説明

磁気ディスク検査方法及びその装置

【課題】光学的な検査により検出した欠陥の位置情報を用いてリード・ライトテストのサンプリング位置を決定することにより、光学的な検査により検出した欠陥の近傍領域だけをリード・ライトテストするようにして、リード・ライトテストを効率よく行えるようにする。
【解決手段】検査対象の磁気ディスクをスピンドルで保持した状態で光学式の検査装置とリード・ライトテスト装置との間を移動させる構成とし、光学式の検査装置で検出した欠陥の位置情報をリード・ライトテスト装置で用いることができるようにして、光学式の検査装置で検出した欠陥の近傍領域だけをリード・ライトテスト装置で検査することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク検査装置に係り、特に外観上の欠陥と磁気記録特性上の欠陥とを検出するのに適した磁気ディスク検査方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク(メディア)は、年々記録密度が高くなってきており、それに伴い製造工程で管理すべきディスク表面の欠陥のサイズがより小さくなってきているとともに、記録密度の上昇により磁気ディスクにデータを書き込み、そのデータを読み取出して記録状態を検査するリード・ライトテストに要する時間の増加を抑えることが求められている。
【0003】
このようなニーズに対応する技術として、特許文献1には、光学式検査装置で磁気ディスクを光学的に検査して欠陥を検出し、この検出した欠陥のデータに基づいて検査した磁気ディスクをクラス分けし、電気特性検査が必要なクラスと判定された磁気ディスクについてだけ磁気ヘッドを用いてデータを書き込み、その書き込んだデータを読み取出して磁気ディスクの記録状態を検査するサーティファイテスト装置を用いてリード・ライトテストを行うことについて記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、先ず光学検査装置を用いて磁気ディスク表面を光学的に検査して表面にパーティクルが付着しているものを除去し、除去されなかった磁気ディスクの中から抜き取った物について磁気ヘッドを用いてデータを書き込み、その書き込んだデータを読み取出して磁気ディスクの記録状態を検査する装置を用いてリード・ライトテストを行うことについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−86282号公報
【特許文献2】特開2001−84501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気ディスク(メディア)の記録密度が高くなるに従って磁気ディスク回転時の磁気ヘッド浮上量が小さくなってきており、磁気ディスク表面のより微細なパーティクルや凹凸でもリード・ライトテストにおいて不良と判定されてしまう場合がある。従って、光学検査装置を用いて磁気ディスク表面を光学的に検査した結果において不良と判定されなかった磁気ディスクであっても、リード・ライトテストにおいて不良と判定されてしまう微細なパーティクルや凹凸が磁気ディスクの表面に存在する場合がある。
【0007】
そのため、光学検査装置を用いて磁気ディスク表面を光学的に検査した結果において不良と判定されなかった磁気ディスクであっても、その表面の状態によっては特許文献1に記載されているように電気特性検査、即ちリード・ライトテストが必要とされるものがある。
【0008】
特許文献1及び2に記載されている磁気ディスクの検査方法では、光学検査装置を用いて磁気ディスク表面を光学的に検査して検出した欠陥のデータがリード・ライトテストを行うときに活用されていなかった。リード・ライトテストは光学的な検査に比べて検査に時間がかかるため、量産ラインにおいては、磁気ディスク上のいくつかの領域をサンプリングした検査せざるを得ない。しかし、上記したように、リード・ライトテストを行う場合にサンプリングする位置の選択に光学的な検査結果の情報を用いていなかったので、 欠陥の位置とは関係なく磁気ディスク上の予め決められた位置をサンプリングして検査する方法を取らざるを得なかった。
【0009】
本発明の目的は、光学的な検査により検出した欠陥の位置情報を用いてリード・ライトテストのサンプリング位置を決定することにより、光学的な検査により検出した欠陥の近傍領域だけをリード・ライトテストするようにして、リード・ライトテストを効率よく行うことができるようになるとともに、リード・ライトテスト結果の信頼性をより高めることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、検査対象の磁気ディスクをスピンドルで保持した状態で光学式の検査装置とリード・ライトテスト装置との間を移動させる構成とした。これにより、光学式の検査装置で検出した欠陥の位置情報をリード・ライトテスト装置で用いることができるようになり、光学式の検査装置で検出した欠陥の近傍領域だけをリード・ライトテスト装置で検査することを可能にし、リード・ライトテストを効率よく行うことができる結果のスループットを向上させるようにした。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明では、試料である磁気ディスクの表面の欠陥を検査する装置を、試料の表面を光学的に検査して試料表面の欠陥を検出する光学的検査手段と、
光学的検査手段で検査した試料に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより試料の状態を判定するリード・ライトテスト手段と、試料を載置して保持した状態で試料を回転させることが可能で載置した試料を光学的検査手段で検査後にリード・ライトテスト手段に移動してリード・ライトテストを行うスピンドル軸手段とを備えて構成した。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明では、試料である磁気ディスクの両面の欠陥を検査する装置を、試料の両面を同時に光学的に検査して試料両面の欠陥を検出する両面同時光学検査手段と、両面同時光学検査手段で検出した試料両面の欠陥を含む位置に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより検出した箇所の欠陥の状態を判定するリード・ライトテスト手段と、試料を載置して保持した状態で両面同時光学検査手段とリード・ライトテスト手段との間を移動可能で、かつ両面同時光学検査手段の位置及びリード・ライトテスト手段の位置で載置した試料を回転駆動させることが可能なスピンドル軸手段とを備えて構成した。
【0013】
更に、上記課題を解決するために、本発明では、両面同時光学検査手段を用いて試料である磁気ディスクの両面を同時に光学的に検査して試料の両面の欠陥を検出し、リード・ライトテスト手段を用いて試料の両面を同時に検査して検出した試料両面の欠陥を含む位置に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより検出した箇所の欠陥の状態を判定する磁気ディスクの両面の欠陥を検査する方法において、試料を載置し保持して回転駆動させることが可能なスピンドル軸に試料を載置し保持した状態で両面同時光学検査手段において試料の両面を同時に光学的に検査し、スピンドル軸に試料を載置し保持した状態でスピンドル軸をリード・ライトテスト手段に移動させ、スピンドル軸に載置した試料に対してリード・ライトテスト手段によりリード・ライトテストを行うようにした。
【0014】
更にまた、上記課題を解決するために、本発明では、磁気ディスクの検査方法を、光学検査部において回転可能なスピンドル軸に保持した試料である磁気ディスクの両面を同時に光学的に検査して試料の両面の欠陥を検出し、試料を回転可能なスピンドル軸に保持した状態で光学検査部からリード・ライトテスト部に移動させ、リード・ライトテスト部において試料の両面を同時に検査して検出した試料両面の欠陥を含む位置に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより検出した箇所の欠陥の状態を判定するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光学式の検査装置で検出した欠陥候補の位置情報を用いて、欠陥候補の位置周辺だけをリード・ライトテスト装置で検査することにより、リード・ライトテストを効率よく行うことができるようになるとともに、リード・ライトテスト結果の信頼性をより高めることができるようになった。
【0016】
また、光学式の検査装置とリード・ライトテスト装置とを一体化させたことにより装置全体をコンパクト化することができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施例に係る検査装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施例に係る検査装置による処理の流れを示すフロー図である。
【図3】(a)試料(磁気ディスク)の平面図,(b)試料の断面図である。
【図4】第1の実施例に係る光学的検査の処理手順を説明するフロー図である。
【図5】第1の実施例に係るリード・ライト手首都の処理手順を説明するフロー図である。
【図6】第1の実施例における光学式検査装置の全体構成を示すブロック図である。
【図7】第1の実施例における上面検査光学系の構成を示すブロック図である。
【図8】(a)第1の実施例における下面検査光学系の構成を示す正面図、(b)第1の実施例における下面検査光学系の構成を示す側面図である。
【図9】第1の実施例におけるリード・ライトテスト部の概略の構成を示すブロック図である。
【図10】(a)第1の実施例におけるリード・ライトテストによる凹状欠陥を含む領域の読み出し波形信号の図、(b)凹状欠陥の試料上の位置をその断面形状を模式的に表した図である。
【図11】(a)第1の実施例におけるリード・ライトテストによる凸状欠陥を含む領域の読み出し波形信号の図、(b)凸状欠陥の試料上の位置をその断面形状を模式的に表した図である。
【図12】第2の実施例に係る検査装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図13】第2の実施例に係る検査装置による処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、検査対象の磁気ディスクをスピンドルで保持した状態で光学式の検査装置とリード・ライトテスト装置との間を移動させる構成とした。これにより、光学式の検査装置で検出した欠陥の位置情報をリード・ライトテスト装置で用いることができるようになり、光学式の検査装置で検出した欠陥の近傍領域だけをリード・ライトテスト装置で検査することを可能にし、リード・ライトテスト工程のスループットを向上させるようにしたものである。
【0019】
以下に、その具体例を図を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1として、磁気ディスクの両面を同時に検査する場合の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施例に係る光学検査装置とリード・ライトテスト装置とを一体化した検査装置の全体の構成を示す図である。
装置全体は、光学検査部100とリード・ライトテスト部130、試料搬送部160及び信号処理・全体制御部180で構成されている。
【0022】
光学検査部100は、上面検査ユニット110と下面検査ユニット120を備え、全体が保護カバー101で覆われており、試料(磁気ディスク)1を出し入れする部分をシャッター103で開閉する構成になっている。また、上面検査ユニット110は試料1の出し入れ時に退避できるように、駆動モータ104で駆動されてガイド軸105に沿って上下に移動するブロック106に固定された構成になっている。更に、レーザ変位計103で検査時の試料の表面の高さを検出する。
【0023】
リード・ライトテスト部130は、試料1の両面を同時に検査するための1対の磁気ヘッド131と132、1対の磁気ヘッド131と132とを支持する1対のジンバル133,134、1対のジンバル133,134を固定する固定ブロック135、この固定ブロック135を支持して1対の磁気ヘッド131と132とを試料1に対して出し入れする支持ブロック136、支持ブロック136の移動をガイドする第1のガイド軸137、支持ブロック136をガイド軸137に沿って移動させる第1のモータ138を備えている。
【0024】
試料搬送部160は、試料1を保持して回転可能なスピンドル軸161、試料1をチャックするチャック162、スピンドル軸161を回転駆動するスピンドルモータ163、スピンドルモータ163を保持して第2のガイド軸164に沿って移動可能な移動ステージ165、ガイド軸164に沿って移動ステージ165を移動させる第2のモータ166を備えている。
【0025】
信号処理・全体制御部180は、光学検査部100のとからの検出信号およびリード・ライトテスト部130の1対の磁気ヘッド131と132とからの検出信号を受けてそれぞれの信号を処理するとともに、レーザ変位計103からの試料表面高さ検出信号を受けて、駆動モータ104を制御して上面検査ユニット110の高さを制御する。さらに、シャッタ駆動部102、駆動モータ104、第1のモータ138、スピンドルモータ163及び第2のモータ166を制御して駆動する。
【0026】
次に、図1の構成の検査装置を用いて試料1を検査する手順について図2乃至5を用いて説明する。
【0027】
先ず、全体の処理の流れを図2に示したフローチャートを用いて説明する。
【0028】
移動ステージ164がホームポジションHにおいて図示していないハンドリングロボットによりスピンドル軸161上に試料1がセットされ、チャック162でチャックされて保持される(S201)。次に、移動ステージ164は第2のモータ166により駆動されて第2のガイド軸164に沿って光学検査部100の側に移動し、光学検査ポジションIで停止する(S202)。次に、光学検査ポジションIにおいて上面検査ユニット110と下面検査ユニット120とを用いて試料1の両面を同時に光学的に検査し、検査信号は信号処理・全体制御部180へ送られて処理され、欠陥が検出される(S203)。
【0029】
光学検査が終了すると移動ステージ165は第2のモータ166により駆動されて第2のガイド軸164に沿ってホームポジションHへ移動する(S204)。ホームポジションIにおいては全体制御部180で制御された1対の磁気ヘッド131と132とを用いて試料1の両面を同時にリード・ライトテストを行い、1対の磁気ヘッド131と132からの検出信号は信号処理・全体制御部180に送られて処理される(S205)。リード・ライトテストが終了するとチャック162が解除されて試料1は図示していないハンドリングロボットによりスピンドル軸161から取り外されて一連の検査を終了する。
【0030】
試料1である磁気ディスクは、図3(a)に示すように中央部に穴部2が設けられたドーナツ形状をしている。また、その断面構造は図3(b)に示すように、基板3(ガラス)の両側に多層の薄膜層4および5が形成されている。
【0031】
次に、図4を用いて光学検査ステップS203を含むS201からS204までの動作を詳細に説明する。
【0032】
まず、移動ステージ165がホームポジションHの位置に停止している状態で、ハンドリングロボットにより検査対象の試料1である磁気ディスク(メディア)を中央の穴部2がスピンドル161のチャック162にはまるようにしてスピンドル161に載せる(S301:S201に対応)。
【0033】
次に、チャック162で試料1の穴部2の内周部をチャックして試料1をスピンドル161に固定する(S302)。
【0034】
次に、第2のモータ166を起動して(S303)移動ステージ165を第2のガイド軸164に沿ってホームポジションHから光学検査ポジションIまで移動させる(S304)。このとき、光学検査部100のシャッター102は、開いた状態になっている。
【0035】
移動ステージ165が光学検査ポジションIに到達すると光学検査ステップ(S203)を開始する。
【0036】
先ず、信号処理・全体制御部180からの指令によりスピンドルモータ163が作動させて試料1を回転させ、レーザ変位計103で回転している試料1の表面の高さを測定し(S305)、信号処理・全体制御部180からの指令により駆動モータ104を作動させてブロック106をガイド軸105に沿って上下に移動させることによりブロック106に固定された上面検査ユニット110の高さ方向の位置を調整し、上面検査ユニット110の光学系の焦点位置が試料1の表面にあうように調整する(S306)。
【0037】
この試料1の表面の高さが測定と上面検査ユニット110の光学系の焦点位置合せを行っているときに光学検査部100のシャッター102を閉じて、外部の光が保護カバー101の内部に入らないようにする(S307)。
【0038】
上面検査ユニット110の光学系の焦点位置合せが終わり、シャッター102が閉じた状態で、スピンドルモータ163で試料1を回転させながら第2のモータ166で移動ステージ165を第2のガイド軸164に沿って一定の速度で移動させながら上面検査ユニット110と下面検査ユニット120を動作させて試料1の両面を光学的に検査し、欠陥候補を検出する(S308)。
【0039】
上面検査ユニット110または下面検査ユニット120で検出された欠陥候補のデータは、信号処理・全体制御部180に送られて処理され、欠陥候補の検出波形データと位置情報とが抽出される(S309)。
【0040】
移動ステージ165が第2のガイド軸164に沿って所定の位置まで移動すると検査を終了して第2のモータ166による駆動を停止し、シャッター102を開いて(S310)光学検査ステップ(S203)を終了する。
【0041】
次に、第2のモータ166で移動ステージ165を駆動して移動ステージ165を第2のガイド軸164に沿って光学検査ポジションIからホームポジションHまで移動させる(S311)。
次に、ホームポジションHで行うリード・ライトテストの処理のフローを、図5を用いて説明する。
【0042】
まず、移動ステージ165がホームポジションHに戻った状態で信号処理・全体制御部180からの指令によりスピンドルモータ163で試料1をリード・ライトテスト用の回転速度で回転させる(S401)。次に、信号処理・全体制御部180からの指令により第1のモータ138を起動させて支持ブロック136をガイド軸137に沿って退避ポジションRからテストポジションTへ移動させ、固定ブロック135に支持されたジンバル133と134との先端に取り付けられたリード・ライトテスト用のヘッド131と132とを、リード・ライトテスト用の回転速度で回転している試料1の検査開始位置にセットする(S402)。
【0043】
次に、光学検査ステップ(S203)で検査して得られた試料1の両面の欠陥候補の位置データに基づいて信号処理・全体制御部180において決定されたサーティファイテストを行う試料1上の半径方向の領域のうちの第1の半径方向の領域に、第1のモータ138で駆動された支持ブロック136が移動する(S403)。
【0044】
次に、この検査位置で信号処理・全体制御部180で制御されてリード・ライトヘッド131,132の一部であるライトヘッドにより所定の周波数で試料1である磁気ディスクにデータを書き込む(S404)。つぎに、リード・ライトヘッド131,132の一部であるリードヘッドにより先にライトヘッドで試料1にデータを書き込んだ位置からデータを読み出す(S405)。このリードヘッドで読み出したデータは信号処理・全体制御部180に送られてデータ処理され、サーティファイテストが実施される(S406)。
【0045】
次に、第1の半径方向領域のサーティファイテストを終えると第1のモータ138で支持ブロック136を駆動してリード・ライトヘッド131,132が第2の半径方向領域に位置するようにし、第2の半径方向領域についてS403からS406までのサーティファイテストを行う。このようにS403からS406までを設定された全ての領域のサーティファイテストが完了するまで繰り返して実行する(S407)。
【0046】
サーティファイテストが終了すると、エラーの有無をチェックし、エラーがあった場合には第1のモータ138で支持ブロック136を駆動してリード・ライトヘッド131,132をエラーが発生した領域に位置させ、信号処理・全体制御部180からの指令によりリトライ条件でリード・ライトヘッド131,132のライトヘッドにより試料1にデータを書き込み、リード・ライトヘッド131,132のリードヘッドにより試料1に書き込まれたデータを読み出して再テストを行う(S408)。
【0047】
次に、再テストの結果からエラーを確定し、エラー情報を信号処理・全体制御部180に記憶させる(S409)。
【0048】
S406で検出した全てのエラーについてS408の再テストを完了しエラー情報が信号処理・全体制御部180に記憶されると、信号処理・全体制御部180からの指令により第1のモータ138で支持ブロック136を駆動して退避ポジションに戻し、リード・ライトヘッド131,132を試料1から後退させる(S410)。
【0049】
次に、スピンドルモータ163の回転を停止し(S411)、チャック162による試料1のチャックを解除し(S412),図示していないハンドリングロボットで試料1をスピンドル161から取り外して(S413)リード・ライトテストを終了する。
【0050】
次に、光学検査ステップS203で用いる光学検査部100の上面検査ユニット110と下面検査ユニット120との詳細な構成および検査のフローについて、図6乃至図8を用いて説明する。
【0051】
図6は、光学検査部100の上面検査ユニット110と下面検査ユニット120とから成る磁気ディスクの両面の欠陥を同時に検出する両面欠陥検出部600の全体構成を示す図である。両面欠陥検出部600は大きくは、検査対象の試料を載置するテーブル部610、表面側検査光学系110、裏面側検査光学系120、信号処理・制御系640で構成されている。
【0052】
テーブル部610は、試料(磁気ディスク)1を載置して回転可能なスピンドル161、スピンドルモータ163、移動ステージ165を備えて構成されている。移動ステージ165は図1で説明したように、第2のモータ166で駆動されて第2のガイド軸164に沿って移動可能な構成になっている。
【0053】
図6において、信号処理系640は、表面側検査光学系620からの検出信号をA/D変換する第1のA/D変換部641、裏面側検査光学系630からの検出信号をA/D変換する第2のA/D変換部642、第1のA/D変換部641からの出力を受けて信号処理する第1の信号処理部643と、第2のA/D変換部1142からの出力を受けて信号処理する第2の信号処理部644と、第1の信号処理部643で処理された信号と第2の信号処理部644で処理された信号とを統合して処理する統合信号処理部645、統合信号処理部645で処理された結果を記憶する記憶部646と、統合信号処理部645で処理された結果を出力するとともに検査条件を入力する表示画面648を備えた入出力部647、光格式検査装置全体を制御する光学式検査装置制御部649、光学式検査装置制御部649の制御信号を受けて光学検査ポジションにおけるテーブル部610を制御するテーブル制御部650、光学式検査装置制御部649の制御信号を受けて表面側の検査光学系620と裏面側の検査光学系630とを制御する検査光学系制御部651とを備えている。
【0054】
図6の信号処理・制御系640は、図1に示した検査装置全体構成の信号処理・全体制御部180に含まれてる。
【0055】
図7は、表面側の検査光学系620の詳細な構成を説明する図である。表面側の検査光学系620は大きくは、照明光学系720、散乱光検出光学系730、正反射光検出光学系740、信号処理・制御系750(図6に示した信号処理・制御系640に含まれる)を備えて構成されている。
【0056】
照明光学系720はレーザ光源721、レーザ光源721から発射されたレーザのビーム径を拡大する拡大レンズ722、ビーム径が拡大されたレーザを集光する集光レンズ723、集光されたレーザを試料1の表面41に集束させる集束レンズ724を備える。
【0057】
散乱光検出系730は、試料1の表面41からの反射光(正反射光と散乱光)のうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第1の非球面フレネルレンズ731、集光された散乱光を集束させる集束レンズに相当する第2の非球面フレネルレンズ732、第2の非球面フレネルレンズ732で集束された散乱光を通過させるピンホール734を有して散乱光以外の迷光を遮光するピンホール板735、ピンホール板735のピンホール734を通過した散乱光を高感度に検出する第1の光電変換器736(例えば、アバランシェ・フォトダイオード(APD)又は光電子増倍管(PMT)など)を備える。
【0058】
正反射光検出系740は、試料1からの反射光(正反射光と散乱光)のうち正反射光を反射して光路を切替えるミラー741、光路を切替えられた正反射光を集光させる集光レンズ742、集光レンズ742で集光された正反射光をピンホール板744のピンホール745を通過させて正反射光以外の迷光を遮光した状態で第2の光電変換器746(APD)上に結像させる結像レンズ743を備えている。ミラー741は、正反射光以外の光(散乱光)を反射しないように、十分に小さい形状に形成されている。第2の光電変換器746は、複数の検出素子(例えば複数の画素を有するフォトダイオードアレイまたはアバランシェ・フォトダイオード(APD)アレイ)を備えている。
【0059】
試料1の裏面側51の欠陥を検出する裏面側検査光学系630の概略の構成を図8(a)及び(b)に示す。裏面側検査光学系630は、照明系801と散乱光検出系802及び正反射光検出系803を備えて構成される。
【0060】
裏面側検査光学系630の照明系801は、図8(a)に示すように、第2のレーザ光源831、第2のレーザ光源831から発射したレーザを拡大する拡大レンズ832、拡大されたレーザを集光する集光レンズ833、集光されたレーザを試料1の裏面51に集束させる集束レンズ834、集光レンズ834を透過したレーザの光路を折り曲げるプリズム835を備えて構成される。プリズム835の面836でレーザを反射して光路を折り曲げる構成としたので第2のレーザ光源831を基板1の下部の比較的狭い空間から離れた場所に設置することができ、従来の片面ずつ検査する装置に比べてテーブル部610に大きな変更を加えることなく裏面側の検査を可能にした。
裏面側の散乱光検出系840は、レーザが照射された試料1の裏面51から発生した反射光(正反射光と散乱光)のうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第3の非球面フレネルレンズ841、集光された散乱光を集束させる集束レンズに相当する第4の非球面フレネルレンズ842、第4の非球面フレネルレンズ842を透過してプリズム835の面837で反射して光路を切替えられた散乱光を通過させるピンホール852を有して試料1の裏面51からの散乱光以外の迷光を遮光するピンホール板851、ピンホール板851のピンホール852を通過した散乱光を高感度に検出する第3の光電変換器860(例えば、アバランシェ・フォトダイオード(APD)や光電子増倍管(PMT)など)を備えて構成される。
【0061】
裏面側の散乱光検出系840に非球面フレネルレンズ841及び842とプリズム835とを組合せて用いたことにより、基板1の下部の比較的狭い空間にNA(開口数)が比較的大きい光学系を設置することが可能になり、更に、プリズム835で散乱光の光路を折り曲げて検出する構成としたので、従来の片面だけを検査する装置に比べてテーブル部610に大きな変更を加えることなく裏面側の検査を可能にした。
【0062】
裏面側の正反射光検出系870は、図8(b)に示すように、レーザが照射された試料1の裏面51からの反射光(正反射光と散乱光)のうち正反射光の光路を切替えるミラー843(図8(a)の構成では、紙面に垂直な方向に反射する)、光路を切替えられた正反射光を集光する集光レンズ872、集光された正反射光を結像させる結像レンズ873、結像レンズ873を透過した正反射光を通過させて正反射光以外の迷光を遮光するピンホール875が形成されたピンホール板874、結像レンズ873で結像された試料1の裏面51の像を検出する第4の光電変換器876(アバランシェ・フォトダイオード(APD))を備えている。
【0063】
次に、上記した構成において磁気ディスクの両面を同時に検査する場合の各部の動作を説明する。
【0064】
チャック162によりスピンドル軸161に保持された試料1を、スピンドルモータ163で駆動して回転させ第2のモータ166により一定の速度でガイド軸164に沿って移動させながら、検査光学系制御部651で制御されている表面側検査光学系620の第1のレーザ光源721及び裏面側検査光学系630の第2のレーザ光源831を作動させてそれぞれレーザを発射させる。
【0065】
先ず、表面側検査光学系110における試料1の表面41側の欠陥検査方法について、図7に基づいて説明する。
【0066】
レーザが照射された試料1の表面41からは、表面の欠陥や傷、面の微小な凹凸(荒れ)などの状態に応じた反射光(散乱光と正反射光)が発生する。このとき、散乱光は試料1の表面の欠陥の大きさに応じて分布する。すなわち、大きな欠陥や傷からの散乱光は比較的強い強度で指向性を持って分布し、微小な欠陥や傷からの散乱光は比較的弱い強度で等方的に分布する。
【0067】
レーザが照射された試料1の表面41からの反射光のうち正反射光は、試料1の表面41に入射するレーザの入射角度と同じ出射角度側(正反射光の光路上)に配置されたミラー741で反射されて集光レンズ742の方向に進む。集光レンズ742に入射した試料1からの正反射光は集光レンズ742を透過して集光され、結像レンズ743により集光位置に設置されたピンホール板744のピンホール745を通過して第2の光電変換器746の受光面747上に試料1の表面41の像を結像する。ミラー741は、正反射光以外の光(散乱光)を集光レンズ742の方向に反射しないように、十分に小さい形状に形成されている。
【0068】
一方、レーザが照射された試料1の表面41からの反射光でミラー741で反射されなかった光(散乱光)のうち対物レンズの役目をする第1の非球面フレネルレンズ731に入射した光は集光され、集束レンズの役目をする第2の非球面フレネルレンズ732に入射して第1の光電変換器736の検出面(図示せず)上に集束し、高感度な第1の光電変換器736で検出される。
【0069】
第1の非球面フレネルレンズ731及び第2の非球面フレネルレンズ732は従来の光学レンズに比べて薄く軽量であるために、それらを収納する鏡筒(図示せず)を従来の光学レンズの鏡筒に比べて比較的コンパクトに作ることが可能になり、試料上面における設置位置の自由度が増して開口数(NA)を0.6以上(従来の光学レンズを用いた場合のNAは0.4以下)で設計することが可能になる。その結果、前述したように微小な欠陥からの散乱光は基板の上方にほぼ等方的に分布するために、検出感度が同じであれば検出信号のレベルは検出面の面積に比例するので、従来の光学レンズ系で構成した検出光学系で検出する場合に比べて大きい検出信号を得ることができる。したがって、従来と比べてより小さい欠陥からの散乱光を検出できることになる。
【0070】
A/D変換部751と752とは、それぞれ第1の光電変換器736または第2の光電変換器746から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、増幅して出力する。
【0071】
A/D変換部751と752から出力されたデジタル信号は信号処理部643に入力し、信号処理部643においては、デジタルに変換された第1の光電変換器736からの出力信号と第2の光電変換器746からの出力信号とを両方又はその一方を用いて処理して試料1の表面41に存在する欠陥を検出し、テーブル部610を制御する全体制御部650から得られる試料1上のレーザ照射位置情報を用いて、検出した欠陥の基板100上の位置を特定する。さらに、信号処理部643においては、第1の光電変換器736と第2の光電変換器746とからの検出信号の特徴にもとづいて検出した欠陥の種類を特定する。信号処理部643で処理された結果は統合処理部645に送られて裏面検査結果と統合され、その結果は入出力部647の表示画面648に表示される。
【0072】
本実施例においては、散乱光検出光学系730に非球面フレネルレンズ731と非球面フレネルレンズ732とを用いた構成について説明したが、これらのレンズの代わりに、図2(a)に示したような非球面レンズまたは通常の球面レンズを組合わせたもので構成しても良い。
【0073】
次に、裏面側検査光学系120における試料1の表面41側の欠陥検査方法について、図8に基づいて説明する。
【0074】
第2のレーザ光源831から発射されたレーザは、拡大レンズ832でレーザのビーム径が拡大され、この径が拡大されたレーザは集光レンズ833で集光されて平行光となり集束レンズ834に入射する。集束レンズ834を透過したレーザはプリズム835の面836で反射されて光路が切替えられ、集束レンズ834の焦点位置に配置された試料1の裏面51に集束させられる。
【0075】
プリズム835の面836は、反射されたレーザが試料1の裏面51に所望の角度(30度前後)で入射するように設定されている。集束したレーザが照射された試料1の裏面51からは反射光(正反射光と散乱光)が発生するが、そのうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第3の非球面フレネルレンズ841の方向に向かった反射光は、焦点の位置が試料1の裏面51のレーザ照射位置に合うように設置された第3の非球面フレネルレンズ841に入射し、集光されて平行光として第3の非球面フレネルレンズ841から出斜する。一方、第3の非球面フレネルレンズ841の方向に向かった反射光のうち正反射光は第3の非球面フレネルレンズ841の前方に配置したミラー843で反射されて光路が切替えられて、第3の非球面フレネルレンズ841には入射しない。
【0076】
第3の非球面フレネルレンズ841に入射して集光されて平行光となった試料1の裏面51からの散乱光は、第4の非球面フレネルレンズ842に入射し、第4の非球面フレネルレンズ842を透過した後にプリズム835の面837で反射されて光路が切替えられ第4の非球面フレネルレンズ842の焦点位置に集束させられる。プリズム835の面837は、反射した散乱光が所望の方向(試料1の裏面51と平行な方向)に光路が切替るように角度が設定されている。なお、本実施例においては、第2のレーザ光源831から発射されたレーザはプリズム835の面836に到達するまで試料1の裏面に対して平行に進むように裏面側の照明系を設定して、面836と面837とは同じ傾斜角度に設定されている。プリズム835の面836と面837とは、それぞれミラーで構成されていてもよい。
【0077】
第4の非球面フレネルレンズ842の焦点位置にはピンホール板851が配置されており、焦点位置に集束した試料からの散乱光を通過させるようにピンホール852が空けられている。一方、散乱光以外の光(プリズム835など光学部品からの反射光:迷光)の大部分はピンホール852を通過できずにピンホール板851で遮光されるため、第3の光電変換器860で検出される光のほとんどはピンホール852を通過した試料1の裏面51からの散乱光になる。
【0078】
第3の光電変換器860で試料1の裏面51からの散乱光を検出して得た信号はA/D変換部641のA/D変換器881に入力してデジタル信号に変換されて増幅された後、裏面側検出信号処理部644に入力される。
【0079】
一方、ミラー843で反射されて光路が切替えられて裏面側正反射光検出光学系870に入った試料1からの正反射光は、図8(b)に示すように、集光レンズ872に入射して集光され、結像レンズ873に入射する。結像レンズ873に入射して透過した正反射光が集光される位置にはピンホール875が穿たれたピンホール板874が設置されている。結像レンズ873を透過した正反射光は、ピンホール875を通過して迷光が除去された後、第4の光電変換器876の検出面上に試料1の裏面51の像を結像し第4の光電変換器876で検出される。第4の光電変換器1276で検出した正反射光の検出信号はA/D変換部1142のA/D変換器882に入力して増幅されデジタル信号に変換された後、裏面側検出信号処理部644に入力される。
【0080】
裏面側検出信号処理部644に入力した第3の光電変換器860からの検出信号と第4の光電変換器876からの検出信号とはそれぞれ前述した表面側検出信号処理部643と同様に処理されて試料1の裏面側51の欠陥が検出され、欠陥の種類と大きさを判定し、その結果が欠陥の位置情報と共に統合処理部645に送られる。
【0081】
本実施例に拠れば、非球面フレネルレンズを組合せて高NAの検出光学系をコンパクトに構成できるようになったので、装置を大型化することなくより微細な欠陥を基板の両面同時に検出することが可能になった。
【0082】
表面側検出信号処理部643と裏面側検出信号処理部644とで処理されたデータは統合処理部645へ送られて処理され、試料1の両面の欠陥情報として記憶部646に送られて格納されると共に、入出力部647にも送られて画面648上に検査結果の情報を出力する。
【0083】
次に、テストポジションTにおいて実行するリード・ライトテストについて図9乃至11を用いて説明する。
【0084】
リード・ライトテストは、図1に示したように1対の磁気ヘッド131と132とを用いて試料1の両面を同時に検査するが、1対の磁気ヘッド131と132との信号処理回路は同じ構成であるので、図9においては、磁気ヘッド131の側の構成を例にとって説明する。
【0085】
磁気ヘッド131でリード・ライトテストを行うためのシステム構成は、図9に示すように、データ処理・解析部910と書込系920及び読出系930を備えて構成されている。データ処理・解析部910は、図1に示した検査装置の信号処理・全体制御部180に含まれている。
【0086】
データ処理・解析部910は、リード・ライトテストを行うためのプログラム及びデータを処理するためのプログラムの実行を指示し制御するMPU911,リード・ライトテストを行うためのプログラム及びデータを格納して記憶する記憶部912、書込系920への信号の遣り取りを行うためのインターフェース部913、キーボード914及びディスプレイ915を備えた入出力部916を備えて構成されている。また、MPU911と記憶部912、インターフェース部913、入出力部916はバス917を介して互いの信号の遣り取りを行う。入出力部916は、光学検査部100の入出力部674と共有しても良い。
【0087】
記憶部912には、書込周波数設定プログラムやサーティファイ測定プログラムが記憶され、また、波形データを記憶する領域が設けられている。
【0088】
書込系920は、インターフェース913を介してデータ処理・解析部910から出力される書込周波数データと光学検査部100で検出した欠陥の位置データ(試料1上の欠陥が存在する領域のR座標データ(半径方向の位置))を受けてテストデータを生成するテストデータ生成回路921、生成されたテストデータの試料1への書込みを制御するための書込制御回路922、書込制御回路922で制御されてテストデータを磁気ヘッド131に印加して試料1上の所定のトラック(光学検査部100で検出した欠陥が存在するトラック)にデータを書き込む書込回路923を備えている。
【0089】
読出系930は、試料1に書込まれたデータを検出した磁気ヘッド131からの出力を増幅するための第1のアンプ931、第1のアンプ931からの出力信号に対して高周波成分のノイズ信号を除去するためのローパスフィルタ932、ローパスフィルタ932から出力された信号を更に増幅するための第2のアンプ933、第2のアンプ933の出力信号からトラック読み出し波形の平均電圧を求めるためのTAA検出回路934、TAA検出回路934で求めたトラック読み出し波形の平均電圧と第2のアンプ933の出力信号とを比較する比較回路935、比較回路935からの出力を2値化するA/D変換部936、A/D変換部936からの出力波形を記憶する波形データメモリ937を備えている。
【0090】
次に、上記構成を備えたリード・ライトテスト部130を用いて、図5で説明したようなシーケンスでリード・ライトテストを行う。
【0091】
図10に凹欠陥が存在する領域をリード・ライトテストしたときのコンパレータ935からの出力信号の一例を示す。
【0092】
光学検査装置100で検出した欠陥の、試料1の半径方向の位置情報を受けて図10(b)に示すような凹欠陥が存在する試料1の表面の領域をリード・ライトテストすると、高速に回転する試料1の表面に浮上する磁気ヘッド131と試料1の表面の書込み・読出しが行われている部分との間隔は、凹欠陥部1001が欠陥でない部分と比べて大きくなるために、書込系920からの信号を受けて磁気ヘッド131により書込まれる信号のレベルが欠陥のない部分に比べて小さくなる。さらに、読出系930で試料1に書込まれたデータを読出すときに凹欠陥部は欠陥でない部分と比べて磁気ヘッド131との間隔が大きく、その分だけ検出信号レベルが低下してしまう。その結果、図10(a)に示すように、検出信号波形1000は、楕円1002で囲んだ凹欠陥の部分の波高値1003が他の部分と比べて低くなっており、この部分に読出しエラーが発生していることがわかる。
【0093】
一方、図11(b)に示すような凸欠陥部1101は欠陥でない部分と比べて磁気ヘッド131との間隔が小さくなるために、書込系920からの信号を受けて磁気ヘッド131により書込まれる信号のレベルが凸欠陥のない部分に比べて大きくなる。さらに、読出系930で試料1に書込まれたデータを読出すときに凸欠陥部は欠陥でない部分と比べて磁気ヘッド131との間隔が小さく、その分だけ検出信号レベルが大きくなる。その結果、図11(a)に示すように、検出信号波形1100は、楕円1102で囲んだ凸欠陥の部分の波高値1103が他の部分と比べて高くなっており、この部分に読出しエラーが発生していることがわかる。
【0094】
なお、図1に示した構成においては、リード・ライトテスト部130で1対の磁気ヘッド131と132とを用いて試料の両面を同時に検査する構成となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2対又はそれ以上の磁気ヘッドの組み合わせを用いて、試料の複数個所の両面を同時にリード・ライトテストを行えるようにしても良い。
【0095】
本実施例によれば、光学検査用にセットしたスピンドルから取り外すことなくリード・ライトテストを行えるので、光学検査で検出した欠陥の位置データをそのままリード・ライトテストで用いることができるようになり、光学検査で検出した欠陥を確実に含む領域をリード・ライトテストすることが可能になり、リード・ライトテストを効率よく行うことが可能になった。
【実施例2】
【0096】
図1で説明した実施例1の構成では、光学検査部100で光学検査を実行している間はリード・ライトテスト部130には試料1がなく、光学検査部100での光学検査が終了するのを待機している。逆に、リード・ライトテスト部130で試料1のリード・ライトテストを実行している間は光学検査部100は待機している。従って、実施例1で説明した検査装置の構成では、検査のスループットが光学検査部100とリード・ライトテスト部130とをそれぞれ独立して構成した場合に対してスループットが半減してしまう。
【0097】
そこで、第2の実施例においては、スループットを低下させることなく、かつ、試料をスピンドルから外さずに光学検査部からリード・ライトテスト部へ移送してテストが行える構成とした。
【0098】
上記観点に基づく第2の実施例を、図12を用いて説明する。
図12に示した第2の実施例の構成は、図1に示した第1の実施例に対して光学検査部100’の両側にリード・ライトテスト部130Lと130Rとを設け、試料搬送部を2式160Lと160Rとを設けた点が異なる。
【0099】
リード・ライトテスト部130Lと試料搬送部160L及び160Rの構成は第1の実施例で説明したもので同じであり、リード・ライトテスト部130Rの構成はリード・ライトテスト部130Lを左右対称に構成したものである。
【0100】
また、光学検査部100’の保護カバー101’には左右にシャッタ102Lと102Rとを設けた。
【0101】
更に、試料搬送部160のガイド軸164’は、移動ステージ165LのホームポジションHLから移動ステージ165RのホームポジションHRまでに渡る長さとし、第2のモータ166’で駆動される。左側の移動ステージ165Lと右側の移動ステージ165Rとは一定の間隔でガイド軸164’に取り付けられている。
【0102】
各部の構成については、第1の実施例で説明したものと重複するので、説明を省略する。
【0103】
上記した構成により光学検査とリード・ライトテストを行う手順を図13を用いて説明する。
【0104】
まず、左側の移動ステージ165LがホームポジションHLにいて移動ステージ165Rは光学検査ポジションIにいるときに、ホームポジションHLにおいては新しい試料L1がスピンドル軸161Lに供給されてチャック162Lでチャックされ保持される(L1301)。この間、右側の移動ステージ165Rは光学検査ポジションIに停止している(R1301)。
【0105】
ホームポジションHLにおいては新しい試料L1のチャックが完了すると、左側の移動ステージ165Lと右側の移動ステージ165Rとは第2のモータ166’で駆動されてガイド軸164’に沿って図12の右側に移動し(L1302、R1302)、左側の移動ステージ165Lは光学検査部100’の検査ポジションIに、右側の移動ステージ165Rは右側のホームポジションHRに移動する。
【0106】
この状態で、左側の移動ステージ165Lのスピンドル軸161Lのチャック162Lに保持された試料L1は光学検査部100’において実施例1で説明したのと同様な光学検査が行われる(L1303)。一方、ホームポジションHRにおいては図示していないハンドリングロボットにより試料R1がスピンドル軸161Rに供給されてチャック162Rにチャックされ保持される(R1303)。
【0107】
試料L1の光学検査か終了し、試料R1のチャック保持が完了すると左側の移動ステージ165Lと右側の移動ステージ165Rとは第2のモータ166’で駆動されてガイド軸164’に沿って図12の左側に移動し(L1304,R1304)、左側の移動ステージ165Lは左側のホームポジションHR、右側の移動ステージ165Rは光学検査部100’の検査ポジションIに移動する。
【0108】
この状態で、左側の移動ステージ165Lのスピンドルモータ163Lで駆動して試料L1を回転させ、第1のモータ138Lにより試料L1上の半径方向の位置が制御された1対の磁気ヘッド131Lと132Lとを用いて、左記に光学検査部100’で検査して得た欠陥候補の位置情報を用いて実施例1で説明したのと同様な手順で試料L1のリード・ライトテストが行われる(L1305)。
【0109】
左側のホームポジションHRにおいて試料L1のリード・ライトテストが終わると試料L1はチャック162Lによるチャックが開放され、図示していないハンドリングロボットにより試料L1がスピンドル軸161Lから取り外される(L1306)。次に検査する試料があるかないかを判断し(L1307),検査すべき新たな試料L2が有る場合には、新たな試料L2がスピンドル軸161Lに供給されてチャック162Lにチャックされ保持される(L1308)。
【0110】
次に検査する試料L2がない場合には、スピンドル軸161L側での検査を終了する。
【0111】
一方、右側の移動ステージ165Rのスピンドル軸161Rのチャック162Rに保持された試料R1は光学検査部100’において実施例1で説明したのと同様な光学検査が行われる(R1305)。
【0112】
光学検査部100’において試料R1の光学検査が終了し、ホームポジションHLでスピンドル軸161Lに新たな試料L2の供給が完了したら左側の移動ステージ165Lと右側の移動ステージ165Rとは第2のモータ166’で駆動されてガイド軸164’に沿って図12の右側に移動し(L1309,R1306)、左側の移動ステージ165Lは光学検査部100’の検査ポジションIに、右側の移動ステージ165Rは右側のホームポジションHRに移動する。
【0113】
この状態で、右側の移動ステージ165Rのスピンドルモータ163Rで駆動して試料R1を回転させ、第1のモータ138Rにより試料R1上の半径方向の位置が制御された1対の磁気ヘッド131Rと132Rとを用いて、左記に光学検査部100’で検査して得た欠陥候補の位置情報を用いて実施例1で説明したのと同様な手順で試料R1のリード・ライトテストが行われる(R1307)。
【0114】
右側のホームポジションHRにおいて試料R1のリード・ライトテストが終わると試料R1はチャック162Rによるチャックが開放され、図示していないハンドリングロボットにより試料R1がスピンドル軸161Rから取り外される(R1308)。次に検査する試料が有るかないかを判断し(R1309),検査すべき新たな試料R2がある場合には、R1303のステップに戻って新たな試料R2が図示していないハンドリングロボットによりスピンドル軸161Rに供給されてチャック162Rにチャックされ保持される。
【0115】
次に検査する試料R2がない場合には、スピンドル軸161R側での検査を終了する。
【0116】
一方、新たな試料L2がスピンドル軸161Lに供給されてチャック162Lにチャックされ保持された状態で左側の移動ステージ165Lが光学検査部100’の検査ポジションIに移動した場合には、L1304のステップに戻って光学検査を実行する。
【0117】
本実施例によれば、左右のホームポジションHLとHRにおいて交互にリード・ライトテスト及び試料のロード・アンロードを行うことにより、リード・ライトテスト部130Lto130R及び光学検査部100’の何れにおいても処理待ちのための時間を作ることなく、連続的に試料を処理することが可能になる。
【符号の説明】
【0118】
1・・・試料 100・・・光学検査部 101・・・保護カバー 102・・・シャッタ 103・・・レーザ変位計 110・・・上面検査ユニット 120・・・下面検査ユニット 130・・・リード・ライトテスト部 160・・・試料搬送部 161・・・スピンドル軸 163・・・スピンドルモータ 164・・・ガイド軸 165・・・移動ステージ 180・・・信号処理・全体制御部 640・・・信号処理・制御系 910・・・データ処理・解析部 920・・・書込系 930・・・読出系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料である磁気ディスクの表面の欠陥を検査する装置であって、
試料の表面を光学的に検査して試料表面の欠陥を検出する光学的検査手段と、
前記光学的検査手段で検査した前記試料に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、該書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより該試料の状態を判定するリード・ライトテスト手段と、
前記試料を載置して保持した状態で前記試料を回転させることが可能で、該載置した試料を前記光学的検査手段で検査後に前記リード・ライトテスト手段に移動してリード・ライトテストを行うスピンドル軸手段と
を備えたことを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
【請求項2】
前記リード・ライトテスト手段は、前記光学的検査手段で検査して検出した欠陥の位置情報を用いて該検出した欠陥の位置を選択的にリード・ライトテストを行うことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスクの検査装置。
【請求項3】
前記リード・ライトテスト手段は一対の磁気ヘッドを備え、該一対の磁気ヘッドで前記試料を挟み込んで前記試料の上面と下面とに対して同時にリード・ライトテストを行うことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスクの検査装置。
【請求項4】
前記光学的検査手段は前記試料の上面を光学的に検査する上面検査光学系と前記試料の下面を光学的に検査する下面検査光学系とを備え、前記上面検査光学系と前記下面検査光学系とで前記試料の上面と下面とを同時に光学的に検査することを特徴とする請求項1記載の磁気ディスクの検査装置。
【請求項5】
試料である磁気ディスクの両面の欠陥を検査する装置であって、
試料の両面を同時に光学的に検査して試料両面の欠陥を検出する両面同時光学検査手段と、
前記両面同時光学検査手段で検出した前記試料両面の欠陥を含む位置に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、該書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより前記検出した箇所の欠陥の状態を判定するリード・ライトテスト手段と、
前記試料を載置して保持した状態で前記両面同時光学検査手段と前記リード・ライトテスト手段との間を移動可能で、かつ前記両面同時光学検査手段の位置及び前記リード・ライトテスト手段の位置で前記載置した試料を回転駆動させることが可能なスピンドル軸手段と
を備えたことを特徴とする磁気ディスクの検査装置。
【請求項6】
前記両面同時光学検査手段は、対物レンズにフレネルレンズを用いていることを特徴とする請求項5記載の磁気ディスクの検査装置。
【請求項7】
前記リード・ライトテスト手段は、前記両面同時光学検査手段で検出した前記試料両面の欠陥の位置情報を用いて前記リード・ライトテストを行う前記試料上の位置を決めることを特徴とする請求項5記載の磁気ディスクの検査装置。
【請求項8】
前記リード・ライトテスト手段を前記両面同時光学検査手段の両側に設け、該両面同時光学検査手段で順次光学的に検査した試料を前記両側のリード・ライトテスト手段で交互にリード・ライトテストを行うことを特徴とする請求項5記載の磁気ディスクの検査装置。
【請求項9】
両面同時光学検査手段を用いて試料である磁気ディスクの両面を同時に光学的に検査して前記試料の両面の欠陥を検出し、
リード・ライトテスト手段を用いて前記試料の両面を同時に検査して検出した前記試料両面の欠陥を含む位置に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、該書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより前記検出した箇所の欠陥の状態を判定する
磁気ディスクの両面の欠陥を検査する方法であって、
前記試料を載置し保持して回転駆動させることが可能なスピンドル軸に前記試料を載置し保持した状態で前記両面同時光学検査手段において前記試料の両面を同時に光学的に検査し、前記スピンドル軸に前記試料を載置し保持した状態で前記スピンドル軸を前記リード・ライトテスト手段に移動させ、前記スピンドル軸に載置した試料に対して前記リード・ライトテスト手段により前記リード・ライトテストを行うことを特徴とする磁気ディスクの検査方法。
【請求項10】
前記両面同時光学検査手段は、フレネルレンズを用いて集光した前記試料からの光を検出した信号を処理して前記試料の両面の欠陥を検出することを特徴とする請求項9記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項11】
前記両面同時検査して検出した前記試料両面の欠陥の位置情報を用いて前記リード・ライトテストを行う前記試料上の位置を決めることを特徴とする請求項9記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項12】
前記両面同時光学検査手段の両側に設けた前記リード・ライトテスト手段を用いて、該両面同時光学検査手段で順次光学的に検査した試料を前記両側のリード・ライトテスト手段で交互にリード・ライトテストを行うことを特徴とする請求項9記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項13】
光学検査部において回転可能なスピンドル軸に保持した試料である磁気ディスクの両面を同時に光学的に検査して前記試料の両面の欠陥を検出し、
前記試料を前記回転可能なスピンドル軸に保持した状態で前記光学検査部からリード・ライトテスト部に移動させ、
該リード・ライトテスト部において前記試料の両面を同時に検査して検出した前記試料両面の欠陥を含む位置に磁気ヘッドを用いて情報を書込み、該書込んだ情報を読み取るリード・ライトテストを行うことにより該欠陥した箇所の欠陥の状態を判定する
ことを特徴とする磁気ディスクの検査方法。
【請求項14】
前記光学検査部は、フレネルレンズを用いて集光した前記試料からの光を検出した信号を処理して前記試料の両面の欠陥を検出することを特徴とする請求項13記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項15】
前記両面同時検査して検出した前記試料両面の欠陥の位置情報を用いて前記リード・ライトテストを行う前記試料上の位置を決めることを特徴とする請求項13記載の磁気ディスクの検査方法。
【請求項16】
前記光学検査部で順次検査した前記試料を、順次異なる位置でリード・ライトテストを行うことを特徴とする請求項13記載の磁気ディスクの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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