説明

磁気保健器

【課題】 広範な面領域において、或いは、身体の表面から深さ方向に亘る広範な領域において変動磁場を発生させることができる磁気保健器を提供する。
【解決手段】 回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石14を回転駆動自在に構成した親機10と、回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石24を回転自在に構成した子機20とからなり、前記親機10の円柱状磁石14の回転駆動に従って前記子機20の円柱状磁石24を回転従動できるようにした磁気保健器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保健のために身体や衣服その他に貼着したり、固定手段を介して取り付けたりして使用し得る携帯自在の磁気保健器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の磁気保健器としては、本発明者による実公平3−1009号公報に開示されるような変動磁場を利用した磁気保健器が知られている。即ち、回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石を回転駆動させることにより変動磁場を発生させ、この変動磁場を利用して保健効果を得るようにしたものが知られ、各種製品として実用化されている。
【0003】
しかしながら、前記磁気保健器の場合、貼着した部位や取り付けた部位における、限られた、いわゆる点的な領域においてのみ変動磁場を発生させることができるものであった。従って、広範な面領域において、或いは、身体の表面から深さ方向に亘る広範な領域において変動磁場を発生させることができないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−1009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は広範な面領域において、或いは、身体の表面から深さ方向に亘る広範な領域において変動磁場を発生させることができる磁気保健器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討の結果、回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石を回転駆動させることにより変動磁場を発生させることができる親機と、これに従動して、変動磁場を発生する回転自在の円柱状磁石を備える子機を組み合わせることにより前記課題を解決できることを見いだした。
即ち、本発明の磁気保健器は、請求項1記載の通り、回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石を回転駆動自在に構成した親機と、回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石を回転自在に構成した子機とからなり、前記親機の円柱状磁石の回転駆動に従って前記子機の円柱状磁石を回転従動できるようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載の磁気保健器は、請求項1記載の磁気保健器において、前記親機と前記子機に前記円柱状磁石の回転を目視可能な窓部を設けたことを特徴とする。
また、請求項3記載の磁気保健器は、請求項1又は2記載の磁気保健器において、パルスモータで前記円柱状磁石を回転駆動するようにしたことを特徴とする。
また、請求項4記載の磁気保健器は、請求項1又は2記載の磁気保健器において、前記円柱状磁石の周面にコイルを対向配置し、前記コイルに正逆交互に一定周期で電流を流すことで前記円柱状磁石を回転駆動するようにしたことを特徴とする。
また、請求項5記載の磁気保健器は、請求項1乃至4の何れかに記載の磁気保健器において、前記親機及び前記子機の裏面に貼着部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の磁気保健器は、例えば、同一平面において、親機の周囲の任意の場所に子機を1個又は複数個配置することで、親機の円柱状磁石の回転駆動によって親機の周囲に変動磁場を発生させるとともに、前記親機の円柱状磁石の回転駆動に伴って、親機と子機の円柱状磁石の磁極による吸引、反発力によって従動する子機の円柱状磁石の回転従動によって子機の周囲にも変動磁場を発生させることとなり、親機と子機の間を含め、これら親機、子機の全周囲に亘る広範囲な面領域において変動磁場を発生させることができる。また、例えば、親機を腕の表側に配置し、子機を腕の対応する裏側に配置することで、親機の円柱状磁石の回転駆動と、それに伴う子機の円柱状磁石の回転従動により、親機と子機の間にも変動磁場が発生し、当該腕の表側から裏側に亘る深さ方向にも変動磁場を発生させることができ、優れた保健効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明磁気保健器の親機の斜視図である。
【図2】図2は本発明磁気保健器の親機の蓋を外した状体の斜視図である。
【図3】図3は本発明磁気保健器の子機の蓋を外した状体の斜視図である。
【図4】図4は本発明磁気保健器の使用状態を示す斜視図である。
【図5】図5の使用状態における親機と子機の円柱状磁石の回転方向と磁場の磁力線の方向を示す説明図である。
【図6】図6は本発明磁気保健器の他の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明磁気保健器の実施の形態につき図面に基づき説明する。
図1は本発明磁気保健器の親機10の斜視図であり、楕円形の基体11に、透明窓12aを備えた同じく楕円形の蓋体12が被冠され、前記透明窓12aを介して図2において説明する円柱状磁石14の回転を目視できるようにした。尚、前記円柱状磁石14の回転を目視できるようにするために前記円柱状磁石14に着色を施す場合、回転方向に沿って区分形成された磁極の区分に合わせて着色してもよいが、磁極の区分とは関係なく任意に着色してもかまわない。
本実施例の場合、基体11及び蓋体12は合成樹脂で形成した。尚、透明窓12aは蓋体12と別体でも一体でもかまわない。
【0010】
図2は親機10の蓋体12を外した状態の斜視図を示すもので、基体11上に設けられた樹脂製ケーシング13に、回転方向に沿って磁極が形成された希土類系の円柱状磁石14をシャフト15を介して回転自在に軸支するとともに、前記ケーシング13にコイル16を渦巻状に巻回して前記円柱状磁石14の周面に渦巻状コイル16が配置されるようにした。図中17は電源としての電池を示し、また、図中18は一定周期でコイル16への通電電流を正逆方向に切り替えられるようにした通電回路基板を示すものである。また、図中19は、前記コイル16上にハの字状に設けた鉄片を示し、前記親機10の円柱状磁石14の停止時に、磁極の境界面をコイルの巻回面に対して傾斜させて、円柱状磁石の始動をスムーズに行えるようにするために設けたものである。
かくして、図略のスイッチにより電源17をオンすることで、前記通電回路基板18を介して前記コイル16へ一定周期で正逆方向を切り替えられた電流が通電され、コイル16に流れる電流によって生じるコイル16の磁極の変動に伴い前記円柱状磁石14が回転駆動されることとなる。
本実施例では、円柱状磁石14の回転駆動を、コイル16と電源と、通電回路基板18というシンプルでコンパクトな構成で正確に制御できるようにした。
尚、前記親機10の基体11の裏面には図略の両面粘着テープによる粘着部を設け、任意の場所に貼着自在に構成した。
【0011】
子機20の外観形状は図4に示す通り、親機10の相似形に形成するものとし、但し、透明窓22aは蓋体22の中心部に設けるようにした。尚、基体21及び蓋体22は親機10と同じく合成樹脂で形成した。また、透明窓22aは親機10と同様に蓋体22と別体でも一体でもかまわない。
図3は、子機20の蓋体22を外した状態の斜視図を示すもので、基体21の底面にシャフト受け23を設け、回転方向に沿って磁極が形成された希土類系の円柱状磁石24をシャフト25を介して回転自在に軸支するようにした。
また、前記子機20の基体21の裏面にも、前記親機10と同様に、図略の両面粘着テープによる粘着部を設け、任意の場所に貼着自在に構成した。
尚、前記親機10及び子機の貼着乃至取り付け手段は、前記両面粘着テープを利用したものに限定されるものではなく、磁気保健器の適用部位や使用環境に応じ、貼着用粘着ジェル等、任意に選択できる。
【0012】
図4は、本発明磁気保健器の使用例を示すもので、1個の親機10の周囲に図面で上下左右各1個の子機20を配置したもので、親機10の円柱状磁石14を回転駆動させると、前記親機10の円柱状磁石14の回転駆動に伴って、親機10の円柱状磁石14と、各子機20の円柱状磁石24の磁極による吸引、反発力によって各子機20の円柱状磁石24も回転従動することとなる。かくして、親機10と各子機20の間を含め、これら親機10、子機20,20,20,20の全周囲に亘る広範囲な面領域において変動磁場を発生させることができる。
図5は、図4に示される配置における親機10の円柱状磁石14と子機20の円柱状磁24の回転方向と磁力線の方向を説明するもので、図5(a)の状態では、親機10と各子機20には破線で示される磁場が発生しており、親機10が実線で示す方向に回転し始めると、各子機20はそれぞれ実線で示される方向に回転する。図5(b)は前記親機10の円柱状磁石14が180°回転した状態を示すもので、親機10と各子機20には破線で示される磁場が発生し、図5(b)の状態から更に親機10の円柱状磁石14が実線方向に180°回転すると各子機20はそれぞれ実線方向で示す方向に回転し、図5(a)の状態に戻り、このように180°の周期的な間欠的な回転に伴って変動磁場が発生することとなる。
【0013】
図6は、本発明磁気保健器の他の使用例を示すもので、左手の表面側に親機10を、対応する裏面側に子機20を配置したもので、親機10の円柱状磁石14を回転駆動させることにより、子機20の円柱状磁石24が回転従動し、親機10と子機20の間にも変動磁場が発生し、左手の表面側から裏面側の深部に渡って深さ方向にも変動磁場が発生することになる。
また、特に図示しないが、前記の通り、親機と子機に窓部を設けることで、例えば、背中に親機を配置して、子機を腹部に配置した場合、腹部の子機の円柱状磁石の従動を確認することで、見えない背中側の親機の回転駆動を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明磁気保健器は広範な面領域、或いは、表面から深さ方向に亘る広範な領域で変動磁場を形成でき、磁気保健器として有用である。
【符号の説明】
【0015】
10 親機
11 基体
12 蓋体
12a窓部
13 ケーシング
14 円柱状磁石
15 シャフト
16 コイル
17 電源
18 通電回路
19 鉄片
20 子機
21 基体
22 蓋体
22a窓部
23 シャフト受け
24 円柱状磁石
25 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石を回転駆動自在に構成した親機と、回転方向に沿って磁極が形成された円柱状磁石を回転自在に構成した子機とからなり、前記親機の円柱状磁石の回転駆動に従って前記子機の円柱状磁石を回転従動できるようにしたことを特徴とする磁気保健器。
【請求項2】
前記親機と前記子機に前記円柱状磁石の回転を目視可能な窓部を設けたことを特徴とする請求項1記載の磁気保健器。
【請求項3】
パルスモータで前記円柱状磁石を回転駆動するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気保健器。
【請求項4】
前記円柱状磁石の周面にコイルを対向配置し、前記コイルに正逆交互に一定周期で電流を流すことで前記円柱状磁石を回転駆動するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気保健器。
【請求項5】
前記親機及び前記子機の裏面に貼着部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の磁気保健器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−61298(P2012−61298A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277304(P2010−277304)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願変更の表示】意願2010−8109(D2010−8109)の変更
【原出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(500567092)
【出願人】(000127835)株式会社エス・エス・シィ (1)
【Fターム(参考)】