説明

硬貨処理装置

【課題】金種別に設けられる所定の硬貨収納庫を有用に活用し、汎用性が高く取扱いが容易な硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】投入硬貨の識別手段17と、識別された硬貨を一時保留する硬貨保留手段10と、硬貨保留手段10から繰り出された硬貨を金種別に振分ける硬貨振分手段11と、金種別に振分けられた硬貨を収納する硬貨収納手段12と、硬貨収納手段12から払い出される硬貨を払出口7又は硬貨保留手段10のいずれかへ出金する硬貨払出手段15とを備えた硬貨処理装置1において、硬貨振分手段11は、全金種の硬貨を特定の硬貨収納手段12aに振り分ける切換部32を有し、特定以外の硬貨収納手段12の一つが満杯状態になるとき、その硬貨収納手段12dの硬貨を硬貨保留手段10に出金し、さらにそこから繰り出される硬貨を切換部32により特定の硬貨収納手段12aに向けて振り分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨投入口に投入された硬貨を鑑別して内部に取り込み、それらを金種別に収納部に収容した後、それらの硬貨を搬出指令により釣銭等として外部に払い出す硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような硬貨処理装置としては、例えば特開2011-39773号公報に記載されたものが知られている。この硬貨処理装置は硬貨投入口に投入された硬貨を鑑別した後、内部に自動的に取り込んで、それらを金種毎に設けられた硬貨収納庫に収納するとともに、その硬貨収納庫に保管されている硬貨を、外部の装置等からの釣銭払出要求に応じて要求金額の硬貨を釣銭として硬貨払出口に払い出す機能を持つものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−39773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした硬貨処理装置は、一般的に1円、5円、10円、50円、100円、500円の6金種に対応する所定容量の硬貨収納庫を予め備えているが、装置が設置される店舗等の環境に応じて投入される硬貨や釣銭として払い出される硬貨の量は金種毎に異なるから、金種別に設けられる硬貨収納庫の容量に過不足が生じる場合があった。例えば、商品の価格が100円均一の専門店では、1円や5円の硬貨は入金量が少なく、また入金された場合にも釣銭として出金されることはほとんどないから、1円や5円の所定容量の硬貨収納庫は有効に活用されずにデッドスペース化するが、一方で100円硬貨は入金枚数が多くなるから、所定容量の100円硬貨収納庫は満杯状態になる頻度が高くなり、満杯の100円硬貨を機外へ排出する作業が増える問題が生じる。すなわち、従来の硬貨処理装置においては、装置の設置環境に応じて硬貨収納庫を有用に活用できる方法が望まれていた。
【0005】
本発明は、このような問題に対応するため、硬貨処理装置の設置の環境に応じて、予め金種別に設けられる所定容量の硬貨収納庫を有用に活用することにより、汎用性が高く取扱いが容易な硬貨処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、投入口に投入された硬貨の真偽および金種を識別する識別手段と、前記識別手段によって正貨として識別された硬貨を受け入れて一時保留する硬貨保留手段と、前記硬貨保留手段から繰り出された硬貨を金種別に振分ける硬貨振分手段と、前記硬貨振分手段で金種別に振分けられた硬貨を金種別に収納し、出金指令に基づいて該収納硬貨を払い出す硬貨収納手段と、前記硬貨収納手段から払い出された硬貨を搬送し、払出口又は前記硬貨保留手段のいずれか一方へ出金する硬貨払出手段と、を備えた硬貨処理装置において、前記硬貨振分手段は、全ての金種の硬貨を特定金種を収納する前記硬貨収納手段に向けて振分ける切換部を有し、前記特定金種以外の金種の硬貨を収納する前記硬貨収納手段の一つが満杯状態になるとき、前記硬貨払出手段により当該硬貨収納手段に収納される硬貨を前記硬貨保留手段に出金し、前記硬貨保留手段から繰り出される当該硬貨を前記切換部により前記特定金種を収納する前記硬貨収納手段に向けて振分けるものである。
【0007】
これによれば、前記満杯状態になる前記硬貨収納手段に収納される硬貨を前記特定金種を収納する前記硬貨収納手段に移送して収納することができるから、前記満杯状態になる前記硬貨収納手段に収納される硬貨を、前記特定金種を収納する前記硬貨収納手段に振り分けて収納することができる。すなわち、前記満杯状態になる前記硬貨収納手段に収納される硬貨を硬貨処理装置の機外に排出する作業を不要にすることができる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の硬貨処理装置において、前記満杯状態になった前記硬貨収納手段に収納された硬貨の量が所定量以下に減少したとき、前記特定金種を収納する前記硬貨収納手段に収納されていた硬貨を、前記硬貨払出手段により前記硬貨保留手段に出金し、前記硬貨保留手段から繰り出された硬貨を、前記硬貨振分手段により金種別に振り分け、硬貨の量が所定量以下に減少した前記硬貨収納手段に収納するものである。
【0008】
これによれば、満杯になる状態にあった硬貨の量が所定以下に減少した前記硬貨収納手段に、前記特定金種を収納する硬貨収納手段に収納されていた当該硬貨を移送して収納することができるから、硬貨処理装置の機外から硬貨の量が所定以下に減少した前記硬貨収納手段に当該硬貨を補充する作業を不要にすることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、満杯状態になる硬貨収納手段に収納される硬貨を、特定金種を収納する硬貨収納手段に振り分けて収納することにより、満杯状態になる硬貨収納手段に収納される硬貨を硬貨処理装置の機外に排出する作業を不要にすることができるから、装置の稼動状況に応じて、予め金種別に設けられる所定容量の硬貨収納手段を有用に活用することにより、汎用性が高く取扱いが容易な硬貨処理装置を提供することができる。
【0010】
また、請求項2に係る発明によれば、満杯になる状態にあった硬貨の量が所定以下に減少した硬貨収納手段に、特定金種を収納する硬貨収納手段に収納されていた硬貨を移送して収納することによって、硬貨処理装置の機外から硬貨の量が所定以下に減少した硬貨収納手段に硬貨を補充する作業を不要にすることができるから、請求項1と同様に汎用性が高く取扱いが容易な硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る硬貨処理装置の外観を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る硬貨処理装置の内部構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を適用する硬貨処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る硬貨処理装置の外観を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0013】
図に示すように、この硬貨処理装置1には、筐体2の上面前方右側に、複数枚の硬貨が同時に投入可能な硬貨投入口(投入口)3を備えており、この硬貨投入口3の左側にはディスプレイ4と複数の操作ボタン5とを備えた操作パネル6が配置されている。また、筐体2の前面のディスプレイ4に近接した位置に硬貨払出口(払出口)7およびこれに接続された硬貨トレイ20が設けられ、硬貨投入口3に近接した前面位置に投入硬貨を返却する硬貨返却口8が設けられている。
【0014】
ここで、硬貨投入口3に投入された硬貨は、筐体2の内部で一時保留され、その金額が確定された後に、後述の金種別の硬貨収納庫12a〜12fに金種別に収容される。そのとき、投入金額はディスプレイ4に表示される。また、この硬貨処理装置1のディスプレイ4には、投入金額だけではなく、その動作状態や操作指示なども表示することができる。また、硬貨払出口7は、釣銭として払い出される硬貨、鑑別不能なリジェクト硬貨、または硬貨処理装置1内から回収される硬貨がいずれも硬貨トレイ20に向けて排出されるように構成されている。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に係る硬貨処理装置1の内部の構成を模式的に示す平面図である。なお、図中の矢印は硬貨処理装置1内で処理される硬貨の移動方向を示すものである。この硬貨処理装置1は、硬貨投入口3に投入された硬貨を内部に搬送する入金用の硬貨搬送機構9と、後述の検銭部(識別手段)17により正貨として識別された硬貨を一時保留する一時保留部(硬貨保留手段)10と、一時保留部10から送出される硬貨を金種別に振分ける硬貨振分部(硬貨振分手段)11と、硬貨振分部11で振分けられた硬貨を金種別に収納する硬貨収納手段12と、硬貨収納手段12を構成し所定金種の硬貨をそれぞれ収納する金種別収納庫12a〜12fと、それぞれの金種別収納庫12a〜12fから繰出される搬出硬貨を出金口7に送出する出金搬送部(硬貨払出手段)15と、各部の硬貨搬送制御を行う制御部30等から構成されている。
【0016】
また、硬貨搬送機構9の略中央に配置された検銭部17は、硬貨投入口3に投入された硬貨の真偽正損および金種を識別し、その識別結果に応じてその下流側に設けられるリジェクトゲート34を切り換えることによって、投入硬貨を硬貨払出口7あるいは一時保留部10のいずれかに送出するように構成されている。ここで、検銭部17で正貨として識別された硬貨は一時保留部10に一時保留され、その金額が確定された後、硬貨振分部11に向けて送出される。また、一時保留部の下流側にはキャンセルゲート35が設けられており、例えば制御部30から投入硬貨の返却指令が出された場合は、このキャンセルゲート35により一時保留された硬貨を返却口8からそのまま返却することが可能である。なお、検銭部17で正貨として識別されなかった硬貨は硬貨払出口7から機外に返却される。
【0017】
硬貨振分部11は、一時保留部10から送出された硬貨を、金種別に選別しその枚数を計数して金種別収納庫12a〜12fに搬送するものであって、硬貨処理装置1の前面から後方に向かって延びるように筐体2右側面に沿って配置されている。また、この硬貨振分部11は、通常状態において搬送される硬貨の直径に応じて各金種別収納庫12a〜12fに硬貨を選別、収納するように構成されている。また、本実施の形態においては、硬貨振分部11の上流側に、一時保留部10から送出される硬貨を金種にかかわらず全て1円収納庫12aに搬送するように硬貨の搬送先を切り換えることができる切換ゲート(切換部)32が設けられている。なお、この切換ゲート32は1円収納庫12aに対応する位置に設けられ、通常状態においては硬貨振分部11を搬送される1円硬貨のみを1円収納庫12aに向けて振り分けるように切り換えられており、他の金種の硬貨はその直径に応じて各金種別収納庫12b〜12fに収納されるように構成されている。
【0018】
硬貨収納手段12を成す金種別収納庫12a〜12fは、1円、50円、100円、10円、および500円の各金種の硬貨をそれぞれ専用に収容するように構成されている。そして、この金種別収納庫12a〜12fは硬貨振分部11の上流側(前面側)から順に径が大きくなる硬貨を受け入れるように配置されている。また、この金種別収納庫12a〜12fには内部に収容された硬貨を出金搬送部15に繰り出す図示しない硬貨繰出手段と、出金搬送部15に繰り出される硬貨を計数する図示しない硬貨計数センサが設けられている。さらに、この金種別収納庫12a〜12fには、硬貨振分部11から送出される硬貨がその内部に堆積されて満杯状態となることを検出する図示しない満杯検知センサがそれぞれ設けられている。
【0019】
このように構成される硬貨収納手段12において、例えば顧客に支払う釣銭を出金する場合は、それぞれの金種別収納庫12a〜12fから指定された枚数の硬貨を出金搬送部15に出金して、出金切換ゲート36を経て出金口に出金することができる。なお、出金切換ゲート36を一時保留部10側に切り換えておけば、硬貨処理装置1の内部において、各金種別収納庫12a〜12fに収納された硬貨を一時保留部10を介して循環させ、硬貨振分部11等により各金種毎の在高を把握することもできる。
【0020】
このように構成される硬貨処理装置1において、硬貨投入口3に硬貨が投入されると、そこに投入された硬貨が図示しない投入検知センサにより検知され、硬貨搬送機構9が駆動される。硬貨搬送機構9により搬送される硬貨は、その中央の検銭部17で硬貨の真偽正損および金種が識別され、正貨であれば一時保留部10に送出されて一時保留される。その後、正貨として一時保留部10に一時保留された投入硬貨の金額がディスプレイ4に表示され、さらに操作ボタン6を構成する確定ボタン等の操作、または外部の装置からの指示によりその投入金額が確定されると、一時保留部10内に保留される硬貨が硬貨振分部11に1枚毎に繰り出されて金種別に選別・計数され、おのおの金種別収納庫12a〜12fに収納される。また、その際に釣銭として払い出すべき硬貨があるときは、金種別収納庫12a〜12fから釣銭として払い出される硬貨が出金口に搬送されると同時に、その釣銭金額がディスプレイ4に表示される。本実施の形態の硬貨処理装置1は、このようにして硬貨投入口3に投入された硬貨を識別して内部に取り込み、それらを金種毎に金種別収納部12a〜12fに収容するとともに、その内部に収容されていた硬貨を釣銭等として硬貨払出口7から外部に払い出すことができる。
【0021】
つぎに、このように構成される硬貨処理機1において、100円の硬貨収納庫12dの硬貨収納状態が図示しない満杯検知センサにより満杯状態にあることが検知された場合の動作について説明する。なお、この場合の硬貨処理機1は100円ショップ等の専門店に設置され、100円硬貨に比べて他の金種の硬貨の取り扱い数量が少ない状態にあり、特に1円硬貨を収納する1円収納庫12aは硬貨の収容量に十分余裕がある環境にあるものとする。
【0022】
まず、100円収納庫12dの硬貨収納状態が満杯状態にあることが図示しない満杯検知センサにより検知されると、100円収納庫12dの内部に収容された硬貨を出金搬送部15に繰り出す図示しない硬貨繰出手段が駆動され、その内部の100円硬貨が出金搬送部15に繰り出される。その際、繰り出される硬貨は100円収納庫12dに備えられる図示しない計数センサにより計数される。出金搬送部15に繰り出された硬貨は、筐体2前方に向けて搬送され、その下流側に設けられた出金切換ゲート36により一時保留部10に送出される。なお、図示しない計数センサにより所定枚数の100円硬貨が計数されると、図示しない硬貨繰出手段が停止され、100円収納庫12dからの硬貨の繰り出しが停止される。そして、一時保留部10に保留された硬貨は、硬貨振分部11に設けられる切換ゲート32が全ての硬貨を1円収納庫12aに搬送するように切り換えられた後に、硬貨振分部11に送出され、その切換ゲート32により1円収納庫12aに全て収納される。このようにして、満杯状態にあった100円収納庫12dに収納されていた所定枚数の100円硬貨が、収納状態に余裕のある1円収納庫12aに移送される。これにより、満杯状態にある100円収納庫12dの硬貨を外部へ排出することなく、硬貨処理装置1を継続して稼動することができる。すなわち、満杯状態にある100円収納庫12dの硬貨を外部へ排出する作業を不要にすることができる。
【0023】
また、100円収納庫12dに収納される100円硬貨の枚数が所定枚数以下になり、釣銭として払い出す硬貨の枚数に不足が生じるような場合は、1円収納庫12aに収納された硬貨を、その図示しない硬貨繰出手段を駆動して出金搬送部15に繰り出し、出金搬送部15に繰り出された硬貨を出金切換ゲート36により一時保留部10に送出し、さらに切換ゲート32を通常の状態に切り換えた後、一時保留部10に送出した硬貨を硬貨振分部11に送出して、1円硬貨と100円硬貨に選別してそれぞれに対応する金種別収納庫12a、12dに収納する。これにより1円収納庫に収納されていた100円硬貨を硬貨収納枚数が所定以下になった100円収納庫12dに補充することができる。これにより、釣銭として払い出す硬貨の枚数に不足が生じる100円硬貨収納庫12dに外部から硬貨を補充することなく、硬貨処理装置1を継続して稼動することができる。すなわち、釣銭として払い出す硬貨の枚数に不足が生じる100円硬貨収納庫12dに外部から硬貨を補充する作業を不要にすることができる。
【0024】
以上のように、本発明の硬貨処理装置1において、硬貨振分部11は、全ての金種の硬貨を1円硬貨の硬貨収納庫12aに向けて振分ける切換ゲート32を有し、例えば100円硬貨を収納する硬貨収納庫12dが満杯状態になるとき、出金搬送部15により満杯状態の硬貨収納庫12dに収納される100円硬貨を一時保留部10に出金し、一時保留部10から繰り出される100円硬貨を、切換ゲート32を切り換えることにより1円硬貨を収納する硬貨収納庫12aに向けて振り分けることができる。すなわち、満杯状態になる硬貨収納庫12dに収納される100円硬貨を、1円硬貨を収納する硬貨収納庫12aに振り分けて収納することができるから、満杯状態になる硬貨収納庫12dに収納される100円硬貨を硬貨処理装置の機外に排出する作業を不要にすることができる。したがって、硬貨処理装置1の稼動状況に応じて、予め金種別に設けられる所定容量の硬貨収納庫12aを有用に活用することにより、汎用性が高く取扱いが容易な硬貨処理装置を提供することができる。
【0025】
また、本発明の硬貨処理装置1は、満杯状態になる硬貨収納庫12dに収納された100円硬貨の量が所定量以下に減少したとき、1円硬貨を収納する硬貨収納庫に収納されていた100円硬貨を、出金搬送部15により一時保留部10に出金し、さらに硬貨振分部11の切換ゲート32を通常の状態に切り換えて、一時保留部10から繰り出された硬貨を1円硬貨と100円硬貨に選別してそれぞれに対応する金種別収納庫12a、12dに収納するものである。すなわち、満杯になる状態にあった硬貨の量が所定以下に減少した硬貨収納庫12dに、1円硬貨を収納する硬貨収納庫12aに収納されていた100円硬貨を移送して収納することができるから、硬貨処理装置1の機外から硬貨の量が所定以下に減少した硬貨収納庫12dに100円硬貨を補充する作業を不要にすることができる。したって、前記と同様に、予め設けられた所定容量の硬貨収納庫12aを有用に活用することにより、汎用性が高く取扱いが容易な硬貨処理装置を提供することができる。
【0026】
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、満杯状態になることが検知される硬貨収納庫は100円硬貨を収納する硬貨収納庫12dに限らず、また満杯状態になる硬貨を振り分ける硬貨収納庫は1円硬貨を収納する硬貨収納庫12aに限られず、それらは硬貨処理装置1の使用環境に応じて適宜に設定されるものである。また、硬貨収納庫12a〜12fの硬貨収納状態を検出する検出手段は、硬貨収納庫12a〜12f内の硬貨の量を直接に検知するものであっても、硬貨収納庫12a〜12fに出入する硬貨の数量からその残量を演算するものであっても当然よい。また、検銭部17、一時保留部10、硬貨振分部11、硬貨収納庫12a〜12f、出金搬送部15、切換ゲート32等の配置構成、形状等は、個々の硬貨処理装置の仕様等に応じて適宜に設定され、本実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 硬貨処理装置
3 硬貨投入口(投入口)
6 操作パネル
7 硬貨払出口(払出口)
9 硬貨搬送機構
10 一時保留部(硬貨保留手段)
11 硬貨振分部(硬貨振分手段)
12 硬貨収納手段
12a 硬貨収納庫
12b 硬貨収納庫
12c 硬貨収納庫
12d 硬貨収納庫
12e 硬貨収納庫
12f 硬貨収納庫
15 出金搬送部(硬貨払出手段)
17 検銭部(識別手段)
30 制御部
32 切換ゲート(切換部)
36 出金切換ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口に投入された硬貨の真偽および金種を識別する識別手段と、前記識別手段によって正貨として識別された硬貨を受け入れて一時保留する硬貨保留手段と、前記硬貨保留手段から繰り出された硬貨を金種別に振分ける硬貨振分手段と、前記硬貨振分手段で金種別に振分けられた硬貨を金種別に収納し、出金指令に基づいて該収納硬貨を払い出す硬貨収納手段と、前記硬貨収納手段から払い出された硬貨を搬送し、払出口又は前記硬貨保留手段のいずれか一方へ出金する硬貨払出手段と、を備えた硬貨処理装置において、前記硬貨振分手段は、全ての金種の硬貨を特定金種を収納する前記硬貨収納手段に向けて振分ける切換部を有し、前記特定金種以外の金種の硬貨を収納する前記硬貨収納手段の一つが満杯状態になるとき、前記硬貨払出手段により当該硬貨収納手段に収納される硬貨を前記硬貨保留手段に出金し、前記硬貨保留手段から繰り出される当該硬貨を前記切換部により前記特定金種を収納する前記硬貨収納手段に向けて振分けることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記満杯状態になった前記硬貨収納手段に収納された硬貨の量が所定量以下に減少したとき、前記特定金種を収納する前記硬貨収納手段に収納されていた硬貨を、前記硬貨払出手段により前記硬貨保留手段に出金し、前記硬貨保留手段から繰り出された硬貨を、前記硬貨振分手段により金種別に振り分け、硬貨の量が所定量以下に減少した前記硬貨収納手段に収納することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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