硬貨処理装置
【課題】
本発明の目的は、1つずつ分離した硬貨をセンサ部に案内する硬貨案内体を小型化し、かつ、安価な硬貨処理装置を提供することである。
【解決手段】
硬貨は、回転ディスクの上面に形成された押動体の間の保持面に面接触することによって一枚ずつ区分けされて保留される。保留された硬貨は、押動体によって押されて回転ディスク上端部の開口から押し出され、硬貨案内体の先端部に落下する。硬貨が落下した硬貨案内体は、弾性的に支持されているので、硬貨の落下による衝撃を緩衝する。これにより、硬貨は直ぐさまガイドと密接しつつ移動するようになるので、センサ部を硬貨案内体の落下部に隣接して配置できる。よって、装置を小型化できる。
本発明の目的は、1つずつ分離した硬貨をセンサ部に案内する硬貨案内体を小型化し、かつ、安価な硬貨処理装置を提供することである。
【解決手段】
硬貨は、回転ディスクの上面に形成された押動体の間の保持面に面接触することによって一枚ずつ区分けされて保留される。保留された硬貨は、押動体によって押されて回転ディスク上端部の開口から押し出され、硬貨案内体の先端部に落下する。硬貨が落下した硬貨案内体は、弾性的に支持されているので、硬貨の落下による衝撃を緩衝する。これにより、硬貨は直ぐさまガイドと密接しつつ移動するようになるので、センサ部を硬貨案内体の落下部に隣接して配置できる。よって、装置を小型化できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を一つずつ区分けして次工程へ送り出す硬貨処理装置に関する。
また本発明は、直径が異なる複数金種の硬貨を一つずつ区分けして次工程へ送り出す硬貨処理装置に関する。
さらに本発明は、直径が異なる硬貨を一つずつ区分けした後、硬貨の物理的特性を検知するセンサに対し所定位置関係を保つよう案内する硬貨案内体へ速やかに沿わせて案内する硬貨処理装置に関する。
更にまた本発明は、回転ディスクの上面に形成された保持部に複数金種の硬貨を一つずつ受け入れて区分けした後、硬貨の物理的特性を検知するセンサに対し所定位置関係を保つよう案内する硬貨案内体へ速やかに沿わせて案内することができ、それによって大型化することのない硬貨処理装置に関する。
なお、本明細書で使用する「硬貨」は、通貨である硬貨、トークン及びメダル等を含み、形状は円形、多角形を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術及び第2の従来技術として、本出願人の出願に係る特開2007-114978(特許文献1参照)及び特開2007-114973(特許文献2参照)に開示の装置が知られている。
これら第1及び第2の従来技術は、回転ディスクの上面に配置した区分凹部に硬貨を保持させて一ずつ区分けした後、回転する硬貨搬送装置に受け渡し、次いで当該硬貨搬送装置によって硬貨を硬貨案内体に沿わせて移動させる過程において、物理センサによって硬貨の物理的性質を検知するようにした硬貨処理装置において、前記凹部を形成し、かつ、前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体を設け、前記硬貨搬送装置への受け渡し時に前記移動体を前記回転ディスクの直径方向に移動させ、当該移動体の移動によって凹部から押し出して直状の硬貨案内体に受渡し、次いで回転する硬貨搬送装置によって前記硬貨案内体に沿わせて移動させる過程において硬貨の正偽及び金種判別のための物理的特性情報を物理センサによって検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-114978(図3〜図4、段落番号0021〜0037)
【特許文献2】特開2007-114973(図1〜図20、段落番号0019〜0053)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1及び第2の従来技術においては、凹部に硬貨が受け入れられて一個ずつ区分けされて保持される。この凹部が硬貨搬送装置への受渡し位置へ移動した場合、この凹部を形成する移動体が回転ディスクの直径方向へ移動し、当該凹部に保持されていた硬貨が凹部から押し出される。
硬貨は、その移動された位置から硬貨案内体上に落下した後、硬貨搬送装置たる押動レバによって硬貨案内体に沿って直線的に移動させられる。この硬貨の直線的移動過程において、硬貨の物理的特性に関する情報を物理センサによって検知し、もって、その後の硬貨処理に利用している。
詳細には、押動レバによって押動された硬貨は硬貨案内体上に落下して跳ね上がる。この跳ね上がりにより、物理センサによって検知されるべきときに硬貨が硬貨案内体に接していないことがある。
硬貨が硬貨案内体に接して移動しない場合、少なくとも硬貨の直径に関する情報が正しく取得できない。直径に関する情報は、硬貨案内体に対し所定位置関係に設置されたセンサによって検知するようにしているからである。
また、バイメタル硬貨が用いられる場合、硬貨の特定の材質位置と材質センサとの相対位置がずれてしまい、材質に関する特性情報を正確に検知できない懸念がある。
これらを解決するため、硬貨が硬貨案内体に落下した位置からセンサ部までの距離を長くすることによって、硬貨が跳ね上がっても、硬貨案内体に硬貨が接しつつ移動するに十分な距離を離して物理センサを配置することが考えられる。
換言すれば、硬貨案内体は所定の長さが必要であるため、装置が大型化し、小型化するには限界があった。
この種硬貨処理装置は、所謂セルフレジの硬貨釣銭機に使用されるため、可及的に小型化することが求められる。
しかし、前述のように、硬貨案内体を短縮するには限界があるため、小型化にも限界があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、1つずつ分離した硬貨の物理的特性に関する情報を精度よく検知できる小型の硬貨処理装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、1つずつ分離した硬貨の跳ね上がりを防止することによって物理的特性を検知するセンサに対して所定の位置関係を保つよう案内する硬貨案内体の長さを短縮して小型化できる硬貨処理装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、硬貨に物理的特性に関する情報を精度良く検知出来ると共に、小型、かつ、安価な硬貨処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的を達成するため、本発明は以下のように構成されている。
第一番目の発明は、
回転ディスクの上面に配置した凹部と前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体とによって半円形の区分凹部を形成し、前記区分凹部に硬貨を保持して一ずつ区分けした後、前記回転ディスクの上方位置において前記移動体を前記回転ディスクの直径方向へ移動させて前記回転ディスクに対して直径方向に延在する直状の硬貨案内体に受け渡すようにした硬貨処理装置において、前記硬貨案内体と前記回転ディスクとの間に弾性的支持機構によってベースに対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体を配置し、前記移動体によって移動された後、落下する硬貨が前記硬貨受体に落下した後、前記硬貨案内体によって案内されるように配置されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第二番目の発明は、第一番目の発明において、
前記硬貨受体は、前記硬貨案内体よりも前記硬貨の落下開始位置に近く配置されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第三番目の発明は、第一又は二番目の発明において、
前記硬貨受体は、前記ベースに形成され、かつ、前記回転ディスクの直径方向に長い長孔に挿入された案内ピンに固定されると共に、付勢手段によって前記回転ディスクに近づくよう付勢されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第四番目の発明は、第三番目の発明において、
前記硬貨案内体に対応する位置に硬貨のための物理センサが配置されることを特徴とする硬貨処理装置である。
第五番目の発明は、
傾斜した回転ディスクの上面に配置した凹部と前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体とによって前記回転ディスクの周側及び上面が開口された半円形の区分凹部を形成し、前記区分凹部に硬貨を保持して一つずつ区分けした後、前記回転ディスクの上方位置において前記移動体を前記周側の開口へ向けて移動させて前記回転ディスクに対する直径方向に延在する直状の硬貨案内体に沿わせて移動させ、この移動過程において物理センサによって硬貨の物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置において、前記硬貨案内体と前記回転ディスクとの間に弾性的支持機構によってベースに対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体を配置してなり、前記硬貨受体は板状の硬貨受板の一先端に水平線に対し傾斜して形成され、前記硬貨受板の基部は移動許容手段によって前記ベースに対し前記回転ディスクの直径方向であって、かつ、前記回転ディスクから離れる方向へ弾性的に退避動可能に取り付けられていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第六番目の発明は、第五番目の発明において、
前記硬貨受体は硬貨よりも硬度が高い材料にて形成されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
第一番目の発明において、硬貨は回転ディスクの回転によって区分凹部に一枚のみ保持され、回転ディスクの所定位置において移動体が回転ディスクの直径方向へ移動する移動体によって区分凹部から押し出され、回転ディスクから硬貨受体上に落下する。
硬貨受体は、ベースに対して弾性的に微動可能に支持されているので、当該弾性微動によって硬貨の落下の衝撃を緩和する。
換言すれば、硬貨受体上に落下した硬貨の跳ね上がりが抑制又は防止され、極短時間で硬貨が硬貨受体に密接し、その直後に硬貨案内体に対し密接状態で移動可能になる。
さらに換言すれば、硬貨受体に接近した硬貨案内体に相対する位置に硬貨の物理的情報を取得する物理センサを配置しても正確な物理情報を取得できる。
よって、硬貨処理装置を小型化できる利点がある。
第二番目の本発明において、前記硬貨受体は、硬貨案内体よりも硬貨の落下位置に近くを開始する、落下開始位置に近く配置されている。
換言すれば、落下する硬貨は先に必ず硬貨受体上に落下するので落下の衝撃が緩和され、硬貨案内体によって案内される際は最初から硬貨案内体に密接しつつ移動される。これによって、センサによって硬貨の正確な物理的情報を取得できる利点がある。
第三番目の本発明において、硬貨受体は硬貨受板に形成され、かつ、前記回転ディスクの直径方向に長い長孔に挿入された案内ピンに固定されると共に、付勢手段によって前記回転ディスクに近づくよう付勢されている。
この構成により、ベースに形成した長孔と、硬貨受体に一体化した案内ピン、及び、硬貨受体に対する付勢手段とにより達成できるので、構造が簡単であり、小型かつ安価に製造できる利点を有する。
第四番目の発明において、前記硬貨案内体に相対して硬貨のための物理的情報を取得するためのセンサが配置されている。
この構成により、硬貨受体の直ぐ下流に物理センサが配置されているので、硬貨の真偽を判別するための装置を小型化しても物理的情報を正確に取得できる利点がある。
第五番目の本発明において、硬貨は回転ディスクの回転によって半円形の区分凹部に保持され、回転ディスクの上側の所定位置において、区分凹部の周側の開口へ向かって移動する移動体によって区分凹部から押し出された後、硬貨受体に落下する。
硬貨受体は硬貨が落下した場合、弾性的に微動し硬貨の落下の衝撃を緩和する。
換言すれば、硬貨受体の弾性的微動によって、硬貨の落下の衝撃は緩衝されるので、硬貨の跳ね上がりが抑制又は防止され、硬貨は硬貨案内体に対し最初から密接しつつ移動される。
さらに換言すれば、硬貨受体に近接した位置に物理センサを配置できるので、正確な硬貨の物理的性質を取得できると共に、装置を小型化できる利点がある。
第六番目の本発明において、硬貨受体は、硬貨よりも硬度が高い材料にて形成されているので、硬貨が落下しても摩耗せず、耐久性を有する。
【0008】
第一番目の本発明に係る硬貨処理装置は、小型化できる利点を有する。
第二番目の本発明に係る硬貨処理装置は、さらに、精度良く硬貨の物理的特性に関する情報を取得できる利点がある。
第三番目の本発明に係る硬貨処理装置は、さらに、安価に製造できる利点がある。
第四番目の本発明に係る硬貨処理装置は、さらにまた、精度良く硬貨の物理的特性に関する情報を取得することができる。
第五番目の本発明に係る硬貨処理装置は、小型、安価かつ精度良く硬貨の物理的特性に関する情報を取得することができる利点がある。
第六番目の本発明に係る硬貨処理装置は、耐久性を有する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施例の硬貨処理装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の硬貨処理装置における上側センサ本体を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨送出装置の分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨送出装置の拡大正面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨送出装置の回転ディスクの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨案内体の分解斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨案内体の拡大正面図である。
【図8】図8(A)は図7におけるX―X線断面図、(B)はY−Y線断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(硬貨の搬送途中)である。
【図10】図10は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(硬貨の押出途中)である。
【図11】図11は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(硬貨の落下時)である。
【図12】図12は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(物理情報検知時)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、傾斜した回転ディスクの上面に配置した凹部と前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体とによって前記回転ディスクの周側及び上面が開口された半円形の区分凹部を形成し、前記区分凹部に硬貨を保持して一ずつ区分けした後、前記回転ディスクの上方位置において前記移動体を前記周側の開口へ向けて移動させて後、前記位置よりも下方に配置されている前記回転ディスクに対する直径方向に延在する直状の硬貨案内体に沿わせて移動させ、この移動過程において物理センサによって物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置において、前記硬貨案内体と前記回転ディスクとの間に弾性的支持機構によってベースに対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体を配置してなり、前記硬貨受板はステンレス材料にて形成された板状であって、先端に水平線に対し傾斜する硬貨受体が設けられ、基部は移動許容手段によって前記ベースに対し前記回転ディスクの直径方向であって、かつ、前記回転ディスクから離れる方向へ弾性的に退避動可能に取り付けられていることを特徴とする硬貨処理装置である。
【実施例】
【0011】
本実施例は、スイス国の通貨である、白銅製であって直径31.45mmの5フラン、白銅製であって直径27.40mmの2フラン、白銅製であって直径23.20mmの1フラン、白銅製であって直径18.20mmの1/2フラン、白銅製であって直径21.05mmの20サンチーム、及び白銅製であって直径19.15mmの10サンチーム及びアルミ青銅製であって直径17.15mmの5サンチームの7金種の硬貨を処理する硬貨処理装置に関する。
本実施例の硬貨処理装置100は、バラ積み状態に保留された5フラン〜5サンチームの硬貨を一枚ずつ分離し、硬貨案内体に沿わせて移動させる過程においてセンサによって硬貨の物理的情報を取得する機能を有する。
換言すれば、実施例の硬貨処理装置100は、バラ状態で保留容器108に保留された直径が異なる複数金種の硬貨を一つずつ区分けして回転ディスクの上側において周方向へ送り出し、当該送り出された硬貨を硬貨案内体に沿わせて案内する過程において、硬貨の直径、厚み及び材質に関する物理情報を取得する硬貨処理装置に関する。
【0012】
図1において、硬貨処理装置100は、大まかには硬貨送出装置102、硬貨搬送装置104及び硬貨判別装置106を含んでいる。
すなわち、硬貨送出装置102によって、硬貨Cを一枚ずつ区分けして送り出して硬貨搬送装置104に受け渡し、硬貨搬送装置104によって所定経路を搬送する途上において硬貨判別装置106によって硬貨の物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置100である。
【0013】
最初に硬貨送出装置102の構造が図2〜図5を参照して説明される。
硬貨送出装置102は、バラ状態に保留された複数金種の硬貨Cを一枚ずつ区分けして一枚ずつ所定の方向へ送り出す機能を有する。
硬貨送出装置102は、保留容器108、回転ディスク112及び区分凹部114を含んでいる。
【0014】
まず、保留容器108が図2を参照して説明される。
保留容器108は、回転ディスク112の前方に硬貨Cをバラ状態で保留する機能を有する。
保留容器108は、回転ディスク112側の端部110が半円形に形成された樋形をしている。保留容器108は、当該半円形の上端部を、傾斜配置された矩形板状のベース116の上向き面に回転ディスク112を挟むように所定間隔で固定された一対の右支柱118と左支柱122の間に挿入し、右支柱118と左支柱122とから横向きに向かい合うように突出する右支軸124と左支軸126とに回動自在に支持されている。
保留容器108は、右支軸124の側方においてリンク128を介して電磁アクチュエータ132の鉄心に連結されている。電磁アクチュエータ132が消磁されている場合、鉄心に作用するスプリング(図示せず)によって保留容器108の半円形端部110の端面がベース116の上面に圧接されている。換言すれば、保留容器108は回転ディスク112の前方に逆三角形状の硬貨Cのための保留室134を形成する。
【0015】
電磁アクチュエータ132が励磁された場合、保留容器108はリンク128を介して下端部がベース116から離れるように回動される。これにより、保留容器108の半円形端部110がベース106から離れてベース106との間に隙間が形成される。
この隙間を介して保留室134内に滞留したゴミ等の異物を排除する。
保留室134から異物の排除が終了した場合、電磁アクチュエータ132は消磁され、保留容器108の半円形端部110を前記ベース116へ前記スプリング(図示せず)の弾発力で押し付ける。
保留容器108の半円形端部110が、保留室134内の硬貨Cの押動力によってベース106から離れる方向の力を受けた場合、保留容器108はリンク128に組み込まれたセルフロック機構(図示せず)によってセルフロックされているので、半円形端部110が実質的にベース116から離れないように構成されている。
【0016】
次に回転ディスク112が図3〜5を参照して説明される。
回転ディスク112は、保留容器108内に保留された硬貨Cを攪拌して1つずつ区分けした後、次工程、本実施例では硬貨判別装置106へ送り出す機能を有する。
回転ディスク112は、所定の厚みを有する円盤状であって所定の角度で傾斜し、保留容器108の底孔138(図3参照)に回転可能に配置され、所定の速度で一定方向に回転され、本実施例においては図2における矢印G方向である反時計方向に回転され、また、硬貨ジャムを解消する場合、所定の短時間逆転される。
【0017】
図3に示すように、実施例の回転ディスク112は円盤体142、押出ディスク144及び移動体146を少なくとも含んでいる。
円盤体142は、所定の厚みを有する円盤体であって、上面148(図5)は平面に、周面にはギヤ152が形成されている。
円盤体142は、図示しないモータから減速機及び駆動ギヤを介してギヤ152が回転駆動され、所定の速度で図4において反時計方向へ回転される。
【0018】
押出ディスク144は、受け入れ金種のうち最も薄い硬貨C、実施例においては1/2フラン又は5サンチームの1.2mmの厚みよりも薄い板状体であって、等間隔で中心から周方向に向かって延在する押動部154、本実施例では三つの押動部154a、154b、154cによってY字形を呈し、上面148に円盤体142と同心に固定されている。各押動部154a、154b、154cの間には半楕円状の凹部156が構成されている。
換言すれば、押動部154a、154b、154cのそれぞれの間には、周縁側が開口している半楕円形の凹部156a、156b、156cがそれぞれ形成されている。
図5に示すように、各押動部154a、154b、154cの回転前位側の一部を弧状にして押動縁156iを形成してある。
また、各凹部156a、156b、156cの底部(回転軸心RC側)に収納凹部158、したがって3つの収納凹部158a、158b、158cが形成されている。
なお、押出ディスク144は、Y字形のものに限らず、複数の突部が放射状に形成された形態のプレートであってもよい。また、円盤体142と押出ディスク144は、焼結金属又は耐摩耗性を有する樹脂により一体成型することもできる。
【0019】
次に移動体146が説明される。
移動体146は、凹部156a、156b、156c毎に設けられているので、本実施例では3個設けられ、それぞれ同一数字146に対応するローマ字a、b又はcを付して表示してある。
本実施例において、移動体146は、移動部162及び第1規制体164を有する。各移動体146a、146b、146cに対応する移動部162及び第1規制体164にはそれぞれ同一数字にa、b、又はcを付して表示してある。
なお、以下の説明において、移動体146a、146b、146c、押動部154a、154b、154c、凹部156a、156b、156c、収納凹部158a、158b、158c、移動部162a、162b、162c及び第1規制体164a、164b、164cは、個別にa、b、cを付して説明する必要がある場合を除いてアルファベットを削除した数字のみで説明することがある。
移動体146は三日月形をし、中間を上面148から突出する支軸166に回動自在に支持され、待機位置SP(図4参照)及び送出位置LP(図10参照)に選択的に移動される。
移動体146は、移動体146の一部であって、支軸166からの距離が長い長辺部168Lを構成し、第1規制体164も移動体146の一部であって、支軸166からの距離が短い短辺部168Sを構成する。
移動部162及び第1規制体164も本実施例においては3つ存在するので、それぞれ同一数字に対応するa、b、cを付して表示し、特に必要ある場合を除き英字を削除して説明する。
【0020】
待機位置SPにおいて、移動体146の長辺部168Lは円盤体142の回転軸心RCに近い収納凹部158a、158b、158cに位置し、その内縁172iは押動縁156iに連続する弧状をなしている。
待機位置SPにおいて、支軸166よりも回転ディスク112の外周側に位置する部分が短辺部168Sたる第1規制体164である。
第1規制体164の内縁162iは、長辺部168Lの内縁172iに連続する弧状に形成してある。
図5に示すように、押動部154の押動縁156i、移動部162の内縁172i及び第1規制体164の内縁162iによって、最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きな直径の仮想円VCに沿い、かつ、半周を超えて囲う区分凹部114が構成される。本実施例においては3つ存在するので、それぞれ同一数字に対応するa、b、cを付して表示してある。
図4に示すように、仮想円VCは、保留容器108の半円形端部110の外側にはみ出し、さらに、回転軸心RCを通る第1直線CL上の、内縁172iと半円形端部110との第1距離D1は、最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きい。
換言すれば、区分凹部114には最大径硬貨LC〜最小径硬貨SCの一枚のみが保持され、最小径硬貨SCが区分凹部114における上面148と面接触し、かつ、二枚並置状態で区分凹部114に嵌り込むことはできない。
【0021】
次に第2規制体174が図5を参照して説明される。
第2規制体174は、第1規制体164と共同して区分凹部114の周縁側に出口開口176を形成する。換言すれば区分凹部114の周面が出口開口176である。
本実施例において、押動部154の押動縁156iの周縁側先端、換言すれば、押動部154の回転方向前縁側先端が第2規制体174である。
さらに換言すれば、本実施例において第2規制体174は固定されている。
第2規制体174は、本実施例においては3つ形成されるので、同一数字に対応するa、b、cをそれぞれ付して表示してある。
【0022】
第2規制体174は、前述のように出口開口176を移動体146が待機位置SPに位置する場合、最大径硬貨LCの直径及び最小径硬貨SCが二枚並置した場合にその直径の二倍未満に規制する機能を有する。
出口開口176の大きさ(周面側の長さ)第2距離L2は、第1規制体164が図4に示す待機位置SPに位置する場合、最大径硬貨LCの直径及び最小径硬貨SCの直径の二倍未満に規制され、かつ、移動体146が図10に示す送出位置LPに位置された場合、最大径硬貨LCの直径よりも大きくなるよう設定される。
換言すれば、移動体146が待機位置SPに位置する場合において最大径硬貨LCは、出口開口176を通って出てゆくことができないが、移動体146による送り出し時は、第1規制体164の移動によって出口開口176が最大径硬貨LCの直径よりも大きくなるので、出口開口176を通って回転ディスク112の直径方向へ送り出されることができる。
【0023】
出口開口176は、移動体146が待機位置SPに位置する場合、前述のように最小径硬貨SCが二つ並んで位置することができない。
さらに換言すれば、移動体146が待機位置SPに位置する場合、図4に示すように出口開口176の大きさは、第2距離L2を有し、最小径硬貨SCが二枚入らない大きさ、すなわち最小径硬貨SCの直径の二倍未満の長さに設定されている。
また、区分凹部114の直径、すなわち区分凹部114の底部の内縁172iと半円形端部110の間隔である第1距離L1は、仮想円VCの直径D1の直径よりも小さく、最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きく、かつ最小径硬貨SCの直径の二倍未満に設定されている。
換言すれば、区分凹部114には、最大径硬貨LCが一枚保持されるが、最小径硬貨SCが回転ディスク112の直径方向に二枚並んで上面148と面接触した常態において受け入れられない。
【0024】
第2規制体174は、本実施例では固定であるが、移動式にすることができる。
換言すれば、第1規制体164と第2規制体174との協働によって、移動体146が待機位置SPに位置する場合、出口開口176を最大径硬貨LCの直径よりも小さく、かつ、移動部148の送出位置LPへの移動時には最大径硬貨LCの直径よりも大きくする機能を達成すれば、第2規制体174を移動させてもよい。
なお、実施例における第2規制体174を移動可能にし、第1規制体164が固定された場合、現在の第2規制体174が第1規制体164に、第1規制体164が第2規制体174になる。
【0025】
第1規制体164は、移動体146による硬貨Cの送り出し時には移動体146の移動に伴って移動し、出口開口176を大きくするので、最大径硬貨LCが出口開口176を通って送り出されることができる。
第1規制体164も各区分凹部114毎に配置されているので、同一数字に対応するa、b、cを付して表示してある。
【0026】
次に移動体146の駆動機構178が図3を参照して説明される。
駆動機構178は、移動体146、換言すれば、移動部162及び第1規制体164を所定のタイミングで所定量移動させ、以て硬貨Cを区分凹部114から送り出す機能を有する。
移動体146は、支軸166回りにピボット運動して区分凹部114の所定位置に移動した場合、区分凹部114に保持されていた硬貨Cを回転ディスク112の直径方向、換言すれば、回転ディスク112の回転軸心RCから遠ざかる方向に送り出す。したがって、同様の機能を有する場合、移動体146は直線運動機構によって移動されることができる。
移動体146の移動は、図10に示すように回転ディスク112の頂部付近において、左側へ移動する途上において、換言すれば、硬貨判別装置106(硬貨案内体202)へ硬貨Cを受け渡すため、回転ディスク112の12時から10時への回転途上において行われる。
移動体146は、送出位置LPへ移動された後、回転軸心RCの水平側方から最下位置へ移動する間に収納凹部158へ戻される。
【0027】
本実施例における駆動機構178は、回転ディスク112、カム180及びリンク機構182を含んでいる。
リンク機構182は、フォロワー軸184、円弧孔186及びカムフォロワ188によって構成される。
【0028】
図3に図示するように、移動体146の移動部162の下面から下向きに突出するフォロワー軸184は、円盤体142に形成され、支軸166を中心に円弧をなす円弧孔186を貫通し、その下端部にカムフォロワ188が回転自在に取り付けられている。
カムフォロワ188は、円盤体142の下方に固定的に配置された溝カム192のカム溝194に挿入されている。
詳述すれば、溝カム192は半円形端部110に対し固定状態にベース116に固定され、横向き卵形に形成されている。
【0029】
溝カム192は図3及び4に図示するように、円盤体142の回転軸心RCを中心に同一半径で円弧状をなす待機部194s、硬貨判別装置106側の回転軸心RCから所定距離離れて配置された小径先端部194t及びそれらを直線で結ぶ送出部194l及び戻り部194rによって構成される。
この構成によって、移動体146は回転ディスク112(円盤体142)の回転に伴って、溝カム192によって案内されるカムフォロワ188によって、支軸166回りに回動され、待機位置SP及び送出位置LPに移動される。
保留容器108の半円形端部110との位置関係で説明すれば、カムフォロワ188が待機部194sによって案内される状況、換言すれば、図4において半円形端部110の下部から右側半分において、移動体146は収納凹部158に位置し、送出部194lによって案内される上頂部から左側部において移動体158は送出位置LPへ順次移動され、小径先端部194tに案内される範囲においては送出位置LPを継続し、戻り部194rによって案内される左側部から下部においては送出位置LPから待機位置SPへ順次復帰動される。
したがって、同様の機能を有する場合、駆動機構178は他の機構に変更することができる。
【0030】
次に硬貨搬送装置104が図2を参照して説明される。
硬貨搬送装置104は硬貨送出装置102によって送り出された硬貨Cを一つずつ順次硬貨判別装置106へ搬送する機能を有する。
硬貨搬送装置104は、少なくとも、スライドベース196、及び回転アームホイール198を含んでいる。
【0031】
まず、スライドベース196が図6をも参照して説明される。
スライドベース196は、移動体146によって押し出された硬貨Cが回転アームホイール198によって押動される際、硬貨Cがその上をスライドしつつ案内される機能を有する。
スライドベース196は、平板形状であって、樹脂にて成型され、回転ディスク112に対して移動体146が硬貨を押し出した位置に隣接して配置されている。本実施例においては、図9に示すように正面視、回転ディスク112に対して斜め左上の時計に例えると11時の位置に配置されている。
スライドベース196は、回転ディスク112の上面148と同一平面内に配置されることが好ましい。移動体146によって押し出された硬貨Cがスムーズに移動できるためである。
しかし、上面148に対し僅かに下方であって、上面148に対し平行に配置された平面内に配置することもできる。実質的に硬貨Cの移動に影響を与えないからである。
【0032】
次に、回転アームホイール198が説明される。
回転アームホイール198は、移動体146によって押し出された硬貨Cを、スライドベース196上をスライドさせつつ押動して移動させる機能を有する。
回転アームホイール198は、硬貨送出装置102の区分凹部114と同一数の押動アーム204、本実施例では3本の押動アーム204a、204b、204cを含み、回転ディスク112と同期して回転される回転軸(図示せず)の先端にビス206によって固定されている。
回転アームホイール198は、回転軸(図示せず)を中心とし、等角度かつ等長で半径方向に延在する扇形の3つの押動アーム204a、204b、204cによってY形に形成され、押動アーム204a、204b、204cが押動部154a、148b、148cと所定の位相関係を維持するよう回転ディスク112と同期して回転される。
詳細には、ギヤ152と噛み合うギヤ(図示せず)を介して回転ディスク112と一対一の関係で回転アームホイール198は回転される。
この構成によって、移動体146の送出位置LPへの移動によって、硬貨Cは回転ディスク112の周縁方向へ向かって押動され、スライドベース196上に押し出され、硬貨受体224は向かって落下する。したがって、移動体146の送出位置LPへの移動位置への移動直後が落下開始位置FPである。
本実施例において回転アームホイール198は、三つの押動アーム204a、204b及び204cが等間隔、即ち120度間隔で形成され、それら押動アーム204aと204b、204bと204c及び204cと204aとの間に扇形の受入凹部208が形成されている。三個の受入凹部208には、それぞれa、b、cを付記してある。
【0033】
押動アーム204a、204b及び204cは全て同一形状であるので、押動アーム204bを代表して説明する。
押動アーム204bは、回転方向前面の先端部に位置する押動部212及び押動部212の奥側(回転中心側)に連続する第1逃げ部214を有する。
押動部212は、回転アームホイール198の回転中心を通る第2直線L2に対し所定の鈍角αをなす第3直線L3上に所定長の範囲で形成されている。
第1逃げ部214は、第2直線L2よりも回転後位側へ弧状の凹部に形成されている。
また、押動アーム204bの回転方向後面の先端部に規制部216及び規制部216の奥側に連続する第2逃げ部218を有する。
規制部216は、回転アームホイール198の回転中心を通る第4直線L4上に所定長さで延在している。
第1逃げ部214と第2逃げ部218は、押動アーム204の回転軸心RC2を通る中心線L5に対し対象に形成されている。
しかし、押動部212と規制部216は中心線L5に対し大凡対称であるが、完全に対称ではない。
【0034】
この形状によって、小径硬貨SCたる2フラン硬貨〜20サンチーム硬貨は、押動部212によって硬貨案内体202に沿って押動される際、当該硬貨案内体202側に押し付ける分力が作用するように設定してある。換言すれば、この押し付ける分力によって、硬貨Cが常に硬貨案内体202を基準に移動される。
また、第1逃げ部214及び第2逃げ部216によって半円形の凹部を形成することにより、小径の回転アームホイール198の直径が小径であっても、大径硬貨LCたる5フラン硬貨を受け入れることができ、かつ、第1逃げ部214の弧状面によって押動することができるようにしてある。具体的には、第1逃げ部214の弧状面は、硬貨Cが後述の硬貨案内体202との間で挟み込まれ、当該硬貨Cが滑り動しなくならないよう、曲面形状を設定してある。
押動アーム204bの外周縁220は回転軸心RC2を中心とする円弧状に形成され、押出ディスク144の外周縁に近接配置されている。
押動アーム204と移動体146との回転位相は、移動体146が送出位置LPへ移動した直後に押動アーム204の押動部212が硬貨Cを押動する位置に達する位置関係に設定されている。
【0035】
次に硬貨判別装置106が図9を参照して説明される。
硬貨判別装置106は、硬貨搬送装置104によってスライドベース196上をスライドされる硬貨Cの物理的特性に関する情報を検知する機能を有する。したがって、同様の機能を有する本実施例とは異なる装置に変更することができる。
硬貨判別装置106は、硬貨案内体202と物理センサ226とを含んでいる。
【0036】
まず硬貨案内体202が説明される。
硬貨案内体202は、回転アームホイール198の押動アーム204によって押動される硬貨Cを所定の方向に案内する機能を有する。
硬貨案内体202は、回転ディスク112の回転軸心RCの下方を通り、かつ、水平線HLに対し40度〜45度をなす第6直線L6上に一端面が配置されている直線状の案内体である。
本実施例において、硬貨案内体202はスライドベース196と一体に成型され、回転アームホイール198側の硬貨案内面222の直線的端面によって構成されている。硬貨案内面222は、スライドベース196に対し直角をなし、その幅は最大厚みの硬貨Cの厚みよりも僅かに厚く形成されている。換言すれば、スライドベース196(上面148を含む平面)に対し所定の第1高さH1(図6)にて突出している。
硬貨案内体202はスライドベース196と別体に直状の矩形棒状に形成し、スライドベース196に固定して一体的に構成することができる。
硬貨案内体202の一端は、回転ディスク112の外周面に対し近接配置されているが、それらの間には後述の硬貨受体224が配置されている。
また、硬貨案内体202に対し所定位置に硬貨Cの物理的特性に関する情報を検知する物理センサ226が配置されている。硬貨判別装置106は、物理センサ226からの情報に基づき硬貨Cの真偽及び金種を判別する。
硬貨案内体202の反対側の端部側には、次工程が配置されている。
次工程は、例えば、硬貨Cの金種別選別装置である。
【0037】
次に物理センサ226が図9を参照して説明される。
物理センサ266は、硬貨案内面222によって案内される硬貨Cの、直径、材質、厚み、模様又は外周面ギザ等の物理的特性に関する情報を接触又は非接触により取得するセンサ機能を有する。
本実施例においては、非接触式のフェライトコアと電磁コイルから成るコイルユニットを複数用いた電磁的センサ228がスライドベース196の下面とスライドベース196の上側に配置されたケース232内(図1参照)に対面配置されている。
【0038】
次に硬貨受体224が図6〜8を参照して説明される。
硬貨受体224は、移動体146によって押し出された硬貨Cが硬貨案内体202によって案内される直前に落下する硬貨Cを受け止め、当該硬貨Cの落下エネルギを吸収して硬貨案内面222に最初から密接しつつ案内されるようにする機能を有する。
硬貨受体224は、回転ディスク112と硬貨案内体202との間に配置され、硬貨案内面222よりも、硬貨Cの落下開始位置に近く配置されている。換言すれば、移動体146によって収納凹部158から押し出された硬貨Cがスライドベース196上を自重によって滑り落ちた際、最初に受け止められる。
このため、硬貨受体224は、面状に形成され、長さは3〜5ミリ、厚みは最厚硬貨の厚みよりも僅かに薄く形成されている。
硬貨受体224は、スライドベース196上を滑落する硬貨Cの滑落方向線DLに対して大凡直角をなすよう水平線HLに対し傾斜する第7直線L7上に設定されている。直角に落下することが最も衝撃緩和効率が高まるからである。
直径及び重量の異なる硬貨Cは、落下する位置が異なるため、硬貨受体224を前記の所定の長さに形成することにより、前記の直角落下の関係を維持できる利点がある。
硬貨受体224の厚みが最厚硬貨の厚み以下にすることにより、硬貨Cが二枚重なって硬貨受体224に支えられない。これにより、硬貨Cが二枚重なって物理センサ226に達することを防止できる。
硬貨受体224は、図7に示すように硬貨受板234の回転ディスク112側の端部に形成されている。
【0039】
次に硬貨受板234が主に図7を参照して説明される。
硬貨受板234は、硬貨受体224が形成されると共に弾性的支持機構236によって支持される機能を有する。
硬貨受板234は平板状であって、その右側端部に硬貨受体224が形成されている。硬貨受板234は、マルテンサイト系ステンレス鋼にて製造することが好ましい。硬度が硬貨Cよりも高く、硬貨受体224の耐摩耗性を向上出来るからである。
硬貨案内板234は、硬貨Cの落下エネルギを吸収するため、弾性的支持機構236を介してスライドベース196に取り付けられている。
【0040】
次に弾性的支持機構236が主に図6を参照して説明される。
弾性的支持機構236は、硬貨受体224、換言すれば、硬貨受板234に落下した硬貨Cの衝撃を緩和し、硬貨Cが弾まないようにする機能を有する。したがって、同様の機能を有する本実施例とは異なる手段に代替えすることができる。
本実施例において、弾性的支持機構236は、移動許容手段238と付勢手段242とを含んでいる。すなわち、移動許容手段238によって移動が許容される範囲で硬貨受体224が移動することができ、かつ、付勢手段242によって硬貨受板234が元の待機位置SPへ復帰するよう弾性的に力を受けている。これにより、硬貨Cが硬貨受体224に落下した場合、硬貨受板234は移動許容手段238の許容範囲内において弾性的に移動可能である。換言すれば、移動受板234が硬貨Cの落下により弾性的に移動することにより、硬貨Cの落下の衝撃が緩和される結果、硬貨Cは硬貨受体224から跳ね上がらずに密着を継続、又は跳ね上がっても僅かであるため、極めて短時間で硬貨Cは硬貨受体224に密着する。これにより、落下した硬貨Cはその後硬貨案内面222に最初から接しつつ回転アームホイール198によって押動されるので、物理センサ226によって硬貨Cの物理的特性に関する情報を精度高く取得できる利点がある。
【0041】
次に移動許容手段238の具体例を説明する。
移動許容手段238は、第1長孔244aと第2長孔244b並びに第1案内ピン246aと第2案内ピン246bとを含んでいる。
第1長孔244aと第2長孔244bは、スライドベース196の下端部に、所定の間隔を置いて同一の所定の長さLL1において横長水平に形成されている。
硬貨受板234の背面に丸棒状の第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの一端が第1長孔244aと第2長孔244bに対応して平行に固定されている。
これら第1案内ピン246aと第2案内ピン246bは円柱状であって、第1長孔244aと第2長孔244bの高さ(短辺方向の距離)は、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの直径よりも僅かに大きい。
第1案内ピン246aと第2案内ピン246bは、対応する第1長孔244aと第2長孔244bにそれぞれ貫通される。そして、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの中間部にストッパとしての第1リテーナ248a、第2リテーナ248bを掛止してスライドベース196から脱落しないよう、かつ、機構ガタを最小に抑えるように取り付けられている。
スライドベース196の表裏面側に平座金252a、252b、254a、254bを配置することが好ましい。硬貨受板234の円滑な移動を確保するためである。
硬貨受板234は、第1長孔244aと第2長孔244bとの延在方向に移動することができる。
換言すれば、回転ディスク112に接離するように回転ディスク112の直径方向である第1長孔244aと第2長孔244bの延在方向の水平(横)方向に移動可能である。
さらに、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの第1長孔244aと第2長孔244bに対する機構ガタの範囲において上下方向にも移動可能である。
なお、この機構ガタのみによって衝撃緩和ができ、目的を達成できる場合、第1長孔244aと第2長孔244bは単なる丸孔にすることができる。
【0042】
次に付勢手段242を説明する。
付勢手段242は、硬貨受体224、換言すれば硬貨受板234を回転ディスク112に近づけるよう弾性的に付勢する機能を有する。したがって、付勢手段242は同様の機能を有する本実施例とは異なる手段に交換することができる。
本実施例において付勢手段242は、スプリング252、固定係止ピン254を含んでいる。
固定係止ピン254は、スライドベース196の裏面に片持ち状態に一端部を固定され、円筒形のスリーブ256が回転可能に装着されている。本実施例では係止ピン254の先端部がカシメられてスライドベース196に固定され、当該カシメ部は硬貨受板234に形成された逃げ孔258内に配置されている。
逃げ孔258は、第1長孔244aと同一長さLL1かつ同一高さで形成されている。
スプリング252は、一端の掛止部をスリーブ256に、他端の掛止部を第1案内ピン246aに掛け止めされ、硬貨受板234、したがって、硬貨受体224を回転ディスク112へ近づくよう弾性的に付勢している。
しかし、第1案内ピン246a又は第2案内ピン246bが対応する第1長孔244a又は第2長孔244bの端部に係止されることにより、静止状態になる。この静止した位置が硬貨受体224の第2待機位置SP2である。
なお、付勢手段242は、ゴム、スポンジ、ウレタンフォーム等の弾性体に置き換えることができる。具体的には、第1長孔244a及び第2長孔244bを更に長くし、第1案内ピン246a又は第2案内ピン246bとの空間に弾性体を介在させて構成することができる。
【0043】
図7に示すように、硬貨受板234が第2待機位置SP2に位置する場合、硬貨受体224は硬貨案内面222に対し第2段差H2分上方に、換言すれば硬貨Cが移動体146によって押し出された後、落下を開始する落下位置の近く配置されている。これにより、前述したように、移動体146によって押し出された硬貨Cが最初に硬貨受体224上に落下し、跳ね上がることなく硬貨受体224に密接した状態で回転アームホイール198の押動アーム204によって押動され、硬貨案内面222に最初から密接しつつ案内されるようになる。
第2段差H2は、硬貨案内面222の硬貨受体224側の先端と硬貨受体224との間の落下方向線DLに沿った段差である。この第2段差H2は、1〜2ミリ程度が好ましい。
第2段差H2が小さすぎる(低すぎる)と落下位置のバラツキにより硬貨Cが硬貨案内面222上に落下することがある。この場合、硬貨案内体202は固定であるため、硬貨Cが跳ね上がって精度高い硬貨Cの物理的特性に関する情報を取得できない。
また、第2段差H2が大きすぎると硬貨受体224から硬貨案内面222に落下する途上で物理センサ226に検知される恐れがあるからである。
また、硬貨Cが押動部154と硬貨受板234の図7における左側先端(硬貨受体224の先端)との間に挟まれた場合、硬貨受板234は第1長孔244a及び第2長孔244bの範囲(詳細には硬貨受体224が硬貨案内体202に係止されるまで)で横方向(図7において左方)に移動できるため、硬貨Cが噛み込まれることを回避できる利点がある。
【0044】
次に重ね送り防止装置262が図1を参照して説明される。
重ね送り防止装置262は、硬貨Cが二枚重なって硬貨搬送装置104へ送り込まれることを防止する機能を有する。
本実施例において、重ね送り防止装置262は弾性を有する邪魔シート264である。
邪魔シート264を、回転ディスク112に対して上方からその上面148上に垂れ下がるように押出ディスク132の先端部の回転経路に延在配置し、かつ邪魔シート264の先端が回転ディスク112の上面、すなわち、回転ディスク112の上面148に弾性的に接触するように設ける。
邪魔シート264は、ベース116に固定されたブラケット266に上端を固定されている。
これにより、押動部154又は区分凹部114に保持された硬貨Cの上に乗っかって回転ディスク112の回転によって送られてくる硬貨Cは、邪魔シート264の下端部によって阻止されて保留容器108内へ落下させられ、区分凹部114には一枚の硬貨Cのみが残ることができる。
【0045】
次に本実施例の作用が図10〜12をも参照して説明される。
最初に最大径硬貨LCが送り出されるケースが説明される。
なお、特に個別に説明する必要がある場合を除き、移動体146、押動部154、収納凹部158、第1規制体164、押動部212及び逃げ部214、218として説明し、a、b、cは省略する。
保留容器108と回転ディスク112の下部との間に形成された保留部128に各種金種の硬貨Cがバラ積み状態に保留される。
保留部128に保留された硬貨Cは、回転ディスク112の回転によって攪拌され、区分凹部114に落下して保持される。
詳述すれば、カムフォロワ188がカム溝192の待機部194sにおいて案内される場合、換言すれば、移動体146が回転ディスク112の回転軸心RCよりも下側に位置する場合、カムフォロワ188の位置は変化せず、移動体146は待機位置SPを継続する(図4における移動体146a、146b)。
移動体146が待機位置SPに位置する場合、区分凹部114は最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きい直径を有するので、最大径硬貨LCは区分凹部114に落下することができる。
区分凹部114に保持された最大径硬貨LCは、その一面を区分凹部114の底面、換言すれば回転ディスク112の上面148に面接触し、周面は押動部154の押動縁156i、移動体146の内縁172i及び第1規制体164の内縁162i及び保留容器108の半円形端部110によって大凡下側端部を囲われた状態で保持される。
このとき図4に示すように、最大径硬貨LCは区分凹部114のほぼ全域を占有し、出口開口176の第2距離L2は最大径硬貨LCの直径よりも小さいので、最大径硬貨LCは出口開口176を通過して出て行くことはできない。
【0046】
一般に、回転ディスク112による硬貨Cの区分け過程において硬貨Cが入り込む区分凹部114は、実質的に移動体146の内縁172iと押動部154の押動縁156i及び第1規制体164の内縁162iによって形成されるほぼ円形であって、かつその上面側及び周面側が開放した円形の凹部である。
ここで区分凹部114の深さ、換言すれば硬貨Cを押し出す押出ディスク144の厚みは、前述したように使用される7金種のうち最も薄い硬貨Cの厚みよりも僅かに浅く形成されている。
一般に硬貨Cの周縁は丸みが付されているので、最薄硬貨Cが区分凹部114に保持された場合であっても、当該丸みによって引っかかることがなく、保持された硬貨Cの周縁に他の硬貨Cの周縁が支持されて開口116へ向かって進行されることはない。
【0047】
回転ディスク112の回転にともなって、カムフォロワ188が待機部194sから送出部194lに移動した場合、区分凹部114に保持された最大径硬貨LCは回転ディスク112の最上位付近に達した時点で移動体146が支軸166を支点に図4において反時計方向へ回動されはじめる(図10参照)。
この結果、移動体146は収納凹部158から区分凹部114の中央へ向かって進出し、ついには送出位置LPへ達し、最大径硬貨LCを出口開口176へ向けて押動する。
移動体146の押動に連動して第1規制体162が出口開口176を大きくする方向に移動するので、最大径硬貨LCは出口開口176を通って区分凹部114から回転ディスク112の直径方向へ移動してスライドベース196上へ押し出される(図10参照)。
そして移動体146が送出位置LPへ達した直後の落下開始位置FPにおいて、最大径硬貨LCの重心Gが移動体146の先端よりも硬貨受け体224側にあることによる重力によるベクトル及び移動体146の移動速度による横方向へのベクトルとの合力による左斜め下方へのベクトルが硬貨受体224へ指向する。これにより、最大径硬貨LCは落下開始位置FPから硬貨受体224へ向かって滑落方向線DLに沿って落下し、図7に示すように硬貨受体224の左端部に衝突する(図11参照)。
【0048】
この衝突によって、硬貨受体224に対し大凡直角に作用する力は、硬貨受板234にに対しては45度の分力を生じる。これにより、硬貨受板234は第1長孔244a及び第2長孔244bの延在方向にスプリング252の弾発力に抗して僅かに図11において左方へ弾性的に移動し(図7における鎖線示で示す微動位置MP2)、衝突による衝撃を緩和する(図7における微動位置MP2は誇張して表示してある)。また、硬貨受板234は、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bと第1長孔244aと第2長孔244bとの間の機構ガタの範囲で上下方向にも弾性的に微少に移動し、衝撃を緩和する。換言すれば、最大径硬貨LCは硬貨受体224に対し軟着陸し、跳ね上がることなく密着する(図11の状態)。
【0049】
この直後、最大径硬貨LCは、押動アーム204の回転によって押動部212及び逃げ部214によって押され、硬貨案内体202の硬貨案内面222に最初から沿って押動される(図12参照)。
この途上において最大径硬貨LCは、硬貨受体224との第2段差H2を一気に落下するが、第2段差H2の段差量は小さいため、硬貨案内面222に落下した反力によって跳ね上がることはない。
そして、硬貨案内面222に沿って押動される過程において、最大径硬貨LCは物理センサ226によって材質等の特性を検知され、図示しない判別回路において基準値と比較して当該最大径硬貨LCの真偽及び金種を判別する。
その後、最大径硬貨LCは回転ホイール206の回転によって硬貨選別装置(図示せず)へ送られる。
【0050】
次に最小径硬貨SCのケースを説明する(図9〜12において鎖線示)。
最小径硬貨SCも最大径硬貨LCと同様に区分凹部114に一つの最小径硬貨SCのみが保持される。換言すれば、一つの最小径硬貨SCのみが上面148と面接触し、押動部154によって押動される。
回転ディスク112の上方において、移動体146が回動されて最小径硬貨SCを押出す(図10鎖線示)。
【0051】
次いで最小径硬貨SCが硬貨受体224に落下し、最大径硬貨LCと同様に落下の衝撃を緩衝された後、回動アームホイール198の押動アーム204の回転によって硬貨案内面222上に案内される。そして、硬貨案内面222に案内される過程で物理センサ226によって物理的性質を取得され、正偽判別及び金種判別される。
したがって、最小径硬貨SCの場合も物理センサ226によって精度高い物理的特性に関する情報を取得することができる。
【0052】
本発明はスイス国硬貨に限定されることなく、日本硬貨、米国硬貨、ユーロ硬貨、イギリス硬貨、中国硬貨及びその他の硬貨について使用することができる。
回転ディスク112は、区分凹部114を少なくとも一つ有していればよい。例えば、実施例において、押動部154a及び移動体146aのみを配置することができる。この場合、当然に、回転アームホイール198の押動アーム204は、一つのみ形成すればよい。
しかし、回転ディスク112の一回転で一つの硬貨Cのみしか区分けして送り出すことができないので、単位時間当たりの処理能力が落ちるため、実施例のように一つの回転ディスク112に複数の区分凹部114を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
110硬貨
112回転ディスク
114区分凹部
146移動体
176開口
196ベース
202硬貨案内体
224硬貨受体
226物理センサ
234硬貨受板
236弾性的支持機構
238移動許容手段
242付勢手段
244a、244b長孔
246a、246b案内ピン
C硬貨
FP落下開始位置
HL水平線
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を一つずつ区分けして次工程へ送り出す硬貨処理装置に関する。
また本発明は、直径が異なる複数金種の硬貨を一つずつ区分けして次工程へ送り出す硬貨処理装置に関する。
さらに本発明は、直径が異なる硬貨を一つずつ区分けした後、硬貨の物理的特性を検知するセンサに対し所定位置関係を保つよう案内する硬貨案内体へ速やかに沿わせて案内する硬貨処理装置に関する。
更にまた本発明は、回転ディスクの上面に形成された保持部に複数金種の硬貨を一つずつ受け入れて区分けした後、硬貨の物理的特性を検知するセンサに対し所定位置関係を保つよう案内する硬貨案内体へ速やかに沿わせて案内することができ、それによって大型化することのない硬貨処理装置に関する。
なお、本明細書で使用する「硬貨」は、通貨である硬貨、トークン及びメダル等を含み、形状は円形、多角形を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術及び第2の従来技術として、本出願人の出願に係る特開2007-114978(特許文献1参照)及び特開2007-114973(特許文献2参照)に開示の装置が知られている。
これら第1及び第2の従来技術は、回転ディスクの上面に配置した区分凹部に硬貨を保持させて一ずつ区分けした後、回転する硬貨搬送装置に受け渡し、次いで当該硬貨搬送装置によって硬貨を硬貨案内体に沿わせて移動させる過程において、物理センサによって硬貨の物理的性質を検知するようにした硬貨処理装置において、前記凹部を形成し、かつ、前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体を設け、前記硬貨搬送装置への受け渡し時に前記移動体を前記回転ディスクの直径方向に移動させ、当該移動体の移動によって凹部から押し出して直状の硬貨案内体に受渡し、次いで回転する硬貨搬送装置によって前記硬貨案内体に沿わせて移動させる過程において硬貨の正偽及び金種判別のための物理的特性情報を物理センサによって検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-114978(図3〜図4、段落番号0021〜0037)
【特許文献2】特開2007-114973(図1〜図20、段落番号0019〜0053)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1及び第2の従来技術においては、凹部に硬貨が受け入れられて一個ずつ区分けされて保持される。この凹部が硬貨搬送装置への受渡し位置へ移動した場合、この凹部を形成する移動体が回転ディスクの直径方向へ移動し、当該凹部に保持されていた硬貨が凹部から押し出される。
硬貨は、その移動された位置から硬貨案内体上に落下した後、硬貨搬送装置たる押動レバによって硬貨案内体に沿って直線的に移動させられる。この硬貨の直線的移動過程において、硬貨の物理的特性に関する情報を物理センサによって検知し、もって、その後の硬貨処理に利用している。
詳細には、押動レバによって押動された硬貨は硬貨案内体上に落下して跳ね上がる。この跳ね上がりにより、物理センサによって検知されるべきときに硬貨が硬貨案内体に接していないことがある。
硬貨が硬貨案内体に接して移動しない場合、少なくとも硬貨の直径に関する情報が正しく取得できない。直径に関する情報は、硬貨案内体に対し所定位置関係に設置されたセンサによって検知するようにしているからである。
また、バイメタル硬貨が用いられる場合、硬貨の特定の材質位置と材質センサとの相対位置がずれてしまい、材質に関する特性情報を正確に検知できない懸念がある。
これらを解決するため、硬貨が硬貨案内体に落下した位置からセンサ部までの距離を長くすることによって、硬貨が跳ね上がっても、硬貨案内体に硬貨が接しつつ移動するに十分な距離を離して物理センサを配置することが考えられる。
換言すれば、硬貨案内体は所定の長さが必要であるため、装置が大型化し、小型化するには限界があった。
この種硬貨処理装置は、所謂セルフレジの硬貨釣銭機に使用されるため、可及的に小型化することが求められる。
しかし、前述のように、硬貨案内体を短縮するには限界があるため、小型化にも限界があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、1つずつ分離した硬貨の物理的特性に関する情報を精度よく検知できる小型の硬貨処理装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、1つずつ分離した硬貨の跳ね上がりを防止することによって物理的特性を検知するセンサに対して所定の位置関係を保つよう案内する硬貨案内体の長さを短縮して小型化できる硬貨処理装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、硬貨に物理的特性に関する情報を精度良く検知出来ると共に、小型、かつ、安価な硬貨処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的を達成するため、本発明は以下のように構成されている。
第一番目の発明は、
回転ディスクの上面に配置した凹部と前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体とによって半円形の区分凹部を形成し、前記区分凹部に硬貨を保持して一ずつ区分けした後、前記回転ディスクの上方位置において前記移動体を前記回転ディスクの直径方向へ移動させて前記回転ディスクに対して直径方向に延在する直状の硬貨案内体に受け渡すようにした硬貨処理装置において、前記硬貨案内体と前記回転ディスクとの間に弾性的支持機構によってベースに対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体を配置し、前記移動体によって移動された後、落下する硬貨が前記硬貨受体に落下した後、前記硬貨案内体によって案内されるように配置されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第二番目の発明は、第一番目の発明において、
前記硬貨受体は、前記硬貨案内体よりも前記硬貨の落下開始位置に近く配置されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第三番目の発明は、第一又は二番目の発明において、
前記硬貨受体は、前記ベースに形成され、かつ、前記回転ディスクの直径方向に長い長孔に挿入された案内ピンに固定されると共に、付勢手段によって前記回転ディスクに近づくよう付勢されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第四番目の発明は、第三番目の発明において、
前記硬貨案内体に対応する位置に硬貨のための物理センサが配置されることを特徴とする硬貨処理装置である。
第五番目の発明は、
傾斜した回転ディスクの上面に配置した凹部と前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体とによって前記回転ディスクの周側及び上面が開口された半円形の区分凹部を形成し、前記区分凹部に硬貨を保持して一つずつ区分けした後、前記回転ディスクの上方位置において前記移動体を前記周側の開口へ向けて移動させて前記回転ディスクに対する直径方向に延在する直状の硬貨案内体に沿わせて移動させ、この移動過程において物理センサによって硬貨の物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置において、前記硬貨案内体と前記回転ディスクとの間に弾性的支持機構によってベースに対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体を配置してなり、前記硬貨受体は板状の硬貨受板の一先端に水平線に対し傾斜して形成され、前記硬貨受板の基部は移動許容手段によって前記ベースに対し前記回転ディスクの直径方向であって、かつ、前記回転ディスクから離れる方向へ弾性的に退避動可能に取り付けられていることを特徴とする硬貨処理装置である。
第六番目の発明は、第五番目の発明において、
前記硬貨受体は硬貨よりも硬度が高い材料にて形成されていることを特徴とする硬貨処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
第一番目の発明において、硬貨は回転ディスクの回転によって区分凹部に一枚のみ保持され、回転ディスクの所定位置において移動体が回転ディスクの直径方向へ移動する移動体によって区分凹部から押し出され、回転ディスクから硬貨受体上に落下する。
硬貨受体は、ベースに対して弾性的に微動可能に支持されているので、当該弾性微動によって硬貨の落下の衝撃を緩和する。
換言すれば、硬貨受体上に落下した硬貨の跳ね上がりが抑制又は防止され、極短時間で硬貨が硬貨受体に密接し、その直後に硬貨案内体に対し密接状態で移動可能になる。
さらに換言すれば、硬貨受体に接近した硬貨案内体に相対する位置に硬貨の物理的情報を取得する物理センサを配置しても正確な物理情報を取得できる。
よって、硬貨処理装置を小型化できる利点がある。
第二番目の本発明において、前記硬貨受体は、硬貨案内体よりも硬貨の落下位置に近くを開始する、落下開始位置に近く配置されている。
換言すれば、落下する硬貨は先に必ず硬貨受体上に落下するので落下の衝撃が緩和され、硬貨案内体によって案内される際は最初から硬貨案内体に密接しつつ移動される。これによって、センサによって硬貨の正確な物理的情報を取得できる利点がある。
第三番目の本発明において、硬貨受体は硬貨受板に形成され、かつ、前記回転ディスクの直径方向に長い長孔に挿入された案内ピンに固定されると共に、付勢手段によって前記回転ディスクに近づくよう付勢されている。
この構成により、ベースに形成した長孔と、硬貨受体に一体化した案内ピン、及び、硬貨受体に対する付勢手段とにより達成できるので、構造が簡単であり、小型かつ安価に製造できる利点を有する。
第四番目の発明において、前記硬貨案内体に相対して硬貨のための物理的情報を取得するためのセンサが配置されている。
この構成により、硬貨受体の直ぐ下流に物理センサが配置されているので、硬貨の真偽を判別するための装置を小型化しても物理的情報を正確に取得できる利点がある。
第五番目の本発明において、硬貨は回転ディスクの回転によって半円形の区分凹部に保持され、回転ディスクの上側の所定位置において、区分凹部の周側の開口へ向かって移動する移動体によって区分凹部から押し出された後、硬貨受体に落下する。
硬貨受体は硬貨が落下した場合、弾性的に微動し硬貨の落下の衝撃を緩和する。
換言すれば、硬貨受体の弾性的微動によって、硬貨の落下の衝撃は緩衝されるので、硬貨の跳ね上がりが抑制又は防止され、硬貨は硬貨案内体に対し最初から密接しつつ移動される。
さらに換言すれば、硬貨受体に近接した位置に物理センサを配置できるので、正確な硬貨の物理的性質を取得できると共に、装置を小型化できる利点がある。
第六番目の本発明において、硬貨受体は、硬貨よりも硬度が高い材料にて形成されているので、硬貨が落下しても摩耗せず、耐久性を有する。
【0008】
第一番目の本発明に係る硬貨処理装置は、小型化できる利点を有する。
第二番目の本発明に係る硬貨処理装置は、さらに、精度良く硬貨の物理的特性に関する情報を取得できる利点がある。
第三番目の本発明に係る硬貨処理装置は、さらに、安価に製造できる利点がある。
第四番目の本発明に係る硬貨処理装置は、さらにまた、精度良く硬貨の物理的特性に関する情報を取得することができる。
第五番目の本発明に係る硬貨処理装置は、小型、安価かつ精度良く硬貨の物理的特性に関する情報を取得することができる利点がある。
第六番目の本発明に係る硬貨処理装置は、耐久性を有する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施例の硬貨処理装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の硬貨処理装置における上側センサ本体を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨送出装置の分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨送出装置の拡大正面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨送出装置の回転ディスクの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨案内体の分解斜視図である。
【図7】図7は、本発明の実施例の硬貨処理装置における硬貨案内体の拡大正面図である。
【図8】図8(A)は図7におけるX―X線断面図、(B)はY−Y線断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(硬貨の搬送途中)である。
【図10】図10は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(硬貨の押出途中)である。
【図11】図11は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(硬貨の落下時)である。
【図12】図12は、本発明の実施例の硬貨処理装置の作用説明図(物理情報検知時)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、傾斜した回転ディスクの上面に配置した凹部と前記回転ディスクの直径方向に移動可能な移動体とによって前記回転ディスクの周側及び上面が開口された半円形の区分凹部を形成し、前記区分凹部に硬貨を保持して一ずつ区分けした後、前記回転ディスクの上方位置において前記移動体を前記周側の開口へ向けて移動させて後、前記位置よりも下方に配置されている前記回転ディスクに対する直径方向に延在する直状の硬貨案内体に沿わせて移動させ、この移動過程において物理センサによって物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置において、前記硬貨案内体と前記回転ディスクとの間に弾性的支持機構によってベースに対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体を配置してなり、前記硬貨受板はステンレス材料にて形成された板状であって、先端に水平線に対し傾斜する硬貨受体が設けられ、基部は移動許容手段によって前記ベースに対し前記回転ディスクの直径方向であって、かつ、前記回転ディスクから離れる方向へ弾性的に退避動可能に取り付けられていることを特徴とする硬貨処理装置である。
【実施例】
【0011】
本実施例は、スイス国の通貨である、白銅製であって直径31.45mmの5フラン、白銅製であって直径27.40mmの2フラン、白銅製であって直径23.20mmの1フラン、白銅製であって直径18.20mmの1/2フラン、白銅製であって直径21.05mmの20サンチーム、及び白銅製であって直径19.15mmの10サンチーム及びアルミ青銅製であって直径17.15mmの5サンチームの7金種の硬貨を処理する硬貨処理装置に関する。
本実施例の硬貨処理装置100は、バラ積み状態に保留された5フラン〜5サンチームの硬貨を一枚ずつ分離し、硬貨案内体に沿わせて移動させる過程においてセンサによって硬貨の物理的情報を取得する機能を有する。
換言すれば、実施例の硬貨処理装置100は、バラ状態で保留容器108に保留された直径が異なる複数金種の硬貨を一つずつ区分けして回転ディスクの上側において周方向へ送り出し、当該送り出された硬貨を硬貨案内体に沿わせて案内する過程において、硬貨の直径、厚み及び材質に関する物理情報を取得する硬貨処理装置に関する。
【0012】
図1において、硬貨処理装置100は、大まかには硬貨送出装置102、硬貨搬送装置104及び硬貨判別装置106を含んでいる。
すなわち、硬貨送出装置102によって、硬貨Cを一枚ずつ区分けして送り出して硬貨搬送装置104に受け渡し、硬貨搬送装置104によって所定経路を搬送する途上において硬貨判別装置106によって硬貨の物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置100である。
【0013】
最初に硬貨送出装置102の構造が図2〜図5を参照して説明される。
硬貨送出装置102は、バラ状態に保留された複数金種の硬貨Cを一枚ずつ区分けして一枚ずつ所定の方向へ送り出す機能を有する。
硬貨送出装置102は、保留容器108、回転ディスク112及び区分凹部114を含んでいる。
【0014】
まず、保留容器108が図2を参照して説明される。
保留容器108は、回転ディスク112の前方に硬貨Cをバラ状態で保留する機能を有する。
保留容器108は、回転ディスク112側の端部110が半円形に形成された樋形をしている。保留容器108は、当該半円形の上端部を、傾斜配置された矩形板状のベース116の上向き面に回転ディスク112を挟むように所定間隔で固定された一対の右支柱118と左支柱122の間に挿入し、右支柱118と左支柱122とから横向きに向かい合うように突出する右支軸124と左支軸126とに回動自在に支持されている。
保留容器108は、右支軸124の側方においてリンク128を介して電磁アクチュエータ132の鉄心に連結されている。電磁アクチュエータ132が消磁されている場合、鉄心に作用するスプリング(図示せず)によって保留容器108の半円形端部110の端面がベース116の上面に圧接されている。換言すれば、保留容器108は回転ディスク112の前方に逆三角形状の硬貨Cのための保留室134を形成する。
【0015】
電磁アクチュエータ132が励磁された場合、保留容器108はリンク128を介して下端部がベース116から離れるように回動される。これにより、保留容器108の半円形端部110がベース106から離れてベース106との間に隙間が形成される。
この隙間を介して保留室134内に滞留したゴミ等の異物を排除する。
保留室134から異物の排除が終了した場合、電磁アクチュエータ132は消磁され、保留容器108の半円形端部110を前記ベース116へ前記スプリング(図示せず)の弾発力で押し付ける。
保留容器108の半円形端部110が、保留室134内の硬貨Cの押動力によってベース106から離れる方向の力を受けた場合、保留容器108はリンク128に組み込まれたセルフロック機構(図示せず)によってセルフロックされているので、半円形端部110が実質的にベース116から離れないように構成されている。
【0016】
次に回転ディスク112が図3〜5を参照して説明される。
回転ディスク112は、保留容器108内に保留された硬貨Cを攪拌して1つずつ区分けした後、次工程、本実施例では硬貨判別装置106へ送り出す機能を有する。
回転ディスク112は、所定の厚みを有する円盤状であって所定の角度で傾斜し、保留容器108の底孔138(図3参照)に回転可能に配置され、所定の速度で一定方向に回転され、本実施例においては図2における矢印G方向である反時計方向に回転され、また、硬貨ジャムを解消する場合、所定の短時間逆転される。
【0017】
図3に示すように、実施例の回転ディスク112は円盤体142、押出ディスク144及び移動体146を少なくとも含んでいる。
円盤体142は、所定の厚みを有する円盤体であって、上面148(図5)は平面に、周面にはギヤ152が形成されている。
円盤体142は、図示しないモータから減速機及び駆動ギヤを介してギヤ152が回転駆動され、所定の速度で図4において反時計方向へ回転される。
【0018】
押出ディスク144は、受け入れ金種のうち最も薄い硬貨C、実施例においては1/2フラン又は5サンチームの1.2mmの厚みよりも薄い板状体であって、等間隔で中心から周方向に向かって延在する押動部154、本実施例では三つの押動部154a、154b、154cによってY字形を呈し、上面148に円盤体142と同心に固定されている。各押動部154a、154b、154cの間には半楕円状の凹部156が構成されている。
換言すれば、押動部154a、154b、154cのそれぞれの間には、周縁側が開口している半楕円形の凹部156a、156b、156cがそれぞれ形成されている。
図5に示すように、各押動部154a、154b、154cの回転前位側の一部を弧状にして押動縁156iを形成してある。
また、各凹部156a、156b、156cの底部(回転軸心RC側)に収納凹部158、したがって3つの収納凹部158a、158b、158cが形成されている。
なお、押出ディスク144は、Y字形のものに限らず、複数の突部が放射状に形成された形態のプレートであってもよい。また、円盤体142と押出ディスク144は、焼結金属又は耐摩耗性を有する樹脂により一体成型することもできる。
【0019】
次に移動体146が説明される。
移動体146は、凹部156a、156b、156c毎に設けられているので、本実施例では3個設けられ、それぞれ同一数字146に対応するローマ字a、b又はcを付して表示してある。
本実施例において、移動体146は、移動部162及び第1規制体164を有する。各移動体146a、146b、146cに対応する移動部162及び第1規制体164にはそれぞれ同一数字にa、b、又はcを付して表示してある。
なお、以下の説明において、移動体146a、146b、146c、押動部154a、154b、154c、凹部156a、156b、156c、収納凹部158a、158b、158c、移動部162a、162b、162c及び第1規制体164a、164b、164cは、個別にa、b、cを付して説明する必要がある場合を除いてアルファベットを削除した数字のみで説明することがある。
移動体146は三日月形をし、中間を上面148から突出する支軸166に回動自在に支持され、待機位置SP(図4参照)及び送出位置LP(図10参照)に選択的に移動される。
移動体146は、移動体146の一部であって、支軸166からの距離が長い長辺部168Lを構成し、第1規制体164も移動体146の一部であって、支軸166からの距離が短い短辺部168Sを構成する。
移動部162及び第1規制体164も本実施例においては3つ存在するので、それぞれ同一数字に対応するa、b、cを付して表示し、特に必要ある場合を除き英字を削除して説明する。
【0020】
待機位置SPにおいて、移動体146の長辺部168Lは円盤体142の回転軸心RCに近い収納凹部158a、158b、158cに位置し、その内縁172iは押動縁156iに連続する弧状をなしている。
待機位置SPにおいて、支軸166よりも回転ディスク112の外周側に位置する部分が短辺部168Sたる第1規制体164である。
第1規制体164の内縁162iは、長辺部168Lの内縁172iに連続する弧状に形成してある。
図5に示すように、押動部154の押動縁156i、移動部162の内縁172i及び第1規制体164の内縁162iによって、最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きな直径の仮想円VCに沿い、かつ、半周を超えて囲う区分凹部114が構成される。本実施例においては3つ存在するので、それぞれ同一数字に対応するa、b、cを付して表示してある。
図4に示すように、仮想円VCは、保留容器108の半円形端部110の外側にはみ出し、さらに、回転軸心RCを通る第1直線CL上の、内縁172iと半円形端部110との第1距離D1は、最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きい。
換言すれば、区分凹部114には最大径硬貨LC〜最小径硬貨SCの一枚のみが保持され、最小径硬貨SCが区分凹部114における上面148と面接触し、かつ、二枚並置状態で区分凹部114に嵌り込むことはできない。
【0021】
次に第2規制体174が図5を参照して説明される。
第2規制体174は、第1規制体164と共同して区分凹部114の周縁側に出口開口176を形成する。換言すれば区分凹部114の周面が出口開口176である。
本実施例において、押動部154の押動縁156iの周縁側先端、換言すれば、押動部154の回転方向前縁側先端が第2規制体174である。
さらに換言すれば、本実施例において第2規制体174は固定されている。
第2規制体174は、本実施例においては3つ形成されるので、同一数字に対応するa、b、cをそれぞれ付して表示してある。
【0022】
第2規制体174は、前述のように出口開口176を移動体146が待機位置SPに位置する場合、最大径硬貨LCの直径及び最小径硬貨SCが二枚並置した場合にその直径の二倍未満に規制する機能を有する。
出口開口176の大きさ(周面側の長さ)第2距離L2は、第1規制体164が図4に示す待機位置SPに位置する場合、最大径硬貨LCの直径及び最小径硬貨SCの直径の二倍未満に規制され、かつ、移動体146が図10に示す送出位置LPに位置された場合、最大径硬貨LCの直径よりも大きくなるよう設定される。
換言すれば、移動体146が待機位置SPに位置する場合において最大径硬貨LCは、出口開口176を通って出てゆくことができないが、移動体146による送り出し時は、第1規制体164の移動によって出口開口176が最大径硬貨LCの直径よりも大きくなるので、出口開口176を通って回転ディスク112の直径方向へ送り出されることができる。
【0023】
出口開口176は、移動体146が待機位置SPに位置する場合、前述のように最小径硬貨SCが二つ並んで位置することができない。
さらに換言すれば、移動体146が待機位置SPに位置する場合、図4に示すように出口開口176の大きさは、第2距離L2を有し、最小径硬貨SCが二枚入らない大きさ、すなわち最小径硬貨SCの直径の二倍未満の長さに設定されている。
また、区分凹部114の直径、すなわち区分凹部114の底部の内縁172iと半円形端部110の間隔である第1距離L1は、仮想円VCの直径D1の直径よりも小さく、最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きく、かつ最小径硬貨SCの直径の二倍未満に設定されている。
換言すれば、区分凹部114には、最大径硬貨LCが一枚保持されるが、最小径硬貨SCが回転ディスク112の直径方向に二枚並んで上面148と面接触した常態において受け入れられない。
【0024】
第2規制体174は、本実施例では固定であるが、移動式にすることができる。
換言すれば、第1規制体164と第2規制体174との協働によって、移動体146が待機位置SPに位置する場合、出口開口176を最大径硬貨LCの直径よりも小さく、かつ、移動部148の送出位置LPへの移動時には最大径硬貨LCの直径よりも大きくする機能を達成すれば、第2規制体174を移動させてもよい。
なお、実施例における第2規制体174を移動可能にし、第1規制体164が固定された場合、現在の第2規制体174が第1規制体164に、第1規制体164が第2規制体174になる。
【0025】
第1規制体164は、移動体146による硬貨Cの送り出し時には移動体146の移動に伴って移動し、出口開口176を大きくするので、最大径硬貨LCが出口開口176を通って送り出されることができる。
第1規制体164も各区分凹部114毎に配置されているので、同一数字に対応するa、b、cを付して表示してある。
【0026】
次に移動体146の駆動機構178が図3を参照して説明される。
駆動機構178は、移動体146、換言すれば、移動部162及び第1規制体164を所定のタイミングで所定量移動させ、以て硬貨Cを区分凹部114から送り出す機能を有する。
移動体146は、支軸166回りにピボット運動して区分凹部114の所定位置に移動した場合、区分凹部114に保持されていた硬貨Cを回転ディスク112の直径方向、換言すれば、回転ディスク112の回転軸心RCから遠ざかる方向に送り出す。したがって、同様の機能を有する場合、移動体146は直線運動機構によって移動されることができる。
移動体146の移動は、図10に示すように回転ディスク112の頂部付近において、左側へ移動する途上において、換言すれば、硬貨判別装置106(硬貨案内体202)へ硬貨Cを受け渡すため、回転ディスク112の12時から10時への回転途上において行われる。
移動体146は、送出位置LPへ移動された後、回転軸心RCの水平側方から最下位置へ移動する間に収納凹部158へ戻される。
【0027】
本実施例における駆動機構178は、回転ディスク112、カム180及びリンク機構182を含んでいる。
リンク機構182は、フォロワー軸184、円弧孔186及びカムフォロワ188によって構成される。
【0028】
図3に図示するように、移動体146の移動部162の下面から下向きに突出するフォロワー軸184は、円盤体142に形成され、支軸166を中心に円弧をなす円弧孔186を貫通し、その下端部にカムフォロワ188が回転自在に取り付けられている。
カムフォロワ188は、円盤体142の下方に固定的に配置された溝カム192のカム溝194に挿入されている。
詳述すれば、溝カム192は半円形端部110に対し固定状態にベース116に固定され、横向き卵形に形成されている。
【0029】
溝カム192は図3及び4に図示するように、円盤体142の回転軸心RCを中心に同一半径で円弧状をなす待機部194s、硬貨判別装置106側の回転軸心RCから所定距離離れて配置された小径先端部194t及びそれらを直線で結ぶ送出部194l及び戻り部194rによって構成される。
この構成によって、移動体146は回転ディスク112(円盤体142)の回転に伴って、溝カム192によって案内されるカムフォロワ188によって、支軸166回りに回動され、待機位置SP及び送出位置LPに移動される。
保留容器108の半円形端部110との位置関係で説明すれば、カムフォロワ188が待機部194sによって案内される状況、換言すれば、図4において半円形端部110の下部から右側半分において、移動体146は収納凹部158に位置し、送出部194lによって案内される上頂部から左側部において移動体158は送出位置LPへ順次移動され、小径先端部194tに案内される範囲においては送出位置LPを継続し、戻り部194rによって案内される左側部から下部においては送出位置LPから待機位置SPへ順次復帰動される。
したがって、同様の機能を有する場合、駆動機構178は他の機構に変更することができる。
【0030】
次に硬貨搬送装置104が図2を参照して説明される。
硬貨搬送装置104は硬貨送出装置102によって送り出された硬貨Cを一つずつ順次硬貨判別装置106へ搬送する機能を有する。
硬貨搬送装置104は、少なくとも、スライドベース196、及び回転アームホイール198を含んでいる。
【0031】
まず、スライドベース196が図6をも参照して説明される。
スライドベース196は、移動体146によって押し出された硬貨Cが回転アームホイール198によって押動される際、硬貨Cがその上をスライドしつつ案内される機能を有する。
スライドベース196は、平板形状であって、樹脂にて成型され、回転ディスク112に対して移動体146が硬貨を押し出した位置に隣接して配置されている。本実施例においては、図9に示すように正面視、回転ディスク112に対して斜め左上の時計に例えると11時の位置に配置されている。
スライドベース196は、回転ディスク112の上面148と同一平面内に配置されることが好ましい。移動体146によって押し出された硬貨Cがスムーズに移動できるためである。
しかし、上面148に対し僅かに下方であって、上面148に対し平行に配置された平面内に配置することもできる。実質的に硬貨Cの移動に影響を与えないからである。
【0032】
次に、回転アームホイール198が説明される。
回転アームホイール198は、移動体146によって押し出された硬貨Cを、スライドベース196上をスライドさせつつ押動して移動させる機能を有する。
回転アームホイール198は、硬貨送出装置102の区分凹部114と同一数の押動アーム204、本実施例では3本の押動アーム204a、204b、204cを含み、回転ディスク112と同期して回転される回転軸(図示せず)の先端にビス206によって固定されている。
回転アームホイール198は、回転軸(図示せず)を中心とし、等角度かつ等長で半径方向に延在する扇形の3つの押動アーム204a、204b、204cによってY形に形成され、押動アーム204a、204b、204cが押動部154a、148b、148cと所定の位相関係を維持するよう回転ディスク112と同期して回転される。
詳細には、ギヤ152と噛み合うギヤ(図示せず)を介して回転ディスク112と一対一の関係で回転アームホイール198は回転される。
この構成によって、移動体146の送出位置LPへの移動によって、硬貨Cは回転ディスク112の周縁方向へ向かって押動され、スライドベース196上に押し出され、硬貨受体224は向かって落下する。したがって、移動体146の送出位置LPへの移動位置への移動直後が落下開始位置FPである。
本実施例において回転アームホイール198は、三つの押動アーム204a、204b及び204cが等間隔、即ち120度間隔で形成され、それら押動アーム204aと204b、204bと204c及び204cと204aとの間に扇形の受入凹部208が形成されている。三個の受入凹部208には、それぞれa、b、cを付記してある。
【0033】
押動アーム204a、204b及び204cは全て同一形状であるので、押動アーム204bを代表して説明する。
押動アーム204bは、回転方向前面の先端部に位置する押動部212及び押動部212の奥側(回転中心側)に連続する第1逃げ部214を有する。
押動部212は、回転アームホイール198の回転中心を通る第2直線L2に対し所定の鈍角αをなす第3直線L3上に所定長の範囲で形成されている。
第1逃げ部214は、第2直線L2よりも回転後位側へ弧状の凹部に形成されている。
また、押動アーム204bの回転方向後面の先端部に規制部216及び規制部216の奥側に連続する第2逃げ部218を有する。
規制部216は、回転アームホイール198の回転中心を通る第4直線L4上に所定長さで延在している。
第1逃げ部214と第2逃げ部218は、押動アーム204の回転軸心RC2を通る中心線L5に対し対象に形成されている。
しかし、押動部212と規制部216は中心線L5に対し大凡対称であるが、完全に対称ではない。
【0034】
この形状によって、小径硬貨SCたる2フラン硬貨〜20サンチーム硬貨は、押動部212によって硬貨案内体202に沿って押動される際、当該硬貨案内体202側に押し付ける分力が作用するように設定してある。換言すれば、この押し付ける分力によって、硬貨Cが常に硬貨案内体202を基準に移動される。
また、第1逃げ部214及び第2逃げ部216によって半円形の凹部を形成することにより、小径の回転アームホイール198の直径が小径であっても、大径硬貨LCたる5フラン硬貨を受け入れることができ、かつ、第1逃げ部214の弧状面によって押動することができるようにしてある。具体的には、第1逃げ部214の弧状面は、硬貨Cが後述の硬貨案内体202との間で挟み込まれ、当該硬貨Cが滑り動しなくならないよう、曲面形状を設定してある。
押動アーム204bの外周縁220は回転軸心RC2を中心とする円弧状に形成され、押出ディスク144の外周縁に近接配置されている。
押動アーム204と移動体146との回転位相は、移動体146が送出位置LPへ移動した直後に押動アーム204の押動部212が硬貨Cを押動する位置に達する位置関係に設定されている。
【0035】
次に硬貨判別装置106が図9を参照して説明される。
硬貨判別装置106は、硬貨搬送装置104によってスライドベース196上をスライドされる硬貨Cの物理的特性に関する情報を検知する機能を有する。したがって、同様の機能を有する本実施例とは異なる装置に変更することができる。
硬貨判別装置106は、硬貨案内体202と物理センサ226とを含んでいる。
【0036】
まず硬貨案内体202が説明される。
硬貨案内体202は、回転アームホイール198の押動アーム204によって押動される硬貨Cを所定の方向に案内する機能を有する。
硬貨案内体202は、回転ディスク112の回転軸心RCの下方を通り、かつ、水平線HLに対し40度〜45度をなす第6直線L6上に一端面が配置されている直線状の案内体である。
本実施例において、硬貨案内体202はスライドベース196と一体に成型され、回転アームホイール198側の硬貨案内面222の直線的端面によって構成されている。硬貨案内面222は、スライドベース196に対し直角をなし、その幅は最大厚みの硬貨Cの厚みよりも僅かに厚く形成されている。換言すれば、スライドベース196(上面148を含む平面)に対し所定の第1高さH1(図6)にて突出している。
硬貨案内体202はスライドベース196と別体に直状の矩形棒状に形成し、スライドベース196に固定して一体的に構成することができる。
硬貨案内体202の一端は、回転ディスク112の外周面に対し近接配置されているが、それらの間には後述の硬貨受体224が配置されている。
また、硬貨案内体202に対し所定位置に硬貨Cの物理的特性に関する情報を検知する物理センサ226が配置されている。硬貨判別装置106は、物理センサ226からの情報に基づき硬貨Cの真偽及び金種を判別する。
硬貨案内体202の反対側の端部側には、次工程が配置されている。
次工程は、例えば、硬貨Cの金種別選別装置である。
【0037】
次に物理センサ226が図9を参照して説明される。
物理センサ266は、硬貨案内面222によって案内される硬貨Cの、直径、材質、厚み、模様又は外周面ギザ等の物理的特性に関する情報を接触又は非接触により取得するセンサ機能を有する。
本実施例においては、非接触式のフェライトコアと電磁コイルから成るコイルユニットを複数用いた電磁的センサ228がスライドベース196の下面とスライドベース196の上側に配置されたケース232内(図1参照)に対面配置されている。
【0038】
次に硬貨受体224が図6〜8を参照して説明される。
硬貨受体224は、移動体146によって押し出された硬貨Cが硬貨案内体202によって案内される直前に落下する硬貨Cを受け止め、当該硬貨Cの落下エネルギを吸収して硬貨案内面222に最初から密接しつつ案内されるようにする機能を有する。
硬貨受体224は、回転ディスク112と硬貨案内体202との間に配置され、硬貨案内面222よりも、硬貨Cの落下開始位置に近く配置されている。換言すれば、移動体146によって収納凹部158から押し出された硬貨Cがスライドベース196上を自重によって滑り落ちた際、最初に受け止められる。
このため、硬貨受体224は、面状に形成され、長さは3〜5ミリ、厚みは最厚硬貨の厚みよりも僅かに薄く形成されている。
硬貨受体224は、スライドベース196上を滑落する硬貨Cの滑落方向線DLに対して大凡直角をなすよう水平線HLに対し傾斜する第7直線L7上に設定されている。直角に落下することが最も衝撃緩和効率が高まるからである。
直径及び重量の異なる硬貨Cは、落下する位置が異なるため、硬貨受体224を前記の所定の長さに形成することにより、前記の直角落下の関係を維持できる利点がある。
硬貨受体224の厚みが最厚硬貨の厚み以下にすることにより、硬貨Cが二枚重なって硬貨受体224に支えられない。これにより、硬貨Cが二枚重なって物理センサ226に達することを防止できる。
硬貨受体224は、図7に示すように硬貨受板234の回転ディスク112側の端部に形成されている。
【0039】
次に硬貨受板234が主に図7を参照して説明される。
硬貨受板234は、硬貨受体224が形成されると共に弾性的支持機構236によって支持される機能を有する。
硬貨受板234は平板状であって、その右側端部に硬貨受体224が形成されている。硬貨受板234は、マルテンサイト系ステンレス鋼にて製造することが好ましい。硬度が硬貨Cよりも高く、硬貨受体224の耐摩耗性を向上出来るからである。
硬貨案内板234は、硬貨Cの落下エネルギを吸収するため、弾性的支持機構236を介してスライドベース196に取り付けられている。
【0040】
次に弾性的支持機構236が主に図6を参照して説明される。
弾性的支持機構236は、硬貨受体224、換言すれば、硬貨受板234に落下した硬貨Cの衝撃を緩和し、硬貨Cが弾まないようにする機能を有する。したがって、同様の機能を有する本実施例とは異なる手段に代替えすることができる。
本実施例において、弾性的支持機構236は、移動許容手段238と付勢手段242とを含んでいる。すなわち、移動許容手段238によって移動が許容される範囲で硬貨受体224が移動することができ、かつ、付勢手段242によって硬貨受板234が元の待機位置SPへ復帰するよう弾性的に力を受けている。これにより、硬貨Cが硬貨受体224に落下した場合、硬貨受板234は移動許容手段238の許容範囲内において弾性的に移動可能である。換言すれば、移動受板234が硬貨Cの落下により弾性的に移動することにより、硬貨Cの落下の衝撃が緩和される結果、硬貨Cは硬貨受体224から跳ね上がらずに密着を継続、又は跳ね上がっても僅かであるため、極めて短時間で硬貨Cは硬貨受体224に密着する。これにより、落下した硬貨Cはその後硬貨案内面222に最初から接しつつ回転アームホイール198によって押動されるので、物理センサ226によって硬貨Cの物理的特性に関する情報を精度高く取得できる利点がある。
【0041】
次に移動許容手段238の具体例を説明する。
移動許容手段238は、第1長孔244aと第2長孔244b並びに第1案内ピン246aと第2案内ピン246bとを含んでいる。
第1長孔244aと第2長孔244bは、スライドベース196の下端部に、所定の間隔を置いて同一の所定の長さLL1において横長水平に形成されている。
硬貨受板234の背面に丸棒状の第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの一端が第1長孔244aと第2長孔244bに対応して平行に固定されている。
これら第1案内ピン246aと第2案内ピン246bは円柱状であって、第1長孔244aと第2長孔244bの高さ(短辺方向の距離)は、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの直径よりも僅かに大きい。
第1案内ピン246aと第2案内ピン246bは、対応する第1長孔244aと第2長孔244bにそれぞれ貫通される。そして、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの中間部にストッパとしての第1リテーナ248a、第2リテーナ248bを掛止してスライドベース196から脱落しないよう、かつ、機構ガタを最小に抑えるように取り付けられている。
スライドベース196の表裏面側に平座金252a、252b、254a、254bを配置することが好ましい。硬貨受板234の円滑な移動を確保するためである。
硬貨受板234は、第1長孔244aと第2長孔244bとの延在方向に移動することができる。
換言すれば、回転ディスク112に接離するように回転ディスク112の直径方向である第1長孔244aと第2長孔244bの延在方向の水平(横)方向に移動可能である。
さらに、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bの第1長孔244aと第2長孔244bに対する機構ガタの範囲において上下方向にも移動可能である。
なお、この機構ガタのみによって衝撃緩和ができ、目的を達成できる場合、第1長孔244aと第2長孔244bは単なる丸孔にすることができる。
【0042】
次に付勢手段242を説明する。
付勢手段242は、硬貨受体224、換言すれば硬貨受板234を回転ディスク112に近づけるよう弾性的に付勢する機能を有する。したがって、付勢手段242は同様の機能を有する本実施例とは異なる手段に交換することができる。
本実施例において付勢手段242は、スプリング252、固定係止ピン254を含んでいる。
固定係止ピン254は、スライドベース196の裏面に片持ち状態に一端部を固定され、円筒形のスリーブ256が回転可能に装着されている。本実施例では係止ピン254の先端部がカシメられてスライドベース196に固定され、当該カシメ部は硬貨受板234に形成された逃げ孔258内に配置されている。
逃げ孔258は、第1長孔244aと同一長さLL1かつ同一高さで形成されている。
スプリング252は、一端の掛止部をスリーブ256に、他端の掛止部を第1案内ピン246aに掛け止めされ、硬貨受板234、したがって、硬貨受体224を回転ディスク112へ近づくよう弾性的に付勢している。
しかし、第1案内ピン246a又は第2案内ピン246bが対応する第1長孔244a又は第2長孔244bの端部に係止されることにより、静止状態になる。この静止した位置が硬貨受体224の第2待機位置SP2である。
なお、付勢手段242は、ゴム、スポンジ、ウレタンフォーム等の弾性体に置き換えることができる。具体的には、第1長孔244a及び第2長孔244bを更に長くし、第1案内ピン246a又は第2案内ピン246bとの空間に弾性体を介在させて構成することができる。
【0043】
図7に示すように、硬貨受板234が第2待機位置SP2に位置する場合、硬貨受体224は硬貨案内面222に対し第2段差H2分上方に、換言すれば硬貨Cが移動体146によって押し出された後、落下を開始する落下位置の近く配置されている。これにより、前述したように、移動体146によって押し出された硬貨Cが最初に硬貨受体224上に落下し、跳ね上がることなく硬貨受体224に密接した状態で回転アームホイール198の押動アーム204によって押動され、硬貨案内面222に最初から密接しつつ案内されるようになる。
第2段差H2は、硬貨案内面222の硬貨受体224側の先端と硬貨受体224との間の落下方向線DLに沿った段差である。この第2段差H2は、1〜2ミリ程度が好ましい。
第2段差H2が小さすぎる(低すぎる)と落下位置のバラツキにより硬貨Cが硬貨案内面222上に落下することがある。この場合、硬貨案内体202は固定であるため、硬貨Cが跳ね上がって精度高い硬貨Cの物理的特性に関する情報を取得できない。
また、第2段差H2が大きすぎると硬貨受体224から硬貨案内面222に落下する途上で物理センサ226に検知される恐れがあるからである。
また、硬貨Cが押動部154と硬貨受板234の図7における左側先端(硬貨受体224の先端)との間に挟まれた場合、硬貨受板234は第1長孔244a及び第2長孔244bの範囲(詳細には硬貨受体224が硬貨案内体202に係止されるまで)で横方向(図7において左方)に移動できるため、硬貨Cが噛み込まれることを回避できる利点がある。
【0044】
次に重ね送り防止装置262が図1を参照して説明される。
重ね送り防止装置262は、硬貨Cが二枚重なって硬貨搬送装置104へ送り込まれることを防止する機能を有する。
本実施例において、重ね送り防止装置262は弾性を有する邪魔シート264である。
邪魔シート264を、回転ディスク112に対して上方からその上面148上に垂れ下がるように押出ディスク132の先端部の回転経路に延在配置し、かつ邪魔シート264の先端が回転ディスク112の上面、すなわち、回転ディスク112の上面148に弾性的に接触するように設ける。
邪魔シート264は、ベース116に固定されたブラケット266に上端を固定されている。
これにより、押動部154又は区分凹部114に保持された硬貨Cの上に乗っかって回転ディスク112の回転によって送られてくる硬貨Cは、邪魔シート264の下端部によって阻止されて保留容器108内へ落下させられ、区分凹部114には一枚の硬貨Cのみが残ることができる。
【0045】
次に本実施例の作用が図10〜12をも参照して説明される。
最初に最大径硬貨LCが送り出されるケースが説明される。
なお、特に個別に説明する必要がある場合を除き、移動体146、押動部154、収納凹部158、第1規制体164、押動部212及び逃げ部214、218として説明し、a、b、cは省略する。
保留容器108と回転ディスク112の下部との間に形成された保留部128に各種金種の硬貨Cがバラ積み状態に保留される。
保留部128に保留された硬貨Cは、回転ディスク112の回転によって攪拌され、区分凹部114に落下して保持される。
詳述すれば、カムフォロワ188がカム溝192の待機部194sにおいて案内される場合、換言すれば、移動体146が回転ディスク112の回転軸心RCよりも下側に位置する場合、カムフォロワ188の位置は変化せず、移動体146は待機位置SPを継続する(図4における移動体146a、146b)。
移動体146が待機位置SPに位置する場合、区分凹部114は最大径硬貨LCの直径よりも僅かに大きい直径を有するので、最大径硬貨LCは区分凹部114に落下することができる。
区分凹部114に保持された最大径硬貨LCは、その一面を区分凹部114の底面、換言すれば回転ディスク112の上面148に面接触し、周面は押動部154の押動縁156i、移動体146の内縁172i及び第1規制体164の内縁162i及び保留容器108の半円形端部110によって大凡下側端部を囲われた状態で保持される。
このとき図4に示すように、最大径硬貨LCは区分凹部114のほぼ全域を占有し、出口開口176の第2距離L2は最大径硬貨LCの直径よりも小さいので、最大径硬貨LCは出口開口176を通過して出て行くことはできない。
【0046】
一般に、回転ディスク112による硬貨Cの区分け過程において硬貨Cが入り込む区分凹部114は、実質的に移動体146の内縁172iと押動部154の押動縁156i及び第1規制体164の内縁162iによって形成されるほぼ円形であって、かつその上面側及び周面側が開放した円形の凹部である。
ここで区分凹部114の深さ、換言すれば硬貨Cを押し出す押出ディスク144の厚みは、前述したように使用される7金種のうち最も薄い硬貨Cの厚みよりも僅かに浅く形成されている。
一般に硬貨Cの周縁は丸みが付されているので、最薄硬貨Cが区分凹部114に保持された場合であっても、当該丸みによって引っかかることがなく、保持された硬貨Cの周縁に他の硬貨Cの周縁が支持されて開口116へ向かって進行されることはない。
【0047】
回転ディスク112の回転にともなって、カムフォロワ188が待機部194sから送出部194lに移動した場合、区分凹部114に保持された最大径硬貨LCは回転ディスク112の最上位付近に達した時点で移動体146が支軸166を支点に図4において反時計方向へ回動されはじめる(図10参照)。
この結果、移動体146は収納凹部158から区分凹部114の中央へ向かって進出し、ついには送出位置LPへ達し、最大径硬貨LCを出口開口176へ向けて押動する。
移動体146の押動に連動して第1規制体162が出口開口176を大きくする方向に移動するので、最大径硬貨LCは出口開口176を通って区分凹部114から回転ディスク112の直径方向へ移動してスライドベース196上へ押し出される(図10参照)。
そして移動体146が送出位置LPへ達した直後の落下開始位置FPにおいて、最大径硬貨LCの重心Gが移動体146の先端よりも硬貨受け体224側にあることによる重力によるベクトル及び移動体146の移動速度による横方向へのベクトルとの合力による左斜め下方へのベクトルが硬貨受体224へ指向する。これにより、最大径硬貨LCは落下開始位置FPから硬貨受体224へ向かって滑落方向線DLに沿って落下し、図7に示すように硬貨受体224の左端部に衝突する(図11参照)。
【0048】
この衝突によって、硬貨受体224に対し大凡直角に作用する力は、硬貨受板234にに対しては45度の分力を生じる。これにより、硬貨受板234は第1長孔244a及び第2長孔244bの延在方向にスプリング252の弾発力に抗して僅かに図11において左方へ弾性的に移動し(図7における鎖線示で示す微動位置MP2)、衝突による衝撃を緩和する(図7における微動位置MP2は誇張して表示してある)。また、硬貨受板234は、第1案内ピン246aと第2案内ピン246bと第1長孔244aと第2長孔244bとの間の機構ガタの範囲で上下方向にも弾性的に微少に移動し、衝撃を緩和する。換言すれば、最大径硬貨LCは硬貨受体224に対し軟着陸し、跳ね上がることなく密着する(図11の状態)。
【0049】
この直後、最大径硬貨LCは、押動アーム204の回転によって押動部212及び逃げ部214によって押され、硬貨案内体202の硬貨案内面222に最初から沿って押動される(図12参照)。
この途上において最大径硬貨LCは、硬貨受体224との第2段差H2を一気に落下するが、第2段差H2の段差量は小さいため、硬貨案内面222に落下した反力によって跳ね上がることはない。
そして、硬貨案内面222に沿って押動される過程において、最大径硬貨LCは物理センサ226によって材質等の特性を検知され、図示しない判別回路において基準値と比較して当該最大径硬貨LCの真偽及び金種を判別する。
その後、最大径硬貨LCは回転ホイール206の回転によって硬貨選別装置(図示せず)へ送られる。
【0050】
次に最小径硬貨SCのケースを説明する(図9〜12において鎖線示)。
最小径硬貨SCも最大径硬貨LCと同様に区分凹部114に一つの最小径硬貨SCのみが保持される。換言すれば、一つの最小径硬貨SCのみが上面148と面接触し、押動部154によって押動される。
回転ディスク112の上方において、移動体146が回動されて最小径硬貨SCを押出す(図10鎖線示)。
【0051】
次いで最小径硬貨SCが硬貨受体224に落下し、最大径硬貨LCと同様に落下の衝撃を緩衝された後、回動アームホイール198の押動アーム204の回転によって硬貨案内面222上に案内される。そして、硬貨案内面222に案内される過程で物理センサ226によって物理的性質を取得され、正偽判別及び金種判別される。
したがって、最小径硬貨SCの場合も物理センサ226によって精度高い物理的特性に関する情報を取得することができる。
【0052】
本発明はスイス国硬貨に限定されることなく、日本硬貨、米国硬貨、ユーロ硬貨、イギリス硬貨、中国硬貨及びその他の硬貨について使用することができる。
回転ディスク112は、区分凹部114を少なくとも一つ有していればよい。例えば、実施例において、押動部154a及び移動体146aのみを配置することができる。この場合、当然に、回転アームホイール198の押動アーム204は、一つのみ形成すればよい。
しかし、回転ディスク112の一回転で一つの硬貨Cのみしか区分けして送り出すことができないので、単位時間当たりの処理能力が落ちるため、実施例のように一つの回転ディスク112に複数の区分凹部114を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
110硬貨
112回転ディスク
114区分凹部
146移動体
176開口
196ベース
202硬貨案内体
224硬貨受体
226物理センサ
234硬貨受板
236弾性的支持機構
238移動許容手段
242付勢手段
244a、244b長孔
246a、246b案内ピン
C硬貨
FP落下開始位置
HL水平線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ディスク(112)の上面に配置した凹部(114)と前記回転ディスク(112)の直径方向に移動可能な移動体(146)とによって半円形の区分凹部(114)を形成し、前記区分凹部(114)に硬貨(110)を保持して一つずつ区分けした後、前記回転ディスク(112)の上方位置において前記移動体(146)を前記直径方向へ移動させて前記回転ディスク(112)に対して直径方向に延在する直状の硬貨案内体(202)に受け渡すようにした硬貨処理装置において、
前記硬貨案内体(202)と前記回転ディスク(112)との間に弾性的支持機構(236)によってベース(196)に対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体(224)を配置し、
前記移動体(146)によって移動された後、落下する硬貨(C)が前記硬貨受体(224)に落下した後、前記硬貨案内体(202)によって案内されるように配置されていることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記硬貨受体(224)は、前記硬貨案内体(202)よりも前記硬貨(C)の落下開始位置(FP)に近く配置されていることを特徴とする請求項1の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記硬貨受体(224)は、前記ベース(196)に形成され、かつ、前記回転ディスク(112)の直径方向に長い長孔(244a、244b)に挿入された案内ピン(246a、246b)に固定されると共に、付勢手段(242)によって前記回転ディスク(112)に近づくよう付勢されていることを特徴とする請求項1又は2の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記硬貨案内体(202)に対応する位置に硬貨(C)のための物理センサ(226)が配置されることを特徴とする請求項3の硬貨処理装置。
【請求項5】
傾斜した回転ディスク(112)の上面に配置した凹部(114)と前記回転ディスク(112)の直径方向に移動可能な移動体(146)とによって前記回転ディスク(112)の周側及び上面が開口された半円形の区分凹部(114)を形成し、前記区分凹部(114)に硬貨(C)を保持して一ずつ区分けした後、前記回転ディスク(112)の上方位置において前記移動体(146)を前記周側の開口(176)へ向けて移動させて前記回転ディスク(112)に対する直径方向に延在する直状の硬貨案内体(202)に沿わせて移動させ、この移動過程において物理センサ(226)によって物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置において、
前記硬貨案内体(202)と前記回転ディスク(112)との間に弾性的支持機構(236)によってベース(196)に対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体(224)を配置してなり、
前記硬貨受体(224)は板状の硬貨受板(234)の一先端に水平線(HL)に対し傾斜して形成され、
前記硬貨受板(234)の基部は移動許容手段(238)によって前記ベース(196)に対し前記回転ディスク(112)の直径方向であって、かつ、前記回転ディスク(112)から離れる方向へ弾性的に退避動可能に取り付けられていることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項6】
前記硬貨受体(224)は前記硬貨(C)よりも硬度が高い材料にて形成されていることを特徴とする請求項5の硬貨処理装置。
【請求項1】
回転ディスク(112)の上面に配置した凹部(114)と前記回転ディスク(112)の直径方向に移動可能な移動体(146)とによって半円形の区分凹部(114)を形成し、前記区分凹部(114)に硬貨(110)を保持して一つずつ区分けした後、前記回転ディスク(112)の上方位置において前記移動体(146)を前記直径方向へ移動させて前記回転ディスク(112)に対して直径方向に延在する直状の硬貨案内体(202)に受け渡すようにした硬貨処理装置において、
前記硬貨案内体(202)と前記回転ディスク(112)との間に弾性的支持機構(236)によってベース(196)に対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体(224)を配置し、
前記移動体(146)によって移動された後、落下する硬貨(C)が前記硬貨受体(224)に落下した後、前記硬貨案内体(202)によって案内されるように配置されていることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記硬貨受体(224)は、前記硬貨案内体(202)よりも前記硬貨(C)の落下開始位置(FP)に近く配置されていることを特徴とする請求項1の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記硬貨受体(224)は、前記ベース(196)に形成され、かつ、前記回転ディスク(112)の直径方向に長い長孔(244a、244b)に挿入された案内ピン(246a、246b)に固定されると共に、付勢手段(242)によって前記回転ディスク(112)に近づくよう付勢されていることを特徴とする請求項1又は2の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記硬貨案内体(202)に対応する位置に硬貨(C)のための物理センサ(226)が配置されることを特徴とする請求項3の硬貨処理装置。
【請求項5】
傾斜した回転ディスク(112)の上面に配置した凹部(114)と前記回転ディスク(112)の直径方向に移動可能な移動体(146)とによって前記回転ディスク(112)の周側及び上面が開口された半円形の区分凹部(114)を形成し、前記区分凹部(114)に硬貨(C)を保持して一ずつ区分けした後、前記回転ディスク(112)の上方位置において前記移動体(146)を前記周側の開口(176)へ向けて移動させて前記回転ディスク(112)に対する直径方向に延在する直状の硬貨案内体(202)に沿わせて移動させ、この移動過程において物理センサ(226)によって物理的情報を取得するようにした硬貨処理装置において、
前記硬貨案内体(202)と前記回転ディスク(112)との間に弾性的支持機構(236)によってベース(196)に対し弾性微動可能に取り付けられた硬貨受体(224)を配置してなり、
前記硬貨受体(224)は板状の硬貨受板(234)の一先端に水平線(HL)に対し傾斜して形成され、
前記硬貨受板(234)の基部は移動許容手段(238)によって前記ベース(196)に対し前記回転ディスク(112)の直径方向であって、かつ、前記回転ディスク(112)から離れる方向へ弾性的に退避動可能に取り付けられていることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項6】
前記硬貨受体(224)は前記硬貨(C)よりも硬度が高い材料にて形成されていることを特徴とする請求項5の硬貨処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−190334(P2012−190334A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54415(P2011−54415)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】
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