説明

磁気テープ装置の制御装置、制御方法および制御プログラム

【課題】位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付ける。
【解決手段】各ファイルを識別するヘッダー情報をヘッダー情報記憶部121に記憶し、ヘッダー情報読込部125が、磁気テープ10に書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、記憶しているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープ10に書き込まれた順に読み込み、入出力制御部126が、読み込んだヘッダー情報の数に基づいて、ヘッドの位置付けを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置の制御装置、制御方法および制御プログラムに関し、特に、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることができる磁気テープ装置の制御装置、制御方法および制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気テープに対してデータの読み書きを行う磁気テープ装置の制御装置(以下、磁気テープ制御装置と称する)では、複数のファイルが書き込まれたマルチファイル形式の磁気テープに対して、メインフレームなどのホストコンピュータから指定されたファイルに位置付ける場合には、各ファイルの先端に書き込まれている見出しラベルを磁気テープの先頭から順番に読み込んでいき、指定されたファイルを発見するまで、1ファイルずつ順番に位置付けていくという方法が一般的に用いられている。
【0003】
ここで、磁気テープにおける従来のファイル位置付け処理について説明する。図9は、従来のファイル位置付け処理を説明するための図である。図9は、磁気テープに書き込まれた複数のファイルの中の一部のファイルを示している。同図において、「HD1」および「HD2」は、ファイルの先端に書き込まれた見出しラベルであり、「DAT」は、ユーザーデータであり、「EOF1」および「EOF2」は、ファイルの終端に書き込まれた終わりラベルであり、「TM」は、見出しラベルと、ユーザーデータと、終わりラベルとをそれぞれ区切るための区切り情報である。また、「SPF」は、磁気テープに記録されたファイルを読み飛ばすためのコマンドであり、TMごとに磁気ヘッドを移動する。また、「RD」は、磁気テープに記録されたラベルやユーザーデータを読み込むためのコマンドであり、磁気ヘッドが位置付けられている位置のラベルやユーザーデータを読み込む。
【0004】
この磁気テープにおいて、X番目のファイルへの位置付けが行われる場合を説明する。図10は、従来のファイル位置付け処理の処理手順を説明するためのシーケンス図(1)であり、図11は、従来のファイル位置付け処理の処理手順を説明するためのシーケンス図(2)である。なお、これらの図は、ホストコンピュータと、磁気テープ装置に内蔵されている磁気テープ制御装置および磁気テープ駆動装置とを示している。ここで、磁気テープ制御装置は、ホストコンピュータから送信される各種要求に基づいて磁気テープ駆動装置を制御することにより、磁気テープに対してデータの読み書きを行う装置である。
【0005】
まず、ホストコンピュータが磁気テープ制御装置に対して読み飛ばし要求を送信すると(図9および図10の(1)を参照)、これを受信した磁気テープ制御装置は、磁気テープ駆動装置に対してSPFコマンドを送信する。このSPFコマンドを受信した磁気テープ駆動装置は、その時点で位置付けられている位置から、次のTMまでデータを読み飛ばす。これによって、X−1ファイル目のファイルのHD1が位置付けられたとする。位置付け後、磁気テープ駆動装置が磁気テープ制御装置に対して位置付け成功応答を送信すると、磁気テープ制御装置が、受信した位置付け成功応答をホストコンピュータに転送する。
【0006】
位置付け成功応答を受信すると、ホストコンピュータは、磁気テープ制御装置に対してリード要求(データの読み込み要求)を送信する(図9および図10の(2)を参照)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置は、磁気テープ駆動装置に対してRDコマンドを送信する。このRDコマンドを受信した磁気テープ駆動装置は、X−1ファイル目のファイルのHD1を磁気テープから読み込み、磁気テープ制御装置に送信する。そして、磁気テープ制御装置は、受信したHD1をホストコンピュータに転送する。
【0007】
HD1を受信したホストコンピュータは、当該HD1が目的のファイル(Xファイル目のファイル)のHD1ではないと判定し、磁気テープ制御装置に対して読み飛ばし要求を2回送信する(図9および図10の(3),(4)を参照)。読み飛ばし要求を2回受信した磁気テープ制御装置は、磁気テープ駆動装置に対してSPFコマンドを2回送信する。SPFコマンドを2回受信した磁気テープ駆動装置は、磁気ヘッドをX−1ファイル目のファイルのEOF1に位置付け、位置付け成功応答を磁気テープ制御装置に送信する。そして、磁気テープ制御装置は、受信した位置付け成功応答をホストコンピュータに転送する。
【0008】
位置付け成功応答を受信すると、ホストコンピュータは、磁気テープ制御装置に対してリード要求を送信する(図9および図10の(5)を参照)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置は、磁気テープ駆動装置に対してRDコマンドを送信する。このRDコマンドを受信した磁気テープ駆動装置は、X−1ファイル目のファイルのEOF1を磁気テープから読み込み、磁気テープ制御装置に送信する。そして、磁気テープ制御装置は、受信したEOF1をホストコンピュータに転送する。
【0009】
EOF1を受信したホストコンピュータは、ファイルの終端に達したと判定し、磁気テープ制御装置に対して読み飛ばし要求を送信する(図9および図11の(6)を参照)。読み飛ばし要求を受信した磁気テープ制御装置は、磁気テープ駆動装置に対してSPFコマンドを送信する。このSPFコマンドを受信した磁気テープ駆動装置は、磁気ヘッドをXファイル目のファイルのHD1に位置付け、位置付け成功応答を磁気テープ制御装置に送信する。そして、磁気テープ制御装置は、受信した位置付け成功応答をホストコンピュータに転送する。
【0010】
位置付け成功応答を受信すると、ホストコンピュータは、磁気テープ制御装置に対してリード要求を送信する(図9および図11の(7)を参照)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置は、磁気テープ駆動装置に対してRDコマンドを送信する。このRDコマンドを受信した磁気テープ駆動装置は、Xファイル目のファイルのHD1を磁気テープから読み込み、磁気テープ制御装置に送信する。そして、磁気テープ制御装置は、受信したHD1をホストコンピュータに転送する。
【0011】
HD1を受信したホストコンピュータは、当該HD1が目的のファイル(Xファイル目のファイル)のHD1であると判定し、確認のためのリード要求を磁気テープ制御装置に対して送信する(図9および図11の(8)を参照)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置は、磁気テープ駆動装置に対してRDコマンドを送信する。RDコマンドを受信した磁気テープ駆動装置は、Xファイル目のファイルのHD2を磁気テープから読み込み、磁気テープ制御装置に送信する。これを受信した磁気テープ制御装置は、当該HD2をホストコンピュータに転送する。
【0012】
このHD2を受信することによって、ホストコンピュータは、目的のファイル(Xファイル目のファイル)に位置付いたと判定する(図11の(9)を参照)。そして、以降、磁気テープ制御装置および磁気テープ駆動装置は、ホストコンピュータの指示に従って、データの読み込みや書き込みの処理を行う(図11の(10)を参照)。
【0013】
このように、従来の磁気テープのファイル位置付け処理では、磁気テープの先頭から順番にファイルを読み飛ばしながら、その都度見出しラベルを確認していくことによって目的のファイルに位置付けるため、位置付けに非常に多くの時間がかかっている。
【0014】
そこで、例えば、特許文献1では、磁気テープ上のファイルの開始および終了位置をリール軸回転数と対応付けた位置情報を磁気テープの先頭の所定の領域に記録しておき、この位置情報を磁気テープの装填時に磁気テープ装置のメモリにロードし、ファイルの位置付けを行う際に、メモリにロードされている位置情報から目的のファイルの開始位置に対応するリール軸回転数を取得して、その回転数だけリール軸を高速回転することによって、短時間で目的のファイルへの位置付けを行うことを可能にする方法が開示されている。
【0015】
【特許文献1】特開平6−259930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、リール軸回転数を用いてファイルの位置付けを行うため、外部からの衝撃や、部品の疲労などによって、リール軸の回転に誤差が生じた場合は、目的のファイルの開始位置に正しく磁気ヘッドを位置付けることができなくなるという問題がある。
【0017】
磁気テープは、磁気ディスクや光磁気ディスクなどの記録媒体が普及した今日においても、それらのバックアップ用の記録媒体として、重要な位置を占めている。
【0018】
そのため、いかにして位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けるかが、極めて大きな課題となっている。
【0019】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることができる磁気テープ装置の制御装置、制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置の制御装置であって、各ファイルを識別するヘッダー情報を記憶するヘッダー情報記憶手段と、前記磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、前記位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、前記ヘッダー情報記憶手段に記憶されているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込むヘッダー情報読込手段と、前記ヘッダー情報読込手段により読み込まれたヘッダー情報の数に基づいて、前記ヘッドの位置付けを制御するファイル位置付け手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記発明において、前記磁気テープが装填された際に、該磁気テープから前記ヘッダー情報を読み込んで前記ヘッダー情報記憶手段に記憶させるヘッダー情報格納手段と、前記磁気テープにファイルが書き込まれる際に、該ファイルを識別するヘッダー情報を前記ヘッダー情報記憶手段にさらに記憶させるヘッダー情報更新手段と、前記磁気テープへのファイルの書き込みが完了した際に、前記ヘッダー情報記憶手段に記憶されているヘッダー情報を前記磁気テープの所定の領域に書き込むヘッダー情報書込手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記発明において、前記ヘッダー情報書込手段は、前記磁気テープに最後に書き込まれているファイルの後ろに前記ヘッダー情報を書き込むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、上記発明において、前記ファイル位置付け手段は、前記位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを行う際に読み飛ばすテープマークの数を、前記ヘッダー情報読込手段により読み込まれたヘッダー情報の数に基づいて算出し、算出したテープマークの数に基づいて、該ヘッドの位置付けを制御することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置の制御方法であって、各ファイルを識別するヘッダー情報を記憶するヘッダー情報記憶工程と、前記磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、前記位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、前記ヘッダー情報記憶工程に記憶されているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込むヘッダー情報読込工程と、前記ヘッダー情報読込工程により読み込まれたヘッダー情報の数に基づいて、前記ヘッドの位置付けを制御するファイル位置付け工程と、を含んだことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置の制御プログラムであって、各ファイルを識別するヘッダー情報を記憶するヘッダー情報記憶手順と、前記磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、前記位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、前記ヘッダー情報記憶手順に記憶されているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込むヘッダー情報読込手順と、前記ヘッダー情報読込手順により読み込まれたヘッダー情報の数に基づいて、前記ヘッドの位置付けを制御するファイル位置付け手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、各ファイルを識別するヘッダー情報を記憶し、磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、記憶しているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込み、読み込んだヘッダー情報の数に基づいて、ヘッドの位置付けを制御するよう構成したので、ファイルを識別するヘッダー情報を用いてファイルの判定を行うことによって、確実にファイルの位置付けを行うことが可能になる。また、ヘッドの位置付けを行う過程で必要となるファイルごとのヘッダー情報の確認を、その都度、磁気テープにアクセスせずとも、記憶しているヘッダー情報を用いて仮想的に行うことが可能になる。これにより、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることができるという効果を奏する。
【0027】
また、本発明によれば、磁気テープが装填された際に、磁気テープからヘッダー情報を読み込んで記憶し、磁気テープにファイルが書き込まれる際に、ファイルを識別するヘッダー情報をさらに記憶し、磁気テープへのファイルの書き込みが完了した際に、記憶しているヘッダー情報を磁気テープの所定の領域に書き込むよう構成したので、ヘッダー情報を自動的に更新することが可能になり、磁気テープへのファイルの書き込みが頻繁に行われる場合でも労力を必要とすることがなく、磁気テープの利便性を向上することができるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明によれば、磁気テープに最後に書き込まれているファイルの後ろにヘッダー情報を書き込むよう構成したので、磁気テープの先頭など範囲が固定された領域にヘッダー情報を書き込むようにした場合に、当該領域の範囲が狭い場合に生じる容量不足や、反対に、当該領域が広い場合に生じる未使用領域を回避することが可能になり、効率よく磁気テープの記憶領域を使用することができるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明によれば、位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを行う際に読み飛ばすテープマークの数を、読み込んだヘッダー情報の数に基づいて算出し、算出したテープマークの数に基づいて、ヘッドの位置付けを制御するよう構成したので、テープマークの数をパラメータとする読み飛ばしコマンドを用いて、1回のヘッド動作で複数ファイルを読み飛ばすことが可能になり、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る磁気テープ装置の制御装置、制御方法および制御プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る制御装置が内蔵された磁気テープ装置について説明するが、この実施例で、本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
本実施例に係る磁気テープ装置に内蔵される磁気テープ制御装置は、複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、これら複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する装置であり、各ファイルを識別するヘッダー情報をメモリなどの記憶部に記憶し、磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、記憶部に記憶しているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込み、読み込んだヘッダー情報の数に基づいて、ヘッドの位置付けを制御することを特徴とする。
【0032】
このように、本実施例に係る磁気テープ装置に内蔵される磁気テープ制御装置は、ファイルを識別するヘッダー情報を用いてファイルの判定を行うことによって、確実にファイルの位置付けを行うことを可能とする。また、ヘッドの位置付けを行う過程で必要となるファイルごとのヘッダー情報の確認を、その都度、磁気テープにアクセスせずとも、記憶しているヘッダー情報を用いて仮想的に行うことを可能とする。これにより、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることができるようにするものである。
【0033】
まず、本実施例に係る磁気テープ装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係る磁気テープ装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この磁気テープ装置100は、ホストコンピュータ200に接続されており、ホストコンピュータ200のOS(Operating System)210から送信されるリード要求やライト要求などに基づいて、磁気テープ10に記録されているデータの読み込みや、磁気テープ10へのデータの書き込みなどを行う。また、この磁気テープ装置100は、磁気テープ駆動装置110と、磁気テープ制御装置120とから構成される。
【0034】
磁気テープ駆動装置110は、図1には図示していない磁気ヘッドや巻き取りリールなど各種機能部を有し、これら機能部により、磁気テープ制御装置120から送信された各種コマンドや各種データに基づいて、磁気テープ10に記録されているデータの読み込みや、磁気テープ10へのデータの書き込みなどを行い、各種処理結果や、読み込んだデータなどを磁気テープ制御装置120に対して送信する装置である。また、磁気テープ駆動装置110は、磁気テープ10が装填された場合には、磁気テープ制御装置120に対して、テープ装填通知を送信する。
【0035】
ここで、本実施例に係る磁気テープ10のデータ記録形式について説明する。図2は、本実施例に係る磁気テープ10のデータ記録形式を説明するための図である。同図に示すように、本実施例に係る磁気テープ10には、まずテープの先頭にボリューム見出しラベル(VOL)が記録され、それに続いて、複数のファイルが順に記録される。
【0036】
各ファイルは、見出しラベルと、ユーザーデータ(DAT)と、終わりラベルとから構成され、見出しラベルには、見出しラベル1(HD1)、見出しラベル2(HD2)の順でふたつの見出しラベルが含まれ、終わりラベルには、終わりラベル1(EOF1)、終わりラベル2(EOF2)の順でふたつの終わりラベルが含まれる。HD1には、ファイルを識別するためのファイル名が設定され、HD2には、ファイルのデータ形式が設定される。そのため、HD1ラベルを読み込んで確認することによって、ファイルが目的のファイルであるか否かを確認することができる。
【0037】
また、HD2とDATとの間、DATとEOF1との間、および、EOF2とHD1との間には、テープマーク(TM)と呼ばれる区切り情報が記録される。特に、最終ファイルの終わりラベル2の後ろには、ふたつのTMが連続して記録される。
【0038】
そして、これら連続するふたつのTMの後ろには、ヘッダー情報と、データ終了ラベル(EOD)とが順に記録される。ここで記録されるヘッダー情報とは、磁気テープ10に記録されている全てのファイルのHD1,HD2,EOF1およびEOF2から構成された情報である。図3は、本実施例に係るヘッダー情報の一例を示す図である。具体的には、ヘッダー情報は、同図に示すように、ファイルの格納順を示すファイル番号と、HD1を示す制御情報1と、HD2を示す制御情報2と、EOF1を示す制御情報3と、EOF2を示す制御情報4とを、ファイルごとに対応付けた情報である。
【0039】
図1の説明に戻って、磁気テープ制御装置120は、ホストコンピュータ200のOS210から送信されるリード要求やライト要求などに基づいて、各種コマンドやデータを磁気テープ駆動装置110に対して送信し、それに応じて磁気テープ駆動装置110から送信される各種処理結果やデータなどをホストコンピュータ200に対して送信する装置である。この磁気テープ制御装置120は、本発明に密接に関連する機能部としては、ヘッダー情報記憶部121と、ヘッダー情報格納部122と、ヘッダー情報更新部123と、ヘッダー情報書込部124と、ヘッダー情報読込部125と、入出力制御部126とを有する。
【0040】
ヘッダー情報記憶部121は、磁気テープ10が磁気テープ駆動装置110に装填された際に、磁気テープ10から読み込まれたヘッダー情報を記憶する記憶部である。このヘッダー情報記憶部121は、磁気テープ10が磁気テープ駆動装置110に装填されている間は、ヘッダー情報を記憶する。
【0041】
ヘッダー情報格納部122は、磁気テープ10に記録されているヘッダー情報を取得する処理部である。このヘッダー情報格納部122は、磁気テープ10が磁気テープ駆動装置110に装填された際に、後述する入出力制御部126からの指示に基づいて、磁気テープ駆動装置110からヘッダー情報を読み込み、読み込んだヘッダー情報をヘッダー情報記憶部121に格納する。
【0042】
ヘッダー情報更新部123は、入出力制御部126からの指示に基づいて、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報を更新する処理部である。このヘッダー情報更新部123は、磁気テープ10にデータの書き込みが行われた際に、書き込み対象のファイルのヘッダー情報をすでに記憶されているヘッダー情報に追加登録したり、ファイルの読み込み処理や書き込み処理が完了した際に、その時点で記憶されている全てのヘッダー情報を削除したりする。
【0043】
ヘッダー情報書込部124は、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報を磁気テープ10に書き込む処理部である。このヘッダー情報書込部124は、磁気テープ10へのデータの書き込みが終了した際に、入出力制御部126からの指示に基づいて、その時点でヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報を、最終ファイルの後ろに書き込むよう、磁気テープ駆動装置110に指示する。
【0044】
ヘッダー情報読込部125は、入出力制御部126からの指示に基づいて、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報にアクセスする処理部である。このヘッダー情報読込部125は、入出力制御部126から読み飛ばし指示を受け付けた場合には、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報に含まれる項目を、ファイル番号順に、さらに、制御情報1、2、3、4の順に、1回の読み飛ばし指示につき1つずつ読み飛ばす。ただし、ヘッダー情報読込部125は、制御情報2から3への読み飛ばしについては、2回の読み飛ばし指示が続いた時点で行う。
【0045】
これは、ヘッダー情報読込部125が磁気テープ10を用いて、ファイルの読み飛ばしを仮想的に行っているためであり、制御情報2から制御情報3へ読み飛ばしを行う場合には、実際の磁気テープ上でHD2とEOF1との間に存在しているDATを読み飛ばすことを想定している。
【0046】
入出力制御部126は、ホストコンピュータ200のOS210から送信される各種要求に基づいて、各種コマンドやデータを磁気テープ駆動装置110に対して送信し、それに応じて磁気テープ駆動装置110から送信される各種処理結果やデータなどをホストコンピュータ200に対して送信する処理部である。
【0047】
具体的には、この入出力制御部126は、磁気テープ駆動装置110からテープ装填通知を受信した場合には、ヘッダー情報格納部122に指示して、ヘッダー情報を読み込ませ、そのヘッダー情報をヘッダー情報記憶部121に格納させる。
【0048】
また、入出力制御部126は、ホストコンピュータ200のOS210から読み飛ばし要求を受信した場合には、ヘッダー情報読込部125に対して、制御情報の読み飛ばしを指示する。
【0049】
また、入出力制御部126は、ホストコンピュータ200のOS210からリード要求を受信した場合には、ヘッダー情報読込部125に指示して、その時点で位置付けられている制御情報を読み込む。ここで、読み込んだ制御情報がHD2であった場合には、当該HD2のファイルが位置付け対象のファイルであることを意味する。そこで、入出力制御部126は、読み込んだ制御情報がHD2であった場合には、複数のTMを読み飛ばすことができるSPACEコマンドを磁気テープ駆動装置110に送信して、当該HD2の後ろにあるTMまで位置付ける。
【0050】
この時、入出力制御部126は、磁気テープ10の先頭から何番目のTMに位置付けるかを示す読み飛ばし数をSPACEコマンドと一緒に磁気テープ駆動装置110に対して送信する。ここで用いられる読み飛ばし数Nは、N=(X−1)×3−1で算出される。これは、磁気テープ10の先頭からXファイル目のファイルのHD2の後ろにあるTMに位置付けるためには、(X−1)×3+1番目のTMに磁気ヘッドを位置付ける必要があるからである。
【0051】
また、入出力制御部126は、ホストコンピュータ200のOS210からライト要求を受信した場合には、書き込みコマンド(WTコマンド)および書き込み対象データを磁気テープ駆動装置110に送信する。これと同時に、入出力制御部126は、当該書き込み対象データに含まれるファイルのヘッダー情報を、ヘッダー情報更新部123に引き渡すことによって、当該ヘッダー情報をヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報に追加する。そして、入出力制御部126は、OS210からの書き込み要求が終了すると、ヘッダー情報書込部124に対して、ヘッダー情報の書き込みを指示し、その後、EODを書き込むよう磁気テープ駆動装置110に指示する。
【0052】
ここで、かかる入出力制御部126によるファイル書き込み処理について、具体的に説明する。図4は、本実施例に係る磁気テープ装置100によるファイル書き込み処理を説明するための図である。同図は、複数のファイルが書き込まれた磁気テープ10の先頭部分を示しており、ここでは、この磁気テープ10の先頭からファイルを書き込む場合を説明する。
【0053】
まず、入出力制御部126は、1つ目のファイルのライト要求がホストコンピュータ200から送信されると、磁気テープ駆動装置110に対して、当該ファイルのHD1を書き込むWTコマンドを送信する。これと同時に、入出力制御部126は、ヘッダー情報更新部123に指示して、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報(この時点では、空の状態)のファイル番号が「1」、制御情報1が当該HD1のデータを書き込む(図4の(1)を参照)。
【0054】
続いて、入出力制御部126は、磁気テープ駆動装置110に対して、当該ファイルのHD2を書き込むWTコマンドを送信する。これと同時に、入出力制御部126は、ヘッダー情報更新部123に指示して、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報の、ファイル番号が「1」であるヘッダー情報の制御情報2に、当該HD1のデータを書き込む(図4の(2)を参照)。
【0055】
続いて、入出力制御部126は、磁気テープ駆動装置110に対して、TMを書き込むよう指示した後に(図4の(3)を参照)、当該ファイルのユーザーデータを書き込むWTコマンドを送信し(図4の(4)〜(6)を参照)、さらにTMを書き込むよう指示する(図4の(7)を参照)。
【0056】
続いて、入出力制御部126は、磁気テープ駆動装置110に対して、当該ファイルのEOF1を書き込むWTコマンドを送信する。これと同時に、入出力制御部126は、ヘッダー情報更新部123に指示して、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報の、ファイル番号が「1」であるヘッダー情報の制御情報3に、当該EOF1のデータを書き込む(図4の(8)を参照)。
【0057】
続いて、入出力制御部126は、磁気テープ駆動装置110に対して、当該ファイルのEOF2を書き込むWTコマンドを送信する。これと同時に、入出力制御部126は、ヘッダー情報更新部123に指示して、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報の、ファイル番号が「1」であるヘッダー情報の制御情報2に、当該EOF2のデータを書き込む(図4の(9)を参照)。
【0058】
続いて、入出力制御部126は、磁気テープ駆動装置110に対して、TMを書き込むよう指示する(図4の(10)を参照)。
【0059】
続いて、入出力制御部126は、2つ目のファイルのライト要求がホストコンピュータ200から送信されると、磁気テープ駆動装置110に対して、当該ファイルのHD1を書き込むWTコマンドを送信する。これと同時に、入出力制御部126は、ヘッダー情報更新部123に指示して、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報(この時点では、空の状態)のファイル番号が「2」、制御情報1が当該HD1のデータを書き込む(図4の(11)を参照)。
【0060】
以降、入出力制御部126は、(2)〜(10)と同様の処理を繰り返し、ヘッダー情報記憶部121には、同図のヘッダー情報に示すように、ファイル番号が1,2,3,・・・,X−1,X,・・・のデータを登録する。
【0061】
そして、ホストコンピュータ200からの一連の書き込み要求が終了すると、入出力制御部126は、磁気テープ駆動装置110に対して、TMを2つ続けて書き込むよう指示した後に、ヘッダー情報書込部124に指示して、ヘッダー情報記憶部121に記憶されているヘッダー情報を磁気テープ10の最終ファイルの後ろに書き込み(図4の(12)を参照)、最後に、磁気テープ駆動装置110に対して、EODを書き込むよう指示する。
【0062】
次に、本実施例に係る磁気テープ装置100によるファイル位置付け処理の処理手順について説明する。図5は、本実施例に係る磁気テープ装置100によるファイル位置付け処理を説明するための図である。同図は、磁気テープ10に書き込まれた複数のファイルの中の一部のファイルを示している。ここでは、この磁気テープ10において、X番目のファイルに位置付ける場合の処理手順を説明する。
【0063】
図6は、本実施例に係る磁気テープ装置100によるファイル位置付け処理の処理手順を示すシーケンス図(1)であり、図7は、本実施例に係る磁気テープ装置100によるファイル位置付け処理の処理手順を示すシーケンス図(2)である。なお、ここでは、すでに磁気テープ10が磁気テープ駆動装置110に装填されており、ヘッダー情報がヘッダー情報記憶部121に格納されているものとする。
【0064】
まず、ホストコンピュータ200が読み飛ばし要求を送信すると(図5および図6の(1)を参照)(ステップS101)、これを受信した磁気テープ制御装置120は、ホストコンピュータ200に対して位置付け成功応答を送信する(ステップS102)。
【0065】
位置付け成功応答を受信すると、ホストコンピュータ200は、磁気テープ制御装置120に対してリード要求を送信する(図5および図6の(2)を参照)(ステップS103)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置120は、ヘッダー情報記憶部121を参照し、その時点で位置付けられている制御情報を読み込む(ステップS104)。ここでは、X−1ファイル目のHD1が読み込まれたとする。そして、磁気テープ制御装置120は、読み込んだHD1をホストコンピュータ200に送信する(ステップS105)。
【0066】
HD1を受信したホストコンピュータ200は、当該HD1が目的のファイル(Xファイル目のファイル)のHD1ではないと判定し、磁気テープ制御装置120に対して読み飛ばし要求を2回送信する(図5および図6の(3),(4)を参照)(ステップS106)。読み飛ばし要求を受信した磁気テープ制御装置120は、ヘッダー情報記憶部121を参照し、X−1ファイル目のHD2を読み飛ばし、EOF1に位置付ける。そして、磁気テープ制御装置120は、位置付け成功応答をホストコンピュータ200に送信する(ステップS107)。
【0067】
位置付け成功応答を受信すると、ホストコンピュータ200は、磁気テープ制御装置120に対してリード要求を送信する(図5および図6の(5)を参照)(ステップS108)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置120は、ヘッダー情報記憶部121を参照し、その時点で位置付いているX−1ファイル目のファイルのEOF1を読み込む(ステップS109)。そして、磁気テープ制御装置120は、読み込んだEOF1をホストコンピュータ200に転送する(ステップS110)。
【0068】
EOF1を受信したホストコンピュータ200は、ファイルの終端に達したと判定し、磁気テープ制御装置120に対して読み飛ばし要求を送信する(図5および図7の(6)を参照)(ステップS111)。読み飛ばし要求を受信した磁気テープ制御装置120は、ヘッダー情報記憶部121を参照し、X−1ファイル目のEOF2を読み飛ばし、Xファイル目のファイルのHD1に位置付ける。そして、磁気テープ制御装置120は、位置付け成功応答をホストコンピュータ200に送信する(ステップS112)。
【0069】
位置付け成功応答を受信すると、ホストコンピュータ200は、磁気テープ制御装置120に対してリード要求を送信する(図5および図7の(7)を参照)(ステップS113)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置120は、ヘッダー情報記憶部121を参照し、その時点で位置付いているXファイル目のファイルのHD1を読み込む(ステップS114)。そして、磁気テープ制御装置120は、読み込んだHD1をホストコンピュータ200に送信する(ステップS115)。
【0070】
HD1を受信したホストコンピュータ200は、当該HD1が目的のファイル(Xファイル目のファイル)のHD1であると判定し、確認のためのリード要求を磁気テープ制御装置120に対して送信する(図5および図7の(8)を参照)(ステップS116)。リード要求を受信した磁気テープ制御装置120は、ヘッダー情報記憶部121を参照し、その時点で位置付いているXファイル目のファイルのHD2を読み込む(ステップS117)。そして、磁気テープ制御装置120は、読み込んだHD1をホストコンピュータ200に送信する(ステップS118)。
【0071】
続いて、磁気テープ制御装置120は、読み飛ばし数Nを算出し(ステップS119)、磁気テープ駆動装置110に対してSPACE−Nコマンドを送信する(図5および図7の(8−1)を参照)(ステップS120)。このSPACE−Nコマンドを受信した磁気テープ駆動装置110は、磁気テープ10の先頭からN番目のTMに磁気ヘッドを位置付ける(ステップS121)。
【0072】
さらに、磁気テープ制御装置120は、磁気テープ駆動装置110に対してBSFコマンドを送信する(図5および図7の(8−2)を参照)(ステップS122)。このBSFコマンドを受信した磁気テープ駆動装置110は、SPACE−Nコマンドで位置付けたTMから1つ前のTMに磁気ヘッドを位置付ける(ステップS123)。
【0073】
HD2を受信することによって、ホストコンピュータ200は、目的のファイル(Xファイル目のファイル)に位置付いたと判定する(図7の(9)を参照)(ステップS124)。そして、以降、磁気テープ制御装置120および磁気テープ駆動装置110は、ホストコンピュータの指示に従って、データの読み込みや書き込みの処理を行う(図7の(10)を参照)(ステップS125)。
【0074】
なお、説明の都合上、図5では磁気テープ10を示したが、図6および図7の(1)〜(8)においては、実際は磁気テープ10に対する読み込みおよび位置付けなどは行われていない。すなわち、図6および図7の(1)〜(8)では、磁気テープ駆動装置110の磁気ヘッドは動作しておらず、あくまでヘッダー情報記憶部121に記憶されたヘッダー情報を用いて仮想的に読み込みおよび位置付けが行われているのみである。
【0075】
このように、本実施例に係る磁気テープ装置100では、図10および図11で示した従来のファイル位置付け処理に比べて、同図の(1)〜(8)の間で発生していた磁気テープ駆動装置110とのやり取りが不要になり、ファイルの位置付けにかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0076】
上述してきたように、本実施例では、各ファイルを識別するヘッダー情報をヘッダー情報記憶部121に記憶し、ヘッダー情報読込部125が、磁気テープ10に書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、記憶しているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープ10に書き込まれた順に読み込み、入出力制御部126が、読み込んだヘッダー情報の数に基づいて、ヘッドの位置付けを制御するので、ファイルを識別するヘッダー情報を用いてファイルの判定を行うことによって、確実にファイルの位置付けを行うことが可能になる。また、ヘッドの位置付けを行う過程で必要となるファイルごとのヘッダー情報の確認を、その都度、磁気テープ10にアクセスせずとも、記憶しているヘッダー情報を用いて仮想的に行うことが可能になる。これにより、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることができる。
【0077】
また、本実施例では、磁気テープ10が装填された際に、ヘッダー情報格納部122が、磁気テープ10からヘッダー情報を読み込んでヘッダー情報記憶部121に記憶させ、ヘッダー情報更新部123が、磁気テープ10にファイルが書き込まれる際に、ファイルを識別するヘッダー情報をさらにヘッダー情報記憶部121に記憶させ、ヘッダー情報書込部124が、磁気テープ10へのファイルの書き込みが完了した際に、記憶しているヘッダー情報を磁気テープ10の所定の領域に書き込むので、ヘッダー情報を自動的に更新することが可能になり、磁気テープ10へのファイルの書き込みが頻繁に行われる場合でも労力を必要とすることがなく、磁気テープ10の利便性を向上することができる。
【0078】
また、本実施例では、磁気テープ10に最後に書き込まれているファイルの後ろにヘッダー情報を書き込むので、磁気テープ10の先頭など範囲が固定された領域にヘッダー情報を書き込むようにした場合に、当該領域の範囲が狭い場合に生じる容量不足や、反対に、当該領域が広い場合に生じる未使用領域を回避することが可能になり、効率よく磁気テープ10の記憶領域を使用することができる。
【0079】
また、本実施例では、位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを行う際に読み飛ばすテープマークの数を、読み込んだヘッダー情報の数に基づいて算出し、算出したテープマークの数に基づいて、ヘッドの位置付けを制御するよう構成したので、テープマークの数をパラメータとする読み飛ばしコマンドを用いて、1回のヘッド動作で複数ファイルを読み飛ばすことが可能になり、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることができる。
【0080】
なお、本実施例では、磁気テープ制御装置120が磁気テープ装置100に内蔵されている場合を例に挙げて説明したが、磁気テープ制御装置120は、必ずしも磁気テープ装置100に内蔵されている必要はなく、それぞれが独立した構成であってもよい。
【0081】
また、本実施例では、磁気テープ装置の制御装置(磁気テープ制御装置)について説明したが、この磁気テープ装置の制御装置が有する構成をソフトウェアによって実現することで、同様の機能を有する磁気テープ装置の制御プログラム(以下、磁気テープ装置制御プログラムと称する)を得ることができる。そこで、この磁気テープ装置制御プログラムを実行するコンピュータについて説明する。
【0082】
図8は、本実施例に係る磁気テープ装置制御プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このコンピュータ300は、RAM(Random Access Memory)310と、CPU(Central Processing Unit)320と、HDD(Hard Disk Drive)330と、ホストインタフェース340と、入出力インタフェース350とを有する。
【0083】
RAM310は、プログラムやプログラムの実行途中結果などを記憶するメモリであり、CPU320は、RAM310からプログラムを読み出して実行する中央処理装置である。
【0084】
HDD330は、プログラムやデータを格納するディスク装置であり、ホストインタフェース340は、コンピュータ300をホストコンピュータ200に接続するためのインタフェースである。
【0085】
入出力インタフェース350は、操作パネルやボタンなどの入力装置および表示装置や、磁気テープ駆動装置110を接続するためのインタフェースである。
【0086】
そして、このコンピュータ300において実行される磁気テープ装置制御プログラム311は、ホストインタフェース340を介して接続されたホストコンピュータのデータベースなどに記憶され、これらのデータベースから読み出されてコンピュータ300にインストールされる。
【0087】
そして、インストールされた磁気テープ装置制御プログラム311は、HDD330に記憶され、RAM310に読み出されてCPU320によって磁気テープ装置制御プロセス321として実行される。
【0088】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0089】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0090】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0091】
さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明に係る磁気テープ装置の制御装置、制御方法および制御プログラムは、複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置を制御する場合に有用であり、特に、位置付け対象となるファイルに短時間で確実にヘッドを位置付けることが求められる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施例に係る磁気テープ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施例に係る磁気テープのデータ記録形式を説明するための図である。
【図3】本実施例に係るヘッダー情報の一例を示す図である。
【図4】本実施例に係る磁気テープ装置によるファイル書き込み処理を説明するための図である。
【図5】本実施例に係る磁気テープ装置によるファイル位置付け処理を説明するための図である。
【図6】本実施例に係る磁気テープ装置によるファイル位置付け処理の処理手順を示すシーケンス図(1)である。
【図7】本実施例に係る磁気テープ装置によるファイル位置付け処理の処理手順を示すシーケンス図(2)である。
【図8】本実施例に係る磁気テープ装置制御プログラムを実行するコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【図9】従来のファイル位置付け処理を説明するための図である。
【図10】従来のファイル位置付け処理の処理手順を説明するためのシーケンス図(1)である。
【図11】従来のファイル位置付け処理の処理手順を説明するためのシーケンス図(2)である。
【符号の説明】
【0094】
10 磁気テープ
100 磁気テープ装置
110 磁気テープ駆動装置
120 磁気テープ制御装置
121 ヘッダー情報記憶部
122 ヘッダー情報格納部
123 ヘッダー情報更新部
124 ヘッダー情報書込部
125 ヘッダー情報読込部
126 入出力制御部
200 ホストコンピュータ
300 コンピュータ
310 RAM
311 磁気テープ装置制御プログラム
320 CPU
321 磁気テープ装置制御プロセス
330 HDD
340 ホストインタフェース
350 入出力インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置の制御装置であって、
各ファイルを識別するヘッダー情報を記憶するヘッダー情報記憶手段と、
前記磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、前記位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、前記ヘッダー情報記憶手段に記憶されているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込むヘッダー情報読込手段と、
前記ヘッダー情報読込手段により読み込まれたヘッダー情報の数に基づいて、前記ヘッドの位置付けを制御するファイル位置付け手段と、
を備えたことを特徴とする磁気テープ装置の制御装置。
【請求項2】
前記磁気テープが装填された際に、該磁気テープから前記ヘッダー情報を読み込んで前記ヘッダー情報記憶手段に記憶させるヘッダー情報格納手段と、
前記磁気テープにファイルが書き込まれる際に、該ファイルを識別するヘッダー情報を前記ヘッダー情報記憶手段にさらに記憶させるヘッダー情報更新手段と、
前記磁気テープへのファイルの書き込みが完了した際に、前記ヘッダー情報記憶手段に記憶されているヘッダー情報を前記磁気テープの所定の領域に書き込むヘッダー情報書込手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の磁気テープ装置の制御装置。
【請求項3】
前記ヘッダー情報書込手段は、前記磁気テープに最後に書き込まれているファイルの後ろに前記ヘッダー情報を書き込むことを特徴とする請求項2に記載の磁気テープ装置の制御装置。
【請求項4】
前記ファイル位置付け手段は、前記位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを行う際に読み飛ばすテープマークの数を、前記ヘッダー情報読込手段により読み込まれたヘッダー情報の数に基づいて算出し、算出したテープマークの数に基づいて、該ヘッドの位置付けを制御することを特徴とする請求項1、2または3のいずれか一つに記載の磁気テープ装置の制御装置。
【請求項5】
複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置の制御方法であって、
各ファイルを識別するヘッダー情報を記憶するヘッダー情報記憶工程と、
前記磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、前記位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、前記ヘッダー情報記憶工程に記憶されているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込むヘッダー情報読込工程と、
前記ヘッダー情報読込工程により読み込まれたヘッダー情報の数に基づいて、前記ヘッドの位置付けを制御するファイル位置付け工程と、
を含んだことを特徴とする磁気テープ装置の制御方法。
【請求項6】
複数のファイルが書き込まれた磁気テープにおいて、該複数のファイルに含まれた位置付け対象となるファイルへのヘッドの位置付けを制御する磁気テープ装置の制御プログラムであって、
各ファイルを識別するヘッダー情報を記憶するヘッダー情報記憶手順と、
前記磁気テープに書き込まれた先頭ファイルのヘッダー情報から、前記位置付け対象となるファイルのヘッダー情報に到達するまで、前記ヘッダー情報記憶手順に記憶されているヘッダー情報を、各ファイルが磁気テープに書き込まれた順に読み込むヘッダー情報読込手順と、
前記ヘッダー情報読込手順により読み込まれたたヘッダー情報の数に基づいて、前記ヘッドの位置付けを制御するファイル位置付け手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする磁気テープ装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−41178(P2008−41178A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214839(P2006−214839)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】