説明

磁性部品

【課題】連結構成における相対的な回動範囲が大きい磁性部品を提供する
【解決手段】一実施の形態に係る磁性部品は、互いに結合された状態において筒状体を形成する一対の磁性部材と、一方の磁性部材を覆い且つ一対の第1の端壁を有する第1のケース部と、他方の磁性部材を覆い且つ一対の第2の端壁を有する第2のケース部であって、第1のケース部に係合された状態において、一対の第1の端壁と一対の第2の端壁とによって、筒状体の内孔に連続する孔を有する一対の端壁を形成する該第2のケース部と、外側に突出するように一方の端壁に設けられた第1の連結部と、第1の連結部に連結可能であり、且つ、該第1の連結部に対して相対的に回動可能な構造を有する第2の連結部であって、外側に突出するように他方の端壁に設けられた該第2の連結部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプフィルタ、カプラ等に適用可能な磁性部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一対の磁性部材を組み合わせることによって筒状のコアを形成する分割型の磁性部品が知られている(例えば、特許文献1を参照)。分割型の磁性部品は、ケーブルに重畳するノイズを除去するためのクランプフィルタとして用いられている。また、分割型の磁性部品は、電力線通信において信号ケーブルを伝播する信号を電力ケーブルに重畳するためのカプラとしても利用可能である(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2518040号公報
【特許文献2】特開2004−32585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、磁性部品をクランプフィルタとして用いる場合、ノイズ減衰特性を向上させるためには、磁束方向に直交するコアの断面積を大きくする必要がある。また、磁性部品をカプラとして用いる場合にも、信号重畳特性を向上させるためにはコアの断面積を大きくする必要がある。
【0004】
コアの断面積を大きくするためには、筒状コアの径方向に直交する方向の幅を長くすることが考えられる。しかしながら、ケーブルは敷設時に様々な形状に曲げられるので、幅が長い筒状のコアの内孔にケーブルを通すことは困難である。
【0005】
また、コアの断面積を大きくするための構成として、特許文献1には、複数の磁性部品を連結した構成が開示されている。具体的に、特許文献1に開示された複数の磁性部品はそれぞれ、一方の端面に設けられた挿入穴と、他方の端面に設けられた接続アームとを有している。そして、磁性部品の挿入穴に、他の磁性部品の接続アームを挿入することによって、複数の磁性部品が連結される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、連結された二つの磁性部品の相対的な回動範囲は、接続アームの長さで規定されるので、狭い。したがって、大きく曲げられたケーブルにこれらの磁性部品を取り付けることは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、連結構成における相対的な回動範囲が大きい磁性部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の磁性部品は、(a)互いに結合された状態において筒状体を形成する一対の磁性部材と、(b)一対の磁性部材のうち一方の磁性部材の両端を覆う一対の第1の端壁と、該一方の磁性部材の外周面に沿う第1の側壁とを有する第1のケース部と、(c)一対の磁性部材のうち他方の磁性部材の両端を覆う一対の第2の端壁と、該他方の磁性部材の外周面に沿う第2の側壁とを有する第2のケース部であって、第1のケース部に係合された状態において、一対の第1の端壁と一対の第2の端壁とによって、筒状体の内孔に連続する孔を有する一対の端壁を形成する該第2のケース部と、(d)一対の端壁のうち一方に設けられており、一対の端壁のうち他方の側とは反対側へ突出された第1の連結部と、(e)第1の連結部に連結可能であり、且つ、該第1の連結部に対して相対的に回動可能な構造を有する第2の連結部であって、一対の端壁のうち他方に設けられており一対の端壁のうち一方の側とは反対側に突出された該第2の連結部とを備えている。
【0009】
この磁性部品では、第1の連結部が一対の第1の端面のうち一方において突出するように設けられており、第1の連結部に対して回動可能な構造を有する第2の連結部が一対の端面のうち他方において突出するように設けられている。したがって、複数個を連結させた場合の本発明の磁性部品同士の相対的な回動範囲は、特許文献1記載の従来の磁性部品同士の相対的な回動範囲より大きくなる。故に、本発明の磁性部品は、複数連結した状態で、様々な形状に曲げられたケーブルを筒状体の内孔に通して、当該ケーブルに取り付け可能である。
【0010】
本発明の磁性部品は、第1のケース部と第2のケース部とを、筒状体の延在方向と略同方向に延びる軸線周りに回動可能に支持する支持機構を、更に備えており、第1の連結部は一対の第1の端壁のうち一方に設けられており、第2の連結部は、一対の第1の端壁のうち他方に設けられていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第1の連結部と第2の連結部とが共に第1のケース部に設けられているので、連結した状態の第1のケース部及び一方の磁性部材をケーブルに取り付けた後に、第2のケース部を回動することによってケーブルを筒状体の内孔に収容することができる。したがって、この構成の磁性部品は、ケーブルに容易に取り付け可能であり、且つ、取り付けによるケーブルの撓みを低減可能である。
【0012】
第1のケース部は、一方の磁性部材の内面及び外周面に沿って巻かれる信号ケーブルを当該外周面に沿って配置するための空間を画成する信号ケーブル配置部を更に有することが好ましい。この構成によれば、第1のケース部及び一方の磁性部材をケーブルに対して固定した後、当該第1のケース部に信号ケーブルを取り付けることができるので、信号ケーブルの取り付け作業が容易である。
【0013】
第1の側壁は、一方の磁性部材の外周面に、上記の空間を介して対向する部分を更に有しており、第1のケース部は、信号ケーブルを引き出すための一対の第1の引出部と一対の第2の引出部とを有しており、一対の第1の引出部は、一対の第1の端壁に設けられており、一対の第2の引出部は、第1の側壁の上記部分に設けられていることが好ましい。この構成によれば、信号ケーブルを引き出す位置を、第1の側壁又は一対の第1の端壁から選択することができる。したがって、信号ケーブルを磁性部品から引き出す作業が容易である。
【0014】
信号ケーブル配置部の底面は、筒状体の延在方向と略同方向へ順に第1の領域、第2の領域、及び第3の領域を含んでおり、第1のケース部は、第1の領域及び第3の領域に設けられたピンを有することが好ましい。この構成によれば、第1の引出部及び第2の引出部の近くの第1の領域及び第3の領域に設けられたピンに信号ケーブルを巻きつけることができるので、信号ケーブルに外部から応力が加えられても磁体部品内の信号ケーブルの撓みが防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、連結構成における相対的な回動範囲が大きい磁性部品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0017】
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る磁性部品を示す斜視図であり、図3は、本発明の実施の形態に係る磁性部品を分解して示す分解斜視図である。図1には、第1のケース部と第2のケース部との係合が解除された状態の磁性部品10が示されている。また、図2には、第1のケース部と第2のケース部とが係合された状態の磁性部品10が示されている。なお、図2は、図1の視線方向と90度異なる視線方向からみた磁性部品10が示されている。
【0018】
磁性部品10は、一対の磁性部材12,14、第1のケース部16、第2のケース部18、支持機構19、第1の連結部20、及び、第2の連結部22を備えている。
【0019】
図1及び図3を参照して、一対の磁性部材12,14は、それぞれ軸線X方向に延びる半筒状をなしている。すなわち、一対の磁性部材12,14は、互いに結合された状態において、軸線X方向に延びる筒状体、即ち筒状のコアを形成する。
【0020】
磁性部材12は、軸線X方向において互いに対向する一対の端面12a,12bと、軸線X方向に延びる内面12cと、軸線X方向に延びる外周面12dとを有している。内面12cは、結合時に、筒状のコアの内孔の一部となる溝を提供している。
【0021】
同様に、磁性部材14は、軸線X方向において互いに対向する一対の端面14a,14bと、軸線X方向に延びる内面14cと、軸線X方向に延びる外周面14dとを有している。内面14cは、結合時に、筒状のコアの内孔の別の一部となる溝を提供している。これらの磁性部材12,14は、それぞれ磁性材料から構成されている。
【0022】
第1のケース部16及び第2のケース部18は、互いに係合可能であり、係合状態において、筒状のコアを収容するケースを形成する。また、第1のケース部16及び第2のケース部18が係合された状態において、ケースの内部においては、磁性材料12及び14が互いに結合して、筒状のコアを形成する。また、第1のケース部16及び第2のケース部18は、互いの結合を解除することが可能であり、この状態ではケースを開くことが可能である。
【0023】
第1のケース部16は、一対の第1の端壁16a,16bと、第1の側壁16cと、を有している。一対の第1の端壁16a,16bは、軸線X方向において互いに対向しており、それぞれ磁性部材12の端面12a,12bを覆っている。第1の側壁16cは、磁性部材12の外周面12dに沿うように設けられている。
【0024】
また、第1のケース部16は、その内部に、四つの支持部16dを有している。四つの支持部16dは、磁性部材12の端面12a及び12bに沿うように第1の側壁16cから延びている。また、四つの支持部16dはそれぞれ、先端に第1の側壁16cと対向する面を有している。磁性部材12は、四つの支持部16dの先端の面と第1の側壁16cとの間に挟まれている。
【0025】
同様に、第2のケース部18は、一対の第2の端壁18a,18bと、第2の側壁18cと、を有している。一対の第2の端壁18a,18bは、軸線X方向において互いに対向しており、それぞれ磁性部材14の端面14a,14bを覆っている。第2の側壁18cは、磁性部材14の外周面14dに沿うように設けられている。
【0026】
また、第2のケース部18は、その内部に四つの支持部18dを有している。四つの支持部18dは、磁性部材14の端面14a及び14bに沿うように第2の側壁18cから延びている。また、四つの支持部18dはそれぞれ、先端に第2の側壁18cと対向する面を有している。磁性部材14は、四つの支持部18dの先端の面と第1の側壁18cとの間に挟まれている。
【0027】
第1のケース部16と第2のケース部18とは、支持機構19によって軸線X周りに回動可能に支持されている。即ち、第1のケース部16と第2のケース部18とは、筒状のコアの延在方向と略同方向に延びる軸線周りに回動可能に支持されている。本実施の形態では、第1のケース部16の軸線X方向に延びる一方の縁部と第2のケース部18の軸線X方向に延びる一方の縁部とが、支持機構19によって支持されている。なお、本実施の形態では、支持機構19にヒンジが採用されている。
【0028】
また、第1のケース部16と第2のケース部18は、互いに係合可能とするための係合構造を有している。具体的に、第1のケース部16は、上記一方の縁部と反対側の他方の縁部に沿って、二つのフック16eを有しており、第2のケース部18は上記一方の縁部と反対側の他方の縁部に沿って二つの孔18eを有している。
【0029】
図2に示すように、第1のケース部16の上側の開口と第2のケース部18の上側の開口とを対面させた状態、即ち一対の磁性部材12及び14を結合させた状態においては、フック16eが孔18eに挿入されることによって第1のケース部16と第2のケース部18とが係合された状態となる。第1のケース部16と第2のケース部18とが係合された状態において、第1の端面12aと第2の端面14aとは、筒状体の内孔に連続する孔を有する一方の端壁を形成する。また、第1の端面12bと第2の端面14bとは、筒状体の内孔に連続する孔を有する他方の端壁を形成する。
【0030】
また、第1のケース部16は、磁性部材12の内面12c及び外周面12dに沿って巻かれる信号ケーブルを、当該外周面に沿って配置するための信号ケーブル配置空間26を提供している。この信号ケーブル配置空間26は、磁性部材12の外周面12dと、第1のケース部16の上記の他方の縁部との間に提供されている。
【0031】
具体的に、信号ケーブル配置空間26を提供するために、第1の側壁16cは、底面16hと、部分16iを有している。底面16hは、信号ケーブル配置空間26に沿っており、部分16iは、信号ケーブル配置空間26を挟んで磁性部材12の外周面12dに対向するように設けられている。
【0032】
また、第1のケース部16は、信号ケーブル配置空間26と磁性部材12の外周面12dとの間に、隔壁16fを有している。さらに、第1のケース部16は、隔壁16fに支持されており底面16hと対向している三つの上壁16gを有している。上述の底面16h、隔壁16f、上壁16g、及びフック16eは、信号ケーブル配置空間26を画成する信号ケーブル配置部として機能している。
【0033】
底面16hは、軸線X方向に順に第1の領域16s、第2の領域16t、及び第3の領域16uを含んでいる。第1の領域16s、及び第3の領域16uにはそれぞれ、ピン16pが設けられている。ピン16pは、信号ケーブルを巻きつけるためのものである。
【0034】
第1のケース部16の一対の第1の端壁16a,16bにはそれぞれ、第1の引出部28が設けられている。一対の第1の引出部28は、信号ケーブル配置空間26に軸線X方向に連続している。第1の引出部28は、第1のケース部16の外部に信号ケーブルを引き出すための窪みを提供している。なお、一対の第1の引出部28はそれぞれ、第1の端壁16aのうち第1の領域16s上の信号ケーブル配置空間26に沿う部分、及び、第1の端壁16bのうち第3の領域16u上の信号ケーブル配置空間26に沿う部分に設けられることが好ましい。
【0035】
第1のケース部16の部分16iには、一対の第2の引出部30が設けられている。第2の引出部30も、信号ケーブルを第1のケース部16の外部に引き出すための窪みを提供している。一対の第2の引出部30はそれぞれ、部分16iのうち第1の領域16s上の信号ケーブル配置空間26に沿う部分、及び、部分16iのうち第3の領域16u上の信号ケーブル配置空間26に沿う部分に設けられることが好ましい。
【0036】
第1のケース部16の第1の端壁16bには、固定部24が設けられている。固定部24は、第1の端壁16aの側とは反対側へ軸線X方向に突出している。固定部24には軸線Xに直交する方向に延びる孔が設けられており、この孔には結束バンドが挿入される。この孔に挿入された結束バンドを、磁性部材12の内面12cに沿って配置されたケーブルに巻きつけることによって、当該ケーブルに対して磁性部品10を固定することができる。なお、結束バンドには、例えばタイラップ(登録商標)を用いることができる。
【0037】
第1のケース部16及び第2のケース部18には、可撓性を有する絶縁材料、例えば樹脂が用いられる。図1および図3に示すように、第1のケース部16の第1の端壁16aには第1の連結部20が設けられており、図2に示すように、第1のケース部16の第1の端壁16bには第2の連結部22が設けられている。
【0038】
第1の連結部20は、第1の端壁16aに設けられており、第1の端壁16bの側とは反対側へ軸線X方向に突出している。第2の連結部22は、第1の端壁16bに設けられており、第1の端壁16aの側とは反対側へ軸線X方向に突出している。第2の連結部22は、第1の連結部20に連結可能な構造であって、第1の連結部20に対して相対的に回動可能な構造を有している。
【0039】
具体的に、第1の連結部20は、第1の端壁16aに略平行に延びる円柱状をなす支軸20aと、支軸20aの両端と第1の端壁16aとを接続する二つの支持部20bとを有している。
【0040】
第2の連結部22は、支軸20aの太さより大きい直径の孔を提供する内面22aを有している。また、第2の連結部22には、支軸20aの太さよりも細い開口22bが設けられており、この開口22bは、内面22aによって提供される孔に連なっている。第1の連結部20及び第2の連結部22には、第1のケース部16と同一の材料が用いられている。したがって、磁性部材10の第2の連結部22に、別の磁性部材10の第1の連結部20を連結する際には、第2の連結部22の開口22bが広がることによって、第1の連結部20の支軸20aを第2の連結部22の孔まで移動させることができる。支軸20aが第2の連結部22の孔まで移動すると、開口22bが初期の大きさに復元することによって、第1の連結部20と第2の連結部22との連結が容易に解除されないようになる。
【0041】
以下、本実施の形態の磁性部品10の作用効果について説明する。図4は、連結された二つの磁性部品を示す平面図である。図4に示すように、磁性部品10の第1の連結部20と、別の磁性部品10の第2の連結部22とを連結することによって、二以上の磁性部品10を連結することができる。磁性部品10では、第1の連結部20及び第2の連結部20が、一対の端壁16a及び16bから外側へ突出するように設けられているので、連結された磁性部品10同士の相対的な回動範囲は、大きい。したがって、筒状のコアの内孔を通る電力ケーブルといったケーブル32の形状に応じて、複数の磁性部品10を連結した状態で当該ケーブル32に取り付けることが可能である。
【0042】
また、本実施の形態の磁性部品10によれば、第1の連結部20及び第2の連結部22が第1のケース部16に設けられているので、連結した第1のケース部16それぞれをケーブル32の形状に合わせて当該ケーブル32に取り付けた後、第2のケース部18を回動することによってケーブル32を筒状のコアの内孔に収容することができる。したがって、本実施の形態の磁性部品10は、ケーブル32に容易に取り付け可能であり、且つ、取り付けによるケーブル32の撓みを低減することができる。
【0043】
図5及び図6は、信号ケーブルの配置例を示す平面図である。図5及び図6に示すように、磁性部品10を、筒状のコアの内孔に通されたケーブル32に信号ケーブル34の信号を重畳するためのカプラとして、用いることも可能である。磁性部品10では、磁性部材12の内面及び外周面に沿って信号ケーブル34を巻くことによって、ケーブル32に信号ケーブル34の信号を重畳することができる。
【0044】
また、第1のケース部16に上述した信号ケーブル配置空間26が提供されているので、磁性部品10をカプラとして用いる場合には、第1のケース部16及び磁性部材12をケーブル32に対して固定した後、第1のケース部16に信号ケーブル34を取り付けることが可能である。したがって、信号ケーブル34の取り付け作業が容易である。また。信号ケーブル配置空間26に配置された信号ケーブル34は、上壁16gによって当該信号ケーブル配置空間26に留められる。したがって、信号ケーブル34の取り付け作業が容易である。
【0045】
また、磁性部品10によれば、図5に示すように、一対の第1の引出部28から信号ケーブル34を外部に引き出すことも可能であり、図6に示すように、一対の第2の引出部30から信号ケーブル34を外部に引き出すことも可能である。即ち、隣り合う磁性部品10の位置関係によって、信号ケーブル34を引き出すための引出部を、一対の第1の引出部28及び第2の引出部30から選択することが可能である。したがって、信号ケーブル34を磁性部品10から引き出すための作業も容易である。
【0046】
また、第1の領域16s及び第3の領域16uに設けられた一対のピン16p、即ち、第1の引出部28及び第2の引出部30の近傍に設けられた一対のピン16pに信号ケーブル34を巻くことができるので、外部から信号ケーブル34に加えられる応力に対して、磁性部品10内での信号ケーブル34の撓みが発生し難くなっている。
【0047】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、発明は上記した実施の形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。
【0048】
上記実施の形態では、第1の連結部20と第2の連結部22とが第1のケース部16に設けられていたが、第1の連結部20と第2の連結部22が第2のケース部18に設けられていてもよい。
【0049】
また、第1の連結部の支軸を第2の連結部によって提供される孔に通すための開口は、第1の連結部に設けられていてもよい。また、第1の連結部は、リング状をなしていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁性部品を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁性部品を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁性部品を分解して示す斜視図である。
【図4】連結された二つの磁性部品を示す平面図である。
【図5】信号ケーブルの配置例を示す平面図である。
【図6】信号ケーブルの配置例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0051】
10…磁性部品、12,14…磁性部材、12a,12b…端面、12c…内面、12d…外周面、14a,14b…端面、14c…内面、14d…外周面、16…第1のケース部、16a,16b…第1の端壁、16c…第1の側壁、16f…隔壁、16g…上壁、16h…底面、16i…部分、16p…ピン、16s…第1の領域、16t…第2の領域、16u…第3の領域、18…第2のケース部、18a,18b…第2の端壁、18c…第2の側壁、19…支持機構、20…第1の連結部、22…第2の連結部、24…固定部、26…信号ケーブル配置空間、28…第1の引出部、30…第2の引出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合された状態において筒状体を形成する一対の磁性部材と、
前記一対の磁性部材のうち一方の磁性部材の両端を覆う一対の第1の端壁と、該一方の磁性部材の外周面に沿う第1の側壁とを有する第1のケース部と、
前記一対の磁性部材のうち他方の磁性部材の両端を覆う一対の第2の端壁と、該他方の磁性部材の外周面に沿う第2の側壁とを有する第2のケース部であって、前記第1のケース部に係合された状態において、前記一対の第1の端壁と前記一対の第2の端壁とによって、前記筒状体の内孔に連続する孔を有する一対の端壁を形成する該第2のケース部と、
前記一対の端壁のうち一方に設けられており、前記一対の端壁のうち他方の側とは反対側へ突出された第1の連結部と、
前記第1の連結部に連結可能であり、且つ、該第1の連結部に対して相対的に回動可能な構造を有する第2の連結部であって、前記一対の端壁のうち前記他方に設けられており前記一対の端壁のうち前記一方の側とは反対側に突出された該第2の連結部と、
を備える、磁性部品。
【請求項2】
前記第1のケース部と前記第2のケース部とを、前記筒状体の延在方向と略同方向に延びる軸線周りに回動可能に支持する支持機構を、更に備えており、
前記第1の連結部は、前記一対の第1の端壁のうち一方に設けられており、
前記第2の連結部は、前記一対の第1の端壁のうち他方に設けられている、
請求項1記載の磁性部品。
【請求項3】
前記第1のケース部は、前記一方の磁性部材の内面及び外周面に沿って巻かれる信号ケーブルを当該外周面に沿って配置するための空間を画成する信号ケーブル配置部を更に有する、請求項2記載の磁性部品。
【請求項4】
前記第1の側壁は、前記一方の磁性部材の外周面に、前記空間を介して対向する部分を更に有しており、
前記第1のケース部は、前記信号ケーブルを引き出すための一対の第1の引出部と一対の第2の引出部とを有しており、
前記一対の第1の引出部は、前記一対の第1の端壁に設けられており、
前記一対の第2の引出部は、前記第1の側壁の前記部分に設けられている、
請求項3記載の磁性部品。
【請求項5】
前記信号ケーブル配置部の底面は、前記筒状体の延在方向と略同方向へ順に第1の領域、第2の領域、及び第3の領域を含んでおり、
前記第1のケース部は、前記第1の領域及び前記第3の領域に設けられたピンを有する、
請求項3又は4に記載の磁性部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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