硬貨処理装置の制御方法
【課題】コインチューブ内から釣銭としての硬貨を最後の一枚まで迅速かつ確実に払い出すことができる硬貨処理装置の制御方法を提供する。
【解決手段】コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として使用可能な枚数か否かを判別するエンプティセンサ21と、該コインチューブからペイアウトスライド8により引き出された硬貨7aが硬貨払出位置に達するまでに前記硬貨7aの有無を検出する硬貨確認センサ21を配設し、前記硬貨払出位置に引き出された硬貨7aが前記ペイアウトスライド8より落下したことを前記硬貨確認センサ21により検出し、制御手段において、前記コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として払い出し可能か否かの判断を、前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用するようにした。
【解決手段】コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として使用可能な枚数か否かを判別するエンプティセンサ21と、該コインチューブからペイアウトスライド8により引き出された硬貨7aが硬貨払出位置に達するまでに前記硬貨7aの有無を検出する硬貨確認センサ21を配設し、前記硬貨払出位置に引き出された硬貨7aが前記ペイアウトスライド8より落下したことを前記硬貨確認センサ21により検出し、制御手段において、前記コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として払い出し可能か否かの判断を、前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等の機器内に配設された硬貨処理装置の制御方法に関し、特に硬貨処理装置のコインチューブ内に蓄積された硬貨を、釣銭として最後の一枚まで有効活用して払い出すことができるようにした硬貨処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動販売機の機器内部には、投入硬貨の真偽を判別するとともに、釣銭の額に応じた硬貨を払い出す硬貨処理装置が配設されている。
【0003】
この硬貨処理装置は、大別すると投入硬貨の正偽を判別し、正偽貨を選別する硬貨選別部と、正貨と見做された硬貨を蓄積収容する硬貨収容部と、この硬貨収容部内から釣銭の額に応じて硬貨を払い出す硬貨払出部とから構成されている。
【0004】
上述した各構成要素のうち、硬貨収容部は前記硬貨選別部により選別され、正貨と見做された各硬貨を金種別にそれぞれ収容する複数のコインチューブを有している。
【0005】
また硬貨払出部は、上述した硬貨収容部のコインチューブ下方に配設され、当該コインチューブの下端から硬貨を一枚ずつ引き出すペイアウトスライドと、このペイアウトスライド下方に配設され、当該ペイアウトスライドにより引き出された硬貨の落下払出を制御するチェンジスライドから構成されている。
【0006】
さらに、従来の硬貨処理装置には、釣銭を払い出す際、釣銭不足が発生するのを防止し、かつコインチューブ内に収容された硬貨を最後の一枚まで釣銭として払い出すため、例えば特許4072844号に開示されているように、ペイアウトスライドをコインチューブ内から引き出す際に、引き出したペイアウトスライド内に硬貨があるか否かを検知する硬貨確認センサが装置本体側に配設されている。
【0007】
この特許4072844号に開示されているものは、さらに、該センサの検出結果を記憶する記憶手段と、該記憶手段の記憶に基づき、前記ペイアウトスライドと前記チェンジスライドとを制御し、所望の硬貨の払い出しを行う制御手段とを具えており、釣銭として硬貨を実際に払い出す前に、硬貨を払い出すこと無くペイアウトスライドを一度作動させてペイアウトスライド内の硬貨の有無を検知することによって、各コインチューブ内に硬貨が有るのか否かを検出してその検出結果を記憶し、ペイアウトスライド内に硬貨が有ると判断された場合は、コインチューブ内から釣銭として最後の一枚の硬貨まで払い出すことができるようにしている。
【0008】
なお、ペイアウトスライド内に硬貨が存在すると記憶されている状態で硬貨を払い出す場合、ペイアウトスライドによって硬貨を引き出した際に、センサが該硬貨を検出したか否かに係わらず、ペイアウトスライドが動作したことによって該硬貨が払い出されたと見做し、減算処理を行うようにしている。
【0009】
上述した従来の硬貨処理装置によると、コインチューブ内の硬貨の有無を検出する際に、硬貨を払い出すことなくペイアウトスライドを一度往復させるため、硬貨を払い出すまでに、ペイアウトスライドを少なくとも二度往復させる必要があり、釣銭としての硬貨の払い出し作業を迅速に行うことができない虞がある。
【0010】
また、硬貨を払い出す際に、何らかの原因で硬貨が落下せず再びコインチューブ下端に硬貨が戻ってしまった場合でも、ペイアウトスライドに引き出された硬貨をセンサが検出するか否かに係わらず減算処理を行うため、硬貨が払い出されていないにも係わらず硬貨が払い出されたと見做される虞がある。
【0011】
上述したこれらの問題を解決する提案が特願2009−162817号に開示されている。
【0012】
この特願2009−162817号に開示されているものは、硬貨払出位置に引き出された硬貨が前記ペイアウトスライドより落下したことを、引き出された硬貨を硬貨確認センサにより検出し、制御手段において、該センサからの検出信号に基づいて硬貨が払い出しされたことを確認し、硬貨の有無の検出と硬貨の払い出しの確認とを、前記ペイアウトスライドが一往復する間に行うというものである。
【0013】
ところで、上述した硬貨処理装置では、従来と同様に、コインチューブは複数設けられていて、更に、それぞれのコインチューブ毎にその収容枚数が一定枚数以下となったか否かを検出するエンプティセンサが配設されている。
【0014】
このエンプティセンサの配設は、コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として使用可能な枚数か否かを判別するためのものである。
【0015】
特願2009−162817号に開示されているものは、ペイアウトスライドにより引き出された1枚の硬貨は検出できるが、コインチューブに収納されている硬貨枚数が1回の釣銭払出に使用可能な枚数か否かはエンプティセンサによるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許4072844号
【特許文献2】特願2009−162817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、エンプティセンサと硬貨確認センサとの両方を使用してコインチューブ内から釣銭としての硬貨を最後の一枚まで効果的に払い出すことができる硬貨処理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するため、本発明では、装置本体に配設された複数のコインチューブと、該コインチューブに配設されたエンプティセンサと、該コインチューブ下端位置に対応する初期位置と硬貨の払出位置に対応する硬貨払出位置との間を移動し、前記コインチューブの下端から硬貨を一枚ずつ引き出すペイアウトスライドと、該ペイアウトスライドにより引き出された硬貨の下面支持とその解除とを選択的に行って前記引き出された硬貨の払い出しと非払い出しとを制御するチェンジスライドと、前記ペイアウトスライドにより引き出された硬貨が前記硬貨払出位置に達するまでに前記硬貨の有無を検出するセンサと、前記ペイアウトスライドおよび前記チェンジスライドを制御して所望の硬貨の払い出しを行う制御手段とを有する硬貨処理装置の制御方法において、
前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサとの出力に基づいて、前記コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として払い出し可能か否かを判断し、硬貨が釣銭として払い出されたことを確認するようにし、特に前記エンプティセンサがOFFになる前となった後での前記コインチューブ内の硬貨が釣銭として払い出し可能か否かの判断を、前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用するようにしている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の硬貨処理装置の制御方法によれば、前記エンプティセンサ出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用して、前記エンプティセンサがOFFになる前となった後での前記コインチューブ内の硬貨が釣銭として払い出し可能か否かの判断をするようにしたので、前記コインチューブ内から釣銭としての硬貨を最後の一枚まで効果的に払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明に係わる硬貨処理装置の要部破断概念断面図。
【図2】図2は図1に示した硬貨処理装置の制御系の概略構成を示すブロック図。
【図3】図3は払出硬貨の硬貨払出動作を示す要部破断概念断面図。
【図4】図4は非払出硬貨の硬貨払出動作を示す要部破断概念断面図。
【図5】図5は払出硬貨の硬貨検出動作を示す要部破断概念断面図。
【図6】図6は払出硬貨の落下払出を示す要部破断概念断面図。
【図7】図7は非払出硬貨の硬貨検出動作を示す要部破断概念断面図。
【図8】図8は払出硬貨の硬貨検出動作と硬貨払出確認動作とを説明するフローチャート。
【図9】図9は非払出硬貨の硬貨検出動作を説明するフローチャート。
【図10】図10は本発明を用いた釣銭払出の概念図。
【図11】図11は図10からエンプティセンサの数を減らした場合の釣銭払出概念図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係わる硬貨処理装置の制御方法を詳述する。
【0022】
図1は、本発明に係わる硬貨処理装置1の構成を示す要部破断概念断面図で、特に正貨と見做された硬貨を蓄積収容する硬貨収容部2と、この硬貨収容部2内から釣り銭の額に応じて硬貨を払い出す硬貨払出部3とを概念的に示したものである。
また、図2は、図1に示す硬貨処理装置1の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
図1において、前記硬貨収容部2は、筐体からなる装置本体4に、金種毎に用意された複数本のコインチューブ5からなる硬貨収容部2が着脱自在に装着されている。
【0024】
そして、この各コインチューブ5の下端5aと、この各コインチューブ5の下方に固着されたコインベース6との間には、コインチューブ5内に蓄積収容された硬貨7を一枚ずつ引き出すペイアウトスライド8がスライド自在に支承されている。なお、このペイアウトスライド8にはコインチューブ5内に収容された硬貨7を一枚だけ収容する硬貨収容孔8aが形成されている。
【0025】
一方、前記硬貨払出し部3は、装置本体4の下部に配設され、図2に示す硬貨払出モータ30により回動する円板形状のペイアウトカム9と、このペイアウトカム9に連動して図面左右方向へ往復スライド移動するペイアウトリンク10と、このペイアウトリンク10下面の各コインチューブ5に配設され、ペイアウトスライド8により引き出された硬貨の下面支持とその解除とを選択的に行って硬貨の払い出しと非払い出しとを制御する複数本のチェンジスライド11とから構成されている。
【0026】
そして、前記各チェンジスライド11の後端には、当該チェンジスライド11の駆動を制御する払出硬貨選択ソレノイド12がそれぞれ配設され、上述した硬貨払出モータ30および前記払出硬貨選択ソレノイド12は、硬貨払出指令等に基づき図2に示す硬貨払出制御部100により制御される。
【0027】
なお、前記ペイアウトリンク10と前記ペイアウトスライド8は硬貨収容部2を装置本体4に装着した際に互いに凹凸嵌着して連結され、前記ペイアウトスライド8は、前記ペイアウトリンク10を介し前記ペイアウトカム9に連動して図面左右方向へ往復スライド移動するようにしている。
【0028】
また、前記装置本体4の下方で、前記ペイアウトスライド8と対向する位置には、引き出されたペイアウトスライド8の硬貨収容孔8a内に硬貨7が存在しかつ払い出される状態にあること、さらに該硬貨7を払い出したことを検出する硬貨確認センサ21が配設されている。
【0029】
ここで硬貨確認センサ21により硬貨収容孔8a内の硬貨7の存在が検出された場合、または、払い出された場合は、その情報が硬貨払出制御部100の硬貨検出記憶部101に記憶される。
【0030】
次に、上述した硬貨処理装置1の硬貨払出動作について説明する。
この硬貨処理装置1からの硬貨払出動作は、少なくとも一種の硬貨を釣銭として払い出す場合に行われ、図2に示す硬貨払出制御部100により制御される。
【0031】
硬貨払出制御部100からの指令に応じて、硬貨払出モータ30によりペイアウトカム9を回転させ、同時に払い出しを行う硬貨7が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12を駆動させる。
【0032】
ペイアウトカム9が回転すると、図3および図4に示すように、ペイアウトリンク10を介しペイアウトスライド8が図面右側へ移動して、同時に収容孔8a内の硬貨7aを硬貨払出位置まで移動させる。この際、各コインチューブ5内に積層された硬貨7の最下層の硬貨7aが、複数のコインチューブ5から同時に一枚ずつ引き出される。
【0033】
払出硬貨が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12は、硬貨払出制御部100からの指令に応じてONされ、図3に示すように、当該払出硬貨選択ソレノイド12とチェンジスライド11の係合が解除される。払出硬貨選択ソレノイド12がONされた状態でペイアウトカム9が回転すると、ペイアウトスライド8が図面右側へ移動するとともに、ペイアウトリンク10を介してチェンジスライド11も図面の右側へ移動するので、硬貨収容孔8a内の硬貨7はチェンジスライド11により下面が支承されず、したがって当該硬貨7aは下方へ落下し、釣銭硬貨として払い出されることとなる。
【0034】
一方、非払出硬貨が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12はOFFに維持されるので、図4に示すように、ペイアウトカム9が回転し、ペイアウトスライド8が図面右側へ移動しても、チェンジスライド11は払出硬貨選択ソレノイド12に係合され初期状態を維持し、このためチェンジスライド11は硬貨収容孔8aの下面に進出して、その内部に収容されている硬貨7aの落下を規制する。
【0035】
このように、硬貨払出制御部100からの指令に応じて、払い出しを行う硬貨7が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12を駆動させ、ペイアウトスライド8とともに特定のチェンジスライド11をスライドすることによって、特定の金種の硬貨のみを払い出すようにしており、さらに複数の払出硬貨選択ソレノイド12を駆動させ、チェンジスライド11をスライドすることによって、一度の払出動作で複数金種の硬貨を払い出すようにしている。なお、硬貨の払い出し動作は、必要な枚数の硬貨が払い出されるまで繰り返し行う。
【0036】
次に、上述した硬貨処理装置1の硬貨検出動作および硬貨払出確認動作について説明し、併せて構成をより詳細に説明する。
硬貨処理装置1は、硬貨払出動作時に、払出硬貨および非払出硬貨の硬貨検出動作と、払出硬貨の硬貨払出確認動作とを行う。
【0037】
図8は釣銭の払出動作時に行われる、払出硬貨の硬貨検出動作と硬貨払出確認動作とを説明するフローチャートである。
釣銭の払い出しに際して、まず、図2に示す硬貨払出制御部100は、払出硬貨の決定を行う(ステップ1001)。
【0038】
この払出硬貨の決定では、エンプティセンサ13(図1参照)が硬貨を検出しているコインチューブ5を認識し、払出対象とするコインチューブ5の決定も含む。
【0039】
コインチューブ5は金種毎に配設されていて、エンプティセンサ13は前述したようにコインチューブ5内の硬貨収容枚数が一定枚数以上である時に収容されている硬貨を検出するので、エンプティセンサ13が硬貨を検出しているコインチューブ5は、釣銭として払い出せる金種と枚数が収納されていると認識することができ、払出対象となるコインチューブを決定することができる。
【0040】
このように、釣銭払出硬貨を決定すると、硬貨払出制御部100は、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトカム9を駆動させるとともに、払い出しを行うコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12をONに駆動させ、ペイアウトスライド8と払い出しを行うコインチューブ5に対応するチェンジスライド11とを、図5に示すように、硬貨検出位置へ動作させる(ステップ1002)。
【0041】
前記ペイアウトスライド8の硬貨収容孔8aが、硬貨確認センサ21の下方を通過し、前記硬貨収容孔8a内の硬貨7aが硬貨確認センサ21の検出可能な領域に進入すると、前記硬貨確認センサ21が前記硬貨7aを検出する(ステップ1003)。なお、この検出信号は、図2に示す硬貨払出制御部100に伝達され、硬貨検出記憶部101に記憶される。
さらに、硬貨払出制御部100は、図6に示すように硬貨払出位置までペイアウトスライド8を動作させる(ステップ1004)。
【0042】
硬貨7aの図面左端は、コインベース6にその下面が支承されず、したがって前記硬貨7aは下方へ落下する。該硬貨7aが前記硬貨確認センサ21から遠ざかると、該硬貨確認センサ21は硬貨の落下を検出する(ステップ1005)。なお、この払出確認信号が前記硬貨払出制御部100に伝達されると、前記硬貨払出制御部100は、硬貨7aが払い出されたと見做して減算処理を行う。
その後、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトスライド8を図1に示す初期位置まで移動し(ステップ1006)、硬貨払出動作を終了する。
【0043】
一方、図9は釣銭の払出動作時に行われる、非払出硬貨の硬貨検出動作を説明するフローチャートである。
釣銭の払い出しに際して、まず、払出硬貨と同様に、図2に示す硬貨払出制御部100は、払出硬貨の決定を行い(ステップ1101)、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトカム9を駆動させるとともに、払い出しを行うコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12をONに駆動させ、ペイアウトスライド8と払い出しを行うコインチューブ5に対応するチェンジスライド11とを動作させる。
【0044】
ここで、非払出硬貨に対応する払出硬貨選択ソレノイド12はOFFに制御されるので、図7に示すように、チェンジスライド11を初期位置に維持したまま、ペイアウトスライド8を、硬貨検出位置へ動作させる(ステップ1102)。
【0045】
前記ペイアウトスライド8の硬貨収容孔8aが、硬貨確認センサ21の下方を通過し、前記硬貨収容孔8a内の硬貨7aが硬貨確認センサ21の検出可能な領域に進入すると、前記硬貨確認センサ21が前記硬貨7aを検出する(ステップ1103)。なお、この検出信号は、図2に示す硬貨払出制御部100に伝達され、硬貨検出記憶部101に記憶される。
【0046】
さらに、硬貨払出制御部100は、図4に示すように硬貨払出位置までペイアウトスライド8を動作させる(ステップ1104)。この際、チェンジスライド11により硬貨7aの下面は支承され、その落下を規制される。
その後、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトスライド8を図1に示す初期位置まで移動し(ステップ1106)、硬貨払出動作を終了する。
【0047】
なお、ステップ1103にて検出された該金種の硬貨が存在するという情報は、硬貨払出制御部100内の硬貨検出記憶部101に記憶されたままであるので、以降の硬貨払出の際に、該コインチューブ5の硬貨1枚は釣銭として使用できるようにしている。
【0048】
次に、上記のようにコインチューブ毎に行われる払出動作を複数のコインチューブからの釣銭払出として説明する。
【0049】
図10は、硬貨処理装置の硬貨収容部を正面視した時の概略図であり、880円の釣銭を払い出す場合の概念図である。
尚、エンプティセンサ13と硬貨確認センサ21は、すべてのコインチューブ5に配設されているものとする。
【0050】
図10の状態は、500円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、50円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブには、エンプティセンサ13で検知可能な枚数以上の各硬貨が収容されていて、補助チューブには硬貨が収容されていないという状態である。
【0051】
この状態で、1回のペイアウトスライド11の動作で硬貨を3枚まで払い出すものとし、先ず1回目は500円硬貨1枚と100円硬貨1枚と10円硬貨1枚の計3枚を払い出し、2回目は100円硬貨1枚、10円硬貨1枚、50円硬貨1枚の計3枚を払い出し、3回目は100円硬貨1枚と10円硬貨1枚の計2枚を払い出すことで、合計880円となる払い出しを行う。
【0052】
すなわち、エンプティセンサ13が硬貨を検知している全てのコインチューブ(51〜55)が払出対象コインチューブであり、ペイアウトスライド11によって移動された硬貨を硬貨確認センサ21で検知して、各払出対象コインチューブ毎に必要な枚数だけ払い出しを行うのである。
【0053】
図10の場合の払い出しを続けていくと、100円収容チューブと10円収容チューブのエンプティセンサが他のコインチューブのエンプティセンサよりも早くOFFとなり、釣銭切れ状態となるところであるが、エンプティセンサがOFFになった時に何枚の硬貨が収容されているか予めわかっており、更に硬貨確認センサで払い出す硬貨の枚数が計数できるので、コインチューブから釣銭としての硬貨を最後の一枚まで効果的に払い出すことができる。
【0054】
図11は、図10と同様に硬貨処理装置の硬貨収容部を正面視した時の概略図であるが、一部のコインチューブにはエンプティセンサが無い場合に880円の釣銭を払い出す場合の概念図である。
尚、図11では、エンプティセンサが無いコインチューブを50円硬貨収容チューブと補助チューブの2つとしている。
【0055】
図11の状態は、100円硬貨、10円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブにはエンプティセンサ13で検知可能な枚数以上の各硬貨が収容されていて、500円硬貨、50円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブ(51、54)にはエンプティセンサ13で検知可能な枚数以下の枚数の硬貨が収容されていて、補助チューブ55には硬貨が収容されていないという状態である。
【0056】
この状態で、図10の時と同様に、1回のペイアウトスライド11の動作で硬貨を3枚まで払い出すものとし、先ず1回目は100円硬貨1枚と10円硬貨1枚の計2枚を払い出し、2回目は500円硬貨1枚と100円硬貨1枚、10円硬貨1枚の計3枚を払い出し、3回目は100円硬貨1枚と10円硬貨1枚、50円硬貨1枚の計3枚を払い出すことで、合計880円となる払い出しを行う。
【0057】
すなわち、エンプティセンサ13が硬貨を検知している100円硬貨、10円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブ(52、53)を先ず払出対象コインチューブとし、そこから100円硬貨1枚と10円硬貨1枚を払い出し、その払出動作時に、エンプティセンサ13が検知していない500円硬貨収容チューブ51と、エンプティセンサが配設されていない50円硬貨収容チューブ54と補助チューブ55での硬貨確認センサ21の出力を記憶して、硬貨確認センサ21が検出した500円硬貨、50円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブ(51、54)を2回目以降の払出対象コインチューブとして、各払出対象コインチューブ毎に必要な枚数だけ払い出しを行うのである。
【0058】
図11と図10の状態とを比較すると、図11の場合はエンプティセンサの数が少なくなっている。
【0059】
このように、エンプティセンサと硬貨確認センサの組み合わせは、コインチューブ毎に必ず必要であるというものではなく、低額な硬貨を収容するコインチューブにエンプティセンサが配設されていればよい。
【0060】
低額な硬貨を収容するコインチューブにエンプティセンサが配設されていれば、エンプティセンサの無いコインチューブが空になるまで払い出しを行っても低額なコインチューブからの代替払出が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、コインチューブ内から釣銭としての硬貨を最後の一枚まで迅速かつ確実に払い出すようにした硬貨処理装置の制御方法に適している。
【符号の説明】
【0062】
1 硬貨処理装置
2 硬貨収容部
3 硬貨払出部
4 装置本体
5 コインチューブ
6 コインベース
7 硬貨
8 ペイアウトスライド
9 ペイアウトカム
10 ペイアウトリンク
11 チェンジスライド
12 払出硬貨選択ソレノイド
13 エンプティセンサ
21 硬貨確認センサ
30 硬貨払出モータ
51 500円硬貨収容チューブ
52 100円硬貨収容チューブ
53 10円硬貨収容チューブ
54 50円硬貨収容チューブ
55 補助チューブ
100 硬貨払出制御部
101 硬貨検出記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等の機器内に配設された硬貨処理装置の制御方法に関し、特に硬貨処理装置のコインチューブ内に蓄積された硬貨を、釣銭として最後の一枚まで有効活用して払い出すことができるようにした硬貨処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動販売機の機器内部には、投入硬貨の真偽を判別するとともに、釣銭の額に応じた硬貨を払い出す硬貨処理装置が配設されている。
【0003】
この硬貨処理装置は、大別すると投入硬貨の正偽を判別し、正偽貨を選別する硬貨選別部と、正貨と見做された硬貨を蓄積収容する硬貨収容部と、この硬貨収容部内から釣銭の額に応じて硬貨を払い出す硬貨払出部とから構成されている。
【0004】
上述した各構成要素のうち、硬貨収容部は前記硬貨選別部により選別され、正貨と見做された各硬貨を金種別にそれぞれ収容する複数のコインチューブを有している。
【0005】
また硬貨払出部は、上述した硬貨収容部のコインチューブ下方に配設され、当該コインチューブの下端から硬貨を一枚ずつ引き出すペイアウトスライドと、このペイアウトスライド下方に配設され、当該ペイアウトスライドにより引き出された硬貨の落下払出を制御するチェンジスライドから構成されている。
【0006】
さらに、従来の硬貨処理装置には、釣銭を払い出す際、釣銭不足が発生するのを防止し、かつコインチューブ内に収容された硬貨を最後の一枚まで釣銭として払い出すため、例えば特許4072844号に開示されているように、ペイアウトスライドをコインチューブ内から引き出す際に、引き出したペイアウトスライド内に硬貨があるか否かを検知する硬貨確認センサが装置本体側に配設されている。
【0007】
この特許4072844号に開示されているものは、さらに、該センサの検出結果を記憶する記憶手段と、該記憶手段の記憶に基づき、前記ペイアウトスライドと前記チェンジスライドとを制御し、所望の硬貨の払い出しを行う制御手段とを具えており、釣銭として硬貨を実際に払い出す前に、硬貨を払い出すこと無くペイアウトスライドを一度作動させてペイアウトスライド内の硬貨の有無を検知することによって、各コインチューブ内に硬貨が有るのか否かを検出してその検出結果を記憶し、ペイアウトスライド内に硬貨が有ると判断された場合は、コインチューブ内から釣銭として最後の一枚の硬貨まで払い出すことができるようにしている。
【0008】
なお、ペイアウトスライド内に硬貨が存在すると記憶されている状態で硬貨を払い出す場合、ペイアウトスライドによって硬貨を引き出した際に、センサが該硬貨を検出したか否かに係わらず、ペイアウトスライドが動作したことによって該硬貨が払い出されたと見做し、減算処理を行うようにしている。
【0009】
上述した従来の硬貨処理装置によると、コインチューブ内の硬貨の有無を検出する際に、硬貨を払い出すことなくペイアウトスライドを一度往復させるため、硬貨を払い出すまでに、ペイアウトスライドを少なくとも二度往復させる必要があり、釣銭としての硬貨の払い出し作業を迅速に行うことができない虞がある。
【0010】
また、硬貨を払い出す際に、何らかの原因で硬貨が落下せず再びコインチューブ下端に硬貨が戻ってしまった場合でも、ペイアウトスライドに引き出された硬貨をセンサが検出するか否かに係わらず減算処理を行うため、硬貨が払い出されていないにも係わらず硬貨が払い出されたと見做される虞がある。
【0011】
上述したこれらの問題を解決する提案が特願2009−162817号に開示されている。
【0012】
この特願2009−162817号に開示されているものは、硬貨払出位置に引き出された硬貨が前記ペイアウトスライドより落下したことを、引き出された硬貨を硬貨確認センサにより検出し、制御手段において、該センサからの検出信号に基づいて硬貨が払い出しされたことを確認し、硬貨の有無の検出と硬貨の払い出しの確認とを、前記ペイアウトスライドが一往復する間に行うというものである。
【0013】
ところで、上述した硬貨処理装置では、従来と同様に、コインチューブは複数設けられていて、更に、それぞれのコインチューブ毎にその収容枚数が一定枚数以下となったか否かを検出するエンプティセンサが配設されている。
【0014】
このエンプティセンサの配設は、コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として使用可能な枚数か否かを判別するためのものである。
【0015】
特願2009−162817号に開示されているものは、ペイアウトスライドにより引き出された1枚の硬貨は検出できるが、コインチューブに収納されている硬貨枚数が1回の釣銭払出に使用可能な枚数か否かはエンプティセンサによるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許4072844号
【特許文献2】特願2009−162817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、エンプティセンサと硬貨確認センサとの両方を使用してコインチューブ内から釣銭としての硬貨を最後の一枚まで効果的に払い出すことができる硬貨処理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するため、本発明では、装置本体に配設された複数のコインチューブと、該コインチューブに配設されたエンプティセンサと、該コインチューブ下端位置に対応する初期位置と硬貨の払出位置に対応する硬貨払出位置との間を移動し、前記コインチューブの下端から硬貨を一枚ずつ引き出すペイアウトスライドと、該ペイアウトスライドにより引き出された硬貨の下面支持とその解除とを選択的に行って前記引き出された硬貨の払い出しと非払い出しとを制御するチェンジスライドと、前記ペイアウトスライドにより引き出された硬貨が前記硬貨払出位置に達するまでに前記硬貨の有無を検出するセンサと、前記ペイアウトスライドおよび前記チェンジスライドを制御して所望の硬貨の払い出しを行う制御手段とを有する硬貨処理装置の制御方法において、
前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサとの出力に基づいて、前記コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として払い出し可能か否かを判断し、硬貨が釣銭として払い出されたことを確認するようにし、特に前記エンプティセンサがOFFになる前となった後での前記コインチューブ内の硬貨が釣銭として払い出し可能か否かの判断を、前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用するようにしている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の硬貨処理装置の制御方法によれば、前記エンプティセンサ出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用して、前記エンプティセンサがOFFになる前となった後での前記コインチューブ内の硬貨が釣銭として払い出し可能か否かの判断をするようにしたので、前記コインチューブ内から釣銭としての硬貨を最後の一枚まで効果的に払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明に係わる硬貨処理装置の要部破断概念断面図。
【図2】図2は図1に示した硬貨処理装置の制御系の概略構成を示すブロック図。
【図3】図3は払出硬貨の硬貨払出動作を示す要部破断概念断面図。
【図4】図4は非払出硬貨の硬貨払出動作を示す要部破断概念断面図。
【図5】図5は払出硬貨の硬貨検出動作を示す要部破断概念断面図。
【図6】図6は払出硬貨の落下払出を示す要部破断概念断面図。
【図7】図7は非払出硬貨の硬貨検出動作を示す要部破断概念断面図。
【図8】図8は払出硬貨の硬貨検出動作と硬貨払出確認動作とを説明するフローチャート。
【図9】図9は非払出硬貨の硬貨検出動作を説明するフローチャート。
【図10】図10は本発明を用いた釣銭払出の概念図。
【図11】図11は図10からエンプティセンサの数を減らした場合の釣銭払出概念図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係わる硬貨処理装置の制御方法を詳述する。
【0022】
図1は、本発明に係わる硬貨処理装置1の構成を示す要部破断概念断面図で、特に正貨と見做された硬貨を蓄積収容する硬貨収容部2と、この硬貨収容部2内から釣り銭の額に応じて硬貨を払い出す硬貨払出部3とを概念的に示したものである。
また、図2は、図1に示す硬貨処理装置1の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
図1において、前記硬貨収容部2は、筐体からなる装置本体4に、金種毎に用意された複数本のコインチューブ5からなる硬貨収容部2が着脱自在に装着されている。
【0024】
そして、この各コインチューブ5の下端5aと、この各コインチューブ5の下方に固着されたコインベース6との間には、コインチューブ5内に蓄積収容された硬貨7を一枚ずつ引き出すペイアウトスライド8がスライド自在に支承されている。なお、このペイアウトスライド8にはコインチューブ5内に収容された硬貨7を一枚だけ収容する硬貨収容孔8aが形成されている。
【0025】
一方、前記硬貨払出し部3は、装置本体4の下部に配設され、図2に示す硬貨払出モータ30により回動する円板形状のペイアウトカム9と、このペイアウトカム9に連動して図面左右方向へ往復スライド移動するペイアウトリンク10と、このペイアウトリンク10下面の各コインチューブ5に配設され、ペイアウトスライド8により引き出された硬貨の下面支持とその解除とを選択的に行って硬貨の払い出しと非払い出しとを制御する複数本のチェンジスライド11とから構成されている。
【0026】
そして、前記各チェンジスライド11の後端には、当該チェンジスライド11の駆動を制御する払出硬貨選択ソレノイド12がそれぞれ配設され、上述した硬貨払出モータ30および前記払出硬貨選択ソレノイド12は、硬貨払出指令等に基づき図2に示す硬貨払出制御部100により制御される。
【0027】
なお、前記ペイアウトリンク10と前記ペイアウトスライド8は硬貨収容部2を装置本体4に装着した際に互いに凹凸嵌着して連結され、前記ペイアウトスライド8は、前記ペイアウトリンク10を介し前記ペイアウトカム9に連動して図面左右方向へ往復スライド移動するようにしている。
【0028】
また、前記装置本体4の下方で、前記ペイアウトスライド8と対向する位置には、引き出されたペイアウトスライド8の硬貨収容孔8a内に硬貨7が存在しかつ払い出される状態にあること、さらに該硬貨7を払い出したことを検出する硬貨確認センサ21が配設されている。
【0029】
ここで硬貨確認センサ21により硬貨収容孔8a内の硬貨7の存在が検出された場合、または、払い出された場合は、その情報が硬貨払出制御部100の硬貨検出記憶部101に記憶される。
【0030】
次に、上述した硬貨処理装置1の硬貨払出動作について説明する。
この硬貨処理装置1からの硬貨払出動作は、少なくとも一種の硬貨を釣銭として払い出す場合に行われ、図2に示す硬貨払出制御部100により制御される。
【0031】
硬貨払出制御部100からの指令に応じて、硬貨払出モータ30によりペイアウトカム9を回転させ、同時に払い出しを行う硬貨7が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12を駆動させる。
【0032】
ペイアウトカム9が回転すると、図3および図4に示すように、ペイアウトリンク10を介しペイアウトスライド8が図面右側へ移動して、同時に収容孔8a内の硬貨7aを硬貨払出位置まで移動させる。この際、各コインチューブ5内に積層された硬貨7の最下層の硬貨7aが、複数のコインチューブ5から同時に一枚ずつ引き出される。
【0033】
払出硬貨が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12は、硬貨払出制御部100からの指令に応じてONされ、図3に示すように、当該払出硬貨選択ソレノイド12とチェンジスライド11の係合が解除される。払出硬貨選択ソレノイド12がONされた状態でペイアウトカム9が回転すると、ペイアウトスライド8が図面右側へ移動するとともに、ペイアウトリンク10を介してチェンジスライド11も図面の右側へ移動するので、硬貨収容孔8a内の硬貨7はチェンジスライド11により下面が支承されず、したがって当該硬貨7aは下方へ落下し、釣銭硬貨として払い出されることとなる。
【0034】
一方、非払出硬貨が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12はOFFに維持されるので、図4に示すように、ペイアウトカム9が回転し、ペイアウトスライド8が図面右側へ移動しても、チェンジスライド11は払出硬貨選択ソレノイド12に係合され初期状態を維持し、このためチェンジスライド11は硬貨収容孔8aの下面に進出して、その内部に収容されている硬貨7aの落下を規制する。
【0035】
このように、硬貨払出制御部100からの指令に応じて、払い出しを行う硬貨7が積層されたコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12を駆動させ、ペイアウトスライド8とともに特定のチェンジスライド11をスライドすることによって、特定の金種の硬貨のみを払い出すようにしており、さらに複数の払出硬貨選択ソレノイド12を駆動させ、チェンジスライド11をスライドすることによって、一度の払出動作で複数金種の硬貨を払い出すようにしている。なお、硬貨の払い出し動作は、必要な枚数の硬貨が払い出されるまで繰り返し行う。
【0036】
次に、上述した硬貨処理装置1の硬貨検出動作および硬貨払出確認動作について説明し、併せて構成をより詳細に説明する。
硬貨処理装置1は、硬貨払出動作時に、払出硬貨および非払出硬貨の硬貨検出動作と、払出硬貨の硬貨払出確認動作とを行う。
【0037】
図8は釣銭の払出動作時に行われる、払出硬貨の硬貨検出動作と硬貨払出確認動作とを説明するフローチャートである。
釣銭の払い出しに際して、まず、図2に示す硬貨払出制御部100は、払出硬貨の決定を行う(ステップ1001)。
【0038】
この払出硬貨の決定では、エンプティセンサ13(図1参照)が硬貨を検出しているコインチューブ5を認識し、払出対象とするコインチューブ5の決定も含む。
【0039】
コインチューブ5は金種毎に配設されていて、エンプティセンサ13は前述したようにコインチューブ5内の硬貨収容枚数が一定枚数以上である時に収容されている硬貨を検出するので、エンプティセンサ13が硬貨を検出しているコインチューブ5は、釣銭として払い出せる金種と枚数が収納されていると認識することができ、払出対象となるコインチューブを決定することができる。
【0040】
このように、釣銭払出硬貨を決定すると、硬貨払出制御部100は、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトカム9を駆動させるとともに、払い出しを行うコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12をONに駆動させ、ペイアウトスライド8と払い出しを行うコインチューブ5に対応するチェンジスライド11とを、図5に示すように、硬貨検出位置へ動作させる(ステップ1002)。
【0041】
前記ペイアウトスライド8の硬貨収容孔8aが、硬貨確認センサ21の下方を通過し、前記硬貨収容孔8a内の硬貨7aが硬貨確認センサ21の検出可能な領域に進入すると、前記硬貨確認センサ21が前記硬貨7aを検出する(ステップ1003)。なお、この検出信号は、図2に示す硬貨払出制御部100に伝達され、硬貨検出記憶部101に記憶される。
さらに、硬貨払出制御部100は、図6に示すように硬貨払出位置までペイアウトスライド8を動作させる(ステップ1004)。
【0042】
硬貨7aの図面左端は、コインベース6にその下面が支承されず、したがって前記硬貨7aは下方へ落下する。該硬貨7aが前記硬貨確認センサ21から遠ざかると、該硬貨確認センサ21は硬貨の落下を検出する(ステップ1005)。なお、この払出確認信号が前記硬貨払出制御部100に伝達されると、前記硬貨払出制御部100は、硬貨7aが払い出されたと見做して減算処理を行う。
その後、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトスライド8を図1に示す初期位置まで移動し(ステップ1006)、硬貨払出動作を終了する。
【0043】
一方、図9は釣銭の払出動作時に行われる、非払出硬貨の硬貨検出動作を説明するフローチャートである。
釣銭の払い出しに際して、まず、払出硬貨と同様に、図2に示す硬貨払出制御部100は、払出硬貨の決定を行い(ステップ1101)、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトカム9を駆動させるとともに、払い出しを行うコインチューブ5に対応する払出硬貨選択ソレノイド12をONに駆動させ、ペイアウトスライド8と払い出しを行うコインチューブ5に対応するチェンジスライド11とを動作させる。
【0044】
ここで、非払出硬貨に対応する払出硬貨選択ソレノイド12はOFFに制御されるので、図7に示すように、チェンジスライド11を初期位置に維持したまま、ペイアウトスライド8を、硬貨検出位置へ動作させる(ステップ1102)。
【0045】
前記ペイアウトスライド8の硬貨収容孔8aが、硬貨確認センサ21の下方を通過し、前記硬貨収容孔8a内の硬貨7aが硬貨確認センサ21の検出可能な領域に進入すると、前記硬貨確認センサ21が前記硬貨7aを検出する(ステップ1103)。なお、この検出信号は、図2に示す硬貨払出制御部100に伝達され、硬貨検出記憶部101に記憶される。
【0046】
さらに、硬貨払出制御部100は、図4に示すように硬貨払出位置までペイアウトスライド8を動作させる(ステップ1104)。この際、チェンジスライド11により硬貨7aの下面は支承され、その落下を規制される。
その後、硬貨払出モータ30を制御してペイアウトスライド8を図1に示す初期位置まで移動し(ステップ1106)、硬貨払出動作を終了する。
【0047】
なお、ステップ1103にて検出された該金種の硬貨が存在するという情報は、硬貨払出制御部100内の硬貨検出記憶部101に記憶されたままであるので、以降の硬貨払出の際に、該コインチューブ5の硬貨1枚は釣銭として使用できるようにしている。
【0048】
次に、上記のようにコインチューブ毎に行われる払出動作を複数のコインチューブからの釣銭払出として説明する。
【0049】
図10は、硬貨処理装置の硬貨収容部を正面視した時の概略図であり、880円の釣銭を払い出す場合の概念図である。
尚、エンプティセンサ13と硬貨確認センサ21は、すべてのコインチューブ5に配設されているものとする。
【0050】
図10の状態は、500円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、50円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブには、エンプティセンサ13で検知可能な枚数以上の各硬貨が収容されていて、補助チューブには硬貨が収容されていないという状態である。
【0051】
この状態で、1回のペイアウトスライド11の動作で硬貨を3枚まで払い出すものとし、先ず1回目は500円硬貨1枚と100円硬貨1枚と10円硬貨1枚の計3枚を払い出し、2回目は100円硬貨1枚、10円硬貨1枚、50円硬貨1枚の計3枚を払い出し、3回目は100円硬貨1枚と10円硬貨1枚の計2枚を払い出すことで、合計880円となる払い出しを行う。
【0052】
すなわち、エンプティセンサ13が硬貨を検知している全てのコインチューブ(51〜55)が払出対象コインチューブであり、ペイアウトスライド11によって移動された硬貨を硬貨確認センサ21で検知して、各払出対象コインチューブ毎に必要な枚数だけ払い出しを行うのである。
【0053】
図10の場合の払い出しを続けていくと、100円収容チューブと10円収容チューブのエンプティセンサが他のコインチューブのエンプティセンサよりも早くOFFとなり、釣銭切れ状態となるところであるが、エンプティセンサがOFFになった時に何枚の硬貨が収容されているか予めわかっており、更に硬貨確認センサで払い出す硬貨の枚数が計数できるので、コインチューブから釣銭としての硬貨を最後の一枚まで効果的に払い出すことができる。
【0054】
図11は、図10と同様に硬貨処理装置の硬貨収容部を正面視した時の概略図であるが、一部のコインチューブにはエンプティセンサが無い場合に880円の釣銭を払い出す場合の概念図である。
尚、図11では、エンプティセンサが無いコインチューブを50円硬貨収容チューブと補助チューブの2つとしている。
【0055】
図11の状態は、100円硬貨、10円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブにはエンプティセンサ13で検知可能な枚数以上の各硬貨が収容されていて、500円硬貨、50円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブ(51、54)にはエンプティセンサ13で検知可能な枚数以下の枚数の硬貨が収容されていて、補助チューブ55には硬貨が収容されていないという状態である。
【0056】
この状態で、図10の時と同様に、1回のペイアウトスライド11の動作で硬貨を3枚まで払い出すものとし、先ず1回目は100円硬貨1枚と10円硬貨1枚の計2枚を払い出し、2回目は500円硬貨1枚と100円硬貨1枚、10円硬貨1枚の計3枚を払い出し、3回目は100円硬貨1枚と10円硬貨1枚、50円硬貨1枚の計3枚を払い出すことで、合計880円となる払い出しを行う。
【0057】
すなわち、エンプティセンサ13が硬貨を検知している100円硬貨、10円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブ(52、53)を先ず払出対象コインチューブとし、そこから100円硬貨1枚と10円硬貨1枚を払い出し、その払出動作時に、エンプティセンサ13が検知していない500円硬貨収容チューブ51と、エンプティセンサが配設されていない50円硬貨収容チューブ54と補助チューブ55での硬貨確認センサ21の出力を記憶して、硬貨確認センサ21が検出した500円硬貨、50円硬貨のそれぞれを収容したコインチューブ(51、54)を2回目以降の払出対象コインチューブとして、各払出対象コインチューブ毎に必要な枚数だけ払い出しを行うのである。
【0058】
図11と図10の状態とを比較すると、図11の場合はエンプティセンサの数が少なくなっている。
【0059】
このように、エンプティセンサと硬貨確認センサの組み合わせは、コインチューブ毎に必ず必要であるというものではなく、低額な硬貨を収容するコインチューブにエンプティセンサが配設されていればよい。
【0060】
低額な硬貨を収容するコインチューブにエンプティセンサが配設されていれば、エンプティセンサの無いコインチューブが空になるまで払い出しを行っても低額なコインチューブからの代替払出が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、コインチューブ内から釣銭としての硬貨を最後の一枚まで迅速かつ確実に払い出すようにした硬貨処理装置の制御方法に適している。
【符号の説明】
【0062】
1 硬貨処理装置
2 硬貨収容部
3 硬貨払出部
4 装置本体
5 コインチューブ
6 コインベース
7 硬貨
8 ペイアウトスライド
9 ペイアウトカム
10 ペイアウトリンク
11 チェンジスライド
12 払出硬貨選択ソレノイド
13 エンプティセンサ
21 硬貨確認センサ
30 硬貨払出モータ
51 500円硬貨収容チューブ
52 100円硬貨収容チューブ
53 10円硬貨収容チューブ
54 50円硬貨収容チューブ
55 補助チューブ
100 硬貨払出制御部
101 硬貨検出記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に配設された複数のコインチューブと、該コインチューブに配設されたエンプティセンサと、該コインチューブ下端位置に対応する初期位置と硬貨の払出位置に対応する硬貨払出位置との間を移動し、前記コインチューブの下端から硬貨を一枚ずつ引き出すペイアウトスライドと、該ペイアウトスライドにより引き出された硬貨の下面支持とその解除とを選択的に行って前記引き出された硬貨の払い出しと非払い出しとを制御するチェンジスライドと、前記ペイアウトスライドにより引き出された硬貨が前記硬貨払出位置に達するまでに前記硬貨の有無を検出するセンサと、前記センサの検出結果を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の記憶に基づき前記ペイアウトスライドおよび前記チェンジスライドを制御して所望の硬貨の払い出しを行う制御手段とを有する硬貨処理装置の制御方法において、
前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサとの出力に基づいて、前記コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として払い出し可能か否かを判断し、硬貨が釣銭として払い出されたことを確認するようにし、特に前記エンプティセンサがOFFになる前となった後での前記コインチューブ内の硬貨が釣銭として払い出し可能か否かの判断を、前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用するようにした硬貨処理装置の制御方法。
【請求項1】
装置本体に配設された複数のコインチューブと、該コインチューブに配設されたエンプティセンサと、該コインチューブ下端位置に対応する初期位置と硬貨の払出位置に対応する硬貨払出位置との間を移動し、前記コインチューブの下端から硬貨を一枚ずつ引き出すペイアウトスライドと、該ペイアウトスライドにより引き出された硬貨の下面支持とその解除とを選択的に行って前記引き出された硬貨の払い出しと非払い出しとを制御するチェンジスライドと、前記ペイアウトスライドにより引き出された硬貨が前記硬貨払出位置に達するまでに前記硬貨の有無を検出するセンサと、前記センサの検出結果を記憶する記憶手段と、前記記憶手段の記憶に基づき前記ペイアウトスライドおよび前記チェンジスライドを制御して所望の硬貨の払い出しを行う制御手段とを有する硬貨処理装置の制御方法において、
前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサとの出力に基づいて、前記コインチューブ内の硬貨枚数が釣銭として払い出し可能か否かを判断し、硬貨が釣銭として払い出されたことを確認するようにし、特に前記エンプティセンサがOFFになる前となった後での前記コインチューブ内の硬貨が釣銭として払い出し可能か否かの判断を、前記エンプティセンサの出力と前記硬貨の有無を検出するセンサの出力との両方若しくはいずれかを使用するようにした硬貨処理装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−128732(P2012−128732A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280692(P2010−280692)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
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