説明

硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】発泡剤として少なくともペンタン類を使用し、更に、加水分解の問題を有しないポリエーテルポリオールを使用することにより、JIS A 9511規定の耐燃焼性の規格をクリアし、脱型性にも優れた硬質ポリウレタンフォーム用のポリオール組成物並びに該ポリオール組成物を使用した硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオール化合物、発泡剤、触媒及び整泡剤を含み、ポリイソシアネート成分と反応させて硬質ポリウレタンフォームを形成するポリオール組成物であって、発泡剤が、少なくともペンタンを含有し、ポリオール化合物は、水酸基価350〜550mgKOH/gのペンタエリスリトールを開始剤とするポリエーテルポリオールであるポリオール組成物とする。硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、該ポリオール組成物を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともペンタンを発泡剤とする硬質ポリウレタンフォーム用のポリオール組成物並びに該ポリオール組成物を使用した硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームは、断熱材、軽量構造材等として周知の材料である。係る硬質ポリウレタンフォームは、ポリオール化合物、発泡剤を必須成分として含有するポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合し、発泡、硬化させることにより形成される。発泡剤としては、古くはCFC−11等のフロン化合物が使用されていたが、CFC化合物がオゾン層の破壊を引き起こすことから禁止され、HCFC−141bに切り換えられ、さらに2004年からはオゾン層破壊係数がゼロであるHFC化合物への切り換えが行われているが、HFC化合物はGWP(地球温暖化係数)が大きく、また現状では高価であるという問題を有する。
【0003】
作業環境においても地球環境においても問題がなく、しかも低コストの発泡剤として水が知られており、発泡剤として水を使用した硬質ポリウレタンフォームは公知である(特許文献1、2など)。
【0004】
特許文献1に記載の発明は、圧縮強度、接着強度、寸法安定性に優れた水発泡の硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、常温で液状の減粘剤を使用することを特徴とする。特許文献1においては、ポリオール化合物は一般的なものを使用する旨の記載が有り、実施例においては、シュークロース系ポリエーテルポリオール、脂肪族アミン系ポリエーテルポリオール及び芳香族アミン系ポリエーテルポリオールが使用されている。
【0005】
特許文献2に記載の発明は、スプレー発泡の硬質ポリウレタンフォームの製造において初期発泡性を改良することを目的とするものであり、使用する触媒に特徴を有するものである。特許文献2においても、ポリオール化合物は一般的なポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールを使用する旨の記載が有り、実施例においては、ソルビトール系ポリエーテルポリオール、アミンポリオール、廃PETポリオールが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−184340号公報
【特許文献2】特開平11−130830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献の実施例に開示のエーテル系ポリオールを使用した水発泡の硬質ポリウレタンフォームは、いずれもJIS A 9511規定の耐燃焼性が劣るという問題を有する。また、エステル系ポリオールを使用すると耐燃焼性は改善される傾向にあるが、ポリエステルポリオールの耐加水分解性が十分ではないためにポリオール組成物の安定性に問題を有する。耐燃焼性を改善する方法として、難燃剤を多く添加する方法が考えられるが、上記特許文献に記載の実施例のフォームにおける難燃剤の添加量を増加させても耐燃焼性は、JISの規格を満たすまで向上しないことも判明した。また、水単独の発泡剤を使用すると、水とポリイソシアネート成分が反応し、二酸化炭素(炭酸ガス)を発生する。炭酸ガス自体は熱伝導性が高いため、断熱性に劣るという問題を有する。
【0008】
そこで、本発明は、発泡剤として少なくともペンタン(ペンタン類)を使用し、更に、加水分解の問題を有しない特定のポリエーテルポリオールを使用することにより、JIS A 9511規定の耐燃焼性の規格をクリアし、脱型性にも優れた硬質ポリウレタンフォーム用のポリオール組成物並びに該ポリオール組成物を使用した硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリオール化合物、発泡剤、触媒及び整泡剤を含み、ポリイソシアネート成分と反応させて硬質ポリウレタンフォームを形成するポリオール組成物であって、前記発泡剤が、少なくともペンタンを含有し、前記ポリオール化合物100重量部は、水酸基価350〜550mgKOH/gのペンタエリスリトールを開始剤とするポリエーテルポリオールを60重量部以上含有することを特徴とする。
【0010】
上記構成のポリオール組成物は、少なくともペンタンを発泡剤とし、加水分解の問題を有しないポリエーテルポリオールを使用し、しかもJIS A 9511規定の耐燃焼性の規格をクリアする硬質ウレタンフォームを形成するものである。ペンタン類は沸点が低いため、硬質ウレタンフォーム成型時には、発泡して気泡中に気体として存在するが、その後、硬質ウレタンフォーム自体の温度が低下すると、気泡中で液化し、気泡の一部が真空化するため、断熱性に優れた硬質ウレタンフォームを得ることができ、有効である。また、ペンタン類はウレタンとの相溶性にも優れ、均一な発泡を促進できる。さらに、本発明において、ペンタン類を使用することにより、難燃性に加えて、脱型性にも優れるという効果も奏する。
【0011】
前記発泡剤が、更に水を含有することが好ましい。上記構成のポリオール組成物は、発泡剤としてさらに水を加えた場合であっても、加水分解の問題を有しない特定のポリエーテルポリオールを使用するため、JIS A 9511規定の耐燃焼性の規格をクリアする硬質ポリウレタンフォームを形成するものである。
【0012】
上述のポリオール組成物においては、前記ポリオール化合物100重量部は、芳香族アミンポリオールを40重量部以下含有することが好ましい。芳香族アミンポリオールの添加量が多すぎると、得られる硬質ポリウレタンフォームの耐燃焼性が低下する。芳香族アミンポリオールの添加量は30重量部以下であることがより好ましい。
【0013】
係る構成のポリオール組成物は、耐燃焼性を損なうことなく、発泡剤として水を加えた場合であっても、水との混和性が改良され、均一性の高い硬質ポリウレタンフォームを形成するものである。
【0014】
別の本発明は、ポリオール化合物、発泡剤及び整泡剤を含むポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合した反応性組成物を発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームとする硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記発泡剤が、少なくともペンタンを含有し、前記ポリオール化合物100重量部は、水酸基価350〜550mgKOH/gのペンタエリスリトールを開始剤とするポリエーテルポリオールを60重量部以上含有することを特徴とする。
【0015】
上記構成のポリオール組成物は、少なくともペンタンを発泡剤とし、加水分解の問題を有しない特定のポリエーテルポリオールを使用することにより、JIS A 9511規定の耐燃焼性の規格をクリアする硬質ウレタンフォームを形成するものである。ペンタン類は沸点が低いため、硬質ウレタンフォーム成型時には、発泡して気泡中に気体として存在するが、その後、硬質ウレタンフォーム自体の温度が低下すると、気泡中で液化し、気泡の一部が真空化するため、断熱性に優れた硬質ウレタンフォームを得ることができ、有効である。また、ペンタン類はウレタンとの相溶性にも優れ、均一な発泡を促進できる。さらに、理由は明らかではないが、本発明において、ペンタン類を使用することにより、難燃性に加えて、脱型性にも優れる硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。
【0016】
前記発泡剤として、更に水を含有することが好ましい。記構成のポリオール組成物は、発泡剤としてさらに水を加えた場合であっても、加水分解の問題を有しないポリエーテルポリオールを使用し、しかもJIS A 9511規定の耐燃焼性の規格をクリアする硬質ポリウレタンフォームを形成するものであるまた、発泡剤として、水とペンタン類を併用するため、両者の効果を併せ持つことができ、有効である。
【0017】
上述の硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、前記ポリオール化合物100重量部は、芳香族アミンポリオールを40重量部以下含有することが好ましい。
【0018】
係る構成のポリオール組成物は、耐燃焼性を損なうことなく、発泡剤として水を加えた場合であっても、水との混和性が改良され、均一性の高い硬質ポリウレタンフォームを形成するものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のポリオール組成物には、ペンタエリスリトールを開始剤として、公知の技術によりエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の環状エーテル化合物、好ましくはプロピレンオキサイドのみ、もしくはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを開環付加させたポリオール化合物を使用する。
【0020】
芳香族アミンポリオールは、芳香族ジアミンを開始剤として公知の技術によりエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の環状エーテル化合物、好ましくはプロピレンオキサイドのみ、もしくはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを開環付加させた4官能のポリオール化合物である。開始剤である芳香族ジアミンとしては、公知の芳香族ジアミンを限定なく使用することができる。具体的には2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が例示される。芳香族アミンポリオールは、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン(TDA)いずれか又は双方を開始剤としたものであることが好ましく、2,4−体/2,6−体の比率は95/5〜60/40であることが好ましい。市販品はこの範囲の組成のTDAを開始剤としている。芳香族アミンポリオールの水酸基価は250〜550mgKOH/gであることが好ましい。
【0021】
本発明においては、目的とする耐燃焼性を損なわない範囲において他のポリオール化合物を併用してもよく、係るポリオール化合物としては、グリセリン、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、水から選択される化合物を開始剤とするポリエーテルポリオールが好ましい。これらのポリオール化合物の添加量は、ペンタエリスリトールを開始剤とするポリオールと芳香族アミンポリオールの合計量に対して20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
【0022】
本発明においては、発泡剤として、ペンタン類を用いるが、ペンタン類であれば、特に制限されず、例えば、n−ペンタン、iso−ペンタン、シクロペンタン等のペンタン類を使用することができる。ペンタンは、低コストで経済的であり、発泡倍率が水より低いため、高密度の硬質ウレタンフォームを得ることができ有効である。また、ペンタン類はポリイソシアネート成分との反応がなく、ウレタンとの相溶性にも優れるため、均一に発泡した硬質ウレタンフォームが得られ、有効である。なお、発泡剤として、ペンタンと共に一部水を用いることもできる。一部水を用いることにより、更に、低コスト化を図ることができる。
【0023】
前記発泡剤としてペンタンに水を併用する場合、水とペンタンの比率(重量比)は、水/ペンタンにて、1/2〜1/10であることが好ましく、より好ましくは、1/3〜1/7、より好ましくは、1/3〜1/4である。前記重量比が1/2より大きくなると、水の割合が高く、断熱性等が悪化する問題があり、好ましくない。
【0024】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造に際しては、上記成分の他に、当業者に周知の触媒、難燃剤、着色剤、酸化防止剤等が使用可能である。これらの成分は、一般的にはポリオール組成物に含有される。
【0025】
触媒としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(カオライザーNo.1)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(カオライザーNo.3)等のN−アルキルポリアルキレンポリアミン類、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(ポリキャット−8)、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類を使用することが好ましい。
【0026】
ポリウレタン分子の構造において難燃性向上に寄与するイソシアヌレート結合を形成する触媒の使用も好ましく、例えば酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、第4級アンモニウム塩触媒(特開平9−104734号公報に開示)が例示できる。上述の第3級アミン触媒の中にもイソシアヌレート環形成反応をも促進するものがある。イソシアヌレート結合生成を促進する触媒とウレタン結合生成を促進する触媒を併用してもかまわない。
【0027】
本発明においては、さらに難燃剤を添加することも好ましい態様であり、好適な難燃剤としては、ハロゲン含有化合物、有機リン酸エステル類、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の金属化合物が例示される。
【0028】
前記有機リン酸エステル類は、可塑剤としての作用も有するため、硬質ポリウレタンフォームの脆性改良の効果も奏することから、好適な添加剤である。またポリオール組成物の粘度低下効果も有する。かかる有機リン酸エステル類としては、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステルやアリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が使用可能であり、具体的にはトリス(β−クロロエチル)ホスフェート(CLP、大八化学製)、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP、大八化学製)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP、大八化学製)、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート等が例示でき、これらの1種以上が使用可能である。有機リン酸エステル類の添加量はポリオール化合物の合計100重量部に対して40重量部以下であり、5〜40重量部であることが好ましく、10〜25重量部であることがより好ましい。この範囲を越えると可塑化効果、難燃効果が十分に得られなかったり、フォームの機械的特性が低下するなどの問題が生じる場合が発生する。
【0029】
整泡剤としては、硬質ポリウレタンフォームの分野において公知の整泡剤を限定なく使用可能である。具体的には、B−8465(ゴールドシュミット)、SH−193、S−824−02、SZ−1704(東レダウコーニングシリコン)等の整泡剤を使用することができる。整泡剤は2種以上を使用してもよい。整泡剤の添加量はポリオール化合物100重量部に対して0.5〜5重量%であることが好ましい。
【0030】
ポリオール組成物と混合、反応させて硬質ポリウレタンフォームを形成するポリイソシアネート化合物としては、取扱の容易性、反応の速さ、得られる硬質ポリウレタンフォームの物理特性が優れていること、低コストであることなどから、液状MDIを使用する。液状MDIとしては、クルードMDI(c−MDI)(スミジュール44V−10,スミジュール44V−20等(住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン工業))、ウレトンイミン含有MDI(ミリオネートMTL(日本ポリウレタン工業製))等が使用される。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよい。併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
【0031】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造においては、イソシアネート基と活性水素基の当量比(NCO index)は、0.9〜1.7、より好ましくは1.1〜1.5である。
【0032】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法としては、射出成形法や連続生産法などの、公知のサンドイッチパネルの製造方法が使用可能である。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
ポリオール化合物としてペンタエリスリトールを開始剤とした脂肪族ポリエーテルポリオールA(水酸基価=410mgKOH/g、住化バイエルウレタン社製)100重量部、整泡剤としてB−8465(ゴールドシュミット)2重量部、触媒としてカオライザーNo.1(花王)1重量部、難燃剤としてTMCPP(大八化学工業)15重量部、発泡剤の水を3.5重量部、シクロペンタン9重量部を、混合・撹拌して、ポリオール組成物とした。このポリオール組成物とポリイソシアネート成分であるスミジュール44V−20(NCO濃度=31%:住化バイエルウレタン社製)171.1重量部(NCO index=1.3)を混合して反応性組成物とし、この反応性組成物を発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0034】
得られた硬質ポリウレタンフォームについて、JIS A 9511に準拠した耐燃焼性試験を行った。規格は、硬質ポリウレタンフォームサンプルの延焼距離が60mm以下、かつ残炎時間が120秒以内を満たした場合を○、満たさない場合を×と評価した。
【0035】
また、得られた硬質ポリウレタンフォームについて、所定厚み(5cm)の型枠(横幅90cm×縦幅200cm)の中に原液(イソシアネートと混合)を注入し、5分経過後に、型枠より脱型し、成形品厚みを測定した。このとき、下式で示される寸法変化率(%)が、2%以下の場合を○、2%を超える場合を×として、硬質ポリウレタンフォームの脱型性を評価した。
寸法変化率(%)=100×(成形品厚み−所定厚み)/(所定厚み)
【0036】
(実施例2)
ポリオール化合物としてペンタエリスリトールを開始剤とした脂肪族ポリエーテルポリオールB(水酸基価=410mgKOH/g、三井武田ケミカル社製)100重量部を使用した以外は実施例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0037】
(実施例3)
ポリオール化合物としてペンタエリスリトールを開始剤とした脂肪族ポリエーテルポリオールA(水酸基価=410mgKOH/g)70重量部とトルエンジアミンを開始剤とした芳香族アミンポリオールD(水酸基価=400mgKOH/g、住化バイエルウレタン社製)30重量部を使用した以外は実施例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0038】
(実施例4)
発泡剤として、水を使用せずペンタン単独で、25重量部を使用した以外は実施例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0039】
(実施例5)
発泡剤として、水を使用せずペンタン単独で、25重量部を使用した以外は実施例2と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0040】
(実施例6)
発泡剤として、水を使用せずペンタン単独で、25重量部を使用した以外は実施例3と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0041】
(比較例1)
ポリオール化合物としてソルビトールを開始剤とした脂肪族ポリエーテルポリオールC(水酸基価=350mgKOH/g、三井武田ケミカル社製)100重量部を使用した以外は実施例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0042】
(比較例2)
ポリオール化合物としてトルエンジアミンを開始剤とした芳香族アミンポリオールD(水酸基価=400mgKOH/g、住化バイエルウレタン社製)100重量部を使用した以外は実施例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0043】
(比較例3)
ポリオール化合物としてペンタエリスリトールを開始剤とした脂肪族ポリエーテルポリオールA(水酸基価=410mgKOH/g、住化バイエルウレタン社製)50重量部とトルエンジアミンを開始剤とした芳香族アミンポリオールD(水酸基価=400mgKOH/g、住化バイエルウレタン社製)50重量部を使用した以外は実施例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0044】
(比較例4)
発泡剤として、水を使用せずペンタン単独で、25重量部を使用した以外は比較例1と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0045】
(比較例5)
発泡剤として、水を使用せずペンタン単独で、25重量部を使用した以外は比較例2と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0046】
(比較例6)
発泡剤として、水を使用せずペンタン単独で、25重量部を使用した以外は比較例3と同様にして硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0047】
【表1】

【0048】
表1より、発泡剤として、少なくともペンタンを含有し、特定のポリエーテルポリオールを特定量配合した実施例全てにおいて、難燃性及び脱型性に優れた硬質ポリウレタンフォームを得られることが確認できた。一方、比較例1、2、4及び5においては、特定のポリエーテルポリオールを特定量配合しなかったため、所望の特性を得ることができなかった。また、比較例3及び6においても、特定のポリエーテルポリオールを使用したものの、特定量を配合しなかったため、所望の特性を得ることができないことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物、発泡剤、触媒及び整泡剤を含み、ポリイソシアネート成分と反応させて硬質ポリウレタンフォームを形成するポリオール組成物であって、
前記発泡剤が、少なくともペンタンを含有し、
前記ポリオール化合物100重量部は、水酸基価350〜550mgKOH/gのペンタエリスリトールを開始剤とするポリエーテルポリオールを60重量部以上含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物。
【請求項2】
前記発泡剤が、更に水を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物。
【請求項3】
前記ポリオール化合物100重量部は、芳香族アミンポリオールを40重量部以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物。
【請求項4】
ポリオール化合物、発泡剤及び整泡剤を含むポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合した反応性組成物を発泡硬化させて硬質ポリウレタンフォームとする硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
前記発泡剤が、少なくともペンタンを含有し、
前記ポリオール化合物100重量部は、水酸基価350〜550mgKOH/gのペンタエリスリトールを開始剤とするポリエーテルポリオールを60重量部以上含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
前記発泡剤が、更に水を含有することを特徴とする請求項4に記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
前記ポリオール化合物100重量部は、芳香族アミンポリオールを40重量部以下含有することを特徴とする請求項4又は5に記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2010−209149(P2010−209149A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53866(P2009−53866)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】