説明

磁気ディスク装置

【課題】磁気ディスクの記録表面からの磁気ヘッドの浮上量や位置を高精度に制御する。
【解決手段】スライダ6が設置された面と同一のサスペンション5上に、サスペンション5の長手方向に薄膜アクチュエータ7を設置するようにした。これにより、薄膜アクチュエータ7をプリント配線基板5a上に形成でき、サスペンション5の共振周波数を低減して、磁気ヘッド6aと磁気ディスク1の記録表面との間隙が制御できて、磁気ヘッド6aが設置されたスライダ6の位置精度を高精度に行うことができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気ディスク装置に関し、特に、磁気ディスクと、ヘッド位置決め機構と、ヘッド位置決め機構の先端に取り付けられたサスペンションと、サスペンションの先端部に設置され、磁気ヘッドを搭載したスライダと、を有する磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置に適用されるスライダは、一般にスライダを支持するサスペンションの先端部に形成される。
図8は、従来の磁気ディスク装置の模式図、図9は、従来のサスペンションの拡大模式図である。
【0003】
磁気ディスク装置100は、図8に示すように、スピンドルモータ102と接続された磁気ディスク101と、サスペンション106に支持されて、磁気ヘッド(不図示)が設置されたスライダ107と、を有している。なお、サスペンション106とボイスコイル(VC)モータ104とを接続するアーム105はキャリッジ103に搭載されている。なお、サスペンション106の先端部では、図9に示すように、樹脂配線層に覆われた金属配線にて構成されるプリント配線基板106aとスライダ107とが電気的に接続されている。
【0004】
磁気ディスク101は、記録表面に磁性体が塗布された円板状の磁気記録媒体である。磁気ヘッドを利用することで、磁気ディスク101の記録表面に情報の記録や記録した情報の読み出しができる。また、磁気ディスク101は、スピンドルモータ102を介して回転させられる。
【0005】
スピンドルモータ102は、接続された磁気ディスク101を所定の速度で回転制御する。
キャリッジ103には、VCモータ104とサスペンション106とが接続されたアーム105が搭載されている。
【0006】
VCモータ104は、ロータリアクチュエータ(不図示)と接続されている。このロータリアクチュエータによって、磁気ヘッドから得られる浮上量および位置情報をVCモータ104にフィードバックして、磁気ヘッドのトラック位置決めを行うことができる。
【0007】
アーム105は、VCモータ104とサスペンション106と一体的に接続されて、キャリッジ103上に搭載されている。
サスペンション106は、スライダ107を先端部で支持する板ばねである。
【0008】
スライダ107は、磁気ディスク101と対向するように磁気ヘッドが設置されており、磁気ディスク101上を数nmから数十nmの高さで浮上する。
このような磁気ディスク装置100は、VCモータ104による駆動によって、アーム105を介して、サスペンション106に設置されたスライダ107を磁気ディスク101の記録表面に対して接近または離間させて記録表面のサーボ情報を利用して、スライダ107の位置および浮上量の制御を行う。
【0009】
近年、磁気ディスク装置は、より大容量化および微小化される傾向にある。そして、磁気ディスク装置の小型化とともに磁気ヘッドも微小化が進み、薄膜で形成されるものもある。
【0010】
そして、磁気ディスクの大容量化にともなって、小型化された磁気ヘッドによる読み出しおよび書き込みに対するサーボ制御の高精度化が進められている。サーボ制御の高精度化には、磁気ディスクの全領域で磁気ヘッドが磁気ディスクの記録表面から一定の微細浮上高を要するという基本技術が要求される(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0011】
そこで、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録表面との間隙の制御を行うために、印加電圧によって形状が変形する特性(圧電効果)を有する圧電(電歪)セラミックス薄膜が利用されている。
【0012】
すなわち、圧電セラミックス薄膜で構成される薄膜圧電アクチュエータを、スライダを支持するサスペンション上に設置して、印加電圧による圧電セラミックス薄膜の変形を利用して、磁気ディスクの記録表面から磁気ヘッドまでの浮上量を制御することが試みられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開平7−262726号公報
【特許文献2】特開平9−265738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、スライダに設置された磁気ヘッドと磁気ディスクの記録表面との間隙の制御のためにサスペンション上に形成された圧電セラミックス薄膜を薄膜アクチュエータとして用いることには、以下のような問題点があった。
【0014】
第1に、薄膜アクチュエータの振動周波数がサスペンションの共振周波数帯域内では、薄膜アクチュエータの変位量の変化によって、サスペンションの急峻な変位量の増大が発生するために、スライダの浮上量を制御することは難しいという問題があった。
【0015】
第2に、薄膜アクチュエータとして大きな発生力および変位量を発生する圧電セラミックス薄膜の一般的な成膜プロセス(ゾルゲル法、スパッタ法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法など)では、結晶化のため一般に約500度以上の温度が必要である。このような高温では、樹脂配線層から構成されるプリント配線基板では耐え得ることができないという問題があった。逆に薄膜アクチュエータ形成後、プリント配線基板を接着することも考えられるが、この場合、引き回しが煩雑になり現実的ではなく、サスペンションの形状変更を強いる場合もある。
【0016】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、磁気ディスクの記録表面からの磁気ヘッドの浮上量や位置を高精度に制御することができる磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すように、磁気ディスク1と、ヘッド位置決め機構と、ヘッド位置決め機構の先端に取り付けられたサスペンション5と、サスペンション5の先端部に設置され、磁気ヘッド6aを搭載したスライダ6と、を有する磁気ディスク装置10において、スライダ6が設置された面と同一のサスペンション5上であって、サスペンション5の長手方向に設置された薄膜アクチュエータ7と、を有することを特徴とする磁気ディスク装置10が提供される。
【0018】
このような磁気ディスク装置によれば、スライダが設置された面と同一のサスペンション上に、サスペンションの長手方向に薄膜アクチュエータが設置される。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、スライダが設置された面と同一のサスペンション上に、サスペンションの長手方向に薄膜アクチュエータを設置するようにした。これにより、薄膜アクチュエータをプリント配線基板上に形成でき、サスペンションの共振周波数を低減して、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録表面との間隙が制御できて、磁気ヘッドが設置されたスライダの位置精度を高精度に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明における磁気ディスク装置の概念図である。
【0021】
磁気ディスク装置10は、モータ2に接続された磁気ディスク1と、モータ4と連動して動作するアーム3に一体的に接続されたサスペンション5の先端部に設置されたスライダ6と、により構成される。
【0022】
さらに、サスペンション5には樹脂配線層により覆われた金属配線であるプリント配線基板5aが接着されており、サスペンション5の先端部には、磁気ヘッド6aが形成されたスライダ6が設置されているとともに、サスペンション5の低剛性部位を通るプリント配線基板5a上に、サスペンション5およびスライダ6と一直線状に薄膜アクチュエータ7が形成されている。
【0023】
磁気ディスク1は、円板状の記録媒体である。モータ2によって回転させられて、記録表面に情報を記録または再生させられる。
モータ2は、接続された磁気ディスク1を所定の速度で回転制御することができる。
【0024】
アーム3は、モータ4とサスペンション5とを一体的に接続している。
モータ4は、ロータリアクチュエータ(不図示)と接続されている。このロータリアクチュエータによって、スライダ6に取り付けられた磁気ヘッド6aから得られる浮上量および位置情報をモータ4にフィードバックすることで、磁気ヘッド6aのトラック位置決めなどを行うことができる。
【0025】
サスペンション5は、スライダ6を支持している板ばねである。そして、サスペンション5には、樹脂配線層により覆われた金属配線にて構成されるプリント配線基板5aが接着される。
【0026】
スライダ6は、サスペンション5の先端部に配置し、プリント配線基板5aと電気的に接続されており、磁気ヘッド6aが形成されている。
磁気ヘッド6aは、スライダ6の先端部に形成されて磁気ディスク1と対向し、磁気ディスク1の記録表面上を数nmから数十nmの高さで浮上する。
【0027】
薄膜アクチュエータ7は、圧電セラミックス薄膜にて構成され、サスペンション5の低剛性部位を通るプリント配線基板5a上に、サスペンション5およびスライダ6と一直線状に形成されている。このため、薄膜アクチュエータ7とサスペンション5とが絶縁されて、配線の引き出しの煩雑さも無くなるとともに、薄膜アクチュエータ7自身の変位量変化に起因したサスペンション5の共振周波数を低下させることが可能となる。また、薄膜アクチュエータ7の形成方法として、水熱合成法またはエアロゾルデポジション法などの常温の20度程度から200度程度以下のプロセス温度で可能な低温薄膜プロセスを用いることができる。この低温薄膜プロセスによって、金属などで構成されるサスペンション5と薄膜アクチュエータ7との形成時の熱膨張差に起因する反りを抑えて、さらに樹脂配線層によって構成されるプリント配線基板5a上に薄膜アクチュエータ7を形成することができる。
【0028】
このような薄膜アクチュエータ7によって、磁気ヘッド6aと磁気ディスク1の記録表面との間隙を正確に制御でき、磁気ヘッド6aによる磁気ディスク1の記録表面の読み出し時または書き込み時に発生する信号を安定化させ、スライダ6の位置制御を高精度に行うことができる。
【0029】
したがって、磁気ディスク装置10は、モータ4による駆動によって、アーム3を介して、サスペンション5に設置されたスライダ6を磁気ディスク1の記録表面に対して接近または離間させて記録表面のサーボ情報を利用して、スライダ6の位置および浮上量の制御を高精度に行うことができる。
【0030】
次に、本発明を用いて、以下に2つの実施の形態について説明する。
まず、第1の実施の形態にについて説明する。
図2は、第1の実施の形態における磁気ディスク装置の模式図、図3は、第1の実施の形態におけるサスペンションの先端部の拡大模式図である。
【0031】
磁気ディスク装置20は、図2に示すように、スピンドルモータ12に接続された磁気ディスク11と、VCモータ15と連動して動作するアーム14に一体的に接続されたサスペンション16の先端部に設置されたスライダ17とにより構成される。なお、このようなアーム14はキャリッジ13に搭載されている。
【0032】
さらに、図3に示すように、サスペンション16には樹脂配線層により覆われた金属配線にて構成されるプリント配線基板16aが接着されており、サスペンション16の先端部には、磁気ヘッド(不図示)が取り付けられたスライダ17がプリント配線基板16aと電気的に接続されて設置されているとともに、サスペンション16の最先端部を通るプリント配線基板16a上に、サスペンション16およびスライダ17と一直線状に、低温薄膜プロセスにて薄膜アクチュエータ18が形成されている。
【0033】
磁気ディスク11は、記録表面に磁性体を塗布した円板状の記録媒体である。スピンドルモータ12によって回転させられて、磁気ヘッドによって、記録表面に磁気的に情報が記録または記録された情報が再生される。
【0034】
スピンドルモータ12は、接続された磁気ディスク11を所定の速度で回転制御することができる。
アーム14は、アルミ合金またはステンレスにて形成されていて、VCモータ15とサスペンション16とを接続している。また、このようなアーム14はキャリッジ13に搭載されている。
【0035】
VCモータ15は、ロータリアクチュエータ(不図示)と接続されている。このロータリアクチュエータによって、スライダ17に取り付けられた磁気ヘッドから得られる位置情報をVCモータ15にフィードバックすることで、磁気ヘッドのトラック位置決めを行うことができる。
【0036】
サスペンション16は、スライダ17を支持しているステンレス製の板ばねである。そして、サスペンション16には、樹脂配線層により覆われた金属配線にて構成されるプリント配線基板16aが接着されている。
【0037】
スライダ17は、プリント配線基板16aと電気的に接続して、磁気ヘッドが取り付けられ、磁気ディスク11と対向するように位置しており、磁気ディスク11の記録表面上を数nmから数十nmの高さで浮上して滑走する。なお、スライダ17は、縦2mm程度×横1mm程度×厚さ300μm程度である。
【0038】
薄膜アクチュエータ18は、圧電セラミックス薄膜にて構成されている。圧電セラミックス薄膜として、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)またはマグネシウム酸ニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT:Pb(Mg,Nb)O3−PbTiO3)のような電歪材料などの電界により機械的に変形するセラミックスが用いられる。また、薄膜アクチュエータ18は、サスペンション16の最先端部を通るプリント配線基板16a上に、サスペンション16およびスライダ17と一直線状に形成されている。このため、薄膜アクチュエータ18とサスペンション16とが絶縁されて、配線の引き出しの煩雑さも無くなるとともに、薄膜アクチュエータ18自身の変位量変化に起因したサスペンション16の共振周波数を低下させることが可能となる。また、薄膜アクチュエータ18の形成方法として、水熱合成法またはエアロゾルデポジション法などの常温の20度程度から200度程度以下の低温薄膜プロセスを用いることができる。この低温薄膜プロセスによって、ステンレスによって構成されるサスペンション16と薄膜アクチュエータ18との形成時の熱膨張差に起因する反りを抑えて、さらに樹脂配線層によって構成されるプリント配線基板16a上に薄膜アクチュエータ18を形成することができる。なお、薄膜アクチュエータ18は、縦0.5mm程度×横0.7mm程度×厚さ3.5μm程度とする。
【0039】
以下に、サスペンション16上への薄膜アクチュエータ18の形成工程について図を用いて説明する。
図4〜図6は、サスペンション上への薄膜アクチュエータの形成工程の断面模式図である。なお、以下の形成工程中の圧電セラミックス薄膜の形成は、水熱合成法によって形成する場合を例に挙げて説明する。
【0040】
まず、サスペンション16上の、配線16bおよび電極パッド16dを有する樹脂配線層16cにより構成されるプリント配線基板16aが形成されている(図4(A))。
なお、樹脂配線層16cには、例えば、ポリイミドなど、配線16bおよび電極パッド16dにはアルミニウム(Al)などが使用される。
【0041】
プリント配線基板16aが接着されたサスペンション16上のアクチュエータ形成予定位置に、下部電極19a(厚さ:約300nm)を導電体膜によって形成する(図4(B))。
【0042】
下部電極19aを構成する導電体膜は、例えば、金(Au)や白金(Pt)などの金属、酸化ストロンチウムルテニウム(SRO)や酸化インジウム錫(ITO)などの導電性酸化物または窒化チタン(TiN)などの導電性窒化物といった導電性を有する材料を用いる。また導電体膜は、スパッタ法、真空蒸着法などによって形成される。なお、導電体膜とプリント配線基板16aとの密着性が低い場合は、プリント配線基板16aの表面を粗化することにより密着性を向上させることができる。また、導電体膜は下部の樹脂配線層16c中の配線16bと電気的に接続させることで、下部電極19aへの電圧印加も可能となる。電気的接続は図4(B)に示すように下部電極19aとなる導電体膜の下部から接続する実装方法が望ましい。
【0043】
下部電極19a上にTi層18a(厚さ:約1μm)を形成する(図5(A))。
Ti層18aの形成方法として、Ti層18aを、例えば、メタルスルーマスクまたはレジストパターンを利用したリフトオフ法などにより形成する。
【0044】
Ti層18aをオートクレーブ内で水熱合成反応させて、Ti層18a上に優先的にPZTなどを析出させて薄膜アクチュエータ18が形成される(図5(B))。
なお、このように、水熱合成法などの低温プロセスで形成した膜は、レジストパターンでドライエッチングまたはウェットエッチングしてもよい。このとき、選択比が取れない場合は、レジストと圧電セラミックス薄膜との間にハードマスク層となるタンタル(Ta)などを用いてもよい。このときサスペンション16がエッチングされない部位はポリマーなどで保護しておくことが望ましい。
【0045】
PZTにて構成される薄膜アクチュエータ18上に、下部電極19aと同様にして、上部電極19b(厚さ:約200nm)を形成する(図6(A))。
最後に、上部電極19bから下部電極19aへAuなどによって構成されるワイヤ19cを用いてボンディングを行う(図6(B))。
【0046】
ワイヤ19cと上部電極19bとのボンディング箇所以外の部位の絶縁を図るために、上部電極19bに絶縁層を形成するようにしてもよい。さらに、その絶縁層上にパッドを設けボンディングを行うと信頼性が向上する。上部電極19b上にパッドを形成するためのアルミナ、ポリマーなどの絶縁層を2μm程度形成した後、上部電極19bにコンタクトを取るためのビアを形成する。ビアホールはレジスト形成後、レジスト開口部へのRIE(Reactive Ion Etching)などにより形成する。ビアホールにスパッタおよび鍍金などの技術を用いて、Au、銅(Cu)などの金属膜で充填し、ビア上部をパッドとしてリード線をボンディングするパッドを、メタルスルーマスクを使用したスパッタ法、真空蒸着法などにより形成してもよい。
【0047】
以上のプロセスによって、図3に示した薄膜アクチュエータ18が形成される。
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態でも、第1の実施の形態における薄膜アクチュエータ18以外の磁気ディスク装置20の構成要素を同様に用いており、使用する符号などについても、第1の実施の形態と同様のものとする。
【0048】
図7は、第2の実施の形態におけるサスペンションの先端部の拡大模式図である。
図7に示すように、サスペンション16の先端部には、磁気ヘッド(不図示)が取り付けられたスライダ17がサスペンション16と一直線状に設置されている。そして、サスペンション16に接着されたプリント配線基板16aと磁気ヘッドが取り付けられたスライダ17とが電気的に接続されている。さらに、第2の実施の形態では、薄膜アクチュエータ28が、サスペンション16にて幅が他よりも細い部位を通るプリント配線基板16a上に形成されている。また、薄膜アクチュエータ28の形成方法として、第1の実施の形態と同様に、水熱合成法またはエアロゾルデポジション法などの常温の20度程度から200度程度以下の低温薄膜プロセスを用いることができる。
【0049】
第2の実施の形態の薄膜アクチュエータ28は、低剛性部位としてサスペンション16の幅が他よりも細い部位を通るプリント配線基板16a上に形成されることによって、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比べて、薄膜アクチュエータと磁気ヘッドとの距離が離れているため、縦1mm程度×横1.5mm程度×厚さ3.5μm程度とする。
【0050】
以上、本発明による磁気ディスク装置では、薄膜アクチュエータによって、磁気ヘッドと磁気ディスクの記録表面との間隙を正確に制御でき、磁気ヘッドによる磁気ディスクの記録表面の読み出し時または書き込み時に発生する信号を安定化させ、スライダの高精度化された位置制御を行うことができる。
【0051】
(付記1) 磁気ディスクと、ヘッド位置決め機構と、前記ヘッド位置決め機構の先端に取り付けられたサスペンションと、前記サスペンションの先端部に設置され、磁気ヘッドを搭載したスライダと、を有する磁気ディスク装置において、
前記スライダが設置された面と同一の前記サスペンション上であって、前記サスペンションの長手方向に設置された薄膜アクチュエータと、
を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
【0052】
(付記2) 前記サスペンション長手方向の前記薄膜アクチュエータの設置位置が、前記スライダよりも先端であることを特徴とする付記1記載の磁気ディスク装置。
(付記3) 前記サスペンション長手方向の前記薄膜アクチュエータの設置位置が、前記スライダよりも後方であることを特徴とする付記1記載の磁気ディスク装置。
【0053】
(付記4) 前記薄膜アクチュエータが、前記サスペンション上に20度から200度の温度範囲の薄膜プロセスにより形成されたことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
【0054】
(付記5) 前記低温薄膜プロセスは、水熱合成法またはエアロゾルデポジション法であることを特徴とする付記4記載の磁気ディスク装置。
(付記6) 前記薄膜アクチュエータが、前記サスペンションにて幅が他よりも細い部位に形成されることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
【0055】
(付記7) 前記薄膜アクチュエータは、圧電材料により構成されることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
(付記8) 前記圧電材料は、チタン酸ジルコン酸鉛またはマグネシウム酸ニオブ酸チタン酸鉛であることを特徴とする付記7記載の磁気ディスク装置。
【0056】
(付記9) サスペンションと、
前記サスペンションの先端部に、前記サスペンションと一直線状に配置されるスライダと、
前記スライダに取り付けられ、前記サスペンション上に接着されたプリント配線基板と電気的に接続される磁気ヘッドと、
前記サスペンションの最先端部の前記プリント配線基板上に、20度から200度の低温薄膜プロセスによって前記スライダと一直線上に形成される薄膜アクチュエータと、
を有することを特徴とするサスペンション。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明における磁気ディスク装置の概念図である。
【図2】第1の実施の形態における磁気ディスク装置の模式図である。
【図3】第1の実施の形態におけるサスペンションの先端部の拡大模式図である。
【図4】サスペンション上への薄膜アクチュエータの形成工程の断面模式図(その1)である。
【図5】サスペンション上への薄膜アクチュエータの形成工程の断面模式図(その2)である。
【図6】サスペンション上への薄膜アクチュエータの形成工程の断面模式図(その3)である。
【図7】第2の実施の形態におけるサスペンションの先端部の拡大模式図である。
【図8】従来の磁気ディスク装置の模式図である。
【図9】従来のサスペンションの拡大模式図である。
【符号の説明】
【0058】
1 磁気ディスク
2,4 モータ
3 アーム
5 サスペンション
5a プリント配線基板
6 スライダ
6a 磁気ヘッド
7 薄膜アクチュエータ
10 磁気ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクと、ヘッド位置決め機構と、前記ヘッド位置決め機構の先端に取り付けられたサスペンションと、前記サスペンションの先端部に設置され、磁気ヘッドを搭載したスライダと、を有する磁気ディスク装置において、
前記スライダが設置された面と同一の前記サスペンション上であって、前記サスペンションの長手方向に設置された薄膜アクチュエータと、
を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記サスペンション長手方向の前記薄膜アクチュエータの設置位置が、前記スライダよりも先端であることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記サスペンション長手方向の前記薄膜アクチュエータの設置位置が、前記スライダよりも後方であることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記薄膜アクチュエータが、前記サスペンション上に20度から200度の温度範囲の薄膜プロセスにより形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
前記薄膜アクチュエータが、前記サスペンションにて幅が他よりも細い部位に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−198321(P2008−198321A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35646(P2007−35646)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】