説明

磁性酸化鉄粒子を含む組成物及び撮像方法における当該組成物の使用

本発明は、薬学的に許容できるシェル中に磁性酸化鉄粒子を含み、当該粒子が20 nmから1 μmの直径をもち、粒子全体の直径/コア直径比が6未満である複合体、及び磁性粒子撮像(MPI)におけるこれらの複合体の使用に関する。消化管、心臓及び頭蓋構成要素の血管系の検査における、動脈硬化、梗塞並びに例えばリンパ系の腫瘍及び転移の診断における、これらの組成物の使用が特に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的に許容できるシェル中に磁性酸化鉄粒子を含み、当該粒子が20 nmから1 μmの直径をもち、粒子全体の直径/コア直径比が6未満である複合体、及び磁性粒子撮像(MPI)におけるこれらの複合体の使用に関する。動脈硬化、梗塞並びに例えばリンパ系の腫瘍及び転移の診断において、胃腸管並びに心臓及び頭蓋要素の血管系の検査にこれらの組成物を使用することが特に好ましい。
【背景技術】
【0002】
撮像方法において、特に医療診断分野において、従来の撮像方法(例えばX線診断及び磁気共鳴撮像(MRI))のコントラストについて造影剤はかなり改善された。MRIに用いられることができる造影剤は、それらの動作のメカニズム(正の増幅即ち縦緩和の影響、又は負の増幅即ち横緩和の影響)に基づいて区別されることができる。この効果は、単位mM-1*s-1におけるT1及びT2 緩和能として表される。R1及びR2は、造影剤の濃度に対する曲線の増加の勾配1/T1及び1/T2として規定される。比R2/R1は、造影剤が主にT1低減効果(R1がR2より有意に大きい)又はT2低減効果を持つかどうかを決定する(Krombach et al. (2002) Rofo 174: 819-829)。正の造影剤(別名、緩和能増加又はT1増加造影剤)はかん流領域の信号強度を増加する。負の造影剤(別名、帯磁率増加又はT2増加造影剤)は、T2強調シーケンスにおいて、かん流領域の信号強度を低減する。
【0003】
適切なMRI造影剤が従来技術で説明されている。一例として、特許文献1は多糖類と複合される磁性酸化鉄粒子を含む医薬製剤、及びMRIにおける造影剤としてのその使用を説明する。好ましい実施の形態では、超常磁性酸化鉄コアは、2 nm〜30 nmの大きさを持つ。適切な製剤における複合体(コア + 多糖類シェル)の大きさは、10 nm〜500 nmとして与えられる。しかし、具体的な開示は10.1 nmの直径を持つ酸化鉄コアを有する複合体のみに及ぶ。特許文献2は、非常に類似した粒子を開示する。しかし、この場合、超常磁性酸化鉄粒子は、カルボキシ多糖類と複合される。MRIにおける造影剤としてのこれらの複合体の使用も説明される。シェル材料としてのカルボキシデキストランの使用は、製剤の薬理学的特性を改善する。好ましい実施の形態では、酸化鉄コアの大きさは、20 nm〜30 nmである。しかし特に開示された複合体は、最大でも8.8 nmの直径を持つ酸化鉄コアだけを含む。特許文献3は、単結晶酸化鉄粒子、及びMRIを用いて生体組織を検査するためのその使用を説明する。1〜10 nmの範囲が酸化鉄コアの好ましい大きさとして特定される。しかし実施例は、 2.9±1.3 nmの直径を持つ鉄コアを有する粒子だけを特に開示する。MRIにおける造影剤として適性を改善するために、開示された粒子は好ましくは単結晶粒子であり、すなわち粒子全体の結晶構造は均一で、いかなる分裂もない、単一の結晶である。
【0004】
最近、医療分野での撮像のための新たな方法が説明された。この場合、動く磁場中の粒子の磁化の変化が測定される。この変化は、検査領域中の磁性粒子の空間的分布を決定するのに役立つ(例えば特許文献4及び特許文献5を参照)。この新たな技術は、磁性粒子撮像(MPI)と呼ばれている。同じ出願人によるこれらの及び他の出願は、MPI法で用いられる粒子が持たなければならない複数の特性に言及する。一例として、粒子は強磁性及びフェリ磁性粒子であることができ、したがってMRI法から知られている粒子に類似している。しかし、T1及びT2緩和能は、MPIで用いられる粒子の能力に影響しない。MRI及びMPI法において撮像のために用いられる基本的に異なる物理的現象のために、MRIのための造影剤として従来技術で説明される粒子の適性は、粒子がMPIに適しているか否かを決定しない。さらに、粒子は、単一の磁区(モノドメイン)のみがその中に形成されることができるほど、及びワイス領域が生じることができないほど、小さくなければならないことが開示される。材料にもよるが、適切なモノドメイン粒子は、20 nm〜約800 nmの範囲の理想的な大きさを持たなければならないと思われる。磁鉄鉱(Fe3O4)は、モノドメイン粒子のための適切な材料として言及される。
【特許文献1】EP 0 525 199
【特許文献2】EP 0 543 020
【特許文献3】US 5,492,814
【特許文献4】DE 101 51 778 A1
【特許文献5】DE 102 38 853 A1
【非特許文献1】"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", Leuenberger, H. G. W, Nagel, B. and Klbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MPIは、装置に関する必要な経費がMRIの場合より非常に少ないので、診断アプリケーションに関して特に興味深い非常に有望な新たな方法である。これは、MRIとは異なりMPIでは、大きな均一磁場が必要無く、したがってMRI診断を非常に高価なものにしてそれが広く用いられることを困難にしている巨大な超伝導磁石が必要が無いからである。しかし、この新技術の普及した使用を可能にするためには、高い空間分解能、危険性のない投与、及び測定の間の低磁場強度を可能にする磁性粒子を開発する必要がある。したがって、MPI診断に適している粒子を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が以下により詳細に説明される前に、この発明は、本明細書において説明される特定の方法、プロトコル及び試薬には、これらが変更される可能性があるので、制限されないことを指摘しなければならない。本明細書において用いられる用語は特定の好ましい実施の形態を説明するためにだけ使われ、当該用語は本発明の範囲を制限することを意図されず、後者は特許請求の範囲によってのみ制限される。別途規定されない限り、本明細書において用いられる技術的及び科学的用語は当業者によってそれらに与えられる意味を持つ。好ましくは、本明細書の用語は、非特許文献1で規定される意味によって用いられる。
【0007】
複数の文献が説明中に引用される。本明細書で引用される文献(全ての特許、特許出願、科学的な刊行物、取扱説明書、製造業者の勧告などを含む)の各々は、参照として本明細書に完全に取り込まれる。しかし、これらの文献の1つの言及はいかなる場合にも、本発明が公開のより早い発明日に基づく権利を否定され得ることを意味するものとして解釈されてはならない。
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、磁性酸化鉄コアを有し、特定の大きさ並びに酸化鉄コア及び粒子全体の直径間の特定の比を持つ粒子がMPIに特に適していることを発見した。本発明の第1の主題は、したがって、薬学的に許容できるシェル中に、20 nmから1 μmの直径を持ち、粒子全体の直径/コア直径比が6未満である磁性酸化鉄コアを有する粒子である。
【0009】
患者への純粋な酸化鉄コアの投与がひどい副作用につながることは既知である。血小板凝集及び血圧の急速な低下が述べられている。場合によっては致命的となる可能性があるこれらの副作用を防ぐために、本発明による粒子の酸化鉄コアは、薬学的に許容できるシェルによって囲まれる。本発明の文脈内で「薬学的に許容できるシェル」は、本質的に完全に酸化鉄コアを囲み、患者に投与されたときに既知の致命的な副作用が生じないように酸化鉄コアを覆う物質又は物質混合物の層である。上記物質又は物質混合物が生分解性であること、すなわち、体によって利用されることができ、及び/又は腎臓によって除去されることができる小さな単位に分割されることができることが好ましい。粒子は好ましくは水性コロイド溶液又は分散で患者に投与される。したがって、上記物質又は上記物質混合物が親水性であり、粒子の沈殿を防ぎ、そしてコロイド溶液を安定させることが望ましい。複数のそのような物質が従来技術に述べられている(例えば特許文献3を参照)。
【0010】
好ましい実施の形態では、薬学的に許容できるシェルは、合成高分子若しくは共重合体、デンプン若しくはその派生物、デキストラン若しくはその派生物、シクロデキストラン若しくはその派生物、脂肪酸、多糖類、レシチン又はモノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド若しくはその派生物を含む。上述の好ましい物質の混合物も含まれる。
【0011】
これらの幅の広い物質の種類から、以下の物質及びその混合物が好ましい。
【0012】
(i) 重合体又は共重合体として:ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン及びその派生物、ポリオキシプロピレン及びその派生物、非イオン物質界面活性剤、ステアリン酸ポリエキシル(35-80)、ポリビニルアルコール、重合サッカロース、ポリヒドロキシアルキルメタクリルアミド、乳酸及びグリコール酸共重合体、ポリオルトエステル、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリヒドロキシル化ポリビニルマトリックス、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミド、ポリアミノ酸、スチレン及びマレイン酸共重合体、ポリカプロラクトン、カルボキシ多糖類、並びにポリ無水物。
【0013】
(ii) デンプン派生物として:デンプン2-ヒドロキシメチルエーテル及びヒドロキシエチルデンプン。
【0014】
(iii) デキストラン又はその派生物として:ガラクトシル化デキストラン、ラクトシル化デキストラン、アミノ化デキストラン、SH基を含むデキストラン、カルボキシル基を含むデキストラン、アルデヒド基を含むデキストラン、ビオチン化デキストラン。
【0015】
(iv) シクロデキストリンとして:ベータ-シクロデキストリン及びヒドロキシプロピルシクロデキストリン。
【0016】
(v) 脂肪酸として:ナトリウムラウリル硫酸塩、ナトリウムステアリン酸塩、ステアリン酸、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート及びソルビタンモノステアレート。
【0017】
その特に良い適合性によって、薬学的に許容できるシェルを形成するために、デキストラン並びにポリエチレングリコール(PEG)及びその派生物、特に、カルボキシデキストラン、低分子量PEG(好ましくは500〜2000 g/mol)又は高分子量PEG(2000 g/mol〜20,000g/mol)の使用が好ましい。1つの特に好ましい実施の形態において、薬学的に許容できるシェルは、生分解性である。上で開示される複数の好ましい物質及び重合体はこの特性を満たす。
【0018】
従来技術においては、シェルを伴う鉄コアの生産に適する複数の方法が知られる。いくつかの方法において、鉄のコアは第1の方法ステップにおいて形成され、シェルは後続のステップにおいて加えられる。しかし、1つの反応で、即ち「ワンポット反応」で鉄のコア及びシェルを形成することも可能である。既知の方法としては、エアゾール/蒸気熱分解法、CVD法、ゾルゲル法及びマイクロエマルジョン法が挙げられるが、これに限定されるものではない。酸化鉄コアのためのシェルを生成するための特に好ましい方法は、例えば、EP 0 543 020 B1, EP 0 186 616, EP 0 525 199 及び EP 0 656 368に述べられている。
【0019】
磁性酸化鉄コアが磁鉄鉱若しくはマグヘマイト又はそれらの混合物を有することが好ましい。実施の形態によっては、更なる金属酸化物が酸化鉄コアに加えられることが可能であり、当該金属酸化物は好ましくはマグネシウム、亜鉛及びコバルトから選択される。これらの更なる金属酸化物は、全体で最高20%の比率で酸化鉄コアに加えられることができる。さらに、マンガン、ニッケル、銅、バリウム、ストロンチウム、クロム、ランタン、ガドリニウム、ユウロピウム、ジスプロシウム、ホルミウム、イッテルビウム及びサマリウムが5%未満、好ましくは1%未満の量で含まれることも可能である。
【0020】
本発明の粒子の全径は、酸化鉄コアの直径及び後者を囲む薬学的に許容できるシェルの厚さに依存し、さらに、シェルの表面に付着する任意の分子に依存する。粒子は患者の体に適用された後に毛細血管を通過できなければならないという条件によって、全径の上限は規定される。最も小さな直径を有する毛細血管は通常肺の中に位置する。それでもこれらの毛細血管は、全径が2μmである粒子によって通過されることができる。本発明による粒子は、好ましくは球状である。しかし、鉄コアの表面が本質的に薬学的に許容できるシェルに囲まれているならば、細長い若しくは角ばった又は本質的に任意の形状の粒子も本発明に含まれる。したがって、粒子の全径は、球状粒子の場合は2rに、不規則な形状の粒子の場合は互いに最も離れた粒子表面の2点間の距離に水和シェルの厚さを加えて規定される。ここで規定される全径は、粒子の重心からの粒子の表面上の全ての位置の平均距離に水和シェルの厚さを加えて規定される本発明の粒子の平均全径から区別されなければならない。平均全径は次に、一群の粒子を参照してその群の中に含まれる粒子に水和シェルを加えたものの全ての平均粒径の平均値として得られる平均された粒子の全径から区別される。全径の下限は、MPI法における改善された撮像をもたらす酸化鉄コアの直径の下限で決定される。好ましい実施の形態では、したがって、粒子全体の直径は約30 nmから約2 μmの範囲内で変動する。しかし、約40 nmから約500 nmの範囲内、より好ましくは約45 nmから約300 nmの範囲内、さらにより好ましくは約50 nmから約200 nmの範囲内の全径を持つ粒子を使用することがより好ましい。本発明による粒子の全径は、例えば電子顕微鏡検査法及び動的光散乱を含む、従来技術で知られる複数の直接的及び間接的な方法によって測定されることができる。好ましくは、全径は動的光散乱によって測定される。
【0021】
利用可能な従来技術中に、とりわけ上述の文献DE 101 51 778 A1及びDE 102 38 853 A1中に、出願人がMPIに適していると仮定する粒子が記載されている。当該従来技術は、20〜800 nmの直径を持つ磁性コアを有する粒子が適切であること、及び磁性コアの実際に適切な直径はそれぞれ選択された磁性材料に依存することだけを開示する。20 nm〜1 μmの直径を持つ酸化鉄コアを有し、粒子全体の直径/コア直径比が6未満である粒子の使用を開示する教示はない。したがって、酸化鉄コアの直径の好適な下限は、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、85、90、95、100 nmである。その直径の好適な上限は、500、490、480、470、460、450、440、430、420、410、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85及び80 nmである。上限の値が下限の値より大きいならば、粒径の好適な範囲を規定するために、上述の上限下限の全ての組み合わせが可能である(例えば40〜400 nm、50〜200 nmなど)。本発明の好適な粒子は、約25 nmから約500 nmの範囲の酸化鉄コア直径を持つ。さらにより好ましくは、酸化鉄コアの直径は、約30 nmから約200 nm、より好ましくは約35 nmから約80 nmの範囲である。コアの直径は、述べられる方法に制限されずに、X線構造分析及び電子顕微鏡検査法を含む従来技術で知られている方法によって再度測定されることができる。酸化鉄コアが全ての場合に球状の形状を持つわけではないので、酸化鉄コアの直径は、互いに最も遠く離れた酸化鉄コアの表面上の位置間の距離である。この直径は、酸化鉄コアの重心からの酸化鉄コアの表面上の全ての点の平均距離として規定される酸化鉄コアの平均直径から区別されなければならない。酸化鉄コアの平均直径は次に、一群の粒子を参照してその群中に含まれる酸化鉄コアの全ての平均直径の平均値として得られる平均された酸化鉄コアの直径から区別される。
【0022】
驚くべきことに、酸化鉄コアのまわりに薬学的に許容できる物質の薄いシェルを持つ粒子が、同じ酸化鉄コア直径を持ちながらより厚いシェルを持つ粒子よりもMPIにより適していることがわかった。したがって、好ましい実施の形態では、酸化鉄コアの直径に対する粒子全体の直径の比が6未満であるという点で本発明の粒子は特徴づけられる。さらにより好ましくは、この比は、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.95、1.90、1.85、1.80、1.75、1.60、1.55未満、又は1.5未満である。粒子全体及び酸化鉄コアの上述の直径に関して、特に好適な粒子は、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.95、1.90、1.85、1.80、1.75、1.60、1.55未満、又は1.5未満である酸化鉄コア直径に対する粒子全体の直径の比で、約30〜約200 nmの範囲、さらにより好ましくは約35 nm〜約80 nmの範囲の直径を持つ酸化鉄コアを有する。
【0023】
本発明に関して、用語「多結晶磁性酸化鉄粒子」は、少なくとも2つの密着した結晶、好ましくは3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 85, 90, 95, 100個又はより多くの結晶から構成されている磁性酸化鉄粒子を指す。本発明の1つの酸化鉄粒子中に含まれることができる結晶の最大の数は、粒子の大きさだけによって制限される。小さな粒子中よりも、大きな粒子中により多くの結晶が含まれることができる。好ましくは多結晶磁性酸化鉄粒子中に含まれる結晶は、選ばれた方向において1〜100 nm、好ましくは3〜50 nmの長さを持つ。磁鉄鉱結晶(Fe3O4)の1つの単位セルは約1 nmのりょう線長さを持つ。したがって、多結晶磁性酸化鉄粒子中に含まれる結晶は、選ばれた方向に沿って、好ましくは少なくとも3つの単位セル、さらにより好ましくは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれ以上の単位セルを持つ。多結晶酸化鉄コアにおいて、無秩序のアモルファス構造を有する非結晶領域が、1つ以上の結晶間の界面に形成される場合があり、すなわち多結晶磁性酸化鉄コアは好ましくは50%、さらにより好ましくは55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上の多結晶領域から構成され、そして酸化鉄粒子の残りは無秩序のアモルファス領域から構成されている。酸化鉄コア中に含まれるそれぞれの結晶は、同じ又は異なる長さを持つことができる。多結晶磁性酸化鉄粒子中に含まれる最も大きい微細晶、すなわち個別の結晶は、好ましくは本発明による粒子の全体積の70%未満、さらにより好ましくは、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満の体積を持たなければならない。本発明の一実施の形態では、多結晶酸化鉄コア中に長距離秩序はなく、短距離秩序だけがある。これは、粒子が結晶性含有物を有する本質的にアモルファス粒子状であることを意味する。本発明の文脈において、「多結晶」は、長距離秩序を有する酸化鉄粒子及び短距離秩序を有する酸化鉄粒子の両方を含む。長距離秩序を有する結晶が好ましい。
【0024】
多結晶酸化鉄コアはモノドメインを形成する可能性もあり、必ずしもワイス領域の形成につながるわけではないことが指摘されなければならない。酸化鉄コアの大きさは、ワイス領域を形成する能力に関する重要な要因である。1つの特に好適な実施の形態において、酸化鉄コアは、少なくとも5つの酸化鉄単結晶を含む。透過電子顕微鏡法(TEM)、電子断層撮影及びX線回折を含む(これらに限定されない)複数の異なる方法によって、粒子中に含まれる結晶の数及び大きさは検出されることができる。好ましくは、大きさはTEMによって測定される。
【0025】
MPIは磁性粒子の位置を検出することに基づく。例えば胃腸管の表示又は冠状動脈の表示のような、体液が流れる領域の内部構造の表示だけが意図される診断方法においては、例えば粒子分散の注入によって、又は適切な粒子溶液又は分散の嚥下によって、十分な量の粒子を患者に提供すれば十分である場合がある。そして、検査される領域中の構造に本質的に結合しない粒子は、それらが被検査領域中を流れる際に観察されることができる。しかし、多くの診断アプリケーションにとって、粒子が被検査領域の表面構造に対して特定の親和性を示すことが望ましい。したがって、1つの好ましい実施の形態において、本発明の粒子はその表面に1つ以上の同一の又は異なるリガンドを有する。リガンドは表面に共有結合すること又は非共有結合することができる。本発明の文脈内で、「リガンド」は、10 μM未満、好ましくは1 μM未満、900 nM未満、800 nM未満、700 nM未満、600 nM未満、500 nM未満、400 nM未満、300 nM未満、200 nM未満、100 nM未満、90 nM未満、80 nM未満、70 nM未満、50 nM未満、40 nM未満、30 nM未満、20 nM未満のIC50を有する所与の物質と結合する物質である。従来技術において、所与の物質に対するリガンドの結合能(IC50又は他のいくつかのパラメータ)を測定するための複数の方法が知られている。例えばGazal S. et al. (2002) J. Med. Chem. 45: 1665-1671に記載されているように、これらの方法はELISA、表面プラズモン共鳴及び放射性リガンド結合分析法を含むが、これらに限定されない。
【0026】
場合によっては、本発明による粒子の表面に2つ以上の異なるリガンドを固定することが望ましい場合がある。これは例えば、粒子が特異的に結合する表面上に、この表面に特有の互いに隣り合った2つの構造がある場合が考えられる。これは例えば突然変異に起因して受容体の2つの構成要素が永久に互いに結合される特定の腫瘍細胞における場合である。そして、各々が2つの構造の1つに向けられる2つのリガンドの使用は、親和性又は特異性のかなりの増加をもたらす。本発明の粒子のこの好ましい実施の形態において、さらに1つ以上の種類のリガンドが薬学的に許容できる物質から成るシェルの表面に固定される。薬学的に許容できるシェルを構成するそれぞれの物質又は物質混合物に依存して、シェルはそれ自身、所与の物質に対する親和性を持つことができる。一例として、多くの多糖類は、特定の細胞特異性を持つ。そのような親和性は薬学的に許容できるシェルから生じることもできるので、したがって、例えば細胞特異的な粒子の生成が、全ての場合においてリガンドの固定を必要とするわけではない。
【0027】
表面に固定されることができるリガンドの最大の数は、表面の大きさ及びそれぞれのリガンドによって必要とされるスペースで決定される。通常、リガンドは、リガンドの大きさ次第で直径の有意な増加をもたらす場合がある単分子層で粒子の表面に結合している。したがって、適切なリガンドを選択する場合、そして大きい抗体リガンドを使用する場合は特に、得られるリガンド被覆粒子の全径が、粒子がもはや毛細血管を通過できない状況を引き起こさないことを確かにするように注意しなければならない。したがって、リガンド被覆粒子の直径は2 μm未満であることが好ましく、さらにより好ましくは、上述のような被覆されていない粒子の全径に関して好ましいと述べられた直径である。この場合、薬学的に許容できるシェルの厚さ及び/又は酸化鉄コアの直径は適宜に減少されなければならない。従来技術において、リガンドを取り付けるための複数の方法が開示される。特に好適な方法は例えばUS 6,048,515に開示される。それぞれの薬学的に許容できるシェルによって、リガンドを取り付ける前にシェルを架橋する必要がある場合がある。そのような方法は、例えばWeisleder et al.によって解説されている。
【0028】
リガンドの選択は、MPIによって診断される疾患又は状態に依存する。好ましくは、粒子上に位置するリガンドが結合する構造は、体液(例えば血液若しくはリンパ)が流れる領域に含まれ、又は体液中に含まれる。したがって、リガンドは特に、細胞(成熟核若しくは原核)の表面構造、細胞外の表面構造、又はウィルス表面構造に結合できることが好ましい。従来技術においては、病変組織若しくは細胞中に、又はそのような組織若しくは細胞の近傍に優先して発現され、したがってそれぞれの疾患の徴候として役立つことができる複数の構造が知られる。一例として、成人体内における血管の新たな形成(血管新生)は、月経又は妊娠に関連した子宮内膜に、及び血管外傷後の治癒過程に限定される。しかし、新たな血管は複数の増殖性疾患においても形成され、増殖性疾患に侵されていない体内の他のいかなる位置でも当該新たな血管は見つからないことが知られている。したがって、血管新生に関して生成される細胞構造、特に、例えばフィブロネクチンのED-Bドメイン(ED-BF)のような腫瘍内皮だけに見つかる構造は、本発明の粒子の表面に固定されることができるリガンドに対する優れたターゲットである。疾患と関連するそのような構造に対して従来技術において知られる全てのリガンドが、本発明の粒子と共に使用されることができる。しかし特に好適なリガンドは、以下の構造の1つに特に結合することができるリガンドである。フィブロネクチンのED-Bドメイン(ED-BF)、endoglin、血管内皮生長因子レセプタ(VEGFR)、VEGFファミリの構成メンバ、NRP-1、Ang1、Thie2、PDGF-BB及び受容体、TGF-s1、TGF-s受容体、FGF、HGF、MCP-1、インテグリン(αvβ3、αvβ5、α5β1)、VE-カドヘリン、PECAM(CD31)、ephrins、プラスミノーゲンアクティベータ、MMPs、PAI-1、NOS、COX-2、AC133、ケモカイン、Id1/Id3、VEGFR-1、Ang2、TSP-1,-2、アンギオスタチン及び関連したプラスミノーゲンクリングル、endostatin(コラーゲンXVIIフラグメント)、vasostatin、血小板因子4(PF4)、TIMPs、MMP阻止因子、PEX、Meth-1、Meth-2、IFN-α,-β,-γ 、IL-10、IL-4、IL-12、IL-18、プロラクチン(M,16K)、VEGI、SPARCのフラグメント、オステオポンチンフラグメント若しくはmaspin、CollXVIII、CM201、statin(特にL-statin)、CD105、ICAM-1、ソマトスタチン(サブタイプ1、2、3、4若しくは5)又はソマトスタチン受容体(サブタイプ1、2、3、4、5若しくは6)。
【0029】
複数の物質が、好ましくは細胞(成熟核若しくは原核)の表面構造、細胞外の表面構造又はウィルス表面構造に対する親和性を持つことが、従来技術において知られている。好ましくは、本発明の粒子に固定されるリガンドは、ポリペチド、オリゴヌクレオチド、多糖類及び脂質から選択される。
【0030】
特異的な親和性を持つポリペチドが知られており、「ファージディスプレイ」及び免疫法を含む多くの方法によって識別されることができる。この点について、本発明によりリガンドとして使用されることができるタンパクは、ヒト抗体、ヒト化抗体及びキメラ抗体及び抗体フラグメントを含む抗体、抗体結合ドメインを有するフラグメント(例えば、Fv, Fab, Fab', F(ab')2, Fabc, Facb)、単鎖抗体(例えば単鎖Fvs(scFvs)及びdiabody)、並びに細胞受容体、細胞外受容体若しくはウィルス受容体のリガンド又はそれらのフラグメントから成るグループから選択されることが好ましい。適切なリガンドは、例えば血管内皮成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)、上皮細胞成長因子(Epidermal Growth Factor:EGF)、ケモカイン又はサイトカインである。
【0031】
例えば転写因子又はヒストンとの特異的な結合を始めるための核酸の能力は周知である。本発明の粒子上にリガンドとして固定されることができる好適なオリゴヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボゾームリボ核酸(RNA)、PNA及びアプタマを含む。特にPNAが、患者中に通常見いだされるヌクレアーゼに対するより高い耐性を持ち、したがってより長い生物学的半減期を持つので、好ましい。特異的に結合する核酸を識別するための方法は従来技術において知られており、例えばWO93/24508A1, WO94/08050A1, WO95/07364A1, WO96/27605A1及びWO96/34875A1に記載されている。
【0032】
場合によっては、例えば立体的又は化学的不適合のために、リガンドを粒子の表面に直接結合することは可能でない。これらの場合、リガンドはリンカーを介して粒子の表面に結合されることができる。この点について、用語「リンカー」は、一方で粒子表面に結合し、他方でリガンドに結合する共有結合又は非共有結合をそれぞれ可能にする1つ又は2つの化学反応基を好ましくは持つ分子を示す。これらの結合基の間に、例えばリガンドと粒子との間のより大きな空間分離及びリガンドのより大きな移動度を可能にする直線、環式又は分岐領域が通常ある。この直線領域は、例えば、1つ以上のO、N及び/若しくはS原子によって割り込まれる場合がある置換若しくは非置換、分岐若しくは非分岐、飽和若しくは不飽和アルキル鎖(C2〜C50)、又はポリペプチド若しくはポリヌクレオチドであることができる。これらのリンカーに使用されることができる化学反応基の例は、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、チオール又はチオール反応基、スルフヒドリル基、カルボキシル基及びエポキシド基を含む。チオール反応基は例えば、maleinimide(マレイミド)基、クロロアセチル基、ブロモアセチル基、ヨードアセチル基、クロロアセトアミド基、ブロムアセトアミド基、ヨードアセトアミド基、クロロアルキル基、ブロモアルキル基、ヨードアルキル基、ピリジル二硫化物基及びビニルスルホンアミド基を含む。複数の結合試剤、結合基及びリンカーが、本開示に関して具体的に参照するWO98/47541に開示される。
【0033】
薬剤活性作用剤の表面に固定されるポリエチレングリコール残基(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール残基(PPG)は、生物学的半減期の相当な延長をもたらすことが見出された。この例は、例えばPEG化EPOのような、PEG化リポソーム又はPEG化タンパク質である。表面のPEG化のための方法は従来技術において周知である。使用されるそれぞれの薬学的に許容できるシェル材料に従い、PEG残基又はPPG残基は、直接又はリンカーを介して共有結合又は非共有結合で表面に固定されることができる。好ましくは、ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール残基は、粒子の表面に非共有結合で結合される。
【0034】
本発明の他の主題は、薬学的に許容できるシェル中に20 nm〜1 μmの直径を持つ磁性酸化鉄コアを有し、粒子全体の直径/コア直径比か6未満である粒子を生産する方法であって、当該方法は以下のステップを有する。
(i) 合成高分子若しくはコポリマー、デンプン若しくはその派生物、デキストラン若しくはその派生物、シクロデキストラン若しくはその派生物、脂肪酸、多糖類、レシチン、若しくはモノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド若しくはそれらの派生物、又はそれらの混合物の存在下で、粒子のコロイド溶液が形成されるまで、 鉄(II)塩及び鉄(III)塩を含む水性混合鉄塩溶液を塩基と混合するステップ。
(ii) 粒子含有溶液を傾斜磁場に通すステップ、
(iii) 傾斜磁場を除去するステップ、及び
(iv) 傾斜磁場中に保持された粒子を回収するステップ。
【0035】
本発明による方法のステップ(i)は、通常、粒子の均一なグループをもたらさず、酸化鉄コアの直径に関して及び粒子全体の直径に関して一定の帯域幅内で異なる粒子のグループをもたらす。そのようなグループの平均された酸化鉄コア直径は、グループ中に含まれる全ての平均酸化鉄コア直径の平均値として得られる。ステップ(ii)における傾斜磁場の印加は、平均された酸化鉄コア直径よりも大きな酸化鉄コアを有する粒子の選択につながる。例えば、傾斜磁場の強度を選択することによって、場合によっては本発明による方法のステップ(ii)から(iv)を1回、2回又はそれ以上の回数、場合により傾斜磁場の強度を増加しながら繰り返すことによって、粒子の不均一のグループから、平均された酸化鉄コア直径及び薬学的に許容できる材料の薄いシェルよりも大きな平均された酸化鉄コア直径を持つ粒子のグループを選択することが可能である。通常、コア直径のより小さな分散を持つ粒子グループもステップ(ii)から(iv)の終了後に得られる。
【0036】
粒子のこのサブグループから、少なくとも事前に決められた粒子全体の直径を持つ粒子を選択するために、これらは、例えば濾過、沈殿、向流遠心分離(エラトリエーション)等の従来技術において知られている方法によって選択されることができる。
【0037】
本発明による方法において使用される鉄(II)及び鉄(III)塩は、好ましくは0.1〜2 Mの濃度の水溶液である。二価及び三価鉄イオンは好ましくは1:3〜2:1の混合比である。鉄塩の適切な陰イオンは、例えばクエン酸、乳酸、酢酸、マレイン酸などのような有機酸から、又は例えばHCl、H2SO4、H2SO3、HBr、HI、HNO3若しくはHNO2のような無機酸から得られる。
【0038】
塩基は好ましくは、例えばNaOH、KOH、LiOH又はAl(OH)3のような無機塩基から及び有機塩基から選択される。塩基は固体として又は溶液として、好ましくは水溶液として、水性反応溶液に加えられることができる。この追加は好ましくは、溶液がpH10、好ましくは11以上に達するまで行われる。好ましくは、この塩基性化ステップに続いて、pHが約7±0.5になるまで酸、好ましくはHClを用いた中和が行われる。
【0039】
更なるステップとして、ステップ(i)の直後、又は中和の後に熱処理を行うことができる。ここで、溶液は少なくとも50℃、好ましくは60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、90℃又は95℃まで加熱される。中和がまだ行われていない場合、溶液は加熱後に酸を加えることで中和されることができ、その後冷却されるか又はさらに加熱されることができる。溶液がさらに加熱される場合、好ましくは50℃まで、より好ましくは60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、 90℃、95℃、100℃又は還流まで加熱される。そのような加熱は好ましくは10分から10時間行われる。
【0040】
ステップ(i)の直後、あるいは上述の更なるステップ、すなわち中和及び/又は加熱ステップの各々に続いて、1つ以上の洗浄及び/又は透析ステップが実行されることができる。さらに、ステップ(iv)後に得られる粒子が1つ以上の洗浄及び透析ステップを受けることが好ましい。このステップ(又はこれらのステップ)の目的は好ましくは、生産プロセスから残されるあらゆる潜在的に有害な不純物を粒子から分離すること、並びに粒子を含む溶液のpH及び/又は塩含有量を適応させることである。
【0041】
傾斜磁場は、MPI法に特に適している粒子を選択するために使用される。本発明の方法に使用されることができる傾斜磁場は、大きく変化することができ、及び検査装置の様々なパラメータを考慮して当業者によって設定されることができる。分離目的に使用される傾斜磁場は、地球の磁場の傾斜よりかなり大きくなければならない。分離チャンバ中の傾斜磁場は、永久磁性材料によって又は電流が流れる導体によって生成されることができる。本発明に関して、電流を切ることによって傾斜磁場を除去することが容易なので、後者の実施の形態が好まれる。前者の場合には、傾斜磁場は永久磁性材料を除去することによって除去される。傾斜磁場は、一般的に1 mT/mから5000 T/mの範囲にある。例えば、コア直径が100nmより大きい粒子が保持されるべき場合、及びステップ(ii)が低処理率の装置で実行される場合、1〜10 mT/mの傾斜強度を使用することが好ましい。しかし、例えば約20 nmのより小さなコア直径を持つ粒子が保持されるべき場合、及び当該方法が高処理率で実行される場合、1000 T/mより大きい傾斜強度を使用することが好ましい。傾斜磁場を適用する目的は、比較的大きな酸化鉄コア直径を持つ及び/又は好適な、すなわち小さい全径/コア比を持つ粒子を凝縮することにある。ここに示される教示を考慮して、並びに平均された直径、本発明の方法によって生産される粒子及び使用される流速に従って、当業者は、そのような粒子を選択することを可能にする適切な傾斜磁場の強さを決定することができる。傾斜磁場を備える適切な分離装置は、以下に実施例1b及び1cにおいて一例として、並びにEP 0 915 738 B1に記載されている。装置は、必要に応じて傾斜磁場を増加するために、傾斜磁場の領域中に更なる常磁性体を含むことができる。
【0042】
傾斜磁場中に保持される粒子を回収するために、傾斜磁場が取り除かれた後で、分離装置は適切な溶液、好ましくは水性の薬学的に許容できる溶液によって好ましく洗い流され、粒子は分離装置から機械的に好ましくは解放される。
【0043】
本発明によって生産される粒子は、好ましくは少なくとも150 (mM・s)-1、より好ましくは160, 170, 180, 190, 200, 210, 220, 230, 240, 250, 260, 270, 280, 290, 300, 310, 320, 330, 340, 350, 400, 450, 500, 550, 600, 650, 700, 750, 800, 850, 900, 950又は1000 (mM・s)-1のT2緩和能を持つ。粒子のT2緩和能は粒子の水性コロイド溶液の中で1テスラの磁場の強さで好ましくは測定される。適切な測定方法は当業者に知られており添付の例においても例えば開示される。本発明による方法の1つの好ましい実施の形態において、粒子全体の直径が約30 nmから約2 μmの範囲内で変動する。しかし、さらに好ましくは約40〜約500 nmの範囲、よりさらに好ましくは約45 nm〜約300 nmの範囲、またさらに好ましくは約50 nm〜約200 nmの範囲の全径を持つ粒子が使用される。すでに述べられたように、本発明による粒子の全径は、例えば電子顕微鏡法及び動的光散乱を含む従来技術において知られている複数の直接的及び間接的な方法で測定されることができる。粒子中に含まれる酸化鉄コアの直径の好適な下限は、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、85、90、95、100 nmである。直径の好適な上限は、500、490、480、470、460、450、440、430、420、410、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85及び80 nmである。上限の値が下限の値より大きいならば、本発明による方法によって生産されることができる粒径の好適な範囲を規定するために、上述した上限及び下限の全ての組み合わせが可能である(例えば40〜400 nm、50〜200 nmなど)。本発明によって生産される好適な粒子は、約25 nmから約500 nmまでの範囲の酸化鉄コア直径を持つ。さらにより好ましくは、酸化鉄コアの直径は約30 nmから約200 nm、さらにより好ましくは約35 nmから約80 nmの範囲にある。
【0044】
本発明の他の主題は、本発明の方法によって生産されることができる粒子を含む。
【0045】
本発明の他の主題は組成物を含み、薬学的に許容できるシェル中に磁性酸化鉄コアを含む当該組成物中に含まれる粒子の少なくとも2%は、本発明による粒子又は本発明による方法によって生産される粒子である。好ましい実施の形態において、本発明による粒子又は本発明によって生産される粒子の比率はより高く、少なくとも5%, 10%, 15%, 20%, 25%, 30%, 35%, 40%, 45%, 50%, 55%, 60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 85%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%又は100%である。本発明による粒子又は本発明によって生産される粒子の比率が増加するにつれて、MPI法に対する本発明による組成物の適性は増加する。
【0046】
本発明の他の主題は組成物であり、本発明による粒子又は本発明の方法によって生産される粒子の粒子直径が、粒子の少なくとも50%については、平均された粒子直径の前後10%の範囲である。粒度分布、ひいてはそれぞれの粒子によって生成される信号の均一性の増加が望ましい。この点について、本発明による粒子又は本発明の方法によって生産される粒子の少なくとも55%、少なくとも60%, 65%, 70%, 75%, 80%, 90%, 95%が、平均された粒子直径の前後10%の範囲の粒子直径を持つことが特に好ましい。この点について、平均された粒子直径は、上ですでに説明された意味を持ち、すなわち粒子直径は、組成物中に含まれる全ての本発明による粒子又は本発明によって生産される粒子の平均された直径である。
【0047】
本発明の他の主題は、本発明の組成物を含む流体である。適切な流体は、好ましくは生理的pHに緩衝され、場合により、特にそれらが非経口の使用を意図される場合、塩、糖などを含む水溶液である。流体は場合により添加剤(例えば防腐剤、安定剤、界面活性剤、香料、賦形剤など)を含む。適用の経路に基づいて診断溶液に加えられることができる複数の物質は当業者に知られている。これらの添加剤は、本発明の粒子との不親和性は別として、いかなる例外もなく本発明による流体に加えられることができる。流体は安定化コロイド溶液の形であることが好ましい。
【0048】
本発明の他の主題は、疾患を診断するための磁性粒子撮像(MPI)に用いられる診断手段を製作するための、本発明の組成物の又は本発明の流体の使用である。ここで疾患は、増殖性の疾患、特に腫瘍及び転移、炎症性疾患、自己免疫性疾患、消化管の疾患、動脈硬化、脳卒中、梗塞、及び血管系、リンパ系、膵臓、肝臓、腎臓、脳及び膀胱の病理学的変化、電気的刺激伝達に影響を及ぼす疾患並びに神経変性疾患からなるグループから選択されることが好ましい。ここで使用される粒子は好ましくは、好ましい又は特に好ましいとして上で開示される粒子である。
【0049】
本発明の他の主題は組成物の使用であり、疾患を診断するための磁性粒子撮像(MPI)に用いられる診断手段を作り出すために、当該組成物中に含まれる粒子の少なくとも2%は、薬学的に許容できるシェル中に20 nmから1μmの直径を持つ磁性酸化鉄コアを有して粒子全体の直径/コア直径比が6未満である。ここで疾患は、増殖性の疾患、特に腫瘍及び転移、炎症性疾患、自己免疫性疾患、消化管の疾患、動脈硬化、脳卒中、梗塞、及び血管系、リンパ系、膵臓、肝臓、腎臓、脳及び膀胱の病理学的変化、電気的刺激伝達に影響を及ぼす疾患並びに神経変性疾患からなるグループから選択されることが好ましい。これらの粒子の好適な酸化鉄コア直径は上述の直径であるが、少なくとも5 nm、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30 nmの直径を持つ酸化鉄コアも含む。本発明のこの用途に使用されることができる粒子は、上述の方法によって作り出されることができる。
【0050】
粒子が以下のステップを有する方法によって検出されることが特に好ましい。
(i) 低い磁場の強さを有する第1の局部的な領域及び高い磁場の強さを有する第2の局部的な領域が検査領域において得られるように、磁場の強さの空間的な方向を有する磁場を発生させるステップ。
(ii) 粒子の磁化が局所的に変化するように、検査領域における前記2つの局部的な領域の空間的位置を変更するステップ。
(iii) この変更によって影響を受けた検査領域中の磁化に依存する信号を記録するステップ。
(iv)検査領域中の磁性粒子の空間的分布についての情報を得るために信号を評価するステップ。
【0051】
この方法及びこの装置において、空間的に不均一な磁場が検査領域中に生成される。第1の局部的な領域において、粒子の磁化が程度の差はあるが外部磁場と異なる程度に、すなわち飽和しない程度に、磁場は弱い。第2の局部的な領域において(すなわち第1の部分以外の残りの検査領域において)、磁場は粒子を飽和状態に保つのに十分な程に強い。ほとんどすべての粒子の磁化がほぼ外部磁場の方向に向く場合に磁化は飽和するので、磁場のいかなる更なる増加によっても、そこでは磁化は、対応する磁場の増加を提供される第1の局部的な領域中におけるよりも非常に少ない程度にしか増加しない。
【0052】
第1の局部的な領域は、好ましくは空間的にコヒーレントな領域である。それは点形状の領域であることができるが、線又は面領域であることもできる。構成によって、第1の局部的な領域は、第2の局部的な領域によって空間的に囲まれる。
【0053】
検査領域中の2つの局部的な領域の位置を変更することによって、検査領域中の磁化(全体)が変化する。局部的な領域の空間的位置の変更は、時間的に変化する磁場によって例えば生じさせることができる。検査領域中の磁化又はそれによって影響される物理的パラメータが測定される場合、検査領域中の磁性粒子の空間的分布について、そこから情報が得られる。
【0054】
この目的のために、例えば、検査領域中の磁化の時間的変化に起因する少なくとも1つのコイルに誘導される信号が受信されて評価される。時間的に変化する磁場が第1の周波数帯域において検査領域及び粒子に作用する場合、コイルによって受信されるそれらの信号のうち、第1の周波数帯域の成分よりも高い1つ以上の周波数成分を含む信号だけが評価される。通常、粒子の磁化特性は線形に伝わらないので、これらの測定される信号が生成される。
【0055】
本方法及び装置に関する更なる説明のために、DE 101 51 778を参照する。当該文献が詳細に方法及び装置を記載するので、DE 101 51 778の内容はここで参照としてこれによって十分に組み込まれる。
【0056】
好ましい実施の形態において、本発明は、本発明による組成物又は流体の使用に関し、検出を実行するための装置は以下の手段を有する。
(a)低い磁場の強さを有する第1の局部的な領域及び高い磁場の強さを有する第2の局部的な領域が検査領域において得られるように、磁場の強さの空間的な方向を有する磁場を発生させる手段。
(b)粒子の磁化が局所的に変化するように検査領域中の2つの局部的な領域の空間的位置を変更するための手段。
(c) 空間的位置のこの変更に影響を受けた検査領域中の磁化に依存する信号を記録するための手段。
(d) 検査領域中の磁性粒子の空間的分布についての情報を得るために信号を評価するための手段。
【0057】
本発明によって使用されることができる粒子が特に高い空間分解能を可能にするので、それらは増殖性の疾患の診断、特にそのような疾患の初期に使用されることができる。増殖性の疾患は、好ましくは腫瘍、前癌性状態、形成異常、子宮内膜症及び変質形成からなるグループから選択される。
【0058】
本発明に従って使用されることができる粒子を用いて診断されることができるさらに好適な疾患は、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、骨関節炎、神経障害痛覚、円形脱毛症、乾癬、乾癬の関節炎、急性膵炎、同種異系移植片拒絶反応、アレルギー、肺臓のアレルギー性炎症、多発性硬化症、アルツハイマー病、クローン病及び全身性紅斑性狼瘡からなるグループから選択される自己免疫性疾患を含む。
【0059】
本発明の他の実施の形態において、本発明の粒子及び本発明によって作り出される粒子は、磁性粒子を用いて局所的に加熱する方法に、特に好ましくは温熱療法を行うために、使用されることができる。本方法及び装置に関する更なる説明のために、WO2004/018039を参照する。当該文献が詳細に方法及び装置を記載するので、WO2004/018039の内容はここで参照として十分に組み込まれる。
【0060】
他の実施の形態において、本発明による新規な粒子及び本発明によって作り出される粒子は、磁気共鳴撮像(MRI)におけるT2増加造影剤として使用されることができる。粒子は、増殖性の疾患、炎症性の疾患、自己免疫性疾患、消化管の疾患、動脈硬化、脳卒中、梗塞、及び血管系、心臓、リンパ系、膵臓、肝臓、腎臓、脳及び膀胱中の病理学的な変化、電気的刺激伝達に影響を及す疾患並びに神経変性疾患からなるグループから選択される疾患及び病理学的変化を診断するためにMRI造影剤として使用されることができる。肝臓又は脾臓を撮像してこれらの臓器の疾患を診断するためのMRI造影剤としての粒子の使用が特に好ましい。粒子は血管造影法のためのMRI造影剤としても使用されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下の実施例は、本発明を特定の実施の形態に制限することなく本発明を説明する。当業者は、実験において特定される量及び温度に複数のバリエーションを見いだすことが可能であり、これら全てのバリエーションは特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内である。
【実施例1】
【0062】
磁性酸化鉄粒子の生成
実施例1a:出発粒子分散の生成
0.050 dl/gの固有粘度を持つ105 gのカルボキシデキストラン(CDX)が350 mlの水に溶解される。窒素の供給の下で、13.6 gの塩化鉄(II)四水和物水溶液及び140 ml, 1 Mの塩化鉄(III)溶液(37.8 gの塩化鉄(III)六水和物に対応)がそこへ加えられる。それから、242 ml, 3 NのNaOH溶液がそこへ加えられ、15分以上攪拌され、そして混合物は80℃に加熱される。6 NのHClを加えることによって、pHは7.0に調整される。混合物は還流で1時間さらに撹拌される。
【0063】
冷却した後、試料は遠心分離機にかけられる(2100 g/30分)。エタノールが沈澱の上澄液の体積の78%に相当する比率で加えられる。試料は再び遠心分離機にかけられる(2100 g/10分)。沈澱物は水中に溶解されて、水に対して透析される(16時間)。透析物はNaOHによってpH 7.2に調整され、減圧下で濃縮される。186 mlのカルボキシデキストラン安定化酸化鉄粒子の懸濁液を得るために、濃縮物は濾過膜(孔径:0.2 μm)でフィルタリングされる。生成方法は、Resovist(商標)中に含まれる粒子のための生成方法に相当する。
【0064】
鉄濃度:52 mg/ml(鉄含量:91%)、磁性酸化鉄の粒径:9 nm、粒子全体の直径:61 nm、水溶性カルボキシ多糖類/鉄重量比1.15、1テスラでの磁化:98 emu/鉄のg、T2 緩和能:240 (mM sec)-1
【0065】
実施例1b:小さな粒子の生成
磁性フィルタは環状磁石(NE 1556、ベルリンのIBS Magnet社製、外径15 mm、内径5 mm、体高6 mm)から成り、分離チャンバは環状磁石の内部容積に配置される。分離チャンバは、プラスチックでできている壁で構成されていて、玉金(直径約0.3 mm)によって満たされる。500 mmol/lの鉄含有量及び約240 (mM・sec)-1のT2緩和能を持つ(実施例1aによる)酸化鉄粒子の分散0.8 mlが、静水圧によって磁性フィルタでフィルタリングされる。このようにして得られる濾過液のT2緩和能は41 (mM・sec)-1である。
【0066】
実施例1c:新規な磁性酸化鉄粒子の生成
実施例1bによりフィルタリングされた酸化鉄粒子の回収に続いて、一度磁石をオフしてすすぐことによって、磁性フィルタ中の残渣が得られる。結果として生じる粒子懸濁液(残渣1)は、293 (mM・sec)-1のT2緩和能を持ち、実施例2、3、4及び5によって特性が明らかにされる。
【0067】
二度目に、しかし今回はより弱い磁場により実施例1bによる濾過を実行することで、磁石をオフにした後に得られる残渣(残渣2)は、388 (mM・sec)-1のT2緩和能を持つ。
【実施例2】
【0068】
動的光散乱による粒子全体の大きさの測定
Malvern社製の粒子寸法測定器(ZetaSizer 3000 Hs a)を用いて、粒子の(強度加重)平均拡散係数が測定され、そこから平均流体力学直径が計算される。この方法は、平均された粒子全体の直径を測定するための1つの可能性である。しかしこの場合、酸化鉄コア+水和シェルの直径が測定される。
【0069】
結果は、以下の表1に要約される。
【表1】

【実施例3】
【0070】
電子顕微鏡法によるコアの大きさの決定
透過電子顕微鏡法(TEM)を用いて、コントラストが高い酸化鉄コアが、これらがシェルより高い電子密度を持つので、拡大されて撮影される。このようにして撮像される粒子の大きさが測定され、実際のコアの大きさは拡大係数を経由して計算される。50〜100の粒子が考慮され、結果はヒストグラムにプロットされる。(数加重の)平均されたコア直径も計算される。結果は図1にヒストグラムとして及び表2に表形式で要約される。
【表2】

【実施例4】
【0071】
全径/コア比の測定
比率は、実施例2による直径及び実施例3によるコアの大きさからなり、以下の表3に要約される。
【表3】

【実施例5】
【0072】
電子顕微鏡法及び高解像度電子顕微鏡法による多結晶化の同定
粒子の多結晶化は、例えば200kVにおけるCM2000FEG(フィリップス)顕微鏡(HRTEM)での透過型電子顕微鏡法(TEM)のような、標準の方法による電子顕微鏡法及び高解像度電子顕微鏡法で測定された。試料は銅格子上の穿孔された炭素フィルムに堆積された。残渣1の粒子がこのようにして検査された。結果は図2A及び2Bに異なる分解能で示される。
【実施例6】
【0073】
磁性酸化鉄粒子を用いるMPI
実施例6a:MPI実験のための試料の調製
0.5 mmの直径を持つ孔がPVCプレート(厚さ1 mm、横方向の寸法約2 x 2 mm2)に穿設される。片側が粘着性のテープで閉じられる。それから細い銅線(0.2mm被覆)を用いて、物質は孔に、後者が完全に満ちるまで滴状で入れられる。物質は薄められていない状態で用いられる。孔のうち開いている側は粘着性のテープで閉じられ、スライドグラスはグラスファイバ補強された計量棒上に接着される。そして試料は両側をアクリル酸塩接着剤により封止される。
【0074】
試料はDE 101 51 778 A1にて説明されるようにMPIスキャナ中に設置されて測定される。DE 101 51 788 A1に記載されるような画像生成と異なり、試料は異なる周波数で測定される信号強度に関してのみ検査される。この目的のために、DE 101 51 778 A1の図2及び関連する説明で述べられるように、傾斜磁場がMPIスキャナにおいて用いられる。最大の傾斜磁場の強さは、3.4 T/m/μ0である。DE 101 51 778 A1の図4aに示されるH(t)のように、交流磁場がこの傾斜磁場に重畳される。交流磁場の振幅は傾斜磁場の最大傾斜の方向において10 mT/μ0であり、周波数は25.25kHzである。データが異なる測定位置から得られることができるように、試料はMPIスキャナ中で機械的に移動されることができる。現在、52×52の測定ポイントが記録され、これらは10×10mm2の表面領域にわたって分布している。各々のポイントでの測定時間は0.4秒である。
【0075】
52×52の測定ポイントで記録される信号の中で、最大及び最小の信号強度を持つ信号の値が決定される。これらの信号の値は、フーリエ変換された信号であり、したがって複素数値である。最初に、最大及び最小の信号の値の実部間の差、並びに最大及び最小の信号の値の虚部間の差が形成される。そして、交流磁場の周波数の特定の倍数(x軸又は水平軸)における2つの決定された差の平方の合計の平方根(y軸又は垂直軸)が、結果としてプロットされる。
【0076】
実施例6b:Resovist(商標)を用いたMPI
Resovist(商業的に入手可能な製品)が用意され、実施例6aに従って測定される。Resovist(商標)中の鉄濃度は500 mmol Fe/lである。結果は図3に要約されている。励振磁場周波数の約25倍までのSN比が観測された。さらに、再現可能な結果が独立した実験(3つの異なるResovist(商標)バッチ)において得られた。したがって、ResovistがMPIに適していることを示すことは可能だった。
【0077】
実施例6c:実施例1bによる製剤を用いるMPI
実施例1bによる懸濁液の鉄濃度は500 mmol Fe/lに調整され、そして製剤が調製されて実施例6aに従って測定される。結果は、比較試料の結果及び実施例6dの結果と共に図5に示される。
【0078】
実施例1bによる組成物(濾過液)は、実施例1aによる組成物(出発分散)すなわちResovist(商標)よりもかなり悪いSN比を示すことが見いだされた。
【0079】
実施例6d:実施例1cによる製剤を用いるMPI
実施例1cによる懸濁液(残渣1、残渣2)の鉄濃度は500 mmol Fe/lに調整され、そして製剤が調製されて実施例6aに従って測定される。結果は、比較試料の結果及び実施例6cの結果と共に図5に示される。
【0080】
本発明による新規な粒子を含む組成物(実施例1cによる製剤)は、実施例1aによる出発分散(及び比較試料の商業的に入手可能なMR造影剤(Resovist(商標)))並びに実施例1bによる濾過液よりも良いSN比を示すことが見いだされた。
【0081】
したがって、実施例1cによる製剤中に含まれる本発明の新規な粒子は改善されたMPIに適している。
【0082】
実施例6e:Resovist(商標)を用いるMPI撮像
Fig. 4は、DE 101 51 778による装置及び方法を用いて画像を生成するためのファントムの画像を画像Aに示す。このファントムは、Resovist(商標)によって満たされた(画像中に暗いスポットとして示される)複数のキャビティを含む。図4は画像Bにおいてこのファントムの画像を示し、Resovist(商標)によって満たされるキャビティは明るい領域として現れる。
【実施例7】
【0083】
キレート化剤酸化鉄粒子の合成及び生体内造影剤としてのmulti-His-L-selectin(MECA79)の結合
以下の本文は、NTA(ニトリロ三酢酸派生物; α-N-[bis-カルボキシメチル]リシン)の、実施例1によって作り出されるカルボキシデキストラン安定化磁性酸化鉄粒子への結合を述べる。
【0084】
この目的ために、カルボキシデキストラン安定化磁性酸化鉄粒子は、31倍粒子過剰のナトリウム過ヨウ素酸塩を伴う(カルボキシデキストランを主成分とした)水溶液中で、室温(RT)における暗闇中での30分間の攪拌により酸化される。ナトリウム過ヨウ素酸塩は、それからゲル濾過によって定量的に分離される。デキストラン磁鉄鉱は、リン酸緩衝液(0.1 Mリン酸緩衝液pH 7.0)中に抽出される。そしてNTAが酸化されたデキストラン磁鉄鉱に加えられ、混合物は、時々振動させてRTで2時間暗闇中において定温放置される。その過程で、NTAはデキストラン磁鉄鉱に過度に結合することができる。それから還元剤ジメチルボラン(H2O中で150 mM)の1/10の体積が加えられ、混合物は時々振動させてRTでさらに2時間暗闇中で定温放置される。最後のステップが繰り返され、続いて一晩4℃で定温放置される。粒子の表面に結合したNTAからの結合していないNTAの分離は、ゲル濾過又は限外濾過によって遂行される。粒子は、PBS又は0.1 MのHEPES(いずれの場合においてもpH 7.0-7.4)中に抽出されて、5 mg/mlのカルボキシデキストラン(最終濃度)を加えることによって安定化される。粒子は殺菌濾過され、0.1%の最終濃度のアジ化ナトリウムが加えられる。そして懸濁液の鉄含有量及び平均粒径が測定される。
【0085】
NTAが粒子の表面に結合する効率を検査するために、粒子はまず、時々振動させてRTで1時間、PBS又は0.1 MのHEPES中で10mM EDTAと共に定温放置される。EDTAそれからゲル濾過又は限外濾過によって取り除かれ、試料はCo2+、Ni2+又はキレート化剤によってキレート化される同等の二価イオンと共に定温放置される。
【0086】
そして過剰なイオンはゲル濾過又は限外濾過によって粒子から分離される。粒子表面に結合したNTA分子の数は、未修飾デキストラン磁鉄鉱に結合するイオンを差し引いて、結合したイオンのICP測定によって決定されることができる。
【実施例8】
【0087】
NTAデキストラン磁鉄鉱へのmulti-His-L-セレクチンの結合
NTA担持デキストラン磁鉄鉱は、まずNi2+イオン(又は類似のイオン)と共に、それからmulti-His-taggedセレクチン分子と共に、(非特異的結合を低減するために)0.2%の乳剤を有するPBS又は0.1MのHEPES中でRTにおいて10分間定温放置される。結合していないセレクチン分子は、適切な限外濾過ユニットによって、又は印加磁場を伴う磁性カラム(Miltenyi Biotec)によって取り除かれる。結果として生じる造影剤作成物は、例えば末梢マウスリンパ節の凍結切片において、それらの結合能力に関して生体外で検査され、それから撮像のための生体内実験に用いられることができる。
【実施例9】
【0088】
実施例1による磁性酸化鉄粒子へのストレプトアビジンの結合
実施例1による懸濁液は、超遠心分離機、及び0.02%のTritonX100ナトリウム酢酸塩緩衝液(pH 4.5)による等体積テイクアップにおける少なくとも3重の沈殿によって精製される。1 mlの精製された懸濁液は1 mlの2%ストレプトアビジン溶液によって処理され、60分間4℃で攪拌される。それから10 mgのEDCが加えられる。pH値はこの処理の間監視される。pHが4.5±0.2から逸脱した場合、0.01 NのHCl又は0.01 NのNaOHを用いて再調整されなければならない。
【0089】
定温放置は撹拌を伴って4℃で約16時間継続され、そして、1 Mのエタノールアミンによる15分間の定温放置によって終わる。ストレプトアビジンが結合した磁性酸化鉄粒子は、複数の遠心分離によって、結合していないタンパクから及び副産物から分離される。
【0090】
結合操作の成功は、複数のビオチン修飾BSAを加えることによる凝集試験によって示される。ビオチンBSA凝集ストレプトアビジンの追加の後に、官能性酸化鉄粒子は目に見える凝集体になり、一方他方では、非処理の酸化鉄粒子はいかなる凝集をも示さず、したがって分散中に安定した状態を保つ。
【0091】
結合成功に関する定量的な結論は、固定されたビオチンBSAの表面プラスモン共鳴(BioCore, BioCore2000)によって得ることができる。
【実施例10】
【0092】
実施例9によるストレプトアビジン官能化磁性酸化鉄粒子へのMECA79抗体の結合
実施例9によるストレプトアビジンが結合した磁性酸化鉄粒子は、Hepes緩衝液/TritonX100溶液0.01%に対して2重の遠心分離によって精製されて、緩衝され、濃縮される。精製されたマイクロカプセル(それは現在ビオチンを結合する)は、1 mgのビオチン化MECA79抗体とともに1時間定温放置され、そして洗浄される。同様に、制御粒子は、ビオチン化アイソタイプ免疫グロブリンM抗体(例えばクローンR4-22)を用いて作り出されることができる。
【0093】
用いられる抗体量の50%はマイクロカプセルに結合している(BioCore測定:抗免疫グロブリンM-FITC抗体による飽和カラム)。MECA79抗体は、「末梢結節アドレシン」(末梢及び腸間膜リンパ節の高内皮性細静脈のみに見いだされるリガンド基)を認識する。
【実施例11】
【0094】
磁性酸化鉄粒子への抗マウスCD105抗体の結合
実施例10に類似した方法で、ビオチン化抗マウスCD 105抗体は、実施例9によるストレプトアビジン官能化磁性酸化鉄粒子に結合される。CD 105抗体は、血管形成特異受容体を認識し、腫瘍の画像支援診断に用いられることができる。
【実施例12】
【0095】
磁性酸化鉄粒子への抗マウスICAM-1抗体の結合
実施例10に類似した方法で、ビオチン化抗マウスICAM-1抗体は、実施例9によるストレプトアビジン官能化磁性酸化鉄粒子に結合される。ICAM-1抗体は、例えばマウスにおける試験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)モデルにおいて、炎症の中心を認識する。EAEモデルは多発性硬化症についての生体内疾患モデルとして用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】作り出される粒子のコアの大きさの度数分布を示す図(度数は0と1との間で変化し、0%から100%に対応する)。
【図2】画像Aは実施例1cによる組成物(残渣1)のTEM画像を示す。いくつかの約35 nmの平均直径を有する非球状コアを見ることができる。画像Bは1cによる製剤の大きなコアの高解像度TEMを示す。小さな単結晶の集積が見受けられ、それらはより大きな多結晶質を形成するように集まっている。
【図3】3つの異なる商業的に入手可能なResovist(商標)バッチを用いたMRI検査の結果。励振磁場周波数の特定の倍数(x軸)における得られた信号のフーリエ振幅(y軸)が結果として示される。
【図4】画像AはDE10151778による装置及び方法を用いて画像を生成するためのファントムを示す。このファントムは、Resovist(商標)によって満たされている(画像中に暗いスポットとして示される)複数のキャビティを含む。画像Bはこのファントムの画像を示し、Resovist(商標)によって満たされるキャビティは明るい領域として見える。
【図5】実施例1b及び1cによる製剤(2つの異なる平均された全径)を用いたMPI測定の結果が、商業的に利用可能なResovist(商標)と比較して示される。励振磁場周波数の特定の倍数(x軸)における得られた信号のフーリエ振幅(y軸)が結果として示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容できるシェル中に20 nmから1 μmの直径を持つ磁性酸化鉄コアを有する粒子であって、粒子全体の直径/コア直径比が6未満であることを特徴とする粒子。
【請求項2】
前記薬学的に許容できるシェルがコロイド溶液を安定化させることを特徴とする請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記薬学的に許容できるシェルが、合成高分子若しくはコポリマー、デンプン若しくはその派生物、デキストラン若しくはその派生物、シクロデキストラン若しくはその派生物、脂肪酸、多糖類、レシチン、若しくはモノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド若しくはそれらの派生物、又はそれらの混合物からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒子。
【請求項4】
(i)前記合成高分子若しくはコポリマーが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン及びその派生物、ポリオキシプロピレン及びその派生物、非イオン物質界面活性剤、ステアリン酸ポリエキシル(35-80)、ポリビニルアルコール、重合サッカロース、ポリヒドロキシアルキルメタクリルアミド、乳酸及びグリコール酸共重合体、ポリオルトエステル、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリヒドロキシル化ポリビニルマトリックス、ポリヒドロキシエチル アスパルトアミド、ポリアミノ酸、スチレン及びマレイン酸共重合体、ポリカプロラクトン、カルボキシ多糖類、並びにポリ無水物から成るグループから選択され、
(ii)前記デンプン派生物が、デンプン2-ヒドロキシメチルエーテル及びヒドロキシエチルデンプンからなるグループから選択され、
(iii)前記デキストラン又はその派生物が、ガラクトシル化デキストラン、ラクトシル化デキストラン、アミノ化デキストラン、SH基を含むデキストラン、カルボキシル基を含むデキストラン、アルデヒド基を含むデキストラン、ビオチン化デキストランから成るグループから選択され、
(iv)前記シクロデキストリンが、ベータ-シクロデキストリン及びヒドロキシプロピルシクロデキストリンから成るグループから選択され、
(v)前記脂肪酸が、ナトリウムラウリル硫酸塩、ナトリウムステアリン酸塩、ステアリン酸、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート及びソルビタンモノステアレートから成るグループから選択される、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
前記磁性酸化鉄コアが、磁鉄鉱若しくはマグヘマイト又はそれらの混合物を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
前記酸化鉄コアが少なくとも5つの酸化鉄単結晶含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項7】
粒子全体の直径が30 nmから2 μmであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項8】
前記酸化鉄コアの直径が30 nmから500 nmであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
前記酸化鉄コアが多結晶であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
ポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール残基が共有結合又は非共有結合で粒子の表面に結合されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項11】
薬学的に許容できるシェル中に20 nmから1 μmの直径を持つ磁性酸化鉄コアを有し、粒子全体の直径/コア直径比が6未満である粒子の製造方法であって、
(i)合成高分子若しくはコポリマー、デンプン若しくはその派生物、デキストラン若しくはその派生物、シクロデキストラン若しくはその派生物、脂肪酸、多糖類、レシチン、若しくはモノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド若しくはそれらの派生物、又はそれらの混合物の存在下で、粒子のコロイド溶液が形成されるまで、鉄(II)塩及び鉄(III)塩を含む水性混合鉄塩溶液を水性アルカリ溶液と混合するステップ、
(ii)粒子含有溶液を傾斜磁場に通すステップ、
(iii)傾斜磁場を除去するステップ、及び
(iv)傾斜磁場中に保持された粒子を回収するステップ、
を有する製造方法。
【請求項12】
更なるステップにおいて、予め定められた粒子全体の直径を持つ粒子が選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の方法によって製造されることができる粒子。
【請求項14】
組成物であって、当該組成物に含まれる薬学的に許容できるシェル中に磁性酸化鉄コアを含む粒子の少なくとも2%が、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の粒子、又は請求項13に記載の粒子であることを特徴とする組成物。
【請求項15】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の粒子の又は請求項13に記載の粒子の粒子直径が、当該粒子の少なくとも50%については、平均された粒子直径の前後10%の範囲内であることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載の組成物を含むことを特徴とする流体。
【請求項17】
安定化コロイド溶液状であることを特徴とする請求項16に記載の流体。
【請求項18】
増殖性の疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、消化管の疾患、動脈硬化、脳卒中、梗塞、及び血管系、リンパ系、膵臓、肝臓、腎臓、脳及び膀胱中の病理学的変化、電気的刺激伝達に影響を及ぼす疾患並びに神経変性疾患から成るグループから選択される疾患を診断する磁性粒子撮像(MPI)に用いられる診断手段を実現するための請求項14若しくは請求項15に記載の組成物の又は請求項16若しくは請求項17に記載の流体の使用。
【請求項19】
組成物の使用であって、
増殖性の疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、消化管の疾患、動脈硬化、脳卒中、梗塞、及び血管系、リンパ系、膵臓、肝臓、腎臓、脳及び膀胱中の病理学的変化、電気的刺激伝達に影響を及ぼす疾患並びに神経変性疾患から成るグループから選択される疾患を診断する磁性粒子撮像(MPI)に用いられる診断手段を実現するために、前記組成物に含まれる粒子の少なくとも2%が、薬学的に許容できるシェル中に20 nmから1 μmの直径を持つ磁性酸化鉄コアを有し、粒子全体の直径/コア直径比が6未満であることを特徴とする使用。
【請求項20】
(i)低い磁場の強さを有する第1の局部的な領域及び高い磁場の強さを有する第2の局部的な領域が検査領域において得られるように、磁場の強さの空間的な方向を有する磁場を発生させるステップ、
(ii)粒子の磁化が局所的に変化するように前記検査領域中の前記2つの局部的な領域の空間的位置を変更するステップ、
(iii)この変更に影響を受けた前記検査領域中の前記磁化に依存する信号を記録するステップ、
(iv)検査領域中の磁性粒子の空間的分布についての情報を得るために信号を評価するステップ、
を有する方法により前記粒子が検出される請求項18又は請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記検出を実行する装置が、
(a)低い磁場の強さを有する第1の局部的な領域及び高い磁場の強さを有する第2の局部的な領域が前記検査領域において得られるように、磁場の強さの空間的な方向を有する磁場を発生させる手段、
(b)粒子の磁化が局所的に変化するように前記検査領域中の前記2つの局部的な領域の空間的位置を変更する手段、
(c)空間的位置のこの変更に影響を受けた前記検査領域中の磁化に依存する信号を記録する手段、
(d)前記検査領域中の磁性粒子の空間的分布についての情報を得るために信号を評価する手段、
を有することを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項22】
増殖性の疾患が、腫瘍、前癌性状態、形成異常、子宮内膜症及び変質形成から成るグループから選択されることを特徴とする請求項18から請求項21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
自己免疫性疾患が、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、骨関節炎、神経障害痛覚、円形脱毛症、乾癬、乾癬の関節炎、急性膵炎、同種異系移植片拒絶反応、アレルギー、肺臓のアレルギー性炎症、多発性硬化症、アルツハイマー病、クローン病及び全身性紅斑性狼瘡から成るグループから選択されることを特徴とする請求項18から請求項21のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−546630(P2008−546630A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518724(P2008−518724)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006319
【国際公開番号】WO2007/000350
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】