説明

磁気ディスク装置の製造方法、磁気ディスク装置の検査装置、および検査装置の検査方法

【課題】磁気ディスクとそれをアクセス制御する制御部を有し、組み込み後に制御部が磁気ディスクにサーボ信号を書き込む磁気ディスク装置を製造する場合に、無駄なコストを低減することができる、磁気ディスク装置の製造方法、磁気ディスク装置の検査装置、および検査装置の検査方法を提供する。
【解決手段】HDA10を磁気ディスク装置1に組み込む前に、磁気ディスク12の磁気変換特性を検査し、その検査により、磁気ディスク12の磁気変換特性が適正であることを条件に、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込み、組み込まれた処理部30が磁気ディスク12を駆動するVCM16や処理回路18、ヘッド17、スピンドルモータ14等の駆動部を制御して磁気ディスク12へサーボ信号を書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばセルフサーボ方式の磁気ディスク装置の製造方法、磁気ディスク装置の検査装置、および検査装置の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば磁気ディスクおよびそれを駆動する駆動部を含み、外部からの粉塵等を防止するために密閉構造としたディスク駆動部と、そのディスク駆動部にアクセス制御を行う制御部とを組み込んでHDD(ハードディスクドライブ装置)を製造する方法が知られている。
【0003】
ところで、HDDは、磁気ディスクに、磁気ヘッド位置を規定するためのサーボ信号を事前に記録し、サーボ信号を基にデータの記録および再生を行う。
このサーボ信号を磁気ディスクに書き込む方式として、ディスクサーボライト方式とセルフサーボライト方式が知られている。
【0004】
ディスクサーボライト方式は、ディスク駆動部を組み立てる際に、事前に磁気ディスクにサーボ信号を書き込む。このディスクサーボライト方式では、磁気ディスクにサーボ信号を書き込む装置が別途必要である。またディスク偏心に注意する必要があり、また機械的な組み立て時に高い精度が要求される。
【0005】
一方、セルフサーボライト方式は、ディスク駆動部と制御部を組み込んだ後に、制御部が駆動部を制御して磁気ディスクにサーボ信号を書き込む。
セルフサーボライト方式は、ディスクサーボライト方式と比べて、サーボ信号を書き込む、磁気ディスク装置以外の書き込み装置が必要ない。
また、セルフサーボライト方式は、組み込み後に制御部が磁気ディスクにサーボ信号を書き込むので、セルフサーボ方式と比べて高密度化やアクセス特性を向上することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したセルフサーボライト方式では、組み込み後にサーボ信号を磁気ディスクに書き込むので、磁気ディスクに正確にサーボ信号が記録されないと、組込み後にHDD全体を破棄する場合があり、無駄なコストが大きい。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされ、磁気ディスクとそれをアクセス制御する制御部を有し、組み込み後に制御部が磁気ディスクにサーボ信号を書き込む磁気ディスク装置を製造する場合に、無駄なコストを低減することができる、磁気ディスク装置の製造方法、磁気ディスク装置の検査装置、および検査装置の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、第1の発明の磁気ディスク装置の製造方法は、磁気ディスクと当該磁気ディスクを駆動する駆動部とを含むディスク駆動手段と、前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへのアクセス制御を行い、前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む制御手段とを有する磁気ディスク装置の製造方法であって、前記ディスク駆動手段を前記磁気ディスク装置に組み込む前に、前記磁気ディスクの磁気変換特性を検査する第1のステップと、前記第1のステップの検査により、前記磁気ディスクの磁気変換特性が適正であることを条件に、前記ディスク駆動手段および前記制御手段を前記磁気ディスク装置に組み込み、前記組み込まれた制御手段が前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む第2のステップとを有する。
【0009】
さらに、上記目的を達成するために、第2の発明の検査装置は、磁気ディスクと当該磁気ディスクを駆動する駆動部とを含むディスク駆動手段と、前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへのアクセス制御を行い、前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む制御手段とを有する磁気ディスク装置の前記磁気ディスクを検査する検査装置であって、前記ディスク駆動手段を前記磁気ディスク装置に組み込む前に、前記駆動手段を制御して前記磁気ディスクの磁気変換特性を検査する検査手段を有する。
【0010】
第2の発明の検査装置の作用は、以下のようになる。
検査手段は、ディスク駆動手段を磁気ディスク装置に組み込む前に、駆動手段を制御して磁気ディスクの磁気変換特性を検査して、その検査の結果に応じて磁気ディスクの磁気変換特性が適正であるか否かを判別する。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために、第3の発明の検査装置の検査方法は、磁気ディスクと当該磁気ディスクを駆動する駆動部とを含むディスク駆動手段と、前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへのアクセス制御を行い、前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む制御手段とを有する磁気ディスク装置の前記磁気ディスクを検査する検査装置の検査方法であって、前記ディスク駆動手段を前記磁気ディスク装置に組み込む前に、前記磁気ディスクの磁気変換特性を検査する第1のステップと、前記第1のステップの検査により、前記磁気ディスクの磁気変換特性が適正であるか否かを判別する第2のステップとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁気ディスクとそれをアクセス制御する制御部を有し、組み込み後に制御部が磁気ディスクにサーボ信号を書き込む磁気ディスク装置を製造する場合に、無駄なコストを削減することができる、磁気ディスク装置の製造方法、磁気ディスク装置の検査装置、および検査装置の検査方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
【0014】
先ず、本実施形態の構成と本発明の構成との対応関係を説明する。
図1に示す磁気ディスク装置1が、本発明に係る磁気ディスク装置に対応している。
図2に示す検査装置70が本発明に係る検査装置に対応し、検査部700が本発明に係る検査手段に対応している。
図1に示す磁気ディスク12が本発明に係る磁気ディスクに対応し、スピンドルモータ14、VCM16、およびヘッド17が本発明に係る駆動部に対応する。
【0015】
図3に示すステップST2が、第1の発明の第1のステップに対応し、ステップST3〜ST6が第1の発明の第2のステップに対応している。
また、図3に示すステップST2が、第3の発明の第1のステップに相当し、ステップST3が第3の発明の第2のステップに相当している。
【0016】
〔磁気ディスク装置〕
図1は、本発明の検査装置の検査対象の一実施形態に係る磁気ディスク装置1の全体構成図である。
図1に示すように、磁気ディスク装置1は、例えばHDA(Hard Disk Assembly)10と処理部30とを有する。
磁気ディスク装置1は、例えば、携帯型であり、オーディオデータの記録再生を行うシステムである。
磁気ディスク装置1では、出荷時に、HDA10および処理部30が組み込まれ、処理部30がHDA10の磁気ディスク12にサーボ信号を書き込む、いわゆるセルフサーボライト方式を採用する。
【0017】
以下、図1に示すHDA10および処理部30について説明する。
〔HDA10〕
図1に示すように、HDA10は、例えば磁気ディスク12、スピンドルモータ14、VCM(Voice Coil Motor)16、ヘッド17、処理回路18およびインタフェース20を有する。
HDA10は、外部からの粉塵の流入を防止するために密閉構造を有している。
【0018】
磁気ディスク12は、例えば同心円状に複数のセクタに分割された記憶領域を有する。また、磁気ディスク12は、同心円状に形成された複数のトラックを有する。
スピンドルモータ14は、磁気ディスク12を回転する。
VCM16は、処理部30のドライバ40からの電流をコイルに流し、電磁誘導によりヘッド17を磁気ディスク12の半径方向に移動する。これにより、磁気ディスク12上のアクセス位置にヘッド17を移動する。
ヘッド17は、磁気ディスク12上の上記記録領域に対して近接して移動し、ヘッド17の位置を規定するサーボ信号に基づいて、セクタやトラックに対して信号、例えばオーディオ信号の書き込み、並びに当該セクタやトラックからの信号の読み出しを行う。
【0019】
処理回路18は、ヘッド17が磁気ディスク12から読み出した信号を増幅してインタフェース20を介して処理部30に出力する。
また、処理回路18は、処理部30から入力した書き込み対象の信号をヘッド17に出力する。
【0020】
〔処理部30〕
図1に示すように、処理部30は、例えば、HDAインタフェース31、液晶ディスプレイ32、電源回路34、フラッシュメモリ36、SDRAM(Synchronous DRAM)38、ドライバ40、液晶ドライバ52、インタフェース54、USB(Universal Serial Bus)インタフェース56、コーディック58、変換回路60、HDC(Hard Disk Controller)62、DMAC(Direct Memory Access Controller)64およびCPU(Central Processing Unit)66を有する。
【0021】
本実施形態において、液晶ドライバ52、インタフェース54、USBインタフェース56、コーディック58、RDC60、HDC62、DMAC64およびCPU66は、例えば半導体集積回路59によって一体的に構成される。
【0022】
HDAインタフェース31は、HDA10のインタフェース20と接続され、HDA10との間でデータ入出力を行う。
液晶ディスプレイ32は、液晶ドライバ52からの制御に応じて画面表示を行う。当該画面は、例えば、操作画面である。
電源回路34は、処理部30の各構成要素に電力を供給する。
フラッシュメモリ36は、CPU66の処理を規定するプログラムPRGを記憶する。プログラムPRGは、F/W(Firm Ware)である。
SDRAM38は、処理部30の処理に関するデータを記憶する。
ドライバ40は、HDC62からの制御に従って、HDA10のスピンドルモータ14およびVCM16に制御信号を出力する。
【0023】
液晶ドライバ52は、CPU66からの制御信号に基づいて、液晶ディスプレイ32の表示制御を行う。
インタフェース54およびUSBインタフェース56は、処理部30の外部とデータ入出力を行う。
コーディック58は、例えばHDA10から読み出したオーディオデータの復号(デコード)、並びにHDA10に書き込むオーディオデータの符号化(エンコード)を行う。
変換回路60は、HDA10から読み出された信号のフィルタ処理(イコライザ処理)およびA/D変換などの処理を行い、当該処理によって得たオーディオデータをHDC62に出力する。すなわち、変換回路60は、いわゆるリードチャンネルとしての機能を持つ。
また、変換回路60は、HDC62から入力した書き込み対象のオーディオデータをD/A変換してオーディオ信号を生成し、これをHDA10に出力する。
【0024】
HDC62は、CPU66からの制御に従って、HDA10へのアクセスを統括的に制御する。
CPU66は、処理部30の動作を統括的に制御する。例えばCPU66は、フラッシュメモリ36から読み出したプログラムPRGに従って各制御を行う。
【0025】
CPU66は、例えば磁気ディスク装置1に、HDA10および処理部30を組み込み時に、サーボ信号をHDA10に書き込む処理を行う。
詳細には、CPU66は、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込み時に、駆動部としてのスピンドルモータ14、VCM16、ヘッド17および処理回路18等を制御して磁気ディスク12へサーボ信号を書き込む。
【0026】
例えばCPU66は、書き込み指示として、HDA10と処理部30が組み込み時に電気的に接続したことを検出した場合をトリガとしてもよいし、外部からその旨を示す指示信号を書き込み指示のトリガとしてもよい。
【0027】
〔検査装置70〕
図2は、本発明の一実施形態に係る検査装置70の機能ブロック図である。
図2に示すように、検査装置70は、例えば検査部700を有する。
【0028】
〔検査部700〕
検査部700は、HDA10を磁気ディスク装置1に組み込む前に、磁気ディスク12の磁気変換特性を検査する。
また、検査部700は、その検査により、磁気ディスク12の磁気変換特性が適正であることを条件に、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む。
詳細には、検査部700は、その検査により、磁気ディスク12の磁気変換特性が適正であることを条件に、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む指示を示す信号を、不図示の組立装置に出力する。組立装置はその信号が入力されると、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む。
【0029】
また、検査部700は、例えば単一周波数特性の検査信号を磁気ディスク12に書き込んだ後、当該磁気ディスクから検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に磁気変換特性の検査を行う。
検査信号は、例えば周波数特性として、約2MHz〜数10MHz程度の単一周波数特性のRF信号である。
この検査信号は、磁気ディスク12の磁気変換特性、つまりヘッド17により磁気ディスク12に書き込んだ信号が、ヘッド17により所定の強度の信号を読み出せるか否かを検査する際に用いられる。
この検査信号の周波数としては、検査対象の磁気ディスク12の磁気変換特性を検査するのに最適な周波数を設定する。
【0030】
以下、検査部700の一具体例を説明する。
図2に示すように、検査部700は、例えば、HDAインタフェース71、液晶ディスプレイ72、液晶ドライバ73、電源回路74、メモリ75、ドライバ76、変換回路77、HDC78およびCPU79を有する。
【0031】
HDAインタフェース71は、HDA10のインタフェース20と接続され、HDA10との間でデータ入出力を行う。
液晶ディスプレイ72は、液晶ドライバ73からの制御に応じて画面表示を行う。当該画面は、例えば、検査操作画面である。
液晶ドライバ73は、CPU79からの制御信号に基づいて、液晶ディスプレイ72の表示制御を行う。
電源回路74は、検査装置70の各構成要素に電力を供給する。
【0032】
メモリ75は、CPU79の処理を規定する本発明に係る機能を実現するためのプログラムPRGを記憶する。
ドライバ76は、HDC78からの制御に従って、HDA10のスピンドルモータ14およびVCM16に制御信号、例えば検査信号を書き込み、および読み出しのためのヘッド位置を制御する制御信号や、スピンドルモータ14を回転させる制御信号を出力する。
【0033】
変換回路77は、HDC78の制御により、例えば検査信号をHDAインタフェース71を介して、HDA10の処理回路18に出力する。
また、変換回路77は、HDC78の制御により、HDA10から読み出された検査信号の信号処理を行い、HDC78に出力する。
【0034】
HDC78は、CPU79からの制御に従って、HDA10へのアクセスを統括的に制御する。
CPU79は、HDA10を磁気ディスク装置1に組み込む前に、HDA10の駆動部を制御して磁気ディスク12の磁気変換特性を検査する。
詳細には、CPU79は、例えばHDC78に、検査信号を磁気ディスクに書き込ませる制御信号を出力し、HDC78に、当該磁気ディスク12から検査信号を読み出させる制御信号を出力し、当該読み出した信号を基に磁気変換特性の検査を行う。
【0035】
以下、本発明に係る動作を説明する。
〔動作例〕
図3は、図1および図2に示した磁気ディスク装置および検査装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図3を参照しながら、磁気ディスク装置1の製造方法を、検査装置70のCPU79および磁気ディスク装置1のCPU66の動作を中心に説明する。
【0036】
ステップST1において、HDA10を製造する。詳細には、例えば不図示の組立装置が、磁気ディスク12、スピンドルモータ14、VCM16、ヘッド17、および処理回路18等をHDA10に組み込むことで、HDA10を製造する。
この際、磁気ディスク12には、ヘッド17のヘッド位置を規定するサーボ信号は、書き込まれていない。
【0037】
ステップST2において、検査装置70の検査部700は、HDA10を磁気ディスク装置1に組み込む前に、磁気ディスク12の磁気変換特性を検査する。
例えば、検査装置70のHDAインタフェース71と、HDA10のインタフェース20を電気的に接続して検査を行う。磁気変換特性の検査の詳細な動作については後述する。
【0038】
ステップST3において、検査装置70の検査部700は、その検査により、磁気ディスク12の磁気変換特性が適正か否かを判別する。
例えば、検査装置70の検査部700は、その検査により、磁気ディスク12の磁気変換特性が適正である場合には、その旨やHDA10と処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む指示を、不図示の組立装置に出力する。
【0039】
ステップST4において、磁気変換特性が適正であることを条件に、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む。
詳細には、例えば、不図示の組立装置は、検査装置70から、HDA10と処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む指示が入力されると、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込み、HDA10のインタフェース20と、HDAインタフェース31を電気的に接続する。
【0040】
ステップST5において、組み込まれた処理部30が、HDA10のVCM16や処理回路18等の駆動部を制御して、磁気ディスク12へサーボ信号を書き込む(セルフサーボライト)。
【0041】
一方、ステップST3において、検査部700のCPU79が、磁気変換特性が適正でないと判断した場合には、そのHDA10を破棄する(ST6)。
詳細には、検査部700のCPU79が、磁気変換特性が適正でないと判断した場合には、その旨を示す信号を組立装置に出力する。組立装置はその信号が入力されると、そのHDA10を破棄する。
【0042】
〔磁気変換特性の検査〕
図4は、図3に示した検査装置70および処理部30の動作の一具体例を説明するためのフローチャートである。図3に示したステップST2〜ST4の磁気変換特性の検査に係る動作について、図4を参照しながらより詳細に説明する。
【0043】
ステップST11において、検査装置70の検査部700は、組み込み前に、HDA10に検査信号を書き込む。
詳細には、検査部700のCPU79は、検査信号を書き込ませる制御信号をHDC78に出力する。HDC78は、その制御信号を受けて、ドライバ76および変換回路77を制御し、HDA10の駆動部を制御して検査信号を磁気ディスク12に書き込む。
【0044】
ステップST12において、その後検査部700は、HDA10から検査信号を読み出す。
詳細には、検査部700のCPU79は、HDA10から検査信号を読み出させる制御信号を、HDC78に出力する。HDC78は、その制御信号を受けて、ドライバ76および変換回路77を制御し、HDA10の駆動部を制御して検査信号を読み出して、CPU79に出力する。
【0045】
ステップST13において、CPU79は、例えば、書き込んだ検査信号と、読み出した検査信号に基づいて、磁気ディスク12の磁気変換特性が適切か否かを判別する。
詳細には、例えば、CPU79は、検査信号として、単一周波数特性の検査信号を磁気ディスク12に書き込んだ場合には、磁気ディスク12から読み出した検査信号のレベルと所定値とを比較することで、磁気ディスク12の磁気変換特性が適正か否かを判別する。
【0046】
ステップST15において、磁気変換特性が適切であると判別した場合には、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む。詳細には、例えばCPU79は、HDA10と処理部30を磁気ディスク装置1に組み込む指示を示す信号を出力する。不図示の組立装置は、その組み込む指示を示す信号が入力されると、HDA10および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込み、HDA10のインタフェース20と、HDAインタフェース31を電気的に接続する。
【0047】
一方、ステップST14において、磁気変換特性が適切でないと判別した場合には、HDA10を破棄する。
詳細には、CPU79は、磁気変換特性が適切でないと判別した場合には、その旨を示す信号を組立装置に出力する。組立装置は、その信号が入力された場合には、HDA10を破棄する(ST16)。
【0048】
以上、説明したように、HDA10を磁気ディスク装置1に組み込む前に、磁気ディスク12の磁気変換特性を検査し、その検査により、磁気ディスク12の磁気変換特性が適正であることを条件に、HDA12および処理部30を磁気ディスク装置1に組み込み、組み込まれた処理部30がHDA10の駆動部を制御して、磁気ディスク12へサーボ信号を書き込むので、不良な磁気ディスクが組み込まれた磁気ディスク装置の割合を少なくすることができる。
また、組み込み後に、不良な磁気ディスクが組み込まれた磁気ディスク装置1の割合が少なくなるので、組込み後に磁気ディスクの不良が発覚して、磁気ディスク装置全体を破棄する場合と比べて、無駄なコストを低減することができる。
【0049】
詳細には、HDA10を組み込み前に、HDA10の磁気ディスク12に磁気変換特性が適正でない場合、例えば磁気変換特性が所定値よりも小さい場合には、その段階でHDA10を破棄するので、組み込み後の磁気ディスク装置1全体を破棄することがない。
【0050】
また、検査信号として、単一周波数特性の検査信号をHDA10の磁気ディスク12に書き込み、その信号を読み出してその信号レベルが所定値以上か否かを判別するという簡単な検査により磁気変換特性を検査することで、例えば組み込む前に磁気ディスク12全体にサーボ信号を書き込み、その信号を読み出して検査する場合と比べて短時間で、HDA10の磁気ディスク12の不具合を検査することができる。
【0051】
また、例えば、検査部700のCPU79は、検査信号として、所定の変調パターンの検査信号を磁気ディスク12に書き込んだ後、当該磁気ディスクから検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に磁気変換特性の検査を行ってもよい。
所定の変調パターンは、例えば複数の周波数特性の検査信号であってもよいし、サーボ信号よりも簡単な変調パターンの検査信号であってもよい。
こうすることで、磁気ディスク12のより詳細な磁気変換特性を検査することができる。
【0052】
また、検査部700のCPU79は、検査信号として、磁気ディスク12内の一部のトラックにのみ検査信号を書き込んだ後、当該一部のトラックから検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に磁気変換特性の検査を行ってもよい。
例えば磁気ディスク12内の外周トラック、中周トラック、内周トラックのいずれか、またはこれらのトラックの組み合わせや、所望のトラック等を検査する。
こうすることで、例えば磁気ディスク12の全てのトラックに検査信号を書き込み、その信号を読み出して磁気ディスク12の磁気変換特性を検査する場合と比べて、より短時間で、磁気ディスク12の磁気変換特性の検査を行うことができる。
【0053】
なお、本発明は本実施形態に限られるものではなく、任意好適な改変が可能である。
検査装置70の検査部700は、上述した構成でなくともよい。例えば、上述した発明に係る処理を行うことができる構成要素があればよい。例えば、単一周波数特性や所望の変調パターンの検査信号を、磁気ディスク12に書き込む発振装置や、磁気ディスク12から読み出した検査信号を読みとりRF信号のレベルを測定する測定装置や、それらを制御して本発明の機能を実現する制御部とを備えればよい。
【0054】
また、本実施形態では、検査装置70の検査対象のHDA10は、磁気ディスク12や駆動部により構成されたが、この形態に限られるものではない。例えば、HDA10に処理部30の機能を行う制御回路を設けてもよい。その場合であっても検査装置70は、その処理回路を介して本発明に係る機能を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の検査装置の検査対象の一実施形態に係る磁気ディスク装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る検査装置の機能ブロック図である。
【図3】図1および図2に示した磁気ディスク装置および検査装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3に示した検査装置および処理部の動作の一具体例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…磁気ディスク装置、10…HDA、12…磁気ディスク、14…スピンドルモータ、16…VCM、18…処理回路、20…インタフェース、30…処理部、32…液晶ディスプレイ、34…電源回路、36…フラッシュメモリ、40…ドライバ、52…液晶ディスプレイ、54…インタフェース、56…USBインタフェース、58…コーディック、60…変換回路、62…HDC、64…DMAC、66…CPU、70…検査装置、71…HDAインタフェース、72…液晶ディスプレイ、73…液晶ドライバ、74…電源回路、75…フラッシュメモリ、76…ドライバ、77…変換回路、78…HDC、79…CPU、700…検査部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクと当該磁気ディスクを駆動する駆動部とを含むディスク駆動手段と、
前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへのアクセス制御を行い、前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む制御手段と
を有する磁気ディスク装置の製造方法であって、
前記ディスク駆動手段を前記磁気ディスク装置に組み込む前に、前記磁気ディスクの磁気変換特性を検査する第1のステップと、
前記第1のステップの検査により、前記磁気ディスクの磁気変換特性が適正であることを条件に、前記ディスク駆動手段および前記制御手段を前記磁気ディスク装置に組み込み、前記組み込まれた制御手段が前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む第2のステップと
を有する磁気ディスク装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1のステップで、単一周波数特性の検査信号を前記磁気ディスクに書き込んだ後、当該磁気ディスクから前記検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に前記磁気変換特性の検査を行う
請求項1に記載の磁気ディスク装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1のステップで、所定の変調パターンの検査信号を前記磁気ディスクに書き込んだ後、当該磁気ディスクから前記検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に前記磁気変換特性の検査を行う
請求項1に記載の磁気ディスク装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1のステップで、前記磁気ディスク内の一部のトラックにのみ検査信号を書き込んだ後、当該一部のトラックから前記検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に前記磁気変換特性の検査を行う
請求項1に記載の磁気ディスク装置の製造方法。
【請求項5】
磁気ディスクと当該磁気ディスクを駆動する駆動部とを含むディスク駆動手段と、前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへのアクセス制御を行い、前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む制御手段とを有する磁気ディスク装置の前記磁気ディスクを検査する検査装置であって、
前記ディスク駆動手段を前記磁気ディスク装置に組み込む前に、前記駆動手段を制御して前記磁気ディスクの磁気変換特性を検査する検査手段を有する
検査装置。
【請求項6】
前記検査手段は、単一周波数特性の検査信号を前記磁気ディスクに書き込んだ後、当該磁気ディスクから前記検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に前記磁気変換特性の検査を行う
請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査手段は、所定の変調パターンの検査信号を前記磁気ディスクに書き込んだ後、当該磁気ディスクから前記検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に前記磁気変換特性の検査を行う
請求項5に記載の検査装置。
【請求項8】
前記検査手段は、前記磁気ディスク内の一部のトラックにのみ検査信号を書き込んだ後、当該一部のトラックから前記検査信号を読み出して、当該読み出した信号を基に前記磁気変換特性の検査を行う
請求項5に記載の検査装置。
【請求項9】
磁気ディスクと当該磁気ディスクを駆動する駆動部とを含むディスク駆動手段と、前記駆動部を制御して前記磁気ディスクへのアクセス制御を行い、前記磁気ディスクへサーボ信号を書き込む制御手段とを有する磁気ディスク装置の前記磁気ディスクを検査する検査装置の検査方法であって、
前記ディスク駆動手段を前記磁気ディスク装置に組み込む前に、前記磁気ディスクの磁気変換特性を検査する第1のステップと、
前記第1のステップの検査により、前記磁気ディスクの磁気変換特性が適正であるか否かを判別する第2のステップと
を有する検査装置の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate