特に好ましくは0.1〜5.0wt%である。
【0186】
本発明の組成物において、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤を他のフッ素化界面活性剤と組み合わせて使用する場合は、他のフッ素化界面活性剤に対する(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤の質量比は、100:1〜1:100、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、10:1〜1:10、特に好ましくは、4:1〜1:5である。
【0187】
本発明における、フッ素化界面活性剤のシリコーン界面活性剤との組み合わせでは、非イオン性フッ素化界面活性剤に対するシリコン含有非イオン性界面活性剤の質量比は、100:1〜1:100、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、10:1〜1:10、特に好ましくは、4:1〜1:5である。
【0188】
本発明の組成物は、好ましくは、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤に加えて、シリコーン界面活性剤と、任意に他のフッ素化界面活性剤と、追加成分として、アルケニル基及び/又はアルキニル基含有ポリエーテル、及び/又は、ヒドロキシル−、及び/又は、アリールオキシ−、及び/又は、アリールアルキルオキシ−、及び/又は、アルコキシ−末端ポリエーテルを含む。
【0189】
この追加成分は、未硬化の塑性材料の接触角特性を更に改良し、そして結果物の印象の信頼性を更に改良する。
【0190】
この類型の好ましい添加物の例には、一般式XIの化合物を含む。
【0191】
【化41】

【0192】
式中、R30は、エチレン性不飽和炭化水素基、好ましくはアリル、スチリル、アクリロイル、メタクリロイル、水素又はアルキルであり、ひとつの分子のR30基のいくつかは、与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
n1は1〜5の整数、好ましくは1、2又は3、特に1であり;
Aは一般式Z−(O−(Cn22n2−O)m1−)n1+1の基であり;
Zは、n1価の炭化水素基、好ましくは2価、3価、4価、5価又は6価の脂肪族アルコールからの誘導基、特にアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビトールからの誘導s基であり;
n2が2〜8までの整数、好ましくは2〜4であり;そして、
m1は、1〜35000、好ましくは50〜1500の整数であって、n2とm1は、与えられた定義の範囲内で、ひとつの分子内で異なっていてもよい。
【0193】
符号n2及び/又はm1は、1つの分子や、1つのアルキレンオキシド鎖において、与えられた定義の範囲内で、異なる値であってもよい。異なる符号のn2及び/又はm1は、異なる炭素数のアルキレンオキシド単位が存在できることを意味し、それは、不規則な分布で、又はブロックの形態で存在することができ、及び/又は、それぞれのブロックが、1つの分子内で、異なる長さをとることができる。
【0194】
本発明での使用に特に大変好ましいポリエーテルは、一般式XIIとXIIIの化合物を含む。
【0195】
【化42】

【0196】
【化43】

【0197】
式中、n2は2〜8、好ましくは2〜4の整数を示し;
m9は、3〜70000、好ましくは10〜2500の整数であって、n2とm9は、与えられた定義の範囲内で、1つの分子内で異なっていてもよく;そして、
31及びR32は、互いに独立して、水素、C−Cアルキル、特に水素、及び/又は、メチル、エチル又はプロピルを示す。
【0198】
特に好ましいアルキレンオキシド単位の例は、−CH−CH−O−,−CH−CH−CH−O−,−CH−CH(CH)−O−及び−CH−CH−CH−CH−O−である。
【0199】
一般式XIIとXIIIのポリエーテル、特に酸化エチレン単位、又は酸化エチレン単位と酸化プロピレン単位、又は酸化エチレン単位と酸化ブチレン単位を有するものが特に好ましい。
【0200】
通常、これらのポリエーテルは異なった鎖長のポリマーの混合物として使用される。標準的な分子量(数平均)は、150〜3000000の範囲の幅があり、好ましくは250〜100000、特に好ましくは250〜50000である。
【0201】
本発明の組成物におけるこれらのポリエーテルの量は、通常、組成物を基準として、0.1〜25.0wt%、好ましくは0.1〜10.0wt%、特に好ましくは0.5〜2.5wt%である。
【0202】
好ましくは、本発明の組成物は、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、シリコーン界面活性剤及び任意の他のフッ素化界面活性剤に加えて、ポリオールを追加成分として含む。
【0203】
この追加成分は、未硬化の塑性材料の接触角特性を更に改良し、そして結果物の印象の細部の精度を更に改良する。
【0204】
この追加成分は、第1級、第2級及び/又は第3級ヒドロキシル基を含有し得るモノマーの、オリゴマーの、又はポリマーのポリオールとすることができる。であるかもしれない。該ヒドロキシル基は、芳香族基に結合していても良いが、脂肪族基に結合していることが好ましい。
【0205】
本発明の組成物におけるこれらのポリオールの量は、通常、組成物を基準として、0.1〜25.0wt%、好ましくは0.1〜10.0wt%、特に好ましくは0.5〜2.5wt%である。
【0206】
好ましいポリオールは、炭水化物、ポリビニルアルコール、脂肪族のジ、トリ、テトラ、ペンタ及び/又はヘキサオール及びこれらのポリオール2種以上の混合物の群より選択される。
【0207】
特に好ましいポリオールは、ポリビニルアルコール、多糖、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセロール、アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパンアリルエーテル、デカンジオール、ノナンジオール、オクタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、ブタンジオール、プロパンジオール、エタンジオール、フラクトース、ブドウ糖、及びこれらのポリオール2種以上の混合物の群より選択され、特にグリセロールである。
【0208】
別の好適な実施形態では、本発明の組成物は、ポリオールに加えて、追加成分として、アルケニル基、及び/又は、アルキニル基を含むポリエーテル、及び/又は、アリールオキシ、及び/又は、アリールアルキルオキシ、及び/又は、ヒドロキシル、及び/又は、アルコキシ末端ポリエーテルを含む。
【0209】
これらの2つの成分の存在によって、未硬化の組成材料の接触角特性を改良することができる。
【0210】
異なったタイプの硬化性ポリマー系を使用してもよい。それぞれのポリマー系に依存して、本発明の組成物は、単一成分系又は多成分系の形態とすることができ、好ましくは2成分系である。当業者は、この硬化性ポリマー系と、触媒及び/又は開始剤などの追加成分を容易に理解することができる。
【0211】
本発明の組成物における、硬化性ポリマーの量は、通常、組成物を基準として、5〜80wt%、好ましくは20〜70wt%である。
【0212】
本発明の組成物における、触媒及び/又は光開始剤の量は、通常、組成物を基準として、0.00005〜10wt%、好ましくは0.0001〜5wt%である。
【0213】
架橋性基又は開環メタセシス反応による架橋性基としてアルコキシシリル基、アジリジノ基、エチレン性不飽和カルボン酸からの誘導基、アルケニル基を有する架橋性ポリエーテル、架橋触媒及び/又は光開始剤、及び、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、シリコン含有基を有する分子量6000g/mol未満の非イオン性界面活性剤と、任意に別のフッ素化界面活性剤を含む組成物が好ましい。
【0214】
硬化性ポリマー系として、有機ポリシロキサンを含む組成物が、本発明での使用に特に好ましい。そのような組成物は、例えば、独国特許出願公開第3410646(DE,A1)により公知である。付加反応によって架橋する有機ポリシロキサン、縮合反応によって架橋する有機ポリシロキサン、及び、開環メタセシス反応によって架橋する有機ポリシロキサン、に分類されることが知られている。本発明に従って、これらのすべてのポリマー系を使用することができる。
【0215】
付加反応によって架橋する有機ポリシロキサンが好ましい。付加反応によって硬化する有機ポリシロキサンは、例えば、独国特許出願公開第3410646(DE,A1)や独国特許出願公開第10017154(DE,A1)により公知である。
【0216】
これらの組成物は、通常、成分AとBを含む多成分歯科用印象化合物の形態で使用される。これらは、
(a)成分Aが、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機ポリシロキサンとヒドロシリル化触媒を含み;
(b)成分Bが、有機水素ポリシロキサンを含み;そして、
(c)成分A及び/又はBの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、シリコン含有非イオン性界面活性剤と、任意に追加のフッ素化界面活性剤を含む。
【0217】
Si原子に結合した少なくとも2つのアリル基又は特にビニル基を含む有機ポリシロキサンが、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機ポリシロキサンとして、通常、使用される。
【0218】
これらは、通常、一般式XIV又はXVの化合物である。
【0219】
【化44】

【0220】
【化45】

【0221】
式中、Bは一般式−O−(SiR−O)m2−の基であり;
高分子鎖内のそれぞれのR基は、互いに独立して、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及び/又は、アラルキルを示し、m2は10〜6000、好ましくは20〜2000の整数である。
【0222】
少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機ポリシロキサンは、通常、異なった鎖長のポリマーの混合物として使用される。標準的な分子量(数平均)は900〜500000の範囲の幅があり、好ましくは1500〜150000である。
【0223】
アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル又はn−ブチルなどの、1〜6の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基が含まれる。
【0224】
置換アルキル基の例としては、1つ以上のハロゲン原子で置換された、1〜6の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えばトリフルオロメチルが含まれる。
【0225】
シクロアルキル基の例としては、シクロヘキシルなどの炭素原子5〜6員環を有する基が含まれる。
【0226】
アリール基の例としては、フェニル又はナフチルなどの一環又は二環の芳香族炭化水素基が含まれる。
【0227】
置換アリール基の例としては、トリル、キシリル又はクロロフェニルなどのアルキル又はハロゲンで置換されたフェニル基が含まれる。
【0228】
アラルキル基の例のひとつは、ベンジルである。
【0229】
Rがメチルの、一般式I及び/又はIIの有機ポリシロキサンは、特に好ましい。
【0230】
通常、架橋剤として使用される化合物は、有機水素ポリシロキサンとして使用される。これらは、分子内のケイ素原子に結合している少なくとも2つの水素原子を有するポリアルキル、ポリアリール、ポリアルキルアリール、ポリハロアルキル、ポリハロアリール及び、ポリハロアルキルアリールシロキサンであってもよい。
【0231】
一般式RSiO(4−(a+b)/2)の化合物は、本発明での標準的な例であろう。式中、Rは、一般式XIV又はXVの化合物において上記されたものと同義であり、aは1<a<2の実数であり、bは0<b≦1の実数であり、1<a+b<2.7である。またこの化合物はSi−H結合を少なくとも2つ有し、好ましくは少なくとも3つのSi−H結合を有する。
【0232】
有機水素ポリシロキサンの好ましい例には、一般式XVIa、XVIb、XVIc、XVId、及びXVIeの化合物が含まれる。
【0233】
【化46】

【0234】
【化47】

【0235】
【化48】

【0236】
【化49】

【0237】
【化50】

【0238】
式中、Rは、一般式XIV又はXVの化合物における定義を意味し、そして、異なるR基は、与えられた定義の範囲内で、1つの分子内で異なった意味、特にアルキル基、好ましくはメチルとすることができ;
35〜R40は、互いに独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルを示し、これらの基の少なくとも2つが水素を示し、且つ、R35とR36、又は、R37とR38、又は、R39とR40の群では、1つのみが水素であり;
c、d、及びeは、互いに独立して0〜100の整数であって、c、d、及びeの合計は2〜300であり;
n3は0〜3の整数であり;
qとpは、互いに独立して、0以上の実数であって、qとpの合計が1であり;そして、
n4は1〜5の整数、好ましくは1又は2である。
【0239】
SiH含量が0.01〜15mmol/g、好ましくは0.1〜10mmol/gの有機水素ポリシロキサンが好ましい。
【0240】
好ましく使用できる追加の有機水素ポリシロキサンは、メチル水素ポリシロキサンである。
【0241】
ヒドロシリル化に使用される触媒は、通常、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイドである。好ましくは、白金、パラジウム又はロジウムが金属の形態又は錯体として使用される。白金錯体は、ヘキサクロロ白金酸又は白金塩から製造される。例えば、トリス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)二白金(0)錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体は、特に本発明で好ましく使用される。
【0242】
特に好ましい組成物は、少なくとも2つのビニル基を有するポリジアルキルシロキサンと、ヒドロシリル化触媒としての白金化合物を成分A中に含む。
【0243】
他の特に好ましい組成物は、成分B中に、シリコン含有非イオン性界面活性剤及び任意の他のフッ素化界面活性剤と組み合わせた(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤を含む。
【0244】
他の好ましい組成物は、縮合反応で架橋する有機ポリシロキサンを含む。
【0245】
縮合反応で硬化する有機ポリシロキサンは、例えば、独国特許出願公開第4137698(DE,A1)に開示されている。
【0246】
その成分Cが少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリジアルキルシロキサンを含み、その成分Dがポリジアルキルシロキサン及び/又は少なくとも2つのジ、もしくはトリアルコキシシリル基を有するシラン及び縮合触媒、好ましくは錫化合物を含む、組成物が好ましい。
【0247】
成分Dが、シリコン含有非イオン性界面活性剤及び任意の他のフッ素化界面活性剤と組み合わせた(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤を含む組成物もまた好ましい。
【0248】
これらは、通常、成分CとDを含む多成分歯科用印象化合物の形態で使用される。これらは、
(d)成分Cが、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機ポリシロキサンを含み;
(e)成分Dが、珪酸エステル、ポリ珪酸エステル及び/又は少なくとも2つのアルコキシ基を有する有機ポリシロキサンと、縮合触媒とを含み;そして、
(f)成分C及び/又はDの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、シリコン含有非イオン性界面活性剤と、任意に追加のフッ素化界面活性剤を含む。
【0249】
通常、Si原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2つ有する有機ポリシロキサンが、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機ポリシロキサンとして使用される。
【0250】
通常、これらは以下の一般式XVIIの化合物である。
【0251】
【化51】

【0252】
式中、Bは、一般式XIVとXVの化合物での定義と同義である。
【0253】
Rがメチルであるヒドロキシル末端基を有する有機ポリシロキサンが特に好ましい。
【0254】
通常、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機ポリシロキサンは異なった鎖長のポリマーの混合物として使用される。標準的な分子量(数平均)は900〜500000の範囲の幅があり、1500〜150000が好ましい。
【0255】
Si原子に結合したアルコキシ基を少なくとも2つ、好ましくは3又は4つ有する有機ポリシロキサン又は有機酸化ケイ素化合物が、少なくとも2つのアルコキシ基を有する、シラン、珪酸エステル、ポリ珪酸エステル及び/又は有機ポリシロキサンとして、通常、使用される。
【0256】
通常、これらは以下の一般式XVIII、XIX、及び/又は、XXの化合物である。
【0257】
【化52】

【0258】
【化53】

【0259】
【化54】

【0260】
式中、Bは、一般式XIVとXVの化合物での定義と同義であり;
一般式XVIIIもしくはXIXの高分子鎖内、又は一般式XXの化合物内のそれぞれのR基は、互いに独立して、任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、及び/又は、アラルキルを示し;
一般式XIXの化合物内のそれぞれのR’基は、互いに独立して、Rにおける定義と同義であり、好ましくはアルキルであり;
zは0〜2の整数であり;s
n1は1〜100、好ましくは50〜70の整数であり;そして、
mは1〜3の整数である。
【0261】
R基の例は、一般式XIV及びXVのビニル及びアリル末端の有機ポリシロキサンの説明に示されている。
【0262】
R及びR’がメチルであり、zが0、1又は2である一般式XIXのアルコキシシリコン化合物が特に好ましい。
【0263】
通常、少なくとも2つのアルコキシ基を有する有機ポリシロキサンは異なった鎖長のポリマーの混合物として使用される。。標準的な分子量(数平均)は400〜10000の範囲の幅があり、250〜5000が好ましい。
【0264】
縮合反応に使用される触媒は、通常、有機錫化合物、チタン酸塩、ジルコニウム酸塩又はビスマス酸塩であり、例えば、テトラエチルチタン酸塩、テトライソプロピルチタン酸塩、テトラ−n−プロピルチタン酸塩、テトラ−n−ブチルチタン酸塩、ポリ−n−ブチルチタン酸、テトラ−2−エチルヘキシルチタン酸塩、テトライソオクチルチタン酸塩、オクチレングリコールチタン酸塩、テトラ−n−プロピルジルコニウム酸塩、テトラ−n−ブチルジルコニウム酸塩、イソオクチル酸錫(II)、ジオクチル錫ジカルボン酸塩、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、有機錫カルボン酸エステル、ジブチル錫カルボン酸エステル、ジブチル錫アセチルアセトナート、ジブチル錫ジアセテート、及びエチルヘキサン酸ビスマス(II)である。
【0265】
他の好ましい組成物は、アルケニル基を有するポリエーテルを含む。
【0266】
この類型の硬化系は、例えば、独国特許出願公開第4010281(DE,A)により公知である。
【0267】
成分Eが少なくとも2つのアルキレン基を有する(ポリ)アルキレンエーテルとヒドロシリル化触媒としての白金化合物を含む組成物が好ましい。
【0268】
また、好ましい組成物は、成分Fに、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、及び、任意の他のフッ素化界面活性剤、及び/又は、任意のシリコン含有非イオン性界面活性剤を含む。
【0269】
これらは、通常、成分EとFを含む多成分歯科用印象化合物の形態で使用される。これらは、
(g)成分Eが、架橋触媒を含み;
(h)成分Fが、アルケニル基を有する架橋性ポリエーテルと有機水素ポリシロキサン、及び/又は、SiHポリエーテルを含み;そして、
(i)成分E及び/又はFの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、シリコン含有非イオン性界面活性剤と、任意に追加のフッ素化界面活性剤を含む。
【0270】
(ポリ)アルキレングリコールから誘導されたポリマーと、例えばアリルエーテル基などのエチレン性不飽和基末端を有するポリマーは、通常、アルケニル基含有ポリエーテルとして使用される。
【0271】
通常これらは以下の一般式XXIの化合物である。
【0272】
【化55】

【0273】
式中、Aとn1は、一般式XIの化合物で定義されたものと同義であり、Xは末端二重結合を有するアルケニル基である。
【0274】
末端二重結合Xを有するアルケニル基の例には、−CH−CH=CH、−SiR−CH=CH、−CR−CH=CH及び−C−CH=CH(Rは、アルキル基を示す)が含まれる。
【0275】
一般式XXIのポリエーテルは,酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン単位を有し、特に末端アリル基を有するものが特に好ましい。
【0276】
通常、アルケニル基を有するポリエーテルは、異なる鎖長のポリマーの混合物として使用される。標準的な分子量(数平均)は150〜3000000の範囲の幅があり、好ましくは250〜100000である。
【0277】
使用することができる有機水素ポリシロキサンには、付加反応によって架橋する有機ポリシロキサンの説明において、上で記載した化合物が含まれる。
【0278】
また、SiH含量が0.01〜15mmol/g、好ましくは0.1〜10mmol/gの有機水素ポリシロキサンが、この架橋性ポリマー系での使用に好ましい。
【0279】
本発明で使用される他の好ましい有機水素ポリシロキサンには、メチル水素ポリシロキサンが含まれる。
【0280】
SiHポリエーテルは一般式XXIIの化合物であってもよい。
【0281】
【化56】

【0282】
式中、Aとn1は、一般式XIの化合物で定義されたものと同義であり、またYはシラン基を含む基である。
【0283】
Y基の例には、一般式−R’−SiRH又は一般式XVIfの基が含まれる。
【0284】
【化57】

【0285】
式中、R’はアルキレン基を表し、1〜6の炭素原子を有するものが好ましく;
Rは、一般式XIV又はXVの化合物における定義と同義であり、異なる基Rは与えられた定義の範囲内で、ひとつの分子内で異なっていても良く、特にアルキル基、好ましくはメチルを示し;そして、
35〜R40とn4とは、一般式XVIeの基における上記定義と同義である。
【0286】
また、この硬化系では、上記の、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイドは、触媒として使用される。金属又は錯体の形態の白金、パラジウム又はロジウムが本発明での使用に好ましい。
【0287】
ヘキサクロロ白金酸又は白金塩から製造された白金錯体は、特に好ましく、例えば、トリス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)二白金(0)錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。
【0288】
他の好ましい組成物は、アルコキシシリル基を有するポリエーテルを含む。
【0289】
この類型の硬化系は、例えば、国際特許出願:PCT/EP2005/001470や欧州特許出願公開第1226808号(EP,A1)で開示されている。
【0290】
少なくとも2つのアルコキシシリル基を有するポリアルキレンエーテルと錫化合物及び/又は有機酸及び/又は塩基及び/又はそれらの塩を縮合触媒として含む組成物が好ましい。
【0291】
この類型の硬化系は、好ましくは、成分GとHを含む多成分歯科用印象化合物の形態で使用される。これらは、
(j)成分Gが、アルコキシシリル基を有する架橋性ポリエーテルを含み;
(k)成分Hが、水を含み;そして、
(l)成分G及び/又はHの少なくとも1つが、触媒、及び、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、シリコン含有非イオン性界面活性剤と、任意に追加のフッ素化界面活性剤を含む。
【0292】
ポリアルキレングリコールから誘導され、任意に架橋基を介して、アルコキシシラン基で末端処理されたポリマーは、通常、アルコキシシリル基を有するポリエーテルとしての使用が考えらる。
【0293】
通常、これらは一般式XXIIIの化合物である。
【0294】
【化58】

【0295】
式中、Aとn1は、一般式XIの化合物で定義された意味を有し;
BG2は、共有結合又は−O−を含まない架橋基を表し;
n5は0〜2の整数を表し;
Rは一般式XIV又はXVの化合物で定義された意味を有し、ひとつの分子内の異なる基R、Br、及び異なる符号n5は与えられた定義の範囲内で異なる意味を有することができ、Rは特にアルキル基、好ましくはメチルを示し、BG2は特に共有結合又は架橋基−O−CO−NH−R´−であり、R’はケイ素原子に結合し、アルキル基、好ましくはメチル、エチル又はプロピルを示す。
【0296】
また、アルコキシシリル基を有するポリエーテルは、異なる鎖長のポリマーの混合物として使用することができる。標準的な分子量(数平均)は、150〜3000000の範囲の幅があり、好ましくは250〜100000、特に好ましくは250〜50000である。
【0297】
この硬化系では、ジブチル錫ジラウレートなどの上記有機錫化合物を触媒として使用することができる。しかしながら、トルエンスルホン酸などの有機酸、又は、アミン、グアニジン、DBUもしくはDGNなどの有機塩基、又はこれらの酸もしくは塩基の塩もまた使用することができる。
【0298】
他の好ましい組成物は、アジリジノ基を有するポリエーテルを含む。
【0299】
この類型の硬化系は、例えば、米国特許第4353242(US,A)により公知である。
【0300】
好ましい組成物は、エチレン性不飽和カルボン酸から誘導された基を有する架橋性ポリエーテルもしくは架橋性基としてアルケニルラジアルを含むか、又は、開環メタセシス反応による架橋性基を有し、また少なくとも1種の上記(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤と、任意に他のフッ素化界面活性剤、及び/または、任意にシリコン含有非イオン性界面活性剤を含む。
【0301】
この類型の特に好ましい組成物は、架橋性基としてアルコキシシリル基又はアジリジノ基を有する架橋性ポリエーテルを含む。
【0302】
これらの組成物では、ポリオール及び/又はアルケニル基及び/又はアルキニル基を含むポリエーテル、及び/又は、ヒドロキシル及び/又はアルコキシ末端を有するポリエーテルもまた追加成分として好適に用いられる。
【0303】
しかしながら、シリコン含有非イオン性界面活性剤と、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤との混合物と、任意に上記の追加のポリオール、及び/又は、ポリエーテル成分を組み合わせたものが、これらの組成物で好ましく使用される。
【0304】
この類型の硬化系は、通常、成分IとJを含む多成分歯科用印象化合物の形態で使用される。これらは、
(m)成分Iが、アジリジノ基又はアルコキシシリル基を有する架橋性ポリエーテル又は開環メタセシス反応による架橋性基を有するポリエーテルを含み;
(n)成分Jが、触媒を含み;そして、
(o)成分I及び/又はJの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、シリコン含有非イオン性界面活性剤と、任意に別のフッ素化界面活性剤を含む。
【0305】
ポリアルキレングリコールから誘導され、架橋基を介して、アルコキシシラン基又はアジリジノ基で末端処理されたポリマーは、通常、アルコキシシリル基又はアジリジノ基を有するポリエーテルとして使用される。
【0306】
通常、これらは以下の一般式XXVIIIの化合物である。
【0307】
【化59】

【0308】
式中、Aとn1は、一般式XIで定義された意味を有し;
Rは、一般式XIV又はXVの化合物で定義された意味を有し、分子内の異なる基Rは与えられた定義の範囲内で異なった意味を有することができ、Rは特にアルキル基、好ましくはメチルを示す。
【0309】
通常、アジリジノ基を有するポリエーテルは、異なった鎖長のポリマーの混合物として使用される。標準的な分子量(数平均)は、150〜3000000の範囲の幅があり、好ましくは250〜100000、特に好ましくは、250〜50000である。
【0310】
この硬化系の触媒としてスルホニウム塩を使用できる。
【0311】
他の好ましい組成物は、エチレン性不飽和カルボン酸のエステル基を有するポリエーテルを含む。
【0312】
この類型の硬化系は、例えば、欧州特許出願公開第0170219号(EP,A2)に記載されている。
【0313】
好ましい組成物は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の誘導基を有する架橋性(ポリ)アルキレンエーテル、熱又は放射線活性化開始剤、及び(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤、任意に別のフッ素化界面活性剤及び/又は任意にシリコンを含有する非イオン性界面活性剤を含む。
【0314】
これらの組成物は、単一成分処方で、又は、2成分処方で使用することができる。
【0315】
UV照射及び/又は熱で硬化する単一成分の歯科印象化合物は、本発明の使用に好ましい。これらは、本発明に従って使用される硬化性ポリマー系と界面活性剤に加えて、通常、光開始剤を含む。
【0316】
通常、ポリアルキレングリコールから誘導され、エチレン性不飽和カルボン酸で末端処理されたポリマーが、架橋性ポリエーテルとして使用される。
【0317】
通常、これらは一般式XXIV、及び/又は、XXVIIIの化合物である。
【0318】
【化60】

【0319】
【化61】

【0320】
式中、Aとn1は、一般式XIの化合物で定義された意味を有し、
50はエチレン性不飽和基、好ましくはアルキレン基であり、ひとつの分子内のR50基は与えられた定義の範囲内で異なってもよい。
【0321】
50は、非常に特に好ましくは、CH=CH−又はCH=C(CH)−、すなわち、アクリル酸又はメタクリル酸の誘導基である。
【0322】
通常、エチレン性不飽和カルボン酸エステル基を有するポリエーテルは、異なる鎖長のポリマーの混合物として使用される。標準的な分子量(数平均)は、150〜3000000の範囲の幅があり、好ましくは250〜100000、特に好ましくは250〜50000である。
【0323】
通常、これらのポリエーテルは電磁放射、好ましくはUV照射又は可視光によって硬化する。この硬化系では、例えば、光開始剤として樟脳キニーネ、及び/又は、アミンを使用することができる。
【0324】
好ましくは過酸化物硬化剤が、任意にアミンと組み合わせて、熱硬化系で使用される。
【0325】
他の好ましい組成物は、開環メタセシス重合(ROMP)によって架橋できる基を含むポリエーテル、ポリシロキサン及び/又は合成ゴムを含む。この類型の硬化系は、例えば、欧州特許出願公開第1317917号(EP,A1)、米国特許第6,649,146(US,B2)、国際公開番号WO02/32338 A2、及び、米国特許第6,455,029により公知である。
【0326】
通常、これらは成分KとLを含む多成分歯科用印象化合物の形態で使用される。これらは、
(p)成分Kが、ROMPによって架橋できる基を有するポリエーテル、ポリシロキサン及び/又は合成ゴムを含み;
(q)成分Lが、ROMP架橋触媒を含み;そして、
(r)成分K及び/又はLの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤と、任意に別のフッ素化界面活性剤、及び/又は、任意にシリコン含有非イオン性界面活性剤を含む。
【0327】
ROMPによって架橋できる基を有するポリエーテル、ポリシロキサン及び/又は合成ゴムの例には、通常、(ポリ)アルキレングリコール、ポリジアルキルもしくはアリールシロキサン及び/又はポリアルケンもしくはポリアルカンジエンから誘導され、不飽和端末及び/又はスペーサBを介して結合した側鎖基MTを有するポリマーが含まれる。
【0328】
通常、これらのポリシロキサンは以下の一般式XXVの化合物である。
【0329】
【化62】

【0330】
式中、Rは、互いに独立して、任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、及び/又は、アラルキルを示し;
m5は、10〜60000、好ましくは20〜2000の整数であり;
m6は、0〜100、好ましくは0〜10の整数であり;
BGは、架橋基であり;
MTは、ROMPを用いる架橋性基であり;そして、
MT、B2及びR基と、符号m5及び/又はn6は与えられた定義の範囲内でひとつの分子内で異なることができる。
【0331】
一般式XXVの化合物の標準的な分子量(数平均)は、900〜500000の範囲の幅があり、好ましくは1500〜150000である。
【0332】
通常、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機ポリシロキサンは、異なる鎖長のポリマーの混合物となる。標準的な分子量(数平均)は、900〜500000の範囲の幅があり、好ましくは1500〜150000である。
【0333】
Rがメチルである一般式XXVの有機ポリシロキサンは特に好ましい。
【0334】
通常、(ポリ)アルキレングリコールは、以下の一般式XXVI及び/又はXXIXの化合物である。
【0335】
【化63】

【0336】
【化64】

【0337】
式中、Aとn1は、一般式XIの化合物で定義された意味を有し;
n6は、4〜8、好ましくは2〜4の整数であり;
m6は、2〜70000、好ましくは10〜2500の整数であり;
m7は、0〜70000、好ましくは、10〜2500の整数であり;
m6とm7の合計は、3〜70000、好ましくは10〜2500であり;
BG3は架橋基であり;
MTは、ROMPを用いる架橋性基であり;そして、
MT及びBG3基と、符号n6、m6及び/又はm7は、与えられた定義の範囲内で、ひとつの分子内で異なることができる。
【0338】
通常、合成ゴムは以下の一般式XXVIIの化合物である。
【0339】
【化65】

【0340】
式中、BG4は架橋基を示し、
MTは、ROMPを用いる架橋性基であり;そして、
m8は、1500〜30000、好ましくは20〜500の整数である。
【0341】
1,4−シス、1,4−トランス、及びそれらの混合型に加えて、1,3−ジエンのポリマー、例えば、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ポリブタジエン、及び、ポリ(2−クロロ−1,3−ブタジエン)と、2又は3の異なるモノマーの共重合で得られる合成ゴムが作られる。最も重要な合成ゴムには、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、及びイソブテン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)のほかに、ポリウレタン、ポリスルフィド及びクロロスルホニルポリエチレンをベースにしたエラストマーが含まれ、また合成ゴムは加硫によって架橋されていてもよい。
【0342】
不飽和のROMP架橋性基MTは、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル、又は以下の一般式基などのシクロアルケニルである。
【0343】
【化66】

【0344】
式中、XはO、S、NH、又は、飽和もしくは不飽和のC−C30炭化水素基である。
【0345】
上に記載された一般式の架橋基BG4は、好ましくは−O−又はアルキレンであり、特に、−CH−,−CHCH−,−CHCHCH−又は−CH(CH)−CH−である。
【0346】
この硬化系において使用される触媒は、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイドである。ルテニウム、オスミウム、タングステン又はモリブデンが、好ましく錯体に使用される。特に好ましいのは、ルテニウムカルベン錯体、例えば、グラブス触媒である。
【0347】
付加反応によって架橋する有機ポリシロキサン、縮合反応によって架橋する有機ポリシロキサン、縮合反応によって架橋しアルコキシシリル基を含むポリエーテル、付加反応によって架橋しアジリジノ基を含むポリエーテル、付加反応によって架橋しアルケニル基を含むポリエーテル、ラジカル重合反応によって架橋しエチレン性不飽和カルボン酸のエステル基を含むポリエーテル、又は、開環メタセシス反応によって架橋するポリエーテル、シリコーンもしくはゴムの群から選択される硬化性ポリマーを含む本発明の組成物は、追加成分としてアルケニル基を有するポリエーテル、及び/又は、ヒドロキシル末端もしくはアルコキシ末端を有するポリエーテルを含むことが好ましい。この追加成分は、未硬化の塑性材料の接触角特性を更に改良し、その結果、得られる印象の細部の精度を更に改良する。
【0348】
この類型の好ましい添加物の例には、上記一般式XI,XII及びXIIIの化合物が含まれる。
【0349】
また、本発明の組成物は架橋性ポリマーと、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤に加えて、このような組成物に通常使用される追加成分を含むことができる。
【0350】
そのような追加成分の例にはフィラーが含まれる。これらは、補強充填剤であってもよいし、非補強充填剤であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
【0351】
好ましい補強充填剤には、特に、BET表面積が少なくとも50m/gの高分散活性フィラーが含まれる。特に好ましいのは、個々の粒子サイズがナノメートル領域であり、凝集体及び/又は塊として存在できるものである。好ましい補強充填剤は、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、及び、沈降及び/又は焼成シリカから成る群より選択される物質である。前述の化合物は、当然に、単独で又は他の化合物との任意の組み合わせで、すなわち親水性と疎水性の両形態で使用することができる。
【0352】
また、少なくとも1つの補強充填剤が、ナノ粒子、繊維状、又は薄片状の形態で、例えば無機充填剤、繊維充填材又は合成繊維充填材として存在することが好ましい。
【0353】
本発明の組成物では、補強充填剤の量は、通常、全組成物を基準として、0〜80wt%、好ましくは0.1〜50wt%、特に好ましくは0.1〜40wt%である。
【0354】
原則として、補強充填剤に使用されるものと同じ物質は非補強充填剤としての使用に適しているが、非補強充填剤は、BET表面積が50m/g未満である必要がある(Degussa Pigment Monograph Silicic Acids,No.12,page 5 and No.13,page 3)。好ましい非補強充填剤は、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルカリ土類金属炭酸塩、カルシウムアパタイト(Ca[(F,Cl,OH,1/2CO)/(PO])、特にカルシウムヒドロキシアパタイト(Ca[(OH)/(PO])、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、沈降シリカ、及び、炭酸カルシウムから成る群より選択される物質である。前述の化合物は、当然に、単独又は他の化合物との任意の組み合わせのどちらでも、すなわち親水性と疎水性の両形態で使用することができる。
【0355】
好ましくは、使用される非補強充填剤は、0.1μmより大きい平均粒度を有する(Ullmann’s Enzyclopadie der Technischen Chemie[Encyclopedia of Industrial Chemistry],vol.21 page523)。
【0356】
本発明の組成物では、非補強充填剤の量は、通常、全組成物を基準として、0〜80wt%、好ましくは0.1〜50wt%、特に好ましくは0.1〜40wt%である。
【0357】
本発明の組成物では、補強充填剤と非補強充填剤の総量は、通常、全組成物を基準として、0〜80wt%、好ましくは0.01〜80wt%、特に好ましくは0.05〜75wt%、最も好ましくは0.1〜70wt%である。
【0358】
また、本発明の組成物は、以下の添加物の1つ以上を含むことができる:バッファー塩、水捕捉剤、ペースト形成剤、追加界面活性剤、活性成分、可塑剤、光学スキャンイネーブリング材料、味及び/又は香り物質、診断イネーブリング材料、フッ素添加剤、漂白剤、結合促進剤、染料、指示薬、安定化剤(酸化防止剤)、及び抗菌性物質。
【0359】
本発明の組成物が多成分系の形態の場合は、その後の使用に合わせて量の配分を行うことが好ましく、また、例えば、欧州特許出願公開第0723807号(EP,A)、欧州特許出願公開第0541972号(EP,A)、国際公開番号WO98/44860 A1、欧州特許出願公開第0492412号(EP,A)欧州特許出願公開第0492413号(EP,A)及び欧州特許出願公開第0956908号(EP,A)に記載のカートリッジやチューブバッグに保存することが特に好ましい。
【0360】
以下を含む組成物は、特に非常に好ましい。
(a)25〜85wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(b)1〜70wt%:SiH含有量が0.1〜15.0mmol/gの有機水素ポリシロキサン;
(c)0.0001〜2wt%:ヒドロシリル化触媒、特に、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイド;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤、阻害剤、アルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレートなどの添加剤及び補助剤;
(g)0.01〜5.0wt%:シロキサン部分構造に3〜7のケイ素原子を有する非イオン性ポリエーテルシロキサン界面活性剤、及び/又は、カルボシラン部分構造に1〜7のケイ素原子を有し、アルキレンオキシド含量が1〜20単位である非イオン性ポリエーテルカルボシラン界面活性剤;及び、
(h)0.001〜5.0wt%:(a)〜(h)群から選択される上記フッ素化界面活性剤であって、界面活性剤(g)と(h)の比が、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、特に好ましくは10:1〜1:10、最も好ましくは5:1〜1:5のもの。
【0361】
上に示した量で成分(a)〜(h)を含み、さらに(i)0.1〜25wt%、好ましくは0.1〜10.0wt%、特に好ましくは0.5〜5.0wt%、最も好ましくは0.5〜2.5wt%の分岐鎖もしくは直鎖のアルキル、ヒドロキシ、アルキニル及び/又はアルケニル末端の(ポリ)アルキレンエーテル及び/又はこれらの混合物を含み、オルガノポリシロキサン(a)とポリエーテル(i)の質量比が、好ましくは1:1〜80:1、より好ましくは1:1〜60:1、特に好ましくは1:1〜40:1、最も好ましくは1:1〜30:1である2成分の組成物が特に好ましい。
【0362】
上に示した量で成分(a)〜(h)を含み、さらに(k)0.1〜25wt%、好ましくは0.1〜10.0wt%、特に好ましくは0.5〜5.0wt%、最も好ましくは0.5〜2.5wt%のポリオール又はポリオールの混合物を含む2成分の組成物が特に好ましい。
【0363】
上に示した量で成分(a)〜(h)を含み、さらに成分(i)と(k)を上に示した量で含む2成分の組成物が特に非常に好ましい。
【0364】
成分AとBを含む2成分の組成物は特に非常に好ましい。なお、Aは以下を含む。
(a)10〜80wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(c)0.0001〜2wt%:ヒドロシリル化触媒、特に、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイド;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;及び、
(j)0.001〜5.0wt%:アルキル、アリール、アラルキル基で覆われた非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート、シリコーン界面活性剤、ポリエーテルカルボシラン、カルボシラン界面活性剤、及びフッ素化界面活性剤、特に好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート。
また、Bは以下を含む。
(a)0.1〜70wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(b)1.2〜80wt%:SiH含有量が0.1〜15.0mmol/gの有機水素ポリシロキサン;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;
(g)0.01〜10.0wt%:シロキサン部分構造に3〜7のケイ素原子を有する非イオン性ポリエーテルシロキサン界面活性剤、及び/又は、カルボシラン部分構造に1〜7のケイ素原子を有し、アルキレンオキシド含量が1〜20単位である非イオン性ポリエーテルカルボシラン界面活性剤;
(h)0.001〜10.0wt%:(a)〜(h)群から選択される上記フッ素化界面活性剤であって、界面活性剤(g)と(h)の比が、好ましくは25:1〜1:25、より好ましくは20:1〜1:5、特に好ましくは10:1〜1:5、最も好ましくは5:1〜1:3のもの;及び、
(i)0.5〜50wt%:分岐鎖もしくは直鎖のアルキル、アルキニル及び/又はアルケニル及び/又はヒドロキシ末端の(ポリ)アルキレンエーテル及び/又はこれらの混合物。オルガノポリシロキサン(a)とポリエーテル(i)の質量比は、1:50〜50:1、好ましくは10:1〜1:10、特に好ましくは4:1〜1:5である。
【0365】
また、成分AとBを含む2成分の組成物は特に好ましい。なお、Aは以下を含む。
(a)10〜80wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(c)0.0001〜2wt%:ヒドロシリル化触媒、特に、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイド;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;及び、
(j)0.001〜5.0wt%:アルキル、アリール、アラルキル基で覆われた非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート、シリコーン界面活性剤、ポリエーテルカルボシラン、カルボシラン界面活性剤、及びフッ素化界面活性剤、特に好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート。
また、Bは以下を含む。
(a)0.1〜70wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(b)1.2〜80wt%:SiH含有量が0.1〜15.0mmol/gの有機水素ポリシロキサン;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;
(g)0.01〜10.0wt%:シロキサン部分構造に3〜7のケイ素原子を有する非イオン性ポリエーテルシロキサン界面活性剤、及び/又は、カルボシラン部分構造に1〜7のケイ素原子を有し、アルキレンオキシド含量が1〜20単位である非イオン性ポリエーテルカルボシラン界面活性剤;
(h)0.001〜10.0wt%:(a)〜(h)群から選択される上記フッ素化界面活性剤であって、界面活性剤(g)と(h)の比が、好ましくは25:1〜1:25、より好ましくは20:1〜1:5、特に好ましくは10:1〜1:5、最も好ましくは5:1〜1:3のもの;及び、
(k)0.5〜50wt%:ポリオール又はポリオールの混合物。
【0366】
他の特に好ましい2成分の組成物は、上に示した量で成分(a)〜(h)を含み、また、成分(i)と(k)も上に示した量で含む。
【0367】
上記実施形態における量は、それぞれ成分A又は成分Bの総重量に基づく。
【0368】
本発明の別の対象は、上記硬化性組成物の多成分化合物の個々の成分を混合することで得られる混合物に関する。基本成分が触媒成分と混合される比率は、好ましくは1:2〜20:1、より好ましくは1:1〜10:1、特に好ましくは、10:1,5:1,4:1,2:1及び1:1である。これらの混合物は湿った歯と組織の上での優れた湿潤性と優れた流動挙動により特徴付けられる。この良好な親水特性にもかかわらず、水、唾液、血液、消毒液槽又は水性石膏ペーストなどの水媒体に接触しても、この材料は膨潤しない。処理の間や、湿った口腔/歯の物質との最初の接触時には、混合物の良好な初期の親水性は、患者の口内での印象材の精密な成型にとって重要であり、それは、組成物の混合後及び/又は硬化の開始後に急速に発現する非常に小さい接触角によって示される。歯科用印象材の表面に水滴を滴下した後の最初の10秒以内、好ましくは最初の5秒以内に水滴が消失する時、硬化性ポリマー系がセットアップするまで、硬化性ポリマー系の成分、例えば触媒成分と基本成分の混合開始後、又は照射による硬化の誘発後の30秒の間に、接触角が10°以下となることによって本発明の組成物は特徴付けられる。接触角は、クリュス社の接触角測定装置G40/G23Mを用いて、23±1℃で、液滴測定法にて測定される。測定は大気相対湿度50%で行われた。
【0369】
動的接触角の測定は、室温23±1℃で、固着液滴上で、全自動の液滴注入システムと連結した液滴輪郭分析システムDSA100(クリュス,D−ハンブルグ)接触角測定装置を用いて行われた。この測定もまた大気相対湿度50%で行われた。
【0370】
それぞれの2成分の歯科用印象材の混合開始後、40秒、60秒、90秒、及び120後、すなわち処理時間の間、2μLの体積の水滴を重合表面上に滴下することによって、湿潤は開始された。液滴形状の動的変化は、1秒ごとの10の画像解析により、1回の測定を180秒として測定され、メーカーのソフトウェアを使用して評価された。個々の画像の接触角は、それぞれの液滴輪郭の左右の接触角の平均接触角として「サイクルフィット(circle fit)」法により測定された。
【0371】
さらに、石膏を用いて成型する時(硬化後すぐに又は2時間後)、硬化した印象材は、10°未満の接触角と、歯科用印象材の表面に水滴を滴下した後の最初の10秒以内、好ましくは最初の5秒以内に水滴が消失することによって特徴付けられる。
【0372】
また、本発明は上記組成物を硬化することによって得られる硬化した印象材に関する。硬化した印象材は、優れた機械的特性によって特徴付けられ、また歯科用エラストマー印象材についてのISO 4823の要件を全て満たしている。
【0373】
また、本発明は(a)〜(h)群から選択される上記フッ素化界面活性剤と、任意の追加フッ素化界面活性剤と、少なくとも1つの(ポリ)アルキレンオキシド基を有する6000g/mol未満の分子量のシリコン含有非イオン性界面活性剤を、歯科用化合物、特に歯科用印象化合物の製造に使用することに関する。
【0374】
また、本発明は歯科用化合物、特に歯科用印象化合物の製造に上記硬化性組成物を使用することに関する。
【実施例】
【0375】
以下の実施例は、本発明を制限することなく、例示する。
【0376】
(A)付加反応によって架橋するシリコーン
合成例A1:付加反応によって架橋する2成分のシリコーン歯科用印象材の触媒化合物
【0377】
20℃の粘度が1000mPasのα,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン:50.00部、BET表面積が170m/gの熱分解法により製造された高分散疎水化珪酸:6.00部、平均粒度が10μmの石英粉末:43.00部、及び、純プラチナ含有量が1.0%の白金触媒(カールシュテット触媒):1.00部を、真空ミキサー内で、1.5時間、均質に混合し、次いで、該混合物を15分間脱気した。濃度の薄い流体ペースト(ISO4823)が得られた。該ペーストは本発明の2成分の歯科印象化合物の触媒成分となる。
【0378】
合成例A2:付加反応によって架橋する2成分のシリコーン歯科用印象材の基本化合物の基本処方
【0379】
20℃の粘度が1000mPasのα,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン:20.00部と、20℃の粘度が200mPas、SiH含量が1.8mmol/gのポリメチル水素シロキサン:19.00部を、BET表面積が170m/gの熱分解法により製造された高分散疎水化珪酸:5.00部と、平均粒度が10μmの石英粉末:46.00部と共に、真空ミキサー内で、1.5時間、均質に混合し、次いで、該混合物を15分間脱気した。得られたペーストは、本発明の2成分の歯科印象化合物の基本成分の基本処方であり、リファレンスは本発明のフッ素化界面活性剤を添加した以下の実施例で製造される。
【0380】
合成例A3:本発明のフッ素化界面活性剤を有する付加反応によって架橋する2成分のシリコーン歯科用印象材の基本化合物
【0381】
合成例A2の基本処方の化合物:94.90部を、20℃の表面張力が23dyn/cm、分子量が約1500g/molのパーフルオロポリエーテル界面活性剤(Fluorolink E10 H,Solvay Solexis社):0.75部、表面張力が20.7dyn/cm(25℃の脱イオン水中で濃度1%)、分子量が約620g/molのポリエチレンオキシド変成ポリジメチルシロキサン(PEG−8 メチコン):2.25部、平均分子量が2000g/molのα,ω−ジアリルポリエチレングリコール:1.00部、及びグリセロール:1.10部と共に、真空ミキサー内で、15分間、均質に混合し、次いで、該混合物を15分間脱気した。濃度の薄い流体ペースト(ISO4823)が得られた。該ペーストは本発明の2成分の歯科印象化合物の基本成分となる。
【0382】
実施例A1:付加反応によって架橋する、本発明のフッ素化界面活性剤を含む2成分の歯科用印象化合物
【0383】
合成例A1に記載の触媒成分:50部と、合成例A3に記載の基本成分:50部を、カートリッジ(Mixpac)から絞り出し、静的ミキサー(Mixpac)にて均質に混合した。
【0384】
結果:濃度の薄い流体の歯科用印象化合物(ISO4823)が得られた。処理時間の間、様々な時間ポイントで接触角のテストを行った(表1A及び1B参照)。印象化合物の処理時間の間の各段階で、滴下した水滴は1〜10秒以内に印象化合物の表面に完全に広がって、それを濡らすことが判明した。このような材料は、患者の口腔内で、湿気の多い歯の物質や唾液の作用にもかかわらず、型をとってその印象を正確に作るための領域上で流動することに、非常に適合している。付加反応によって架橋する、本発明のフッ素化界面活性剤が含まれない従来のシリコーン歯科用印象材(比較例AV1)と比較すると、印象材の表面に滴下された水滴の挙動に明確な相違がある。印象化合物の処理時間の間の任意の段階で、本発明のフッ素化界面活性剤を印象化合物に加えると、滴下された水滴は1〜10秒以内に印象化合物の表面上に完全に広がって、それを濡らすであろう。しかし、改良していない市販品では、滴下された水滴は印象化合物の表面には広がらず、それを十分に濡らさないであろう。市販されている従来の歯科用印象材と比べると、湿気の多い歯の物質、唾液、及び血液の作用にもかかわらず、患者の口腔内の型を取る領域に流れ、それらの細部についてその印象を正確に作るので、本発明の材料は非常に適している。
【0385】
比較例AV1:米国特許第4,657,959(US,A)のTable IV,run 11に準じた、付加反応によって架橋し、1.0%のフッ素化界面活性剤を含む2成分のシリコーン歯科用印象化合物
【0386】
米国特許第4,657,959(US,A)のTable IV,run 11に準じた、付加反応によって架橋するシリコーン歯科用印象材を、カートリッジ(Mixpac)から絞り出し、静的ミキサー(Mixpac)にて均質に混合した。
【0387】
濃度の薄い流体の歯科用印象化合物(ISO4823)が得られ、処理時間の間、様々な時間ポイントで接触角のテストを行った(表1及び2参照)。水滴を滴下した後の30秒の測定時間以内に、接触角が10°未満となる印象化合物の処理時間の段階はなかった。滴下した水滴は、印象化合物の表面に完全に広がらず、それを適切に濡らすことはなかった。材料の経時(触媒成分と基本成分の混合開始後の)40〜120秒の間の接触角は、水滴を滴下後の10秒後に平衡し、38°と44°の間であった。この比較例は、界面活性剤の組み合わせの全てが相乗作用をおこすというわけではないことを示す。材料の経時(触媒成分と基本成分の混合開始後の)40〜120秒の間の接触角は、水滴を滴下後の10秒後に平衡し、79°と63°の間であった。本発明による測定法を用いた場合、米国特許第4,657,959(US,A)による歯科用印象材は、10°未満の接触角を達成することができず、表面の水の拡散も達成されないことを、この比較例は示す。
【0388】
比較例AV2:米国特許第4,657,959(US,A)の実施例1の最良のシリコーン界面活性剤(run 2)とフッ素化界面活性剤(run 11)による相乗作用のない界面活性剤混合物を有する、付加反応によって架橋するシリコーン歯科用印象材
【0389】
米国特許第4,657,959(US,A)に記載の触媒成分を50部と、合成比較例A9に記載の基本成分を50部とを、カートリッジ(Mixpac)から絞り出し、静的ミキサー(Mixpac)にて均質に混合した。
【0390】
濃度の薄い流体の歯科用印象化合物(ISO4823)が得られ、様々な時間ポイントでその接触角のテストを行った(表1及び2参照)。水滴を滴下した後の30秒の測定時間以内に、接触角が10°未満となる印象化合物の処理時間の段階はなかった。滴下した水滴は、印象化合物の表面に完全に広がらず、それを適切に濡らすことはなかった。材料の経時(触媒成分と基本成分の混合開始後の)40〜120秒の間の平衡接触角は、水滴を滴下後の10秒後に測定され、38°と44°の間であった。この比較例は、界面活性剤の組み合わせの全てが相乗作用をおこすというわけではないことを示す。
【0391】
材料の経時(触媒成分と基本成分の混合開始後の)40〜120秒の間の接触角は、水滴を滴下後の10秒後に平衡し、39°と50°の間であった。この比較例は、界面活性剤の組み合わせの全てが相乗作用をおこすというわけではないことを示す。驚くべきことに、特定のフッ素化界面活性剤とシリコーン界面活性剤の界面活性剤混合物だけが、相乗作用を達成した。米国特許第4,657,959(US,A)には、異なる界面活性剤の混合物についての記載はない。この比較例のように、シリコーン界面活性剤の一連の実験による最良の界面活性剤と、米国特許第4,657,959(US,A)の最良のフッ素化界面活性剤を組み合わせたとしても、シリコーン印象材の表面で水滴の拡散は達成できない。
【0392】
【表1】

【0393】
【表2】

【0394】
(B)縮合反応によって架橋するシリコーン
合成例B1:縮合反応によって架橋し、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を含むシリコーン歯科用印象材の基本化合物
【0395】
市販品の基本化合物(Lastic90fine,Kettenbach GmbH+Co.KG,lot91631):97部を、20℃の表面張力が23dyn/cm、分子量が約1500g/molのパーフルオロポリエーテル界面活性剤(Fluorolink E10H,Solvay Solexis社):1.5部と、表面張力が20.7dyn/cm(25℃の脱イオン水中で濃度1%)、分子量が約620g/molのポリエチレンオキシド変成ポリジメチルシロキサン(PEG−8 メチコン):1.50部と共に、真空ミキサー内で、15分間、均質に混合し、脱気した。濃度の薄い流体ペースト(ISO4823)が得られた。該ペーストは本発明の2成分の歯科印象化合物の基本成分となる。
【0396】
実施例B1:縮合反応によって架橋し、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を含むシリコーン歯科用印象化合物
【0397】
縮合反応によって架橋するシリコーン歯科用印象材の触媒ペースト(市販品、ペースト硬化剤、Lastic Xtra,Kettenbach GmbH+Co.KG,lot番号91841):7.1部と、合成例B1に記載の基本成分:92.9部を、混合へらを使用して混合用ブロックの中で、30分間、均質に混合した。
【0398】
実施例B1の結果:濃度の薄い流体の歯科用印象化合物(ISO4823)が得られた。処理時間の間、様々な時間ポイントでその接触角のテストを行った(表3及び4参照)。印象化合物の処理時間の間の各段階で、滴下した水滴は10秒以内に印象化合物の表面に完全に広がって、それを濡らすことが判明した。このような材料は、患者の口腔内で、湿気の多い歯の物質や唾液の影響にもかかわらず、型をとってその印象を正確に作るための領域上で流動することに、非常に適合している。縮合反応によって架橋する、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物が含まれない市販のシリコーン歯科用印象材(比較例BV1)と比較すると、印象材の表面に滴下された水滴の挙動に明確な相違がある。一方で、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を加えると、滴下された水滴は10秒以内に印象化合物の表面上に完全に広がって、印象化合物の処理時間の間の各段階で、それを濡らすであろう。しかし、改良していない市販品では、滴下された水滴は印象化合物の表面には広がらず、それを十分に濡らさないであろう。市販されている従来の歯科用印象材と比べると、湿気の多い歯の物質、唾液、及び血液の影響にもかかわらず、患者の口腔内の型を取る領域に流れ、それらの細部についてその印象を正確に作るので、本発明の材料は非常に適している。
【0399】
比較例BV1:縮合反応によって架橋する先行技術のシリコーン歯科用印象材(市販品)
【0400】
縮合反応によって架橋するシリコーン歯科用印象材の触媒ペースト(市販品、Lastic90fine,Kettenbach GmbH+Co.KG,lot91631/91841)を、メーカー使用説明に従い、混合へらを使用して混合用ブロックの中で、均質に混合した。
【0401】
比較例BV1の結果:材料の経時(触媒成分と基本成分の混合開始後の)40〜120秒の間の平衡接触角は、水滴を滴下後の10秒後に測定され、90°と105°の間であった。この比較例は、縮合反応によって架橋する先行技術のシリコーン歯科用印象材は、歯科用印象材の表面に滴下した水滴が自然に広がるという本発明の効果を導かないことを示す。
【0402】
【表3】

【0403】
【表4】

【0404】
(C)縮合反応によって架橋するアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材
合成例C1:縮合反応によって架橋し、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を含むアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材の基本化合物
【0405】
欧州特許出願公開第1226808号(EP,A)に準じた、縮合反応によって架橋するアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材の基本化合物(市販品、P2−Polyether mono,Heraeus−Kulzer,lot番号290489):94部を、20℃の表面張力が23dyn/cm、分子量が約1500g/molのパーフルオロポリエーテル界面活性剤(Fluorolink E10H,Solvay Solexis社):3.00部と、表面張力が20.7dyn/cm(25℃の脱イオン水中で濃度1%)、分子量が約620g/molのポリエチレンオキシド変成ポリジメチルシロキサン(PEG−8 メチコン):3.00部と共に、真空ミキサー内で、15分間、均質に混合し、脱気した。適度に流動性のある流体ペースト(ISO4823)が得られた。該ペーストは本発明の2成分の歯科印象化合物の基本成分となる。
【0406】
実施例C1:縮合反応によって架橋し、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を含むアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材
【0407】
欧州特許出願公開第1226808号(EP,A)に準じた、縮合反応によって架橋するアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材(市販品、P2−Polyether mono,Heraeus−Kulzer,lot番号290489)の触媒ペースト:16.7部と、合成例C1に記載の基本成分:88.3部を、電気ディスペンサー(Plug+Press Dispenser,Kettenbach GmbH+Co.KG)を用いてそれぞれチューブバッグから取り出して配合し、ダイナミックミキサー(Heraeus−Kulzer)を使用して均質に混合した。
【0408】
実施例C1の結果:適度に流動性のある歯科用印象化合物(ISO4823)が得られた。処理時間の間、様々な時間ポイントでその接触角のテストを行った(表5及び6参照)。印象化合物の処理時間の間の各段階で、滴下した水滴は10秒以内に印象化合物の表面に完全に広がって、それを濡らすことが判明した。このような材料は、患者の口腔内で、湿気の多い歯の物質や唾液の影響にもかかわらず、型をとってその印象を正確に作るための領域上で流動することに、非常に適合している。縮合反応によって架橋する、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物が含まれない市販のアルコキシシリル歯科用印象材(比較例CV1)と比較すると、印象材の表面に滴下された水滴の挙動に明確な相違がある。本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を加えると、滴下された水滴は10秒以内に印象化合物の表面上に完全に広がって、印象化合物の処理時間の間の各段階で、それを濡らすであろう。しかし、改良していない市販品では、滴下された水滴は印象化合物の表面には広がらず、それを十分に濡らさないであろう。市販されている従来の歯科用印象材と比べると、湿気の多い歯の物質、唾液、及び血液の影響にもかかわらず、患者の口腔内の型を取る領域に流れ、それらの細部についてその印象を正確に作るので、本発明の材料は非常に適している。
【0409】
比較例CV1:縮合反応によって架橋する先行技術のアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材(市販品)
【0410】
欧州特許出願公開第1226808号(EP,A)に準じた、縮合反応によって架橋するアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材(市販品、P2−Polyether mono,Heraeus−Kulzer,lot番号290489)を、電気ディスペンサー(Plug+Press Dispenser,Kettenbach GmbH+Co.KG)を用いてチューブバッグから取り出し、メーカー使用説明に従い、ダイナミックミキサー(Heraeus−Kulzer)を使用して均質に混合した。
【0411】
比較例CV1の結果:材料の経時(触媒成分と基本成分の混合開始後の)40〜120秒の間の平衡接触角は、水滴を滴下後の10秒後に測定され、62°と66°の間であった。この比較例は、縮合反応によって架橋する先行技術のアルコキシシリルポリエーテル歯科用印象材は、歯科用印象材の表面に滴下した水滴が自然に広がるという本発明の効果を導かないことを示す。
【0412】
【表5】

【0413】
【表6】

【0414】
(D)付加反応によって架橋するアジリジノポリエーテル歯科用印象材
合成例D1:付加反応によって架橋し、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を含むアジリジノポリエーテル歯科用印象材の基本化合物
【0415】
米国特許第4,353,242(US,A)に準じた、付加反応によって架橋するアジリジノポリエーテル歯科用印象材の基本化合物(市販品、Impregum Penta,3M−Espe,lot347351):97.6部を、20℃の表面張力が23dyn/cm、分子量が約1500g/molのパーフルオロポリエーテル界面活性剤(Fluorolink E10H,Solvay Solexis社):0.45部と、表面張力が20.7dyn/cm(25℃の脱イオン水中で濃度1%)、分子量が約620g/molのポリエチレンオキシド変成ポリジメチルシロキサン(PEG−8 メチコン):1.35部と、グリセロール:0.6部と共に、真空ミキサー内で、15分間、均質に混合し、脱気した。適度に流動性のある流体ペースト(ISO4823)が得られた。該ペーストは本発明の2成分の歯科印象化合物の基本成分となる。
【0416】
実施例D1:付加反応によって架橋し、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を含むアジリジノポリエーテル歯科用印象材
【0417】
米国特許第4,353,242(US,A)に準じた、付加反応によって架橋するアジリジノポリエーテル歯科用印象材(市販品、Impregum Penta,3M−Espe,lot347351)の触媒ペースト:16.7部と、合成例D1に記載の基本成分:88.3部を、電気ディスペンサー(Plug+Press Dispenser,Kettenbach GmbH+Co.KG)を用いてそれぞれチューブバッグから取り出して配合し、ダイナミックミキサー(3M−Espe)を使用して均質に混合した。
【0418】
実施例D1の結果:適度に流動性のある歯科用印象化合物(ISO4823)が得られた。処理時間の間、様々な時間ポイントでその接触角のテストを行った(表7及び8参照)。印象化合物の処理時間の間の各段階で、滴下した水滴は10秒以内に印象化合物の表面に完全に広がって、それを濡らすことが判明した。このような材料は、患者の口腔内で、湿気の多い歯の物質や唾液の影響にもかかわらず、型をとってその印象を正確に作るための領域上で流動することに、非常に適合している。付加反応によって架橋する、本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物が含まれない市販のアジリジノポリエーテル歯科用印象材(比較例DV1)と比較すると、印象材の表面に滴下された水滴の挙動に明確な相違がある。本発明の相乗作用を有する界面活性剤混合物を加えると、滴下された水滴は10秒以内に印象化合物の表面上に完全に広がって、印象化合物の処理時間の間の各段階で、それを濡らすであろう。しかし、改良していない市販品では、滴下された水滴は印象化合物の表面には広がらず、それを十分に濡らさないであろう。市販されている従来の歯科用印象材と比べると、湿気の多い歯の物質、唾液、及び血液の影響にもかかわらず、患者の口腔内の型を取る領域に流れ、それらの細部についてその印象を正確に作るので、本発明の材料は非常に適している。
【0419】
比較例DV1:付加反応によって架橋する先行技術のアジリジノポリエーテル歯科用印象材(市販品)
【0420】
米国特許第4,353,242(US,A)に準じた、付加反応によって架橋するアジリジノポリエーテル歯科用印象材(市販品、Impregum Penta,3M−Espe,lot347351)を、電気ディスペンサー(Plug+Press Dispenser,Kettenbach GmbH+Co.KG)を用いてチューブバッグから取り出し、メーカー使用説明に従い、均質に混合した。
【0421】
比較例DV1の結果:材料の経時(触媒成分と基本成分の混合開始後の)40〜120秒の間の平衡接触角は、水滴を滴下後の10秒後に測定され、53°と5°の間であった。この比較例は、付加反応によって架橋する先行技術のアアジリジノポリエーテル歯科用印象材は、歯科用印象材の表面に滴下した水滴が自然に広がるという本発明の効果を導かないことを示す。
【0422】
【表7】

【0423】
【表8】

【0424】
本発明の実施例と先行技術に準じた比較例は、フッ素化界面活性剤とシリコーン界面活性剤の組み合わせであれば、どれでも本発明の意味における相乗作用を導くわけではないことを示す。シリコーン界面活性剤の一連の実験による最良の界面活性剤と、先行技術による最良のフッ素化界面活性剤を組み合わせたとしても、それでもやはりシリコーン印象材の表面で水滴は拡散しない。
【0425】
それと比較して、驚くべきことに、本発明に従った特定のフッ素化界面活性剤とシリコーン界面活性剤の界面活性剤混合物だけが、相乗作用を達成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加反応によって架橋する有機ポリシロキサン;縮合反応によって架橋する有機ポリシロキサン;アルコキシシリル基を有し縮合反応によって架橋するポリエーテル;アジリジノ基を有し付加反応によって架橋するポリエーテル;アルケニル基を有し付加反応によって架橋するポリエーテル;エチレン性不飽和カルボン酸のエステル基を有しラジカル重合反応によって架橋するポリエーテル;並びに、開環メタセシス反応によって架橋するポリエーテル、シリコーン及びゴムから成る群より選択される硬化性ポリマーと、
さらに下記(a)〜(h)群から選択される少なくとも1種の非イオン性及び/又はイオン性のフッ素化界面活性剤を含む組成物:
(a)少なくとも1つの部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキレンオキシド又はポリアルキレンオキシド単位を含むフッ素化界面活性剤;
(b)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を有するフッ素化界面活性剤;
(c)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルコキシアルキレン基を有するフッ素化界面活性剤、
(d)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化アルキル基を有し、フッ素化基としては、ω−モノ−、ジ‐もしくはトリフルオロメチル基、又は、ω−モノ−、ジ‐、トリ‐、テトラ−もしくはペンタフルオロエチル基のみが存在するフッ素化界面活性剤;
(e)イオン性基に加えて、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化アルコキシアルキレン基を有し、フッ素化基としては、ω−モノ−、ジ‐もしくはトリフルオロメトキシ基、又は、ω−モノ−、ジ‐、トリ‐、テトラ−もしくはペンタフルオロエトキシ基のみが存在するフッ素化界面活性剤;
(f)イオン性基に加えて、7未満の炭素原子を有する部分フッ素化ω−(N,N−ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルアミノ)アルキレン基、又は、7未満の炭素原子を有する部分フッ素化ω−(N,N−ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルアミノ)アルキレンオキシアルキレン基を有し、フッ素化基としては、ω−(N,N−ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルアミノ)基のみが存在するフッ素化界面活性剤;
(g)イオン性基に加えて、10未満の炭素原子を有する部分フッ素化ω−(モノ−、もしくは、ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルフェノキシ)アルキレン基を有し、フッ素化基としては、ω−(モノ−、もしくは、ジペル−、もしくは、部分フルオロメチル、もしくは、エチルフェノキシ)基のみが存在するフッ素化界面活性剤;及び、
(h)(ポリ)アルキレングリコール主鎖に加えて、側鎖として5未満の炭素原子を有する複数の部分フッ素化又は全フッ素化アルコキシ基を有し、また、少なくとも1つの、シリコン含有基を有する6000g/mol未満の分子量の非イオン性界面活性剤を含むフッ素化界面活性剤。
【請求項2】
(a)群のフッ素化界面活性剤が、少なくとも2つの部分フッ素化又は全フッ素化アルキレンオキシド基を有する非イオン性フッ素化界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Iaのブロックを含むブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物:
【化1】

式中、Rは2〜12の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルキレン基であって、ポリエーテル基の部分フッ素化又は全フッ素化アルキレン基の炭素原子の数は、与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
は2〜12、好ましくは2〜6の炭素原子を有するアルキレン基を示し、アルキレン基の炭素原子の数は、与えられた定義の範囲内で、ひとつのポリエーテル基の中で異なっていてもよく;
A’は、共有結合又は2価の架橋基であって、C−C及び/又はC−O結合によって[O−R]と[O−R]のブロックを結合し;
aは1〜200、好ましくは1〜50、特に1〜20の整数であり;そして、
dは1〜200、好ましくは1〜50、特に1〜10の整数である。
【請求項4】
(a)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Ibの化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の組成物:
【化2】

式中、
は水素、1〜6の炭素原子を有する部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキル基又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは、水素、1〜4の炭素原子を有するアルキル基又は1〜4の炭素原子を有する部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキル基であり;
は、上記定義と同義であり;
とR’は、互いに独立して、2〜12、好ましくは2〜6の炭素原子を有するアルキレン基を示し、ポリエーテル基の中のアルキレン基の炭素原子の数は与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
AとA’は、互いに独立して、共有結合又は2価の架橋基であって、C−C及び/又はC−O結合を介して[O−R]、[O−R]と[R’−O]のブロックを結合し;
aは1〜200、好ましくは2〜50の整数を示し;
bは0〜100、好ましくは2〜50の整数を示し;
cは0〜100、好ましくは2〜50の整数を示し;そして、
Bは水素、アルキル、部分フッ素化アルキル又は全フッ素化アルキル基を示す。
【請求項5】
前記フッ素化界面活性剤が、一般式Ic又はIdのブロック共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の組成物:
【化3】

【化4】

式中、
AとA’は、互いに独立して、共有結合又は2価の架橋基を示し、C−C及び/又はC−O結合を介して[O−R]、[O−R]と[O−R’]のブロックを結合し;
BとB’は、互いに独立して、水素、1〜6の炭素原子を有する部分フッ素化もしくは全フッ素化アルキル基又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基を示し;
は一般式−C−の基を示し、符号m,n及びoは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
R’は一般式−Cm’n’o’−の基であって、符号m,n及びoは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
m及びm’は、互いに独立して2〜12の整数であり;
n及びn’は、互いに独立して1〜24の整数であり;
o及びo’は、互いに独立して0〜23の整数であり;
nとoの合計は、2mの値に相当し;
は一般式−C2p−の基であって、符号pは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
R’は一般式−C2q−の基であって、符号qは、1つのポリエーテル基の中で与えられた定義の範囲内で異なっていてもよく;
pは2〜12、好ましくは2〜4の整数であり;
qは2〜12、好ましくは2〜4の整数であり;
aは1〜100、好ましくは2〜50の整数であり;
dは1〜100、好ましくは2〜50の整数であり;そして、
eは1〜100、好ましくは2〜50の整数である。
【請求項6】
前記フッ素化界面活性剤が、一般式Icaのブロック共重合体であることを特徴とする請求項5に記載の組成物:
【化5】

式中、naは1〜20の整数であり;
paとqaの合計が、少なくとも1であるという条件下で、
paは0〜12の整数であり;そして、
qaは0〜20の整数である。
【請求項7】
(b)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Ieの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化6】

式中、R100は5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基であり;そして、
IGはイオン性基である。
【請求項8】
(c)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Ifの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化7】

式中、R101は、5未満の炭素原子を有する部分フッ素化又は全フッ化アルコキシアルキレン基であり;そして、
IGはイオン性基である。
【請求項9】
(d)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Igの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化8】

式中、R102は部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基であり;
103が少なくとも3の炭素原子を有するアルキレン基であって、R102とR103の炭素の合計が少なくとも5であり;
IGはイオン性基である。
【請求項10】
(e)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Ihの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化9】

式中、R104は部分フッ素化メトキシ、ペルフルオロメトキシ又はエトキシ基であり;
103は請求項8における定義と同じであって、R104とR103の炭素の合計が少なくとも5であり;
IGはイオン性基である。
【請求項11】
(f)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Iiの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化10】

式中、R105及びR106は、互いに独立して、部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基を示し;
103は請求項8における定義と同じであって、R105,R106及びR103の炭素の合計が少なくとも7であり;
IGはイオン性基である。
【請求項12】
(g)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Ijの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化11】

式中、R107及びR108は、互いに独立して、水素、部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基を示し、これらの基の少なくとも1つは、部分フッ素化メチル、ペルフルオロメチル又はエチル基であり;
103は請求項8における定義と同じであって、R107,R108,R103及びフェニル基の炭素の合計が少なくとも10であり;そして、
IGはイオン性基である。
【請求項13】
(h)群のフッ素化界面活性剤が、一般式Ik及び/又はIlの化合物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物:
【化12】

【化13】

式中、R109は3価の脂肪族炭化水素基であり;
110及びR111は、互いに独立して、1〜4の炭素原子を有する部分フッ素化アルキル又はペルフルオロアルキル基を示し;
112は4価の脂肪族炭化水素基であり;そして、
nは少なくとも1、好ましくは1〜20の整数である。
【請求項14】
(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤に加えて、さらに、他の、イオン性及び/又は非イオン性及び/又は両性のフッ素化界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
シリコン含有非イオン性界面活性剤が、分子量が4000g/mol未満、特に350g/mol〜2000g/molの(ポリ)アルキレンオキシド基を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
シリコン含有非イオン性界面活性剤が、一般式II及び/又はIIIのオルガノシロキサン界面活性剤、又は、一般式IV,V及び/又はVIの有機カルボシラン界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物:
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

式中、R,R,R,R,R,R,R,R及びR10は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシを示し、これらは任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくはアルキル又はアルケニル、特にC−Cアルキルを示し;
a、b、c及びwは、互いに独立して、0〜100、好ましくは0〜75、特に好ましくは0〜35、最も好ましくは0〜15の整数であり;
vは、1〜100、好ましくは1〜15、最も好ましくは1〜6の整数であり;
a、b及びcの合計は、1〜300、好ましくは1〜50、特に好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜3であり;
vとwの合計は、1〜200、好ましくは2〜90であり;
uは、0又は1であり;
dは、1〜10、好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜3の整数であり;
jは、水素又はフッ素、好ましくは水素であり;
eは0又は1であり;
fとhは、互いに独立して2〜6の整数であり;
gとiは、互いに独立して、0〜30、好ましくは0〜15の整数であって、gとiの合計は、1〜60、好ましくは2〜30、特に好ましくは2〜15であり;
11は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくは水素又はメチルであり;
12,R13,R14,R15,R16及びR17は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくはアルキル又はアルケニル、特に好ましくはC−Cアルキルを示し;
kとqは、互いに独立して0又は1であり;
A1は炭素又はケイ素であり;
A2、A3及びA4は、互いに独立してC2d基であって、J及びdは、上記の意味を有し;
j、p及びlは、互いに独立して0又は1であり;
A5は2価の架橋基、特に−O−,−CO−O−又は−CO−であり;
18は、水素、アルキル、アルケニル又はアリールであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくは水素又はメチルであり;
20,R21,R22及びR23は、互いに独立して、水素、アルキル、アルキルオキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アルキルアリール及び/又はアルキルアリールオキシであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくはアルキル又はアルケニル、特にC−Cアルキルを示し;
BGは2価の架橋基であり;そして、
19及びR24は、互いに独立して水素、アルキル、アルケニル又はアリールであって、任意に部分又は全フッ素化されており、好ましくは水素又はメチルであり;
,R及びRの群、及び/又は、R,R及びRの群、及び/又は、R,R及びR10の群、及び/又は、R15,R16及びR17の群、及び/又は、R20及びR21の群、及び/又は、R22及びR23の群、及び/又は、R20,R21及びR22の群は、1つのみを水素とすることができるという規定を有し;
fとhは、与えられた定義の範囲内で、1つの分子内で異なる値でもよい。
【請求項17】
前記(ポリ)アルキレンオキシド基を少なくとも1つ含むシリコン含有界面活性剤が、一般式VII、VIII、IX又はXの化合物であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物:
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

式中、R25は水素、メチル、エチル、プロピル又はブチル、好ましくは水素又はメチルである。
【請求項18】
少なくとも1つの(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤に加えて、さらに、追加成分として、アルケニル基及び/又はアルキニル基含有ポリエーテル、及び/又は、ヒドロキシル−及び/又はアリールオキシ−及び/又はアリールアルコキシ−及び/又はアルコキシ−末端ポリエーテルを含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤に加えて、さらに、追加成分として、ポリオールを含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
追加成分として、アルケニル基及び/又はアルキニル基含有ポリエーテル、及び/又は、アリールオキシ−及び/又はアリールアルキルオキシ−及び/又はヒドロキシル−及び/又はアルコキシ−末端ポリエーテルを含むことを特徴とする請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリオールが、炭水化物、ポリビニルアルコール、脂肪族ジオール、トリオール、テトラオール、ペンタオール及び/又はヘキサオール及びこれらのポリオール2種以上の混合物の群より選択されることを特徴とする請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリオールが、ポリビニルアルコール、多糖、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセロール、アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパンアリルエーテル、デカンジオール、ノナンジオール、オクタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、ブタンジオール、プロパンジオール、エタンジオール、フラクトース、ブドウ糖、及びこれらのポリオール2種以上の混合物の群より選択され、特にグリセロールであることを特徴とする請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
前記アルケニル基含有ポリエーテルが一般式XIIの化合物であり、前記ヒドロキシル−末端及び/又はアルコキシ−末端ポリエーテルが一般式XIIIの化合物であることを特徴とする請求項18に記載の組成物:
【化23】

【化24】

式中、n2は2〜8、好ましくは2〜4の整数を示し;
m9は、3〜70000、好ましくは10〜2500の整数を示し;
31及びR32は、互いに独立して、水素、C−Cアルキル、特に水素、及び/又は、メチル、エチル又はプロピルを示し;そして、
31、R32、n2及びm9は、与えられた定義の範囲内で、1つの分子内で異なっていてもよい。
【請求項24】
他のフッ素化界面活性剤に対する(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤の質量比が、100:1〜1:100、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、10:1〜1:10、特に好ましくは、4:1〜1:5であることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項25】
(a)〜(h)群から選ばれるフッ素化界面活性剤に対するシリコン含有界面活性剤の質量比は、100:1〜1:100、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、10:1〜1:10、特に好ましくは、4:1〜1:5であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
付加反応によって架橋する有機ポリシロキサン多成分歯科用印象化合物であって、成分AとBを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物:
ここで、
(a)成分Aは、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機ポリシロキサンとヒドロシリル化触媒を含み;
(b)成分Bは、有機水素ポリシロキサンを含み;そして、
(c)成分A及び/又はBの少なくとも1つが、(a)〜(h)群から選択される1種のフッ素化界面活性剤及びシリコン含有非イオン性界面活性剤を含む。
【請求項27】
縮合反応によって架橋する有機ポリシロキサン多成分歯科用印象化合物であって、成分CとDを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物:
ここで、
(i)成分Cは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機ポリシロキサンを含み;
(j)成分Dは、珪酸エステル、ポリ珪酸エステル及び/又は少なくとも2つのアルコキシ基を有する有機ポリシロキサンと、縮合触媒とを含み;そして、
(k)成分C及び/又はDの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤及びシリコン含有非イオン性界面活性剤を含む。
【請求項28】
付加反応によって架橋するポリエーテル多成分歯科印象化合物であって、アルケニル基と成分EとFを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物:
ここで、
(l)成分Eは、架橋触媒を含み;
(m)成分Fは、アルケニル基を有する架橋性ポリエーテルと有機水素ポリシロキサン、及び/又は、SiHポリエーテルを含み;そして、
(n)成分E及び/又はFの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤及びシリコン含有非イオン性界面活性剤を含む。
【請求項29】
ポリエーテル多成分歯科印象化合物であって、アルコキシシリル基と成分GとHを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物:
ここで、
(o)成分Gは、アルコキシシリル基を有する架橋性ポリエーテルを含み;
(p)成分Hは、水を含み;そして、
(q)成分G及び/又はHの少なくとも1つが、触媒、及び、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤及びシリコン含有基を有する非イオン性界面活性剤を含む。
【請求項30】
多成分歯科印象化合物であって、成分IとJを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物:
ここで、
(r)成分Iが、アジリジノ基又はアルコキシシリル基を有する架橋性ポリエーテル又は開環メタセシス反応による架橋性基を有するポリエーテルを含み;
(s)成分Jが、触媒を含み;そして、
(t)成分I及び/又はJの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤及びシリコン含有基を有する非イオン性界面活性剤を含む。
【請求項31】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸の誘導基を有する架橋性ポリアルキレンエーテル、化学的又は放射線活性化開始剤、及び(a)〜(h)群の1種のフッ素化界面活性剤及びシリコン含有基を有する非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
ポリエーテル多成分歯科印象化合物であって、、開環メタセシス重合(ROMP)によって架橋できる基を含むポリエーテル、ポリシロキサン及び/又は合成ゴムと、成分KとLとを含むことを特徴とする請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物:
ここで、
(u)成分Kは、ROMPによって架橋できる基を有するポリエーテル、ポリシロキサン及び/又は合成ゴムを含み;
(v)成分Lは、ROMP架橋触媒を含み;そして、
(w)成分K及び/又はLの少なくとも1つが、(a)〜(h)群のフッ素化界面活性剤及びシリコン含有基を有する非イオン性界面活性剤を含む。
【請求項33】
フィラーを含有し、該フィラーの全組成物を基準とした総量が、好ましくは0.01〜80wt%、特に好ましくは0.05〜75wt%、最も好ましくは0.1〜70wt%であることを特徴とする請求項1〜32のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項34】
以下の添加物の1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜33のいずれか1項に記載の組成物:
バッファー塩、水捕捉剤、ペースト形成剤、追加界面活性剤、活性成分、可塑剤、光学スキャンイネーブリング材料、味及び/又は香り物質、診断イネーブリング材料、フッ素添加剤、漂白剤、結合促進剤、染料、指示薬、安定化剤(酸化防止剤)及び抗菌性物質。
【請求項35】
下記のものを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
(a)10〜85wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(b)1〜70wt%:SiH含有量が0.1〜15.0mmol/gの有機水素ポリシロキサン;
(c)0.0001〜2wt%:ヒドロシリル化触媒、特に、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイド;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤、阻害剤、アルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレートなどの添加剤及び補助剤;
(g)0.01〜10.0wt%:シロキサン部分構造に3〜7のケイ素原子を有する非イオン性ポリエーテルシロキサン界面活性剤、及び/又は、カルボシラン部分構造に1〜7のケイ素原子を有し、アルキレンオキシド含量が1〜20単位である非イオン性ポリエーテルカルボシラン界面活性剤である、少なくとも1の(ポリ)アルキレンオキシド基とシリコン含有基を有し、分子量が6000g/mol未満の非イオン性界面活性剤;及び、
(h)0.001〜10.0wt%:(a)〜(h)群から選択される少なくとも1つのフッ素化界面活性剤であって、界面活性剤(g)と(h)の比が、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、特に好ましくは10:1〜1:10、最も好ましくは5:1〜1:5のもの。
【請求項36】
さらに(i)0.1〜25wt%の分岐鎖もしくは直鎖のアルキル、ヒドロキシ、アルキニル及び/又はアルケニル末端のポリアルキレンエーテル及び/又はこれらの混合物を含み、オルガノポリシロキサン(a)とポリエーテル(i)の質量比が、好ましくは1:1〜80:1、より好ましくは1:1〜60:1、特に好ましくは1:1〜40:1、最も好ましくは1:1〜30:1であることを特徴とする請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
成分AとBを含む2成分の歯科用印象化合物であって、
Aは下記のものを含み、
(a)10〜80wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(c)0.0001〜2wt%:ヒドロシリル化触媒、特に、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイド;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;及び、
(j)0.001〜5.0wt%:アルキル、アリール、アラルキル基で覆われた非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート、シリコーン界面活性剤、ポリエーテルカルボシラン、カルボシラン界面活性剤、及びフッ素化界面活性剤、特に好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート、
また、Bは下記のものを含むことを特徴とする請求項36に記載の組成物:
(a)0.1〜70wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(b)1.2〜80wt%:SiH含有量が0.1〜15.0mmol/gの有機水素ポリシロキサン;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;
(g)0.01〜10.0wt%:シロキサン部分構造に3〜7のケイ素原子を有する非イオン性ポリエーテルシロキサン界面活性剤、及び/又は、カルボシラン部分構造に1〜7のケイ素原子を有し、アルキレンオキシド含量が1〜20単位である非イオン性ポリエーテルカルボシラン界面活性剤;
(h)0.001〜10.0wt%:(a)〜(h)群から選択される上記フッ素化界面活性剤であって、界面活性剤(g)と(h)の比が、好ましくは25:1〜1:25、より好ましくは20:1〜1:5、特に好ましくは10:1〜1:5、最も好ましくは5:1〜1:3のもの;及び、
(i)0.5〜50wt%:分岐鎖もしくは直鎖のアルキル、アルキニル及び/又はアルケニル及び/又はヒドロキシ末端の(ポリ)アルキレンエーテル及び/又はこれらの混合物であって、オルガノポリシロキサン(a)とポリエーテル(i)の質量比は、1:50〜50:1、好ましくは10:1〜1:10、特に好ましくは4:1〜1:5である。
【請求項38】
成分AとBを含む2成分の歯科用印象化合物であって、
Aは下記のものを含み、
(b)10〜80wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(c)0.01〜2wt%:ヒドロシリル化触媒、特に、第8族の遷移金属の塩、錯体又はコロイド;
(d)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(e)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(f)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;及び、
(j)0.001〜5.0wt%:アルキル、アリール、アラルキル基で覆われた非イオン性界面活性剤、好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート、シリコーン界面活性剤、ポリエーテルカルボシラン、カルボシラン界面活性剤、及びフッ素化界面活性剤、特に好ましくはアルキル基で覆われた脂肪族アルコールエトキシレート、
また、Bは下記のものを含むことを特徴とする請求項37に記載の組成物:
(c)0.1〜70wt%:少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリジアルキルシロキサン;
(d)1.2〜80wt%:SiH含有量が0.1〜15.0mmol/gの有機水素ポリシロキサン;
(e)0〜90wt%:BET表面積が50m/g未満の非補強充填剤;
(f)0.1〜50wt%:BET表面積が50m/g以上の補強充填剤;
(g)0〜20wt%:可塑剤、染料、安定化剤及び/又は阻害剤などの添加剤及び補助剤;
(h)0.01〜10.0wt%:シロキサン部分構造に3〜7のケイ素原子を有する非イオン性ポリエーテルシロキサン界面活性剤、及び/又は、カルボシラン部分構造に1〜7のケイ素原子を有し、アルキレンオキシド含量が1〜20単位である非イオン性ポリエーテルカルボシラン界面活性剤;
(i)0.001〜10.0wt%:(a)〜(h)群から選択される上記フッ素化界面活性剤であって、界面活性剤(g)と(h)の比が、好ましくは25:1〜1:25、より好ましくは20:1〜1:5、特に好ましくは10:1〜1:5、最も好ましくは5:1〜1:3のもの;及び、
(k)0.5〜50wt%:ポリオール又はポリオールの混合物であって、オルガノポリシロキサン(a)とポリオール(k)の質量比は、好ましくは1:50〜50:1、より好ましくは10:1〜1:10、特に好ましくは4:1〜1:5である。
【請求項39】
混合開始40秒後に測定された、水滴滴下後10秒の初期水滴接触角が低く、10°未満であることを特徴とする請求項1〜38のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
混合開始40秒後の水滴接触角が以下の値になることを特徴とする請求項39に記載の組成物:
滴下後0.25秒のとき、水滴接触角は<75°好ましくは<40°;滴下後0.5秒のとき、水滴接触角は<55°好ましくは<30°;滴下後1秒のとき、水滴接触角は<35°好ましくは<25°;滴下後2秒のとき、水滴接触角は<20°;そして、滴下後3秒のとき、水滴接触角は<10°である。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の組成物を混合することで得られる混合物。
【請求項42】
請求項1〜40のいずれか1項に記載の組成物を硬化することにより得られる硬化した印象材。
【請求項43】
少なくとも1つの(ポリ)アルキレンオキシド基を有する6000g/mol未満の分子量のシリコン含有非イオン性界面活性剤を少なくとも1種と、任意に別のフッ素化界面活性剤の少なくとも1種を併用した、請求項1に記載の(a)〜(h)群から選択される1種のフッ素化界面活性剤の、歯科用化合物、特に歯科用印象化合物の製造のための使用。
【請求項44】
請求項1〜33のいずれか1項に記載の組成物の、歯科用化合物、特に歯科用印象化合物の製造のための使用。

【公開番号】特開2010−270329(P2010−270329A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−108572(P2010−108572)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(503360193)ケッテンバッハ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (10)
【氏名又は名称原語表記】Kettenbach GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Im Heerfeld 7, D−35713 Eschenburg, Germany
【Fターム(参考)】