説明

硬質ポリウレタンフォームを製造する方法

本発明は、
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物と、以下の
c)発泡剤、
の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
化合物b)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに加えることによって製造された、少なくとも1種のポリエーテルアルコールbi)、及びアルキレンオキシドをオリゴマー性グリセロールを含むH−官能性開始剤物質に加えることによって製造された、少なくとも1種のポリエーテルアルコールii)を含むことを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法に関する(以降、ポリウレタンを簡略してPUと記載する)。
【背景技術】
【0002】
硬質PUフォームの製造は公知であり、そして多く記載されている。
【0003】
これらは、特に、硬質PUフォーム、及び硬質弾力性材料、例えばペーパー、プラスチックフィルム、アルミニウムホイル、金属シート、ガラス不織布、又はチップボードの少なくとも1種の被覆層でできている複合体、又はサンドイッチ要素を製造するために使用される。家庭用品、例えば冷凍用品、例えばアップライト又はチェスト冷蔵庫又は熱水貯蔵の空洞スペースを、断熱材料としての硬質PUフォームで埋めることが公知である。更なる用途は、金属又はプラスチックの内側管、ポリウレタン絶縁層、及びポリウレタンの外側シースを含む、絶縁パイプである。大型の貯蔵容器又は輸送船、例えば温度範囲が160℃〜−160℃の範囲の液体又は液化ガスの貯蔵と輸送のためのものも可能である。
【0004】
この目的のために安定な、熱−及び冷−絶縁硬質PUフォームは、公知のように、有機ポリイソシアネートを、イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有する、1種以上の化合物、好ましくはポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと(通常、鎖延長剤、及び/又は架橋剤を、発泡剤、触媒、及び任意に助剤及び/又は添加剤を付随的に使用して)反応させることによって製造することができる。このようにして、形成成分を適切に選択して、伝熱性が低く、及び機械的特性が良好な硬質PUを得ることができる。
【0005】
硬質PUフォームの製造と、複合体中でのカバリング又は好ましくはコアとしてのその使用、又は冷蔵庫又は加熱エンジニアリング中での絶縁体としてのその使用の概観の要旨が、例えば、非特許文献1(Polyurethane,Kunststoff−Handbuch,volume7,3rd dition 1993,edited by Dr.Gunter Oertel,Carl hanser Verlag,Munich,Vienna)に記載されている。
【0006】
硬質ポリウレタンフォームの製造の目下の目的は、機械的及び加工的な特性に悪影響を及ぼすことなく、熱伝導性を低減することである。
【0007】
熱伝導性を低減する可能な一手段は、特許文献1(EP708127)に記載されているような、ポリオール中の芳香族成分の含有量を増すことである。しかしながら、この可能性は、ポリオール成分の粘度及びフォームの架橋によって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP708127
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Polyurethane,Kunststoff−Handbuch,volume7,3rd dition 1993,edited by Dr.Gunter Oertel,Carl hanser Verlag,Munich,Vienna
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最近、トルエンジアミン(TDA)に基づくポリエーテルアルコールを使用して製造される硬質ポリウレタンフォームが重用になってきている。このようなポリオールは、低粘度であり、及びフォームの熱伝導性を低減する。しかしながら、これらのポリオールは官能価が4しかなく、フォームの十分な架橋を達成するために、より高い官能価を有するポリエーテルアルコールを追加的に使用する必要がある。これらは通常、シュガーに基づくポリオール、特にサッカロースである。しかしながら、これらはポリオール成分の粘度を増し、そしてポリウレタン系の流動性を下げてしまう。
【0011】
従って、本発明の目的は、TDAに基くポリエーテルアルコールを使用して、熱伝導度が低い硬質ポリウレタンフォームを提供することにある。ポリオール成分は、低粘度であるべきで、及びポリウレタン系の流動性は高くあるべきである。更に、フォームは、高架橋であるべきである。
【0012】
架橋密度は、使用する原料から計算することができる。原理は、2つの節(node)の間に配置された基の分子量を計算することである。これは、例えばJ.H.Saunders,K.C.Frisch“Polyurethanes,Vol1,Chemistry”,1962,Interscience Wiley,New York,pp.264−267に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、ポリオール成分中のオリゴマー性グリセロールにアルキレンオキシドを加えることによって製造されたポリエーテルアルコールを付随して使用することによって達成可能であったことは、驚くべきことであった。
【0014】
従って、本発明は、
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシエナート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物と、以下の
c)発泡剤、
の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
化合物b)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに加えることによって製造された、少なくとも1種のポリエーテルアルコールbi)、及びアルキレンオキシドをオリゴマー性グリセロールを含むH−官能性開始剤物質にアルキレンオキシドを加えることによって製造された、少なくとも1種のポリエーテルアルコールii)を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0015】
オリゴマー性グリセロールは、好ましくは、4〜10個のグリセロール単位で構成される。
【0016】
ポリエーテルアルコールbii)は、ヒドロキシル価が、350〜500mgKOH/gの範囲であることが好ましい。これは、以下に記載するように、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、及び/又はプロピレンオキシド、特に好ましくは純粋なプロピレンオキシドを、オリゴマー性グリセロールに、塩基−触媒化添加(base-catalyzed addition)することによって製造される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態では、ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質は、もっぱらオリゴマー性グリセロールを含む。
【0018】
本発明の更なる実施の形態では、ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質は、オリゴマー性グリセロール、及び少なくとも1種の更なるH−官能性化合物を含む。更なる化合物はアルコール又はアミンも可能である。更なるH−官能性化合物として、ヒドロキシル基を少なくとも3個有するアルコールを使用することが好ましい。
【0019】
本発明の一実施の形態では、ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質は、オリゴマー性グリセロール及びトリメチロールプロパンを含む。本発明の更なる実施の形態では、ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質(starter substance)は、オリゴマー性グリセロール及び少なくともサッカロース又はソルビトールを含む。
【0020】
ここで、ポリエーテルアルコールbii)は、好ましくはオリゴマー性グリセロールのサッカロース又はソルビトールに対するモル割合が、2.5:1〜1:2.5である。
【0021】
ポリエーテルアルコールbi)の製造において、原則として、TDAの全ての異性体を使用することが可能である。如何なるo−TDAも含まない混合物を使用することも可能である。TDAの質量に対して、少なくとも25%のo−TDA(ビシナルTDAとも称される)を含む混合物が好ましい。本発明の特に好ましい実施の形態では、TDA異性体の混合物は、TDAの質量に対して、少なくとも95質量%のビシナルTDAを含む。ポリエーテルアルコールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びこれらの混合物を、TDAに加えることによって製造される。エチレンオキシドとプロピレンオキシドが使用された場合、アルキレンオキシドは、個別にでも、連続してでも、又は相互の混合物の状態でも加えることができる。一実施の形態では、最初にエチレンオキシドが加えられ、次にプロピレンキシドが加えられる。エチレンオキシドの付加反応は、触媒を使用することなく行なうことが好ましく、及びプロピレンオキシドの付加反応は、塩基性触媒の存在下に行なうことが好ましい。
【0022】
ポリエーテルアルコールbi)は、好ましくは、ヒドロキシル価が120〜450の範囲である。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態では、成分bi)とbii)は、5:1〜1:2の質量割合で使用される。
【0024】
成分b)は、成分bi)及びbii)のみならず、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する更なる化合物を含むことができる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態では、成分b)は、成分bi)及びbii)に加え、少なくともサッカロースを使用して開始されるポリエーテルアルコールbiii)を含む。ポリエーテルアルコールbiii)は、好ましくはヒドロキシル価が、350〜550の範囲である。
【0026】
本発明の特に好ましい実施の形態では、ポリエーテルアルコールbii)及びbiii)は、1:10〜2:1の質量割合で使用される。
【0027】
ポリグリセロールとも称されるオリゴマー性グリセロールは公知である。ポリグリセロールは、それ自体との塩基−触媒化反応(base-catalyzed reaction)によって形成される。グリセロールのオリゴマー化は、他の多官能性アルコール、例えばペンタエリチリトール又はトリメチロールプロパンの存在下に行なうことができる。ここで、グリセロールは、モル的に過剰に存在する。この理由は、そうでなければ、過度に高い粘度、又は固体生成物が形成されるからである。特に、グリセロールの他のアルコールに対するモル割合は、5:1〜10:1、特に9:1である。他のアルコール、特にトリメチロールプロパンの付随的な使用による長所は、ポリウレタンのための他の出発材料(特に、発泡剤として使用することが好ましい炭化水素)とのより良好な相性(compatibility)である。オリゴマー性グリセロールのアルコキシル化は、アルカリ系触媒の存在下に行なわれることが好ましい。水酸化カリウム又は第3アミンが特に好ましい。
【0028】
ポリグリセロールとアルキレンオキシドを硬質ポリウレタンフォームのための出発成分として反応させることにより製造されるポリエーテルアルコールは、原則として公知である。従って、Polyurethanes Technical Conference on September 24−26,2007 in Orlandにおけるposter“Polyether Polyols Based On Polyglycerol”には、ポリグリセロール−開始のポリエーテルアルコール及びこれらのポリオールを使用して製造された硬質ポリウレタンフォームが記載されている。ポリグリセロール−開始のポリエーテルアルコールのための上述した有利な点は、特に、ポリグリセロールの粘度が低いことと、ポリオールの官能価(functionality)が比較的高いことである。ポリグリセロール開始のポリエーテルアルコールは、サッカロース開始のポリエーテルアルコールと組み合わせて使用された。
【0029】
上述したポリエーテルアルコールに加え、本発明の方法に使用可能な出発化合物について、以下に詳細に記載する。
【0030】
可能な有機ポリイソシアネートa)は、公知の全ての有機ジイソシアネート、及びポリイソシアネート、好ましくは芳香族多官能性イソシアネートである。
【0031】
例えば、トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、及び対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート(MDI)及び対応する異性体混合物、以下のジフェニルメタン4,4’−及び2,4’−ジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物、以下のジフェニルメタン4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネート、及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)の混合物、及び以下の粗製MDIとトリレンジイソシアネートの混合物が記載されて良い。有機ジイソシアネート、及びポリイソシアネートは、個別に、又は混合物の状態で使用することができる。
【0032】
変性多官能性イソシアネート、即ち有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートの化学的反応によって得ることができる生成物もしばしば使用される。記載して良い例は、ウレットジオン、カルバメート、イソシアヌレート、カルボジイミド、アロファネート及び/又はウレタン基を含むジイソシアネート、及び/又はポリイソシアネートである。変性ポリイソシアネートは、適切であれば、相互に混合して良く、又は未変性の有機ポリイソシアネート、例えばジフェニルメタン2,4’−、4,4’−ジイソシアネート、粗製MDI、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネートと混合しても良い。
【0033】
更に、多官能性イソシアネートと多価アルコールの反応生成物、及びこれらと他のジイソシアネート及びポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。
【0034】
粗製MDI、特にNCO含有量が、29〜33質量%であり、及び粘度が25℃で150〜1000mPasの範囲の粗製MDIが、有機ポリイソシアネートとして特に有用であることがわかった。
【0035】
成分bi)及びbii)に加え、使用することができる(イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する)可能な化合物は、少なくとも2個の反応性基、好ましくはOH基を有する化合物、特にOH価(OH number)が、25〜800mgKOH/gの範囲のポリエーテルアルコール及び/又はポリエステルアルコールである。
【0036】
使用されるポリエステルアルコールは、通常、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する、多官能性アルコール、好ましくはジオールを、2〜12個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、及び好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及び異性体のナフタレンジカルボン酸と縮合することによって製造される。
【0037】
使用されるポリエステルオールは、通常、官能価が1.5〜4である。
【0038】
特に、公知の方法(例えば、触媒、好ましくはアルカリ金属ヒドロキシド又は二重金属シアニド触媒(DMC触媒)の存在下における、アルキレンオキシドのH−官能性開始物質上でのアニオン重合)によって製造されたポリエーテルポリオールが使用される。
【0039】
アルキレンオキシドとして、通常、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが使用され、しかし、テトラヒドロフラン、種々のブチレンオキシド、スチレンオキシド、好ましくは純粋な1,2−プロピレンオキシドも使用される。アルキレンオキシドは、個々に、連続して交互に、又は混合物として使用することができる。
【0040】
開始物質は、特に、少なくとも2個、好ましくは2〜8個のヒドロキシル基、又は少なくとも2個の一級アミノ基を分子内に有する化合物である。
【0041】
少なくとも2個、好ましくは2〜8個のヒドロキシル基を分子内に有する開始物質として、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリチリトール、シュガー化合物、例えばグルコース、ソルビトール、マンニトール、及びスクロース、多価フェノール、レゾール、例えばフェノールとホルムアルデヒドのオリゴマー性縮合生成物、及びフェノール、ホルムアルデヒド、及びジアルカノールアミン及びメラミンのMnnich縮合物を使用することが好ましい。
【0042】
分子内に一級アミノ基を少なくとも2個有する開始物質として、芳香族ジアミン及び/又はポリアミン、例えばフェニレンジアミン及び4,4’−、2,4’−、及び2,2’−ジアミノジフェニルメタン、及び脂肪族ジアミン、及びポリアミン、例えばエチレンジアミンを使用することが好ましい。
【0043】
ポリエーテルポリオールは、官能価が好ましくは2〜8であり、及びヒドロキシル価が好ましくは25mgKOH/g〜800mgKOHであり、及び特に150mgKOH/g〜570mgKOHである。
【0044】
イソシアネートに対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物は、付随して使用しても良い鎖延長剤、及び架橋剤も含む。機械的な特性を変性(改質)するために、二官能性の鎖延長剤、三官能性の及びこれを超える官能性の架橋剤、又は適切であれば、これらの混合物の添加が有利であることを見出すことができる。鎖延長剤、及び/又は架橋剤として、好ましくは、アルカノールアミン、及び特に、分子量が400、好ましくは60〜300のジオール及び/又はトリオールが使用される。
【0045】
鎖延長剤、架橋剤、又はこれらの混合物は、ポリオール成分に対して、1〜20質量%、好ましくは2〜5質量%の量で使用することが有利である。
【0046】
硬質フォームの製造は、通常、発泡剤、触媒、難燃剤、及び気泡安定剤、及び必要であれば、更なる助剤及び/又は添加剤の存在下に行なわれる。
【0047】
発泡剤として、化学的発泡剤、例えばイソシアネート基と反応して二酸化炭素、又は二酸化炭素と一酸化炭素を排除するギ酸、及び/又は水を使用することが可能である。水の代わりに、又は水と組み合わせて、物理的発泡剤を使用することもでき、好ましい。これらは、出発化合物に対して不活性な化合物であり、及び通常、室温では液体で、及びウレタン反応の条件下では蒸発する。これらの化合物の沸点は、好ましくは50℃未満である。物理的発泡剤は、室温ではガス状であり、及び出発化合物中に大気圧下で導入、又は溶解される化合物、例えば二酸化炭素、低沸点アルカン及びフルオロアルカンをも含む。
【0048】
発泡剤は、通常、ギ酸、アルカン、及び/又は少なくとも4個の炭素原子を有するシクロアルカン、ジアルキルエーテル、エステル、ケトン、アセタール、1〜8個の炭素原子を有するフルオロアルカン、及びアルキル鎖中に1〜3個の炭素原子を有するテトラアルキルシラン、特にテトラメチルシランから成る群から選ばれる。
【0049】
記載して良い例は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、及びシクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン及びシクロペンタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルフォルメート、アセトン、及び対流圏で分解可能で、従ってオゾン層を損なわないフルオロアルカン、例えば、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、及びヘプタフルオロプロパンである。上述した物理的発泡剤は、単独でも、又は相互の如何なる組み合わせでも使用することができる。
【0050】
特に好ましい発泡剤混合物は、ギ酸、水、及びペンタンの混合物である。
【0051】
発泡剤成分は、通常、ポリオール、発泡剤、触媒系、及びフォーム安定剤、難燃剤、及び他の添加剤の成分の合計に対して、通常、1〜45質量%、好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは1.5〜20質量%、及び特に2〜15質量%の量で使用される。
【0052】
ポリウレタン、又はポリイソシアネートフォームは、通常、難燃剤を含む。臭素を有しない難燃剤を使用することが好ましい。特に好ましくは、リン原子、特にトリクロロイソプロピルフォスフェイト、ジエチルエタンホスホネート、トリエチルフォスフェイト、及び/又はジフェニルクレシルフォスフェイトを含む難燃剤が使用される。
【0053】
使用される触媒は、特に、イソシアネート基とイソシアネート基に対して反応性の基との反応を強く加速する化合物である。
【0054】
このような触媒は、例えば、塩基性アミン、例えば2級脂肪族アミン、イミダゾール、アミジン、アルカノールアミン、ルイス酸、又は金属−有機化合物、特にスズに基づくものである。種々の触媒の混合物を含む触媒系も使用することができる。
【0055】
イソシアネート基が硬質フォーム内に組み込まれる場合、特定の触媒が必要とされる。イソシアヌレート触媒として、金属カルボキシレート、特に酢酸カリウム及びこれらの溶液が通常使用される。触媒は、要求に依存して、単独でも、又は相互の任意の混合物でも使用することができる。
【0056】
助剤、及び/又は添加剤として、この目的のために、それ自体公知の材料、例えば界面活性物質、フォーム安定剤、気泡(セル)調整剤、充填剤、顔料、染料、抗酸化物質、加水分解抑制剤、静電防止剤、静真菌性剤、及び静菌性剤が使用される。
【0057】
本発明の方法を行うために使用される出発材料、発泡剤、触媒、及び/又は助剤、及び/又は添加剤についての更なる情報は、例えばKunststoffhandbuch,volume7,“Polyurethane”Carl−Hanser−Verlag Munich,1st edition,1966,2nd edition,1983 and 3rd edition,1993に見出される。
【0058】
イソシアネートに基づく硬質フォームを製造するために、ポリイソシアネート、及びイソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物が(ポリウレタンフォームの場合のイソシアネートインデックスが、100〜220の範囲、好ましくは115〜180の範囲になる量で)反応される。
【0059】
硬質ポリウレタンフォームを製造するために、ポリイソシアネートa)及び成分b)が(フォームのイソシアネートインデックスが、90〜350、好ましくは100〜180、より好ましくは110〜140になる量で)反応される。
【0060】
硬質ポリウレタンフォームは、バッチ式で又は連続的に、公知の方法、例えば二重ベルト上で、又はモールド内で得られる。
【0061】
2成分法を使用し、及びイソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物を、発泡剤、フォーム安定剤、及び難燃剤、及び触媒、及び助剤、及び/又は添加剤と組み合わせ、ポリオール成分を形成し、これをポリイソシアネート又はポリイソシアネート及び、使用される場合、発泡剤の混合物(イソシアネート成分とも称される)と反応させることが特に有利であることがわかった。
【0062】
以下に実施例を使用して本発明を説明する。
【0063】
【表1】

【0064】
ポリオール1:ビシナルTDA、エチレンオキシド、及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、ヒドロキシル価:390mgKOH/g
ポリオール2:サッカロース、グリセロール、及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、官能価5、ヒドロキシル価:450mgKOH/g
ポリオール3:ビシナルTDA、エチレンオキシド、及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、ヒドロキシル価:160mgKOH/g
ポリオール4:オリゴマー性グリセロール、及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、官能価4.5、ヒドロキシル価:450mgKOH/g
ポリオール5:オリゴマー性グリセロール及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、官能価6.5、ヒドロキシル価:450mgKOH/g
ポリオール6:オリゴマー性グリセロールに基づくポリエーテルアルコール、官能価6.5、ヒドロキシル価:1100mgKOH/g
ポリオール7:サッカロース、グリセロール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、官能価6.5、ヒドロキシル価:450mgKOH/g
ポリオール8:サッカロース、グリセロール、オリゴマー性グリセロール、及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、官能価6、ヒドロキシル価:450mgKOH/g
ポリオール9:ビシナルTDA、エチレンオキシド、及びプロピレンオキシドに基づくポリエーテルアルコール、ヒドロキシル価:160mgKOH/g、及びグラフト化したアクリロニトリル/スチレン(3:1)粒子を含む。
【0065】
シリコーン安定剤:Tegostab(登録商標)B8462Degussa、
触媒:26%のN,N−ジメチルシクロヘキシアミン、53%のLupragen(登録商標)N301,BASF SE、21%Lupragen(登録商標)N600,BASF SEの混合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物と、以下の
c)発泡剤、
の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
化合物b)が、アルキレンオキシドをトルエンジアミンに加えることによって製造された、少なくとも1種のポリエーテルアルコールbi)、及びアルキレンオキシドをオリゴマー性グリセロールを含むH−官能性開始剤物質に加えることによって製造された、少なくとも1種のポリエーテルアルコールii)を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
オリゴマー性グリセロールが、4〜10個のグレセロール単位で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリエーテルアルコールbii)は、ヒドロキシル価が、350〜500mgKOH/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質が、もっぱらオリゴマー性グリセロールを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質が、オリゴマー性グリセロール、及び少なくとも1種の更なるH−官能性化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質が、オリゴマー性グリセロール、及び少なくともサッカロースを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリエーテルアルコールbii)の製造における開始物質が、オリゴマー性グリセロール、及び少なくともトリメチロールプロパンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリエーテルアルコールbii)は、オリゴマー性グリセロールのサッカロースに対するモル割合が、2.5:1〜1:2.5であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
2,4−又は2,6−トルエンジアミン、又はこれらの物質の混合物が、ポリエーテルアルコールbi)の製造に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ビシナルトルエンジアミンが、ポリエーテルアルコールbi)の製造に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
トルエンジアミンの質量に対して、少なくとも25質量%のビシナルトルエンジアミンが、ポリエーテルアルコールbi)の製造に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
トルエンジアミンの質量に対して、少なくとも95質量%のビシナルトルエンジアミンが、ポリエーテルアルコールbi)の製造に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリエーテルアルコールbi)は、ヒドロキシル価が、120〜450の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
成分bi)及びbii)が、5:1〜1:2の質量割合で使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ポリエーテルアルコールbii)は、オリゴマー性グリセロールのサッカロースに対するモル割合が、2.5:1〜1:2.5であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
成分bi)及びbii)に加え、少なくともサッカロースを使用して開始されるポリエーテルアルコールbiii)が含められることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ポリエーテルアルコールbiii)は、ヒドロキシル価が、350〜550の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ポリエーテルアルコールbii)及びbiii)が、1:10〜2:1の質量割合で使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか1項に記載の方法によって製造可能な硬質ポリウレタンフォーム。

【公表番号】特表2012−515804(P2012−515804A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545723(P2011−545723)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050299
【国際公開番号】WO2010/084058
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】