磁気パターニング法及びシステム
本発明は、基板をパターニングする方法及び装置に関する。本方法は、所定のパターンに従って磁場に可変磁気特性を生じさせる磁場を調節するように構成され、かつ操作可能である少なくとも一つの磁気パターン発生器を提供する段階と、基板の近傍に調節された磁場を印加し、得られるべき特定のパターンの相互作用領域を基板上部に生成する段階と、基板を磁気粒子と相互作用させ、調節された磁場の印加の下で、磁気粒子が特定のパターンによって規定される選択された相互作用領域に引き付けられ、一方で相互作用領域の外側の領域に実質的に引き付けられず、その結果基板の上部に磁気粒子と相互作用する特定の領域のパターンを形成する段階と、を含む。所定のパターンは所定の磁場プロファイルに関する、磁気パターン発生器からの所定の距離、ここにサンプルが配置される、における、特定のパターンに対応する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してパターニング法の分野に属し、磁気粒子を用いるパターニングに関する。
【0002】
以下の参考文献は、本発明の背景を理解する目的において関連性があると見なされる。
【0003】
【表1A】
【0004】
【表1B】
【背景技術】
【0005】
一般的なフォトリソグラフィを用いたナノデバイスの製造は、短い波長の放射線の適用及びフォトレジストとして使用することができる特別なポリマーの使用を必要とする。この方法は、工学及び材料科学における重要な課題を示す。解像度の観点からみた光学リソグラフィの現像は、解像度を、結果的には半導体ウェハ上のフィーチャの密度を、高めるという点では制限的な段階である[4]。しかしながら、フォトリソグラフィは最小フィーチャサイズをさらに小さくするという点で厳しい問題に直面している。フォトリソグラフィにおける臨界寸法を減少するということは、洗練された現像及び高価なシステムを必然的に伴い、将来的にはさらに高価な器具を必要とする[5]。
【0006】
表面の化学パターニングは多くの研究[1、6]において焦点となり、生物工学的な用途において幅広く使用される[7]。表面の化学パターニングは、STM及び/又はAFMに基づく高解像度、低処理量の技術から、様々な印刷ベースの方法まで[2、4−7、10]、及びフォトリソグラフィに基づくパターニング法まで[1]、様々な方法で実行される。ミクロ電子工学製造工程と化学パターニングとの両方を組み合わせることによって製造される装置が開発されてきた。生物工学用途に関して、様々なソフト−リソグラフィ法が開発されてきた[8,9]。これら全ての方法に共通する特徴は、ミクロパターン及びミクロ構造を形成するためのスタンプ、型、又は(リジッドフォトマスクではない)マスクとしてそれらがエラストマーを用いることである。しかしながら、これらの方法の殆どは、一段階に限られ、同じ表面における連続パターニングはアラインメントの問題に起因して非常に複雑である。さらに、化学パターニングに一般的に用いられる方法は、金属堆積、エッチングに関して、及び概して半導体ベースのデバイスの製造に関して補完的ではない。
【0007】
平行して、幾つかの異なる方法が、ミクロ電子工学用途のフォトリソグラフィにおける進歩を後押しした。それらの方法には、軸外照明(OAI)、光学近接効果補正(OPC)、浸漬フォトリソグラフィ、及び位相シフトマスク技術がある。OPC又は位相シフトを用いるフォトマスクは複雑であり、製造するには非常に高価である。
【0008】
殆どのミクロン及びサブミクロン製造工程は、トップダウン法に基づいており、フォトリソグラフィは高処理能力で表面をパターニングするのに必須の手段である[1]。表面の化学的パターニングを試みるとき、分子ベースのデバイスに関して、又はハイブリッド有機半導体デバイスに関して、さらなる化学的プロセスを汚染又は妨害する可能性があるフォトレジストによる被覆表面を必要とするため、フォトリソグラフィは問題を有する。さらに、フォトリソグラフィを化学パターニングと組み合わせるには、吸着溶液から基板を取り出すことが必要とされ、したがって基板は空気及び汚染物質に露出される。さらに、管の内側にパターニングすること、及び基板上での位置に応じて吸着される化学物質の濃度勾配を生じさせることは、現行のフォトリソグラフィ法では不可能である。
【0009】
マイクロスケールで化学種(例えば、化学試薬)又は生物学的作用物質(例えば、細胞物質、ポリマー、蛋白質、DNA等)を扱う能力は、多くの用途において重要である。そのような用途は、特に、組織工学、バイオテクノロジー、ミクロ分析、及びミクロ合成の分野である。用途に依存して、操作は、化学種の位置決め(例えばパターニング)、分離、及び/又は移送を含み得る。
【0010】
化学種を操作する方法の一つとして、磁気ベースのシステムの使用が挙げられる。目的とする化学種が磁気材料を含む、又は磁気材料に埋め込まれている場合があり(例えば、化学種を磁気ビーズでタグ付けすることによって)、化学種は磁場を用いて引き付けられ又は分離され得る。多くの場合には、化学種は基板上にパターニングされた磁気領域に向かって引き付けられる。その結果、化学種はこれらの磁気領域によって画定された基板上にパターンを形成し得る。
【0011】
溶液中で起こる一般の化学的処理と、インビボでの化学反応との間の重要な相違は、生物学的システムに典型的な連続処理にある。すなわち、インビボでは、連続して起こる反応において空間及び時間が分離され、一方でインビトロでは、一連の処理を実行するために、反応物と生成物とを物理的に分離しなくてはならない。しかしながら、この相違は、Lab−on−a−chip(LOC)の概念が導入されたとき、克服された。LOCにおけるミクロ−トータル分析システムに関連する微小流体技術[11]は急速に発展してきており、化学、製薬、ヘルスケア、及び食品工業において疑いなく革命をもたらす[12]。典型的なLOCシステムでは、ミクロチャネルが、ほぼ共通のかつ必須の部品の一つであり、それを通じて、サンプルの予備濃縮及び分離又は混合を実施することができる。最終的に、対応する反応及び検知といった課題を実行するため、これらの処理の結果物は所定の領域に運ばれてよい[13]。ここで、典型的なLOC要素は二つのタイプの部品、すなわちミクロチャネル、及び反応/検知区画を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2009/113063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、「ボトムアップ」法に基づく、磁気粒子を使用する新規のパターニング技術を提供する。幾つかの既知の方法が磁場の使用を通じて化学種及び/又は生物学的種の位置決めを可能にする一方で、これらの既知の方法が、基板内に又は基板上に作製された磁気部品を典型的には必要とすること、及び/又は目的である化学種が磁気材料を含む、又は磁気材料に埋め込まれることを必要とすることが理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一般的に知られる「ボトムアップ」化学リソグラフィ法が、高価であり得る、及び収量を低減する欠陥を導入し得る、非常に高度な並列処理によって克服され得る比較的低い処理能力を有することに留意されたい。そのようなミクロコンタクトナノリソグラフィの様々な「印刷」スキームが開発されてきており[2]、実際高い処理能力に調整されることができるが、通常単一段階の製造に制限され、表面との接触を含み、これは他の化学処理に影響する可能性がある。ナノコンタクトプリンティング及びナノインプリンティングリソグラフィ[9]等の他の平行リソグラフィ法とは対照的に、本発明のマグネトリソグラフィ(Magneto Lithography、ML)法は、裏面リソグラフィ(backside lithography)法であり、高精度のアラインメントを有し、かつ全ての層に関して同じ効率を有する多層を製造が容易であるという利点を有する。
【0015】
したがって、本発明は基板をパターニングする方法を提供する。本方法は、所望のパターンに従って磁場を調節するように構成されかつ操作可能である(すなわち、磁場に対して可変磁気特性を生じさせる)、少なくとも一つの磁気パターン発生器を提供する段階、調節された磁場を基板近傍に印加して、その結果基板上部に得られるべき相互作用領域の特定のパターンに対応する磁気特性の所望のパターンを有する磁場を生成する段階、及び基板と磁気粒子とを相互作用させる段階とを含み、一方で磁場の印加の下で、磁気粒子は特定のパターンによって定義される選択された相互作用領域に引き付けられ、また、相互作用領域の外側の領域には実質的に引き付けられず、その結果基板上部に磁気粒子と相互作用する特定のパターンの領域を生成する。所望のパターンは、磁気パターン発生器からの所定の距離において(ここにサンプルが配置される)、所定の磁場プロファイルに関する特定のパターンに対応する。
【0016】
本発明の教示によれば、磁場が基板に印加され、磁場プロファイル(強度)は基板平面内で所定の方法で変化する。これは、所望のパターンに従ってその上に印加される磁場の磁気変化特性を提供する、少なくとも一つの磁気パターン発生器を用いることによって実現され得る。
【0017】
磁気パターン発生器は、物理的エレメント、又は磁場源とパターニングされる基板との間に収容されるエレメントを含んでよく、又は磁場特性(プロファイル)に電子的に影響するように磁場源の操作によって構成されてよい。その結果、ある実施形態では、磁場発生器は、磁場を生成する磁石(磁場源)と基板との間に配置されるマスクであり、このマスクは基板の上面又は背面のどちらかに配置されるか、又は基板の背面から離隔される。
【0018】
他の実施形態では、磁気パターン発生器はコンピュータにおいて使用されるハードディスク装置の原理に基づき、磁気ヘッドを用いて磁気の方向を変えることによって、磁場の空間的なパターンを電子的に得ることを可能にする。この場合、ハードディスク装置内に存在するものと同じ磁気ヘッドが、磁気媒体上部に、特にハードディスク媒体上部に、磁場をパターニングするために使用される。これは、パターン(例えば、コンピュータのスクリーンにパターン形成された図)を、例えばハードディスク媒体等、磁気媒体上部の磁気形状に翻訳するソフトウェアを用いることによって実行され得る。ハードディスク媒体は、その後ハードディスクドライブから取り出され、磁気パターン発生器として使用される。その後金属薄膜又はポリマー薄膜がパターン形成されたハードディスク媒体上部に堆積されてよい。その後磁気ナノ粒子は、ハードディスク媒体が磁気パターン発生器として使用される、本発明の教示によるネガティブ又はポジティブマグネトリソグラフィのどちらかを適用する薄膜を被覆するために使用されてよい。薄膜をパターニングした後、フィルムは取り除かれ、ハードディスクは再利用することができる。
【0019】
したがって、ある実施形態では、磁場の印加は磁気媒体を通じて実施される。この方法は、それによって磁気媒体上に磁場の空間的パターンを電子的に得るために、磁場の方向を制御可能に変える段階、パターン形成された媒体上に膜を堆積する段階、磁気粒子を備える膜によって被覆された磁気媒体を相互作用させ、その結果磁気媒体の上部にパターン形成された膜を形成する段階、を含む。磁場の空間的パターンを電子的に得る段階は、磁気媒体上において所定のデータパターンを磁気形状に翻訳するためのコンピュータアルゴリズムを使用する段階を含む。
【0020】
装置は、基板上に得られるべき特定のパターンに対応する磁場の空間的パターンを発生するように磁気パターン発生器の操作を制御するために構成されかつ操作可能である制御ユニットを含んでよい。制御ユニットは、磁気媒体上で所定のデータパターンを磁気プロファイルに翻訳するため予めプログラムされたプロセッサを含んでよい。
【0021】
マスクは、磁場の空間的パターンを電子的に得ることを可能にする、磁気媒体上部で磁場の磁気の方向を変えるための、制御ユニットによって操作可能である、磁気源によってパターン形成される磁気媒体を含んでよい。磁気媒体は、ハードディスク媒体を含んでよい。
【0022】
磁場プロファイルは、例えば基板に垂直に印加される永久磁場を用いることによって、結果的に基板上にパターン形成される。磁気粒子は磁場の影響を取り除くことによって、取り除かれる。
【0023】
例えば、磁気パターン発生器は、印加される場の空間分布及び形状を画定する磁気マスク(例えば、常磁性金属マスク又は反磁性マスク)である。これは、磁気粒子との相互作用を可能にする、基板から離隔された領域のパターンの生成をもたらす。磁気粒子は強磁性体ナノ粒子であってよい。
【0024】
その後、磁気(ナノ)粒子(NP)は、マスク(例えば、マスクによって誘起される場に従う基板上に存在する)によって誘起された場に従って基板と相互作用し、結果的に基板材料と粒子との間の離隔された相互作用領域の、基板の上部表面にパターンを形成する。磁場が、磁気ナノ粒子を表面と垂直の方向に向けて制御する能力を有することに留意されたい。この実施形態において、ナノ粒子は基板に化学的に結合していないが、磁場によって適切な位置に保持される。ナノ粒子は、従来のフォトグラフィにおいてフォトレジストが行うのと同じ役割を果たし、一方で、フォトグラフィプロセスとは対照的に、本発明のML技術においては、被覆、エネルギーへの露出、及びレジストの現像が、単一の操作で生じる。処理、すなわち堆積又はエッチングの後、ナノ粒子は洗浄により除かれる。
【0025】
ある実施形態では、パターン形成された表面のフィーチャ(すなわち解像度)がマスクのフィーチャ(すなわち解像度)を超える。本発明の方法は、その方法が非平衡状態で、短時間、磁気ナノ粒子の濃度が低い状態で使用されるとき、その幅がマスクのライン幅と比較して狭いパターンも提供する。これは、マスクによって画定されるライン幅内の磁場勾配に起因する。ナノ粒子に印加される力が磁場勾配及びナノ粒子の磁気双極子モーメントに依存するので、マスクのラインと比較して薄い、基板上にパターニングされたラインを得ることが可能である。したがって、磁気粒子の濃度勾配と相互作用する領域のパターンは、対応する磁場勾配の特徴的寸法と比較して狭い特徴的寸法を有して、パターン形成された基板のフィーチャが磁気パターン発生器によって生成される磁場特性のパターンのフィーチャと比較して小さいようにする。パターン形成された基板のフィーチャは、サブミクロンスケールであってよい。ある実施形態では、磁気粒子のサイズ及び対応する磁場は、均一なパターンを得るように選択される。フィーチャ及びパターンの均一性は、磁場の印加の時間及び磁気粒子の濃度を適切に選択することによって、制御される。
【0026】
したがって、本発明は、表面の性質が位置に応じて徐々に変化することができるように、吸着質の密度勾配の生成のためにも提供される。例えば、表面は徐々に疎水的にされ、疎水的相互作用の勾配が10nmからmmのスケールまで変化できるようにする。これは、表面に磁場勾配を印加することによって実現することができる。その結果、もしも処理時間が制御される場合、ナノ粒子の密度勾配が得られる。その後、例えば、タイプAの分子がナノ粒子間に吸着され、ナノ粒子の除去の後、タイプBの分子が、粒子が存在しなくなった領域に吸着される。その結果、分子A及びBの密度の変化が磁場勾配に従って得られる。その結果、ある実施形態では、本発明の方法は、磁場勾配を基板近傍に適用する段階、基板を磁気粒子と相互作用させる段階、磁場勾配の強さと対応する磁気粒子の濃度勾配と相互作用された領域のパターンを形成する段階を含む。
【0027】
フォトリソグラフィと同様に、本方法はポジティブ正又はネガティブアプローチ/モードのどちらかの適用のために使用することができる。磁気粒子と相互作用させる領域のパターンは、ポジティブ及び/又はネガティブのリソグラフィを用いて、結果的に基板上に形成されてよい。
【0028】
ある実施形態(すなわち、ポジティブモード)では、磁気粒子は基板との化学認識及び/又は生物学的認識を通じて、基板と化学反応又は相互作用する。したがって、磁気粒子は、マスクが磁場を誘起する、選択された位置において固定され、パターン化された基板をもたらす。他の実施形態(すなわち、ネガティブモード)では、磁気粒子は基板に対して不活性であり、基板上の選択される相互作用領域を反応剤との反応から遮断する。その結果、相互作用領域の間の空間内で特定の反応剤がさらに基板に適用され得る。この場合、磁気粒子は基板と化学的に相互作用せず、一度基板をパターニングすると、それらは基板上のサイトを塞ぐ。粒子によって被覆されていない露出された領域は、基板に化学結合する分子で覆われることができる。
【0029】
ある実施形態では、基板は自己組織化単分子層で機能化される。
【0030】
ある実施形態では、本方法は、反応剤と基板との相互作用を含み、磁気粒子は反応剤が基板に結合するのを妨げ、磁場の影響を除くことによって磁気粒子を除去して、ネガティブにパターン形成された基板を形成する。
【0031】
磁気粒子は、磁気パターン発生器を物理的に移動することによって除去されてよい。これは、超音波処理及び洗浄のような他の除去方法と組み合わせて用いることもできる。
【0032】
ある実施形態において、本方法は、化学認識及び/又は生物学的認識を通じて、第1の反応剤を基板と相互作用させる段階、第1の反応剤で被覆された基板を、選択された相互作用領域に引き付けられる磁気粒子と相互作用させる段階、第2の反応剤を基板と相互作用させる段階、磁気粒子が第1剤と第2反応剤との間の認識を妨げ、磁気粒子を除去しネガティブにパターン形成された基板を形成する段階を含む。
【0033】
他の実施形態において、本方法は第2の所望のパターンに従ってその上に磁場の特性を変える磁気を提供するように構成されかつ操作可能である第2の磁気パターン発生器を提供する段階、第2の磁気パターン発生器を通じて特定のパターンで基板近傍に磁場を印加して、その結果基板上部に磁場の第2のパターンを形成する段階、及び磁気粒子を基板と相互作用させ、一方で磁場の印加の下で、粒子が第2の所定の磁気パターンによって規定される第2の選択された相互作用領域に引き付けられ、特定のパターンで基板上において粒子と相互作用する第2の離隔された領域のパターンを形成する段階を含む。
【0034】
本発明によれば、離隔された相互作用領域のそのようなパターンの生成がマスクと基板との間のどのような物理的接触も必要としないこと、及び基板上にどのような表面の凹凸も形成しないことは理解されるべきである。マスクは非平面表面を有してよい。相互作用パターンを形成する磁場パターンは基板近傍に適用される。相互作用パターンは、気体(空気)又は溶液であってよい媒体内部で基板に適用されてよい。基板は、磁気粒子及び/又は一つ以上の反応剤を含む溶液に浸漬されてよい。
【0035】
本発明は、サブミクロンの解像度で化学的にパターニングされた表面を可能にする。基板を汚染する可能性があるレジストを必要とせず、結果的に表面汚染の問題と向き合うことなく、又は溶液から基板を取り出すことなく、大きな表面の迅速なパターニングを可能とするので、本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法は化学表面パターニングを簡素化する。さらに、本発明のML法は表面トポロジー及び平面性に依存せず(すなわち、表面のトポロジー又は平面性によって影響されない)、したがって粗い表面上で実行することができ、以下にさらに詳細に述べるように、管の内側の化学パターニングを可能にする。
【0036】
本発明の技術によれば、磁気粒子も磁気マスクも基板上に吸着される材料の一部及び基板の一部ではない。また、本発明は、化学リソグラフィの、同様にフォトリソグラフィの材料堆積/除去法により(容易に)実現可能ではない、管の内側表面のパターニング等、パターン形成表面を提供する。基板は非平面表面、特に管であってよく、所定のパターンで画定される管の内側表面上の選択された相互作用領域において粒子が引き付けられ、基板の内側表面において粒子と相互作用するパターン領域を形成する。磁気マスクが使用されるので、高い製造処理量を有することが可能である。他のリソグラフィ法とは異なり、この方法は裏面リソグラフィとしても使用することができ、層の数にかかわらず、高精度のアラインメントを有する、及び全ての層に対して同じ効率を有する、多層を製造することが容易であるという有利な点を有する。さらに、この方法は、溶液から基板を取り出すことなく、多段階プロセスの形成を可能にする。この特徴は、反応物が制御された条件で保持されなくてはならないとき、生物関連用途において有利である。このように反応剤は生物学的分子を含んでよい。したがってポジティブ及びネガティブMLは、小さな又は大きな分子で、又は化学的環境に敏感である生物学的分子で、幅広いパターン形成表面において使用することができる。
【0037】
ある実施形態において、マスクは反磁性のラインでパターニングされることができ、これは外部から印加された磁場とは対照的に、磁場を形成する。マスクは、基板上に任意の必要とされる磁場を形成するために反磁性及び常磁性ラインの両方を含んでよい。
【0038】
上述のように、本発明は有利に管の内側に化学パターニングを提供する。これは、管が、通過する特定の反応剤の分子が磁気粒子によって被覆されていたその領域内部で内側表面と順次反応することができる、逐次リアクタとして動作することを可能にする。この目的で、表面領域に引き付けられる磁気粒子を保持する磁場は、管の連続する領域に順次印加される。
【0039】
上述の方法(基板を特定の時間エッチャー内に配置し、粒子と相互作用する領域のパターンがエッチングマスクとして使用され、磁場の効果を除くことによって磁気粒子を取り除き、それによってエッチングされた領域のパターンを形成する)を含むミクロ電子デバイスの製造方法も提供される。エッチングされた領域のパターンは、基板上のパターンのフィーチャサイズが磁気パターン発生器により生成されたパターンのものと比較して小さくなるように、磁場の勾配の対応する特徴的な寸法と比較して狭い特徴的な寸法を有する。
【0040】
さらに、本発明はミクロチャネル及び反応区画の二つの要素の、第3のタイプの要素であるチューブリアクタへの、一体化を可能にし、これは双方の性質を組み合わせる。これは、マグネトリソグラフィ(ML)法を使用することによって実行され、ミクロチャネル管内部の化学パターニングを可能にする。したがって、本発明は、特にLOCのための高効率のリアクタとして小さな直径の管を用いるとき、管の内側表面の化学的、及び生物化学的パターニングを可能にする。LOC機能は、ミクロチャネル内で実施することができ、それによって製造時間を短縮し、処理されなくてはならない材料の量を低減する。新しい要素(すなわち、チューブリアクタ)は、非常に簡単なかつ安価な技術を適用することによって、逐次的な処理の実行を可能にする。管の内側を酵素又は反応物でパターニングすることによって、管は、その中で溶液中の基板が管の内側表面に予め吸着された分子と反応する、輸送要素及びリアクタの双方として使用することができる。
【0041】
ある実施形態において、本発明は基板の連続する領域に連続的に磁場を印加する段階を含む。
【0042】
他の実施形態では、導電性ワイヤのアレイがマスクとして使用されてよい。電流がワイヤを通って流れるとき、磁場がその近傍に生成される。電流を順次スイッチングすることによって、一段ずつマスクの異なる領域に粒子を吸着することが可能である。これはいわゆる「ダイナミックマスク」であり、ワイヤを通って流れる電流によって誘起される磁場が十分であるため磁場の印加が不要であるか、又は、ワイヤを通って流れる電流を通じてさらなる場を印加することによって磁場を交互に入れ替えるために永久磁場と組み合わせて使用することができる。本発明の方法は、順次のパターニングを誘起する磁場を切り替えるため、ワイヤ上の電流を順次スイッチングする段階を含んでよい。
【0043】
さらに、上記説明のように、従来技術において、高解像度(すなわち、数十ナノメータのスケール)、ミクロ電子デバイスの高い処理量での製造、並びに別個の処理としての又は組み合わせた処理としての化学パターニング用途のために使用される単一のパターニング法を提供する必要性がある。全てのタイプの表面パターニングに関して同じ方法を使用できる能力は、電子工学と化学/生物学的認識プロセスとを組み合わせる用途に関する製造プロセスを簡素化する。
【0044】
本発明のML法は、エッチング及び堆積及び/又はイオン埋め込み処理等、共通のミクロ電子工学プロセスに適用され得る。
【0045】
3次元マスクの使用によって、高密度パターン形成表面を得ること、及び様々なパラメータの調整を是正すること、及び従来のフォトリソグラフィ法で可能であるものに匹敵する又はそれよりも小さい臨界寸法を提供することを可能にする強い磁場と共にサブ−10nm直径の磁気粒子を使用すること、が可能である。結果的に、この方法は、現在の臨界サイズ(光学リソグラフィのパラメータによって制限されない)と比較して小さいサイズを有するミクロ電子デバイスの生成、及びサブ−100nm解像度を有する化学及び/又は生物学的材料の表面パターニングを可能にする。逐次処理が用いられてよく、非平面表面に適用することができる。
【0046】
磁気ベースリソグラフィ法に関して以前報告されたように、本発明のML技術が磁気デバイスの製造に制限されないことに留意されたい[10]。
【0047】
本発明は、その広義の局面の一つとして、上述の方法によって製造されたパターン形成構造も提供する。本発明の他の広義の局面によれば、基板をパターニングするための装置が提供される。装置は、磁場を生成するための磁場源、及び基板上に得られるべき特定のパターンに対応する所望のパターンに従う磁場の磁気可変特性を提供するため磁場を調整するよう構成された少なくとも一つの磁気パターン発生器を含む。
【0048】
ある実施形態において、磁気源はマルチ−ペグ磁石、又は管状である基板を囲む磁石である。管は、チューブリアクタとして構成され、かつ操作可能であり、チューブリアクタ内部で順次反応を実行することが可能である。ある実施形態において、本発明は、空間的に局所化された領域での溶液反応において反応を触媒するようにパターン形成された基板を使用する能力を提供する。第1反応剤は、触媒を含んでよく、触媒のパターン形成された領域を形成し、それによって空間的に局所化された領域内の少なくとも一つの化学反応を触媒するためにパターン形成された基板を使用する。触媒は、化学反応が酵素反応であるように、酵素を含んでよい。第1反応剤は第1酵素を含んでよく、第2反応剤は第2酵素を含み、それによって順次の酵素反応を生じさせてよい。特に、本発明のML法を用いることによって、サブ−100nmの解像度で表面上の所定の領域に蛋白質を局在化させることが可能である。触媒がパターニングされた領域は、このように所定のスポットに含まれてよい。これは、親水性の単分子層で覆われた平坦な金表面上部への、疎水性の単分子層のラインの自己組織化に関してネガティブMLを使用することによって、実行され得る。
【0049】
本発明を理解し、実際にはどのように実施され得るかを見るために、非制限的な例示のみにより、添付される図面を参照して、実施形態が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1a】本発明の磁気パターニング法の概略図である。
【図1b】ポジティブ及びネガティブ法に関する本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法の概略図である。
【図2A】図2a;本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法で用いられるライン間に20μmの空間を有するラインパターンマスクを示す。図2b;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2c;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2d;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2e;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。
【図2B】図2f;本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法で用いられるライン間に20μmの空間を有するグリッドパターンマスクを示す。図2g;図2fのグリッドパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2h;図2fのグリッドパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。
【図3】鉄リングマスクを用いるガラス基板上のビオチンアビジン単分子層の組織化に関する、本発明の教示に従うネガティブML法を説明する概略図である。
【図4a】ガラス基板上に吸着されるAv−FITC分子の蛍光を説明し、同心円状の暗いリングパターンは磁気ナノ粒子が図3のネガティブML法を用いて遮断される領域である。
【図4b】基板が磁場のない状態で図3のネガティブML法を用いてAv−FITCに露出された後の、外側のリングパターン消失の後の蛍光を説明する。
【図4c】図4a及び4bに示される点線に沿った蛍光強度のプロファイルを示す。
【図5】疎水性/親水性単分子層による金コーティングシリコンのパターン形成に関する本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法の概略図である。
【図6】水滴で測定された減少する接触角(CA)の間の比較、及び、単分子層で被覆された基板がGFP溶液に浸漬された後、GFPから測定される510nmにおける蛍光強度を説明するグラフである。
【図7】図7a;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、50μgml−1の磁気ナノ粒子の吸着及び基板の磁場への2分間の露出の後に得られたものである。図7b;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、5μgml−1の磁気ナノ粒子の吸着及び基板の磁場への2分間の露出の後に得られたものである。図7c;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、GFPの均一な30nmライン幅パターンのSEM像である。図7d;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、図7cで示されたラインの3次元イメージである。
【図8a】ライン幅が、マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に対応する距離である磁気マスク上の磁場分布を説明する。
【図8b】マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に対応する距離において最も高強度の磁場を有する場所を示す。
【図9】エッチング及び堆積プロセスを含む本発明のML法の概略図である。
【図10】図10a;エッチングに使用されるコバルトの100nm厚さの層で完全に覆われた3次元マスクの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。図10b;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。図10c;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。図10d;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。
【図11】図11a;コバルトラインの常磁性の10nm厚みの層が、磁場分布を規定するために使用される平面マスクのSEM像である。図11b〜c;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。
【図12】図12a〜d;様々な濃度を有するナノ粒子の溶液に5分間基板を露出した後、エッチングプロセスによって得られたパターンのSEM像である。
【図13】図13a;本発明の方法を用いる、Crを50nm堆積した後に得られたSEM像であり、磁気ナノ粒子での基板のパターニングに用いられるマスクのSEM像である。図13b;本発明の方法を用いる、Crを50nm堆積した後に得られたSEM像であり、マスクによって誘起される場に従って基板上部に集合した後の磁気ナノ粒子のSEM像である。図13c;図13bに点線の円で示した一つのサイトに集合したナノ粒子のSEM像である。図13d;ナノ粒子が取り除かれるリフトオフ処理の後に得られた構造のSEM像である。図13e;ナノ粒子が取り除かれるリフトオフ処理の後に得られた構造のSEM像である。
【図14a】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、金基板上のパターンの光学顕微鏡像である。
【図14b】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、金基板上のパターンのSEM像である。
【図14c】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、高解像度パターニングでの同じSEM像である。
【図14d】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、高解像度パターニングでの同じSEM像である。
【図15a】本発明の教示によるポジティブMLを使用したことによる管内部表面のパターニングを記述するフローチャートである。
【図15b】図15aのポジティブMLによってパターン形成された管内に吸着されたナノ粒子の二つのバンドから観察されたフルオレセイン及びスルホローダミンの双方の蛍光を示す像である。
【図16a】本発明の教示によるネガティブMLを使用したことによる、管の内部表面の段階的な表面パターニングを記述するフローチャートである。
【図16b】図16aのネガティブMLによってパターン形成された管から得られた蛍光のイメージである。
【図17a】管内にMLを適用するためのマルチペグ磁石を記述する概略図である。
【図17b】ネガティブMLを用いて酵素ウレアーゼでパターン形成された図17aの管を示す。
【図17c】指標の色の変化から得られる、管に沿ったpHの変化を示す。
【図18a】管の内部表面上で蛋白質グルコースオキシダーゼ(GOx)及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)をパターニングすることによって得られた管内部の逐次酵素反応の概略的な説明である。
【図18b】暗い領域として示される逐次反応から得られる、関与するオキシデートテトラメチルベンジジン(TMB)のイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
基板をパターニングするための本発明の装置を例示する図1aが参照される。装置1000は、磁場を生成するための磁場源100A、及び一つ以上の磁気パターン発生器を含み、単一のそのような発生器100Bが図中に示される。磁気パターン発生器100Bは、所望のパターンに従って磁場に磁気可変特性を与えるため、磁場を適切に調節するように構成される。磁気パターン発生器100Bは、物理的要素、すなわち静的マスク(例えば磁気マスク、又は予めパターン形成されたハードディスク媒体)、又は磁場プロファイルの変化を誘起する電子モジュレータ、すなわち、いわゆる「動的」又は「仮想」マスク、を含んでよく、又はそれらによって構成される。その結果、磁場源100A及び磁気パターン発生器100Bは、基板上に得られるべき特定のパターンに対応する所望のパターンに従って調節された磁場を生成するために、互いに動作することができる。
【0052】
同様に制御ユニット100Cが装置1000に提供されるのが好ましい。これは、典型的にはコンピュータシステムであり、とりわけデータ入力/出力ユーティリティ、データ処理及び解析ユーティリティ、及びメモリユーティリティを含む。例えば、動的又は仮想マスクの場合、制御ユニット(すなわちそのプロセッサ)は所定のデータパターン(メモリユーティリティに保存される)を、基板(例えば磁気媒体上の中間パターン上部に堆積される膜(例えば予めパターニングされたハードディスク媒体))上に特定のパターン(形状)を形成する磁場プロファイルに翻訳するために動作する。
【0053】
本発明のポジティブ及びネガティブMLプロセスの双方に関する、特定の、ただし非制限的な例を示す図1bが参照される。本方法は以下のように実施される。
【0054】
段階1において、磁場パターンは「化学的にパターン形成される」基板102の近傍に生成される。この例では、これは基板102の裏面、すなわちパターン形成される表面とは反対側の表面、に配置される磁気マスク100を用いることによって実施される。マスクは、上述のような相互作用領域のパターンに従って構成される。マスク100の下方に設置される磁石104(例えば永久)によって生成される磁場は、印加される場の空間分布及び形状を画定するマスク100を通じてその後基板102に印加される。その結果、マスク100はマスクのパターンを介して基板102に向かって磁場を誘起する。段階2において、強磁性ナノ粒子(NP)106は、マスク100によって規定される場に従って、基板102と相互作用する。この例において、前記相互作用は、基板102上部への粒子の堆積を通じて実現される。
【0055】
ポジティブ法(段階4)において、強磁性ナノ粒子106は、基板12と化学的に反応するか、又は化学認識を介して相互作用する。したがって、強磁性ナノ粒子106は、マスク100が磁場を誘起する、選択された位置(相互作用領域)においてのみ固定され、パターン形成された基板をもたらす。
【0056】
ネガティブ法(段階3、5)においては、強磁性ナノ粒子106は基板102に対して不活性である。したがって、段階3に説明されるように、それらが一度基板102上に堆積されると、ナノ粒子106は基板102上のそれらの結合サイトが他の反応剤108と反応することを妨げる。反応剤108の吸着の後、ナノ粒子106は取り除かれ(段階5)、ネガティブにパターン形成された基板102をもたらす。
【0057】
磁気粒子と基板との間の相互作用が、磁場の効果を除いた後に中断されることに留意されたい。これは、磁気マスクを基板から物理的に引き離すことによって(例えばマスク領域が強磁性である場合)、又は静的に取り付けられたマスクを通じて印加された磁場をオフに切り替えることによって(例えばマスク領域が常磁性である場合)、実行することができる。
【0058】
ジチオール(1−4ベンゼンジメタンチオール)の自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板が使用される、本発明の教示を用いるポジティブMLパターニングの、特定の、ただし非制限的な例を説明する図2a−2hが参照される。コバルトマスクは、基板の磁場パターニングのために製造された。コバルト超結晶を生成するために、コバルトナノ粒子(NP)の集合体を磁場によって誘起することができることに留意されたい[3]。二つのマスクが使用された。一つはラインでパターン形成され(図2a)、他方はグリッドでパターン形成され(図2f)、双方はライン間の空間が20μmである。100Gの磁場は、永久磁石によってコバルトマスクを通じて誘起され、一方で基板はFeO4ナノ粒子(直径10nm)溶液内部で15分間浸漬された。その後マスクは取り除かれ、基板は洗浄された。FeO4ナノ粒子が表面に露出するチオール基と反応するので、ポジティブMLの結果は基板上のマスクパターンのコピーである。磁場との相互作用に起因して、ナノ粒子は、場が最大である表面サイトに選択的に引き付けられ、これらの場所において単分子膜のチオール官能基と反応する。これらのイメージは、それらの間に20μmの空間を有する1−5μm幅のラインを示す。堆積時間を注意深く調節することによって、マスクのライン幅と比較して狭い幅を有するパターンを得ることができることは理解されるべきである。これは、マスクによって規定されるライン幅内の磁場の勾配に起因する。磁場は、端部と比較して中央部で強い。結果として、ナノ粒子は最初にラインの中央部で組織化される。
【0059】
本発明のネガティブML法は、幾つかの方法で実行することができる。例えば、磁気ナノ粒子はガラス基板にビオチン分子を結合することによって遮断することができ、又は、その代わりに、ビオチン単分子層の基板上への吸着が磁気ナノ粒子によって遮断され、その後磁気ナノ粒子がビオチン−アビジン生物学的認識プロセスを遮蔽するため使用されることができる。
【0060】
トリメトキシアミノシラン105及びFeO4ナノ粒子106を含む溶液中で、ガラス基板102がリング形状にパターン形成された磁気マスク100に露出される、ネガティブML法を例示する図3が参照される。段階1において、磁気ナノ粒子106は、磁場がより強いサイトに引き付けられ、これらの場所(すなわち、相互作用領域)を溶液中のアミノシラン105との反応から保護する。FeO4ナノ粒子106はガラス基板に対して不活性であり、したがって、基板に対するトリメトキシアミノシランの化学吸着と比較して迅速に、磁場によって基板の選択された領域に引き付けられる。したがって、溶液中にトリメトキシアミノシラン及びFeO4ナノ粒子の混合物を提供することが、この例において可能である。結果的に、不活性のFeO4ナノ粒子106は、リング状にパターン形成されたマスクによって印加される磁場に従って、ガラス基板102上部に組織化される。このプロセスは、表面のナノ粒子106で覆われていない場所の選択的なシラン処理(silanization)をもたらす。磁気ナノ粒子106は未処理のガラス基板に対して不活性であるため、磁気マスク/場(段階2)が除かれた後で、それらは表面から(例えば、洗浄又は空気流によって)取り除くことができる。次の段階(段階3)で、基板は、アミノ官能化パターン形成表面と反応するNHS−ビオチン107(N−ヒドロキシ−スクシンイミド−ビオチン)でビオチニル化された。
【0061】
パターン形成の多段階における本発明の方法の成功を実証するために、調製されたビオチニル化されたガラス表面は、リング状パターンを有する第2の磁気マスク100’に曝された。第2のリング形状パターンを有する磁気マスク100’は前述のリング形状マスク100と比較して大きく、同心円である。基板102は、その後フルオロフォアでラベルされたアビジン(Av−FITC)110及び磁気ナノ粒子106の溶液に曝された(段階4)。また、磁気ナノ粒子106は、リングパターンを有するマスクによって印加される磁場によって引き付けられ、結果的にリングとして組織化された。したがって、ナノ粒子106の下方のビオチン基107は保護され、Av−FITC110とは相互作用しなかった。このネガティブMLプロセスの結果は、二つの共通の中心を有するリングを有するパターン形成された表面である。内側のリングは、分子と基板との反応が妨げられるネガティブMLを表し、一方で、外側のリングは、既に吸着された分子と溶液中の分子との間の相互作用を妨げる。磁気マスク100’を取り外すことにより磁気ナノ粒子がリングサイトから離れる(段階5)ので、第2のネガティブML法は可逆である。したがって、これらのサイトのビオチン基107が脱保護され、溶液中のAv−FITC分子110がビオチン基107と相互作用することができる(段階6)。しかしながら、ガラス基板に直接吸着している間にネガティブMLが実施されるときは、この限りではない。
【0062】
同心円状の暗いリングパターンが磁気ナノ粒子が遮断される領域である、図3に説明されるネガティブML法において、ガラス基板上に吸着されるAv−FITC分子の蛍光を説明する図4aが参照される。内側のリングは、ガラス基板に対するビオチン分子の結合を妨げる磁気ナノ粒子によって形成され、一方で、外側のリングはビオチン−アビジン生物学的認識プロセスを妨げる磁気ナノ粒子によって形成された。
【0063】
図4bは、磁場がないときのAv−FITCに対する基板の露出後の、外側のリングパターンの消失に続く蛍光を説明する。
【0064】
図4cは、図4a及び4bに示される点線に沿った蛍光強度のプロファイルを説明する。(a)の点線に沿った強度プロファイルは、線200で示される。領域202は、磁場がない状態でAv−FITCに基板を露出した結果として外側のリングが消失した後の、(b)の点線に沿った強度プロファイルを表す。パターンに沿った蛍光強度プロファイル(点線)は、磁気マスクがない状態でAv−FITCで処理された後でさえ暗いままである、内部のリングパターンに見られるような、ネガティブMLプロセスの非可逆的性質を説明する。内側のリングはAv−FITCの無視し得る、非特異性の吸着を示し、これはネガティブMLによって生じるこの領域におけるビオチン基の欠落を証明する。それに対して、外側のリングパターンは、磁場がない状態でAv−FITCに基板を露出した後消失する。これは、予め吸着されたビオチン分子が、磁場を除いた後で、ナノ粒子を取り除くことによって、脱保護され、Av−FITCと結合することが可能となるためである。したがって、このプロセスは可逆である。
【0065】
本発明のML法のネガティブモードを使用する疎水性/親水性単分子層による金コーティングシリコン基板のパターニングを説明する図5が参照される。疎水性分子のラインは、親水性分子で覆われた表面上にパターニングされた。その後、表面はGFPに露出され、洗浄された。一連の200nm厚みの金基板は疎水性/親水性試薬の混合物からなる自己組織化単分子膜で被覆された。金基板の疎水性を徐々に変化させるために様々なモル分率の疎水性/親水性試薬が使用された。
【0066】
磁場パターンは、基板102の裏面、すなわちパターニングされる表面の反対側の表面、に配置される磁気マスク100を用いて基板102の近傍に生成される。マスク100の下に設けられた永久磁石104によって生成された磁場が、その後印加される場の空間分布及び形状を規定するマスク100を通じて基板102に印加される。結果的に、マスク100は、マスクのパターンを通じて、基板102に向かって磁場を誘起する。段階1において、不活性強磁性ナノ粒子(NP)106(例えば、トルエンに溶解された、直径10nmのFe3O4)が、マスク100によって規定される場のプロファイルに従って、金基板102(例えば、電子ビーム蒸発装置により200nmの高品質の金の層で被覆されたシリコン基板(厚み300μm))に引き付けられる。この例において、そのような相互作用は基板102上への粒子の堆積を介して実施される。次に、ヒドロキシルヘッド基を備える、親水性剤/試薬150、11−メルカプト−1−ウンデカノール(11MUD=HS−C11OH)が、ナノ粒子によって被覆されていない場所において基板上に自己組織化される(段階2)。ナノ粒子106は、基板102上のそれらの結合サイトを、親水性反応剤150との反応から遮蔽する。親水性反応剤150の吸着の後、段階3において、磁気マスク100は取り外され、基板102は磁気ナノ粒子106を取り除くために超音波処理及び洗浄される。その後、段階4において、疎水性反応剤152、ヘキサデカンチオール(HDT=SH−C15CH3)が、基板102上の、ナノ粒子106によって予め被覆された領域に吸着される。この特定の、かつ非制限的な例において、双方の分子、HDT及び11MUDは、エタノールに溶解される(10mM溶液)。吸着時間は、室温で3時間である。疎水性反応剤のパターニングを評価するために、緑色蛍光蛋白質(GFP)が、親水性表面と比較してGFPが疎水表面と強く相互作用するかどうかを評価するために、使用された。最終段階(段階5)において、表面はGFP154に露出され、GFP154は疎水性ライン152上に吸着され、親水性バックグラウンド150からはじかれた。
【0067】
水滴で測定された減少する接触角(CA)、及び、単分子層で被覆された基板が10nMのGFP溶液に30分間浸漬された後、GFPから測定される510nmにおける蛍光強度を比較する図6が参照される。図に見られるように、モル分率0.2HDTにおいて接触角の急激な変化が存在する。この変化の後、接触角は一定に保たれる。接触角におけるこの階段状の変化は、各々の分子が、唯一つの種類の分子を含むドメインを形成する相分離を示唆している可能性がある。水滴は、広い領域にわたって平均化され、したがって疎水性ドメインによる影響を受ける。したがって、親水性/疎水性混合物から作られた単分子層の場合、それらは大きな接触角を有する。GFPからの蛍光のモニタリングは、表面上のGFPの量がHDTのモル分率に線形に関連付けられることを示す。この結果も、各分子に対する別個のドメインの形成と矛盾しない。GFPは、疎水性ドメイン上に良好に吸着し、結果的にその濃度の増加に応じて、より多くのGFPが吸着され、より多くの蛍光が観察される。結果的に、GFPはナノメータスケールの疎水性パターンの検知に対して有効に働く。
【0068】
図7a−7dは、GFPに曝された後、図5に関連して記述されるプロセスにおいて作製された、パターニングされた表面のSEM像である。GFPは、蛋白質のSEM像に関して、既に述べたように、明るいラインとして現れる。図7aにおいて、磁場に2分間露出された高濃度(50μg ml−1)の磁気ナノ粒子を吸着した後、低解像度(幅1μm超)のラインが得られた。図7bに説明するように、磁気ナノ粒子の希薄溶液(5μg ml−1)が使用され、同様に2分間磁場に曝されたとき、約30nmの幅を有する、より狭いラインが得られた。蛋白質は疎水性ライン上に吸着され、親水性バックグラウンドからははじかれる。
【0069】
図7cは、GFPの均一な30nmライン幅パターンのSEM像であり、図7dは図7cに示されたラインの3次元イメージである。
【0070】
30nmの分子パターニングが、磁場を誘起する磁気マスク100のラインが幅50μmであるという事実にもかかわらず実現されたことは、理解されるべきである。高解像度が、図7a−7bに示されるように、NP濃度を低減することによって、又は、系が平衡に達しないように、吸着時間を短縮することによって、得られた。これらの条件の下で、ナノ粒子はまず高い場の部分、すなわち磁気ラインの中央にのみ、に吸着される。これは、図8a−8bに関連してさらに後述されるように、マスクによって規定された線幅内の、磁場の勾配が、マスクラインの端部と比較して中央部で強いためである。
【0071】
図8a−8bは、マスクからの距離に応じた、マスク上の磁場のシミュレーション結果を示す。マスク上の磁場分布は、COMSOLプログラムを用いて計算される。図8aは、マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に相当する距離における、磁気マスクライン幅上部の磁場分布を説明する。図8bは、マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に相当する距離において、最大強度を有する磁場を有するサイトを示すグラフである。
【0072】
本発明の技術の興味深い特性が明確に示される。基板がマスクから比較的離れているとき、基板上の磁場は弱まる。しかしながら、それはマスク上のラインの中央にピークを有し、その結果マスクのパターンと比較してかなり狭いパターンを有するナノ粒子の吸着を生じることができる。得られるライン幅が非常に均一であることに留意されたい。その均一性は、ナノ粒子が小さいとき得られうるラインがより均一なので、ナノ粒子のサイズに依存する。しかしながら、小さなナノ粒子は小さな磁気双極子を有し、結果的に高い永久磁場を必要とする。直径10nmの粒子に関して、及び三つの粒子がライン幅を定義するので、30nmラインの幅は±30%の変動を有する。
【0073】
エッチング及び堆積プロセスを含むML法の、特定の、ただし非制限的な例を説明する図9が参照される。磁場は、基板上に約100ガウスの一定の場を生成する永久磁石104を用いて、基板102上部にパターン形成される。常磁性パターンから作られるマスク100は、基板の裏の、磁石と基板との間に配置される。マスクは、その上に常磁性金属が従来のフォトリソグラフィによってパターニングされた平坦な表面、又はパターン形成され、常磁性金属で完全に被覆された3次元構造体のどちらかであってよい。後者において、基板の形状は、マスク上の磁場を規定する。組み合わされたシステム(磁気、マスク、及びウェハ)全体は、磁気ナノ粒子106を含む溶液に曝される。ナノ粒子106は、場の勾配の強さに従って、基板102上に集合する。システムは、その後エッチャー内に、又は蒸発器内に配置され、基板は処理される。ナノ粒子106は、その後取り除かれる。
【0074】
堆積及びエッチングに関して、マスクは、マスクが常磁性金属でパターン形成されるときは、フォトリソグラフィを用いて、又は、図に説明されるようなシリコンウェハの3次元非平面マスクを用いて、準備された。後者の場合、シリコンチップアレイはフォトリソグラフィ及びその後の、参照によってここに組み込まれる国際公開第2009/113063号に記載されるようなイオンプラズマエッチングを用いて、その後常磁性金属コバルト層がマスク全体の上に蒸着されて作製された。非平面マスクを用いることによって、輪郭がはっきりした非平面のフィーチャが特定の場所において強い磁場を誘起するので、高密度の高解像度パターンを得ることが可能である。
【0075】
この特定の、ただし非制限的な例において、マスクは薄いシリコン基板(厚み300μm)の裏面に保持された。永久磁石は、マスク100の裏面に固定され、シリコン基板102上に約100ガウスの平均場を生成する。シリコン基板102は、その後、水溶液中で安定化された10μg ml−1のFe3O4ナノ粒子(直径10nm)106の溶液に曝された。ナノ粒子の濃度、及びウェハが溶液に浸漬される時間は、これに続くエッチング又は堆積で得られるフィーチャの解像度及び均一性を規定する。
【0076】
エッチングの場合、シリコン基板102はイオンプラズマエッチャー、ICP−RIE内に配置され、一般的に使用されるフォトレジストの代わりに、エッチングマスクとしてマグネタイトナノ粒子106を用いて、SF6ガスによって15秒間エッチングされた。エッチング処理が完了した後、シリコン基板102は洗浄されかつ熱エタノールで10分間超音波処理され、その後水で濯がれ、窒素流で乾燥された。
【0077】
マスクの走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図10aが参照され、図10b−10dは、様々な倍率(10μm、2μm、100nm)で示される、基板をエッチングすることによって得られた直径約100nm及び高さ100nmのシリコンピラーのパターニングを説明する。このプロセスで使用されるマスクは、非平面であり、厚み100nmのコバルト層を有する3次元パターニングシリコンウェハをコーティングすることによって製造される。
【0078】
図11aは、平坦なシリコンウェハ上に堆積された厚み100nmのコバルトラインに基づく様々なマスクを説明する。図11a−11cにおいて、エッチングされたパターンは、二つの異なる倍率(2μm、250nm)で示される。図10b−10d及び11b−11cの双方に示される結果は、プロセスを最適化することなく得られたものであり、結果的に構造の均一性は理想的なものではない。しかしながら、これらの条件の下でさえ、明確な構造が得られる。上述のように、従来のフォトリソグラフィとは異なり、本発明のML法においては、得られる構造がマスク上のものと同一ではないことに留意されたい。この方法は、マスク上のパターン自身ではなく、マスク上のパターニングによって形成される基板上の磁場の形状に影響を受けやすい。したがって、基板上のパターンの特定の形状を得るために、マスク上のパターンの形状は、基板上の要求されるパターンを形成するようにシミュレートされなくてはならない。
【0079】
図12a−12dは、図11aに示されるマスクを用いて磁場を印加することによって基板をナノ粒子に曝した後で、シリコンをエッチングして得られるSEM像を示す。結果は、露出時間が一定(5分)に保たれたとき、溶液中の様々な濃度のナノ粒子に関して得られた。特に、図12aは、濃度10mg ml−1に関する、図12bは濃度1mg ml−1に関する、図12cは濃度300μg ml−1に関する、及び図12dは濃度1
00μg ml−1に関するエッチングを説明する。
【0080】
明らかに分るように、構造の再現性及び均一性は、従来のフォトリソグラフィにおいて実施されてきた最適化と同様に、制御及び最適化することができる。
【0081】
金属の蒸着は、図13aに示されるマスクを用いて実施された。マスクは、3次元パターン形成シリコン基板上に厚み50nmのクロム層を蒸着することによって形成された。基板が永久磁石によって形成された磁場に曝されたとき、図13b−13cに示されるように、磁気ナノ粒子がシリコン基板上に集合した。金属蒸着の後、アセトン中5分間の超音波処理によるリフトオフプロセスが実施された。結果として得られる構造が、図13d−13eに示される。得られた構造は、非常に均一であり、再現性が高い。
【0082】
ナノ粒子が多層構造内に集合する傾向があることに留意されたい。もしも基板上に集合したナノ粒子が単一層を形成する場合、表面を完全に被覆することは不可能であろうし、また離隔した空の領域が層内に残り、処理において重大な不均一性を生じるだろう。多層構造は、基板上の高勾配磁場領域において集合を開始するナノ粒子の第1の群によって誘起された磁場からもたらされる。多層クラスタは、ナノ粒子パターンの不透明さを確実にし、その結果マスキングの均一性に寄与する。磁気ナノ粒子上に与えられる力は以下の式で与えられる。
F=ΔχV(∇・B)Bμ0−1 (1)
ここでBは磁束密度(テスラ)、Δχは目的物とその周囲との間の磁化率の差(空気中の常磁性材料に関して103−105m−3)、Vは体積(直径10nmの粒子に関して、〜1×10−19cm3)、及びμ0は真空透磁率定数である。
【0083】
基板上に印加される平均磁場は約10−2テスラである。良好な均一性を保ちつつ、パターンのサイズ、例えばラインの幅、を小さくするにはより小さな粒子、例えば2nmの粒子を用いることが要求される。このサイズの粒子は、約20±3nmのライン幅の実現を可能にする。ナノ粒子の磁気双極子がその体積に比例し、場の勾配が場に比例して増大すると仮定すると、2nmの粒子に作用するのに必要とされる磁場は、約0.1テスラである。
【0084】
他の実施形態において、磁気パターン発生器はコンピュータに用いられるハードディスク装置の原理に基づき、磁気ヘッドを用いて磁気の方向を変えることによって磁場の空間パターンを電子的に得ることを可能にする。
【0085】
これに関連して、磁気パターン発生器としてハードディスク媒体を用いる図14a−14dが参照される。図14aは、磁気パターン発生器としてハードディスク媒体を使用した、金基板上のパターンの光学顕微鏡像である。ハードディスク装置内に存在するものと同じ磁気ヘッドが、磁気媒体上に、特にハードディスク媒体上に電子的に磁場をパターン形成するために使用される。これは、パターン(例えば、コンピュータのスクリーン上にパターン形成された図)を、磁気媒体(例えばハードディスク媒体)上の磁気形状に翻訳するソフトウェアを用いることによって実施することができる。その後ハードディスク媒体は、ハードディスクドライブから取り出され、磁気パターン発生器として用いられる。その後薄い金属又はポリマー膜が、パターン形成されたハードディスク媒体の上部に堆積されてよい。その後ハードディスク媒体が磁気パターン発生器として使用されるとき、磁気ナノ粒子が、本発明の教示によるネガティブ又はポジティブマグネトリソグラフィ法のどちらかを適用して薄膜を被覆するために使用されてよい。薄膜のパターニングの後、膜は取り除かれ、ハードディスクは再利用することができる。図14bは、高解像度(20μm)における金基板上部の同じパターンのSEM像である。図14c−14dは、高解像度パターニング(2μm及び20nm)における同じもののSEM像である。
【0086】
本発明の教示によるポジティブMLを適用することによる内部管表面のパターニングを記述するフローチャートである図15aが参照される。この特定の、及び非制限的な例において、管内側表面は、ビシクロヘキシル(BCH)溶液に浸漬され、かつメルカプトプロピルトリメトキシシラン142(例えば、10mMのメルカプトプロピルトリメトキシシランに室温で4時間)によって官能化された、直径200μmのガラス管140である。直径10nmの磁気ナノ粒子(Fe3O4)は、フルオレセイン144及びスルホローダミン146によって被覆された。ナノ粒子は、磁場によってフルオロフォア溶液から分離され、その後エタノールで希釈された。(例えば、約100ガウスの)磁場は、永久磁石を用いて管140に印加された。フルオレセインでラベルされた磁気ナノ粒子144が管に注入され、磁場勾配が最大になったサイトに吸着された。30分後、管はエタノールで洗浄され、磁場は他のサイトに移った。次に、スルホローダミンでラベルされた磁気ナノ粒子146が管に注入され、新しいサイトに濃縮された。30分後、管はエタノールで洗浄され、窒素で乾燥された。図15bに示すように、この処理は、パターン形成された管内部に吸着されたナノ粒子の二つのバンドから得られるフルオレセイン及びスルホローダミンの双方の蛍光をもたらした。
【0087】
図16aは、本発明の教示によるネガティブMLを使用したことによる、管の内側表面のパターニングを記述するフローチャートである。ガラス管(例えば、直径200μm)160の内側部分は、アミノプロピルトリメトキシシラン(段階1)によって官能化され(例えば、管は10mMアミノプロピルトリメトキシシランのメタノール溶液に室温で4時間浸漬された)、その後磁場161(約100ガウス)が管に沿って一つの場所で印加され、Fe3O4ナノ粒子162を含む溶液(例えば、1mg ml−1のFe3O4)が管内に注入された(段階2)。ナノ粒子162は、磁場161が印加されたサイトにリング状に配置される。次の段階において、N−ヒドロキシ−スクシンイミド−ビオチン(NHS−ビオチン)の溶液、例えば1mg ml−1のNHS−ビオチンとアミノ官能化パターン形成表面との反応が、例えば1時間実行された。ナノ粒子162で覆われたサイトは保護され、結果的にNHS−ビオチンとは反応しない(段階3)。このプロセスは、表面において、ナノ粒子で覆われていないサイトにおいて、ビオチニル化に関する選択的位置をもたらす。磁気ナノ粒子が表面に対して不活性なので、磁気マスクが取り除かれた後(段階4)、それらは表面を洗浄することによって取り除くことができる。管の内側表面のパターニングの多段階において本方法が上手く行くことを示すために、準備されたビオチン化管は、第2の位置で磁場161’に露出された。ナノ粒子162は管内部に注入された(段階5)。その後基板はバッファリン酸溶液(pH8)、例えばフルオロフォアでラベルされたアビジン(Av−FITC)、例えば5μg 100μl−1 Av−FITC、の50mMバッファリン酸溶液、に曝された(段階6)。また、磁気ナノ粒子は磁場によって引き付けられ、新しいサイトに集合された。したがって、ナノ粒子の下のビオチン基は保護され、Av−FITCと相互作用しなかった。
【0088】
このネガティブML法は、図16bに説明されるような二つのバンドを有するパターン形成された表面をもたらす。左のバンドはネガティブMLを表し、ここではビオチン−NSH分子と、管の内側の表面のアミノ基との間の反応が妨げられ、一方で右のバンドは既に吸着したビオチン分子と溶液中のAv−FITCとの間の相互作用を妨げるナノ粒子に起因する。磁石の除去により磁気ナノ粒子が取り除かれるので、第2のネガティブML法は可逆である(段階7)。結論として、これらのサイトのビオチン基は脱保護され、図16bに示すように、管内部に注入されるAv−FITC分子は吸着されたビオチン基と相互作用することができる(段階8)。
【0089】
したがって、本発明は、相対的に小さな分子で、管の内側の表面をパターニングする性能を提供する。逐次的な処理において、溶液内の反応物と表面に吸着しているものとの間の反応は局所化されなくてはならない。
【0090】
本発明は、管の内側の部分を酵素でパターニングする性能をさらに提供する。これに関係して、本発明のネガティブML法を用いて、様々な場所で、管(直径200μm)の内部にパターニングされた酵素ウレアーゼのリングを説明する図17a−17cが参照される。まず、管の内側の表面が、アミノプロピルトリメトキシシランによって修飾された。管は、10mMのアミノプロピルトリメトキシシランを含むメタノール溶液に室温で4時間浸漬された。次に、管はマルチペグ磁石(例えば、約100ガウスの磁場を含む)に曝され、磁気ナノ粒子(例えば、1mg ml−1の溶液)が管内部に注入された。磁気ナノ粒子は、図17aに示されるように、マルチペグ磁石によって誘起された磁場に従って管に沿って配置された。アミノプロピルシランに対するウレアーゼの共有結合は、0.05M HEPESバッファ溶液、室温で保温時間2時間の0.01Mの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(EDC)の存在下でpH7.3、0.5mg ml−1のウレアーゼ(例えば、タチナタマメ由来、Type 3、E.C. 3.5.1.5)を含む、を注入することによって実施された。最終的に、ウレアーゼは、磁気ナノ粒子によって保護されていないアミン基に共有結合した。ナノ粒子は、管を洗浄することによって取り除かれた。尿素、例えば0.1Mの尿素を含む溶液及びpH指示薬が管を通って流され/勢いよく流された。ウレアーゼがパターン形成された領域において、酵素が尿素を分解し、NH3を生成した。その結果、その領域のpHは増大し、指示薬はウレアーゼ結合のある場所でその色を赤から緑/青へと変化させた。図17bに明確に示されるように、pHの高い領域は管内部のスポットとして現れる。管に沿ったpHの変化は、指示薬の色の変化に基づき分析することができ、図17cに示される。この実験は、酵素での管内部のパターン形成能力を証明し、酵素と尿素との間の反応の局所化の直接的な証拠を提供する。
【0091】
管内部で局所化された酵素反応を有する能力が示されたので、本発明のネガティブMLは逐次的な酵素反応に適用された。この場合、蛋白質グルコースオキシダーゼ(GOx)及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)は、図18aに示されるように、管の内側の表面(例えば、直径200μmの管)の明確に規定されたサイトに吸着された。まず、管の内側の表面が、アミノプロピルトリメトキシシランによって修飾された。管は、10mMのアミノプロピルトリメトキシシランを含むメタノール溶液に室温で4時間浸漬された。次に、管はマルチペグ磁石(例えば、約100ガウスの磁場を誘起する)に曝され、磁気ナノ粒子が管内部に注入された。磁気ナノ粒子は、マルチペグ磁石によって誘起された磁場に従って管に沿って配置された。アミノプロピルシラン基に対するGOxの共有結合は、0.05M HEPESバッファ溶液、室温で保温時間2時間の0.01Mの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(EDC)の存在下でpH7.3、0.5mg ml−1のGOx(例えば、黒色アスペルギルス由来、E.C. 1.1.3.4)を含む、を注入することによって実施された。最終的に、GOxは、磁気ナノ粒子によって保護されていないアミン基に共有結合した。
【0092】
ナノ粒子は、管を洗浄することによって取り除かれた。次に、MLの第2のサイクルが、GOx結合サイトに磁場を誘起するマルチペグ磁石を用いて磁気ナノ粒子によってGOx結合サイトを保護するために実施された。その後、アミノプロピルシランに対するHRPの共有結合が、EDC(例えば、室温で保温時間2時間である0.01MのEDC)の存在下で0.3mg ml−1のHRP(E.C. 1.11.1.7)を含むバッファ溶液(例えば、0.05M HEPESバッファ溶液)を注入することによって実施された。その結果、HRPはGOx結合サイト間に位置するアミン基に共有結合する。管内の逐次酵素反応は、2,2,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)と共にグルコースを管内に注入することによって開始された。TMBはエタノール中で溶解され、その後1mMのTMB及び2%(v/v)エタノールを含むグルコース溶液を得るために50mMのグルコースを有するpH6の0.1Mバッファリン酸で希釈された。グルコースは、グルコン酸及びH2O2を生じるために、GOx及びO2によって酸化された。H2O2はHRP結合サイトに拡散し、そこでHRBはTMBの酸化に生体触媒として働き、不溶性の生成物を生じる。
【0093】
図18bは、HRPの位置における不溶性生成物の関与によって生成されるスポットで示される逐次的酵素反応の結果を示す。一連の制御実験は、不溶性生成物が、全ての成分が存在するときのみ、すなわちGOx及びHRPの双方が吸着され、グルコース及びTMBが溶液中に溶解されるとき、生成されることを証明した。
【0094】
したがって、本発明は管内部にパターニングする、及び空間的に局在化された領域における溶液反応中の反応を触媒するためにパターン形成された基板を使用する能力を提供する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してパターニング法の分野に属し、磁気粒子を用いるパターニングに関する。
【0002】
以下の参考文献は、本発明の背景を理解する目的において関連性があると見なされる。
【0003】
【表1A】
【0004】
【表1B】
【背景技術】
【0005】
一般的なフォトリソグラフィを用いたナノデバイスの製造は、短い波長の放射線の適用及びフォトレジストとして使用することができる特別なポリマーの使用を必要とする。この方法は、工学及び材料科学における重要な課題を示す。解像度の観点からみた光学リソグラフィの現像は、解像度を、結果的には半導体ウェハ上のフィーチャの密度を、高めるという点では制限的な段階である[4]。しかしながら、フォトリソグラフィは最小フィーチャサイズをさらに小さくするという点で厳しい問題に直面している。フォトリソグラフィにおける臨界寸法を減少するということは、洗練された現像及び高価なシステムを必然的に伴い、将来的にはさらに高価な器具を必要とする[5]。
【0006】
表面の化学パターニングは多くの研究[1、6]において焦点となり、生物工学的な用途において幅広く使用される[7]。表面の化学パターニングは、STM及び/又はAFMに基づく高解像度、低処理量の技術から、様々な印刷ベースの方法まで[2、4−7、10]、及びフォトリソグラフィに基づくパターニング法まで[1]、様々な方法で実行される。ミクロ電子工学製造工程と化学パターニングとの両方を組み合わせることによって製造される装置が開発されてきた。生物工学用途に関して、様々なソフト−リソグラフィ法が開発されてきた[8,9]。これら全ての方法に共通する特徴は、ミクロパターン及びミクロ構造を形成するためのスタンプ、型、又は(リジッドフォトマスクではない)マスクとしてそれらがエラストマーを用いることである。しかしながら、これらの方法の殆どは、一段階に限られ、同じ表面における連続パターニングはアラインメントの問題に起因して非常に複雑である。さらに、化学パターニングに一般的に用いられる方法は、金属堆積、エッチングに関して、及び概して半導体ベースのデバイスの製造に関して補完的ではない。
【0007】
平行して、幾つかの異なる方法が、ミクロ電子工学用途のフォトリソグラフィにおける進歩を後押しした。それらの方法には、軸外照明(OAI)、光学近接効果補正(OPC)、浸漬フォトリソグラフィ、及び位相シフトマスク技術がある。OPC又は位相シフトを用いるフォトマスクは複雑であり、製造するには非常に高価である。
【0008】
殆どのミクロン及びサブミクロン製造工程は、トップダウン法に基づいており、フォトリソグラフィは高処理能力で表面をパターニングするのに必須の手段である[1]。表面の化学的パターニングを試みるとき、分子ベースのデバイスに関して、又はハイブリッド有機半導体デバイスに関して、さらなる化学的プロセスを汚染又は妨害する可能性があるフォトレジストによる被覆表面を必要とするため、フォトリソグラフィは問題を有する。さらに、フォトリソグラフィを化学パターニングと組み合わせるには、吸着溶液から基板を取り出すことが必要とされ、したがって基板は空気及び汚染物質に露出される。さらに、管の内側にパターニングすること、及び基板上での位置に応じて吸着される化学物質の濃度勾配を生じさせることは、現行のフォトリソグラフィ法では不可能である。
【0009】
マイクロスケールで化学種(例えば、化学試薬)又は生物学的作用物質(例えば、細胞物質、ポリマー、蛋白質、DNA等)を扱う能力は、多くの用途において重要である。そのような用途は、特に、組織工学、バイオテクノロジー、ミクロ分析、及びミクロ合成の分野である。用途に依存して、操作は、化学種の位置決め(例えばパターニング)、分離、及び/又は移送を含み得る。
【0010】
化学種を操作する方法の一つとして、磁気ベースのシステムの使用が挙げられる。目的とする化学種が磁気材料を含む、又は磁気材料に埋め込まれている場合があり(例えば、化学種を磁気ビーズでタグ付けすることによって)、化学種は磁場を用いて引き付けられ又は分離され得る。多くの場合には、化学種は基板上にパターニングされた磁気領域に向かって引き付けられる。その結果、化学種はこれらの磁気領域によって画定された基板上にパターンを形成し得る。
【0011】
溶液中で起こる一般の化学的処理と、インビボでの化学反応との間の重要な相違は、生物学的システムに典型的な連続処理にある。すなわち、インビボでは、連続して起こる反応において空間及び時間が分離され、一方でインビトロでは、一連の処理を実行するために、反応物と生成物とを物理的に分離しなくてはならない。しかしながら、この相違は、Lab−on−a−chip(LOC)の概念が導入されたとき、克服された。LOCにおけるミクロ−トータル分析システムに関連する微小流体技術[11]は急速に発展してきており、化学、製薬、ヘルスケア、及び食品工業において疑いなく革命をもたらす[12]。典型的なLOCシステムでは、ミクロチャネルが、ほぼ共通のかつ必須の部品の一つであり、それを通じて、サンプルの予備濃縮及び分離又は混合を実施することができる。最終的に、対応する反応及び検知といった課題を実行するため、これらの処理の結果物は所定の領域に運ばれてよい[13]。ここで、典型的なLOC要素は二つのタイプの部品、すなわちミクロチャネル、及び反応/検知区画を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2009/113063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、「ボトムアップ」法に基づく、磁気粒子を使用する新規のパターニング技術を提供する。幾つかの既知の方法が磁場の使用を通じて化学種及び/又は生物学的種の位置決めを可能にする一方で、これらの既知の方法が、基板内に又は基板上に作製された磁気部品を典型的には必要とすること、及び/又は目的である化学種が磁気材料を含む、又は磁気材料に埋め込まれることを必要とすることが理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一般的に知られる「ボトムアップ」化学リソグラフィ法が、高価であり得る、及び収量を低減する欠陥を導入し得る、非常に高度な並列処理によって克服され得る比較的低い処理能力を有することに留意されたい。そのようなミクロコンタクトナノリソグラフィの様々な「印刷」スキームが開発されてきており[2]、実際高い処理能力に調整されることができるが、通常単一段階の製造に制限され、表面との接触を含み、これは他の化学処理に影響する可能性がある。ナノコンタクトプリンティング及びナノインプリンティングリソグラフィ[9]等の他の平行リソグラフィ法とは対照的に、本発明のマグネトリソグラフィ(Magneto Lithography、ML)法は、裏面リソグラフィ(backside lithography)法であり、高精度のアラインメントを有し、かつ全ての層に関して同じ効率を有する多層を製造が容易であるという利点を有する。
【0015】
したがって、本発明は基板をパターニングする方法を提供する。本方法は、所望のパターンに従って磁場を調節するように構成されかつ操作可能である(すなわち、磁場に対して可変磁気特性を生じさせる)、少なくとも一つの磁気パターン発生器を提供する段階、調節された磁場を基板近傍に印加して、その結果基板上部に得られるべき相互作用領域の特定のパターンに対応する磁気特性の所望のパターンを有する磁場を生成する段階、及び基板と磁気粒子とを相互作用させる段階とを含み、一方で磁場の印加の下で、磁気粒子は特定のパターンによって定義される選択された相互作用領域に引き付けられ、また、相互作用領域の外側の領域には実質的に引き付けられず、その結果基板上部に磁気粒子と相互作用する特定のパターンの領域を生成する。所望のパターンは、磁気パターン発生器からの所定の距離において(ここにサンプルが配置される)、所定の磁場プロファイルに関する特定のパターンに対応する。
【0016】
本発明の教示によれば、磁場が基板に印加され、磁場プロファイル(強度)は基板平面内で所定の方法で変化する。これは、所望のパターンに従ってその上に印加される磁場の磁気変化特性を提供する、少なくとも一つの磁気パターン発生器を用いることによって実現され得る。
【0017】
磁気パターン発生器は、物理的エレメント、又は磁場源とパターニングされる基板との間に収容されるエレメントを含んでよく、又は磁場特性(プロファイル)に電子的に影響するように磁場源の操作によって構成されてよい。その結果、ある実施形態では、磁場発生器は、磁場を生成する磁石(磁場源)と基板との間に配置されるマスクであり、このマスクは基板の上面又は背面のどちらかに配置されるか、又は基板の背面から離隔される。
【0018】
他の実施形態では、磁気パターン発生器はコンピュータにおいて使用されるハードディスク装置の原理に基づき、磁気ヘッドを用いて磁気の方向を変えることによって、磁場の空間的なパターンを電子的に得ることを可能にする。この場合、ハードディスク装置内に存在するものと同じ磁気ヘッドが、磁気媒体上部に、特にハードディスク媒体上部に、磁場をパターニングするために使用される。これは、パターン(例えば、コンピュータのスクリーンにパターン形成された図)を、例えばハードディスク媒体等、磁気媒体上部の磁気形状に翻訳するソフトウェアを用いることによって実行され得る。ハードディスク媒体は、その後ハードディスクドライブから取り出され、磁気パターン発生器として使用される。その後金属薄膜又はポリマー薄膜がパターン形成されたハードディスク媒体上部に堆積されてよい。その後磁気ナノ粒子は、ハードディスク媒体が磁気パターン発生器として使用される、本発明の教示によるネガティブ又はポジティブマグネトリソグラフィのどちらかを適用する薄膜を被覆するために使用されてよい。薄膜をパターニングした後、フィルムは取り除かれ、ハードディスクは再利用することができる。
【0019】
したがって、ある実施形態では、磁場の印加は磁気媒体を通じて実施される。この方法は、それによって磁気媒体上に磁場の空間的パターンを電子的に得るために、磁場の方向を制御可能に変える段階、パターン形成された媒体上に膜を堆積する段階、磁気粒子を備える膜によって被覆された磁気媒体を相互作用させ、その結果磁気媒体の上部にパターン形成された膜を形成する段階、を含む。磁場の空間的パターンを電子的に得る段階は、磁気媒体上において所定のデータパターンを磁気形状に翻訳するためのコンピュータアルゴリズムを使用する段階を含む。
【0020】
装置は、基板上に得られるべき特定のパターンに対応する磁場の空間的パターンを発生するように磁気パターン発生器の操作を制御するために構成されかつ操作可能である制御ユニットを含んでよい。制御ユニットは、磁気媒体上で所定のデータパターンを磁気プロファイルに翻訳するため予めプログラムされたプロセッサを含んでよい。
【0021】
マスクは、磁場の空間的パターンを電子的に得ることを可能にする、磁気媒体上部で磁場の磁気の方向を変えるための、制御ユニットによって操作可能である、磁気源によってパターン形成される磁気媒体を含んでよい。磁気媒体は、ハードディスク媒体を含んでよい。
【0022】
磁場プロファイルは、例えば基板に垂直に印加される永久磁場を用いることによって、結果的に基板上にパターン形成される。磁気粒子は磁場の影響を取り除くことによって、取り除かれる。
【0023】
例えば、磁気パターン発生器は、印加される場の空間分布及び形状を画定する磁気マスク(例えば、常磁性金属マスク又は反磁性マスク)である。これは、磁気粒子との相互作用を可能にする、基板から離隔された領域のパターンの生成をもたらす。磁気粒子は強磁性体ナノ粒子であってよい。
【0024】
その後、磁気(ナノ)粒子(NP)は、マスク(例えば、マスクによって誘起される場に従う基板上に存在する)によって誘起された場に従って基板と相互作用し、結果的に基板材料と粒子との間の離隔された相互作用領域の、基板の上部表面にパターンを形成する。磁場が、磁気ナノ粒子を表面と垂直の方向に向けて制御する能力を有することに留意されたい。この実施形態において、ナノ粒子は基板に化学的に結合していないが、磁場によって適切な位置に保持される。ナノ粒子は、従来のフォトグラフィにおいてフォトレジストが行うのと同じ役割を果たし、一方で、フォトグラフィプロセスとは対照的に、本発明のML技術においては、被覆、エネルギーへの露出、及びレジストの現像が、単一の操作で生じる。処理、すなわち堆積又はエッチングの後、ナノ粒子は洗浄により除かれる。
【0025】
ある実施形態では、パターン形成された表面のフィーチャ(すなわち解像度)がマスクのフィーチャ(すなわち解像度)を超える。本発明の方法は、その方法が非平衡状態で、短時間、磁気ナノ粒子の濃度が低い状態で使用されるとき、その幅がマスクのライン幅と比較して狭いパターンも提供する。これは、マスクによって画定されるライン幅内の磁場勾配に起因する。ナノ粒子に印加される力が磁場勾配及びナノ粒子の磁気双極子モーメントに依存するので、マスクのラインと比較して薄い、基板上にパターニングされたラインを得ることが可能である。したがって、磁気粒子の濃度勾配と相互作用する領域のパターンは、対応する磁場勾配の特徴的寸法と比較して狭い特徴的寸法を有して、パターン形成された基板のフィーチャが磁気パターン発生器によって生成される磁場特性のパターンのフィーチャと比較して小さいようにする。パターン形成された基板のフィーチャは、サブミクロンスケールであってよい。ある実施形態では、磁気粒子のサイズ及び対応する磁場は、均一なパターンを得るように選択される。フィーチャ及びパターンの均一性は、磁場の印加の時間及び磁気粒子の濃度を適切に選択することによって、制御される。
【0026】
したがって、本発明は、表面の性質が位置に応じて徐々に変化することができるように、吸着質の密度勾配の生成のためにも提供される。例えば、表面は徐々に疎水的にされ、疎水的相互作用の勾配が10nmからmmのスケールまで変化できるようにする。これは、表面に磁場勾配を印加することによって実現することができる。その結果、もしも処理時間が制御される場合、ナノ粒子の密度勾配が得られる。その後、例えば、タイプAの分子がナノ粒子間に吸着され、ナノ粒子の除去の後、タイプBの分子が、粒子が存在しなくなった領域に吸着される。その結果、分子A及びBの密度の変化が磁場勾配に従って得られる。その結果、ある実施形態では、本発明の方法は、磁場勾配を基板近傍に適用する段階、基板を磁気粒子と相互作用させる段階、磁場勾配の強さと対応する磁気粒子の濃度勾配と相互作用された領域のパターンを形成する段階を含む。
【0027】
フォトリソグラフィと同様に、本方法はポジティブ正又はネガティブアプローチ/モードのどちらかの適用のために使用することができる。磁気粒子と相互作用させる領域のパターンは、ポジティブ及び/又はネガティブのリソグラフィを用いて、結果的に基板上に形成されてよい。
【0028】
ある実施形態(すなわち、ポジティブモード)では、磁気粒子は基板との化学認識及び/又は生物学的認識を通じて、基板と化学反応又は相互作用する。したがって、磁気粒子は、マスクが磁場を誘起する、選択された位置において固定され、パターン化された基板をもたらす。他の実施形態(すなわち、ネガティブモード)では、磁気粒子は基板に対して不活性であり、基板上の選択される相互作用領域を反応剤との反応から遮断する。その結果、相互作用領域の間の空間内で特定の反応剤がさらに基板に適用され得る。この場合、磁気粒子は基板と化学的に相互作用せず、一度基板をパターニングすると、それらは基板上のサイトを塞ぐ。粒子によって被覆されていない露出された領域は、基板に化学結合する分子で覆われることができる。
【0029】
ある実施形態では、基板は自己組織化単分子層で機能化される。
【0030】
ある実施形態では、本方法は、反応剤と基板との相互作用を含み、磁気粒子は反応剤が基板に結合するのを妨げ、磁場の影響を除くことによって磁気粒子を除去して、ネガティブにパターン形成された基板を形成する。
【0031】
磁気粒子は、磁気パターン発生器を物理的に移動することによって除去されてよい。これは、超音波処理及び洗浄のような他の除去方法と組み合わせて用いることもできる。
【0032】
ある実施形態において、本方法は、化学認識及び/又は生物学的認識を通じて、第1の反応剤を基板と相互作用させる段階、第1の反応剤で被覆された基板を、選択された相互作用領域に引き付けられる磁気粒子と相互作用させる段階、第2の反応剤を基板と相互作用させる段階、磁気粒子が第1剤と第2反応剤との間の認識を妨げ、磁気粒子を除去しネガティブにパターン形成された基板を形成する段階を含む。
【0033】
他の実施形態において、本方法は第2の所望のパターンに従ってその上に磁場の特性を変える磁気を提供するように構成されかつ操作可能である第2の磁気パターン発生器を提供する段階、第2の磁気パターン発生器を通じて特定のパターンで基板近傍に磁場を印加して、その結果基板上部に磁場の第2のパターンを形成する段階、及び磁気粒子を基板と相互作用させ、一方で磁場の印加の下で、粒子が第2の所定の磁気パターンによって規定される第2の選択された相互作用領域に引き付けられ、特定のパターンで基板上において粒子と相互作用する第2の離隔された領域のパターンを形成する段階を含む。
【0034】
本発明によれば、離隔された相互作用領域のそのようなパターンの生成がマスクと基板との間のどのような物理的接触も必要としないこと、及び基板上にどのような表面の凹凸も形成しないことは理解されるべきである。マスクは非平面表面を有してよい。相互作用パターンを形成する磁場パターンは基板近傍に適用される。相互作用パターンは、気体(空気)又は溶液であってよい媒体内部で基板に適用されてよい。基板は、磁気粒子及び/又は一つ以上の反応剤を含む溶液に浸漬されてよい。
【0035】
本発明は、サブミクロンの解像度で化学的にパターニングされた表面を可能にする。基板を汚染する可能性があるレジストを必要とせず、結果的に表面汚染の問題と向き合うことなく、又は溶液から基板を取り出すことなく、大きな表面の迅速なパターニングを可能とするので、本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法は化学表面パターニングを簡素化する。さらに、本発明のML法は表面トポロジー及び平面性に依存せず(すなわち、表面のトポロジー又は平面性によって影響されない)、したがって粗い表面上で実行することができ、以下にさらに詳細に述べるように、管の内側の化学パターニングを可能にする。
【0036】
本発明の技術によれば、磁気粒子も磁気マスクも基板上に吸着される材料の一部及び基板の一部ではない。また、本発明は、化学リソグラフィの、同様にフォトリソグラフィの材料堆積/除去法により(容易に)実現可能ではない、管の内側表面のパターニング等、パターン形成表面を提供する。基板は非平面表面、特に管であってよく、所定のパターンで画定される管の内側表面上の選択された相互作用領域において粒子が引き付けられ、基板の内側表面において粒子と相互作用するパターン領域を形成する。磁気マスクが使用されるので、高い製造処理量を有することが可能である。他のリソグラフィ法とは異なり、この方法は裏面リソグラフィとしても使用することができ、層の数にかかわらず、高精度のアラインメントを有する、及び全ての層に対して同じ効率を有する、多層を製造することが容易であるという有利な点を有する。さらに、この方法は、溶液から基板を取り出すことなく、多段階プロセスの形成を可能にする。この特徴は、反応物が制御された条件で保持されなくてはならないとき、生物関連用途において有利である。このように反応剤は生物学的分子を含んでよい。したがってポジティブ及びネガティブMLは、小さな又は大きな分子で、又は化学的環境に敏感である生物学的分子で、幅広いパターン形成表面において使用することができる。
【0037】
ある実施形態において、マスクは反磁性のラインでパターニングされることができ、これは外部から印加された磁場とは対照的に、磁場を形成する。マスクは、基板上に任意の必要とされる磁場を形成するために反磁性及び常磁性ラインの両方を含んでよい。
【0038】
上述のように、本発明は有利に管の内側に化学パターニングを提供する。これは、管が、通過する特定の反応剤の分子が磁気粒子によって被覆されていたその領域内部で内側表面と順次反応することができる、逐次リアクタとして動作することを可能にする。この目的で、表面領域に引き付けられる磁気粒子を保持する磁場は、管の連続する領域に順次印加される。
【0039】
上述の方法(基板を特定の時間エッチャー内に配置し、粒子と相互作用する領域のパターンがエッチングマスクとして使用され、磁場の効果を除くことによって磁気粒子を取り除き、それによってエッチングされた領域のパターンを形成する)を含むミクロ電子デバイスの製造方法も提供される。エッチングされた領域のパターンは、基板上のパターンのフィーチャサイズが磁気パターン発生器により生成されたパターンのものと比較して小さくなるように、磁場の勾配の対応する特徴的な寸法と比較して狭い特徴的な寸法を有する。
【0040】
さらに、本発明はミクロチャネル及び反応区画の二つの要素の、第3のタイプの要素であるチューブリアクタへの、一体化を可能にし、これは双方の性質を組み合わせる。これは、マグネトリソグラフィ(ML)法を使用することによって実行され、ミクロチャネル管内部の化学パターニングを可能にする。したがって、本発明は、特にLOCのための高効率のリアクタとして小さな直径の管を用いるとき、管の内側表面の化学的、及び生物化学的パターニングを可能にする。LOC機能は、ミクロチャネル内で実施することができ、それによって製造時間を短縮し、処理されなくてはならない材料の量を低減する。新しい要素(すなわち、チューブリアクタ)は、非常に簡単なかつ安価な技術を適用することによって、逐次的な処理の実行を可能にする。管の内側を酵素又は反応物でパターニングすることによって、管は、その中で溶液中の基板が管の内側表面に予め吸着された分子と反応する、輸送要素及びリアクタの双方として使用することができる。
【0041】
ある実施形態において、本発明は基板の連続する領域に連続的に磁場を印加する段階を含む。
【0042】
他の実施形態では、導電性ワイヤのアレイがマスクとして使用されてよい。電流がワイヤを通って流れるとき、磁場がその近傍に生成される。電流を順次スイッチングすることによって、一段ずつマスクの異なる領域に粒子を吸着することが可能である。これはいわゆる「ダイナミックマスク」であり、ワイヤを通って流れる電流によって誘起される磁場が十分であるため磁場の印加が不要であるか、又は、ワイヤを通って流れる電流を通じてさらなる場を印加することによって磁場を交互に入れ替えるために永久磁場と組み合わせて使用することができる。本発明の方法は、順次のパターニングを誘起する磁場を切り替えるため、ワイヤ上の電流を順次スイッチングする段階を含んでよい。
【0043】
さらに、上記説明のように、従来技術において、高解像度(すなわち、数十ナノメータのスケール)、ミクロ電子デバイスの高い処理量での製造、並びに別個の処理としての又は組み合わせた処理としての化学パターニング用途のために使用される単一のパターニング法を提供する必要性がある。全てのタイプの表面パターニングに関して同じ方法を使用できる能力は、電子工学と化学/生物学的認識プロセスとを組み合わせる用途に関する製造プロセスを簡素化する。
【0044】
本発明のML法は、エッチング及び堆積及び/又はイオン埋め込み処理等、共通のミクロ電子工学プロセスに適用され得る。
【0045】
3次元マスクの使用によって、高密度パターン形成表面を得ること、及び様々なパラメータの調整を是正すること、及び従来のフォトリソグラフィ法で可能であるものに匹敵する又はそれよりも小さい臨界寸法を提供することを可能にする強い磁場と共にサブ−10nm直径の磁気粒子を使用すること、が可能である。結果的に、この方法は、現在の臨界サイズ(光学リソグラフィのパラメータによって制限されない)と比較して小さいサイズを有するミクロ電子デバイスの生成、及びサブ−100nm解像度を有する化学及び/又は生物学的材料の表面パターニングを可能にする。逐次処理が用いられてよく、非平面表面に適用することができる。
【0046】
磁気ベースリソグラフィ法に関して以前報告されたように、本発明のML技術が磁気デバイスの製造に制限されないことに留意されたい[10]。
【0047】
本発明は、その広義の局面の一つとして、上述の方法によって製造されたパターン形成構造も提供する。本発明の他の広義の局面によれば、基板をパターニングするための装置が提供される。装置は、磁場を生成するための磁場源、及び基板上に得られるべき特定のパターンに対応する所望のパターンに従う磁場の磁気可変特性を提供するため磁場を調整するよう構成された少なくとも一つの磁気パターン発生器を含む。
【0048】
ある実施形態において、磁気源はマルチ−ペグ磁石、又は管状である基板を囲む磁石である。管は、チューブリアクタとして構成され、かつ操作可能であり、チューブリアクタ内部で順次反応を実行することが可能である。ある実施形態において、本発明は、空間的に局所化された領域での溶液反応において反応を触媒するようにパターン形成された基板を使用する能力を提供する。第1反応剤は、触媒を含んでよく、触媒のパターン形成された領域を形成し、それによって空間的に局所化された領域内の少なくとも一つの化学反応を触媒するためにパターン形成された基板を使用する。触媒は、化学反応が酵素反応であるように、酵素を含んでよい。第1反応剤は第1酵素を含んでよく、第2反応剤は第2酵素を含み、それによって順次の酵素反応を生じさせてよい。特に、本発明のML法を用いることによって、サブ−100nmの解像度で表面上の所定の領域に蛋白質を局在化させることが可能である。触媒がパターニングされた領域は、このように所定のスポットに含まれてよい。これは、親水性の単分子層で覆われた平坦な金表面上部への、疎水性の単分子層のラインの自己組織化に関してネガティブMLを使用することによって、実行され得る。
【0049】
本発明を理解し、実際にはどのように実施され得るかを見るために、非制限的な例示のみにより、添付される図面を参照して、実施形態が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1a】本発明の磁気パターニング法の概略図である。
【図1b】ポジティブ及びネガティブ法に関する本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法の概略図である。
【図2A】図2a;本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法で用いられるライン間に20μmの空間を有するラインパターンマスクを示す。図2b;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2c;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2d;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2e;図2aのラインパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。
【図2B】図2f;本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法で用いられるライン間に20μmの空間を有するグリッドパターンマスクを示す。図2g;図2fのグリッドパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。図2h;図2fのグリッドパターンマスクを使用した、1−4ベンゼンジメタンチオールの自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板上部のポジティブMLパターンのSEM像を表す。
【図3】鉄リングマスクを用いるガラス基板上のビオチンアビジン単分子層の組織化に関する、本発明の教示に従うネガティブML法を説明する概略図である。
【図4a】ガラス基板上に吸着されるAv−FITC分子の蛍光を説明し、同心円状の暗いリングパターンは磁気ナノ粒子が図3のネガティブML法を用いて遮断される領域である。
【図4b】基板が磁場のない状態で図3のネガティブML法を用いてAv−FITCに露出された後の、外側のリングパターン消失の後の蛍光を説明する。
【図4c】図4a及び4bに示される点線に沿った蛍光強度のプロファイルを示す。
【図5】疎水性/親水性単分子層による金コーティングシリコンのパターン形成に関する本発明のマグネトリソグラフィ(ML)法の概略図である。
【図6】水滴で測定された減少する接触角(CA)の間の比較、及び、単分子層で被覆された基板がGFP溶液に浸漬された後、GFPから測定される510nmにおける蛍光強度を説明するグラフである。
【図7】図7a;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、50μgml−1の磁気ナノ粒子の吸着及び基板の磁場への2分間の露出の後に得られたものである。図7b;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、5μgml−1の磁気ナノ粒子の吸着及び基板の磁場への2分間の露出の後に得られたものである。図7c;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、GFPの均一な30nmライン幅パターンのSEM像である。図7d;GFPへの露出後パターン形成された表面のSEM像であり、図7cで示されたラインの3次元イメージである。
【図8a】ライン幅が、マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に対応する距離である磁気マスク上の磁場分布を説明する。
【図8b】マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に対応する距離において最も高強度の磁場を有する場所を示す。
【図9】エッチング及び堆積プロセスを含む本発明のML法の概略図である。
【図10】図10a;エッチングに使用されるコバルトの100nm厚さの層で完全に覆われた3次元マスクの走査型電子顕微鏡(SEM)像である。図10b;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。図10c;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。図10d;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。
【図11】図11a;コバルトラインの常磁性の10nm厚みの層が、磁場分布を規定するために使用される平面マスクのSEM像である。図11b〜c;様々な倍率で表される、エッチングプロセスにより得られたパターンのSEM像である。
【図12】図12a〜d;様々な濃度を有するナノ粒子の溶液に5分間基板を露出した後、エッチングプロセスによって得られたパターンのSEM像である。
【図13】図13a;本発明の方法を用いる、Crを50nm堆積した後に得られたSEM像であり、磁気ナノ粒子での基板のパターニングに用いられるマスクのSEM像である。図13b;本発明の方法を用いる、Crを50nm堆積した後に得られたSEM像であり、マスクによって誘起される場に従って基板上部に集合した後の磁気ナノ粒子のSEM像である。図13c;図13bに点線の円で示した一つのサイトに集合したナノ粒子のSEM像である。図13d;ナノ粒子が取り除かれるリフトオフ処理の後に得られた構造のSEM像である。図13e;ナノ粒子が取り除かれるリフトオフ処理の後に得られた構造のSEM像である。
【図14a】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、金基板上のパターンの光学顕微鏡像である。
【図14b】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、金基板上のパターンのSEM像である。
【図14c】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、高解像度パターニングでの同じSEM像である。
【図14d】磁気パターン発生器としてのハードディスク媒体の使用を説明する図であり、高解像度パターニングでの同じSEM像である。
【図15a】本発明の教示によるポジティブMLを使用したことによる管内部表面のパターニングを記述するフローチャートである。
【図15b】図15aのポジティブMLによってパターン形成された管内に吸着されたナノ粒子の二つのバンドから観察されたフルオレセイン及びスルホローダミンの双方の蛍光を示す像である。
【図16a】本発明の教示によるネガティブMLを使用したことによる、管の内部表面の段階的な表面パターニングを記述するフローチャートである。
【図16b】図16aのネガティブMLによってパターン形成された管から得られた蛍光のイメージである。
【図17a】管内にMLを適用するためのマルチペグ磁石を記述する概略図である。
【図17b】ネガティブMLを用いて酵素ウレアーゼでパターン形成された図17aの管を示す。
【図17c】指標の色の変化から得られる、管に沿ったpHの変化を示す。
【図18a】管の内部表面上で蛋白質グルコースオキシダーゼ(GOx)及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)をパターニングすることによって得られた管内部の逐次酵素反応の概略的な説明である。
【図18b】暗い領域として示される逐次反応から得られる、関与するオキシデートテトラメチルベンジジン(TMB)のイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
基板をパターニングするための本発明の装置を例示する図1aが参照される。装置1000は、磁場を生成するための磁場源100A、及び一つ以上の磁気パターン発生器を含み、単一のそのような発生器100Bが図中に示される。磁気パターン発生器100Bは、所望のパターンに従って磁場に磁気可変特性を与えるため、磁場を適切に調節するように構成される。磁気パターン発生器100Bは、物理的要素、すなわち静的マスク(例えば磁気マスク、又は予めパターン形成されたハードディスク媒体)、又は磁場プロファイルの変化を誘起する電子モジュレータ、すなわち、いわゆる「動的」又は「仮想」マスク、を含んでよく、又はそれらによって構成される。その結果、磁場源100A及び磁気パターン発生器100Bは、基板上に得られるべき特定のパターンに対応する所望のパターンに従って調節された磁場を生成するために、互いに動作することができる。
【0052】
同様に制御ユニット100Cが装置1000に提供されるのが好ましい。これは、典型的にはコンピュータシステムであり、とりわけデータ入力/出力ユーティリティ、データ処理及び解析ユーティリティ、及びメモリユーティリティを含む。例えば、動的又は仮想マスクの場合、制御ユニット(すなわちそのプロセッサ)は所定のデータパターン(メモリユーティリティに保存される)を、基板(例えば磁気媒体上の中間パターン上部に堆積される膜(例えば予めパターニングされたハードディスク媒体))上に特定のパターン(形状)を形成する磁場プロファイルに翻訳するために動作する。
【0053】
本発明のポジティブ及びネガティブMLプロセスの双方に関する、特定の、ただし非制限的な例を示す図1bが参照される。本方法は以下のように実施される。
【0054】
段階1において、磁場パターンは「化学的にパターン形成される」基板102の近傍に生成される。この例では、これは基板102の裏面、すなわちパターン形成される表面とは反対側の表面、に配置される磁気マスク100を用いることによって実施される。マスクは、上述のような相互作用領域のパターンに従って構成される。マスク100の下方に設置される磁石104(例えば永久)によって生成される磁場は、印加される場の空間分布及び形状を画定するマスク100を通じてその後基板102に印加される。その結果、マスク100はマスクのパターンを介して基板102に向かって磁場を誘起する。段階2において、強磁性ナノ粒子(NP)106は、マスク100によって規定される場に従って、基板102と相互作用する。この例において、前記相互作用は、基板102上部への粒子の堆積を通じて実現される。
【0055】
ポジティブ法(段階4)において、強磁性ナノ粒子106は、基板12と化学的に反応するか、又は化学認識を介して相互作用する。したがって、強磁性ナノ粒子106は、マスク100が磁場を誘起する、選択された位置(相互作用領域)においてのみ固定され、パターン形成された基板をもたらす。
【0056】
ネガティブ法(段階3、5)においては、強磁性ナノ粒子106は基板102に対して不活性である。したがって、段階3に説明されるように、それらが一度基板102上に堆積されると、ナノ粒子106は基板102上のそれらの結合サイトが他の反応剤108と反応することを妨げる。反応剤108の吸着の後、ナノ粒子106は取り除かれ(段階5)、ネガティブにパターン形成された基板102をもたらす。
【0057】
磁気粒子と基板との間の相互作用が、磁場の効果を除いた後に中断されることに留意されたい。これは、磁気マスクを基板から物理的に引き離すことによって(例えばマスク領域が強磁性である場合)、又は静的に取り付けられたマスクを通じて印加された磁場をオフに切り替えることによって(例えばマスク領域が常磁性である場合)、実行することができる。
【0058】
ジチオール(1−4ベンゼンジメタンチオール)の自己組織化単分子層で官能化された金コーティングガラス基板が使用される、本発明の教示を用いるポジティブMLパターニングの、特定の、ただし非制限的な例を説明する図2a−2hが参照される。コバルトマスクは、基板の磁場パターニングのために製造された。コバルト超結晶を生成するために、コバルトナノ粒子(NP)の集合体を磁場によって誘起することができることに留意されたい[3]。二つのマスクが使用された。一つはラインでパターン形成され(図2a)、他方はグリッドでパターン形成され(図2f)、双方はライン間の空間が20μmである。100Gの磁場は、永久磁石によってコバルトマスクを通じて誘起され、一方で基板はFeO4ナノ粒子(直径10nm)溶液内部で15分間浸漬された。その後マスクは取り除かれ、基板は洗浄された。FeO4ナノ粒子が表面に露出するチオール基と反応するので、ポジティブMLの結果は基板上のマスクパターンのコピーである。磁場との相互作用に起因して、ナノ粒子は、場が最大である表面サイトに選択的に引き付けられ、これらの場所において単分子膜のチオール官能基と反応する。これらのイメージは、それらの間に20μmの空間を有する1−5μm幅のラインを示す。堆積時間を注意深く調節することによって、マスクのライン幅と比較して狭い幅を有するパターンを得ることができることは理解されるべきである。これは、マスクによって規定されるライン幅内の磁場の勾配に起因する。磁場は、端部と比較して中央部で強い。結果として、ナノ粒子は最初にラインの中央部で組織化される。
【0059】
本発明のネガティブML法は、幾つかの方法で実行することができる。例えば、磁気ナノ粒子はガラス基板にビオチン分子を結合することによって遮断することができ、又は、その代わりに、ビオチン単分子層の基板上への吸着が磁気ナノ粒子によって遮断され、その後磁気ナノ粒子がビオチン−アビジン生物学的認識プロセスを遮蔽するため使用されることができる。
【0060】
トリメトキシアミノシラン105及びFeO4ナノ粒子106を含む溶液中で、ガラス基板102がリング形状にパターン形成された磁気マスク100に露出される、ネガティブML法を例示する図3が参照される。段階1において、磁気ナノ粒子106は、磁場がより強いサイトに引き付けられ、これらの場所(すなわち、相互作用領域)を溶液中のアミノシラン105との反応から保護する。FeO4ナノ粒子106はガラス基板に対して不活性であり、したがって、基板に対するトリメトキシアミノシランの化学吸着と比較して迅速に、磁場によって基板の選択された領域に引き付けられる。したがって、溶液中にトリメトキシアミノシラン及びFeO4ナノ粒子の混合物を提供することが、この例において可能である。結果的に、不活性のFeO4ナノ粒子106は、リング状にパターン形成されたマスクによって印加される磁場に従って、ガラス基板102上部に組織化される。このプロセスは、表面のナノ粒子106で覆われていない場所の選択的なシラン処理(silanization)をもたらす。磁気ナノ粒子106は未処理のガラス基板に対して不活性であるため、磁気マスク/場(段階2)が除かれた後で、それらは表面から(例えば、洗浄又は空気流によって)取り除くことができる。次の段階(段階3)で、基板は、アミノ官能化パターン形成表面と反応するNHS−ビオチン107(N−ヒドロキシ−スクシンイミド−ビオチン)でビオチニル化された。
【0061】
パターン形成の多段階における本発明の方法の成功を実証するために、調製されたビオチニル化されたガラス表面は、リング状パターンを有する第2の磁気マスク100’に曝された。第2のリング形状パターンを有する磁気マスク100’は前述のリング形状マスク100と比較して大きく、同心円である。基板102は、その後フルオロフォアでラベルされたアビジン(Av−FITC)110及び磁気ナノ粒子106の溶液に曝された(段階4)。また、磁気ナノ粒子106は、リングパターンを有するマスクによって印加される磁場によって引き付けられ、結果的にリングとして組織化された。したがって、ナノ粒子106の下方のビオチン基107は保護され、Av−FITC110とは相互作用しなかった。このネガティブMLプロセスの結果は、二つの共通の中心を有するリングを有するパターン形成された表面である。内側のリングは、分子と基板との反応が妨げられるネガティブMLを表し、一方で、外側のリングは、既に吸着された分子と溶液中の分子との間の相互作用を妨げる。磁気マスク100’を取り外すことにより磁気ナノ粒子がリングサイトから離れる(段階5)ので、第2のネガティブML法は可逆である。したがって、これらのサイトのビオチン基107が脱保護され、溶液中のAv−FITC分子110がビオチン基107と相互作用することができる(段階6)。しかしながら、ガラス基板に直接吸着している間にネガティブMLが実施されるときは、この限りではない。
【0062】
同心円状の暗いリングパターンが磁気ナノ粒子が遮断される領域である、図3に説明されるネガティブML法において、ガラス基板上に吸着されるAv−FITC分子の蛍光を説明する図4aが参照される。内側のリングは、ガラス基板に対するビオチン分子の結合を妨げる磁気ナノ粒子によって形成され、一方で、外側のリングはビオチン−アビジン生物学的認識プロセスを妨げる磁気ナノ粒子によって形成された。
【0063】
図4bは、磁場がないときのAv−FITCに対する基板の露出後の、外側のリングパターンの消失に続く蛍光を説明する。
【0064】
図4cは、図4a及び4bに示される点線に沿った蛍光強度のプロファイルを説明する。(a)の点線に沿った強度プロファイルは、線200で示される。領域202は、磁場がない状態でAv−FITCに基板を露出した結果として外側のリングが消失した後の、(b)の点線に沿った強度プロファイルを表す。パターンに沿った蛍光強度プロファイル(点線)は、磁気マスクがない状態でAv−FITCで処理された後でさえ暗いままである、内部のリングパターンに見られるような、ネガティブMLプロセスの非可逆的性質を説明する。内側のリングはAv−FITCの無視し得る、非特異性の吸着を示し、これはネガティブMLによって生じるこの領域におけるビオチン基の欠落を証明する。それに対して、外側のリングパターンは、磁場がない状態でAv−FITCに基板を露出した後消失する。これは、予め吸着されたビオチン分子が、磁場を除いた後で、ナノ粒子を取り除くことによって、脱保護され、Av−FITCと結合することが可能となるためである。したがって、このプロセスは可逆である。
【0065】
本発明のML法のネガティブモードを使用する疎水性/親水性単分子層による金コーティングシリコン基板のパターニングを説明する図5が参照される。疎水性分子のラインは、親水性分子で覆われた表面上にパターニングされた。その後、表面はGFPに露出され、洗浄された。一連の200nm厚みの金基板は疎水性/親水性試薬の混合物からなる自己組織化単分子膜で被覆された。金基板の疎水性を徐々に変化させるために様々なモル分率の疎水性/親水性試薬が使用された。
【0066】
磁場パターンは、基板102の裏面、すなわちパターニングされる表面の反対側の表面、に配置される磁気マスク100を用いて基板102の近傍に生成される。マスク100の下に設けられた永久磁石104によって生成された磁場が、その後印加される場の空間分布及び形状を規定するマスク100を通じて基板102に印加される。結果的に、マスク100は、マスクのパターンを通じて、基板102に向かって磁場を誘起する。段階1において、不活性強磁性ナノ粒子(NP)106(例えば、トルエンに溶解された、直径10nmのFe3O4)が、マスク100によって規定される場のプロファイルに従って、金基板102(例えば、電子ビーム蒸発装置により200nmの高品質の金の層で被覆されたシリコン基板(厚み300μm))に引き付けられる。この例において、そのような相互作用は基板102上への粒子の堆積を介して実施される。次に、ヒドロキシルヘッド基を備える、親水性剤/試薬150、11−メルカプト−1−ウンデカノール(11MUD=HS−C11OH)が、ナノ粒子によって被覆されていない場所において基板上に自己組織化される(段階2)。ナノ粒子106は、基板102上のそれらの結合サイトを、親水性反応剤150との反応から遮蔽する。親水性反応剤150の吸着の後、段階3において、磁気マスク100は取り外され、基板102は磁気ナノ粒子106を取り除くために超音波処理及び洗浄される。その後、段階4において、疎水性反応剤152、ヘキサデカンチオール(HDT=SH−C15CH3)が、基板102上の、ナノ粒子106によって予め被覆された領域に吸着される。この特定の、かつ非制限的な例において、双方の分子、HDT及び11MUDは、エタノールに溶解される(10mM溶液)。吸着時間は、室温で3時間である。疎水性反応剤のパターニングを評価するために、緑色蛍光蛋白質(GFP)が、親水性表面と比較してGFPが疎水表面と強く相互作用するかどうかを評価するために、使用された。最終段階(段階5)において、表面はGFP154に露出され、GFP154は疎水性ライン152上に吸着され、親水性バックグラウンド150からはじかれた。
【0067】
水滴で測定された減少する接触角(CA)、及び、単分子層で被覆された基板が10nMのGFP溶液に30分間浸漬された後、GFPから測定される510nmにおける蛍光強度を比較する図6が参照される。図に見られるように、モル分率0.2HDTにおいて接触角の急激な変化が存在する。この変化の後、接触角は一定に保たれる。接触角におけるこの階段状の変化は、各々の分子が、唯一つの種類の分子を含むドメインを形成する相分離を示唆している可能性がある。水滴は、広い領域にわたって平均化され、したがって疎水性ドメインによる影響を受ける。したがって、親水性/疎水性混合物から作られた単分子層の場合、それらは大きな接触角を有する。GFPからの蛍光のモニタリングは、表面上のGFPの量がHDTのモル分率に線形に関連付けられることを示す。この結果も、各分子に対する別個のドメインの形成と矛盾しない。GFPは、疎水性ドメイン上に良好に吸着し、結果的にその濃度の増加に応じて、より多くのGFPが吸着され、より多くの蛍光が観察される。結果的に、GFPはナノメータスケールの疎水性パターンの検知に対して有効に働く。
【0068】
図7a−7dは、GFPに曝された後、図5に関連して記述されるプロセスにおいて作製された、パターニングされた表面のSEM像である。GFPは、蛋白質のSEM像に関して、既に述べたように、明るいラインとして現れる。図7aにおいて、磁場に2分間露出された高濃度(50μg ml−1)の磁気ナノ粒子を吸着した後、低解像度(幅1μm超)のラインが得られた。図7bに説明するように、磁気ナノ粒子の希薄溶液(5μg ml−1)が使用され、同様に2分間磁場に曝されたとき、約30nmの幅を有する、より狭いラインが得られた。蛋白質は疎水性ライン上に吸着され、親水性バックグラウンドからははじかれる。
【0069】
図7cは、GFPの均一な30nmライン幅パターンのSEM像であり、図7dは図7cに示されたラインの3次元イメージである。
【0070】
30nmの分子パターニングが、磁場を誘起する磁気マスク100のラインが幅50μmであるという事実にもかかわらず実現されたことは、理解されるべきである。高解像度が、図7a−7bに示されるように、NP濃度を低減することによって、又は、系が平衡に達しないように、吸着時間を短縮することによって、得られた。これらの条件の下で、ナノ粒子はまず高い場の部分、すなわち磁気ラインの中央にのみ、に吸着される。これは、図8a−8bに関連してさらに後述されるように、マスクによって規定された線幅内の、磁場の勾配が、マスクラインの端部と比較して中央部で強いためである。
【0071】
図8a−8bは、マスクからの距離に応じた、マスク上の磁場のシミュレーション結果を示す。マスク上の磁場分布は、COMSOLプログラムを用いて計算される。図8aは、マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に相当する距離における、磁気マスクライン幅上部の磁場分布を説明する。図8bは、マスク上のパターンのライン幅の1.5、3.5、及び7.5倍に相当する距離において、最大強度を有する磁場を有するサイトを示すグラフである。
【0072】
本発明の技術の興味深い特性が明確に示される。基板がマスクから比較的離れているとき、基板上の磁場は弱まる。しかしながら、それはマスク上のラインの中央にピークを有し、その結果マスクのパターンと比較してかなり狭いパターンを有するナノ粒子の吸着を生じることができる。得られるライン幅が非常に均一であることに留意されたい。その均一性は、ナノ粒子が小さいとき得られうるラインがより均一なので、ナノ粒子のサイズに依存する。しかしながら、小さなナノ粒子は小さな磁気双極子を有し、結果的に高い永久磁場を必要とする。直径10nmの粒子に関して、及び三つの粒子がライン幅を定義するので、30nmラインの幅は±30%の変動を有する。
【0073】
エッチング及び堆積プロセスを含むML法の、特定の、ただし非制限的な例を説明する図9が参照される。磁場は、基板上に約100ガウスの一定の場を生成する永久磁石104を用いて、基板102上部にパターン形成される。常磁性パターンから作られるマスク100は、基板の裏の、磁石と基板との間に配置される。マスクは、その上に常磁性金属が従来のフォトリソグラフィによってパターニングされた平坦な表面、又はパターン形成され、常磁性金属で完全に被覆された3次元構造体のどちらかであってよい。後者において、基板の形状は、マスク上の磁場を規定する。組み合わされたシステム(磁気、マスク、及びウェハ)全体は、磁気ナノ粒子106を含む溶液に曝される。ナノ粒子106は、場の勾配の強さに従って、基板102上に集合する。システムは、その後エッチャー内に、又は蒸発器内に配置され、基板は処理される。ナノ粒子106は、その後取り除かれる。
【0074】
堆積及びエッチングに関して、マスクは、マスクが常磁性金属でパターン形成されるときは、フォトリソグラフィを用いて、又は、図に説明されるようなシリコンウェハの3次元非平面マスクを用いて、準備された。後者の場合、シリコンチップアレイはフォトリソグラフィ及びその後の、参照によってここに組み込まれる国際公開第2009/113063号に記載されるようなイオンプラズマエッチングを用いて、その後常磁性金属コバルト層がマスク全体の上に蒸着されて作製された。非平面マスクを用いることによって、輪郭がはっきりした非平面のフィーチャが特定の場所において強い磁場を誘起するので、高密度の高解像度パターンを得ることが可能である。
【0075】
この特定の、ただし非制限的な例において、マスクは薄いシリコン基板(厚み300μm)の裏面に保持された。永久磁石は、マスク100の裏面に固定され、シリコン基板102上に約100ガウスの平均場を生成する。シリコン基板102は、その後、水溶液中で安定化された10μg ml−1のFe3O4ナノ粒子(直径10nm)106の溶液に曝された。ナノ粒子の濃度、及びウェハが溶液に浸漬される時間は、これに続くエッチング又は堆積で得られるフィーチャの解像度及び均一性を規定する。
【0076】
エッチングの場合、シリコン基板102はイオンプラズマエッチャー、ICP−RIE内に配置され、一般的に使用されるフォトレジストの代わりに、エッチングマスクとしてマグネタイトナノ粒子106を用いて、SF6ガスによって15秒間エッチングされた。エッチング処理が完了した後、シリコン基板102は洗浄されかつ熱エタノールで10分間超音波処理され、その後水で濯がれ、窒素流で乾燥された。
【0077】
マスクの走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図10aが参照され、図10b−10dは、様々な倍率(10μm、2μm、100nm)で示される、基板をエッチングすることによって得られた直径約100nm及び高さ100nmのシリコンピラーのパターニングを説明する。このプロセスで使用されるマスクは、非平面であり、厚み100nmのコバルト層を有する3次元パターニングシリコンウェハをコーティングすることによって製造される。
【0078】
図11aは、平坦なシリコンウェハ上に堆積された厚み100nmのコバルトラインに基づく様々なマスクを説明する。図11a−11cにおいて、エッチングされたパターンは、二つの異なる倍率(2μm、250nm)で示される。図10b−10d及び11b−11cの双方に示される結果は、プロセスを最適化することなく得られたものであり、結果的に構造の均一性は理想的なものではない。しかしながら、これらの条件の下でさえ、明確な構造が得られる。上述のように、従来のフォトリソグラフィとは異なり、本発明のML法においては、得られる構造がマスク上のものと同一ではないことに留意されたい。この方法は、マスク上のパターン自身ではなく、マスク上のパターニングによって形成される基板上の磁場の形状に影響を受けやすい。したがって、基板上のパターンの特定の形状を得るために、マスク上のパターンの形状は、基板上の要求されるパターンを形成するようにシミュレートされなくてはならない。
【0079】
図12a−12dは、図11aに示されるマスクを用いて磁場を印加することによって基板をナノ粒子に曝した後で、シリコンをエッチングして得られるSEM像を示す。結果は、露出時間が一定(5分)に保たれたとき、溶液中の様々な濃度のナノ粒子に関して得られた。特に、図12aは、濃度10mg ml−1に関する、図12bは濃度1mg ml−1に関する、図12cは濃度300μg ml−1に関する、及び図12dは濃度1
00μg ml−1に関するエッチングを説明する。
【0080】
明らかに分るように、構造の再現性及び均一性は、従来のフォトリソグラフィにおいて実施されてきた最適化と同様に、制御及び最適化することができる。
【0081】
金属の蒸着は、図13aに示されるマスクを用いて実施された。マスクは、3次元パターン形成シリコン基板上に厚み50nmのクロム層を蒸着することによって形成された。基板が永久磁石によって形成された磁場に曝されたとき、図13b−13cに示されるように、磁気ナノ粒子がシリコン基板上に集合した。金属蒸着の後、アセトン中5分間の超音波処理によるリフトオフプロセスが実施された。結果として得られる構造が、図13d−13eに示される。得られた構造は、非常に均一であり、再現性が高い。
【0082】
ナノ粒子が多層構造内に集合する傾向があることに留意されたい。もしも基板上に集合したナノ粒子が単一層を形成する場合、表面を完全に被覆することは不可能であろうし、また離隔した空の領域が層内に残り、処理において重大な不均一性を生じるだろう。多層構造は、基板上の高勾配磁場領域において集合を開始するナノ粒子の第1の群によって誘起された磁場からもたらされる。多層クラスタは、ナノ粒子パターンの不透明さを確実にし、その結果マスキングの均一性に寄与する。磁気ナノ粒子上に与えられる力は以下の式で与えられる。
F=ΔχV(∇・B)Bμ0−1 (1)
ここでBは磁束密度(テスラ)、Δχは目的物とその周囲との間の磁化率の差(空気中の常磁性材料に関して103−105m−3)、Vは体積(直径10nmの粒子に関して、〜1×10−19cm3)、及びμ0は真空透磁率定数である。
【0083】
基板上に印加される平均磁場は約10−2テスラである。良好な均一性を保ちつつ、パターンのサイズ、例えばラインの幅、を小さくするにはより小さな粒子、例えば2nmの粒子を用いることが要求される。このサイズの粒子は、約20±3nmのライン幅の実現を可能にする。ナノ粒子の磁気双極子がその体積に比例し、場の勾配が場に比例して増大すると仮定すると、2nmの粒子に作用するのに必要とされる磁場は、約0.1テスラである。
【0084】
他の実施形態において、磁気パターン発生器はコンピュータに用いられるハードディスク装置の原理に基づき、磁気ヘッドを用いて磁気の方向を変えることによって磁場の空間パターンを電子的に得ることを可能にする。
【0085】
これに関連して、磁気パターン発生器としてハードディスク媒体を用いる図14a−14dが参照される。図14aは、磁気パターン発生器としてハードディスク媒体を使用した、金基板上のパターンの光学顕微鏡像である。ハードディスク装置内に存在するものと同じ磁気ヘッドが、磁気媒体上に、特にハードディスク媒体上に電子的に磁場をパターン形成するために使用される。これは、パターン(例えば、コンピュータのスクリーン上にパターン形成された図)を、磁気媒体(例えばハードディスク媒体)上の磁気形状に翻訳するソフトウェアを用いることによって実施することができる。その後ハードディスク媒体は、ハードディスクドライブから取り出され、磁気パターン発生器として用いられる。その後薄い金属又はポリマー膜が、パターン形成されたハードディスク媒体の上部に堆積されてよい。その後ハードディスク媒体が磁気パターン発生器として使用されるとき、磁気ナノ粒子が、本発明の教示によるネガティブ又はポジティブマグネトリソグラフィ法のどちらかを適用して薄膜を被覆するために使用されてよい。薄膜のパターニングの後、膜は取り除かれ、ハードディスクは再利用することができる。図14bは、高解像度(20μm)における金基板上部の同じパターンのSEM像である。図14c−14dは、高解像度パターニング(2μm及び20nm)における同じもののSEM像である。
【0086】
本発明の教示によるポジティブMLを適用することによる内部管表面のパターニングを記述するフローチャートである図15aが参照される。この特定の、及び非制限的な例において、管内側表面は、ビシクロヘキシル(BCH)溶液に浸漬され、かつメルカプトプロピルトリメトキシシラン142(例えば、10mMのメルカプトプロピルトリメトキシシランに室温で4時間)によって官能化された、直径200μmのガラス管140である。直径10nmの磁気ナノ粒子(Fe3O4)は、フルオレセイン144及びスルホローダミン146によって被覆された。ナノ粒子は、磁場によってフルオロフォア溶液から分離され、その後エタノールで希釈された。(例えば、約100ガウスの)磁場は、永久磁石を用いて管140に印加された。フルオレセインでラベルされた磁気ナノ粒子144が管に注入され、磁場勾配が最大になったサイトに吸着された。30分後、管はエタノールで洗浄され、磁場は他のサイトに移った。次に、スルホローダミンでラベルされた磁気ナノ粒子146が管に注入され、新しいサイトに濃縮された。30分後、管はエタノールで洗浄され、窒素で乾燥された。図15bに示すように、この処理は、パターン形成された管内部に吸着されたナノ粒子の二つのバンドから得られるフルオレセイン及びスルホローダミンの双方の蛍光をもたらした。
【0087】
図16aは、本発明の教示によるネガティブMLを使用したことによる、管の内側表面のパターニングを記述するフローチャートである。ガラス管(例えば、直径200μm)160の内側部分は、アミノプロピルトリメトキシシラン(段階1)によって官能化され(例えば、管は10mMアミノプロピルトリメトキシシランのメタノール溶液に室温で4時間浸漬された)、その後磁場161(約100ガウス)が管に沿って一つの場所で印加され、Fe3O4ナノ粒子162を含む溶液(例えば、1mg ml−1のFe3O4)が管内に注入された(段階2)。ナノ粒子162は、磁場161が印加されたサイトにリング状に配置される。次の段階において、N−ヒドロキシ−スクシンイミド−ビオチン(NHS−ビオチン)の溶液、例えば1mg ml−1のNHS−ビオチンとアミノ官能化パターン形成表面との反応が、例えば1時間実行された。ナノ粒子162で覆われたサイトは保護され、結果的にNHS−ビオチンとは反応しない(段階3)。このプロセスは、表面において、ナノ粒子で覆われていないサイトにおいて、ビオチニル化に関する選択的位置をもたらす。磁気ナノ粒子が表面に対して不活性なので、磁気マスクが取り除かれた後(段階4)、それらは表面を洗浄することによって取り除くことができる。管の内側表面のパターニングの多段階において本方法が上手く行くことを示すために、準備されたビオチン化管は、第2の位置で磁場161’に露出された。ナノ粒子162は管内部に注入された(段階5)。その後基板はバッファリン酸溶液(pH8)、例えばフルオロフォアでラベルされたアビジン(Av−FITC)、例えば5μg 100μl−1 Av−FITC、の50mMバッファリン酸溶液、に曝された(段階6)。また、磁気ナノ粒子は磁場によって引き付けられ、新しいサイトに集合された。したがって、ナノ粒子の下のビオチン基は保護され、Av−FITCと相互作用しなかった。
【0088】
このネガティブML法は、図16bに説明されるような二つのバンドを有するパターン形成された表面をもたらす。左のバンドはネガティブMLを表し、ここではビオチン−NSH分子と、管の内側の表面のアミノ基との間の反応が妨げられ、一方で右のバンドは既に吸着したビオチン分子と溶液中のAv−FITCとの間の相互作用を妨げるナノ粒子に起因する。磁石の除去により磁気ナノ粒子が取り除かれるので、第2のネガティブML法は可逆である(段階7)。結論として、これらのサイトのビオチン基は脱保護され、図16bに示すように、管内部に注入されるAv−FITC分子は吸着されたビオチン基と相互作用することができる(段階8)。
【0089】
したがって、本発明は、相対的に小さな分子で、管の内側の表面をパターニングする性能を提供する。逐次的な処理において、溶液内の反応物と表面に吸着しているものとの間の反応は局所化されなくてはならない。
【0090】
本発明は、管の内側の部分を酵素でパターニングする性能をさらに提供する。これに関係して、本発明のネガティブML法を用いて、様々な場所で、管(直径200μm)の内部にパターニングされた酵素ウレアーゼのリングを説明する図17a−17cが参照される。まず、管の内側の表面が、アミノプロピルトリメトキシシランによって修飾された。管は、10mMのアミノプロピルトリメトキシシランを含むメタノール溶液に室温で4時間浸漬された。次に、管はマルチペグ磁石(例えば、約100ガウスの磁場を含む)に曝され、磁気ナノ粒子(例えば、1mg ml−1の溶液)が管内部に注入された。磁気ナノ粒子は、図17aに示されるように、マルチペグ磁石によって誘起された磁場に従って管に沿って配置された。アミノプロピルシランに対するウレアーゼの共有結合は、0.05M HEPESバッファ溶液、室温で保温時間2時間の0.01Mの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(EDC)の存在下でpH7.3、0.5mg ml−1のウレアーゼ(例えば、タチナタマメ由来、Type 3、E.C. 3.5.1.5)を含む、を注入することによって実施された。最終的に、ウレアーゼは、磁気ナノ粒子によって保護されていないアミン基に共有結合した。ナノ粒子は、管を洗浄することによって取り除かれた。尿素、例えば0.1Mの尿素を含む溶液及びpH指示薬が管を通って流され/勢いよく流された。ウレアーゼがパターン形成された領域において、酵素が尿素を分解し、NH3を生成した。その結果、その領域のpHは増大し、指示薬はウレアーゼ結合のある場所でその色を赤から緑/青へと変化させた。図17bに明確に示されるように、pHの高い領域は管内部のスポットとして現れる。管に沿ったpHの変化は、指示薬の色の変化に基づき分析することができ、図17cに示される。この実験は、酵素での管内部のパターン形成能力を証明し、酵素と尿素との間の反応の局所化の直接的な証拠を提供する。
【0091】
管内部で局所化された酵素反応を有する能力が示されたので、本発明のネガティブMLは逐次的な酵素反応に適用された。この場合、蛋白質グルコースオキシダーゼ(GOx)及び西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)は、図18aに示されるように、管の内側の表面(例えば、直径200μmの管)の明確に規定されたサイトに吸着された。まず、管の内側の表面が、アミノプロピルトリメトキシシランによって修飾された。管は、10mMのアミノプロピルトリメトキシシランを含むメタノール溶液に室温で4時間浸漬された。次に、管はマルチペグ磁石(例えば、約100ガウスの磁場を誘起する)に曝され、磁気ナノ粒子が管内部に注入された。磁気ナノ粒子は、マルチペグ磁石によって誘起された磁場に従って管に沿って配置された。アミノプロピルシラン基に対するGOxの共有結合は、0.05M HEPESバッファ溶液、室温で保温時間2時間の0.01Mの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(EDC)の存在下でpH7.3、0.5mg ml−1のGOx(例えば、黒色アスペルギルス由来、E.C. 1.1.3.4)を含む、を注入することによって実施された。最終的に、GOxは、磁気ナノ粒子によって保護されていないアミン基に共有結合した。
【0092】
ナノ粒子は、管を洗浄することによって取り除かれた。次に、MLの第2のサイクルが、GOx結合サイトに磁場を誘起するマルチペグ磁石を用いて磁気ナノ粒子によってGOx結合サイトを保護するために実施された。その後、アミノプロピルシランに対するHRPの共有結合が、EDC(例えば、室温で保温時間2時間である0.01MのEDC)の存在下で0.3mg ml−1のHRP(E.C. 1.11.1.7)を含むバッファ溶液(例えば、0.05M HEPESバッファ溶液)を注入することによって実施された。その結果、HRPはGOx結合サイト間に位置するアミン基に共有結合する。管内の逐次酵素反応は、2,2,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)と共にグルコースを管内に注入することによって開始された。TMBはエタノール中で溶解され、その後1mMのTMB及び2%(v/v)エタノールを含むグルコース溶液を得るために50mMのグルコースを有するpH6の0.1Mバッファリン酸で希釈された。グルコースは、グルコン酸及びH2O2を生じるために、GOx及びO2によって酸化された。H2O2はHRP結合サイトに拡散し、そこでHRBはTMBの酸化に生体触媒として働き、不溶性の生成物を生じる。
【0093】
図18bは、HRPの位置における不溶性生成物の関与によって生成されるスポットで示される逐次的酵素反応の結果を示す。一連の制御実験は、不溶性生成物が、全ての成分が存在するときのみ、すなわちGOx及びHRPの双方が吸着され、グルコース及びTMBが溶液中に溶解されるとき、生成されることを証明した。
【0094】
したがって、本発明は管内部にパターニングする、及び空間的に局在化された領域における溶液反応中の反応を触媒するためにパターン形成された基板を使用する能力を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のパターンに従って磁場に可変磁気特性を生じさせる磁場を調節するように構成され、かつ操作可能である少なくとも一つの磁気パターン発生器を提供する段階と、
前記基板の近傍に調節された磁場を印加し、その結果得られるべき相互作用領域の特定のパターンを基板上部に生成する段階と、
前記基板を磁気粒子と相互作用させ、前記調節された磁場の印加中に、磁気粒子が前記特定のパターンによって規定される選択された相互作用領域に引き付けられ、一方で前記相互作用領域の外側の領域に実質的に引き付けられず、その結果前記基板の上部に磁気粒子と相互作用する領域の前記特定のパターンを形成する段階と、を含む基板をパターニングする方法。
【請求項2】
前記所望のパターンが、磁気パターン発生器からの、サンプルが配置される所定の距離における、所定の磁場プロファイルに関する前記特定のパターンに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁気パターン発生器が、前記磁場を生成する磁石と前記基板との間に配置されたマスクであり、前記マスクが基板の上側又は裏側のどちらかに配置される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクが、導電性ワイヤから作られた動的マスクであり、ワイヤを通過する電流の印加の下で、ワイヤ近傍に磁場が生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
逐次的なパターニングを生じさせる磁場の切り替えを行うため、前記ワイヤ上の電流を連続的にスイッチングする段階を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記磁気粒子が強磁性体ナノ粒子である、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
磁場の効果を取り除くことによって磁気粒子を取り除く段階を含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
磁気粒子と相互作用する領域のパターンが、ポジティブリソグラフィを用いて基板上に形成される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記磁気粒子が、前記基板との化学認識を介して基板と相互作用する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記磁気粒子が、前記基板との生物学的認識を介して基板と相互作用する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
磁気粒子と相互作用する領域のパターンが、ネガティブリソグラフィを用いて基板上に形成される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記磁気粒子が前記基板に対して不活性であり、前記基板上の前記選択された相互作用領域を反応剤との反応から遮蔽する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反応剤と前記基板とを相互作用させる段階、前記磁気粒子が前記基板に対する前記反応剤の結合を遮蔽する段階、及び磁場の影響を取り除くことによって磁気粒子を取り除き、ネガティブパターンが形成された基板を形成する段階をさらに含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記磁気粒子が磁気パターン発生器を物理的に離れるよう移動させることによって取り除かれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
化学認識及び/又は生物学的認識を通じて、第1の反応剤を前記基板と相互作用させる段階、前記第1の反応剤で被覆された前記基板を、前記相互作用の選択された領域に引き付けられた磁気粒子と相互作用させる段階、第2の反応剤を前記基板と相互作用する段階、前記磁気粒子が前記第1剤と前記第2の反応剤との間の認識を妨げ、磁気粒子を除去しネガティブにパターン形成された基板を形成する段階を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の反応剤が触媒を含み、前記触媒のパターン形成された領域を形成し、それによってパターン形成された基板を、空間的に局所化された領域において少なくとも一つの化学反応を触媒するために使用する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒が、前記化学反応が酵素反応であるように酵素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒の前記パターン形成された領域が所定のスポットにおいて含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の反応剤が第1酵素を含み、前記第2の反応剤が第2酵素を含み、それによって連続的な酵素反応を生じさせる、請求項15から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
第2の所望のパターンに従ってその上に印加される磁場の特性を変える磁気を提供するように構成されかつ操作可能である第2の磁気パターン発生器を提供する段階、前記第2の磁気パターン発生器を通じて前記特定のパターンで基板近傍に磁場を印加して、その結果前記基板上部に磁場の第2のパターンを形成する段階、及び磁気粒子を基板と相互作用させ、一方で磁場の印加の下で、粒子が前記第2の所望の磁気パターンによって規定される第2の選択された相互作用領域において引き付けられ、前記特定のパターンで前記基板上で粒子と相互作用する離隔された領域の第2のパターンを形成する段階を含む、請求項1から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
基板を溶液中に浸漬する段階を含む、請求項1から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記溶液が、磁気粒子及び一つ以上の反応剤のうち少なくともひとつを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応剤が生物学的分子を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基板が自己組織化単分子膜で官能化される、請求項1から23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記基板が非平面表面を有する、請求項1から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記基板が管であり、前記所望のパターンで画定される管の内側の表面上の選択された相互作用領域において粒子が引き付けられ、その結果前記基板の内側表面において粒子と相互作用する領域のパターンを形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記基板の連続する領域に前記磁場を連続的に印加する段階を含む、請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
磁場勾配を前記基板近傍に適用する段階、前記基板を磁気粒子と相互作用させる段階、磁場勾配の強さと対応する磁気粒子の濃度勾配と相互作用された領域のパターンを形成する段階を含む、請求項1から27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
磁気粒子の濃度勾配と相互作用する領域の前記パターンが、対応する前記磁場勾配の特徴的寸法と比較して狭い特徴的寸法を有して、パターン形成された基板のフィーチャが磁気パターン発生器によって生成される磁場特性のパターンのフィーチャと比較して小さいようにする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
パターン形成された基板のフィーチャがサブミクロンスケールである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
均一なパターンを得るために磁気粒子のサイズ、及び対応する磁場を選択する段階を含む、請求項1から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記パターンのフィーチャ及び均一性が、前記磁場の印加の時間及び磁気粒子の濃度を適切に選択することによって制御される、請求項29から31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
磁場の前記印加が磁気媒体を通じて実施され、
それによって前記磁気媒体上に磁場の空間的パターンを電子的に得るために、磁場の磁気方向を制御可能に変える段階、パターン形成された媒体上に膜を堆積する段階、磁気粒子を備える前記膜によって被覆された前記磁気媒体を相互作用させ、その結果前記磁気媒体の上部にパターン形成された膜を形成する段階、を含む、請求項1から32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
磁場の空間的パターンを電子的に得る段階は、磁気媒体上において所定のデータパターンを磁気形状に翻訳するためのコンピュータアルゴリズムを使用する段階を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
基板を特定の時間エッチャー内に配置し、粒子と相互作用する領域の前記パターンがエッチングマスクとして使用され、磁場の効果を除くことによって磁気粒子を取り除き、それによってエッチングされた領域のパターンを形成する、請求項1から34の何れか一項に記載の方法を含む、ミクロ電子装置の製造方法。
【請求項36】
エッチングされた領域の前記パターンが、前記磁場勾配の対応する特徴的寸法と比較して狭い特徴的寸法を有して、基板上のパターンのフィーチャサイズが磁気パターン発生器によって生成されるパターンのフィーチャサイズと比較して小さいようにする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1から36の何れか一項に記載の方法によって製造されるパターン形成された構造体。
【請求項38】
磁場を発生するための磁気源と、
基板上に得られる特定のパターンに対応する所望のパターンに従って、磁場の可変磁気特性を生じさせる磁場を調節するように構成された少なくとも一つの磁気パターン発生器と、を含む基板にパターン形成する装置。
【請求項39】
前記所望のパターンが、磁気パターン発生器からの、サンプルが配置される所定の距離における、所定の磁場プロファイルに関する前記特定のパターンに対応する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記磁気パターン発生器が、前記磁場を生成する磁石と前記基板との間に配置されたマスクであり、前記マスクが基板の上側又は裏側のどちらかに配置される、請求項38又は39に記載の装置。
【請求項41】
前記マスクが、導電性ワイヤから作られた動的マスクであり、ワイヤを通過する電流の印加の下で、ワイヤ近傍に磁場が生成される、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記マスクが、反磁性ライン、常磁性ライン、及び強磁性ラインのうち、少なくとも一つでパターニングされる、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記マスクが非平面構造を有する、請求項40から42の何れか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記磁気源が永久磁石である、請求項38から43の何れか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記磁気源がマルチペグ磁石である、請求項38から43の何れか一項に記載の装置。
【請求項46】
前記基板が管であり、前記所望のパターンで画定される管の内側の選択された相互作用領域において粒子が引き付けられ、その結果前記基板の内側表面において粒子と相互作用するパターン領域を形成する、請求項38から45の何れか一項に記載の装置。
【請求項47】
前記磁気源が前記管を囲む磁石である、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記管が、チューブリアクタ内部で逐次反応を実行可能であるチューブリアクタとして構成され、かつ操作可能である、請求項46又は47に記載の装置。
【請求項49】
基板上に得られるべき前記特定のパターンに対応する磁場の空間的パターンを発生するために磁気パターン発生器の操作を制御するために構成されかつ操作可能である制御ユニットを含む、請求項38から48の何れか一項に記載の装置。
【請求項50】
前記マスクが、磁場の空間的パターンを電子的に得ることを可能にする前記磁気媒体上部に、磁場の磁気の方向を変えるため制御ユニットによって操作可能である前記磁気源によってパターン形成される磁気媒体を含む、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
制御ユニットが、所定のデータパターンを磁気媒体上の磁気プロファイルに翻訳するように予めプログラムされたプロセッサを含む、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記磁気媒体がハードディスク媒体を含む、請求項49に記載の装置。
【請求項53】
前記少なくとも一つの磁気パターン発生器がパターン形成された磁気媒体を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項1】
所望のパターンに従って磁場に可変磁気特性を生じさせる磁場を調節するように構成され、かつ操作可能である少なくとも一つの磁気パターン発生器を提供する段階と、
前記基板の近傍に調節された磁場を印加し、その結果得られるべき相互作用領域の特定のパターンを基板上部に生成する段階と、
前記基板を磁気粒子と相互作用させ、前記調節された磁場の印加中に、磁気粒子が前記特定のパターンによって規定される選択された相互作用領域に引き付けられ、一方で前記相互作用領域の外側の領域に実質的に引き付けられず、その結果前記基板の上部に磁気粒子と相互作用する領域の前記特定のパターンを形成する段階と、を含む基板をパターニングする方法。
【請求項2】
前記所望のパターンが、磁気パターン発生器からの、サンプルが配置される所定の距離における、所定の磁場プロファイルに関する前記特定のパターンに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁気パターン発生器が、前記磁場を生成する磁石と前記基板との間に配置されたマスクであり、前記マスクが基板の上側又は裏側のどちらかに配置される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクが、導電性ワイヤから作られた動的マスクであり、ワイヤを通過する電流の印加の下で、ワイヤ近傍に磁場が生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
逐次的なパターニングを生じさせる磁場の切り替えを行うため、前記ワイヤ上の電流を連続的にスイッチングする段階を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記磁気粒子が強磁性体ナノ粒子である、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
磁場の効果を取り除くことによって磁気粒子を取り除く段階を含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
磁気粒子と相互作用する領域のパターンが、ポジティブリソグラフィを用いて基板上に形成される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記磁気粒子が、前記基板との化学認識を介して基板と相互作用する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記磁気粒子が、前記基板との生物学的認識を介して基板と相互作用する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
磁気粒子と相互作用する領域のパターンが、ネガティブリソグラフィを用いて基板上に形成される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記磁気粒子が前記基板に対して不活性であり、前記基板上の前記選択された相互作用領域を反応剤との反応から遮蔽する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反応剤と前記基板とを相互作用させる段階、前記磁気粒子が前記基板に対する前記反応剤の結合を遮蔽する段階、及び磁場の影響を取り除くことによって磁気粒子を取り除き、ネガティブパターンが形成された基板を形成する段階をさらに含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記磁気粒子が磁気パターン発生器を物理的に離れるよう移動させることによって取り除かれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
化学認識及び/又は生物学的認識を通じて、第1の反応剤を前記基板と相互作用させる段階、前記第1の反応剤で被覆された前記基板を、前記相互作用の選択された領域に引き付けられた磁気粒子と相互作用させる段階、第2の反応剤を前記基板と相互作用する段階、前記磁気粒子が前記第1剤と前記第2の反応剤との間の認識を妨げ、磁気粒子を除去しネガティブにパターン形成された基板を形成する段階を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の反応剤が触媒を含み、前記触媒のパターン形成された領域を形成し、それによってパターン形成された基板を、空間的に局所化された領域において少なくとも一つの化学反応を触媒するために使用する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒が、前記化学反応が酵素反応であるように酵素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒の前記パターン形成された領域が所定のスポットにおいて含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の反応剤が第1酵素を含み、前記第2の反応剤が第2酵素を含み、それによって連続的な酵素反応を生じさせる、請求項15から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
第2の所望のパターンに従ってその上に印加される磁場の特性を変える磁気を提供するように構成されかつ操作可能である第2の磁気パターン発生器を提供する段階、前記第2の磁気パターン発生器を通じて前記特定のパターンで基板近傍に磁場を印加して、その結果前記基板上部に磁場の第2のパターンを形成する段階、及び磁気粒子を基板と相互作用させ、一方で磁場の印加の下で、粒子が前記第2の所望の磁気パターンによって規定される第2の選択された相互作用領域において引き付けられ、前記特定のパターンで前記基板上で粒子と相互作用する離隔された領域の第2のパターンを形成する段階を含む、請求項1から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
基板を溶液中に浸漬する段階を含む、請求項1から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記溶液が、磁気粒子及び一つ以上の反応剤のうち少なくともひとつを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記反応剤が生物学的分子を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基板が自己組織化単分子膜で官能化される、請求項1から23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記基板が非平面表面を有する、請求項1から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記基板が管であり、前記所望のパターンで画定される管の内側の表面上の選択された相互作用領域において粒子が引き付けられ、その結果前記基板の内側表面において粒子と相互作用する領域のパターンを形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記基板の連続する領域に前記磁場を連続的に印加する段階を含む、請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
磁場勾配を前記基板近傍に適用する段階、前記基板を磁気粒子と相互作用させる段階、磁場勾配の強さと対応する磁気粒子の濃度勾配と相互作用された領域のパターンを形成する段階を含む、請求項1から27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
磁気粒子の濃度勾配と相互作用する領域の前記パターンが、対応する前記磁場勾配の特徴的寸法と比較して狭い特徴的寸法を有して、パターン形成された基板のフィーチャが磁気パターン発生器によって生成される磁場特性のパターンのフィーチャと比較して小さいようにする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
パターン形成された基板のフィーチャがサブミクロンスケールである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
均一なパターンを得るために磁気粒子のサイズ、及び対応する磁場を選択する段階を含む、請求項1から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記パターンのフィーチャ及び均一性が、前記磁場の印加の時間及び磁気粒子の濃度を適切に選択することによって制御される、請求項29から31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
磁場の前記印加が磁気媒体を通じて実施され、
それによって前記磁気媒体上に磁場の空間的パターンを電子的に得るために、磁場の磁気方向を制御可能に変える段階、パターン形成された媒体上に膜を堆積する段階、磁気粒子を備える前記膜によって被覆された前記磁気媒体を相互作用させ、その結果前記磁気媒体の上部にパターン形成された膜を形成する段階、を含む、請求項1から32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
磁場の空間的パターンを電子的に得る段階は、磁気媒体上において所定のデータパターンを磁気形状に翻訳するためのコンピュータアルゴリズムを使用する段階を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
基板を特定の時間エッチャー内に配置し、粒子と相互作用する領域の前記パターンがエッチングマスクとして使用され、磁場の効果を除くことによって磁気粒子を取り除き、それによってエッチングされた領域のパターンを形成する、請求項1から34の何れか一項に記載の方法を含む、ミクロ電子装置の製造方法。
【請求項36】
エッチングされた領域の前記パターンが、前記磁場勾配の対応する特徴的寸法と比較して狭い特徴的寸法を有して、基板上のパターンのフィーチャサイズが磁気パターン発生器によって生成されるパターンのフィーチャサイズと比較して小さいようにする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1から36の何れか一項に記載の方法によって製造されるパターン形成された構造体。
【請求項38】
磁場を発生するための磁気源と、
基板上に得られる特定のパターンに対応する所望のパターンに従って、磁場の可変磁気特性を生じさせる磁場を調節するように構成された少なくとも一つの磁気パターン発生器と、を含む基板にパターン形成する装置。
【請求項39】
前記所望のパターンが、磁気パターン発生器からの、サンプルが配置される所定の距離における、所定の磁場プロファイルに関する前記特定のパターンに対応する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記磁気パターン発生器が、前記磁場を生成する磁石と前記基板との間に配置されたマスクであり、前記マスクが基板の上側又は裏側のどちらかに配置される、請求項38又は39に記載の装置。
【請求項41】
前記マスクが、導電性ワイヤから作られた動的マスクであり、ワイヤを通過する電流の印加の下で、ワイヤ近傍に磁場が生成される、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記マスクが、反磁性ライン、常磁性ライン、及び強磁性ラインのうち、少なくとも一つでパターニングされる、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記マスクが非平面構造を有する、請求項40から42の何れか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記磁気源が永久磁石である、請求項38から43の何れか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記磁気源がマルチペグ磁石である、請求項38から43の何れか一項に記載の装置。
【請求項46】
前記基板が管であり、前記所望のパターンで画定される管の内側の選択された相互作用領域において粒子が引き付けられ、その結果前記基板の内側表面において粒子と相互作用するパターン領域を形成する、請求項38から45の何れか一項に記載の装置。
【請求項47】
前記磁気源が前記管を囲む磁石である、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記管が、チューブリアクタ内部で逐次反応を実行可能であるチューブリアクタとして構成され、かつ操作可能である、請求項46又は47に記載の装置。
【請求項49】
基板上に得られるべき前記特定のパターンに対応する磁場の空間的パターンを発生するために磁気パターン発生器の操作を制御するために構成されかつ操作可能である制御ユニットを含む、請求項38から48の何れか一項に記載の装置。
【請求項50】
前記マスクが、磁場の空間的パターンを電子的に得ることを可能にする前記磁気媒体上部に、磁場の磁気の方向を変えるため制御ユニットによって操作可能である前記磁気源によってパターン形成される磁気媒体を含む、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
制御ユニットが、所定のデータパターンを磁気媒体上の磁気プロファイルに翻訳するように予めプログラムされたプロセッサを含む、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記磁気媒体がハードディスク媒体を含む、請求項49に記載の装置。
【請求項53】
前記少なくとも一つの磁気パターン発生器がパターン形成された磁気媒体を含む、請求項38に記載の装置。
【図4a】
【図4b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図10a−10d】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図17c】
【図18b】
【図1a】
【図1b】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図13】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図4b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図10a−10d】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図17c】
【図18b】
【図1a】
【図1b】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図13】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【公表番号】特表2012−507849(P2012−507849A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533934(P2011−533934)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/IL2009/001026
【国際公開番号】WO2010/061378
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(598102502)イエダ・リサーチ・アンド・デベロツプメント・カンパニー・リミテツド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/IL2009/001026
【国際公開番号】WO2010/061378
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(598102502)イエダ・リサーチ・アンド・デベロツプメント・カンパニー・リミテツド (5)
【Fターム(参考)】
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